バッチ式処理装置
【課題】 処理ガスの使用効率が良く、かつ、被処理体の面積が巨大であっても、ALD法の適用も可能となるバッチ式処理装置を提供すること。
【解決手段】 メインチャンバ31aと、メインチャンバ31a内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、被処理体Gを載置する複数のステージ101a〜101yと、ステージ101a〜101yごとに設けられ、ステージ101a〜101yに載置された被処理体Gをカバーする複数のカバー102a〜102yと、を備え、複数のステージ101a〜101yと複数のカバー102a〜102yとで、複数のステージ101a〜101yに載置された複数の被処理体Gの各々を取り囲むように、メインチャンバ31aよりも容量が小さい処理用小空間106を形成する。
【解決手段】 メインチャンバ31aと、メインチャンバ31a内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、被処理体Gを載置する複数のステージ101a〜101yと、ステージ101a〜101yごとに設けられ、ステージ101a〜101yに載置された被処理体Gをカバーする複数のカバー102a〜102yと、を備え、複数のステージ101a〜101yと複数のカバー102a〜102yとで、複数のステージ101a〜101yに載置された複数の被処理体Gの各々を取り囲むように、メインチャンバ31aよりも容量が小さい処理用小空間106を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッチ式処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、液晶ディスプレイや有機ELなどのフラットパネルディスプレイ(以下、FPD)や、太陽電池モジュールの製造に用いられる被処理体としてのガラス基板に成膜やエッチング等の処理を行うために、その処理速度や制御性の観点からプラズマ処理が多く用いられており、バッチ式における装置構造の複雑さを避けてプラズマの性能を向上させることによりスループットに関する要求に応えながら枚葉式の処理装置が使われてきた。
【0003】
しかしながら、当然、枚葉式で行うよりもバッチ式で行うほうがスループット的には効率が良く、近年、バッチ式処理による処理装置も開発されており、このようなバッチ式処理装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
一方で、ガラス基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor)が微細化するにつれて、ゲート等としてガラス基板上に形成された薄膜へのプラズマによるダメージが深刻化しており、また、有機ELなどの製造においてはより低い温度のプロセスが求められ、これらの要求によりプラズマを用いないガスによるプロセスが見直されてきている。
【0005】
このようなプラズマを発生させずにガスによる処理を用いた処理装置の場合にはプラズマを用いた処理装置の構造よりも簡単になるためバッチ式処理装置を採用することがより容易となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−8234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、単純に大きなプロセスチャンバ内に複数のガラス基板を並べ、複数のガラス基板に対して同時に処理を行おうとすると、処理ガスの使用効率が低下する、という事情がある。プロセスチャンバの容量が大きくなるためである。
【0008】
また、薄膜成膜の分野において、基板の表面上に2種類以上の前駆体ガスを交互に流し、これら前駆体ガスを基板表面上に形成された吸着サイトに吸着させることにより薄膜を原子層レベルで成膜する原子層堆積法(以下ALD法)が注目されている。ALD法は、段差被覆性、膜厚均一性、薄膜制御性に優れており、より微細化が進む素子の形成に極めて有効であると考えられているためである。例えば、現状、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの大きさを持ち、半導体ウエハよりも格段に面積が大きなガラス基板等に対する薄膜成膜においても、薄膜の高品質化のために、ALD法の採用が検討され始めている。
【0009】
しかし、大面積のガラス基板の複数に対し、同時にALD法を適用しようとすると、ガラス基板自体の面積が大きいことに加え、複数のガラス基板を収容するプロセスチャンバ自体の容量も巨大となるために、複数のガラス基板の表面それぞれに対して、前駆体ガスの均一な供給や、均一な排気が難しくなる。このため、例えば、ガラス基板の表面それぞれへの吸着サイトの均一な形成や、前駆体ガスと吸着サイトとの均一、かつ、安定した反応が進み難くなり、薄膜を期待通りの品質で得ることができなくなってしまう。
【0010】
この発明は、処理ガスの使用効率が良く、かつ、被処理体の面積が巨大であっても、ALD法の適用も可能となるバッチ式処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一態様に係るバッチ式処理装置は、複数の被処理体に同時に処理を施すバッチ式処理装置であって、メインチャンバと、前記メインチャンバ内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、前記被処理体を載置する複数のステージと、前記ステージごとに設けられ、前記ステージに載置された前記被処理体をカバーする複数のカバーと、を備え、前記複数のステージと前記複数のカバーとで、前記複数のステージに載置された前記複数の被処理体の各々を取り囲むように、前記メインチャンバよりも容量が小さい処理用小空間を形成する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、処理ガスの使用効率が良く、かつ、被処理体の面積が巨大であっても、ALD法の適用も可能なバッチ式処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置を備えた処理システムの一例を示す水平断面図
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図
【図3】(A)図はカバーを上昇させた状態を示す図、(B)図はカバーを下降させた状態を示す図
【図4】(A)図はリフターを上昇させた状態を示す図、(B)図はリフターを下降させた状態を示す図
【図5】ステージとカバーとが分離した状態を示す斜視図
【図6】(A)図はガス吐出孔形成エリア近傍の平面図、(B)図は(A)図中のVIB−VIB線に沿う断面図
【図7】(A)図は排気溝近傍の平面図、(B)図は(A)図中のVIIB−VIIB線に沿う断面図
【図8】処理用小空間内のガスの流れを示す図
【図9】(A)図〜(F)図は被処理体Gの搬入出動作の一例を示す断面図
【図10】(A)図は第1の変形例に係るバッチ式処理装置の平面図、(B)図は(A)図中のXB−XB線に沿う断面図
【図11】(A)図〜(C)図は処理用小空間の形成例を示す断面図
【図12】(A)図は第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージを下降させた状態を示す図、(B)図はステージを上昇させた状態を示す図
【図13】第3の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを上昇させた状態を示す図
【図14】垂直ガス吐出方式の一例を示す断面図
【図15】水平ガス吐出方式の一例を示す断面図
【図16】(A)図は第4の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを下降させた状態を示す図、(B)図はリフターを上昇させた状態を示す図
【図17】ステージのピン状リフター収容部近傍を示す断面図
【図18】(A)図は第5の変形例に係るバッチ式処理装置のカバーを上昇させた状態を示す図、(B)図はカバーを下降させた状態を示す図
【図19】この発明の第2の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図20】この発明の第3の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図21】この発明の第3の実施形態の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図22】この発明の第4の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図23】(A)図及び(B)図は図22中のXXIII-XXIII線に沿う断面図
【図24】(A)図及び(B)図は排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図25】第4の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図26】第4の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図27】第4の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図28】第4の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図29】第4の実施形態の第5の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図30】第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図31】この発明の第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図32】第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図33】第5の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図34】第5の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図35】第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図36】第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図37】第5の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図38】第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図39】この発明の第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図40】ピックの変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。この説明において、参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0015】
(第1の実施形態)
図1はこの発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置を備えた処理システムの一例を示す水平断面図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図である。図1及び図2に示す処理システムは、被処理体としてFPDの製造や太陽電池モジュールに用いられるガラス基板を用い、このガラス基板に成膜処理や熱的処理を施す処理システムである。
【0016】
図1に示すように、処理システム1は、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3b、並びに共通搬送室4を含んで構成される。ロードロック室2では、大気側と減圧側との間で圧力変換が行われる。バッチ式処理装置3a及び3bでは、被処理体G、例えば、ガラス基板に対して成膜処理や熱的処理が施される。被処理体Gのサイズの一例は、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの矩形である。
【0017】
本例においては、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3b、並びに共通搬送室4は真空装置であり、それぞれ被処理体Gを所定の減圧状態下におくことが可能な、気密に構成されたチャンバ21、31a、31b、及び41を備えている。チャンバ21、31a、31b、及び41には、内部を減圧状態とするために排気口を介して真空ポンプなどの排気装置5が接続されている。図2には、チャンバ31aに設けられた排気口32、及びチャンバ41に設けられた排気口42が示されている。
【0018】
さらに、チャンバ21、31a、31b、及び41には、開口部23a、23b、33a、33b、43a、43b、及び43cが設けられている。被処理体Gは、これらの開口部を介して搬入出される。
【0019】
ロードロック室2のチャンバ21は、開口部23a、及びゲートバルブ室6aを介して、処理システム1の外部、即ち、大気側に連通される。ゲートバルブ室6aには、開口部23aを開閉するゲートバルブGVが収容されている。さらに、チャンバ21は、開口部23b、ゲートバルブ室6b、及び開口部43aを介してチャンバ41に連通される。ゲートバルブ室6bには、開口部23bを開閉するゲートバルブGVが収容されている。
【0020】
バッチ式処理装置3aのチャンバ31aは、開口部33a、この開口部33aを開閉するゲートバルブGVが収容されたゲートバルブ室6c、及び開口部43bを介してチャンバ41に連通される。
【0021】
同様に、バッチ式処理装置3bのチャンバ31bは、開口部33b、この開口部33bを開閉するゲートバルブGVが収容されたゲートバルブ室6d、及び開口部43cを介してチャンバ41に連通される。
【0022】
共通搬送室4のチャンバ41の平面形状は、本例では矩形状である。矩形状の四辺のうち、三辺に、開口部43a、43b、43cが設けられている。共通搬送室4の内部には、搬送装置7が設置されている。搬送装置7は、被処理体Gを、ロードロック室2からバッチ式処理装置3a又は3bへ、バッチ式処理装置3a又は3bからバッチ式処理装置3b又は3aへ、バッチ式処理装置3a又は3bからロードロック室2へと搬送する。このため、搬送装置7は、被処理体Gを昇降させる昇降動作、及び被処理体Gを旋回させる旋回動作に加え、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3bの内部への進出退避動作が可能に構成されている。
【0023】
搬送装置7は、被処理体Gを支持する支持部材であるピック71を備えたピックユニット72と、ピックユニット72をスライドさせるスライドユニット73と、スライドユニット73を駆動させるドライブユニット74とを含んで構成される。ピック71は、チャンバ41の高さ方向に積み重ねて複数設けられており、複数枚の被処理体Gは、ピック71上にチャンバ41の高さ方向に水平に載置され、複数の被処理体Gを一度に搬送するように構成されている。
【0024】
スライドユニット73にはスライドベース73aが設けられており、ピックユニット72はスライドベース73aに取り付けられ、スライドベース73a上を前後にスライドする。これにより、ピックユニット72は前進後退し、チャンバ41の内部から、チャンバ21、31a、31bの内部に対して進出退避する。さらに、スライドユニット73は、ドライブユニット74により、昇降、及び旋回される。これにより、スライドユニット73は、例えば、共通搬送室4内において、昇降、及び旋回される。
【0025】
このような処理システム1の各部の制御、及び搬送装置7の制御は、制御部8により行われる。制御部8は、例えば、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ81を有する。コントローラ81には、オペレータが処理システム1を管理するために、コマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理システム1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース82が接続されている。さらに、プロセスコントローラ81には記憶部83が接続されている。記憶部83は、処理システム1で実行される各種処理を、プロセスコントローラ81の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて処理システム1の各部に処理を実行させるためのレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部83の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース82からの指示等にて記憶部83から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をプロセスコントローラ81が実行することで、処理システム1、及び搬送装置7が、プロセスコントローラ81の制御のもと、所望の処理、制御が実施される。
【0026】
第1の実施形態に係る処理システム1が備えるバッチ式処理装置3a、3bのうち、バッチ式処理装置3aが、この発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置である。もちろん、バッチ式処理装置3bについては、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置を用いても、既存のバッチ式処理装置を用いてもどちらでも良い。以下、バッチ式処理装置3aについて、詳細に説明する。
【0027】
図1及び図2に示したように、バッチ式処理装置3aはチャンバ31aを備えている。以降、このチャンバ31aはメインチャンバ31aと呼ぶ。
【0028】
図2及び図3に示すように、メインチャンバ31a内には、このメインチャンバ31aの高さ方向に積み重ねて設けられた、被処理体Gを載置する複数のステージ101a、101b、…、101x、101yと、これらのステージ101a〜101yごとに設けられ、ステージ101a〜101yに載置された被処理体Gをカバーする複数のカバー102a、102b、…、102x、102yと、を備えている。
【0029】
本例では、ステージ101a〜101yが、メインチャンバ31aに図示せぬ固定手段によって固定され、カバー102a〜102yがメインチャンバ31a内において昇降する。メインチャンバ31a内には、カバー102a〜102yを一括して昇降させるための、例えば、4本のカバー昇降支柱103が設けられている。カバー102a〜102yは、これらのカバー昇降支柱103に固定部104を介して固定されている。カバー昇降支柱103がメインチャンバ31aの高さ方向に昇降することで、カバー102a〜102yが一括して昇降する。
【0030】
カバー102a〜102yをステージ101a〜101yから一括して上昇させると、ステージ101a〜101yがメインチャンバ31aの内部空間に露呈される。これにより、被処理体Gを、ステージ101a〜101yの被処理体載置面105上に受け渡すことが可能な状態となる。図3Aに、カバー102a〜102yのうち、カバー102a〜102cを一括して上昇させた状態を示す。
【0031】
反対に、カバー102a〜102yを、ステージ101a〜101yへ一括して降下させ、ステージ101a〜101yとカバー102a〜102yとを気密に当接させると、ステージ101a〜101yの被処理体載置面105上それぞれに一枚ずつ載置された被処理体Gの各々を取り囲む、メインチャンバ31aの内部空間よりも容量が小さい処理用小空間106が形成される。図3Bに、カバー102a〜102yのうち、カバー102a〜102cを一括して下降させた状態を示す。
【0032】
ステージ101a〜101yの縁部には、ピック71との間で被処理体Gを受け渡すリフター107が設けられている。本例では、例えば、4つ設けられ、それぞれ被処理体Gの縁の部分を支持する。メインチャンバ31a内には、リフター107を一括して昇降させるための、例えば、4本のリフター昇降支柱108が設けられている。リフター107は、これらのリフター昇降支柱108に固定部109を介して固定されている。リフター昇降支柱108がメインチャンバ31aの高さ方向に昇降することで、リフター107は一括して昇降する。ステージ101a〜101cの縁部に設けられたリフター107を一括して上昇させた状態を図4Aに、反対に一括して下降させた状態を図4Bに示す。
【0033】
処理用小空間106の内部には、図1に示されるように、処理に使用されるガスが、ガス供給機構、例えば、ガスボックス110からガス供給管111a〜111cを介して供給される。本例では、ガス供給管の本数は3本としているが、処理用小空間106の内部で行われる処理に応じてガスの種類や数が変わるため、ガス供給管の本数は任意である。また、本例のバッチ式処理装置3aは、ALD成膜を想定したものである。このため、例えば、ガス供給管111aから第1の前駆体ガス、ガス供給管111bからパージガス、ガス供給管111cから第2の前駆体ガスが供給される。前駆体ガスの種類は成膜される膜により様々に選ばれるが、例えば、シリコン酸化膜を形成する場合には、第1の前駆体ガスとしてシリコン原料ガス、第2の前駆体ガスとして酸化剤を含むガスを供給すれば良い。パージガスは不活性ガスであり、例えば、窒素ガスを一例として上げることができる。
【0034】
また、処理用小空間106の内部は、排気装置112により排気ダクト113、及び排気管114を介して排気される。なお、排気装置112としては、図2に示した排気装置5を利用することも可能である。
【0035】
図5に、ステージ101aとカバー102aとが離れた状態の斜視図を示す。なお、その他のステージ101b〜101y、カバー102b〜102yも同様な構成である。ここでは、代表例としてステージ101a、及びカバー102aの構成を説明する。
【0036】
図5に示すように、ステージ101aの被処理体載置面105には、降下されたリフター107が収容されるリフター収容部115が形成されている。リフター107が降下したとき、リフター107がリフター収容部115に収容されることで、リフター107が被処理体載置面105の表面よりも上に突出することを無くすことができ、被処理体Gは、被処理体載置面105に水平に載置することができる。
【0037】
さらに、上記被処理体載置面105の周縁部の一部には、ガス供給管111a〜111cからのガスが吐出されるガス吐出孔形成エリア116が設けられている。図6Aにガス吐出孔形成エリア近傍の平面図を、図6A中のVIB−VIB線に沿う断面を図6Bに示す。
【0038】
