説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび携帯端末装置

【課題】利用者ごとに徒歩履歴を蓄積し、徒歩履歴から平均徒歩速度を求めて、ナビゲーションシステムの利用者の徒歩速度を自動設定する。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は携帯端末装置20と経路探索サーバ30から構成されている。経路探索サーバ30は、携帯端末装置20は、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベース37と、経路探索手段33と、携帯端末装置20を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段34と、歩行履歴収集手段34により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段35と、を備え、携帯端末装置20は、歩行速度算出手段35により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段と、を備え、経路探索手段33は、入力手段により指定された平均歩行速度に基づき、前記データベース37を用いて経路探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯端末装置と経路探索サーバとを備えて構成され、経路探索サーバによって出発地から目的地までの最適な案内経路を探索し、携帯端末装置の表示手段に、地図上に現在位置と案内経路とを表示して経路案内するナビゲーションシステムに関するものであり、特に、携帯端末装置と経路探索サーバとからなる歩行者用のナビゲーションシステムにおいて、歩行者の歩行履歴から平均歩行速度を求めて、歩行者の歩行速度として自動的に設定するようにしたナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られている。
このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置や、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、経路探索サーバに自動車や徒歩経路の探索のための道路ネットワークデータに加えて、交通機関の路線や運行時刻データを交通ネットワークデータとして蓄積している。
【0004】
このような歩行者用のナビゲーションシステムは、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
また、航空機、列車、電車、バスなどの交通手段を用いて出発地から目的地までの経路を探索して案内する経路探索システムも知られている。このような経路探索システムは一般的には、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて経路探索を行う。
【0005】
前述のようなナビゲーションシステムにおいては、各交通機関の路線データや運行時刻データをデータベース化した交通ネットワークデータを参照して、乗り継ぎを含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示する。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0006】
また、上記のような各種ナビゲーションシステムにおいて、利用者自らがナビゲーションシステムの徒歩速度を任意に設定できるようになっており、利用者がナビゲーションシステムを利用する際の利用者がおかれている状況、例えば、目的地まで急ぐ必要があるとき、目的地までのんびり行きたいときなど、その都度変化する利用状況に応じて、任意の徒歩速度(せかせか、標準、ゆっくり)に設定変更できることは利用者にとって非常に便利な機能の一つであった。
【0007】
図7は、従来のナビゲーションシステムにおけるナビゲーション端末装置の探索条件設定入力画面の説明図である。
図7に示すように、入力画面には、「出発地」、「目的地」の設定のほか、詳細設定項目の一つとして「徒歩速度」を指定することができる。ここで、「徒歩速度」は、「標準」が時速5km、「せかせか」は時速6km、「ゆっくり」は時速4kmで徒歩区間の時間コストを見積もる。
【0008】
また、このような技術背景から移動体の移動時系列データに基づいて移動体誘導用情報を提供する試みもなされており、例えば、下記の特許文献1(特開2000−123070号公報)に「移動体誘導装置とその方法、およびプログラム記録媒体」として開示されている。
下記の特許文献1には、ある環境下にある移動体位置を計測・記録して、行動パターンの特徴を抽出し、行動パターンの特徴に基づいて誘導ルールを作成し、移動体の位置と誘導ルートに基づいて移動体誘導用の情報を作成し、配信する技術が記載されている。
【0009】
また、モバイル端末装置の移動速度を捕捉する技術が、例えば、下記の特許文献2(特開2004−229302号公報)に「モバイル端末装置の性能を最適化する方法及びモバイル端末装置」として開示されている。
下記の特許文献2には、モバイル端末装置の移動速度を外部ソースから捕捉し、捕捉した移動速度をデータ処理ソフトウェアのそれぞれに配信することでモバイル端末装置の性能を最適化する技術が記載されている。
【0010】
