説明

ハイブリッド車両用駆動装置及び制御方法

【課題】温度推定に必要なデータが欠損した場合であってもコンデンサ温度推定を継続させることにより、インバータの必要以上の出力性能低下を抑止し、安定した性能を発揮することのできるハイブリッド車両駆動装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】インバータECUは、S30においてエンジン水温データが取得できるかどうかを判定し、取得できる場合には、従来の飽和温度Aを用いたコンデンサ飽和温度推定を実行する。エンジン水温を取得できないと判断した場合には、平滑コンデンサ温度の推定方法を変更し、S34,S36において、上記情報を取得して平滑コンデンサ温度Tcを推定する。もし、推定した平滑コンデンサ温度Tcが保護しきい値を超えた場合には、インバータECUはS42を実行し、インバータ出力制限、インバータポンプ、ファン速度を制御することで平滑コンデンサ温度Tcを低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置に関し、特に、エンジンの冷媒温度と、インバータの冷媒温度と、バッテリからの電力をモータジェネレータに供給するインバータ出力と、に基づいてコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定手段を有し、推定されたコンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御するハイブリッド車両用駆動装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンとモータジェネレータにより車両を駆動するハイブリッド車両が知れている。このようなハイブリッド車両には、モータジェネレータを制御するインバータと、走行性能を向上させる目的でインバータに供給するバッテリの電圧を昇圧するコンバータと、を有するものがある。コンバータやインバータ等には、大電流に対応した半導体スイッチング素子(IGBT)や大容量の平滑コンデンサ、フィルタコンデンサ、リアクトル等が組み込まれ、温度センサにより温度測定が行われている。
【0003】
ハイブリッド車両では、限られた車両のスペースにコンバータやインバータ等を搭載するため、個々のモジュールを別々に搭載せずに複数のモジュールを統合したパワーコントロールユニット(PCU)を搭載している。PCUは数多くの素子によって構成されており、特に、PCU内の平滑コンデンサは、電荷容量を増加させるため複数の平滑コンデンサを並列接続している。
【0004】
特許文献1には、インバータの冷媒温度と、エンジン冷媒温度と、インバータ出力と、に基づいて平滑コンデンサの温度を推定する温度推定手段と、推定された平滑コンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、インバータ回路内のスイッチング素子の温度センサやインバータ回路の出力端である交流モータのコイル温度センサにより平滑コンデンサの温度を推定する技術が開示され、特許文献3には、インバータの運転状態値としてモータ電流値や冷却水温度に基づいてコンデンサの温度を取得するモータ駆動システムが開示されている。また、特許文献4には、コンデンサの温度を、コンデンサ以外の部位の温度センサで測定したインバータ装置の起動時の温度と、前記装置への通電電流値及び通電時間とに基づいて推定する電動機の制御方法が開示され、さらに、特許文献5には、インバータ装置におけるパワー部の温度を温度センサにより測定し、予め設定されたパワー部の温度とコンデンサの温度との関係を示すマップ又は関係式を用いてコンデンサの温度を求める制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−12702号公報
【特許文献2】特開2010−41794号公報
【特許文献3】特開2009−189181号公報
【特許文献4】特開2009−060776号公報
【特許文献5】特開2008−136327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の平滑コンデンサそれぞれに温度センサを取り付けることは困難であるため、上述した温度推定方法により推定すると共に、耐熱性に優れた平滑コンデンサを使用することで平滑コンデンサの過熱保護として余裕をもった設計がなされている。しかし、このような設計では過熱保護は可能となるが、装置の大きさである体格、製造コスト等、最適な設計とならない場合がある。また、平滑コンデンサの体格が大きくなるとPCU内に収まらず、PCUの小型化が実現できない場合もある。
【0007】
そこで、上述した特許文献1の温度推定の精度を向上させる方法が考えられるが、特許文献1は、エンジン水温を用いたコンデンサ温度推定方法であるため、エンジン水温を取得する必要があり、エンジンECUとの通信が何らかの原因で途切れた場合、コンデンサ温度推定ができなくなることにより必要以上にインバータの出力を制限することで、インバータの出力性能が低下する恐れがある。
