説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】低速時のハイブリッド車両に大きな駆動力が求められる場合に、適切な運転条件を実現する
【解決手段】ハイブリッド車両の制御装置(100)は、第1電動機(SG)、第2電動機(MG)及び内燃機関(200)を含む動力要素と、駆動軸と、動力伝達機構(300)と、クラッチ(Cs)とを備えたハイブリッド車両(1)を制御する。ハイブリッド車両の制御装置は、動力伝達モードを、クラッチを切り離す第1モード、クラッチを係合する第2モード、クラッチを滑り係合する第3モードに切替え可能な切替手段(140)と、車速が第1閾値より低いか否かを判定する第1判定手段(110)と、要求トルクが第2閾値より大きいか否かを判定する第2判定手段(120)と、車速が第1閾値より低く且つ要求トルクが第2閾値より大きい場合に、動力伝達モードを第3モードに切替える制御手段(130)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達機構の動作を制御することにより多様な動力伝達態様を実現可能に構成されたハイブリッド車両を制御するハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハイブリッド車両では、エンジンから出力された動力を全て電動機の駆動電力に変換して駆動軸に出力するシリーズモードと、エンジンから出力された動力を機械的な動力のまま駆動軸に出力すると共に残余を電力に変換して駆動軸へと出力するパラレルモードとが、運転状況等に応じて自動的に切替えられる。動力伝達モードは、例えばエンジンと動力伝達機構との間に設けられたクラッチの係合制御によって切替えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
動力伝達モードの切替制御において、シリーズモードからパラレルモードへと切替える場合、各モードの駆動力の違いに起因して、車両にショックが生じてしまう場合がある。このようなショックは、ドライバビリティ低下の原因となるおそれがあるため、シリーズモードからパラレルモードへの切替時において、クラッチを滑り係合させるという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−190497号公報
【特許文献2】特開2006−170336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリーズモードからパラレルモードへの切替は、例えばハイブリッド車両に比較的大きな駆動力が求められる場合に行われる。しかしながら、上述した特許文献2に係る技術では、モード切替時において一時的にクラッチの滑り係合が実現されるだけなので、パラレルモードへの切替後にも大きな駆動力が求められる場合には、エンジンの回転数が自律回転数より小さくなってしまうおそれがある。即ち、エンジンストップしてしまうおそれがある。また、シリーズモードのままで大きな駆動力を出力しようとすると、電動機のトルクが大幅に増大してしまう。このように、特許文献2に係る技術には、ハイブリッド車両に大きな駆動力が求められる場合(特に、低車速時)において、適切な運転条件を実現することが困難であるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、ハイブリッド車両に大きな駆動力が求められる場合に、適切な運転条件を実現可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は上記課題を解決するために、第1電動機、第2電動機及び内燃機関を含む動力要素と、前記動力要素からの動力を車軸に伝達する駆動軸と、前記動力要素及び前記駆動軸間において動力を伝達する動力伝達機構と、前記内燃機関及び前記第1電動機と前記動力伝達機構との間に設けられたクラッチとを備えたハイブリッド車両を制御する装置であって、前記ハイブリッド車両の動力伝達モードを、前記クラッチを切り離し前記第2電動機の動力を駆動軸に出力する第1モード、前記クラッチを係合し前記内燃機関及び前記第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第2モード、並びに前記クラッチを滑り係合し前記内燃機関の動力の一部及び前記第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第3モードに切替え可能な切替手段と、前記ハイブリッド車両の車速が第1閾値より低いか否かを判定する第1判定手段と、前記駆動軸に出力されるべき動力が第2閾値より大きいか否かを判定する第2判定手段と、前記ハイブリッド車両の車速が第1閾値より低く、且つ前記駆動軸に出力されるべき動力が第2閾値より大きい場合に、前記ハイブリッド車両の動力伝達モードを前記第3モードに切替えるように前記切替手段を制御する制御手段とを備える。
【0008】
本発明に係るハイブリッド車両は、駆動軸に対し動力(言い換えれば、トルク)を供給可能な動力要素として、例えば夫々モータジェネレータ等の電動発電機として構成され得る第1及び第2電動機、並びに燃料種別、燃料の供給態様、燃料の燃焼態様、吸排気系の構成及び気筒配列等を問わない各種の態様を採り得る内燃機関を少なくとも備えた車両である。
