説明

パターン形成方法

【課題】微細化したホール又はラインのパターンを、従来よりも容易に形成する製造方法を提供する。
【解決手段】被加工膜(2)上に第1のカーボン膜(3)と第1のARL(4)を順次堆積し、第1のARLをパターニングする工程、第2のカーボン膜(6)と第2のARL(7)を順次堆積し、第2のARLをパターニングする工程と、第2のARLをマスクとして第2のカーボン膜を除去する工程と、露出した第1のARLとをマスクとして、第1のカーボン膜を除去する工程と、残存している第1及び第2のカーボン膜をマスクとして被加工膜のエッチングを行う工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素を主成分とする膜と反射防止膜(Anti-Reflecting Layer、以下、ARLという)との積層構造からなるハードマスクを用いたホール又はラインのパターン形成工程を備えたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能の半導体素子を形成するために、微細化が進んでも所望の形状のホールやラインのパターンを容易に形成する方法が求められている。
【0003】
このような要求を解決する技術の1つとして、2枚のフォトマスクを用い、それぞれのフォトマスクで半導体基板上に形成したパターンの重ね合せによって、所望の形状のパターンを得る方法が知られている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1は、最初に形成したハードマスクのパターンと、後に形成するフォトレジスト膜のパターンとの組合せで、最終的にホールのパターンを形成するものである。
【0005】
また、特許文献2は、第1のハードマスクと第2のハードマスクとの積層マスクを用い、第1のハードマスクと第2のハードマスクが相互に排他的なエッチ特性を有する酸化膜と窒化膜の組み合わせであることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−520875号公報
【特許文献2】特開2007−027742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、微細化のより一層の進展に伴い、フォトレジスト膜のパターンを直接マスクとして用いてドライエッチングを行う事には困難を伴う。これは、高解像度の特性を備えた微細加工用のフォトレジスト膜を、所望の形状となるよう正確にパターン形成するには、フォトレジスト膜厚をできるだけ薄くする必要があり、エッチング耐性が不足するためである。
【0008】
また、フォトレジスト膜にシリコン等の物質を添加することでエッチング耐性を高めることも可能であるが、そのような添加物を加えたフォトレジストは、一般的に解像性能が低下するため、微細なパターンの形成が難しい。
【0009】
また特許文献1、2は共に、最初に形成したハードマスクの上に、そのまま新たなフォトレジスト膜のパターンを形成している。このため、ハードマスク層による段差が存在し、フォトレジスト膜の微細なパターンの形成が困難となる。これは、下地の段差の影響によって、フォトレジスト膜の膜厚が局所的に厚くなってしまい、露光によって均一なパターン形成を行うことが困難となるためである。
【0010】
このような状況に鑑み、本発明では、微細化したホール又はラインのパターンを、従来よりも容易に形成する製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る一実施形態になるパターン形成方法は、
被加工膜上に第1のカーボン膜と第1のARLを順次堆積する工程と、
前記第1のARL上に第1のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のフォトレジストパターンをマスクに前記第1のARLのパターンを形成する工程と、
前記第1のARLパターン及び第1のカーボン膜を覆うように、第2のカーボン膜と第2のARLを順次堆積する工程と、
前記第2のARL上に第2のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のフォトレジストパターンをマスクに、前記第2のARLを、少なくとも前記第1のARLパターンと重ならない開口領域を含むパターンに形成する工程と、
前記第2のARLパターンをマスクとして前記第2のカーボン膜を除去する工程と、
前記第2のARLパターンと、前記第2のカーボン膜の除去によって露出した第1のARLパターンとをマスクとして、前記第1のカーボン膜を除去する工程と、
残存している前記第1及び第2のカーボン膜をマスクとして被加工膜のエッチングを行う工程と
