説明

ナビゲーション装置

【課題】経路の特徴を示す経路特徴点が数多く存在する場合であっても、各経路の特徴を見やすく表示することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、複数の経路を設定し(ステップS20)、設定された各経路に対して複数の経路特徴点を設定する(ステップS40)。こうして設定された経路特徴点のそれぞれに対して優先度を設定し(ステップS50)、設定された優先度に基づいて、経路特徴点のうちいずれかを選択する(ステップS60)。そして、ステップS20で設定された複数の経路を表示モニタに表示し、その各経路に付して、ステップS60で選択された経路特徴点を表示する(ステップS70)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の経路を探索して表示するナビゲーション装置において、各経路の違いや特徴を把握しやすくするために、複数の経路が分岐する地点や、経路の道路の名称および道路種別のいずれか一方が変化する地点を、経路の特徴を示す経路特徴点として、経路特徴点マークを付して表示するものが本出願人によって出願されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−162503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置において、経路特徴点が数多く存在する場合は、それに応じて多数の経路特徴点マークが画面上に表示されてしまうため、各経路の特徴がかえって分かり難くなることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、経路を設定する経路設定手段と、経路設定手段により設定された経路に対して複数の経路特徴点を設定する経路特徴点設定手段と、経路特徴点設定手段により設定された経路特徴点のそれぞれに対して優先度を設定する優先度設定手段と、優先度設定手段により設定された優先度に基づいて、経路特徴点のうちいずれかを選択する選択手段と、経路を表示モニタに表示し、その経路に付して、選択手段により選択された経路特徴点を表示する表示制御手段とを備える。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、選択手段は、所定のしきい値以上の優先度が設定された経路特徴点を選択するものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、しきい値をユーザの操作に応じて変化させる変化手段をさらに備えるものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、回転操作またはスライド操作可能な操作部材をさらに備え、変化手段は、ユーザによる操作部材の操作量に応じて、しきい値を連続的に変化させるものである。
請求項5の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、選択手段は、選択された経路特徴点の合計が所定の表示制限数を超えない範囲で優先度が高い順に経路特徴点を選択するものである。
請求項6の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、表示制限数をユーザの操作に応じて変化させる変化手段をさらに備えるものである。
請求項7の発明は、請求項6に記載のナビゲーション装置において、回転操作またはスライド操作可能な操作部材をさらに備え、変化手段は、ユーザによる操作部材の操作量に応じて、表示制限数を連続的に変化させるものである。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、経路特徴点設定手段は、経路上の地点または経路沿いの地点を経路特徴点に設定するものである。
請求項9の発明は、請求項8に記載のナビゲーション装置において、経路特徴点設定手段は、経路上の地点として、複数の経路が同一の道路から分岐する分岐地点、複数の経路が同一の道路に合流する合流地点、経路の道路種別が変化する道路種別変化地点、経路上の交差点、または経路上のインターチェンジのうち少なくともいずれかを、経路特徴点に設定するものである。
請求項10の発明は、請求項8に記載のナビゲーション装置において、経路特徴点設定手段は、経路沿いの地点として、経路に沿って位置する施設を経路特徴点に設定するものである。
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、優先度設定手段は、経路特徴点における経路の道路種別、または経路の始点もしくは終点と経路特徴点との位置関係に基づいて、優先度を設定するものである。
請求項12の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、表示制御手段は、経路の形状を簡略化した要約地図を表示モニタに表示するものである。
請求項13の発明によるナビゲーション装置は、経路を設定する経路設定手段と、経路設定手段により設定された経路に対して複数の経路特徴点を設定する経路特徴点設定手段と、経路を表示モニタに表示し、その経路に付して経路特徴点を表示する表示制御手段とを備え、経路特徴点設定手段は、経路に沿って位置する施設を経路特徴点に設定するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、経路の特徴を示す経路特徴点が数多く存在する場合であっても、各経路の特徴を見やすく表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、設定された目的地までの経路を複数探索して、各経路の全体について通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより通常の地図を要約した地図(以下、要約地図という)を作成して表示する。そして、表示した複数の経路のうち1つをユーザに選択させ、その経路を推奨経路として自車両を目的地まで案内する。なお、要約地図については後で詳細に説明するが、地図データの道路形状データに関して方向量子化処理や曲線近似処理などを行い、もともとの道路形状をデフォルメして表すような地図を総称する。
