パターン形成方法
【解決手段】式(1)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位aと、ラクトン環を有する繰り返し単位bを含有する(メタ)アクリレートポリマーと、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液として2−ヘプタノンを50質量%以上含有する溶液による現像を行うパターン形成方法。
(式中、R2は酸不安定基である。)
【効果】安全にネガティブトーンパターンを形成できるプロセスを構築できる。
(式中、R2は酸不安定基である。)
【効果】安全にネガティブトーンパターンを形成できるプロセスを構築できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分を溶解させ、露光部が溶解しないネガティブパターンを得るためのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。一方、X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。しかしながら、この場合マスクを交換しながらの2回の露光を行う必要があるため、これによるスループットの低下と、2回の露光の位置ずれが問題となる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。これも前述の通り2回露光の問題点を有している。
【0011】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0012】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜6(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特開2008−281980号公報、特開2009−53657号公報、特開2009−25707号公報、特開2009−25723号公報)にパターン形成方法が示されている。
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合、環状の酸安定基エステルを有するメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0013】
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献7(特開2008−309878号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献8(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0014】
前記特開2008−281974号公報中、現像液としては、ネガ型現像を行う際に使用し得る有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤が示され、具体的にはケトン系溶剤として、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、エステル系溶剤として、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、アルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、エーテル系溶剤としては、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アミド系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が示されている。
【0015】
これらの中で多くの有機溶剤が例示されているが、実際にはこれらの全てを用いることはできず、中にはスペース部分が溶解せずに全くパターンが形成されないものもあるし、膜減りが著しいものも存在する。また、引火点が低すぎて安全性の観点から実用に耐えない現像液も存在する。
【0016】
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合、環状の酸安定基エステルを有するメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0017】
有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
特許文献9(特許第4445860号公報)には、カリックスアレーンをEB描画し、酢酸n−ブチルあるいは乳酸エチルで現像してネガパターンを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特開2008−281980号公報
【特許文献4】特開2009−53657号公報
【特許文献5】特開2009−25707号公報
【特許文献6】特開2009−25723号公報
【特許文献7】特開2008−309878号公報
【特許文献8】特開2008−309879号公報
【特許文献9】特許第4445860号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
有機溶剤によるネガティブ現像を行うための溶解コントラストが高く、安全性が高い最適な現像液を開発する必要がある。
本発明は、有機溶剤によるネガティブトーン現像を行うための最適な現像液とレジスト組成物を組み合わせたパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の有機溶剤現像液として、溶解コントラストの観点からは酢酸ブチルが好ましい。しかしながら、酢酸ブチルの引火点は28℃と低いために、これをコーターデベロッパーで安全に使用するためには防爆装置が必要となり、装置のコストアップにつながる。引火点が40℃以上で酢酸ブチルと同等あるいはそれ以上の溶解コントラストを供することができる有機溶剤現像液が求められている。
【0022】
酢酸ブチルよりも炭素数が多い酢酸アミルでは引火点が45℃であり、安全性の観点から好ましいが、未露光部の溶解速度が低下する。酢酸ブチルと同じ炭素数の蟻酸アミルは同程度の溶解コントラストを得ることができるが引火点が25℃であり、酢酸ブチルよりも更に引火性が増す。エステル系溶剤で酢酸ブチルよりも炭素数が少ない溶剤では引火点が更に下がり、また溶解性が高すぎて現像後のレジストパターンの露光部分の残膜が低下する。
【0023】
従って、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール、プロピレングリコールのヒドロキシ基置換体及び乳酸エチル、シクロヘキサノン等は単独でレジスト用剤として用いられるぐらいに溶解性が高いために現像後のレジストパターンが残らない。アルコール系溶剤はトップコート用の溶剤に用いられるぐらいレジストの溶解性が低く、現像後の未露光部のスペースパターンが溶解しない。
引火点が40℃以上で溶解コントラストが高い現像液の開発が望まれている。
【0024】
本発明者は、かかる要望に応えるため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)中の繰り返し単位a、bを有する化学増幅ポジ型のレジスト組成物を用いて形成したレジスト膜を2−ヘプタノンを主成分とする現像液を用いて現像すると、レジスト膜の露光部分が溶解せず、非露光部分が溶解するネガティブトーンパターンが形成されると共に、その溶解コントラストを高くすることができ、格子状のマスクパターンを用いて露光、現像することにより、微細なホールパターンを形成し得ることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0025】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位aと、ラクトン環を有する繰り返し単位bの両方を含有する(メタ)アクリレートポリマーと、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液として2−ヘプタノンを50質量%以上含有する溶液による現像を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
請求項2:
現像液が、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステルから選ばれる1種以上が50質量%未満の割合で混合されたものであることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
請求項4:
光が照射された部分が現像液に溶解せず、未露光部分が現像液に溶解し、現像後のパターンがネガティブトーンになることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項5:
現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、格子状のシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項7:
格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
請求項8:
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
請求項9:
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の現像液を用いることによって、安全にネガティブトーンパターンを形成できるプロセスを構築できる。本発明の現像液は、酸拡散を抑えることができる特徴がある酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体をベースとするレジスト組成物に対して特に溶解コントラストを高くすることができ、格子状のマスクパターンを用いた露光と現像によって微細なホールパターンを形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1、比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図17】ArF露光パターニング評価(3)で用いた格子状の上にドットが配置されたパターンのマスクを示す。
【図18】ArF露光パターニング評価(4)で用いた格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、上述したように酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体をベースとするフォトレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、2−ヘプタノンを50質量%以上含有する有機溶剤現像によりネガティブパターンを得るパターン形成方法を提案するものである。