また、走行履歴に応じて経路情報を提供する技術が、例えば、下記の特許文献3(特開2004−163189号公報)に「ナビゲーション装置、及び情報処理装置」として開示されている。
上記特許文献3には、移動体履歴情報と走行環境情報(例えば、日付、時刻、曜日、季節、天候)とを考慮に入れて、走行経路が算出されるので、移動体の運転者の個性に特化した経路を算出することができる技術が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2000−123070号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−229302号公報(図2)
【特許文献3】特開2004−163189号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、歩行者用ナビゲーションシステムを利用するユーザの中には、利用者が徒歩速度を任意に変更できることは便利である反面、その設定自体を煩わしいと感じる利用者もあり、ナビゲーションシステム利用時の設定操作自体が面倒であるため、できるだけ少ない操作で手軽にナビゲーションシステムを利用できるようにしたいという要求が存在する。
また、年配の利用者の多くは、徒歩速度が比較的均一であり、総じて徒歩速度に差があまりみられなので、ナビゲーションシステムの徒歩速度の設定を、利用する度に変更する必要がないのが現状である。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示された従来技術にはいずれも面倒な設定操作によるナビゲーションシステムの使い勝手の悪さに対する課題の認識やその解消方法について言及されているものはなく、上記のような課題を解決することができないという問題点が生じていた。
【0014】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、利用者の過去の徒歩履歴(ログ)をサーバに保管し、そのサーバに保管されている利用者の過去の徒歩履歴(ログ)に基づいて平均速度を求め、利用者の徒歩速度を自動設定し、次回の経路探索時にその速度で探索を行うことにより、上記問題点を解消し得ることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、ナビゲーションシステムの徒歩履歴から平均徒歩速度を求めて、ナビゲーションシステムの徒歩速度を自動設定するようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび携帯端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
経路探索条件を経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置と、経路探索条件に従った案内経路を探索し携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記入力手段により指定された平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、更に、天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、
前記歩行履歴収集手段は、前記天候情報取得手段により取得した歩行履歴収集時の天候情報とともに歩行履歴を収集し、
前記歩行速度算出手段は、前記天候情報に応じて前記利用者の平均歩行速度を算出し、
前記経路探索手段は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度のうち前記経路探索条件に対応する天候情報に応じた平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項3にかかる発明は、
経路探索条件を経路探索サーバに送信し、該経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置とネットワークを介して接続され、前記経路探索条件に従った案内経路を探索し前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記携帯端末装置が備える入力手段により経路探索条件として指定された平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、更に、天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、
前記歩行履歴収集手段は、前記天候情報取得手段により取得した歩行履歴収集時の天候情報とともに歩行履歴を収集し、
前記歩行速度算出手段は、前記天候情報に応じて前記利用者の平均歩行速度を算出し、
前記経路探索手段は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度のうち前記経路探索条件に対応する天候情報に応じた平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項5にかかる発明は、