を備えている。
【0012】
また、本発明に係る別の実施形態になるパターン形成方法は、上記の第2のカーボン膜に代えて、有機塗布膜を使用する方法である。
【発明の効果】
【0013】
2回に分けて形成したハードマスク(カーボン膜及びARL)の組合せによってホール又はラインのパターンを形成することで、パターニングに使用するフォトレジスト膜を解像度の高い薄膜状態で使用することが可能となる。また、2回目のフォトレジスト膜パターン形成に際して、下地の段差が緩和されているため、2回目のフォトレジスト膜のパターニングが従来よりも容易となる。従って、微細なパターンを容易に形成することが可能となる。
【0014】
また、2回目のハードマスクとして有機塗布膜とARLの積層膜を用いた場合には、下地の段差緩和効果が向上し、表面がより一層平坦化されるため、さらなる微細化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施例に係る、形成すべきホールパターンの概略平面図である。
【図2】第1の実施例に係る、第1のフォトレジスト膜のパターニング後の断面図である。
【図3】第1の実施例に係る、第1フォトレジスト膜のパターニングに使用する第1のフォトマスクを説明する平面図である。
【図4】第1の実施例に係る、第1のARLのパターニング後の断面図である。
【図5】第1の実施例に係る、第2のハードマスク層の積層後の断面図である。
【図6】第1の実施例に係る、第2のフォトレジスト膜のパターニング後の断面図である。
【図7】第1の実施例に係る、第2フォトレジスト膜のパターニングに使用する第2のフォトマスクを説明する平面図である。
【図8】第1の実施例に係る、第2のARLのパターニング後の断面図である。
【図9】第1の実施例に係る、第1及び第2のカーボン膜のパターニング後の断面図である。
【図10】第1の実施例に係る、被加工膜エッチング直後の断面図である。
【図11】第1の実施例に係る、第1カーボン膜除去後の断面図である。
【図12】第2の実施例に係る、形成すべき配線層パターンの概略平面図である。
【図13】第2の実施例に係る、第1のハードマスク層の積層後の断面図である。
【図14】第2の実施例に係る、第1フォトレジスト膜のパターニングに使用する第1のフォトマスクを説明する平面図である。
【図15】第2の実施例に係る、第1のフォトレジスト膜のパターニング後の断面図である。
【図16】第2の実施例に係る、第1のARLのパターニング後の断面図である。
【図17】第2の実施例に係る、第2のフォトレジスト膜のパターニング後の断面図である。
【図18】第2の実施例に係る、第2フォトレジスト膜のパターニングに使用する第2のフォトマスクを説明する平面図である。
【図19】第2の実施例に係る、第2のARLのパターニング後の断面図である。
【図20】第2の実施例に係る、第1及び第2のカーボン膜のパターニング後の断面図である。
【図21】第2の実施例に係る、被加工膜エッチング直後の断面図である。
【図22】第2の実施例に係る、配線層形成後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、コンタクトプラグやDRAM素子のキャパシタを形成するためのホール(開口)パターン、及び配線層等を形成するためのラインパターンの双方に適用することができる。
【0017】
[第1の実施例]
まず、ホールパターンを形成する場合の製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、形成するホールパターンを示した平面図で、半導体基板(図示せず)上に設けた被加工膜としての層間絶縁膜2に複数のホール10(図1では例として9つ)を形成する。ホールの数は一例であり、特に限定されない。
【0018】
図1のA−A’、B−B’、C−C’、D−D’における断面図を(A)、(B)、(C)、(D)として図2以降の断面図で示す。
まず、図2に示したように、半導体基板1上に、シリコン酸化膜(SiO)等の層間絶縁膜2を1000nm程度の膜厚にCVD法等で堆積する。
【0019】
層間絶縁膜2上には、600nm程度の膜厚の第1のカーボン膜3と、50nm程度の膜厚の第1のARL4を順次形成する。
【0020】
具体的には、カーボン膜としては、メタン(CH)、アセチレン(C)、エタン(C)等のハイドロカーボンを主原料として、プラズマCVD装置にて堆積した非晶質カーボン膜(アモルファスカーボン膜)を用いることができる。また、ARLとしては、シリコン酸窒化膜(SiON)上にシリコン酸化膜を堆積した構造の積層膜を用いることができる。
【0021】
