説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置に用いるプログラム

【課題】今までにない新たな種類のキーによって目的地の設定を実現する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、走行履歴記憶処理によって自車両の通過位置およびその通過位置の通過時期等を逐次記録する。そして、検索対象時期の入力を受け付けると(210)、受け付けた当該検索対象時期およびその近傍の時期における自車両の通過位置群を、走行履歴記憶処理の記録結果に基づいて特定し(220)、特定した当該通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置等の属性情報を、地図データから抽出する(230)。そして更に、抽出した当該複数の抽出POIの名称を画像表示装置に表示させ、かつ、ユーザによる当該複数の抽出POIのうち1つを当該目的地として確定する処理を受け付けることで、当該目的地を決定する(240、250)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション装置に用いるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの移動を案内するナビゲーション装置において目的地を設定する場合には、その目的地の名称、位置、ジャンル等、その目的地を検索するためのいくつかの条件(キーともいう)の入力が必要であった。例えば、画像をキーとして入力することで目的地を設定する技術が、特許文献1および2に記載されている。
【特許文献1】特開2004−333233号公報
【特許文献2】特開平11−259502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は今までにない新たな種類のキーによって目的地の設定を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、目的地までの移動を案内するナビゲーション装置が、目的地の候補となり得る複数の地点(以下、それぞれPOIという)のそれぞれの名称および存在位置の情報を取得するPOI情報取得機能と、自機の通過位置およびその通過位置の通過時期を逐次記録する移動履歴記録機能と、検索対象時期の入力を受け付ける受付機能と、当該受付手段が受け付けた当該検索対象時期を含む時期における自機の通過位置群を、当該移動履歴記録手段の記録結果に基づいて特定する通過位置特定機能と、当該通過位置特定手段が特定した当該通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、当該POI情報取得手段が取得した当該情報に基づいて抽出する抽出機能と、当該抽出手段がその名称および存在位置を抽出した対象の当該複数のPOI(以下、それぞれ抽出POIという)について、それら抽出POIの名称を画像表示装置に表示させ、かつ、ユーザによる当該複数の抽出POIのうち1つを当該目的地として確定する処理を受け付けることで、当該1つの抽出POIの存在位置を前記目的地として決定する決定機能と、を備えたことである。
【0005】
このように、時期の移動履歴として通過位置および通過時刻を記録しておくことで、検索対象時期という、今までにない新たな種類のキーによって、その検索対象時期またはその近傍の時期に自機が通過した位置周辺のPOIを目的地として設定することが可能となる。このように、「時期」の情報を使えることで、例えば、ユーザの曖昧な「あの日のあの時間に通った場所」という記憶に基づいて目的地を見つけ出すことが可能になる。
【0006】
また、ナビゲーション装置は、画像表示装置を用いて、複数の抽出POIの名称を、それら抽出POIの近傍を自機が通過した順にリスト表示させ、そのリスト表示と同時に、当該複数の抽出POIのそれぞれを示す複数のPOI画像を、地図画像上の当該複数のPOI画像の存在位置に表示させるようになっていてもよい。なお、ここでいう「同時に」とは、「ユーザにとって実質的に同時に表示されているように見えるように」という意味を有するものをいう。また、この「同時に表示させる」は、「同時に表示を開始させる」ことを限定しているのではなく、「少なくともあるタイミングにおいては、ユーザにとって実質的に同時に表示されているように見える」ことを限定している。
【0007】
このとき、ナビゲーション装置は更に、ユーザの選択操作によって当該複数の抽出POIのうち1つが選択されたことに基づいて、リスト表示内の当該1つの抽出POIの名称を強調表示させると共に、地図画像上の当該1つの抽出POIに対応する1つのPOI画像を強調表示させるようになっていてもよい。
【0008】
