ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラム。
【課題】 ナビゲーション装置による誘導に対するドライバーの注意負担を軽減できるナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムを提供する。
【解決手段】 過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、を備えるナビゲーション装置。
【解決手段】 過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、を備えるナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムに関し、特にルート誘導に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までのルートを地図DBを用いて探索し、探索したルートに沿ってドライバーを誘導するナビゲーション装置が知られている。例えば特許文献1には、走行回数の多い道路のコストを低く見積もることにより、ドライバーが通り慣れたルートを優先的に誘導ルートとして設定するナビゲーション装置が開示されている。
しかし、ドライバーが通り慣れたルートに沿って誘導されたとしても、誘導されているルートが現在の目的地とどのような関係にあるのかをユーザは認識することはできない。したがって、このような場合、誘導に従って走行する、慣れた道路におけるドライバーの運転負担を軽減することはできるものの、たとえ通り慣れた道路の走行中であっても、ナビゲーション装置から出力される誘導情報には常に注意を向けておく必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−181574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を解決するために創作されたものであって、ナビゲーション装置による誘導に対するドライバーの注意負担を軽減できるナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのナビゲーション装置は、過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、を備える。
過去に行ったことのある目的地までのルートを辿ることはそうでないルートを辿ることよりも容易である。また過去に目指した目的地名、目的地にある施設名、目的地に居住する人名などの目的地自体に関連する情報は、その目的地までのルート上にある交差点や施設の名称よりも明瞭に記憶される。したがって、ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートを経由するルートを誘導されることを、ナビゲーション装置が目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。目的地情報とは、目的地名、目的地にある施設名、目的地に居住する人名などの目的地自体に関連する情報のうち、ユーザが目的又は目標として意識する情報である。目的地自体に関連する情報であっても、緯度経度のようにユーザが目的又は目標として意識しない情報は目的地情報には含まれない。このような目的地情報は、ルート探索毎にユーザによって設定されるものを実際に通ったルートと関連付けてナビゲーション装置が蓄積してもよいし、地図データベースに予め格納されているものを過去のルートの最終到達点を検索鍵としてナビゲーション装置が都度抽出してもよい。現在の目的地とは、現在向かっているか、または将来に向かう、未だ到達していない地である。
【0006】
(2)前記過去ルート優先ルート生成手段は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
【0007】
(3)前記ナビゲーション装置は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記現在の目的地までの地図データ優先ルートを生成する地図データ優先ルート生成手段と、前記地図データ優先ルート又は前記過去ルート優先ルートのいずれかを設定する設定手段と、をさらに備えてもよい。前記誘導手段は、前記過去ルート優先ルートが設定された場合に、前記過去ルート優先ルートで経由している前記過去の走行ルートの前記目的地情報を報知してもよい。
例えば過去のルートを経由することでルート長が不合理に長くなるような場合には、あえて過去のルートを経由する価値は低い。したがって、過去のルートを経由する第一のルートのコストと、過去のルートと無関係に生成される第二ルートのコストとを比較した結果に応じてルートを設定することが望ましい。また、過去のルートを経由する第一のルートが設定される場合にのみ過去の目的地をユーザに報知する価値がある。尚、これらの過去ルート優先ルートと第二ルートのコスト比較をナビゲーション装置自体が実行し、その結果に応じていずれかのルートが設定されてもよいし、コスト比較結果をユーザに報知し、ユーザによっていずれかのルートを選択させ、ナビゲーション装置は選択結果に応じていずれかのルートを設定してもよい。
【0008】
(4)前記ナビゲーション装置は、前記過去のルートと前記過去ルート優先ルートの一致区間長が予め決められた所定の基準を満たしている前記過去ルート優先ルートを選抜する選抜手段をさらに備えてもよい。前記誘導手段は、選抜された前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知してもよい。
現在の目的地までのルートと過去のルートとの一致区間が短くなるほど、過去のルートの目的地情報の価値は低くなる。したがって、過去のルートと現在の目的地までのルートの一致区間長が、例えば予め決められた所定の距離より長いとか、現在の目的地までのルートの全長に対して予め決められた割合を越えているとか、そういった基準を満たしている場合にのみ過去のルートの目的地情報が報知されることが望ましい。
【0009】
(5)前記過去ルート優先ルート生成手段は、基点の近傍を通る前記過去のルートを抽出してもよい。
過去のルートが現在の目的地及び基点(現在地点又は出発地点)の両方の近傍を通っていれば、過去のルートと現在の目的地までのルートの一致区間長は長くなり、過去のルートの目的地情報の価値は高くなる。したがって、このような場合に限って過去のルートの目的地情報がユーザに報知されてもよい。
【0010】
(6)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記現在の目的地の近傍を通り通行回数の多い前記過去のルートを抽出してもよい。
通行回数の多いルートほど辿ることは容易である。したがって、現在の目的地の近傍を通る過去のルートが複数蓄積されている場合には、通行回数の多いルートが優先的に抽出されることが望ましい。すなわち、そのようなルートが選抜されることが望ましい。
【0011】
(7)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点までの中間ルートを基点から前記過去の目的地に向かって探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
ナビゲーション装置は、蓄積されている過去のルートを探索結果として利用することにより、探索時間を短縮することができる。
【0012】
(8)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点から前記現在の目的地までの中間ルートを探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
ナビゲーション装置は、蓄積されている過去のルートを探索結果として利用することにより、探索時間を短縮することができる。
【0013】
(9)上記目的を達成するためのナビゲーション方法は、過去のルートを蓄積し、現在の目的地を入力し、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成し、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する、ことを含む。
ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートで誘導されることを、目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。
【0014】
(10)上記目的を達成するためのナビゲーションプログラムは、過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、してコンピュータを機能させる。
ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートで誘導されることを、ナビゲーション装置が目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。
【0015】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。また、請求項に記載された方法の各動作の順序は、技術上の阻害要因がない限り、記載順に限定されるものではなく、どのような順番で実行されてもよく、また同時に実行されてもよい。また、本発明はプログラムを記録した記録媒体の発明としても特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を車載型のナビゲーション装置に適用する実施形態を次の順に説明する。
1.構成
2.作動
2−1.全体作動の概要
2−2.ルート探索
・全体概要
・過去ルート抽出
・基点近傍ルート探索
・目的地近傍ルート探索
2−3.ルート選抜
2−4.ルート設定
2−5.ルート誘導
3.他の実施形態
【0017】
1.ハードウェア構成
図1は本発明を適用した車載型のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置は自動車、二輪車等の車両に搭載される。
ディスプレイ10は、誘導情報や地図の表示に用いるFPD(Flat Panel Display)、HUD(Head Up Display)等で構成され、ディスプレイコントローラ(DSPC)12によって駆動される。
【0018】
スピーカ40は、誘導情報の音声出力に用いられ、スピーカコントローラ(SPC)38によって駆動される。スピーカ40はオーディオスピーカと共用してもよいし、ナビゲーション専用でもよい。
GPSユニット13は、衛星航法に用いる3個又は4個の衛星から送られてくる軌道データを受信し、自車の現在地の緯度経度データを出力するためのアンテナ、ASIC等で構成される。
【0019】
入力手段としての操作ユニット36は、目的地の入力等に用いるリモートコントローラ、操作パネル等で構成される。目的地はマイクによって音声入力し、音声入力された目的地を音声認識してもよい。
フラッシュメモリ16は、CPU14で実行されるブートプログラム等を格納しているEEPROMなどの不揮発性のメモリである。
CPU20は、ブートプログラム、ナビゲーションプログラム等を実行することによりナビゲーション装置1の各部を制御する。
インタフェース(IF)20は、ナビゲーション装置1内でのデータ転送を制御したり、信号形態の変換を行う。
【0020】
ハードディスク24には、地図データベース(地図DB)32、走行履歴データベース(走行履歴DB)30、UIモジュール26、ルート探索モジュール34、ルート選抜モジュール28等のナビゲーションプログラムを構成するソフトウェアが格納されている。ナビゲーションプログラムは、所定のサーバからのネットワークを介したダウンロード、図示しないリムーバブルメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からの読み出し等によってもナビゲーション装置1に格納することができる。尚、ナビゲーションプログラムは、フラッシュメモリ16等の他の不揮発性記憶媒体に格納してもよい。また、地図DB32をナビゲーション装置1のハードディスク24に格納しておくかわりに、サーバとの通信により地図情報を随時にRAM18に格納してもよいし、DVD等の他の不揮発性記憶媒体で保持してもよい。ハードディスクコントローラ(HDC)22は、ハードディスク24に格納されたデータを読み出したり、ハードディスク24にデータを書き込む。
【0021】
地図DB32は、グラフ形式で地図をデジタル表現したデータで構成されるデータベースであって、ルート探索、ルート誘導、自車位置のロケーティングなどに用いられる。地図DB32では、交差点、合流点、曲がり点、行き止まり点などはノードであり、道路はノードとノードとを結ぶリンクとして定義されている。また各リンクには距離、制限速度、レーン数、道路種別(有料道路、一般道など)、幅員などが属性情報として定義され、各ノードには緯度経度、交差点名、信号の有無などが属性情報として定義されている。また、各ノードに関連付けて近接施設名、居住者名等を登録することもできる。交差点名、近接施設名、居住者名等は、目的地情報としての利用が可能である。
【0022】
ルート探索モジュール34は、CPU20を過去ルート優先ルート生成手段及び地図データ優先ルート生成手段として機能させるプログラム部品である。ルート探索モジュール34は、地図DB32を参照して基点から目的地までリンクを辿りながらルートを探索する。基本的な探索アルゴリズムはダイクストラ法等のいかなるアルゴリズムも採用しうるし、交通情報センタやプローブカーとの通信によって取得可能な動的情報が探索に利用されてもよいし、交通情報センタによってルートが探索されてもよい。基点は、現在地に限らず任意の地点に設定することができる。例えば、ユーザによって家屋内で出発地が設定され、その出発地が基点に設定されてもよいし、停車中又は走行中の現在地が基点に設定されてもよい。
【0023】
ルート選抜モジュール28は、CPU20を選抜手段として機能させるプログラム部品である。ルート選抜モジュール28は、探索された各ルートのコストを、リンク長、右左折回数、道路種別、道路幅員、交通規制等に基づいて算定する。
ロケーティングモジュール29は、地図DB32を用いたマップマッチングによる補正を行いながら、GPSユニット13から入力される自車の現在地の緯度経度データに基づいて自車の道路網上の位置を算出する。尚、衛星航法と自律航法が併用されてもよい。
【0024】
走行履歴DB30は、ハードディスク24を蓄積手段として機能させるプログラム部品である。走行履歴DB30は、ロケーティングモジュール29によって追跡している自車の走行ルートのノード及びリンクを到達地点毎にリスト形式で蓄積する。到達地点は、ナビゲーション装置1の終了時の自車位置であってもよいし、ドライバーによって入力される目的地であってもよい。すなわち、目的地として明示的に入力されなかった過去到達地も暗示的な目的地であると考えられるため、過去目的地として扱うことができる。ナビゲーション装置1は、走行履歴DB30に蓄積されている過去目的地から、交差点名、近接施設名、居住者名等の過去ルートの目的地情報にアクセス可能である。目的地情報は走行履歴DB30自身によって保持されてもよいし、ハードディスク24の別領域に保持されてもよい。尚、誘導ルートと走行ルートはほぼ同じであると想定されることから、走行履歴DB30には、過去に実際に走行したルートではなく、過去に誘導ルートとして設定されたルートが蓄積されてもよい。
ユーザインタフェース(UI)モジュール26は、操作ユニット36を入力手段として機能させ、スピーカ40及びディスプレイ10を誘導手段として機能させ、CPU14を設定手段として機能させるプログラム部品である。UIモジュール26は、操作ユニット36を介して現在目的地を入力したり、誘導ルートを設定したり、誘導ルートに沿ってドライバーを誘導するための案内音声をスピーカ40から出力させたり、案内文字や案内記号や地図画像をディスプレイ10に表示させたりする。
【0025】
2.作動
2−1.全体作動の概要
図3は、ナビゲーション装置1によるルート誘導処理の全体の流れを大まかに示すフローチャートである。
ステップS10では、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて目的地(現在目的地)がナビゲーション装置1に入力される。
ステップS20では、CPU14は基点から現在目的地までのルートを探索する。ルート探索で優先される観点は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、走行履歴DB30に蓄積されている過去ルートを優先する過去ルート優先ルートの他に、有料道路を避けて通る一般道優先ルートや、なるべく有料道路を通る有料道優先ルートや、運転のし易さが優先されるその他のルートが探索されてもよい。過去ルート優先ルートでない、一般道優先ルート、有料道優先ルート等は、地図DB32に格納されているデータを利用して生成される地図データ優先ルートであって、ルート生成に過去ルートが利用されることはない。
【0026】
ステップS30では、CPU14は、探索された全ルートのなかから1つ以上の推奨ルートを選抜する。
ステップS40では、推奨ルートの一覧がディスプレイ10に表示され、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて誘導ルートが設定される。推奨ルートの一覧には、各ルート毎にルート長、所要時間などが表示される。
