説明

パターン修正方法

【課題】 騒音が小さく、リブのトップ面の突起部を正確に除去することが可能なパターン修正方法を提供する。
【解決手段】
このパターン修正方法では、その先端部が研磨テープ40の裏面に当接される研磨ヘッドピン41をZ方向に移動可能に設けておき、上方からリブ13の正常なトップ面55に向けて研磨テープヘッドを下降させ、研磨ヘッドピン41が基準位置よりも上方に移動開始したときのZ座標Z1を検出し、そのZ座標Z1に基づいて、突起部56を上方から正常なトップ面55まで研磨する。したがって、研磨テープ40を用いるので、騒音は小さい。また、正常なトップ面55の高さZ1を正確に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパターン修正方法に関し、特に、基板の表面に形成されたリブのトップ面の突起部を除去するパターン修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造工程における異物の付着などによりカラーフィルタの表面に生じる突起欠陥をテープ研磨によって修正するパターン修正方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
このパターン修正方法では、研磨テープヘッドにエアマイクロセンサを設け、研磨テープヘッドを上方から下げて研磨テープの表面をカラーフィルタの正常な表面に当接させた状態でエアマイクロセンサとカラーフィルタ表面までの距離aを測定する。次に、研磨テープヘッドの位置を変えて研磨テープの表面を突起欠陥の頂点の近傍に位置決めした状態でエアーマイクロセンサとカラーフィルタ表面までの距離bを測定し、b−aに基づいて突起欠陥の高さを演算し、研磨している。
【0004】
また、プラズマディスプレイパネルの背面板のリブのトップ面に製造工程で生じた突起欠陥や、リブ欠け欠陥に修正用ペーストを塗布して修正したために生じた盛り上り部を回転砥石で除去するパターン修正方法もある(たとえば特許文献2参照)。以下、突起欠陥と盛り上り部をリブのトップ面の突起部と呼ぶ。
【特許文献1】特開平9−234660号公報
【特許文献2】特開2000−299059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、回転砥石でリブのトップ面の突起部を除去する方法には、砥石の回転により大きな騒音が発生するという問題があった。
【0006】
また、研磨テープでカラーフィルタ表面の突起欠陥を除去する方法では、回転砥石のような騒音は発生しない。しかし、この方法で用いられるエアーマイクロセンサでは、研磨テープヘッドとカラーフィルタ表面との間の距離を測定できても、研磨テープヘッドとリブのトップ面との間の距離を正確に測定することはできない。これは、プラズマディスプレイパネルの背面基板の表面はカラーフィルタ基板のように全面がフラットな平面ではなく、リブのトップ面の幅は40〜80μm程度しかなく、リブ間は溝状態となっているからである。したがって、このパターン修正方法では、カラーフィルタ表面の突起欠陥を除去できても、リブのトップ面の突起部を正確に除去することはできない。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、騒音が小さく、リブのトップ面の突起部を正確に除去することが可能なパターン修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るパターン修正方法は、基板の表面に形成されたリブのトップ面の突起部を除去するパターン修正方法であって、基板をXY平面上に保持するテーブル、その先端部が研磨テープの裏面に当接され、Z方向に移動可能に設けられたヘッドピンと、ヘッドピンが基準位置よりも上方に移動したこと又は上向きの力を受けたことを検出するセンサとを含み、研磨テープの表面によって突起部を研磨する研磨テープヘッド、およびテーブルおよび/または研磨テープヘッドを移動させ、研磨テープヘッドをXYZ座標で示される所望の位置に位置決めする位置決め装置を設け、位置決め装置によって上方からリブの正常なトップ面に向けて研磨テープヘッドを下降させ、センサの検出結果に基づいて、ヘッドピンが基準位置よりも上方に移動開始したとき又は上向きの力を受け始めたときの第1のZ座標を検出する第1の検出ステップ、および第1のZ座標を正常なトップ面の高さと設定し、研磨テープによって突起部を上方から正常なトップ面まで研磨する研磨ステップを実行するものである。したがって、研磨テープを用いるので、騒音は小さい。また、研磨テープの表面をリブの正常なトップ面に押圧したときのヘッドピンの移動又はヘッドピンが受ける力を利用してリブの正常なトップ面の高さを検出するので、正常なトップ面の高さを正確に検出することができ、トップ面の突起部を正確に除去することができる。
