説明

ブースト性能を向上させた供給調節器

本調節器は調節弁とアクチュエータとを備えている。本調節弁は、カスタム化された弁ポートが設けられた弁本体を有している。すなわち、弁座は、弁ポートのオリフィスの直径、弁ポートのオリフィスの長手方向の寸法および/または弁ポートの流れ容量に応じてカスタム化される弁座高さを有するように設計されている。このように設計すると、ガスが調節器を流れる効率を最大化するという効果がある。アクチュエータは、弁本体に結合されるようになっていることに加えて、この弁本体内に配置されるバルブディスクを有している。このバルブディスクは、弁座と係合する閉弁位置と弁座から間隔をおいて位置する開弁位置との間で変位するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願相互参照】
【0001】
2007年4月20日に出願された「ブースト性能を向上させたサービスレギュレータ」という表題の米国特許仮出願第60/913,135号の優先権を主張し、その全内容を本明細書で参照することにより援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガス調節器に関するものであり、とくに閉ループ制御を備えたアクチュエータを有するガス調節器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
典型的なガス分配システムがガスを供給する圧力は、当該システムに対する需要、天候、供給源および/または他の要因に応じて変わる場合がある。しかしながら、加熱炉、オーブンなどの如きガス機器を装備したほとんどのエンドユーザ設備は、前もって決められた圧力に応じてかつガス調節器の最大容量以下でガスが供給されることを必要とする。したがって、供給されるガスがエンドユーザ設備の要求を確実に満たすようにするために、ガス調節器がガス分配システムの中に組み入れられている。一般的に、従来のガス調節器は、供給ガスの圧力を検出および制御するための閉ループ制御アクチュエータを備えている。
【0004】
従来のガス調節器の一部には、閉ループ制御に加えて逃がし弁を備えているものもある。逃がし弁は、たとえば調節器または流体分配システムの他の構成部品が故障ときの過剰圧力を防止するように構成されている。したがって、供給圧力が前もって決められた閾値圧力を超えた場合には、逃がし弁が開き、ガスの少なくとも一部を大気に排出してシステム内の圧力を低下させる。
【0005】
図1および図1Aには、一つの従来のガス調節器10が示されている。通常、調節器10はアクチュエータ12と調節弁14とを備えている。調節弁14には、たとえばガス分配システムからガスを受け取るための流入口16と、一または複数の器具を備えている工場、レストラン、アパートなどの如きエンドユーザ設備にガスを供給するための流出口18とが形成されている。これに加えて、調節弁14は、流入口と流出口との間に配置される弁ポート36を備えている。ガスは、調節弁14の流入口16と流出口18との間を移動するために、弁ポート36を通り抜けなければならないようになっている。
【0006】
図1Aには、調節器10内の従来の弁ポート36を備えた調節弁14がより詳細に示されている。通常、従来の弁ポート36は、流入口60と、流出口62と、これらの流入口60と流出口62との間に延びる細長い、おおむね円筒状のオリフィス64とを有する一体式の弁ポートから構成されている。ガスは、調節弁14を通り抜けるためにはオリフィス64を通り抜けなければならないようになっている。
【0007】
さらに図1Aを参照すると、弁ポート36は、本体部66と、六角ナット部68と、弁座70と備えている。本体部66は、断面視においておおむね円形状となっており、調節弁14と螺合する複数の雄ネジ山72を有している。六角ナット部68は、断面視において六角形状となっており、弁ポートの動的流れ特性を個々の用途に合わせるべく異なる直径を具備したオリフィスを有する他の弁ポートと取り替えるため、たとえば空気式ラチェットの如きツールにより係合されて、弁ポート36を調節弁14の中に装着するようにまたは弁ポート36を調節弁14から取り出すように構成されている。
【0008】
弁座70は、本体部68とは反対側の方に向けて六角ナット部68から突出している。弁座70は、六角ナット部から先細になっていき着座縁部74で終端している断面視がおおむね三角形状であるリング形状のテーパ付き弁座70から構成されている。さらに具体的にいえば、従来の弁座70は、着座縁部74で連接される内面76と外面78とを有している。内面76は、弁本体36内のオリフィス64の延長部であるので、オリフィス64の直径と等しい直径を有している。外面78は、内面76に対して約45の角度で延びている。したがって、外面78はおおむね円錐台形状である。
【0009】
図1Aに示されている従来の弁ポート36では、弁座は弁座高さHおよびオリフィス直径Dを有している。しかしながら、上述のように、弁ポート36は、調節器10の動作特性に合わすために異なる直径を具備するオリフィスを有する他の弁ポートと取り替えられてもよい。オリフィス64の直径にかかわらず、弁座高さHは従来の弁ポートの場合には一定となっている。
【0010】
図1をさらに参照すると、従来の調節器10のアクチュエータ12が、調節弁14に連結され、調節弁14の流出口18における圧力、すなわち流出口圧力が所望の流出口圧力または制御圧力に従ったものであることを担保するようになっている。したがって、アクチュエータ12は、弁口部34およびアクチュエータ口部20を通じて、調節弁14と連通している。アクチュエータ12は、調節弁14の流出口圧力を検出および調節するための制御組立体22を備えている。
【0011】
制御組立体22は、ダイヤフラム24と、ピストン32と、バルブディスク28を有する制御アーム26とを備えている。バルブディスク28は、おおむねシリンダ形状の本体25と、この本体25に固定されたシール用挿入部材29とを有している。また、本体25は、図1Aに示されているように、本体とともに一体成形された環状のフランジ31をさらに有していてもよい。ダイヤフラム24は、調節弁14の流出口圧力を検出するように構成されている。制御組立体22は制御バネ30をさらに有している、この制御バネ30は、ダイヤフラム24の上側と係合して、加えられている流出口圧を相殺するようになっている。したがって、所望の流出口圧力、いわゆる制御圧力は、制御バネ30の選択により設定されることとなる。
【0012】
ダイヤフラム24は、制御アーム26に作用可能に連結されているので、バルブディスク28は、加えられた流出口圧力に基づいて調節弁14の開度をピストン32を通じて制御する。たとえば、エンドユーザが、たとえばガス分配システムに需要を生じさせる調節器10の下流の加熱炉等の器具を作動させると、流出量が増加し、結果として出口圧力が低下する。その結果、ダイヤフラム24は、低下した流出口圧力を検出することになる。このことにより、制御バネ30が、伸び、図1の調節器10の配置においてピストン32および制御アーム26の右側を下方に向けて移動させる。この制御アーム26の移動により、バルブディスク28が弁ポート36の弁座70の着座縁部74とは反対側に移動し、このことにより調節弁14が開くこととなる。図1Aには、正常な開弁動作位置にあるバルブディスク28が示されている。このように構成されることによって、器具が、ガスを弁ポート36内のオリフィス64を通して引き出すことが可能となる。