ステップS50では、ナビゲーション装置1は音声、画面表示などを用いて、誘導ルートに沿ってドライバーを誘導する。
【0027】
2−2.ルート探索
・全体概要
図4はルート探索処理の全体の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、ルート探索モジュール34をCPU14が実行することにより実行される。
ステップS200では、第二ルートとしての一般道優先ルートがダイクストラ法等を用いた探索によって生成される。一般道優先ルートの探索では、一般道のリンクのコストが相対的に低く見積もられ、有料道のリンクのコストが相対的に高く見積もられる。
【0028】
ステップS210では、第二ルートとしての有料道優先ルートがダイクストラ法等を用いた探索によって生成される。有料道優先ルートの探索では、一般道のリンクのコストが相対的に高く見積もられ、有料道のリンクのコストが相対的に低く見積もられる。
ステップS220からステップS250までの処理は第一ルートとしての過去ルート優先ルートを生成する処理である。
【0029】
ステップS220では、過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出される。
過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出されなかった場合、ルート探索処理は終了する(ステップS230)。
【0030】
過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出された場合、現在地等の基点から過去目的地までのルート探索(基点近傍ルート探索)が実行される(ステップS240)。
ステップS250では、過去ルートから現在目的地までのルート探索(目的地近傍ルート探索)が実行される。
【0031】
・過去ルート抽出
図5は過去ルート抽出処理の流れを示すフローチャートである。図6は走行履歴DB30に蓄積されている過去ルートと基点及び現在目的地との地理関係を例示する模式図である。
ステップS221では、現在地等の基点から現在目的地までの距離に応じて現在目的地を中心とする抽出範囲が設定される。基点から現在目的地までの距離が長くなるほど、現在目的地から離れた過去ルートを通る価値が高まる。具体的には例えば名古屋市を基点として青森市を目的地とする場合には、青森市から遠く離れた宇都宮市を目的地とした過去ルートであっても、宇都宮市を目指すようにユーザに報知することは有用である。このため、基点から現在目的地までの距離が長くなるほど、抽出範囲が広く設定され、現在目的地から離れた過去ルートまで抽出される。
【0032】
ステップS222では、抽出範囲内を通る過去ルートの検索が走行履歴DB30に対して実行される。具体的には、過去ルートを構成しているノード又は過去ルートの目的地が抽出範囲内において登録されている過去ルートが全て抽出される。目的地は道路上に例えば、過去ルートを構成しているノード又は過去ルートの目的地が抽出範囲内にある過去ルートA、C、D(図6参照)は抽出され、そうでない過去ルートBは抽出されない。尚、過去ルートの目的地は道路上にあってもよいし、道路外にあってもよい。道路上にない目的地は、緯度経度でその位置を走行履歴DB30に格納することができる。検索結果、1つ以上の過去ルートがヒットしなかった場合、過去ルートの抽出処理及び過去ルート優先ルートの生成処理が終了する。
【0033】
ステップS223、224、225では、抽出された過去ルートの選抜が実行される。
基点から過去ルートまでの最短距離が予め決められた所定範囲内、すなわち除外判定基準距離内にない場合、その過去ルートは除外される(ステップS223)。
ステップS224では、走行回数、基点から過去ルートまでの最短距離、過去ルートから目的地までの最短距離、過去ルートの道路種別などが総合的に考慮されることによって1つの過去ルートが選抜される。具体的には例えば、走行回数が多い過去ルートは走行回数が少ない過去ルートより利用価値が高く見積もられる。また例えば、基点から現在目的地までの距離が長い場合、高速道路を長く通っている過去ルートの利用価値が高く見積もられる。尚、2以上の過去ルートが選抜されてもよい。このような処理の結果、図6に示す例では、基点近傍を通過し現在目的地の近傍を目的地とした過去ルートDが選別され、基点からの最短距離が長い過去ルートC及び過去ルートAは除外される。
【0034】
・基点近傍ルート探索
図7は基点から過去目的地までのルート探索処理の流れを示すフローチャートである。この処理で参照される過去ルートは、上述した過去ルートの抽出処理で最終的に選抜されたものである。
ステップS241、S242では、基点から過去ルートの目的地に向かって、過去ルートのノード(通過点)に到るまでルート探索が実行される。具体的には例えば、累積コストが最小になるルートの終端ノードが過去ルートに登録されているノードに一致するまで、ダイクストラ法による探索が基点を始点として実行される。その結果例えば図8に示す基点から中間点1までの中間ルートが生成される。
【0035】
尚、基点から最短距離にある過去ルートのノード(通過点)までのルート探索が実行されてもよい。その結果生成されるルートは、例えば図9に示す基点から中間点1までの中間ルートである。この場合、過去ルートの目的地に向かってルート探索が実行される場合に比べると、全ルート長が長くなるという不利な点があるものの、過去のルートが相対的に長く経由されるルートが設定されるという利点がある。
ステップS243では、ステップS242で判定された探索の終了点で過去ルートとステップS241で生成されたルートとが接続される。その結果、例えば図8に示す基点から過去ルートの目的地(矢印の端点)までのルートが生成される。このように過去に探索した結果(すなわち、探索された誘導ルートが走行された結果)、蓄積された過去ルートを現在目的地までのルートに転用することにより、ルートの探索時間を短縮することができる。
【0036】
・目的地近傍ルート探索
図10は過去ルートから現在目的地までのルート探索処理の流れを示すフローチャートである。この処理で参照される過去ルートも、もちろん、上述した過去ルートの抽出処理で最終的に選抜されたものである。
ステップS251では、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かって、過去ルートの通過点に到るまでルート探索が実行される。過去ルートへの合流点は、基点近傍ルート探索処理で探索されたルートに接続された過去ルートのノードである。具体的には例えば、累積コストが最小になるルートの終端ノードが過去ルートに登録されているノードに一致するまで、ダイクストラ法による探索が現在目的地を始点にして実行される。その結果例えば図11に示す中間点2から現在目的地までの中間ルートが生成される。
【0037】
尚、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かうルート探索に代えて、現在目的地まで最短距離にある過去ルートの通過点から現在目的地に向けてルート探索が実行されてもよいし、現在目的地から過去目的地が相当近い場合、過去目的地から現在目的地へのルート探索が実行されてもよい。その結果生成されるルートは、例えば図12に示す過去目的地から現在目的地までのルートである。この場合、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かってルート探索が実行される場合に比べると、全ルート長が長くなるという不利な点があるものの、過去のルートが相対的に長く経由されるルートが設定されるという利点がある。
【0038】
ステップS253では、過去ルートの通過点から現在目的地まで生成されたルートと、基点近傍ルート探索処理で生成済の、基点から過去目的地までのルートとが、過去のその通過点で接続される。その結果例えば、基点から図11に示す中間点1までの中間ルートと、中間点1から図11に示す中間点2までの過去ルートと、中間点2から現在目的地までの中間ルートとが接続された過去ルート優先ルートが生成される。このように過去に探索した結果蓄積されている過去ルートを現在目的地のルートに転用することにより、ルートの探索時間を短縮することができる。
【0039】
2−3.ルート選抜
図13は推奨ルート選抜処理の流れを示すフローチャートである。図13に示す処理はCPU14がルート選抜モジュールを実行することによって実行される。
