説明

マイクロ揺動素子、マイクロ揺動素子アレイ、および光スイッチング装置

【課題】隣り合う素子における揺動部について近接配置するのに適した二軸型のマイクロ揺動素子、並びに、そのようなマイクロ揺動素子を備えるマイクロ揺動素子アレイおよび光スイッチング装置を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ揺動素子X1は、揺動部10と、フレーム20と、揺動部およびフレーム20を連結して揺動部10の揺動動作の軸心A1を規定する一対の連結部40と、支持基部30Aおよびこれから揺動部10の側に延出するアーム部30Bを有するフレーム30と、フレーム20,30を連結してフレーム20の揺動動作の軸心A2を規定する一対の連結部50A,50Bとを備える。連結部50Aは、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム部30Bとに接続し、連結部50Bは、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20と支持基部30Aまたはアーム部30Bとに接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な揺動部を有する例えばマイクロミラー素子、角速度センサ、加速度センサなどのマイクロ揺動素子、マイクロ揺動素子アレイ、およびマイクロミラー素子を含んで構成される光スイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。そのような素子には、例えば、マイクロミラー素子や、加速度センサ、角速度センサなど、微小な揺動部を有するマイクロ揺動素子が含まれる。マイクロミラー素子は、例えば光ディスク技術や光通信技術の分野において、光反射機能を担う素子として利用される。角速度センサおよび加速度センサは、例えば、ビデオカメラやカメラ付き携帯電話の手振れ防止機能、カーナビゲーションシステム、エアバッグ開放タイミングシステム、車やロボット等の姿勢制御システムの用途で、利用される。このようなマイクロ揺動素子については、例えば下記の特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−19700号公報
【特許文献2】特開2004−341364号公報
【特許文献3】特開2006−72252号公報
【0004】
図32は、従来のマイクロ揺動素子の一例たるマイクロ揺動素子90の概略構成を表す平面図である。マイクロ揺動素子90は、揺動部91と、これを囲むフレーム92と、これを更に囲むフレーム93と、揺動部91およびフレーム92を連結する一対のトーションバー94と、フレーム92,93を連結する一対のトーションバー95とを備える。一対のトーションバー94は、揺動部91の揺動動作の軸心B1を規定し、一対のトーションバー95は、フレーム93およびこれに伴う揺動部91の揺動動作の軸心B2を規定し、軸心B1,B2は直交する。すなわち、マイクロ揺動素子90は、いわゆる二軸型の揺動素子である。
【0005】
このようなマイクロ揺動素子90が例えばマイクロミラー素子として構成される場合、揺動部91上にミラー面91aが設けられ、揺動部91が軸心B1まわりに回転変位するための駆動力を発生させる所定の第1アクチュエータ(図示略)が設けられ、また、フレーム92およびこれに伴う揺動部91が軸心B2まわりに回転変位するための駆動力を発生させる所定の第2アクチュエータ(図示略)が設けられる。そして、両アクチュエータが適宜稼動することによって、揺動部91が各軸心B1,B2まわりに所定程度に回転変位ないし揺動駆動される。このような揺動部91の揺動駆動により、揺動部91上に設けられたミラー面91aにて反射される光信号の反射方向が適宜切り換えられる。
【0006】
一方、マイクロ揺動素子90が角速度センサとして構成される場合、例えば、揺動部91の軸心B1まわりの回転変位量に応じて静電容量が変化する、相対する一対の検出用キャパシタ電極(図示略)の各々が揺動部91およびフレーム92に設けられ、また、フレーム92およびこれに伴う揺動部91が軸心B2まわりに回転変位するための駆動力を発生させる所定のアクチュエータ(図示略)が設けられる。そして、アクチュエータが稼動してフレーム92およびこれに伴う揺動部91が所定の振動数ないし周期で軸心B2まわりに揺動動作される。この振動状態において、揺動部91に所定の角速度が作用すると、揺動部91が軸心B1まわりに所定程度に回転変位し、検出用キャパシタ電極対間の静電容量が変化する。この静電容量変化に基づいて、揺動部91の回転変位量が検出され、その検出結果に基づき、マイクロ揺動素子90ないし揺動部91に作用する角速度が導出される。
【0007】
図33は、複数のマイクロ揺動素子90により構成されるマイクロ揺動素子アレイ90Aの概略構成を表す平面図である。マイクロ揺動素子アレイ90Aでは、マイクロ揺動素子90の外側のフレーム93が共通化されたうえで、複数のマイクロ揺動素子90(一部省略)が一列に配されている。
【0008】
このようにフレーム93が共通化される場合であっても、マイクロ揺動素子アレイ90Aでは、隣り合う素子における揺動部91どうしを充分に近接して配置することができない。各揺動部91がフレーム92に囲まれているからである。マイクロ揺動素子アレイ90Aにおいて隣り合う二つの素子の揺動部91間には、二本のフレーム92を配するスペースと、当該フレーム92どうしが機械的干渉や電気的干渉をするのを回避するためのスペースとを、確保する必要がある。
【0009】
隣り合う素子における揺動部91どうしを充分に近接配置することができないマイクロ揺動素子アレイ90Aでは、素子配列方向において充分に高い揺動部91の占有比率を実現することができない場合があり、そのために、充分な高機能化を図ることができない場合がある。例えば、各マイクロ揺動素子90がマイクロミラー素子として構成されて、マイクロ揺動素子アレイ90Aが波長選択型光スイッチング素子に組み込まれるマイクロミラー素子アレイとして構成されている場合、素子配列方向における揺動部91の占有比率が低いほど、マイクロ揺動素子アレイ90Aが全体として受けて各ミラー面91aにて反射する光信号について、損失が増大することが知られている。例えば、各マイクロ揺動素子90が角速度センサや加速度センサとして構成されて、マイクロ揺動素子アレイ90Aがセンシングデバイスとして構成されている場合、素子配列方向における揺動部91の占有比率が低いほど、検出信号がノイズの影響を受けやすく、センサ感度が低下することが知られている(複数のマイクロ揺動素子90が隣り合って配置されることで、各素子にて発生するノイズが、隣り合う素子間でキャンセルし合う効果が期待されるが、素子配列方向における揺動部91の占有比率が低いほど、当該ノイズキャンセル効果ないしノイズ低減効果が減弱する)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような事情の下で考え出されたものであって、隣り合う素子における揺動部について近接配置するのに適した二軸型のマイクロ揺動素子、そのようなマイクロ揺動素子を備えるマイクロ揺動素子アレイ、および、そのようなマイクロ揺動素子を備える光スイッチング装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面によるとマイクロ揺動素子が提供される。このマイクロ揺動素子は、第1フレームと、揺動部と、第1フレームおよび揺動部を連結して当該揺動部の揺動動作の第1軸心を規定する第1捩れ連結部および第2捩れ連結部と、支持基部および当該支持基部から揺動部の側に延出するアーム部を有する第2フレームと、第2フレームおよび第1フレームを連結して当該第1フレームの揺動動作の第2軸心を規定する第3捩れ連結部および第4捩れ連結部とを備え、第3捩れ連結部は、揺動部および支持基部の間において第1フレームとアーム部とに接続し、第4捩れ連結部は、揺動部および支持基部の間において第1フレームと支持基部またはアーム部とに接続している。本マイクロ揺動素子は、例えば、マイクロミラー素子、角速度センサ、または加速度センサとして構成することができる。
【0012】
本マイクロ揺動素子は、二軸型の揺動素子であり、上述のように、揺動部、当該揺動部と連結されている第1フレーム、および、当該第1フレームと連結されている第2フレームを備える。そして、本マイクロ揺動素子では、第2フレームの支持基部と揺動部との間において、第1および第2フレームが第3および第4捩れ連結部によって連結されている。具体的には、第1および第2フレームを連結する一方の捩れ連結部(第3捩れ連結部)は、揺動部および支持基部の間において第1フレームとアーム部とに接続し、他方の捩れ連結部(第4捩れ連結部)は、揺動部および支持基部の間において第1フレームと支持基部またはアーム部とに接続している。すなわち、本マイクロ揺動素子では、揺動部および第1フレームを有する可動部が、第3および第4捩れ連結部ならびにアーム部を介して、第2フレームの支持基部によって支持されているのである。
【0013】
このような片持ち構造で可動部が第2フレームに支持されている本マイクロ揺動素子においては、第1および第2フレームを連結するための一対の第3および第4捩れ連結部の間に揺動部が位置しないので(即ち、第2フレームに対して可動部が支持される様式が両持ち構造でないので)、第1フレームについて、揺動部を実質的に囲むような形状で設ける必要はない。そのため、本マイクロ揺動素子では、揺動部の外郭において第1フレームに対向しない領域ないし周域を増大させやすい。したがって、複数の本マイクロ揺動素子を隣接配置した場合には、隣り合う素子における揺動部について近接配置しやすい。このように、本マイクロ揺動素子は、隣り合う素子における揺動部について近接配置するのに適する。
【0014】
本発明の第1の側面において、好ましくは、第1軸心および第2軸心は直交する。二軸型の揺動素子としては、このような構成が好ましい。
【0015】
好ましくは、揺動部は、揺動機能部と、第1電極部と、当該揺動機能部および第1電極部を連結する梁部とを有し、第1フレームは、揺動部の第1電極部側を囲む形状を有し、第1および第2捩れ連結部は、揺動部における梁部に接続し、本マイクロ揺動素子は、第1電極部と協働して揺動部の揺動動作の駆動力を発生させるための、第1フレームに固定された第2電極部を更に備える。この場合、好ましくは、第1および第2電極部は、各々、複数の電極歯が並列してなる櫛歯電極である。
【0016】
好ましくは、本マイクロ揺動素子は、アーム部に固定された第3電極部と、第3電極部と協働して第1フレームの揺動動作の駆動力を発生させるための、第1フレームに固定された第4電極部とを更に備える。この場合、好ましくは、第3および第4電極部は、各々、複数の電極歯が並列してなる櫛歯電極である。
【0017】
好ましくは、櫛歯電極の各電極歯は、素子厚さ方向における長さよりも小さな幅を有する。このような構成は、櫛歯電極の機械的強度、ひいては素子の機械的強度を確保するうえで、好適である。
【0018】
好ましくは、アーム部は、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する。このような構成は、アーム部の機械的強度、ひいては素子の機械的強度を確保するうえで、好適である。
【0019】
好ましくは、第1フレームは、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する。このような構成は、第1フレームの機械的強度、ひいては素子の機械的強度を確保するうえで、好適である。
【0020】
好ましくは、揺動部を第2フレームに対して一時的に固定するために当該揺動部および第2フレームを連結する連結部を更に備える。この連結部は、切断されるまでは、揺動部を第2フレームに連結しておく機能または揺動部と第2フレームの連結を補強する機能を担うものであり、且つ、本マイクロ揺動素子が使用されるまでには切断されるものである。
【0021】
本発明の第2の側面によるとマイクロ揺動素子アレイが提供される。このマイクロ揺動素子アレイは、本発明の第1の側面に係るマイクロ揺動素子を複数含んでなる。好ましくは、複数のマイクロ揺動素子における第1軸心は相互に平行であり、且つ、複数のマイクロ揺動素子における第2軸心は相互に平行である。
【0022】
本発明の第3の側面によると光スイッチング装置が提供される。この光スイッチング装置は、マイクロミラー素子として構成された第1の側面に係るマイクロ揺動素子を備える。本光スイッチング装置は、例えば、空間光結合型の光スイッチング装置や波長選択型の光スイッチング装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイY1の平面図である。マイクロ揺動素子アレイY1は、複数のマイクロ揺動素子X1(一部省略)を含んでなる。
【0024】
