説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の回避領域設定方法及びプログラム

【課題】通過したくない回避領域を簡単な操作で設定することが可能となるナビゲーション装置、ナビゲーション装置の回避領域設定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部14は、入力部12からの地図のスクロール操作がされた場合には、地図上の任意の地点で回避したいエリアを設定することができる回避領域設定スイッチ23を表示部13の表示画面に表示する。そして、回避領域設定スイッチ23が操作された場合には、地図上の基準となる座標に相当する位置を囲むように矩形領域24を表示すると共に、この矩形領域24の範囲を変更可能な各範囲変更スイッチ26A、26Bと、決定スイッチ25を表示する。そして、決定スイッチ25が操作された場合には、制御部14は、矩形領域24により囲まれる範囲を回避領域として回避領域記憶部16に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の回避領域設定方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが通過したくない回避領域を設定した場合には、この回避領域を通過しないように目的地までの経路探索を行う技術に関して種々提案されている。
例えば、回避したい領域を2次元の平面で示されるエリアで指定しておき、指定された回避エリアを含まないように経路探索する回避領域指定方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この回避領域指定方法においては次のステップを経て回避領域の指定が行われる。即ち、ユーザは、第1ステップで、回避領域の設定を行う指示を入力し、第2ステップで、エリアで指定を行うか否かを入力し、第3ステップで、地図上で指定するか否かを入カし、第4ステップで、画面表示される地図上において回避領域の中心となるポイントを入カし、第5ステップで、このポイントから所定の距離を入力して、更に、第6ステップで、入力された距離を半径としてポイントを中心とした円によって囲まれるエリアを回避領域として登録する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−243475号公報(段落(0016)〜(0055)、図1〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された回避領域指定方法では、上記の通り、回避エリアを指定する際に多数のステップを経る必要があり、ユーザによる操作が煩雑となっていた。そのため、例えば、ユーザは、さっき通った領域を通過したくない回避領域として指定したいと思っても操作が煩雑であるため、短時間のうちに登録できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、通過したくない回避領域を簡単な操作で設定することが可能となるナビゲーション装置、ナビゲーション装置の回避領域設定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報に基づいて地図を表示する表示手段と、現在地の座標を取得する現在地取得手段と、前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定手段と、前記地図判定手段を介して前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置するように制御する制御手段と、入力操作を行う入力手段と、前記入力手段を介して前記回避設定スイッチの入力操作が行われた場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記入力手段を介して前記表示手段に表示される地図の範囲を移動させるための地図スクロールの入力操作が行われて、該表示手段に表示される地図の範囲が移動した場合に、前記地図判定手段は、前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、表示手段に表示される地図の範囲を移動させる地図スクロールの要求があったか否かを判断する判断手段と、前記判断手段を介して前記地図スクロールの要求があったと判断した場合に、前記表示手段に表示される地図上に回避設定スイッチを配置するように制御する制御手段と、前記回避設定スイッチが操作された場合に、回避する回避領域を設定する回避領域設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係るナビゲーション装置の回避領域設定方法は、地図情報に基づいて表示手段に地図を表示する表示ステップと、現在地の座標を取得する現在地取得ステップと、前記表示ステップで表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定ステップと、前記地図判定ステップで前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置する配置ステップと、前記配置ステップで配置された前記回避設定スイッチの入力操作が行われたか否かを判定する入力判定ステップと、前記入力判定ステップで前記回避設定スイッチの入力操作が行われたと判定された場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るプログラムは、コンピュータに、地図情報に基づいて表示手段に地図を表示する表示ステップと、現在地の座標を取得する現在地取得ステップと、前記表示ステップで表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定ステップと、前記地図判定ステップで前記表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置する配置ステップと、前記配置ステップで配置された前記回避設定スイッチの入力操作が行われたか否かを判定する入力判定ステップと、前記入力判定ステップで前記回避設定スイッチの入力操作が行われたと判定された場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、表示している地図の範囲が現在地の座標を基準としていないと判定した場合に、回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に配置する。