パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計
【課題】二枚のウエハ(ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハ)の接合時に両ウエハ間で発生したガスを外部に放出し易くする。
【解決手段】真空チャンバ61内に配設した下治具31および上治具33によってベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて、圧電振動片4を封止した複数個のキャビティを有するウエハ接合体60を形成し、ウエハ接合体60を複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、リッド基板用ウエハ50は、積層方向に貫通する貫通孔21を有し、下治具31は、貫通孔21と真空チャンバ61内とを連通する連通孔31aを有し、陽極接合によってウエハ接合体60を形成するときに貫通孔21と連通孔31aとを連通させる。
【解決手段】真空チャンバ61内に配設した下治具31および上治具33によってベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて、圧電振動片4を封止した複数個のキャビティを有するウエハ接合体60を形成し、ウエハ接合体60を複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、リッド基板用ウエハ50は、積層方向に貫通する貫通孔21を有し、下治具31は、貫通孔21と真空チャンバ61内とを連通する連通孔31aを有し、陽極接合によってウエハ接合体60を形成するときに貫通孔21と連通孔31aとを連通させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャビティ内に電子部品を封止可能なパッケージの製造方法、このパッケージの製造方法により製造されたパッケージ内に電子部品として圧電振動片が封止された圧電振動子、該圧電振動子を有する発振器、電子機器及び電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、互いが積層状態で陽極接合されることによって両者間にキャビティが形成されるベース基板およびリッド基板と、ベース基板においてキャビティ内に位置する部分にマウントされた作動片と、を備えるパッケージ製品が広く用いられている。
この種のパッケージ製品として、例えば、携帯電話や携帯情報端末機器に装着され、時刻源や制御信号などのタイミング源、リファレンス信号源などとして水晶などを利用した圧電振動子が知られている。
【0003】
そして、このようなパッケージ製品を、以下のように形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
まず、ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを、真空チャンバ内に配設された陽極接合装置にセットして、導電性材料からなる陽極接合用の接合膜を介して、これらのベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを重ね合わせる。
【0004】
なお、リッド基板用ウエハの接合面には、ベース基板用ウエハと重ね合わせたときにキャビティを成す複数の凹部が形成されている。
また、ベース基板用ウエハの接合面には、リッド基板用ウエハの複数の凹部に対応して複数の作動片がマウントされるとともに、この接合面において作動片がマウントされた部分を除いた部分には接合膜が形成されている。
【0005】
そして、リッド基板用ウエハを、陽極接合装置の電極板上にセットする。
次に、リッド基板用ウエハを加熱して、この内部のイオンを活性化させながら、ベース基板用ウエハの接合膜と電極板との間に電圧を印加して、リッド基板用ウエハに電流を流す。
これにより、接合膜とリッド基板用ウエハの接合面との界面に電気化学的な反応を生じさせ、ベース基板用ウエハの接合膜とリッド基板用ウエハとを陽極接合させてウエハ接合体を形成する。
この後、このウエハ接合体を所定の位置で切断することにより、パッケージ製品を複数個形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来技術に係る方法では、陽極接合時に、ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハ(両ウエハ)において、凹部(キャビティ)若しくは作動片が配設された製品領域のうち、外周部分同士が中央部分同士よりも早く接合される傾向にある。
これに伴い、例えば中央部分にひずみや反りなどが生じることなどに起因して、この接合時に両ウエハ間で発生したガスが中央部分同士の間に留まり易くなる場合がある。
この場合には、この中央部分から得られるパッケージ製品のキャビティ内の真空度が低くなり、所望の性能を具備しないパッケージ製品が得られる虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、二枚のウエハ(ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハ)の接合時に両ウエハ間で発生したガスを外部に放出し易くすることができるパッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の請求項1に係るパッケージの製造方法は、真空チャンバ(例えば、実施の形態での真空チャンバ61)内に配設した治具(例えば、実施の形態での下治具31および上治具33)によってベース基板(例えば、実施の形態でのベース基板用ウエハ40)とリッド基板(例えば、実施の形態でのリッド基板用ウエハ50)とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて前記ベース基板および前記リッド基板の間に電子部品(例えば、実施の形態での圧電振動片4)を封止した複数個のキャビティを形成し、前記ベース基板および前記リッド基板を積層方向に加圧した状態で互いに陽極接合して接合体(例えば、実施の形態でのウエハ接合体60)を形成し、前記接合体を各前記複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、前記積層方向に貫通する貫通孔(例えば、実施の形態での貫通孔21)を有し、前記治具は、前記貫通孔と前記真空チャンバ内とを連通する連通孔(例えば、実施の形態での連通孔31a)を有し、前記陽極接合によって前記接合体を形成するときに前記貫通孔と前記連通孔とを連通させて前記ベース基板と前記リッド基板とを積層する。
【0010】
さらに、本発明の請求項2に係るパッケージの製造方法では、前記貫通孔は、前記ベース基板または前記リッド基板の径方向に伸びるスリット状である。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係るパッケージの製造方法では、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、径方向に伸びる溝部(例えば、実施の形態での溝22)を有し、複数の前記貫通孔は、前記溝部に形成されている。
【0012】
さらに、本発明の請求項4に係るパッケージの製造方法では、前記溝部は、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板の径方向端部で径方向外方に開口している。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る圧電振動子(例えば、実施の形態での圧電振動子1)は、請求項1から請求項4の何れか1つに記載のパッケージの製造方法により製造されたパッケージと、該パッケージの前記キャビティ内に封止された圧電振動片(例えば、実施の形態での圧電振動片4)と、を備えている。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る発振器(例えば、実施の形態での発振器100)は、請求項5に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されている。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る電子機器(例えば、実施の形態での携帯情報機器110)は、請求項5に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されている。
【0016】
また、本発明の請求項8に係る電波時計(例えば、実施の形態での電波時計130)は、請求項5に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に係るパッケージの製造方法によれば、少なくともベース基板またはリッド基板の貫通孔と真空チャンバ内とを連通する連通孔は、ベース基板とリッド基板とを積層方向の両側から挟みこんで積層させる治具に形成されている。
これにより、ベース基板とリッド基板との接合時に、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを貫通孔および連通孔を通して、ベース基板とリッド基板との間から真空チャンバ内に放出させることができ、キャビティ内の所望の真空度を確保した複数個のパッケージを容易に製造することができる。
【0018】
本発明の請求項2に係るパッケージの製造方法によれば、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを真空チャンバ内に放出させ易くすることができる。
【0019】
本発明の請求項3に係るパッケージの製造方法によれば、陽極接合においてベース基板またはリッド基板に生じるひずみを溝部および貫通孔に集中させるようにして、溝部および貫通孔を積極的に変形させることが可能になる。
【0020】
これにより、ベース基板とリッド基板とを、溝部および貫通孔を除く全域にわたって接触させた状態に維持することが可能になり、ベース基板とリッド基板とを全域にわたって接合することができる。
そして、複数の貫通孔は溝部に形成されているので、例えば溝部をプレス加工またはエッチング加工などで形成する際に、同時に貫通孔を形成することができ、パッケージ製品の製造効率を向上させることができる。
【0021】
本発明の請求項4に係るパッケージの製造方法によれば、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを真空チャンバ内に放出させ易くすることができる。
【0022】
本発明の圧電振動子によれば、キャビティ内の所望の真空度を確保し、作動信頼性を向上させることができる。
【0023】
本発明の発振器、電子機器及び電波時計によれば、作動信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図4】図2に示すB−B線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図5】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図6】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の上面図である。
【図7】図5に示す圧電振動片の下面図である。
【図8】図6に示す断面矢視C−C図である。
【図9】図1に示す圧電振動子を製造する際の流れを示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、リッド基板の元となるリッド基板用ウエハに凹部を形成した一実施形態を示す図である。
【図11】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、ベース基板の元となるベース基板用ウエハに一対のスルーホールを形成した状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態の後、一対のスルーホール内に貫通電極を形成すると共に、ベース基板用ウエハの上面に接合膜及び引き回し電極をパターニングした状態を示す図である。
【図13】図12に示す状態のベース基板用ウエハの全体図である。
【図14】本発明の実施の形態に係ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを陽極接合装置にセットした状態を示す概略図である。
【図15】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ接合体の分解斜視図である。
【図16】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図17】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図18】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るパッケージの製造方法および該パッケージの製造方法により製造されたパッケージを備える圧電振動子および該圧電振動子を備える発振器および電子機器および電波時計について説明する。
【0026】