図6A及び図6Bに示すように、ガスボックス110から延伸されたガス供給管111aは、ステージ101aの近傍において被処理体Gの搬入出方向に直交したX方向に延び、ステージ101aの一端側に接続される。さらに、ガス供給管111aはステージ101aの内部において、X方向と交差、例えば直交するY方向(被処理体Gの搬入出方向)に屈曲し、ステージ101aの他端側に向かって延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111aの部分には、ガス供給管111aから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117aが形成される。
【0039】
ガス供給管111bも同じくX方向に延び、ステージ101aの端部中央に接続される。ガス供給管111bはステージ101aの内部において、ガス供給管111bの延長形成部分の手前で一端側及び他端側に分岐され、それぞれY方向に沿って延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111bの部分にも、ガス供給管111bから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117bが形成される。
【0040】
ガス供給管111cも同じくX方向に延び、ステージ101aの他端側に接続される。ガス供給管111cはステージ101aの内部において、Y方向に屈曲し、ガス供給管111aとは逆に、ステージ101aの一端側に向かって延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111cの部分にも、ガス供給管111cから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117cが形成される。
【0041】
ガス供給管111a〜111cに供給されたガスは、複数のガス吐出孔117a〜117cから処理用小空間106の内部に向かって吐出される。
【0042】
本例において、ガス供給管111a〜111cは、リフター107の部分で途切れることはなく、リフター107の下方を通過して、一端側から他端側にわたって延長形成される。これにより、処理用小空間106の内部へのガスの供給は、リフター107間ばかりでなく、リフター107と一端側との間、リフター107と他端側との間からも供給できる。この工夫により、処理用小空間106の内部には、リフター107間のみからガスを供給する場合に比較して、より均一なガスの供給が可能となる。
【0043】
上記被処理体載置面105のガス吐出孔形成エリア116に相対する側の周縁部には、排気溝118が設けられている。図7Aに排気溝近傍の平面図を、図7A中のVIIB−VIIB線に沿う断面を図7Bに示す。
【0044】
排気溝118は、ステージ101aの一端側から他端側に向かって、Y方向に沿って形成されている。ステージ101aの端部中央、例えば、リフター107間の部分には、上記排気管114に接続された排気ダクト113が接続されている。排気溝118はガス排気口119を介して排気ダクト113に接続されている。処理用小空間106の内部に供給されたガスは、排気溝118から吸引され、ガス排気口119を介して排気ダクト113に導かれ、排気ダクト113から排気管114を介して排気される。
【0045】
本例の排気溝118もまた、ガス供給管111a〜111cと同様に、リフター107の部分で途切れることはなく、リフター107の下方を通過して、一端側から他端側にわたって形成されている。これにより、処理用小空間106の内部は、リフター107間のみから排気する場合に比較して、より均一に排気することが可能となっている。
【0046】
処理用小空間106が形成されたときのガスの流れは、図8に示すように、基板載置面105からガス吐出孔117a〜117cに沿って垂直方向にガスが吐出され、カバー102aで水平方向に方向転換されて反対側の排気溝118に向かう。さらに、排気溝118の上方で再び垂直方向に方向転換され、ガス排気口119に向かって排気されるものとなる。
【0047】
次に、被処理体Gの搬入出動作を説明する。なお、本説明は、代表例としてステージ101a及びカバー102aにより形成される処理用小空間106への搬入出動作を説明するが、他のステージ101b〜101y、カバー102b〜102yにより形成される処理用小空間への搬入出動作も同様である。
【0048】
図9A〜図9Fは、被処理体Gの搬入出動作の一例を示す断面図である。
【0049】
まず、図9Aに示すように、カバー102aをピック71が進入可能となる位置まで上昇させる。
【0050】
次に、図9Bに示すように、被処理体Gを支持したピック71を、共通搬送室4の内部からメインチャンバ31a内のステージ101aの被処理体載置面105の上方に進出させる。
【0051】
次に、図9Cに示すように、リフター107を上昇させ、被処理体Gをピック71から受け取る。
【0052】
次に、図9Dに示すように、リフター107が被処理体Gを受け取ったら、ピック71を共通搬送室4の内部に後退させる。
【0053】
次に、図9Eに示すように、リフター107を下降させ、被処理体Gを、被処理体載置面105上に載置する。
【0054】
最後に、図9Fに示すように、カバー102aを下降させ、カバー102aとステージ101aとを気密に当接させる。これにより、被処理体Gの周囲に、処理用小空間106が形成される。
【0055】
このようなバッチ式処理装置3aによれば、被処理体Gを取り囲む、容量が小さい処理用小空間106が形成されることで、例えば、メインチャンバ31aに複数の被処理体Gを暴露させる場合に比較して、成膜に関与しない処理ガスの量を減らすことができ、処理ガスの使用効率を向上させることができる。
【0056】
また、処理用小空間106はメインチャンバ31aよりも容量が小さいので、処理用小空間106へのガス供給、及びガス排気は、メインチャンバ31aへのガス供給、及びガス排気に比較して、より短時間で済ませることができる。このため、ガス供給、ガス排気に要する時間も短縮でき、タクト時間を短く設定することができる。タクト時間を短く設定することができる結果、さらに、スループットの良いバッチ式処理装置を得ることができる。
【0057】
さらに、処理用小空間106は容量が小さいことから、例えば、現状、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの大きさを持つようなガラス基板においても、ALD法の採用も可能となる、という利点も得ることができる。
【0058】
次に、バッチ式処理装置3aの変形例のいくつかを説明する。
【0059】
(第1の変形例:気密性の改善)
図10Aは第1の変形例に係るバッチ式処理装置の平面図、図10Bは図10A中のXB−XB線に沿う断面図である。
【0060】
上記のステージ101aとカバー102aとの間の気密性を高めるために、ステージ101aの被処理体載置面105側表面に、封止部材、例えば、Oリング120を設けても良い。Oリング120は、カバー102aの、ステージ101aとの当接面により当接される。さらに、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3cにおいては、特に、図10Bに示すように、Oリング120と処理用小空間106との間に、環状の溝121を設けている。カバー102aは、Oリング120及び環状の溝121の上方に被さるようにして、ステージ101aに当接される。
【0061】
環状の溝121はガス供給管122が接続されている。ガス供給管122には、例えば、ガスボックス110から不活性ガス、例えば、窒素(N2)ガスが供給され、供給された窒素ガスは環状の溝121の内部に送り込まれる。環状の溝121に送り込まれた窒素ガスは、排気管114及び/又は排気管114とは別に設けられた排気管114aを介して、例えば、排気装置112により排気される。
【0062】
環状の溝121を流れる窒素ガスは、処理用小空間106からステージ101aとカバー102aとの極僅かな隙間から漏れ出ようとするガスを処理用小空間106に押し返す、あるいは環状の溝121に誘い込み、窒素ガスとともに排気管114及び/又は排気管114aを介して排気する役目を果たす。
【0063】
このように、ステージ102aの被処理体載置面105側表面に、封止部材、本例ではOリング120を設けることでステージ101aとカバー102aとの間の気密性を高めることができる。さらに、Oリング120に加え、Oリングと処理用小空間106との間に環状の溝121を設け、環状の溝121に不活性ガスを流す。これにより、ステージ101aとカバー102aとの間の気密性を、さらに高めることができる。
【0064】
また、環状の溝121に不活性ガスを流すことにより、処理用小空間106内の、例えば化学反応性を持つ雰囲気がOリング120に直接に接触することも抑制される。このため、封止部材、例えば、Oリング120の経時劣化の進行が抑制され、Oリング120の交換頻度を減らすことができる、という利点も得ることができる。
【0065】
なお、上記第1の変形例においてはOリング120と併用して溝121を設けたが、Oリング120を設けずに溝121のみを設けるようにしてもよい。その場合、溝121から供給される窒素ガスは処理用小空間106とメインチャンバ内とに分岐して流れることにより、処理用小空間106とメインチャンバ内とを遮断する効果を得ることができる。
【0066】
(第2の変形例:処理用小空間の形成例)
図11A〜図11Cは、処理用小空間の形成例を示す断面図である。
【0067】
図11Aに示す例は、上述したバッチ式処理装置3aである。バッチ式処理装置3aでは、ステージ101aが平坦であり、カバー102aに、処理用小空間106を形成する凹部130aが形成されている。
【0068】
このタイプでは、図8を参照して説明した通りであるが、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気が、ステージ101aの被処理体載置面105を介したものとなる。
【0069】
図11Bに示すバッチ式処理装置3dは、反対に、カバー102aが平坦であり、ステージ101aに、処理用小空間106を形成する凹部130bを設けた例である。
【0070】
このタイプでは、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うことが可能となる。この場合、例えば、ガス吐出孔117は凹部130bの一側面に、ガス排気口119は、凹部130bの上記一側面に相対する他の側面に設けられる。
【0071】
このようにガス吐出孔117及びガス排気口119を互いに相対した凹部130bの側面に設けると、ガス供給管111から供給されるガスの流れが、処理用小空間106の内部において、ガス吐出孔117からガス排気口119まで進行方向を変えることがない。このため、処理用小空間106の内部に、処理に使用するガスに層流を形成しやすい、という利点を得ることができる。処理用小空間106の内部を流れるガスが層流になることによって、例えば、成膜される薄膜の膜厚及び膜質の制御性を、より高めることができる、という利点を、さらに得ることができる。
【0072】
図11Cに示すバッチ式処理装置3eは、ステージ101a及びカバー102aの双方に、処理用小空間106を形成する凹部130a及び130bを設けた例である。
【0073】
このように、処理用小空間106を形成する凹部130a及び130bは、ステージ101a及びカバー102aの双方に設けることも可能である。
【0074】
(第3の変形例:カバー固定、ステージ昇降)
第3の変形例に係るバッチ式処理装置が、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと異なるところは、カバー102a〜102yがメインチャンバ31a内に固定であり、ステージ101a〜101yが一括して昇降することである。
【0075】
図12Aは第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージを下降させた状態を示す図、図12Bはステージを上昇させた状態を示す図である。
【0076】
図12A及び図12Bに示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3fのメインチャンバ内には、ステージ101a〜101yを一括して昇降させるための、例えば、4本のステージ昇降支柱140が設けられている。カバー102a〜102yは図示しない固定手段によりメインチャンバ31aに固定されている。ステージ101a〜101yは、これらのステージ昇降支柱140に固定部141を介して固定されている。ステージ昇降支柱140がメインチャンバの高さ方向に昇降することで、ステージ101a〜101yが一括して昇降する。なお、図12A及び図12Bには、ステージ101a〜101yのうち、ステージ101a〜101cを一括して昇降させた状態が示されている。
【0077】
リフター107がステージ101a〜101yそれぞれの縁部に形成されている場合には、ステージ101a〜101yの昇降と連動してリフター107も昇降する。リフター107のみを昇降させる際には、例えば、ステージ101a〜101cが下降した状態で、リフター昇降支柱108を昇降させる。図13には、ステージ101a〜101cが下降した状態で、リフター107を上昇させた状態が示されている。また、リフター107とステージ101a〜101cとを同時に下降させ、リフター107を被処理体Gの受け渡し位置で停止させた後、ステージ101a〜101cを更に下降させるようにしてもよい。これにより、リフター107をステージ101a〜101cから上昇させた場合と同じ効果を得ることができる。
【0078】
第3の変形例のように、カバー102a〜102yをメインチャンバ31a内に固定し、ステージ101a〜101yを一括して昇降させるようにした場合には、カバー102a〜102yが動かないため、ガス吐出孔117及びガス排気口119を、カバー102a〜102yに容易に取り付けることが可能となる。
【0079】
そして、ガス吐出孔117及びガス排気口119を、カバー102a〜102yに取り付けることによれば、ガス吐出方式を、被処理体Gの被処理面に対して垂直方向からガスを吐出する垂直ガス吐出方式(いわゆるガスシャワー)、及び被処理体Gの被処理面に対して水平方向からガスを吐出する水平ガス吐出方式のいずれかを選択することができる。図14に垂直ガス吐出方式の一例を、図15に水平ガス吐出方式の一例を示す。
【0080】
図14に示すように、バッチ式処理装置3f−1のカバー102a−1は、処理用小空間106を形成する凹部130aを有し、かつ、その内部にガス拡散空間150を備えている。ガス拡散空間150は、ガス供給管111に接続されており、ガス供給管111から処理に使用されるガスが供給される。カバー102a−1の被処理体Gに面した表面には、複数のガス吐出孔117が形成されている。複数のガス吐出孔117はガス拡散空間150と処理用小空間106とにそれぞれ連通し、例えば、被処理体Gの平面形状に合わせ格子状にカバー102a−1に形成されている。
【0081】
なお、複数のガス吐出孔117の配置は、格子状に限らず、処理内容に合わせた適切なガス分布を得ることに適した様々な態様を選択することができる。
【0082】
また、バッチ式処理装置3f−1は、処理用小空間106内の排気を、図2に示したメインチャンバ内を排気する排気口32を介して行う。このため、カバー102a−1は、ステージ101aに完全に当接されるのではなく、排気用クリアランス151を持ってステージ101aとの間に処理用小空間106を形成する。処理用小空間106内の雰囲気は、排気用クリアランス151を介してメインチャンバ内に排気され、さらに、メインチャンバに形成された排気口32を介して排気される。
【0083】
また、図15に示すように、バッチ式処理装置3f−2のカバー102a−2もまた、処理用小空間106を形成する凹部130aを有している。ガス吐出孔117は凹部130aの一側面に設けられ、ガス排気口119は、凹部130aの上記一側面に相対する側面に設けられる。本例の場合は、カバー102a−2はステージ101aに気密に当接される。処理用小空間106内の排気は、ガス排気口119から排気ダクト113及び排気管114を介して排気される。
【0084】
もちろん、バッチ式処理装置3f−2においてもバッチ式処理装置3f−1と同様に、カバー102a−2とステージ101aとの間に排気用クリアランスを設け、処理用小空間106の排気を、前記排気用クリアランスを通じて排気口32から行うようにしてもよい。
【0085】
このように、第3の変形例によれば、ステージ101a〜101yを昇降可能とし、カバー102a〜102yをメインチャンバ内に固定するので、ガス吐出方式を、垂直ガス吐出方式、及び水平ガス吐出方式のいずれかを選択でき、ガス供給方式の選択の自由度が向上する、という利点を得ることができる。
【0086】
(第4の変形例:ピン状リフター)
図16Aは、第4の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを下降させた状態を示す図、図16Bはリフターを上昇させた状態を示す図である。なお、図16A及び図16Bは、ステージ101a〜101y、カバー102a〜102yのうち、ステージ101a、カバー102aのみを示している。
【0087】
図16A及び図16Bに示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3gが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと異なるところは、リフター107がピン状リフター160であり、被処理体Gの周縁部を支持するのではなく、被処理体Gの面内の複数個所を点状に支持することである。
【0088】
このようにリフターは、ピン状リフター160に置換することも可能であり、第1〜3の変形例においても同様に適用することができる。
【0089】
また、図17に示すように、リフターとしてピン状リフター160を用いた場合、処理用小空間106とメインチャンバとの間に、ステージ101aに形成されたピン状リフター収容部161とピン状リフター160との間の僅かなクリアランスを介した新たなガスリークパス162が形成されることとなる。
【0090】
そこで、ガスリークパス162を遮断するために、ピン状リフター収容部161と、ピン状リフター160の、例えばヘッド部下面163との間に、封止部材、例えば、Oリング164を設けるようにしても良い。Oリング164を設けることで、上記僅かなクリアランスを介したガスリークパス162を介してのガスリークを抑制することができる。
【0091】
(第5の変形例:被処理体昇降機構の削減)
また、リフターとしてピン状リフター160を用いると、リフターを昇降させる被処理体昇降機構、例えば、第1の実施形態では、リフター昇降支柱108、及びリフター昇降支柱108を駆動する機構を、バッチ式処理装置から削減できる、という利点も得ることができる。
【0092】
図18Aは、第5の変形例に係るバッチ式処理装置のカバーを上昇させた状態を示す図、図18Bはカバーを下降させた状態を示す図である。なお、図18A及び図18Bは、ステージ101a〜101yに設けられたピン状リフター160のうち、ステージ101a〜101cに設けられたピン状リフター160を一括して昇降させた状態を示している。
【0093】
図18A及び図18Bに示すように、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3hは、被処理体昇降機構であるリフターが、ステージ101a〜101cに設けられたピン状リフター収容部161を貫通してステージに懸架されるピン状リフター160を有する。さらに、カバー102a〜102cを上昇させたとき、ピン状リフター160の下端が下方にあるカバー102a〜102cの上面に当接する。これにより、ピン状リフター160は、カバー102a〜102cの上昇に応じて上昇する。
【0094】
また、図18Aに示す状態から、カバーを下降させると、ピン状リフター160の下端が下方にあるカバー102a〜102cの上面から離れるとともに、ピン状リフター160は、ピン状リフター収容部161に収容される。
【0095】
このように第5の変形例によれば、ピン状リフター160を昇降駆動する被処理体昇降機構を、カバーを昇降するカバー昇降機構と連動させる。例えば、本例では、ピン状リフター160をカバー102a〜102cの昇降に応じて昇降させることで、リフターを昇降させる被処理体昇降機構、例えば、リフター昇降支柱108、及びリフター昇降支柱108を駆動する機構を、バッチ式処理装置から削減できる、という利点を得ることができる。
【0096】
バッチ式処理装置から被処理体昇降機構を削減することによれば、メインチャンバの容量の低下とともに、メインチャンバ内から駆動系が無くなることから、パーティクルの発生を抑制できる、という利点を得ることができる。
【0097】
もちろん、メインチャンバ内から駆動系が無くなるので、バッチ式処理装置の製造コストも抑制することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ガス供給機構をステージ101a〜101y、及びカバー102a〜102yのうち、固定された方に設けるようにしていた。
【0099】
第2の実施形態は、ガス供給機構をステージ101a〜101y、及びカバー102a〜102yのうち、昇降可能な方に設けられるように工夫した例である。
【0100】
図19は、この発明の第2の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図である。なお、図19においては、カバー102a〜102yのうち、カバー102aのみを示す。
【0101】
図19に示すように、第2の実施形態に係るバッチ式処理装置3iが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、カバー102a〜102yを一括して昇降させるカバー昇降支柱103の内部及び固定部104の内部に、ガス供給管111を形成したことにある。
【0102】
このように、カバー昇降支柱103の内部及び固定部104の内部に、ガス供給管111を形成することで、ガス供給管111及びガス吐出孔117を含むガス供給機構を、昇降可能なカバー102a〜102yに設けることができる。
【0103】
また、本例では、カバー102aを、図14に示したカバー102a−1と同様な、垂直ガス吐出方式(ガスシャワー)として構成している。また、ステージ101a〜101yは固定である。このため、処理用小空間106へのガス吐出方式については垂直ガス吐出方式を採用し、処理用小空間106からのガス排気方式については、被処理体載置面105の表面から排気溝118、ガス排気口119を介してガスを吸引する方式にすることが可能である。
【0104】
また、本例の排気溝118は、第1の実施形態のように、ステージ101aの一辺に沿って一本の線状に形成されるのではなく、ステージ101a上の載置された被処理体Gの縁を取り囲むように環状に形成することができる。ステージ101aの内部から、例えば、図6に示したようなガス供給管111a〜111cが無くなるためである。
【0105】
