説明

ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質阻害剤

本発明は、式(I)を有する、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)および/またはアポリポタンパク質B(アポB)の分泌阻害剤を提供する。前記阻害剤は、肥満および関連する疾患の治療の他に、アテローム性動脈硬化症および臨床上の続発症の予防および治療に、血中脂質低下に、さらに関連疾患の予防および治療に有用である。本発明はさらに、本発明の化合物を含む医薬組成物、および本発明の化合物による(単独または他の医薬(脂質低下剤を含む)と併用される)肥満、アテローム性動脈硬化症および関連疾患および/または病状の治療方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)および/またはアポリポタンパク質B(アポB)分泌の阻害剤に関する。本発明阻害剤は、肥満および関連疾患の治療の他に、アテローム性動脈硬化症およびその臨床上の続発症の予防および治療のために、血清脂質低下のために、さらに関連疾患の予防および治療のために有用である。本発明はさらに、前記阻害剤化合物を含む医薬組成物、並びに、該化合物を単独でまたは脂質低下剤を含む他の医薬と併用して肥満、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患および/または病状を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質はトリグリセリド、コレステリルエステルおよびリン脂質の転送を触媒し、(アテローム性鉱脈硬化症の病巣形成の一因となる生物分子である)アポB含有リポタンパク質の会合における推定上のメディエーターとして意味付けられてきた。特に、MTPの細胞成分(ミクロソーム画分の内腔)および組織(肝および腸)における分布は、これらが血漿リポタンパク質の会合部位であるためにMTPが血漿リポタンパク質の会合に役割を果たすと推測された。膜間のトリグリセリドの転送を触媒するMTPの能力は前記の推測と一致し、MTPが、トリグリセリドを小胞体膜のその合成部位から小胞体内腔内の新生リポタンパク質粒子へ転送することを触媒するであろうと示唆される。
【0003】
したがって、MTPを阻害するか、および/またはアポB分泌を阻害する化合物は、アテローム性動脈硬化症およびそれに関連する他の病状の治療に有用である。そのような化合物はまた、MTPおよび/またはアポB分泌を阻害することによって血清コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低減させることができる他の疾患または病状の治療で有用である。そのような病状には、例えば高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎および肥満;並びに膵炎、肥満および糖尿病に付随する高コレステロール血症、高トリグリセリド血症および高脂血症が含まれる。詳細な考察については例えば以下を参照されたい:Wetterau et al., Science, 258:999-1001, 1992;Wetterau et al., Biochem Biophys Acta, 875:610-617, 1986;欧州特許出願0,584,446A2および0,643,057A1(後者はMTPの阻害剤として有用なある種の化合物について言及する)。MTP阻害剤の他の例は例えば米国特許5,712,179号、5,968,950号、6,066,653号および6,121,283号;PCT国際特許出願公開広報WO96/40640、WO97/43257、WO98/27979、WO99/33800およびWO00/05201;EP584446BおよびEP643,057Aで見出すことができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は下記の構造を有する式(I)の化合物、医薬的に許容できるその塩、前記の化合物もしくは塩のプロドラッグ、または前記の化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物を提供する:
【化1】

【0005】
式中、
1は下記の構造を有する式(IA)の基であり;
【化2】

ここでhは0から3であり(好ましくはhは0)、
XはNまたは−C(R1c)−であり(好ましくはXはCH)、
1aはフェニル、ピリジル、フェニル−Z'−、またはピリジル−Z'−であり、ここでZ'は−S(O)j−、−O−、−(CR1a'1b')k−、または−(O)m−(CR1a'1b')k(O)m (CR1a'1b')k−であり、さらにフェニルおよびピリジル部分は場合によって各々1から3個の置換基で置換されてあり(好ましくはR1aはp−トリフルオロメチルフェニル)、
【0006】
1bおよびR1cは各々別個に水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アジド、アミノ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルコキシ、メトキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルキル、パーフルオロ(C2−C6)アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルコキシ、トリフルオロメチル(C1−C5)アルコキシ、(C1−C6)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル(CR1a'1b')k−、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)ジアルキルアミノ、アミノ(C1−C6)アルキル−、−(CR1a'1b")kNR1a'1b"、−C(O)NR1b'1b"、−NR1b"C(O)R1b'''、−NR1b"OR1b'''、−CH=NOR1b'''、−NR1b"C(O)OR1b'''、−NR1b"S(O)j1b'''、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−C(O)OR1b'''、 −OC(O)R1b'''、−SO2NR1b'1b"、−S(O)j1b'''、または−(CR1a'1b')kS(O)j1b'''であり、
ここで、R1a'およびR1b'は各々別個に水素または (C1−C6)アルキルであり、
1b"は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')n1b'''、または−SO21b'''であり、
各R1b'''はそれぞれ別個にH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキルであり、ここで前述のR1b'''基のアルキル部分は、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、ヒドロ
キシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から各々別個に選択される1から3個の置換基によって場合によって置換され、
jは0、1または2であり、
各kはそれぞれ別個に0から6の整数であり、
各mはそれぞれ別個に0または1であり、
nは1から6の整数であり、さらに
pは2から5の整数であり;
【0007】
2はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')n1b'''、または−SO21b'''であるか(R2は好ましくは水素または(C1−C6)アルキルであり、より好ましくは水素またはメチルであり、もっとも好ましくは水素である)、
またはR2は、R3またはR3aのどちらかと一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
qは0または1であり(好ましくはqは0である);
3はH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであるか、またはR3はR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
Yは−C(R3a)−でWは−C(R3b)−であるか、YはNでWは−N(R3b)−であるか、Yは−C(R3a)−でWはNであるか、またはYは結合でWは−N(R3c)−であり、ここでR3aはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであるか、またはR3aはR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し、R3bはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであり、R3cは(C1−C4)アルキルであり;(好ましくはYおよびWはともに−C(R3a)−である);