本実施形態では、互いが積層状態で陽極接合されるとともに両者間にキャビティが形成されたベース基板およびリッド基板と、ベース基板においてキャビティ内に位置する部分にマウントされた作動片と、を備えるパッケージとして、圧電振動子を例に挙げて説明する。
【0027】
この圧電振動子1は、例えば図1から図5に示すように、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されており、内部のキャビティC内に圧電振動片(作動片)4が収納された表面実装型となっている。
なお、図5においては、図面を見易くするために後述する励振電極13、引き出し電極16、マウント電極14及び重り金属膜17の図示を省略している。
【0028】
圧電振動片4は、図6から図8に示すように、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
【0029】
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、この一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる励振電極13と、この励振電極13に電気的に接続されたマウント電極14とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、この振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部15を備えている。この溝部15は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0030】
上記励振電極13は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。
具体的には、図8に示すように、一方の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部15上と、他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、他方の励振電極13が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部15上とに主に形成されている。
【0031】
また、励振電極13は、図6及び図7に示すように、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極16を介してマウント電極14に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極14を介して電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極13、マウント電極14及び引き出し電極16は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0032】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜17が被膜されている。
なお、この重り金属膜17は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜17aと、微小に調整する際に使用される微調膜17bとに分かれている。
これら粗調膜17a及び微調膜17bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0033】
このように構成された圧電振動片4は、図2、図3及び図5に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。
より具体的には、後述する引き回し電極28上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極14がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。
これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極14と引き回し電極28とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0034】
上記リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3、図4及び図5に示すように、板状に形成されている。
そして、リッド基板3においてベース基板2が接合される接合面には、圧電振動片4が収まる平面視矩形状の凹部3aが形成されている。
この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4が収容されるキャビティCとなる。
そして、この凹部3aは、リッド基板3とベース基板2とが陽極接合されることでベース基板2により閉塞されている。
【0035】
上記ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図5に示すように、リッド基板3に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。
このベース基板2には、このベース基板2を貫通する一対のスルーホール25が形成されている。
一対のスルーホール25は、キャビティC内に収まるように形成されている。
【0036】
より詳しく説明すると、マウントされた圧電振動片4の基部12側に一方のスルーホール25が位置し、振動腕部10、11の先端側に他方のスルーホール25が位置するように形成されている。
なお、図示の例では、ベース基板2の板厚方向における全域にわたって同等の内径を有するスルーホール25を例に挙げて説明するが、この場合に限られず、例えば前記板厚方向に沿って漸次縮径若しくは拡径した内径を有するテーパー状などに形成しても構わない。
いずれにしても、ベース基板2を貫通していればよい。
【0037】
そして、これら一対のスルーホール25にはそれぞれ、貫通電極26が埋設されている。
これらの貫通電極26は、スルーホール25を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極29と引き回し電極28とを導通させている。
ベース基板2においてリッド基板3が接合される接合面には、例えばアルミニウム等の導電性材料により、陽極接合用の接合膜27と、一対の引き回し電極28とがパターニングされている。
接合膜27は、リッド基板3の接合面における凹部3aの非形成部分のほぼ全域にわたって該凹部3aの周囲を囲むように配置されている。
【0038】
また、一対の引き回し電極28は、一対の貫通電極26のうち、一方の貫通電極26と圧電振動片4の一方のマウント電極14とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極26と圧電振動片4の他方のマウント電極14とを電気的に接続するようにパターニングされている。
より詳しく説明すると、図2及び図5に示すように、一方の引き回し電極28は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極26の真上に形成されている。
また、他方の引き回し電極28は、一方の引き回し電極28に隣接した位置から、振動腕部11に沿って先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極26の真上に位置するように形成されている。
【0039】
そして、これら一対の引き回し電極28上にバンプBが形成されており、このバンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。
これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極14が、一方の引き回し電極28を介して一方の貫通電極26に導通し、他方のマウント電極14が、他方の引き回し電極28を介して他方の貫通電極26に導通するようになっている。
【0040】
また、ベース基板2において前記接合面と反対側の表面には、図1、図3及び図5に示すように、一対の貫通電極26に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極29が形成されている。
つまり、一方の外部電極29は、一方の貫通電極26及び一方の引き回し電極28を介して圧電振動片4の一方の励振電極13に電気的に接続されている。
また、他方の外部電極29は、他方の貫通電極26及び他方の引き回し電極28を介して、圧電振動片4の他方の励振電極13に電気的に接続されている。
【0041】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極29に対して、所定の駆動電圧を印加する。
これにより、圧電振動片4の励振電極13に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近又は離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。
そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0042】
次に、上述した圧電振動子1を、図9に示すフローチャートを参照しながら、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを利用して一度に複数製造する方法について説明する。
【0043】
初めに、圧電振動片作製工程を行って図6から図8に示す圧電振動片4を作製する(S10)。
具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。
【0044】
続いて、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後、ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。
続いて、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、このウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングすると共に、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極13、引き出し電極16、マウント電極14及び重り金属膜17を形成する。
これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
【0045】
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。
これは、重り金属膜17の粗調膜17aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。
これにより、目標とする公称周波数よりも若干広い範囲に周波数を収めることができる。
なお、共振周波数をより高精度に調整して、周波数を最終的に公称周波数の範囲内に追い込む微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
【0046】
次に、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程を行う(S20)。
【0047】
まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、図10に示すように、エッチング等により最外表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。
図示の例では、リッド基板用ウエハ50は平面視円形状に形成されるとともに、このウエハ50の外周部には、その外周縁上の二点を結ぶ直線(弦)に沿って切り欠かれた基準マーク部A1が形成されている。
【0048】
次いで、リッド基板用ウエハ50の接合面に、キャビティC用の凹部3aを多数形成する凹部形成工程を行う(S22)と共に、溝22を形成する溝形成工程(S23)および貫通孔21を形成する貫通孔形成工程を行う(S24)。
【0049】
凹部3aは、リッド基板用ウエハ50の接合面において、外周縁部50bよりも径方向内側に位置する部分(以下、製品領域という)50cに形成されている。
なお、凹部3aは、製品領域50cに、一方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該一方向に直交する他方向に間隔をあけて複数形成されている。
また、図示の例では、凹部3aは、リッド基板用ウエハ50の接合面において、外周縁部50bを除くほぼ全域にわたって形成されている。
【0050】
溝22は、リッド基板用ウエハ50の接合面において、例えば格子状に形成され、リッド基板用ウエハ50の径方向端部(外周縁)で径方向外方に開口している。
本実施形態では、溝22は、リッド基板用ウエハ50の接合面に放射状をなすように、このウエハ50の中心周りに等間隔をあけて2個形成されると共に、これら2個の溝22に平行に所定間隔をあけて複数形成されている。
また、溝22の幅は、平面視矩形状に形成された凹部3aの長手方向おける長さ以下となっている。
【0051】
貫通孔21は、リッド基板用ウエハ50を厚さ方向(後述する積層方向)に貫通し、溝22に複数形成されている。
