説明

ナビゲーション装置

【課題】固定画像として表示する道路地図の範囲を指定した後、違和感なく固定画像を表示しながら道路地図のスクロールを始めることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車位置マーク21の周りを囲うように指で描いて、固定画像として表示する道路地図20の範囲を指定する。指定された範囲は固定画像41として記憶される。記憶された固定画像41は、範囲が指定されたときと位置を変えずに、道路地図20とともに表示モニタ16に表示される。また、固定画像41は、道路地図20がスクロールされてもその位置を変えない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示モニタに表示された道路地図をスクロールすることができるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として以下のナビゲーション装置が知られている。目的地点にたどり着くためのキーポイントとなる地図をユーザに表示させる。2本の境界線を表示し、2本の境界線を操作させて、静止画像として表示する地図範囲を指定させる。範囲指定に対応する地図画面を記憶する。そして、左右に2画面表示した表示画面のうち、左画面には記憶した地図画面を静止状態で表示し、右画面には現在位置表示を中心としたスクロール可能な地図画面を表示する(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−113289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているナビゲーション装置では、道路地図の静止画面を表示すると表示画面が左右分割の2画面に切り換り、表示画面が急に変わるのでかえって利便性が悪くなる場合があるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、表示モニタに表示された道路地図から範囲を指定する指定手段と、指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像として記憶する記憶手段と、記憶手段によって記憶された固定画像を、指定手段によって指定されたときの表示モニタの表示画面上の範囲に表示する表示制御手段とを備え、表示制御手段は、道路地図がスクロールされても、表示画面上の位置を変えずに固定画像を表示することを特徴とする。
(2)請求項2の発明のナビゲーション装置は、表示モニタに表示された道路地図から範囲を指定する指定手段と、道路地図とともにアイコンを表示するアイコン表示手段と、指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像としてアイコンに登録する登録手段と、アイコンが選択されると、アイコンに登録された固定画像を表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、表示モニタの表示画面にタッチパネルが設けられ、指定手段は、タッチパネルを押圧しながら描いた枠内の道路地図が指定されることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、指定手段は、道路地図の縮尺率を任意に選択して範囲を指定できることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、道路地図とともにアイコンを表示するアイコン表示手段と、記憶手段によって記憶された固定画像をアイコンに登録する登録手段とを備え、表示制御手段は、アイコンが選択されると、登録手段によって登録された固定画像を前記表示モニタに表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、固定画像として表示する道路地図の範囲が指定されると、範囲指定された道路地図の固定画像は範囲指定された位置にそのまま固定される。このため、道路地図の固定画像を表示したときの表示画面が表示前の表示画面と変わらないので、ユーザは違和感なく固定画像を表示しながら道路地図のスクロールを始めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1Aはタッチパネル18を備え、タッチパネル18上で枠を描くと、その枠内に表示された道路地図が、固定画像として指定される。ナビゲーション装置1Aは、タッチパネル18のほかに制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、データ記憶部110およびディスクドライブ111を有している。
【0007】
タッチパネル18は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチであり、表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル18を通して表示される。タッチパネル18は、タッチパネル18上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部19に送出し、タッチパネルコントロール部19はタッチパネル18の押圧位置を算出する。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11が、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0009】
