説明

ハンド装置

【課題】比較的簡素な構成でワークとハンド部との相対位置を検出することにより、ワーク把持動作の高速化を実現することのできるハンド装置を提供すること。
【解決手段】ロボットアーム200のハンド450に位置検出装置10を付加して位置検出機能付きのハンド装置400を構成する。位置検出装置10は、検出領域10Rに向けて位置検出光L2を出射する複数の発光素子12を備えた位置検出用光源部11を有しており、検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する。また、検出領域10Rで反射した位置検出光L3は光検出器30で受光され、その受光結果に基づいて、位置検出部50は、ワークObとハンド450との相対位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを把持するハンドを備えたハンド装置に関するものである。さらに詳しくは、把持しようとするワークの位置検出技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数値制御工作機械などに対してワークの供給および取り出しには、いわゆるロボットハンドと称せられるハンド装置が用いられており、かかるハンド装置では、所定個所に位置するワークに向けてハンド部を移動させた後、フィンガーを駆動してワークを把持する。ここで、ハンド部には圧力センサーが設けられており、ワークを把持した際の圧力変化を検出する構成が採用されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125881号公報
【特許文献1】特開2009−125884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧力センサーによってワークによる把持を監視する構成の場合、ハンド部がワークに接触して初めてワークの存在を検出することができる。このため、壊れやすいワークや非常に柔らかいワークを把持する際にはフィンガーを極めて低速で駆動する必要があるため、ワークの把持動作が非常に遅いという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、比較的簡素な構成でワークとハンド部との相対位置を検出することにより、ワーク把持動作の高速化を実現することのできるハンド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ワークを把持するハンドと、該ハンドを制御するハンド駆動部と、前記ハンドから所定の距離内に設定された検出領域内のワークの位置を検出する位置検出装置と、を有するハンド装置であって、前記位置検出装置は、前記検出領域に位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記ハンドに設けられ、前記位置検出光が前記ワークに向けて出射された後、当該ワークにより反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記ワークの位置を検出する位置検出部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、位置検出用光源部から検出領域に向けて赤外光からなる位置検出光を出射し、検出領域でワークにより反射した位置検出光を光検出器によって検出する。ここで、位置検出用光源部から出射された位置検出光は、検出領域に強度分布を形成するため、検出領域内における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいてワークの位置を検出することができる。従って、ハンドがワークに接触する前にワークとハンドとの相対位置を予め検出することができる。それ故、ハンドをワークに高速で接近させることができ、ワーク把持動作の高速化を実現することができる。また、ハンドとワークとの相対位置を高い精度で監視することができるので、壊れやすいワークや非常に柔らかいワークであっても、確実にワークを把持することができる。さらに、位置検出光の強度分布を利用するため、位置検出用光源部に用いる光源の数等が少なくて済むなど、位置検出装置は簡素な構成で済むという利点がある。
【0008】
本発明において、前記位置検出用光源部は、前記強度分布として、第1方向において強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向に対して交差する第2方向において強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することが好ましい。このように構成すると、検出領域内のワークの二次元座標を検出することができる。
【0009】
本発明において、前記位置検出用光源部は、前記第1座標検出用強度分布として、前記第1方向の一方側から他方側に向けて強度が単調減少する第1座標検出用第1強度分布と、該第1座標検出用第1強度分布とは逆方向に強度が単調減少する第1座標検出用第2強度分布と、を形成し、前記第2座標検出用強度分布として、前記第2方向の一方側から他方側に向けて強度が単調減少する第2座標検出用第1強度分布と、該第2座標検出用第1強度分布とは逆方向に強度が単調減少する第2座標検出用第2強度分布と、を形成することが好ましい。このように構成すると、ワークの第1方向の座標および第2方向の座標を正確に検出することができる。
【0010】
本発明において、前記位置検出用光源部は、前記強度分布として、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向において強度が変化する第3座標検出用強度分布を形成することが好ましい。このように構成すると、検出領域内のワークの三次元座標を検出することができる。
【0011】
本発明において、前記位置検出用光源部は、複数の発光素子と、該複数の発光素子を制御して前記強度分布を形成する光源駆動部と、を備えていることが好ましい。すなわち、複数の発光素子における点灯パターンを制御して強度分布を形成することが好ましい。このように構成すると、位置検出用光源部の構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