本実施形態では、貫通孔21は、ウエハ50の中心における格子状の溝22の格子点の位置と、格子状の溝22の格子点かつ所定の第1半径の円周C1上の位置と、円周C1よりも小さな円周C2上の溝22の位置とに形成されている。
【0052】
また、リッド基板用ウエハ50の外周縁部50bにおいて、ウエハ50の中心を径方向で挟んで互いに反対となる各位置に、後述する陽極接合装置30の位置決め用ピンが挿入される位置決め孔50dが形成されている。
【0053】
この際、リッド基板用ウエハ50をエッチング加工することで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
また、治具を利用して、リッド基板用ウエハ50を加熱しながら上下からプレスすることで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
更には、リッド基板用ウエハ50上の必要箇所にガラスペーストをスクリーン印刷することで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
いずれの方法であっても構わない。
この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
【0054】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程を行う(S30)。
【0055】
まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最外表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。
ベース基板用ウエハ40は、図13に示されるように、平面視円形状に形成されるとともに、このウエハ40の外周部には、その外周縁上の二点を結ぶ直線(弦)に沿って切り欠かれた基準マーク部A2が形成されている。
【0056】
また、ベース基板用ウエハ40の外周縁部40bにおいて、このウエハ40の中心を径方向で挟んで互いに反対となる各位置に、後述する陽極接合装置30の位置決め用ピンが挿入される位置決め孔40dが形成されている。
次いで、図11に示すように、ベース基板用ウエハ40を貫通する一対のスルーホール25を複数形成するスルーホール形成工程(S32)を行う。
なお、図11に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、スルーホール25は、例えばサンドブラスト法や治具を利用したプレス加工等により形成される。
【0057】
ここで、一対のスルーホール25は、後に両ウエハ40、50を重ね合わせたときに、リッド基板用ウエハ50に形成した凹部3a内に各別に収まる位置で、かつ一方のスルーホール25が後にマウントする圧電振動片4の基部12側に配置されるとともに、他方のスルーホール25が振動腕部11の先端側に配置される位置に形成する。
図示の例では、一対のスルーホール25は、ベース基板用ウエハ40の接合面において、外周縁部40bよりも径方向内側に位置する部分(以下、製品領域という)40cに形成されている。
【0058】
なお、一対のスルーホール25は、製品領域40cに、一方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該一方向に直交する他方向に間隔をあけて複数形成されている。
また、図示の例では、一対のスルーホール25は、ベース基板用ウエハ40の接合面において、外周縁部40bを除くほぼ全域にわたって形成されている。
【0059】
続いて、一対のスルーホール25を図示しない導電体で埋めて、一対の貫通電極26を形成する貫通電極形成工程を行う(S33)。
続いて、ベース基板用ウエハ40の接合面に導電性材料をパターニングして、図12及び図13に示すように、接合膜27を形成する接合膜形成工程(S34)を行うと共に、一対の貫通電極26にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極28を複数形成する引き回し電極形成工程を行う(S35)。
以上より、一方の貫通電極26と一方の引き回し電極28とが導通すると共に、他方の貫通電極26と他方の引き回し電極28とが導通した状態となる。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
【0060】
なお、図12及び図13に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、図13では、接合膜27の図示を省略している。
さらに、図9では、接合膜形成工程(S34)の後に、引き回し電極形成工程(S35)を行う工程順序としているが、これとは逆に、引き回し電極形成工程(S35)の後に、接合膜形成工程(S34)を行っても構わないし、両工程を同時に行っても構わない。
いずれの工程順序であっても、同一の作用効果を奏することができる。
よって、必要に応じて適宜、工程順序を変更して構わない。
【0061】
次に、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極28を介してベース基板用ウエハ40の表面にバンプ接合するマウント工程を行う(S40)。
まず、一対の引き回し電極28上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。
【0062】
これにより、圧電振動片4は、バンプBに機械的に支持されると共に、マウント電極14と引き回し電極28とを電気的に接続している。
よって、この時点で圧電振動片4の一対の励振電極13は、一対の貫通電極26に対してそれぞれ導通した状態となる。
特に、圧電振動片4は、バンプ接合されるので、ベース基板用ウエハ40の接合面から浮いた状態で支持される。
【0063】
次に、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50を陽極接合装置30にセットする。
ここで、陽極接合装置30は、図14に示されるように、導電性材料で形成された下治具31と、加圧手段32により下治具31に対して進退可能に支持された上治具33と、上治具33にセットされるベース基板用ウエハ40の接合膜27と下治具31とを電気的に接続する通電手段34と、を備え、真空チャンバ61内に配設されている。
【0064】
そして、下治具31に凹部3aを上治具33に向けて開口させた状態でリッド基板用ウエハ50をセットし、かつ上治具33に圧電振動片4をリッド基板用ウエハ50の凹部3aに対向させた状態でベース基板用ウエハ40をセットする。
なお、この際、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50それぞれに形成された基準マーク部A1、A2を指標としつつ、各ウエハ40、50に形成された位置決め用孔40d、50dに陽極接合装置30に設けられた図示されない位置決め用ピンを挿入することにより、各ウエハ40、50それぞれの沿面方向に沿った位置を合わせる。
【0065】
また、リッド基板用ウエハ50がセットされる下治具31は、リッド基板用ウエハ50の貫通孔21と真空チャンバ61内とを連通する連通孔31aを有し、各ウエハ40、50が位置決めされた状態で貫通孔21と連通孔31aとは連通している。
【0066】
その後、加圧手段32を駆動して、上治具33を下治具31に向けて前進移動させ、リッド基板用ウエハ50の凹部3a内にベース基板用ウエハ40の圧電振動片4を進入させて、上治具3および下治具31によってベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを積層方向(つまり上治具33の移動方向)の両側から挟みこんで積層させ、これらの両ウエハ40、50を重ね合わせる重ね合わせ工程を行う(S50)。
これにより、ベース基板用ウエハ40にマウントされた圧電振動片4が、両ウエハ40、50同士の間に形成されたキャビティC内に収容された状態となる。
【0067】
次に、所定の温度下で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。
具体的には、通電手段34によりベース基板用ウエハ40の接合膜27と下治具31との間に所定の電圧を印加する。
すると、接合膜27とリッド基板用ウエハ50の接合面との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。
これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図15に示すウエハ接合体60を得ることができる。
【0068】
なお、図15においては、図面を見易くするために、ウエハ接合体60を分解した状態を図示しており、ベース基板用ウエハ40から接合膜27の図示を省略している。また、図15に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。
ところで、陽極接合を行う際、ベース基板用ウエハ40に形成されたスルーホール25は、貫通電極26によって完全に塞がれているので、キャビティC内の気密がスルーホール25を通じて損なわれることがない。
【0069】
また、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との陽極接合時に、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との間でガス(例えば、酸素ガスなど)が発生する場合であっても、溝22に形成された貫通孔21と、貫通孔21および真空チャンバ61内に連通する連通孔31aを通して、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との間から真空チャンバ61内に放出させることができ、キャビティC内の所望の真空度を確保することができる。
【0070】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40においてリッド基板用ウエハ50が接合された接合面と反対側の表面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極26にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極29を複数形成する外部電極形成工程を行う(S70)。
この工程により、外部電極29を利用してキャビティC内に封止された圧電振動片4を作動させることができる。
【0071】
次に、ウエハ接合体60の状態で、キャビティC内に封止された個々の圧電振動片4の周波数を微調整して所定の範囲内に収める微調工程を行う(S90)。
具体的に説明すると、外部電極29に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。
そして、周波数を計測しながらリッド基板用ウエハ50を通して外部からレーザ光を照射し、重り金属膜17の微調膜17bを蒸発させる。
これにより、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が変化するので、圧電振動片4の周波数を、公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
【0072】
周波数の微調が終了した後、接合されたウエハ接合体60を図15に示す切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S100)。
この結果、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す表面実装型の圧電振動子1を一度に複数個製造することができる。
【0073】
なお、切断工程(S100)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、微調工程(S90)を行う工程順序でも構わない。
但し、上述したように、微調工程(S90)を先に行うことで、ウエハ接合体60の状態で微調を行うことができるので、複数の圧電振動子1をより効率よく微調することができる。
よって、スループットの向上化を図ることができるので、より好ましい。
【0074】
この後、内部の電気特性検査を行う(S110)。
即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。
また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。
これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によるパッケージの製造方法によれば、リッド基板用ウエハ50に貫通孔21が形成されているので、前述の接合工程時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを、貫通孔21および連通孔31aを通して両ウエハ40、50間から外部に放出し易くすることが可能になり、キャビティC内の真空度が低い圧電振動子1が形成されるのを抑制することができる。
【0076】
また、接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみを貫通孔21に集中させてこの貫通孔21を積極的に変形させることが可能になる。