図2から図9は、マイクロ揺動素子アレイY1を構成するマイクロ揺動素子X1を表す。図2は、マイクロ揺動素子X1の平面図であり、図3は、マイクロ揺動素子X1の一部省略平面図である。図4から図9は、各々、図2の線IV−IV、線V−V、線VI−VI、線VII−VII、線VIII−VIII、および線IX−IXに沿った拡大断面図である。
【0025】
マイクロ揺動素子X1は、揺動部10と、フレーム20と、フレーム30と、一対の連結部40と、一対の連結部50A,50Bと、電極部60,70,80とを備え、本実施形態では例えばマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ揺動素子X1は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)ウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ揺動素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1および図2においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図3に示される構造は、マイクロ揺動素子X1において第2シリコン層に由来するものである。
【0026】
揺動部10は、ランド部11と、電極部12と、梁部13と、シールド部14とを有する。
【0027】
ランド部11は、第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。このようなランド部11およびミラー面11aは、揺動機能部を構成する。また、ランド部11について図2に示す長さL1は、例えば20〜300μmである。
【0028】
電極部12は、第1シリコン層に由来する部位であり、一対のアーム12A,12B、複数の電極歯12a、および複数の電極歯12bを有する。アーム12A,12Bは、図2に示す矢印D方向に平行である。電極歯12aは、図2および図6に示すようにアーム12Aからアーム12B側へ延出し、且つ、図2に示すようにアーム12Aの延び方向に離隔して並列する。電極歯12bは、アーム12Bからアーム12A側へ延出し、且つ、アーム12Bの延び方向に離隔して並列する。このように、電極部12は櫛歯電極構造を有する。このような電極部12の各電極歯12a,12bは、電極歯12bについて図4に示すように、厚さ方向Hにおける長さよりも小さな幅を有する。このような構成は、電極部12ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。また、電極部12は、マイクロ揺動素子X1の駆動時に所定の基準電位(例えばグラウンド電位)が付与されるための部位である。
【0029】
梁部13は、第1シリコン層に由来する部位であり、ランド部11および電極部12を連結する。
【0030】
シールド部14は、図3に示すように第2シリコン層に由来する部位であり、図5に示すように絶縁層15を介して電極部12に接合している。シールド部14および電極部12は、絶縁層15を貫通する導電ビア16を介して電気的に接続されている。
【0031】
フレーム20は、図2に示すように、囲み形状部20Aおよびこれから延出する延出形状部20Bを有する。囲み形状部20Aは、矢印D方向に延びる一対のアーム20A’を含んで揺動部10の電極部12を囲む。アーム20A’は、図5および図6に示すように、厚さ方向Hの長さT1を幅W1で除した値であるアスペクト比が1より大きい。すなわち、フレーム20は、厚さ方向Hにおける長さよりも幅が小さな部位を有する。この構成は、フレーム20ないしアーム20A’ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0032】
また、フレーム20は、例えば図4および図6に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部21と、第2シリコン層に由来する第2層部22と、これらの間の絶縁層23とからなる積層構造を有する。第1層部21は、図2に示すように、空隙を介して分離する部分21a,21bからなる。部分21aは、フレーム20の囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなす。部分21bは、囲み形状部20Aの一部をなす。第2層部22は、図3に示すように、空隙を介して分離する部分22a,22b,22cからなる。部分22aは、フレーム20の囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなす。部分22b,22cは、囲み形状部20Aの一部をなす。フレーム20における第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22aは、図7に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア24を介して電気的に接続されている。第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22bは、図7に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア25を介して電気的に接続されている。第1層部21の部分21bおよび第2層部22の部分22cは、図9に示すように、絶縁層23を貫通する導電ビア26を介して電気的に接続されている。
【0033】
フレーム30は、例えば図2に示すように、支持基部30Aおよびアーム30Bを有する。また、フレーム30は、例えば図8および図9に示すように、第1シリコン層に由来する第1層部31と、第2シリコン層に由来する第2層部32と、これらの間の絶縁層33とからなる積層構造を有する。
【0034】
支持基部30Aは、図3に示すように、第2層部32において、空隙を介して分離する部分32a,32bを有する。
【0035】
アーム30Bは、図2に示すように、支持基部30Aから揺動部10の側に延出し、且つ、屈曲している。アーム30Bは、図8に示すように、厚さ方向Hの長さT2を幅W2で除した値であるアスペクト比が1より大きい。すなわち、アーム30Bは、厚さ方向Hにおける長さよりも幅が小さな部位を有する。この構成は、アーム30Bひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0036】
また、アーム30Bは、図2および図9に示すように、第1層部31において部分31aを有し、且つ、図3に示すように、第2層部32において、空隙を介して分離する部分32c,32dを有する。部分32cは、支持基部30Aの部分32aと接続されており、部分32dは、支持基部30Aの部分32bと接続されている。アーム30Bにおける部分31aおよび部分32cは、図9に示すように、絶縁層33を貫通する導電ビア34を介して電気的に接続されている。
【0037】
一対の連結部40は、本発明における第1および第2捩れ連結部であり、各々、図2に示すように二本のトーションバー41からなる。各連結部40は、第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21aとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する(梁部13と部分21aは連結部40を介して電気的に接続されている)。各連結部40を構成する二本のトーションバー41の間隔は、フレーム20の側から揺動部10の側にかけて漸増する。また、トーションバー41は、図4に示すように、厚さ方向Hにおいて、揺動部10よりも薄肉であり、且つ、フレーム20の第1層部21よりも薄肉である。このような一対の連結部40は、揺動部10ないしランド部11の揺動動作の軸心A1を規定する。軸心A1は、図2に示す矢印D方向と、即ち、電極部12のアーム12A,12Bの延び方向と、直交する。フレーム20の側から揺動部10の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー41を含む各連結部40は、揺動部10の揺動動作における不要な変位成分の発生を抑制するのに好適である。
【0038】
一対の連結部50A,50Bは、本発明における第3および第4捩れ連結部であり、各々、図2に示すように二本のトーションバー51からなる。各連結部50A,50Bは、第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム20およびフレーム30を連結する。具体的には、図2および図9に示すように、連結部50Aは、フレーム20の第1層部21の部分21bと、フレーム30のアーム30Bにおける第1層部31の部分31aとに接続して、これらを連結する(部分21b,31aは連結部50Aを介して電気的に接続されている)。連結部50Bは、フレーム20の第1層部21の部分21aと、フレーム30の支持基部30Aにおける第1層部31とに接続して、これらを連結する(部分21aと支持基部30Aの第1層部31の一部は連結部50Bを介して電気的に接続されている)。各連結部50A,50Bを構成する二本のトーションバー51の間隔は、フレーム30の側からフレーム20の側にかけて漸増する。また、トーションバー51は、図9に示すように、厚さ方向Hにおいて、フレーム20,30よりも薄肉である。このような一対の連結部50A,50Bは、フレーム20およびこれに伴う揺動部10の揺動動作の軸心A2を規定する。本実施形態では、軸心A2は軸心A1と直交する。フレーム30の側からフレーム20の側にかけて間隔が漸増する二本のトーションバー51を含む各連結部50A,50Bは、フレーム20およびこれに伴う揺動部10の揺動動作における不要な変位成分の発生を抑制するのに好適である。
【0039】
電極部60は、第2シリコン層に由来する部位であり、図3によく表れているように、アーム61、複数の電極歯62a、および複数の電極歯62bを有する。アーム61は、フレーム20の第2層部22の部分22cから延出する。複数の電極歯62aは、電極部12のアーム12A側へアーム61から延出し、且つ、アーム61の延び方向に離隔して並列する。複数の電極歯62bは、電極部12のアーム12B側へアーム61から延出し、且つ、アーム61の延び方向に離隔して並列する。このように、電極部60は櫛歯電極構造を有する。このような電極部60の各電極歯62a,62bは、電極歯62bについて図4に示すように、厚さ方向Hにおける長さよりも小さな幅を有する。このような構成は、電極部60ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0040】
電極部70は、第1シリコン層に由来する部位であり、図2に示すように複数の電極歯71からなる。複数の電極歯71は、図2および図8に示すようにフレーム20の第1層部21の部分21aから電極部80側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。このように、電極部70は櫛歯電極構造を有する。このような電極部70の各電極歯71は、厚さ方向Hにおける長さよりも小さな幅を有する。このような構成は、電極部70ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0041】
電極部80は、第2シリコン層に由来する部位であり、図2および図3に示すように複数の電極歯81からなる。複数の電極歯81は、図3および図8に示すようにフレーム30のアーム30Bにおける部分32dから電極部70側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。このように、電極部80は櫛歯電極構造を有する。このような電極部80の各電極歯81は、厚さ方向Hにおける長さよりも小さな幅を有する。このような構成は、電極部80ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0042】
マイクロ揺動素子X1において、一対の電極部12,60は、軸心A1まわりの揺動部10の揺動動作に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。また、一対の電極部70,80は、フレーム20およびこれに伴う揺動部10の軸心A2まわりの揺動動作に係る駆動力を発生させるための駆動機構ないしアクチュエータを構成し得る。
【0043】
マイクロ揺動素子X1の駆動時には、揺動部10の電極部12および電極部70に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、フレーム20の第1層部21の部分21a、連結部40のトーションバー41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部70に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、およびフレーム20の第1層部21の部分21aを介して、実現することができる。基準電位は、好ましくは一定に維持され、例えばグラウンド電位である。
