説明

ナビサーバ、ナビ装置、ナビシステム

【課題】諸事情に鑑みて妥当性があるルートをナビ装置に出力させることができるナビサーバ等を提供する。
【解決手段】ナビサーバ100によれば、ナビ装置200により第1アルゴリズムにしたがって設定されている、自動車2を目的位置p2に誘導するためのナビルートr(k)が認識される。また、第2アルゴリズムにしたがって自動車2を現在位置(または出発位置)p1から目的位置p2に誘導するための支援ルートR(k)が設定される。さらに、ナビルートr(k)の当該第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数c1(k)が評価される。そして、第1指数c1(k)が所定条件を満たすことを要件として、ナビ装置200によりナビルートr(k)に代えて支援ルートR(k)が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置による移動体の誘導を支援するナビサーバ等に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車が当該自動車に搭載されているナビ装置による目的位置までの設定ルートから外れた場合、ナビ装置に当該目的位置までの新たなルートを設定かつ出力させる技術が提案されている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【特許文献1】特開平06−068389号公報
【特許文献2】特開平08−261782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ナビ装置によるルート設定に際して考慮されていない事情等、諸事情に鑑みて妥当性に欠けるルートが設定され、かつ、当該ルートにしたがって自動車が誘導される可能性がある。
【0004】
そこで、本発明は、諸事情に鑑みて妥当性があるルートをナビ装置に出力させることができるナビサーバ等を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明のナビサーバは、ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置による移動体の誘導を支援するナビサーバであって、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置により第1アルゴリズムにしたがって設定されている、前記移動体を目的位置に誘導するためのナビルートを認識する第1支援処理部と、前記ナビ装置との通信に基づき、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、かつ、第2アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを設定する第2支援処理部と、前記第1支援処理部により認識された前記ナビルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数を評価し、前記第1指数が所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させる第3支援処理部とを備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明のナビサーバによれば、ナビ装置において設定されたナビルートが第2アルゴリズムに鑑みて妥当性に欠けている場合、第2アルゴリズムに鑑みて妥当性がある支援ルートをナビ装置に出力させることができる。
【0007】
第2発明のナビサーバは、第1発明のナビサーバにおいて、前記第3支援処理部が、前記第2支援処理部により設定された前記支援ルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第2指数を評価し、前記第1指数および前記第2指数の偏差が閾値を超えていることを前記所定条件とし、該第1指数が該所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させることを特徴とする。
【0008】
第2発明のナビサーバによれば、第2アルゴリズムに鑑みたナビルートおよび支援ルートのそれぞれの妥当性が第1および第2指数として評価される。また、第1および第2指数の比較結果に基づき、ナビルートの妥当性の有無が判定される。そして、当該妥当性に欠けるとの判定結果に応じてナビルートに代えて支援ルートをナビ装置に出力させることができる。
【0009】
第3発明のナビサーバは、第1または第2発明のナビサーバにおいて、前記第2支援処理部が、前記第2アルゴリズムとして、前記移動体の移動所要時間もしくは距離が短いこと、燃費がよいこと、通行料金が低廉であること、または、前記移動体のための指定ポイントまたは指定リンクを通過することを優先するアルゴリズムにしたがって前記支援ルートを設定することを特徴とする。
【0010】
第3発明のナビサーバによれば、走行時間もしくは距離の短縮、燃費向上、通行料金の節約、または、指定リンクの通行頻度に鑑みてナビルートが妥当性に欠けている場合、走行時間もしくは距離が短い、燃費がよりよい、通行料金がより低廉な、または、指定リンクの通過頻度が高い支援ルートをナビルートに代えてナビ装置に出力させることができる。
【0011】
第4発明のナビサーバは、第1〜第3発明のうちいずれか1つのナビサーバにおいて、前記第2支援処理部が前記第1アルゴリズムとは異なる前記第2アルゴリズムにしたがって前記支援ルートを設定することを特徴とする。
