説明

ブレーキ制御装置

【課題】制御弁の作動音を低減する。
【解決手段】ブレーキ制御装置は、バルブと、制動要求を検出してバルブを閉じる制御部と、を備える。制御部は、制動要求検出後にバルブを流れる作動液の液圧上昇を検知してからバルブを閉じる。制御部は、車内が静粛であるか否かを判定し、制動要求を検出したときに車内が静粛であると判定した場合には、静粛でないと判定した場合に比べてバルブに高い液圧が作用したことを条件としてバルブを閉じてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両用自動変速機の油圧装置におけるデューティサイクル型ソレノイド弁の制御方法が記載されている。この制御方法においては、ソレノイド弁を駆動する駆動パルスの立ち下がり時間からt1秒遅れてカウンタパルスが与えられる。弁体は駆動パルスの立ち下がりにより閉じ方向に移動を始めるが、カウンタパルスにより一時的に開き方向に付勢される。これにより、弁体の閉じ速度が遅くなり、着座の瞬間に発生する油振が低減するとともに衝撃が緩和されるとされている。
【特許文献1】特開平10−205642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ブレーキ装置において弁の閉じ速度を遅くするとブレーキ応答性が低くなり、運転者に不快感を与えるおそれがある。また、油振や衝撃を十分に低減するには閉じ速度を十分に遅くすることになるが、良好なブレーキ応答性及び高い安全性を実現するためには弁の閉じ速度を過度に遅らせることは現実的ではない。
【0004】
そこで、本発明は、ブレーキ応答性への影響を抑えつつ弁の作動音の低減を可能とするブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様のブレーキ制御装置は、バルブと、制動要求を検出して前記バルブを閉じる制御部と、前記バルブに作用する作動液圧を測定する液圧センサと、を備える。前記制御部は、制動要求検出後に前記バルブを流れる作動液の液圧上昇を前記液圧センサが検知してから前記バルブを閉じる。
【0006】
この態様によれば、制動要求発生の瞬間に比べて高い液圧が作用してから弁が閉じられる。その液圧が弁の閉じ動作に対する抵抗いわばクッションとなり、閉弁時に生じ得る作動音を軽減することができる。
【0007】
車両に付随して設けられている少なくとも1つのセンサを含む検出系をさらに備えてもよい。前記制御部は、前記検出系の検出結果に基づいて車内が静粛であるか否かを判定し、制動要求を検出したときに車内が静粛であると判定した場合には、静粛でないと判定した場合に比べて前記バルブに高い液圧が作用したことを条件として前記バルブを閉じてもよい。
【0008】
この態様によれば、特に車内が静粛であるときに弁の開閉作動音を軽減し、運転者に与えうる違和感を効果的に低減することができる。また、車内が静粛でないときには、ブレーキ応答性をより重視した開閉動作とすることが可能であり、応答性との両立を図ることもできる。
【0009】
前記バルブを通って流れ出る作動液を一時的にせき止める手段をさらに備えてもよい。
【0010】
作動液を一時的にせき止めることにより、増圧対象容積が小さくなる。よって、作動音の軽減に有効な液圧上昇をすみやかにもたらすことができる。
【0011】
本発明の別の態様もまた、ブレーキ制御装置である。この装置は、複数の制御弁と、制動要求を検出して前記複数の制御弁の開閉状態を変更する制御部と、を備える。前記制御部は、少なくとも1つの制御弁については制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を検知してから開閉状態を変更し、他の制御弁については制動要求を検出して開閉状態を変更してもよい。
【0012】
この態様によれば、例えば比較的作動音が生じやすい大流量の制御弁について選択的に作動音を軽減し、他の制御弁については制動要求発生とともに高い応答性で開閉状態を変更することができる。
【0013】
本発明のさらに別の態様もまた、ブレーキ制御装置である。この装置は、作動液圧に応じて車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、動力の供給により作動液を蓄圧する動力液圧源と、収容された作動液をブレーキ操作入力に応じて加圧するマスタシリンダと、前記動力液圧源を高圧源として該マスタシリンダの作動液圧に合わせて作動液を調圧するレギュレータと、を含むマニュアル液圧源と、前記マスタシリンダから前記ホイールシリンダへの第1作動液流路に設けられ、制動要求により該第1作動液流路を遮断するマスタカット弁と、前記レギュレータから前記ホイールシリンダへの第2作動液流路に設けられ、制動要求により該第2作動液流路を遮断するレギュレータカット弁と、前記第2作動液流路の作動液圧を測定する液圧センサと、制動要求を検出して前記マスタカット弁により前記第1作動液流路を遮断し、制動要求検出後に前記液圧センサにより前記第2作動液流路の液圧上昇が検知されてから前記レギュレータカット弁により前記第2作動液流路を遮断する制御部と、を備える。
【0014】
この態様によれば、レギュレータカット弁に生じ得る作動音を軽減することができる。その結果、例えば大流量の制御弁をレギュレータカット弁に採用することも可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁の作動音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態においては、バルブに作用する液圧が初期状態よりも高くなってからバルブを閉じるバルブの制御方法が提供される。バルブの油路に生じたある程度の液圧が閉じ動作に対する抵抗となり、バルブの閉じる速さが遅くなる。その結果、閉弁時に生じ得る作動音を小さくすることができる。バルブ内の油路の液圧がバルブの開閉速度に影響を与えるという新たな観点に着目し、バルブ内部の液圧をいわばクッションとして利用して作動音の軽減に役立てている。この制御を以下では「油圧クッション制御」と呼ぶことがある。