Zは−SCH2−、−CH2−、または−OCH2−であり;
rは0または1であり(好ましくはrは0である);
4はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b'''、または−SO21b'''であり(R4は好ましくは水素または(C1−C6)アルキルであり、より好ましくは水素またはメチルであり、もっとも好ましくは水素である);
【0008】
5は (C1−C6)アルキル、場合によって置換されたフェニル、または場合によって置換されたヘテロアリールであり(好ましくはR5はフェニルである);
6は水素、(C1−C6)アルキル、−C(O)−O(C1−C6)アルキル、−NH−C(O)−R6a、または−C(O)− NR6a6bであり、
ここでR6aは水素、(C1−C6)アルキルまたはハロ−置換(C1−C6)アルキルであり、
6bは(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6)アルキル、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b"、 −SO21b'''または−(CH2)s−R6a'であるか(式中sは0から6の整数で、R6a'は(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C6)アルキルアミノであるか、または、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された炭素環式環、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された複素環式環、ヘテロアリールおよびフェニルから成る群から選択される化学構造部分であって、該化学成分は場合によって1から3個の置換基で置換されてある(好ましい置換基はR1bのために記載されたものである))、
またはR6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、その環内に場合によって追加されるO、SまたはNから選択されるヘテロ原子を含む5員または6員の複素環式環を形成し;
さらに、ここでハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないCH3(メチル)、CH2(メチレン)もしくはCH(メチン)基をその中に含む上記の“アルキル”、“アルケニル”または“アルキニル”部分は前記メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、および−NR1a'1b'から成る群から選択される置換基を場合によって有する。
【0009】
本発明のある実施態様では、R1は式(IA)の基の2位に結合して、下記の構造を有する式(II)の化合物、医薬的に許容できるその塩、前記の化合物もしくは塩のプロドラッグ、または前記の化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物を提供する:
【化3】

式中、YはNまたは−C−(R3a)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3a、Z、r、R4、R5、およびR6は上記で定義されたとおりである。
【0010】
本発明の別の実施態様では、下記の構造を有する式(III)の化合物、医薬的に許容できるその塩、前記の化合物もしくは塩のプロドラッグ、または前記の化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物が提供される:
【化4】

式中、WはNまたは−C−(R3b)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3b、Z、r、R4、R5、およびR6は上記で定義されたとおりである。
【0011】
本発明のさらに別の実施態様では、下記の構造を有する式(IV)の化合物、医薬的に許容できるその塩、前記の化合物もしくは塩のプロドラッグ、または前記の化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物が提供される:
【化5】

式中、R1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3c、Z、r、R4、R5、およびR6は上記で定義されたとおりである。
【0012】
rが0である、本発明の好ましい化合物には以下が含まれる:
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸{4-[(イソプロピルカルバモイル-フェニル-メチル)-カルバモイル]-2-メチル-フェニル}-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(4-{[(1-エチル-プロピルカルバモイル)-フェニル-メチル]-カルバモイル}-2-メチル-フェニル)-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(4-{[(イソプロピル-メチル-カルバモイル) -フェニル-メチル]-カルバモイル}-2-メチル-フェニル)-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸{4-[(イソプロピルカルバモイル-フェニル-メチル)-カルバモイル]-2-メトキシ-フェニル}-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(4-{[(1-エチル-プロピルカルバモイル)-フェニル-メチル]-カルバモイル}-2-メトキシ-フェニル)-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(2-メトキシ-4-{[(4-メトキシ-ベンジルカルバモイル) -フェニル-メチル]-カルバモイル}-フェニル)-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(4-{[(4-フルオロ-ベンジルカルバモイル) -フェニル-メチル]-カルバモイル}-2-メトキシ-フェニル)-アミド;
(S)N-(ブチルカルバモイル-フェニル-メチル)-6-[(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルバモイル)-アミノ]-ニコチンアミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸4-(2-オキソ-1-フェニル-2-ピペリジン-1-イル-エチルカルバモイル)-ベンジルアミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸4-(2-モルホリン-4-イル-2-オキソ-1-フェニル-エチルカルバモイル)-ベンジルアミド;
(S)N-[(ブチル-メチル-カルバモイル)-フェニル-メチル]-6-[(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-ニコチンアミド;および
(S)N-(フェニル-プロピルカルバモイル-メチル) -6-[(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-ニコチンアミド;並びに
医薬的に許容できるその塩、または前記の化合物もしくは塩の溶媒和物もしくは水和物。
【0013】
Zが-SCH2-である好ましい化合物には以下が含まれる:
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸[4-({[(シクロプロピルメチル-カルバモイル) -フェニル-メチル]-カルバモイル}-メチスルファニル)-フェニル]-アミド;
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸{4- [(2-オキソ-1-フェニル-2-ピペリジン-1-イル-エチルカルバモイル) -メチスルファニル]-フェニル}-アミド;および
(S)4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボン酸(4-{[(シクロプロピルカルバモイル-フェニル-メチル)-カルバモイル] -メチスルファニル}-フェニル)-アミド;並びに医薬的に許容できるその塩、または前記の化合物もしくは塩の溶媒和物もしくは水和物。
【0014】
2がR3と一緒になって部分的に飽和された複素環式環を形成する好ましい化合物には以下が含まれる:
