説明

ハイブリッド車両の制御装置及び制御方法

【課題】車両の駆動に係る構成要素の動作又は状態に応じて総合的なエネルギ効率を向上可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関及び当該内燃機関の運転によって発電する発電機を有する発電部と、車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電器を有する蓄電部と、蓄電部及び発電機の少なくとも一方からの電力供給によって駆動する電動機を有する消費部とを備えた車両の制御装置は、蓄電器の状態を導出する手段と、電動機の状態に基づいて導出される消費部の効率、並びに、ハイブリッド車両におけるアクセル操作に応じたアクセルペダル開度及び電動機の状態に基づく電動機に要求された出力から、消費部に要求された出力を導出する手段と、蓄電器の状態に応じて、消費部に要求された出力に対応する最適な発電部の出力を導出する手段と、最適な発電部の出力に対応する内燃機関の運転点を導出する手段とを備え、当該運転点で運転するよう内燃機関を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、特許文献1に開示されているハイブリッド電気自動車の全体構成図である。図14に示される制御装置17は、エンジン11及び発電機12からなるAPU13の運転状態からAPUエネルギ損失量Plaを演算すると共に、電池14の充放電状態から電池エネルギ損失量Plbを演算し、APUエネルギ出力量PaとAPUエネルギ損失量Plaとの和に対する、APUエネルギ出力量Paと電池エネルギ損失量Plbとの差が最大となるようにエンジン11の作動制御を行う。このため、車両10の走行状態に合った電力を発電してモータ15に供給することができ、電源効率の向上を図ることができると共に、エンジン11における燃費の向上による燃料コスト及び排気ガスの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−093716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記説明した特許文献1の車両10では、エンジン11が発電機12を駆動することによって、モータ15に供給される電力が発電される。このような車両におけるエンジンの運転方法には、定点運転や出力追従運転といった複数の方法が考えられる。しかし、特許文献1の制御装置17は、エンジン11の運転方法に応じて電源効率を向上する制御を行っていない。
【0005】
また、制御装置17は、車両10の駆動源であるモータ15の効率を考慮した制御を行っていない。
【0006】
さらに、エンジン11の作動制御を行う際に用いられるパラメータである電池エネルギ損失量Plbは、電池14における充電効率から算出される損失量と放電損失量との和であるが、実際の損失量は、電池の種類や運転条件、温度等により異なる。例えば、低温環境下では電池の内部抵抗が増加するため、実際の損失量は増加する。しかし、特許文献1の制御装置17は、充放電状態を除く電池14の状態に応じた電池エネルギ損失量Plbの変化については考慮していない。
【0007】
本発明の目的は、車両の駆動に係る構成要素の動作又は状態に応じて総合的なエネルギ効率を向上可能なハイブリッド車両の制御装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関(例えば、実施の形態での内燃機関109)及び当該内燃機関の運転によって発電する発電機(例えば、実施の形態での発電機111)を有する発電部(例えば、実施の形態での発電部123)と、ハイブリッド車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電器(例えば、実施の形態での蓄電器101)を有する蓄電部(例えば、実施の形態での蓄電部121)と、前記蓄電部及び前記発電機の少なくとも一方からの電力供給によって駆動する電動機(例えば、実施の形態での電動機107)を有する消費部(例えば、実施の形態での消費部125)と、を備えた前記ハイブリッド車両の制御装置(例えば、実施の形態でのマネジメントECU109)であって、前記蓄電器の状態を導出する蓄電器状態導出部(例えば、実施の形態での内部抵抗導出部201)と、前記電動機の状態に基づいて導出される前記消費部の効率、並びに、前記ハイブリッド車両におけるアクセル操作に応じたアクセルペダル開度及び前記電動機の状態に基づく前記電動機に要求された出力から、前記消費部に要求された出力を導出する消費部必要出力導出部(例えば、実施の形態での消費部効率導出部203と、モータ要求出力算出部205及び消費部必要出力算出部207)と、前記蓄電器の状態に応じて、前記消費部に要求された出力に対応する最適な前記発電部の出力を導出する最適発電部出力導出部(例えば、実施の形態での最適発電部出力導出部209)と、前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出する内燃機関運転点導出部(例えば、実施の形態での内燃機関運転点導出部213)と、を備え、前記内燃機関運転点導出部が導出した運転点で運転するよう前記内燃機関を制御することを特徴している。