【0017】
一実施形態においては、ブレーキ制御装置は、制動要求がない状態において開弁されている開閉弁と、制動要求を検出して開閉弁の開閉状態を変更する制御部と、開閉弁に作用する作動液圧を測定する液圧センサと、を備える。この開閉弁は例えば、液圧源からホイールシリンダへの作動液の流路に設けられている。制御部は、制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を液圧センサにより検知してから開閉弁の開閉状態を変更する。
【0018】
弁の開閉動作を遅くする1つの手法として制御入力を緩やかに変化させる(例えば制御電流の増減の勾配を小さくする)方法が考えられるが、この手法は開閉の応答性を低下させ得る。ところが、油圧クッション制御においては通常時と同じ制御入力を与えることができるので、応答性に影響を与えずに作動音を低減することができる可能性がある。
【0019】
特にブレーキ制御装置に油圧クッション制御を適用する際には、制動要求発生時にブレーキ操作により当然生じる液圧上昇を利用することができる。よって、他の作動音低減方法に比べてより効果的に作動音の低減と開閉動作の応答性とを両立させることができるという点で好ましい。なお、ブレーキ制御装置は、油圧クッション制御の対象となる弁に作用する液圧を上昇させる液圧上昇手段を備えてもよい。制御部は、対象の弁を開状態にしたままで、液圧上昇手段により制動要求検出後に液圧を上昇させてもよい。液圧上昇手段として例えば、いわゆるブレーキバイワイヤのブレーキ制御のための液圧制御システムを利用してもよい。
【0020】
一実施形態においては、制御部は、作動音を低減すべき場合に通常時よりも作動液圧を重視してバルブの開閉タイミングを決める。例えば、通常時は作動液圧及びペダルストロークを併用し、作動音を低減すべき場合には作動液圧からバルブの開閉タイミングを決める。
【0021】
例えば、制御部は、運転者によるブレーキ操作量(例えばブレーキペダルのストローク)から制動要求の有無を判定する。この場合、制御部は、ブレーキ操作量が判定しきい値に達した時点以降に作動液圧の更なる上昇が検出された場合に弁を閉じるようにしてもよい。または、制御部は、ブレーキ操作量が判定しきい値に達しかつ作動液圧が所定の液圧すなわちクッション圧に達したことを条件として閉弁するようにしてもよい。ここで、クッション圧は、閉弁時の作動音を許容範囲に抑えるように設定された値である。
【0022】
あるいは、制御部は、ブレーキ操作量だけでなく、運転者のブレーキ操作に連動する作動液圧も併用して制動要求の有無を判定してもよい。例えば制御部は、作動液圧及びブレーキ操作量の少なくとも一方が判定しきい値に達した場合に制動要求ありと判定する。この場合、制御部は、作動液圧による制動要求判定しきい値に達した時点から作動液圧の更なる上昇が検出された場合に閉弁してもよい。または、制御部は、弁に作用する液圧が、作動液圧による制動要求判定しきい値よりも大きい値に設定されたクッション圧に達したことを条件として閉弁するようにしてもよい。
【0023】
また、制御部は、複数の制御弁のうち選択された制御弁について油圧クッション制御を行い、他の制御弁については通常の開閉制御をするようにしてもよい。油圧クッション制御の対象は、相対的に作動音が大きい制御弁であってもよい。あるいは、作動液の流量が相対的に大きい制御弁であってもよい。この場合例えば、制御部は、流量が基準よりも大きい少なくとも1つの制御弁については制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を検知してから開閉状態を変更し、当該基準よりも流量が小さい制御弁については制動要求を受けて一律に開閉状態を変更するようにしてもよい。
【0024】
つまり、制御部は、複数の制御弁のうち少なくとも1つの制御弁については制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を検知してから開閉状態を変更し、他の制御弁については制動要求を受けて一律に開閉状態を変更するようにしてもよい。制御部は、少なくとも1つの制御弁以外の制御弁については作用する作動液圧が第1の基準圧を超えたことを条件として開閉状態の変更を許可し、少なくとも1つの制御弁については作用する作動液圧が第1の基準圧よりも高圧の第2の基準圧を超えたことを条件として開閉状態の変更を許可するようにしてもよい。
【0025】
一実施形態においては、制御部は、車両環境を検出し、検出結果に基づいて油圧クッション制御を実行すべきか否かを判定する。そのために、車両環境を検出する検出系が車両に付随して設けられている。車両環境には例えば、車両の運転状況や、車両の環境音、ドライバの状況等が含まれる。
【0026】