処理用小空間106へのガス吐出方式を垂直ガス吐出方式(ガスシャワー)として構成した場合、処理用小空間106からのガス排気方式は、環状に形成された排気溝118を利用して排気すると、処理用小空間106からの排気の均一化を促進できる、という利点を得ることができる。
【0106】
(第3の実施形態)
図20に第3の実施形態を示す。第3の実施形態が第1の実施形態、第2の実施形態と異なるところは、固定部104を通じてステージ101aに供給されたガスがステージ101aとカバー102aとの接触部からカバー102aに供給され、カバー102aに設けられたガスシャワーから複数のガス吐出孔117を通じて処理用空間106に供給される点である。処理用空間106からのガスの排気は、ステージ101aに排気口(図示せず)を設けて排気してもよく、また、カバー102aとステージ101aの隙間を通じて排気してもよい。ただし、カバー102aとステージ101aの接触部のガス通路が設けられている箇所においては、ガス通路を取り囲むようにシール部材で機密性を保つ必要がある。
【0107】
第3の実施形態によれば、被処理体Gを載置したステージ101aが固定されているので駆動機構への付加が少なく、且つ、被処理体Gを破損する危険性が少ないとともに、昇降させるカバーからシャワーヘッドでガスを供給することができるので被処理体Gを均一に処理することができる。
【0108】
(第3の実施形態:変形例)
図21に第3の実施形態の変形例を示す。第3の実施形態の変形例においては、ステージ101aからカバー102aに供給されたガスは、シャワーヘッドでなく単一のガス導入孔から処理用空間106に供給される。その際、供給されたガスは、カバー102aの凹部に充填されるため、ガス導入口が偏在することにより発生するガス分布の偏りが緩和されて被処理体Gに供給される。図21においては処理用空間106からの排気は排気管114を通じて行われるが、カバー102aとステージ101aの隙間から排気される構成としてもよい。
【0109】
また、上記第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態においては、ステージ101a〜101yに温度調節機構を設けてもよい。温度調節機構には、抵抗ヒーターなどのヒーターによる加熱機構を用いることができる。また、他の温調機構としては、ステージ101a〜101yの内部に温調媒体を流通させる流路を設け、外部チラーから所定の温度に調整された温調媒体を流通させることにより冷却若しくは加熱又はその双方を適宜切り替えることのできる機構を用いることができる。ヒーターによる加熱機構と温調媒体による温調機構を併用してもよい。
【0110】
温調媒体を用いた温調機構の場合は、外部より温調媒体を供給する供給管を接続するためステージ101a〜101yが固定されている構成においてより好適に用いられるが、抵抗ヒーターを用いた加熱機構の場合は、抵抗ヒーターに電力を供給する導電線を配置するだけでよいため、ステージ101a〜101yを固定する構成においても昇降させる構成においても好適に用いることができる。
【0111】
また、温度調節機構は、ステージ101a〜101yを一括に温度制御できる機構であってもよく、それぞれのステージを個別に独立して温度制御できる機構であってもよい。個別に独立して温度制御できる機構の場合、ステージの上端及び下端と、中間部とで温度が異なることを防ぎ全てのステージにおいて均一の温度にて被処理体Gを処理することができる。
【0112】
(第4の実施形態)
図22はこの発明の第4の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図、図23A及び図23Bは図22中のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。なお、図23Aはカバーを開けた状態を示し、図23Bはカバーを閉じた状態を示している。
【0113】
図22、図23A及び図23Bに示すように、第4の実施形態に係るバッチ式処理装置3kが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、ステージ101aの被処理体載置面105上に突起物、本例では邪魔板170を、さらに設けたことにある。邪魔板170が設けられたこと以外は、第1の実施形態とほぼ同様である。本例の邪魔板170は、例えば、排気溝118に沿って、処理用小空間106中のガスの流れに交差、例えば、直交する方向に延び、被処理体載置面105を横断するように形成されている(図23A参照)。また、邪魔板170の高さは、処理用小空間106の高さよりも低く設定されている。これにより、ステージ101aとカバー102aとが当接されて処理用小空間106が形成された際、処理用小空間106の内部には、本例では凹部130aの内面と邪魔板170の上面との間にスリット状の隙間が形成される(図22及び図23B参照)。スリット状の隙間は、例えば、処理用小空間106中のガスの流れに交差、例えば、直交する方向に形成され、処理用小空間106と排気溝118とを連通させる。これにより、処理用小空間106内に供給されたガスは、処理用小空間106から排気溝118に向けて、スリット状の隙間を介して排気される。スリット状の隙間により、処理空間106内に供給されたガスを、直接に排気溝118に引き込む場合に比較して、処理空間106内において均一にすることが可能となる。このため、スリット状の隙間は、邪魔板170の高さを調整するなどして、スリット状の隙間の大きさを適切に調整することにより、処理用小空間106内のガスの流れを、例えば、層流となるように整流する整流部171として機能させることができる。
【0114】
図24A及び図24Bはそれぞれ、排気溝118近傍を拡大して示す断面図である。図24Aに示す例は邪魔板170がない場合、図24Bは邪魔板170がある場合を示している。
【0115】
図24Aに示すように、邪魔板170がない場合には、処理用小空間106に供給されたガスは、大きな排気溝118にそのまま引き込まれる。
これに対して、図24Bに示すように、邪魔板170がある場合には、本例ではスリット状の隙間となる整流部171が形成される。整流部171のコンダクタンスは、邪魔板170がない場合に比較して、小さい。コンダクタンスを小さくすることによって、処理用小空間106に供給されたガスは、邪魔板170がない場合に比較して、整流部171において流量が制限される。
【0116】
このように処理用小空間106の内部に整流部171を設け、流量を制限することで、処理用小空間106の内部のガスに対して整流作用を及ぼすことができる。この整流作用を利用することで、処理用小空間106の内部には、層流となるガスの流れを、より均一に形成することが可能となる。
【0117】
このような第4の実施形態に係るバッチ式処理装置3kによれば、処理用小空間106の内部に整流部171を備えることで、より均一な層流のガスの流れを処理用小空間106の内部に形成することができ、邪魔板170がない場合に比較して、被処理体G上に成膜される薄膜の膜厚及び膜質の制御性を、さらに向上させることができる。そして、この利点とともに、膜厚及び膜質の被処理体G面内における面内均一性についても、さらに向上させることができる、という利点を得ることができる。
【0118】
(第4の実施形態:第1の変形例)
図25は、第4の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0119】
図25に示すように、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3k-1が、図22等に示した一例に係るバッチ式処理装置3kと、特に異なるところは、処理用小空間106を、ステージ101aに設けられた凹部130bと、カバー102aに設けられた凹部130aとによって形成したことにある。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0120】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図25中では参照符号130a及び130b)を、ステージ101a及びカバー102aの双方に形成したバッチ式処理装置3k-1であっても、邪魔板170を設けることが可能である。そして、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3k-1においても、上記一例に係るバッチ式処理装置3kと同様な利点を得ることができる。
【0121】
(第4の実施形態:第2の変形例)
図26は、第4の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0122】
図26に示すように、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2が、図22等に示した一例に係るバッチ式処理装置3kと、特に異なるところは、カバー102aを平坦とし、ステージ101aに対して処理用小空間106を形成するための凹部130bを形成したことにある。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0123】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図26中では参照符号130b)を、ステージ101aに対してのみ形成したバッチ式処理装置3k-2であっても、邪魔板170を設けることが可能である。
【0124】
(第4の実施形態:第3の変形例)
図27は、第4の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0125】
図27に示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3が、図26に示した第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2と、特に異なるところは、図11B及び図11Cに示した第1の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置3d、3eと同様に、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うようにしたことである。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0126】
このように、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うようにしたバッチ式処理装置3k-3であっても、邪魔板170を設けることが可能である。そして、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3においても、上記一例に係るバッチ式処理装置3kや第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2等と同様な利点を得ることができる。
【0127】
(第4の実施形態:第4の変形例)
図28は、第4の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0128】
図28に示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3k-4が、図27に示した第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3と、特に異なるところは、邪魔板170を、被処理体載置面105上ではなく、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に設けたことである。これにより、第3の変形例においては整流部171が邪魔板170の上面とカバー102aの処理用小空間106側の内面との間に形成されていた点が、第4の変形例においては整流部171が邪魔板170の下面とステージ101aの被処理体載置面105との間に形成されるようになる。
【0129】
このように邪魔板170は、被処理体載置面105上に限らず、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に設けることも可能である。そして、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3k-4においても、上記第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3等と同様な利点を得ることができる。
【0130】
さらに、第4の変形例による利点の一つとして、以下の利点をあげることができる。
例えば、図27に示した第3の変形例のように、整流部171を邪魔板170の上面とカバー102aの処理用小空間106側の内面との間に形成した場合、整流部171の位置が、被処理体Gからみて高すぎると、処理に使用されるガスが、被処理体Gの被処理面上方を素通りしてしまう、あるいは被処理面上方においてガスの濃度が低くなってしまう可能性がある。
【0131】
このような事情は、第4の変形例を用い、整流部171を邪魔板170の下面とステージ101aの被処理体載置面105との間に形成されるようにすることで解消することができる。
【0132】
なお、第4の変形例は、図22等に示した第4の実施形態の一例、図25に示した同第1の変形例、図26に示した同第2の変形例についても、同様に適用することが可能である。
【0133】
(第4の実施形態:第5の変形例)
図29は、第4の実施形態の第5の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0134】
図29に示すように、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3k-5が、図27に示した第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3と、特に異なるところは、邪魔板170a及び170bを、被処理体載置面105上(参照符号170a)、及びカバー102aの処理用小空間106側の内面上(参照符号170b)のそれぞれに設けたことである。これにより、第5の変形例においては整流部171は、邪魔板170aの上面と邪魔板170bの下面との間に形成されるようになる。
【0135】
このように邪魔板170a及び170bは、ステージ101aの被処理体載置面105上と、カバー102aの処理用小空間106側の内面上との双方に、それぞれ設けることも可能である。そして、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3k-5においても、上記第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3等と同様な利点を得ることができる。
【0136】
また、第5の変形例によれば、第4の変形例と同様に、処理に使用されるガスが、被処理体Gの被処理面上方を素通りしたり、被処理面上方におけるガスの濃度が低下してしまったり、といった可能性を解消できる、という利点を得ることができる。
【0137】
さらに、第5の変形例によれば、邪魔板170a及び170bを、ステージ101aの被処理体載置面105上と、カバー102aの処理用小空間106側の内面上との双方にそれぞれ設けるので、第3の変形例や第4の変形例に比較して、整流部171の位置を、被処理体Gの被処理面上方の近傍に設定することが可能となる。このため、処理用小空間106に均一な層流のガスの流れを形成しやすくことに加え、ガスの濃度をより細かく制御することも可能となる。ガスの濃度をより細かく制御することができれば、薄膜の膜厚及び膜質の制御性並びに被処理体Gにおける面内均一性の向上に加え、例えば、成膜速度の制御も可能になる、という新たな利点についても得ることができる。よって、第5の変形例によれば、成膜速度の制御も可能になることで、例えば、スループットの向上にも有利である、という利点についてもさらに得ることができる。
【0138】
なお、第5の変形例は、図22等に示した第4の実施形態の一例、図25に示した同第1の変形例、図26に示した同第2の変形例についても、同様に適用することが可能である。
【0139】
さらに、上述した第4の実施形態の一例、及び第4の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例は、第1の実施形態の一例、及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、並びに第3の実施形態の一例及び変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0140】
(第5の実施形態)
図30は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを参考例として示す断面図である。
【0141】
図30に示すように、例えば、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aのように、処理に使用するガスを被処理体載置面105から供給したり、被処理体載置面105から排気したりする場合、処理用小空間106の隅部の空間180において、ガスが淀む可能性がある。隅部の空間180におけるガスの滞留は微量ではあるが、もしも、滞留したガスがプリカーサであった場合などには、次のガスが流れてきた際に、気相反応を起こし、処理用小空間106内にパーティクルを微量ながらも発生させる可能性がある。このような可能性は、例えば、排気及びパージを十分に行うことで、軽減させることが可能である。
【0142】
しかしながら、十分な排気及びパージを行ったとしても、隅部の空間180に極微量のガスが淀むことも予想される。今後のプロセスの更なる高精度化を考えると、たとえ淀んだガスが極微量であり、発生したパーティクルも極微量であったとしても、プロセスに多大な影響を及ぼしてしまうことも予想される。
【0143】
第5の実施形態は、隅部の空間180におけるガスの淀みを構造的に抑制し、今後のプロセスの更なる高精度化にも対応可能なバッチ式処理装置を提供しようとするものである。
【0144】
図31は、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0145】
図31に示すように、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mが、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、隅部の空間180にガスが淀まないように、処理用小空間106の隅部に、例えば、カバー102aの処理用小空間106側の内面に対して傾斜したスロープ部181が設けられていることにある。スロープ部181が設けられたこと以外は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aとほぼ同様である。
【0146】
第5の実施形態によれば、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を設けたことで、ガスが隅部の空間180において淀むことがなく、隅部の空間180においてもガスの流れを安定して形成することができる。このため、第5の実施形態においては、隅部の空間180から発生するパーティクルを、隅部にスロープ部181がない場合に比較して、より少なくすることができる。
【0147】
このような第5の実施形態に係るバッチ式処理装置3mによれば、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を備えることによって、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルを、スロープ部181がない場合に比較して低減することができ、今後のプロセスの更なる高精度化にも対応可能なバッチ式処理装置が得られる、という利点を得ることができる。
【0148】
(第5の実施形態:第1の変形例)
図32は、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mの排気溝118近傍を拡大して示す断面図である。
【0149】
図32に示すように、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mは、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aに対して、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を設けたものであった。バッチ式処理装置3aにおいては、ステージ101aとカバー102aとが当接した際、排気溝118とカバー102aの側部とが、破線円182内に示されるように離隔された状態となる。離隔された部分においては、ガスが流れようとする方向に対して、処理用小空間106と排気溝118との間に被処理体載置面105による段差が生じた構造となる。このため、隅部の空間180と同様に、ガスを淀ませてしまう可能性がある。
【0150】
第1の変形例は、排気溝118とカバー102aの側部とが離隔された部分において発生するガスの淀みを、さらに解消しようとするものである。
【0151】
図33は、第5の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。なお、図33の断面図は、図32と同様に、排気溝118近傍を拡大して示している。
【0152】
図33に示すように、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1が、図32に示したバッチ式処理装置3mと、特に異なるところは、破線円182内に示すように、排気溝118とカバー102aの側部とを離隔せず、排気溝118の縁とカバー102aの内面側側面とを、互いに一致するようにしたことにある。この構成を有することにより、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1においては、処理用小空間106から排気溝118に向かって流れてきたガスが、図32に示したように被処理体載置面105によって妨げられることなく、排気溝118に速やかに引きこまれるようになる。
【0153】
このような第1の変形例によれば、排気溝118とカバー102aの内面側側面とを互いに一致するようにしたことで、処理用小空間106から排気溝118に、ガスを速やかに引きこむことができ、ガスが排気溝118とカバー102aの側部との間の被処理体載置面105上方で淀むことを抑制することができる。
【0154】
よって、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1によれば、一例に係るバッチ式処理装置3mに比較して、さらに、排気溝118とカバー102aの側部との間の被処理体載置面105上方の空間から発生するパーティクルを抑制することができ、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルを、さらに少なくすることができる、という利点を得ることができる。
【0155】