【0044】
そして、マイクロ揺動素子X1においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部60に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,60間に静電引力を発生させて、例えば図10に示すように揺動部10を軸心A1まわりに回転変位させることができる。これとともに、マイクロ揺動素子X1においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部80に対して必要に応じて付与することにより、電極部70,80間に静電引力を発生させて、フレーム20およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに回転変位させることができる。マイクロ揺動素子X1は、二軸型の揺動素子である。電極部60に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32a、アーム30Bにおける第2層部32の部分32cと導電ビア34と第1層部31の部分31a、連結部50Aのトーションバー51、フレーム20における第1層部21の部分21bと導電ビア26と第2層部22の部分22cを介して、実現することができる。電極部80に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32b、および、アーム30Bにおける第2層部32の部分32dを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ揺動素子X1における揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を、適宜切り換えることができる。
【0045】
マイクロ揺動素子アレイY1は、以上の構成を有するマイクロ揺動素子X1を複数含んでなる。マイクロ揺動素子アレイY1において、複数のマイクロ揺動素子X1は、全ての軸心A2(図1では図示せず)が相互に平行となるように一列に配されている。
【0046】
マイクロ揺動素子アレイY1において、各マイクロ揺動素子X1のフレーム30は一体化されて枠体をなし、揺動部10およびフレーム20を含む全マイクロ揺動素子X1の可動部を囲む。フレーム30の第1層部31は、各部分31aを除き、全てのマイクロ揺動素子X1にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ揺動素子X1における揺動部10の電極部12およびシールド部14、フレーム20の第1層部21の部分21aおよび第2層部22の部分22a,22b、並びに電極部70は、電気的に接続されている。
【0047】
マイクロ揺動素子アレイY1の駆動時には、全てのマイクロ揺動素子X1における揺動部10の電極部12および電極部70に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ揺動素子X1の電極部60,80の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ揺動素子X1の揺動部10およびフレーム20が個別に揺動駆動され、各マイクロ揺動素子X1の揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
【0048】
マイクロ揺動素子アレイY1に含まれる各マイクロ揺動素子X1は、二軸型の揺動素子であり、上述のように、揺動部10、当該揺動部10と連結されているフレーム20、および、当該フレーム20と連結されているフレーム30を備える。そして、各マイクロ揺動素子X1において、フレーム20,30は、フレーム30の支持基部30Aと揺動部10との間において、連結部50A,50Bによって連結されている。具体的には、フレーム20,30を連結する一方の連結部50A(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30Bとに接続し、他方の連結部50B(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20と支持基部30Aとに接続している。すなわち、各マイクロ揺動素子X1では、揺動部10およびフレーム20を有する可動部が、連結部50A,50Bならびにアーム30Bを介して、フレーム30の支持基部30Aによって支持されているのである。
【0049】
このような片持ち構造で可動部がフレーム30に支持されている各マイクロ揺動素子X1では、フレーム20,30を連結するための一対の連結部50A,50Bの間に揺動部10が位置しないので(即ち、フレーム30に対して可動部が支持される様式が両持ち構造でないので)、揺動部10の外郭においてフレーム20に対向しない領域を長く確保することができ、上述のように、フレーム20は揺動部10のランド部11を囲まない構造をとることができる。そのため、マイクロ揺動素子アレイY1では、隣り合う二つのマイクロ揺動素子X1の揺動部10の間に、二本のフレーム20を配するためのスペースや、当該フレーム20どうしが機械的干渉や電気的干渉をするのを回避するためのスペースを、確保する必要がない。したがって、マイクロ揺動素子アレイY1では、隣り合うマイクロ揺動素子X1における揺動部10のランド部11を充分に近接して配置することができる。このようなマイクロ揺動素子アレイY1では、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現することができる。素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ揺動素子アレイY1が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
【0050】
マイクロ揺動素子アレイY1の各マイクロ揺動素子X1では、揺動部10の電極部12と、シールド部14と、フレーム20の第2層部22の部分22a,22bとは、電気的に接続されている。したがって、素子駆動時には、電極部12と共にシールド部14および部分22a,22bにも基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に電極部60から例えば揺動部10のランド部11側へ発する電界は、シールド部14によって吸収されやすい(即ち、当該電界は、シールド部14を越えて例えばランド部11に至りにくい)。これとともに、素子駆動時に電極部60から発する電界は、部分22a,22bによって吸収されやすい(即ち、当該電界は、フレーム20の第2層部22の部分22a,22b側を越えて素子外に漏出しにくい)。これら電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X1における素子外への電界漏れを防止または抑制する。このような素子外への電界漏れの防止または抑制により、マイクロ揺動素子アレイY1における一のマイクロ揺動素子X1の電極部12,60によって構成される駆動機構からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ揺動素子X1の駆動特性に不当な影響を与えることを、回避することができる。したがって、上述の電界吸収効果は、マイクロ揺動素子1の配列方向における高密度化、ひいては、素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの高占有比率化に資する。
【0051】
マイクロ揺動素子アレイY1の各マイクロ揺動素子X1において、フレーム20のアーム20A’は、図5および図6を参照して上述したように、厚さ方向Hの長さT1を幅W1で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これとともに、フレーム30のアーム30Bは、図8を参照して上述したように、厚さ方向Hの長さT2を幅W2で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これらの構成は、可動部がフレーム30の支持基部30Aによって片持ち構造で支持されるマイクロ揺動素子X1において、揺動部10と支持基部30Aとの間の支持構造における厚さ方向Hの曲げ強度を確保するのに好適である。
【0052】
マイクロ揺動素子X1は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ揺動素子X1においては、揺動部10のランド部11上のミラー面11aは必ずしも設ける必要はない。
【0053】
角速度センサとして構成されたマイクロ揺動素子X1の駆動時には、例えば、可動部(揺動部10,フレーム20,連結部40,電極部60)は、所定の振動数ないし周期で軸心A2まわりに揺動動作される。この揺動動作は、電極部70,80間に対して所定の周期で電圧印加を行うことによって実現される。本実施形態では、例えば、電極部70をグラウンド接続したうえで、電極部80への所定電位の付与を所定周期で行う。
【0054】
例えばこのようにして可動部を揺動動作ないし振動させている状態において、マイクロ揺動素子X1ないし揺動部10に所定の角速度が作用すると、揺動部10が軸心A1まわりに所定程度に回転変位して、電極部12,60の相対的配置が変化して当該電極部12,60間の静電容量が変化する。これら静電容量変化に基づいて、揺動部10の回転変位量を検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ揺動素子X1ないし揺動部10に作用する角速度を導出することが可能である。
【0055】
加速度センサとして構成されたマイクロ揺動素子X1の駆動時には、例えば、電極部12,60間に所定の直流電圧印加を行うことによって、フレーム20や電極部60に対して揺動部10を静止状態にさせる。この状態で、マイクロ揺動素子X1ないし揺動部10に法線方向(図2の平面図において紙面に垂直な方向)の加速度が作用すると、加速度と平行なベクトル成分の慣性力が働いて、揺動部10に対し、一対の連結部40によって規定される軸心A1まわりに回転トルクが作用し、加速度に比例した回転変位(軸心A1まわりの回転変位)が揺動部10に生じる(当該慣性力は、図2に現れる平面視において揺動部10の重心位置が軸心A1と重ならないように設計しておくことで、発生させることができる)。回転変位量は、電極部12,60間の静電容量の変化として電気的に検出することができる。その検出結果に基づき、マイクロ揺動素子X1ないし揺動部10に作用する加速度を導出することが可能である。
【0056】
図11および図12は、マイクロ揺動素子アレイY1に含まれる各マイクロ揺動素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロ揺動素子X1を製造するための一手法である。図11および図12においては、図12(d)に示すランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロ揺動素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ランド部Lは、ランド部11の一部に相当する。梁部Bは、梁部13に相当し、梁部13の横断面を表す。フレームF1は、フレーム20に相当し、フレーム20のアーム20A’の横断面を表す。フレームF2は、フレーム30の一部に相当する。連結部C1は、連結部40に相当し、トーションバー41の延び方向の断面を表す。連結部C2は、連結部40,50A,50Bの各々に相当し、各トーションバー41,51の横断面を表す。電極E1は、電極部12,70の各々の一部に相当し、一組の電極歯12aおよび一組の電極歯71の各々の横断面を表す。電極E2は、電極部60,80の各々の一部に相当し、一組の電極歯61および一組の電極歯81の各々の横断面を表す。
【0057】
マイクロ揺動素子X1の製造においては、まず、図11(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOIウエハであり、図外において上述の導電ビア16,24〜26,34を構成することとなる導電ビアが所定の箇所に予め埋め込み形成されたものである。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
【0058】
次に、図11(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aを形成する。ミラー面11aの形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aをパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。
【0059】