このようになっていることで、ユーザは、地図画像上に表示される位置による検索と、通過時間順に表示されたリストによる検索とを連動させることができる。すなわち、POIの存在位置と通過時刻の情報とが連動した目的地の設定が実現する。
【0009】
また、ナビゲーション装置は、通過位置特定機能によって特定した通過位置群のうち、自機の移動速度が低下した通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、POI情報取得機能によって取得した情報に基づいて抽出するようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザが移動速度を低くした位置の周辺のPOI、すなわちユーザの記憶に強く残っている可能性の高いPOIを抽出POIとして優先的に選ぶことができる。したがって、ユーザがより効率的に目的地を設定することができる。
【0010】
また、ナビゲーション装置は、通過位置特定機能が特定した通過位置群のうち、自機が右折または左折を行った通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、POI情報取得機能が取得した情報に基づいて抽出するようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザが右左折した位置の周辺のPOI、すなわちユーザの記憶に強く残っている可能性の高いPOIを抽出POIとして優先的に選ぶことができる。したがって、ユーザがより効率的に目的地を設定することができる。
【0011】
また、本発明の特徴は、目的地までの移動を案内する機能と、前記目的地の候補となり得る複数の地点(以下、それぞれPOIという)のそれぞれの名称および存在位置の情報を取得するPOI情報取得手段とを有するナビゲーション装置に用いるプログラムであって、自機の通過位置およびその通過位置の通過時期を逐次記録する移動履歴記録手段、
検索対象時期の入力を受け付ける受付手段、前記受付手段が受け付けた前記検索対象時期を含む時期における自機の通過位置群を、前記移動履歴記録手段の記録結果に基づいて特定する通過位置特定手段、前記通過位置特定手段が特定した前記通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、前記POI情報取得手段が取得した前記情報に基づいて抽出する抽出手段、および、前記抽出手段がその名称および存在位置を抽出した前記複数のPOI(以下、それぞれ抽出POIという)について、それらの名称を画像表示装置に表示させ、かつ、ユーザによる前記複数の抽出POIのうち1つを前記目的地として確定する処理を受け付けることで、当該1つの抽出POIの存在位置を前記目的地として決定する決定手段として、コンピュータを機能させるプログラムとして捉えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、地図データ取得部16、および制御回路17を有している。
【0013】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。
【0014】
画像表示装置12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0015】
操作スイッチ群13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路17に出力する。
【0016】
地図データ取得部16は、HDD等の書き込み可能な電源オフ時記憶可能記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置を有している。ここで、電源オフ時記憶可能記憶媒体とは、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。電源オフ時記憶可能記憶媒体としては、例えば、フラッシュメモリおよびEEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。地図データ取得部16の記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。また、当該記憶媒体には、後述する走行履歴情報が記録されるようになっている。
【0017】
地図データは、道路データおよびPOI(Point of Interest)データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。POIデータは、施設(例えばビル、公園、駐車場、デパート)や自然物(例えば川、山、名所)等の複数の地点(以下、それぞれPOIという)のそれぞれについての属性情報を有している。各属性情報は、対象とするPOIの名称情報、所在位置情報、土地地番情報、電話番号情報、郵便番号情報、施設種別(デパート、食堂、遊園地等)情報等を示すデータを有している。