【0009】
好ましくは、さらに、対象物にレーザ光を出射し、その反射光に基づいて対象物までの距離を検出するレーザ変位計を設け、さらに、レーザ変位計を用いて、正常なトップ面から見た突起部の高さを検出し、検出した突起部の高さと第1のZ座標とに基づいて、研磨テープの表面が突起部の頂点に接触する第2のZ座標を求める第2の検出ステップを実行し、研磨ステップでは、さらに第2のZ軸座標に基づいて、突起部を上方から正常なトップ面まで研磨する。この場合は、トップ面の突起部をより正確に除去することができる。
【0010】
また好ましくは、研磨ステップでは、さらに第2のZ座標よりも所定の距離だけ高い第3のZ座標まで研磨テープヘッドを早送りした後に、突起部を上方から正常なトップ面まで研磨する。この場合は、研磨テープヘッドを突起部に迅速に近付けることができる。
【0011】
また好ましくは、第2の検出ステップでは、レーザ変位計の出射レーザ光を突起部の一方側から他方側までリブの長さ方向に走査して突起部の高さ形状を検出し、研磨ステップでは、さらに、第2の検出ステップで検出した突起部の高さ形状に基づき、研磨テープヘッドをリブの長さ方向に移動させて突起部全体を研磨する。この場合は、突起部が長い場合でも、突起部を正確に除去することができる。
【0012】
また好ましくは、センサは、ヘッドピンの位置を検出する位置検出センサである。この場合は、ヘッドピンの位置が基準位置から上方に動いたことを検出することにより、研磨テープの表面が正常なトップ面に接触したことを検出することができる。
【0013】
また好ましくは、センサは、下方からヘッドピンに加えられた反力を検出する反力検出センサである。この場合は、ヘッドピンへの反力が急に増大したことを検出することにより、研磨テープの表面が正常なトップ面に接触したことを検出することができる。
【0014】
また好ましくは、研磨ステップでは、突起部の研磨時において反力検出センサの検出値が一定になるように位置決め装置を制御する。この場合は、研磨時にリブに大きな力が加えられることを防止することができる。
【0015】
また好ましくは、ヘッドピンの先端部の直径は、リブのトップ面の幅と、隣接する2つのリブ間の溝の幅の2倍との和以下の大きさである。この場合は、研磨対象のリブに隣接する正常なリブが研磨されることを防止することができる。
【0016】
また好ましくは、研磨テープヘッドは、さらに、ヘッドピンと同軸に設けられ、その下面にヘッドピンの基端部が固定された摺動部材と、摺動部材をZ方向に移動可能に保持する保持部材とを含む。この場合は、ヘッドピンをZ方向にしっつかりと保持することができる。
【0017】
また好ましくは、保持部材は、摺動部材をZ方向に案内する凹部と、凹部の底に形成され、ヘッドピンの先端部を通過させる貫通孔とを有するケースと、上方から摺動部材を所定の力で押圧する弾性部材とを含む。この場合は、接触時などにヘッドピンと基板の間に生じる衝撃を弾性部材で吸収することができる。
【0018】
また好ましくは、保持部材は、摺動部材をZ方向に案内する凹部と、凹部の底に形成され、ヘッドピンの先端部を通過させる貫通孔とを有するケースと、ケースの凹部を閉蓋する蓋部材と、摺動部材の下部とケースの凹部の底との間に設けられた弾性部材とを含む。摺動部材の上部と凹部と蓋部材で形成される空間に圧縮気体が供給される。圧縮気体の圧力は、摺動部材が弾性部材によって上方に押される力と、摺動部材が圧縮気体によって下方に押される力とが釣り合うように調整される。この場合は、接触時などにヘッドピンと基板の間に生じる衝撃を圧縮気体と弾性部材で吸収することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、この発明に係るパターン修正方法では、騒音が小さく、リブのトップ面の突起部を正確に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態を説明する前に、まずプラズマディスプレイパネルおよびその製造工程においてリブに発生する欠陥について説明する。