本発明において、前記ハンドは、複数本のフィンガーと、該複数本のフィンガーの根元部分を保持するフィンガー保持体と、を備え、前記位置検出用光源部は、前記フィンガー保持体に設けられている構成を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記ハンドは、複数本のフィンガーを備え、前記位置検出用光源部は、前記フィンガーに設けられている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記位置検出用光源部および前記位置検出部は、複数個所に設けられていることが好ましい。このように構成すると、ワークとハンドとの位置関係が変化したときでも、ワークの位置検出を継続して行なうことができる。
【0015】
本発明において、前記ハンド駆動部は、前記位置検出装置によるワークの位置検出結果に基づいて前記ハンドをワークに接近させる際、第1速度をもって前記ハンドを前記ワークに向けて移動させる第1動作と、該第1動作の後、前記第1速度より遅い第2速度をもって前記ハンドを前記ワークに向けて移動させる第2動作と、を前記ハンドに行なわせることが好ましい。このように構成すると、ハンドがワークに接近するのに要する時間を短縮することができるので、ワーク把持動作の高速化を実現することができる。また、ハンドは、ワークに接近した後、低速でワークに接近するので、壊れやすいワークや非常に柔らかいワークであっても、ワークに破損あるいは大きな変形を生じさせることなくワークを確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係るハンド装置を備えたロボットアームの説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るロボットアームの電気的構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るハンド装置に設けた位置検出装置の要部の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る位置検出装置において各々の発光素子から検出領域に出射される位置検出光の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る位置検出装置において、発光素子から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る位置検出装置で用いた位置検出の原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る位置検出装置での信号処理内容を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るハンド装置を備えたロボットアームの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側として示してある。
【0018】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るハンド装置を備えたロボットアームの説明図であり、図1(a)、(b)は、ロボットアーム全体の説明図、およびハンド装置の説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るロボットアームの電気的構成を示す説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係るハンド装置に設けた位置検出装置の要部の説明図であり、図3(a)、(b)は、位置検出装置の要部のレイアウト図および位置検出装置の発光素子から位置検出光が出射される様子を示す説明図である。
【0019】
図1(a)に示すロボットアーム200は、数値制御工作機械などに対してワークや工具の供給および取り出しなど行う装置であり、基台290から直立する支柱220と、アーム210とを備えている。本形態において、アーム210は、支柱220の先端部に第1関節260を介して連結された第1アーム部230と、第1アーム部230の先端部に第2関節270を介して連結された第2アーム部240とを備えている。支柱220は、基台290に対して垂直な軸線Ya周りに回転可能であり、第1アーム部230は、支柱220の先端部で第1関節260によって水平な軸線Xa周りに回転可能であり、第2アーム部240は、第1アーム部230の先端部で第2関節270によって水平な軸線Xb周りに回転可能である。第2アーム部240の先端部にはハンド装置400のハンド450が連結されており、ハンド450は、第2アーム部240の軸線Za周りに回転可能である。
【0020】
図1(b)に示すように、ハンド装置400は、複数のフィンガー410を備えたハンド450を有しており、ハンド450は、複数のフィンガー410の根元を保持する円盤状のフィンガー保持体420を備えている。本形態において、ハンド450は、複数本のフィンガー410として、第1フィンガー410A、第2フィンガー410B、および第3フィンガー410Cを備えている。3本のフィンガー410はいずれも、フィンガー保持体420から軸線Za方向に延在する第1フィンガー部411と、第1フィンガー部411の先端部に関節413を介して連結された第2フィンガー部412とを備えており、第2フィンガー部412は、第1フィンガー部411の先端部で関節413によって第1フィンガー部411の軸線方向と交差する軸線Zb周りに回転可能である。
【0021】
このように構成したロボットアーム200において、ワークObを把持する際には、支柱220、第1アーム部230および第2アーム部240が所定方向に回転してハンド450をワークObに接近させた後、フィンガー410が関節413で折れ曲がってワークObを把持する。その際、ハンド450が軸線Za周りに回転してフィンガー410の向きを調節することもある。
【0022】
図2に示すように、ロボットアーム200にはハンド・アーム駆動部300(ハンド駆動部)が設けられており、かかるハンド・アーム駆動部300は、ハンド450およびアーム210を制御するハンド・アーム制御部310と、アーム210を駆動するアーム駆動回路320、ハンド450を駆動するハンド駆動回路330と、フィンガー410を駆動するフィンガー駆動回路340とを備えている。
【0023】