現在地検出装置14は、車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどから成る。ナビゲーション装置1Aは、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ111によって読み込まれるDVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1Aは、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行う。
【0011】
ディスクドライブ111は、装填されたDVD−ROM112から、表示モニタ16へ地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。これらのデータには、道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0012】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の道路地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。入力装置17は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、リモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示にしたがって入力装置17を手動で操作することにより、目的地を選択して目的地を設定する。また、入力装置17を操作することにより、表示モニタ16に表示された道路地図をスクロールすることができる。
【0013】
上述したとおり、タッチパネル18は表示モニタ16のモニタ画面上に設けられた透明パネルである。表示モニタ16に表示した表示画面はタッチパネル18を通して表示され、表示モニタ16の表示画面を押圧するとタッチパネル18が押圧される。タッチパネル18は、入力装置17と同様に入力機能を有する。表示モニタ16に表示された各種ボタンや表示メニューなどを指で押圧するとタッチパネル18が押圧され、各種ボタンや表示メニューに対応する処理を実行する。また、タッチパネル18の押圧操作により、道路地図上に目的地を設定したり、道路地図をスクロールしたり、後述する固定画像として表示する範囲を指定したりすることができる。
【0014】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1Aは、GPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として、所定のアルゴリズムに基づいて目的地までのルートを経路演算する。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態を、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路と区別して表示される。これにより、ユーザは、地図上の推奨経路を認識することができる。また、ナビゲーション装置1Aは、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0015】
データ記憶部110は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な記録媒体によって構成され、ナビゲーション装置1Aの機能に必要なデータを記憶する。データ記憶部110に記憶された情報は、制御回路11によって適宜読み出されて利用される。また、範囲指定された道路地図の画像データを記憶する。
【0016】
次に、第1の実施形態のナビゲーション装置1Aにおける道路地図の固定画像の表示操作について、図2〜5を参照して説明する。ユーザは、図2に示すように表示モニタ16に道路地図20を表示しているものとする。道路地図20には、車両の現在地を示す自車位置マーク21が表示されている。ここで、ユーザは、表示モニタ16の表示範囲から少し外れた位置の様子を調べようとしているものとする。また、車両との位置関係を把握できるようにするため自車位置マーク21も同時に表示したいと考えているものとする。
【0017】
表示モニタ16の表示範囲から少し外れた位置の様子を調べるには、道路地図20をスクロールすればよい。しかし、道路地図20をスクロールすると、自車位置マーク21が表示モニタ16の表示画面からわずかに外れ、見えなくなる場合がある。このような場合、道路地図20の縮尺率を小さくして、自車位置マーク21と現在地から離れた位置とを同時に表示する方法もある。しかし、道路地図20の縮尺率を小さくすると、道路地図20の詳細な情報がわからなくなる。
【0018】
そこで、ユーザは、道路地図20をスクロールしても車両との位置関係を把握できるようにするために、自車位置マーク21周辺の道路地図を、スクロールしても表示画面から外れないように固定する。本発明の実施形態では、表示モニタ16に表示された道路地図20に押圧操作で枠を描くことによって、固定する道路地図の範囲、つまり固定画像として表示する道路地図の範囲を指定する。
【0019】
固定画像の範囲を指定する場合、図2に示すように、自車位置マーク21の周りを囲うように指で線22を描く。描いた線22は道路地図20に重ねて表示される。線22が閉じて枠33が描かれると、図3に示すように範囲指定画面30が表示される。範囲指定画面30には、「固定しますか?」というユーザに対する問合せ文とともに、YESボタン31とNOボタン32とが表示される。