また、ブレーキ制御装置は、車両状態を検出する手段と、該車両状態検出手段により車両の静穏状態を判断する手段と、を備えてもよい。制御部は、車両静穏時に油圧クッション制御を実行してもよい。制御部は、検出系の検出結果に基づいて車内が静粛であるか否かを判定し、静粛でない場合には弁に作用する作動液圧が第1の基準圧を超えたことを開閉状態の変更許可条件に含み、静粛である場合には第1の基準圧よりも高圧の第2の基準圧を超えたことを開閉状態の変更許可条件に含んでもよい。第1の基準圧は例えば、制動要求を判定するためのしきい値に等しくてもよい。また、制御部は、車内が静粛でない場合には制動要求検出後に複数の制御弁の開閉状態の変更を一律に許可し、車内が静粛である場合には少なくとも1つの制御弁については制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を検知してから開閉状態の変更を許可するようにしてもよい。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置内部のバルブの開閉タイミングを説明するための図である。図1の上部は油圧クッション制御の対象となるバルブに作用する作動液圧のブレーキ操作開始からの時間変化を模式的に示し、図1の下部はブレーキペダルのストロークのブレーキ操作開始からの時間変化を模式的に示す。よって図1の上部の縦軸及び横軸はそれぞれ作動液圧及び時間であり、図1の下部の縦軸及び横軸はそれぞれペダルストローク及び時間である。
【0028】
ブレーキ制御装置は制動要求を検出してブレーキバイワイヤのブレーキ制御を開始する。制動要求がない状態においてはマスタシリンダとホイールシリンダとの作動液の流通が許容されている一方、制動要求がある状態においてはその作動液流通を遮断してホイールシリンダ圧を制御する。そのためにブレーキ制御装置は制御部を備えており、この制御部は、制動要求を検出し、マスタシリンダとホイールシリンダとの作動液の流通を遮断するよう制御弁を閉じる。この閉弁は典型的には制動要求検出と同時に行われるが、本発明の一実施形態においては制御弁作動音の低減を1つの目的として制動要求検出と閉弁との間に時間差を与える。そのために、制御部は、バルブに作用する液圧が制動要求検出時点以降に更に上昇したことを条件として当該バルブの閉弁を許可する。つまり制御部は例えば、バルブに作用する液圧が所定圧を超えたことを条件として当該バルブの開閉トリガをオンにする。
【0029】
図1に示されるように、制動要求の有無を判定するためのしきい値Pa及びSTaが予め設定されている。一実施形態においては制御部は、ペダルストロークがペダルストロークしきい値STaに達するか、または作動液圧が液圧しきい値Paに達するかのいずれかが成立したときに制動要求ありと判定する。ペダルストロークを入力として液圧が立ち上がることから、ある程度の速さを有する通常のペダル踏込であれば、ペダルストロークがまずしきい値STaに達してから液圧がしきい値Paに達する。よって、図1においては、時刻tにペダルストロークがしきい値STaに達し、その後時刻tに液圧がしきい値Paに達している。よって、制御部は、時刻tに制動要求ありと判定する。
【0030】
一実施形態においては、油圧クッション制御を行わない通常モードでは、ペダルストロークが制動要求判定ストローク値STaに達しかつ作動液圧が制動要求判定液圧値Paに達したことを条件としてブレーキ制御装置内の各バルブの開閉トリガをオンにする。すなわち、各制御弁の開閉状態の変更を許可する。その結果、他に条件が設定されていない制御弁は直ちに開閉状態が変更され、他に何らかの条件が設定されている制御弁は当該条件が成立し次第開閉状態が変更される。よって、時刻tと同時に、または時刻t以降すみやかにマスタシリンダとホイールシリンダとの作動液の流通が遮断されてブレーキバイワイヤによりホイールシリンダ圧が制御される。
【0031】
なお、この通常モードでは、制動要求ありと判定するとともに各バルブの開閉トリガをオンにしてもよい。すなわち、ペダルストロークがペダルストロークしきい値STaに達するか、または作動液圧が液圧しきい値Paに達するかのいずれかが成立したときに各バルブの開閉トリガをオンにしてもよい。
【0032】
本実施形態においては、油圧クッション制御のためのクッション圧Pbも設定されている。クッション圧Pbは、バルブの閉弁時に生じる作動音を許容範囲とするよう設定された値であり、実験やシミュレーション等により適宜設定することができる。クッション圧は通常、作動液圧の制動要求判定しきい値Paよりも大きい値である。ブレーキ応答性への過度の影響を避けるためには、例えば制動要求判定しきい値Paの2倍以内とすることが好ましい。
【0033】
油圧クッション制御を行う油圧クッションモードでは、制御部は、対象バルブについてはペダルストロークが制動要求判定ストローク値STaに達しかつ作動液圧がクッション圧Pbに達したことを条件として開閉トリガをオンにする。他のバルブについては通常モードと同様に、ペダルストロークが制動要求判定ストローク値STaに達しかつ作動液圧が制動要求判定液圧値Paに達したことを条件として開閉トリガをオンにする。図1においては時刻tに液圧がクッション圧Pbに達している。よって、対象バルブ以外のバルブは時刻tと同時にまたは時刻t以降すみやかに開閉状態が変更される一方、対象バルブは時刻tと同時にまたは時刻t以降すみやかに開閉状態が変更される。油圧クッション制御対象バルブは、他のバルブよりも高い液圧が作用した状態で開閉状態が変更されるので、その液圧がクッションとなって作動音が軽減される。
【0034】
制御入力変動を緩やかにすることで弁の開閉速度を遅くして作動音を軽減する方法に比べて、油圧クッション制御によれば制御入力は通常時と同様に与えられるので、ブレーキ応答性への影響を抑えつつ作動音を軽減することができる。実際に、制御入力変動を緩やかにする方法では閉弁開始から完了まで例えば約30msecを要するのに対して、本実施形態では制動要求判定液圧Paに達する時刻tからクッション圧に達する時刻tまでの時間は例えば約10msecである。よって、応答性のロスを小さくすることが可能となる。
【0035】