【0018】
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、RAMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0019】
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、走行履歴記録処理、目的地設定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0020】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置、走行速度、向き等を特定する処理である。
【0021】
走行履歴記録処理は、自車両の通過位置(これは車両用ナビゲーション装置1自体の通過位置と同等である、以下の通過時期、移動速度、移動方向、目的地等についても同じ)、その通過位置を自車両が通過した時期、その通過時期における自車両の移動速度、その通過時期における自車両の移動方向等を地図データ取得部16に逐次記録する処理である。
【0022】
目的地設定処理は、ユーザによる操作スイッチ群13を用いた検索条件(以下、キーという)の入力を受け、その入力されたキーに基づいて、自車両の目的地を決定する処理である。入力されるキーとしては、目的地の所在位置の土地地番(以下、目的地の住所という)、目的地の名称、目的地の宛先電話番号、目的地の施設種別等に加え、過去の時期がある。過去の時期がキーとして入力された場合、目的地設定処理のうち、時期による目的地検索処理が実行される。
【0023】
誘導経路算出処理は、目的地設定処理によって決定された目的地までの現在位置からの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0024】
経路案内処理は、地図データ取得部16から地図データを読み出し、算出された最適な誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力させる処理である。
【0025】
以下、走行履歴記録処理および時期による目的地検索処理について詳細に説明する。図2に、走行履歴記憶処理100および時期による目的地検索処理200によるデータ入出力関係の概念図を示す。制御回路17は、走行履歴記憶処理100を実行することで、上述したような自車両の通過位置、通過時期等を地図データ取得部16の記憶媒体に走行履歴情報90として記録する。そして、車両用ナビゲーション装置1は、時期による目的地検索処理200を実行することで、入力されたキーとしての時期(以下、検索対象時期という)および走行履歴情報90に基づいて目的地を決定する。
【0026】
図3に、走行履歴記憶処理100のフローチャートを示す。この図に示すように、制御回路17は、基準時間が経過した場合(ステップ110参照)、および、自車両が交差点を通過した場合(ステップ120参照)を逐次検出し、そのような場合のいずれかを検出したとき、通過地点データを地図データ取得部16中の走行履歴情報90に順番に追加記録する(ステップ130参照)。
【0027】
なお、ステップ110において基準時間と比較する経過時間の起算時点は、走行履歴記憶処理100の処理の開始時点、および、ステップ130における記録処理が最後に実行された時点のうち、遅い方の時点である。また、基準時間の長さは、あらかじめ記憶された一定値(例えば1分、5分)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば、車速が大きくなるほど大きくなる値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。また、ステップ120における交差点を通過したか否かの判定は、具体的には、上述の経過時間の起算時点以降に自車両が交差点を通過したか否かによって判定する。なお、この判定は、地図データ取得部16中の地図データに記憶されている交差点(ノード)の位置と、現在位置特定処理によって特定した自車両の現在位置との比較によって実行する。
【0028】
ステップ130で記録する通過地点データは、その時点における自車両の現在位置(すなわち通過位置)、その時点における時期(すなわち通過時期)、その時点における自車両の移動速度(すなわち通過速度)、および、その時点における自車両の向き(すなわち通過方向)を含む1まとまりのデータである。なお、自車両の移動速度および向きは、上述の現在位置特定処理によって検出する。ここで、通過時期としては、具体的には、その時点における月、日、時、分から成る組を用いる。
【0029】
