説明

プレート状ワークの短辺部分に模様付けをする装置及び方法

【課題】プレート状ワークの短辺部分を模様付けする装置及び方法を提供する。
【解決手段】装置1は、固定され、インク噴射用の複数のノズル開口を持つ複数の固定式インク噴射印刷ヘッド12を備えた固定式印刷ユニット10と、ワーク2をこの印刷ユニットに沿って移動できる運搬装置20と、模様付けする短辺部分2′の寸法、位置、運搬装置上でのワークの移動速度の1つ以上を検出するための、印刷ユニットの上流側に設置された検出装置30、32と、短辺部分2′に付与する模様の画像データが記憶されている記憶装置40、並びに印刷ヘッド、検出装置と記憶装置とデータ交換をし、検出装置が出力する検出データに依存して、インクが本質的に模様付けする短辺部分の高さに相当する印刷範囲内のノズル開口からのみ噴射されるように個々の印刷ヘッドを制御するように調整されている制御装置50が装備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは本質的に木材又は木質材料から成るプレート状ワークの短辺部分を、少なくとも一個ないし数個の固定されたインク噴射用の複数のノズル開口を持つインク噴射印刷ヘッドを備えた固定式印刷ユニットと、ワークをこの印刷ユニットに沿って移動できる運搬装置を使って模様付けする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べたような印刷装置は、例えば特許文献1(ドイツ実用新案登録第202004000662号(DE 20 2004 000 662 U1)明細書に記載され周知である。この装置では、印刷ヘッドは印刷操作の開始前に調節装置によって印刷すべき短辺部分の高さに合わせるように調整される。しかしこの方法は、印刷する短辺部分がいろいろ異なった高さの場合には、それ相応の機械運転停止を伴い、膨大な作業コストの原因となる。
【0003】
更に、特許文献2(国際出願公開第02/00449号パンフレット)にも、印刷工程中に印刷する対象物の移動方向を横切るような往復運動をする印刷ヘッドを備えた印刷装置が開示されている。この装置は、印刷すべき対象物の表面を検出し、これに基づいて印刷ヘッドの往復運動を制御するために、センサーを備えている。
【0004】
【特許文献1】ドイツ実用新案登録第202004000662号
【特許文献2】国際出願公開第02/00449号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、模様付けする短辺部分のいろいろ異なった寸法を考慮して、高度の可変性を持った、冒頭に述べたような装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によると、請求項1に記載の装置と請求項17に記載の方法によって解決することができる。本発明の好ましい他の形態は、従属請求項に記載してある。
【0007】
本発明の基本的な発想は、装置において、手作業による調整や移動することなしに模様付けをする短辺部分の寸法に適合できるような印刷範囲を定義しようとする考えである。
【0008】
この目的のために、本発明では、この装置は、印刷ユニットの上流側に設けた、運搬装置上でのワークの模様付けをする短辺部分の寸法及び/又はその位置及び/又はその運搬速度を検出する検出装置と、短辺部分上に印刷する模様の画像データを記憶した記憶装置と、制御ユニットであって、印刷ヘッド、検出装置及び記憶装置とデータ交換して、印刷ヘッドを検出装置から入力した検出データに依存して、インクがノズル開口から、本質的に模様付けすべき短辺部分の高さに相当する高さの印刷範囲に噴射されるように制御する制御ユニットを備える。
【0009】
この様にすることで、本発明による装置では、部材寸法が変化する場合でもそのつど新規に調整する必要がない。そればかりか、例えば一貫操業でそれぞれ違った寸法の部材を、装置の操業を停止することなしに模様付けできる。これによって、著しい省力と節約効果が発生する。
【0010】
これに加えて、本発明による装置と本発明による方法によって、より改善された模様付け印刷品質を達成できる。どのワークも個々に検出することで、実際にはワークの短辺部分のみに印刷がなされ、例えば表面側や下側に印刷されるような好ましくない結果を生じないようにすることが保証されている。そのような誤った模様付けは、従来技術によると不正確な調整によってだけでなく、ワークの位置許容度や寸法許容度によっても発生する可能性がある。このような誤った印刷を本発明によって回避又は最小限度に抑えることによって、装置の清掃コストを低減し、インクなどの印刷消耗品を節約できる。
【0011】
