説明

ナビゲーション装置

【課題】車両のエンジンが起動された後、直ちにナビゲーションすることができるとともに、効率的に測位することができ、ポータブル型であっても適用が容易なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在位置を測位するGPSアンテナ12や測位プログラム18b1を実行したCPU11と、地図情報を記憶する地図情報データベース18a1と、当該測位された現在位置を、当該記憶された地図情報とともに表示部13に表示させる表示制御プログラム18b2を実行したCPU11と、を備えるナビゲーション装置1において、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯を設定する時間データテーブル18a2や設定プログラム18b3と、当該設定された時間帯よりも所定時間前に、GPSアンテナ12や測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させる開始制御プログラム18b4を実行したCPU11と、を備えるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等を利用して現在位置を測位し、その測位した現在位置を地図情報とともに表示画面上に表示するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
このようなナビゲーション装置は、起動してから、GPS衛星から信号(アルマナックやエフェメリスなど)を受信して現在位置を測位するまでに、時間がかかるという問題がある。
具体的には、例えば、車両に設置されたナビゲーション装置の場合、車両のエンジンが起動されるに伴って起動して、GPS衛星から信号を受信して現在位置を測位するが、起動してから現在位置を測位するまでに時間がかかるため、車両のエンジンが起動された後、直ちに表示画面上に正確な現在位置を表示することができず、使い勝手が悪いという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、GPS衛星から受信したエフェメリス(詳細軌道情報)を記憶しておく記憶手段を備え、記憶手段にエフェメリスが記憶されている場合には、その記憶されているエフェメリスを用いて現在位置の測位を行うホットスタートを実行可能に構成しておき、記憶手段に記憶されたエフェメリスを有効に使用できる最長時間(3〜4時間程度)以内の時間が経過すると、最新のエフェメリスを記憶手段に記憶させることによって、使用者が使用開始する時点において常にホットスタートできる状態にしておくことができるナビゲーション装置(GPS受信装置)が提案された(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、車両のドアが開錠等された時点で、バッテリで起動して現在位置の測位を行うことによって、車両の運行開始時における正確な現在位置の測位を迅速に開始できるナビゲーション装置(GPSレシーバ)も提案された(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−90443号公報
【特許文献2】特開2006−90858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、最新のエフェメリスを記憶手段に記憶させる動作を1日に6〜8回程度行うことになるが、ナビゲーション装置が使用されない期間が長いと、その動作が無駄になる可能性が高くなって、効率的でない。
また、特許文献2では、車両のドアが開錠等されたことを検出しなければならないため、ポータブル型のナビゲーション装置の場合には適用が困難である。
【0006】
本発明の課題は、設定された時間で車両のエンジンが起動された後、直ちにナビゲーションすることができるとともに、効率的に測位することができ、ポータブル型であっても適用が容易なナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、当該測位手段により測位された現在位置を、当該地図情報記憶手段に記憶された地図情報とともに表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、前記測位手段による現在位置の測位を開始させる開始制御手段と、
前記設定手段により設定された時間帯に当該ナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、前記開始制御手段により開始された前記測位手段による現在位置の測位を終了させる終了制御手段と、を備え、
前記設定手段は、
前記ナビゲーション装置が使用開始された開始時間を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度を集計し、当該集計された前記所定幅の時間帯毎の頻度を総頻度で割った値から前記所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始される確率を算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の閾値以上の時間帯を、前記ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定し、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がある場合に、前記時間帯の幅を狭く変更し、
前記開始制御手段は、
前記設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、前記所定時間を短く変更することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、当該測位手段により測位された現在位置を、当該地図情報記憶手段に記憶された地図情報とともに表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、前記測位手段による現在位置の測位を開始させる開始制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段により設定された時間帯に当該ナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、前記開始制御手段により開始された前記測位手段による現在位置の測位を終了させる終了制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
請求項2又は3に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段は、
前記ナビゲーション装置が使用開始された開始時間を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値を算出する算出手段と、を備え、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の閾値以上の時間帯を、前記ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の値を超える時間帯がある場合に、前記時間帯の幅を狭く変更することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記開始制御手段は、