このような走行履歴記憶処理100を実行することで、制御回路17は、自車両の通過位置、その通過位置を自車両が通過した通過時期、その通過時期における自車両の移動速度、その通過時期における自車両の移動方向から成る1セットの通過地点データを逐次地図データ取得部16の走行履歴情報90に記録していく。その結果、走行履歴情報90は、自車両の走行軌跡に沿った複数セットの通過地点データ(通過位置群の一例に相当する)が記録されていく。
【0030】
次に、時期による目的地検索処理200について説明する。制御回路17は、目的地設定処理において、ユーザにどの種類のキーを入力するかを選択させるために、図4に示すようなキー種別選択画面20を画像表示装置12に表示させる。このキー種別選択画面20は、ユーザが操作スイッチ群13を用いて選択可能なボタン21〜25を有しており、それらボタン21〜25のそれぞれが1つのキー種別に対応している。そして、ユーザがボタン21〜25のうちいずれかを選択することに基づいて、制御回路17は、その選択されたボタンに対応するキーによる目的地検索処理を実行する。例えば、ボタン25がユーザによって選択されると、時期による目的地検索処理200の実行を開始する。
【0031】
図5に、時期による目的地検索処理200のフローチャートを示す。制御回路17は、時期による目的地検索処理200の実行において、まずステップ210で、キーとしての検索対象時期のユーザ入力を受け付けるための処理を行う。検索対象時期としては、具体的には、月、日、時、分から成る組を用いる。検索対象時期を受け付けるために制御回路17は、図6に示すような日時設定画面30を、画像表示装置12に表示させる。日時設定画面30は、操作スイッチ群13を用いてユーザが月を入力可能な月入力フィールド31、日を選択可能なカレンダー部32、時を入力可能な時入力フィールド33、および分を入力可能な分入力フィールド34を有している。この日時設定画面30に対して入力または選択された月、日、時、分が、検索対象時期Tとなる。
【0032】
月、日、時、分の入力があると、制御回路17は続いてステップ220で、当該検索対象時期Tおよびその近傍の期間を含む1続きの検索期間内を決定し、走行履歴情報90からその検索期間内の通過時期を有する通過地点データを特定する。ここで、検索期間としては、例えば当該検索対象時期Tを中心とする時間長2tの期間、すなわち時刻T−tから時刻T+tまでの時間であってもよい。ここで、時間長tは、あらかじめ記憶された一定値(例えば10分、1時間)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば、車速が大きくなるほど大きくなる値、一定数の通過地点データを含むような値、ユーザの設定による値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。このステップ220の処理によって、受け付けた検索対象時期およびその近傍の時期における自車両の通過位置群を特定することができる。
【0033】
続いてステップ230では、制御回路17は、特定した複数の通過地点データの示す位置の近傍にあるPOI(より詳しくは、POIデータ中の当該POIの属性情報)を、地図データ中のPOIデータから抽出する。近傍のPOIの特定の方法としては、例えば、以下に示す第1の方法および第2の方法がある。第1の方法においては、特定した複数の通過地点データから基準距離内にあるPOIを近傍のPOIとする。また、第2の方法においては、特定した複数の通過地点データの示す通過位置群を地図データ中の道路沿いに繋ぐことで、自車両の走行軌跡を特定し、その走行軌跡の示す道路に面するPOI(またはその道路から基準距離内にあるPOI)を、近傍のPOIとする。なお、第1および第2の方法において用いられる基準距離は、あらかじめ記憶された一定値(例えば10メートル、100メートル)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば、通過位置における道路の幅員が大きくなるほど大きくなる値、ユーザの設定による値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。
【0034】
なお、抽出するPOIを更に絞り込んでもよい。例えば、ステップ220で特定した通過位置群のうち、自車両の移動速度が低下した通過位置群から基準距離内にある複数のPOIのみを抽出対象のPOIとしてもよい。ここで、判断の対象となる移動速度としては、走行履歴情報90の当該通過地点データ中の通過速度を用いる。また、通過速度が低下したか否かは、判定対象の通過地点データの直前に記録された通過地点データにおける通過速度よりも基準減測量(例えば直前の走行速度の30パーセント)以上低くなっているか否かで判定してもよいし、判定対象の通過速度が基準速度(例えば時速1キロメートル)以下となっているか否かで判定してもよい。後者の場合は、自車両が停車(または駐車)したか否かで判定していることになる