経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、を備え、経路探索条件に従った案内経路を探索し携帯端末装置に配信する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記経路探索条件を前記経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明においては、ナビゲーションシステムは、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段と、を備え、前記経路探索手段は、前記入力手段により指定された平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索する。
【0022】
このような構成によれば、過去の歩行履歴に基づき平均歩行速度を算出し、利用者の平均歩行速度を経路探索条件として自動設定するため、ナビゲーションシステムにおける速度設定の操作を省略することができるようになる。
【0023】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、更に、天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、前記歩行履歴収集手段は、前記天候情報取得手段により取得した歩行履歴収集時の天候情報とともに歩行履歴を収集し、前記歩行速度算出手段は、前記天候情報に応じて前記利用者の平均歩行速度を算出し、前記経路探索手段は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度のうち前記経路探索条件に対応する天候情報に応じた平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索する。
【0024】
このような構成によれば、天候状況に応じた、より細かな平均徒歩速度の自動設定が行えるとともに、利用者の平均歩行速度を経路探索条件として自動設定するため、ナビゲーションシステムの速度設定の操作を省略することができるようになる。
【0025】
また、請求項3または請求項4にかかる発明においては、それぞれ請求項1または請求項2にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになる。更に、請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムを構成する携帯端末装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム10は、携帯電話を端末として用いる携帯端末装置20と、経路探索サーバ30とがインターネットなどのネットワーク12を介して接続され、通信型のナビゲーションシステムとして構成されている。このナビゲーションシステム10は主として歩行者用のナビゲーションシステムとして利用されるシステムであるが、携帯端末装置20として携帯電話を用いる場合には、自動車の助手席に乗車した利用者が携帯電話を用いて自動車用のナビゲーションシステムサービスを受け、運転者を案内することもできる。
【0028】
携帯端末装置20は、歩行者が携帯し、無線により基地局と通信し、基地局を介してインターネットなどのネットワーク12を経由して経路探索サーバ30と接続関係が確立され、移動手段(徒歩あるいは自動者など)や現在位置または所望の出発地と目的地を経路探索条件として設定して経路探索サーバ30に経路探索要求を送信し、また、経路探索サーバ30は、経路探索条件に従って、道路ネットワークデータを参照し最適経路を探索し、その最適経路を案内経路データ(地図情報、経路探索の結果など)に編集して携帯端末装置20に配信する。
【0029】
携帯端末装置20は、制御手段21、通信手段22、位置検出手段23、経路探索要求手段24、案内データ記憶手段25、操作手段26、表示手段27を備えて構成されている。ユーザは、携帯端末装置20において経路探索サーバ30に経路探索を要求しようとする場合、操作手段26を操作し、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示手段27に表示して、出発地や目的地、移動手段(徒歩や徒歩と交通機関併用、自動車など)、出発予定時刻や到着希望時刻などの経路探索条件の入力を行い、表示手段27に経路探索サーバ30から配信された案内経路データを表示する。出発地として現在位置を選択すると位置検出手段23が取得している現在位置が出発地として適用される。
【0030】
制御手段21は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどの記憶手段を備えており、これらの記憶手段に格納された制御プログラムによって各部の動作を制御する。
【0031】
通信手段22は、ネットワーク12を介して経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースであり、無線通信ユニットを含み、経路探索サーバ30と通信するためのものである。位置検出手段23は、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理して携帯端末装置20の現在位置(緯度・経度)を測位する。位置検出手段23を構成するGPS受信機は、Autonomous(オートノーマス)、MS−Based、A-GPSのいずれの方式でも良い。A−GPSの場合は、立ち止まると測位を停止することもできるので、経路探索サーバ30との間の通信のトラフィック軽減効果もある。
【0032】