【0008】
そこで、本発明では、温度推定に必要なデータが欠損した場合であってもコンデンサ温度推定を継続させることにより、インバータの必要以上の出力性能低下を抑止し、安定した性能を発揮することのできるハイブリッド車両駆動装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような目的を達成するために、本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置は、エンジンの冷媒温度と、インバータの冷媒温度と、バッテリからモータジェネレータに出力される電力であるインバータ出力と、に基づいてコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定手段を有し、推定されたコンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御するハイブリッド車両用駆動装置において、コンデンサ温度推定手段は、エンジンの冷媒温度が取得できない場合、コンデンサの温度を、インバータの制御で認識している電圧値、電流値によって上昇温度を推定する昇温推定手段と、車両の運転状況を示す車両速度から下降温度を推定する降温推定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るハイブリッド車両用駆動制御装置において、昇温推定手段は、予め決められた時間における、平均コンデンサ電圧、モータジェネレータへ供給される実行電流の時間積、バッテリからインバータに供給されるバッテリ電流の時間積、及びコンデンサ初期温度に基づいて推定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るハイブリッド車両用駆動制御装置において、降温推定手段は、予め決められた時間における、走行風導入による冷却要素となる車両の平均車速に基づいて推定することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置の制御方法は、エンジンの冷媒温度と、インバータの冷媒温度と、バッテリからモータジェネレータに出力される電力であるインバータ出力と、に基づいてコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定工程を有し、推定されたコンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御するハイブリッド車両用駆動装置の制御方法において、コンデンサ温度推定工程は、エンジンの冷媒温度が取得できない場合、コンデンサの温度を、インバータの制御で認識している電圧値、電流値によって上昇温度を推定する昇温推定工程と、車両の運転状況を示す車両速度から下降温度を推定する降温推定工程と、を含むことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置の制御方法。
【0013】
また、本発明に係るハイブリッド車両用駆動制御装置の制御方法において、昇温推定工程は、予め決められた時間における、平均コンデンサ電圧、モータジェネレータへ供給される実行電流の時間積、バッテリからインバータに供給されるバッテリ電流の時間積及びコンデンサ初期温度となるインバータの初期温度に基づいて推定し、降温推定工程は、予め決められた時間における、走行風導入による冷却要素となる車両の平均車速に基づいて推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るハイブリッド車両駆動装置及び制御方法を用いることにより、温度推定に必要なデータが欠損した場合であってもコンデンサ温度推定を継続することができ、インバータの必要以上の出力性能低下を抑止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両駆動装置を有するハイブリッド車両の概要を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両駆動装置のインバータECUで処理される平滑コンデンサ温度算出処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】図2に示した平滑コンデンサ温度算出処理において、エンジン水温が検出できない場合の平滑コンデンサ温度算出処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインバータECUで処理される平滑コンデンサ推定温度の時間変化を説明する説明図である。