【0009】
さらに、請求項2に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置では、前記最適な前記発電部の出力と前記消費部に要求された出力の大小関係に応じて、前記内燃機関の運転モードを、一定の回転数及びトルクで運転される定点運転モード、及び前記ハイブリッド車両のドライバからの要求出力に応じて必要な回転数及びトルクで運転される出力追従運転モードのいずれかに決定する運転モード決定部(例えば、実施の形態での運転モード決定部211)を備え、前記内燃機関運転点導出部は、前記運転モード決定部が決定した運転モードに応じて、前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出することを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置では、前記最適発電部出力導出部が導出する前記最適な前記発電部の出力は、前記消費部に要求された出力に対し、前記蓄電器の状態毎に、前記蓄電部、前記発電部及び前記消費部の各効率を併せた車両総合効率が最大となる前記発電部の出力であることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項4に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置では、前記蓄電部は、前記蓄電器、及び前記蓄電器と前記発電部及び前記消費部の間で昇圧又は降圧を行うコンバータ(例えば、実施の形態でのコンバータ103)と、を有し、前記車両総合効率は、前記コンバータの目標電圧に応じたコンバータ効率及び前記蓄電器の状態に応じたバッテリ効率に基づく充放電効率をパラメータの1つとして含むことを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項5に記載の発明のハイブリッド車両の制御方法では、内燃機関(例えば、実施の形態での内燃機関109)及び当該内燃機関の運転によって発電する発電機(例えば、実施の形態での発電機111)を有する発電部(例えば、実施の形態での発電部123)と、ハイブリッド車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電器(例えば、実施の形態での蓄電器101)を有する蓄電部(例えば、実施の形態での蓄電部121)と、前記蓄電部及び前記発電機の少なくとも一方からの電力供給によって駆動する電動機(例えば、実施の形態での電動機107)を有する消費部(例えば、実施の形態での消費部125)と、を備えた前記ハイブリッド車両の制御方法であって、前記蓄電器の状態を導出し、前記電動機の状態に基づいて導出される前記消費部の効率、並びに、前記ハイブリッド車両におけるアクセル操作に応じたアクセルペダル開度及び前記電動機の状態に基づく前記電動機に要求された出力から、前記消費部に要求された出力を導出し、前記蓄電器の状態に応じて、前記消費部に要求された出力に対応する最適な前記発電部の出力を導出し、前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出し、前記導出した運転点で運転する前記内燃機関を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜4に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置及び請求項5に記載の発明のハイブリッド車両の制御方法によれば、車両の駆動に係る構成要素の動作又は状態に応じて総合的なエネルギ効率を向上できる。
【0014】
請求項2に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、内燃機関の運転点が運転モードに応じて異なる場合であっても、総合的なエネルギ効率を向上できる。