【0009】
本発明に係るハイブリッド車両には、上述した各動力要素及び駆動軸間で動力を伝達する動力伝達機構が備えられている。動力伝達機構は、例えば複数のドライブギヤ及びドリブンギヤ等を備える変速機として構成される。このような変速機によれば、例えば各ギヤの係合状態を制御することにより、適切な動力伝達モードを実現することができる。
【0010】
本発明に係るハイブリッド車両には更に、内燃機関及び第1電動機と動力伝達機構との間に設けられたクラッチを備えている。クラッチは、その係合部が互いに係合することによって内燃機関から動力伝達機構への動力伝達を実現し、切り離されることによって内燃機関から動力伝達機構への動力伝達を遮断する。また、本発明に係るクラッチは特に、滑り係合が可能とされている。滑り係合時には、クラッチの係合部が完全には係合されず、滑るような状態で係合される。このため、内燃機関から出力された動力は、部分的に動力伝達機構に伝達されることになる。
【0011】
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、このようなハイブリッド車両を制御する制御装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、上述したクラッチの係合を制御することで動力伝達機構の状態を変化させ、動力伝達モードを切替える切替手段を備えている。切替手段は、クラッチを切り離し第2電動機の動力を駆動軸に出力する第1モード、クラッチを係合し内燃機関及び第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第2モード、並びにクラッチを滑り係合し内燃機関の動力の一部及び第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第3モードに動力伝達モードを切替え可能である。即ち、クラッチが切り離されているか、係合されているか、或いは滑り係合されているかによって動力伝達モードが切替わる。以下では、第1から第3モードの各モードについて、より具体的に説明する。
【0013】
第1モードによれば、クラッチが切り離されているため、内燃機関から出力される動力が動力伝達機構へ伝達されない。このため動力伝達機構には、クラッチでは切り離されない第2電動機からの動力のみが伝達される。但し、クラッチが切り離されたとしても、内燃機関から出力された動力を第1電動機に伝達することは可能である。よって、内燃機関から出力された動力を、第1電動機において電力として回生することができる。第1電動機の回生によって得られる電力は、第2電動機の動力として利用される。このように、第1モードは、内燃機関から供給される動力を、電力に変換してから間接的に駆動軸に出力する動力伝達モード(所謂、シリーズモード)といえる。
【0014】
第2モードによれば、クラッチが係合されているため、内燃機関から出力された動力が動力伝達機構へ伝達される。このため動力伝達機構には、内燃機関からの動力及び第2電動機からの動力が伝達される。尚、内燃機関から出力された動力の一部は、第1電動機において回生され、第2電動機の動力として利用される。このように、第2モードは、内燃機関から供給される動力を、動力伝達機構を介して駆動軸に直接出力すると共に、第2電動機の動力に換えて間接的に駆動軸へと出力する動力伝達モード(所謂、パラレルモード)といえる。尚、第2電動機を切り離し、内燃機関からの動力のみを動力伝達機構へと伝達させることも可能である。
【0015】
第3モードによれば、クラッチが滑り係合されているため、内燃機関から出力された動力が部分的に動力伝達機構へ伝達される。また、内燃機関から出力された動力の一部は、第1電動機において回生され、第2電動機の動力として利用される。よって、第3モードは、上述した第2モードと同様に、内燃機関から供給される動力を、動力伝達機構を介して駆動軸に直接出力すると共に、第2電動機の動力に換えて間接的に駆動軸へと出力する動力伝達モードである。但し、第3モードは、クラッチが滑り係合されている(即ち、内燃機関の出力軸の回転数と動力伝達機構の入力軸の回転数が互いに同じとはならない)ため、クラッチを通常通り係合させる第2モードと比べると、内燃機関の回転数を上昇させることができる。また、クラッチを係合させない第1モードと比べても、内燃機関の動力が部分的に動力伝達機構に伝達される分、第2電動機から出力される動力を低減できる。
【0016】
尚、切替手段は、第1モードから第3モードに加えて、他の動力伝達モードへの切替えを可能に構成されてもよい。他の動力伝達モードとしては、例えば内燃機関を停止させて電動機のみで駆動するモード(所謂、EVモード)等が挙げられる。
【0017】