図1は、プラズマディスプレイパネルの構成を示す組立て分解図である。図1において、このプラズマディスプレイパネルは、前面ガラス基板1および背面ガラス基板10を含む。前面ガラス基板1の裏面には、それぞれが広い幅の透明電極2と狭い幅のバス電極3からなる複数の複合電極が所定のピッチで形成され、それらは誘電体層4および保護膜5で被覆されている。背面ガラス基板10の表面には、複数のアドレス電極11が所定のピッチで形成され、それらは誘電体層12で被覆されている。誘電体層12の表面には、複数のリブ(隔壁)13が所定のピッチで形成され、各谷間はR,GまたはBの蛍光体層14で被覆されている。
【0021】
バス電極3とアドレス電極11が直交するようにして、前面ガラス基板1と背面ガラス基板10とがリブ13を介して固着される。これにより、バス電極3とアドレス電極11の各交差部にセルと呼ばれる放電空間が形成される。複数のバス電極3と複数のアドレス電極11に選択的に電圧を印加すると、各セルが選択的に放電発光し、プラズマディスプレイパネルには、1枚の画像が表示される。
【0022】
このようなプラズマディスプレイパネルの製造工程において、背面ガラス基板10上にリブ13を形成する際、異物の混入や製作工程上の不具合により、図2に示すように、リブ13の一部が欠けたリブ欠け欠陥15が発生したり、リブ13の上面に突起欠陥16が発生する場合がある。
【0023】
このような欠陥15,16は、パネル点灯時に混色や暗い点を生じさせ、パネル品質を著しく低下させるので、蛍光体層14を形成する前に欠陥15,16を修正する必要がある。本願発明は、このような欠陥15,16を修正するパターン修正装置に関するものである。以下、図面を用いて本願発明のパターン修正装置について詳細に説明する。
【0024】
[実施の形態1]
図3(a)は、この発明の実施形態1による微細パターン修正装置の全体構成を示す外観図であり、図3(b)は図3(a)のA部拡大図である。図3(a)(b)において、この微細パターン修正装置は、修正対象となるプラズマディスプレイパネル用の背面ガラス基板10がその表面に載置され、背面ガラス基板10と平行な図中Y軸方向に移動するY軸テーブル21と、背面ガラス基板10と垂直な図中Z軸方向に移動するZ軸テーブル22と、該Z軸テーブル22を搭載して背面ガラス10と平行でY軸と直交する図中X軸方向に移動するX軸テーブル23とを備える。
【0025】
Z軸テーブル22には、背面ガラス基板10の表面に形成されたリブ13の欠陥を観察するための観察光学系24と、リブ欠け欠陥15に針を用いて修正ペーストを塗布する修正ペースト塗布機構25と、塗布した修正ペーストからなる修正部にレーザ光を照射して乾燥または焼成させる連続発振レーザ装置26と、リブ幅からはみ出した余分な修正ペーストをカットするパルス発振レーザ装置27と、カットされた余分な修正ペーストを針または真空吸引によって除去するスクラッチ機構28と、リブ13のトップ面の突起部を研磨テープを用いて除去するテープ研磨ユニット29と、該テープ研磨ユニット29を搭載して図中Z軸方向に移動する副Z軸テーブル30と、リブ13のトップ面の突起部の高さ形状を検出するレーザ変位計31とが設けられている。Z軸テーブル22は、Z軸駆動モータ32によって駆動される。
【0026】
観察光学系24は、複数の対物レンズとそれらのうちのいずれか1つを選択すレボルバとを含む顕微鏡と、CCDカメラからなる。修正ペースト塗布機構25は、塗布針と、塗布針を上下に駆動させるアクチュエータと、修正ペーストのタンクなどを含む。テープ研磨ユニット29は、研磨テープの表面をリブ13のトップ面の突起部などに接触させる研磨テープヘッドと、新しい研磨テープを研磨テープヘッドに供給する供給リールと、使用済みの研磨テープを巻き取る巻取りリールなどを含む。レーザ変位計31は、対象物(たとえばリブ13のトップ面)にレーザ光を出射するレーザ装置と、対象物で反射したレーザ光を検出する光センサと、光センサの検出結果に基づいて、対象物までの距離を示す信号を出力する信号発生部とを含む。観察光学系24、修正ペースト塗布機構25、レーザ装置26,27、スクラッチ機構28、テープ研磨ユニット29、副Z軸テーブル30およびレーザ変位計31は、修正ヘッドを構成する。