次に、図11(c)に示すように、シリコン層101上に酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、シリコン層101において成形されるべき揺動部10の一部(ランド部11、電極部12、梁部13を含む)、フレーム20の第1層部21a、フレーム30の第1層部31(部分31aを含む)、および電極部70に対応する図13に示すパターン形状を有する。レジストパターン111は、連結部40,50A,50Bに対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、シリコン層102において成形されるべき揺動部10のシールド部14、フレーム20の第2層部22、フレーム30の第2層部32、および電極部60,80に対応する図14に示すパターン形状を有する。
【0060】
次に、図11(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして利用して、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に対して所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、連結部C1,C2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、SF6ガスを用いて行うエッチングとC48ガスを用いて行う側壁保護とを交互に繰り返すBoschプロセスにおいて、良好な異方性エッチング加工を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
【0061】
次に、図12(a)に示すようにレジストパターン111を除去する。例えば、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離することができる。
【0062】
次に、図12(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、連結部C1,C2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本工程にて、ランド部L、梁部B、電極E1、フレームF1の一部(フレーム20の第1層部21)、フレームF3の一部(フレーム30の第1層部31)、および各連結部C1,C2が、成形される。
【0063】
次に、図12(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本工程にて、フレームF1の一部(フレーム20の第2層部22)、フレームF2の一部(フレーム30の第2層部32)、および電極E2が、成形される。
【0064】
次に、図12(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
【0065】
以上の一連の工程を経ることにより、ランド部L、梁部B、フレームF1,F2、連結部C1,C2、および一組の電極E1,E2を成形するなどしてマイクロ揺動素子X1を製造することができる。
【0066】
マイクロ揺動素子X1は、揺動部10をフレーム30に対して一時的に固定するためのサポートビーム42を更に備えてもよい。サポートビーム42は、図2において破線で示すように、フレーム30における支持基部30Aとは反対側の辺の第1層部31と揺動部10を連結する。このサポートビーム42は、切断されるまでは、一対の連結部40による揺動部10とフレーム20の間の連結や、一対の連結部50による可動部(揺動部10およびフレーム20を含む)とフレーム30の間の連結を、補強する機能を担い、且つ、マイクロ揺動素子X1の駆動前ないし使用前にレーザビーム等を用いて切断される。
【0067】
図15は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイY2の平面図である。マイクロ揺動素子アレイY2は、複数のマイクロ揺動素子X2(一部省略)を含んでなる。
【0068】
図16から図19は、マイクロ揺動素子アレイY2を構成するマイクロ揺動素子X2を表す。図16は、マイクロ揺動素子X2の平面図であり、図17は、マイクロ揺動素子X2の一部省略平面図である。図18および図19は、図16の線XVIII−XVIIIおよび線XIX−XIXに沿った拡大断面図である。
【0069】
マイクロ揺動素子X2は、揺動部10と、フレーム20と、フレーム30と、一対の連結部40と、一対の連結部50A,50Bと、電極部60,70,80とを備え、本実施形態では例えばマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ揺動素子X2は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、マイクロ揺動素子X1と同様にしてSOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ揺動素子X2における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図16においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図17に示される構造は、マイクロ揺動素子X2において第2シリコン層に由来するものである。
【0070】
マイクロ揺動素子X2は、フレーム20,30の一部の構造において、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1と異なる。マイクロ揺動素子X2の他の構造については、マイクロ揺動X1と同様である。
【0071】
本実施形態におけるフレーム20が第1の実施形態におけるフレーム20と異なる点は、延出形状部20Bの形状、第1層部21が部分21a,21bに代えて部分21c,21dからなる点、および、第2層部22が部分21aに代えて部分22dを有する点である。本実施形態におけるフレーム20の部分21cは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分21aとは異なる。部分21dは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出部形状部20Bの一部をもなす点において第1の実施形態における部分21bとは異なる。部分21dは、図19に示すように、絶縁層23を貫通するビア26を介して第2層部22の部分22cと電気的に接続されている。部分22dは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分22aとは異なる。これら相違点の他は、本実施形態におけるフレーム20は第1の実施形態におけるフレーム20と同一の構成を備える。
【0072】
本実施形態におけるフレーム30が第1の実施形態におけるフレーム30と異なる点は、アーム30Bに代えてアーム30B’を有する点である。アーム30B’は、図16に示すように、支持基部30Aから可動部ないし揺動部10の側に延出し、且つ、屈曲している。アーム30B’の一部は、図18に示すように、厚さ方向Hの長さT3を幅W3で除した値であるアスペクト比が1より大きい。すなわち、アーム30B’は、厚さ方向Hにおける長さよりも幅が小さな部位を有する。この構成は、アーム30B’ひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。また、アーム30B’は、図16に示すように、アーム30の第1層部31の形状の一部において第1の実施形態におけるアーム30Bと異なり、図17に示すように、第2層部32が部分32cに代えて部分32eを有する点において第1の実施形態におけるアーム30Bと異なる。部分32eは、図19に示すように、絶縁層33を貫通するビア34を介して第1層部31の部分31aと電気的に接続されている。これら相違点の他は、フレーム30B’は第1の本実施形態におけるフレーム30Bと同一の構成を備え、本実施形態におけるフレーム30は第1の本実施形態におけるフレーム30と同一の構成を備える。
【0073】
本実施形態における各連結部40は、図16に示すように、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21cとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する(梁部13と部分22cは連結部40を介して電気的に接続されている)。
【0074】
本実施形態における連結部50Aは、図19に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21dと、フレーム30のアーム30B’における第1層部31の部分31aとに接続して、これらを連結する(部分21d,31aは連結部50Aを介して電気的に接続されている)。
【0075】
本実施形態における連結部50Bは、フレーム20の第1層部21の部分21cと、フレーム30の支持基部30Aにおける第1層部31とに接続して、これらを連結する(部分21cと支持基部30Aの第1層部31の一部は連結部50Bを介して電気的に接続されている)。
【0076】
本実施形態における電極部60は、図17によく表れているように、アーム61、複数の電極歯62a、および複数の電極歯62bを有するところ、アーム61は、フレーム20の第2層部22の部分22cから延出する。
【0077】
本実施形態における電極部70は複数の電極歯71からなるところ、当該複数の電極歯71は、図16および図18に示すようにフレーム20の第1層部21の部分21cから電極部80側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0078】
本実施形態における電極部80は複数の電極歯81からなるところ、当該複数の電極歯81は、図17および図18に示すようにアーム30B’の第2層部32の部分32dから電極部70側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0079】
マイクロ揺動素子X2の駆動時には、揺動部10の電極部12および電極部70に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、フレーム20の第1層部21の部分21c、連結部40のトーションバー41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部70に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、およびフレーム20の第1層部21の部分21cを介して、実現することができる。基準電位は、好ましくは一定に維持され、例えばグラウンド電位である。
【0080】
そして、マイクロ揺動素子X2においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部60に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,60間に静電引力を発生させて、揺動部10を軸心A1まわりに回転変位させることができる。これとともに、マイクロ揺動素子X2においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部80に対して必要に応じて付与することにより、電極部70,80間に静電引力を発生させて、フレーム20およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに回転変位させることができる。マイクロ揺動素子X2は、二軸型の揺動素子である。電極部60に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32a、アーム30B’における第2層部32の部分32eと導電ビア34と第1層部31の部分31a、連結部50Aのトーションバー51、フレーム20における第1層部21の部分21dと導電ビア26と第2層部22の部分22cを介して、実現することができる。電極部80に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32b、および、アーム30B’における第2層部32の部分32dを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ揺動素子X2における揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を、適宜切り換えることができる。
【0081】
マイクロ揺動素子アレイY2は、以上の構成を有するマイクロ揺動素子X2を複数含んでなる。マイクロ揺動素子アレイY2において、複数のマイクロ揺動素子X2は、全ての軸心A2(図15では図示せず)が相互に平行となるように一列に配されている。
【0082】