ここで本発明のハイブリッド車両の制御装置は特に、ハイブリッド車両の走行時において、車両の車速が第1閾値より低いか否かが、第1判定手段によって判定される。また、駆動軸に出力されるべき動力(以下、適宜「要求トルク」と称する)が第2閾値より大きいか否かが、第2判定手段によって判定される。尚、ここでの「第1閾値」及び「第2閾値」とは、車速及び要求トルクの各々に対して設定される閾値であり、第1モード又は第2モードによって適切な動力伝達が行えるか否かを判定するために用いられる。第1閾値及び第2閾値は、予め理論的、実験的又は経験的に求められ、第1判定手段及び第2判定手段が有するメモリ等に夫々格納されている。
【0018】
本発明のハイブリッド車両の制御装置では、上述した判定において、ハイブリッド車両の車速が第1閾値より低く、且つ要求トルクが第2閾値より大きいという結果が出た場合に、制御手段によって、ハイブリッド車両の動力伝達モードを第3モードに切替えるように切替手段が制御される。即ち、低車速時に大きい駆動力が求められた際には、動力伝達モードが第3モードに切替えられる。
【0019】
第3モードは、上述したように、第2モードと比べて内燃機関の回転数を上昇させることができる。このため、低車速時に大きな駆動力が要求されたとしても、内燃機関の回転数が自律回転数を下回る程に低下してしまうことを防止できる。よって、内燃機関の予期せぬ停止を防止できる。また、クラッチを介して伝達される動力も小さくなるので、クラッチの耐熱性及び耐久性を向上させることができる。更には、第1モードと比べて、第2電動機から出力される動力を低減できるため、第2電動機の負担を軽減できる。
【0020】
以上説明したように、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、クラッチを滑り係合させる第3モードを有しているため、低車速で走行するハイブリッド車両に大きな駆動力が求められる場合に、適切な運転条件を実現することが可能である。
【0021】
本発明のハイブリッド車両の制御装置の一態様では、前記第2モードにおける最大駆動力と、前記第3モードにおける最大駆動力とは互いに等しくなるように設定されている。
【0022】
この態様によれば、第2モードにおける最大駆動力と、第3モードにおける最大駆動力とが互いに等しいため、第2モード及び第3モード間での動力伝達モード切替時における、ハイブリッド車両の運転者の違和感を低減させることができる。即ち、切替前及び切替後の各モードの最大駆動力の違いによって、ドライバビリティが低下してしまうことを防止できる。尚、本態様における「等しい」とは、第2モードにおける最大駆動力と、第3モードにおける最大駆動力とが完全に同じ値である場合だけでなく、上述したドライビリティの低下を防止できるまでに、互いの値が近い場合を含んでいる。言い換えれば、第2モードにおける最大駆動力と、第3モードにおける最大駆動力とが同じ値でなくとも、互いの値を近づけることによって、上述した効果は相応に得られる。
【0023】
尚、各モードの最大駆動力は、典型的には、動力要素や動力伝達機構の構成等に応じて決まるが、例えば各部位の動作を制御して駆動力の出力を制限して最大駆動力を調整することが可能である。
【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【図2】ハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図(その1)である。
【図3】エンジンの一断面構成を例示する模式図である。
【図4】ハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図(その2)である。
【図5】ECUの構成を示すブロック図である。
【図6】ハイブリッド車両の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】ハイブリッド車両の制御装置によって実現される動力伝達モードを示すマトリクス図である。
【図8】高SOC時に実現される動力伝達モードと、車速及び駆動力との関係を示すグラフである。
【図9】低SOC時に実現される動力伝達モードと、車速及び駆動力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0027】
先ず、本実施形態に係るハイブリッド車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、ハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【0028】
図1において、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、ハイブリッド駆動装置10、PCU(Power Control Unit)11、バッテリ12、アクセル開度センサ13、車速センサ14及びECU100を備えて構成されている。
【0029】
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、ハイブリッド車両1の各部の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、例えばROM等に格納された制御プログラムに従って、ハイブリッド車両1における各種制を実行可能に構成されている。ECU100の具体的な構成については後述する。
【0030】