【0008】
図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において後で説明するような処理を実行することによって、設定された目的地に対してDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて複数の経路が探索され、各経路の全体について要約地図が作成されて、それぞれ表示モニタ16に表示される。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、要約地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、各経路の全体の要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0012】
入力装置17は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの経路探索をナビゲーション装置1に開始させることができる。
【0013】
ディスクドライブ18は、要約地図を作成するために用いられる地図データを、装填されたDVD−ROM19より読み出す。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。この地図データには、複数の経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、ユーザに選択された推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データ、さらには海岸線や河川、鉄道、地図上の各種施設(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【0014】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0015】
前述のように入力装置17におけるユーザの操作によって経路探索処理が選択されると、制御回路11において経路探索プログラムが実行される。このプログラム処理を図2に示すフローチャートにより説明する。この経路探索処理では、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの複数の経路が求められる。そして、こうして求められた各経路の全体の要約地図が道路データに基づいて作成され、表示モニタ16に表示される。
【0016】
図2のフローチャートについて以下に説明する。ステップS10では、ユーザに入力された目的地により、経路探索の目的地を設定する。ステップS20では、経路探索開始点である自車両の現在地から、ステップS10において設定された目的地まで、複数の経路を探索して設定する。このとき、前述したように経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより経路演算が行われる。なお、自車両の現在地は現在地検出装置14によって一定時間ごとに求められる。
【0017】
なお、ステップS20では複数の経路を探索するために、様々な経路探索条件によって経路探索を行う。たとえば、有料道路優先や一般道路優先、距離優先などの経路探索条件によって経路探索を行い、それぞれの条件で最適な経路を求めることにより、複数の経路を探索する。この探索経路のデータは、主にノードとリンクとから構成され、探索経路データとしてRAM13に記憶される。なお、1つの経路探索条件によって最適経路以外の経路も探索することで、複数の経路を探索するようにしてもよい。たとえば、目的地までのリンクコストの合計が最も小さいものを最適経路とし、さらにその最適経路とリンクコストの合計の差が所定値以内である経路も含めて経路探索結果を求めることにより、1つの経路探索条件で複数の経路を探索することができる。
【0018】
ステップS30では、ステップS20で探索された各経路に対して、要約地図を作成する。ここでは、各経路の全体、すなわち現在地から目的地までを表す各経路の形状を簡略化することにより、要約地図が作成される。このときの処理内容については、後で図3〜7を用いて詳しく説明する。
【0019】
ステップS40では、ステップS30で要約地図が作成された各経路に対して、経路特徴点の設定を行う。経路特徴点とは、要約地図において各経路の特徴を示す地点のことであり、経路上の地点または経路沿いの地点が設定される。経路上の地点としては、たとえば、複数の経路が同一の道路に合流する合流地点や、合流した複数の経路が分岐する分岐地点などが該当する。または、経路の道路種別が変化する道路種別変化地点や、経路上の特定の交差点、インターチェンジ、ジャンクションなどを経路特徴点に設定してもよい。一方、経路沿いの地点としては、経路に沿って位置する各種の施設などが該当する。このような地点が経路特徴点に設定されることにより、各経路に対して複数の経路特徴点が設定される。
【0020】
ステップS50では、ステップS40で設定した経路特徴点のそれぞれに対して、優先度の設定を行う。この優先度は、設定された経路特徴点のうちどれを優先して表示するかを決定するための値であり、様々な指標に応じて設定することができる。
【0021】
図8は、経路の道路種別に応じて設定される優先度の例を示している。この例では、経路の道路種別が変化する経路特徴点に対して、道路種別が高いものほど高い優先度を設定している。たとえば、高速道路から国道以下の道路、すなわち県道、地方主要道、一般道または細街路に道路種別が変化する特徴点には、優先度8が設定され、国道から県道以下の道路、すなわち地方主要道、一般道または細街路に道路種別が変化する特徴点には、優先度7が設定される。なお、道路種別が反対に変化する場合も同様である。これと同じようにして、道路種別に応じた優先度が各経路特徴点に対して設定される。なお、高速道路と高速道路の間にある特徴点には優先度9が設定され、高速道路以外で道路種別が変化しない特徴点に対しては優先度1が設定される。また、現在地および目的地に対しては、最高の優先度10が設定される。