【0029】
酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体の繰り返し単位としては、下記一般式(1)中の繰り返し単位a及びbである。
【化2】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、フッ素原子等で置換された非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【0030】
繰り返し単位aを得るためのモノマーMaは、下記に示される。
【化3】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は酸不安定基である。Xは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。)
【0031】
繰り返しモノマーMaのXを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。ここで、R1、R2は前述の通りである。
【化4】
【0032】
一般式(1)中、R2で示される酸不安定基は種々選定され、従来から知られた酸不安定基が用いられるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0033】
【化5】
【0034】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0035】
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0036】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0037】
【化6】
【0038】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0039】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−44に例示する。
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0044】
【化10】
【0045】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0046】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0047】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−45〜(AL−11)−52のものが挙げられる。
【0048】
【化11】
【0049】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0050】
【化12】
【0051】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0052】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0053】
【化13】
【0054】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0055】
【化14】
【0056】
特に、R2で示される酸不安定基として、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化15】
(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77、又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成してもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79、又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0057】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化16】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R1は上記の通りである。
【0058】
【化17】
【0059】
更に、前記R2に用いられる酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基を挙げることができる。
【0060】
【化18】
(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0061】
下記フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化19】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R1は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
上記の酸不安定基としては、(AL−12)の3級エステル型が有機溶剤現像における溶解コントラストが高く、好ましく用いられる。3級エステルの中では(AL−12)−1〜(AL−12)−16、(AL−12)−19に挙げられる酸不安定基が最も好ましく用いられる。
【0065】
繰り返し単位bに用いられるモノマーは、具体的には下記に例示される。ここで、R3は前述の通りである。
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【化24】
【0068】
密着性基としては、ラクトンを有するものが好ましく用いられる。ラクトンの密着性基の場合は、2−ヘプタノンを現像液として用いた場合の溶解コントラストが高いだけでなく、酸拡散を抑えることができる特徴がある。ラクトンの中でも繰り返し単位bで示される構造のラクトンが溶解コントラスト向上と酸拡散制御の点で優れている。その中でも一般式(1)の繰り返し単位b中のYが単結合のものが酸拡散制御の観点で優れている。
【0069】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)の繰り返し単位aと、繰り返し単位bを有することが必須であるが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
【化31】
【0077】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩d1〜d3のいずれかを共重合することもできる。
【化32】
(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。)
【0078】
上記繰り返し単位a、b、c、d1、d2、d3において、繰り返し単位の比率は、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0、0≦c<1.0、0≦d1<0.2、0≦d2<0.2、0≦d3<0.2、好ましくは、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0.2≦a+b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d1≦0.15、0≦d2≦0.15、0≦d3≦0.15、より好ましくは、0.15≦a≦0.8、0.15≦b≦0.8、0.25≦a+b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d1≦0.12、0≦d2≦0.12、0≦d3≦0.12の範囲である。なお、a+b+c+d1+d2+d3=1である。
【0079】
ここで、例えばa+b=1とは、繰り返し単位a,bを含む高分子化合物において、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa,b以外に他の繰り返し単位c等を有していることを示す。
【0080】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0081】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0082】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーとブレンドすることも可能である。
ヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物と、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドすることも可能であるし、ヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位と、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位の両方を有する高分子化合物にヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドしたり、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドすることも可能である。
【0083】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a、b、c、d1、d2、d3を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0084】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を有機溶剤によるネガティブ現像で溶解させ、トレンチパターンやホールパターン等のネガティブパターンを形成する。
【0085】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0086】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0087】
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。繰り返し単位d1、d2、d3から選ばれる重合性の酸発生剤が共重合されている場合は、必ずしも酸発生剤は添加しなくてもよい。
【0088】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