ARLは、露光装置を用いてフォトレジスト膜のパターニングを行う際に、下層からの反射光の影響を抑制すると共に、本発明においては、エッチングの際のハードマスクとしても機能する。従って、シリコン酸窒化膜のように、ドライエッチングの際にカーボン膜とのエッチング速度比(選択比)を大きく設定できる材料が含まれていることが好ましい。
【0022】
第1のARL4上には、第1のフォトレジスト膜5を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行う。第1のフォトレジスト膜には、例えば、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)に対して感光性を備えた化学増幅型フォトレジストを用いることができる。
【0023】
第1のフォトレジスト膜5のパターニングに使用する第1のフォトマスクのレイアウトについて、図3の平面図を用いて説明する。
図3には、参考のため、後の工程でホール10が形成される場所を破線に囲まれた斜線で示した(第1のフォトマスク上には、ホール10のパターン自体は存在しない)。
【0024】
11は第1のフォトマスクの遮光領域で、D−D’方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。12は第1のフォトマスクの透過領域(透明領域)で、C−C’方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。遮光領域11と透過領域12の幅は、ホール10のレイアウトによって規定され、必ずしも等しくなくても良い。
【0025】
第1のフォトマスクを用いた露光及び現像を行うことにより、遮光領域11に対応した位置のフォトレジスト膜5は残存し、透過領域12に対応した位置のフォトレジスト膜5は除去されて、図2に示したフォトレジスト膜5のパターンが形成される。
【0026】
次に、フォトレジスト膜5のパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、図4に示したように、第1のARL4のパターニングを行う。この際に、第1のARL4と第1のフォトレジスト膜5のエッチング選択比が小さくなるようにすることにより、図4に示したように、第1のARL4をテーパー形状に残存させることができる。具体的には、CF、O、Arの混合ガスを3:1:5程度の流量比率で用い、平行平板型プラズマエッチング装置を用いてドライエッチングを行えばよい。なお、第1のARL4は、完全なテーパー形状でなくてもよく、第1のARL4の上面に近い部分のみにテーパーが形成されているだけでもよい。
【0027】
このエッチングに際して、第1のフォトレジスト膜5のエッチングも進行し、一部が除去される。残存している第1のフォトレジスト膜5は、硫酸過水(HSO/H)等の薬液を用いた剥離処理によって除去すればよい。
【0028】
このように、第1のフォトレジスト膜5は、第1のARL4をエッチングするだけのマスク耐性を備えていれば良いので、フォトレジスト膜を薄膜化することによって微細なパターン(例えば残存部分の幅が50nm以下)であっても、容易に形成することができる。
【0029】
次に、図5に示したように、第2のカーボン膜6を第1のARL4を覆うように100nm程度の膜厚に堆積する。第1のARL4の少なくとも上面近傍をテーパー形状に形成しておくことにより、空洞(ボイド)等の形成を抑制して、隣接する第1のARL4のスペース部を充填するように、容易に第2のカーボン膜6を堆積することができる。第2のカーボン膜は第1のカーボン膜と同じ材料で形成すればよい。
【0030】
第2のカーボン膜6上に、第2のARL7を50nm程度の膜厚に堆積する。第2のARLは第1のARLと同じ材料で形成すればよい。
【0031】
次に、図6に示したように、第2のARL7上に、第2のフォトレジスト膜8を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行う。第2のフォトレジスト膜8には、例えば、ArFエキシマレーザー光に対して感光性を備えた化学増幅型フォトレジストを用いることができる。
【0032】
第2のフォトレジスト膜8のパターニングに使用する第2のフォトマスクのレイアウトについて、図7の平面図を用いて説明する。
図7には、参考のため、後の工程でホール10が形成される場所を破線に囲まれた斜線で示した(第2のフォトマスク上には、ホール10のパターン自体は存在しない)。
【0033】