ハンド・アーム制御部310は、予め入力された動作プログラム、および後述する位置検出装置10での検出結果に基づいて、アーム駆動回路320、ハンド駆動回路330およびフィンガー駆動回路340を制御し、アーム210、ハンド450およびフィンガー410に所定の動作を行なわせる。このように、本形態では、ハンド・アーム駆動部300、ハンド駆動回路330およびフィンガー駆動回路340は、ハンド450(フィンガー410およびフィンガー保持体420)とともに、ハンド装置400を構成している。
【0024】
(位置検出装置10の構成)
本形態のロボットアーム200およびハンド装置400には位置検出装置10が設けられており、フィンガー410によってワークObを把持する際、予め、位置検出装置10によってワークObとハンド450との相対位置を検出し、その検出結果をハンド・アーム制御部310にフィードバックする。かかる位置検出装置10を構成するにあたって、本形態のハンド装置400では、ハンド450から所定の距離内に位置検出装置10による検出領域10Rが設定されており、かかる検出領域10Rは、ワークObが配置されている領域周辺に相当する。また、位置検出装置10は位置検出用光源部11を備えており、位置検出用光源部11は、検出領域10Rに向けて位置検出光L2を出射して検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する。また、位置検出装置10は、検出領域10RでワークObにより反射した位置検出光L3を検出する光検出器30と、光検出器30の受光結果に基づいてワークObの位置検出を行なう位置検出部50とを備えており、位置検出装置10は、位置検出用光源部11、光検出器30および位置検出部50を備えている。
【0025】
本形態の位置検出装置10において、位置検出用光源部11は、位置検出光L2を出射する複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)と、これらの複数の発光素子12を駆動する光源駆動部14とを有しており、本形態において、位置検出用光源部11(発光素子12および光源駆動部14)は、ハンド450に設けられている。
【0026】
より具体的には、図1(b)および図3に示すように、ハンド450において手のひらを構成するフィンガー保持体420の前面部には複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)が設けられており、その中央には、検出領域10Rに受光部31を向けた光検出器30が設けられている。発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はLED(発光ダイオード)等により構成され、赤外光からなる位置検出光L2a〜L2dを発散光として放出する。光検出器30は、検出領域10Rに受光部31を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態において、光検出器30はフォトダイオードである。
【0027】
このため、図2に示す光源駆動部14は、発光素子12を駆動する光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して複数の発光素子12の各々の点灯パターンを制御する光源制御部145とを備えている。光源駆動回路140は、第1発光素子12Aを駆動する第1光源駆動回路140aと、第2発光素子12Bを駆動する第2光源駆動回路140bと、第3発光素子12Cを駆動する第3光源駆動回路140cと、第4発光素子12Dを駆動する第4光源駆動回路140dとを備えている。光源制御部145は、第1光源駆動回路140a、第2光源駆動回路140b、第3光源駆動回路140cおよび第4光源駆動回路140dの全てを制御する。
【0028】
光検出器30には位置検出部50が電気的に接続されており、光検出器30での検出結果は位置検出部50に出力される。位置検出部50は、増幅器などを備えた信号処理部55、X座標検出部51、Y座標検出部52、およびZ座標検出部53を備えており、光源駆動部14と位置検出部50とは連動して動作し、後述する位置検出を行なう。
【0029】
(位置検出光の強度分布)
図4は、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置10において各々の発光素子12から検出領域10Rに出射される位置検出光の説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置10において、発光素子12から出射された位置検出光によって座標検出用の強度分布を形成した様子を示す説明図である。
【0030】
図3に示すように、検出領域10Rは例えば四角形であり、ハンド450において、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は仮想の四角形の角部分に相当する位置に配置されている。4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)はいずれも、検出領域10R上の異なる位置に中心光軸を向けている。より具体的には、第1発光素子12Aは、検出領域10Rの角部分10Raに中心光軸L12aを向けており、第2発光素子12Bは、角部分10Raとは同一の辺の反対側に角部分10Rbに中心光軸L12bを向けている。また、第3発光素子12Cは、検出領域10Rの角部分10Raに対して対角に位置する角部分10Rcに中心光軸L12cを向けており、第4発光素子12Dは、検出領域10Rの角部分10Rbに対して対角に位置する角部分10Rdに中心光軸L12dを向けている。
【0031】
なお、本形態の位置検出装置10では、発光素子12から出射された位置検出光L2によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成してワークObの位置を検出する。このため、検出領域10Rに形成された強度分布の強度レベルは高いことが好ましい。それ故、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)の各々には、発光素子12から放出された位置検出光L2のうち、検出領域10Rの外側に向かおうとする位置検出光を検出領域10R内に導く導光部材(図示せず)などが設けられている。
【0032】