【0089】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられ、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0090】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報、特開2008−122932号公報、特開2009−98638号公報、特開2009−276363号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。アミノ基を共重合した撥水性の高分子化合物を添加するレジスト組成物としては、特開2009−31767号公報に、スルホン酸アミン塩の共重合品は特開2008−107443号公報に、カルボン酸アミン塩の共重合品は特開2008−239918号公報に記載されているものを用いることができる。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0091】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0092】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0093】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUVが挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位等のモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0094】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0095】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージュアベーク(PEB)する。
【0096】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターン40aが基板上に形成される。この時の現像液としては、有機溶剤の現像液が2−ヘプタノンを50質量%以上含有し、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノンのケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステル類から選ばれる1種以上の溶液を50質量%未満の割合で混合されていても構わない。
【0097】
2−ヘプタノンは、従来挙げられている現像液の酢酸ブチルよりも高い引火点であり、安全性に優れているだけでなく、現像後の溶解コントラストが高い特徴を有する。即ち現像後のγ(コントラストカーブの傾き)が高く、露光部の膜減りが少ない。
【0098】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0099】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0100】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを挙げることができる。
【0101】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0102】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明とで組み合わせた露光は、確かに高コントラストであるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。そこで、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。これだとマスクの交換が必要ないため、連続した2回の露光で済むためスループットがやや向上する。しかしながら、高価な液浸スキャナーを使っての2回の露光は、スループットの低下とコストアップにつながるし、2回の露光のアライメントの位置ずれによって穴の位置が本来の場所からずれる問題を有している。
ここで、格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせれば、1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0103】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0104】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低いことが分かる。
【0105】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0106】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0107】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0108】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0109】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0110】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0111】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜14及び比較ポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0112】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化33】
【0113】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化34】
【0114】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化35】
【0115】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化36】
【0116】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化37】
【0117】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化38】
【0118】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,730
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化39】
【0119】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=6,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化40】
【0120】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.95
【化41】
【0121】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化42】
【0122】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化43】
【0123】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化44】
【0124】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化45】
【0125】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化46】
【0126】
比較レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化47】
【0127】
比較レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化48】
【0128】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
【化49】
【0129】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化50】
【0130】
撥水性ポリマー2
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.54
【化51】
【0131】
塩基性化合物:Quencher1、Quencher2(下記構造式参照)
【化52】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0132】
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜を80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを160nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−305B、NA0.68、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後110℃で60秒間ベーク(PEB)し、表2に示される有機溶剤で60秒間パドル現像を行った後、表2に示される有機溶剤で500rpmでリンスした後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させ、ネガ現像を行った。
PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求めた。結果を図15に示す。
また、コントラストカーブの傾きγ、露光部分のPEBの膜厚から現像後の膜厚の差分を求めた。結果を表2に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
ArF露光パターニング評価(2)
下記表3に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A941(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図16に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後、表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表4に示す現像液を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0136】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
ArF露光パターニング評価(3)
