説明

ホットエレクトロントランジスタおよびそれを含む半導体装置

【課題】期待される高周波特性を得ること、ならびに後続の回路で必要とされる駆動電流を得ることが可能なホットエレクトロントランジスタを提供する。
【解決手段】このホットエレクトロントランジスタ100は、コレクタ層3と、ベース層5と、エミッタ層7と、コレクタ層3とベース層5との間に形成されたコレクタバリア層4と、ベース層5とエミッタ層7との間に形成されたエミッタバリア層6とを備えている。そして、エミッタバリア層6とエミッタ層7との間のエネルギー障壁は実質的に存在しないとともに、コレクタバリア層4のエネルギー障壁の高さはエミッタバリア層6のエネルギー障壁の高さよりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットエレクトロントランジスタおよびそれを含む半導体装置に関し、特に、コレクタバリア層およびエミッタバリア層が形成されたホットエレクトロントランジスタおよびそれを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コレクタバリア層およびエミッタバリア層が形成されたホットエレクトロントランジスタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、コレクタ層と、ベース層と、エミッタ層と、コレクタ層とベース層との間に形成されたコレクタバリア層と、ベース層とエミッタ層との間に形成されたエミッタバリア層とを備えたホットエレクトロントランジスタが開示されている。このホットエレクトロントランジスタは、コレクタバリア層の障壁の高さをエミッタバリア層の障壁の高さよりも低くするために、コレクタバリア層をi型ゲルマニウムシリコンにより形成するとともに、エミッタバリア層をi型砒化アルミニウムガリウム(低濃度n型砒化ガリウム)により形成するように構成されている。また、ホットエレクトロントランジスタでは、所定のバイアスを印加した場合に、電子がトンネル効果によりエミッタ層からエミッタバリア層を通過するか、エミッタバリア層を乗り越えてベース層に到達することにより、その電子は高いエネルギを有するホットエレクトロンになる。そして、このホットエレクトロンは、ベース層においてほとんど散乱を受けることなく高速で通過し(バリスティック(弾道)伝導)、コレクタバリア層を通って、コレクタ層に到達する。
【0004】
【特許文献1】特許第3093464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来のホットエレクトロントランジスタでは、電子がトンネル効果によってエミッタ層からベース層に移動する際には、エミッタバリア層のエネルギー障壁を貫通して通過することから、より大量の電流を流すことが困難であるという不都合がある。このため、期待される高周波特性を得ること、ならびに後続の回路で必要とされる駆動電流を得ることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、期待される高周波特性を得ること、ならびに後続の回路で必要とされる駆動電流を得ることが可能なホットエレクトロントランジスタおよびそれを含む半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるホットエレクトロントランジスタは、コレクタ層と、ベース層と、エミッタ層と、コレクタ層とベース層との間に形成されたコレクタバリア層と、ベース層とエミッタ層との間に形成されたエミッタバリア層とを備え、エミッタバリア層とエミッタ層との間のエネルギー障壁は実質的に存在しないとともに、コレクタバリア層のエネルギー障壁の高さはエミッタバリア層のエネルギー障壁の高さよりも低いことを特徴とする。
【0008】
この発明の第2の局面における半導体装置は、基板と、基板に形成されたトランジスタと、基板の表面上に、トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜の表面上に形成されたホットエレクトロントランジスタとを備え、ホットエレクトロントランジスタは、コレクタ層と、ベース層と、エミッタ層と、コレクタ層とベース層との間に形成されたコレクタバリア層と、ベース層とエミッタ層との間に形成されたエミッタバリア層とを含み、エミッタバリア層とエミッタ層との間のエネルギー障壁は実質的に存在しないとともに、ベース層のフェルミエネルギーから見たベース層およびコレクタバリア層間の界面におけるエネルギー障壁の高さは、ベース層およびエミッタバリア層間の界面におけるエネルギー障壁の高さよりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の第1の局面によるホットエレクトロントランジスタでは、上記のように、エミッタバリア層とエミッタ層との間のエネルギー障壁を実質的に存在しないように構成する。このように構成することによって、電子は、拡散によってエミッタ層からエミッタバリア層を通過して(エネルギー障壁がないので)ベース層に移動する。これにより、トンネル電流によってエミッタ層からベース層に移動する場合に比べて、より大量の電流を流すことができる。これにより、高周波特性が改善し、また、駆動電流を増加させることができる。
【0010】
この発明の第2の局面による半導体装置では、上記のように、ホットエレクトロントランジスタのエミッタバリア層とエミッタ層との間のエネルギー障壁を実質的に存在しないように構成する。このように構成することによって、電子は、拡散によってエミッタ層からエミッタバリア層のエネルギー障壁を乗り越えてベース層に移動する。これにより、ホットエレクトロントランジスタにおいて、トンネル効果によりエミッタ層からベース層に移動する場合に比べて、より大量の電流を流すことができる。これにより、高周波特性が改善し、また、駆動電流を増加させることができる。