【0020】
YESボタン31を押圧すると、図4に示すように、枠33内の範囲が固定画像41として表示される。固定画像41の位置および大きさは、枠33内の範囲と同一である。表示画面には、固定画像41とともに固定解除ボタン42が表示される。固定解除ボタン42を押圧すると固定画像41は消去される。
【0021】
図4の道路地図20を矢印方向にスクロールしたものを図5に示す。図5に示すように道路地図20をスクロールしても固定画像41の位置は変わらない。したがって、道路地図20をスクロールして自車位置マーク21が表示画面から外れても、自車位置マーク21が表示された固定画像41を参照して、表示画面から外れた自車位置マーク21の位置を認識でき、車両と新しく表示された道路地図との位置関係を把握できる。
【0022】
図3のNOボタン32を押圧すると、枠33は消去される。そして、固定画像として表示する道路地図の範囲の指定をやり直すことができる。
【0023】
次に、固定画像表示処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6の処理は、固定スクロールモードに切り換えるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。ここで、固定スクロールモードとは、道路地図の所定範囲を固定画像として表示することのできるモードであり、不図示の固定スクロールボタンを押圧することによって切り換えられる。
【0024】
ステップS601では、タッチパネル18上で押圧操作して描かれた線22が閉じたか判定する。ここで、線22の重なりを検出すると、線22は閉じたと判定する。線22が閉じた場合はステップS601が肯定判定され、ステップS602へ進む。閉じていない場合はステップS601を繰り返す。ステップS602では、範囲指定画面30を表示する。
【0025】
ステップS603では、YESボタン31が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS603が肯定判定され、ステップS604へ進む。YESボタン31が押圧されていない場合はステップS603が否定判定され、ステップS608へ進む。ステップS604では、線22で囲まれた範囲(枠33)の道路地図の画像データを、その表示位置とともに固定画像としてデータ記憶部110に記憶する。ステップS605では、線22を消去すると同時に記憶した表示位置に固定画像を、地図データから生成した画像、つまりスクロール可能な道路地図の画像に重ねて表示する。
【0026】
ステップS606では、固定解除ボタン42が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS606が肯定判定され、ステップS607へ進む。押圧されていない場合はステップS605へ戻る。ステップS607では、固定画像41を消去する。そして、固定画像表示処理を終了する。
【0027】
ステップS608では、NOボタン32が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS608が肯定判定され、ステップS609へ進む。押圧されていない場合はステップS608が否定判例され、ステップS603へ戻る。ステップS609では、線22を消去する。そして、ステップS601へ戻る。
【0028】
以上の第1の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)固定画像として表示する道路地図の範囲が指定されると、範囲指定された道路地図の固定画像は範囲指定された位置にそのまま固定される。このため、道路地図の固定画像41を表示したときの表示画面が表示前の表示画面と変わらないので、ユーザは違和感なく固定画像41を表示しながら道路地図20のスクロールを始めることができる。
【0029】
(2)道路地図20をスクロールすると表示画面から外れる対象物をその表示位置を変えずに固定画像41として表示することができるので、スクロール後、新しく表示された道路地図とその対象物との間の位置関係を把握することができる。
【0030】
(3)タッチパネル18の押圧操作によって、固定画像41として表示する道路地図の範囲を指定することができる。したがって、範囲指定の操作が容易であり、さらに範囲指定
の大きさおよび形を自由に指定できるので、ユーザに対する利便性が向上する。
【0031】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置1Bについて説明する。第2の実施形態のナビゲーション装置1Bは、範囲指定した固定画像を登録し、経路誘導中に登録した固定画像を読み出して表示することができる。第2の実施形態によるナビゲーション装置1Bの構成は、図1に示す第1の実施形態のナビゲーション装置1Aと同じである。
【0032】
図7〜13を参照して、第2の実施形態のナビゲーション装置1Bにおける固定画像の登録表示操作について説明する。はじめに、図7〜10を参照して固定画像の登録操作について説明する。
【0033】
ユーザは、目的地71を設定して、図7に示すよう推奨経路72を探索したものとする。この推奨経路72に沿って車両は通行するためには、十字路の交差点73a〜73cを間違えずに右左折する必要がある。そこで、ユーザは、ナビゲーション装置1Bに交差点73a〜73cの固定画像を登録し、推奨経路72を走行中に交差点73a〜73cの固定画像を交差点拡大図として表示モニタ16に表示するものとする。