上記表3に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−1,2、比較レジスト2−1,2)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅15nmの図17に示されるレイアウトの格子状の上にドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量とフォーカス位置を変化させながら露光を行い、露光後、表5に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0140】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0141】
【表5】
【0142】
ArF露光パターニング評価(4)
上記表3に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−1,2、比較レジスト2−1,2)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nmの図18に示されるレイアウトの格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後、表6に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0143】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンのマスク上A位置とB位置のホールの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定した。結果を表6に示す。
【0144】
【表6】
【0145】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0146】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
40a レジストパターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分を溶解させ、露光部が溶解しないネガティブパターンを得るためのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。一方、X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。しかしながら、この場合マスクを交換しながらの2回の露光を行う必要があるため、これによるスループットの低下と、2回の露光の位置ずれが問題となる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。これも前述の通り2回露光の問題点を有している。
【0011】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0012】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜6(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特開2008−281980号公報、特開2009−53657号公報、特開2009−25707号公報、特開2009−25723号公報)にパターン形成方法が示されている。
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合、環状の酸安定基エステルを有するメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0013】
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献7(特開2008−309878号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献8(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0014】
前記特開2008−281974号公報中、現像液としては、ネガ型現像を行う際に使用し得る有機系現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤が示され、具体的にはケトン系溶剤として、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、エステル系溶剤として、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、アルコール系溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、エーテル系溶剤としては、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アミド系溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭化水素系溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が示されている。
【0015】
これらの中で多くの有機溶剤が例示されているが、実際にはこれらの全てを用いることはできず、中にはスペース部分が溶解せずに全くパターンが形成されないものもあるし、膜減りが著しいものも存在する。また、引火点が低すぎて安全性の観点から実用に耐えない現像液も存在する。
【0016】
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合、環状の酸安定基エステルを有するメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0017】
有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
特許文献9(特許第4445860号公報)には、カリックスアレーンをEB描画し、酢酸n−ブチルあるいは乳酸エチルで現像してネガパターンを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特開2008−281980号公報
【特許文献4】特開2009−53657号公報
【特許文献5】特開2009−25707号公報
【特許文献6】特開2009−25723号公報
【特許文献7】特開2008−309878号公報
【特許文献8】特開2008−309879号公報
【特許文献9】特許第4445860号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
有機溶剤によるネガティブ現像を行うための溶解コントラストが高く、安全性が高い最適な現像液を開発する必要がある。
本発明は、有機溶剤によるネガティブトーン現像を行うための最適な現像液とレジスト組成物を組み合わせたパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の有機溶剤現像液として、溶解コントラストの観点からは酢酸ブチルが好ましい。しかしながら、酢酸ブチルの引火点は28℃と低いために、これをコーターデベロッパーで安全に使用するためには防爆装置が必要となり、装置のコストアップにつながる。引火点が40℃以上で酢酸ブチルと同等あるいはそれ以上の溶解コントラストを供することができる有機溶剤現像液が求められている。
【0022】
酢酸ブチルよりも炭素数が多い酢酸アミルでは引火点が45℃であり、安全性の観点から好ましいが、未露光部の溶解速度が低下する。酢酸ブチルと同じ炭素数の蟻酸アミルは同程度の溶解コントラストを得ることができるが引火点が25℃であり、酢酸ブチルよりも更に引火性が増す。エステル系溶剤で酢酸ブチルよりも炭素数が少ない溶剤では引火点が更に下がり、また溶解性が高すぎて現像後のレジストパターンの露光部分の残膜が低下する。
【0023】
従って、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール、プロピレングリコールのヒドロキシ基置換体及び乳酸エチル、シクロヘキサノン等は単独でレジスト用剤として用いられるぐらいに溶解性が高いために現像後のレジストパターンが残らない。アルコール系溶剤はトップコート用の溶剤に用いられるぐらいレジストの溶解性が低く、現像後の未露光部のスペースパターンが溶解しない。
引火点が40℃以上で溶解コントラストが高い現像液の開発が望まれている。
【0024】
本発明者は、かかる要望に応えるため鋭意検討を行った結果、下記一般式(1)中の繰り返し単位a、bを有する化学増幅ポジ型のレジスト組成物を用いて形成したレジスト膜を2−ヘプタノンを主成分とする現像液を用いて現像すると、レジスト膜の露光部分が溶解せず、非露光部分が溶解するネガティブトーンパターンが形成されると共に、その溶解コントラストを高くすることができ、格子状のマスクパターンを用いて露光、現像することにより、微細なホールパターンを形成し得ることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0025】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位aと、ラクトン環を有する繰り返し単位bの両方を含有する(メタ)アクリレートポリマーと、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液として2−ヘプタノンを50質量%以上含有する溶液による現像を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
請求項2:
現像液が、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステルから選ばれる1種以上が50質量%未満の割合で混合されたものであることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
請求項3:
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
請求項4:
光が照射された部分が現像液に溶解せず、未露光部分が現像液に溶解し、現像後のパターンがネガティブトーンになることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項5:
現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項6:
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、格子状のシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
請求項7:
格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