【0011】
また、トランジスタを基板に形成するとともに、ホットエレクトロントランジスタを層間絶縁膜の表面上に形成することによって、基板に形成された回路の上に、ホットエレクトロントランジスタを独立に形成することができる。これにより、層間絶縁膜によって互いの領域から発生するノイズの伝播を抑制することができるので、トランジスタとホットエレクトロントランジスタとが互いに干渉するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタ100の構造を示した断面図である。図2および図3は、図1に示した第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタ100の伝導帯のエネルギバンドを示した図である。
【0014】
ホットエレクトロントランジスタ100では、図1に示すように、シリコン基板1の表面上の所定領域に、Tiからなるサブコレクタ層2が形成されている。このサブコレクタ層2は、約5nmの厚みを有するとともに、後述するコレクタ層3を形成するための下地層として形成されている。
【0015】
サブコレクタ層2の表面上には、TiNからなるコレクタ層3が形成されている。このコレクタ層3は、約100nmの厚みを有する。また、TiNからなるコレクタ層3は、所定の窒素原子(N)濃度を有しており、約4.7eVの仕事関数を有する。
【0016】
コレクタ層3の表面上の所定領域には、TiOからなるコレクタバリア層4が形成されている。このコレクタバリア層4は、約20nm〜約50nmの厚みを有するとともに、約4.05eVの電子親和力(伝導帯の底から真空準位までのエネルギ差)を有する。
【0017】
コレクタバリア層4の表面上には、TiNからなるコレクタ側ベース層51が形成されている。このコレクタ側ベース層51は、約2nmの厚みを有する。また、TiNからなるコレクタ側ベース層51は、コレクタ層3の窒素原子濃度よりも高い窒素原子濃度を有しており、約4.3eVの仕事関数を有する。なお、コレクタ側ベース層51は、本発明の「第1ベース層」の一例である。
【0018】
コレクタ側ベース層51の表面上には、TiNからなるエミッタ側ベース層52が形成されている。このエミッタ側ベース層52は、約5nmの厚みを有する。また、TiNからなるエミッタ側ベース層52は、コレクタ側ベース層51の窒素原子濃度よりも低く、かつ、コレクタ層3の窒素原子濃度と実質的に同じ窒素原子濃度を有しており、約4.7eVの仕事関数を有する。なお、エミッタ側ベース層52は、本発明の「第2ベース層」の一例である。また、エミッタ側ベース層52およびコレクタ側ベース層51により、ベース層5が構成されている。
【0019】
エミッタ側ベース層52の表面上の所定領域には、コレクタバリア層4と同じTiOからなるエミッタバリア層6が形成されている。このエミッタバリア層6は、約5nmの厚みを有するとともに、約4.05eVの電子親和力を有する。
【0020】
エミッタバリア層6の表面上には、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなるエミッタ層7が形成されている。このエミッタ層7は、約200nmの厚みを有するとともに、約4.05eVの電子親和力を有する。なお、ホットエレクトロントランジスタ100は、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、ベース層5、エミッタバリア層6およびエミッタ層7により構成されている。
【0021】
ここで、ホットエレクトロントランジスタ100は、エミッタ層7とベース層5との間の電圧VEB=0、および、エミッタ層7とコレクタ層3との間の電圧VEC=0の場合において、図2に示すようなエネルギバンド状態になるように構成されている。また、ホットエレクトロントランジスタ100は、VEB>0、および、VEC>0の場合において、図3に示すようなエネルギバンド状態になるように構成されている。このとき、ホットエレクトロントランジスタ100では、コレクタバリア層4およびエミッタバリア層6を同じ材料(TiO)により形成するとともに、ベース層5を構成するコレクタ側ベース層51の窒素原子濃度をベース層5を構成するエミッタ側ベース層52の窒素原子濃度よりも高く形成することによって、ベース層5(エミッタ側ベース層52)に対するエミッタバリア層6の障壁の高さqVaが、ベース層5(コレクタ側ベース層51)に対するコレクタバリア層4の障壁の高さqVbよりも高くなるように構成されている。また、ホットエレクトロントランジスタ100では、コレクタ側ベース層51およびエミッタ側ベース層52からなるベース層5の厚みが、電子の平均自由行程よりも小さくなるように構成されており、ベース層5において電子がほとんど散乱を受けることなく高速で通過(バリスティック(弾道伝導))するので、高周波特性を向上させることが可能である。
【0022】
また、ホットエレクトロントランジスタ100では、エミッタバリア層6とエミッタ層7とは、互いの電子親和力が同じ大きさ(約4.05eV)になるように形成されている。これにより、エミッタバリア層6とエミッタ層7との間におけるエネルギー障壁が実質的に存在しないように構成されている。
【0023】
次に、図3を参照して、ホットエレクトロントランジスタ100の動作について説明する。
【0024】