【0034】
ユーザは、道路地図20をスクロールして交差点73aを表示モニタ16に表示する。固定画像を交差点の拡大図として使用するため、図8に示すように、交差点73a周辺の施設を認識できる程度に道路地図20を拡大する。すなわち、道路地図20の縮尺率を任意に選択する。そして、固定画像として登録する範囲を指定するため、交差点73aの周りを指で描く。描いた線81は、道路地図20に重ねて表示される。線81が閉じて枠93が描かれると、図9に示すように登録画面90が表示される。登録画面90には、「登録しますか?」というユーザに対する問合せ文とともに、YESボタン91とNOボタン92とが表示される。
【0035】
YESボタン91を押圧すると、枠93の範囲の道路地図は登録される。つまり、固定画像としてデータ記憶部110に記憶される。そして、図10に示すように、登録確認画面100が表示される。登録確認画面には、「Aボタンに登録しました」という登録完了を知らせる通知文とともに了解ボタン101が表示される。登録されると、後述するAボタン102を押圧することによって交差点73aの固定画像を表示することができる。
【0036】
了解ボタン101を押圧すると、枠93は消去される。そして、道路地図20をスクロールして、交差点73b,73cを表示モニタ16に表示し、同様な方法で、交差点73b,73cの固定画像を登録する。ここで、図11に示すように、交差点73bはBボタン103に登録され、交差点73cはCボタン104に登録されたものとする。Aボタン102、Bボタン103およびCボタン104を総称して固定画像表示ボタンと呼ぶ。
【0037】
図9のNOボタン92を押圧すると、枠93は消去される。そして、固定画像の登録をやり直すことができる。
【0038】
固定画像として登録する範囲が指定されていない間、表示モニタ16には図8に示す登録終了ボタン82が表示される。そして、固定画像の登録操作を終了するときは、登録終了ボタン82を押圧する。
【0039】
次に、図12〜13を参照して固定画像の表示操作について説明する。図12は、推奨経路72にしたがって経路誘導中における表示モニタ16の表示画面を説明するための図である。ここで、ユーザは、交差点73aに至る手前を走行しているものとする。表示画面には、道路地図20に重ねて自車位置マーク21と推奨経路72とが表示される。自車位置マーク21は表示画面の中心に表示される。交差点73a〜73cの固定画像が登録されたボタンA102、ボタンB103およびボタンC104は、アイコンとして表示画面に表示される。
【0040】
交差点73aを誤って直進しないようにするため、交差点73aを通過する前に交差点73aの状況を把握する必要がある。そこで、ユーザは、図13に示すように、Aボタン102を押圧して、交差点73aの固定画像131を表示する。固定画像131は、自車位置マーク21が隠れないようにするため、表示画面の左上など所定の位置に表示される。固定画像131に表示された施設を目印とすることによって、交差点73aを間違いなく右折することができる。同様にして、Bボタン103を押圧することによって交差点73bの固定画像を表示し、Cボタン104を押圧することによって交差点73cの固定画像を表示することができる。そして、それぞれの交差点73b,73cを間違えずに、推奨経路72にしたがって進行することができる。
【0041】
第2の実施形態におけるナビゲーション装置1Bの固定画像登録処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。図14の処理は、固定画像登録モードに切り換えるとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。固定画像登録モードとは、道路地図の所定範囲を固定画像として登録することのできるモードであり、不図示の固定画像登録モードボタンを押圧することによって切換えられる。ここで、ユーザは、縮尺率を任意に選択して道路地図を表示しているものとする。
【0042】
ステップS1401では、タッチパネル18上で押圧操作して描かれた線81が閉じたか判定する。線81が閉じた場合はステップS1401が肯定判定され、ステップS1402へ進む。閉じていない場合はステップS1401を繰り返す。ステップS1402では、登録画面90を表示する。
【0043】
ステップS1403では、YESボタン91が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS1403が肯定判定され、ステップS1404へ進む。YESボタン91が押圧されていない場合はステップS1403が否定判定され、ステップS1409へ進む。ステップS1404では、線81で囲まれた範囲(枠93)の道路地図の画像データに識別記号を割り当て、画像データを固定画像として、割り当てた識別記号と関連付けてデータ記憶部110に記憶する。たとえば、図11の交差点73aの固定画像には識別記号「A]が割り当てられ、交差点73bの固定画像には識別記号「B]が割り当てられ、交差点73cの固定画像には識別記号「C]が割り当てられ、そしてそれぞれの識別記号に関連付けられてデータ記憶部110に記憶される。
【0044】