請求項8:
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
請求項9:
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の現像液を用いることによって、安全にネガティブトーンパターンを形成できるプロセスを構築できる。本発明の現像液は、酸拡散を抑えることができる特徴がある酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体をベースとするレジスト組成物に対して特に溶解コントラストを高くすることができ、格子状のマスクパターンを用いた露光と現像によって微細なホールパターンを形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1、比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図17】ArF露光パターニング評価(3)で用いた格子状の上にドットが配置されたパターンのマスクを示す。
【図18】ArF露光パターニング評価(4)で用いた格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、上述したように酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体をベースとするフォトレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、2−ヘプタノンを50質量%以上含有する有機溶剤現像によりネガティブパターンを得るパターン形成方法を提案するものである。
【0029】
酸不安定基を有する(メタ)アクリレートと特定の有橋環式のラクトンを密着性基として有する(メタ)アクリレートの共重合体の繰り返し単位としては、下記一般式(1)中の繰り返し単位a及びbである。
【化2】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、フッ素原子等で置換された非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【0030】
繰り返し単位aを得るためのモノマーMaは、下記に示される。
【化3】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は酸不安定基である。Xは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。)
【0031】
繰り返しモノマーMaのXを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。ここで、R1、R2は前述の通りである。
【化4】
【0032】
一般式(1)中、R2で示される酸不安定基は種々選定され、従来から知られた酸不安定基が用いられるが、特に下記式(AL−10)、(AL−11)で示される基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0033】
【化5】
【0034】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0035】
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0036】
式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【0037】
【化6】
【0038】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0039】
前記式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−44に例示する。
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
【化9】
【0043】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0044】
【化10】
【0045】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0046】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0047】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−45〜(AL−11)−52のものが挙げられる。
【0048】
【化11】
【0049】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【0050】
【化12】
【0051】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0052】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17、(AL−12)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17、(AL−12)−18のR64は前述と同様、R68は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は1〜3の整数である。
【0053】
【化13】
【0054】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【0055】
【化14】
【0056】
特に、R2で示される酸不安定基として、下記式(AL−12)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化15】
(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子を示す。あるいは、R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77、又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成してもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79、又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0057】
ここで、一般式(AL−12)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化16】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、R1は上記の通りである。
【0058】
【化17】
【0059】
更に、前記R2に用いられる酸不安定基としては、下記式(AL−12)−20に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基を挙げることができる。
【0060】
【化18】
(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。又は、R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0061】
下記フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化19】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、R1は上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
上記の酸不安定基としては、(AL−12)の3級エステル型が有機溶剤現像における溶解コントラストが高く、好ましく用いられる。3級エステルの中では(AL−12)−1〜(AL−12)−16、(AL−12)−19に挙げられる酸不安定基が最も好ましく用いられる。
【0065】
繰り返し単位bに用いられるモノマーは、具体的には下記に例示される。ここで、R3は前述の通りである。
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【化24】
【0068】
密着性基としては、ラクトンを有するものが好ましく用いられる。ラクトンの密着性基の場合は、2−ヘプタノンを現像液として用いた場合の溶解コントラストが高いだけでなく、酸拡散を抑えることができる特徴がある。ラクトンの中でも繰り返し単位bで示される構造のラクトンが溶解コントラスト向上と酸拡散制御の点で優れている。その中でも一般式(1)の繰り返し単位b中のYが単結合のものが酸拡散制御の観点で優れている。
【0069】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)の繰り返し単位aと、繰り返し単位bを有することが必須であるが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位cを共重合させてもよい。
繰り返し単位cを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
【化27】
【0073】
【化28】
【0074】
【化29】
【0075】
【化30】
【0076】
【化31】
【0077】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩d1〜d3のいずれかを共重合することもできる。
【化32】
(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。)
【0078】
上記繰り返し単位a、b、c、d1、d2、d3において、繰り返し単位の比率は、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0、0≦c<1.0、0≦d1<0.2、0≦d2<0.2、0≦d3<0.2、好ましくは、0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0.2≦a+b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d1≦0.15、0≦d2≦0.15、0≦d3≦0.15、より好ましくは、0.15≦a≦0.8、0.15≦b≦0.8、0.25≦a+b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d1≦0.12、0≦d2≦0.12、0≦d3≦0.12の範囲である。なお、a+b+c+d1+d2+d3=1である。
【0079】