なお、変形例として、制御部は、油圧クッションモードにおいて、ペダルストロークが所定の上限値を超えた場合には開閉トリガをオンにしてもよい。この上限値はペダルストロークの制動要求判定しきい値STaよりも大きい値である。この場合、作動液圧がクッション圧Pbに達していなくても開閉トリガがオンとされる。このようにペダルストロークが大きくなった場合には、安全性に配慮して、油圧クッションモードを取り消してブレーキ応答性を優先してもよい。同様に通常モードにおいてもペダルストロークが当該上限値を超えた場合に開閉トリガをオンにしてもよい。
【0036】
別の変形例として、油圧クッションモードにおいて、制御部は、対象バルブだけでなく他のバルブについても一律に、ペダルストロークが制動要求判定ストローク値STaに達しかつ作動液圧がクッション圧Pbに達したことを条件として開閉トリガをオンにするようにしてもよい。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置内部のバルブの開閉タイミングを説明するための図である。図2は、図1に示される場合よりも緩やかにブレーキペダルが踏み込まれた場合を示す。図2においては、ブレーキペダルが緩やかに踏み込まれたためにペダルストロークと液圧とが概ね同期して増加して、液圧のほうがストロークよりも先に判定しきい値に達している。作動液圧は時刻tにしきい値Paに達し、その後時刻tにペダルストロークがしきい値STaに達している。また、時刻tに作動液圧はクッション圧Pbに達しており、時刻tにおいては既にクッション圧Pbを超える液圧がバルブに作用している。よって、図2の場合では、油圧クッションモードでも通常モードでも同様に、制御部は時刻tにおいて各バルブの開閉状態の変更を一律に許可する。
【0038】
クッション効果が得られる程度の液圧がバルブを開閉する時点で既に作用していれば、作動音は十分に小さいはずである。制御入力変動を一律に緩やかにして開閉速度を遅くする方法においてはこの場合にも応答の遅れが生じるが、本実施形態によれば、通常の場合と同等の応答性でバルブを開閉することができるという点で好ましい。
【0039】
なお、変形例として、制御部は、ブレーキペダルの踏込速度が基準を超えるか否かを判定してもよい。この場合、制御部は、ブレーキペダルの踏込速度が基準を超える場合、すなわち相対的に急踏みである場合には油圧クッション制御を実行し、ブレーキペダルの踏込速度が基準内である場合には油圧クッション制御を実行せずに通常のバルブ開閉をするようにしてもよい。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
【0041】
ブレーキ制御装置20は、図3に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、ブレーキアクチュエータ40とを含む。
【0042】
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。ブレーキアクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
【0043】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、およびブレーキアクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介してブレーキアクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
【0044】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23にブレーキアクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
【0045】
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
【0046】
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
【0047】
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびブレーキポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ブレーキポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ブレーキポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
【0048】
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれブレーキアクチュエータ40に接続される。
【0049】
ブレーキアクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
【0050】
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0051】
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
【0052】
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
【0053】
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0054】
また、ブレーキアクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