【図5】図3に示したエンジン水温が検出できない場合の平滑コンデンサ温度算出処理を用いて登坂試験を行った時の上昇温度の変化を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0017】
図1はハイブリッド車両1の構成を示している。ハイブリッド車両1は、車両を駆動する駆動系と、エンジンを冷却するエンジン冷却系と、インバータなどを冷却するインバータ冷却系と、これらを制御する制御系と、を有している。駆動系はエンジン13とモータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2と、の回転をデファレンシャルギア16を介して車輪15に伝達する。また、エンジン13とモータジェネレータMG1,MG2は遊星歯車機構14にそれぞれ接続されている。
【0018】
エンジン冷却系は、冷却水の流れる順に、エンジン用ラジエータ11と、エンジン用ポンプ62と、エンジンを冷却するエンジン用冷却水路と、エンジン水温を検出する温度センサ41と、を流れる経路を有している。また、インバータ冷却系は、同様に冷却水の流れる順に、インバータ用ラジエータ10と、インバータ用ポンプ61と、MG1用のインバータ33と、MG2用のインバータ34と、インバータ水温を検出する温度センサ43と、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG1と、を流れる経路を有している。
【0019】
制御系は、ハイブリッド車両全体を制御するハイブリッドECU21と、エンジン13を制御するエンジンECU22、インバータ33,34及び昇圧コンバータ45等を制御するインバータECU23と、を有している。ハイブリッドECU21はエンジンECU22とインバータECU23と接続され、エンジンECU22はインバータECU23と接続されている。このように接続されていることで、各ECU間のデータの送受信が実現され、例えば、エンジンECU22が測定したエンジン水温をインバータECU23やハイブリッドECU21に送信することが可能となり、ハイブリッドECU21からの指令によりファン12を制御することも可能である。
【0020】
インバータECU23は、インバータ33,34及び昇圧コンバータ45を制御するために、インバータ33からモータジェネレータMG1(31)に供給される電流Img1と、インバータ34からモータジェネレータMG2(32)に供給される電流Img2と、バッテリ35から昇圧コンバータに供給される電圧Vb及び電流Ibと、コンデンサに供給される電圧Vmと、インバータ33の温度を測定する温度センサ42と、インバータ冷却水の温度を測定する温度センサ43と、エンジンECU22から取得したエンジン水温と、を収集する。また、インバータ33,34は、複数の半導体スイッチング素子36及び複数の平滑コンデンサ37を有し、昇圧コンバータ45にて昇圧されたバッテリの直流電力をU相,V相,W相の3相交流に変換してモータジェネレータ31,32に出力することや、モータジェネレータMG1(31)で発電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ35を充電することができる。なお、インバータ33,34には、半導体スイッチング素子が発生する高周波のノイズをフィルタするフィルタ用コンデンサと、交流電力を平滑化する平滑コンデンサとを有しており、どちらのコンデンサも発熱するが、大容量の電荷を蓄えることのできる平滑コンデンサが発熱しやすい。
【0021】
図2はインバータECUで処理される平滑コンデンサ温度算出処理の流れを示し、図4はインバータECUで処理される平滑コンデンサ推定温度の時間変化を示している。平滑コンデンサは、エンジンコンパートメントに配置され、インバータ内に複数配置されていることから、飽和温度という概念を用いて比較的ゆっくりとした温度変化として平滑コンデンサの温度を推定することができる。図4に示すように、平滑コンデンサ温度Tcは、雰囲気温度Taの初期値であるTa0から飽和温度Aまでの指数関数で表すことができる。ここで、Tは平滑コンデンサ温度上昇時定数であり、これらの関係を式1に示す。
【0022】
Tc=A(1−e-t/T)+Ta0 ・・・(式1)
【0023】
ここで、飽和温度Aは、コンデンサ外部の雰囲気温度Taと、エンジン水温Tewと、インバータ水温Tiwと、インバータ出力Piと、実際のハイブリッド車両の特性である係数α,β,γと、を用いて表すことができ、これらの関係を式2に示す。
【0024】
A=Ta+αTew+βPi+γTiw ・・・(式2)
【0025】