そして、この回避設定スイッチの入力操作が行われた場合には、表示している地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する。
これにより、ユーザは、表示している地図の範囲を、現在地の座標を基準としない所望の範囲に移動させ、表示された回避設定スイッチの入力操作を行うという簡単な操作で、回避する回避領域を容易に設定することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、地図スクロールの要求により表示手段に表示される地図の範囲が移動した場合に、この表示手段に表示されている地図の範囲が、現在地の座標を基準としていないと判定する。
これにより、ユーザは、地図スクロールの要求により所望の位置に地図の表示範囲を変更することによって、回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に表示させることが可能となり、簡単な操作で回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に表示させて、回避領域を設定することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、地図スクロールの要求があったと判断した場合に、表示手段に表示される地図上に回避設定スイッチを配置し、この回避設定スイッチが操作された場合に、回避する回避領域を設定する。
これにより、ユーザは、地図スクロールの要求により所望の位置に地図の表示範囲を変更することによって、回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に表示させ、この回避スイッチを操作するという簡単な操作で回避領域を設定することが可能となる。
【0015】
また、請求項4に係るナビゲーション装置の回避領域設定方法では、表示している地図の範囲が現在地の座標を基準としていないと判定した場合に、回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に配置する。そして、この回避設定スイッチの入力操作が行われた場合には、表示している地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する。
これにより、ユーザは、表示している地図の範囲を、現在地の座標を基準としない所望の範囲に移動させ、表示された回避設定スイッチの入力操作を行うという簡単な操作で、回避する回避領域を容易に設定することが可能となる。
【0016】
更に、請求項5に係るプログラムでは、コンピュータは当該プログラムを読み込むことによって、表示している地図の範囲が現在地の座標を基準としていないと判定した場合には、回避設定スイッチを表示手段の表示画面上に配置する。そして、コンピュータは回避設定スイッチの入力操作が行われた場合には、表示している地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する。
これにより、ユーザは、表示している地図の範囲を、現在地の座標を基準としない所望の範囲に移動させ、表示された回避設定スイッチの入力操作を行うという簡単な操作で、回避する回避領域を簡易に設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るナビゲーション装置、ナビゲーション装置の回避領域設定方法及びプログラムについて具体化した第1実施形態及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
以下、車両用ナビゲーション装置に適用した場合の第1実施形態について図1乃至図3に基づいて説明する。
先ず、第1実施形態に係るナビゲーション装置1の要部構成について図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、少なくとも現在位置を取得する現在地取得部11と、操作者からの入力操作を受け付ける入力部12と、操作者に対して地図等の情報を表示する表示部13と、入力された情報に基づいて各種の演算処理および前記表示部13への出力処理を行う制御部14と、各種のデータが記録されたデータ記憶部15とから構成され、これら各部は相互にデータ通信可能に接続されている。また、データ記憶部15には、回避領域(Avoidarea)として設定された領域を格納する回避領域記憶部16が設けられている。
【0020】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明する。
現在地取得部11は、GPS、方位センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、距離センサ、ステアリングセンサ、加速度センサ、高度計等のうち少なくともーつまたはこれらの組み合わせにより構成され、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0021】