【0055】
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0056】
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0057】
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
【0058】
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0059】
ブレーキアクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
【0060】
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
【0061】
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66等を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
【0062】
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
【0063】
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30およびブレーキアクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のブレーキポンプ36や、ブレーキアクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
【0064】
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
【0065】
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
【0066】
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサ26(図4参照)や、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
【0067】
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
【0068】
その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。
【0069】
ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。
【0070】
なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。
【0071】
また、リニア制御モードにおいて要求制動力を液圧制動力のみにより発生させる場合には、ブレーキECU70はレギュレータ圧あるいはマスタシリンダ圧をホイールシリンダ圧の目標圧として制御する。よって、この場合は必ずしもホイールシリンダ圧制御系統によってホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給しなくてもよい。運転者によるブレーキペダルの操作に応じて加圧されたマスタシリンダ圧あるいはレギュレータ圧をホイールシリンダにそのまま導入すれば自然に要求制動力を発生させることができるからである。
【0072】
このため、ブレーキ制御装置20は、例えば停車中のように回生制動力を使用しないときに、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給するようにしてもよい。レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給する制御モードを以下ではレギュレータモードと称する。つまりブレーキECU70は、停車中においてリニア制御モードからレギュレータモードに切り替えて制動力を発生させるようにしてもよい。
【0073】
車両の停止とともに制御モードを切り替えるようにすれば比較的簡易な制御で制御モードの切り替えを実行することができるという点で好ましい。あるいは、ブレーキECU70は、車両停止後に所定条件が満たされた場合にリニア制御モードからレギュレータモードに切り替えてもよい。例えば、リニア制御モードによる車両停止直後はホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧とがある程度異なる場合があるので、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧とが圧力差が許容範囲に収まったことを条件としてレギュレータモードに切り替えてもよい。逆に、ブレーキECU70は制動により車速が充分に低下したために回生制動を中止するときにリニア制御モードからレギュレータモードに制御モードを切り替えてもよい。
【0074】
レギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65及び分離弁60を開弁し、マスタカット弁64を閉弁する。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。シミュレータカット弁68は開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが供給されることとなり、レギュレータ圧によって各車輪に制動力が付与される。レギュレータ33には動力液圧源30が高圧側として接続されているので、動力液圧源30における蓄圧を活用して制動力を発生させることができるという点で好ましい。