【0027】
Z軸テーブル22は、背面ガラス基板10に垂直なZ方向において基板10と修正ヘッドの相対位置決めを行なうことにより、観察光学系24の焦点調整を行なったり、修正ペースト塗布機構25のZ軸方向の位置決めを行なったり、スクラッチ機構28の針を基板10に接触させたり、副Z軸テーブル30とともにテープ研磨ユニット29の研磨テープの表面を基板10に接触させるために使用される。Y軸テーブル21は、背面ガラス基板10をXY平面上に保持する。
【0028】
X軸テーブル23およびY軸テーブル21は、背面ガラス基板10に平行なXY平面内において、基板10と修正ヘッドの相対位置決めを行なうために使用される。X軸テーブル23、Y軸テーブル21、Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30の各々は、モータ、ボールねじなどにより駆動される。なお、位置決め機構の構成は、テーブル21〜23,30に限られるものではなく、基板10と修正ヘッドの相対位置をX,Y,Z方向に調整することができ、修正ヘッドをXYZ座標で示される所望の位置に位置決めすることができるものであれば、どのようなものでもよい。
【0029】
また、この微細パターン修正装置は、微細パターン修正装置全体を制御する制御部33と、ユーザインタフェースとなる操作部34と、CCDカメラで撮影された画像を表示する表示部35を備える。制御部33は、操作部34からの指令信号に基づき、微細パターン修正装置全体に制御信号を送る。操作部34は、座標入力装置、各種動作の指示装置などからなる。
【0030】
図4は、テープ研磨ユニット29の研磨テープヘッドの構成を示す断面図である。図4において、この研磨テープヘッドは、その先端部が研磨テープ40の裏面に当接され、研磨テープ40の表面を研磨対象であるリブ13のトップ面の突起部に押圧する研磨ヘッドピン41を備える。研磨ヘッドピン41の先端の直径は、リブ13のトップ面の幅と、隣接する2つのリブ13間の溝の幅の2倍との和以下に設定されている。これにより、研磨対象のリブ13に隣接する正常なリブ13に研磨テープ40が接触して正常なリブ13が研磨されることを防止することができる。
【0031】
研磨ヘッドピン41の基端部は、円柱状の摺動部材42の下面中央に固定されている。研磨ヘッドピン41と摺動部材42は、同軸に設けられている。摺動部材42は、ヘッド部ケース43の凹部内に収容されている。この凹部は、摺動部材42をZ軸方向に案内するように、シリンダ状に形成されている。ヘッド部ケース43の底の中央には貫通孔が形成され、研磨ヘッドピン41の先端部はその貫通孔を介してヘッド部ケース43の外部に突出している。摺動部材42の外周面とヘッド部ケース43の内周面との間には、ヘッド部ケース43内で摺動部材42をスムーズに移動させるためのボール転動体44が設けられている。
【0032】
摺動部材42の上面肩部には弾性部材が装着されている。弾性部材45として、図ではコイルバネが示されているが、たとえばリング状のゴムでもよい。この弾性部材45により、接触時などに研磨ヘッドピン41と基板10の間に生じる衝撃を吸収することができ、研磨ヘッドピン41と基板10が破壊されることを防止することができる。ヘッド部ケース43の上端部には、蓋部材46が固定されている。蓋部材46の中央には、ネジ孔が形成されており、そのネジ孔にはネジ調整部47の外周部に形成されたネジ部が螺合されている。ネジ調整部47の下部は、弾性部材45の上端部に当接されている。ネジ調整部47は、弾性部材45が適度な弾性力を発生するように締め付けられている。ただし、実際の加工においては、研磨テープ40の走行スピードや、切り込みスピードなどの加工条件や対象物強度などによって、ネジ調整部47の調整により、弾性部材45の弾性力を働かせずに、研磨ヘッドピン41や摺動部材42の自重による力のみを研磨テープ40に加える場合もある。
【0033】