【0012】
第4発明のナビサーバによれば、第1アルゴリズムと同一の第2アルゴリズムにしたがって支援ルートが設定されたために当該支援ルートがナビルートと同一になってしまい、第1および支援ルートの比較が無意味になる事態が回避されうる。
【0013】
第5発明のナビ装置は、ナビサーバとの通信に基づいて移動体を誘導するナビ装置であって、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、第1アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するためのナビルートを設定かつ出力する第1処理部と、前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて設定された、該移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力する第2処理部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第5発明のナビ装置によれば、第1アルゴリズムにしたがって設定されたナビルートが第2アルゴリズムに鑑みて妥当性があるか否かをナビサーバに検査させることができる。そして、ナビサーバにおけるナビルートが妥当性に欠けているという検査結果に応じて支援ルートを認識し、ナビルートの代わりに当該支援ルートを出力することができる。
【0015】
第6発明のナビ装置は、第5発明のナビ装置において、前記移動体の現在位置が出力中の前記ナビルートまたは前記支援ルートから外れていることを要件として、前記第1処理部が当該現在位置を新たな出発位置として前記ナビルートを再び設定かつ出力し、前記第2処理部が前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により再設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて再設定された、前記移動体を前記新たな出発位置から前記目的位置に誘導するための前記支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力することを特徴とする。
【0016】
第6発明のナビ装置によれば、前回のナビルートから移動体位置が外れたことに応じて設定された今回のナビルートの第2アルゴリズムに鑑みた妥当性の有無をナビサーバに検査させることができる。そして、ナビサーバにおける今回のナビルートが妥当性に欠けているという検査結果に応じて支援ルートを認識し、今回のナビルートの代わりに当該支援ルートを出力することができる。
【0017】
第7発明のナビ装置は、第6発明のナビ装置において、前記移動体の現在位置が出力中の前記ナビルートまたは前記支援ルートから外れていることを要件として、前記第1処理部が、前記移動体の当該現在位置と、該ナビルートのうち前記移動体の位置を基準とする所定範囲を超えた位置とを結ぶルートを含む前記新たなナビルートを設定することを特徴とする。
【0018】
第7発明のナビ装置によれば、前回のナビルートのうち、移動体から所定範囲内にある部分に移動体を合流させるような新たなルートが今回のナビルートとして設定されることが回避される。したがって、移動体をただちに前回のナビルートに復帰させようとするあまり、不要な迂回や折り返しを移動体に強いる事態が回避されうる。
【0019】
第8発明のナビシステムは、移動体を誘導するためのナビ装置と、該ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置による移動体の誘導を支援するナビサーバとにより構成されているナビシステムであって、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置により第1アルゴリズムにしたがって設定されている、前記移動体を目的位置に誘導するためのナビルートを認識する第1支援処理部と、前記ナビ装置との通信に基づき、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、かつ、第2アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを設定する第2支援処理部と、前記第1支援処理部により認識された前記ナビルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数を評価し、前記第1指数が所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させる第3支援処理部とを備え、前記ナビ装置が、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、第1アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するためのナビルートを設定かつ出力する第1処理部と、前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて設定された、該移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力する第2処理部とを備えていることを特徴とする。
【0020】