前記設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、前記所定時間を短く変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、設定手段によって、ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定することができ、開始制御手段によって、設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、測位手段による現在位置の測位を開始させることができる。
すなわち、設定手段により設定された時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、測位動作が無駄になる可能性が低く、また、車両のドア等を開錠等されたことを検出する必要もない。
したがって、設定手段により設定された時間帯で車両のエンジンが起動された後、直ちにナビゲーションすることができるとともに、効率的に測位することができ、ポータブル型であっても適用が容易である。
【0014】
また、終了制御手段によって、設定手段により設定された時間帯にナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、開始制御手段により開始された測位手段による現在位置の測位を終了させることができる。
したがって、無駄な測位動作を続けることがないため、より効率的である。
【0015】
また、設定手段は、ナビゲーション装置が使用開始された時間を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置が使用開始された頻度を集計し、当該集計された所定幅の時間帯毎の頻度を総頻度で割った値から所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置が使用開始される確率を算出する算出手段と、を備え、そして、算出手段により算出されたナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定することができる。
したがって、自動的に、ナビゲーション装置の使用頻度が高い時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、利便性が高い。
【0016】
また、設定手段は、算出手段により算出されたナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がある場合に、時間帯の幅を狭く変更することができる。
すなわち、設定手段により設定される時間帯が精度の高いものになるよう、学習することができる。
【0017】
また、開始制御手段は、設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、所定時間を短く変更することができる。
したがって、所定時間を短く変更して、無駄な測位動作を低減することができるため、より一層効率的である。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、設定手段によって、ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定することができ、開始制御手段によって、設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、測位手段による現在位置の測位を開始させることができる。
すなわち、設定手段により設定された時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、測位動作が無駄になる可能性が低く、また、車両のドア等を開錠等されたことを検出する必要もない。
したがって、設定手段により設定された時間帯に車両のエンジンが起動された後、直ちにナビゲーションすることができるとともに、効率的に測位することができ、ポータブル型であっても適用が容易である。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、終了制御手段によって、設定手段により設定された時間帯にナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、開始制御手段により開始された測位手段による現在位置の測位を終了させることができる。
したがって、無駄な測位動作を続けることがないため、より効率的である。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、設定手段は、ナビゲーション装置が使用開始された開始時間を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値を算出する算出手段と、を備え、そして、算出手段により算出されたナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定することができる。
したがって、自動的に、ナビゲーション装置の使用頻度が高い時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、利便性が高い。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、設定手段は、算出手段により算出されたナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の値を超える時間帯がある場合に、時間帯の幅を狭く変更することができる。
すなわち、設定手段により設定される時間帯が精度の高いものになるよう、学習することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、開始制御手段は、設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、所定時間を短く変更することができる。
したがって、所定時間を短く変更して、無駄な測位動作を低減することができるため、より一層効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照して、本発明にかかるナビゲーション装置の最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0024】
<ナビゲーション装置の構成>
まず、ナビゲーション装置1の構成について、図1を参照して説明する。
ナビゲーション装置1は、例えば、車両に後付け可能に構成されたポータブル型のカーナビゲーション装置である。
具体的には、ナビゲーション装置1は、例えば、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、GPSアンテナ12と、表示部13と、入力部14と、電源部15と、計時部16と、RAM(Random Access Memory)17と、記憶部18と、等を備えて構成される。各部は、バス10によって接続されている。
【0025】
CPU11は、記憶部18に記憶されたナビゲーション装置1用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
【0026】