ここで、上記α,β,γは、ハイブリッド車両の走行パターンを実験により変化させて適合定数を求めたものであるが、水冷であるが故に、ラジエータの放熱特性による飽和温度Aが許容温度を超えて上昇することが実験によって分かっている。特に、バッテリの電力容量が低下した場合には、エンジンにてモータジェネレータMG1を駆動してバッテリの充電を行う場合、ファン冷却のみで走行風が導入できない状態、いわゆるアイドリング状態での停車時が顕著である。そこで、インバータECUは、図2の平滑コンデンサ温度算出処理のステップS10にて、車両が停止してから予め決められたアイドル放置されたかを検知すると、ステップS12においてアイドル放置時間の計測を開始する。インバータECUは次にステップS14において、上記式1,2に基づいて平滑コンデンサ温度を算出し、ステップS15において、所定時間以上放置された場合には、ステップS16に移り、平滑コンデンサ温度Tcにオフセットを追加してステップS17に移る。
【0026】
インバータECUはステップS17において、推定された平滑コンデンサ温度Tcが保護開始温度以上であるかを判定する。ここで、保護開始温度とはコンデンサの温度上昇により、インバータの出力を制限する必要がある温度であり、ラジエータの冷却能力を増加させて温度上昇を防止すると共に、インバータ出力制限を開始する温度である。
【0027】
インバータECUはステップS17において、保護開始温度以上であると判断した場合、ステップS18の保護処理をハイブリッドECUと共に実行することになる。ここで、インバータECUは平滑コンデンサ温度Tcと保護開始温度との温度の差分に応じて、温度差が少ない状態から温度差が大きい状態の順に、(1)図1のインバータ用ポンプ61の吐出速度の増加、(2)図1のラジエータを冷却するファン12の回転数の増加をハイブリッドECU21に指示、(3)前記1と2との組み合わせ、(4)さらに、前記1,2と、インバータ出力Piの低減と、を組み合わせて実行する。
【0028】
なお、上記ステップS18の処理により平滑コンデンサ温度Tcが保護開始温度以下になるまでステップS17からステップS20まで繰り返し、早期に平滑コンデンサ温度Tcを低下させる。もし、インバータECUがステップS20において、平滑コンデンサ温度Tcが保護開始温度以下と判断すると、ステップS22の通常制限に戻す。この通常制限は、インバータ出力Piの出力制限を解除し、インバータ用ポンプ、ファン回転数を通常状態に戻すものである。以上の処理を終了すると、元の処理に戻ることになる。
【0029】
図3は、図2に示した平滑コンデンサ温度算出処理において、エンジン水温Tewが検出できない場合の平滑コンデンサ温度算出処理の流れを示している。インバータECUは、インバータやモータジェネレータに関する制御を行っているため、これらの情報は直接取得することが可能であるが、エンジンを制御するエンジンECUからのエンジン水温情報は直接取得することができず、エンジンECU又はハイブリッドECUを経由して通信することになる。このため、何らかの通信トラブルによりエンジン水温Tewが取得できない場合には、平滑コンデンサ温度Tcの推定ができなくなる。そこで、本実施形態では、インバータECUがエンジン水温Tewを取得できるかを判断し、もし取得できないと判断した場合には、従来の飽和温度Aの算出方法から、所定時間における平均コンデンサ電圧(Vm)avg、モータジェネレータMG1の実行電流の時間積Img1、モータジェネレータMG2の実行電流の時間積Img2、バッテリ電流の時間積Ib、所定時間における平均車速(Spd)avgを用いて推定を開始するものである。これらの関係式を式3に示す。
【0030】
Tc=Ta+ΔTx ・・・(式3)
【0031】
ΔTx=α(Vm)avg+βImg1+γImg2+λIb−ε(Spd)avg ・・・(式4)
ここで、Tcはある時間t経過後のコンデンサ温度、Taはコンデンサ初期温度、ΔTxはt時間後の温度上昇、α、β、γ、λ、ε:車両適合定数である。
【0032】
図3の平滑コンデンサ温度算出処理において、インバータECUは、ステップS30においてエンジン水温データが取得できるかどうかを判定し、もし、取得できる場合には、従来の飽和温度Aを用いたコンデンサ飽和温度推定を実行する。インバータECUはステップS30において、エンジン水温を取得できないと判断した場合には、平滑コンデンサ温度の推定方法を変更し、ステップS34において、上記情報を取得して式3、式4にて平滑コンデンサ温度Tcを推定する。もし、推定した平滑コンデンサ温度Tcが保護しきい値を超えた場合には、インバータECUはステップS42を実行し、上述したインバータ出力制限、インバータポンプ、ファン速度を制御することで平滑コンデンサ温度Tcを低下させる。平滑コンデンサ温度Tcが保護しきい値より低くなるまで実行し、その後ステップS40の通常制限に移り、通常の処理に戻ることになる。
【0033】
ここで、図4に示すように、インバータECUは、エンジン温度欠損を判定して所定時間に亘り回復が見込めないと判定した後に平滑コンデンサ温度推定方法を切替えて処理を行う。この処理により、温度推定に必要なデータが欠損した場合であってもコンデンサ温度推定を継続することができ、インバータの必要以上の出力性能低下を抑止することが可能となる。なお、本実施形態では保護しきい値を、図4の許容温度としたが、これに限定するものではない。