第8発明のナビシステムによれば、ナビ装置において設定されたナビルートが第2アルゴリズムに鑑みて妥当性に欠けている場合、第2アルゴリズムに鑑みて妥当性がある支援ルートをナビ装置に出力させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のナビシステム等の実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明のナビシステムの構成について図1を用いて説明する。ナビシステムはナビサーバ100と、自動車2に搭載されているナビ装置200とにより構成されている。なお、ナビ装置200は自動車以外の移動装置に搭載されてもよいし、ユーザによって携帯されていてもよい。
【0023】
ナビサーバ100は、一または複数のサーバコンピュータにより構成されている。ナビサーバ100は第1道路交通情報格納部101と、第2道路交通情報格納部102と、気象状況格納部103と、支援マップ格納部104と、第1支援処理部110と、第2支援処理部120とを備えている。
【0024】
第1道路交通情報格納部101にはプローブカーまたはフローティングカーとしての自動車2に搭載されているナビ装置200からナビサーバ100に送信またはアップロードされたプローブ情報(各時刻における個々のプローブカーの位置)に基づく第1道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無など)が格納されている。
【0025】
第2交通情報格納部102には、道路交通情報センターのサーバ等からナビサーバ100に送信された第2道路交通情報(各リンクにおける移動所要時間や交通渋滞の有無のほか、各リンクにおける交通規制の有無を表す情報、各リンク周辺のイベントの有無およびイベントの種類を表す情報など)が格納されている。
【0026】
気象情報格納部103には、気象情報センターのサーバ等からナビサーバ100に送信された各リンク周辺の気象情報等が格納されている。
【0027】
支援マップ格納部104には支援マップ情報が格納されている。支援マップ情報において、道路を構成する各リンクの位置、形状および姿勢等が、座標((緯度、経度)または(緯度、経度、高度))の列により表現されている。また、各リンクには当該各リンクを識別するためのリンク識別情報や、道路種類を表すデータが付されている。
【0028】
第1支援処理部110はナビ装置200との通信に基づき、当該ナビ装置200により設定されている自動車2(またはユーザ)の出発位置p1および目的位置p2を結ぶナビルートrを認識する。
【0029】
第2支援処理部120は、第1道路交通情報格納部101に格納されている第1道路交通情報と、第2道路交通情報格納部102に格納されている第2道路交通情報と、気象状況格納部103に格納されている気象情報等と、支援マップ格納部104に格納されている支援マップ情報とに基づき、第2アルゴリズムにしたがって出発位置p1および目的位置p2を結ぶ支援ルートRを設定する。
【0030】
第3支援処理部130は第1支援処理部110により認識されたナビルートrの第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数c1を評価する。第3支援処理部130は第1指数c1が所定条件を満たすことを要件として、ナビ装置200との通信に基づき、ナビ装置200にナビルートrに代えて支援ルートRを出力装置202を通じて出力させる。
【0031】
ナビ装置200は自動車2に搭載されたハードウェアとしてのECUまたはコンピュータと、メモリに格納され、当該コンピュータに諸機能を付与するソフトウェアとしてのナビプログラムにより構成されている。なお、ナビプログラムは最初から車載コンピュータのメモリ(ROM)に格納されていてもよいが、車載コンピュータからのリクエストがあったとき等の任意のタイミングでこのプラグラムの一部または全部がサーバ(図示略)からネットワークや衛星放送を介して当該車載コンピュータにダウンロードまたは放送され、そのメモリ(EEPROM,RAM)等に格納されてもよい。
【0032】
ナビ装置200は入力装置201と、出力装置202と、ナビマップ格納部204と、第1処理部210と、第2処理部220とを備えている。
【0033】
入力装置201は自動車2のセンターコンソール等に配置された操作ボタンやマイクロフォンにより構成されており、ユーザの操作または発話による種々の設定を可能とする。出力装置202は自動車2のセンターコンソールに配置されたディスプレイ装置であり、ナビマップ情報等を表示または出力する。ナビップ格納部204には出力装置202に出力されるナビマップ情報等が格納されている。ナビマップ情報において、道路を構成する各リンクの位置、形状および姿勢等が、座標列により表現され、かつ、各リンクには当該各リンクを識別するためのリンク識別情報が付されている。ナビマップ情報と支援マップ情報とのスペックやデータ構造が異なるため、各マップ情報における座標列の定義等が異なっていても、同一のリンクに共通のリンク識別情報が付されることにより、リンクのマッチングが可能とされている。
【0034】
第1処理部210は自動車2の現在位置(または出発位置)p1と、入力装置201の操作を通じてユーザによりナビ装置200に入力された目的位置p2とを認識する。第1処理部210は、ナビマップ格納部204に格納されているナビマップ情報と、ナビサーバ100から配信される道路交通情報とに基づき、第1アルゴリズムにしたがって自動車2を現在位置p1から目的位置p2に誘導するためのナビルートrを設定する。また、第1処理部210は当該ナビルートrを出力装置202に出力させる。ナビサーバ100からナビ装置200に配信される道路交通情報には、フローティングカーから収集されたデータ(FCD)に基づいて作成された第1道路交通情報と、道路交通情報センター(たとえば、VICSセンター)から提供された主要幹線道路の第2道路交通情報が含まれる。