このように構成した位置検出装置10では、第1発光素子12Aが点灯すると、図4(a)に示すように検出領域10Rの角部分10Raを中心にした強度分布が形成される。また、第2発光素子12Bが点灯すると、図4(b)に示すように検出領域10Rの角部分10Rbを中心にした強度分布が形成される。また、第3発光素子12Cが点灯すると、図4(c)に示すように検出領域10Rの角部分10Rcを中心にした強度分布が形成される。また、第4発光素子12Dが点灯すると、図4(d)に示すように検出領域10Rの角部分10Rdを中心にした強度分布が形成される。
【0033】
従って、第1発光素子12Aおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図5(a)に示すように、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第1強度分布L2Xa(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第1強度分布L2Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第2発光素子12Bおよび第3発光素子12Cが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図5(b)に示すように、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光の強度が単調減少するX座標検出用第2強度分布L2Xb(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、X座標検出用第2強度分布L2Xbでは、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、Y軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0034】
また、第1発光素子12Aおよび第2発光素子12Bが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図5(c)に示すように、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第1強度分布L2Ya(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第1強度分布L2Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。これに対して、第3発光素子12Cおよび第4発光素子12Dが点灯状態にあって他の発光素子12が消灯状態にあると、図5(d)に示すように、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光の強度が単調減少するY座標検出用第2強度分布L2Yb(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態において、Y座標検出用第2強度分布L2Ybでは、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が直線的に変化し、かつ、X軸方向では、位置検出光L2の強度が一定である。
【0035】
さらに、4つの発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)が全て点灯すると、Z軸方向において、ハンド450から検出領域10Rに向かって位置検出光の強度が単調減少するZ座標検出用強度分布が形成される。
【0036】
(座標検出の基本原理)
本形態の位置検出装置10においては、図5を参照して説明した位置検出光の強度分布を利用して、位置検出部50は、検出領域10R内のワークObの位置を検出する。そこで、図6を参照して、光強度分布の構成および座標検出の原理を説明する。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置で用いた位置検出の原理を示す説明図であり、図6(a)、(b)、(c)は、位置検出光のX軸方向の強度分布を示す説明図、ワークObで反射した位置検出光の強度を示す説明図、ワークObで反射した位置検出光の強度が等しくなるように位置検出光の強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0038】
本形態の位置検出装置10においては、位置検出用光源部11から位置検出光L2を出射すると、図4および図5を参照して説明したように、位置検出用光源部11の発光素子12からの距離やその中心光軸の位置によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布が形成される。例えば、X座標を検出する際には、図6(a)、(b)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。好ましくは、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。従って、検出領域10RにワークObが配置されると、ワークObにより位置検出光L2が反射され、その反射光の一部が光検出器30により検出される。ここで、X座標検出用第1期間に形成するX座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2期間に形成するX座標検出用第2強度分布L2Xbを予め、設定した分布としておけば、以下の方法等により、X座標検出部51は、光検出器30での検出結果に基づいて、ワークObのX座標を検出することができる。
【0039】
例えば、第1の方法では、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2Xaと、X座標検出用第2強度分布L2Xbとの差を利用する。より具体的には、X座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2強度分布L2Xbは予め、設定した分布になっているので、X座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbとの差も予め、設定した関数になっている。従って、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとの差を求めれば、ワークObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。なお、検出値LXa、LXbの比に基づいてワークObのX座標を検出することもできる