まず、VEB>0、および、VEC>0にする。ここで、エミッタバリア層6とエミッタ層7との間におけるエネルギー障壁が実質的に存在しないことにより、電子が拡散によりエミッタ層7からエミッタバリア層6を通過する(拡散電流)とともに、エミッタバリア層6を通過してベース層5(エミッタ側ベース層52)に到達した電子が高いエネルギ(qVa)を有するホットエレクトロンになる。そして、このホットエレクトロンは、ベース層5(エミッタ側ベース層52およびコレクタ側ベース層51)においてほとんど散乱を受けることなく高速で通過し(バリスティック(弾道伝導))、障壁の高さqVbを有するコレクタバリア層4を通って、コレクタ層3に到達する。
【0025】
図4〜図9は、本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタ100の製造プロセスを説明するための断面図である。
【0026】
まず、図4に示すように、スパッタ法を用いて、シリコン基板1の表面上に、Tiからなる約5nmの厚みを有するサブコレクタ層2を形成する。そして、反応性スパッタ法を用いて、サブコレクタ層2の表面上に、TiNからなる約100nmの厚みを有するコレクタ層3を形成する。この反応性スパッタ法によるコレクタ層3の形成条件としては、Arガスに対するNガスの流量比を約10%に設定する。これにより、コレクタ層3は、所定の窒素原子濃度を有するように形成される。その後、スパッタ法を用いて、コレクタ層3の表面上に、TiOからなる約20nm〜約50nmの厚みを有するコレクタバリア層4を形成する。
【0027】
次に、図5に示すように、反応性スパッタ法を用いて、コレクタバリア層4の表面上に、TiNからなる約2nmの厚みを有するコレクタ側ベース層51を形成する。この反応性スパッタ法によるコレクタ側ベース層51の形成条件としては、Arガスに対するNガスの流量比を、コレクタ層3の形成時よりも大きい約20%に設定する。これにより、コレクタ側ベース層51は、コレクタ層3の窒素原子濃度よりも高い窒素原子濃度を有するように形成される。そして、反応性スパッタ法を用いて、コレクタ側ベース層51の表面上に、TiNからなる約5nmの厚みを有するエミッタ側ベース層52を形成する。この反応性スパッタ法によるエミッタ側ベース層52の形成条件としては、Arガスに対するNガスの流量比を、コレクタ側ベース層51の形成時よりも小さく、かつ、コレクタ層3の形成時と実質的に同じ約10%に設定する。これにより、エミッタ側ベース層52は、コレクタ側ベース層51の窒素原子濃度よりも低く、かつ、コレクタ層3の窒素原子濃度と実質的に同じ窒素原子濃度を有するように形成される。
【0028】
次に、図6に示すように、スパッタ法を用いて、エミッタ側ベース層52の表面上に、コレクタバリア層4と同じTiOからなる約5nmの厚みを有するエミッタバリア層6を形成する。そして、LP−CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:減圧化学気相成長)法を用いて、エミッタバリア層6の表面上に、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなる約200nmの厚みを有するエミッタ層7を形成する。なお、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、コレクタ側ベース層51、エミッタ側ベース層52およびエミッタバリア層6は、同一のチャンバ内において、外気(大気)に曝されることなく連続的に形成される。なお、n型ポリシリコンからなるエミッタ層7をCVD法により形成する場合、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、コレクタ側ベース層51、エミッタ側ベース層52およびエミッタバリア層6が同一チャンバ内において形成可能である。また、エミッタ層7をスパッタ法を用いてTiNにより形成した場合には、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、コレクタ側ベース層51、エミッタ側ベース層52およびエミッタバリア層6に加えて、エミッタ層7も同一チャンバにおいて連続形成可能である。
【0029】
次に、図7に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、エミッタ層7の表面上の所定領域にレジスト膜80を形成する。そして、レジスト膜80をマスクとして、異方性エッチングによりエミッタ層7およびエミッタバリア層6をパターニングする。その後、レジスト膜80を除去する。
【0030】
次に、図8に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、エミッタ側ベース層52の表面上の所定領域に、エミッタ層7およびエミッタバリア層6を覆うようにレジスト膜81を形成する。そして、レジスト膜81をマスクとして、異方性エッチングによりエミッタ側ベース層52、コレクタ側ベース層51およびコレクタバリア層4をパターニングする。その後、レジスト膜81を除去する。
【0031】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、サブコレクタ層2の表面上の所定領域に、エミッタ層7、エミッタバリア層6、エミッタ側ベース層52、コレクタ側ベース層51およびコレクタバリア層4を覆うようにレジスト膜82を形成する。そして、レジスト膜82をマスクとして、異方性エッチングによりコレクタ層3およびサブコレクタ層2をパターニングする。その後、レジスト膜82を除去することにより、図1に示した第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタ100が形成される。
【0032】