マイクロ揺動素子アレイY2において、各マイクロ揺動素子X2のフレーム30は一体化されて枠体をなし、揺動部10およびフレーム20を含む全マイクロ揺動素子X2の可動部を囲む。フレーム30の第1層部31は、各部分31aを除き、全てのマイクロ揺動素子X2にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ揺動素子X2における揺動部10の電極部12およびシールド部14、フレーム20の第1層部21の部分21cおよび第2層部22の部分22b,22d、並びに電極部70は、電気的に接続されている。
【0083】
マイクロ揺動素子アレイY2の駆動時には、全てのマイクロ揺動素子X2における揺動部10の電極部12および電極部70に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ揺動素子X2の電極部60,80の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ揺動素子X2の揺動部10およびフレーム20が個別に揺動駆動され、各マイクロ揺動素子X2の揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
【0084】
マイクロ揺動素子アレイY2に含まれる各マイクロ揺動素子X2は、二軸型の揺動素子であり、上述のように、揺動部10、当該揺動部10と連結されているフレーム20、および、当該フレーム20と連結されているフレーム30を備える。そして、各マイクロ揺動素子X2において、フレーム20,30は、フレーム30の支持基部30Aと揺動部10との間において、連結部50A,50Bによって連結されている。具体的には、フレーム20,30を連結する一方の連結部50A(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30B’とに接続し、他方の連結部50B(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20と支持基部30Aとに接続している。すなわち、各マイクロ揺動素子X2では、揺動部10およびフレーム20を有する可動部が、連結部50A,50Bならびにアーム30B’を介して、フレーム30の支持基部30Aによって支持されているのである。
【0085】
このような片持ち構造で可動部がフレーム30に支持されている各マイクロ揺動素子X2では、フレーム20,30を連結するための一対の連結部50A,50Bの間に揺動部10が位置しないので、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1に関して上述したのと同様の理由で、フレーム20は揺動部10のランド部11を囲まない構造をとることができる。そのため、マイクロ揺動素子アレイY2では、マイクロ揺動素子アレイY1に関して上述したのと同様の理由で、隣り合う素子における揺動部10のランド部11を充分に近接して配置することができる。このようなマイクロ揺動素子アレイY2では、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現することができる。素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ揺動素子アレイY2が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
【0086】
マイクロ揺動素子アレイY2の各マイクロ揺動素子X2では、揺動部10の電極部12と、シールド部14と、フレーム20の第2層部22の部分22b,22dとは、電気的に接続されている。したがって、素子駆動時には、電極部12と共にシールド部14および部分22b,22dにも基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に電極部60から例えば揺動部10のランド部11側へ発する電界は、シールド部14によって吸収されやすい。これとともに、素子駆動時に電極部60から発する電界は、部分22b,22dによって吸収されやすい。これら電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X2における素子外への電界漏れを防止または抑制する。このような素子外への電界漏れの防止または抑制により、マイクロ揺動素子アレイY2における一のマイクロ揺動素子X2の電極部12,60によって構成される駆動機構からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ揺動素子X2の駆動特性に不当な影響を与えることを、回避することができる。したがって、上述の電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X2の配列方向における高密度化、ひいては、素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの高占有比率化に資する。
【0087】
マイクロ揺動素子アレイY2の各マイクロ揺動素子X2において、フレーム20のアーム20A’は、マイクロ揺動素子X1のと同様に、厚さ方向Hの長さT1を幅W1で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これとともに、フレーム30のアーム30B’は、図18を参照して上述したように、厚さ方向Hの長さT3を幅W3で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これらの構成は、可動部がフレーム30の支持基部30Aによって片持ち構造で支持されるマイクロ揺動素子X2において、揺動部10と支持基部30Aとの間の支持構造における厚さ方向Hの曲げ強度を確保するのに好適である。
【0088】
マイクロ揺動素子X2は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ揺動素子X2においては、揺動部10のランド部11上のミラー面11aは設ける必要はない。角速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X2による角速度検出方法は、例えば、角速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。加速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X2による加速度検出方法は、例えば、加速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。
【0089】
図20は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイY3の平面図である。マイクロ揺動素子アレイY3は、複数のマイクロ揺動素子X3(一部省略)を含んでなる。
【0090】
図21から図24は、マイクロ揺動素子アレイY3を構成するマイクロ揺動素子X3を表す。図21は、マイクロ揺動素子X3の平面図であり、図22は、マイクロ揺動素子X3の一部省略平面図である。図23および図24は、図21の線XXIII−XXIIIおよび線XXIV−XXIVに沿った拡大断面図である。
【0091】
マイクロ揺動素子X3は、揺動部10と、フレーム20と、フレーム30と、一対の連結部40と、一対の連結部50A,50Bと、電極部60,70,80とを備え、本実施形態では例えばマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ揺動素子X3は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、マイクロ揺動素子X1と同様にしてSOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ揺動素子X3における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図21においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図22に示される構造は、マイクロ揺動素子X3において第2シリコン層に由来するものである。
【0092】
マイクロ揺動素子X3は、フレーム20,30の一部の構造において、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1と異なる。マイクロ揺動素子X3の他の構造については、マイクロ揺動X1と同様である。
【0093】
本実施形態におけるフレーム20が第1の実施形態におけるフレーム20と異なる点は、延出形状部20Bの形状、第1層部21が部分21aに代えて部分21eを有する点、および、第2層部22が部分22aに代えて部分22eを有する点である。本実施形態におけるフレーム20の部分21eは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分21aとは異なる。部分22eは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分22aとは異なる。これら相違点の他は、本実施形態におけるフレーム20は第1の実施形態におけるフレーム20と同一の構成を備える。
【0094】
本実施形態におけるフレーム30が第1の実施形態におけるフレーム30と異なる点は、アーム30Bに代えてアーム30Cを有する点である。アーム30Cは、図21に示すように、支持基部30Aから可動部ないし揺動部10の側に延出して屈曲するとともに、ブランチ部30dを有する。アーム30Cの一部は、図23に示すように、厚さ方向Hの長さT4を幅W4で除した値であるアスペクト比が1より大きい。すなわち、アーム30Cは、厚さ方向Hにおける長さよりも幅が小さな部位を有する。この構成は、アーム30Cひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0095】
また、アーム30Cは、図21および図24に示すように、第1層部31において部分31bを有し、且つ、図22に示すように、第2層部32において、空隙を介して分離する部分32f,32gを有する。部分32fは、支持基部30Aの部分32aと接続されており、部分32gは、支持基部30Aの部分32bと接続されている。アーム30Cにおける部分31bおよび部分32fは、図24に示すように、絶縁層33を貫通する導電ビア35を介して電気的に接続されている。
【0096】
本実施形態における各連結部40は、図21に示すように、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21eとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する(梁部13と部分21eは連結部40を介して電気的に接続されている)。
【0097】
本実施形態における連結部50Aは、図24に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21bと、フレーム30のアーム30Cにおける第1層部31の部分31bとに接続して、これらを連結する(部分21b,31bは連結部50Aを介して電気的に接続されている)。
【0098】
本実施形態における連結部50Bは、図24に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21eと、フレーム30のアーム30Cのブランチ部30dとに接続して、これらを連結する(部分21eおよびブランチ部30dは連結部50Bを介して電気的に接続されている)。
【0099】
本実施形態における電極部60は、図22によく表れているように、アーム61、複数の電極歯62a、および複数の電極歯62bを有するところ、アーム61は、フレーム20の第2層部22の部分22cから延出する。
【0100】
本実施形態における電極部70は複数の電極歯71からなるところ、当該複数の電極歯71は、図21および図23に示すようにフレーム20の第1層部21の部分21eから電極部80側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0101】
本実施形態における電極部80は複数の電極歯81からなるところ、当該複数の電極歯81は、図22および図23に示すようにアーム30Cの第2層部32の部分32gから電極部70側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0102】
マイクロ揺動素子X3の駆動時には、揺動部10の電極部12および電極部70に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、フレーム20の第1層部21の部分21e、連結部40のトーションバー41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部70に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31の一部、連結部50Bのトーションバー51、およびフレーム20の第1層部21の部分21eを介して、実現することができる。基準電位は、好ましくは一定に維持され、例えばグラウンド電位である。