また例えば、ステップ220で特定した通過位置群のうち、自車両が右折または左折した通過位置群から基準距離内にある複数のPOIのみを抽出対象のPOIとしてもよい。ここで、自車両が右折または左折を行ったか否かは、自車両の走行方向が基準角度以上変化したか否かで判定してもよい。なお、基準確度は、あらかじめ記憶された一定値(例えば30°)であってもよいし、各種条件に基づいて変動する値(例えば、車速が大きいほど小さくなる値、ユーザの設定による値)であってもよいし、一定の範囲内でランダムに決まる値であってもよい。ここで判定の対象となる走行方向としては、走行履歴情報90の判定対象の通過地点データ中の通過方向を用いる。また、通過方向の変化は、判定対象の通過地点データの直前に記録された通過地点データにおける通過方向との差によって特定してもよい。
【0035】
また例えば、ステップ220で特定した通過位置群のうち、自車両の移動速度が低下した通過位置群および自車両が右折または左折した通過位置群のいずれかから基準距離内にある複数のPOIのみを抽出対象のPOIとしてもよい。
【0036】
続いてステップ240では、上述のようにして抽出したPOI(以下、抽出POIという)のそれぞれを目的地候補とし、それら目的地候補のリストを作成する。ここで、リストの並び順は、これら抽出POIの近傍を自車両が通過した順とする。また例えば、各抽出POIがどの通過地点データに最も近いかを特定し、それぞれ特定した通過地点データの通過時期の順を、抽出POIのリスト順としてもよい。また例えば、特定した複数の通過地点データの示す通過位置群を地図データ中の道路沿いに繋ぐことで、自車両の走行軌跡を特定し、その走行軌跡に沿って自車両が走行したときに最接近する順を、抽出POIのリスト順としてもよい。
【0037】
続いてステップ250では、作成した目的地候補リストを、例えばリスト形式で画像表示装置12に表示させる。そして、ユーザが操作スイッチ群13を用いてそれらリスト表示させた目的地候補の1つに対して選択確定の操作を行ったことに基づいて、当該目的地候補を目的地として決定する。
【0038】
制御回路17は、このような処理によって決定された目的地に基づいて、上述の誘導経路算出処理および経路案内処理を実行することで、ユーザは、目的地までの移動の案内を受けることができる。
【0039】
以上示したように、車両用ナビゲーション装置1は、自車両の通過位置およびその通過位置の通過時期等を逐次記録する(走行履歴記憶処理100の各ステップ参照)。そして、検索対象時期の入力を受け付けると(ステップ210参照)、受け付けた当該検索対象時期およびその近傍の時期における自車両の通過位置群を、走行履歴記憶処理100の記録結果に基づいて特定し(ステップ220参照)、特定した当該通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置等の属性情報を、地図データ中のPOIデータから抽出する(ステップ230参照)。そして更に、抽出した当該複数の抽出POIの名称を画像表示装置12に表示させ、かつ、ユーザによる当該複数の抽出POIのうち1つを当該目的地として確定する処理を受け付けることで、当該目的地を決定する(ステップ240、250参照)。
【0040】
このように、時期の移動履歴として通過地点および通過時刻を記録しておくことで、検索対象時期という、今までにない新たな種類のキーによって、その検索対象時期またはその近傍時期に自機が通過した位置周辺のPOIを目的地として設定することが可能となる。このように、「時期」の情報を使えることで、例えば、ユーザの曖昧な「あの日のあの時間に通った場所」という記憶に基づいて目的地を見つけ出すことが可能になる。
【0041】
また、走行軌跡上にある目的地候補を通過する順序(過去の走行履歴で通過した順序 )によって時間軸で並べた目的地候補リストを画面に表示する。名称が表示されるリストを画像表示装置12に表示させることで、ユーザによりわかりやすく目的地候補を提示することが可能になる。また、リスト内のPOIは車両が通過した順に並んでいるため、過去に走行したときのユーザの記憶による検索が容易となる。
【0042】
また、車両用ナビゲーション装置1は、特定した通過位置群のうち、自車両の移動速度が低下した通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を抽出することで、ユーザが移動速度を低くした位置の周辺のPOI、すなわちユーザの記憶に強く残っている可能性の高いPOIを抽出POIとして優先的に選ぶことができる。
【0043】