第1実施形態では、上記のように、エミッタバリア層6がTiOからなるとともに、エミッタ層7が高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなる。このように構成することによって、エミッタバリア層6が約4.05eVの電子親和力を有するとともに、エミッタ層7が約4.05eVの電子親和力を有するので、VEB>0、および、VEC>0にすることにより、電子が拡散によりエミッタ層7からエミッタバリア層6へ移動する。これにより、電子がトンネル効果によりエミッタ層からコレクタバリア層を通過する場合と比べて、ホットエレクトロントランジスタ100の電流量を増加させることができる。したがって、その結果、ホットエレクトロントランジスタ100の高周波特性の改善、すなわち、コレクタ電流を増加させることにより、ベース層5を少数キャリアで満たす充電時間が短くなるため、ベース走行時間を短縮することが出来る。これによって、遮断周波数および最大発振周波数の最大値を増加させることができるため、駆動電流の増加、すなわち、後続の回路を駆動するのに必要な駆動電流を容易に増加できる。
【0033】
また、第1実施形態では、ベース層5は、コレクタ層3の窒素原子濃度よりも高い窒素原子濃度を有するコレクタ側ベース層51と、コレクタ側ベース層51の窒素原子濃度よりも低く、かつ、コレクタ層3の窒素原子濃度と実質的に同じ窒素原子濃度を有するエミッタ側ベース層52とにより構成されている。このように構成することによって、コレクタ側ベース層51をエミッタ側ベース層52に比べて仕事関数を小さくすることができるので、コレクタバリア層4およびエミッタバリア層6を同一の材料(第1実施形態では、TiO)により形成する場合にも、コレクタバリア層4のベース層5側の障壁の高さqVbを、エミッタバリア層6のベース層5側の障壁の高さqVaよりも低くすることができる。これにより、コレクタバリア層4とエミッタバリア層6とを同一の材料により形成することができるので、ホットエレクトロントランジスタ100の製造工程を簡略化することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、エミッタバリア層6がTiOからなる。このように構成することによって、エミッタバリア層6の電子親和力を、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなるエミッタ層7の電子親和力と実質的に同じ約4.05eVに調整することができる。これにより、エミッタバリア層6とエミッタ層7との間のエネルギー障壁が存在しないように構成することができるので、電子をエミッタ層7からエミッタバリア層6へ拡散させることができ、エミッタ層7からベース層5へ通過させることができる。
【0035】
また、第1実施形態では、コレクタ層3は、TiNからなるコレクタ層3を形成するためのTiからなるサブコレクタ層2の表面上に形成されている。このように構成することによって、Tiからなる絶縁膜と密着性の高いサブコレクタ層2により、TiNからなるコレクタ層3を容易に高い信頼性で形成することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、コレクタ側ベース層51およびエミッタ側ベース層52を、同一のチャンバ内において、連続的に形成することによって、各界面が大気に曝されるのを抑制することができるので、各界面が汚染されるのを抑制することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態による半導体装置200の構造を示した断面図である。
【0038】
半導体装置200では、p型シリコン基板101の表面に、素子形成領域101aおよび101bを取り囲むように、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)構造の素子分離領域102が形成されている。素子形成領域101aには、チャネル領域103aを挟むように所定の間隔を隔てて、一対のn型のソース/ドレイン領域104aが形成されている。チャネル領域103a上には、ゲート絶縁膜105aを介してゲート電極106aが形成されている。ゲート絶縁膜105aは、SiOなどからなるとともに、ゲート電極106aは、ポリシリコンなどからなる。なお、チャネル領域103a、ソース/ドレイン領域104a、ゲート絶縁膜105aおよびゲート電極106aによって、nチャネルトランジスタ250が構成されている。また、素子形成領域101bには、nウェル領域101cが形成されている。nウェル領域101cには、チャネル領域103bを挟むように所定の間隔を隔てて、一対のp型のソース/ドレイン領域104bが形成されている。チャネル領域103b上には、ゲート絶縁膜105bを介してゲート電極106bが形成されている。ゲート絶縁膜105bは、SiOなどからなるとともに、ゲート電極106bは、ポリシリコンなどからなる。なお、チャネル領域103b、ソース/ドレイン領域104b、ゲート絶縁膜105bおよびゲート電極106bによって、pチャネルトランジスタ251が構成されている。
【0039】
p型シリコン基板101の表面上には、素子分離領域102、nチャネルトランジスタ250およびpチャネルトランジスタ251を覆うように、SiOなどからなる層間絶縁膜107が形成されている。層間絶縁膜107のソース/ドレイン領域104aおよび104bに対応する領域には、それぞれ、コンタクトホール107aおよび107bが形成されている。コンタクトホール107aおよび107bには、それぞれ、ソース/ドレイン領域104aおよび104bと電気的に接続されるプラグ108aおよび108bが埋め込まれている。プラグ108aおよび108bは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。