【0013】
図1Aに示されている位置では、バルブディスク28は、ガスが正常な動作状態時、弁ポート36とは反対側に向けて変位されて、ガスが調節弁14を通って流れることを可能とする。一般的にいえば、バルブディスク28の正確な位置は、さまざまな要因に依存するものであり、そのうちの一つには、弁ポート36を流れるガスの流量、すなわち弁ポート36の流れ容量が含まれ、また、この流れ容量自体、弁ポート36内のオリフィス64の直径および容積に依存している。たとえば、図1Aに示されている弁ポート36がより小さなオリフィスを備えた、すなわち流量がより小さな弁ポートと取り替えられた場合、バルブディスク28は、弁ポート36により近いところに位置することになる。しかしながら、このバランスが必ずしも調節弁14の流れ特性を最適化するとは限らない。
【0014】
たとえば、直径が小さい弁ポートが用いられた場合、調節弁14を流れるガスの流速が速くなる傾向があり、弁ポートの直ぐ下流側の空間、すなわち弁ポートとバルブディスクとの間の空間の容積が減少することになる。この喉部11とバルブディスク28との間の減少した容積は、ガスが調節弁14の弁ポート36から流出口18へと流れる効率に対し悪い影響を及ぼしてしまう恐れがある。たとえば、容積が減少することにより、効率的に回復して流出口18から流出するための十分な空間が弁ポート36を流れる高速のガスに対して提供されない場合がある。状況によっては、このことにより、流出口18の圧力が上昇し、ダイヤフラムに流出口圧力の見かけ上の上昇を検出させ、バルブディスク28を弁ポート36の方向に向けて移動させ、調節弁14を流れる流量を減らしてしまう場合もある。このことが、同時に、流出口圧力を設定制御圧力または所望の流出口圧力を下回る圧力まで低下させてしまう。この現象は「ドループ」として知られている。「ドループ」が生じた場合、調節器10は最適化された状態で動作しなくなる恐れがある。
【0015】
図1に示されている従来の調節器10では、上述のように、制御組立体22は逃がし弁としてさらに機能する。詳細にいえば、制御組立体22は逃がしバネ40と放出弁42とをさらに備えている。ダイヤフラム24は、その中央部に開口部44を有しており、ピストン32は密封用カップ部38を有している。逃がしバネ40は、正常運転時、ピストン32とダイヤフラム24との間に配置され、密封用カップ38に対抗してダイヤフラム24を付勢し、開口部44を閉めるようになっている。たとえば制御アーム26の破損の如き故障が生じると、制御組立体22は、もはやバルブディスク28を直接に制御することはなく、流入口の流れがバルブディスク28を極端な開弁位置へと押しやることになる。このことにより、最大の量のガスがアクチュエータ12の中に流れ込むことが可能となる。
【0016】
ガスがアクチュエータ12を満たしていくにつれて、ダイヤフラム24に対する圧力が蓄積され、ダイヤフラム24が密封用カップ38とは反対側に向けて移動され、このことにより開口部44が暴露されることとなる。したがって、ガスは、ダイヤフラム24の開口部44を通り抜け、放出弁42の方に向けて流れる。放出弁42は、弁体46と、閉弁位置に向けて弁体46を付勢する逃がしバネ54とを有している。このことは図1に示されている。アクチュエータ12内の放出弁42の近傍の圧力が前もって決められている閾値圧力に到達すると、弁体46は、逃がしバネ54の付勢に対抗して上方に向けて変位して開き、このことによりガスを大気中に排出し、調節器10の中の圧力を低下させるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ある用途に用いるために弁ポートを選択する場合、技術者は、設定された制御圧力で流れ容量を最大化するとともに「ドループ」の量を最小限に抑える責務を負うことになる。通常、このことは、これらの競合する利害を考慮して妥協できる特性を有する弁ポートを選択することによって達成される。しかしながら、上述のように、これらの従来の弁ポートは、オリフィス直径だけが変わり、弁座高さは一定である。したがって、従来の弁ポートによっては、おおむね効率的に機能しているものもあれば、オリフィス直径が異なる他の弁ポートには効率的に機能していないものもある。したがって、調節器10の流れ特性、さらに具体的にいえば「ブースト(boost)」特性をすべての弁ポートに対して最適化することは可能なことではない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、調節弁とアクチュエータと備えた調節器を提供している。調節弁は、カスタム化された弁ポートを装備した弁本体を有している。弁ポートは、流入口と、流出口と、これらの流入口と流出口との間で延びる細長いオリフィスとを有している。アクチュエータは、弁本体に結合されており、バルブディスクを含む制御要素を有している。バルブディスクは、弁本体内に摺動可能に配置され、閉弁位置と開弁位置との間で変位するように構成されている。カスタム化された弁ポートは、調節器を通るガスの流れを防止する閉弁位置においてバルブディスクがシールする弁座を有している。
【0019】
一実施形態では、弁ポートの弁座は、たとえば細長いオリフィスの直径もしくは流れ容量に依存するカスタム化された弁座高さを有しているか、または、他の動作特性を有している。このように構成されると、カスタム化された弁ポートは、ガスが調節弁を通って流れる効率を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の調節器を示す側面断面図である。
【図1A】従来の弁ポートを含む図1の調節器の調節弁を示す側面断面図である。
【図2】調節弁および弁ポートを備えた調節器を示す側面断面図であり、これらの調節器、調節弁および弁ポートは本発明に従って製造されている。
【図3】本発明に従って製造された一つの弁ポートを示す側面断面図である。
【図4】本発明に従って製造された他の弁ポートを示す側面断面図である。
【図5】本発明に従って製造されたさらに他の弁ポートを示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2には、本発明の一実施形態に従って製造されたガス調節器100が示されている。通常、ガス調節器100はアクチュエータ102と調節弁104とを備えている。たとえば、調節弁104は、ガス分配システムからガスを受け取るための流入口106と、一または複数の器具を有する設備に対してガスを移送するための流出口108とを備えている。アクチュエータ102は、調節弁104に連結されており、また、制御要素127を有する制御組立体122を備えている。第一のまたは正常な動作モード時、制御組立体122は、調節弁104の流出口108の圧力、すなわち流出口圧を検出し、流出口圧が前もって決められた制御圧力とほぼ等しくなるように制御要素127の位置を制御するようになっている。これに加えて、上述のシステムに故障が発生すると、調節器100は、図1に示されている調節器10に関して先に記載された逃がし(relief)機能におおむね類似する逃がし機能を実行するようになっている。