ステップS1405では、登録確認画面100を表示する。ステップS1406では、了解ボタン101が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS1406が肯定判定され、ステップS1407へ進む。押圧されていない場合はステップS1406を繰り返す。ステップS1407では、登録終了ボタン82が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS1407が肯定判定され、ステップS1408へ進む。押圧されない場合はステップS1407が否定判定され、ステップS1410へ進む。ステップS1408では、線81を消去する。そして、固定画像登録処理は終了する。
【0045】
ステップS1409では、NOボタン92が押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS1409が肯定判定され、ステップS1410へ進む。押圧されていない場合はステップS1409が否定判定され、ステップS1403へ戻る。ステップS1410では、線81を消去する。そして、ステップS1401へ戻る。
【0046】
第2の実施形態におけるナビゲーション装置1Bの固定画像表示処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。図15の処理は、経路誘導開始とともにスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0047】
ステップS1501では、固定画像表示ボタンを表示する。ここで、固定画像表示ボタンとは、固定画像に割り当てられた識別記号が表示されたボタンである。固定画像表示ボタンは、図12のA〜Cボタン102〜104に相当する。ここで、Aボタン102は交差点73aの固定画像に割り当てられた識別記号「A」を表示したボタンであり、Bボタン103は交差点73bの固定画像に割り当てられた識別記号「B」を表示したボタンであり、Cボタン102は交差点73cの固定画像に割り当てられた識別記号「C」を表示したボタンである。
【0048】
ステップS1502では、固定画像表示ボタンが押圧されたか判定する。押圧された場合はステップS1502が肯定判定され、ステップS1503へ進む。押圧されていない場合はステップS1502を繰り返す。ステップS1503では、固定画像表示ボタンに表示されている識別記号に関連付けられた固定画像をデータ記憶部110から読み出す。ステップS1504では、読み出した固定画像を表示モニタ16に表示する。
【0049】
以上の第2の実施形態によるナビゲーション装置1Bは次のような作用効果を奏する。
(1)表示モニタ16に表示した道路地図20から必要な範囲を指定して道路地図の固定画像を作成することができる。そして、固定画像表示ボタンなどのアイコンに関連させてその固定画像を登録し、そのアイコンが押圧されるとそのアイコンに関連した固定画像を表示モニタ16に表示するようにした。したがって、必要な道路地図の固定画像を必要な時期に表示することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0050】
(2)交差点周辺を拡大した道路地図の固定画像を登録することによって、任意の交差点の拡大図を作成することができる。したがって、地図データに交差点拡大図が記憶されていなくも、交差点拡大図を表示することができ、交差点の右左折などの間違えを防止することができる。
【0051】
(3)タッチパネル18の押圧操作によって、固定画像として登録する道路地図の範囲を指定することができる。したがって、範囲指定の操作が容易で、また、範囲指定の大きさおよび形を自由に指定できるので、ユーザに対する利便性が向上する。
【0052】
(4)固定画像として表示する道路地図の範囲を指定するとき、道路地図の縮尺率を任意に選択して所定の範囲を指定できる。したがって、ユーザの好みに応じた縮尺率の交差点拡大図などを表示することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0053】
以上の実施形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)タッチパネル18の押圧操作によって、固定画像として表示または登録する範囲を指定したり、ボタンを選択したりしたが、操作パネルやリモコンの操作によって範囲を指定したりボタンを選択したりしてもよい。
【0054】
(2)表示モニタ16に表示されたアイコンと、データ記憶部110に記憶されている固定画像の画像データとが関連付けられれば、固定画像を登録するアイコンは識別記号が表示されている固定画像表示ボタンに限定されない。
【0055】
(3)アイコンが押圧されるとそのアイコンに関連した固定画像が表示モニタ16に表示されるが、アイコンが押圧されると表示される固定画像は、範囲指定された表示画面上の位置に表示されるようにしてもよい。
【0056】
(4)アイコンが押圧されるとそのアイコンに関連した固定画像が所定の位置に表示モニタ16に表示されるが、表示される位置は自車位置マーク21の位置などによって適宜変更されるようにしてもよい。また、表示される固定画像はポップアップウインドウで表示されてもよいし、分割画面で表示されてもよい。
【0057】
本発明は、表示モニタに表示された道路地図から所定の範囲を指定する指定手段と、指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像として記憶する記憶手段と、記憶手段によって記憶された固定画像を、指定手段によって指定されたときの表示モニタの表示画面上の範囲に表示する表示制御手段とを備え、表示制御手段は、道路地図がスクロールされても、表示画面上の位置を変えずに固定画像を表示することを特徴とする構成を有していれば、以上説明した第1の実施形態になんら限定されない。