【0040】
プラグ108aの一方の上面には、プラグ108aの一方と電気的に接続される配線109aが形成されている。プラグ108aの他方およびプラグ108bの一方の上面には、プラグ108aの他方およびプラグ108bの一方と電気的に接続される配線109bが形成されている。この配線109bは、nチャネルトランジスタ250の一方のソース/ドレイン領域104aと、pチャネルトランジスタ251の一方のソース/ドレイン領域104bとを電気的に接続するために設けられている。プラグ108bの他方の上面には、プラグ108bの他方と電気的に接続される配線109cが形成されている。配線109a、109bおよび109cは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。
【0041】
層間絶縁膜107の表面上には、配線109a、109bおよび109cを覆うように、SiOなどからなる層間絶縁膜110が形成されている。層間絶縁膜110の配線109aおよび109cに対応する領域には、それぞれ、コンタクトホール110aおよび110bが形成されている。コンタクトホール110aおよび110bには、それぞれ、配線109aおよび109cと電気的に接続されるプラグ111aおよび111bが埋め込まれている。プラグ111aおよび111bは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。
【0042】
プラグ111aおよび111bの上面には、それぞれ、プラグ111aおよび111bと電気的に接続されるパッド層112aおよび112bが形成されている。パッド層112aおよび112bは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。また、層間絶縁膜110の表面上の所定領域には、ホットエレクトロントランジスタ100が形成されている。
【0043】
層間絶縁膜110の表面上には、ホットエレクトロントランジスタ100、パッド層112aおよび112bを覆うように、SiOなどからなる層間絶縁膜113が形成されている。層間絶縁膜113のパッド層112aおよび112bに対応する領域には、それぞれ、コンタクトホール113aおよび113bが形成されている。また、層間絶縁膜113のコレクタ層3、ベース層5(エミッタ側ベース層52)およびエミッタ層7に対応する領域には、それぞれ、コンタクトホール113c、113dおよび113eが形成されている。
【0044】
コンタクトホール113aおよび113bには、それぞれ、パッド層112aおよび112bと電気的に接続されるプラグ114aおよび114bが埋め込まれている。また、コンタクトホール113c、113dおよび113eには、それぞれ、コレクタ層3、ベース層5およびエミッタ層7と電気的に接続されるプラグ114c、114dおよび114eが埋め込まれている。プラグ114a〜114eは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。プラグ114a〜114eの上面には、それぞれ、プラグ114a〜114eと電気的に接続される配線115a〜115eが形成されている。配線115a〜115eは、Cu、W、AlまたはAl合金などからなる。
【0045】
なお、第2実施形態のその他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0046】
第2実施形態では、上記のように、nチャネルトランジスタ250およびpチャネルトランジスタ251は、p型シリコン基板101上に形成されているとともに、ホットエレクトロントランジスタ100は、層間絶縁膜110の表面上に形成されている。このように構成することによって、nチャネルトランジスタ250およびpチャネルトランジスタ251と、高周波トランジスタであるホットエレクトロントランジスタ100とが互いに基板を介して干渉するのを抑制することができる。
【0047】
なお、第2実施形態のその他の効果は上記第1実施形態と同様である。
【0048】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの構造を示した断面図である。図11を参照して、第3実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、互いに異なる結晶構造を有する2層構造のエミッタバリア層6を備えたホットエレクトロントランジスタ300について説明する。
【0049】
第3実施形態におけるホットエレクトロントランジスタ300のエミッタバリア層6は、図11に示すように、同一の材料(第3実施形態ではTiO)により形成されたベース側エミッタバリア層61とエミッタ側エミッタバリア層62とから形成されている。具体的には、ベース側エミッタバリア層61は、約2nmの厚みを有するアナターゼ相からなる結晶構造を有する。また、エミッタ側エミッタバリア層62は、約3nmの厚みを有するルチル相からなる結晶構造を有している。また、第3実施形態におけるコレクタバリア層4は、エミッタバリア層6と同一の材料であるTiOにより形成されているとともに、エミッタ側エミッタバリア層62と同様にルチル相からなる結晶構造を有している。これにより、エミッタバリア層6のエネルギー障壁に対して、相対的にコレクタバリア層4のエネルギー障壁が低くなるように構成されている。なお、第3実施形態におけるベース層5は、TiNにより形成されている一方で、1層構造により形成されている。
【0050】
なお、第3実施形態におけるその他の構成および動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