【0022】
図2をさらに参照すると、調節弁104には、喉部110および弁口部112が形成されている。弁口部112は、流入口106および流出口108の軸に対しておおむね直角となっている軸に沿って配置されている開口部114を形成している。喉部110は、流入口106と流出口108との間に配置され、本発明に従って製造される弁ポート136を収納するようになっている。弁ポート136は、流入口150と、流出口152と、これらの流入口150と流出口152との間に延設される細長いオリフィス148とを備えている。ガスが調節弁104の流入口106と流出口108との間を移動するためには、弁ポート136のオリフィス148を通り抜けなければならないようになっている。
【0023】
図3には、図2の調節器100の弁ポート136が示されている。弁ポート136は、ガスが調節弁104を流れる効率を最大化するようにカスタム化されている。弁ポート136は、流入口150、流出口152およびオリフィス148に加えて、本体部166と、六角ナット部168と、弁座170とを有している。本体部166は、断面視においておおむね円形状になっており、図2に示されているような、調節弁104の喉部110と螺合するように構成された複数の雄ネジ山を有している。六角ナット部168は、断面視において六角形状である。また、かかる六角ナット部168は、調節器100の動的流れ特性を個々の用途に合わせるようにさまざまな構造を有する他の弁ポートと取り替えるために、たとえば空気式のラチェットの如きツールにより係合されて、弁ポート136を調節弁104の中に装着したりまたは弁ポート136を調節弁104から取り出したりするように構成されている。
【0024】
弁座170は、本体部168とは反対側の方に向けて六角ナット部168から突出している。弁座170は、六角ナット部168から先細になっていき着座縁部174で終端するものであって、断面視がおおむね三角形状であるリング形状のテーパ付き弁座170を含んでいる。さらに具体的にいえば、弁座170は、着座縁部174で互いに連接される内面176と外面178とを有している。開示されている実施形態では、内面176は、弁本体136内のオリフィス148の延長部であるので、オリフィス148の直径とおおむね等しい直径を有している。このように構成すると、オリフィス148は、その直径がおおむね均一に一定となる。図3に示されている実施形態では、開示の実施形態の外面178は、内面176に対して約15°と約30°との間の角度α1を形成して延びている。したがって、外面178はおおむね円錐台形状となっている。
【0025】
図3に示されている弁ポート136の弁座170は、弁座高さH1、六角ナット部高さh1およびオリフィス直径D1を含む一組の、すなわち複数の寸法パラメータを有している。弁座高さH1は、個々のオリフィス直径D1、弁ポート136の個々の流れ容量および/またはたとえば図2に示されている調節器100の所望の流れ特性に対して弁座高さH1がカスタム化できるように、オリフィス直径D1の関数としてセットされるようになっている。図3に示されている弁ポート136の実施形態では、弁座高さH1は、オリフィス直径D1の寸法の約60%と約90%との間のある寸法を有しうる。たとえば、一実施形態では、弁座高さH1が約3/8インチであり、オリフィス直径D1が約1/2インチであってもよい。しかしながら、これらの寸法は例示のみを意図したものであって、他の寸法を有する他の実施形態も本発明の技術範囲内に含まれるものとする。
【0026】
図4には、先に記載された弁ポート136の代わりとして、調節弁104内に取り付けられうる本発明の技術思想に従って製造された他の弁ポート236が示されている。図4に示されている弁ポート236は、本体部266と、六角ナット部268と、弁座270とを備えているという点において、図3に示されている弁ポート136と実質的に同等である。本体部266は、断面視においておおむね円形状であり、たとえば図2に示されているような調節弁104の喉部110と螺合するように構成された複数の雄ネジ山272を有している。六角ナット部268は、断面視において六角形状となっており、たとえば、調節弁104の中へ弁ポート236を取り付けるまたは調節弁104から弁ポート236を取り外すために、空気式のラチェットの如きツールにより係合されるように構成されている。
【0027】
弁座270は、本体部268とは反対側の方に向けて六角ナット部268から突出している。弁座270は、六角ナット部268から先細になっていき着座縁部274で終端するものであって、断面視がおおむね三角形状であるリング形状のテーパ付き弁座270を含んでいる。さらに具体的にいえば、弁座270は、着座縁部274で互いに連接される内面276と外面278とを有している。開示されている実施形態では、内面276は、弁本体236内のオリフィス248の延長部であるので、オリフィス248の直径と等しい直径を有している。このように構成すると、オリフィス248は、その直径がおおむね均一に一定となる。図4に示されている実施形態では、弁座270の外面278は、内面276に対して約25と約60との間の角度α2を形成して延びている。したがって、開示されている実施形態の外面278はおおむね円錐台形状となっている。
【0028】
さらに、図4に示されている弁ポート236の弁座270は、弁座高さH2、六角ナット部高さh2およびオリフィス直径D2を含む一組の、すなわち複数の寸法パラメータを有している。図4に示されている弁座270の六角ナット高さh2は、図3に示されている弁ポート170の六角ナット高さh1と同一である。図4に示されている弁ポート236の弁座高さH2は、図3に示されている弁ポート136の弁座高さH1よりも低くなっている。図4に示されている弁ポート236のオリフィス直径D2は、図3に示されている弁ポート136のオリフィス直径D1よりも大きくなっている。図4に示されている弁ポート236の実施形態では、弁座高さH2は、オリフィス直径D2の寸法の約15%と約50%との間のある寸法を有しうる。たとえば、一実施形態では、弁座高さH2が約1/4インチであり、オリフィス直径D2が約5/8インチであってもよい。このように、図4に示されている弁ポート236の弁座高さH2は、オリフィス直径D2に合わせてカスタム化されている。
【0029】
図5には、先に記載された弁ポート136、236の代わりとして、調節弁104内に取り付けられうる本発明の技術思想に従って製造された他の弁ポート336が示されている。図5に示されている弁ポート336は、本体部366と、六角ナット部368と、弁座370とを備えているという点において、図3および図4に示されている弁ポート136、236と実質的に同等である。本体部366は、断面視においておおむね円形状であり、たとえば図2に示されている調節弁104の喉部110と螺合するように構成された複数の雄ネジ山372を有している。六角ナット部368は、断面視において六角形状となっており、たとえば調節弁104の中へ弁ポート336を取り付けるまたは調節弁104から弁ポート336を取り外すために、空気式のラチェットの如きツールにより係合されるように構成されている。