13は第2のフォトマスクの遮光領域で、B−B’方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。14は第2のフォトマスクの透過領域で、A−A’方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。遮光領域13と透過領域14の幅は、ホール10のレイアウトによって規定され、必ずしも等しくなくても良い。第1のフォトマスク(図3)の透過領域12及び第2のフォトマスク(図7)の透過領域14の交差した部分にホール10が形成されることになる。つまり、ホール10に対応する部分では、第1のARLパターンと重ならない開口領域が第2のARLに形成できるように、第2のフォトマスクを配置する。
【0034】
第2のフォトマスクを用いた露光及び現像を行うことにより、遮光領域13に対応した位置の第2のフォトレジスト膜8は残存し、透過領域14に対応した位置の第2のフォトレジスト膜8は除去されて、図6に示した第2のフォトレジスト膜8が、第1のARL4のライン状パターンと交差するライン状パターンに形成される。
【0035】
次に図8に示したように、第2のフォトレジスト膜8のパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、第2のARL7のパターニングを行う。第2のARLは必ずしもテーパー形状に加工する必要は無いので、第2のARL7と第2のフォトレジスト膜8のエッチング選択比が高くなる条件にてエッチングを行えばよい。具体的には、CFガスを用いて平行平板型プラズマエッチング装置でエッチングを行えばよい。第2のフォトレジスト膜8は後の工程で除去されるので残存したままでもよいし、第1のフォトレジスト膜5と同様に、この時点で除去してもよい。
【0036】
このように、第2のフォトレジスト膜8も、第2のARL7をエッチングするだけのマスク耐性を備えていれば良いので、フォトレジスト膜を薄膜化することによって微細なパターン(例えば残存部分の幅が50nm以下)であっても、容易に形成することができる。
【0037】
また、第2のカーボン膜6の堆積によって、下地の段差が緩和されているため、第2のフォトレジスト膜8のパターン形成が容易となる。
【0038】
次に、第1及び第2のARLをマスクとしてカーボン膜を選択的に除去できる条件にてドライエッチングを行うことで、図9に示したように、第2のカーボン膜6及び第1のカーボン膜3を除去する。図9(A)に示したように、第2のカーボン膜6が除去されて第1のARL4が露出した部分は、第1のARL4がマスクとなって下層の第1のカーボン膜3が除去される。
【0039】
具体的には、平行平板型プラズマエッチング装置を用い、以下のような条件に設定することで、ARLをマスクとしてカーボン膜を選択的にエッチングできる(エッチング速度の選択比50程度となる)。
【0040】
流量=100sccm
Ar流量=100sccm
圧力=1.33Pa(10mTorr)
パワー=500W
【0041】
第2のフォトレジスト膜8が残存している場合には、このエッチングに際してカーボン膜が除去されると共に、フォトレジスト膜のエッチングも進行するので、第2のフォトレジスト膜8も同時に除去される。
【0042】
次に、図10に示したように第1及び第2のカーボン膜をマスクとして、層間絶縁膜2のエッチングを行う。
【0043】
具体的には、C、C、C、CHF、CH等のフルオロカーボン系ガスのグループから選択した少なくとも1種のガスにO、N、Ar、Xe等の添加ガスを加えて、異方性ドライエッチングを行えばよい。
【0044】
このエッチングに際しては、ARL膜のエッチングも進行するため、第1のARL4及び第2のARL7も除去される。また、図9(B)、(D)において、第2のARL7が除去された時点で、第2のカーボン膜6のエッチングも徐々に進行する。第2のカーボン膜6は堆積時の膜厚が薄いので、最終的にすべて除去され、第1のARL4が露出する。第1のARL4も最終的に、すべて除去され、第1のカーボン膜3のみがマスクとして残存する。
【0045】
次に、残存した第1のカーボン膜3をOガスを用いたプラズマアッシングによって除去すると、図11に示したように、層間絶縁膜2にホール10が形成される。
【0046】
以上説明したように、本発明では、2回に分けて形成したハードマスク(カーボン膜及びARL)の組合せによってホールのパターンを形成することができる。この際に、ハードマスクのパターン形成に使用するフォトレジスト膜は、上層のARLのエッチング耐性だけ供えていればよい。従って、ArF光源等で露光可能な微細加工用のフォトレジスト膜に、エッチング耐性を高めるための厚膜化やSi等の添加を行う必要がなく、フォトレジスト膜を解像度が高い状態で使用することが可能となる。また、2回目のフォトレジスト膜パターン形成に際して、下地の段差が緩和されているため、フォトレジスト膜のパターニングが従来よりも容易となる。従って、容易に従来よりもさらに微細化したパターンを形成することが可能となる。