経路探索要求手段24は、操作手段26を使用して入力された出発地、目的地、移動手段などの経路探索条件を経路探索サーバ30に送り、経路探索の要求を行う。出発地、目的地は緯度、経度によって指示するのが一般的であるが、住所や電話番号を入力し、経路探索サーバ30のデータベース37で緯度、経度の情報に変換する方法や、携帯端末装置20に表示されている地図上でポイントを指定し緯度、経度の情報に変換する方法を用いてもよい。
【0033】
出発地の情報としては、位置検出手段23で測位した携帯端末装置20の現在位置を出発地として、測位地点の緯度、経度の情報を使用することもできる。移動手段は、例えば、徒歩、自動車、徒歩と交通機関の併用などである。
【0034】
案内データ記憶手段25は、経路探索サーバ30から配信された経路探索結果である案内経路データ、地図データ、ガイダンスデータなどの配信データを記憶するものであり、これらのデータは必要に応じて案内データ記憶手段25から読み出され、表示手段27に表示される。一般的には、位置検出手段23で測位した携帯端末装置20の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、携帯端末装置20の現在位置を示すマークを重ね合わせて該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。
【0035】
測位した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理が行われる。また、経路探索サーバ30から配信される案内経路データに音声ガイドのデータが付加されている場合は、例えば、交差点や分岐点(案内ポイント)に携帯端末装置20が近づいた際に、「この先、300m交差点です。左折して下さい」などの音声メッセージを、スピーカを介して再生出力してユーザをガイドする。
【0036】
操作手段26は、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなり、表示手段27に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して、携帯端末装置20を操作するための入力、出発地、目的地などの種々の入力操作を行うものである。
【0037】
表示手段27は、液晶表示装置等からなり、経路探索サーバ30から配信を受けた案内経路データに従って、該案内経路データに設定された案内(ガイド)を表示したり、音声ガイドをしたり、案内ポイントのノードにアイコンを表示するものである。
【0038】
図2は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける携帯端末装置20に搭載されたナビゲーションアプリケーションの探索条件設定入力画面の説明図である。図2に示すように、入力画面には、「出発地」、「目的地」の設定、実際の電車時刻表に従って探索を行うための「利用日」、「往路時刻」、「復路時刻」の設定がある。時刻には、出発時刻なのか到着時刻なのかの設定がある。また、「終電」とは最も出発を遅らせることができる経路、「始発」とはその日に出発して最も早く目的地に到着できる経路の探索を要求する。「おまかせ探索」を押すと、詳細な条件はあらかじめ設定された条件に従って探索を開始する。
【0039】
表示された画面を更に下にスクロールすると、詳細設定項目がある。「乗り物+徒歩」を選択した場合は、使用を許可する乗り物(飛行機、新幹線、有料特急、タクシー等)を設定することが出来る。「タクシー利用」にチェックを入れると、どれくらいの距離以上でタクシーを使うかを設定することが出来る。現在タクシーの初乗り運賃が2km程度であるので2kmを初期値としておいて、利用者によっては1kmを選ぶこともある。
【0040】
また、特に距離で設定しなくても、徒歩速度(後述)で、「せかせか」を選んだ人は3km以上、「ゆっくり」を選んだ人は1km以上というように連動してもよい。あるいは利用者のプロフィールが携帯端末装置20に設定されていれば、高齢者には500m以上でタクシーを利用するように設定してもよい。
【0041】
「自動車」にチェックを入れると、これはタクシーではなくて、出発地から目的地までの自動車ルートも探索する。「徒歩のみ」にチェックを入れると、交通機関を利用せず、徒歩ルートのみの探索となる。ただし、たとえば10kmまでという制限がつく。
「結果表示順」は、「所要時間が短い順」、「運賃が安い順」、「乗換え回数が少ない順」、「歩き少ない(徒歩経路の距離が短い)順」から選択できるが、他の相反する条件とは適宜優先順位が付いている。例えば、終電または始発が指定されている場合は、自動的に所要時間が短い順になっている。
【0042】
「徒歩速度」は、「自動」、「せかせか」、「標準」、「ゆっくり」から選択でき、「自動」にチェックを入れると、本発明が機能して利用者の平均歩行速度で徒歩区間の時間コストを見積もり、「標準」が時速5km、「せかせか」は時速6km、「ゆっくり」は時速4kmで徒歩区間の時間コストを見積もる。
そして、「設定保存」を押すと、その設定をその後のおまかせ探索の条件として記憶する。「探索開始」は、設定条件を保存せずに現在の設定で探索開始するボタンである。
【0043】
一方、経路探索サーバ30は、図1に示されるように、制御手段31、通信手段32、経路探索手段33、データベース37を備えている。
制御手段31は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどの記憶手段を備えており、これらの記憶手段に格納された制御プログラムによって各部の動作を制御する。