GPSアンテナ12は、例えば、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星から送信されるGPS信号(アルマナック(概略軌道情報)やエフェメリス(詳細軌道情報)など)を受信して、当該受信したGPS信号をCPU11に出力する。
【0027】
表示部13は、例えば、液晶表示機器等から構成され、CPU11から入力される表示信号に従って、所与の表示処理を行う。
具体的には、表示部13は、例えば、表示手段として、表示制御プログラム18b2を実行したCPU11(後述)が、測位プログラム18b1を実行したCPU11(後述)により測位された現在位置を、地図情報データベース18a1(後述)に記憶された地図情報とともに表示する際に使用される。
【0028】
入力部14は、例えば、文字/数字キー、各種機能キー、表示部13と一体的に構成されたタッチパネル等から構成され、ユーザにより操作されると、当該操作に伴う押下信号をCPU11に出力する。また、入力部14は、例えば、リモートコントローラ等を備える構成であってもよい。
【0029】
電源部15は、例えば、ナビゲーション装置1を構成する各部に電源を供給するためのものであり、例えば、図1に示すように、主電源部151と、予備電源部152と、等から構成される。
【0030】
主電源部151は、例えば、電源コード(図示省略)を介してナビゲーション装置1が設置された車両から供給された電源を、ナビゲーション装置1を構成する各部に供給する。
予備電源部152は、例えば、バッテリ(図示省略)等を内蔵し、所定の場合に、ナビゲーション装置1を構成する各部に電源を供給する。
すなわち、例えば、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動している間は、主電源部151が、ナビゲーション装置1を構成する各部に電源を供給し、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動していない間は、予備電源部152が、ナビゲーション装置1を構成する各部に電源を供給する。
【0031】
計時部16は、CPU11から入力される制御信号に従って、現在日時を計時する。
【0032】
RAM17は、例えば、CPU11により実行される処理プログラム等を展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域などを備える。
【0033】
記憶部18は、例えば、ナビゲーション装置1で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU11により演算処理された処理結果のデータ等を記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部18に記憶されている。
【0034】
具体的には、記憶部18は、例えば、図1に示すように、地図情報データベース18a1と、時間データテーブル18a2と、測位プログラム18b1と、表示制御プログラム18b2と、設定プログラム18b3と、開始制御プログラム18b4と、終了制御プログラム18b5と、等を記憶している。
【0035】
地図情報データベース18a1は、例えば、地図情報記憶手段として、所定の地域内(例えば、日本全土)を表現したカーナビゲーション用の道路地図に関する地図情報を記憶する。
【0036】
時間データテーブル18a2は、例えば、記憶手段として、ナビゲーション装置1が使用開始された開始時間を記憶する。
【0037】
測位プログラム18b1は、例えば、GPSアンテナ12から出力されたGPS信号に基づいて、ナビゲーション装置1が設置されている車両の絶対的な2次元の現在位置(緯度、経度)を測位する機能を、CPU11に実現させる。
ここで、測位手段は、例えば、GPSアンテナ12と、測位プログラム18b1を実行したCPU11と、等から構成される。
【0038】
表示制御プログラム18b2は、例えば、測位プログラム18b1を実行したCPU11により測位された現在位置を、地図情報データベース18a1に記憶された地図情報とともに表示部13に表示させる機能を、CPU11に実現させる。
CPU11は、かかる表示制御プログラム18b2を実行することによって、表示制御手段として機能する。
【0039】
設定プログラム18b3は、例えば、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯を設定する機能を、CPU11に実現させる。
【0040】
具体的には、CPU11は、例えば、時間データテーブル18a2に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始された頻度を集計し、当該集計された所定幅の時間帯毎の頻度を総頻度で割った値から、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出する。
すなわち、例えば、これまでにナビゲーション装置1が「100回」使用され、そのうちの「32回」が時間帯「7時〜8時」の間に使用開始された場合には、時間帯「7時〜8時」におけるナビゲーション装置1が使用開始される確率は「32/100」になる。
【0041】
そして、CPU11は、例えば、当該算出されたナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がある場合に、現在定められている時間帯の幅を狭く変更して、再度ナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出し、例えば、当該算出されたナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がない場合に、当該算出されたナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定する。
ここで、CPU11は、例えば、「1時間」→「30分」→「20分」→「10分」の順に、時間帯の幅を変更することとする。
【0042】
より具体的には、CPU11は、例えば、まず、ナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯があるか否かを判断し、ナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯に対して、その時間帯の幅を狭く変更して、再度ナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出する。
例えば、図2においては、時間帯「7時〜8時」と時間帯「18時〜19時」とが、ナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値以上の時間帯である。したがって、CPU11は、時間帯「7時〜8時」と時間帯「18時〜19時」とに対して、時間帯の幅を「1時間」から「30分」に変更し、時間帯「7時〜7時30分」と時間帯「7時30分〜8時」と時間帯「18時〜18時30分」と時間帯「18時30分〜19時」について、再度ナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出する。