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(3-メトキシ-ベンジルカルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(シクロプロピルカルバモイル-フェニル-メチル)-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(2-オキソ-1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(2-オキソ-1-フェニル-2-ピペリジン-1-イル-エチル)-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-2-オキソ-1-フェニル-エチル)-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(4-メチル-ベンジルカルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(4-メトキシ-ベンジルカルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(3-メチル-ベンジルカルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(フェニル-プロピルカルバモイル-メチル)-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(メチル-プロピル-カルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(エチル-プロピル-カルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸(ジエチルカルバモイル-フェニル-メチル)-アミド;および
(S)1-(4'-トリフルオロメチル-ビフェニル-2-カルボニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-カルボン酸[(エチル-メチル-カルバモイル)-フェニル-メチル]-アミド;並びに
医薬的に許容できるその塩、または前記の化合物もしくは塩の溶媒和物もしくは水和物。
【0015】
本明細書に記載した化合物の多くは少なくとも1つのキラル中心を含み、そのため、本明細書に示され、考察される化合物の全ての立体異性体(例えば鏡像異性体およびジアステレオマー)は本発明の範囲内に包含されることは当業者には理解されよう。さらにまた、本発明化合物の互変異性形もまた本発明の範囲内に包含される。R5がフェニルであるとき、R5が結合している炭素原子(例えば上記の式(I)の化合物でアスタリスクで表示されている炭素)は、好ましくは(S)立体配置である。
【0016】
本発明の別の特徴では、(1)本発明の化合物;および(2)医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物が提供される。好ましくは、組成物は治療的に有効な量の本発明の化合物を含む。組成物はまた少なくとも1つの追加される医薬(本明細書に記載されている)を含むことができる。好ましい医薬には脂質低下剤、コレステロール吸収阻害剤、PPAR阻害剤、CETP阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現の阻害剤、ナイアシン、抗酸化剤、ACAT阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤、および抗肥満剤が含まれる。
【0017】
本発明のさらに別の特徴では、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質および/またはアポリポタンパク質Bの分泌を阻害することによって変調される動物の疾患、病状または異常の治療を提供する。前記方法は、そのような治療を必要とする動物に治療的に有
効な量の本発明の化合物(またはその医薬組成物)を投与する工程を含む。
【0018】
ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質および/またはアポリポタンパク質Bの分泌によって変調される動物の疾患、病状および/または異常には、アテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満(体重減少、食物摂取量低下などを含む)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症および糖尿病が含まれる。
【0019】
ある実施態様では、(1)MTP阻害により食餌性脂肪の吸収を低減させることによって、(2)MTP阻害によりトリグリセリドを減少させることによって、または(3)MTP阻害により遊離脂肪酸の吸収を低下させることによって、アテローム性動脈硬化症;高トリグリセリド血症および/または高血糖に続発する膵炎を治療する方法が提供される。この方法は、治療を必要とする動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与する工程を含む。
【0020】
また別の実施態様では、動物の糖尿病を治療する方法が提供される。この方法は、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与する工程を含む。
【0021】
さらに別の実施態様では、動物の肥満を治療する方法が提供される。この方法は、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与する工程を含む。
【0022】
本発明のまた別の特徴では、本発明の化合物を他の医薬品と併用して投与する併用療法が提供される。好ましい医薬品には、脂質低下剤、コレステロール吸収阻害剤、PPAR阻害剤、CETP阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAシンセターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現の阻害剤、ナイアシン、抗酸化剤、ACAT阻害剤、スクアレンシンターゼ阻害剤、および抗肥満剤、例えばカンナビノイド拮抗薬または逆作動薬、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取り込み阻害剤、交感神経様作用薬、β3アドレナリン作動性受容体作動薬、ドーパミン作動薬、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体作動薬、メラニン凝集ホルモン拮抗薬、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチド−Y拮抗薬、甲状腺ホルモン様作用薬、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、繊毛様神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン(ghrelin)受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬またはインバースアゴニスト、およびニューロメディンU作動薬などが含まれる。
【0023】
前記併用療法は、(a)単一の医薬組成物(本発明の化合物、本明細書に記載した少なくとも1つの追加の医薬物質および医薬的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む)として、または(b)二つの分離された医薬組成物[(i)本発明の化合物および医薬的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む第一の組成物、および(ii)本明細書に記載した少なくとも1つの追加の医薬物質および医薬的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含む第二の組成物を含む]として投与することができる。前記医薬組成物は同時にまたは連続的に、および任意の順序で投与することができる。
【0024】
定義
本明細書で用いられるように、下記の構造を有する部分は、YおよびWが下記のように定義される場合は下記の対応する意味を有する芳香族部分である:
【化6】

【0025】
Yが−C(R3a)−でありWが−C(R3b)−であるとき、上記の構造は、それらの対応する位置に置換基R3aおよびR3bを有するフェニル環を表す。YがNでありWが−C(R3b)−であるとき、上記の構造は、Wの位置において置換基R3bで置換されたピリジン環を表す。Yが−C(R3a)−でありWがNであるとき、上記の構造は、Yの位置において置換基R3aで置換されたピリジン環を表す。Yが結合でありWが−N(R3c)−であるとき、上記の構造は、ピロール環窒素に結合した置換基R3cを有する1H−ピロール環を表す。