【0035】
第2処理部220はナビサーバ100との通信に基づき、第1処理部210により設定されたナビルートr、具体的には、ナビルートrを構成する各リンクのリンク識別情報をナビサーバ100に認識させる。また、第2処理部220はナビサーバ100との通信に基づき、ナビサーバ100において設定された支援ルートRを認識したことを要件として、支援ルートRをナビルートrに代えて出力装置202に出力させる。
【0036】
なお、ハードウェアとしての構成要素が情報を「認識する」とは、当該構成要素が情報を受信すること、情報をデータベースやメモリから探索または読み出すこと、受信等した基礎情報に基づいて演算処理によって情報を算定、推定、設定、決定、探索等すること、パケットをデコードして情報を顕在化させること、さらには算定等した情報をメモリに保存すること等、他の情報処理のために当該情報を準備しておくためのあらゆる情報処理を実行することを意味する。また、ハードウェアとしての構成要素が情報を「出力する」とは、当該情報の表示、音声出力、振動出力等、人間がその視覚、聴覚、触覚等、五感を通じて認識しうるあらゆる形態で情報を出力することを意味する。
【0037】
前記構成のナビシステムの機能について説明する。
【0038】
第1処理部210により自動車2に搭載されているGPS機能やジャイロセンサが利用されることにより、当該自動車2の現在位置p1が測定される(図2/S102)。ユーザによるナビ装置200に付属するボタンの操作態様が認識され、またはユーザの発話が音声認識されることにより、自動車2の目的位置p2が第1処理部210により認識される(図2/S104)。また、第1処理部210により出力ルートの次数を表す指数kが「0」に初期化される(図2/S106)。さらに、第1処理部210により、ナビ装置200のナビマップ格納部204に格納されているナビマップ情報と、ナビサーバ100からナビ装置200に配信された道路交通情報とに基づき、第1アルゴリズムにしたがってナビルートr(k)が設定され、かつ、出力装置202を通じて出力される(図2/S108)。たとえば、図3(a)に示されているように自動車2の現在位置p1および目的位置p2を結ぶルートがナビルートr(k)として設定される。「第1アルゴリズム」には、自動車2の目的位置p2までの移動所要時間または距離を短縮すること、特定道路(一般道路、有料道路など)を走行すること、指定ポイントまたは指定リンクを通過すること等を優先するアルゴリズムが含まれうる。第1アルゴリズムはナビ装置200に固有のアルゴリズムとして固定されていてもよいし、ユーザにより、ナビ装置200の入力装置201の操作を通じて指定されてもよい。
【0039】
また、第1処理部210により自動車2の現在位置p1が最新のまたは出力装置202を通じて出力されているナビルートr(k)(または後述する支援ルートR(k))の上にあるか否かが判定される(図2/S110)。
【0040】
自動車2の現在位置p1が最新のナビルートr(k)等の上にあると判定された場合(図2/S112‥YES)、自動車2の現在位置p1が目的位置p2の近傍領域S2(p2)にあるか否かがさらに判定される(図2/S112)。そして、自動車2の現在位置p1が目的位置p2の近傍領域S2(p2)の外側にあると判定された場合(図2/S112‥NO)、自動車2の現在位置p1が逐次測定され、かつ、自動車2の現在位置p1が最新のナビルートr(k)等の上にあるか否かが判定される(図2/S102,S110)。
【0041】
また、自動車2の現在位置p1が最新のナビルートr(k)等から外れていると判定された場合(図2/S112‥NO)、第2処理部220により指数kが「1」だけ増やされ(図2/S114)、自動車2の現在位置p1および目的位置p2を結ぶ新たなナビルートr(k+1)が再設定かつ出力される(図2/S116)。たとえば図3(b)に破線矢印で示されているように自動車2が移動することによりその現在位置p1がk次のナビルートr(k)(一点鎖線)から外れた場合、図3(c)に連続する二重線および実線で示されているように当該現在位置p1および目的位置p2を結ぶ新たなk+1次のナビルートr(k+1)が設定される。k+1次のナビルートr(k+1)は、自動車2の現在位置p1と、k次のナビルートr(k)のうち当該現在位置p1を基準とする所定範囲S1(p1)の外側にある位置p0とを結ぶ二重線で表されている接続ルートr0(k+1)を含むように設定される。
【0042】
さらに、第2処理部220によりナビサーバ100に対するルートリクエストが実行される(図2/S118)。これにより、ナビ装置200を識別するためのナビ識別情報とともに、新たに設定されたナビルートr(k)、具体的にはこのナビルートr(k)を構成する各リンクのリンク識別情報が、このナビ装置200からナビサーバ100に送信またはアップロードされる。なお、再設定されたナビルートr(k+1)のうち接続ルートr0(k+1)(図3(c)参照)を構成する各リンクのリンク識別情報がナビ装置200からナビサーバ100に対して送信されてもよい。
【0043】
ナビサーバ100において、第1支援処理部110によりナビ識別情報に対応付けられて、ナビルートr(k)、具体的にはナビルートr(k)を構成する各リンクのリンク識別情報が認識され、かつ、ナビルートr(k)の始点および終点のそれぞれが自動車2の現在位置p1および目的位置p2として認識される(図2/S202)。