【0030】
弁座370は、本体部368とは反対側の方に向けて六角ナット部368から突出している。弁座370は、六角ナット部368から先細になっていき着座縁部374で終端しているものであって、断面視がおおむね三角形状であるリング形状のテーパ付き弁座370を含んでいる。さらに具体的にいえば、弁座370は、着座縁部374で互いに連接される内面376と外面378とを有している。開示されている実施形態では、内面376は、弁本体336内のオリフィス348の延長部であるので、オリフィス348の直径と等しい直径を有している。このように構成すると、オリフィス348は、その直径がおおむね一様に一定となる。図5に示されている実施形態では、弁座370の外面378は、内面376に対して約15°と約50°との間の角度α3を形成して延びている。したがって、開示されている実施形態の外面378はおおむね円錐台形状となっている。
【0031】
さらに、図5に示されている弁ポート336の弁座370は、弁座高さH3、六角ナット部高さh3およびオリフィス直径D3を含む一組の、すなわち複数の寸法パラメータを有している。図5に示されている弁ポート336の六角ナット高さh3は、図3および図4に示されている弁ポート136、236の六角ナット高さh1、h2と同一である。図5に示されている弁ポート336の弁座高さH3は、図3および図4に示されている弁ポート236、336の弁座高さH1、H2よりも低くなっている。それとは対照的に、図5に示されている弁ポート336のオリフィス直径D3は、図3および図4に示されている弁ポート136、236のオリフィス直径D1、D2よりも大きくなっている。図5に示されている弁ポート336の実施形態では、弁座高さH3は、オリフィス直径D3の寸法の約5%と約35%との間のある寸法を有しうる。たとえば、一実施形態では、弁座高さH3が約3/16インチであり、オリフィス直径D3が約1インチであってもよい。このように、図5に示されている弁ポート336の弁座高さH3は、オリフィス直径D3に合わせてカスタム化されている。
【0032】
したがって、上述のように、本発明の技術思想に従って製造された弁ポート136、236、336は、弁ポート136、236、336から図2の調節弁14の流出口108を通る流れの効率を最大化する特定の弁座高さH1、H2、H3を有する弁座170、270、370を備えるようにカスタム化された設計となっている。上述の実施形態では、弁座高さH1、H2、H3は、オリフィス直径D1、D2、D3に対して実質的に反比例するような設計となっている。たとえば、このことをさらに説明すると、ある与えられた用途における弁ポート136、236、336が、弁座高さH、オリフィス長さLおよびオリフィス直径Dを含む複数の寸法パラメータを有しており、これらの複数の寸法パラメータが、一組の可能な寸法パラメータH1、H2、H3、L1、L2、L3、Dl、D2、D3から寸法パラメータの部分集合として選択されるようになっており、上記の一組の可能な寸法パラメータのうちの弁座高さH1、H2、H3およびオリフィス長さLl、L2、L3が、上記の一組の可能な寸法パラメータのうちのオリフィス直径D1、D2、D3に対して反比例して変わるようになっているということができる。
【0033】
別のいい方で説明すれば、任意の用途に対して選択される弁ポート136、236、336が一組の選択されるパラメータを有しているということである。上記の一組の選択されたパラメータは、細長いオリフィスの内径を含むオリフィス直径Dと、弁座が弁ポートの六角ナット部からオリフィスに沿って延びる距離を含む弁座高さHを含んでいる。上記の一組の選択されたパラメータDが複数の組のパラメータDl、D2、D3、H1、H2、H3から前もって選択されており、これらの複数の組のパラメータの各組が、これらの複数の組のパラメータのうちの弁座高さがこれら複数の組のパラメータのうちのオリフィス直径に反比例して変わるようなオリフィス直径および弁座高さを有している。
【0034】
他の実施形態では、弁座高さH1、H2、H3は、個々の弁ポート136、236、336の流れ容量、所望の流出口圧力または実質的にはいかなる他の因子の関数として設計されてもよい。これに加えて、記載のように、弁ポート136、236、336の流れ容量がオリフィス直径Dl、D2、D3に比例するため、流れ容量は弁座高さH1、H2、H3に対して反比例することになる。
【0035】
さらに、本明細書に記載されているように、弁ポート136、236、336の弁座170、270、370は、オリフィス148、248、348の延長部である内面176、276、376を有している。したがって、各弁ポート136、236、336の上述の複数の組のパラメータは、オリフィス148、248、348の長手方向の寸法Ll、L2、L3(図3〜図5に図示されている)をさらに含んでいる。長手方向の寸法Ll、L2、L3は弁座高さH1、H2、H3を含んでいる。したがって、弁ポート136、236、336のオリフィス148、248、348の長手方向の寸法Ll、L2、L3も、オリフィス148、248、348の直径Dl、D2、D3に反比例して変わるような設計となっている。
【0036】
下記に記載されているように、これらカスタム化された弁座高さH1、H2、H3は、流れ性能、さらに具体的にいえば各オリフィス直径D1、D2、D3に対する流れ効率を最適化させるという効果を奏する。
【0037】
たとえば、さらに図2に参照すると、本発明に従って製造された調節器100のアクチュエータ102は、上述のように、ハウジング116と制御組立体122とを備えている。たとえば、ハウジング116は、複数の締結部材などで相互に固定される上側ハウジング構成部材116aおよび下側ハウジング構成部材116bを有している。下側ハウジング構成部材116bには、制御キャビティ118およびアクチュエータ口部120が形成されている。アクチュエータ102と調節弁104との間を連通させるために、アクチュエータ口部120が調節弁104の弁口部112に接続されている。開示されている実施形態では、調節器100は、口部112と口部120とを相互に固定するカラー111を備えている。上側ハウジング構成部材116aには、逃がしキャビティ134および排気ポート156が形成されている。上側ハウジング構成部材116aには、制御組立体122の一部を収容するタワー部158がさらに形成されている。
【0038】
制御組立体122は、ダイヤフラムサブアセンブリ121と、弁体サブアセンブリ123と、逃がし弁142とを有している。ダイヤフラムサブアセンブリ121は、ダイヤフラム124と、ピストン132と、制御バネ130と、逃がしバネ140と、組合せバネ台座164と、逃がしバネ台座166と、制御バネ台座160と、ピストンガイド部材159とを有している。
【0039】