また、車両用ナビゲーション装置1特定した通過位置群のうち、自車両が右折または左折を行った通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を抽出することで、ユーザが右左折した位置の周辺のPOI、すなわちユーザの記憶に強く残っている可能性の高いPOIを抽出POIとして優先的に選ぶことができる。
【0044】
これらのように、ユーザが特に記憶に残っているであろうと思われる目的地候補のみを選択して表示するようにすることで、ユーザがより効率的に履歴情報を参照することが可能になる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる部分は、時期による目的地検索処理200のステップ250の処理内容のみである。具体的には、本実施形態のステップ250においては、制御回路17は、地図画面に自車両の走行軌跡およびその走行軌跡上にある目的地候補を重ねた画像を、上述の目的地候補リストと共に、画像表示装置12に同時表示させる。
【0045】
図7に、本実施形態におけるステップ250の詳細な処理内容を示す。制御回路17は、ステップ250の処理において、まずステップ251で、目的地候補リストを取得する。この目的地候補リストは、ステップ240で作成されたものである。
【0046】
続いてステップ252では、目的地候補である複数の抽出POIのうち、ステップ210で受け付けた検索対象時期Tに最も時間的に近い抽出POIを暫定目的地とする。ここで、ある抽出POIと索対象時期Tとの間の時間間隔は、当該抽出POIに最も近い通過位置を有する通過地点データにおける通過時期と、当該索対象時期Tとの時間間隔と同一のものとして特定する。
【0047】
続いてステップ253では、当該暫定目的地の周辺の地図データを地図データ取得部16から読み出す。このとき読み出す周辺地図データは、当該暫定目的地を中心とするものであってもよい。
【0048】
続いてステップ254〜256の処理によって、図8に示すような目的地候補画面表示画面40を画像表示装置12に表示させる。
【0049】
ステップ254では、読み出した地図データが示す地図を画像表示装置12に表示させる。さらに続いてステップ255では、表示された地図上に、暫定目的地および他の目的地候補のPOIのマーク42〜46および名称を表示させる。なお、各マークを表示させる位置は、当該マークに対応するPOIの属性情報に含まれる所在位置(緯度、経度)に相当する位置である。そして、暫定目的地のマーク44および名称は、他の目的地候補と視覚的に区別できるよう、強調表示させる(例えばより目立つ色で表示させる、ハイライト表示させる等)。このような強調表示によって、暫定目的地がどれであるかをユーザがはっきり認識することができる。またこのとき、複数の通過地点データの示す通過位置群を地図データ中の道路沿いに繋ぐことで、自車両の走行軌跡を特定し、その走行軌跡41を地図上に重ねて表示させる。
【0050】
続いてステップ256では、目的地候補リスト47を画像表示装置12に表示させる。
目的地候補リスト47中の目的地候補のPOIの並び順は、第1実施形態の目的地候補リストと同じである。本実施形態の目的地候補リスト47においては、リスト中の暫定目的地に対応する部分を、強調表示させる(例えばより目立つ色で表示させる、ハイライト表示させる等)。このような強調表示によって、暫定目的地がどれであるかをユーザがはっきり認識することができる。
【0051】
続いてステップ257では、暫定目的地を目的地として確定する旨の操作が操作スイッチ群13に対して行われたか否かを判定し、行われていれば続いてステップ258で、現在の暫定目的地を目的地に決定し、時期による目的地検索処理200の処理を終了する。
【0052】
ステップ257で、暫定目的地を目的地として確定する旨の操作が行われていないと判定した場合、続いてステップ259で、暫定目的地以外の目的地候補を選択する旨の操作が操作スイッチ群13に対して行われたか否かを判定する。この操作は、例えばタッチパネルを用いて画像表示装置12上の他の目的地候補に対応するマークもしくは目的地候補リスト47中の項目をタッチする操作であってもよい。当該操作があったと判定する場合、続いてステップ260を実行し、ないと判定する場合、続いてステップ257を再度実行する。
【0053】
ステップ260では、暫定目的地の更新を行う。すなわち、暫定目的地を、現在の暫定目的地から、ステップ259で検出された選択操作の対象となった目的地候補のPOIに変更する。ステップ260に続いては再度ステップ253からそれ以降を実行する。
【0054】
暫定目的地が変わった後のステップ254では、当該暫定目的地が画像表示装置12の表示画面の中央に表示されるよう、地図画像をスクロールさせる。そして、上述した通り、地図表示および目的地候補リスト47の両方において、図9に示すように、新たな暫定目的地のマーク45および項目が強調表示される。このように、暫定目的地の変化に応じて、地図表示と目的地候補リスト47の両方が連動してその表示内容(具体的には強調表示対象)を変化させることで、ユーザが容易に目的地を選択できるようになる。