【0103】
そして、マイクロ揺動素子X3においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部60に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,60間に静電引力を発生させて、揺動部10を軸心A1まわりに回転変位させることができる。これとともに、マイクロ揺動素子X3においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部80に対して必要に応じて付与することにより、電極部70,80間に静電引力を発生させてフレーム20およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに回転変位させることができる。マイクロ揺動素子X3は、二軸型の揺動素子である。電極部60に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32a、アーム30Cにおける第2層部32の部分32fと導電ビア35と第1層部31の部分31b、連結部50Aのトーションバー51、フレーム20における第1層部21の部分21bと導電ビア26と第2層部22の部分22cを介して、実現することができる。電極部80に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32b、および、アーム30Cにおける第2層部32の部分32gを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ揺動素子X3における揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を、適宜切り換えることができる。
【0104】
マイクロ揺動素子アレイY3は、以上の構成を有するマイクロ揺動素子X3を複数含んでなる。マイクロ揺動素子アレイY3において、複数のマイクロ揺動素子X3は、全ての軸心A2(図20では図示せず)が相互に平行となるように一列に配されている。
【0105】
マイクロ揺動素子アレイY3において、各マイクロ揺動素子X3のフレーム30は一体化されて枠体をなし、揺動部10およびフレーム20を含む全マイクロ揺動素子X3の可動部を囲む。フレーム30の第1層部31は、各部分31bを除き、全てのマイクロ揺動素子X3にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ揺動素子X3における揺動部10の電極部12およびシールド部14、フレーム20の第1層部21の部分21eおよび第2層部22の部分22b,22e、並びに電極部70は、電気的に接続されている。
【0106】
マイクロ揺動素子アレイY3の駆動時には、全てのマイクロ揺動素子X3における揺動部10の電極部12および電極部70に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ揺動素子X3の電極部60,80の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ揺動素子X3の揺動部10およびフレーム20が個別に揺動駆動され、各マイクロ揺動素子X3の揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
【0107】
マイクロ揺動素子アレイY3に含まれる各マイクロ揺動素子X3は、二軸型の揺動素子であり、上述のように、揺動部10、当該揺動部10と連結されているフレーム20、および、当該フレーム20と連結されているフレーム30を備える。そして、各マイクロ揺動素子X3において、フレーム20,30は、フレーム30の支持基部30Aと揺動部10との間において、連結部50A,50Bによって連結されている。具体的には、フレーム20,30を連結する一方の連結部50A(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30Cとに接続し、他方の連結部50B(二本のトーションバー51)も、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30C(ないしブランチ部33d)とに接続している。すなわち、各マイクロ揺動素子X3では、揺動部10およびフレーム20を有する可動部が、連結部50A,50Bならびにアーム30Cを介して、フレーム30の支持基部30Aによって支持されているのである。
【0108】
このような片持ち構造で可動部がフレーム30に支持されている各マイクロ揺動素子X3では、フレーム20,30を連結するための一対の連結部50A,50Bの間に揺動部10が位置しないので、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1に関して上述したのと同様の理由で、フレーム20は揺動部10のランド部11を囲まない構造をとることができる。そのため、マイクロ揺動素子アレイY3では、マイクロ揺動素子アレイY1に関して上述したのと同様の理由で、隣り合う素子における揺動部10のランド部11を充分に近接して配置することができる。このようなマイクロ揺動素子アレイY3では、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現することができる。素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ揺動素子アレイY3が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
【0109】
マイクロ揺動素子アレイY3の各マイクロ揺動素子X3では、揺動部10の電極部12と、シールド部14と、フレーム20の第2層部22の部分22b,22eとは、電気的に接続されている。したがって、素子駆動時には、電極部12と共にシールド部14および部分22b,22eにも基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に電極部60から例えば揺動部10のランド部11側へ発する電界は、シールド部14によって吸収されやすい。これとともに、素子駆動時に電極部60から発する電界は、部分22b,22eによって吸収されやすい。これら電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X3における素子外への電界漏れを防止または抑制する。このような素子外への電界漏れの防止または抑制により、マイクロ揺動素子アレイY3における一のマイクロ揺動素子X3の電極部12,60によって構成される駆動機構からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ揺動素子X3の駆動特性に不当な影響を与えることを、回避することができる。したがって、上述の電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X3の配列方向における高密度化、ひいては、素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの高占有比率化に資する。
【0110】
マイクロ揺動素子アレイY3の各マイクロ揺動素子X3において、フレーム20のアーム20A’は、マイクロ揺動素子X1のと同様に、厚さ方向Hの長さT1を幅W1で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これとともに、フレーム30のアーム30Cは、図23を参照して上述したように、厚さ方向Hの長さT4を幅W4で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これらの構成は、可動部がフレーム30の支持基部30Aによって片持ち構造で支持されるマイクロ揺動素子X3において、揺動部10と支持基部30Aとの間の支持構造における厚さ方向Hの曲げ強度を確保するのに好適である。
【0111】
マイクロ揺動素子X3は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ揺動素子X3においては、揺動部10のランド部11上のミラー面11aは設ける必要はない。角速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X3による角速度検出方法は、例えば、角速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。加速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X3による加速度検出方法は、例えば、加速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。
【0112】
図25は、本発明の第4の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイY4の平面図である。マイクロ揺動素子アレイY4は、複数のマイクロ揺動素子X4(一部省略)を含んでなる。
【0113】
図26から図29は、マイクロ揺動素子アレイY4を構成するマイクロ揺動素子X4を表す。図26は、マイクロ揺動素子X4の平面図であり、図27は、マイクロ揺動素子X4の一部省略平面図である。図28および図29は、図26の線XXVIII−XXVIIIおよび線XXIX−XXIXに沿った拡大断面図である。
【0114】
マイクロ揺動素子X4は、揺動部10と、フレーム20と、フレーム30と、一対の連結部40と、一対の連結部50A,50Bと、電極部60,70,80とを備え、本実施形態では例えばマイクロミラー素子として構成されている。また、マイクロ揺動素子X4は、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、マイクロ揺動素子X1と同様にしてSOIウエハである材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロ揺動素子X4における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図26においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図27に示される構造は、マイクロ揺動素子X4において第2シリコン層に由来するものである。
【0115】
マイクロ揺動素子X4は、フレーム20,30の一部の構造において、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1と異なる。マイクロ揺動素子X4の他の構造については、マイクロ揺動X1と同様である。
【0116】
本実施形態におけるフレーム20が第1の実施形態におけるフレーム20と異なる点は、延出形状部20Bの形状、第1層部21が部分21a,21bに代えて部分21f,21gを有する点、および、第2層部22が部分21aに代えて部分22fを有する点である。本実施形態におけるフレーム20の部分21fは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分21aとは異なる。部分21gは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出部形状部20Bの一部をもなす点において第1の実施形態における部分21bとは異なる。部分22fは、囲み形状部20Aの一部および延出形状部20Bの一部をなし、延出形状部20Bにおける形状について第1の実施形態における部分22aとは異なる。これら相違点の他は、本実施形態におけるフレーム20は第1の実施形態におけるフレーム20と同一の構成を備える。
【0117】
本実施形態におけるフレーム30が第1の実施形態におけるフレーム30と異なる点は、アーム30Bに代えてアーム30Dを有する点である。アーム30Dは、図26に示すように、支持基部30Aから可動部ないし揺動部10の側に延出して屈曲するとともに、ブランチ部30d’を有する。アーム30Dの一部は、図28に示すように、厚さ方向Hの長さT5を幅W5で除した値であるアスペクト比が1より大きい。すなわち、アーム30Dは、厚さ方向Hにおける長さよりも幅が小さな部位を有する。この構成は、アーム30Dひいては素子の、厚さ方向Hの曲げ強度(厚さ方向Hに作用する負荷に対する機械的強度)を確保するのに好適である。
【0118】
また、アーム30Dは、図26および図29に示すように、第1層部31において部分31cを有し、且つ、図27に示すように、第2層部32において、空隙を介して分離する部分32h,32iを有する。部分32hは、支持基部30Aの部分32aと接続されており、部分32iは、支持基部30Aの部分32bと接続されている。アーム30Dにおける部分31cおよび部分32hは、図29に示すように、絶縁層33を貫通する導電ビア36を介して電気的に接続されている。