PCU11は、バッテリ12から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するスタータジェネレータSG及びモータジェネレータMGに供給する。また、スタータジェネレータSG及びモータジェネレータMGによって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ12に供給することが可能な不図示のインバータを含んでいる。即ち、PCU11は、バッテリ12と各モータジェネレータとの間の電力の入出力、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ12を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御可能に構成された電力制御ユニットである。PCU11は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
【0031】
バッテリ12は、スタータジェネレータSG及びモータジェネレータMGを力行するための電力に係る電力供給源として機能する充電可能な蓄電手段である。
【0032】
アクセル開度センサ13は、ハイブリッド車両1の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ13は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
【0033】
車速センサ14は、ハイブリッド車両1の車速Vを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
【0034】
ハイブリッド駆動装置10は、ハイブリッド車両1のパワートレインとして機能する動力ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置10の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【0035】
図2において、ハイブリッド駆動装置10は、主にエンジン200、変速機300、スタータジェネレータSG(以下、適宜「SG」と略称する)、モータジェネレータMG(以下、適宜「MG」と略称する)及びクラッチCsを備えて構成されている。
【0036】
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両1の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図3を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。図3は、エンジン200の一断面構成を例示する模式図である。
【0037】
尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的又は機械的な伝達手段を適宜介して駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。また、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図3においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。
【0038】
図3において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介して、クランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。
【0039】
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。このクランクポジションセンサ206は、ECU100(不図示)と電気的に接続されており、ECU100では、このクランクポジションセンサ206から出力されるクランク角信号に基づいて、エンジン200の機関回転数NEが算出される構成となっている。
【0040】
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210を介して吸気バルブ211の開弁時に気筒201内部へ導かれる。一方、吸気ポート210には、インジェクタ212の燃料噴射弁が露出しており、吸気ポート210に対し燃料を噴射することが可能な構成となっている。インジェクタ212から噴射された燃料は、吸気バルブ211の開弁時期に前後して吸入空気と混合され、上述した混合気となる。
【0041】
燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に供給される構成となっている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり、吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
【0042】