【0026】
本明細書で用いられるように、“アルキル”という用語は、一般式CnH2n+1の炭化水素ラジカルを指す。アルカンラジカルは直鎖状または分枝鎖状である。例えば、“(C1−C6)アルキル”は1つから6つの炭素原子を含む一価の直鎖状または分枝鎖状脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチルなど)を指す。同様に、アルコキシ、アシル(例えばアルカノイル)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびアルキルチオ基のアルキルの部分(すなわちアルキル部分)は、上記と同じ定義を有する。“場合によって置換される”と表示されているときは、前記アルカンラジカルまたはアルキル部分は置換されていないか、または“置換される”場合についての定義で下記に示される置換基の群から別個に選択される1つまたは2つ以上の置換基によって置換されていてもよい(一般的には1から3個の置換基である、ただしハロゲン置換基の場合を除く(例えばパークロロアルキルまたはパーフルオロアルキル))。“ハロ置換アルキル”は1または2個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基を指す(例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、パーフルオロエチルなど)。ハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないCH3(メチル)、CH2(メチレン)もしくはCH(メチン)基を含むアルキル部分は、好ましくは場合によって、メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、または−NR1a'1b'から成る群から選択される置換基を有する(ここで、R1a'およびR1b'は上記で定義されたとおりである)。
【0027】
“アルケニル”という用語は、直鎖状および分枝鎖状の両方の炭化水素基であって、その鎖内に少なくとも2つの炭素および少なくとも1つの不飽和を含む基を指す。アルケニル基のいくつかの例は、エテニル、プロペニル、イソブテニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニルなどである。好ましくは、ハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないCH3(メチル)、CH2(メチレン)もしくはCH(メチン)基を含むアルケニル部分は、場合によって、メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、または−NR1a'1b'−(ここで、R1a'およびR1b'は上記で定義されたとおりである)からなる群から選択される置換基を有する。
【0028】
“アルキニル”という用語は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つの三重結合を含む直鎖状および分枝鎖状の両方の炭化水素基を指す。アルキニル基のいくつかの例は、エチニルおよびプロピニル、例えばプロピン−1−イルおよびプロピン−2−イルおよびプロピン−3−イルである。好ましくは、ハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないCH3(メチル)、CH2(メチレン)もしくはCH(メチン)基を含むアルキニル部分は、場合によって、メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、または−NR1a'1b'−(式中、R1a'およびR1b'は上記で定義されたとおりである)からなる群から選択される置換基を有する。
【0029】
“部分的または完全に飽和された炭素環式環”(“部分的または完全に飽和されたシクロアルキル”とも称される)という用語は、部分的または完全に水素添加されてあり、さらに単環、二環式環またはスピロ縮合環として存在することができる非芳香族環を指す。特段の指摘がなければ前記炭素環式環は一般的には3から8員環である。例えば、部分的または完全に飽和された炭素環式環(またはシクロアルキル)には、例えばシクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ノルボルネニル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどのような基が含まれる。“場合によって置換される”と表示された場合は、部分的に飽和または完全に飽和された前記シクロアルキル基は置換されていないか、または“置換される”についての定義で下記に挙げた置換基からなる群からそれぞれ別個に選択される1または2個以上の置換基(典型的には1から3個の置換基)で置換されていてもよい。置換された炭素環式環はまた、前記炭素環式環がフェニル環と縮合した基(例えばインダニル)を含む。前記炭素環基は、その炭素環式環系内の炭素原子のいずれかによって前記化学物質または部分と結合することができる。置換されている場合、炭素環式基は好ましくはそれぞれ別個に以下から選択される1または2個の置換基で置換される:カルボキシ(−CO2H)、アミノカルボニル(−CONH2)、モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノカルボニル(モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノ−C(O)−)、アシル、(C1−C3)アルキル、(C2−C3)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、3から6員の複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C3)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C4)アルキルアミノ、カルバモイル(すなわち、(C1−C3)アルキル−O−C(O)−NH−またはモノもしくはジ(C1−C3)アルキルアミノ−C(O)−O−)、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C6)シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヒドロキシ(C2−C3)アルキルアミノ、またはオキソ。ここにおいて、アミノカルボニル、モノもしくはジ−アルキルアミノカルボニル、アシル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルおよびヒドロキシアルキルアミノの各々は、場合によって、塩素、フッ素、ヒドロキシ、シアノおよびアミノからなる群からそれぞれ別個に選択される3個までの置換基で置換することができ、さらにより好ましくは、(C1−C2)アルキル、3から6員の複素環、フルオロ、(C1−C3)アルコキシ、(C1−C4)アルキルアミノまたはジ(C1−C2)アルキルアミノからそれぞれ別個に選択される1または2個の置換基が(場合によって上記に述べたように置換される)置換することができる。同様に、ある基(例えばシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアミノなど)のシクロアルキルの部分のいずれも上記と同じ定義を有する。
【0030】