【0040】
次に、第2の方法では、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいてワークObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0041】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、ワークObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0042】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、図6(c)に示すように、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXaと、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量の調整量ΔLXbとの比あるいは差等により、ワークObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0043】
次に、第3の方法でも、第2の方法と同様、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいてワークObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図6(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0044】
まず、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、ワークObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0045】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、例えば、検出値が低い期間の方、あるいは検出値が高い期間の方の発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整して、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。図6(c)に示す例では、例えば、X座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXa分だけ減少させる。あるいは、X座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量を調整量ΔLXb分だけ増大させる。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、制御量を調整した後のX座標検出用第1期間での発光素子12に対する制御量と、制御量を調整した後のX座標検出用第2期間での発光素子12に対する制御量との比あるいは差等により、ワークObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように発光素子12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0046】
上記の方法1〜3のいずれを採用する場合でも、同様に、Y座標検出用第1期間において、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第1強度分布を形成した後、Y座標検出用第2期間において、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第2強度分布を形成すれば、ワークObのY座標を検出することができる。また、Z座標検出期間において、Z軸方向の強度分布を形成し、ワークObで反射した位置検出光L3を検出すれば、Z座標検出部53は、ワークObのZ座標を検出することができる。
【0047】
上記のように、光検出器30での検出結果に基づいてワークObの検出領域10R内の位置情報を取得するにあたって、例えば、位置検出部50としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、図7に示すように、論理回路等のハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。
【0048】
(位置検出部50の構成例)
図7は、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置10での信号処理内容を示す説明図であり、図7(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置10の位置検出部50の説明図、および位置検出部50の発光強度補償指令部での処理内容を示す説明図である。ここに示す位置検出部50は、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXa、LXbが等しくなるように、発光素子12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいてワークObのX座標を検出する方法である。なお、X座標およびY座標を検出するための構成は同様であるため、以下の説明ではX座標を求める場合のみを説明する。
【0049】
図7(a)に示すように、本形態の位置検出装置10において、光源駆動回路140は、X座標検出用第1期間では可変抵抗111を介して第1発光素子12Aおよび第4発光素子12Dに所定電流値の駆動パルスを印加し、X座標検出用第2期間では可変抵抗112および反転回路113を介して第2発光素子12Bおよび第3発光素子12Cに所定電流値の駆動パルスを印加するものとして表される。従って、光源駆動回路140は、X座標検出用第1期間とX座標検出用第2期間とでは、一方の発光素子(第1発光素子12Aおよび第4発光素子12D)と、他方の発光素子(第2発光素子12Bおよび第3発光素子12C)とに対して逆相の駆動パルスを印加することになる。そして、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の位置検出光L2がワークObで反射した光が共通の光検出器30で受光されるとともに、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の位置検出光L2がワークObで反射した光が共通の光検出器30で受光される。光強度信号生成回路150において、光検出器30には、1kΩ程度の抵抗30rが直列に電気的接続されており、それらの両端にはバイアス電圧Vbが印加されている。