また、入力部12は、現在位置周辺の地図表示、地図のスクロール、施設の検索、目的地の設定、各種パラメータの設定などの入力を可能とする。例えば、操作ボタン、タッチスイッチ、ジョイスティック、ロータリーエンコーダー、リモートコントローラ、音声認識装置などから1つあるいはこれらの組み合わせにより構成される。
【0022】
また、表示部13は、地図、経路、交差点図、交通情報、施設情報、時刻、設定メニューなどナビゲーションを行う情報を出力する。例えば、CRT、液晶、PDP、有機ELなどのディスプレイで構成される。なお、表示部13は、上記情報以外に、例えば、ニュース、天気予報、メール、テレビ番組等を表示してもよい。
【0023】
また、制御部14は、現在位置を追跡し、データ記憶部15の地図情報を読み出して現在位置周辺の地図を表示部13へ出力する。さらに、入力部12からの入力操作を判断し、データ記憶部15の情報の読み出し、メニューを出力、所望の地点の地図を表示、目的地の設定、経路の探索、施設の検索、施設情報の出力などを制御する。
さらに、ナビゲーションモードでは、設定された経路と現在位置の追跡に基づき、運転者に経路の案内を実行するとともに、現在位置が経路から逸脱しているか否かを判断し、経路の再探索を実行、案内を行う。また、交通渋滞や交通規制を判断し、最適な経路を探索するよう制御する。
【0024】
また、データ記憶部15は、地図情報、施設情報、経路情報、交通情報、統計情報、登録地点情報、各種設定情報などの各種データを記憶し、特に、回避領域記憶部16には、使用者が通りたくない領域として設定した回避領域に関するデータを記憶する。また、データ記憶部15は、例えば、CD、DVD、SD、ハードディスク、フラッシュメモリ、ROM、RAMなどの1つあるいはこれらの組み合わせにより構成される。
【0025】
尚、第1実施形態において、図1に示す表示部13は、図3に示す表示画面20を有するディスプレイであり、さらに、図1の入力部12は、図3に示す表示画面20上に設けられたタッチパネルから構成されている。
【0026】
次に、前記構成を有するナビゲーション装置1の制御部14が実行する回避領域を設定する「回避領域設定処理」について図2及び図3に基づいて説明する。
図2はナビゲーション装置1の制御部14が実行する回避領域を設定する「回避領域設定処理」を示すフローチャートである。図3は図2の処理において、ナビゲーション装置1の制御部14が作成する表示画面20の一例を模式的に示す図である。
【0027】
先ず、図2に基づいてナビゲーション装置1の制御部14が実行する回避領域を設定する「回避領域設定処理」について説明する。尚、図2に、S101〜S107のフローチャートで示される処理は、制御部14により逐次実行される。
【0028】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)101において、制御部14は、地図がスクロール操作中であるか否か(例えば、操作者が表示画面20(図3参照)内の地図領域をタッチしたか否か)を判定する地図スクロール判定処理を実行する。ここで、表示部13の表示画面20に表示された地図に対しタッチパネル12からスクロール操作があった場合に、制御部14はスクロール中であると判断する。
【0029】
そして、S101においてスクロール中でないと判定された場合には(S101:NO)、制御部14は、当該処理を終了する。なお、スクロール中か否かの判断は、操作者により現在位置と異なる位置の地図を表示する要求があるか否かで判断することもできる。
【0030】
一方、操作者が地図スクロール中であると判定された場合には(S101:YES)、制御部14は、S102の処理に移行する。S102において、制御部14は、タッチパネル12により入力された地図スクロール操作に応じて、地図のスクロール量を算出し、表示部13の表示画面20に表示される地図のスクロール表示処理を実行する。
【0031】
また、制御部14は、スクロール操作がされたと判断したとき、表示部13に表示される地図を、スクロール操作によって意図された方向の任意の座標を基準に表示しても良いし、タッチされた位置を基準にして地図を表示するようにしても良いし、タッチされた位置と基準位置との距離や、スイッチの押圧力や押圧時間に基づいて、スクロール量を制御するようにしても良い。
【0032】
続いて、S103において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示された地図上に回避領域設定スイッチ23(図3(B)参照)を表示する。
続いて、S104において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示された回避領域設定スイッチ23が操作されたか否かを判定するスイッチ判定処理を実行する。
【0033】
具体的には、この回避領域設定スイッチ23の操作は、操作者からの入力操作を受けつける入力部12の回避領域設定スイッチ23に対応するスイッチが操作されたことにより判定される。即ち、上記のように入力部12をタッチパネル12により構成した場合には、制御部14は、操作者が表示画面20上の回避領域設定スイッチ23の位置をタッチしたか否かにより、回避領域設定スイッチ23が操作されたか否かを判定する。
【0034】
そして、S104において回避領域設定スイッチ23が操作されたと判定された場合には(S104:YES)、制御部14は、S105の処理に移行する。S105において、制御部14は、回避領域の範囲設定処理を実行する。第1実施形態においては表示画面20に表示された地図上の基準となる座標に相当する位置を囲むように矩形領域24(図3(C)参照)を表示し、この矩形領域24の範囲を入力部12の入力操作により変更可能としている。
【0035】