“部分的に飽和または完全に飽和された複素環式環”(“部分的に飽和または完全に飽和された複素環”とも称される)という用語は、部分的または完全に水素添加されてあり、さらに単環、二環式環またはスピロ縮合環として存在することができる非芳香族環を指す。特段の指摘がなければ前記複素環式環は一般的には3から6員環であり、硫黄、酸素および/または窒素からそれぞれ別個に選択される1から3個のヘテロ原子(好ましくは1または2個のヘテロ原子)を含む。部分的に飽和または完全に飽和された複素環式環は、例えばエポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピロリジニル、N−メチルピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、2H−クロメニル、オキサジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシドなどの基が含まれる。“場合によって置換される”と表示された場合は、前記部分的に飽和または完全に飽和された複素環基は置換されていないか、または“置換される”についての定義で下記に挙げた置換基の群からそれぞれ別個に選択される1または2個以上の置換基(典型的には1から3個の置換基)で置換されていてもよい。置換された複素環式環には、複素環式環がアリールまたはヘテロアリール環に縮合されている基が含まれる(例えば、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル、2,3−ジヒドロベンゾチアゾリルなど)。置換される場合は、前記複素環基は好ましくは、それぞれ別個に以下から選択される1または2個の置換基で置換される:アシル、(C1−C3)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C2−C4)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、3から6員の複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C3)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C3)アルキルアミノ、カルバモイル(すなわち、(C1−C3)アルキル−O−C(O)−NH−またはモノもしくはジ(C1−C3)アルキルアミノ−C(O)−O−)、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C6)シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヒドロキシ(C2−C3)アルキルアミノ、またはオキソ。ここにおいて、アミノカルボニル、モノもしくはジ−アルキルアミノカルボニル、アシル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルおよびヒドロキシアルキルアミノの各々は、場合によって、塩素、フッ素、ヒドロキシ、シアノおよびアミノからそれぞれ別個に選択される3つまでの置換基で置換することができ、さらにより好ましくは、(C1−C3)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C6)アリール、6員のヘテロアリール、3から6員の複素環またはフルオロからそれぞれ別個に選択される1または2個の置換基が場合によって上記で述べたように置換することができる。前記複素環基は、その複素環式環系内の環原子のいずれかによって前記化学物質または部分と結合することができる。同様に、ある基(例えば複素環置換アルキル、複素環置換カルボニルなど)のいずれの複素環部分も上記と同じ定義を有する。
【0031】
“アリール”または“芳香族炭素環式環”という用語は、単環(例えばフェニル)または縮合環系(例えばナフタレンまたはアントラセン、フェナントレンなど)を有する芳香族部分を指す。典型的なアリール基は6員から10員の芳香族炭素環式環である。好ましいアリール基はフェニルである。“場合によって置換される”と表示された場合はアリール基は置換されていないか、または“置換される”についての定義で下記に挙げた置換基の群からそれぞれ別個に選択される1または2個以上の置換基(好ましくは3個を超えない置換基)で置換されていてもよい。置換されたアリール基はまた、芳香族部分の鎖(例えばビフェニル、テルフェニル、フェニルナフチルなど)を含む。置換されている場合、前記芳香族部分は好ましくはそれぞれ別個に以下から選択される1または2個の置換基で置換される:カルボキシ(−CO2H)、アミノカルボニル(−CONH2)、モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノカルボニル(モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノ−C(O)−)、アシル、(C1−C4)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C2−C3)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、3から6員の複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C4)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C3)アルキルアミノ、ヒドロキシ(C2−C3)アルキルアミノ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、またはカルバモイル(すなわち、(C1−C3)アルキル−O−C(O)−NH−またはモノもしくはジ(C1−C3)アルキルアミノ−C(O)−O−)。ここにおいて、アミノカルボニル、モノもしくはジ−アルキルアミノカルボニル、アシル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルおよびヒドロキシアルキルアミノの各々は、場合によって、塩素、フッ素、ヒドロキシ、シアノおよびアミノからそれぞれ別個に選択される3個までの置換基で置換することができ、さらにより好ましくは、(C1−C4)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、または(C1−C4)アルコキシからそれぞれ別個に選択される1または2個の置換基が場合によって上記に述べたように置換することができる。前記アリール基は、その芳香族環系内の炭素原子のいずれかによって前記化学物質または部分と結合することができる。同様に、アロイルまたはアロイルオキシ(すなわち(アリール)−C(O)−O−)のアリール部分(すなわち芳香族成分)は上記と同じ定義を有する。
【0032】
“ヘテロアリール”または“ヘテロ芳香族環”という用語は、5員から10員の芳香環系内に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば酸素、硫黄、窒素またはそれらの組合せ)を含む芳香族を指す(例えばピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズチオフェニル、ベンズオキサゾリルなど)。前記へテロ芳香族部分は単環または縮合環系から成るであろう。典型的な単環式ヘテロアリールの環は、酸素、硫黄および窒素からそれぞれ別個に選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員から6員の環であり、典型的な縮合ヘテロアリール環系は、酸素、硫黄および窒素からそれぞれ別個に選択される1から4個のヘテロ原子を含む9員から10員の環系である。“場合によって置換される”と表示された場合は、前記ヘテロアリール基は置換されていないか、または“置換される”についての定義で下記に挙げた置換基の群からそれぞれ別個に選択される1または2個以上の置換基(好ましくは3個を超えない置換基)で置換されていてもよい。置換されている場合、前記ヘテロ芳香族部分は好ましくはそれぞれ別個に以下から選択される1または2個の置換基で置換される:カルボキシ(−CO2H)、アミノカルボニル(−CONH2)、モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノカルボニル(モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノ−C(O)−)、アシル、(C1−C4)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C2−C3)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、3から6員の複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C4)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アミノ、(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C3)アルキルアミノ、ヒドロキシ(C2−C3)アルキルアミノ、(C1−C6)アルコキシカルボニル、(C3−C6)シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、またはカルバモイル(すなわち、(C1−C3)アルキル−O−C(O)−NH−またはモノもしくはジ(C1−C3)アルキルアミノ−C(O)−O−)。ここにおいて、アミノカルボニル、モノもしくはジ−アルキルアミノカルボニル、アシル、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルおよびヒドロキシアルキルアミノの各々は、場合によって、塩素、フッ素、ヒドロキシ、シアノおよびアミノからなる群からそれぞれ別個に選択される3個までの置換基で置換することができ、さらにより好ましくは、(C1−C4)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C4)アルコキシ、(C1−C4)アルキルアミノまたはジ(C1−C2)アルキルアミノからそれぞれ別個に選択される1または2個の置換基が場合によって上記に述べたように置換することができる。前記ヘテロアリール基は、その芳香族環系(例えばイミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イルまたはピリド−5−イルまたはピリド−6−イル)内の原子のいずれかによって前記化学物質または部分と結合することができる。同様に、ヘテロアロイル(すなわち(ヘテロアリール)−C(O)−O−)のへテロアリールの部分(すなわちヘテロ芳香族部分)は上記と同じ定義を有する。