図12〜図17は、本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタ300の製造プロセスを説明するための断面図である。
【0052】
まず、図12に示すように、第1実施形態と同様に、スパッタ法を用いて、シリコン基板1の表面上に、Tiからなる約5nmの厚みを有するサブコレクタ層2を形成する。そして、反応性スパッタ法を用いて、サブコレクタ層2の表面上に、TiNからなる約100nmの厚みを有するコレクタ層3を形成する。この反応性スパッタ法によるコレクタ層3の形成条件としては、Arガスに対するNガスの流量比を約10%に設定する。これにより、コレクタ層3は、所定の窒素原子濃度を有するように形成される。その後、スパッタ法を用いて、コレクタ層3の表面上に、TiOからなる約20nm〜約50nmの厚みを有するコレクタバリア層4を形成する。このときの基板温度は、約200度程度であり、Arと0との混合ガスを用いたスパッタリング雰囲気圧力は、約0.1Pa程度にする。その後、反応性スパッタ法を用いて、TiNからなる約10nmの厚みを有するベース層5を形成する。この反応性スパッタ法によるベース層5の形成条件は、上述のコレクタ層3と同様である。
【0053】
次に、図13に示すように、スパッタ法を用いて、ベース層5の表面上に、TiOからなる約2nmの厚みを有するベース側エミッタバリア層61を形成する。このときの形成条件は、スパッタリング雰囲気圧力を1Pa程度に設定する。これにより、ベース側エミッタバリア層61はアナターゼ相になるように形成される。そして、反応性スパッタ法を用いてエミッタ側エミッタバリア層62をコレクタバリア層4と同一条件で形成する。これにより、エミッタ側エミッタバリア層62はルチル相で形成される。このときのエミッタ側エミッタバリア層62の膜厚は約3nm程度になる。
【0054】
次に、図14に示すように、LP−CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition(減圧化学気相成長))法を用いて、エミッタバリア層6の表面上に、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなるエミッタ層7を形成する。このエミッタ層7は、約200nmの厚みを有する。なお、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、ベース層5、ベース側エミッタバリア層61およびエミッタ側エミッタバリア層62は同一のチャンバ内において、外気(大気)に曝されることなく連続的に形成される。また、これらの層はTiNおよびTiOからなる層であることから、同一のチャンバ内で成長条件または雰囲気ガスを変えることで形成可能である。
【0055】
次に、図15に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、エミッタ層7の表面上の所定領域にレジスト膜80を形成する。そして、レジスト膜80をマスクとして、異方性エッチングによりエミッタ層7およびエミッタバリア層6をパターニングする。その後、レジスト膜80を除去する。
【0056】
次に、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、ベース層5の表面上の所定領域に、エミッタ層7およびエミッタバリア層6を覆うようにレジスト膜81を形成する。そして、レジスト膜81をマスクとして、異方性エッチングによりベース層5およびコレクタバリア層4をパターニングする。その後、レジスト膜81を除去する。
【0057】
次に、図17に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、サブコレクタ層2の表面上の所定領域に、エミッタ層7、エミッタバリア層6、ベース層5およびコレクタバリア層4を覆うようにレジスト膜82を形成する。そして、レジスト膜82をマスクとして、異方性エッチングによりコレクタ層3およびサブコレクタ層2をパターニングする。その後、レジスト膜82を除去することにより、図11に示すホットエレクトロントランジスタ300が形成される。
【0058】
第3実施形態では、上記のように、コレクタバリア層4とエミッタバリア層6とを同一の材料に形成する際、エミッタバリア層6をアナターゼ相からなる結晶構造を有するベース側エミッタバリア層61と、ルチル相からなる結晶構造を有するエミッタ側エミッタバリア層62との2層構造に形成する。このように構成する場合でも、コレクタ層3側の仕事関数をエミッタ層7側に比べて小さくすることができる。つまり、コレクタバリア層4のベース層3側のエネルギー障壁の高さを、エミッタバリア層6のベース層5側(ベース側エミッタバリア層61)のエネルギー障壁の高さよりも低くすることができる。
【0059】
また、第3実施形態では、コレクタバリア層4、ベース層5、ベース側エミッタバリア層61およびエミッタ側エミッタバリア層62を、同一の金属材料(Ti)により形成することにより、これらの層を同一のチャンバ内により形成することができる。したがって、ホットエレクトロントランジスタ300の製造工程を簡略化することができる。
【0060】
なお、第3実施形態におけるその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0062】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、コレクタ側ベース層51、エミッタ側ベース層52およびコレクタ層3を、TiNにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、コレクタ側ベース層、エミッタ側ベース層およびコレクタ層を、TaNなどのその他の金属窒化物により形成してもよい。