【0015】
請求項3に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電部、発電部及び消費部の各効率を併せた車両総合効率を向上できる。
【0016】
請求項4に記載の発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電部の効率をより正確に導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】シリーズ方式のHEVの内部構成を示すブロック図
【図2】マネジメントECU119の内部構成を示すブロック図
【図3】蓄電部121、発電部123及び消費部125の入出力関係及び効率を示す図
【図4】マネジメントECU119による内燃機関109を制御するためのパラメータの導出方法を示すフローチャート
【図5】バッテリ温度−内部抵抗マップを示す図
【図6】バッテリ電流−バッテリ電圧マップを示す図
【図7】消費部効率マップを示す図
【図8】最適発電出力マップを示す図
【図9】発電部効率gと発電部出力Gの関係を示す図
【図10】バッテリ効率マップを示す図
【図11】コンバータ効率マップを示す図
【図12】目標電圧マップを示す図
【図13】発電部最大効率点マップを示す図
【図14】特許文献1に開示されているハイブリッド電気自動車の全体構成図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下説明する実施形態では、本発明に係る制御装置が、シリーズ方式のHEV(Hybrid Electrical Vehicle:ハイブリッド車両)に搭載されている。シリーズ方式のHEVは、電動機、内燃機関及び発電機を備え、主に蓄電器を電源として駆動する電動機の動力を利用して走行する。内燃機関は発電のためだけに用いられ、内燃機関の動力によって発電機で発電された電力は電動機に供給されるか、蓄電器に充電される。
【0019】
シリーズ方式のHEVは、「EV走行」又は「シリーズ走行」を行う。「EV走行」では、HEVは、蓄電器からの電源供給によって駆動する電動機の駆動力によって走行する。このとき内燃機関は駆動されない。また、「シリーズ走行」では、HEVは、蓄電器及び発電機の双方からの電力の供給や発電機のみからの電力の供給等によって駆動する電動機の駆動力によって走行する。このとき、内燃機関は発電機における発電のために駆動される。
【0020】
図1は、シリーズ方式のHEVの内部構成を示すブロック図である。図1に示すように、シリーズ方式のHEVは、蓄電器(BATT)101と、コンバータ(CONV)103と、第1インバータ(第1INV)105と、電動機(MOT)107と、内燃機関(ENG)109と、発電機(GEN)111と、第2インバータ(第2INV)113と、ギアボックス(以下、単に「ギア」という。)115と、マネジメントECU(MG ECU)119とを備える。
【0021】
蓄電器101は、直列に接続された複数の蓄電セルを有し、例えば100〜200Vの高電圧を供給する。蓄電セルは、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池である。コンバータ103は、蓄電器101の直流出力電圧を直流のまま昇圧又は降圧する。第1インバータ105は、直流電圧を交流電圧に変換して3相電流を電動機107に供給する。また、第1インバータ105は、電動機107の回生動作時に入力される交流電圧を直流電圧に変換して蓄電器101に充電する。
【0022】
電動機107は、HEVが走行するための動力を発生する。電動機107で発生したトルクは、ギア115を介して駆動軸151に伝達される。なお、電動機107の回転子はギア115に直結されている。また、電動機107は、回生ブレーキ時には発電機として動作し、電動機107で発電された電力は蓄電器101に充電される。内燃機関109は、HEVがシリーズ走行する際に発電機111を駆動するために用いられる。内燃機関109は、発電機111の回転子に直結されている。
【0023】
発電機111は、内燃機関109の動力によって駆動され、電力を発生する。発電機111が発電した電力は、蓄電器101に充電されるか、電動機107に供給される。第2インバータ113は、発電機111が発生した交流電圧を直流電圧に変換する。第2インバータ113によって変換された電力は、蓄電器101に充電されるか、第1インバータ105を介して電動機107に供給される。
【0024】