【0033】
“アシル”という用語は、ホルミル、並びに、アルキル、アルケニル、アルキニル、部分的もしくは完全飽和シクロアルキル、部分的もしくは完全飽和複素環、アリールおよびヘテロアリールで置換されたカルボニル基を指す。例えばアシルには、(C1−C6)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t−ブチルアセチルなど)、(C3−C6)シクロアルキルカルボニル(例えばシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルなど)、複素環式カルボニル(例えばピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロ
フラニルカルボニルなど)、アロイル(例えばベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えばチオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロリル−2−カルボニル、1H−ピロリル−3−カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニルなど)のような基が含まれる。さらにまた、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールの部分は、上記の対応する定義で述べた基のいずれでもよい。“場合によって置換される”と表示された場合は、アシル基は置換されていないか、または場合によって“置換される”についての定義で下記に挙げた置換基の群からそれぞれ別個に選択される1または2個以上の置換基(典型的に1から3個の置換基)で置換されるか、またはアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリールの部分は好ましくは上記のように置換され、より好ましくは置換基リストに記載したようにそれぞれ置換していてもよい。
【0034】
“ハロ”または“ハロゲン”という用語は塩素、臭素、ヨードおよびフッ素を指す。
【0035】
“置換された”という用語は、当該技術分野で一般的な1または2個以上の置換基で置換されたことを特に想定し、容認する。しかしながら、前記置換基は、本発明化合物の薬理学的性状に悪影響をおよぼさないように、または本発明の医薬の使用を不利に妨げないように選択されるべきであることは当業者には一般的に理解されるところである。上記に定義した基のいずれに対しても適切な置換基には、(C1−C6)アルキル、 (C3−C7)シクロアルキル、(C2−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、アリール、ヘテロアリール、3から6員の複素環、ハロ(例えばクロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロ)、シアノ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、(C1−C6)アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アミノ、モノもしくはジ (C1−C6)アルキルアミノ、第四級アンモニウム塩、アミノ(C1−C6)アルコキシ、カルバモイル(すなわち、(C1−C6)アルキル−O−C(O)−NH−またはモノもしくはジ(C1−C3)アルキルアミノ−C(O)−O−)、(C1−C6)アルキルアミノカルボニル(モノもしくはジ(C1−C6)アルキルアミノ−C(O)−)、ヒドロキシ (C2−C6)アルキルアミノ、アミノ (C1−C6)アルキルチオ、ニトロ、オキソ、アシル、(C1−C6)アルキル−CO2−、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニル、チオ (C1−C6)アルキル−CO2−およびそれらの組合せが含まれる。置換された組合せの場合、例えば“置換されたアリール(C1−C6)アルキル”では、アリールまたはアルキル基のどちらかが、またアリールおよびアルキル基の両方が、それぞれ別個に選択された1または2個以上の置換基(パーハロ置換基の場合を除き典型的には1から3個の置換基)で置換されてもよい。炭素環式基または複素環式基で置換されたアリールもしくはヘテロアリールは縮合環(例えばインダニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリルなど)であってもよい。
【0036】
“溶媒和物”という用語は、式(I)または(IA)に示される化合物(そのプロドラッグおよび医薬的に許容できる塩を含む)と1または2個以上の溶媒分子との分子複合体を指す。そのような溶媒分子は製薬技術において一般的に使用されているものであり、服用者に対して無害であることが知られており、例えば水、エタノールなどである。“水和物”という用語は、前記溶媒分子が水である複合体を指す。
【0037】
“保護基”または“Pg”という用語は、化合物の他の官能基で反応させている間特定の基の官能性をブロックまたは保護するために一般的に用いられる置換基を指す。例えば、“アミノ保護基”は、アミノ基に結合した置換基であって、該化合物のアミノ官能性をブロックしまたは保護するものである。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、“ヒドロキシ保護基” は、ヒドロキシ官能性をブロックしまたは保護するヒドロキシ基の置換基を指す。
適切な保護基にはアセチルおよびシリルが含まれる。“カルボキシ保護基” は、カルボキシ官能性をブロックしまたは保護するカルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基には−CH2CH2SO2Ph、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチルなどが含まれる。保護基およびそれらの使用についての一般的な記述については例えば以下を参照されたい:T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991。
【0038】
“治療的に有効な量”という語句は、(i)本明細書に記載した特定の疾患、病状または異常を治療または予防するか、(ii)特定の疾患、病状または異常の1または2個以上の症状を減弱し、改善しまたは取り除くか、または(iii)前記特定の疾患、病状または異常の1または2個以上の発症を妨げるかまたは遅らせる、本発明の化合物の量を意味する。
【0039】
“動物”という用語は、ヒト(男性および女性)、愛玩動物(例えばイヌ、ネコおよびウマ)、食料源動物、動物園の動物、海洋動物、鳥類および他の同様な動物種を指す。“可食性動物”は食料源動物、例えばウシ、ブタ、ヒツジおよび家禽類を指す。
【0040】
“医薬的に許容できる”という語句は、その物質または組成物が、製剤を構成する他の成分、および/または前記によって治療される哺乳動物と、化学的におよび/または毒物学的に問題なく適合しなければならないことを示している。
【0041】
“治療すること”、“治療”または“治療する”という用語は、防止的(すなわち予防的)および緩解的治療の両方を含む。
【0042】
“本発明の化合物”という用語は(特段の規定がない限り)、式(I)、(II)、(III)および(IV)、それらのプロドラッグ、それらの化合物および/またはプロドラッグの医薬的に許容される塩、並びにそれらの化合物、塩および/またはプロドラッグの水和物または溶媒和物の他、全ての立体異性体(ジアステレオマーおよび鏡像体を含む)、互変異性体および放射能標識化合物を意味する。
【0043】
本発明は、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)および/またはアポリポタンパク質B(アポB)の分泌の阻害と連関する疾患の治療に有用な化合物およびその医薬製剤を提供する。
【0044】