【0047】
本発明の形成方法は、例えばDRAM素子のメモリセルにおいて、キャパシタ電極を埋め込むためホールを形成する等の、所定の規則で複数のホールが配置されているパターンを形成する際に適用するのが好適である。
【0048】
なお、第1のフォトマスクのパターンと第2のフォトマスクのパターンは必ずしも直交する必要は無く、直角以外の所定の角度で交差してもよい。
【0049】
[第1の実施例の変形例]
第1のARLのパターニングまでは、第1の実施例と同様に行う(図4)。
次に、第2のカーボン膜6の代わりに、塗布によって形成可能であり、カーボン膜と同様に酸素プラズマ等で除去可能な炭素を主成分とする有機膜(有機塗布膜という)を形成する。
【0050】
具体的には、ポリヒドロキシスチレン樹脂を主成分とし、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)や乳酸エチル等の有機溶媒を添加した材料が使用できる。また、シリコンを含有した有機膜も使用可能であり、具体的には、ノボラック樹脂やアクリルポリマーにポリシロキサンを添加したポリシロキサン系有機膜を用いることができる。
【0051】
これらの有機膜はスピンコート法によって塗布を行った後に、85〜200℃程度の温度でベークを行うことで焼成する。この後は、形成した有機塗布膜上に、第1の実施例と同様に第2のARL膜7を形成する。
【0052】
これらの有機塗布膜はカーボン膜と同様にエッチングを行うことが可能であり、ハードマスクとして機能する。また、ARLとのエッチング選択比も、カーボン膜と同様に大きくとることができる。
【0053】
また、有機塗布膜は塗布によって形成されるので、カーボン膜に比べて表面の平坦性が向上する。従って、第2のフォトレジスト膜8を露光装置を用いてパターニングする際に、塗布されたフォトレジスト膜の膜厚が均一となり、焦点深度等の製造余裕が増加するので、パターンをより一層容易に、精度良く形成することが可能となる。
【0054】
[第2の実施例]
本発明を、金属膜をパターニングした配線層(ラインパターン)の形成に適用する場合について説明する。
【0055】
図12は、形成するラインパターンの配置を示した平面図で、半導体基板(図示せず)上に設けた層間絶縁膜32上に複数の配線層40(図12では例として6本)を形成する。配線層数は一例であり、特に限定されない。
【0056】
図12のA−A’における断面図を図13以降の断面図で示す。
まず、図13に示したように、半導体基板31上に、シリコン酸化膜(SiO)等の層間絶縁膜32を100nm程度の膜厚にCVD法等で堆積し、その上にタングステン(W)等の加工したい金属膜33を80nm程度の膜厚に堆積する。
【0057】
金属膜33上にはハードマスクとして使用するシリコン酸化膜34を100nm程度の膜厚にCVD法等で堆積する。シリコン酸化膜34上に、600nm程度の膜厚の第1のカーボン膜35と、50nm程度の膜厚の第1のARL36を順次形成する。
【0058】
第1のARL36上には、第1のフォトレジスト膜37を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行う。第1のフォトレジスト膜37には、例えば、ArFエキシマレーザー光に対して感光性を備えた化学増幅型フォトレジストを用いることができる。
【0059】
第1のフォトレジスト膜37のパターニングに使用する第1のフォトマスクのレイアウトについて、図14の平面図を用いて説明する。
図14に、参考のため、後の工程で配線層50が形成される場所を破線に囲まれた領域で示した。
【0060】
41は第1のフォトマスクの遮光領域で、図面上で上下方向(A−A’と直交する方向)に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。42は第1のフォトマスクの透過領域で、図面上で上下方向(A−A’と直交する方向)方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。
【0061】
図14に示したように、遮光領域41は、最終的に形成される配線層40の1本置きに対応した位置に設けられている。また遮光領域41のA−A’方向の幅は、形成する配線層40の幅よりも広くなるように配置されている。
【0062】
第1のフォトマスクを用いた露光及び現像を行うことにより、遮光領域41に対応した位置の第1のフォトレジスト膜37は残存し、透過領域42に対応した位置の第1のフォトレジスト膜37は除去されて、図15に示したように第1のフォトレジスト膜37のパターンが形成される。