本出願の意味する模様付けとは、ワークの短辺部分を直接又は間接的に印刷することであるが、この場合、間接的に印刷することは、例えばフィルム、エッジ材や同様のものの転写材又は中間材によって行うことができる。
【0012】
本発明のもう一つの形態によると、制御装置は、印刷範囲の端に存在するノズル開口が印刷範囲の中央部にあるノズル開口とは異なったインク量を噴射できるように印刷ヘッドを制御するように適合されている。こうすることで、特に模様付けする短辺部分を直接印刷する場合、それぞれのワークの短辺部分と表面側ないし下側間で、しばしば丸く滑らかに仕上げられる、きれいな移行ゾーンを確保できる。
【0013】
本発明による装置を省力的にまた低汚染度で稼動できるように、本発明の他の形態では、制御ユニットは、ノズル開口からのインキ噴出の開始と終了を検出装置から入力した検出データに合致するように印刷ヘッドを制御するように適合されている。言い換えると、制御ユニットは、印刷範囲がその高さだけでなく、その長さやその時間的な配置においても運搬装置上のワークの寸法と移動速度に合致するように、適合されている。
【0014】
制御装置が、記憶装置に記憶された画像データから、検出装置から入力した検出データに適格な画像データ断片を選択できるように設けられていれば、特に外観の優れた調和のとれた印刷模様を本発明に従って実現できる。このようにすれば、例えば木目を表すことができる印刷模様を、短辺部分の各寸法に調和して適合させ、そうすることで写実的な外観を達成できるように、短辺部分に適用することが保証される。
【0015】
検出装置は、本発明の範囲内で、色々異なった方法で装備できる。特に目的に合致したものとしては、検出装置に少なくとも運搬装置に沿って設置された、好ましくは固定されている一個ないし数個のセンサーが装備されている。特に正確で、時間遅れのない検出は、本発明によると、これらのセンサーが光素子であれば達成できるが、本発明の範囲内では例えば超音波センサー又は同類のセンサーも考えられる。しかし簡素化、強靭性ならびに高精度という観点からは、センサーとしてレーザー・ポインターが特に適している。
【0016】
本発明の範囲内では、印刷ヘッドは原則として任意に構成されたものでよいが、短辺部分に模様付けするという観点からは、印刷ヘッドが本質的には運搬方向に垂直となり、本質的には運搬装置の運搬レベルに平行になるように構成されていることが、特に好ましい。
【0017】
模様付けされる短辺部分ないしワークの送り速度が高い場合に、模様付けの十分な解像度を達成するには、本発明のもう一つの形態によると、印刷ヘッドのノズル開口をそれぞれ運搬装置の運搬方向に相前後して並んでいる複数の列に配置する。その際には、本発明によると、これらの列がそれぞれ、運搬レベルに対して90度以下の角度を取り囲む方向へ延びていれば、模様付けの解像度は更に改善される。運搬装置としては、本発明の範囲内では、原則的には、従来技術で周知の例えばチェーン・コンベアやベルト・コンベアのような任意のコンベアを採用できる。しかし本発明者は、運搬装置があそびのない駆動装置を備えていれば、特に高度の印刷品質を達成できることを見出した。こうすれば揺れのない運搬稼動が可能であり、模様付けする短辺部分は模様付け工程中に実際意図する印刷範囲内に存在することになる。この場合、このあそびのない駆動装置が、例えばチェーン・テンショナーのようなチャック装置などによってチャックされ保持されている継ぎ目なし駆動エレメントであることが特に望ましい。特に磁場を駆動振動防止用に採用しているチェーン回転装置又はベルト回転装置の応用が有利である。
【0018】
はじめに述べたごとく、それぞれの短辺部分の模様付けは、直接印刷するだけでなく、例えば転写材又は中間材を間接的に印刷することによっても行うことが出来る。この目的のために、本発明のもう一つの形態では、本発明による装置が更にストライプ状の材料、特にエッジ材又は転写材を供給する供給装置を備えている。ストライプ状材料とは、限られた長さのストライプでもよいし、ロール状に巻いた“エンドレス・ストライプ”でもよい。このようにして、この装置によって、ほとんど同時にそして一つ一つのワークの運搬に適合させて、ストライプ状材料に所望の模様付けを施し、そしてこれを一時的又は永続的に模様付けする短辺部分に接触付着させることを可能とする。この技術は特に、例えば波状にした又は強度に凹面状又は凸面状の表面などのような複雑な短辺部分表面形状の模様付けに適している。
【0019】