【0075】
このようにレギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67への制御電流の供給を停止して閉弁し、両リニア制御弁を休止させている。このため、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の耐久性を向上することができる。
【0076】
図4は、本発明の一実施形態に係る制御システムの構成を模式的に示す図である。この制御システムは、制御部としてのブレーキECU70と、車両に設けられている各種センサを含む検出系と、を含んで構成される。ブレーキECU70は、検出系の検出結果に基づいてブレーキアクチュエータ40を制御する。
【0077】
検出系は例えば、車両の走行状態を検出するためのセンサ群、運転者の動作を検出するためのセンサ群、環境音を検出するためのセンサ群、を含む。車両の走行状態を検出するためのセンサ群は例えば、車速センサ81、シフトセンサ84を含む。運転者の動作を検出するためのセンサ群は例えば、ブレーキペダルストロークセンサ25、ブレーキペダル踏力センサ26、ステアリングセンサ86、マイク87を含む。環境音を検出するためのセンサ群は例えば、ウインカーセンサ82、ウインドウ開閉スイッチ83、雨滴センサ85、スピーカ88を含む。
【0078】
ブレーキペダルストロークセンサ25及びブレーキペダル踏力センサ26はそれぞれ、運転者によるブレーキペダル24のストローク及び踏力を検出する。車速センサ81は車両速度を検出する。ウインカーセンサ82は、車両の方向指示器の点灯状態すなわち点灯しているか否かを検出する。ウインドウ開閉スイッチ83は、車両の各ウインドウの開閉状態を検出する。シフトセンサ84は、シフトレバーのポジションを検出する。雨滴センサ85は、降雨量を検出する。ステアリングセンサ86は、操舵角及び操舵角速度を検出する。各センサは、検出結果をブレーキECU70に送信可能に接続されている。各センサは周期的に(例えばブレーキECU70の演算周期で)検出結果をブレーキECU70に送信する。
【0079】
マイク87及びスピーカ88はマルチメディアECU80に接続されている。マルチメディアECU80はブレーキECU70と信号を送受信可能に接続されている。マイク87は運転者の発話音量レベルを検出する。マルチメディアECU80は、運転者の発話音量レベルを示す信号をブレーキECU70に送信する。また、マイク87は、走行中のロードノイズ等の環境音を検出する。マルチメディアECU80は、環境音を示す信号をブレーキECU70に送信する。また、マルチメディアECU80は、スピーカ88から出力されている音量レベルを示す信号をブレーキECU70に送信する。スピーカ88は例えば、車両に設けられているオーディオシステムのスピーカである。
【0080】
図3に示されるブレーキ制御装置においては、レギュレータカット弁65が主たる作動音の発生源の1つとなり得る。その理由の1つは、アキュムレータ35がレギュレータ33に高圧源として接続されているからである。このため、レギュレータ33の下流のレギュレータカット弁65にもアキュムレータ35の高圧が作用するという状況が生じうる。また、例えば急制動時においてレギュレータ33からの作動液供給を利用するブレーキアシストを採用する場合には、レギュレータカット弁65の流量を大きくすることが好ましい。これらの結果としてレギュレータカット弁65の閉弁に要する制御電流は大きくなる傾向にあり、この閉弁電流をパルス的に与える通常の制御電流プロファイルを用いた場合にはレギュレータカット弁65の閉弁時の作動音が大きくなるおそれがある。
【0081】
そこで、この実施形態では、レギュレータカット弁65について作動音低減制御を行う。ブレーキECU70は、マスタカット弁64については第1の液圧で閉弁し、レギュレータカット弁65については第1の液圧より高圧の第2の液圧で閉弁する。第1の液圧は例えば上述の制動要求判定しきい値Pa(図1参照)であり、第2の液圧はクッション圧Pbであってもよい。
【0082】
ブレーキECU70は、マスタカット弁64の閉弁とともにシミュレータカット弁68及び分離弁60を一律に開閉してもよい。あるいは、分離弁60については制動要求の有無にかかわらず開放し、シミュレータカット弁68をマスタカット弁64の閉弁とともに開弁してもよい。また、ブレーキECU70は、マスタカット弁64の閉弁とともに増圧リニア制御弁66の制御を開始してもよい。そうすれば、増圧リニア制御弁66を通じてレギュレータカット弁65にクッション圧を作用させることもできる。
【0083】
図5は、本発明の一実施形態に係る制御処理を説明するためのフローチャートである。この処理においては、ブレーキECU70は、車室内環境が静粛であるか否かを判定し、静粛であると判定される場合にレギュレータカット弁65に油圧クッション制御を行う。図5に示される処理では、ブレーキECU70は車速がゼロである場合すなわち停車中は車内が静粛であると判定する。つまり、ブレーキECU70は制動要求を検出して、走行中はレギュレータカット弁65を他の制御弁と一律の開閉タイミングで閉じ、停車中はクッション効果を得られる液圧がレギュレータカット弁65に作用してからレギュレータカット弁65を閉じる。車両が移動しているときには高いブレーキ応答性を実現することを優先すべきであるが、車両が停止している場合には高度なブレーキ応答性は必ずしも要求されない。よって、停車中のレギュレータカット弁65の閉弁が他の弁の開閉タイミングよりも若干遅れることが許容される。
【0084】