また、ネジ調整部47の中央には貫通孔が形成されており、その貫通孔には連結棒48が挿入されている。連結棒48の下端は摺動部材42の上面中央に固定されている。連結棒48と摺動部材42は、同軸に設けられている。連結棒48の上端部は、ネジ調整部47の外部に突出している。連結棒48の上側には、変位センサ49が設けられている。変位センサ49は、連結棒48の上端部の変位量を検出する。これにより、研磨ヘッドピン41がヘッド部ケース43に対して相対的に移動した変位量を検出することができる。
【0034】
図5(a)〜(f)は、この微細パターン修正装置を用いてリブ欠け欠陥85を修正する方法を示す図である。なお、突起部の研磨方法については後述する。まず図5(a)(b)に示すように、リブ13の形成された背面ガラス基板10をY軸テーブル21上に載置し、Y軸テーブル21およびX軸テーブル23を水平方向に移動させ、リブ欠け欠陥15が修正ペースト塗布機構25の真下に来るように位置決めする。修正ペースト塗布機構25は、たとえば特開平9−265007号公報の図8に示すような機構が用いられ、塗布針50に修正ペースト51を付着させ、リブ欠け欠陥15に塗布する。以下、リブ欠け欠陥15に塗布された修正ペースト51を修正部52と称する。
【0035】
次に図5(c)に示すように、COレーザのような連続発振レーザ装置26によってレーザ光を修正部52に照射して乾燥させる。図5(b)(c)の工程を複数回繰り返してリブ欠け欠陥15を埋めてもよい。次いで図5(d)に示すように、パルス発振レーザ装置27によってリブ13の幅に沿ってレーザ光を照射することにより、修正部52のうちのリブ13の幅からはみ出した余分な修正ペースト51をカットして分離する。
【0036】
次に図5(e)に示すように、スクラッチ機構28のスクラッチ針53により、リブ13から分離された修正ペースト50のはみ出し部を除去する。スクラッチ機構部28にはバキューム機能(図示せず)が設けられており、スクラッチ針53により除去された修正ペースト51のかすを吸引することが可能となっている。このため、修正後も修正箇所を清浄状態に保つことが可能となる。
【0037】
次に図5(f)に示すように、連続発振レーザ装置26によって修正部52に図5(c)の場合よりも強いレーザ光を照射し、リブ欠け欠陥15に塗布し整形した修正部52の焼成を行なう。
【0038】
以下、この実施の形態1の特徴となるリブ13のトップ面の突起部の研磨方法について説明する。リブ13のトップ面の突起部の研磨は、図5(c)(d)(e)(f)の工程のうちのいずれの工程の後に行なってもよい。また、図5(a)〜(f)の工程を行なわずに、図2で示した突起欠陥16を研磨してもよい。
【0039】
図6に示すように、リブ13の正常なトップ面55に突起部56があるものとし、そのXY座標は予め求められているものとする。まず、制御部33は、Y軸テーブル21およびX軸テーブル23を制御して、研磨ヘッドピン41の先端部を研磨対象の突起部56の近傍の正常なトップ面55の上方の所定位置に位置決めする。次に、Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30を制御して、テープ研磨ユニット29を所定距離だけ下降させる。テープ研磨ユニット29の下降中に研磨テープ40の表面が正常なトップ面5に接触すると、研磨ヘッドピン41がヘッド部ケース43に対して相対的に上方に移動し始める。
【0040】
研磨ヘッドピン41のヘッド部ケース43に対する相対的な移動は、変位センサ49によって検出される。制御部33は、変位センサ49の出力信号に基づいて、研磨ヘッドピン41がヘッド部ケース43に対して相対的に移動を開始したときのZ座標Z1を検出して記憶し、Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30を停止させる。Z座標Z1は、Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30の基準位置からの移動量に基づいて求められる。
【0041】
Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30を制御してテープ研磨ユニット29を所定位置まで上昇させた後、Y軸テーブル21およびX軸テーブル23を制御し、レーザ変位計31の出射レーザ光を突起部56の一方側から他方側までリブ13の長さ方向に走査して、突起部56の一方側の正常なトップ面55から突起部56の頂点を経て突起部56の他方側までの高さ形状を測定する。レーザ変位計31の出射レーザ光の正常なトップ面55におけるスポット径は、10μm以下に設定されている。これにより、突起部56の高さ形状を正確に測定できる。