更にこの技術の範囲内では、二つの基本的観点を区別しなければならない。即ち、一方では、ストライプ状の材料を、この模様付けを引き続いて写し絵のように模様付けするエッジへ転写し、しかもそれ自体はワークに残らないように、(鏡像的に)所望の模様付けで印刷される転写材としてのストライプ状材料の活用がある。このような問題解決には、本発明によると、ストライプ状材料は側面が印刷ユニットによって印刷され、そしてこの側面でワークの短辺部分に接着させるようにストライプ状材料を供給できるように供給装置を構成することが、特に好ましい。
【0020】
他方では、このストライプ状材料は永続的にも模様付けする短辺部分に残り、このようにして模様付けしたエッジ材料とすることも出来る。このためには本発明によると、ストライプ状材料が、印刷ユニットによって、まず、第1の側面に印刷され、それからこの第1の側面に向かい合っている、第2の側面でワークの短辺部分に付着させるようにストライプ状材料を供給できるように供給装置を構成することが、特に好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るプレート状ワークの短辺部分を模様付けする装置及び方法は、模様付けする短辺部分のいろいろ異なった寸法を考慮して、高度の可変性を持った模様付けを実施でき、高品質の模様をプレート状ワークの短編部分に施すことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0023】
図1に、本発明による装置の第1の実施形態を側面図で示した。ここに図示した装置1は、本質的には木材又は木材材料から成り、例えば家具構成エレメント、台所の前面部又は同類のもので形成される、プレート状のワーク2の短辺部分2´に模様付けするのに使用される。しかしこの際、本発明は短辺部分の模様付けだけに限定されず、原則的にはプレート状ワーク類の横長表面の模様付けにも適していることに注目しなくてはならない。
【0024】
装置1は、ここに示した実施形態で4個のインクジェット印刷ヘッド12を備えた、固定式印刷ユニット10を含む。この場合、1つの印刷ヘッドが黒、1つの印刷ヘッドがマゼンタ、1つの印刷ヘッドが黄色、そして1つの印刷ヘッドがシアン色を噴出するのが、多色模様を作成するのに有意義である。インクを噴出するために、個々の印刷ヘッド12にはノズル開口14が付いている。これについては後に詳しく説明する。
【0025】
更にこの装置1には、運搬装置20が備わっている。これによってワーク2は、印刷ユニット10に沿って移動可能となっている。この場合、本実施形態の運搬装置20は、好ましくはチェーンのようなエンドレス駆動エレメント(図示しない)を備えた、あそびのない駆動装置を持っている。このチェーンはテンション装置(図示しない)によって、引っ張られるように保持されている。
【0026】
印刷ユニット10の上流側に、運搬装置20上でのワーク2の模様付けする短辺部分2′の寸法及び/又は位置及び/又は運搬装置20上でのワーク2の移動速度を検出する検出装置30、32が設置されている。この検出装置は、まず模様付けをする短辺部分2′の高さを測る、特にレーザー・ポインター(図示しない)のような光素子を持った第1のユニット30並びに模様付けをする短辺部分2′の移動方向での前端と後端を検出する、特にレーザー・ポインター(図示しない)のような光素子を持った第2のユニット32を含む。
【0027】
これに加えて、短辺部分2′に印刷する模様の画像データが記憶されている、例えばROM又はRAMのような記憶装置40を含む。この記憶装置40は、制御装置50と結合しており、さらにこの制御装置は印刷ヘッド12並びに検出装置30,32と通信(データ交換)し、検出装置30、32が出力する検出データに依存して印刷ヘッド12を制御するように構成されている。この制御の方法については、後で詳しく説明する。
【0028】
この本発明による装置1は更に、印刷ユニット10の上流側で、本実施例では検出装置30、32の上流側に設置されたクリーニング装置60を含む。このクリーニング装置60は、模様付けする短辺部分2′を、次に行う印刷工程の前準備の役をし、例えば機械的に、又は化学的にも短辺側2′の表面を前処理する。
【0029】
印刷ユニット10の下流側には、乾燥装置70が設置されている。乾燥装置70は好ましくは紫外線素子(図示しない)を含み、外見のすばらしい永続的な模様付けを可能とするために、短辺部分2′に付与した模様付けを速やかに乾燥する役割を果たす。
【0030】
更にこの乾燥装置70の下流側には、これら以外の諸設備、例えばワニス上塗りユニット90や短辺部分2′に印刷した模様に保護ワニス層を形成し、これを硬化させるために、硬化ユニット100などが本発明による装置1に合体されている。
【0031】