この動作を、例えば、ナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超えなくなるまで繰り返し、ナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超えなくなったら、当該確率が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置1が使用される時間帯として設定する。
CPU11は、かかる設定プログラム18b3を実行することによって、算出手段として機能する。
ここで、設定手段は、時間データテーブル7a2と、設定プログラム18b3を実行したCPU11と、等から構成される。
【0043】
開始制御プログラム18b5は、例えば、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定された時間帯よりも所定時間前に、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させる機能を、CPU11に実現させる。
【0044】
具体的には、CPU11は、例えば、計時部16により計時された時間が、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定された時間帯の所定時間前になった場合に、予備電源部152により供給される電源で、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11を起動させて、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させる。
【0045】
ここで、CPU11は、例えば、設定プログラム18b3を実行したCPU11により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、所定時間を短く変更することとする。
【0046】
具体的には、例えば、図3に示すように、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定されたナビゲーション装置1が使用開始される時間帯の幅が「1時間」(例えば、時間帯「7時〜8時」)の場合には、時間帯「7時〜8時」よりも「30分」前の「6時30分」に、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させ、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定されたナビゲーション装置1が使用開始される時間帯の幅が「30分」(例えば、時間帯「7時〜7時30分」)の場合には、時間帯「7時〜7時30分」よりも「15分」前の「6時45分」に、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させ、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定されたナビゲーション装置1が使用開始される時間帯の幅が「20分」(例えば、時間帯「7時〜7時20分」)の場合には、時間帯「7時〜7時20分」よりも「10分」前の「6時50分」に、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させ、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定されたナビゲーション装置1が使用開始される時間帯の幅が「10分」(例えば、時間帯「7時〜7時10分」)の場合には、時間帯「7時〜7時10分」よりも「5分」前の「6時55分」に、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させる。
CPU11は、かかる開始制御プログラム18b4を実行することによって、開始制御手段として機能する。
【0047】
終了制御プログラム18b5は、例えば、設定プログラム18b3を実行したCPU11により設定された時間帯にナビゲーション装置1が使用開始されなかった場合には、開始制御プログラム18b4を実行したCPU11により開始されたGPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を終了させる機能を、CPU11に実現させる。
【0048】
具体的には、CPU11は、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動されて、主電源部151からナビゲーション装置1を構成する各部に電源が供給された場合に、ナビゲーション装置1が使用開始されたと判断する。
そして、ナビゲーション装置1が使用開始された場合には、表示制御プログラム18b2を実行したCPU11により現在位置が地図情報とともに表示部13に表示されることになる。
CPU11は、かかる終了制御プログラム18b5を実行することによって、終了制御手段として機能する。
【0049】
<現在位置測位処理>
次に、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動されていない状態での、ナビゲーション装置1による現在位置の測位に関する処理について、図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
まず、CPU11は、設定プログラム18b3を実行して、時間データテーブル18a2に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始された頻度に基づくナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出する(ステップS1)。
【0051】
次いで、算出された確率が所定の値を超える時間帯があるか否かを判断する(ステップS2)。
【0052】
ステップS2で、算出された確率が所定の値を超える時間帯があると判断すると(ステップS2;Yes)、CPU11は、現在定められている時間帯の幅を狭く変更して(ステップS3)、ステップS1以降の処理を繰り返して行う。
【0053】
一方、ステップS2で、算出された確率が所定の値を超える時間帯がないと判断すると(ステップS2;No)、CPU11は、算出された確率が所定の閾値以上の時間帯があるか否かを判断する(ステップS4)。
【0054】
ステップS4で、算出された確率が所定の閾値以上の時間帯がないと判断すると(ステップS4;No)、CPU11は、現在定められている時間帯の幅が所定の幅(例えば、「1時間」)であるか否かを判断する(ステップS5)。
【0055】
ステップS5で、現在定められている時間帯の幅が「1時間」であると判断すると(ステップS5;Yes)、CPU11は、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動されて、主電源部151からナビゲーション装置1を構成する各部に電源が供給されたか否か、すなわち、ナビゲーション装置1が使用開始されたか否かを判断する(ステップS6)。
【0056】
ステップS6で、ナビゲーション装置1が使用開始されていないと判断すると(ステップS6;No)、CPU11は、ステップS6の処理を繰り返して行う。
【0057】
一方、ステップS6で、ナビゲーション装置1が使用開始されたと判断すると(ステップS6;Yes)、CPU11は、ステップS16の処理に移行する。
【0058】