本発明の化合物は、特に本明細書に含まれる記述を参考に化学技術分野で周知のプロセスに類似するプロセスを含む合成経路によって合成することができる。出発物質は一般的には産業上の供給元(例えばAldrich Chemicals, Milwaukee, WI)から入手可能であり、また当業者に周知の方法を用いて容易に製造される(例えば文献(Louis F. Fieser & Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wieley, New York (1967-1999 ed.)またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(付録を含む)(Beilsteinオンラインデータベースによりまた入手できる))に一般的に記載された方法によって製造できる)。
【0045】
説明のために下記に示した反応スキームは、本発明の化合物およびその他の重要な中間体を合成する可能な経路を提供する。個々の反応工程のさらに詳細な記述としては、下記の実施例の節を参照されたい。他の合成経路もまた本発明の化合物の合成に使用できることは当業者には理解されよう。特定の出発物質および反応試剤がスキームに示され下記で考察されているが、他の出発物質および反応試剤を容易に代用して多様な誘導体および/または反応条件を提供することができる。さらにまた、下記に記載した方法によって製造される化合物の多くは、本明細書の開示を考慮し当業者に周知の一般的な方法を用いてさらに改変することができる。
【0046】
本発明の化合物の製造では、中間体の離れた官能性(例えば一級アミンまたは二級アミン)の保護が必要であろう。そのような保護の必要性は、離れた官能性の性質および製造方法の反応条件にしたがって変化するであろう。適切なアミノ保護基(NH−Pg)には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。そのような保護の必要性は当業者には容易に決定できよう。保護基およびそれらの使用についての一般的な記述については以下を参照されたい:T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991。
【0047】
本発明の化合物は、米国特許出願10/177858(表題:Triamide-Substituted Heterocyclic Compounds、2002年6月20日出願、この文献は参照により本明細書に組み入れられる)に記載された類似の方法および出発物質を用いて製造できる。一般的には、本発明の化合物は、以下の一般式の構造(A、BおよびC)を有する化合物間にアミド結合を形成することによって製造される:
【化7】

【0048】
化合物A、BおよびCは市場で入手するか、または当業者に周知の方法を用いて容易に製造できる。例えば、好ましい式(A)の化合物(ここでXは−C(R1c)−であり、R1aは場合によって置換されたフェニルである)は市場で入手できる(例えば、2−ビフェニルカルボン酸、4'−メチル−2−ビフェニルカルボン酸および4'−トリフルオロメチル−2−ビフェニルカルボン酸)。さらにまた、多数のピリジル−フェニル(XがNであり、R1aがフェニルまたは置換されたフェニルである)、ビピリジル(Xが窒素であり、R1aはピリジルである)化合物もまた市場で、または市販物質の誘導によって容易に入手できる。式Bの好ましいアミン化合物は、それらの対応するニトロ置換化合物から容易に製造することができる。(前記ニトロ置換化合物は、例えば、p−ニトロニコチン酸、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェニル酢酸、6−ニトロピリジン−3−イル−酢酸、p−ニトロフェノキシ酢酸、6−ニトロピリジン−3−イルオキシ酢酸、p−ニトロ−フェニルスルファニル酢酸、6−ニトロピリジン−3−イルスルファニル酢酸およびそれらの誘導体である)。式Cの好ましい化合物(R5が場合によって置換されたフェニルであり、R6は−C(O)NR6a6bである)は市販のフェニルグリシン類から容易に製造できる。この反応の場合、カルバモイル部分−C(O)NR6a6bが、フェニルグリシンのカルボン酸基とアミンHNR6a6bとの間で形成される。
【0049】
下記のスキームIは本発明の化合物を製造する一つの手段を示している。式中R3、R1a、R1b、h、Y、X、Z、r、R5およびR6は上記で定義されたとおりであり、Pgは保護基である。
【化8】

【0050】
ニトロフェニルカルボン酸(1a)は、市場で入手するか(例えばp−ニトロニコチン酸、p−ニトロ安息香酸およびp−ニトロフェノキシ酢酸)、または当業者に周知の一般的方法を用いて市販の物質から容易に製造できる。カルボン酸基を保護した後、標準的な接触水素化法(例えばH2、Pd/C)を用いてニトロ基を還元し、対応するアミン化合物(1c)を製造することができる。芳香族酸クロリド(1d)は当技術分野で周知の物質および方法を用いて容易に製造できる。例えば、酸クロリド化合物(1d)(ここで、Xは−C(R1c)−であり、R1aは場合によって置換されたフェニルである)は、当業者に周知の方法(例えばオキザリルクロリドまたはスルホニルクロリドによる処理)を用いて、対応する市販のカルボン酸(例えば2−ビフェニルカルボン酸、4'−メチル−2−ビフェニルカルボン酸および4'トリフルオロメチル−2−ビフェニルカルボン酸)から容易に製造できる。続いて、前記酸クロリド(1d)をアミノ化合物(1c)と単純に反応させることによってアミド(1e)を生成する。カルボン酸保護基を標準的方法を用いて除去し、カルボン酸化合物(1f)を生成する。続いて、カルボン酸化合物(1f)を所望のアミンと反応させることにより最終的なアミド結合を形成させ、式(I)の化合物を製造することができる。
【0051】
また別には、アミド結合は異なる順序、例えば下記のスキームIIに概説するプロセスで形成することができる。
【化9】

【0052】
アミド結合は、一般的には上記のスキームIで述べた同じ一般的方法を用いて形成されるが、ただし式(2a)の化合物と式(2b)の化合物との間のアミド結合は最初に形成される。アミノ基の脱保護の後で、アミノ化合物(2d)を所望の活性化カルボン酸(2e)と縮合して第二のアミド結合を形成し、式(I)の化合物を生成する。このプロセスのさらに詳細な記載は下記の実施例の節で見出すことができる。
【0053】
当業者に公知の分離および精製に関する一般的な方法および/または技術を用いて、本発明の化合物およびそれに関連する種々の中間体を単離することができる。そのような技術は当業者に周知で、例えば全てのタイプのクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、一般的な吸着剤(例えばシリカゲル)を用いるカラムクロマトグラフィーおよび薄層クロマトグラフィー)、再結晶化、およびディファレンシャル抽出技術(液−液抽出技術)が含まれよう。
【0054】
本発明の化合物は、それ自体でまたは医薬的に許容される塩、溶媒和物および/または水和物として単離および使用できる。“塩”という用語は本発明の化合物の無機および有機塩を指す。これらの塩は化合物の最後の単離および精製の間にその場(in situ)で製造するか、または適切な有機または無機酸と化合物またはプロドラッグとを別々に反応させ、さらにそのようにして生成した塩を単離することによって製造することができる。代表的な塩には臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨー化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ヘキサフルオロリン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシレート)、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシレート)、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩、イソニコチン酸塩、サリチル酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ベゾエート、グルタミン酸塩、およびパモエート(すなわち1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が含まれる。これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)に基づくカチオン、並びに無毒なアンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むが、ただしこれらに限定されない)を含むことができる。例えば以下を参照されたい:Berge et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)。