なお、排気溝118の縁とカバー102aの内面側側面とを互いに一致させる、という工夫は、第5の実施形態に限って適用されるものではなく、上述してきた処理用小空間106の隅部にスロープ部181を持たない実施形態のいずれに対しても適用することが可能である。
【0156】
(第5の実施形態:第2の変形例)
図34は、第5の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0157】
図34に示すように、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3m-2が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、処理用小空間106を、ステージ101aに設けられた凹部130bと、カバー102aに設けられた凹部130bとによって形成したことにある。これ以外の点は、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0158】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図34中では参照符号130a及び130b)を、ステージ101a及びカバー102aの双方に形成したバッチ式処理装置3m-2であっても、スロープ部183を設けることが可能である。そして、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3m-2においても、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1等と同様な利点を得ることができる。
【0159】
(第5の実施形態:第3の変形例)
図35は、第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0160】
図35に示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3m-3が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、カバー102aを平坦とし、ステージ101aに対して処理用小空間106を形成するための凹部130bを形成したことにある。これ以外の点は、上記第1例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0161】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図35中では参照符号130b)を、ステージ101aに対してのみ形成したバッチ式処理装置3m-3であっても、スロープ部181を設けることが可能である。そして、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3m-3においても、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1等と同様な利点を得ることができる。
【0162】
また、第3の変形例においては、スロープ部181は、例えば、ステージ101aの凹部130bの側部に形成される。このため、凹部130bの側部の上面と、カバー102aとの当接面には、微少な隙間183が生ずる。しかも、微少な隙間183は、カバー102aの処理用小空間106側の内面の沿って生じるため、微少な隙間183には、処理に使用されるガスが侵入しやすくなってしまう。
【0163】
このような微少な隙間183へのガスの侵入を抑制するには、図36に示すように、例えば、図10A及び図10Bを参照して説明した第1の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置3cにおいて施した工夫を併用することが好ましい。例えば、スロープ部181を凹部130bの側壁面の上面に形成すると、この上面は幅が広がる。これを利用して、上面に、例えば、Oリング120と、Oリング120と処理用小空間106との間に環状の溝121とを設ける。そして、環状の溝121には不活性ガスを供給する。これにより、微少な隙間183に侵入しようとするガスを、不活性ガスによって処理用小空間106に押し返す、あるいは環状の溝121に誘いこみ、不活性ガスとともに、図示せぬ排気管114等を介して排気することができる。
このように、第3の変形例においては、第1の実施形態の第1の変形例と併用されることが、特に好ましい。
【0164】
(第5の実施形態:第4の変形例)
図37は、第5の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0165】
図37に示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3m-4が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、処理用小空間106の隅部にスロープ部181の代わりに、例えば、カバー102aの処理用小空間106側の内面に対して丸みをおびたラウンド部184を設けたことにある。これ以外の点は、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0166】
このように、処理用小空間106の隅部にラウンド部184を設けることでも、ガスが隅部の空間180において淀むことがない。そして、隅部の空間180においてもガスの流れを安定して形成することができる。
【0167】
よって、第4の変形例においても、第5の実施形態の一例、及び第5の実施形態の第1の変形例〜第3の変形例と同様に、隅部の空間180から発生するパーティクルを、隅部にラウンド部184がない場合に比較して、より少なくすることができる、という利点を得ることができる。
【0168】
なお、第4の変形例は、図31等に示した第5の実施形態の一例、図33に示した同第2の変形例、図34に示した同第2の変形例、及び図35等に示した第3の変形例についても、適用することが可能である。
【0169】
さらに、上述した第5の実施形態の一例、及び第5の実施形態の第1の変形例〜第4の変形例は、第1の実施形態の一例、及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、第3の実施形態の一例及び変形例、並びに第4の実施形態の一例及び第1の変形例〜第5の変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0170】
(第6の実施形態)
図38は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0171】
第1の実施形態においては、ステージ101aに設けられている温調機構の図示を省略した。改めて、温調機構を概略的図示するならば、図38に示すようなものとなる。
図38に示すように、ステージ101aの内部には、ステージ温調機構190が備えられている。ステージ温調機構190には、例えば、ヒーター等を利用した加熱機構、及び水等の熱媒体を冷媒として利用した冷却機構、若しくはそれらのいずれか一方を備えている。図38には代表例としてチラーを例示し、熱媒体を流すための熱媒体流路191を概略的に図示している。
【0172】
このように、例えば、ステージ101aの内部に、ステージ温調機構190を設けることで、ステージ101aを温調して被処理体載置面105上に載置された被処理体Gを加熱したり、冷却したり、といった温度調節が可能となる。しかしながら、第1の実施形態〜第5の実施形態においては、ステージ101aにはステージ温調機構190が設けられているものの、カバー102aについては、温調機構は備えられていない。
【0173】
図39は、この発明の第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0174】
図39に示すように、第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3nが、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、ステージ温調機構190に加え、カバー102aに、カバー102aを温調するカバー温調機構192が、さらに備えられていることである。これ以外については、上記第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aとほぼ同様である。
【0175】
カバー温調機構192は、例えば、カバー102aの内部に設けられ、ステージ温調機構190と同様に、例えば、ヒーター等を利用した加熱機構、及び水等の熱媒体を冷媒として利用した冷却機構、若しくはそれらのいずれか一方を備えている。図39には代表例としてチラーを例示し、熱媒体を流すための熱媒体流路193を概略的に図示している。
【0176】
第6の実施形態の一例においては、ステージ温調機構190とカバー温調機構192とは、個別に温度を調節できるように構成されている。このように、ステージ温調機構190とカバー温調機構192とを個別に温度を調節可能にすることで、ステージ101aの温度とカバー102aの温度とを、それぞれ異なる温度に調節することができる。
【0177】
第6の実施形態によれば、以下の利点を得ることができる。
【0178】
例えば、被処理体Gへの処理が、処理用小空間106の内部の圧力を、例えば、大気圧(=101325Pa)よりも低くする真空処理若しくは減圧処理である場合、処理用小空間106の内部には熱を伝達する媒体が事実上なくなる、若しくは大気圧に比較して少なくなる。このため、ステージ温調機構190のみによる温調では、カバー102aに熱が伝わらない、若しくは熱が伝わり難くなり、カバー102aの温度は、ステージ101aの温度よりも低くなってしまう。例えば、処理が成膜処理の場合、本来の成膜処理は高温にすることにより実施されるが、低温でも、本来の成膜処理とは異なる堆積物が、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に堆積されてしまうことがある。このように上記内面上に堆積物が低温で成膜されてしまうと、処理用小空間106の内部にパーティクルを発生させる一因となる。
【0179】
このような事情に対して、第6の実施形態によれば、カバー102aにもカバー温調機構192が備えられているので、カバー102aの温度を、堆積物が堆積され難くなる温度、若しくは堆積物が堆積しない温度に調節することができる。このようにカバー102aの温度を、カバー温調機構192を用いて調節することで、カバー102aの処理用小空間106側の内面上への堆積物の発生を抑制することができる。このように堆積物の発生を抑制できる結果、処理用小空間106の内部にパーティクルが発生する可能性を、カバー温調機構192を備えていない場合に比較して、より低減することが可能となる。
【0180】
また、カバー温調機構192を備えていない場合には、例えば、処理用小空間106の内部への堆積物の発生を抑制するためには、処理温度、例えば、成膜温度にある範囲の制約を設定しなければならなく場合が生ずる。制約を設定することは、プロセスウィンドウを狭めてしまうことであり、バッチ式処理装置の汎用性の低下にもつながってしまう。
【0181】
この点、第6の実施形態によれば、カバー温調機構192を備えているので、処理温度、例えば、成膜温度にある範囲の制約を設定しなくても、処理用小空間106の内部への堆積物の発生を抑制することができる。しかも、第6の実施形態においては、ステージ101aの温度とカバー102aの温度とをそれぞれ個別に調節できる。このため、
(1) ステージ101aの温度 > カバー102aの温度
(2) ステージ101aの温度 < カバー102aの温度
(3) ステージ101aの温度 = カバー102aの温度
といった、様々な温度設定も可能となる。
【0182】
このように、第6の実施形態によれば、ステージ101aとカバー102aとの間に、様々な温度設定ができる結果、プロセスウィンドウを広げることもでき、バッチ式処理装置の汎用性をさらに向上できる、といった利点をも得ることができる。
【0183】
このような第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3nは、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルの低減、及びプロセスウィンドウの拡大という利点を、さらに得ることができ、今後、更に進展するプロセスの高精度化にも有利である。
【0184】
なお、第6の実施形態の一例は、第1の実施形態の一例及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、第3の実施形態の一例及び変形例、第4の実施形態の一例及び第1の変形例〜第5の変形例、並びに第5の実施形態の第1の変形例〜第4の変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0185】
以上、この発明を実施形態に従って説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されることは無く、種々変形可能である。
【0186】
例えば、搬送装置7のピック71としては、フォーク型のものに限らず、図40に示すようなフィッシュボーン型のピック71−1を用いることも可能である。
【0187】
また、上記実施形態では、バッチ式処理装置として、ALD法やMLD法を用いた成膜装置を想定していたが、ガスのみを用いるガス成膜装置、熱CVD装置、ガスのみを用いるガスエッチング装置、真空ベーク装置などにも、この発明は適用することができる。
【0188】
また、プラズマ処理装置にこの発明を適用しても良く、処理にプラズマを用いる場合には、プラズマを処理用小空間106で発生させるのではなく、処理用小空間106とは別のところで発生させたプラズマを、処理用小空間106に導いてくるリモートプラズマ方式を用いることが良い。リモートプラズマ方式を用いることで、処理用小空間106ごとにプラズマを生成するプラズマ生成機構が不要となり、ステージ101の厚さ及びカバー102の厚さをトータルした厚みを薄くでき、メインチャンバを高さ方向に大きくしなくても、メインチャンバ内に収容できるステージ101及びカバー102の数を増やすことができる。このため、一度に処理できる被処理体Gの枚数を増やしたい場合に有利である。
【0189】
また、ガス排気口119は一箇所としていたが、複数箇所としても良い。
【0190】
また、ステージ101に、チラー、ヒーターなど、被処理体Gの温度を調節する温調機構を設ける場合、チラーの温調媒体としては、水冷、空冷のいずれをも利用することができる。また、ヒーターにあっては既存の発熱体を用いれば良い。
【0191】
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0192】
G…被処理体、31a…メインチャンバ、101a〜101y…ステージ、102a〜102y…カバー、103…カバー昇降支柱、105…被処理体載置面、106…処理用小空間、107…リフター、108…リフター昇降支柱、111、111a〜111c…ガス供給管、113…排気ダクト、114…排気管、117、117a〜117c…ガス吐出孔、118…排気溝、119…ガス排気口、120…Oリング、121…環状の溝、130a、130b…処理用小空間を形成する凹部、140…ステージ昇降支柱、160…ピン状リフター、170…邪魔板、171…整流部、181…スロープ部、184…ラウンド部、190…ステージ温調機構、192…カバー温調機構。
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッチ式処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、液晶ディスプレイや有機ELなどのフラットパネルディスプレイ(以下、FPD)や、太陽電池モジュールの製造に用いられる被処理体としてのガラス基板に成膜やエッチング等の処理を行うために、その処理速度や制御性の観点からプラズマ処理が多く用いられており、バッチ式における装置構造の複雑さを避けてプラズマの性能を向上させることによりスループットに関する要求に応えながら枚葉式の処理装置が使われてきた。
【0003】
しかしながら、当然、枚葉式で行うよりもバッチ式で行うほうがスループット的には効率が良く、近年、バッチ式処理による処理装置も開発されており、このようなバッチ式処理装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
一方で、ガラス基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor)が微細化するにつれて、ゲート等としてガラス基板上に形成された薄膜へのプラズマによるダメージが深刻化しており、また、有機ELなどの製造においてはより低い温度のプロセスが求められ、これらの要求によりプラズマを用いないガスによるプロセスが見直されてきている。
【0005】
このようなプラズマを発生させずにガスによる処理を用いた処理装置の場合にはプラズマを用いた処理装置の構造よりも簡単になるためバッチ式処理装置を採用することがより容易となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−8234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、単純に大きなプロセスチャンバ内に複数のガラス基板を並べ、複数のガラス基板に対して同時に処理を行おうとすると、処理ガスの使用効率が低下する、という事情がある。プロセスチャンバの容量が大きくなるためである。
【0008】
また、薄膜成膜の分野において、基板の表面上に2種類以上の前駆体ガスを交互に流し、これら前駆体ガスを基板表面上に形成された吸着サイトに吸着させることにより薄膜を原子層レベルで成膜する原子層堆積法(以下ALD法)が注目されている。ALD法は、段差被覆性、膜厚均一性、薄膜制御性に優れており、より微細化が進む素子の形成に極めて有効であると考えられているためである。例えば、現状、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの大きさを持ち、半導体ウエハよりも格段に面積が大きなガラス基板等に対する薄膜成膜においても、薄膜の高品質化のために、ALD法の採用が検討され始めている。
【0009】
しかし、大面積のガラス基板の複数に対し、同時にALD法を適用しようとすると、ガラス基板自体の面積が大きいことに加え、複数のガラス基板を収容するプロセスチャンバ自体の容量も巨大となるために、複数のガラス基板の表面それぞれに対して、前駆体ガスの均一な供給や、均一な排気が難しくなる。このため、例えば、ガラス基板の表面それぞれへの吸着サイトの均一な形成や、前駆体ガスと吸着サイトとの均一、かつ、安定した反応が進み難くなり、薄膜を期待通りの品質で得ることができなくなってしまう。
【0010】
この発明は、処理ガスの使用効率が良く、かつ、被処理体の面積が巨大であっても、ALD法の適用も可能となるバッチ式処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一態様に係るバッチ式処理装置は、複数の被処理体に同時に処理を施すバッチ式処理装置であって、メインチャンバと、前記メインチャンバ内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、前記被処理体を載置する複数のステージと、前記ステージごとに設けられ、前記ステージに載置された前記被処理体をカバーする複数のカバーと、を備え、前記複数のステージと前記複数のカバーとで、前記複数のステージに載置された前記複数の被処理体の各々を取り囲むように、前記メインチャンバよりも容量が小さい処理用小空間を形成する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、処理ガスの使用効率が良く、かつ、被処理体の面積が巨大であっても、ALD法の適用も可能なバッチ式処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置を備えた処理システムの一例を示す水平断面図
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図
【図3】(A)図はカバーを上昇させた状態を示す図、(B)図はカバーを下降させた状態を示す図
【図4】(A)図はリフターを上昇させた状態を示す図、(B)図はリフターを下降させた状態を示す図
【図5】ステージとカバーとが分離した状態を示す斜視図
【図6】(A)図はガス吐出孔形成エリア近傍の平面図、(B)図は(A)図中のVIB−VIB線に沿う断面図
【図7】(A)図は排気溝近傍の平面図、(B)図は(A)図中のVIIB−VIIB線に沿う断面図
【図8】処理用小空間内のガスの流れを示す図
【図9】(A)図〜(F)図は被処理体Gの搬入出動作の一例を示す断面図
【図10】(A)図は第1の変形例に係るバッチ式処理装置の平面図、(B)図は(A)図中のXB−XB線に沿う断面図
【図11】(A)図〜(C)図は処理用小空間の形成例を示す断面図
【図12】(A)図は第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージを下降させた状態を示す図、(B)図はステージを上昇させた状態を示す図
【図13】第3の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを上昇させた状態を示す図
【図14】垂直ガス吐出方式の一例を示す断面図
【図15】水平ガス吐出方式の一例を示す断面図
【図16】(A)図は第4の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを下降させた状態を示す図、(B)図はリフターを上昇させた状態を示す図
【図17】ステージのピン状リフター収容部近傍を示す断面図
【図18】(A)図は第5の変形例に係るバッチ式処理装置のカバーを上昇させた状態を示す図、(B)図はカバーを下降させた状態を示す図
【図19】この発明の第2の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図20】この発明の第3の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図21】この発明の第3の実施形態の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図
【図22】この発明の第4の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図23】(A)図及び(B)図は図22中のXXIII-XXIII線に沿う断面図