【0022】
なお、以上説明した優先度の設定方法は一例であるため、これ以外の方法により各経路特徴点に対して優先度を設定してもよい。たとえば、道路種別が変化するか否かに関わらず、経路特徴点における経路の道路種別に応じて、その道路種別が高いものほど高い優先度を設定することもできる。あるいは、現在地すなわち経路の始点や目的地すなわち経路の終点と当該経路特徴点との位置関係に基づいて、優先度を設定することもできる。このとき、たとえば現在地または目的地から各経路特徴点までの距離や、現在地から各経路特徴点までの予想所要時間、各経路特徴点から目的地までの予想所要時間などにより、経路の始点または終点と各経路特徴点との位置関係を表すことができる。これ以外にも、様々な方法により優先度が設定可能である。
【0023】
ステップS60では、ステップS50で設定された優先度に基づいて、表示対象とする経路特徴点を選択する。ここでは、ステップS40で設定された経路特徴点のうちいずれかを優先度に基づいて選択し、その経路特徴点を表示対象に設定することで、要約地図上に描画すべき経路特徴点を決定する。これにより、経路特徴点が数多く存在する場合であっても、表示する経路特徴点を適切に絞り込み、各経路の特徴を見やすく表示できるようにする。
【0024】
上記のステップS60では、経路特徴点を選択する際の基準値として、たとえば優先度に対するしきい値を設定する。すなわち、所定のしきい値以上の優先度が設定された経路特徴点のみを選択し、しきい値未満の経路特徴点を選択対象から除外する。あるいは、経路特徴点を選択する際の基準値として、要約地図における経路特徴点の表示制限数を設定することとしてもよい。すなわち、選択された経路特徴点の合計が所定の表示制限数を超えない範囲で優先度が高い順に経路特徴点を選択する。以上述べたいずれの方法でも、設定された優先度が高いものから順に、所定数の経路特徴点を表示対象として選択することができる。
【0025】
なお、上記で述べた以外の方法を用いて経路特徴点を選択することとしてもよい。ステップS40で設定された経路特徴点のうちいずれかを、ステップS50で設定された優先度に基づいて選択することができれば、どのような方法であってもよい。
【0026】
ステップS70では、ステップS30において作成された各経路の要約地図を、ステップS60において表示対象とされた経路特徴点と共に、表示モニタ16に表示する。これにより、ステップS20で設定された各経路が表示モニタ16に表示され、さらにその各経路に付して、ステップS60で選択された経路特徴点が表示される。このとき、出発地と目的地にはそれぞれ出発地マークと目的地マークを表示する。
【0027】
図9〜12は、ステップ70が実行されることによって表示モニタ16に表示される全経路表示画面の例である。ここで、全経路表示画面とは、探索経路全体を表示した表示画面をいう。これらの全経路表示画面には、ステップS20において探索された4つの経路(ルート1〜ルート4)が、現在地83から目的地84までの間にそれぞれ表示されている。なお、符号85に示すルート1は第1の探索経路であり、符号86に示すルート2は第2の探索経路であり、符号87に示すルート3は第3の探索経路であり、符号88に示すルート4は第4の探索経路である。さらに、これら複数の探索経路のうちの一つの探索経路を選択するための経路選択ボタン810〜813と、海域89も表示されている。
【0028】
図9の全経路表示画面には、各探索経路の違いをより把握しやすくするために、ステップS50で選択された各経路特徴点をそれぞれ示す経路特徴点マーク820〜840が丸印で表示される。そして、経路特徴点マーク820〜840が付される経路特徴点の名称850〜870、つまり分岐地点や合流地点等の名称も表示される。
【0029】
経路特徴点マーク820は、第1の探索経路85、第2の探索経路86および第4の探索経路88が同一の経路(国道246号)を通過し、東名入口交差点を通過後、相違する経路(国道246号と保土ヶ谷バイパス)に分岐する分岐地点の目印として表示される。この経路特徴点マーク820には「東名入口」の文字850が吹き出しマークとして表示される。
【0030】
経路特徴点マーク821は、第1の探索経路85と第4の探索経路88が同一の経路(保土ヶ谷バイパス)を通過し、横浜町田インターチェンジ(IC)を通過後、相違する経路(東名高速道路と保土ヶ谷バイパス)に分岐する分岐地点の目印として表示される。経路特徴点マーク821には、「横浜町田IC」の文字851が吹き出しマークとして表示される。
【0031】
経路特徴点マーク822は、浜松町交差点で第3の探索経路87が通過する道路が八王子街道から国道1号線に変化する変化地点の目印として表示される。経路特徴点マーク822には、「浜松町」の文字852が吹き出しマークとして表示される。
【0032】
経路特徴点マーク823は、新保土ヶ谷ICで、第4の探索経路88が通過する道路が保土ヶ谷バイパスから横浜新道に変化する変化地点の目印として表示される。経路特徴点マーク823には、「新保土ヶ谷IC」の文字853が吹き出しマークとして表示される。
【0033】
経路特徴点マーク824は、金港ジャンクション(JC)で、第4の探索経路88が通過する道路が神奈川2号三ツ沢線から神奈川1号横羽線に変化する変化地点の目印として表示される。経路特徴点マーク824には、「金港JC」の文字854が吹き出しマークとして表示される。
【0034】
以上説明したのと同様に、経路の分岐点や合流点、道路種別の変化地点、主要交差点、インターチェンジ、ジャンクション等に対して、経路特徴点マーク825〜840がそれぞれ表示され、これらに対して吹き出しマークによる文字855〜870がそれぞれ表示されるが、ここでは説明を省略する。なお、以下の説明において、各経路特徴点マークの各符号820〜840を対応地点の地点名称の符号としても用いる。
【0035】