【0050】
かかる光強度信号生成回路150において、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1には、位置検出部50が電気的に接続されている。光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力される検出信号Vcは、下式
Vc=V30/(V30+抵抗30rの抵抗値)
V30:光検出器30の等価抵抗
で表される。従って、環境光が光検出器30に入射しない場合と、環境光が光検出器30に入射している場合とを比較すると、環境光が光検出器30に入射している場合には、検出信号Vcのレベルおよび振幅が大きくなる。
【0051】
位置検出部50は概ね、位置検出用信号抽出回路190、位置検出用信号分離回路170、および発光強度補償指令回路180を備えている。
【0052】
位置検出用信号抽出回路190は、1nF程度のキャパシタからなるフィルター192を備えており、かかるフィルター192は、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された信号から直流成分を除去するハイパスフィルターとして機能する。このため、フィルター192によって、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcからは、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間における光検出器30による位置検出光L2の位置検出信号Vdが抽出される。すなわち、位置検出光L2は変調されているのに対して、環境光はある期間内において強度が一定であると見なすことができるので、環境光に起因する低周波成分あるいは直流成分はフィルター192によって除去される。
【0053】
また、位置検出用信号抽出回路190は、フィルター192の後段に、220kΩ程度の帰還抵抗194を備えた加算回路193を有しており、フィルター192によって抽出された位置検出信号Vdは、バイアス電圧Vbの1/2倍の電圧V/2に重畳された位置検出信号Vsとして位置検出用信号分離回路170に出力される。
【0054】
位置検出用信号分離回路170は、X座標検出用第1期間において発光素子12に印加される駆動パルスに同期してスイッチング動作を行なうスイッチ171と、比較器172と、比較器172の入力線に各々、電気的接続されたキャパシタ173とを備えている。このため、位置検出信号Vsが位置検出用信号分離回路170に入力されると、位置検出用信号分離回路170から発光強度補償指令回路180には、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが交互に出力される。
【0055】
発光強度補償指令回路180は、実効値Vea、Vebを比較して、図7(b)に示す処理を行ない、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるように光源駆動回路140に制御信号Vfを出力する。すなわち、発光強度補償指令回路180は、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとを比較して、それらが等しい場合、現状の駆動条件を維持させる。これに対して、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaが、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗111の抵抗値を下げさせてX座標検出用第1期間での発光素子12からの出射光量を高める。また、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebが、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗112の抵抗値を下げさせてX座標検出用第2期間の出射光量を高める。
【0056】
このようにして、位置検出装置10では位置検出部50の発光強度補償指令回路180によって、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間での光検出器30による検出量が同一となるように、発光素子12の制御量(電流量)を制御する。従って、発光強度補償指令回路180には、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるような発光素子12に対する制御量に関する情報が存在するので、かかる情報を位置検出信号VgとしてX座標検出部51に出力すれば、X座標検出部51は、検出領域10RにおけるワークObのX座標を得ることができる。また、同様な原理を利用すれば、検出領域10RにおけるワークObのY座標を得ることができる。
【0057】
また、本形態では、位置検出用信号抽出回路190において、フィルター192は、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcから、環境光に起因する直流成分を除去して位置検出信号Vdを抽出する。このため、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcに環境光の赤外成分に起因する信号成分が含まれている場合でも、かかる環境光の影響をキャンセルすることができる。
【0058】
(ワーク把持動作)
本形態のロボットアーム200およびハンド装置400において、フィンガー410によってワークObを把持する際、予め、位置検出装置10によってワークObとハンド450との相対位置を検出し、その検出結果をハンド・アーム制御部310にフィードバックする。そして、ハンド・アーム制御部310は、予め入力された動作プログラム、および位置検出装置10での検出結果に基づいて、アーム駆動回路320およびハンド駆動回路330を制御し、ハンド450をワークObに接近させる。