【0042】
突起部56の高さ形状の測定結果(たとえば図6で示される断面形状)は、表示部35の画面に表示される。表示部35の画面上で正常なトップ面55の位置に画面中のポインタを位置させてクリックし、次いで突起部56の頂点の位置に画面中のポインタを位置させてクリックすると、制御部33により、正常なトップ面55から突起部56の頂点までの高さh1が検出される。制御部33は、検出した突起部56の高さh1と上記Z座標Z1とに基づいて、研磨テープ40の表面が突起部56の頂点に接触するZ座標Z2(=Z1+h1)を求め、さらにZ座標Z2よりも所定の距離h2だけ高いZ座標Z3(=Z2+h2)を求める。
【0043】
次に、制御部33は、Y軸テーブル21およびX軸テーブル23を制御して、研磨ヘッドピン41の先端部を研磨対象の突起部56の上方の所定位置に位置決めする。次に、Z軸テーブル22および副Z軸テーブル30を制御して、テープ研磨ユニット29をZ座標Z3まで早送りで下降させ、そこから研磨テープ40を駆動して正常なトップ面55の高さZ1まで所定の切込みスピードで研磨する。このとき制御部33は、変位センサ49の出力信号に基づき、研磨ヘッドピン41のヘッド部ケース43に対する変位量が一定になるように、切込みスピードを制御する。突起部56が長いために1回で除去できない場合は、テープ研磨ユニット29の上昇、突起部56の長さ方向への移動、早送り下降、研磨を必要回数繰り返すことにより、突起部56全体を除去する。これにより、突起部56を除去して、リブ13の高さを正常なトップ面55に揃えることができる。
【0044】
この実施の形態1では、リブ13のトップ面の突起部を研磨テープ40で研磨するので、回転砥石で研磨する場合に比べ、騒音が小さくなる。
【0045】
また、回転砥石で研磨する場合は砥石の先端位置が加工高さの精度に大きく影響するので、磨耗などに伴って砥石を交換するとき、新しい砥石の先端位置を交換前の砥石の先端位置に合わせるか、あるいは新しい砥石と交換前の砥石との先端位置の差を検出して制御部33にフィードバックする必要があり、手間を要した。しかし、本願発明では、研磨テープ40の交換の有無に関係なく、研磨する毎に、研磨テープ40の表面がリブ13の正常なトップ面に接触するZ座標Z1を検出し、そのZ座標Z1に基づいて突起部を研磨するので、常に正確な高さ精度を維持することができ、研磨テープ40の交換作業の簡単化を図ることができる。
【0046】
なお、この実施の形態1では、研磨ヘッドピン41のZ方向の位置変化を変位センサ49で検出し、その検出結果に基づいて研磨テープ40とリブ13の接触状態を検出したが、変位センサ49の代わりに、下方から研磨ヘッドピン41に与えられる反力の変化を検出するロードセルのような反力検出センサを用いてもよい。テープ研磨ユニット29の下降中に研磨テープ40の表面が正常なトップ面55に接触すると、下方から研磨ヘッドピン41に与えられる反力が増加し始めるので、反力検出センサの検出結果に基づいて研磨テープ40の表面が正常なトップ面55に接触したことを検出することができる。また、研磨中は、研磨ヘッドピン41に対する反力が一定になるように、テープ研磨ユニット29の下降スピードを制御すると良い。
【0047】
[実施の形態2]
図7は、この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の研磨テープヘッドを示す断面図であって、図4と対比される図である。
【0048】
図7において、この研磨テープヘッドでは、研磨ヘッドピン41の基端部は、円柱状の摺動部材60の下面中央に固定されている。研磨ヘッドピン41と摺動部材60は、同軸に設けられている。摺動部材60は、ヘッド部ケース61の凹部内に収容されている。この凹部は、摺動部材60をZ軸方向に案内するように、シリンダ状に形成されている。ヘッド部ケース60の底の中央には貫通孔が形成され、研磨ヘッドピン41の先端部はその貫通孔を介してヘッド部ケース60の外部に突出している。ヘッド部ケース61には、給気路62と排気路63が形成されている。圧縮気体は、給気路62と、ヘッド部ケース61の内周面に設けられた複数の小孔とを介して摺動部材60の外周面に供給され、摺動部材60の外周面の上部に形成された溝と排気路63を介して排気される。この圧縮空気は、ベアリングの役割を果たし、摺動部材60をZ軸方向にスムーズに移動させる。