したがって、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士を、貫通孔21および凹部3aを除く全域にわたって当接させた状態に維持することが可能になり、この製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたって確実に接合することができる。
さらに、貫通孔21が凹部3aを有するリッド基板用ウエハ50に形成されているので、凹部3aを例えばプレス加工若しくはエッチング加工等で形成する際同時に貫通孔21を形成することが可能になり、このウエハ50を効率よく形成することができる。
【0077】
また、本実施形態では、リッド基板用ウエハ50の中心に貫通孔21が形成されているので、前記接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみによって貫通孔21をより確実に変形させることが可能になり、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたってより一層確実に接合することができる。
【0078】
さらに、両ウエハ40、50の接合時にこれらのウエハ40、50間で発生した酸素ガスが留まり易い中心に貫通孔21が形成されていて、この中心から圧電振動子1が得られることがないので、キャビティC内の真空度が低い圧電振動子1が形成されるのを確実に抑えることができる。
【0079】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、リッド基板用ウエハ50に貫通孔21を形成したが、ベース基板用ウエハ40にも形成してよい。この場合には、ベース基板用ウエハ40の貫通孔と真空チャンバ61内とを連通する連通孔を上治具33に形成すればよい。
また、貫通孔21の一例として円形状を示したが、これに限らず例えば、多角形状や径方向に伸びるスリット状等に形成してもよい。
【0080】
さらに、リッド基板用ウエハ50は径方向に沿って延びる溝22を備え、この溝22に貫通孔21が形成されているので、接合時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを確実にこれらのウエハ40、50間から外部に放出することができる。
しかも、溝22は、リッド基板用ウエハ50の径方向端部で径方向外方に開口していることから、接合時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを真空チャンバ61内に放出させ易くすることができる。
【0081】
さらに、接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみを溝22および貫通孔21に集中させて、溝22および貫通孔21を積極的に変形させることが可能になる。
したがって、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士を、溝22および貫通孔21および凹部3aを除く全域にわたって当接させた状態に維持することが可能になり、この製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたって確実に接合することができる。
【0082】
さらにまた、この構成において、溝22の半径方向外端は、ウエハ40、50の外周縁よりも半径方向内側に位置していることが好ましい。
この場合、溝22を形成したことによるウエハ40、50の強度低下が抑えられる。
【0083】
また、この構成において、溝22の半径方向外端よりも半径方向の外側に位置する部分には、接合膜27を形成しないのが好ましい。
この場合、両ウエハ40、50同士の間において、溝22の半径方向外端と、ウエハ40、50の外周縁との間に位置する部分が接合されておらず、これらの間の微小な隙間を通して酸素ガスを確実に両ウエハ40、50間から外部に放出することができる。
【0084】
さらに、溝22の幅を、例えば、平面視矩形状に形成される凹部3aの長手方向における長さ以下にすると、リッド基板用ウエハ50において凹部3aを形成することが可能な製品領域を広く確保し易くなり、一度に形成可能なパッケージ製品の個数を多くする、つまり歩留まりを向上させることが可能になる。
【0085】
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。
但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2上から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。
よって、この点において、バンプ接合することが好ましい。
さらに、上記実施形態では、パッケージ製品として圧電振動子1を示したが、これに限らず例えば適宜変更してもよい。
【0086】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0087】
なお、貫通孔21と連通孔31aは同じ形でもよいし、異形でもよい。
なお、貫通孔21は、溝22以外に形成されてもよい。
【0088】
(発振器)
次に、本発明の一実施形態に係る発振器について、図16を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図16に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。
この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。
基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片4が実装されている。
これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0089】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。
この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。
入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0090】
本実施形態の発振器100によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0091】
(電子機器)
次に、本発明の一実施形態に係る電子機器について、図17を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。
外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。
また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0092】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図17に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。
電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。
この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。
そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0093】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0094】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。
圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。
発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。
そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0095】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。
増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0096】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0097】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。
このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。
電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。
特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0098】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0099】
本実施形態の携帯情報機器110によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0100】
(電波時計)
次に、本発明の一実施形態に係る電波時計について、図18を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図18に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0101】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0102】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。
続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0103】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0104】
実施形態の電波時計130によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計130自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0105】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態では、パッケージ9の内部に電子部品として圧電振動片4を封止した圧電振動子1を例に挙げて説明したが、圧電振動片4以外の電子部品を封止して圧電振動子以外のデバイスとすることも可能である。
また、圧電振動片4を封止する場合には、音叉型に限られず、ATカットされた厚み滑り振動片でも構わない。
更に、音叉型の圧電振動片4とする場合、上記実施形態では振動腕部10、11の両主面に溝部18が形成された溝付きタイプの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部がないタイプの圧電振動片でも構わない。
但し、溝部を形成することで、電圧印加時に励振電極間における電界効率を上げることができるので、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片の高性能化を図ることができる。この点において、溝部を形成する方が好ましい。
【符号の説明】
【0107】
1 圧電振動子
4 圧電振動片
21 貫通孔
22 溝(溝部)
31 下治具
31a 連通孔
33 上治具
40 ベース基板用ウエハ(ベース基板)
50 リッド基板用ウエハ(リッド基板)
60 真空チャンバ
61 ウエハ接合体(接合体)
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャビティ内に電子部品を封止可能なパッケージの製造方法、このパッケージの製造方法により製造されたパッケージ内に電子部品として圧電振動片が封止された圧電振動子、該圧電振動子を有する発振器、電子機器及び電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、互いが積層状態で陽極接合されることによって両者間にキャビティが形成されるベース基板およびリッド基板と、ベース基板においてキャビティ内に位置する部分にマウントされた作動片と、を備えるパッケージ製品が広く用いられている。
この種のパッケージ製品として、例えば、携帯電話や携帯情報端末機器に装着され、時刻源や制御信号などのタイミング源、リファレンス信号源などとして水晶などを利用した圧電振動子が知られている。
【0003】
そして、このようなパッケージ製品を、以下のように形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
まず、ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを、真空チャンバ内に配設された陽極接合装置にセットして、導電性材料からなる陽極接合用の接合膜を介して、これらのベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを重ね合わせる。