ここで、例えばa+b=1とは、繰り返し単位a,bを含む高分子化合物において、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位a,bの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa,b以外に他の繰り返し単位c等を有していることを示す。
【0080】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0081】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0082】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーとブレンドすることも可能である。
ヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物と、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドすることも可能であるし、ヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位と、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位の両方を有する高分子化合物にヒドロキシ基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドしたり、カルボキシル基を酸不安定基で置換した繰り返し単位を有する高分子化合物をブレンドすることも可能である。
【0083】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a、b、c、d1、d2、d3を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0084】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を有機溶剤によるネガティブ現像で溶解させ、トレンチパターンやホールパターン等のネガティブパターンを形成する。
【0085】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0086】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0087】
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。繰り返し単位d1、d2、d3から選ばれる重合性の酸発生剤が共重合されている場合は、必ずしも酸発生剤は添加しなくてもよい。
【0088】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
【0089】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられ、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0090】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報、特開2008−122932号公報、特開2009−98638号公報、特開2009−276363号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。アミノ基を共重合した撥水性の高分子化合物を添加するレジスト組成物としては、特開2009−31767号公報に、スルホン酸アミン塩の共重合品は特開2008−107443号公報に、カルボン酸アミン塩の共重合品は特開2008−239918号公報に記載されているものを用いることができる。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0091】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0092】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0093】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUVが挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位等のモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0094】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0095】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージュアベーク(PEB)する。
【0096】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターン40aが基板上に形成される。この時の現像液としては、有機溶剤の現像液が2−ヘプタノンを50質量%以上含有し、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノンのケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステル類から選ばれる1種以上の溶液を50質量%未満の割合で混合されていても構わない。
【0097】
2−ヘプタノンは、従来挙げられている現像液の酢酸ブチルよりも高い引火点であり、安全性に優れているだけでなく、現像後の溶解コントラストが高い特徴を有する。即ち現像後のγ(コントラストカーブの傾き)が高く、露光部の膜減りが少ない。
【0098】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0099】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0100】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを挙げることができる。
【0101】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0102】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明とで組み合わせた露光は、確かに高コントラストであるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。そこで、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。これだとマスクの交換が必要ないため、連続した2回の露光で済むためスループットがやや向上する。しかしながら、高価な液浸スキャナーを使っての2回の露光は、スループットの低下とコストアップにつながるし、2回の露光のアライメントの位置ずれによって穴の位置が本来の場所からずれる問題を有している。
ここで、格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせれば、1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0103】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0104】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低いことが分かる。
【0105】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0106】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0107】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0108】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0109】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0110】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0111】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜14及び比較ポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0112】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化33】
【0113】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化34】
【0114】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化35】
【0115】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化36】
【0116】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化37】
【0117】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化38】
【0118】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,730
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化39】
【0119】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=6,500
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化40】
【0120】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.95
【化41】
【0121】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化42】
【0122】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化43】
【0123】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化44】
【0124】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化45】
【0125】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化46】
【0126】