ステップS310では、生成された過去ルート優先ルートとその過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの一致区間長が予め決められた基準を満たしているか否かに基づいて過去ルート優先ルートの選抜が実行される。具体的には過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの区間長が予め決められた距離よりも短い場合や、過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの区間長の過去ルート優先ルートの全長に対する割合が予め決められた値よりも小さい場合には、過去ルート優先ルートは推奨ルートから除外される。その結果例えば図14に示す過去ルート優先ルートCが推奨ルートから除外される。
【0040】
ステップS320では、残っている生成済のルートのうち、コストが突出して高いルートが推奨ルートから除外される。その結果例えばルート長が突出して長い過去ルート優先ルートBが推奨ルートから除外され、ユーザの選択対象となる推奨ルートは、過去ルート優先ルートAと第二ルート(有料道優先ルート等の過去ルート優先ルートでないルート)となる。
【0041】
2−4.ルート設定
ここでは、選抜された推奨ルートのいずれか1つが誘導ルートとして設定される。過去ルート優先ルート、一般道優先ルート、有料道優先ルート、その他のルートの一覧が選択候補としてディスプレイ10に表示され、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて誘導ルートが設定される。このとき、ディスプレイ10やスピーカ40によって、過去ルート優先ルートについて「○○に行ったときに通ったルートを通ります。」などの文字表示や音声案内がされてもよい。「○○」は前述の目的地情報である。またユーザによる操作を介入させず、CPU14が各ルートのコストから自動的に誘導ルートを設定することもできる。この場合、過去ルート優先ルートについてはコストに1より小さい係数を掛けることにより、誘導ルートとして設定されやすくする。
【0042】
2−5.ルート誘導
図15はルート誘導処理の流れを示すフローチャートである。図15に示す処理は、CPU14がUIモジュールを実行することによって実行される。
ステップS510では、誘導ルートが過去ルート優先ルートであるか否かが判定される。
誘導ルートが過去ルート優先ルートでない場合、過去目的地情報を用いないルート誘導が実行される(ステップS530)。具体的には例えば、右左折すべき交差点でその都度進行方向を音声又は表示によってユーザに報知するルート誘導が実行される。
【0043】
誘導ルートが過去ルート優先ルートである場合、過去目的地情報を用いたルート誘導が実行される(ステップS530)。
図1は過去ルート優先ルートが誘導ルートとして設定されている場合にナビゲーション装置1によって出力される文字表示又は誘導音声の内容と、それらの出力タイミングを示す模式図である。
【0044】
過去目的地情報を用いたルート誘導では、例えばユーザによって過去ルート優先ルートが選択された直後に、基点である出発地において、「目的地へは、○○へ行った時に通った道を通るように案内します。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。「○○」は目的地情報である。目的地情報は、前述したように、地図DB32自体や過去ルートに関連付けてハードディスク24の別領域に格納されており、過去ルートの到達点を参照に用いてアクセス可能である。また例えば、誘導ルートの走行中において、過去ルートに合流した直後に、「この先△△まで○○を目指してください。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。「△△」は、過去ルートから新ルートに分岐する地点の例えば交差点名や近接施設名である。このように目的地情報がユーザに報知されることによって、過去ルート上ではナビゲーション装置1による誘導に対するユーザの注意負担が軽減される。さらに、例えば過去ルートから新ルートに分岐する地点の直前又は直後において、「○○へのルートを外れますのでこの先の案内に気を付けてください。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。このような誘導がされることをユーザが事前に認識していれば、安心してユーザは過去の目的地を目指して走行することができる。
【0045】
3.他の実施形態
尚、本発明は、車載型に限らず、携帯型のナビゲーション装置等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図5】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図7】本発明の実施の形態に係るフローチャート。中間目的地→過去ルート目的地S243。その他のFCも条件分岐を追加
【図8】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図9】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図10】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図12】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図13】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図14】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図15】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【符号の説明】
【0047】
1:ナビゲーション装置、10:ディスプレイ(誘導手段)、24:ハードディスク(蓄積手段)、26:UIモジュール(入力手段、誘導手段、設定手段)、28:ルート選抜モジュール(選抜手段)、34:ルート探索モジュール(過去ルート優先ルート生成手段、地図データ優先ルート生成手段)、36:操作ユニット(入力手段)、40:スピーカ(誘導手段)、30:走行履歴DB、32:地図DB
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムに関し、特にルート誘導に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までのルートを地図DBを用いて探索し、探索したルートに沿ってドライバーを誘導するナビゲーション装置が知られている。例えば特許文献1には、走行回数の多い道路のコストを低く見積もることにより、ドライバーが通り慣れたルートを優先的に誘導ルートとして設定するナビゲーション装置が開示されている。
しかし、ドライバーが通り慣れたルートに沿って誘導されたとしても、誘導されているルートが現在の目的地とどのような関係にあるのかをユーザは認識することはできない。したがって、このような場合、誘導に従って走行する、慣れた道路におけるドライバーの運転負担を軽減することはできるものの、たとえ通り慣れた道路の走行中であっても、ナビゲーション装置から出力される誘導情報には常に注意を向けておく必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−181574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を解決するために創作されたものであって、ナビゲーション装置による誘導に対するドライバーの注意負担を軽減できるナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのナビゲーション装置は、過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、を備える。
過去に行ったことのある目的地までのルートを辿ることはそうでないルートを辿ることよりも容易である。また過去に目指した目的地名、目的地にある施設名、目的地に居住する人名などの目的地自体に関連する情報は、その目的地までのルート上にある交差点や施設の名称よりも明瞭に記憶される。したがって、ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートを経由するルートを誘導されることを、ナビゲーション装置が目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。目的地情報とは、目的地名、目的地にある施設名、目的地に居住する人名などの目的地自体に関連する情報のうち、ユーザが目的又は目標として意識する情報である。目的地自体に関連する情報であっても、緯度経度のようにユーザが目的又は目標として意識しない情報は目的地情報には含まれない。このような目的地情報は、ルート探索毎にユーザによって設定されるものを実際に通ったルートと関連付けてナビゲーション装置が蓄積してもよいし、地図データベースに予め格納されているものを過去のルートの最終到達点を検索鍵としてナビゲーション装置が都度抽出してもよい。現在の目的地とは、現在向かっているか、または将来に向かう、未だ到達していない地である。