【図24】(A)図及び(B)図は排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図25】第4の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図26】第4の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図27】第4の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図28】第4の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図29】第4の実施形態の第5の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図30】第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図31】この発明の第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図32】第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図33】第5の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図34】第5の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図35】第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図36】第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置の排気溝近傍を拡大して示す断面図
【図37】第5の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図38】第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図39】この発明の第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図
【図40】ピックの変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。この説明において、参照する図面全てにわたり、同一の部分については同一の参照符号を付す。
【0015】
(第1の実施形態)
図1はこの発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置を備えた処理システムの一例を示す水平断面図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図である。図1及び図2に示す処理システムは、被処理体としてFPDの製造や太陽電池モジュールに用いられるガラス基板を用い、このガラス基板に成膜処理や熱的処理を施す処理システムである。
【0016】
図1に示すように、処理システム1は、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3b、並びに共通搬送室4を含んで構成される。ロードロック室2では、大気側と減圧側との間で圧力変換が行われる。バッチ式処理装置3a及び3bでは、被処理体G、例えば、ガラス基板に対して成膜処理や熱的処理が施される。被処理体Gのサイズの一例は、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの矩形である。
【0017】
本例においては、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3b、並びに共通搬送室4は真空装置であり、それぞれ被処理体Gを所定の減圧状態下におくことが可能な、気密に構成されたチャンバ21、31a、31b、及び41を備えている。チャンバ21、31a、31b、及び41には、内部を減圧状態とするために排気口を介して真空ポンプなどの排気装置5が接続されている。図2には、チャンバ31aに設けられた排気口32、及びチャンバ41に設けられた排気口42が示されている。
【0018】
さらに、チャンバ21、31a、31b、及び41には、開口部23a、23b、33a、33b、43a、43b、及び43cが設けられている。被処理体Gは、これらの開口部を介して搬入出される。
【0019】
ロードロック室2のチャンバ21は、開口部23a、及びゲートバルブ室6aを介して、処理システム1の外部、即ち、大気側に連通される。ゲートバルブ室6aには、開口部23aを開閉するゲートバルブGVが収容されている。さらに、チャンバ21は、開口部23b、ゲートバルブ室6b、及び開口部43aを介してチャンバ41に連通される。ゲートバルブ室6bには、開口部23bを開閉するゲートバルブGVが収容されている。
【0020】
バッチ式処理装置3aのチャンバ31aは、開口部33a、この開口部33aを開閉するゲートバルブGVが収容されたゲートバルブ室6c、及び開口部43bを介してチャンバ41に連通される。
【0021】
同様に、バッチ式処理装置3bのチャンバ31bは、開口部33b、この開口部33bを開閉するゲートバルブGVが収容されたゲートバルブ室6d、及び開口部43cを介してチャンバ41に連通される。
【0022】
共通搬送室4のチャンバ41の平面形状は、本例では矩形状である。矩形状の四辺のうち、三辺に、開口部43a、43b、43cが設けられている。共通搬送室4の内部には、搬送装置7が設置されている。搬送装置7は、被処理体Gを、ロードロック室2からバッチ式処理装置3a又は3bへ、バッチ式処理装置3a又は3bからバッチ式処理装置3b又は3aへ、バッチ式処理装置3a又は3bからロードロック室2へと搬送する。このため、搬送装置7は、被処理体Gを昇降させる昇降動作、及び被処理体Gを旋回させる旋回動作に加え、ロードロック室2、バッチ式処理装置3a及び3bの内部への進出退避動作が可能に構成されている。
【0023】
搬送装置7は、被処理体Gを支持する支持部材であるピック71を備えたピックユニット72と、ピックユニット72をスライドさせるスライドユニット73と、スライドユニット73を駆動させるドライブユニット74とを含んで構成される。ピック71は、チャンバ41の高さ方向に積み重ねて複数設けられており、複数枚の被処理体Gは、ピック71上にチャンバ41の高さ方向に水平に載置され、複数の被処理体Gを一度に搬送するように構成されている。
【0024】
スライドユニット73にはスライドベース73aが設けられており、ピックユニット72はスライドベース73aに取り付けられ、スライドベース73a上を前後にスライドする。これにより、ピックユニット72は前進後退し、チャンバ41の内部から、チャンバ21、31a、31bの内部に対して進出退避する。さらに、スライドユニット73は、ドライブユニット74により、昇降、及び旋回される。これにより、スライドユニット73は、例えば、共通搬送室4内において、昇降、及び旋回される。
【0025】
このような処理システム1の各部の制御、及び搬送装置7の制御は、制御部8により行われる。制御部8は、例えば、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ81を有する。コントローラ81には、オペレータが処理システム1を管理するために、コマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理システム1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース82が接続されている。さらに、プロセスコントローラ81には記憶部83が接続されている。記憶部83は、処理システム1で実行される各種処理を、プロセスコントローラ81の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて処理システム1の各部に処理を実行させるためのレシピが格納される。レシピは、例えば、記憶部83の中の記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。レシピは、必要に応じて、ユーザーインターフェース82からの指示等にて記憶部83から読み出され、読み出されたレシピに従った処理をプロセスコントローラ81が実行することで、処理システム1、及び搬送装置7が、プロセスコントローラ81の制御のもと、所望の処理、制御が実施される。
【0026】
第1の実施形態に係る処理システム1が備えるバッチ式処理装置3a、3bのうち、バッチ式処理装置3aが、この発明の第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置である。もちろん、バッチ式処理装置3bについては、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置を用いても、既存のバッチ式処理装置を用いてもどちらでも良い。以下、バッチ式処理装置3aについて、詳細に説明する。
【0027】
図1及び図2に示したように、バッチ式処理装置3aはチャンバ31aを備えている。以降、このチャンバ31aはメインチャンバ31aと呼ぶ。
【0028】
図2及び図3に示すように、メインチャンバ31a内には、このメインチャンバ31aの高さ方向に積み重ねて設けられた、被処理体Gを載置する複数のステージ101a、101b、…、101x、101yと、これらのステージ101a〜101yごとに設けられ、ステージ101a〜101yに載置された被処理体Gをカバーする複数のカバー102a、102b、…、102x、102yと、を備えている。
【0029】
本例では、ステージ101a〜101yが、メインチャンバ31aに図示せぬ固定手段によって固定され、カバー102a〜102yがメインチャンバ31a内において昇降する。メインチャンバ31a内には、カバー102a〜102yを一括して昇降させるための、例えば、4本のカバー昇降支柱103が設けられている。カバー102a〜102yは、これらのカバー昇降支柱103に固定部104を介して固定されている。カバー昇降支柱103がメインチャンバ31aの高さ方向に昇降することで、カバー102a〜102yが一括して昇降する。
【0030】
カバー102a〜102yをステージ101a〜101yから一括して上昇させると、ステージ101a〜101yがメインチャンバ31aの内部空間に露呈される。これにより、被処理体Gを、ステージ101a〜101yの被処理体載置面105上に受け渡すことが可能な状態となる。図3Aに、カバー102a〜102yのうち、カバー102a〜102cを一括して上昇させた状態を示す。
【0031】
反対に、カバー102a〜102yを、ステージ101a〜101yへ一括して降下させ、ステージ101a〜101yとカバー102a〜102yとを気密に当接させると、ステージ101a〜101yの被処理体載置面105上それぞれに一枚ずつ載置された被処理体Gの各々を取り囲む、メインチャンバ31aの内部空間よりも容量が小さい処理用小空間106が形成される。図3Bに、カバー102a〜102yのうち、カバー102a〜102cを一括して下降させた状態を示す。
【0032】
ステージ101a〜101yの縁部には、ピック71との間で被処理体Gを受け渡すリフター107が設けられている。本例では、例えば、4つ設けられ、それぞれ被処理体Gの縁の部分を支持する。メインチャンバ31a内には、リフター107を一括して昇降させるための、例えば、4本のリフター昇降支柱108が設けられている。リフター107は、これらのリフター昇降支柱108に固定部109を介して固定されている。リフター昇降支柱108がメインチャンバ31aの高さ方向に昇降することで、リフター107は一括して昇降する。ステージ101a〜101cの縁部に設けられたリフター107を一括して上昇させた状態を図4Aに、反対に一括して下降させた状態を図4Bに示す。
【0033】
処理用小空間106の内部には、図1に示されるように、処理に使用されるガスが、ガス供給機構、例えば、ガスボックス110からガス供給管111a〜111cを介して供給される。本例では、ガス供給管の本数は3本としているが、処理用小空間106の内部で行われる処理に応じてガスの種類や数が変わるため、ガス供給管の本数は任意である。また、本例のバッチ式処理装置3aは、ALD成膜を想定したものである。このため、例えば、ガス供給管111aから第1の前駆体ガス、ガス供給管111bからパージガス、ガス供給管111cから第2の前駆体ガスが供給される。前駆体ガスの種類は成膜される膜により様々に選ばれるが、例えば、シリコン酸化膜を形成する場合には、第1の前駆体ガスとしてシリコン原料ガス、第2の前駆体ガスとして酸化剤を含むガスを供給すれば良い。パージガスは不活性ガスであり、例えば、窒素ガスを一例として上げることができる。
【0034】
また、処理用小空間106の内部は、排気装置112により排気ダクト113、及び排気管114を介して排気される。なお、排気装置112としては、図2に示した排気装置5を利用することも可能である。
【0035】
図5に、ステージ101aとカバー102aとが離れた状態の斜視図を示す。なお、その他のステージ101b〜101y、カバー102b〜102yも同様な構成である。ここでは、代表例としてステージ101a、及びカバー102aの構成を説明する。
【0036】
図5に示すように、ステージ101aの被処理体載置面105には、降下されたリフター107が収容されるリフター収容部115が形成されている。リフター107が降下したとき、リフター107がリフター収容部115に収容されることで、リフター107が被処理体載置面105の表面よりも上に突出することを無くすことができ、被処理体Gは、被処理体載置面105に水平に載置することができる。
【0037】
さらに、上記被処理体載置面105の周縁部の一部には、ガス供給管111a〜111cからのガスが吐出されるガス吐出孔形成エリア116が設けられている。図6Aにガス吐出孔形成エリア近傍の平面図を、図6A中のVIB−VIB線に沿う断面を図6Bに示す。
【0038】
図6A及び図6Bに示すように、ガスボックス110から延伸されたガス供給管111aは、ステージ101aの近傍において被処理体Gの搬入出方向に直交したX方向に延び、ステージ101aの一端側に接続される。さらに、ガス供給管111aはステージ101aの内部において、X方向と交差、例えば直交するY方向(被処理体Gの搬入出方向)に屈曲し、ステージ101aの他端側に向かって延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111aの部分には、ガス供給管111aから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117aが形成される。
【0039】
ガス供給管111bも同じくX方向に延び、ステージ101aの端部中央に接続される。ガス供給管111bはステージ101aの内部において、ガス供給管111bの延長形成部分の手前で一端側及び他端側に分岐され、それぞれY方向に沿って延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111bの部分にも、ガス供給管111bから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117bが形成される。
【0040】
ガス供給管111cも同じくX方向に延び、ステージ101aの他端側に接続される。ガス供給管111cはステージ101aの内部において、Y方向に屈曲し、ガス供給管111aとは逆に、ステージ101aの一端側に向かって延長形成される。Y方向に延長形成されたガス供給管111cの部分にも、ガス供給管111cから上記被処理体載置面105の表面に達する複数のガス吐出孔117cが形成される。
【0041】
ガス供給管111a〜111cに供給されたガスは、複数のガス吐出孔117a〜117cから処理用小空間106の内部に向かって吐出される。
【0042】
本例において、ガス供給管111a〜111cは、リフター107の部分で途切れることはなく、リフター107の下方を通過して、一端側から他端側にわたって延長形成される。これにより、処理用小空間106の内部へのガスの供給は、リフター107間ばかりでなく、リフター107と一端側との間、リフター107と他端側との間からも供給できる。この工夫により、処理用小空間106の内部には、リフター107間のみからガスを供給する場合に比較して、より均一なガスの供給が可能となる。
【0043】
上記被処理体載置面105のガス吐出孔形成エリア116に相対する側の周縁部には、排気溝118が設けられている。図7Aに排気溝近傍の平面図を、図7A中のVIIB−VIIB線に沿う断面を図7Bに示す。
【0044】
排気溝118は、ステージ101aの一端側から他端側に向かって、Y方向に沿って形成されている。ステージ101aの端部中央、例えば、リフター107間の部分には、上記排気管114に接続された排気ダクト113が接続されている。排気溝118はガス排気口119を介して排気ダクト113に接続されている。処理用小空間106の内部に供給されたガスは、排気溝118から吸引され、ガス排気口119を介して排気ダクト113に導かれ、排気ダクト113から排気管114を介して排気される。
【0045】
本例の排気溝118もまた、ガス供給管111a〜111cと同様に、リフター107の部分で途切れることはなく、リフター107の下方を通過して、一端側から他端側にわたって形成されている。これにより、処理用小空間106の内部は、リフター107間のみから排気する場合に比較して、より均一に排気することが可能となっている。
【0046】
処理用小空間106が形成されたときのガスの流れは、図8に示すように、基板載置面105からガス吐出孔117a〜117cに沿って垂直方向にガスが吐出され、カバー102aで水平方向に方向転換されて反対側の排気溝118に向かう。さらに、排気溝118の上方で再び垂直方向に方向転換され、ガス排気口119に向かって排気されるものとなる。
【0047】
次に、被処理体Gの搬入出動作を説明する。なお、本説明は、代表例としてステージ101a及びカバー102aにより形成される処理用小空間106への搬入出動作を説明するが、他のステージ101b〜101y、カバー102b〜102yにより形成される処理用小空間への搬入出動作も同様である。
【0048】
図9A〜図9Fは、被処理体Gの搬入出動作の一例を示す断面図である。
【0049】
まず、図9Aに示すように、カバー102aをピック71が進入可能となる位置まで上昇させる。
【0050】
次に、図9Bに示すように、被処理体Gを支持したピック71を、共通搬送室4の内部からメインチャンバ31a内のステージ101aの被処理体載置面105の上方に進出させる。
【0051】
次に、図9Cに示すように、リフター107を上昇させ、被処理体Gをピック71から受け取る。
【0052】
次に、図9Dに示すように、リフター107が被処理体Gを受け取ったら、ピック71を共通搬送室4の内部に後退させる。
【0053】
次に、図9Eに示すように、リフター107を下降させ、被処理体Gを、被処理体載置面105上に載置する。
【0054】
最後に、図9Fに示すように、カバー102aを下降させ、カバー102aとステージ101aとを気密に当接させる。これにより、被処理体Gの周囲に、処理用小空間106が形成される。
【0055】
このようなバッチ式処理装置3aによれば、被処理体Gを取り囲む、容量が小さい処理用小空間106が形成されることで、例えば、メインチャンバ31aに複数の被処理体Gを暴露させる場合に比較して、成膜に関与しない処理ガスの量を減らすことができ、処理ガスの使用効率を向上させることができる。
【0056】
また、処理用小空間106はメインチャンバ31aよりも容量が小さいので、処理用小空間106へのガス供給、及びガス排気は、メインチャンバ31aへのガス供給、及びガス排気に比較して、より短時間で済ませることができる。このため、ガス供給、ガス排気に要する時間も短縮でき、タクト時間を短く設定することができる。タクト時間を短く設定することができる結果、さらに、スループットの良いバッチ式処理装置を得ることができる。
【0057】
さらに、処理用小空間106は容量が小さいことから、例えば、現状、730mm×920mm〜2200mm×2500mmの大きさを持つようなガラス基板においても、ALD法の採用も可能となる、という利点も得ることができる。
【0058】
次に、バッチ式処理装置3aの変形例のいくつかを説明する。
【0059】
(第1の変形例:気密性の改善)
図10Aは第1の変形例に係るバッチ式処理装置の平面図、図10Bは図10A中のXB−XB線に沿う断面図である。
【0060】
上記のステージ101aとカバー102aとの間の気密性を高めるために、ステージ101aの被処理体載置面105側表面に、封止部材、例えば、Oリング120を設けても良い。Oリング120は、カバー102aの、ステージ101aとの当接面により当接される。さらに、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3cにおいては、特に、図10Bに示すように、Oリング120と処理用小空間106との間に、環状の溝121を設けている。カバー102aは、Oリング120及び環状の溝121の上方に被さるようにして、ステージ101aに当接される。
【0061】
環状の溝121はガス供給管122が接続されている。ガス供給管122には、例えば、ガスボックス110から不活性ガス、例えば、窒素(N2)ガスが供給され、供給された窒素ガスは環状の溝121の内部に送り込まれる。環状の溝121に送り込まれた窒素ガスは、排気管114及び/又は排気管114とは別に設けられた排気管114aを介して、例えば、排気装置112により排気される。
【0062】
環状の溝121を流れる窒素ガスは、処理用小空間106からステージ101aとカバー102aとの極僅かな隙間から漏れ出ようとするガスを処理用小空間106に押し返す、あるいは環状の溝121に誘い込み、窒素ガスとともに排気管114及び/又は排気管114aを介して排気する役目を果たす。
【0063】
このように、ステージ102aの被処理体載置面105側表面に、封止部材、本例ではOリング120を設けることでステージ101aとカバー102aとの間の気密性を高めることができる。さらに、Oリング120に加え、Oリングと処理用小空間106との間に環状の溝121を設け、環状の溝121に不活性ガスを流す。これにより、ステージ101aとカバー102aとの間の気密性を、さらに高めることができる。
【0064】
また、環状の溝121に不活性ガスを流すことにより、処理用小空間106内の、例えば化学反応性を持つ雰囲気がOリング120に直接に接触することも抑制される。このため、封止部材、例えば、Oリング120の経時劣化の進行が抑制され、Oリング120の交換頻度を減らすことができる、という利点も得ることができる。
【0065】
なお、上記第1の変形例においてはOリング120と併用して溝121を設けたが、Oリング120を設けずに溝121のみを設けるようにしてもよい。その場合、溝121から供給される窒素ガスは処理用小空間106とメインチャンバ内とに分岐して流れることにより、処理用小空間106とメインチャンバ内とを遮断する効果を得ることができる。
【0066】
(第2の変形例:処理用小空間の形成例)
図11A〜図11Cは、処理用小空間の形成例を示す断面図である。
【0067】
図11Aに示す例は、上述したバッチ式処理装置3aである。バッチ式処理装置3aでは、ステージ101aが平坦であり、カバー102aに、処理用小空間106を形成する凹部130aが形成されている。