【0119】
本実施形態における各連結部40(二本のトーションバー41)は、図26に示すように、揺動部10の梁部13とフレーム20の第1層部21の部分21fとに接続して、揺動部10およびフレーム20を連結する(梁部13と部分21fは連結部40を介して電気的に接続されている)。
【0120】
本実施形態における連結部50Aは、図29に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21gと、フレーム30のアーム30Dにおける第1層部31の部分31cとに接続して、これらを連結する(部分21g,31cは連結部50Aを介して電気的に接続されている)。
【0121】
本実施形態における連結部50Bは、図29に示すように、フレーム20の第1層部21の部分21fと、フレーム30のアーム30Dのブランチ部30d’とに接続して、これらを連結する(部分21fおよびブランチ部30d’は連結部50Bを介して電気的に接続されている)。
【0122】
本実施形態における電極部60は、図27によく表れているように、アーム61、複数の電極歯62a、および複数の電極歯62bを有するところ、アーム61は、フレーム20の第2層部22の部分22cから延出する。
【0123】
本実施形態における電極部70は複数の電極歯71からなるところ、当該複数の電極歯71は、図26および図28に示すようにフレーム20の第1層部21の部分21fから電極部80側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0124】
本実施形態における電極部80は複数の電極歯81からなるところ、当該複数の電極歯81は、図27および図28に示すようにアーム30Dの第2層部32の部分32iから電極部70側へ延出し、且つ、軸心A2の延び方向に離隔して並列する。
【0125】
マイクロ揺動素子X4の駆動時には、揺動部10の電極部12および電極部70に所定の基準電位が付与される。電極部12に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31、連結部50Bのトーションバー51、フレーム20の第1層部21の部分21f、連結部40のトーションバー41、および揺動部10の梁部13を介して、実現することができる。電極部70に対する基準電位の付与は、フレーム30の第1層部31、連結部50Bのトーションバー51、およびフレーム20の第1層部21の部分21fを介して、実現することができる。基準電位は、好ましくは一定に維持され、例えばグラウンド電位である。
【0126】
そして、マイクロ揺動素子X4においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部60に対して必要に応じて付与することにより、電極部12,60間に静電引力を発生させて、揺動部10を軸心A1まわりに回転変位させることができる。これとともに、マイクロ揺動素子X4においては、基準電位よりも高い駆動電位を電極部80に対して必要に応じて付与することにより、電極部70,80間に静電引力を発生させてフレーム20およびこれに伴う揺動部10を軸心A2まわりに回転変位させることができる。マイクロ揺動素子X4は、二軸型の揺動素子である。電極部60に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32a、アーム30Dにおける第2層部32の部分32hと導電ビア36と第1層部31の部分31c、連結部50Aのトーションバー51、フレーム20における第1層部21の部分21gと導電ビア26と第2層部22の部分22cを介して、実現することができる。電極部80に対する駆動電位の付与は、フレーム30の支持基部30Aにおける第2層部32の部分32b、および、アーム30Dにおける第2層部32の部分32iを介して、実現することができる。このような二軸型の揺動駆動により、マイクロ揺動素子X4における揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を、適宜切り換えることができる。
【0127】
マイクロ揺動素子アレイY4は、以上の構成を有するマイクロ揺動素子X4を複数含んでなる。マイクロ揺動素子アレイY4において、複数のマイクロ揺動素子X4は、全ての軸心A2(図25では図示せず)が相互に平行となるように一列に配されている。
【0128】
マイクロ揺動素子アレイY4において、各マイクロ揺動素子X4のフレーム30は一体化されて枠体をなし、揺動部10およびフレーム20を含む全マイクロ揺動素子X4の可動部を囲む。フレーム30の第1層部31は、各部分31cを除き、全てのマイクロ揺動素子X4にわたって連続しており、従って、全てのマイクロ揺動素子X4における揺動部10の電極部12およびシールド部14、フレーム20の第1層部21の部分21fおよび第2層部の部分22b,22f、並びに電極部70は、電気的に接続されている。
【0129】
マイクロ揺動素子アレイY4の駆動時には、全てのマイクロ揺動素子X4における揺動部10の電極部12および電極部70に対して共通的に所定の基準電位が付与された状態で、選択されたマイクロ揺動素子X4の電極部60,80の各々に対して所定の駆動電位が付与される。これにより、各マイクロ揺動素子X4の揺動部10およびフレーム20が個別に揺動駆動され、各マイクロ揺動素子X4の揺動部10のランド部11上のミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
【0130】
マイクロ揺動素子アレイY4に含まれる各マイクロ揺動素子X4は、二軸型の揺動素子であり、上述のように、揺動部10、当該揺動部10と連結されているフレーム20、および、当該フレーム20と連結されているフレーム30を備える。そして、各マイクロ揺動素子X4において、フレーム20,30は、フレーム30の支持基部30Aと揺動部10との間において、連結部50A,50Bによって連結されている。具体的には、フレーム20,30を連結する一方の連結部50A(二本のトーションバー51)は、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30Dとに接続し、他方の連結部50B(二本のトーションバー51)も、揺動部10および支持基部30Aの間においてフレーム20とアーム30D(ないしブランチ部33d’)とに接続している。すなわち、各マイクロ揺動素子X4では、揺動部10およびフレーム20を有する可動部が、連結部50A,50Bならびにアーム30Dを介して、フレーム30の支持基部30Aによって支持されているのである。
【0131】
このような片持ち構造で可動部がフレーム30に支持されている各マイクロ揺動素子X4では、フレーム20,30を連結するための一対の連結部50A,50Bの間に揺動部10が位置しないので、第1の実施形態におけるマイクロ揺動素子X1に関して上述したのと同様の理由で、フレーム20は揺動部10のランド部11を囲まない構造をとることができる。そのため、マイクロ揺動素子アレイY4では、マイクロ揺動素子アレイY1に関して上述したのと同様の理由で、隣り合う素子における揺動部10のランド部11を充分に近接して配置することができる。このようなマイクロ揺動素子アレイY4では、素子配列方向において充分に高いランド部11ないしミラー面11aの占有比率を実現することができる。素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの占有比率が高いほど、マイクロ揺動素子アレイY4が全体として受けて各ミラー面11aにて反射する光信号について、損失を低減することができる。
【0132】
マイクロ揺動素子アレイY4の各マイクロ揺動素子X4では、揺動部10の電極部12と、シールド部14と、フレーム20の第2層部22の部分22b,22fとは、電気的に接続されている。したがって、素子駆動時には、電極部12と共にシールド部14および部分22b,22fにも基準電位(例えばグラウンド電位)が付与される。そのため、基準電位よりも高い所定の駆動電位に起因して、素子駆動時に電極部60から例えば揺動部10のランド部11側へ発する電界は、シールド部14によって吸収されやすい。これとともに、素子駆動時に電極部60から発する電界は、部分22b,22fによって吸収されやすい。これら電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X4における素子外への電界漏れを防止または抑制する。このような素子外への電界漏れの防止または抑制により、マイクロ揺動素子アレイY4における一のマイクロ揺動素子X4の電極部12,60によって構成される駆動機構からの漏れ電界が、隣接する他のマイクロ揺動素子X4の駆動特性に不当な影響を与えることを、回避することができる。したがって、上述の電界吸収効果は、マイクロ揺動素子X4の配列方向における高密度化、ひいては、素子配列方向におけるランド部11ないしミラー面11aの高占有比率化に資する。
【0133】
マイクロ揺動素子アレイY4の各マイクロ揺動素子X4において、フレーム20のアーム20A’は、マイクロ揺動素子X1のと同様に、厚さ方向Hの長さT1を幅W1で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これとともに、フレーム30のアーム30Dは、図28を参照して上述したように、厚さ方向Hの長さT5を幅W5で除した値であるアスペクト比が1より大きく、厚さ方向Hの曲げ強度を確保しやすい構造を有する。これらの構成は、可動部がフレーム30の支持基部30Aによって片持ち構造で支持されるマイクロ揺動素子X4において、揺動部10と支持基部30Aとの間の支持構造における厚さ方向Hの曲げ強度を確保するのに好適である。
【0134】
マイクロ揺動素子X4は、角速度センサや加速度センサなどのセンシングデバイスとしても構成することができる。センシングデバイスとしてのマイクロ揺動素子X4においては、揺動部10のランド部11上のミラー面11aは設ける必要はない。角速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X4による角速度検出方法は、例えば、角速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。加速度センサとして構成された場合のマイクロ揺動素子X4による加速度検出方法は、例えば、加速度センサとして構成された場合の上述のマイクロ揺動素子X1による角速度検出方法と同様である。
【0135】
上述のマイクロ揺動素子X1〜X4は、光スイッチング装置を構成するためのマイクロミラー素子として採用することができる。
【0136】
図30は、第5の実施形態に係る空間光結合型の光スイッチング装置500の概略構成を表す。光スイッチング装置500は、一対のマイクロミラーアレイユニット501,502と、入力ファイバアレイ503と、出力ファイバアレイ504と、複数のマイクロレンズ505,506とを備える。入力ファイバアレイ503は所定数の入力ファイバ503aからなり、マイクロミラーアレイユニット501には、各入力ファイバ503aに対応するマイクロミラー素子501aが複数配設されている。出力ファイバアレイ504は所定数の出力ファイバ504aからなり、マイクロミラーアレイユニット502には、各出力ファイバ504aに対応するマイクロミラー素子502aが複数配設されている。マイクロミラー素子501a,502aは、各々、光を反射するためのミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように構成されており、上述のマイクロ揺動素子X1〜X4のいずれかによって構成される。複数のマイクロレンズ505は、各々、入力ファイバ503aの端部に対向するように配置されている。また、複数のマイクロレンズ506は、各々、出力ファイバ505aの端部に対向するように配置されている。
【0137】
光スイッチング装置500において、入力ファイバ503aから出射される光L1は、対応するマイクロレンズ505を通過することによって、相互に平行光とされ、マイクロミラーアレイユニット501へ向かう。光L1は、対応するマイクロミラー素子501aで反射し、マイクロミラーアレイユニット502へと偏向される。このとき、マイクロミラー素子501aのミラー面は、光L1を所望のマイクロミラー素子502aに入射させるように、予め所定の方向を向いている。次に、光L1は、マイクロミラー素子502aで反射し、出力ファイバアレイ504へと偏向される。このとき、マイクロミラー素子502aのミラー面は、所望の出力ファイバ504aに光L1を入射させるように、予め所定の方向を向いている。
【0138】