【0063】
また、上記第1および第2実施形態では、エミッタ側ベース層52およびコレクタ側ベース層51により構成されたベース層5を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、コレクタ側の窒素原子濃度がエミッタ側の窒素原子濃度よりも高くなるように構成された1つのベース層を形成してもよい。
【0064】
また、上記第1および第2実施形態では、スパッタ法を用いて、サブコレクタ層2、コレクタバリア層4およびエミッタバリア層6を形成するとともに、反応性スパッタ法を用いて、コレクタ層3、コレクタ側ベース層51およびエミッタ側ベース層52を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、CVD法を用いて、サブコレクタ層、コレクタバリア層、エミッタバリア層、コレクタ層、コレクタ側ベース層およびエミッタ側ベース層を形成してもよい。
【0065】
また、上記第1および第2実施形態では、同一のチャンバ内において、サブコレクタ層2、コレクタ層3、コレクタバリア層4、コレクタ側ベース層51、エミッタ側ベース層52、エミッタバリア層6およびエミッタ層7を連続的に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の異なるチャンバ内において、各層を順次形成してもよい。
【0066】
また、上記第1〜第3実施形態では、コレクタバリア層4およびエミッタバリア層6をTiOにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、コレクタバリア層およびエミッタバリア層をTaOなどのその他の金属酸化物により形成してもよい。
【0067】
また、上記第1〜第3実施形態では、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンからなるエミッタ層7を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、TiNなどのその他の金属窒化物からなるエミッタ層を形成してもよい。なお、この場合、エミッタ層の仕事関数をエミッタバリア層の電子親和力と実質的に同じになるように調整する方が好ましく、Nの組成比を高くするとTiNなどの仕事関数は小さく(浅く)なる傾向がある。
【0068】
また、上記第1〜第3実施形態では、ベース層5の厚みを、電子の平均自由行程よりも小さくする例を示したが、本発明はこれに限らず、ベース層においてバリスティック伝導可能な電子が所定数以上あり、エミッタ層から出てコレクタ層に到達しない電子が約数分の一から百分の一以下であれば、ベース層の厚みを、電子の平均自由行程よりも大きくしてもよい。
【0069】
また、上記第1〜第3実施形態では、エミッタ層のエミッタバリア層界面を、高不純物濃度を有するn型ポリシリコンにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、エミッタ層のエミッタバリア層界面を、仕事関数がシリコンの伝導帯の底と一致するような合金またはシリサイドにより形成してもよい。また、エミッタ層のエミッタバリア層界面を、SiCなど電子親和力がSiよりも小さい半導体により形成してもよい。この場合、エミッタバリア層としてTiOよりも比誘電率が小さい酸化物を用いても酸化物が電子に対するポテンシャル障壁となりにくく電流を流しやすい。
【0070】
また、上記第2実施形態では、コンタクトホール107a、107b、110a、110bおよび113a〜113e内にプラグ108a、108b、111a、111bおよび114a〜114eを埋め込む例を示したが、本発明はこれに限らず、コンタクトホールの内周面に、電気伝導度が高く、かつ、プラグが層間絶縁膜に拡散するのを抑制することが可能な、Tiなどからなるバリアメタル層を形成するとともに、バリアメタル層を介してコンタクトホール内にプラグを形成してもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態では、第1実施形態において示したホットエレクトロントランジスタを含む半導体装置を示したが、本発明はこれに限らず、第3実施形態において示したホットエレクトロントランジスタを、第2実施形態における半導体装置に適用することも可能である。
【0072】
また、上記第3実施形態では、ベース側エミッタ層、エミッタ側エミッタ層およびコレクタ層をTiNにより形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、コレクタ側ベース層、エミッタ側ベース層およびコレクタ層を、TaNなどのその他の金属窒化物により形成してもよい。
【0073】
また、上記第3実施形態では、エミッタバリア層を、ルチル相からなるエミッタ側エミッタバリア層と、アナターゼ相からなるベース側エミッタバリア層との2層構造により形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、エミッタバリア層を、エミッタ層側からベース層側に向かってルチル相からアナターゼ相に連続的に変化するように形成することによって、1層からなるように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの構造を示した断面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの伝導帯のエネルギバンドを示した図である。