【0055】
以上のように、車両用ナビゲーション装置1は、画像表示装置を用いて、複数の抽出POIの名称を、それら抽出POIの近傍を自車両が通過した順にリスト表示させ、そのリスト表示と同時に、当該複数の抽出POIのそれぞれを示す複数のマーク(POI画像の一例に相当する)像を、地図画像上の当該複数のPOI画像の存在位置に表示させるようになっている。
【0056】
また、車両用ナビゲーション装置1は更に、ユーザの選択操作によって当該複数の抽出POIのうち1つが選択されたことに基づいて、リスト表示内の当該1つの抽出POIの名称を強調表示させると共に、地図画像上の当該1つの抽出POIに対応する1つのマークを強調表示させる。
【0057】
このようになっていることで、ユーザは、地図画像上に表示される位置による検索と、通過時間順に表示されたリストによる検索とを連動させることができる。すなわち、POIの存在位置と通過時刻の情報とが連動した目的地の設定が実現する。
【0058】
なお、上記の各実施形態において、車両用ナビゲーション装置1がナビゲーション装置の一例に相当し、走行履歴記憶処理100用のプログラムおよび時期による目的地検索処理200用のプログラムの組が本発明のプログラムの一例に相当する。また、地図データ取得部16がPOI情報取得手段の一例に相当する。また、車両用ナビゲーション装置1の制御回路17が、走行履歴記憶処理100を実行することで、移動履歴記録手段の一例として機能し、時期による目的地検索処理200のステップ210を実行することで受付手段として機能し、ステップ220を実行することで通過位置特定手段として機能し、ステップ230を実行することで抽出手段として機能し、ステップ240および250を実行することで決定手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0059】
例えば、検索対象時期は、上述の様に月、日、時、分の組のみならず、月、日、時の組であってもよいし。月、日の組であってもよし、時、分の組であってもよいし、年、月、日、時の組であってもよい。すなわち、検索対象時期が時期を示す形態はどのようなものであってもよい。
【0060】
同様に、走行履歴情報90に記録する通過時期も、上述の様に月、日、時、分の組のみならず、月、日、時の組であってもよいし。月、日の組であってもよし、時、分の組であってもよいし、年、月、日、時の組であってもよい。すなわち、通過時期が時期を示す形態はどのようなものであってもよい。
【0061】
また、自車両の走行速度は、走行履歴データ中の(隣り合う通過位置間の距離/その地点間の記録時刻差)に基づいて特定してもよい。この場合、走行履歴情報90には、通過速度を記録する必要はない。
【0062】
また、自車両の走行方向は、走行履歴データ中の隣り合う通過位置方向に基づいて特定してもよい。この場合、走行履歴情報90には、通過方向を記録する必要はない。
【0063】
また、本発明のナビゲーション装置は、画像表示装置を有している必要はなく、外部の画像表示装置に本発明のような表示を行わせる機能を有していれば足りる。
【0064】
また、本発明のナビゲーション装置は、車両用ナビゲーション装置に限らず、ナビゲーション機能を有する携帯電話機等であってもよい。
【0065】
また、走行履歴情報等の、更新が必要なデータは、地図データ取得部16に限らず、他の、車両用ナビゲーション装置1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、地図データ取得部16の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態において、制御回路17がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】走行履歴記憶処理100および時期による目的地検索処理200によるデータ入出力関係の概念図である。
【図3】走行履歴記憶処理100のフローチャートである。
【図4】キー種別選択画面20を示す図である。
【図5】時期による目的地検索処理200のフローチャートである。
【図6】日時設定画面30を示す図である。
【図7】第2実施形態における時期による目的地検索処理200のステップ250の詳細を示すフローチャートである。
【図8】目的地候補画面表示画面40を示す図である。
【図9】目的地候補画面表示画面40を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…画像表示装置、
13…操作スイッチ群、14…スピーカ、16…地図データ取得部、17…制御回路、