【0004】
なお、リッド基板用ウエハの接合面には、ベース基板用ウエハと重ね合わせたときにキャビティを成す複数の凹部が形成されている。
また、ベース基板用ウエハの接合面には、リッド基板用ウエハの複数の凹部に対応して複数の作動片がマウントされるとともに、この接合面において作動片がマウントされた部分を除いた部分には接合膜が形成されている。
【0005】
そして、リッド基板用ウエハを、陽極接合装置の電極板上にセットする。
次に、リッド基板用ウエハを加熱して、この内部のイオンを活性化させながら、ベース基板用ウエハの接合膜と電極板との間に電圧を印加して、リッド基板用ウエハに電流を流す。
これにより、接合膜とリッド基板用ウエハの接合面との界面に電気化学的な反応を生じさせ、ベース基板用ウエハの接合膜とリッド基板用ウエハとを陽極接合させてウエハ接合体を形成する。
この後、このウエハ接合体を所定の位置で切断することにより、パッケージ製品を複数個形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−339896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来技術に係る方法では、陽極接合時に、ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハ(両ウエハ)において、凹部(キャビティ)若しくは作動片が配設された製品領域のうち、外周部分同士が中央部分同士よりも早く接合される傾向にある。
これに伴い、例えば中央部分にひずみや反りなどが生じることなどに起因して、この接合時に両ウエハ間で発生したガスが中央部分同士の間に留まり易くなる場合がある。
この場合には、この中央部分から得られるパッケージ製品のキャビティ内の真空度が低くなり、所望の性能を具備しないパッケージ製品が得られる虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、二枚のウエハ(ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハ)の接合時に両ウエハ間で発生したガスを外部に放出し易くすることができるパッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の請求項1に係るパッケージの製造方法は、真空チャンバ(例えば、実施の形態での真空チャンバ61)内に配設した治具(例えば、実施の形態での下治具31および上治具33)によってベース基板(例えば、実施の形態でのベース基板用ウエハ40)とリッド基板(例えば、実施の形態でのリッド基板用ウエハ50)とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて前記ベース基板および前記リッド基板の間に電子部品(例えば、実施の形態での圧電振動片4)を封止した複数個のキャビティを形成し、前記ベース基板および前記リッド基板を積層方向に加圧した状態で互いに陽極接合して接合体(例えば、実施の形態でのウエハ接合体60)を形成し、前記接合体を各前記複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、前記積層方向に貫通する貫通孔(例えば、実施の形態での貫通孔21)を有し、前記治具は、前記貫通孔と前記真空チャンバ内とを連通する連通孔(例えば、実施の形態での連通孔31a)を有し、前記陽極接合によって前記接合体を形成するときに前記貫通孔と前記連通孔とを連通させて前記ベース基板と前記リッド基板とを積層する。
【0010】
さらに、本発明の請求項2に係るパッケージの製造方法では、前記貫通孔は、前記ベース基板または前記リッド基板の径方向に伸びるスリット状である。
【0011】
さらに、本発明の請求項3に係るパッケージの製造方法では、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、径方向に伸びる溝部(例えば、実施の形態での溝22)を有し、複数の前記貫通孔は、前記溝部に形成されている。
【0012】
さらに、本発明の請求項4に係るパッケージの製造方法では、前記溝部は、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板の径方向端部で径方向外方に開口している。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る圧電振動子(例えば、実施の形態での圧電振動子1)は、請求項1から請求項4の何れか1つに記載のパッケージの製造方法により製造されたパッケージと、該パッケージの前記キャビティ内に封止された圧電振動片(例えば、実施の形態での圧電振動片4)と、を備えている。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る発振器(例えば、実施の形態での発振器100)は、請求項5に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されている。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る電子機器(例えば、実施の形態での携帯情報機器110)は、請求項5に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されている。
【0016】
また、本発明の請求項8に係る電波時計(例えば、実施の形態での電波時計130)は、請求項5に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に係るパッケージの製造方法によれば、少なくともベース基板またはリッド基板の貫通孔と真空チャンバ内とを連通する連通孔は、ベース基板とリッド基板とを積層方向の両側から挟みこんで積層させる治具に形成されている。
これにより、ベース基板とリッド基板との接合時に、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを貫通孔および連通孔を通して、ベース基板とリッド基板との間から真空チャンバ内に放出させることができ、キャビティ内の所望の真空度を確保した複数個のパッケージを容易に製造することができる。
【0018】
本発明の請求項2に係るパッケージの製造方法によれば、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを真空チャンバ内に放出させ易くすることができる。
【0019】
本発明の請求項3に係るパッケージの製造方法によれば、陽極接合においてベース基板またはリッド基板に生じるひずみを溝部および貫通孔に集中させるようにして、溝部および貫通孔を積極的に変形させることが可能になる。
【0020】
これにより、ベース基板とリッド基板とを、溝部および貫通孔を除く全域にわたって接触させた状態に維持することが可能になり、ベース基板とリッド基板とを全域にわたって接合することができる。
そして、複数の貫通孔は溝部に形成されているので、例えば溝部をプレス加工またはエッチング加工などで形成する際に、同時に貫通孔を形成することができ、パッケージ製品の製造効率を向上させることができる。
【0021】
本発明の請求項4に係るパッケージの製造方法によれば、ベース基板とリッド基板との間で発生したガスを真空チャンバ内に放出させ易くすることができる。
【0022】
本発明の圧電振動子によれば、キャビティ内の所望の真空度を確保し、作動信頼性を向上させることができる。
【0023】
本発明の発振器、電子機器及び電波時計によれば、作動信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧電振動子の外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図4】図2に示すB−B線に沿った圧電振動子の断面図である。
【図5】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図6】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片の上面図である。
【図7】図5に示す圧電振動片の下面図である。
【図8】図6に示す断面矢視C−C図である。
【図9】図1に示す圧電振動子を製造する際の流れを示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、リッド基板の元となるリッド基板用ウエハに凹部を形成した一実施形態を示す図である。
【図11】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、ベース基板の元となるベース基板用ウエハに一対のスルーホールを形成した状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態の後、一対のスルーホール内に貫通電極を形成すると共に、ベース基板用ウエハの上面に接合膜及び引き回し電極をパターニングした状態を示す図である。
【図13】図12に示す状態のベース基板用ウエハの全体図である。
【図14】本発明の実施の形態に係ベース基板用ウエハおよびリッド基板用ウエハを陽極接合装置にセットした状態を示す概略図である。
【図15】図9に示すフローチャートに沿って圧電振動子を製造する際の一工程を示す図であって、圧電振動片をキャビティ内に収容した状態でベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハとが陽極接合されたウエハ接合体の分解斜視図である。
【図16】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図17】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図18】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るパッケージの製造方法および該パッケージの製造方法により製造されたパッケージを備える圧電振動子および該圧電振動子を備える発振器および電子機器および電波時計について説明する。
【0026】
本実施形態では、互いが積層状態で陽極接合されるとともに両者間にキャビティが形成されたベース基板およびリッド基板と、ベース基板においてキャビティ内に位置する部分にマウントされた作動片と、を備えるパッケージとして、圧電振動子を例に挙げて説明する。
【0027】
この圧電振動子1は、例えば図1から図5に示すように、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されており、内部のキャビティC内に圧電振動片(作動片)4が収納された表面実装型となっている。
なお、図5においては、図面を見易くするために後述する励振電極13、引き出し電極16、マウント電極14及び重り金属膜17の図示を省略している。
【0028】
圧電振動片4は、図6から図8に示すように、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
【0029】
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、この一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる励振電極13と、この励振電極13に電気的に接続されたマウント電極14とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、この振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部15を備えている。この溝部15は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0030】
上記励振電極13は、一対の振動腕部10、11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。
具体的には、図8に示すように、一方の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部15上と、他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、他方の励振電極13が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部15上とに主に形成されている。
【0031】
また、励振電極13は、図6及び図7に示すように、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極16を介してマウント電極14に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極14を介して電圧が印加されるようになっている。なお、上述した励振電極13、マウント電極14及び引き出し電極16は、例えば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の導電性膜の被膜により形成されたものである。