【0006】
(2)前記過去ルート優先ルート生成手段は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
【0007】
(3)前記ナビゲーション装置は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記現在の目的地までの地図データ優先ルートを生成する地図データ優先ルート生成手段と、前記地図データ優先ルート又は前記過去ルート優先ルートのいずれかを設定する設定手段と、をさらに備えてもよい。前記誘導手段は、前記過去ルート優先ルートが設定された場合に、前記過去ルート優先ルートで経由している前記過去の走行ルートの前記目的地情報を報知してもよい。
例えば過去のルートを経由することでルート長が不合理に長くなるような場合には、あえて過去のルートを経由する価値は低い。したがって、過去のルートを経由する第一のルートのコストと、過去のルートと無関係に生成される第二ルートのコストとを比較した結果に応じてルートを設定することが望ましい。また、過去のルートを経由する第一のルートが設定される場合にのみ過去の目的地をユーザに報知する価値がある。尚、これらの過去ルート優先ルートと第二ルートのコスト比較をナビゲーション装置自体が実行し、その結果に応じていずれかのルートが設定されてもよいし、コスト比較結果をユーザに報知し、ユーザによっていずれかのルートを選択させ、ナビゲーション装置は選択結果に応じていずれかのルートを設定してもよい。
【0008】
(4)前記ナビゲーション装置は、前記過去のルートと前記過去ルート優先ルートの一致区間長が予め決められた所定の基準を満たしている前記過去ルート優先ルートを選抜する選抜手段をさらに備えてもよい。前記誘導手段は、選抜された前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知してもよい。
現在の目的地までのルートと過去のルートとの一致区間が短くなるほど、過去のルートの目的地情報の価値は低くなる。したがって、過去のルートと現在の目的地までのルートの一致区間長が、例えば予め決められた所定の距離より長いとか、現在の目的地までのルートの全長に対して予め決められた割合を越えているとか、そういった基準を満たしている場合にのみ過去のルートの目的地情報が報知されることが望ましい。
【0009】
(5)前記過去ルート優先ルート生成手段は、基点の近傍を通る前記過去のルートを抽出してもよい。
過去のルートが現在の目的地及び基点(現在地点又は出発地点)の両方の近傍を通っていれば、過去のルートと現在の目的地までのルートの一致区間長は長くなり、過去のルートの目的地情報の価値は高くなる。したがって、このような場合に限って過去のルートの目的地情報がユーザに報知されてもよい。
【0010】
(6)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記現在の目的地の近傍を通り通行回数の多い前記過去のルートを抽出してもよい。
通行回数の多いルートほど辿ることは容易である。したがって、現在の目的地の近傍を通る過去のルートが複数蓄積されている場合には、通行回数の多いルートが優先的に抽出されることが望ましい。すなわち、そのようなルートが選抜されることが望ましい。
【0011】
(7)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点までの中間ルートを基点から前記過去の目的地に向かって探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
ナビゲーション装置は、蓄積されている過去のルートを探索結果として利用することにより、探索時間を短縮することができる。
【0012】
(8)前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点から前記現在の目的地までの中間ルートを探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成してもよい。
ナビゲーション装置は、蓄積されている過去のルートを探索結果として利用することにより、探索時間を短縮することができる。
【0013】
(9)上記目的を達成するためのナビゲーション方法は、過去のルートを蓄積し、現在の目的地を入力し、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成し、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する、ことを含む。
ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートで誘導されることを、目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。
【0014】
(10)上記目的を達成するためのナビゲーションプログラムは、過去のルートを蓄積する蓄積手段と、現在の目的地を入力する入力手段と、前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、してコンピュータを機能させる。
ユーザが過去に行ったことのある目的地までのルートで誘導されることを、ナビゲーション装置が目的地情報を報知することによってユーザに認識させることにより、ナビゲーション装置の誘導に対するユーザの注意負担を軽減することができる。
【0015】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。また、請求項に記載された方法の各動作の順序は、技術上の阻害要因がない限り、記載順に限定されるものではなく、どのような順番で実行されてもよく、また同時に実行されてもよい。また、本発明はプログラムを記録した記録媒体の発明としても特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を車載型のナビゲーション装置に適用する実施形態を次の順に説明する。
1.構成
2.作動
2−1.全体作動の概要
2−2.ルート探索
・全体概要
・過去ルート抽出
・基点近傍ルート探索
・目的地近傍ルート探索
2−3.ルート選抜
2−4.ルート設定
2−5.ルート誘導
3.他の実施形態
【0017】
1.ハードウェア構成
図1は本発明を適用した車載型のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置は自動車、二輪車等の車両に搭載される。
ディスプレイ10は、誘導情報や地図の表示に用いるFPD(Flat Panel Display)、HUD(Head Up Display)等で構成され、ディスプレイコントローラ(DSPC)12によって駆動される。
【0018】
スピーカ40は、誘導情報の音声出力に用いられ、スピーカコントローラ(SPC)38によって駆動される。スピーカ40はオーディオスピーカと共用してもよいし、ナビゲーション専用でもよい。
GPSユニット13は、衛星航法に用いる3個又は4個の衛星から送られてくる軌道データを受信し、自車の現在地の緯度経度データを出力するためのアンテナ、ASIC等で構成される。
【0019】
入力手段としての操作ユニット36は、目的地の入力等に用いるリモートコントローラ、操作パネル等で構成される。目的地はマイクによって音声入力し、音声入力された目的地を音声認識してもよい。
フラッシュメモリ16は、CPU14で実行されるブートプログラム等を格納しているEEPROMなどの不揮発性のメモリである。
CPU20は、ブートプログラム、ナビゲーションプログラム等を実行することによりナビゲーション装置1の各部を制御する。
インタフェース(IF)20は、ナビゲーション装置1内でのデータ転送を制御したり、信号形態の変換を行う。
【0020】
ハードディスク24には、地図データベース(地図DB)32、走行履歴データベース(走行履歴DB)30、UIモジュール26、ルート探索モジュール34、ルート選抜モジュール28等のナビゲーションプログラムを構成するソフトウェアが格納されている。ナビゲーションプログラムは、所定のサーバからのネットワークを介したダウンロード、図示しないリムーバブルメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からの読み出し等によってもナビゲーション装置1に格納することができる。尚、ナビゲーションプログラムは、フラッシュメモリ16等の他の不揮発性記憶媒体に格納してもよい。また、地図DB32をナビゲーション装置1のハードディスク24に格納しておくかわりに、サーバとの通信により地図情報を随時にRAM18に格納してもよいし、DVD等の他の不揮発性記憶媒体で保持してもよい。ハードディスクコントローラ(HDC)22は、ハードディスク24に格納されたデータを読み出したり、ハードディスク24にデータを書き込む。