【図3】図1に示した第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの伝導帯のエネルギバンドを示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態による半導体装置の構造を示した断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの構造を示した断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態によるホットエレクトロントランジスタの製造プロセスを説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0075】
2 サブコレクタ層(下地層)
3 コレクタ層
4 コレクタバリア層
5 ベース層
6 エミッタバリア層
7 エミッタ層
51 コレクタ側ベース層(第1ベース層)
52 エミッタ側ベース層(第2ベース層)
61 ベース側エミッタバリア層
62 エミッタ側エミッタバリア層
100 ホットエレクトロントランジスタ
101 p型シリコン基板(基板)
107、110 層間絶縁膜
200 半導体装置
250 nチャネルトランジスタ(トランジスタ)
251 pチャネルトランジスタ(トランジスタ)
300 ホットエレクトロントランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレクタ層と、
ベース層と、
エミッタ層と、
前記コレクタ層と前記ベース層との間に形成されたコレクタバリア層と、
前記ベース層と前記エミッタ層との間に形成されたエミッタバリア層とを備え、
前記エミッタバリア層と前記エミッタ層との間のエネルギー障壁は実質的に存在しないとともに、前記コレクタバリア層のエネルギー障壁の高さは前記エミッタバリア層のエネルギー障壁の高さよりも低いことを特徴とする、ホットエレクトロントランジスタ。
【請求項2】
前記ベース層は、金属窒化物からなることを特徴とする、請求項1に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項3】
前記ベース層は、窒素原子を含み、
前記ベース層は、前記コレクタ層側の窒素原子濃度が、前記エミッタ層側の窒素原子濃度よりも高くなるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項4】
前記ベース層は、第1ベース層と第2ベース層とを含み、
前記第1ベース層は、前記コレクタ層側に形成され、第1の窒素原子濃度を有し、
前記第2ベース層は、前記エミッタ層側に形成され、前記第1の窒素原子濃度よりも低い第2の窒素原子濃度を有することを特徴とする、請求項3に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項5】
前記コレクタバリア層および前記エミッタバリア層は、同じ金属酸化物からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項6】
前記エミッタ層の前記エミッタバリア層界面は、シリコンおよび金属窒化物のいずれか一方からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項7】
前記エミッタバリア層の前記エミッタ層との界面、および、前記エミッタバリア層の前記ベース層との界面は、互いに異なる高さのエネルギー障壁を有する材料により構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項8】
前記エミッタバリア層と前記コレクタバリア層とは、同じ材料からなるとともに、前記エミッタバリア層の前記エミッタ層との界面と、前記コレクタバリア層とは、同じ結晶構造を有することを特徴とする、請求項7に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項9】
前記エミッタバリア層の前記エミッタ層との界面と、前記エミッタバリア層の前記ベース層との界面とは、互いに異なる結晶構造を有することを特徴とする、請求項7または8に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項10】
前記ベース層は、TiNからなり、前記エミッタバリア層と前記コレクタバリア層とは、TiOからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のホットエレクトロントランジスタ。
【請求項11】
基板と、
前記基板に形成されたトランジスタと、
前記基板の表面上に、前記トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の表面上に形成されたホットエレクトロントランジスタとを備え、
前記ホットエレクトロントランジスタは、コレクタ層と、ベース層と、エミッタ層と、前記コレクタ層と前記ベース層との間に形成されたコレクタバリア層と、前記ベース層と前記エミッタ層との間に形成されたエミッタバリア層とを含み、
前記エミッタバリア層と前記エミッタ層との間のエネルギー障壁は実質的に存在しないとともに、前記ベース層のフェルミエネルギーから見た前記ベース層および前記コレクタバリア層間の界面におけるエネルギー障壁の高さは、前記ベース層および前記エミッタバリア層間の界面におけるエネルギー障壁の高さよりも小さいことを特徴とする、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−211180(P2008−211180A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341214(P2007−341214)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】