【0032】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜17が被膜されている。
なお、この重り金属膜17は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜17aと、微小に調整する際に使用される微調膜17bとに分かれている。
これら粗調膜17a及び微調膜17bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0033】
このように構成された圧電振動片4は、図2、図3及び図5に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面にバンプ接合されている。
より具体的には、後述する引き回し電極28上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極14がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。
これにより、圧電振動片4は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されると共に、マウント電極14と引き回し電極28とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0034】
上記リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3、図4及び図5に示すように、板状に形成されている。
そして、リッド基板3においてベース基板2が接合される接合面には、圧電振動片4が収まる平面視矩形状の凹部3aが形成されている。
この凹部3aは、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4が収容されるキャビティCとなる。
そして、この凹部3aは、リッド基板3とベース基板2とが陽極接合されることでベース基板2により閉塞されている。
【0035】
上記ベース基板2は、リッド基板3と同様にガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図5に示すように、リッド基板3に対して重ね合わせ可能な大きさで板状に形成されている。
このベース基板2には、このベース基板2を貫通する一対のスルーホール25が形成されている。
一対のスルーホール25は、キャビティC内に収まるように形成されている。
【0036】
より詳しく説明すると、マウントされた圧電振動片4の基部12側に一方のスルーホール25が位置し、振動腕部10、11の先端側に他方のスルーホール25が位置するように形成されている。
なお、図示の例では、ベース基板2の板厚方向における全域にわたって同等の内径を有するスルーホール25を例に挙げて説明するが、この場合に限られず、例えば前記板厚方向に沿って漸次縮径若しくは拡径した内径を有するテーパー状などに形成しても構わない。
いずれにしても、ベース基板2を貫通していればよい。
【0037】
そして、これら一対のスルーホール25にはそれぞれ、貫通電極26が埋設されている。
これらの貫通電極26は、スルーホール25を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持していると共に、後述する外部電極29と引き回し電極28とを導通させている。
ベース基板2においてリッド基板3が接合される接合面には、例えばアルミニウム等の導電性材料により、陽極接合用の接合膜27と、一対の引き回し電極28とがパターニングされている。
接合膜27は、リッド基板3の接合面における凹部3aの非形成部分のほぼ全域にわたって該凹部3aの周囲を囲むように配置されている。
【0038】
また、一対の引き回し電極28は、一対の貫通電極26のうち、一方の貫通電極26と圧電振動片4の一方のマウント電極14とを電気的に接続すると共に、他方の貫通電極26と圧電振動片4の他方のマウント電極14とを電気的に接続するようにパターニングされている。
より詳しく説明すると、図2及び図5に示すように、一方の引き回し電極28は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極26の真上に形成されている。
また、他方の引き回し電極28は、一方の引き回し電極28に隣接した位置から、振動腕部11に沿って先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極26の真上に位置するように形成されている。
【0039】
そして、これら一対の引き回し電極28上にバンプBが形成されており、このバンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。
これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極14が、一方の引き回し電極28を介して一方の貫通電極26に導通し、他方のマウント電極14が、他方の引き回し電極28を介して他方の貫通電極26に導通するようになっている。
【0040】
また、ベース基板2において前記接合面と反対側の表面には、図1、図3及び図5に示すように、一対の貫通電極26に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極29が形成されている。
つまり、一方の外部電極29は、一方の貫通電極26及び一方の引き回し電極28を介して圧電振動片4の一方の励振電極13に電気的に接続されている。
また、他方の外部電極29は、他方の貫通電極26及び他方の引き回し電極28を介して、圧電振動片4の他方の励振電極13に電気的に接続されている。
【0041】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極29に対して、所定の駆動電圧を印加する。
これにより、圧電振動片4の励振電極13に電流を流すことができ、一対の振動腕部10、11を接近又は離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。
そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0042】
次に、上述した圧電振動子1を、図9に示すフローチャートを参照しながら、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを利用して一度に複数製造する方法について説明する。
【0043】
初めに、圧電振動片作製工程を行って図6から図8に示す圧電振動片4を作製する(S10)。
具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。
【0044】
続いて、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後、ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。
続いて、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、このウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングすると共に、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極13、引き出し電極16、マウント電極14及び重り金属膜17を形成する。
これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
【0045】
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。
これは、重り金属膜17の粗調膜17aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。
これにより、目標とする公称周波数よりも若干広い範囲に周波数を収めることができる。
なお、共振周波数をより高精度に調整して、周波数を最終的に公称周波数の範囲内に追い込む微調に関しては、マウント後に行う。これについては、後に説明する。
【0046】
次に、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程を行う(S20)。
【0047】
まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、図10に示すように、エッチング等により最外表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。
図示の例では、リッド基板用ウエハ50は平面視円形状に形成されるとともに、このウエハ50の外周部には、その外周縁上の二点を結ぶ直線(弦)に沿って切り欠かれた基準マーク部A1が形成されている。
【0048】
次いで、リッド基板用ウエハ50の接合面に、キャビティC用の凹部3aを多数形成する凹部形成工程を行う(S22)と共に、溝22を形成する溝形成工程(S23)および貫通孔21を形成する貫通孔形成工程を行う(S24)。
【0049】
凹部3aは、リッド基板用ウエハ50の接合面において、外周縁部50bよりも径方向内側に位置する部分(以下、製品領域という)50cに形成されている。
なお、凹部3aは、製品領域50cに、一方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該一方向に直交する他方向に間隔をあけて複数形成されている。
また、図示の例では、凹部3aは、リッド基板用ウエハ50の接合面において、外周縁部50bを除くほぼ全域にわたって形成されている。
【0050】
溝22は、リッド基板用ウエハ50の接合面において、例えば格子状に形成され、リッド基板用ウエハ50の径方向端部(外周縁)で径方向外方に開口している。
本実施形態では、溝22は、リッド基板用ウエハ50の接合面に放射状をなすように、このウエハ50の中心周りに等間隔をあけて2個形成されると共に、これら2個の溝22に平行に所定間隔をあけて複数形成されている。
また、溝22の幅は、平面視矩形状に形成された凹部3aの長手方向おける長さ以下となっている。
【0051】
貫通孔21は、リッド基板用ウエハ50を厚さ方向(後述する積層方向)に貫通し、溝22に複数形成されている。
本実施形態では、貫通孔21は、ウエハ50の中心における格子状の溝22の格子点の位置と、格子状の溝22の格子点かつ所定の第1半径の円周C1上の位置と、円周C1よりも小さな円周C2上の溝22の位置とに形成されている。
【0052】
また、リッド基板用ウエハ50の外周縁部50bにおいて、ウエハ50の中心を径方向で挟んで互いに反対となる各位置に、後述する陽極接合装置30の位置決め用ピンが挿入される位置決め孔50dが形成されている。
【0053】
この際、リッド基板用ウエハ50をエッチング加工することで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
また、治具を利用して、リッド基板用ウエハ50を加熱しながら上下からプレスすることで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
更には、リッド基板用ウエハ50上の必要箇所にガラスペーストをスクリーン印刷することで、凹部3aと溝22および貫通孔21とを同時に形成しても構わない。
いずれの方法であっても構わない。
この時点で、第1のウエハ作製工程が終了する。
【0054】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板2となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程を行う(S30)。
【0055】
まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最外表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。
ベース基板用ウエハ40は、図13に示されるように、平面視円形状に形成されるとともに、このウエハ40の外周部には、その外周縁上の二点を結ぶ直線(弦)に沿って切り欠かれた基準マーク部A2が形成されている。
【0056】
また、ベース基板用ウエハ40の外周縁部40bにおいて、このウエハ40の中心を径方向で挟んで互いに反対となる各位置に、後述する陽極接合装置30の位置決め用ピンが挿入される位置決め孔40dが形成されている。
次いで、図11に示すように、ベース基板用ウエハ40を貫通する一対のスルーホール25を複数形成するスルーホール形成工程(S32)を行う。
なお、図11に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、スルーホール25は、例えばサンドブラスト法や治具を利用したプレス加工等により形成される。
【0057】
ここで、一対のスルーホール25は、後に両ウエハ40、50を重ね合わせたときに、リッド基板用ウエハ50に形成した凹部3a内に各別に収まる位置で、かつ一方のスルーホール25が後にマウントする圧電振動片4の基部12側に配置されるとともに、他方のスルーホール25が振動腕部11の先端側に配置される位置に形成する。