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節可能なスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、ECU100は、基本的には不図示のアクセルペダルの開度(即ち、上述したアクセル開度Ta)に応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータ209を制御するが、スロットルバルブモータ209の動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
【0043】
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出される排気中のNOx(窒素酸化物)を還元すると同時に、排気中のCO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)を酸化可能に構成された触媒装置である。尚、触媒装置の採り得る形態は、このような三元触媒に限定されず、例えば三元触媒に代えて或いは加えて、NSR触媒(NOx吸蔵還元触媒)或いは酸化触媒の各種触媒が設置されていてもよい。
【0044】
排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。これら空燃比センサ217及び水温センサ218は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100により一定又は不定の検出周期で把握される構成となっている。
【0045】
図2に戻り、スタータジェネレータSGは、本発明に係る「第1電動機」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMGは、本発明に係る「第2電動機」の一例たる電動発電機であり、スタータジェネレータSGと同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、スタータジェネレータSG及びモータジェネレータMGは、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有するが、他の構成を有していてもよい。
【0046】
変速機300は、本発明の「動力伝達機構」の一例であり、入力軸20と、該入力軸20に平行に延びる出力軸30と、これら入力軸20及び出力軸30に設けられた複数のギヤ及びシンクロナイザ機構を含んで構成されている。
【0047】
入力軸20は、クラッチCsを介して、エンジン200及びスタータジェネレータSGと接続されている。このため、エンジン200及びスタータジェネレータSGから出力される動力は、入力軸20を介して変速機300に入力される。
【0048】
出力軸30は、ドライブギヤ35を介して、減速機構50と接続されている。このため、変速機から出力される動力は、ドライブギヤ35及び減速機構50を介して、ハイブリッド車両1の駆動輪たる右前輪FR及び左前輪FLを夫々駆動するドライブシャフトSFR及びSFL(図1参照)に出力される。
【0049】
第1ドライブギヤ21、第2ドライブギヤ22及び第3ドライブギヤ23は、夫々入力軸20と一体的に回転するように設けられている。第1ドライブギヤ21と対をなす第1ドリブンギヤ31、第2ドライブギヤ22と対をなす第2ドリブンギヤ32、及び第3ドライブギヤ23と対をなす第3ドリブンギヤ33は。夫々出力軸30に対して相対的に回転するように設けられている。また出力軸30には第4ドライブギヤ24が設けられており、第4ドリブンギヤ34を介してモータジェネレータMGと接続されている。
【0050】
ここで特に、図2におけるMGは、第4ドライブギヤ24及び第4ドリブンギヤ34から見て、変速機300とは逆側に設けられているが、図4のように変速機300と同じ側に設けられてもよい。即ち、MGと変速機300とが互いに並列に設けられてもよい。MG及び変速機300を並列配置することで、車両搭載性を向上させることができる。尚、MG及び変速機300を並列配置する場合には、入力ギヤを大きく、出力ギヤを小さくすることで、ハイギヤ化を図ることが望ましい。
【0051】
再び図2に戻り、第1シンクロナイザ機構S1及び第2シンクロナイザ機構S2は、例えば噛み合い式のドグクラッチとして構成され、夫々出力軸30に設けられている。第1シンクロナイザ機構S1は、スリーブの位置を切替えることによって、第1ドリブンギヤ31及び出力軸30が一体的に回転する第1係合状態と、第2ドリブンギヤ32及び出力軸30が一体的に回転する第2係合状態と、第1ドリブンギヤ31、第2ドリブンギヤ32及び出力軸30が夫々別々に回転する解放状態とを切り替え可能である。第2シンクロナイザ機構S2は、スリーブの位置を切替えることによって、第3ドリブンギヤ33及び出力軸30が一体的に回転する第3係合状態と、第4ドライブ24及び出力軸30が一体的に回転する第4係合状態と、第3ドリブンギヤ33、第4ドライブギヤ24及び出力軸30が夫々別々に回転する解放状態とを切り替え可能である。尚、図2では、解放状態の第1シンクロナイザ機構S1及び第2シンクロナイザ機構S2が示されている。
【0052】