なお、以上説明した図9の全経路表示画面では、経路沿いの施設による経路特徴点マークを表示していないが、これを表示することとしてもよい。いずれかの経路に沿って存在する著名な施設等の位置に経路特徴点マークを表示し、その施設名称を文字により表すことができる。
【0036】
一方、図10の全経路表示画面では、図9において表示されている経路特徴点のうち一部のみが表示されており、全ての経路特徴点は表示されていない。また、図11の全経路表示画面では、図10よりもさらに表示されている経路特徴点が少なくなっており、図12の全経路表示画面では、経路特徴点が一つも表示されていない。このような全経路表示画面における経路特徴点の表示数の変化は、以下に説明するステップS80およびS90の処理によって行われる。
【0037】
ステップS80では、ユーザから入力装置17に対して所定の変化操作があったか否かを判定する。ここでいう変化操作とは、表示対象とする経路特徴点を変化させるための操作であり、後述するように、入力装置17に対するユーザの回転操作やスライド操作によって実現されるものである。変化操作があった場合はステップS90へ進み、ない場合はステップS100へ進む。
【0038】
ステップS90では、ステップS80において検出された変化操作の操作量に応じて、ステップ60で特徴点を選択するときの基準値を変化させる。すなわち、ステップS60において、前述のように経路特徴点を選択する際の基準値として優先度に対するしきい値を設定していた場合は、このしきい値をユーザの操作に応じて変化させる。また、ステップS60において、前述のように経路特徴点を選択する際の基準値として要約地図における経路特徴点の表示制限数を設定していた場合は、この表示制限数をユーザの操作に応じて変化させる。このようにして基準値を変化させたらステップS60へ戻り、変化後の基準値に基づいて、ステップS60において表示対象とする経路特徴点を選択する。
【0039】
なお、ナビゲーション装置1は、入力装置17として、たとえば回転操作可能なダイヤル状の操作部材を備えている。この操作部材をユーザが回転操作すると、その操作量に応じて、前述のように優先度のしきい値または経路特徴点の表示制限数を連続的に変化させる。あるいは、入力装置17として上下または左右方向にスライド操作可能な操作部材をナビゲーション装置1が備え、これをユーザがスライド操作すると、その操作量に応じて、前述のように優先度のしきい値または経路特徴点の表示制限数を連続的に変化させることとしてもよい。これにより、ユーザは簡単な操作で、要約地図において表示対象とする経路特徴点を選択する際の基準値を任意の値に変化させることができる。なお、上記のような操作部材をタッチパネルにより実現してもよい。
【0040】
ステップS80からステップS100へ進んだ場合、ステップS100では、ステップS70において表示された要約地図において、複数経路のうちいずれかの経路が選択されたか否かを判定する。このとき、各経路のうち1つをユーザに選択するように指示することとしてもよい。ユーザが入力装置17を操作することによっていずれかの経路を選択した場合は、図2のフローチャートを終了し、選択された経路を推奨経路に設定する。そして、現在地の周辺の道路地図を表示し、その上に推奨経路を示す。そして、この推奨経路に従って自車両を誘導し、目的地まで案内する。なお、このとき現在地周辺の道路地図として、通常の地図と要約地図のどちらを表示してもよい。このときの要約地図も、図2のフローチャートと同様の処理によって作成することができる。一方、ステップS100においていずれの経路もユーザに選択されなかった場合は、ステップS80へ戻る。
【0041】
なお、図9〜12に示す全経路表示画面のいずれかにおいて、経路選択ボタン810〜813が入力装置17の操作によりユーザに選択されると、選択された探索経路の現在地(出発地)、経路特徴点マークが表示されている地点名称および目的地が抽出される。たとえば、図11において経路選択ボタン810が選択されると、図13に示すように、複数の探索経路が表示されている画面左側に設定された経由地表示領域105に、現在地、現在地と目的地とを結ぶ経路の経由地および目的地が画面の下から上に向けた順路として表示される。経由地には、経路特徴点マークが表示されている地点名称が表示される。
【0042】
図13の経由地表示領域106には、最下段に現在地ボタン101が表示され、最上段に目的地ボタン105が表示される。また、現在地ボタン101の上方に上向きの矢印を表示し、その上に経由地である東名入り口ボタン102が表示される。このボタン102の上方には矢印が表示され、この矢印の上に経由地である横浜町田ICボタン103が表示される。このボタン103の上には上向きの矢印が表示され、さらに経由地である渋谷出口ボタン104が表示される。また、経路選択ボタン810〜813も複数の探索経路が表示されている画面の右側へ位置を変更して表示される。なお、経路選択ボタン810の色が変化することにより経路選択ボタン810が選択中であることが明示される。
【0043】
現在地、経由地、目的地ボタン101〜105は入力装置17によって選択することができ、選択すると、その地点周辺の探索経路が拡大されて詳細に表示モニタ16に表示される。つまり、ボタン101〜105を選択すると、分岐地点または変化地点の周辺を詳細に示す指令が制御回路11に出力され、そして、表示モニタ16にその地点周辺の詳細が表示される。たとえば、経由地ボタンである東名入り口ボタン102が選択されると、図14に示すように選択された地点である東名入口交差点の周辺における探索経路が拡大されて表示される。探索経路が拡大された画面には、経路特徴点マーク820および経路特徴点マーク820が付けられる分岐地点を通過する探索経路85、86、88が表示される。また、経路特徴点マーク820が付けられた分岐地点を通過した後に通過することになる道路の名称111、112も表示される。
【0044】
次に、ステップS30において実行される要約地図作成処理の内容について説明する。要約地図作成処理では、方向量子化処理と呼ばれる処理を実行することによって各経路の道路形状を簡略化することにより、各経路の要約地図を作成する。この方向量子化処理について、以下に説明する。
【0045】