この矩形領域24の範囲は、表示画面20に表示された各範囲変更スイッチ26A、26B(図3(C)参照)に対応するタッチパネル12の位置をタッチすることにより拡大または縮小可能である。また、表示画面20に表示された範囲アイコン27(図3(C)参照)により矩形領域の大きさ(即ち一辺の長さ)を表示することが可能である。そして表示画面20に表示された決定スイッチ25(図3(C)参照)を操作することにより矩形領域24が回避したい回避領域として設定される。
【0036】
続いて、S106において、決定スイッチ25が操作された場合には、制御部14は、矩形領域24により囲まれる範囲を回避領域としてデータ記憶部15の回避領域記憶部16に記憶後、当該処理を終了する。
これにより、回避領域記憶部16に記憶された回避領域は、経路探索の際に回避するよう制御される。また、現在経路案内中で案内中の経路が、回避領域記憶部16に記憶された回避領域を含む場合には、当該回避領域を回避するように経路の再探索処理を実行可能である。
【0037】
一方、上記S104で回避領域設定スイッチ23が操作されていないと判定された場合には(S104:NO)、制御部14は、S107の処理に移行する。S107において、制御部14は、リターン操作が行われたか否かを判定するリターン判定処理を実行する。
【0038】
例えば、入力部12の図示しない現在地スイッチが操作された場合には、制御部14は、操作者が地図スクロール操作から現在位置周辺の地図を表示するように指示したものと判断し、リターン操作が行われたと判定する。また、「現在地」スイッチ以外にも、「メニュー」スイッチ、「戻る」スイッチ、「オーディオ」スイッチ、「テレビ」スイッチ等の各スイッチの操作によってモード変更された場合にも、制御部14は、リターン操作が行われたと判定する。
【0039】
そして、S107においてリターン操作が行われたと判定された場合には(S107:YES)、制御部14は、地図スクロール処理を終了して、当該処理を終了する。
一方、リターン操作が行われていないと判定された場合には(S107:NO)、制御部14は、再度S102以降の処理を実行する。
【0040】
ここで、図3(A)〜(C)を用い、図2に示されるフローチャートに基づいて制御部14が実行する処理に伴って表示部13に表示される表示画面20の一例を説明する。
先ず、図3(A)は、スクロール中ではない状態の表示画面20の一例を示す模式図である。このとき、表示画面20に表示される地図の表示基準位置として現在地取得部11により取得された自車位置、即ち、現在地の座標(例えば、緯度と経度である。)が用いられ、表示基準位置には現在地を示す現在地アイコン21が表示される。
【0041】
また、図3(B)は、制御部14が図2のS103の処理を実行したときの表示画面20の一例を示す模式図である。このとき、表示画面20に表示される地図の表示基準位置として、スクロール操作によりシフトした座標が用いられ、表示基準位置にはカーソルアイコン22が表示される。また、表示画面20に表示された地図上に回避設定スイッチ23が配置される。
【0042】
また、図3(C)は、制御部14が図2のS105の処理を実行中のときの表示画面20の一例を示す模式図である。このとき、前記カーソルアイコン22の位置(即ち表示基準位置)に基づいて所定範囲を囲む矩形領域24が、回避領域の候補として表示される。この矩形領域24の大きさは、表示画面20に表示された地図上に配置された各範囲変更スイッチ26A、26Bの操作により変更可能である。また、表示画面20に表示された地図上に配置された範囲アイコン27により、矩形領域の大きさ(即ち一辺の長さ)が表示される。また、図3(B)で表示画面20に表示された地図上に配置された回避設定スイッチ23は、図3(C)においては決定スイッチ25に置き換えられる。
【0043】
従って、第1実施形態に係るナビゲーション装置1では、制御部14は、入力部12からの地図のスクロール操作がされた場合に、地図上の任意の地点で回避したいエリアを設定することができる回避領域設定スイッチ23を表示部13の表示画面に表示する。そして、回避領域設定スイッチ23が操作された場合には、地図上の基準となる座標に相当する位置を囲むように矩形領域24を表示すると共に、この矩形領域24の範囲を変更可能な各範囲変更スイッチ26A、26Bと、決定スイッチ25を表示する。そして、決定スイッチ25が操作された場合には、制御部14は、矩形領域24により囲まれる範囲を回避領域としてデータ記憶部15の回避領域記憶部16に記憶する。
【0044】
これにより、操作者は、スクロール操作をすることによって、表示部13の表示画面20に回避領域設定スイッチ23を表示させ、この回避領域設定スイッチ23を押圧後、地図を見ながら各範囲変更スイッチ26A、26Bと決定スイッチ25を操作することによって、容易に回避領域を設定することが可能となる。さらに、制御部14は、経路を算出する際に、回避領域記憶部16に記憶された回避領域を回避するように目的地までの経路の探索処理を実行することが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置51について図4に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図3の第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成等と同一符号は、該第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。図4は第2実施形態に係るナビゲーション装置51の制御部14が実行する回避領域を設定する「回避領域設定処理」を示すフローチャートである。尚、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0046】