クラッチCsは、本発明の「クラッチ」の一例であり、例えば噛合い式のドグクラッチとして構成される。クラッチCsが係合されると、エンジン200及びSGから出力された動力が、変速機300の入力軸20に伝達される。一方、クラッチCsが係合されない場合、エンジン200及びSGから出力された動力は、変速機300の入力軸20に伝達されない。また、クラッチCsは滑り係合が可能であり、エンジン200及びSGから出力された動力を、部分的に変速機300の入力軸20に伝達することができる。
【0053】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置であるECU100の具体的な構成について、図5を参照して説明する。ここに図5は、ECUの構成を示すブロック図である。
【0054】
図5において、ECU100は、車速判定部110、駆動力判定部120、切替制御部130及び切替部140を備えて構成されている。
【0055】
車速判定部110は、本発明の「第1判定手段」の一例であり、車速センサ14(図1参照)において検出されたハイブリッド車両1の車速Vが、所定の閾値より低いか否かを判定する。車速判定部110における判定結果は、後述する切替制御部130に出力される。
【0056】
駆動力判定部120は、本発明の「第2判定手段」の一例であり、アクセル開度センサ13等において検出されたアクセル開度Ta等から求められた要求トルク(以下、単に「駆動力」と称する場合がある)が、所定の閾値より大きいか否かを判定する。駆動力判定部120における判定結果は、後述する切替制御部130に出力される。
【0057】
切替制御部130は、本発明の「制御手段」の一例であり、車速判定部110及び駆動力判定部120における判定結果に基づいて、ハイブリッド車両1の動力伝達モードを決定する。尚、動力伝達モードの決定には、車速判定部110及び駆動力判定部120における判定結果以外にも、ハイブリッド車両1における各種パラメータを利用しても構わない。切替制御部130は、決定した動力伝達モードを実現するように切替部140を制御する。
【0058】
切替部140は、本発明の「切替手段」の一例であり、ハイブリッド駆動装置10の各部位を制御することで、ハイブリッド車両1の動力伝達モードを切替える。切替部140の制御によって実現可能な各動力伝達モードについては、後に詳述する。
【0059】
尚、ECU100は、上述した車速判定部110、駆動力判定部120、切替制御部130及び切替部140を含んで構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
【0060】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置の動作について、図6を参照して説明する。ここに図6は、ハイブリッド車両の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0061】
図6において、本実施形態に係るハイブリッド車両は、発進直後等の比較的車速が低い時点では、ハイブリッド車両1の動力伝達モードがシリーズHVモード(或いは、EVモード)となるように制御されている。シリーズHVモードでは、クラッチCsが切り離されているため、エンジン200から出力される動力が変速機300へ伝達されない。このため変速機300には、クラッチCsでは切り離されないMGからの動力のみが伝達される。但し、クラッチが切り離されたとしても、エンジン200から出力された動力をSGに伝達することは可能である。よって、エンジン200から出力された動力を、SGにおいて電力として回生し、MGの動力として利用することができる。
【0062】
本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置は、ハイブリッド車両の走行が開始されると、先ずSOCの値が所定値より大きいか否かを判定する(ステップS01)。この判定は、例えばECU100に設けられるSOC判定部(図示せず)等において行われるものであり、所定の閾値は、SOCの量に応じた適切な動力伝達モードの切替を行うために、予め設定されている。
【0063】
ここで、SOCが所定値より大きいと判定されると(ステップS01:YES)、駆動力判定部120において、出力すべき駆動力が閾値Aより大きいか否かが判定される(ステップS02)。尚、ここでの閾値Aは、本発明の「第2閾値」の一例であり、予め設定され、駆動力判定部120が有するメモリ等に記憶されている。
【0064】
駆動力が閾値Aより大きくないと判定されると(ステップS02:NO)、シリーズHVモードでの走行が続けられる。一方で、駆動力が閾値Aより大きいと判定されると(ステップS02:YES)、車速判定部110において、ハイブリッド車両1の車速が閾値Bより低いか否かが判定される(ステップS03)。尚、ここでの閾値Bは、本発明の「第1閾値」の一例であり、予め設定され、車速判定部110が有するメモリ等に記憶されている。
【0065】
車速が閾値Bより低くないと判定されると(ステップS03:NO)、車速判定部110において、ハイブリッド車両1の車速が閾値Cより高いか否かが判定される(ステップS08)。尚、ここでの閾値Cは、ハイブリッド車両1の動力伝達モードを決定するために用いられる閾値であり、予め設定され、車速判定部110が有するメモリ等に記憶されている。