ギア115は、例えば5速相当の1段の固定ギアである。したがって、ギア115は、電動機107からの駆動力を、特定の変速比での回転数及びトルクに変換して、駆動軸151に伝達する。
【0025】
マネジメントECU119は、内燃機関109及び電動機107の各制御等を行う。なお、マネジメントECU119の制御による内燃機関109の運転モードには、定点運転モードと出力追従運転モードがある。定点運転モード時、内燃機関109は、最も燃費の良い一定の回転数及びトルクで運転される。一方、出力追従運転モード時、内燃機関109は、要求出力に応じて必要な回転数及びトルクで運転される。また、マネジメントECU119は、第1インバータ105及び第2インバータ113をそれぞれ構成するスイッチング素子をスイッチング制御する。
【0026】
さらに、マネジメントECU119は、図1に点線で示すように、蓄電器101の温度を示す情報、電動機107の回転数及びトルクを示す各情報、発電機111の回転数及びトルクを示す各情報、並びに、HEVのドライバのアクセル操作に応じたアクセルペダル開度(AP開度)を示す情報を取得する。なお、これらの情報は、各パラメータを検出するセンサ(図示せず)からマネジメントECU119に送られる。マネジメントECU119は、これら取得した情報に基づいて、内燃機関109の目標トルク(目標エンジントルク)及び目標回転数(目標エンジン回転数)を導出し、この目標エンジントルク及び目標エンジン回転数で示される運転点で運転するように内燃機関109及び第2インバータ113を制御する。
【0027】
図2は、マネジメントECU119の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、マネジメントECU119は、内部抵抗導出部201と、消費部効率導出部203と、モータ要求出力算出部205と、消費部必要出力算出部207と、最適発電部出力導出部209と、運転モード決定部211と、内燃機関運転点導出部213とを有する。
【0028】
以下、マネジメントECU119の各構成要素の動作、及び、マネジメントECU119による内燃機関109を制御するためのパラメータ(目標エンジントルク及び目標エンジン回転数)の導出方法について、図2及び図3〜図13を参照して説明する。なお、以下の説明では、図3に示すように、コンバータ103及び蓄電器101をまとめて「蓄電部121」と呼ぶ。また、内燃機関109、発電機111及び第2インバータ113をまとめて「発電部123」と呼ぶ。さらに、第1インバータ105及び電動機107をまとめて「消費部125」と呼ぶ。
【0029】
図4は、マネジメントECU119による内燃機関109を制御するためのパラメータの導出方法を示すフローチャートである。図5〜図13は、内燃機関109を制御するためのパラメータを導出する際にマネジメントECU119が利用するマップを示す。なお、これらのマップは、マネジメントECU119の内部に設けられたメモリ又はマネジメントECU119がアクセス可能な外部のメモリに格納されている。
【0030】
図4に示すように、内部抵抗導出部201は、蓄電器101の温度(バッテリ温度T)及び図5に示すバッテリ温度−内部抵抗マップに基づいて、蓄電器101の内部抵抗Rを導出する(ステップS101)。なお、内部抵抗導出部201は、蓄電器101から残容量(SOC:State of Charge)及び蓄電器101の出力電圧(バッテリ電圧V)が得られる場合、図6に示すバッテリ電流−バッテリ電圧マップに基づいて、蓄電器101の出力電流(バッテリ電流I)を導出して、内部抵抗R=バッテリ電圧V/バッテリ電流Iの計算式から内部抵抗Rを算出しても良い。あるいは、内部抵抗導出部201は、蓄電器101の出力電流(バッテリ電流I)及び蓄電器101の出力電圧(バッテリ電圧V)が得られる場合、内部抵抗R=バッテリ電圧V/バッテリ電流Iの計算式から内部抵抗Rを算出しても良い。これらの場合、蓄電器101の経年劣化に伴う内部抵抗Rの変化を考慮することができる。
【0031】
次に、消費部効率導出部203は、電動機107の回転数(モータ回転数NE)及びトルク(モータトルクTr)、並びに、図7に示す消費部効率マップに基づいて、消費部125の効率(以下「消費部効率」という)mを導出する(ステップS103)。なお、消費部効率mとは、消費部125を構成する第2インバータ113と電動機107の総合効率である。
【0032】
次に、モータ要求出力算出部205は、AP開度、モータ回転数NE及びモータトルクTrに基づいて、電動機107に要求された出力(以下「モータ要求出力」という)Pmを算出する(ステップS104)。
【0033】