さらに具体的にいえば、ダイヤフラム124は、その中央部に開口部144が形成されている円盤状のダイヤフラムを含んでいる。ダイヤフラム124は、可撓性を有する実質的に気密な材料から製造されており、その周囲は、ハウジング116の上側ハウジング構成部材116aと下側ハウジング構成部材116bとの間にシールを形成して固定されている。したがって、ダイヤフラム124は制御キャビティ118から逃がしキャビティ134を分離している。
【0040】
組合せバネ台座164は、ダイヤフラム124上に配置されており、ダイヤフラム124の開口部144と同軸に配置される開口部171を形成している。図2に示されているように、組合せバネ台座164は制御バネ130および逃がしバネ140を支えるようになっている。
【0041】
開示されている実施形態に係るピストン132は、密封用カップ部138と、ヨーク172と、ネジ部174と、ガイド部175とを有するおおむね細長いロッド形状の部材から構成されている。密封用カップ部138は凹形状かつおおむね円盤形状となっており、ピストン132の中央部を中心としてその円周方向に延びており、また、ダイヤフラム124の真下に配置されている。ヨーク172は、ダイヤフラムサブアセンブリ121と弁体サブアセンブリ123との間の接続を可能にするために弁体サブアセンブリ123のうちの一部に接続するカップラ135を受けるように構成されたキャビティを有している。
【0042】
ピストン132のガイド部175およびネジ部174は、ダイヤフラム124および組合せバネ台座164の開口部144、170を貫通させて配置されている。ピストン132のガイド部175がピストンガイド部材159のキャビティ内を摺動可能に配置されているため、ピストン132の、制御組立体122のその他の部分に対する軸方向の整列が維持されることとなる。逃がしバネ140、逃がしバネ台座166およびナット176は、ピストン132のネジ部174に配置されている。ナット176は、組合せバネ台座164と逃がしバネ台座166との間に逃がしバネ140を保持するようになっている。制御バネ130は、上述のように組合せバネ台座164の上かつ上側ハウジング構成部材116aのタワー部158内に配置されている。制御バネ台座160は、タワー部158の中に通され、組合せバネ台座164に対抗して制御バネ130を圧縮するようになっている。開示されている実施形態では、制御バネ130および逃がしバネ140は圧縮コイルバネから構成されている。したがって、制御バネ130は上側ハウジング構成部材116aに対して固定され、組合せバネ台座164およびダイヤフラム124に対して下方向きの力を加えている。逃がしバネ140は組合せバネ台座164に対して固定され、逃がしバネ台座166に対して上方向きの力を加え、次いで、この力がピストン132に加えられることになる。開示されている実施形態では、制御バネ130により生成される力がタワー部158内の制御バネ台座160の位置の調節により調節可能となっているので、調節器100の制御圧力も調節可能となる。
【0043】
制御バネ130は、ダイヤフラム124により検出される制御キャビティ118内の圧力に対抗して作用するようになっている。記載のように、この圧力は、調節弁104の流出口108に存在する圧力と同一の圧力である。従って、制御バネ130により加えられる力が、流出口圧を調節器100の所望の圧力または制御圧力に設定することとなる。ダイヤフラムサブアセンブリ121は、上述のように、ピストン132のヨーク部172とカップラ135とを通じて、弁体サブアッセンブリ123に作用可能に連結されている。
【0044】
詳細にいえば、弁体サブアセンブリ123は制御アーム126と弁棒ガイド162とを有している。制御アーム126は、弁棒178と、レバー180と、制御要素127とを有している。開示されている実施形態の制御要素127はバルブディスク128を含んでいる。これに加えて、開示されている実施形態では、図2に示されているように、バルブディスク128は、弁ポート136の流出口152に対しシールするためのシール用円板129を有している。シール用円板129は、たとえば接着剤または他の手段を用いて、バルブディスク128のその他の部分に取り付けられるようになっていてもよい。シール用円板129は、バルブディスク128のその他の部分と同一のまたは異なる材質から製造されてもよい。たとえば、一実施形態では、シール用円板129はポリマー製のシール用円板129から構成されてもよい。
【0045】
弁棒178、レバー180およびバルブディスク128は、別々に製造され、組み立てられ、制御アーム126を形成するようになっていてもよい。詳細にいえば、弁棒178は、鼻部178aと、開示されている実施形態ではおおむね矩形状である凹部178bとを有するおおむね直線状のロッドである。レバー180は、わずかに湾曲したロッドであり、支点端部180aと、自由端部180bとを有している。支点端部180aは、下側ハウジング構成部材116bにより支えられている回転ピン186を受けるアパーチャ184を有している。また、支点端部180aは、断面視において楕円形状を有し弁棒178の凹部178b内に配置されているナックル部187をさらに備えている。自由端部180bは、ピストン132のヨーク172に取り付けられているカップラ135の頂部135aとピン135bとの間で受けられるようになっている。このように、カップラ135は、弁体サブアセンブリ123をダイヤフラムサブアセンブリ121に作用可能に接続するようになっている。
【0046】
弁棒ガイド162は、おおむねシリンダ形状の外側部分162aと、おおむねシリンダ形状の内側部分外部162bと、これらの外側部分162aと内側部分162bとを接続する複数の放射状のウェブ162cとを有している。弁棒ガイド162の外側部分162aは、調節弁104および下側ハウジング構成部材116bのそれぞれ対応する口部112および120の内部に適合するようなサイズおよび形状に形成されている。内側部分162bは、制御アーム126の弁棒178を摺動可能に保持するようなサイズおよび形状に形成されている。したがって、弁棒ガイド162は、調節弁104、アクチュエータハウジング116および制御組立体122、さらに具体的には制御組立体122の制御アーム126の弁棒178の配置構造を維持する役目をしている。
【0047】
記載のように、図2には、閉弁位置にあるバルブディスク128を備えた本実施形態に係る調節器100が示されている。したがって、バルブディスク128は、弁ポート136の流出口152とシールを形成して係合している。このような配置になると、ガスは、弁ポート136および調節弁104を通り抜けられなくなる。この配置は、ハウジング116の制御キャビティ118内の圧力に対応しかつダイヤフラム124に検出される流出口圧力が制御バネ130により加えられる力よりも大きいために形成される。したがって、流出口の圧力により、ダイヤフラム124、ピストン132およびバルブディスク128が閉鎖位置に向けて移動される。
【0048】