方向量子化処理では、各経路のリンクをそれぞれ所定の分割数で分割した上で、道路形状の簡略化を行う。図3および図4は、いずれもこの方向量子化処理の内容を説明するための詳細説明図であり、図3ではリンク分割数が2(2分割)の場合について、また図4ではリンク分割数が4(4分割)の場合について、それぞれの方向量子化処理の内容を図示している。以下、図3に示す2分割の場合より先に説明を行う。
【0046】
図3(a)の符号30は、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク30に対して、(b)に示すように、その両端点の間を結ぶ線分31から最も遠くにあるリンク30上の点32を選択する。なお、ここで選択される点32は、前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0047】
上記のような点32が求められたら、次に(c)に示すように、リンク30の両端点のそれぞれと点32とを結ぶ線分33および34を設定する。この線分33と34がそれぞれの基準線に対してなす角度をθおよびθと表す。なお、ここでいう基準線とは、リンク30の両端点から予め決められた所定の方向(たとえば、真北方向)に向かって、それぞれ延びている線のことである。(c)に示すように、一方の端点からの基準線と線分33によって挟まれている部分の角度が、θと表される。また、もう一方の端点からの基準線と線分34によって挟まれている部分の角度が、θと表される。
【0048】
上記のようにして点32とリンク30の両端点とをそれぞれ結ぶ線分33、34が設定されたら、次に(d)に示すように、この線分33と34の方向をそれぞれ量子化する。ここでいう方向の量子化とは、予め設定された単位角度の整数倍に前述の角度θおよびθがそれぞれなるように、線分33と34を各端点を中心にしてそれぞれ回転させることをいう。すなわち、θ=m・Δθ、θ=n・Δθ(n、mは整数)となるように、線分33と34をそれぞれ回転させてθとθの値を補正する。このときのmおよびnの値は、上記式によって計算される補正後のθとθがそれぞれ元の値に最も近くなるように設定される。
【0049】
以上説明したように線分33と34の方向をそれぞれ量子化すると、線分33と34が基準線となす角度θおよびθが、単位角度Δθ刻みで補正される。なお図4(d)では、Δθ=15°としている。そして、θについてはm=6と設定して補正後の角度を90°にし、θについてはn=0と設定して補正後の角度を0°にした例を図示している。
【0050】
こうして線分33と34の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分33と34をそれぞれ延長したときの交点を求める。そして、その交点と各端点とを結ぶようにして、(d)に示すように、線分33と34の長さをそれぞれ補正する。
【0051】
以上説明したようにして、線分33と34を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク30に対する2分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分33と34をリンク30の代わりに用いることで、リンク30の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク30の両端点の位置が固定された状態でリンク30の形状が簡略化されるため、隣接するリンクの位置には影響を及ぼさない。したがって、方向量子化処理を用いて経路の各リンク形状をそれぞれ簡略化することにより、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0052】
次に、4分割の場合の方向量子化処理について説明する。図4(a)の符号40は、図3(a)と同様に、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク40に対して、(b)に示すように、まずその両端点の間を結ぶ線分41aから最も遠くにあるリンク40上の点42aを選択する。次に、その点42aとリンク40の各端点とをそれぞれ結ぶ線分41bおよび41cを設定し、この線分41bと41cからそれぞれ最も遠く離れた位置にあるリンク40上の点42bおよび42cを選択する。なお、ここで選択される点42a〜42cは、いずれも2分割の場合と同様に前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0053】
上記のような点42a〜42cが求められたら、次に(c)に示すように、2分割の場合と同様にして、リンク40の各端点と点42a〜42cとをそれぞれ順に結ぶ線分43、44、45および46を設定する。この線分43〜46がそれぞれの基準線に対してなす角度を、θ、θ、θおよびθと表す。なお、このときの基準線はリンク40の両端点に対して定められるだけでなく、点42a〜42cのうち真ん中に位置する最初に選択された点42aに対しても定められる。
【0054】
上記のようにして線分43〜46が設定されたら、次に(d)に示すように、各線分の方向をそれぞれ量子化する。このとき、点42aを保存点として、線分44と45はこの保存点42aを中心にそれぞれ回転させる。なお、線分43と46については、2分割の場合と同様に各端点を中心にそれぞれ回転させる。ここでは、Δθ=15°と予め設定し、θ〜θの補正後の角度をそれぞれ60°、45°、180°および60°とした例を図示している。
【0055】
こうして線分43〜46の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分43と44をそれぞれ延長したときの交点と、線分45と46をそれぞれ延長したときの交点とを求める。そして、各交点と各端点または保存点42aとを結ぶようにして、(d)に示すように、線分43〜46の長さをそれぞれ補正する。
【0056】