【0044】
通信手段32は、ネットワーク12を介して携帯端末装置20と通信するためのインターフェースであり、携帯端末装置20から経路探索要求を受信し、また、後述の経路探索手段33で探索した最適な経路探索の結果である案内経路のデータ、地図データ、案内データ等の携帯端末装置20に要求されたデータやサービスに必要な案内経路データを携帯端末装置20に配信するためのものである。
【0045】
案内経路データは、ベクターデータとして作成された案内経路に地図データが付加されて配信され、経路探索手段33で探索された案内経路上の出発地、経路の屈曲点、交差点、目的地などのガイドポイントが設定され、それらのガイドポイントの位置座標(緯度・経度)、各ガイダンスポイントに関連する案内情報(直進や右左折のガイダンス情報)が含まれる。携帯端末装置20は、配信された地図データと案内経路データを受信し、地図および案内経路を表示し、ガイダンスポイントに到着した時点で所定のガイドを表示または音声で出力する。
【0046】
経路探索手段33は、携帯端末装置20から送信された経路探索条件に基づいて、データベース37を参照して、出発地から目的地までの最短の案内経路を探索する。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。このような構成は一般のナビゲーションシステムと同様のものである。
【0047】
サーバ30は図1に示すように、さらに歩行履歴収集手段34、歩行速度算出手段35及び天候情報取得手段36を備えている。これらの動作は次のとおりである。すなわち、歩行履歴収集手段34は操作手段26により入力した歩行速度に関するデータ、すなわち歩行履歴データをユーザごとに収集し、ユーザ歩行履歴DB375に蓄積していく。歩行履歴データの内容は上述の経路探索条件設定画面の詳細項目において入力される「徒歩速度」欄の入力内容がこれにあたり、図2の「設定保存」が選択されて経路探索要求がサーバに送信される際に、同時にデータベース37に格納される。
【0048】
歩行速度算出手段35は、歩行履歴DBに格納された歩行履歴データからユーザの平均歩行速度を算出する。平均歩行速度は、ユーザが任意に選択した経路探索条件設定での歩行速度から平均値をとったものとしてもよいし、最も多く選択された徒歩速度を平均としてもよい。例えば、図2の「徒歩速度」の欄の「標準」が時速5km、「せかせか」は時速6km、「ゆっくり」は時速4kmというように設定されているときは、これら時速とチェックされた回数との関係から計算によって平均値を求める構成でもよいし、または例えば「せかせか」が回数として最も多くチェックされた場合には、「せかせか」の現実の速度である時速6kmを平均速度とする構成であってもよい。
【0049】
天候情報取得手段36は、ユーザ歩行履歴DB375に歩行履歴データを格納する際に、その歩行履歴が送信されたときの天候情報を取得する。この天候情報は、歩行履歴収集手段34がユーザ歩行履歴DB375に歩行履歴データを格納するときに該データに付加されて格納される。経路探索サーバ30は、その地域の天候の情報も気象サーバ(図示せず)からインターネット経由で入手することができるので、雨の日や雪の日などの天候の違いに対応した形で歩行履歴データを格納しておき、雨や雪、寒波や猛暑の状態、あるいは予報が出ていたら探索結果の利用時間に応じて適宜対応できるようにしてある。
【0050】
データベース37は、歩行者ナビゲーションシステムにおける経路探索のための道路ネットワークデータ(地図データ)を蓄積した経路探索のための道路ネットワークDB371と、電車経路などの交通機関の運行ネットワークを蓄積した交通機関運行ネットワークDB372と、携帯端末装置20に配信して表示するための地図情報を蓄積した地図DB373と、携帯端末装置20に予めダウンロードもしくはプレインストールする案内(ガイド)パターンを蓄積した案内DB374と、ユーザの過去の歩行履歴をユーザ毎に蓄積したユーザ歩行履歴DB375と、を備えている。
【0051】
道路ネットワークDB371に蓄積された道路ネットワークデータは、ノードデータ、リンクデータと各リンクのコスト(リンクコスト)データにより構成されており、道路ネットワークは、図3に示すように、例えば、道路が道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで表され、道路ネットワークデータを構成している。
【0052】
すなわち、図3において、○印、◎印がノードを示し、◎印は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図3では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0053】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図3において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0054】
図3ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至る可能な経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0055】