【0059】
次に、ハンド・アーム制御部310は、予め入力された動作プログラム、および位置検出装置10での検出結果に基づいて、フィンガー駆動回路340を制御し、フィンガー410をワークObに接近させる第1動作を行なった後、フィンガー410がワークObに接触するまで接近させた後、ワークObを保持する第2動作を行わせる。その際、ハンド・アーム制御部310は、第1動作の際にはフィンガー410をワークObに高速の第1速度で接近させる。次に、ハンド・アーム制御部310は、フィンガー410がワークObに接触するまでは第1動作よりも低速の第2速度で接近させ、フィンガー410がワークObを保持するようにフィンガー410をワークObに圧接させる際も低速の第2速度でフィンガー410を移動させる。かかる動作の間も、位置検出装置10では、ワークObの位置検出が行なわれ、位置検出結果は、ハンド・アーム制御部310にフィードバックされる。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のハンド装置400およびロボットアーム200では、位置検出用光源部11から検出領域10Rに向けて赤外光からなる位置検出光L2を出射し、検出領域10RでワークObにより反射した位置検出光L3を光検出器30によって検出する。ここで、位置検出用光源部11から出射された位置検出光L2は、検出領域10Rに強度分布を形成するため、検出領域10R内における位置と位置検出光L2の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部50は、光検出器30の受光結果に基づいてワークObの位置を検出することができる。従って、ハンド450がワークObに接触する前にワークObとハンド450との相対位置を予め検出することができる。それ故、フィンガー410をワークObに高速で接近させることができ、ワーク把持動作の高速化を実現することができる。
【0061】
また、フィンガー410とワークObとの相対位置を高い精度で監視することができるので、壊れやすいワークObや非常に柔らかいワークObであっても、ワークObに破損あるいは大きな変形を生じさせることなくワークObを把持することができる。すなわち、壊れやすいワークObを把持する場合には、フィンガー410の接触圧を適正に設定することができ、柔らかいワークObを把持する場合には、ワークObに対するフィンガー410の沈み込み量を適正に設定することができる。
【0062】
さらに、位置検出光L2の強度分布を利用するため、位置検出用光源部11に用いる光源の数等が少なくてよい。また、高価な撮像素子を用いる必要がないとともに、複雑で処理に時間を要する画像処理も必要ない。それ故、位置検出装置10は簡素な構成で済むという利点がある。特に本形態においては、4つの発光素子12と、4つの発光素子12を制御して強度分布を形成する光源駆動部14とを備え、4つの発光素子12における点灯パターンを制御して強度分布を形成する。このため、位置検出用光源部11の構成の簡素化を図ることができる。
【0063】
また、位置検出用光源部11は、強度分布として、X軸方向(第1方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第1座標検出用強度分布)と、Y軸方向(第2方向)で強度が変化するX座標検出用強度分布(第2座標検出用強度分布)とを異なるタイミングで形成するため、検出領域10R内におけるワークObの二次元座標を検出することができる。しかも、位置検出用光源部11は、X座標検出用強度分布として互いに逆方向のX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成し、Y座標検出用強度分布として互いに逆方向のY座標検出用第1強度分布L2YaとY座標検出用第2強度分布L2Ybを形成する。従って、検出領域10R内におけるワークObの二次元座標を正確に検出することができる。さらに、位置検出用光源部11は、強度分布として、Z軸方向(第3方向)で強度が変化するZ座標検出用強度分布(第3座標検出用強度分布)を形成することができるので、ワークObの三次元座標を検出することもできる。
【0064】
また、アーム・ハンド駆動部300は、位置検出装置10によるワークObの位置検出結果に基づいてハンド450をワークObに接近させる際、高速度の第1速度をもってフィンガー410をワークObに向けて移動させる第1動作と、第1速度より遅い第2速度をもってフィンガー410をワークObに向けて移動させる第2動作とをハンド450に行なわせる。このため、フィンガー410がワークObに接近するのに要する時間を短縮することができるので、ワーク把持動作の高速化を実現することができる。また、フィンガー410は、ワークObに接近した後、低速でワークObに接近するので、壊れやすいワークObや非常に柔らかいワークObであっても、ワークObに破損あるいは大きな変形を生じさせることなくワークObを確実に把持することができる。
【0065】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2に係るハンド装置400を備えたロボットアーム200の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0066】
上記実施の形態1では、ハンド450の1箇所(フィンガー保持体420)に位置検出装置10の位置検出用光源部11および光検出器30を設けたが、以下に説明するように、ハンド450の複数箇所に位置検出用光源部11および光検出器30を設けてもよい。すなわち、本形態では、図8に示すように、ハンド装置400の3つのフィンガー410の各々において、ワークObを保持する先端部の内側に位置検出装置10の位置検出用光源部11および光検出器30を設けてある。
【0067】