次に、消費部必要出力算出部207は、モータ要求出力Pm及び消費部効率mに基づいて、以下に示す式(1)より、消費部125に要求された出力(以下「消費部必要出力」という)Mrを算出する(ステップS105)。
Mr=Pm/m …(1)
【0034】
次に、最適発電部出力導出部209は、消費部必要出力Mr、ステップS101で内部抵抗導出部201が導出した蓄電器101の内部抵抗R、及び図8に示す最適発電出力マップに基づいて、発電部123の最適な出力(以下「最適発電部出力」という)Goを導出する(ステップS107)。
【0035】
なお、図9に示すように、発電部123を構成する内燃機関109、発電機111及び第2インバータ113の総合効率である発電部効率gは、発電部123の出力(以下「発電部出力」という)Gに応じて異なる。したがって、図8に示した最適発電出力マップは、蓄電器101の内部抵抗R毎に、蓄電部121、発電部123及び消費部125の各効率を併せた車両総合効率が最大となる発電部出力Gを、「発電部出力G≧消費部必要出力Mr」の範囲で求めることによって作成される。このようにして作成される最適発電出力マップにおいて、最適発電部出力Goは、消費部必要出力Mrが所定値未満のとき、蓄電器101の内部抵抗Rが小さい方が高く、消費部必要出力Mrが所定値以上のときは内部抵抗Rによらず同一である。
【0036】
なお、車両総合効率は、以下に示す式(2)で表される。
車両総合効率=g×{(1−B)+B×b}×m …(2)
但し、
g:発電部効率
m:消費部効率
b:充放電効率(=バッテリ効率×コンバータ効率)
B(蓄電部121を経由する割合)=1−Mr/G (但し、M:消費部必要出力,G:発電部出力)
【0037】
なお、充放電効率bを算出するために必要なパラメータであるバッテリ効率及びコンバータ効率は、それぞれ図10に示すバッテリ効率マップ及び図11に示すコンバータ効率マップから得られる。図10に示すように、バッテリ効率は、蓄電器101の内部抵抗Rに応じて得られる。また、図11に示すように、コンバータ効率は、目標電圧によって異なる。目標電圧は、電動機107の回転数(モータ回転数NE)及びトルク(モータトルクTr)、並びに、図12に示す目標電圧マップに基づいて得られる。
【0038】
ステップS107の後、運転モード決定部211は、ステップS107で最適発電部出力導出部209が導出した最適発電部出力Goと、ステップS104でモータ要求出力算出部205が算出した消費部必要出力Mrの大小関係(magnitude relation)を比較する(ステップS109)。ステップS109で行った比較の結果、最適発電部出力Goが消費部必要出力Mrより大きい(Go>Mr)の場合はステップS111に進み、運転モード決定部211は、内燃機関109を定点運転モードで制御すると決定する。一方、最適発電部出力Goが消費部必要出力Mr以下(Go≦Mr)の場合はステップS113に進み、運転モード決定部211は、内燃機関109を出力追従運転モードで制御すると決定する。
【0039】
ステップS111及びステップS113の後、内燃機関運転点導出部213は、ステップS107で最適発電部出力導出部209が導出した最適発電部出力Go及び図13に示す発電部最大効率点マップに基づいて、内燃機関109の目標トルク(目標エンジントルク)及び目標回転数(目標エンジン回転数)を導出する(ステップS115)。ステップS115で内燃機関運転点導出部213が導出する目標エンジントルク及び目標エンジン回転数は、内燃機関109が定点運転モード又は出力追従運転モードで制御されるとき、発電部効率gが最大となる内燃機関109の運転点でのトルク及び回転数を示す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、マネジメントECU119が、蓄電器101の内部抵抗R、消費部効率m及びモータ要求出力Pmに基づいて最適発電出力マップを用いて最適発電部出力Goを導出した後、最適発電部出力Goに応じて内燃機関109の運転点を導出する。このように、内燃機関109の運転点を導出するまでの過程には、蓄電器101の内部抵抗R、消費部効率m及び最適発電部出力Goが鑑みられている。また、最適発電出力マップは、発電部効率g、消費部効率m及び充放電効率bに基づいて設定されたマップである。したがって、内燃機関109を当該運転点で運転すれば、蓄電部121、発電部123及び消費部125の各効率を併せた車両総合効率が最も良くなる。
【符号の説明】
【0041】
101 蓄電器(BATT)
103 コンバータ(CONV)