【0021】
地図DB32は、グラフ形式で地図をデジタル表現したデータで構成されるデータベースであって、ルート探索、ルート誘導、自車位置のロケーティングなどに用いられる。地図DB32では、交差点、合流点、曲がり点、行き止まり点などはノードであり、道路はノードとノードとを結ぶリンクとして定義されている。また各リンクには距離、制限速度、レーン数、道路種別(有料道路、一般道など)、幅員などが属性情報として定義され、各ノードには緯度経度、交差点名、信号の有無などが属性情報として定義されている。また、各ノードに関連付けて近接施設名、居住者名等を登録することもできる。交差点名、近接施設名、居住者名等は、目的地情報としての利用が可能である。
【0022】
ルート探索モジュール34は、CPU20を過去ルート優先ルート生成手段及び地図データ優先ルート生成手段として機能させるプログラム部品である。ルート探索モジュール34は、地図DB32を参照して基点から目的地までリンクを辿りながらルートを探索する。基本的な探索アルゴリズムはダイクストラ法等のいかなるアルゴリズムも採用しうるし、交通情報センタやプローブカーとの通信によって取得可能な動的情報が探索に利用されてもよいし、交通情報センタによってルートが探索されてもよい。基点は、現在地に限らず任意の地点に設定することができる。例えば、ユーザによって家屋内で出発地が設定され、その出発地が基点に設定されてもよいし、停車中又は走行中の現在地が基点に設定されてもよい。
【0023】
ルート選抜モジュール28は、CPU20を選抜手段として機能させるプログラム部品である。ルート選抜モジュール28は、探索された各ルートのコストを、リンク長、右左折回数、道路種別、道路幅員、交通規制等に基づいて算定する。
ロケーティングモジュール29は、地図DB32を用いたマップマッチングによる補正を行いながら、GPSユニット13から入力される自車の現在地の緯度経度データに基づいて自車の道路網上の位置を算出する。尚、衛星航法と自律航法が併用されてもよい。
【0024】
走行履歴DB30は、ハードディスク24を蓄積手段として機能させるプログラム部品である。走行履歴DB30は、ロケーティングモジュール29によって追跡している自車の走行ルートのノード及びリンクを到達地点毎にリスト形式で蓄積する。到達地点は、ナビゲーション装置1の終了時の自車位置であってもよいし、ドライバーによって入力される目的地であってもよい。すなわち、目的地として明示的に入力されなかった過去到達地も暗示的な目的地であると考えられるため、過去目的地として扱うことができる。ナビゲーション装置1は、走行履歴DB30に蓄積されている過去目的地から、交差点名、近接施設名、居住者名等の過去ルートの目的地情報にアクセス可能である。目的地情報は走行履歴DB30自身によって保持されてもよいし、ハードディスク24の別領域に保持されてもよい。尚、誘導ルートと走行ルートはほぼ同じであると想定されることから、走行履歴DB30には、過去に実際に走行したルートではなく、過去に誘導ルートとして設定されたルートが蓄積されてもよい。
ユーザインタフェース(UI)モジュール26は、操作ユニット36を入力手段として機能させ、スピーカ40及びディスプレイ10を誘導手段として機能させ、CPU14を設定手段として機能させるプログラム部品である。UIモジュール26は、操作ユニット36を介して現在目的地を入力したり、誘導ルートを設定したり、誘導ルートに沿ってドライバーを誘導するための案内音声をスピーカ40から出力させたり、案内文字や案内記号や地図画像をディスプレイ10に表示させたりする。
【0025】
2.作動
2−1.全体作動の概要
図3は、ナビゲーション装置1によるルート誘導処理の全体の流れを大まかに示すフローチャートである。
ステップS10では、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて目的地(現在目的地)がナビゲーション装置1に入力される。
ステップS20では、CPU14は基点から現在目的地までのルートを探索する。ルート探索で優先される観点は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、走行履歴DB30に蓄積されている過去ルートを優先する過去ルート優先ルートの他に、有料道路を避けて通る一般道優先ルートや、なるべく有料道路を通る有料道優先ルートや、運転のし易さが優先されるその他のルートが探索されてもよい。過去ルート優先ルートでない、一般道優先ルート、有料道優先ルート等は、地図DB32に格納されているデータを利用して生成される地図データ優先ルートであって、ルート生成に過去ルートが利用されることはない。
【0026】
ステップS30では、CPU14は、探索された全ルートのなかから1つ以上の推奨ルートを選抜する。
ステップS40では、推奨ルートの一覧がディスプレイ10に表示され、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて誘導ルートが設定される。推奨ルートの一覧には、各ルート毎にルート長、所要時間などが表示される。
ステップS50では、ナビゲーション装置1は音声、画面表示などを用いて、誘導ルートに沿ってドライバーを誘導する。
【0027】
2−2.ルート探索
・全体概要
図4はルート探索処理の全体の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、ルート探索モジュール34をCPU14が実行することにより実行される。
ステップS200では、第二ルートとしての一般道優先ルートがダイクストラ法等を用いた探索によって生成される。一般道優先ルートの探索では、一般道のリンクのコストが相対的に低く見積もられ、有料道のリンクのコストが相対的に高く見積もられる。
【0028】
ステップS210では、第二ルートとしての有料道優先ルートがダイクストラ法等を用いた探索によって生成される。有料道優先ルートの探索では、一般道のリンクのコストが相対的に高く見積もられ、有料道のリンクのコストが相対的に低く見積もられる。
ステップS220からステップS250までの処理は第一ルートとしての過去ルート優先ルートを生成する処理である。
【0029】
ステップS220では、過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出される。
過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出されなかった場合、ルート探索処理は終了する(ステップS230)。
【0030】
過去ルート優先ルートの生成に用いることの可能な過去ルートが走行履歴DB30から抽出された場合、現在地等の基点から過去目的地までのルート探索(基点近傍ルート探索)が実行される(ステップS240)。
ステップS250では、過去ルートから現在目的地までのルート探索(目的地近傍ルート探索)が実行される。
【0031】
・過去ルート抽出
図5は過去ルート抽出処理の流れを示すフローチャートである。図6は走行履歴DB30に蓄積されている過去ルートと基点及び現在目的地との地理関係を例示する模式図である。
ステップS221では、現在地等の基点から現在目的地までの距離に応じて現在目的地を中心とする抽出範囲が設定される。基点から現在目的地までの距離が長くなるほど、現在目的地から離れた過去ルートを通る価値が高まる。具体的には例えば名古屋市を基点として青森市を目的地とする場合には、青森市から遠く離れた宇都宮市を目的地とした過去ルートであっても、宇都宮市を目指すようにユーザに報知することは有用である。このため、基点から現在目的地までの距離が長くなるほど、抽出範囲が広く設定され、現在目的地から離れた過去ルートまで抽出される。
【0032】
ステップS222では、抽出範囲内を通る過去ルートの検索が走行履歴DB30に対して実行される。具体的には、過去ルートを構成しているノード又は過去ルートの目的地が抽出範囲内において登録されている過去ルートが全て抽出される。目的地は道路上に例えば、過去ルートを構成しているノード又は過去ルートの目的地が抽出範囲内にある過去ルートA、C、D(図6参照)は抽出され、そうでない過去ルートBは抽出されない。尚、過去ルートの目的地は道路上にあってもよいし、道路外にあってもよい。道路上にない目的地は、緯度経度でその位置を走行履歴DB30に格納することができる。検索結果、1つ以上の過去ルートがヒットしなかった場合、過去ルートの抽出処理及び過去ルート優先ルートの生成処理が終了する。