【0049】
また、摺動部材60の下面肩部とヘッド部ケース61の底との間には弾性部材45が装着されている。ヘッド部ケース61の上端の開口部は、蓋部材64で閉じられている。蓋部材64の中央には貫通孔が形成されており、その貫通孔には連結棒48が挿入されている。連結棒48の下端は摺動部材60の上面中央に固定され、その上端は変位センサ49に結合されている。
【0050】
また、蓋部材64には給気路65が形成されており、摺動部材60の上面と蓋部材64の下面とヘッド部ケース61の内周面とで形成される空間に、外部から給気路65を介して圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、摺動部材60の上端部とヘッド部ケース61の内周面との隙間で絞られつつ排気路63を介して排気されるとともに、連結棒48の外周面と蓋部材64の貫通孔の内周面との隙間で絞られつつ排気される。このため上記空間に空気圧が生じ、この圧力により、摺動部材60を下方へ押し付ける力が発生する。この空気圧は、弾性部材45が摺動部材60を上方に押す力と釣合うように調整される。この空気圧と弾性部材45の弾性力により、接触時などに研磨ヘッドピン41と基板10の間に生じる衝撃を吸収することができ、研磨ヘッドピン41と基板10が破壊されることを防止することができる。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】プラズマディスプレイパネルの構成を示す組立て分解図である。
【図2】図1に示したリブの欠陥を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるパターン修正装置の全体構成を示す図である。
【図4】図3に示したテープ研磨ユニットの研磨テープヘッドの構成を示す断面図である。
【図5】図3に示したパターン修正装置を用いてリブ欠け欠陥を修正する方法を示す図である。
【図6】図3および図4に示したパターン修正装置を用いて突起部を研磨する方法を説明するための断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるパターン修正装置の研磨テープヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 前面ガラス基板、2 透明電極、3 バス電極、4,12 誘電体層、5 保護膜、10 背面ガラス基板、11 アドレス電極、13 リブ、14 蛍光体層、15 リブ欠け欠陥、16 突起欠陥、21 Y軸テーブル、22 Z軸テーブル、23 X軸テーブル、24 観察光学系、25 修正ペースト塗布機構、26 連続発振レーザ装置、27 パルス発振レーザ装置、28 スクラッチ機構、29 テープ研磨ユニット、30 副Z軸テーブル、31 レーザ変位計、32 Z軸駆動モータ、33 制御部、34 操作部、35 表示部、40 研磨テープ、41 研磨ヘッドピン、42 摺動部材、43,61 ヘッド部ケース、44 ボール転動体、45 弾性部材、46,64 蓋部材、47 ネジ調整部、48 連結棒、49 変位センサ、50 塗布針、51 修正ペースト、52 修正部、53 スクラッチ針、55 正常トップ面、56 突起部、62,65 給気路、63 排気路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成されたリブのトップ面の突起部を除去するパターン修正方法であって、
前記基板をXY平面上に保持するテーブル、
その先端部が研磨テープの裏面に当接され、Z方向に移動可能に設けられたヘッドピンと、前記ヘッドピンが基準位置よりも上方に移動したこと又は上向きの力を受けたことを検出するセンサとを含み、前記研磨テープの表面によって前記突起部を研磨する研磨テープヘッド、および
前記テーブルおよび/または前記研磨テープヘッドを移動させ、前記研磨テープヘッドをXYZ座標で示される所望の位置に位置決めする位置決め装置を設け、