【0058】
本発明は、表示モニタに表示された道路地図から所定の範囲を指定する指定手段と、道路地図に重ねてアイコンを表示するアイコン表示手段と、指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像としてアイコンに登録する登録手段と、アイコンが選択されると、アイコンに登録された固定画像を表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする構成を有していれば、以上説明した第2の実施形態になんら限定されない。
【0059】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の指定手段は制御回路11およびタッチパネル18に対応し、記憶手段および登録手段は制御回路11およびデータ記憶部110に対応する。表示制御手段およびアイコン表示手段は制御回路11および表示モニタ16に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】固定画像の範囲を指定するための操作を説明するための図である。
【図3】範囲指定画面を説明するための図である。
【図4】固定画像を表示したときの表示モニタの表示画面を説明するための図である。
【図5】道路地図をスクロールした後の固定画像を表示したときの表示モニタの表示画面を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の固定画像表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】推奨経路が通過する交差点を説明するための図である。
【図8】固定画像の範囲を指定するための操作を説明するための図である。
【図9】登録画面を説明するための図である。
【図10】登録確認画面を説明するための図である。
【図11】交差点の固定画像に関連付けられた固定画像表示ボタンを説明するための図である。
【図12】経路誘導中に表示される固定画像表示ボタンを説明するための図である。
【図13】固定画像表示ボタンを押圧したときに表示される固定画像を説明するための図である。
【図14】第2の実施形態に係るナビゲーション装置の固定画像登録処理について説明するためのフローチャートである。
【図15】第2の実施形態に係るナビゲーション装置の固定画像表示処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1A,1B ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
18 タッチパネル
19 タッチパネルコントロール部
20 道路地図
22,81 線
30 範囲指定画面
33,93 枠
41,131 固定画像
72 推奨経路
73a〜73c 交差点
90 登録画面
100 登録確認画面
102〜104 固定画像表示ボタン
110 データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モニタに表示された道路地図から範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像として記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された固定画像を、前記指定手段によって指定されたときの前記表示モニタの表示画面上の範囲に表示する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記道路地図がスクロールされても、前記表示画面上の位置を変えずに前記固定画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
表示モニタに表示された道路地図から範囲を指定する指定手段と、
道路地図とともにアイコンを表示するアイコン表示手段と、
前記指定手段によって指定された範囲の道路地図を固定画像として前記アイコンに登録する登録手段と、
前記アイコンが選択されると、前記アイコンに登録された固定画像を前記表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタの表示画面にタッチパネルが設けられ、
前記指定手段は、前記タッチパネルを押圧しながら描いた枠内の道路地図が指定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記指定手段は、前記道路地図の縮尺率を任意に選択して範囲を指定できることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
道路地図とともにアイコンを表示するアイコン表示手段と、
前記記憶手段によって記憶された固定画像を前記アイコンに登録する登録手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記アイコンが選択されると、前記登録手段によって登録された固定画像を前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−39813(P2008−39813A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209692(P2006−209692)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】