図5に示される処理は、ブレーキECU70が制動要求の発生を検出したときに開始される。例えば、運転者によるブレーキペダル24の操作を検出したときにブレーキECU70は図5に示される処理を開始する。この処理が開始されると、ブレーキECU70は、車両が停車中か否かを判定する(S10)。ブレーキECU70は例えば車速センサ81の出力に基づいて車両が停止しているか否かを判定する。
【0085】
よって、ブレーキECU70は、車両が停止していると判定した場合には(S10のYes)、油圧クッションモードを選択して各制御弁を開閉する(S12)。具体的には例えば図1を参照して説明したように、レギュレータカット弁65についてはクッション圧に到達してから閉弁する一方、他の弁については先行して開閉する。一方、ブレーキECU70は、車両が移動していると判定した場合には(S10のNo)、通常モードを選択して各制御弁を開閉する(S14)。この場合には、各制御弁の開閉タイミングが一律とされる。油圧クッションモードまたは通常モードのいずれかが選択されて各制御弁が開閉されると、図5に示される処理は終了する。
【0086】
このようにして、本実施形態によれば、車内が静かな場合に作動音低減を重視したバルブ開閉制御がなされ、車内が静かでない場合にはブレーキ応答性を重視した通常のバルブ開閉制御がなされる。よって、場合によらず一律にバルブの開閉を遅らせる典型的手法とは異なり、作動音の低減とブレーキ応答性とを両立することができる。
【0087】
なお、停車中か否かを判定する代わりに、ブレーキECU70は、車内が静粛か否かを上述の検出系の検出結果から判定してもよい。ブレーキECU70は、静粛度を表す量として例えば、検出系に含まれるセンサの出力の重み付け平均を演算する。この静粛度を表す量が基準を超える場合に静粛でないと判定し、基準内である場合に静粛であると判定する。
【0088】
例えば、ブレーキECU70は検出系の出力に基づいて、環境音の大きさを表す量Sを演算する。環境音の大きさを表す量Sは例えば、スピーカ88の出力音量レベルSa、ウインドウの開閉度Sb、ウインカーの点灯状態Sc、降雨量Sdを用いて、次式のように算出する。
S=a・Sa+b・Sb+c・Sc+d・Sd
ここで、係数a、b、c、dはそれぞれ重み係数である。
【0089】
スピーカ出力音量レベルSaは例えば、音量レベルが所定閾値を下回る場合に(例えば無音の場合に)Sa=0とし、所定閾値を上回る場合にSa=1とし、その間は線型補間とするようにしてもよい。ウインドウ開閉度Sbは、個別のウインドウの開閉度をウインドウ開閉スイッチ83の出力から求め、得られた各ウインドウの開閉度を合計または平均して算出するようにしてもよい。各ウインドウの開閉度は、ウインドウが完全に閉じている状態を0とし、完全に開いている状態を1とし、その間は線型補間とするようにしてもよい。また、ウインカー点灯状態Scは、ウインカーセンサ82の出力から求める。例えば点灯中であればSc=1とし、消灯中であればSc=0とする。降雨量Sdは雨滴センサ85の出力から求める。雨量が所定閾値を下回る場合にSd=0とし、所定閾値を上回る場合にSd=1とし、その間は線型補間とするようにしてもよい。このようにすれば、環境音が大きくなるにつれて値Sも大きくなる。
【0090】
同様に、運転者の異音感度を表す量Fを例えば、運転者の発話音量レベルFa、運転者のステアリング速度Fb、運転者の制動操作速度Fcの重み付き平均として算出してもよい。静粛度を表す量として、運転者の異音感度を表す量Fを環境音の大きさを表す量Sに代えて用いてもよいし、運転者の異音感度を表す量Fと環境音の大きさを表す量Sとを組み合わせて用いてもよい。
【0091】
次に図6を参照して、油圧クッション制御の対象となる弁にリリーフ機能を付加する変形例を説明する。この変形例においては、対象制御弁の上流からの作動液流入により当該制御弁に作用する液圧上昇が検出されるまで作動液を一時的にせき止める手段を対象制御弁の下流に設けている。このせき止め手段は、対象制御弁とホイールシリンダとの間に設けられており、対象制御弁をホイールシリンダから遮断する手段であってもよい。せき止め手段は、所定圧以下の液圧が作用したときは流路を遮断し、当該所定圧を超える液圧が作用したときは開放される。この実施例によれば、上述の実施形態と同様に作動音を低減することができるとともに、より高いブレーキ応答性を実現することができる。
【0092】
図6は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。図6に示されるブレーキ制御装置20は、図3に示されるブレーキ制御装置20と概ね同様である。相違点は、レギュレータカット弁65の下流、つまりレギュレータカット弁65と主流路45との間にリリーフ弁78が設けられている点にある。
【0093】
リリーフ弁78は、所定の液圧が作用するまでは閉じられており、その液圧を超える液圧が作用すると機械的に開弁される。この所定の液圧は例えばクッション圧Pbに等しくてもよい。よって、リリーフ弁78は、レギュレータカット弁65にクッション圧Pbが作用するまでレギュレータ流路62に一時的に液圧をせき止める。
【0094】
リリーフ弁78がない場合には、ブレーキペダルの踏込による増圧対象容積にホイールシリンダ23も含まれる。ところが、リリーフ弁78が設けられていることにより、増圧対象容積が小さくなる。作動液が一時的にせき止められて、ホイールシリンダ23が増圧対象容積から除かれるからである。よって、レギュレータカット弁65に対して、作動音の軽減に有効な液圧上昇をすみやかにもたらすことができる。
【0095】