車載用のナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータは、自動車の通行可能な道路のみによって構成され、歩行者専用の道路や車両の進入が禁止されている公園内や駅前広場の通路などの歩行者用道路ネットワークデータは不要である。一方、歩行者用のナビゲーションシステムにおいては、自動車の通行可能な道路ネットワークに加えて前述の歩行者専用の道路や車両の進入が禁止されている公園内や駅前広場の通路などの歩行者用道路ネットワークデータを含んで構成されるが、高速道路など歩行が禁止されている道路のネットワークデータは必要としない。経路探索サーバ30は、経路探索条件として指定された移動手段、例えば、徒歩と交通機関あるいは自動車と徒歩などに応じて、必要なネットワークデータを利用する。
【0056】
一方、交通機関運行ネットワークDB372に蓄積された交通機関の運行ネットワークデータは、基本的には道路ネットワークデータと同様に、交通路線をノードデータ、リンクデータ、各リンクのコスト(リンクコスト)データで構成されている。すなわち、図4に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。
【0057】
図4において、○印、◎印がノードを示し、◎印は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図4では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0058】
しかしながら、交通機関の運行ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークでは、リンクコストは固定的、静的なものであったが、交通機関の運行ネットワークでは、図4に示すように、交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数あり、各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には、同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0059】
図4に例示する交通機関の運行ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になり、道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量のネットワークデータとなる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0060】
このような交通機関の運行ネットワークデータを用いてある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。例えば、図4において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択し、交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0061】
ユーザ歩行履歴DB375に蓄積されたユーザ歩行履歴データは、各ユーザ毎に携帯端末装置20から受信した歩行履歴データと、歩行速度算出手段35が各ユーザの過去の歩行履歴データから算出し、徒歩区間の時間コストを見積もるための係数として自動設定された平均歩行速度データで構成されている。上述のとおり、歩行履歴データには天候情報が付加されており、平均歩行速度データは天候に応じた各ユーザ毎の平均歩行速度を格納している。
【0062】
また、歩行速度算出手段35は出発地の種別毎に平均歩行速度データを算出してもよく、例えば、酒類を提供する飲食店からの帰りも出発地として入力したお店の電話番号から、現在地が酒類を提供する飲食店であることが認識できるため、その時の平均歩行速度を、酒類を摂取した際の徒歩速度として認識してユーザ歩行履歴DB375に蓄積することができる。
【0063】
なお、算出した歩行速度が異常値と認識される場合、例えば、徒歩で10km/h以上の場合には、制御手段31は、これをエラーと認識して自動的に排除するものとする。また、歩行履歴データの受信は、携帯端末装置20の位置検出手段23のGPS機能が正常に働いてGPS認識することができた歩行区間のみを有効とし、その区間の歩行履歴データのみが対象として受信される。
【0064】
図5は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける携帯端末装置20の動作手順を示すフローチャートである。
図5に示す動作手順は、携帯端末装置20の制御手段21が記憶手段に記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0065】
図5において、携帯端末装置20は、ステップS51の処理において、ユーザ(歩行者)が操作手段26を操作して、図2に示すように、探索条件設定入力画面を表示手段27に表示し、出発地や目的地を含む経路探索条件を入力すると、ステップS52の処理において、制御手段21は通信手段22を介して経路探索サーバ30へ経路探索要求を送信する。
【0066】
次に、ステップS53の処理において、携帯端末装置20は、通信手段22を介して経路探索サーバ30からの案内経路データなどを受信し、ステップS54の処理において、経路探索サーバ30から配信を受けた案内経路データに従って、該案内経路データに設定された案内を表示手段27に表示したり、音声ガイドを行う。
【0067】