【0044】
また、第2支援処理部120により、第1道路交通情報格納部101に格納されている第1道路交通情報と、第2道路交通情報格納部102に格納されている第2道路交通情報と、気象状況格納部103に格納されている気象情報等と、支援マップ格納部104に格納されている支援マップ情報とに基づき、第2アルゴリズムにしたがって自動車2の現在位置p1および目的位置p2を結ぶ支援ルートR(k)が設定される(図2/S204)。これにより、たとえば図3(d)に示されているように、ナビルートr(k+1)(一点鎖線)とは異なる支援ルートR(k+1)(実線)が設定される。「第2アルゴリズム」には、自動車2の走行時間または距離が短縮されること、利用料金が低廉であること、燃費がよいこと、指定ポイントまたは指定リンクを通過すること等を優先するアルゴリズムが含まれうる。第2アルゴリズムはユーザにより、ナビ装置200またはパーソナルコンピュータを通じて指定された上で、当該パーソナルコンピュータ等からナビサーバ100に送信またはアップロードされてもよい。第2アルゴリズムは第1アルゴリズムと重複しないように予め設定されていてもよい。また、第1アルゴリズムの種類を表すアルゴリズム識別情報がナビ装置200からナビサーバ100に送信され、当該情報に基づいて第2支援処理部120により第1アルゴリズムと重複されないように第2アルゴリズムが選択されてもよい。
【0045】
なお、ナビ装置200からナビサーバ100に対してナビマップ情報のバージョンを示す情報が送信またはアップロードされ、これに応じてナビサーバ100において当該ナビマップ情報のバージョンに合致するバージョンの支援マップ情報が選定され、当該選定支援マップ情報に基づいて支援ルートR(k)が設定されてもよい。
【0046】
さらに、第3支援処理部130によりナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれの第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数c1(k)および第2指数c2(k)が評価される(図2/S206)。たとえば、第2アルゴリズムが走行時間を短縮することを優先するアルゴリズムである場合、ナビサーバ100が有する、各リンクにおける最新の道路交通情報に基づいて予測される、ナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれにしたがった場合の自動車2の目的位置p2までの走行時間の減少関数が、第1指数c1(k)および第2指数c2(k)としてそれぞれ評価される。また、第2アルゴリズムが道路利用料金を低廉にすることを優先するアルゴリズムである場合、ナビサーバ100が有するマップ情報に基づいて算定される、ナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれにしたがった場合の道路利用料金の総和の減少関数が、第1指数c1(k)および第2指数c2(k)としてそれぞれ評価される。さらに、第2アルゴリズムが燃費向上を優先するアルゴリズムである場合、道路交通情報に基づいて所定のテーブルや算出式にしたがって算出される、自動車2の燃費の良否を表すエコ指数のナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれにおける総和が第1指数c1(k)および第2指数c2(k)としてそれぞれ評価される。また、第2アルゴリズムが指定ポイントまたは指定リンクの通過を優先するアルゴリズムである場合、ナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれにおける指定リンク等の出現頻度や包含率が第1指数c1(k)および第2指数c2(k)としてそれぞれ評価される。
【0047】
さらに、第3支援処理部130により第1指数c1(k)に対する第2指数c2(k)の偏差が閾値c未満であるか否かが判定される(図2/S208)。そして、当該判定結果が肯定的である場合にはナビ装置200における出力ルートを指定するフラグfが「1」に設定される一方(図2/S208‥YES,S210)、当該判定結果が否定的である場合には当該フラグfが「2」に設定される(図2/S208‥NO,S212)。第3支援処理部130により、ナビ識別情報により識別されるナビ装置200に対して、当該設定フラグfが配信またはダウンロードされる。設定フラグfが「1」である場合は当該フラグfのみがナビ装置200に送信される一方、設定フラグfが「2」である場合は当該フラグfに加えて支援ルートR(k)を構成する各リンクのリンク識別情報もナビ装置200に配信される。
【0048】
続いて、ナビ装置200において、第2処理部220によりフラグfが「1」および「2」のうちいずれであるかが判定される(図2/S120)。フラグfが1である場合、引き続きナビルートr(k)がディスプレイ装置に出力される(図3(c)参照)。また、前記のように自動車2の現在位置p1が測定され、かつ、この現在位置p1が最新のナビルートr(k)の上にあるか否かが判定される(図2/S102,S110)。
【0049】
その一方、フラグfが2である場合、ナビルートr(k)に代えて支援ルートR(k)が出力装置202を通じて出力される(図2/S122、図3(d)参照)。また、前記のように自動車2の現在位置p1が測定され、かつ、この現在位置p1が最新の支援ルートR(k)の上にあるか否かが判定される(図2/S102,S110)。なお、ナビ装置200においてナビサーバ100から配信された支援ルートR(k)がそのまま出力されるほか、ナビサーバ100から配信された支援ルートR(k)(および各リンクの道路交通情報)に基づき、ナビ装置200において再探索された支援ルートR(k)が出力されてもよい。