図示の例では、一対のスルーホール25は、ベース基板用ウエハ40の接合面において、外周縁部40bよりも径方向内側に位置する部分(以下、製品領域という)40cに形成されている。
【0058】
なお、一対のスルーホール25は、製品領域40cに、一方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該一方向に直交する他方向に間隔をあけて複数形成されている。
また、図示の例では、一対のスルーホール25は、ベース基板用ウエハ40の接合面において、外周縁部40bを除くほぼ全域にわたって形成されている。
【0059】
続いて、一対のスルーホール25を図示しない導電体で埋めて、一対の貫通電極26を形成する貫通電極形成工程を行う(S33)。
続いて、ベース基板用ウエハ40の接合面に導電性材料をパターニングして、図12及び図13に示すように、接合膜27を形成する接合膜形成工程(S34)を行うと共に、一対の貫通電極26にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極28を複数形成する引き回し電極形成工程を行う(S35)。
以上より、一方の貫通電極26と一方の引き回し電極28とが導通すると共に、他方の貫通電極26と他方の引き回し電極28とが導通した状態となる。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
【0060】
なお、図12及び図13に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。また、図13では、接合膜27の図示を省略している。
さらに、図9では、接合膜形成工程(S34)の後に、引き回し電極形成工程(S35)を行う工程順序としているが、これとは逆に、引き回し電極形成工程(S35)の後に、接合膜形成工程(S34)を行っても構わないし、両工程を同時に行っても構わない。
いずれの工程順序であっても、同一の作用効果を奏することができる。
よって、必要に応じて適宜、工程順序を変更して構わない。
【0061】
次に、作製した複数の圧電振動片4を、それぞれ引き回し電極28を介してベース基板用ウエハ40の表面にバンプ接合するマウント工程を行う(S40)。
まず、一対の引き回し電極28上にそれぞれ金等のバンプBを形成する。そして、圧電振動片4の基部12をバンプB上に載置した後、バンプBを所定温度に加熱しながら圧電振動片4をバンプBに押し付ける。
【0062】
これにより、圧電振動片4は、バンプBに機械的に支持されると共に、マウント電極14と引き回し電極28とを電気的に接続している。
よって、この時点で圧電振動片4の一対の励振電極13は、一対の貫通電極26に対してそれぞれ導通した状態となる。
特に、圧電振動片4は、バンプ接合されるので、ベース基板用ウエハ40の接合面から浮いた状態で支持される。
【0063】
次に、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50を陽極接合装置30にセットする。
ここで、陽極接合装置30は、図14に示されるように、導電性材料で形成された下治具31と、加圧手段32により下治具31に対して進退可能に支持された上治具33と、上治具33にセットされるベース基板用ウエハ40の接合膜27と下治具31とを電気的に接続する通電手段34と、を備え、真空チャンバ61内に配設されている。
【0064】
そして、下治具31に凹部3aを上治具33に向けて開口させた状態でリッド基板用ウエハ50をセットし、かつ上治具33に圧電振動片4をリッド基板用ウエハ50の凹部3aに対向させた状態でベース基板用ウエハ40をセットする。
なお、この際、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50それぞれに形成された基準マーク部A1、A2を指標としつつ、各ウエハ40、50に形成された位置決め用孔40d、50dに陽極接合装置30に設けられた図示されない位置決め用ピンを挿入することにより、各ウエハ40、50それぞれの沿面方向に沿った位置を合わせる。
【0065】
また、リッド基板用ウエハ50がセットされる下治具31は、リッド基板用ウエハ50の貫通孔21と真空チャンバ61内とを連通する連通孔31aを有し、各ウエハ40、50が位置決めされた状態で貫通孔21と連通孔31aとは連通している。
【0066】
その後、加圧手段32を駆動して、上治具33を下治具31に向けて前進移動させ、リッド基板用ウエハ50の凹部3a内にベース基板用ウエハ40の圧電振動片4を進入させて、上治具3および下治具31によってベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とを積層方向(つまり上治具33の移動方向)の両側から挟みこんで積層させ、これらの両ウエハ40、50を重ね合わせる重ね合わせ工程を行う(S50)。
これにより、ベース基板用ウエハ40にマウントされた圧電振動片4が、両ウエハ40、50同士の間に形成されたキャビティC内に収容された状態となる。
【0067】
次に、所定の温度下で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S60)。
具体的には、通電手段34によりベース基板用ウエハ40の接合膜27と下治具31との間に所定の電圧を印加する。
すると、接合膜27とリッド基板用ウエハ50の接合面との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。
これにより、圧電振動片4をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図15に示すウエハ接合体60を得ることができる。
【0068】
なお、図15においては、図面を見易くするために、ウエハ接合体60を分解した状態を図示しており、ベース基板用ウエハ40から接合膜27の図示を省略している。また、図15に示す点線Mは、後に行う切断工程で切断する切断線を図示している。
ところで、陽極接合を行う際、ベース基板用ウエハ40に形成されたスルーホール25は、貫通電極26によって完全に塞がれているので、キャビティC内の気密がスルーホール25を通じて損なわれることがない。
【0069】
また、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との陽極接合時に、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との間でガス(例えば、酸素ガスなど)が発生する場合であっても、溝22に形成された貫通孔21と、貫通孔21および真空チャンバ61内に連通する連通孔31aを通して、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50との間から真空チャンバ61内に放出させることができ、キャビティC内の所望の真空度を確保することができる。
【0070】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40においてリッド基板用ウエハ50が接合された接合面と反対側の表面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極26にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極29を複数形成する外部電極形成工程を行う(S70)。
この工程により、外部電極29を利用してキャビティC内に封止された圧電振動片4を作動させることができる。
【0071】
次に、ウエハ接合体60の状態で、キャビティC内に封止された個々の圧電振動片4の周波数を微調整して所定の範囲内に収める微調工程を行う(S90)。
具体的に説明すると、外部電極29に電圧を印加して圧電振動片4を振動させる。
そして、周波数を計測しながらリッド基板用ウエハ50を通して外部からレーザ光を照射し、重り金属膜17の微調膜17bを蒸発させる。
これにより、一対の振動腕部10、11の先端側の重量が変化するので、圧電振動片4の周波数を、公称周波数の所定範囲内に収まるように微調整することができる。
【0072】
周波数の微調が終了した後、接合されたウエハ接合体60を図15に示す切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S100)。
この結果、互いに陽極接合されたベース基板2とリッド基板3との間に形成されたキャビティC内に圧電振動片4が封止された、図1に示す表面実装型の圧電振動子1を一度に複数個製造することができる。
【0073】
なお、切断工程(S100)を行って個々の圧電振動子1に小片化した後に、微調工程(S90)を行う工程順序でも構わない。
但し、上述したように、微調工程(S90)を先に行うことで、ウエハ接合体60の状態で微調を行うことができるので、複数の圧電振動子1をより効率よく微調することができる。
よって、スループットの向上化を図ることができるので、より好ましい。
【0074】
この後、内部の電気特性検査を行う(S110)。
即ち、圧電振動片4の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。
また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。
これをもって圧電振動子1の製造が終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によるパッケージの製造方法によれば、リッド基板用ウエハ50に貫通孔21が形成されているので、前述の接合工程時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを、貫通孔21および連通孔31aを通して両ウエハ40、50間から外部に放出し易くすることが可能になり、キャビティC内の真空度が低い圧電振動子1が形成されるのを抑制することができる。
【0076】
また、接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみを貫通孔21に集中させてこの貫通孔21を積極的に変形させることが可能になる。
したがって、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士を、貫通孔21および凹部3aを除く全域にわたって当接させた状態に維持することが可能になり、この製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたって確実に接合することができる。
さらに、貫通孔21が凹部3aを有するリッド基板用ウエハ50に形成されているので、凹部3aを例えばプレス加工若しくはエッチング加工等で形成する際同時に貫通孔21を形成することが可能になり、このウエハ50を効率よく形成することができる。
【0077】
また、本実施形態では、リッド基板用ウエハ50の中心に貫通孔21が形成されているので、前記接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみによって貫通孔21をより確実に変形させることが可能になり、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたってより一層確実に接合することができる。
【0078】
さらに、両ウエハ40、50の接合時にこれらのウエハ40、50間で発生した酸素ガスが留まり易い中心に貫通孔21が形成されていて、この中心から圧電振動子1が得られることがないので、キャビティC内の真空度が低い圧電振動子1が形成されるのを確実に抑えることができる。
【0079】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、リッド基板用ウエハ50に貫通孔21を形成したが、ベース基板用ウエハ40にも形成してよい。この場合には、ベース基板用ウエハ40の貫通孔と真空チャンバ61内とを連通する連通孔を上治具33に形成すればよい。
また、貫通孔21の一例として円形状を示したが、これに限らず例えば、多角形状や径方向に伸びるスリット状等に形成してもよい。
【0080】
さらに、リッド基板用ウエハ50は径方向に沿って延びる溝22を備え、この溝22に貫通孔21が形成されているので、接合時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを確実にこれらのウエハ40、50間から外部に放出することができる。
しかも、溝22は、リッド基板用ウエハ50の径方向端部で径方向外方に開口していることから、接合時に両ウエハ40、50間で発生した酸素ガスを真空チャンバ61内に放出させ易くすることができる。
【0081】
さらに、接合工程の過程でリッド基板用ウエハ50に生じたひずみを溝22および貫通孔21に集中させて、溝22および貫通孔21を積極的に変形させることが可能になる。
したがって、両ウエハ40、50の製品領域40c、50c同士を、溝22および貫通孔21および凹部3aを除く全域にわたって当接させた状態に維持することが可能になり、この製品領域40c、50c同士をほぼ全域にわたって確実に接合することができる。
【0082】
さらにまた、この構成において、溝22の半径方向外端は、ウエハ40、50の外周縁よりも半径方向内側に位置していることが好ましい。