【0063】
次に、第1のフォトレジスト膜37のパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、図16に示したように、第1のARL36のパターニングを行う。この際に、第1のARL36と第1のフォトレジスト膜37のエッチング選択比が低くなるようにし、第1のフォトレジスト膜37は横方向にもエッチングが進行するようにする。これにより、図16に示したように、第1のARL36をテーパー形状に残存させることができると共に、第1のフォトレジスト膜37のパターン幅よりも寸法(底面部分の幅)を小さくした第1のARL36を形成することができる。なお、第1のARL36は、完全なテーパー形状でなくてもよく、第1のARL36の上面に近い部分のみにテーパーが形成されているだけでもよい。
【0064】
このエッチングに際して、第1のフォトレジスト膜37のエッチングも進行し、エッチングと同時に除去される。残存している第1のフォトレジスト膜37は、硫酸過水(HSO/H)等の薬液を用いた剥離処理によって除去すればよい。
【0065】
図14に示したように、第1のフォトマスクにおいては、形成するラインの幅、間隔共に最終的に形成したい配線層50(図12)よりも拡大した配置とすることができる(例えば形成したい配線層の幅25nmに対して、第1のフォトレジスト膜37の幅が50nmとなるように形成できる)。併せて、第1のフォトレジスト膜37は、第1のARL36をエッチングするだけのマスク耐性を備えていれば良いので、フォトレジスト膜を薄膜化することによって微細なパターンであって、第1のフォトレジスト膜37のパターン寸法を、形成したい配線幅と同じになるようにレイアウトした第1のフォトマスクを用い、第1のフォトレジスト膜37をサイドエッチングさせることなく第1のARL36を加工するようにしてもよい。その場合にも、微細化に適した高解像度のフォトレジストを使用できるので、微細なパターンであっても、容易に形成することができる。
【0066】
また、第2のカーボン膜37の堆積によって、下地の段差が緩和されているため、第1のフォトレジスト膜37のパターン形成が容易である。
【0067】
次に、図17に示したように、第2のカーボン膜38を第1のARL36を覆うように100nm程度の膜厚に堆積する。第1のARL36の少なくとも上面近傍をテーパー形状に形成しておくことにより、空洞(ボイド)等の形成を抑制して、隣接する第1のARL36のスペース部を充填するように、容易に第2のカーボン膜38を堆積することができる。
【0068】
第2のカーボン膜38上に、第2のARL39を50nm程度の膜厚に堆積する。
第2のARL39上に、第2のフォトレジスト膜40を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングを行う。第2のフォトレジスト膜40には、ArFエキシマレーザー光に対して感光性を備えた化学増幅型フォトレジストを用いることができる。
【0069】
第2のフォトレジスト膜40のパターニングに使用する第2のフォトマスクのレイアウトについて、図18の平面図を用いて説明する。
図18に、参考のため、後の工程で配線層50が形成される場所を破線に囲まれた斜線で示した。
【0070】
43は第2のフォトマスクの遮光領域で、図面上で上下方向(A−A’と直交する方向)に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。44は第2のフォトマスクの透過領域で、図面上で上下方向(A−A’と直交する方向)方向に延在する複数の帯状のパターンで形成されている。
【0071】
図18に示したように、遮光領域43は、最終的に形成される配線層50の1本置きに対応した位置に設けられている。また遮光領域43のA−A’方向の幅は、形成する配線層50の幅よりも広くなるように配置されている。遮光領域43は第1のフォトマスク(図14)の透過領域42の位置に設けられている。
【0072】
第2のフォトマスクを用いた露光及び現像を行うことにより、遮光領域43に対応した位置の第2のフォトレジスト膜40は残存し、透過領域44に対応した位置の第2のフォトレジスト膜40は除去されて、図17に示したように第2のフォトレジスト膜40のパターンが形成される。
【0073】
次に図19に示したように、第2のフォトレジスト膜40のパターンをマスクとしてドライエッチングを行い、第2のARL39のパターニングを行う。この際に、第2のARL39と第2のフォトレジスト膜40のエッチング選択比が低くなるようにし、第2のフォトレジスト膜40は横方向にもエッチングが進行するようにする。これにより、図19に示したように、第2のフォトレジスト膜40の幅よりも狭い幅を有するように、第2のARL39を残存させることができる。