また、ステップS5で、現在定められている時間帯の幅が「1時間」でないと判断すると(ステップS5;Yes)、CPU11は、現在定められている時間帯の幅を広く変更して(ステップS7)、時間データテーブル18a2に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始された頻度に基づくナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出し(ステップS8)、ステップS4以降の処理を繰り返して行う。
【0059】
また、ステップS4で、算出された確率が所定の閾値以上の時間帯があると判断すると(ステップS4;Yes)、CPU11は、当該算出された確率が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定する(ステップS9)。
【0060】
次いで、CPU11は、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯の所定時間前になったか否かを判断する(ステップS10)。
【0061】
ステップS10で、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯の所定時間前になっていないと判断すると(ステップS10;No)、CPU11は、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動されて、ナビゲーション装置1が使用開始されたか否かを判断する(ステップS11)。
【0062】
ステップS11で、ナビゲーション装置1が使用開始されていないと判断すると(ステップS11;No)、CPU11は、ステップS10以降の処理を繰り返して行う。
【0063】
一方、ステップS11で、ナビゲーション装置1が使用開始されたと判断すると(ステップS11;Yes)、CPU11は、ステップS16の処理に移行する。
【0064】
また、ステップS10で、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯の所定時間前になったと判断すると(ステップS10;Yes)、CPU11は、開始制御プログラム18b4を実行して、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を開始させる(ステップS12)。
【0065】
次いで、CPU11は、ナビゲーション装置1が設置された車両のエンジンが起動されて、ナビゲーション装置1が使用開始されたか否かを判断する(ステップS13)。
【0066】
ステップS13で、ナビゲーション装置1が使用開始されていないと判断すると(ステップS13;No)、CPU11は、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯が経過したか否かを判断する(ステップS14)。
【0067】
ステップS14で、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯が経過していないと判断すると(ステップS14;No)、CPU11は、ステップS13以降の処理を繰り返して行う。
【0068】
一方、ステップS14で、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定された時間帯が経過したと判断すると(ステップS14;Yes)、CPU11は、終了制御プログラム18b5を実行して、GPSアンテナ12及び測位プログラム18b1を実行したCPU11による現在位置の測位を終了させ(ステップS15)、ステップS10以降の処理を繰り返して行う。
【0069】
また、ステップS13で、ナビゲーション装置1が使用開始されたと判断すると(ステップS13;Yes)、CPU11は、ナビゲーション装置1が使用開始された時間を時間データテーブル18a2に記憶させて(ステップS16)、ステップS1以降の処理を繰り返して行う。
【0070】
以上説明した本発明のナビゲーション装置1によれば、現在位置を測位するGPSアンテナ12や測位プログラム18b1を実行したCPU11と、地図情報を記憶する地図情報データベース18a1と、GPSアンテナ12と測位プログラム18b1を実行したCPU11により測位された現在位置を、地図情報データベース18a1に記憶された地図情報とともに表示部13に表示させる表示制御プログラム18b2を実行したCPU11と、等を備えている。
そして、時間データテーブル18a2や設定プログラム18b3を実行したCPU11によって、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯を設定することができ、開始制御プログラム18b4を実行したCPU11によって、設定プログラム18b3を実行したCPU11等により設定された時間帯よりも所定時間前に、測位プログラム18b1を実行したCPU11等による現在位置の測位を開始させることができる。
すなわち、設定された時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、測位動作が無駄になる可能性が低く、また、車両のドア等を開錠等されたことを検出する必要もない。
したがって、設定された時間帯で車両のエンジンが起動された後、直ちにナビゲーションすることができるとともに、効率的に測位することができ、ポータブル型であっても適用が容易である。
【0071】
また、終了制御プログラム18b5を実行したCPU11によって、設定プログラム18b3を実行したCPU11等により設定された時間帯にナビゲーション装置1が使用開始されなかった場合には、開始制御プログラム18b4を実行したCPU11により開始された測位プログラム18b1を実行したCPU11等による現在位置の測位を終了させることができる。
したがって、無駄な測位動作を続けることがないため、より効率的である。
【0072】
また、設定プログラム18b3を実行したCPU11は、時間データテーブル18a2に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始された頻度を集計し、当該集計された所定幅の時間帯毎の頻度を総頻度で割った値から所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出することができ、そして、当該算出されたナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の閾値以上の時間帯を、ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯として設定することができる。
したがって、自動的に、ナビゲーション装置1の使用頻度が高い時間帯の所定時間前に現在位置を測位するため、利便性が高い。
【0073】
また、設定プログラム18b3を実行したCPU11は、当該算出されたナビゲーション装置1が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がある場合に、時間帯の幅を狭く変更することができる。
すなわち、設定される時間帯が精度の高いものになるよう、学習することができる。
【0074】
また、開始制御プログラム18b4を実行したCPU11は、設定プログラム18b3を実行したCPU11により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、所定時間を短く変更することができる。