【0068】
このタイプでは、図8を参照して説明した通りであるが、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気が、ステージ101aの被処理体載置面105を介したものとなる。
【0069】
図11Bに示すバッチ式処理装置3dは、反対に、カバー102aが平坦であり、ステージ101aに、処理用小空間106を形成する凹部130bを設けた例である。
【0070】
このタイプでは、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うことが可能となる。この場合、例えば、ガス吐出孔117は凹部130bの一側面に、ガス排気口119は、凹部130bの上記一側面に相対する他の側面に設けられる。
【0071】
このようにガス吐出孔117及びガス排気口119を互いに相対した凹部130bの側面に設けると、ガス供給管111から供給されるガスの流れが、処理用小空間106の内部において、ガス吐出孔117からガス排気口119まで進行方向を変えることがない。このため、処理用小空間106の内部に、処理に使用するガスに層流を形成しやすい、という利点を得ることができる。処理用小空間106の内部を流れるガスが層流になることによって、例えば、成膜される薄膜の膜厚及び膜質の制御性を、より高めることができる、という利点を、さらに得ることができる。
【0072】
図11Cに示すバッチ式処理装置3eは、ステージ101a及びカバー102aの双方に、処理用小空間106を形成する凹部130a及び130bを設けた例である。
【0073】
このように、処理用小空間106を形成する凹部130a及び130bは、ステージ101a及びカバー102aの双方に設けることも可能である。
【0074】
(第3の変形例:カバー固定、ステージ昇降)
第3の変形例に係るバッチ式処理装置が、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと異なるところは、カバー102a〜102yがメインチャンバ31a内に固定であり、ステージ101a〜101yが一括して昇降することである。
【0075】
図12Aは第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージを下降させた状態を示す図、図12Bはステージを上昇させた状態を示す図である。
【0076】
図12A及び図12Bに示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3fのメインチャンバ内には、ステージ101a〜101yを一括して昇降させるための、例えば、4本のステージ昇降支柱140が設けられている。カバー102a〜102yは図示しない固定手段によりメインチャンバ31aに固定されている。ステージ101a〜101yは、これらのステージ昇降支柱140に固定部141を介して固定されている。ステージ昇降支柱140がメインチャンバの高さ方向に昇降することで、ステージ101a〜101yが一括して昇降する。なお、図12A及び図12Bには、ステージ101a〜101yのうち、ステージ101a〜101cを一括して昇降させた状態が示されている。
【0077】
リフター107がステージ101a〜101yそれぞれの縁部に形成されている場合には、ステージ101a〜101yの昇降と連動してリフター107も昇降する。リフター107のみを昇降させる際には、例えば、ステージ101a〜101cが下降した状態で、リフター昇降支柱108を昇降させる。図13には、ステージ101a〜101cが下降した状態で、リフター107を上昇させた状態が示されている。また、リフター107とステージ101a〜101cとを同時に下降させ、リフター107を被処理体Gの受け渡し位置で停止させた後、ステージ101a〜101cを更に下降させるようにしてもよい。これにより、リフター107をステージ101a〜101cから上昇させた場合と同じ効果を得ることができる。
【0078】
第3の変形例のように、カバー102a〜102yをメインチャンバ31a内に固定し、ステージ101a〜101yを一括して昇降させるようにした場合には、カバー102a〜102yが動かないため、ガス吐出孔117及びガス排気口119を、カバー102a〜102yに容易に取り付けることが可能となる。
【0079】
そして、ガス吐出孔117及びガス排気口119を、カバー102a〜102yに取り付けることによれば、ガス吐出方式を、被処理体Gの被処理面に対して垂直方向からガスを吐出する垂直ガス吐出方式(いわゆるガスシャワー)、及び被処理体Gの被処理面に対して水平方向からガスを吐出する水平ガス吐出方式のいずれかを選択することができる。図14に垂直ガス吐出方式の一例を、図15に水平ガス吐出方式の一例を示す。
【0080】
図14に示すように、バッチ式処理装置3f−1のカバー102a−1は、処理用小空間106を形成する凹部130aを有し、かつ、その内部にガス拡散空間150を備えている。ガス拡散空間150は、ガス供給管111に接続されており、ガス供給管111から処理に使用されるガスが供給される。カバー102a−1の被処理体Gに面した表面には、複数のガス吐出孔117が形成されている。複数のガス吐出孔117はガス拡散空間150と処理用小空間106とにそれぞれ連通し、例えば、被処理体Gの平面形状に合わせ格子状にカバー102a−1に形成されている。
【0081】
なお、複数のガス吐出孔117の配置は、格子状に限らず、処理内容に合わせた適切なガス分布を得ることに適した様々な態様を選択することができる。
【0082】
また、バッチ式処理装置3f−1は、処理用小空間106内の排気を、図2に示したメインチャンバ内を排気する排気口32を介して行う。このため、カバー102a−1は、ステージ101aに完全に当接されるのではなく、排気用クリアランス151を持ってステージ101aとの間に処理用小空間106を形成する。処理用小空間106内の雰囲気は、排気用クリアランス151を介してメインチャンバ内に排気され、さらに、メインチャンバに形成された排気口32を介して排気される。
【0083】
また、図15に示すように、バッチ式処理装置3f−2のカバー102a−2もまた、処理用小空間106を形成する凹部130aを有している。ガス吐出孔117は凹部130aの一側面に設けられ、ガス排気口119は、凹部130aの上記一側面に相対する側面に設けられる。本例の場合は、カバー102a−2はステージ101aに気密に当接される。処理用小空間106内の排気は、ガス排気口119から排気ダクト113及び排気管114を介して排気される。
【0084】
もちろん、バッチ式処理装置3f−2においてもバッチ式処理装置3f−1と同様に、カバー102a−2とステージ101aとの間に排気用クリアランスを設け、処理用小空間106の排気を、前記排気用クリアランスを通じて排気口32から行うようにしてもよい。
【0085】
このように、第3の変形例によれば、ステージ101a〜101yを昇降可能とし、カバー102a〜102yをメインチャンバ内に固定するので、ガス吐出方式を、垂直ガス吐出方式、及び水平ガス吐出方式のいずれかを選択でき、ガス供給方式の選択の自由度が向上する、という利点を得ることができる。
【0086】
(第4の変形例:ピン状リフター)
図16Aは、第4の変形例に係るバッチ式処理装置のリフターを下降させた状態を示す図、図16Bはリフターを上昇させた状態を示す図である。なお、図16A及び図16Bは、ステージ101a〜101y、カバー102a〜102yのうち、ステージ101a、カバー102aのみを示している。
【0087】
図16A及び図16Bに示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3gが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと異なるところは、リフター107がピン状リフター160であり、被処理体Gの周縁部を支持するのではなく、被処理体Gの面内の複数個所を点状に支持することである。
【0088】
このようにリフターは、ピン状リフター160に置換することも可能であり、第1〜3の変形例においても同様に適用することができる。
【0089】
また、図17に示すように、リフターとしてピン状リフター160を用いた場合、処理用小空間106とメインチャンバとの間に、ステージ101aに形成されたピン状リフター収容部161とピン状リフター160との間の僅かなクリアランスを介した新たなガスリークパス162が形成されることとなる。
【0090】
そこで、ガスリークパス162を遮断するために、ピン状リフター収容部161と、ピン状リフター160の、例えばヘッド部下面163との間に、封止部材、例えば、Oリング164を設けるようにしても良い。Oリング164を設けることで、上記僅かなクリアランスを介したガスリークパス162を介してのガスリークを抑制することができる。
【0091】
(第5の変形例:被処理体昇降機構の削減)
また、リフターとしてピン状リフター160を用いると、リフターを昇降させる被処理体昇降機構、例えば、第1の実施形態では、リフター昇降支柱108、及びリフター昇降支柱108を駆動する機構を、バッチ式処理装置から削減できる、という利点も得ることができる。
【0092】
図18Aは、第5の変形例に係るバッチ式処理装置のカバーを上昇させた状態を示す図、図18Bはカバーを下降させた状態を示す図である。なお、図18A及び図18Bは、ステージ101a〜101yに設けられたピン状リフター160のうち、ステージ101a〜101cに設けられたピン状リフター160を一括して昇降させた状態を示している。
【0093】
図18A及び図18Bに示すように、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3hは、被処理体昇降機構であるリフターが、ステージ101a〜101cに設けられたピン状リフター収容部161を貫通してステージに懸架されるピン状リフター160を有する。さらに、カバー102a〜102cを上昇させたとき、ピン状リフター160の下端が下方にあるカバー102a〜102cの上面に当接する。これにより、ピン状リフター160は、カバー102a〜102cの上昇に応じて上昇する。
【0094】
また、図18Aに示す状態から、カバーを下降させると、ピン状リフター160の下端が下方にあるカバー102a〜102cの上面から離れるとともに、ピン状リフター160は、ピン状リフター収容部161に収容される。
【0095】
このように第5の変形例によれば、ピン状リフター160を昇降駆動する被処理体昇降機構を、カバーを昇降するカバー昇降機構と連動させる。例えば、本例では、ピン状リフター160をカバー102a〜102cの昇降に応じて昇降させることで、リフターを昇降させる被処理体昇降機構、例えば、リフター昇降支柱108、及びリフター昇降支柱108を駆動する機構を、バッチ式処理装置から削減できる、という利点を得ることができる。
【0096】
バッチ式処理装置から被処理体昇降機構を削減することによれば、メインチャンバの容量の低下とともに、メインチャンバ内から駆動系が無くなることから、パーティクルの発生を抑制できる、という利点を得ることができる。
【0097】
もちろん、メインチャンバ内から駆動系が無くなるので、バッチ式処理装置の製造コストも抑制することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ガス供給機構をステージ101a〜101y、及びカバー102a〜102yのうち、固定された方に設けるようにしていた。
【0099】
第2の実施形態は、ガス供給機構をステージ101a〜101y、及びカバー102a〜102yのうち、昇降可能な方に設けられるように工夫した例である。
【0100】
図19は、この発明の第2の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーとその近傍を示す断面図である。なお、図19においては、カバー102a〜102yのうち、カバー102aのみを示す。
【0101】
図19に示すように、第2の実施形態に係るバッチ式処理装置3iが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、カバー102a〜102yを一括して昇降させるカバー昇降支柱103の内部及び固定部104の内部に、ガス供給管111を形成したことにある。
【0102】
このように、カバー昇降支柱103の内部及び固定部104の内部に、ガス供給管111を形成することで、ガス供給管111及びガス吐出孔117を含むガス供給機構を、昇降可能なカバー102a〜102yに設けることができる。
【0103】
また、本例では、カバー102aを、図14に示したカバー102a−1と同様な、垂直ガス吐出方式(ガスシャワー)として構成している。また、ステージ101a〜101yは固定である。このため、処理用小空間106へのガス吐出方式については垂直ガス吐出方式を採用し、処理用小空間106からのガス排気方式については、被処理体載置面105の表面から排気溝118、ガス排気口119を介してガスを吸引する方式にすることが可能である。
【0104】
また、本例の排気溝118は、第1の実施形態のように、ステージ101aの一辺に沿って一本の線状に形成されるのではなく、ステージ101a上の載置された被処理体Gの縁を取り囲むように環状に形成することができる。ステージ101aの内部から、例えば、図6に示したようなガス供給管111a〜111cが無くなるためである。
【0105】
処理用小空間106へのガス吐出方式を垂直ガス吐出方式(ガスシャワー)として構成した場合、処理用小空間106からのガス排気方式は、環状に形成された排気溝118を利用して排気すると、処理用小空間106からの排気の均一化を促進できる、という利点を得ることができる。
【0106】
(第3の実施形態)
図20に第3の実施形態を示す。第3の実施形態が第1の実施形態、第2の実施形態と異なるところは、固定部104を通じてステージ101aに供給されたガスがステージ101aとカバー102aとの接触部からカバー102aに供給され、カバー102aに設けられたガスシャワーから複数のガス吐出孔117を通じて処理用空間106に供給される点である。処理用空間106からのガスの排気は、ステージ101aに排気口(図示せず)を設けて排気してもよく、また、カバー102aとステージ101aの隙間を通じて排気してもよい。ただし、カバー102aとステージ101aの接触部のガス通路が設けられている箇所においては、ガス通路を取り囲むようにシール部材で機密性を保つ必要がある。
【0107】
第3の実施形態によれば、被処理体Gを載置したステージ101aが固定されているので駆動機構への付加が少なく、且つ、被処理体Gを破損する危険性が少ないとともに、昇降させるカバーからシャワーヘッドでガスを供給することができるので被処理体Gを均一に処理することができる。
【0108】
(第3の実施形態:変形例)
図21に第3の実施形態の変形例を示す。第3の実施形態の変形例においては、ステージ101aからカバー102aに供給されたガスは、シャワーヘッドでなく単一のガス導入孔から処理用空間106に供給される。その際、供給されたガスは、カバー102aの凹部に充填されるため、ガス導入口が偏在することにより発生するガス分布の偏りが緩和されて被処理体Gに供給される。図21においては処理用空間106からの排気は排気管114を通じて行われるが、カバー102aとステージ101aの隙間から排気される構成としてもよい。
【0109】
また、上記第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態においては、ステージ101a〜101yに温度調節機構を設けてもよい。温度調節機構には、抵抗ヒーターなどのヒーターによる加熱機構を用いることができる。また、他の温調機構としては、ステージ101a〜101yの内部に温調媒体を流通させる流路を設け、外部チラーから所定の温度に調整された温調媒体を流通させることにより冷却若しくは加熱又はその双方を適宜切り替えることのできる機構を用いることができる。ヒーターによる加熱機構と温調媒体による温調機構を併用してもよい。
【0110】
温調媒体を用いた温調機構の場合は、外部より温調媒体を供給する供給管を接続するためステージ101a〜101yが固定されている構成においてより好適に用いられるが、抵抗ヒーターを用いた加熱機構の場合は、抵抗ヒーターに電力を供給する導電線を配置するだけでよいため、ステージ101a〜101yを固定する構成においても昇降させる構成においても好適に用いることができる。
【0111】
また、温度調節機構は、ステージ101a〜101yを一括に温度制御できる機構であってもよく、それぞれのステージを個別に独立して温度制御できる機構であってもよい。個別に独立して温度制御できる機構の場合、ステージの上端及び下端と、中間部とで温度が異なることを防ぎ全てのステージにおいて均一の温度にて被処理体Gを処理することができる。
【0112】
(第4の実施形態)
図22はこの発明の第4の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図、図23A及び図23Bは図22中のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。なお、図23Aはカバーを開けた状態を示し、図23Bはカバーを閉じた状態を示している。
【0113】
図22、図23A及び図23Bに示すように、第4の実施形態に係るバッチ式処理装置3kが、第1の実施形態に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、ステージ101aの被処理体載置面105上に突起物、本例では邪魔板170を、さらに設けたことにある。邪魔板170が設けられたこと以外は、第1の実施形態とほぼ同様である。本例の邪魔板170は、例えば、排気溝118に沿って、処理用小空間106中のガスの流れに交差、例えば、直交する方向に延び、被処理体載置面105を横断するように形成されている(図23A参照)。また、邪魔板170の高さは、処理用小空間106の高さよりも低く設定されている。これにより、ステージ101aとカバー102aとが当接されて処理用小空間106が形成された際、処理用小空間106の内部には、本例では凹部130aの内面と邪魔板170の上面との間にスリット状の隙間が形成される(図22及び図23B参照)。スリット状の隙間は、例えば、処理用小空間106中のガスの流れに交差、例えば、直交する方向に形成され、処理用小空間106と排気溝118とを連通させる。これにより、処理用小空間106内に供給されたガスは、処理用小空間106から排気溝118に向けて、スリット状の隙間を介して排気される。スリット状の隙間により、処理空間106内に供給されたガスを、直接に排気溝118に引き込む場合に比較して、処理空間106内において均一にすることが可能となる。このため、スリット状の隙間は、邪魔板170の高さを調整するなどして、スリット状の隙間の大きさを適切に調整することにより、処理用小空間106内のガスの流れを、例えば、層流となるように整流する整流部171として機能させることができる。
【0114】
図24A及び図24Bはそれぞれ、排気溝118近傍を拡大して示す断面図である。図24Aに示す例は邪魔板170がない場合、図24Bは邪魔板170がある場合を示している。
【0115】
図24Aに示すように、邪魔板170がない場合には、処理用小空間106に供給されたガスは、大きな排気溝118にそのまま引き込まれる。
これに対して、図24Bに示すように、邪魔板170がある場合には、本例ではスリット状の隙間となる整流部171が形成される。整流部171のコンダクタンスは、邪魔板170がない場合に比較して、小さい。コンダクタンスを小さくすることによって、処理用小空間106に供給されたガスは、邪魔板170がない場合に比較して、整流部171において流量が制限される。
【0116】
このように処理用小空間106の内部に整流部171を設け、流量を制限することで、処理用小空間106の内部のガスに対して整流作用を及ぼすことができる。この整流作用を利用することで、処理用小空間106の内部には、層流となるガスの流れを、より均一に形成することが可能となる。
【0117】
このような第4の実施形態に係るバッチ式処理装置3kによれば、処理用小空間106の内部に整流部171を備えることで、より均一な層流のガスの流れを処理用小空間106の内部に形成することができ、邪魔板170がない場合に比較して、被処理体G上に成膜される薄膜の膜厚及び膜質の制御性を、さらに向上させることができる。そして、この利点とともに、膜厚及び膜質の被処理体G面内における面内均一性についても、さらに向上させることができる、という利点を得ることができる。
【0118】
(第4の実施形態:第1の変形例)
図25は、第4の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0119】
図25に示すように、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3k-1が、図22等に示した一例に係るバッチ式処理装置3kと、特に異なるところは、処理用小空間106を、ステージ101aに設けられた凹部130bと、カバー102aに設けられた凹部130aとによって形成したことにある。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0120】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図25中では参照符号130a及び130b)を、ステージ101a及びカバー102aの双方に形成したバッチ式処理装置3k-1であっても、邪魔板170を設けることが可能である。そして、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3k-1においても、上記一例に係るバッチ式処理装置3kと同様な利点を得ることができる。
【0121】
(第4の実施形態:第2の変形例)
図26は、第4の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0122】
図26に示すように、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2が、図22等に示した一例に係るバッチ式処理装置3kと、特に異なるところは、カバー102aを平坦とし、ステージ101aに対して処理用小空間106を形成するための凹部130bを形成したことにある。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0123】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図26中では参照符号130b)を、ステージ101aに対してのみ形成したバッチ式処理装置3k-2であっても、邪魔板170を設けることが可能である。
【0124】
(第4の実施形態:第3の変形例)
図27は、第4の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0125】