105 第1インバータ(第1INV)
107 電動機(MOT)
109 内燃機関(ENG)
111 発電機(GEN)
113 第2インバータ(第2INV)
115 ギアボックス
119 マネジメントECU(MG ECU)
201 内部抵抗導出部
203 消費部効率導出部
205 モータ要求出力算出部
207 消費部必要出力算出部
209 最適発電部出力導出部
211 運転モード決定部
213 内燃機関運転点導出部
121 蓄電部
123 発電部
125 消費部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及び当該内燃機関の運転によって発電する発電機を有する発電部と、
ハイブリッド車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電器を有する蓄電部と、
前記蓄電部及び前記発電機の少なくとも一方からの電力供給によって駆動する電動機を有する消費部と、を備えた前記ハイブリッド車両の制御装置であって、
前記蓄電器の状態を導出する蓄電器状態導出部と、
前記電動機の状態に基づいて導出される前記消費部の効率、並びに、前記ハイブリッド車両におけるアクセル操作に応じたアクセルペダル開度及び前記電動機の状態に基づく前記電動機に要求された出力から、前記消費部に要求された出力を導出する消費部必要出力導出部と、
前記蓄電器の状態に応じて、前記消費部に要求された出力に対応する最適な前記発電部の出力を導出する最適発電部出力導出部と、
前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出する内燃機関運転点導出部と、を備え、
前記内燃機関運転点導出部が導出した運転点で運転するよう前記内燃機関を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
前記最適な前記発電部の出力と前記消費部に要求された出力の大小関係に応じて、前記内燃機関の運転モードを、一定の回転数及びトルクで運転される定点運転モード、及び前記ハイブリッド車両のドライバからの要求出力に応じて必要な回転数及びトルクで運転される出力追従運転モードのいずれかに決定する運転モード決定部を備え、
前記内燃機関運転点導出部は、前記運転モード決定部が決定した運転モードに応じて、前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
前記最適発電部出力導出部が導出する前記最適な前記発電部の出力は、前記消費部に要求された出力に対し、前記蓄電器の状態毎に、前記蓄電部、前記発電部及び前記消費部の各効率を併せた車両総合効率が最大となる前記発電部の出力であることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置であって、
前記蓄電部は、前記蓄電器、及び前記蓄電器と前記発電部及び前記消費部の間で昇圧又は降圧を行うコンバータと、を有し、
前記車両総合効率は、前記コンバータの目標電圧に応じたコンバータ効率及び前記蓄電器の状態に応じたバッテリ効率に基づく充放電効率をパラメータの1つとして含むことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
内燃機関及び当該内燃機関の運転によって発電する発電機を有する発電部と、
ハイブリッド車両の駆動源である電動機に電力を供給する蓄電器を有する蓄電部と、
前記蓄電部及び前記発電機の少なくとも一方からの電力供給によって駆動する電動機を有する消費部と、を備えた前記ハイブリッド車両の制御方法であって、
前記蓄電器の状態を導出し、
前記電動機の状態に基づいて導出される前記消費部の効率、並びに、前記ハイブリッド車両におけるアクセル操作に応じたアクセルペダル開度及び前記電動機の状態に基づく前記電動機に要求された出力から、前記消費部に要求された出力を導出し、
前記蓄電器の状態に応じて、前記消費部に要求された出力に対応する最適な前記発電部の出力を導出し、
前記最適な前記発電部の出力に対応する前記内燃機関の運転点を導出し、
前記導出した運転点で運転する前記内燃機関を制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−86643(P2012−86643A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233987(P2010−233987)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】