前記位置決め装置によって上方から前記リブの正常なトップ面に向けて前記研磨テープヘッドを下降させ、前記センサの検出結果に基づいて、前記ヘッドピンが前記基準位置よりも上方に移動開始したとき又は上向きの力を受け始めたときの第1のZ座標を検出する第1の検出ステップ、および
前記第1のZ座標を前記正常なトップ面の高さと設定し、前記研磨テープによって前記突起部を上方から前記正常なトップ面まで研磨する研磨ステップを実行する、パターン修正方法。
【請求項2】
さらに、対象物にレーザ光を出射し、その反射光に基づいて前記対象物までの距離を検出するレーザ変位計を設け、
さらに、前記レーザ変位計を用いて、前記正常なトップ面から見た前記突起部の高さを検出し、検出した前記突起部の高さと前記第1のZ座標とに基づいて、前記研磨テープの表面が前記突起部の頂点に接触する第2のZ座標を求める第2の検出ステップを実行し、
前記研磨ステップでは、さらに前記第2のZ軸座標に基づいて、前記突起部を上方から前記正常なトップ面まで研磨する、請求項1に記載のパターン修正方法。
【請求項3】
前記研磨ステップでは、さらに前記第2のZ座標よりも所定の距離だけ高い第3のZ座標まで前記研磨テープヘッドを早送りした後に、前記突起部を上方から前記正常なトップ面まで研磨する、請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項4】
前記第2の検出ステップでは、前記レーザ変位計の出射レーザ光を前記突起部の一方側から他方側まで前記リブの長さ方向に走査して前記突起部の高さ形状を検出し、
前記研磨ステップでは、さらに、前記第2の検出ステップで検出した前記突起部の高さ形状に基づき、前記研磨テープヘッドを前記リブの長さ方向に移動させて前記突起部全体を研磨する、請求項2または請求項3に記載のパターン修正方法。
【請求項5】
前記センサは、前記ヘッドピンの位置を検出する位置検出センサである、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項6】
前記センサは、下方から前記ヘッドピンに加えられた反力を検出する反力検出センサである、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項7】
前記研磨ステップでは、前記突起部の研磨時において前記反力検出センサの検出値が一定になるように前記位置決め装置を制御する、請求項6に記載のパターン修正方法。
【請求項8】
前記ヘッドピンの先端部の直径は、前記リブのトップ面の幅と、隣接する2つのリブ間の溝の幅の2倍との和以下の大きさである、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項9】
前記研磨テープヘッドは、
さらに、前記ヘッドピンと同軸に設けられ、その下面に前記ヘッドピンの基端部が固定された摺動部材と、
前記摺動部材を前記Z方向に移動可能に保持する保持部材とを含む、請求項1から請求項8までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項10】
前記保持部材は、
前記摺動部材を前記Z方向に案内する凹部と、前記凹部の底に形成され、前記ヘッドピンの先端部を通過させる貫通孔とを有するケースと、
上方から前記摺動部材を所定の力で押圧する弾性部材とを含む、請求項9に記載のパターン修正方法。
【請求項11】
前記保持部材は、
前記摺動部材を前記Z方向に案内する凹部と、前記凹部の底に形成され、前記ヘッドピンの先端部を通過させる貫通孔とを有するケースと、
前記ケースの凹部を閉蓋する蓋部材と、
前記摺動部材の下部と前記ケースの凹部の底との間に設けられた弾性部材とを含み、
前記摺動部材の上部と前記凹部と前記蓋部材で形成される空間に圧縮気体が供給され、
前記圧縮気体の圧力は、前記摺動部材が前記弾性部材によって上方に押される力と、前記摺動部材が前記圧縮気体によって下方に押される力とが釣り合うように調整される、請求項9に記載のパターン修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−221907(P2006−221907A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32934(P2005−32934)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】