【0050】
そして、自動車2の現在位置p1が目的位置p2の近傍領域S2(p2)の内側にあると判定された場合(図2/S112‥YES)、ルート出力等を含む前記一連の処理が終了する。
【0051】
前記機能を発揮するナビサーバ100によれば、第2アルゴリズムに鑑みたナビルートr(k)および支援ルートR(k)のそれぞれの妥当性が第1指数c1(k)および第2指数c2(k)として評価される(図2/S206参照)。また、第1指数c1(k)および第2指数c2(k)の比較結果に基づき、ナビルートr(k)の妥当性の有無が判定される(図2/S208参照)。そして、当該妥当性に欠けるとの判定結果に応じてナビルートr(k)に代えて支援ルートR(k)をナビ装置200に出力させることができる(図2/S122,図3(d)参照)。すなわち、ナビ装置200において設定されたナビルートr(k)が第2アルゴリズムに鑑みて妥当性に欠けている場合、第2アルゴリズムに鑑みて妥当性がある支援ルートR(k)、具体的には当該支援ルートR(k)をナビ装置200に出力装置202を通じて出力させることができる。たとえば、走行時間もしくは距離の短縮、燃費向上、通行料金の節約、または、指定ポイントまたは指定リンクの通過頻度に鑑みてナビルートr(k)が妥当性に欠けている場合、ナビルートr(k)に代えて、走行時間もしくは距離がより短い支援ルートR(k)、燃費がよりよいと予測される支援ルートR(k)、通行料金がより低廉であると予測される支援ルートR(k)、または、指定ポイントもしくは指定リンクを通過する頻度が高い支援ルートR(k)をナビ装置200に出力させることができる。
【0052】
また、第1アルゴリズムにしたがって設定されたナビルートr(k)が第2アルゴリズムに鑑みて妥当性があるか否かをナビサーバ100に検査させることができる。そして、ナビサーバ100におけるナビルートr(k)が妥当性に欠けているという検査結果に応じて支援ルートR(k)を認識し、ナビルートr(k)の代わりに当該支援ルートR(k)を出力することができる。
【0053】
一方、前回のナビルートr(k)から自動車2の現在位置p1が外れたことに応じて設定された今回のナビルートr(k+1)の、第2アルゴリズムに鑑みた妥当性の有無をナビサーバ100に検査させることができる(図2/S110‥NO,S114,S115,S118,S202〜S208参照)。そして、ナビサーバ100における、ナビルートr(k)が妥当性に欠けているという検査結果に応じて支援ルートR(k)を認識し、ナビルートr(k)の代わりに当該支援ルートR(k)を出力することができる。
【0054】
また、自動車2の現在位置p1と、前回のナビルートr(k)において自動車2の現在位置p1を基準とする所定範囲S1(p1)を超えた位置p0とを結ぶ接続ルートr0(k+1)を含む新たなナビルートr(k+1)が設定される(図2/S116,図3(c)参照)。したがって、前回のナビルートr(k)のうち、自動車2から所定範囲S1(p1)内にある位置に自動車2を合流させる今回のナビルートr(k+1)が新たに設定されることが回避される。したがって、自動車2をただちに前回のナビルートr(k+1)に復帰させようとするあまり、不要な迂回や折り返しを自動車2に強いる事態が回避されうる。
【0055】
前記実施形態ではナビサーバ100において支援ルートR(k)が設定され、支援ルートR(k)の第2指数c2(k)が評価され、第1指数c1(k)がこの第2指数c2(k)と対比されることによりナビ装置200において出力されるルートが決定された(図2/S202〜S212参照)。他の実施形態として第2指数c2(k)の評価が省略され、第1指数c1(k)が所定値を超えているか否かに応じてナビ装置200において出力されるルートが決定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のナビシステムの構成説明図
【図2】本発明のナビシステムの機能説明図
【図3】本発明のナビ装置における出力画面の説明図
【符号の説明】
【0057】
1‥自動車20‥ナビ装置、11‥第1処理部、12‥第2処理部、20‥ナビサーバ、21‥第1支援処理部、22‥第2支援処理部、23‥第3支援処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置による移動体の誘導を支援するナビサーバであって、
前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置により第1アルゴリズムにしたがって設定されている、前記移動体を目的位置に誘導するためのナビルートを認識する第1支援処理部と、
前記ナビ装置との通信に基づき、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、かつ、第2アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを設定する第2支援処理部と、
前記第1支援処理部により認識された前記ナビルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数を評価し、前記第1指数が所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させる第3支援処理部とを備えていることを特徴とするナビサーバ。