比較レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化47】
【0127】
比較レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化48】
【0128】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
【化49】
【0129】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化50】
【0130】
撥水性ポリマー2
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.54
【化51】
【0131】
塩基性化合物:Quencher1、Quencher2(下記構造式参照)
【化52】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0132】
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜を80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを160nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−305B、NA0.68、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後110℃で60秒間ベーク(PEB)し、表2に示される有機溶剤で60秒間パドル現像を行った後、表2に示される有機溶剤で500rpmでリンスした後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させ、ネガ現像を行った。
PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求めた。結果を図15に示す。
また、コントラストカーブの傾きγ、露光部分のPEBの膜厚から現像後の膜厚の差分を求めた。結果を表2に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
ArF露光パターニング評価(2)
下記表3に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A941(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図16に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後、表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表4に示す現像液を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0136】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
ArF露光パターニング評価(3)
上記表3に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−1,2、比較レジスト2−1,2)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅15nmの図17に示されるレイアウトの格子状の上にドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量とフォーカス位置を変化させながら露光を行い、露光後、表5に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0140】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0141】
【表5】
【0142】
ArF露光パターニング評価(4)
上記表3に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−1,2、比較レジスト2−1,2)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nmの図18に示されるレイアウトの格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後、表6に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後、静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後、スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
【0143】
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンのマスク上A位置とB位置のホールの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定した。結果を表6に示す。
【0144】
【表6】
【0145】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0146】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
40a レジストパターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位aと、ラクトン環を有する繰り返し単位bの両方を含有する(メタ)アクリレートポリマーと、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液として2−ヘプタノンを50質量%以上含有する溶液による現像を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【請求項2】
現像液が、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステルから選ばれる1種以上が50質量%未満の割合で混合されたものであることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
【請求項4】
光が照射された部分が現像液に溶解せず、未露光部分が現像液に溶解し、現像後のパターンがネガティブトーンになることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、格子状のシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項7】
格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【請求項8】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【請求項9】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【請求項1】
下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位aと、ラクトン環を有する繰り返し単位bの両方を含有する(メタ)アクリレートポリマーと、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に現像液として2−ヘプタノンを50質量%以上含有する溶液による現像を行うことを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を示すが、互いに同一でも異なっていてもよい。R2は酸不安定基である。X、Yは単結合又は−C(=O)−O−R9−であり、R9は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、該アルキレン基はエーテル基、エステル基、ラクトン環又はヒドロキシ基を有していてもよく、あるいはナフチレン基である。R4、R6、R7、R8は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基、R5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、カルボキシル基、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。a、bは0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【請求項2】
現像液が、2−ヘプタノンに加えて、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プルピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルエステルから選ばれる1種以上が50質量%未満の割合で混合されたものであることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、又は波長13.5nmのEUVリソグラフィーであることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン形成方法。
【請求項4】
光が照射された部分が現像液に溶解せず、未露光部分が現像液に溶解し、現像後のパターンがネガティブトーンになることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
現像後にトレンチパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、格子状のシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のパターン形成方法。
【請求項7】
格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項6記載のパターン形成方法。
【請求項8】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【請求項9】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項6又は7記載のパターン形成方法。
【図1】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【公開番号】特開2012−32780(P2012−32780A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116495(P2011−116495)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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