以上説明したようにして、線分43〜46を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク40に対する4分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分43〜46をリンク40の代わりに用いることで、リンク40の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク40の両端点の位置に加えて、さらに保存点42aの位置も固定された状態で、リンク40の形状が簡略化される。したがって、複雑な形状のリンクによって構成されている経路に対しても、その全体的な位置関係を保ちつつ適切に道路形状を簡略化することができる。
【0057】
なお、上記では2分割と4分割の場合の方向量子化処理について説明したが、これ以外の分割数についても同様にして方向量子化処理を実行することができる。たとえば8分割の場合には、まず4分割の場合と同様に、リンクの両端点の間を結ぶ線分から最も遠い1点と、その点と両端点とを結ぶ2つの線分からそれぞれ最も遠い2点を選択する。その後、さらにこれらの3点に両端点を加えた各点間を結ぶ4つの線分からそれぞれ最も遠い4点を選択する。こうして選択された合計7点と両端点とを順に結ぶ8つの線分を求め、これらの線分に対して前述したような方向の量子化と長さの補正を行うことによって、方向量子化処理を行うことができる。
【0058】
方向量子化処理の分割数をいくつにするかは、予め設定しておいてもよいし、あるいはリンクの形状によって判断してもよい。たとえば、上記のようにして両端点またはそれまでに選択された点の間を結ぶ各線分から最も遠い点を順次選択していくとき(図3および4の(b)で説明した処理)において、各線分から最も遠い点までの距離が所定値以下となるまで順次選択していく。このようにすれば、リンクの形状によって方向量子化処理の分割数を決めることができる。
【0059】
以上説明したような方向量子化処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していくことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。なお、リンクの1つ1つに対して方向量子化処理を順次実行するのではなく、いくつかのリンクを合わせて方向量子化処理をまとめて実行してもよい。
【0060】
または、ステップS30の要約地図作成処理において、上記の方向量子化処理を実行せずに各経路の道路形状を簡略化することもできる。ここでは、各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を、図5を参照して説明する。
【0061】
図5(a)には、探索された経路に含まれるリンクの一部として、リンク50、51および52を例示している。これらのリンク50〜52に対して、まず(b)に示すように各リンクの両端点において量子化したリンク方向を求める。ここでは、前述の方向量子化処理において各線分の方向の量子化を行ったのと同様にして、元の角度に最も近くて単位角度の整数倍となるようなリンク方向を求める。その結果、(b)において矢印で示されているようなリンク方向が各端点に対して求められる。
【0062】
次に、(c)に示すように各端点の間を結ぶ曲線53、54および55を求めることにより、各リンクの形状を曲線近似する。このとき、各曲線の端点付近における接線の方向が上記の量子化したリンク方向と一致するように、曲線53〜55の形状がそれぞれ決定される。なお、このような曲線を求める方法としては、たとえばスプライン関数を用いたスプライン近似などがあるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0063】
以上説明したような処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していき、求められた曲線を用いて道路形状を表すことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。このときも方向量子化処理の場合と同様に、各リンクの両端点の位置が固定された状態で各リンクの形状が簡略化される。したがってこの場合にも、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0064】
方向量子化処理が行われた経路はRAM13において記憶される。次に、RAM13に記憶される経路のデータ形式について説明する。4分割の場合の方向量子化処理が行われたリンクを例にして説明する。ここでは、リンク40は経路の一部を構成しているものとする。図6(a)は、方向量子化処理が行われる前のリンク40のノード61,62と形状補間点64〜69,610〜613とを示したものである。一方、図6(b)は、方向量子化処理が行われた後のリンク40のノード61,62と形状補間点42a〜42cとを示したものである。方向量子化処理が行われた後の図6(b)のリンク40は、形状補間点42a〜42bの数が3つであるのに対し、方向量子化処理が行われる前の図6(a)のリンク40は、形状補間点64〜69,610〜613の数が11である。これより、方向量子化処理を行うことによって形状補間点の数が少なくなり、形状補間点が間引かれる。
【0065】
方向量子化処理が行われたリンク40は、図7(a)に示すノードデータ形式、図7(b)に示すリンクデータ形式、図7(c)に示す経路データ形式によってRAM13に記憶される。図7(a)に示すノードデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各ノードのノードIDとそのノードの方向量子化処理が行われた後の座標位置とを記憶する形式である。図7(a)では、図6におけるノード61のノードIDとして、符号「61」がRAM13に記憶され、また、ノード61の座標(X1,Y1)がRAM13に記憶される。
【0066】
図7(b)で示すリンクデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各リンクのリンクIDとして符号「40」と、そのリンクの始点ノード61と終点ノード62のノードIDとして符号「61」、「62」とが記憶される形式である。また、リンクデータ形式では、リンク40上の形状補間点42a〜42cの数とそれぞれの位置(Xb,Yb),(Xa,Ya),(Xc,Yc)も記憶される。