【0066】
ここで、車速が閾値Cより高くないと判定されると(ステップS08:NO)、切替制御部130において、ハイブリッド車両1の動力伝達モードがパラレルHVモードに決定される(ステップS09)。この場合、切替部140によって、先ず変速段数が選択される(ステップS10)。即ち、第1シンクロナイザ機構S1及び第2シンクロナイザ機構S2が制御され、第1ドリブンギヤ31、第2ドリブンギヤ32及び第3ドリブンギヤ33の係合状態が決定される。続いて切替部140は、クラッチCsを係合させる(ステップS11)。これによって、エンジン200の動力が変速機300に伝達されるようになる。また、MG及びSGは、夫々動力を出力して、エンジン200のトルクアシストをするように制御される(ステップS12)。尚、SGは、エンジン200の動力を利用して回生を行っても構わない。このようなパラレルHVモードによれば、車速が中程度(即ち、閾値B以上かつ閾値C以下)の場合に、極めて効率的な運転を実現できる。
【0067】
一方、車速が閾値Cより高いと判定されると(ステップS08:YES)、切替制御部130において、ハイブリッド車両1の動力伝達モードがパラレルHV+MGフリーモードに決定される(ステップS13)。この場合、切替部140によって、先ずMGの切り離しが行われる(ステップS14)。即ち、第2シンクロナイザ機構S2が制御され、第4ドライブギヤ24が解放される。続いて切替部140は、クラッチCsを係合させる(ステップS15)。これによって、エンジン200の動力が変速機300に伝達され、エンジン直結駆動が実現される。またSGは、動力を出力してエンジン200のトルクアシストをするように制御されてもよいし、エンジン200の動力を利用して回生を行うように制御されてもよい(ステップS16)。このようなパラレルHV+MGフリーモードによれば、車速が高速である場合(即ち、閾値Cを超える場合)に、極めて効率的な運転を実現できる。
【0068】
ステップS03に戻り、車速が閾値Bより低いと判定されると(ステップS03:YES)、切替制御部130において、ハイブリッド車両1の動力伝達モードがシリーズHV+Csスリップモードに決定される(ステップS04)。この場合、切替部140によって、先ずクラッチCsが滑り係合するよう制御される(ステップS05)。クラッチCsが滑り係合されることにより、エンジン200から出力された動力が部分的に変速機300へ伝達される。尚、クラッチCsが滑り係合されている場合はエンジン200の出力軸の回転数と変速機300の入力軸の回転数が互いに同じとはならないため、クラッチCsを通常通り係合させるパラレルHVモードと比べると、エンジン200の回転数を上昇させることができる(ステップS06)。また、スタータジェネレータSGは、エンジン200から出力された動力の一部(即ち、クラッチCsを介して変速機300に伝達されなかった分の動力)を利用して回生を行うように制御され、モータジェネレータMGは、SGの回生によって得られた電力を用いて、エンジン200のトルクアシストを行うように制御される(ステップS07)。このようなシリーズHV+Csスリップモードによれば、パラレルHVモードと比べて、エンジン200の回転数を上昇させることができるため、低車速時に大きな駆動力が要求されたとしても、エンジン200の回転数が自律回転数を下回る程に低下してしまうことを防止できる。よって、予期せぬエンジンストップを防止できる。また、クラッチCsを介して伝達される動力も小さくなるので、クラッチCsの耐熱性及び耐久性を向上させることができる。更には、エンジン200の動力が部分的に変速機300伝達されるため、シリーズHVモードと比べて、MGの負担を軽減できる。
【0069】
ちなみに、ステップS01において、SOCが所定値以下であると判定されると(ステップS01:NO)、駆動力及び車速が所定範囲であるか否かが判定される(ステップS20)。具体的には、ステップS02及びステップS03と同様の処理が行われる。但し、ここでの閾値は、閾値A及び閾値Bと異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0070】
駆動力及び車速が所定範囲であると判定されると(ステップS20:YES)、動力伝達モードがシリーズHV+Csスリップモードに決定される。他方で、駆動力及び車速が所定範囲でないと判定されると(ステップS20:NO)、処理は終了する。但し、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置による制御が終了する訳ではなく、駆動力や車速に応じた動力伝達モードの切替制御が行われてもよい(具体的には、後述の図9参照)。
【0071】
以上のように切替えられる各動力伝達モードは、図7から図9に示すようにまとめることができる。ここに図7は、ハイブリッド車両の制御装置によって実現される動力伝達モードを示すマトリクス図である。また図8は、高SOC時に実現される動力伝達モードと、車速及び駆動力との関係を示すグラフであり、図9は、低SOC時に実現される動力伝達モードと、車速及び駆動力との関係を示すグラフである。