【0033】
ステップS223、224、225では、抽出された過去ルートの選抜が実行される。
基点から過去ルートまでの最短距離が予め決められた所定範囲内、すなわち除外判定基準距離内にない場合、その過去ルートは除外される(ステップS223)。
ステップS224では、走行回数、基点から過去ルートまでの最短距離、過去ルートから目的地までの最短距離、過去ルートの道路種別などが総合的に考慮されることによって1つの過去ルートが選抜される。具体的には例えば、走行回数が多い過去ルートは走行回数が少ない過去ルートより利用価値が高く見積もられる。また例えば、基点から現在目的地までの距離が長い場合、高速道路を長く通っている過去ルートの利用価値が高く見積もられる。尚、2以上の過去ルートが選抜されてもよい。このような処理の結果、図6に示す例では、基点近傍を通過し現在目的地の近傍を目的地とした過去ルートDが選別され、基点からの最短距離が長い過去ルートC及び過去ルートAは除外される。
【0034】
・基点近傍ルート探索
図7は基点から過去目的地までのルート探索処理の流れを示すフローチャートである。この処理で参照される過去ルートは、上述した過去ルートの抽出処理で最終的に選抜されたものである。
ステップS241、S242では、基点から過去ルートの目的地に向かって、過去ルートのノード(通過点)に到るまでルート探索が実行される。具体的には例えば、累積コストが最小になるルートの終端ノードが過去ルートに登録されているノードに一致するまで、ダイクストラ法による探索が基点を始点として実行される。その結果例えば図8に示す基点から中間点1までの中間ルートが生成される。
【0035】
尚、基点から最短距離にある過去ルートのノード(通過点)までのルート探索が実行されてもよい。その結果生成されるルートは、例えば図9に示す基点から中間点1までの中間ルートである。この場合、過去ルートの目的地に向かってルート探索が実行される場合に比べると、全ルート長が長くなるという不利な点があるものの、過去のルートが相対的に長く経由されるルートが設定されるという利点がある。
ステップS243では、ステップS242で判定された探索の終了点で過去ルートとステップS241で生成されたルートとが接続される。その結果、例えば図8に示す基点から過去ルートの目的地(矢印の端点)までのルートが生成される。このように過去に探索した結果(すなわち、探索された誘導ルートが走行された結果)、蓄積された過去ルートを現在目的地までのルートに転用することにより、ルートの探索時間を短縮することができる。
【0036】
・目的地近傍ルート探索
図10は過去ルートから現在目的地までのルート探索処理の流れを示すフローチャートである。この処理で参照される過去ルートも、もちろん、上述した過去ルートの抽出処理で最終的に選抜されたものである。
ステップS251では、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かって、過去ルートの通過点に到るまでルート探索が実行される。過去ルートへの合流点は、基点近傍ルート探索処理で探索されたルートに接続された過去ルートのノードである。具体的には例えば、累積コストが最小になるルートの終端ノードが過去ルートに登録されているノードに一致するまで、ダイクストラ法による探索が現在目的地を始点にして実行される。その結果例えば図11に示す中間点2から現在目的地までの中間ルートが生成される。
【0037】
尚、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かうルート探索に代えて、現在目的地まで最短距離にある過去ルートの通過点から現在目的地に向けてルート探索が実行されてもよいし、現在目的地から過去目的地が相当近い場合、過去目的地から現在目的地へのルート探索が実行されてもよい。その結果生成されるルートは、例えば図12に示す過去目的地から現在目的地までのルートである。この場合、現在目的地から過去ルートへの合流点に向かってルート探索が実行される場合に比べると、全ルート長が長くなるという不利な点があるものの、過去のルートが相対的に長く経由されるルートが設定されるという利点がある。
【0038】
ステップS253では、過去ルートの通過点から現在目的地まで生成されたルートと、基点近傍ルート探索処理で生成済の、基点から過去目的地までのルートとが、過去のその通過点で接続される。その結果例えば、基点から図11に示す中間点1までの中間ルートと、中間点1から図11に示す中間点2までの過去ルートと、中間点2から現在目的地までの中間ルートとが接続された過去ルート優先ルートが生成される。このように過去に探索した結果蓄積されている過去ルートを現在目的地のルートに転用することにより、ルートの探索時間を短縮することができる。
【0039】
2−3.ルート選抜
図13は推奨ルート選抜処理の流れを示すフローチャートである。図13に示す処理はCPU14がルート選抜モジュールを実行することによって実行される。
ステップS310では、生成された過去ルート優先ルートとその過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの一致区間長が予め決められた基準を満たしているか否かに基づいて過去ルート優先ルートの選抜が実行される。具体的には過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの区間長が予め決められた距離よりも短い場合や、過去ルート優先ルートが経由している過去ルートの区間長の過去ルート優先ルートの全長に対する割合が予め決められた値よりも小さい場合には、過去ルート優先ルートは推奨ルートから除外される。その結果例えば図14に示す過去ルート優先ルートCが推奨ルートから除外される。
【0040】
ステップS320では、残っている生成済のルートのうち、コストが突出して高いルートが推奨ルートから除外される。その結果例えばルート長が突出して長い過去ルート優先ルートBが推奨ルートから除外され、ユーザの選択対象となる推奨ルートは、過去ルート優先ルートAと第二ルート(有料道優先ルート等の過去ルート優先ルートでないルート)となる。
【0041】
2−4.ルート設定
ここでは、選抜された推奨ルートのいずれか1つが誘導ルートとして設定される。過去ルート優先ルート、一般道優先ルート、有料道優先ルート、その他のルートの一覧が選択候補としてディスプレイ10に表示され、ユーザによる操作ユニット36の操作に応じて誘導ルートが設定される。このとき、ディスプレイ10やスピーカ40によって、過去ルート優先ルートについて「○○に行ったときに通ったルートを通ります。」などの文字表示や音声案内がされてもよい。「○○」は前述の目的地情報である。またユーザによる操作を介入させず、CPU14が各ルートのコストから自動的に誘導ルートを設定することもできる。この場合、過去ルート優先ルートについてはコストに1より小さい係数を掛けることにより、誘導ルートとして設定されやすくする。
【0042】
2−5.ルート誘導
図15はルート誘導処理の流れを示すフローチャートである。図15に示す処理は、CPU14がUIモジュールを実行することによって実行される。
ステップS510では、誘導ルートが過去ルート優先ルートであるか否かが判定される。
誘導ルートが過去ルート優先ルートでない場合、過去目的地情報を用いないルート誘導が実行される(ステップS530)。具体的には例えば、右左折すべき交差点でその都度進行方向を音声又は表示によってユーザに報知するルート誘導が実行される。
【0043】
誘導ルートが過去ルート優先ルートである場合、過去目的地情報を用いたルート誘導が実行される(ステップS530)。
図1は過去ルート優先ルートが誘導ルートとして設定されている場合にナビゲーション装置1によって出力される文字表示又は誘導音声の内容と、それらの出力タイミングを示す模式図である。
【0044】
過去目的地情報を用いたルート誘導では、例えばユーザによって過去ルート優先ルートが選択された直後に、基点である出発地において、「目的地へは、○○へ行った時に通った道を通るように案内します。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。「○○」は目的地情報である。目的地情報は、前述したように、地図DB32自体や過去ルートに関連付けてハードディスク24の別領域に格納されており、過去ルートの到達点を参照に用いてアクセス可能である。また例えば、誘導ルートの走行中において、過去ルートに合流した直後に、「この先△△まで○○を目指してください。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。「△△」は、過去ルートから新ルートに分岐する地点の例えば交差点名や近接施設名である。このように目的地情報がユーザに報知されることによって、過去ルート上ではナビゲーション装置1による誘導に対するユーザの注意負担が軽減される。さらに、例えば過去ルートから新ルートに分岐する地点の直前又は直後において、「○○へのルートを外れますのでこの先の案内に気を付けてください。」という音声がスピーカ40から出力されたり、その文字がディスプレイ10に表示される。このような誘導がされることをユーザが事前に認識していれば、安心してユーザは過去の目的地を目指して走行することができる。