【0034】
図5は、図3に示したエンジン水温が検出できない場合の平滑コンデンサ温度算出処理を用いて登坂試験を行った時の上昇温度の変化を示している。図5の試験では、式3、式4に示したΔTxを縦軸、横軸に高速登坂から急登坂に至る走行パターンにおける実測値(実線)と予測値(破線)を示したものである。図5に示すように実測値と予測値とはほぼ一致しており、実用可能なレベルであった。また、車両速度が高い場合にはΔTxの温度上昇が少なく、低中速で登坂角度が大きい走行パターンでは相対的にΔTxの温度上昇が大きいという結果となった。
【0035】
以上、上述したように本実施形態に係るハイブリッド車両駆動装置及び制御方法を用いることにより、温度推定に必要なデータが欠損した場合であってもコンデンサ温度推定を継続することができ、インバータの必要以上の出力性能低下を抑止することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 インバータ用ラジエータ、11 エンジン用ラジエータ、12 ファン、13 エンジン、14 遊星歯車機構、15 車輪、16 デファレンシャルギア、21 ハイブリッドECU、22 エンジンECU、23 インバータECU、31,32 モータジェネレータ、33,34 インバータ、35 バッテリ、36 半導体スイッチング素子、37 平滑コンデンサ、41,42,43 温度センサ、45 昇圧コンバータ、61 インバータ用ポンプ、62 エンジン用ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの冷媒温度と、インバータの冷媒温度と、バッテリからモータジェネレータに出力される電力であるインバータ出力と、に基づいてコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定手段を有し、推定されたコンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御するハイブリッド車両用駆動装置において、
コンデンサ温度推定手段は、
エンジンの冷媒温度が取得できない場合、コンデンサの温度を、インバータの制御で認識している電圧値、電流値によって上昇温度を推定する昇温推定手段と、
車両の運転状況を示す車両速度から下降温度を推定する降温推定手段と、
を有することを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動制御装置において、
昇温推定手段は、予め決められた時間における、平均コンデンサ電圧、モータジェネレータへ供給される実行電流の時間積、バッテリからインバータに供給されるバッテリ電流の時間積、及びコンデンサ初期温度に基づいて推定することを特徴とするハイブリッド車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動制御装置において、
降温推定手段は、予め決められた時間における、走行風導入による冷却要素となる車両の平均車速に基づいて推定することを特徴とするハイブリッド車両用制御装置。
【請求項4】
エンジンの冷媒温度と、インバータの冷媒温度と、バッテリからモータジェネレータに出力される電力であるインバータ出力と、に基づいてコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定工程を有し、推定されたコンデンサの温度に応じてインバータの出力を制御するハイブリッド車両用駆動装置の制御方法において、
コンデンサ温度推定工程は、
エンジンの冷媒温度が取得できない場合、コンデンサの温度を、インバータの制御で認識している電圧値、電流値によって上昇温度を推定する昇温推定工程と、
車両の運転状況を示す車両速度から下降温度を推定する降温推定工程と、
を含むことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド車両用駆動制御装置の制御方法において、
昇温推定工程は、予め決められた時間における、平均コンデンサ電圧、モータジェネレータへ供給される実行電流の時間積、バッテリからインバータに供給されるバッテリ電流の時間積及びコンデンサ初期温度となるインバータの初期温度に基づいて推定し、
降温推定工程は、予め決められた時間における、走行風導入による冷却要素となる車両の平均車速に基づいて推定することを特徴とするハイブリッド車両用制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166593(P2012−166593A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26937(P2011−26937)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】