ステップS55の処理において、ナビゲーションが終了してユーザが表示手段27に表示された案内(地図)を閉じると、制御手段21が携帯端末装置20内の記憶手段にログとして保持されている経路探索条件の詳細設定項目のデータに基づいて、ステップS51の処理において詳細設定項目として「徒歩のみ」を選択されているかを判定する。
【0068】
ステップS55の判定処理において、詳細設定項目として「徒歩のみ」を選択されていなければ処理を終了し、一方「徒歩のみ」を選択されていれば、ステップS56の処理において、制御手段21は、携帯端末装置20内の記憶手段に保持されている経路探索条件を歩行履歴として通信手段22を介して経路探索サーバ30へ送信して処理を終了する。ここで、歩行履歴の送信は、位置検出手段23のGPS機能が正常に働いてGPS認識することができた歩行区間のみを有効とし、その区間の歩行履歴のみが対象として送信される。
【0069】
図6は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける経路探索サーバ30の動作手順を示すフローチャートである。
図6に示す動作手順は、経路探索サーバ30の制御手段31が記憶手段に蓄積された制御プログラムを実行することで実現される。
【0070】
図6において、経路探索サーバ30は、ステップS61の処理において、携帯端末装置20から経路探索要求を受信すると、経路探索条件として設定された詳細設定項目のデータに基づいて、制御手段31が詳細設定項目の「徒歩速度」として「自動」を選択されているかを判定する。
【0071】
ステップS61の判定処理において、詳細設定項目の「徒歩速度」として「自動」を選択されていれば、ステップS62の処理に進み、経路探索手段33は、前述のように本発明を適用して、歩行速度算出手段35によって予めユーザ歩行履歴DB375を参照して、対応するユーザの歩行履歴から算出され、徒歩区間の時間コストを見積もるための係数として自動設定された平均歩行速度を用い、道路ネットワークDB371などのデータを参照して経路探索を行う。
【0072】
一方、ステップS61の判定処理において、詳細設定項目の「徒歩速度」として「自動」以外を選択されていれば、ステップS63の処理に進み、経路探索手段33は、「せかせか」、「標準」、「ゆっくり」の各選択項目に対応して予め決められている速度を用いて道路ネットワークDB371などのデータを参照して経路探索を行う。
以上の処理により、経路探索手段33による経路探索の結果が得られると、ステップS64の処理において、制御手段31は、通信手段32を介して携帯端末装置20に案内経路データを探索結果として送信する。
【0073】
次に、ステップS65の処理において、ナビゲーションが終了して携帯端末装置20から通信手段32を介して歩行履歴を受信するかを判定する。
ステップS65の判定処理において、歩行履歴を受信しなければ処理を終了し、一方、歩行履歴を受信すれば、ステップS66の処理において、歩行履歴収集手段34は、ユーザ歩行履歴DB375に歩行履歴を記憶させるとともに、歩行速度算出手段35は、ユーザ歩行履歴DB375に蓄積されている対応するユーザの歩行履歴から平均歩行速度を算出し、徒歩区間の時間コストを見積もるための係数としてユーザ歩行履歴DB375に自動設定して処理を終了する。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるナビゲーションシステムによれば、経路探索条件のうち詳細設定項目の徒歩速度については、ランク(せかせか・標準・ゆっくり)の切り替えではなく、ユーザの平均歩行速度を記憶し、その速度を用いて経路探索することができるようにしたナビゲーションシステムを提供することができる。
【0075】
利用者がナビゲーションシステムを利用する度に、徒歩速度の設定を行う操作が必要なくなり、また、天候条件を加えることにより、ただ単に徒歩速度を記憶するだけでなく、天候状況に応じたよりきめ細かい徒歩速度の自動設定が行えるようになるため、本発明にかかるナビゲーションシステムの利便性が効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本実施例においては、携帯電話を端末装置として使用する通信型の歩行者ナビゲーションシステムとして説明したが、本発明は通信型のナビゲーションシステムに限られることはなく、ネットワークデータや平均歩行速度データの更新が管理可能であれば、携帯端末装置と経路探索サーバが一体となったスタンドアロンで動作する携帯情報装置にデータをダウンロードして、携帯情報端末単独で経路案内を行う際に本発明を適用してもよい。
【0077】
また、本発明にかかるナビゲーションシステムは上記の構成に限られるものではなく、端末装置としてPDAなどの携帯電子装置であってもよく、また、経路探索サーバは、歩行者に対するナビゲーション機能の他に自動車用のナビゲーション機能をあわせ持つサーバであってもよい。さらに、ナビゲーション機能を持たないシステムであってもよく、また、ナビゲーションサービス対応でない携帯電話やGPS測位手段を持たない携帯電話であってもよい。GPS測位手段を持たない携帯電話の場合、基地局に対する位置登録により通信エリアの位置情報を取得し、経路探索サーバはこの位置情報を携帯電話から受信して位置を判別すればよい。
【0078】