図27に示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3が、図26に示した第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2と、特に異なるところは、図11B及び図11Cに示した第1の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置3d、3eと同様に、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うようにしたことである。これ以外の点は、上記一例に係るバッチ式処理装置3kとほぼ同様である。
【0126】
このように、処理用小空間106へのガス供給及びガス排気を、ステージ101aの凹部130bの側面を介して行うようにしたバッチ式処理装置3k-3であっても、邪魔板170を設けることが可能である。そして、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3においても、上記一例に係るバッチ式処理装置3kや第2の変形例に係るバッチ式処理装置3k-2等と同様な利点を得ることができる。
【0127】
(第4の実施形態:第4の変形例)
図28は、第4の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0128】
図28に示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3k-4が、図27に示した第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3と、特に異なるところは、邪魔板170を、被処理体載置面105上ではなく、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に設けたことである。これにより、第3の変形例においては整流部171が邪魔板170の上面とカバー102aの処理用小空間106側の内面との間に形成されていた点が、第4の変形例においては整流部171が邪魔板170の下面とステージ101aの被処理体載置面105との間に形成されるようになる。
【0129】
このように邪魔板170は、被処理体載置面105上に限らず、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に設けることも可能である。そして、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3k-4においても、上記第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3等と同様な利点を得ることができる。
【0130】
さらに、第4の変形例による利点の一つとして、以下の利点をあげることができる。
例えば、図27に示した第3の変形例のように、整流部171を邪魔板170の上面とカバー102aの処理用小空間106側の内面との間に形成した場合、整流部171の位置が、被処理体Gからみて高すぎると、処理に使用されるガスが、被処理体Gの被処理面上方を素通りしてしまう、あるいは被処理面上方においてガスの濃度が低くなってしまう可能性がある。
【0131】
このような事情は、第4の変形例を用い、整流部171を邪魔板170の下面とステージ101aの被処理体載置面105との間に形成されるようにすることで解消することができる。
【0132】
なお、第4の変形例は、図22等に示した第4の実施形態の一例、図25に示した同第1の変形例、図26に示した同第2の変形例についても、同様に適用することが可能である。
【0133】
(第4の実施形態:第5の変形例)
図29は、第4の実施形態の第5の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0134】
図29に示すように、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3k-5が、図27に示した第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3と、特に異なるところは、邪魔板170a及び170bを、被処理体載置面105上(参照符号170a)、及びカバー102aの処理用小空間106側の内面上(参照符号170b)のそれぞれに設けたことである。これにより、第5の変形例においては整流部171は、邪魔板170aの上面と邪魔板170bの下面との間に形成されるようになる。
【0135】
このように邪魔板170a及び170bは、ステージ101aの被処理体載置面105上と、カバー102aの処理用小空間106側の内面上との双方に、それぞれ設けることも可能である。そして、第5の変形例に係るバッチ式処理装置3k-5においても、上記第3の変形例に係るバッチ式処理装置3k-3等と同様な利点を得ることができる。
【0136】
また、第5の変形例によれば、第4の変形例と同様に、処理に使用されるガスが、被処理体Gの被処理面上方を素通りしたり、被処理面上方におけるガスの濃度が低下してしまったり、といった可能性を解消できる、という利点を得ることができる。
【0137】
さらに、第5の変形例によれば、邪魔板170a及び170bを、ステージ101aの被処理体載置面105上と、カバー102aの処理用小空間106側の内面上との双方にそれぞれ設けるので、第3の変形例や第4の変形例に比較して、整流部171の位置を、被処理体Gの被処理面上方の近傍に設定することが可能となる。このため、処理用小空間106に均一な層流のガスの流れを形成しやすくことに加え、ガスの濃度をより細かく制御することも可能となる。ガスの濃度をより細かく制御することができれば、薄膜の膜厚及び膜質の制御性並びに被処理体Gにおける面内均一性の向上に加え、例えば、成膜速度の制御も可能になる、という新たな利点についても得ることができる。よって、第5の変形例によれば、成膜速度の制御も可能になることで、例えば、スループットの向上にも有利である、という利点についてもさらに得ることができる。
【0138】
なお、第5の変形例は、図22等に示した第4の実施形態の一例、図25に示した同第1の変形例、図26に示した同第2の変形例についても、同様に適用することが可能である。
【0139】
さらに、上述した第4の実施形態の一例、及び第4の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例は、第1の実施形態の一例、及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、並びに第3の実施形態の一例及び変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0140】
(第5の実施形態)
図30は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを参考例として示す断面図である。
【0141】
図30に示すように、例えば、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aのように、処理に使用するガスを被処理体載置面105から供給したり、被処理体載置面105から排気したりする場合、処理用小空間106の隅部の空間180において、ガスが淀む可能性がある。隅部の空間180におけるガスの滞留は微量ではあるが、もしも、滞留したガスがプリカーサであった場合などには、次のガスが流れてきた際に、気相反応を起こし、処理用小空間106内にパーティクルを微量ながらも発生させる可能性がある。このような可能性は、例えば、排気及びパージを十分に行うことで、軽減させることが可能である。
【0142】
しかしながら、十分な排気及びパージを行ったとしても、隅部の空間180に極微量のガスが淀むことも予想される。今後のプロセスの更なる高精度化を考えると、たとえ淀んだガスが極微量であり、発生したパーティクルも極微量であったとしても、プロセスに多大な影響を及ぼしてしまうことも予想される。
【0143】
第5の実施形態は、隅部の空間180におけるガスの淀みを構造的に抑制し、今後のプロセスの更なる高精度化にも対応可能なバッチ式処理装置を提供しようとするものである。
【0144】
図31は、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0145】
図31に示すように、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mが、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、隅部の空間180にガスが淀まないように、処理用小空間106の隅部に、例えば、カバー102aの処理用小空間106側の内面に対して傾斜したスロープ部181が設けられていることにある。スロープ部181が設けられたこと以外は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aとほぼ同様である。
【0146】
第5の実施形態によれば、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を設けたことで、ガスが隅部の空間180において淀むことがなく、隅部の空間180においてもガスの流れを安定して形成することができる。このため、第5の実施形態においては、隅部の空間180から発生するパーティクルを、隅部にスロープ部181がない場合に比較して、より少なくすることができる。
【0147】
このような第5の実施形態に係るバッチ式処理装置3mによれば、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を備えることによって、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルを、スロープ部181がない場合に比較して低減することができ、今後のプロセスの更なる高精度化にも対応可能なバッチ式処理装置が得られる、という利点を得ることができる。
【0148】
(第5の実施形態:第1の変形例)
図32は、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mの排気溝118近傍を拡大して示す断面図である。
【0149】
図32に示すように、第5の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3mは、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aに対して、処理用小空間106の隅部にスロープ部181を設けたものであった。バッチ式処理装置3aにおいては、ステージ101aとカバー102aとが当接した際、排気溝118とカバー102aの側部とが、破線円182内に示されるように離隔された状態となる。離隔された部分においては、ガスが流れようとする方向に対して、処理用小空間106と排気溝118との間に被処理体載置面105による段差が生じた構造となる。このため、隅部の空間180と同様に、ガスを淀ませてしまう可能性がある。
【0150】
第1の変形例は、排気溝118とカバー102aの側部とが離隔された部分において発生するガスの淀みを、さらに解消しようとするものである。
【0151】
図33は、第5の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。なお、図33の断面図は、図32と同様に、排気溝118近傍を拡大して示している。
【0152】
図33に示すように、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1が、図32に示したバッチ式処理装置3mと、特に異なるところは、破線円182内に示すように、排気溝118とカバー102aの側部とを離隔せず、排気溝118の縁とカバー102aの内面側側面とを、互いに一致するようにしたことにある。この構成を有することにより、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1においては、処理用小空間106から排気溝118に向かって流れてきたガスが、図32に示したように被処理体載置面105によって妨げられることなく、排気溝118に速やかに引きこまれるようになる。
【0153】
このような第1の変形例によれば、排気溝118とカバー102aの内面側側面とを互いに一致するようにしたことで、処理用小空間106から排気溝118に、ガスを速やかに引きこむことができ、ガスが排気溝118とカバー102aの側部との間の被処理体載置面105上方で淀むことを抑制することができる。
【0154】
よって、第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1によれば、一例に係るバッチ式処理装置3mに比較して、さらに、排気溝118とカバー102aの側部との間の被処理体載置面105上方の空間から発生するパーティクルを抑制することができ、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルを、さらに少なくすることができる、という利点を得ることができる。
【0155】
なお、排気溝118の縁とカバー102aの内面側側面とを互いに一致させる、という工夫は、第5の実施形態に限って適用されるものではなく、上述してきた処理用小空間106の隅部にスロープ部181を持たない実施形態のいずれに対しても適用することが可能である。
【0156】
(第5の実施形態:第2の変形例)
図34は、第5の実施形態の第2の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0157】
図34に示すように、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3m-2が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、処理用小空間106を、ステージ101aに設けられた凹部130bと、カバー102aに設けられた凹部130bとによって形成したことにある。これ以外の点は、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0158】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図34中では参照符号130a及び130b)を、ステージ101a及びカバー102aの双方に形成したバッチ式処理装置3m-2であっても、スロープ部183を設けることが可能である。そして、第2の変形例に係るバッチ式処理装置3m-2においても、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1等と同様な利点を得ることができる。
【0159】
(第5の実施形態:第3の変形例)
図35は、第5の実施形態の第3の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0160】
図35に示すように、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3m-3が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、カバー102aを平坦とし、ステージ101aに対して処理用小空間106を形成するための凹部130bを形成したことにある。これ以外の点は、上記第1例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0161】
このように、処理用小空間106を形成するための凹部(図35中では参照符号130b)を、ステージ101aに対してのみ形成したバッチ式処理装置3m-3であっても、スロープ部181を設けることが可能である。そして、第3の変形例に係るバッチ式処理装置3m-3においても、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1等と同様な利点を得ることができる。
【0162】
また、第3の変形例においては、スロープ部181は、例えば、ステージ101aの凹部130bの側部に形成される。このため、凹部130bの側部の上面と、カバー102aとの当接面には、微少な隙間183が生ずる。しかも、微少な隙間183は、カバー102aの処理用小空間106側の内面の沿って生じるため、微少な隙間183には、処理に使用されるガスが侵入しやすくなってしまう。
【0163】
このような微少な隙間183へのガスの侵入を抑制するには、図36に示すように、例えば、図10A及び図10Bを参照して説明した第1の実施形態の第1の変形例に係るバッチ式処理装置3cにおいて施した工夫を併用することが好ましい。例えば、スロープ部181を凹部130bの側壁面の上面に形成すると、この上面は幅が広がる。これを利用して、上面に、例えば、Oリング120と、Oリング120と処理用小空間106との間に環状の溝121とを設ける。そして、環状の溝121には不活性ガスを供給する。これにより、微少な隙間183に侵入しようとするガスを、不活性ガスによって処理用小空間106に押し返す、あるいは環状の溝121に誘いこみ、不活性ガスとともに、図示せぬ排気管114等を介して排気することができる。
このように、第3の変形例においては、第1の実施形態の第1の変形例と併用されることが、特に好ましい。
【0164】
(第5の実施形態:第4の変形例)
図37は、第5の実施形態の第4の変形例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0165】
図37に示すように、第4の変形例に係るバッチ式処理装置3m-4が、図33に示した第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1と、特に異なるところは、処理用小空間106の隅部にスロープ部181の代わりに、例えば、カバー102aの処理用小空間106側の内面に対して丸みをおびたラウンド部184を設けたことにある。これ以外の点は、上記第1の変形例に係るバッチ式処理装置3m-1とほぼ同様である。
【0166】
このように、処理用小空間106の隅部にラウンド部184を設けることでも、ガスが隅部の空間180において淀むことがない。そして、隅部の空間180においてもガスの流れを安定して形成することができる。
【0167】
よって、第4の変形例においても、第5の実施形態の一例、及び第5の実施形態の第1の変形例〜第3の変形例と同様に、隅部の空間180から発生するパーティクルを、隅部にラウンド部184がない場合に比較して、より少なくすることができる、という利点を得ることができる。
【0168】
なお、第4の変形例は、図31等に示した第5の実施形態の一例、図33に示した同第2の変形例、図34に示した同第2の変形例、及び図35等に示した第3の変形例についても、適用することが可能である。
【0169】
さらに、上述した第5の実施形態の一例、及び第5の実施形態の第1の変形例〜第4の変形例は、第1の実施形態の一例、及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、第3の実施形態の一例及び変形例、並びに第4の実施形態の一例及び第1の変形例〜第5の変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0170】
(第6の実施形態)
図38は、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0171】
第1の実施形態においては、ステージ101aに設けられている温調機構の図示を省略した。改めて、温調機構を概略的図示するならば、図38に示すようなものとなる。
図38に示すように、ステージ101aの内部には、ステージ温調機構190が備えられている。ステージ温調機構190には、例えば、ヒーター等を利用した加熱機構、及び水等の熱媒体を冷媒として利用した冷却機構、若しくはそれらのいずれか一方を備えている。図38には代表例としてチラーを例示し、熱媒体を流すための熱媒体流路191を概略的に図示している。
【0172】
このように、例えば、ステージ101aの内部に、ステージ温調機構190を設けることで、ステージ101aを温調して被処理体載置面105上に載置された被処理体Gを加熱したり、冷却したり、といった温度調節が可能となる。しかしながら、第1の実施形態〜第5の実施形態においては、ステージ101aにはステージ温調機構190が設けられているものの、カバー102aについては、温調機構は備えられていない。
【0173】
図39は、この発明の第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置のステージ及びカバーを示す断面図である。
【0174】
図39に示すように、第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3nが、第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aと、特に異なるところは、ステージ温調機構190に加え、カバー102aに、カバー102aを温調するカバー温調機構192が、さらに備えられていることである。これ以外については、上記第1の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3aとほぼ同様である。
【0175】
カバー温調機構192は、例えば、カバー102aの内部に設けられ、ステージ温調機構190と同様に、例えば、ヒーター等を利用した加熱機構、及び水等の熱媒体を冷媒として利用した冷却機構、若しくはそれらのいずれか一方を備えている。図39には代表例としてチラーを例示し、熱媒体を流すための熱媒体流路193を概略的に図示している。
【0176】
第6の実施形態の一例においては、ステージ温調機構190とカバー温調機構192とは、個別に温度を調節できるように構成されている。このように、ステージ温調機構190とカバー温調機構192とを個別に温度を調節可能にすることで、ステージ101aの温度とカバー102aの温度とを、それぞれ異なる温度に調節することができる。
【0177】
第6の実施形態によれば、以下の利点を得ることができる。
【0178】
例えば、被処理体Gへの処理が、処理用小空間106の内部の圧力を、例えば、大気圧(=101325Pa)よりも低くする真空処理若しくは減圧処理である場合、処理用小空間106の内部には熱を伝達する媒体が事実上なくなる、若しくは大気圧に比較して少なくなる。このため、ステージ温調機構190のみによる温調では、カバー102aに熱が伝わらない、若しくは熱が伝わり難くなり、カバー102aの温度は、ステージ101aの温度よりも低くなってしまう。例えば、処理が成膜処理の場合、本来の成膜処理は高温にすることにより実施されるが、低温でも、本来の成膜処理とは異なる堆積物が、カバー102aの処理用小空間106側の内面上に堆積されてしまうことがある。このように上記内面上に堆積物が低温で成膜されてしまうと、処理用小空間106の内部にパーティクルを発生させる一因となる。