【0067】
図7(c)で示す経路データ形式とは、方向量子化処理が行われた各経路に識別記号(経路ID)を付与して、そして経路IDごとにその経路を構成するリンクの数とリンクIDとが記憶される形式である。ここでは、リンク40が含まれる経路の経路IDをR1とする。RAM13には、経路R1の経路IDであるR1と、その経路を構成するリンクの数nと、経路R1を構成する各リンクのIDとしてL1〜LnとがRAM13に記憶される。複数の探索経路が表示される場合、各探索経路の経路データ形式で記憶されているリンクIDを参照し、同じリンクIDが存在する場合は、その同じリンクIDを有する探索経路同士が同じリンクIDのリンクの位置において重複していること、つまり、経路の一部が相互に同一の経路を通過していることがわかる。
【0068】
以上説明した実施の形態によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)ナビゲーション装置1は、制御回路11の処理により、複数の経路を設定し(ステップS20)、設定された各経路に対して複数の経路特徴点を設定する(ステップS40)。こうして設定された経路特徴点のそれぞれに対して優先度を設定し(ステップS50)、設定された優先度に基づいて、経路特徴点のうちいずれかを選択する(ステップS60)。そして、ステップS20で設定された複数の経路を表示モニタ16に表示し、その各経路に付して、ステップS60で選択された経路特徴点を表示する(ステップS70)こととした。このようにしたので、経路の特徴を示す経路特徴点が数多く存在する場合であっても、各経路の特徴を見やすく表示することができる。
【0069】
(2)ステップS60では、所定のしきい値以上の優先度が設定された経路特徴点を選択する。または、選択された経路特徴点の合計が所定の表示制限数を超えない範囲で優先度が高い順に経路特徴点を選択することとした。このようにしたので、設定された優先度に基づいて、適切に経路特徴点を選択することができる。
【0070】
(3)ステップS60で経路特徴点を選択する際のしきい値または表示制限数を、ユーザの操作に応じて変化させる(ステップS90)。すなわち、ナビゲーション装置1は、入力装置17として回転操作またはスライド操作可能な操作部材を備え、ユーザによるこの操作部材の操作量に応じて、上記のしきい値または表示制限数を連続的に変化させることとした。このようにしたので、ユーザにとっては、簡単な操作で、表示対象とする経路特徴点を選択する際の基準値として用いられるしきい値や表示制限数を任意の値に変化させて、全経路表示画面における経路特徴点の表示数を変化させることができる。
【0071】
(4)ステップS40では、経路上の地点または経路沿いの地点を経路特徴点に設定することとした。たとえば、経路上の地点として、複数の経路が同一の道路から分岐する分岐地点、複数の経路が同一の道路に合流する合流地点、経路の道路種別が変化する道路種別変化地点、経路上の交差点、または経路上のインターチェンジのうち少なくともいずれかを経路特徴点に設定する。また、経路沿いの地点として、経路に沿って位置する施設を経路特徴点に設定する。このようにしたので、ユーザにとって経路の特徴を把握しやすい地点を経路特徴点に設定することができる。
【0072】
(5)ステップS50では、経路特徴点における経路の道路種別、または経路の始点もしくは終点と経路特徴点との位置関係に基づいて、優先度を設定することとした。このようにしたので、優先度を適切に設定することができる。
【0073】
(6)ステップS70では、経路の形状を簡略化した要約地図を表示モニタ16に表示することにより、ステップS20で設定された複数の経路を表示することとした。このようにしたので、各経路の概要や特徴を分かりやすく表示することができる。
【0074】
なお、以上説明した実施の形態では、複数の経路を探索する場合の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、一つの経路を探索し、その経路に対して経路特徴点を表示する場合においても、本発明は適用可能である。また、上記の説明では、道路形状が簡略化された要約地図により経路全体を表示することとしたが、道路形状を簡略化しない通常の地図によって表示する場合や、経路の一部のみを表示する場合においても、本発明は適用可能である。すなわち、単数または複数の経路を設定し、その経路の全体または一部を表示すると共に、その経路に付して経路特徴点を表示する限り、どのような地図の表示形態においても本発明を適用することができる。
【0075】
上記の実施形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、車載ナビゲーション装置から情報配信センターへ現在地と目的地を送信し、図2のステップS20〜S60の処理を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信することとしてもよい。
【0076】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0077】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、ナビゲーション装置1の制御回路11において実行される処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置1の制御回路11は、経路設定手段、経路特徴点設定手段、優先度設定手段、選択手段、表示制御手段および変化手段として機能する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】設定された目的地まで複数の経路を探索して各経路の要約地図を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図3】要約地図を作成するときに利用される2分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図4】同じく4分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図5】各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を説明するための図である。