【0074】
図18に示したように、第2のフォトマスクにおいては、形成するラインの幅、間隔共に最終的に形成したい配線層50(図12)よりも拡大した配置とすることができる(例えば形成したい配線層の幅25nmに対して、第2のフォトレジスト膜40の幅が50nmとなるように形成できる)。併せて、第2のフォトレジスト膜40は、第2のARL39をエッチングするだけのマスク耐性を備えていれば良いので、フォトレジスト膜を薄膜化することによって微細なパターンであっても、容易に形成することができる。
【0075】
なお、第2のフォトレジスト膜40の寸法を、形成したい配線幅と同じになるようにレイアウトした第2のフォトマスクを用い、第2のフォトレジスト膜40をサイドエッチングさせることなく第2のARL39を加工するようにしてもよい。その場合にも、微細化に適した高解像度のフォトレジストを使用できるので、微細なパターンであっても、容易に形成することができる。第2のフォトレジスト膜40は、後の工程で除去されるため、残存した状態でもよい。
【0076】
次に、第1及び第2のARL(36,39)をマスクとしてカーボン膜を選択的に除去できる条件にてドライエッチングを行うことで、図20に示したように、第2のカーボン膜38及び第1のカーボン膜35を除去する。図9に示したように、第2のカーボン膜38が除去されて第1のARL36が露出した部分は、第1のARL36がマスクとなって下層の第1のカーボン膜35が除去される。第2のフォトレジスト膜40が残存していた場合にも、このエッチングに際してエッチングが進行し、同時に除去される
【0077】
次に、図21に示したように第1及び第2のカーボン膜(35,38)をマスクとして、被加工膜としてのシリコン酸化膜34のエッチングを行う。
【0078】
このエッチングに際しては、ARL膜のエッチングも進行するため、第1のARL膜36及び第2のARL膜39も除去される。
【0079】
次に、残存した第1のカーボン膜35をOガスを用いたプラズマアッシングによって除去した後に、ライン状にパターニングされたシリコン酸化膜34をマスクとして金属膜33の異方性ドライエッチングを行うと、図22に示したように、金属膜33のラインパターン(配線層50)が形成される。
【0080】
なお、最後のハードマスクとして使用したシリコン酸化膜34は、そのまま配線層の表面保護膜としてそのまま残してもよいし、又はエッチング工程を追加して除去してもよい。
【0081】
以上説明したように、本発明では、2回に分けて形成したハードマスク(カーボン膜及びARL)の組合せによってラインのパターンを形成することができる。この際に、ハードマスクのパターン形成に使用するフォトレジスト膜は、上層のARLのエッチング耐性だけ供えていればよい。従って、ArF光源等で露光可能な微細加工用のフォトレジスト膜に、エッチング耐性を高めるための厚膜化やSi等の添加を行う必要がなく、フォトレジスト膜を解像度が高い状態で使用することが可能となる。また、2回目のフォトレジスト膜パターン形成に際して、下地の段差が緩和されているため、フォトレジスト膜のパターニングが従来よりも容易となる。従って、容易に従来よりもさらに微細化したパターンを形成することが可能となる。
【0082】
本実施例の形成方法は、例えばDRAM素子のワード線やビット線等の、所定の方向に延在する配線層が複数配置されているパターンを形成する際に適用するのが好適である。
【0083】
なお、なお、第1のフォトマスクのパターンと第2のフォトマスクのパターンは必ずしも直線形状でなくてもよく、一部湾曲したライン形状で、平行に配置されたものでもよい。
【0084】
第2の実施例においても、第1の実施例に適用した変形例をそのまま適用することが可能である。
【0085】
また、カーボン膜やARLの膜厚は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 半導体基板
2 層間絶縁膜(被加工膜)
3 第1のカーボン膜
4 第1のARL
5 第1のフォトレジスト膜
6 第2のカーボン膜
7 第2のARL
8 第2のフォトレジスト膜
10 ホール
11 第1のフォトマスクの遮光領域
12 第1のフォトマスクの透過領域
13 第2のフォトマスクの遮光領域
14 第2のフォトマスクの透過領域
31 半導体基板
32 層間絶縁膜
33 金属膜
34 シリコン酸化膜(被加工膜)
35 第1のカーボン膜
36 第1のARL
37 第1のフォトレジスト膜
38 第2のカーボン膜
39 第2のARL
40 第2のフォトレジスト膜
41 第1のフォトマスクの遮光領域