したがって、所定時間を短く変更して、無駄な測位動作を低減することができるため、より一層効率的である。
【0075】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
時間データテーブル18a2に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎にナビゲーション装置1が使用開始された頻度に基づくナビゲーション装置1が使用開始される確率を算出するようにしたが、ナビゲーション装置が使用開始された頻度を算出してもよいし、当該頻度に基づく所定のパラメータ値を算出するようにしてもよい。
具体的には、所定のパラメータ値は、例えば、ナビゲーション装置が使用開始された頻度と所定の重み付け係数との積などである。
【0077】
ナビゲーション装置1が使用開始される時間帯の幅を、「1時間」、「30分」、「20分」又は「10分」に設定し、また、当該設定された時間帯よりも「30分」、「15分」、「10分」又は「5分」前に、現在位置を測位するようにしたが、これらの数値は、この限りでなく、任意である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明にかかるナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】時間データテーブルに記憶された時間を整理して算出した、所定幅(1時間)の時間帯毎のナビゲーション装置1が使用開始される確率を示す図である。
【図3】現在位置の測位を開始するタイミングを説明するための図である。
【図4】ナビゲーション装置が設置された車両のエンジンが起動されていない状態での、ナビゲーション装置による現在位置の測位に関する第1処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】ナビゲーション装置が設置された車両のエンジンが起動されていない状態での、ナビゲーション装置による現在位置の測位に関する第2処理について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 ナビゲーション装置
11 CPU(測位手段、表示制御手段、設定手段、算出手段、開始制御手段、終了制御手段)
12 GPSアンテナ(測位手段)
13 表示部(表示手段)
18a1 地図情報データベース(地図情報記憶手段)
18a2 時間データテーブル(設定手段、記憶手段)
18b1 測位プログラム(測位手段)
18b2 表示制御プログラム(表示制御手段)
18b3 設定プログラム(設定手段、算出手段)
18b4 開始制御プログラム(開始制御手段)
18b5 終了制御プログラム(終了制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、当該測位手段により測位された現在位置を、当該地図情報記憶手段に記憶された地図情報とともに表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、前記測位手段による現在位置の測位を開始させる開始制御手段と、
前記設定手段により設定された時間帯に当該ナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、前記開始制御手段により開始された前記測位手段による現在位置の測位を終了させる終了制御手段と、を備え、
前記設定手段は、
前記ナビゲーション装置が使用開始された開始時間を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度を集計し、当該集計された前記所定幅の時間帯毎の頻度を総頻度で割った値から前記所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始される確率を算出する算出手段と、を備え、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の閾値以上の時間帯を、前記ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定し、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始される確率が所定の値を超える時間帯がある場合に、前記時間帯の幅を狭く変更し、
前記開始制御手段は、
前記設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、前記所定時間を短く変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
現在位置を測位する測位手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、当該測位手段により測位された現在位置を、当該地図情報記憶手段に記憶された地図情報とともに表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置が使用開始される時間帯を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された時間帯よりも所定時間前に、前記測位手段による現在位置の測位を開始させる開始制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段により設定された時間帯に当該ナビゲーション装置が使用開始されなかった場合には、前記開始制御手段により開始された前記測位手段による現在位置の測位を終了させる終了制御手段を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段は、
前記ナビゲーション装置が使用開始された開始時間を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された開始時間に基づいて、所定幅の時間帯毎に前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値を算出する算出手段と、を備え、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の閾値以上の時間帯を、前記ナビゲーション装置が使用開始される時間帯として設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された前記ナビゲーション装置が使用開始された頻度若しくは当該頻度に基づく所定のパラメータ値が所定の値を超える時間帯がある場合に、前記時間帯の幅を狭く変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記開始制御手段は、
前記設定手段により変更された時間帯の幅が狭くなるにつれて、前記所定時間を短く変更することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−101996(P2008−101996A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284058(P2006−284058)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】