固定式印刷ユニット10の構成は、図2−aおよび2−bに詳しく図示した。印刷ユニット10は、互いに結合し、旋回アーム18に据え付けた複数の印刷ヘッド12を備えている。この旋回アーム18によって印刷ヘッド12は、ノズル開口が下へ向いている(図2−a)垂直状態やノズル開口14が図で右へ向いている(図2−b)水平状態から旋回可能となっている。図2−aに示した姿勢は、ノズル開口の乾燥とインキの流出を防ぐ為に、ノズル開口14が位置をずらせるカバー16で覆われている休止位置を示す。印刷操業の開始前にこのカバー16を取り外し、印刷ヘッド12は図2−aに示した休止位置から図2−bに示す作業位置へ旋回させられる。この状態では、ノズル開口14を備えた印刷ヘッド12は、本質的には運搬方向へ垂直の位置にあり、運搬装置の運搬レベルに平行となるようになっている。
【0032】
個々のノズル開口14の印刷ヘッド12内での配置は図3に詳しく示した。本実施形態では、どの印刷ヘッド12も複数のノズル開口14を備えているが、これらノズル開口は、それぞれ運搬装置20の矢印で示した移動方向で、相前後して並んでいる複数の列16に配置されている。これらの列はそれぞれ任意の方向へ延びていてもよいが、本実施例ではこれらの列16は、運搬装置20の移動レベルに対して90度より小さい角度、更に好ましくは80度より小さい角度、特に好ましくは60度より小さい角度をなす方向へ延びている。
【0033】
図3には、図1とは異なって5個の印刷ヘッド12が示してあるが、専門家は印刷ヘッド数をそのつどの要求に従って選択するので、この数自体は本発明のコンセプトにとって本質的な意味を持たない。
【0034】
本発明による装置1の運転は、第1の実施形態では次のようにして遂行される。プレート状ワーク2は、模様付けを施す短辺部分2′が、各印刷ヘッド12のノズル開口14に向き合い、それに沿って通り過ぎるように、運搬装置20によって装置1内を通って運搬される。この運搬工程で、ワーク2はまずクリーニング装置60を通過し、ここで模様付けする短辺部分2′は、クリーニングされる。次いでワーク2は検出ユニット30と32を通り抜けるが、これによって模様付けする短辺部分の寸法、即ちその高さHと長さLが測られる。これらの計測データは検出ユニット30,32から制御装置50へ送られ、そこで処理される。このデータ処理の際に、制御装置50は、模様付けする幅の狭い面積断片2′の寸法を決定し、記憶装置40からこれら寸法に合った、短辺部分2′へ印刷する模様の画像データを読み出す。この読み出し工程を図4に図示した。本実施形態では、印刷範囲Dとして、記憶装置40に格納されている高さHと長さLの画像データの中から模様付けする短辺部分2´の検出した高さhと検出した長さl(小文字エル)を持つ部分範囲を選択する。
【0035】
この選択に基づいて、制御装置50はインクが本質的に模様付けする短辺部分の高さhに相当する印刷範囲D内のノズル開口からのみ噴出されるように個々の印刷ヘッド12を制御する。言い換えれば、模様付けする狭幅面積2′の実際の高さhに依存して、全てのノズル開口ではなく、一部のノズル開口だけが起動され、インクを短辺部分2′に向かって噴出するようにさせる。その際、本発明の枠内では、狭幅面積2′内の例えば隆起、くぼみ、湾曲又は同類の表面形状にいろいろ異なった、そのつど適合させたインク量を付与するために、ノズル開口14が各異なったインク量を噴出することも可能である。印刷範囲Dの縁部に存在するノズル開口が、印刷範囲中央部にあるノズル開口とは異なる量のインクを噴射することは特に好ましい。
【0036】
印刷工程の後で、印刷ユニット10で付着させられたインクは、乾燥装置70によって乾燥させられる。
【0037】
上述した本発明の第1の実施形態では、希望する模様は直接ワーク2の短辺部分2′に印刷された。しかし本発明の範囲内では、インクを以下に述べる第2の実施形態で説明するように、間接的に短辺部分2′に付着させることも可能である。この本発明の第2の実施形態を、第二の実施形態における本発明による装置の一部を図示した図5によって説明する。本発明による第2の実施形態は、原理的には上述した第1の実施形態に相当するので、重複する部品と工程の説明は省く。第1の実施形態と異なって、第2の実施形態は追加的にストライプ状材料82、例えばエッジ材又はフィルム状の転写材を供給する供給装置80を装備している。更に第2の実施形態における印刷ユニット10は、ストライプ状材料82が供給装置80によって、ワーク2と印刷ユニット10の間を通過して運搬されるように配置されている。この際、第2の実施形態において印刷ユニット10のノズル開口14(図示しない)は、ストライプ状材料82の側面82′と向かい合わせになる。
【0038】