このように、光スイッチング装置500によると、各入力ファイバ503aから出射した光Lは、マイクロミラーアレイユニット501,502における偏向によって、所望の出力ファイバ504aに到達する。すなわち、入力ファイバ503aと出力ファイバ504aは一対一で接続される。そして、マイクロミラー素子501a,502aにおける偏向角度を適宜変更することによって、光L1が到達する出力ファイバ504aが切換えられる。
【0139】
光ファイバを媒体として伝送された光信号の伝送経路を或るファイバから他のファイバへと切換えるための光スイッチング装置に求められる特性としては、切換え動作における、大容量性、高速性、高信頼性などが挙げられる。これらの観点より、光スイッチング装置に組み込まれるスイッチング素子としては、マイクロマシニング技術によって作製されるマイクロミラー素子が好ましい。マイクロミラー素子によると、光スイッチング装置における入力側の光伝送路と出力側の光伝送路との間で、光信号を電気信号に変換せずに光信号のままでスイッチング処理を行うことができ、上述の特性を得るうえで好適だからである。
【0140】
図31は、第6の実施形態に係る波長選択型の光スイッチング装置600の概略構成を表す。光スイッチング装置600は、マイクロミラーアレイユニット601と、一本の入力ファイバ602と、三本の出力ファイバ603と、複数のマイクロレンズ604a,604bと、分光器605と、集光レンズ606とを備える。マイクロミラーアレイユニット601は、複数のマイクロミラー素子601aを有し、当該複数のマイクロミラー素子601aは、マイクロミラーアレイユニット601において例えば一列に配設されている。各マイクロミラー素子601aは、光を反射するためのミラー面を有して当該ミラー面の向きを制御できるように構成されており、上述のマイクロ揺動素子X1〜X4のいずれかによって構成される。すなわち、マイクロミラーアレイユニット601は、上述のマイクロ揺動素子アレイY1〜Y4のいずれかによって構成することができる。マイクロレンズ604aは、入力ファイバ602の端部に対向するように配置されている。マイクロレンズ604bは、出力ファイバ603の端部に対向するように配置されている。分光器605は、波長によって反射光の回折の程度が異なる反射型回折格子である。
【0141】
光スイッチング装置600において、入力ファイバ602から出射される光L2(複数の波長が混在している)は、マイクロレンズ604aを通過することによって、平行光とされる。この光L2は、分光器605にて反射する(このとき、波長ごとに異なる角度で反射する)。当該反射光は、集光レンズ606を通過する。その際、波長ごとに、マイクロミラーアレイユニット601において対応するマイクロミラー素子601aへ集光される。各波長の光は、対応するマイクロミラー素子601aで所定方向に反射される。このとき、マイクロミラー素子601aのミラー面は、対応する波長の光を所望の出力ファイバ603に到達させるように、予め所定の方向を向いている。マイクロミラー素子601aにて反射した光は、その後、集光レンズ606、分光器605、およびマイクロレンズ604bを経由して、選択された所定の出力ファイバ603に入射する。このようにして、光スイッチング装置600によると、光L2から所望の波長の光を選択することができる。
【0142】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0143】
(付記1)第1フレームと、
揺動部と、
前記第1フレームおよび前記揺動部を連結して当該揺動部の揺動動作の第1軸心を規定する第1捩れ連結部および第2捩れ連結部と、
支持基部、および、当該支持基部から前記揺動部の側に延出するアーム部、を有する第2フレームと、
前記第2フレームおよび前記第1フレームを連結して当該第1フレームの揺動動作の第2軸心を規定する第3捩れ連結部および第4捩れ連結部と、を備え、
前記第3捩れ連結部は、前記揺動部および前記支持基部の間において、前記第1フレームと前記アーム部とに接続し、
前記第4捩れ連結部は、前記揺動部および前記支持基部の間において、前記第1フレームと前記支持基部または前記アーム部とに接続している、マイクロ揺動素子。
(付記2)前記第1軸心および前記第2軸心は直交する、付記1に記載のマイクロ揺動素子。
(付記3)前記揺動部は、揺動機能部と、第1電極部と、当該揺動機能部および第1電極部を連結する梁部とを有し、
前記第1フレームは、前記揺動部の前記第1電極部側を囲む形状を有し、
前記第1および第2捩れ連結部は、前記揺動部における前記梁部に接続し、
前記第1電極部と協働して前記揺動部の前記揺動動作の駆動力を発生させるための、前記第1フレームに固定された第2電極部を更に備える、付記1または2に記載のマイクロ揺動素子。
(付記4)前記第1および第2電極部は、各々、複数の電極歯が並列してなる櫛歯電極である、付記3に記載のマイクロ揺動素子。
(付記5)前記アーム部に固定された第3電極部と、
前記第3電極部と協働して前記第1フレームの前記揺動動作の駆動力を発生させるための、前記第1フレームに固定された第4電極部とを、更に備える、付記3または4に記載のマイクロ揺動素子。
(付記6)前記第3および第4電極部は、各々、複数の電極歯が並列してなる櫛歯電極である、付記5に記載のマイクロ揺動素子。
(付記7)前記櫛歯電極の各電極歯は、素子厚さ方向における長さよりも小さな幅を有する、付記4または6に記載のマイクロ揺動素子。
(付記8)前記アーム部は、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する、付記1から7のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記9)前記第1フレームは、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する、付記1から8のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記10)前記揺動部を前記第2フレームに対して一時的に固定するために当該揺動部および第2フレームを連結する連結部を更に備える、付記1から9のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記11)マイクロミラー素子、加速度センサ、または角速度センサとして構成されている、付記1から10のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記12)付記1から11のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子を複数含む、マイクロ揺動素子アレイ。
(付記13)前記複数のマイクロ揺動素子における前記第1軸心は相互に平行であり、且つ、前記複数のマイクロ揺動素子における前記第2軸心は相互に平行である、付記12に記載のマイクロ揺動素子アレイ。
(付記14)マイクロミラー素子として構成された付記1から10のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子を備える、光スイッチング装置。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイを表す。
【図2】図1に示すマイクロ揺動素子アレイに含まれるマイクロ揺動素子の平面図である。
【図3】図2に示すマイクロ揺動素子の一部省略平面図である。
【図4】図2の線IV−IVに沿った拡大断面図である。
【図5】図2の線V−Vに沿った拡大断面図である。
【図6】図2の線VI−VIに沿った拡大断面図である。
【図7】図2の線VII−VIIに沿った拡大断面図である。
【図8】図2の線VIII−VIIIに沿った拡大断面図である。
【図9】図2の線IX−IXに沿った断面図である。
【図10】駆動時における図2の線IV−IVに沿った断面図である。
【図11】図2に示すマイクロ揺動素子の製造方法における一部の工程を表す。
【図12】図11の後に続く工程を表す。
【図13】マスクパターンの平面図である。
【図14】他のマスクパターンの平面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイを表す。
【図16】図15に示すマイクロ揺動素子アレイに含まれるマイクロ揺動素子の平面図である。
【図17】図16に示すマイクロ揺動素子の一部省略平面図である。
【図18】図16の線XVIII−XVIIIに沿った拡大断面図である。
【図19】図16の線XIX−XIXに沿った拡大断面図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイを表す。
【図21】図20に示すマイクロ揺動素子アレイに含まれるマイクロ揺動素子の平面図である。
【図22】図21に示すマイクロ揺動素子の一部省略平面図である。
【図23】図21の線XXIII−XXIIIに沿った拡大断面図である。
【図24】図21の線XXIV−XXIVに沿った拡大断面図である。
【図25】本発明の第4の実施形態に係るマイクロ揺動素子アレイを表す。
【図26】図25に示すマイクロ揺動素子アレイに含まれるマイクロ揺動素子の平面図である。
【図27】図26に示すマイクロ揺動素子の一部省略平面図である。
【図28】図26の線XXVIII−XXVIIIに沿った拡大断面図である。
【図29】図26の線XXIX−XXIXに沿った拡大断面図である。
【図30】第5の実施形態に係る光スイッチング装置の概略構成を表す。
【図31】第6の実施形態に係る光スイッチング装置の概略構成を表す。
【図32】従来のマイクロ揺動素子の平面図である。
【図33】従来のマイクロ揺動素子アレイを表す。
【符号の説明】
【0145】
X1,X2,X3,X4,90 マイクロ揺動素子
Y1,Y2,Y3,Y4,90A マイクロ揺動素子アレイ
10 揺動部
11 ランド部
11a ミラー面
12,60,70,80 電極部
12A,12B,20A’,61 アーム
12a,12b,62a,62b,71,81 電極歯
13 梁部
14 シールド部
20,30 フレーム
20A 囲み形状部
20B 延出形状部
21,31 第1層部
22,32 第2層部
23,33 絶縁層
30A 支持基部
30B,30B’,30C,30D アーム
40,50A,50B 連結部
41,51 トーションバー
42 サポートビーム
A1,A2 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、
揺動部と、
前記第1フレームおよび前記揺動部を連結して当該揺動部の揺動動作の軸心を規定する第1捩れ連結部および第2捩れ連結部と、
支持基部、および、当該支持基部から前記揺動部の側に延出するアーム部、を有する第2フレームと、
前記第2フレームおよび前記第1フレームを連結して当該第1フレームの揺動動作の軸心を規定する第3捩れ連結部および第4捩れ連結部と、を備え、
前記第3捩れ連結部は、前記揺動部および前記支持基部の間において、前記第1フレームと前記アーム部とに接続し、
前記第4捩れ連結部は、前記揺動部および前記支持基部の間において、前記第1フレームと前記支持基部または前記アーム部とに接続している、マイクロ揺動素子。
【請求項2】
前記揺動部は、揺動機能部と、第1電極部と、当該揺動機能部および第1電極部を連結する梁部とを有し、
前記第1フレームは、前記揺動部の前記第1電極部側を囲む形状を有し、
前記第1および第2捩れ連結部は、前記揺動部における前記梁部に接続し、
前記第1電極部と協働して前記揺動部の前記揺動動作の駆動力を発生させるための、前記第1フレームに固定された第2電極部を更に備える、請求項1に記載のマイクロ揺動素子。
【請求項3】
前記アーム部に固定された第3電極部と、
前記第3電極部と協働して前記第1フレームの前記揺動動作の駆動力を発生させるための、前記第1フレームに固定された第4電極部とを、更に備える、請求項1または2に記載のマイクロ揺動素子。
【請求項4】
前記アーム部は、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する、請求項1から3のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
【請求項5】
前記第1フレームは、素子厚さ方向における長さよりも幅が小さな部位を有する、請求項1から4のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子を複数含む、マイクロ揺動素子アレイ。
【請求項7】
マイクロミラー素子として構成された請求項1から5のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子を備える、光スイッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−20218(P2010−20218A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182642(P2008−182642)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】