しかしながら、ガス分配システムの動作が要求される、たとえば、ユーザが加熱炉、ストーブなどの如き器具の操作をし始めると、当該器具は、調節器100の制御キャビティ118からのガスの流れを引き出すことにより、ダイヤフラム124により検出される圧力を下げる。ダイヤフラム124により検出される圧力が下がるに従って、ダイヤフラム124上において制御バネ力と流出口圧力との間に力の不均衡が生じ、その結果、制御バネ130が、伸び、ハウジング116に対して、ダイヤフラム124およびピストン132を下方に向けて変位させる。このことにより、レバー180がピボットピン186を中心として時計回り方向に向けて回転し、次いでこのことにより、ナックル部187が弁棒178内の凹部178bに対して回転する。このことにより、弁棒178およびバルブディスク128が弁ポート136の流出口152とは反対側に向けて移動され、調節弁104が開弁される。
【0049】
このような配置になると、ガス分配システムは、制御バネ130により設定される制御圧力で調節弁104を流れて下流の器具にガスを移送する。これに加えて、ダイヤフラムサブアセンブリ121は、調節弁104の流出口圧力を検出し続ける。流出口圧力が制御圧力とほぼ等しいままである限り、制御組立体122はこの同一の通常の位置にバルブディスク128を維持する。しかしながら、流出口の流量、すなわち要求量が減少し、それによって制御バネ130により設定された制御圧力を上回るまで流出口圧が上昇した場合、ダイヤフラム124は、増加した流出口圧力を検出して、制御バネ130の付勢力に対抗して上方に向けて移動するようになる。これに代えて、流出口の流量、すなわち要求量が増大し、それによって制御圧力を下回るまで流出口圧力が低下した場合、ダイヤフラム124は、減少した流出口圧力を検出して、バネ130が、ダイヤフラム124およびピストン132を下方に向けて付勢し、調節弁104を開く。このように、流出口圧力または制御圧力が少しズレると、制御組立体122は、それに反応し、ズレに応じたぶんだけバルブディスク128の位置を調節するようになっている。
【0050】
したがって、本発明の弁ポート136、236、336のうちの任意の一つが設けられている調節器100は、図1および図1Aに関して先に記載された従来の調節器10と実質的に同様に機能する。しかしながら、一つの違いは、本発明の技術思想に従って製造されたカスタム化された弁ポート136、236、336の各々は、ガスが調節弁104を通って流れる効率を最適化し、このことにより従来の調節器10において明らかであった「ドループ(droop)」の影響を相殺するということにある。
【0051】
さらに具体的にいえば、先に記載されているように、従来の弁ポート36は、オリフィス64の特定の直径Dにかかわらず、一定の弁座高さHを有している。正常運転条件下では、従来の調節器10は、調節弁14の喉部11とバルブディスク28の間の空間の容積をオリフィス64の容積と釣り合わせるようにバルブディスク28の位置を決めるようになっている。したがって、従来の調節器10は、比較的小さな直径を有するオリフィスを備えた弁ポートに対してはバルブディスク28をより近くに位置付けし、比較的大きな直径を有するオリフィスを備えた弁ポートに対してはより遠くに位置付けする。しかしながら、比較的小さな直径を有するオリフィスはより高速の流れに提供される傾向がある。これらより高速の流れは、乱流であって、弁ポート36から調節弁14の流出口18を通って効率的に流れるために下流側に割り当てられている容積を超える容積が必要となる場合が多い。したがって、従来の弁ポート36を装備した従来の調節器10は、ある状況下において「ドループ」として知られている現象を生じやすい。
【0052】
従来の弁ポート36とは対照的に、本発明に従って製造された弁ポート136、236、336は、上述のようなさまざまな弁座高さH1、H2、H3を有している。さらに詳細にいえば、上述の弁ポートのうちの任意の一つに対する弁座高さH1、H2、H3は、それに対応するオリフィス148、248、348の直径72、Dl、D2、D3に対し実質的に反比例するようになっている。したがって、オリフィス直径が小さくなるに従って弁座高さが大きくなる。
【0053】
このように配置されると、たとえば図3に示されている弁ポート136を参照すると、オリフィス直径D1は、図4および図5に示されているオリフィスの直径D2、D3と比べて比較的小さくなっている。このように、弁ポート136は、弁ポート236、336よりも高速の流れに対応するように構成されている。しかしながら、図3に示されている弁ポート136の弁座高さH1は、図4および図5に示されている弁ポート236、336の弁座高さH2、H3と比べて比較的大きくなっている。したがって、たとえば図2に示されている調節器100に用いられると、図3に示されている弁ポート136は、調節器100に、オリフィス148の容積と釣り合う弁ポート136とは反対側に向かってある距離のところへバルブディスク128を位置付けさせることとなる。たとえばバルブディスク136の弁座高さH1が従来の弁座高さHより大きくなっているため、バルブディスク128は弁ポート136からより遠く離れて位置付けされることとなる。
【0054】
このように配置されると、バルブディスク128は、調節弁104の喉部111とは反対側に向かってより遠く離れて位置付けされ、大きな下流側容積を提供し、弁ポート136から流出してくる高速の流れが流出口108を通ってより効率的に回復および移動するようになる。したがって、このようにして効率が高まると、調節弁104の流出口108における背圧が上昇する可能性が少なくなる。この背圧は、場合によっては、従来の弁ポート36を装備した従来の調節器10において「ドループ」を発生させおよび/または増幅させる原因となる。
【0055】
なお、図4および図5を参照して記載された弁ポート236、336ついては、各々が固有の流路を形成し、調節器100に、それを通って流れる容量および/または速度と釣り合うユニークな位置にバルブディスク128を位置付けさせることを除いて、直前に記載された弁ポート136と同様に作用するようになっている。
【0056】
たとえば、図4および図5に示されている弁ポート236、336は、図3に示されている弁ポート136の直径D1よりも大きな直径D2、D3を有しており、調節器100に、ある用途におけるガスの流れ容量および速度に釣り合うように調節弁104の喉部110に対してバルブディスク128の位置付けをさせうる。
【0057】
したがって、特筆すべきことは、本発明は、たとえば図2の調節弁104を通って流れるガスの流れ効率を向上させるように構成されたカスタム化された弁座高さH1、H2、H3を備えている弁ポート136、236、336を提供するという効果を奏するということである。この効率の向上は、調節器100の性能の精度に直接関連し、さらに具体的にいえば「ドループ」を相殺または排除してより信頼のある調節器100を提供することに関連する。
【0058】
商用の実施形態では、本明細書に開示されている弁ポート136、236、336の如き本発明の技術思想に従って製造された複数の弁ポートを消費者または設置技術者に供給すべく共通のパッケージまたはキットの中に組み入れることができる。このように提供することにより、消費者または技術者は、さまざまな流れ容量を有するさまざまな弁ポートを容易に得ることができ、このことによって、消費者または技術者は、調節器または他の流体流れデバイスを所望の用途を満たすようにカスタム化することができる。たとえば、調節器を流体分配システムの中に組み入れる場合、消費者または技術者は、複数の弁ポートから、ある用途における流れ特性を最も厳密に満たす一つの弁ポートを選択し、この選択された弁ポートを調節器または他の流れデバイスの中に現場で設置することができる。