かかる構成のハンド装置400では、3つのフィンガー410に設けた位置検出用光源部11が順次、検出領域10Rに向けて位置検出光L2を出射する。すなわち、本形態でも、実施の形態1と同様、位置検出用光源部11は、図3を参照して説明したように、複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)を備えており、複数の発光素子12(第1発光素子12A、第2発光素子12B、第3発光素子12C、第4発光素子12D)は順次、位置検出光L2を出射して検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する。
【0068】
このように構成すると、3つのフィンガー410の各々とワークObとの相対的な位置関係を高い精度で検出することができるので、壊れやすいワークObや非常に柔らかいワークObであっても、ワークObに破損あるいは大きな変形を生じさせることなくワークObを確実に把持することができる。また、ハンド450の複数箇所に位置検出用光源部11および光検出器30を設けてあるため、ハンド450の姿勢やフィンガー410の位置にかかわらず、フィンガー410とワークObとの相対的な位置関係を検出することができるという利点がある。
【0069】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、複数の発光素子12の点灯・消灯によって位置検出光L2の強度分布を異なる方向に形成したが、さらに、複数の発光素子12の発光強度のバランスを組み合わせて、位置検出光L2の強度分布を形成してもよい。
【0070】
また、フィンガー410においてワークObと接する先端部分には弾性部材を設けてもよく、かかる構成を実施の形態2に適用する場合には、透光性の弾性部材を用いればよい。
【0071】
また、外光の影響を相殺することを目的に光検出器30に向けて一定強度の参照光を出射する参照光用発光素子を設け、参照光用発光素子から光検出器30に入射した光の強度を基準にして、位置検出の際の光検出器30が受光した強度を補正してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10R・・検出領域、11・・位置検出用光源部、12・・発光素子、30・・光検出器、50・・位置検出部、210・・アーム、200・・ロボットアーム、400・・ハンド装置、410・・フィンガー、420・・フィンガー保持体、Ob・・ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持するハンドと、該ハンドを制御するハンド駆動部と、前記ハンドから所定の距離内に設定された検出領域内のワークの位置を検出する位置検出装置と、を有するハンド装置であって、
前記位置検出装置は、前記検出領域に位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源部と、前記ハンドに設けられ、前記位置検出光が前記ワークに向けて出射された後、当該ワークにより反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、前記光検出器の受光結果に基づいて前記ワークの位置を検出する位置検出部と、を有することを特徴とするハンド装置。
【請求項2】
前記位置検出用光源部は、前記強度分布として、第1方向において強度が変化する第1座標検出用強度分布と、前記第1方向に対して交差する第2方向において強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を形成することを特徴とする請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記位置検出用光源部は、前記第1座標検出用強度分布として、前記第1方向の一方側から他方側に向けて強度が単調減少する第1座標検出用第1強度分布と、該第1座標検出用第1強度分布とは逆方向に強度が単調減少する第1座標検出用第2強度分布と、を形成し、前記第2座標検出用強度分布として、前記第2方向の一方側から他方側に向けて強度が単調減少する第2座標検出用第1強度分布と、該第2座標検出用第1強度分布とは逆方向に強度が単調減少する第2座標検出用第2強度分布と、を形成することを特徴とする請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記位置検出用光源部は、前記強度分布として、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向において強度が変化する第3座標検出用強度分布を形成することを特徴とする請求項2または3に記載のハンド装置。
【請求項5】
前記位置検出用光源部は、複数の発光素子と、該複数の発光素子を制御して前記強度分布を形成する光源駆動部と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のハンド装置。
【請求項6】
前記ハンドは、複数本のフィンガーと、該複数本のフィンガーの根元部分を保持するフィンガー保持体と、を備え、
前記位置検出用光源部は、前記フィンガー保持体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記ハンドは、複数本のフィンガーを備え、
前記位置検出用光源部は、前記フィンガーに設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のハンド装置。
【請求項8】
前記位置検出用光源部および前記位置検出部は、複数個所に設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載のハンド装置。
【請求項9】
前記ハンド駆動部は、前記位置検出装置によるワークの位置検出結果に基づいて前記ハンドをワークに接近させる際、第1速度をもって前記ハンドを前記ワークに向けて移動させる第1動作と、該第1動作の後、前記第1速度より遅い第2速度をもって前記ハンドを前記ワークに向けて移動させる第2動作と、を前記ハンドに行なわせることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のハンド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104706(P2011−104706A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261584(P2009−261584)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】