なお、リリーフ弁78のリリーフ機能は停車中に機能し、走行中は機能しないように構成することが好ましい。そのために、リリーフ弁78は制御電流を受けて開弁されるよう構成されていることが好ましい。この場合、ブレーキECU70は、リリーフ弁78を走行中は開状態とする。しかし、リリーフ弁78が機械的に開放されるときのペダルショック等の運転者に与える違和感が許容範囲にある場合には、リリーフ弁78は単に機械的に開閉される弁としてもよい。
【0096】
また、更なる変形例として、油圧クッション制御の対象となるバルブ自体にせき止め機能をもたせてもよい。例えばレギュレータカット弁65にリリーフ機能を付加してもよい。レギュレータカット弁65は例えば、所定圧で機械的に開弁されかつ通電により閉弁される常閉弁としてもよい。この所定圧は上述のクッション圧Pbに等しくてもよい。この場合、制動要求発生後にクッション圧が作用するまではレギュレータカット弁65は閉状態を保つ。作用する液圧がクッション圧Pbを超えると、レギュレータカット弁65は機械的に開弁される。その一方、液圧がクッション圧Pbを超えることにより、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65の開閉トリガをオンにする。そうして、レギュレータカット弁65に閉弁電流が供給されて閉弁される。レギュレータカット弁65にクッション圧が作用してから閉弁されるので、作動音は軽減または防止される。また、レギュレータカット弁65自体がせき止め機能を有することによっても、すみやかにレギュレータカット弁65にクッション圧を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態に係るバルブの開閉タイミングを説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバルブの開閉タイミングを説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る制御システムの構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。
【符号の説明】
【0098】
20 ブレーキ制御装置、 23 ホイールシリンダ、 27 マスタシリンダユニット、 31 液圧ブースタ、 32 マスタシリンダ、 33 レギュレータ、 34 リザーバ、 60 分離弁、 64 マスタカット弁、 65 レギュレータカット弁、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 71 レギュレータ圧センサ、 72 アキュムレータ圧センサ、 73 制御圧センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブと、
制動要求を検出して前記バルブを閉じる制御部と、
前記バルブに作用する作動液圧を測定する液圧センサと、を備えるブレーキ制御装置であって、
前記制御部は、制動要求検出後に前記バルブを流れる作動液の液圧上昇を前記液圧センサが検知してから前記バルブを閉じることを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
車両に付随して設けられている少なくとも1つのセンサを含む検出系をさらに備え、
前記制御部は、前記検出系の検出結果に基づいて車内が静粛であるか否かを判定し、制動要求を検出したときに車内が静粛であると判定した場合には、静粛でないと判定した場合に比べて前記バルブに高い液圧が作用したことを条件として前記バルブを閉じることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記バルブを通って流れ出る作動液を一時的にせき止める手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
複数の制御弁と、
制動要求を検出して前記複数の制御弁の開閉状態を変更する制御部と、を備えるブレーキ制御装置であって、
前記制御部は、少なくとも1つの制御弁については制動要求検出後に生じる作動液圧の上昇を検知してから開閉状態を変更し、他の制御弁については制動要求を検出して開閉状態を変更することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
作動液圧に応じて車輪に制動力を付与するホイールシリンダと、
動力の供給により作動液を蓄圧する動力液圧源と、
収容された作動液をブレーキ操作入力に応じて加圧するマスタシリンダと、前記動力液圧源を高圧源として該マスタシリンダの作動液圧に合わせて作動液を調圧するレギュレータと、を含むマニュアル液圧源と、
前記マスタシリンダから前記ホイールシリンダへの第1作動液流路に設けられ、制動要求により該第1作動液流路を遮断するマスタカット弁と、
前記レギュレータから前記ホイールシリンダへの第2作動液流路に設けられ、制動要求により該第2作動液流路を遮断するレギュレータカット弁と、
前記第2作動液流路の作動液圧を測定する液圧センサと、
制動要求を検出して前記マスタカット弁により前記第1作動液流路を遮断し、制動要求検出後に前記液圧センサにより前記第2作動液流路の液圧上昇が検知されてから前記レギュレータカット弁により前記第2作動液流路を遮断する制御部と、を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−111183(P2010−111183A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283669(P2008−283669)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】