【0059】
特筆すべきことは、本発明の実施形態が弁ポート136、236、336のカスタム化された弁座高さH1、H2、H3を有しているものとして記載されているが、弁ポート136、236、336の他のさまざまな特性が調節器100の性能を向上させるために同様にカスタム化されてもよい。
【0060】
たとえば、他の実施形態では、弁ポート136、236、336の着座面174、274、374の形状および構造が、たとえば、オリフィス直径Dl、D2、D3に基づいてカスタム化されてもよいし、または、流れ容量に基づいてカスタム化されてもよい。他の実施形態では、弁ポート136、236、336の着座面174、274、374の角度が、たとえば、オリフィス直径D1、D2、D3に基づいてカスタム化されてもよいし、または、流れ容量に基づいてカスタム化されてもよい。また他の実施形態では、オリフィス148、248、348は、円形状の断面以外の断面を有していてもよい。オリフィス148、248、348は、正方形、長方形またはその他の形状の断面を有していてもよい。さらに他の実施形態では、オリフィス148、248、348は、均一なシリンダ形状のオリフィス148、248、348以外の形状を有していてもよい。たとえば、オリフィス148、248、348は、先細および/または先広がりのオリフィスまたは部分を有していてもよい。本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図されるものではない。
【0061】
さらに、本発明が、調節器を通って流れる流れの効率を向上させおよび/または「ドループ」の効果を相殺するためにさらなる技術思想で補われてもよいことはいうまでもない。
【0062】
上述のように、本発明は、ガスが調節弁を通って流れる流れの効率を向上し、背圧の上昇を防止することにより、ガス調節器内の「ドループ」の効果を相殺および/または防止するための有益な手段を提供している。しかしながら、本明細書に記載の調節器は、本発明の技術思想を組み入れた流体制御デバイスの一例でしかない。また、他の調節器および制御弁を有する他の流体制御デバイスも、本発明の構造および/または利点から利益を享受することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体調節デバイスであって、
流入口、流出口、および前記流入口と前記流出口との間に配置された喉部が形成されている弁本体と、
前記弁本体に結合され、バルブディスクと、該バルブディスクに作用可能に連結されるダイヤフラムとを有するアクチュエータと、
前記弁本体の前記喉部内に配置された弁ポートと、
前記弁ポートに関する一組の選択されたパラメータとを備えており、
前記バルブディスクが、前記弁本体の中に配置され、前記ダイヤフラムに作用する前記弁本体の前記流出口の圧力の変化に応答して開弁位置と閉弁位置との間を前記弁本体の前記喉部に対して移動するように構成されており、
前記弁ポートが、弁座と、前記弁ポートを貫通する細長いオリフィスとを具備するおおむね円筒状の部材を有しており、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記弁座は前記バルブディスクによりシールを形成して係合されるように構成されており、
前記一組の選択されたパラメータには、前記細長いオリフィスの内径を含むオリフィス直径および前記弁座が前記オリフィスに沿って延びる距離を含む弁座高さが含まれており、
前記一組のパラメータが複数の組のパラメータから前もって選択されており、各組のパラメータがオリフィス直径および弁座高さを含んでおり、前記複数の組のパラメータのうちの前記弁座高さが前記複数の組のパラメータのうちの前記オリフィス直径に対して反比例して変わる、流体調節デバイス。
【請求項2】
前記複数の組のパラメータが前記オリフィスの長手方向の寸法を含んでおり、前記複数の組のパラメータの前記長手方向の寸法が前記複数の組のパラメータの前記オリフィス直径に反比例して変わる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の組のパラメータが前記オリフィスの流れ容量をさらに含んでおり、前記複数の組のパラメータのうちの前記流れ容量が前記複数の組のパラメータのうちの前記弁座高さに反比例して変わる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記弁ポートの前記細長いオリフィスのオリフィス直径がほぼ均一に一定である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記弁ポートが、本体部と、該本体部と前記弁座との間に配置される六角ナット部とをさらに有しており、前記本体部が前記弁本体の前記喉部と螺合するように構成されてなる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記弁座が、前記六角ナット部から着座縁部へと先細になって行くおおむねテーパ形状の断面を具備したリング形状の弁座を有しており、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記着座縁部が前記バルブディスクによって係合されるように構成されてなる、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
流体調節デバイスであって、
流入口、流出口、および前記流入口と前記流出口との間に配置された喉部が形成されている弁本体と、
前記弁本体に結合され、バルブディスクと、該バルブディスクに作用可能に連結されたダイヤフラムとを有しているアクチュエータと、
前記弁本体の前記喉部内に配置されている選択された弁ポートと、
弁座高さと、
オリフィス直径とを備えており、
前記バルブディスクが、前記弁本体の中に配置され、前記ダイヤフラムに作用する前記弁本体の前記流出口の圧力の変化に応答して、開弁位置と閉弁位置との間を前記弁本体の前記喉部に対して移動するように構成されており、
前記選択された弁ポートは、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記バルブディスクによりシールを形成して係合される弁座と、流体が前記選択された弁ポートを流れるための細長いオリフィスとを具備するおおむね円筒状部材を有しており、
前記弁座高さには、前記弁座が前記細長いオリフィスに沿って延びる距離が含まれ、前記オリフィス直径には、前記細長いオリフィスの内径が含まれており、
前記選択された弁ポートが複数の弁ポートから前もって選択され、該複数の弁ポートの各々が、オリフィス直径を具備する細長いオリフィスと、弁座高さを具備する弁座とを有しており、
前記複数の弁ポートの前記弁座高さが、前記複数の弁ポートの前記オリフィス直径に対して反比例して変わる、流体調整デバイス。