【0045】
3.他の実施形態
尚、本発明は、車載型に限らず、携帯型のナビゲーション装置等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図5】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図7】本発明の実施の形態に係るフローチャート。中間目的地→過去ルート目的地S243。その他のFCも条件分岐を追加
【図8】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図9】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図10】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図11】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図12】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図13】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【図14】本発明の実施の形態に係る模式図。
【図15】本発明の実施の形態に係るフローチャート。
【符号の説明】
【0047】
1:ナビゲーション装置、10:ディスプレイ(誘導手段)、24:ハードディスク(蓄積手段)、26:UIモジュール(入力手段、誘導手段、設定手段)、28:ルート選抜モジュール(選抜手段)、34:ルート探索モジュール(過去ルート優先ルート生成手段、地図データ優先ルート生成手段)、36:操作ユニット(入力手段)、40:スピーカ(誘導手段)、30:走行履歴DB、32:地図DB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去のルートを蓄積する蓄積手段と、
現在の目的地を入力する入力手段と、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
地図データを取得し、前記地図データを利用して前記現在の目的地までの地図データ優先ルートを生成する地図データ優先ルート生成手段と、
前記地図データ優先ルート又は前記過去ルート優先ルートのいずれかを設定する設定手段と、をさらに備え、
前記誘導手段は、前記過去ルート優先ルートが設定された場合に、前記過去ルート優先ルートで経由している前記過去の走行ルートの前記目的地情報を報知する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記過去のルートと前記過去ルート優先ルートの一致区間長が予め決められた所定の基準を満たしている前記過去ルート優先ルートを選抜する選抜手段をさらに備え、
前記誘導手段は、選抜された前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの前記目的地情報を報知する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、基点の近傍を通る前記過去のルートを抽出する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記現在の目的地の近傍を通り通行回数の多い前記過去のルートを抽出する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点までの中間ルートを基点から前記過去のルートの目的地に向かって探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点から前記現在の目的地までの中間ルートを探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
過去のルートを蓄積し、
現在の目的地を入力し、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成し、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する、
ことを含むナビゲーション方法。
【請求項10】
過去のルートを蓄積する蓄積手段と、
現在の目的地を入力する入力手段と、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、
してコンピュータを機能させるナビゲーションプログラム。
【請求項1】
過去のルートを蓄積する蓄積手段と、
現在の目的地を入力する入力手段と、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、地図データを取得し、前記地図データを利用して前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
地図データを取得し、前記地図データを利用して前記現在の目的地までの地図データ優先ルートを生成する地図データ優先ルート生成手段と、
前記地図データ優先ルート又は前記過去ルート優先ルートのいずれかを設定する設定手段と、をさらに備え、
前記誘導手段は、前記過去ルート優先ルートが設定された場合に、前記過去ルート優先ルートで経由している前記過去の走行ルートの前記目的地情報を報知する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記過去のルートと前記過去ルート優先ルートの一致区間長が予め決められた所定の基準を満たしている前記過去ルート優先ルートを選抜する選抜手段をさらに備え、
前記誘導手段は、選抜された前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの前記目的地情報を報知する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、基点の近傍を通る前記過去のルートを抽出する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記現在の目的地の近傍を通り通行回数の多い前記過去のルートを抽出する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点までの中間ルートを基点から前記過去のルートの目的地に向かって探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記過去ルート優先ルート生成手段は、前記過去のルート上にある中間点から前記現在の目的地までの中間ルートを探索し、前記過去のルートと前記中間ルートとを前記中間点で接続することにより、前記過去ルート優先ルートを生成する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
過去のルートを蓄積し、
現在の目的地を入力し、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成し、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する、
ことを含むナビゲーション方法。
【請求項10】
過去のルートを蓄積する蓄積手段と、
現在の目的地を入力する入力手段と、
前記現在の目的地の近傍を通る前記過去のルートを抽出し、抽出された前記過去のルートを経由する過去ルート優先ルートを生成する過去ルート優先ルート生成手段と、
前記過去ルート優先ルートに沿って誘導するために、抽出された前記過去のルートの目的地情報を報知する誘導手段と、
してコンピュータを機能させるナビゲーションプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−107924(P2007−107924A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296714(P2005−296714)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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