図4に示すように、先ず、S201において、制御部14は、現在地モードであるか否かを判定する現在地モード判定処理を実行する。この現在地モードとは、表示部13の表示画面20に表示される地図の範囲が自車位置、即ち、現在地の座標(例えば、緯度と経度である。)を基準としている状態である。また、現在地モードではない状態は、表示部13の表示画面20に表示される地図の範囲が現在地の座標を基準としていない状態、または入力部12の操作により表示部13に表示される地図の範囲を現在地以外の座標へと移動操作されたことにより判定される。
【0047】
例えば、表示部13の表示画面20に表示された地図に対し入力部12による移動操作があった場合には、表示部13に表示される地図の表示範囲が、移動操作によって意図された方向の任意の座標を基準に表示されるよう表示制御されるため、制御部14は、現在地モードでないと判断する。
【0048】
そして、S201において現在地モードであると判定された場合には(S201:YES)、制御部14は、S202の処理に移行する。S202において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示される地図の範囲を設定するための表示基準位置を、現在地取得部11に取得された現在地の座標(例えば、緯度と経度である。)に設定する。
【0049】
続いて、S203において、制御部14は、上記S201で設定された表示基準位置に基づく範囲の地図を表示部13の表示画面20に表示する。また、制御部14は、表示部13の表示画面20の表示基準位置に、現在地アイコン21を配置後、当該処理を終了する。
【0050】
一方、上記S201で、現在地モードでないと判定された場合には(S201:NO)、制御部14は、S204の処理に移行する。S204において、制御部14は、入力部12の移動操作に基づいて移動量を取得する。
続いて、S205において、制御部14は、表示基準位置をS204で取得された移動量に基づいて移動した座標に設定する。
【0051】
その後、S206において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示される地図範囲をシフトして表示する表示処理を実行する。即ち、上記S201で現在地を基準とした範囲の地図を表示していた場合には、移動操作により現在地からシフトした座標を基準とした範囲の地図を表示する。この場合、基準となる座標に相当する位置にカーソルアイコン22が表示される。また、既に現在地モードではない状態で、表示基準位置が現在地ではない場合には移動量に応じて更にシフトした範囲の地図を表示すると共に、表示基準位置の移動量に応じてカーソルアイコン22を移動表示する。
【0052】
そして、S207において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示された地図上に回避領域設定スイッチ23を表示する。
続いて、S208において、制御部14は、表示部13の表示画面20に表示された回避領域設定スイッチ23が操作されたか否かを判定するスイッチ判定処理を実行する。
【0053】
そして、S208において回避領域設定スイッチ23が操作されたと判定された場合には(S208:YES)、制御部14は、S209の処理に移行する。S209において、制御部14は、回避領域の範囲設定処理を実行する。第2実施形態においては表示画面20に表示された地図上の基準となる座標に相当する位置を囲むように矩形領域24を表示し、この矩形領域24の範囲を入力部12の入力操作により変更可能としている。
【0054】
続いて、S210において、決定スイッチ25が操作された場合には、制御部14は、矩形領域24により囲まれる範囲を回避領域としてデータ記憶部15の回避領域記憶部16に記憶後、当該処理を終了する。
【0055】
一方、上記S208で回避領域設定スイッチ23が操作されていないと判定された場合には(S208:NO)、制御部14は、S211の処理に移行する。S211において、制御部14は、リターン操作が行われたか否かを判定するリターン判定処理を実行する。
【0056】
そして、S211においてリターン操作が行われたと判定された場合には(S211:YES)、制御部14は、地図スクロール処理を終了して、当該処理を終了する。
一方、リターン操作が行われていないと判定された場合には(S211:NO)、制御部14は、再度S204以降の処理を実行する。
【0057】
従って、第2実施形態に係るナビゲーション装置51では、制御部14は、現在地モードの場合には、現在地を表示基準位置として表示部13に地図を表示する。また、入力部12から地図のスクロール操作がされた場合には、制御部14は、地図上の任意の地点で回避したいエリアを設定することができる回避領域設定スイッチ23を表示部13の表示画面に表示する。そして、回避領域設定スイッチ23が操作された場合には、地図上の基準となる座標に相当する位置を囲むように矩形領域24を表示すると共に、この矩形領域24の範囲を変更可能な各範囲変更スイッチ26A、26Bと、決定スイッチ25を表示する。そして、決定スイッチ25が操作された場合には、制御部14は、矩形領域24により囲まれる範囲を回避領域としてデータ記憶部15の回避領域記憶部16に記憶する。
【0058】
これにより、操作者は、スクロール操作をすることによって、表示部13の表示画面20に回避領域設定スイッチ23を表示させ、この回避領域設定スイッチ23を押圧後、地図を見ながら各範囲変更スイッチ26A、26Bと決定スイッチ25を操作することによって、容易に回避領域を設定することが可能となる。さらに、制御部14は、経路を算出する際に、回避領域記憶部16に記憶された回避領域を回避するように目的地までの経路の探索処理を実行することが可能となる。
【0059】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0060】