【請求項2】
請求項1記載のナビサーバにおいて、
前記第3支援処理部が、前記第2支援処理部により設定された前記支援ルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第2指数を評価し、前記第1指数および前記第2指数の偏差が閾値を超えていることを前記所定条件とし、該第1指数が該所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させることを特徴とするナビサーバ。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援処理部が、前記第2アルゴリズムとして、前記移動体の移動所要時間もしくは距離が短いこと、燃費がよいこと、通行料金が低廉であること、または、前記移動体のための指定ポイントまたは指定リンクを通過することを優先するアルゴリズムにしたがって前記支援ルートを設定することを特徴とするナビサーバ。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載のナビサーバにおいて、
前記第2支援処理部が前記第1アルゴリズムとは異なる前記第2アルゴリズムにしたがって前記支援ルートを設定することを特徴とするナビサーバ。
【請求項5】
ナビサーバとの通信に基づいて移動体を誘導するナビ装置であって、
前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、第1アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するためのナビルートを設定かつ出力する第1処理部と、
前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて設定された、該移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力する第2処理部とを備えていることを特徴とするナビ装置。
【請求項6】
請求項5記載のナビ装置において、
前記移動体の現在位置が出力中の前記ナビルートまたは前記支援ルートから外れていることを要件として、
前記第1処理部が当該現在位置を新たな出発位置として前記ナビルートを再び設定かつ出力し、
前記第2処理部が前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により再設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて再設定された、前記移動体を前記新たな出発位置から前記目的位置に誘導するための前記支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力することを特徴とするナビ装置。
【請求項7】
請求項6記載のナビ装置において、
前記移動体の現在位置が出力中の前記ナビルートまたは前記支援ルートから外れていることを要件として、
前記第1処理部が、前記移動体の当該現在位置と、該ナビルートのうち前記移動体の位置を基準とする所定範囲を超えた位置とを結ぶルートを含む前記新たなナビルートを設定することを特徴とするナビ装置。
【請求項8】
移動体を誘導するためのナビ装置と、該ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置による移動体の誘導を支援するナビサーバとにより構成されているナビシステムであって、
前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置により第1アルゴリズムにしたがって設定されている、前記移動体を目的位置に誘導するためのナビルートを認識する第1支援処理部と、
前記ナビ装置との通信に基づき、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、かつ、第2アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを設定する第2支援処理部と、
前記第1支援処理部により認識された前記ナビルートの前記第2アルゴリズムに鑑みた妥当性を表す第1指数を評価し、前記第1指数が所定条件を満たすことを要件として、前記ナビ装置との通信に基づき、該ナビ装置に前記ナビルートに代えて前記支援ルートを出力させる第3支援処理部とを備え、
前記ナビ装置が、前記移動体の出発位置および目的位置を認識し、第1アルゴリズムにしたがって前記移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するためのナビルートを設定かつ出力する第1処理部と、
前記ナビサーバとの通信に基づき、該第1処理部により設定された該ナビルートを該ナビサーバに認識させ、続いて該ナビサーバにおいて設定された、該移動体を該出発位置から該目的位置に誘導するための支援ルートを認識したことを要件として、該支援ルートを該ナビルートに代えて出力する第2処理部とを備えていることを特徴とするナビシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−19931(P2009−19931A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181422(P2007−181422)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】