この場合、溝22を形成したことによるウエハ40、50の強度低下が抑えられる。
【0083】
また、この構成において、溝22の半径方向外端よりも半径方向の外側に位置する部分には、接合膜27を形成しないのが好ましい。
この場合、両ウエハ40、50同士の間において、溝22の半径方向外端と、ウエハ40、50の外周縁との間に位置する部分が接合されておらず、これらの間の微小な隙間を通して酸素ガスを確実に両ウエハ40、50間から外部に放出することができる。
【0084】
さらに、溝22の幅を、例えば、平面視矩形状に形成される凹部3aの長手方向における長さ以下にすると、リッド基板用ウエハ50において凹部3aを形成することが可能な製品領域を広く確保し易くなり、一度に形成可能なパッケージ製品の個数を多くする、つまり歩留まりを向上させることが可能になる。
【0085】
また、上記実施形態では、圧電振動片4をバンプ接合したが、バンプ接合に限定されるものではない。例えば、導電性接着剤により圧電振動片4を接合しても構わない。
但し、バンプ接合することで、圧電振動片4をベース基板2上から浮かすことができ、振動に必要な最低限の振動ギャップを自然と確保することができる。
よって、この点において、バンプ接合することが好ましい。
さらに、上記実施形態では、パッケージ製品として圧電振動子1を示したが、これに限らず例えば適宜変更してもよい。
【0086】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0087】
なお、貫通孔21と連通孔31aは同じ形でもよいし、異形でもよい。
なお、貫通孔21は、溝22以外に形成されてもよい。
【0088】
(発振器)
次に、本発明の一実施形態に係る発振器について、図16を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図16に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。
この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。
基板103には、発振器用の上記集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片4が実装されている。
これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0089】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、該圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。
この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。
入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0090】
本実施形態の発振器100によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0091】
(電子機器)
次に、本発明の一実施形態に係る電子機器について、図17を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。
外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。
また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0092】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図17に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。
電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。
この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。
そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0093】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0094】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。
圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。
発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。
そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0095】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。
増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0096】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0097】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。
このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。
電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。
特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0098】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0099】
本実施形態の携帯情報機器110によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0100】
(電波時計)
次に、本発明の一実施形態に係る電波時計について、図18を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図18に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0101】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0102】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。
続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0103】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0104】
実施形態の電波時計130によれば、作動信頼性の高い高品質な圧電振動子1を備えているので、電波時計130自体も同様に高品質化を図ることができる。
【0105】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態では、パッケージ9の内部に電子部品として圧電振動片4を封止した圧電振動子1を例に挙げて説明したが、圧電振動片4以外の電子部品を封止して圧電振動子以外のデバイスとすることも可能である。
また、圧電振動片4を封止する場合には、音叉型に限られず、ATカットされた厚み滑り振動片でも構わない。
更に、音叉型の圧電振動片4とする場合、上記実施形態では振動腕部10、11の両主面に溝部18が形成された溝付きタイプの圧電振動片4を例に挙げて説明したが、溝部がないタイプの圧電振動片でも構わない。
但し、溝部を形成することで、電圧印加時に励振電極間における電界効率を上げることができるので、振動損失をより抑えて振動特性をさらに向上することができる。つまり、CI値(Crystal Impedance)をさらに低くすることができ、圧電振動片の高性能化を図ることができる。この点において、溝部を形成する方が好ましい。
【符号の説明】
【0107】
1 圧電振動子
4 圧電振動片
21 貫通孔
22 溝(溝部)
31 下治具
31a 連通孔
33 上治具
40 ベース基板用ウエハ(ベース基板)
50 リッド基板用ウエハ(リッド基板)
60 真空チャンバ
61 ウエハ接合体(接合体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内に配設した治具によってベース基板とリッド基板とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて前記ベース基板および前記リッド基板の間に電子部品を封止した複数個のキャビティを形成し、
前記ベース基板および前記リッド基板を積層方向に加圧した状態で互いに陽極接合して接合体を形成し、
前記接合体を各前記複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、
少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、前記積層方向に貫通する貫通孔を有し、
前記治具は、前記貫通孔と前記真空チャンバ内とを連通する連通孔を有し、
前記陽極接合によって前記接合体を形成するときに前記貫通孔と前記連通孔とを連通させて前記ベース基板と前記リッド基板とを積層することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記ベース基板または前記リッド基板の径方向に伸びるスリット状であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの製造方法。
【請求項3】
少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、径方向に伸びる溝部を有し、
複数の前記貫通孔は、前記溝部に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージの製造方法。
【請求項4】
前記溝部は、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板の径方向端部で径方向外方に開口していることを特徴とする請求項3に記載のパッケージ製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載のパッケージの製造方法により製造されたパッケージと、
該パッケージの前記キャビティ内に封止された圧電振動片と、
を備えていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
真空チャンバ内に配設した治具によってベース基板とリッド基板とを積層方向の両側から挟みこんで積層させて前記ベース基板および前記リッド基板の間に電子部品を封止した複数個のキャビティを形成し、
前記ベース基板および前記リッド基板を積層方向に加圧した状態で互いに陽極接合して接合体を形成し、
前記接合体を各前記複数個のキャビティ毎に切断して、複数個のパッケージを形成するパッケージの製造方法であって、
少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、前記積層方向に貫通する貫通孔を有し、
前記治具は、前記貫通孔と前記真空チャンバ内とを連通する連通孔を有し、
前記陽極接合によって前記接合体を形成するときに前記貫通孔と前記連通孔とを連通させて前記ベース基板と前記リッド基板とを積層することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記ベース基板または前記リッド基板の径方向に伸びるスリット状であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージの製造方法。
【請求項3】
少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板は、径方向に伸びる溝部を有し、
複数の前記貫通孔は、前記溝部に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージの製造方法。
【請求項4】
前記溝部は、少なくとも前記ベース基板または前記リッド基板の径方向端部で径方向外方に開口していることを特徴とする請求項3に記載のパッケージ製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1つに記載のパッケージの製造方法により製造されたパッケージと、
該パッケージの前記キャビティ内に封止された圧電振動片と、
を備えていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−205257(P2012−205257A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70536(P2011−70536)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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