例えば、図2のフローチャートのS104において、回避領域設定スイッチ23が操作された場合に、S105の回避領域の範囲設定処理に移行せずに、S106に移行し、表示基準位置を中心とした所定範囲の回避領域を回避領域記憶部16に記憶するようにしてもよい。同様に、図4のフローチャートのS208においても、S209に移行せずにS210に移行し、表示基準位置を中心とした所定範囲の回避領域を回避領域記憶部16に記憶するようにしてもよい。これにより、使用者は回避領域を簡単な操作で設定することが可能となる。
【0061】
また、入力部12としてタッチパネルを使用した場合について、地図スクロール操作やスイッチの選択操作を説明したが、ジョイスティック、ロータリーエンコーダー、音声認識装置を使用して、これらの操作を行ってもよい。また、スイッチの選択操作は、表示画面20に表示されたスイッチまたはアイコンの位置に対応させて表示部13の周囲またはリモコンに配置したスイッチを使用してもよいし、音声認識装置によりスイッチ操作を受け付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るナビゲーション装置の制御部が実行する「回避領域設定処理」を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置の制御部が作成する表示画面の一例を模式的に示す図である。
【図4】第2実施形態に係るナビゲーション装置の制御部が実行する「回避領域設定処理」を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 ナビゲーション装置
11 現在地取得部
12 入力部
13 表示部
14 制御部
15 データ記憶部
16 回避領域記憶部
20 表示画面
21 現在地アイコン
22 カーソルアイコン
23 回避領域設定スイッチ
24 矩形領域
25 決定スイッチ
26A、26B 範囲変更スイッチ
27 範囲アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報に基づいて地図を表示する表示手段と、
現在地の座標を取得する現在地取得手段と、
前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定手段と、
前記地図判定手段を介して前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置するように制御する制御手段と、
入力操作を行う入力手段と、
前記入力手段を介して前記回避設定スイッチの入力操作が行われた場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力手段を介して前記表示手段に表示される地図の範囲を移動させるための地図スクロールの入力操作が行われて、該表示手段に表示される地図の範囲が移動した場合に、前記地図判定手段は、前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
表示手段に表示される地図の範囲を移動させる地図スクロールの要求があったか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段を介して前記地図スクロールの要求があったと判断した場合に、前記表示手段に表示される地図上に回避設定スイッチを配置するように制御する制御手段と、
前記回避設定スイッチが操作された場合に、回避する回避領域を設定する回避領域設定手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
地図情報に基づいて表示手段に地図を表示する表示ステップと、
現在地の座標を取得する現在地取得ステップと、
前記表示ステップで表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定ステップと、
前記地図判定ステップで前記表示手段に表示される地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置する配置ステップと、
前記配置ステップで配置された前記回避設定スイッチの入力操作が行われたか否かを判定する入力判定ステップと、
前記入力判定ステップで前記回避設定スイッチの入力操作が行われたと判定された場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定ステップと、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置の回避領域設定方法。
【請求項5】
コンピュータに、
地図情報に基づいて表示手段に地図を表示する表示ステップと、
現在地の座標を取得する現在地取得ステップと、
前記表示ステップで表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としているか否かを判定する地図判定ステップと、
前記地図判定ステップで前記表示手段に表示された地図の範囲が前記現在地の座標を基準としていないと判定された場合に、回避設定スイッチを前記表示手段の表示画面上に配置する配置ステップと、
前記配置ステップで配置された前記回避設定スイッチの入力操作が行われたか否かを判定する入力判定ステップと、
前記入力判定ステップで前記回避設定スイッチの入力操作が行われたと判定された場合に、前記表示手段に表示されている地図上の表示基準位置を含む所定領域を回避する回避領域として設定する回避領域設定ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−85359(P2010−85359A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257348(P2008−257348)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】