【0072】
図7において、エンジン200に対応する丸印はエンジン200が動作している状態を示し、バツ印はエンジン200が停止している状態を示している。クラッチCsに対応する丸印はクラッチCsが係合されている状態を示し、三角印はクラッチCsが滑り係合されている状態を示し、バツ印はクラッチCsが係合されていない状態を示している。シンクロナイザ機構S1に対応する“1”は第1係合状態を示し、“2”は第2係合状態を示し、バツ印は解放状態を示しいている。シンクロナイザ機構S2に対応する“3”は第3係合状態を示し、“M”はモータジェネレータMGが接続された状態を示し、バツ印は解放状態を示しいている。
【0073】
図8において、高SOC時には、車速が低く且つ駆動力が低い場合にEVモードが選択される。そして、車速が低く且つ駆動力が高い場合には、シリーズHV+Csスリップモードが選択される。また、車速が中程度の場合はパラレルHVモードが選択され、車速が高速の場合にはパラレルHV+MGフリーモードが選択される。
【0074】
尚、図中のEVモード及びシリーズHV+Csスリップモードを分ける境界線が、上述した閾値Bに対応している。また、図を見ても分かるように、シリーズHV+Csスリップモードにおける最大駆動力と、パラレルHVモードにおける最大駆動力とは互いに等しくされている。このようにすれば、モード切替時に生じる違和感を低減させることができる。
【0075】
図9において、低SOC時には、車速が低く且つ駆動力が低い場合に、EVモード又はシリーズHVモードが選択される。そして、車速が低く且つ駆動力が高い場合には、シリーズHV+Csスリップモードが選択される。また、車速が中程度の場合はパラレルHVモードが選択され、車速が高速の場合にはパラレルHV+MGフリーモードが選択される。
【0076】
尚、図8で示す高SOC時のHV最大駆動力と、図9出示す低SOC時のHV最大駆動力とは、互いに等しくなるように設定される。このようにすれば、SOCの量によって最大駆動力に差が生じてしまうことがないため、運転者に生じる違和感を低減させることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、クラッチを滑り係合させる動力伝達モード(即ち、シリーズHV+Csスリップモード)を有しているため、低車速で走行するハイブリッド車両1に大きな駆動力が求められる場合に、適切な運転条件を実現することが可能である。
【0078】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1…ハイブリッド車両、10…ハイブリッド駆動装置、11…PCU、12…バッテリ、13…アクセル開度センサ、14…車速センサ、20…入力軸、30…出力軸、100…ECU、110…車速判定部、120…駆動力判定部、130…切替制御部、140…切替部、200…エンジン、300…変速機、SG…スタータジェネレータ、MG…モータジェネレータ、MG…モータジェネレータ、S1,S2…シンクロナイザ機構、Cs…クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電動機、第2電動機及び内燃機関を含む動力要素と、
前記動力要素からの動力を車軸に伝達する駆動軸と、
前記動力要素及び前記駆動軸間において動力を伝達する動力伝達機構と、
前記内燃機関及び前記第1電動機と前記動力伝達機構との間に設けられたクラッチと
を備えたハイブリッド車両を制御する装置であって、
前記ハイブリッド車両の動力伝達モードを、前記クラッチを切り離し前記第2電動機の動力を駆動軸に出力する第1モード、前記クラッチを係合し前記内燃機関及び前記第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第2モード、並びに前記クラッチを滑り係合し前記内燃機関の動力の一部及び前記第2電動機の動力を夫々駆動軸に出力する第3モードに切替え可能な切替手段と、
前記ハイブリッド車両の車速が第1閾値より低いか否かを判定する第1判定手段と、
前記駆動軸に出力されるべき動力が第2閾値より大きいか否かを判定する第2判定手段と、
前記ハイブリッド車両の車速が第1閾値より低く、且つ前記駆動軸に出力されるべき動力が第2閾値より大きい場合に、前記ハイブリッド車両の動力伝達モードを前記第3モードに切替えるように前記切替手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記第2モードにおける最大駆動力と、前記第3モードにおける最大駆動力とは互いに等しくなるように設定されていることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56487(P2012−56487A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202691(P2010−202691)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】