図5に示した本発明の第2の実施形態では、例えばエッジ材82を供給装置80によって供給し、供給中に印刷ユニット10によって希望する模様で印刷し、引き続いてやはり供給ユニット60又は別個のプレスユニットで、同時に運搬装置20上で運搬されるワークの模様付けする短辺部分2′に接触される。
【0039】
図5には図示してないが、ストライプ状エレメント82は、永続的にワーク2に留まるのではなく、ただ印刷ユニット10から噴出されたインクの転写材としての役割を果たすようにすることもできる。この場合には、図5の印刷ユニット10は、ストライプ状エレメント82の側面82″を印刷し、これを引き続いてワーク2の狭幅面2′とユニットへ入れ、一時的に付着したインクをその上に転写するために、例えばストライプ状エレメント82の向かい合った側に配置されることも可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明に係るプレート状ワークの短辺部分を模様付けする装置及び方法は、プレート状ワーク、の短辺部分に模様付けするのに有用であり、特に、本質的に木材又は木質材料から成るプレート状ワークの短辺部分の模様付けに適している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による装置の第一の実施形態を示す側面図である。
【図2−a】図1に示した装置の印刷ユニットの縦断面図であり、ノズル開口が下へ向いている印刷ヘッドの垂直状態を示す。
【図2−b】図1に示した装置の印刷ユニットの縦断面図であり、ノズル開口が右へ向いている印刷ヘッドの水平状態を示す。
【図3】図1に示した装置の印刷ユニットの側面図である。
【図4】印刷範囲の選択を説明する図である。
【図5】本発明による装置の第二の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 装置
2 ワーク
2´ 短辺部分
12 (インクジェット)印刷ヘッド
10 (固定式)印刷ユニット
14 開口
16 カバー
18 旋回アーム
20 運搬装置
30、32 検出装置
40 記憶装置
50 制御装置
60 クリーニング装置
70 乾燥装置
80 供給装置
82 ストライプ状材料(ストライプ状エレメント、エッジ材)
82′、82″ 側面
90 ワニス上塗りユニット
100 硬化ユニット
D 印刷範囲
H、h 高さ
L、l 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは、本質的に木材又は木質材料から成るプレート状ワーク(2)の短辺部分(2′)に模様付けする装置(1)であって、
インクを噴射用の複数のノズル開口(14)を持つ、少なくとも1個の固定したインク噴射印刷ヘッド(12)を備えた固定式印刷ユニット(10)と、
ワーク(2)を前記印刷ユニット(10)に沿って移動可能とする運搬装置(20)と、
前記運搬装置(20)上での前記ワーク(2)の模様付けする前記短辺部分(2′)の寸法及び/又は位置及び/又は前記運搬装置(20)上での前記ワーク(2)の移動速度を検出するための、前記印刷ユニットの上流側に設置された検出装置(30、32)と、
前記短辺部分(2′)に印刷する模様の画像データが記憶されている記憶装置(40)と、
前記印刷ヘッド(12)、前記検出装置(30,32)及び前記記憶装置(40)とデータ交換をし、前記検出装置(30、32)が出力する検出データに依存して、インクが本質的に模様付けする前記短辺部分(2′)の高さhに相当する高さを持つ印刷範囲(D)内にあるノズル開口からのみ噴射されるように個々の前記印刷ヘッド(12)を制御するように調整されている制御装置(50)
を装備した装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記制御装置(50)は、前記印刷範囲(D)の縁部にある前記ノズル開口(14)からは前記印刷範囲(D)の中央部に存在する前記ノズル開口(14)とは異なった量のインクが噴射されるように、前記印刷ヘッド(12)を制御するように前記制御装置(50)が適合されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、前記制御装置(50)は、前記ノズル開口(14)からのインク噴射の開始と終了が、前記検出装置(30、32)から出力される前記検出データに適合するように前記印刷ヘッド(12)を制御するよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置であって、前記制御装置(50)は、前記記憶装置(40)に記憶された画像データの中から、前記検出装置から入力した前記検出データに適合した画像データ断片を選択できるように、設けられていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置であって、前記検出装置(30,32)に少なくとも前記運搬装置に沿って設置された、好ましくは固定されている1個のセンサーが装備されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記センサーは光素子、好ましくはレーザー・ポインターであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置であって、前記ノズル開口(14)を備えた前記印刷ヘッド(12)が本質的には運搬方向に垂直であり、また本質的には前記運搬装置の運搬レベルに平行になるように調整されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置であって、前記印刷ヘッド(12)の前記ノズル開口(14)は、それぞれ前記運搬装置の運搬方向に相前後して並んでいる複数の列(16)に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記の列(16)は、それぞれ運搬レベルに対して、90度以下の角度をなす方向へ延びていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置であって、前記運搬装置(20)は、あそびのない駆動装置を備えていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記のあそびのない駆動装置は、チャック装置にチャックされ保持されている継ぎ目なし駆動エレメントであることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置であって、更に前記印刷ユニット(10)の上流側に設置されたクリーニング装置(70)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置であって、更に前記印刷ユニット(10)の下流側に設置された乾燥装置(70)、好ましくは紫外線素子を含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置であって、更にストライプ状の材料(82)、特にエッジ材又は転写材を供給する供給装置(80)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記ストライプ状材料は前記印刷ユニット(10)によって第1の側面(82′)に印刷され、この第1の側面に向かい合った、第2の側面(82″)で前記ワーク(2)の前記短辺部分(2′)に接触させ、場合によってはこれと結合させることができるように、前記ストライプ状材料を供給するように、前記供給装置(80)が構成されていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記ストライプ状材料は前記印刷ユニット(10)によって前記側面(82″)に印刷され、前記側面(82″)で前記ワーク(2)の前記短辺部分(2′)に接触付着させることができるように、前記ストライプ状材料(82)を供給するように、前記供給装置(80)が構成されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
好ましくは本質的に木材又は木質材料から成るプレート状ワーク(2)の短辺部分(2′)に模様付けをする方法であって、
請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置(1)を準備する工程、
プレート状のワーク(2)を運搬装置(20)に沿って運搬する工程、
前記運搬装置(20)上にある前記ワーク(2)の模様付けする前記短辺部分(2′)の寸法及び/又は位置及び/又は移動速度を検出する工程、
印刷する際に、インクが本質的にただ前記短辺部分に限定して付着するよう、検出データに依存して、プレート状のワーク(2)の短辺部分(2′)に模様付けをする工程
を備えた方法。

【図1】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−315400(P2006−315400A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126611(P2006−126611)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(506148752)ホマッグ ホルツベアバイトゥングスシステメ アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】