20…キー種別選択画面、21〜25…ボタン、30…日時設定画面、
31〜35…時期入力フィールド、40…目的地候補画面表示画面、
41…走行経路、42〜46…目的地候補POI、47…目的地候補リスト、
90…走行履歴情報、100…走行履歴記憶処理、
200…時期による目的地検索処理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの移動を案内するナビゲーション装置であって、
前記目的地の候補となり得る複数の地点(以下、それぞれPOIという)のそれぞれの名称および存在位置の情報を取得するPOI情報取得手段と、
自機の通過位置およびその通過位置の通過時期を逐次記録する移動履歴記録手段と、
検索対象時期の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた前記検索対象時期を含む時期における自機の通過位置群を、前記移動履歴記録手段の記録結果に基づいて特定する通過位置特定手段と、
前記通過位置特定手段が特定した前記通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、前記POI情報取得手段が取得した前記情報に基づいて抽出する抽出手段と、
前記抽出手段がその名称および存在位置を抽出した前記複数のPOI(以下、それぞれ抽出POIという)について、それらの名称を画像表示装置に表示させ、かつ、ユーザによる前記複数の抽出POIのうち1つを前記目的地として確定する処理を受け付けることで、当該1つの抽出POIの存在位置を前記目的地として決定する決定手段と、を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記画像表示装置を用いて、前記複数の抽出POIの名称を、それら抽出POIの近傍を自機が通過した順にリスト表示させ、そのリスト表示と同時に、前記複数の抽出POIのそれぞれを示す複数のPOI画像を、地図画像上の前記複数の抽出POIの存在位置に表示させ、
前記決定手段は更に、前記ユーザの選択操作によって前記複数の抽出POIのうち1つが選択されたことに基づいて、前記リスト表示内の当該1つの抽出POIの名称を強調表示させると共に、前記地図画像上の当該1つの抽出POIに対応する1つのPOI画像を強調表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記通過位置特定手段が特定した通過位置群のうち、前記自機の移動速度が低下した通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、前記POI情報取得手段が取得した前記情報に基づいて抽出することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記通過位置特定手段が特定した通過位置群のうち、自機が右折または左折を行った通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、前記POI情報取得手段が取得した前記情報に基づいて抽出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
目的地までの移動を案内する機能と、前記目的地の候補となり得る複数の地点(以下、それぞれPOIという)のそれぞれの名称および存在位置の情報を取得するPOI情報取得手段とを有するナビゲーション装置に用いるプログラムであって、
自機の通過位置およびその通過位置の通過時期を逐次記録する移動履歴記録手段、
検索対象時期の入力を受け付ける受付手段、
前記受付手段が受け付けた前記検索対象時期を含む時期における自機の通過位置群を、前記移動履歴記録手段の記録結果に基づいて特定する通過位置特定手段、
前記通過位置特定手段が特定した前記通過位置群またはその近傍にある複数のPOIの名称および存在位置を、前記POI情報取得手段が取得した前記情報に基づいて抽出する抽出手段、および
前記抽出手段がその名称および存在位置を抽出した前記複数のPOI(以下、それぞれ抽出POIという)について、それらの名称を画像表示装置に表示させ、かつ、ユーザによる前記複数の抽出POIのうち1つを前記目的地として確定する処理を受け付けることで、当該1つの抽出POIの存在位置を前記目的地として決定する決定手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−203017(P2008−203017A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37485(P2007−37485)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】