【図6】(a)は4分割の場合の方向量子化処理が行われる前のリンク、ノード、形状補間点を示す図であり、(b)は4分割の場合の方向量子化処理が行われた後のリンク、ノード、形状補間点を示す図である。
【図7】RAMに記憶された方向量子化処理が行われた経路の記憶形式を説明する図である。
【図8】経路の道路種別に応じて設定される優先度の例を示す図である。
【図9】全経路表示画面の例を示す図である。
【図10】表示されている経路特徴点が少ない全経路表示画面の例を示す図である。
【図11】表示されている経路特徴点がさらに少ない全経路表示画面の例を示す図である。
【図12】経路特徴点が一つも表示されていない全経路表示画面の例を示す図である。
【図13】経路選択ボタンが選択されたときのナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図14】経由地ボタンが選択されたときのナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
30,40,50 リンク
42a,42b,42c 形状補間点
61,62 ノード
63〜69,610〜613 形状補間点
81,82 全経路表示画面
83 現在地
84 目的地
85〜88 探索経路
810〜813 経路選択ボタン
820〜840 経路特徴点マーク
101 現在地ボタン
102,103,104 経由地ボタン
105 目的地ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段により設定された経路に対して複数の経路特徴点を設定する経路特徴点設定手段と、
前記経路特徴点設定手段により設定された経路特徴点のそれぞれに対して優先度を設定する優先度設定手段と、
前記優先度設定手段により設定された優先度に基づいて、前記経路特徴点のうちいずれかを選択する選択手段と、
前記経路を表示モニタに表示し、その経路に付して、前記選択手段により選択された経路特徴点を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記選択手段は、所定のしきい値以上の優先度が設定された経路特徴点を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記しきい値をユーザの操作に応じて変化させる変化手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
回転操作またはスライド操作可能な操作部材をさらに備え、
前記変化手段は、前記ユーザによる前記操作部材の操作量に応じて、前記しきい値を連続的に変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記選択手段は、選択された経路特徴点の合計が所定の表示制限数を超えない範囲で優先度が高い順に経路特徴点を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制限数をユーザの操作に応じて変化させる変化手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、
回転操作またはスライド操作可能な操作部材をさらに備え、
前記変化手段は、前記ユーザによる前記操作部材の操作量に応じて、前記表示制限数を連続的に変化させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記経路特徴点設定手段は、前記経路上の地点または前記経路沿いの地点を前記経路特徴点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
前記経路特徴点設定手段は、前記経路上の地点として、複数の前記経路が同一の道路から分岐する分岐地点、複数の前記経路が同一の道路に合流する合流地点、前記経路の道路種別が変化する道路種別変化地点、前記経路上の交差点、または前記経路上のインターチェンジのうち少なくともいずれかを、前記経路特徴点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項8に記載のナビゲーション装置において、
前記経路特徴点設定手段は、前記経路沿いの地点として、前記経路に沿って位置する施設を前記経路特徴点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記優先度設定手段は、前記経路特徴点における前記経路の道路種別、または前記経路の始点もしくは終点と前記経路特徴点との位置関係に基づいて、前記優先度を設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記経路の形状を簡略化した要約地図を前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
経路を設定する経路設定手段と、
前記経路設定手段により設定された経路に対して複数の経路特徴点を設定する経路特徴点設定手段と、
前記経路を表示モニタに表示し、その経路に付して前記経路特徴点を表示する表示制御手段とを備え、
前記経路特徴点設定手段は、前記経路に沿って位置する施設を前記経路特徴点に設定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−145100(P2009−145100A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320591(P2007−320591)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】