また、本発明は経路探索方法を中心とするから、実施形態には限定されず、携帯電話のナビアプリで実施しても良いし、パソコンでインターネットに接続したサイトで経路探索サービスを提供する際に実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける携帯端末装置において表示される探索条件設定入力画面の一例を示す説明図である。
【図3】道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図4】交通ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける携帯端末装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける経路探索サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】従来のナビゲーションシステムにおけるナビゲーション端末装置の探索条件設定入力画面の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・携帯端末装置
21・・・・制御手段
22・・・・通信手段
23・・・・位置検出手段
24・・・・経路探索要求手段
25・・・・案内データ記憶手段
26・・・・操作手段
27・・・・表示手段
30・・・・経路探索サーバ
31・・・・制御手段
32・・・・通信手段
33・・・・経路探索手段
34・・・・歩行履歴収集手段
35・・・・歩行速度算出手段
36・・・・天候情報取得手段
37・・・・データベース
371・・・道路ネットワークDB
372・・・交通機関運行ネットワークDB
373・・・地図DB
374・・・案内DB
375・・・ユーザ歩行履歴DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索条件を経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置と、経路探索条件に従った案内経路を探索し携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記入力手段により指定された平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションシステムは、更に、天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、
前記歩行履歴収集手段は、前記天候情報取得手段により取得した歩行履歴収集時の天候情報とともに歩行履歴を収集し、
前記歩行速度算出手段は、前記天候情報に応じて前記利用者の平均歩行速度を算出し、
前記経路探索手段は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度のうち前記経路探索条件に対応する天候情報に応じた平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
経路探索条件を経路探索サーバに送信し、該経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置とネットワークを介して接続され、前記経路探索条件に従った案内経路を探索し前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記携帯端末装置が備える入力手段により経路探索条件として指定された平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項4】
前記経路探索サーバは、更に、天候情報を取得する天候情報取得手段を備え、
前記歩行履歴収集手段は、前記天候情報取得手段により取得した歩行履歴収集時の天候情報とともに歩行履歴を収集し、
前記歩行速度算出手段は、前記天候情報に応じて前記利用者の平均歩行速度を算出し、
前記経路探索手段は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度のうち前記経路探索条件に対応する天候情報に応じた平均歩行速度に基づき、前記データベースを用いて経路探索することを特徴とする請求項3に記載の経路探索サーバ。
【請求項5】
経路探索のためのネットワークデータを蓄積したデータベースと、経路探索手段と、携帯端末装置を利用する利用者の歩行履歴を収集する歩行履歴収集手段と、前記歩行履歴収集手段により収集した歩行履歴に基づき前記利用者の平均歩行速度を算出する歩行速度算出手段と、を備え、経路探索条件に従った案内経路を探索し携帯端末装置に配信する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記経路探索条件を前記経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信される案内経路を表示する携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、前記歩行速度算出手段により算出した平均歩行速度を経路探索条件として指定する入力手段を備えたことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−116320(P2008−116320A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299755(P2006−299755)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】