【請求項8】
前記複数の弁ポートの前記細長いオリフィスが長手方向の寸法をさらに含んでおり、前記複数の弁ポートの前記細長いオリフィスの前記長手方向の寸法が前記複数の弁ポートの前記オリフィス直径に反比例して変わる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記複数の弁ポートが流れ容量をさらに有しており、前記複数の弁ポートの前記流れ容量が前記複数の弁ポートの前記弁座高さに反比例して変わる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記複数の弁ポートの各々の前記細長いオリフィスがおおむね均一に一定のオリフィス直径を有している、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数の弁ポートの各々が、本体部と、該本体部と前記弁座との間に配置された六角ナット部とをさらに有しており、前記選択された弁ポートの前記本体部が前記弁本体の前記喉部と螺合するように構成されてなる、請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記複数の弁ポートの各々の前記弁座が、前記六角ナット部から着座縁部へと先細になって行くおおむねテーパ形状の断面を具備したリング形状の弁座を含んでおり、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記選択された弁ポートの前記着座縁部が前記バルブディスクによって係合されるように構成されてなる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記複数の弁ポートの前記本体部および前記六角ナット部が同一である、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
流体調節デバイスであって、
流入口、流出口、および前記流入口と前記流出口との間に配置された喉部が形成されている弁本体と、
前記弁本体に結合され、バルブディスクと、該バルブディスクに作用可能に連結されたダイヤフラムとを有しているアクチュエータと、
前記弁本体の前記喉部内に配置され、おおむねシリンダ形状の部材を有する弁ポートとを備えており、
前記バルブディスクが、前記弁本体の中に配置され、前記ダイヤフラムによって検出される前記弁本体の前記流出口の圧力の変化に応答して、開弁位置と閉弁位置との間を前記弁本体の前記喉部に対して移動するように構成されており、
前記弁ポートが、弁座と、前記弁ポートを貫通するオリフィスとを有しており、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記弁座が前記バルブディスクによりシールを形成して係合されるように構成されており、
前記弁ポートが複数の寸法パラメータを有し、該寸法パラメータには、弁座高さと、オリフィス長さと、オリフィス直径とが含まれており、
前記複数の寸法パラメータが、一組の可能な寸法パラメータから寸法パラメータの部分集合として選択され、
前記一組の可能な寸法パラメータのうちの前記弁座高および前記オリフィス長さが、前記一組の可能な寸法パラメータのうちの前記オリフィス直径に反比例して変わる、流体調整デバイス。
【請求項15】
前記弁ポートの前記複数の寸法パラメータが流れ容量をさらに含んでいる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記一組の可能な寸法パラメータの各部分集合が流れ容量をさらに含んでおり、前記一組の可能な寸法パラメータのうちの前記流れ容量が、前記一組の可能な寸法パラメータのうちの前記弁座高さおよび前記オリフィス長さに反比例して変わる、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記弁ポートの前記オリフィスのオリフィス直径がほぼ均一に一定である、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
前記弁ポートが、本体部と、該本体部と前記弁座との間に配置された六角ナット部とをさらに有しており、前記本体部が前記弁本体の前記喉部と螺合するように構成されてなる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項19】
前記弁座高さが、前記弁ポートの前記六角ナット部とは反対側に向けて弁座が延びる距離として定義される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記弁座が、前記六角ナット部から着座縁部へと先細になって行くおおむねテーパ形状の断面を具備したリング形状の弁座を有しており、前記バルブディスクが前記閉弁位置にあるとき、前記着座縁部が前記バルブディスクにより係合されるように構成されてなる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項21】
流体調節デバイスを取り付ける方法であって、
流体流入配管を弁本体の流入口に結合することと、
前記弁本体の流出口に流体流出配管を結合することと、
複数の弁ポートから一つの弁ポートを選択することと、
選択された前記弁ポートを前記弁本体の前記喉部に取り付けることとを含んでおり、
前記複数の弁ポートの各々が、弁座と、細長いオリフィスと、一組のパラメータとを有し、該一組のパラメータが、前記細長いオリフィスの直径を含むオリフィスの直径と、前記弁座が前記オリフィスに沿って延びる距離を含む弁座高さとを含んでおり、
前記複数の弁ポートの前記弁座高さが、前記複数の弁ポートの前記オリフィス直径に対して反比例して変わる、流体調節デバイスを取り付ける方法。
【請求項22】
弁本体と、該弁本体を流れる流体の流れを制御するためのアクチュエータとを有する流体調節デバイスの弁ポートを設計するための方法であって、
前記弁本体の喉部の内径と合致する前記弁ポートの本体部の外径を決定することと、
前記弁ポートの所望の流れ容量を決定することと、
前記弁ポートを貫通する細長いオリフィスの内径を決定することと、
前記弁ポートの弁座の軸方向の寸法を決定することとを含んでおり、
前記内径が前記所望の流れ容量の関数として決定され、
前記軸方向の寸法には、前記弁ポートが取り付けられたとき前記弁座が前記弁本体の前記喉部とは反対側に向けて延びる距離が含まれ、
前記弁座の前記軸方向の寸法が、前記弁ポートの前記流れ容量および前記細長いオリフィスの内径のうちの少なくとも一つの関数として決定される、方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−525468(P2010−525468A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504288(P2010−504288)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060872
【国際公開番号】WO2008/131255
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】