【0179】
このような事情に対して、第6の実施形態によれば、カバー102aにもカバー温調機構192が備えられているので、カバー102aの温度を、堆積物が堆積され難くなる温度、若しくは堆積物が堆積しない温度に調節することができる。このようにカバー102aの温度を、カバー温調機構192を用いて調節することで、カバー102aの処理用小空間106側の内面上への堆積物の発生を抑制することができる。このように堆積物の発生を抑制できる結果、処理用小空間106の内部にパーティクルが発生する可能性を、カバー温調機構192を備えていない場合に比較して、より低減することが可能となる。
【0180】
また、カバー温調機構192を備えていない場合には、例えば、処理用小空間106の内部への堆積物の発生を抑制するためには、処理温度、例えば、成膜温度にある範囲の制約を設定しなければならなく場合が生ずる。制約を設定することは、プロセスウィンドウを狭めてしまうことであり、バッチ式処理装置の汎用性の低下にもつながってしまう。
【0181】
この点、第6の実施形態によれば、カバー温調機構192を備えているので、処理温度、例えば、成膜温度にある範囲の制約を設定しなくても、処理用小空間106の内部への堆積物の発生を抑制することができる。しかも、第6の実施形態においては、ステージ101aの温度とカバー102aの温度とをそれぞれ個別に調節できる。このため、
(1) ステージ101aの温度 > カバー102aの温度
(2) ステージ101aの温度 < カバー102aの温度
(3) ステージ101aの温度 = カバー102aの温度
といった、様々な温度設定も可能となる。
【0182】
このように、第6の実施形態によれば、ステージ101aとカバー102aとの間に、様々な温度設定ができる結果、プロセスウィンドウを広げることもでき、バッチ式処理装置の汎用性をさらに向上できる、といった利点をも得ることができる。
【0183】
このような第6の実施形態の一例に係るバッチ式処理装置3nは、処理用小空間106の内部に発生するパーティクルの低減、及びプロセスウィンドウの拡大という利点を、さらに得ることができ、今後、更に進展するプロセスの高精度化にも有利である。
【0184】
なお、第6の実施形態の一例は、第1の実施形態の一例及び第1の実施形態の第1の変形例〜第5の変形例、第2の実施形態の一例、第3の実施形態の一例及び変形例、第4の実施形態の一例及び第1の変形例〜第5の変形例、並びに第5の実施形態の第1の変形例〜第4の変形例のいずれにも適用することが可能である。
【0185】
以上、この発明を実施形態に従って説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されることは無く、種々変形可能である。
【0186】
例えば、搬送装置7のピック71としては、フォーク型のものに限らず、図40に示すようなフィッシュボーン型のピック71−1を用いることも可能である。
【0187】
また、上記実施形態では、バッチ式処理装置として、ALD法やMLD法を用いた成膜装置を想定していたが、ガスのみを用いるガス成膜装置、熱CVD装置、ガスのみを用いるガスエッチング装置、真空ベーク装置などにも、この発明は適用することができる。
【0188】
また、プラズマ処理装置にこの発明を適用しても良く、処理にプラズマを用いる場合には、プラズマを処理用小空間106で発生させるのではなく、処理用小空間106とは別のところで発生させたプラズマを、処理用小空間106に導いてくるリモートプラズマ方式を用いることが良い。リモートプラズマ方式を用いることで、処理用小空間106ごとにプラズマを生成するプラズマ生成機構が不要となり、ステージ101の厚さ及びカバー102の厚さをトータルした厚みを薄くでき、メインチャンバを高さ方向に大きくしなくても、メインチャンバ内に収容できるステージ101及びカバー102の数を増やすことができる。このため、一度に処理できる被処理体Gの枚数を増やしたい場合に有利である。
【0189】
また、ガス排気口119は一箇所としていたが、複数箇所としても良い。
【0190】
また、ステージ101に、チラー、ヒーターなど、被処理体Gの温度を調節する温調機構を設ける場合、チラーの温調媒体としては、水冷、空冷のいずれをも利用することができる。また、ヒーターにあっては既存の発熱体を用いれば良い。
【0191】
その他、この発明はその要旨を逸脱しない範囲で様々に変形することができる。
【符号の説明】
【0192】
G…被処理体、31a…メインチャンバ、101a〜101y…ステージ、102a〜102y…カバー、103…カバー昇降支柱、105…被処理体載置面、106…処理用小空間、107…リフター、108…リフター昇降支柱、111、111a〜111c…ガス供給管、113…排気ダクト、114…排気管、117、117a〜117c…ガス吐出孔、118…排気溝、119…ガス排気口、120…Oリング、121…環状の溝、130a、130b…処理用小空間を形成する凹部、140…ステージ昇降支柱、160…ピン状リフター、170…邪魔板、171…整流部、181…スロープ部、184…ラウンド部、190…ステージ温調機構、192…カバー温調機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被処理体に同時に処理を施すバッチ式処理装置であって、
メインチャンバと、
前記メインチャンバ内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、前記被処理体を載置する複数のステージと、
前記ステージごとに設けられ、前記ステージに載置された前記被処理体をカバーする複数のカバーと、を備え、
前記複数のステージと前記複数のカバーとで、前記複数のステージに載置された前記複数の被処理体の各々を取り囲むように、前記メインチャンバよりも容量が小さい処理用小空間を形成することを特徴とするバッチ式処理装置。
【請求項2】
前記複数のカバー又は前記複数のステージを昇降駆動する駆動機構と、
前記複数のステージそれぞれの被処理体載置面とこの被処理体載置面の上方との間で、前記被処理体を昇降させる被処理体昇降機構と、
前記複数の処理用小空間それぞれの内部にガスを供給するガス供給機構と、
前記複数の処理用小空間それぞれの内部を排気する排気機構と
を、さらに、具備することを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項3】
前記ステージの前記被処理体を載置する面が平坦であり、前記カバーの前記ステージに対向する面に、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項4】
前記カバーの前記ステージに対向する面が平坦であり、前記ステージの前記被処理体を載置する面に、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項5】
前記ステージの前記被処理体を載置する面及び前記カバーの前記ステージに対向する面それぞれに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項6】
前記駆動機構が、前記複数のカバー又は前記複数のステージを一括して昇降駆動することを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項7】
前記複数のステージが前記メインチャンバに固定され、
前記駆動機構が、前記複数のカバーを昇降駆動することを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のバッチ式処理装置。
【請求項8】
前記複数のカバーが前記メインチャンバに固定され、
前記駆動機構が、前記複数のステージを昇降駆動することを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のバッチ式処理装置。
【請求項9】
前記被処理体昇降機構が、前記複数の被処理体を一括して昇降させることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項10】
前記被処理体昇降機構が、前記駆動機構から独立していることを特徴とする請求項2又は請求項9に記載のバッチ式処理装置。
【請求項11】
前記被処理体昇降機構が、前記駆動機構と連動していることを特徴とする請求項2又は請求項9に記載のバッチ式処理装置。
【請求項12】
前記被処理体昇降機構が、
前記ステージを貫通して前記ステージに懸架されるピン状リフターを有し、
前記ピン状リフターの下端が下方にある前記カバーの上面に当接し、前記ピン状リフターが、前記カバーの昇降に応じて昇降することを特徴とする請求項11に記載のバッチ式処理装置。
【請求項13】
前記ガス供給機構及び前記排気機構が前記ステージに設けられていることを特徴とする請求項7に記載のバッチ式処理装置。
【請求項14】
前記ガス供給機構及び前記排気機構が前記カバーに設けられていることを特徴とする請求項8に記載のバッチ式処理装置。
【請求項15】
前記カバーに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられているとき、
前記ガス供給機構のガス吐出孔及び前記排気機構の排気孔が、前記ステージの被処理体載置面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項16】
前記ステージに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられているとき、
前記ガス供給機構のガス吐出孔及び前記排気機構の排気孔が、前記凹部の側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項17】
前記メインチャンバを排気するメインチャンバ排気機構を、さらに備え、
前記ステージの上面と前記カバーの下端との間に、前記処理用小空間が前記メインチャンバ内部に連通する隙間を設定し、
前記処理用小空間を、前記メインチャンバ排気機構を用い、前記隙間を介して排気することを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項18】
前記ステージの上面と前記カバーの下端との当接面に溝を有し、
前記溝に、不活性ガスを吐出する不活性ガス吐出部が、さらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項19】
前記ステージが前記メインチャンバに固定され、
前記ガス供給機構は、前記ステージ内において前記ガスを流通させるステージ内ガス流路と、前記ステージ内ガス流路に前記ガスを導入するガス導入部と、前記カバー内に前記ガスを流通させるカバー内ガス流路と、前記カバー内ガス流路から前記処理用空間に前記ガスを吐出させるガス吐出部と、前記ステージと前記カバーとの接触部において前記ステージ内ガス流路と前記カバー内ガス流路とを前記ガスが流通するように連結する連結部とから構成されることを特徴とする請求項3に記載のバッチ式処理装置。
【請求項20】
前記ガス吐出部は、前記ステージに対向し複数のガス吐出孔を備えたシャワーヘッドであることを特徴とする請求項19に記載のバッチ式処理装置。
【請求項21】
前記ステージは、温度調節機構を備えていることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項22】
前記温度調節機構は、複数の前記ステージを個別に温度制御できることを特徴とする請求項21に記載のバッチ式処理装置。
【請求項23】
前記処理用小空間の内部に、この処理用小空間内に供給されたガスの流れを整流する整流部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項24】
前記整流部は、前記ステージの被処理体載置面と前記カバーの前記処理用小空間側の内面との間に設けられた少なくとも1つの邪魔板と、該邪魔板によって前記処理用小空間の内部に形成された隙間とを含んで構成されていることを特徴とする請求項23に記載のバッチ式処理装置。
【請求項25】
前記邪魔板は、前記処理用小空間中のガスの流れに交差する方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項24に記載のバッチ式処理装置。
【請求項26】
前記邪魔板は、前記ステージの被処理体載置面上、前記カバーの処理用小空間側の内面上、並びに前記ステージの被処理体載置面上及び前記カバーの処理用小空間側の内面上の双方のいずれか一つに設けられていることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載のバッチ式処理装置。
【請求項27】
前記処理用小空間の隅部に、スロープ部又はラウンド部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項26のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項28】
前記排気機構が前記ステージに設けられ、前記排気機構が前記被処理体載置面に形成された排気溝を備えているとき、前記排気溝の縁と前記カバーの内面側側面とが、互いに一致することを特徴とする請求項2から請求項27のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項29】
前記カバーに、該カバーを温調するカバー温調機構が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項28のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項30】
前記ステージに、該ステージを温調するステージ温調機構が備えられているとき、
前記カバー温調機構と前記ステージ温調機構とは、個別に温度を調節することを特徴とする請求項29に記載のバッチ式処理装置。
【請求項31】
前記被処理体に処理を施す際、前記処理用小空間の内部の圧力を、大気圧よりも低くすることを特徴とする請求項29又は請求項30に記載のバッチ式処理装置。
【請求項1】
複数の被処理体に同時に処理を施すバッチ式処理装置であって、
メインチャンバと、
前記メインチャンバ内に、このメインチャンバの高さ方向に積み重ねて設けられた、前記被処理体を載置する複数のステージと、
前記ステージごとに設けられ、前記ステージに載置された前記被処理体をカバーする複数のカバーと、を備え、
前記複数のステージと前記複数のカバーとで、前記複数のステージに載置された前記複数の被処理体の各々を取り囲むように、前記メインチャンバよりも容量が小さい処理用小空間を形成することを特徴とするバッチ式処理装置。
【請求項2】
前記複数のカバー又は前記複数のステージを昇降駆動する駆動機構と、
前記複数のステージそれぞれの被処理体載置面とこの被処理体載置面の上方との間で、前記被処理体を昇降させる被処理体昇降機構と、
前記複数の処理用小空間それぞれの内部にガスを供給するガス供給機構と、
前記複数の処理用小空間それぞれの内部を排気する排気機構と
を、さらに、具備することを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項3】
前記ステージの前記被処理体を載置する面が平坦であり、前記カバーの前記ステージに対向する面に、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項4】
前記カバーの前記ステージに対向する面が平坦であり、前記ステージの前記被処理体を載置する面に、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項5】
前記ステージの前記被処理体を載置する面及び前記カバーの前記ステージに対向する面それぞれに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項6】
前記駆動機構が、前記複数のカバー又は前記複数のステージを一括して昇降駆動することを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項7】
前記複数のステージが前記メインチャンバに固定され、
前記駆動機構が、前記複数のカバーを昇降駆動することを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のバッチ式処理装置。
【請求項8】
前記複数のカバーが前記メインチャンバに固定され、
前記駆動機構が、前記複数のステージを昇降駆動することを特徴とする請求項2又は請求項6に記載のバッチ式処理装置。
【請求項9】
前記被処理体昇降機構が、前記複数の被処理体を一括して昇降させることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項10】
前記被処理体昇降機構が、前記駆動機構から独立していることを特徴とする請求項2又は請求項9に記載のバッチ式処理装置。
【請求項11】
前記被処理体昇降機構が、前記駆動機構と連動していることを特徴とする請求項2又は請求項9に記載のバッチ式処理装置。
【請求項12】
前記被処理体昇降機構が、
前記ステージを貫通して前記ステージに懸架されるピン状リフターを有し、
前記ピン状リフターの下端が下方にある前記カバーの上面に当接し、前記ピン状リフターが、前記カバーの昇降に応じて昇降することを特徴とする請求項11に記載のバッチ式処理装置。
【請求項13】
前記ガス供給機構及び前記排気機構が前記ステージに設けられていることを特徴とする請求項7に記載のバッチ式処理装置。
【請求項14】
前記ガス供給機構及び前記排気機構が前記カバーに設けられていることを特徴とする請求項8に記載のバッチ式処理装置。
【請求項15】
前記カバーに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられているとき、
前記ガス供給機構のガス吐出孔及び前記排気機構の排気孔が、前記ステージの被処理体載置面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項16】
前記ステージに、前記処理用小空間を形成する凹部が設けられているとき、
前記ガス供給機構のガス吐出孔及び前記排気機構の排気孔が、前記凹部の側面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバッチ式処理装置。
【請求項17】
前記メインチャンバを排気するメインチャンバ排気機構を、さらに備え、
前記ステージの上面と前記カバーの下端との間に、前記処理用小空間が前記メインチャンバ内部に連通する隙間を設定し、
前記処理用小空間を、前記メインチャンバ排気機構を用い、前記隙間を介して排気することを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項18】
前記ステージの上面と前記カバーの下端との当接面に溝を有し、
前記溝に、不活性ガスを吐出する不活性ガス吐出部が、さらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載のバッチ式処理装置。
【請求項19】
前記ステージが前記メインチャンバに固定され、
前記ガス供給機構は、前記ステージ内において前記ガスを流通させるステージ内ガス流路と、前記ステージ内ガス流路に前記ガスを導入するガス導入部と、前記カバー内に前記ガスを流通させるカバー内ガス流路と、前記カバー内ガス流路から前記処理用空間に前記ガスを吐出させるガス吐出部と、前記ステージと前記カバーとの接触部において前記ステージ内ガス流路と前記カバー内ガス流路とを前記ガスが流通するように連結する連結部とから構成されることを特徴とする請求項3に記載のバッチ式処理装置。
【請求項20】
前記ガス吐出部は、前記ステージに対向し複数のガス吐出孔を備えたシャワーヘッドであることを特徴とする請求項19に記載のバッチ式処理装置。
【請求項21】
前記ステージは、温度調節機構を備えていることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項22】
前記温度調節機構は、複数の前記ステージを個別に温度制御できることを特徴とする請求項21に記載のバッチ式処理装置。
【請求項23】
前記処理用小空間の内部に、この処理用小空間内に供給されたガスの流れを整流する整流部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項24】
前記整流部は、前記ステージの被処理体載置面と前記カバーの前記処理用小空間側の内面との間に設けられた少なくとも1つの邪魔板と、該邪魔板によって前記処理用小空間の内部に形成された隙間とを含んで構成されていることを特徴とする請求項23に記載のバッチ式処理装置。
【請求項25】
前記邪魔板は、前記処理用小空間中のガスの流れに交差する方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項24に記載のバッチ式処理装置。
【請求項26】
前記邪魔板は、前記ステージの被処理体載置面上、前記カバーの処理用小空間側の内面上、並びに前記ステージの被処理体載置面上及び前記カバーの処理用小空間側の内面上の双方のいずれか一つに設けられていることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載のバッチ式処理装置。
【請求項27】
前記処理用小空間の隅部に、スロープ部又はラウンド部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項26のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項28】
前記排気機構が前記ステージに設けられ、前記排気機構が前記被処理体載置面に形成された排気溝を備えているとき、前記排気溝の縁と前記カバーの内面側側面とが、互いに一致することを特徴とする請求項2から請求項27のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項29】
前記カバーに、該カバーを温調するカバー温調機構が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項28のいずれか一項に記載のバッチ式処理装置。
【請求項30】
前記ステージに、該ステージを温調するステージ温調機構が備えられているとき、
前記カバー温調機構と前記ステージ温調機構とは、個別に温度を調節することを特徴とする請求項29に記載のバッチ式処理装置。
【請求項31】
前記被処理体に処理を施す際、前記処理用小空間の内部の圧力を、大気圧よりも低くすることを特徴とする請求項29又は請求項30に記載のバッチ式処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2013−30751(P2013−30751A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95009(P2012−95009)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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