42 第1のフォトマスクの透過領域
43 第2のフォトマスクの遮光領域
44 第2のフォトマスクの透過領域
50 配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜上に第1のカーボン膜と第1の反射防止膜を順次堆積する工程と、
前記第1の反射防止膜上に第1のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のフォトレジストパターンをマスクに前記第1の反射防止膜のパターンを形成する工程と、
前記第1の反射防止膜パターン及び第1のカーボン膜を覆うように、第2のカーボン膜と第2の反射防止膜を順次堆積する工程と、
前記第2の反射防止膜上に、第2のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のフォトレジストパターンをマスクに、前記第2の反射防止膜を、少なくとも前記第1の反射防止膜パターンと重ならない開口領域を含むパターンに形成する工程と、
前記第2の反射防止膜パターンをマスクとして前記第2のカーボン膜を除去する工程と、
前記第2の反射防止膜パターンと、前記第2のカーボン膜の除去によって露出した第1の反射防止膜パターンとをマスクとして、前記第1のカーボン膜を除去する工程と、
残存している前記第1及び第2のカーボン膜をマスクとして被加工膜のエッチングを行う工程と
を備えるパターン形成方法。
【請求項2】
被加工膜上に第1のカーボン膜と第1の反射防止膜を順次堆積する工程と、
前記第1の反射防止膜上に第1のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のフォトレジストパターンをマスクに前記第1の反射防止膜のパターンを形成する工程と、
前記第1の反射防止膜パターン及び第1のカーボン膜を覆うように、有機塗布膜を塗布形成する工程と、
前記有機塗布膜上に第2の反射防止膜を堆積する工程と、
前記第2の反射防止膜上に、第2のフォトレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のフォトレジストパターンをマスクに、前記第2の反射防止膜を、少なくとも前記第1の反射防止膜パターンと重ならない開口領域を含むパターンに形成する工程と、
前記第2の反射防止膜パターンをマスクとして前記有機塗布膜を除去する工程と、
前記第2の反射防止膜パターンと、前記有機塗布膜の除去によって露出した前記第1の反射防止膜パターンとをマスクとして、前記第1のカーボン膜を除去する工程と、
残存している前記第1のカーボン膜と有機塗布膜とをマスクとして被加工膜のエッチングを行う工程と
を備えるパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の反射防止膜パターンはライン状に形成される請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の反射防止膜パターンは互いに交差するライン状パターンであり、これらパターンの重なりによって構成される開口部に対応するホールを被加工膜に形成する請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の反射防止膜パターンは互いに重ならない平行なライン状パターンであり、互いのパターンの間隙に対応する溝パターンを被加工膜に形成する請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記溝パターンを形成した被加工膜が金属膜上に形成した酸化膜であり、さらに、該酸化膜をマスクとして、金属膜をエッチングして配線層を形成する工程を有する請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
少なくとも前記第1の反射防止膜パターンは、上部に向かって細くなるテーパー形状を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の反射防止膜パターンは、それぞれ対応する第1及び第2のフォトレジストパターンをサイドエッチすることにより、第1及び第2のフォトレジストパターンの初期幅よりも狭いパターンに形成される請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−199519(P2010−199519A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46057(P2009−46057)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】