【0055】
“プロドラッグ”という用語は、in vivoで変換されて式(I)または(II)の化合物を生成する化合物を意味する。変換は、種々のメカニズム、例えば血中での加水分解によって生じるであろう。プロドラッグの使用についての考察は以下で提供される:T.Higuchi and W. Stella, “Pro-drugs as Novel Delivery Systems", Vol.14 of the A.C.S. Symposium Series, およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987。
【0056】
結果として、本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグを含む医薬組成物、およびその投与により増殖性疾患または異常細胞増殖を治療する方法も包含する。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基を有する本発明の化合物はプロドラッグに変換できる。プロドラッグには、アミノ酸残基または2もしくは3個以上(例えば2、3または4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基とアミドまたはエステル結合を介して共有結合した化合物が含まれる。アミノ酸残基には、一般的には3文字記号で表される20の天然に存在するアミノ酸が含まれるが、ただしこれらに限定されない。アミノ酸残基にはまた、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンが含まれる。さらに別のタイプのプロドラッグもまた包含される。例えば、遊離カルボキシル基をアミドまたはアルキルエステルとして誘導することができる。遊離ヒドロキシ基は、文献(Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19:115)に概略されているように、ヘミスクシネート、ホスフェートエステル、ジメチルアミノアセテートおよびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む(ただしこれらに限定されない)基を用いて誘導体化することができる。ヒドロキシ基およびアミノ基のカルバメートプロドラッグもまた、カルボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホネートエステルおよびスルフェートエステルと同様に含まれる。(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルのようなヒドロキシ基の誘導体化(ここで、アシル基は、アルキルエステル(場合によってエーテル、アミンおよびカルボン酸官能性を含む(ただしこれらに限定されない)基で置換されている)であるか、またはアシル基は上記に述べたようにアミノ酸エステルである)もまた包含される。このタイプのプロドラッグは、J. Med. Chem.(39:10(1996))に記載されている。遊離アミンもまたアミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導することができる。これらのプロドラッグ部分の全てを、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能性を含む基(ただしこれらに限定されない)に取り込ませることができる。
【0057】
例えば、本発明の化合物がカルボン酸官能基を含んでいる場合、プロドラッグは以下の基で前記酸基の水素原子を置換することによって形成されたエステルを含むことができる(前記の基は、例えば(C1−C8)アルキル、(C2−C12)アルカノイルオキシメチル、4から9の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)エチル、3から6の炭素原子を有するアルコキシ
カルボニルオキシメチル、4から7の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C1−C2)アルキルアミノ(C2−C3)アルキル(例えばβ−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C1−C2)アルキル、N,N−ジ(C1−C2)アルキルカルバモイル−(C1−C2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−、またはモルホリノ(C2−C3)アルキルである)。
【0058】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、以下の基で前記アルコール基の水素原子を置換することによって生成することができる(前記の基は、例えば(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで各α−アミノアシル基はそれぞれ独立して天然に存在するL−アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)2、P(O)(O(C1−C6)アルキル)2またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール型のヒドロキシル基を除去することにより生じるラジカル)である)。
【0059】
本発明の化合物がアミン官能基を含む場合は、プロドラッグは、前記アミン基の水素原子を以下の基で置換して生成することができる(前記の基は、例えばR−カルボニル、RO−カルボニル、NRR'−カルボニル(ここでRおよびR'は各々別個に(C1−C10)アルキル、
(C3−C7)シクロアルキル、ベンジルであるか、またはR−カルボニルは天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシル−天然α−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY'(ここでY'はH、(C1−C6)アルキルまたはベンジルである)、−C(OY0)Y1(ここでY0は(C1−C4)アルキルであり、Y1は(C1−C6)アルキル、カルボキシ(C1−C6)アルキル、アミノ(C1−C4)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y2)Y3(ここでY2はHまたはメチルであり、Y3はモノ−N−もしくはジ−N,N−(C1−C6)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イル、またはピロリジン−1−イルである)である)。
【0060】
他の脂質低下剤(例えば下記に記載したもの、例えばHMG CoAレダクターゼ阻害剤、HMG
CoAシンターゼ阻害剤、ACAT阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤など)を用いるある種の併用療法では、本発明の化合物は、別の薬剤と加水分解できるように結合された本発明の化合物を含むプロドラッグをさらに含むことができる。例えばジエステル結合は特にこの目的に有用である。すなわちプロドラッグはA1−C(O)O−L1−O(O)C−A2の形態を有する(ここで、A1およびA2は2つの薬剤であり、L1はリンカー、例えばメチレンまたは他の(C1−C6)アルキレン基(単独であるか、またはフェニルまたはベンジル基をさらに含む)である)。2つの薬剤はともに本発明の化合物でもよいし、または1つが下記に記載したように例えば肥満の治療に有用な別の薬剤でもよい。例えば米国特許4,342,771(Penicillins in di-ester linkages with β-lactamase inhibitors)を参照されたい。したがって、利用可能なカルボン酸基を有する本発明の化合物は、本発明に包含される、本発明の化合物のコンビネーションプロドラッグを製造するための極めて便利な手段を提供する。典型的には胃腸管の酸性条件または胃腸管の細胞に局在する酵素は、前記プロドラッグの加水分解を惹起し両薬剤を遊離させる。
【0061】
本発明の化合物は不斉中心またはキラル中心を含み、したがって種々の立体異性体が存在する。本発明の化合物の全ての立体異性体およびその混合物(ラセミ混合物を含む)は本発明の一部を構成するものとする。さらにまた、本発明は全ての幾何異性体および位置
異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含む場合、cis−およびtrans−型の両方、並びにその混合物が同様に本発明の範囲内に包含される。
【0062】
ジアステレオマー混合物は、それらの物理的化学的性質の相違に基づいて当業者に周知の方法(例えばクロマトグラフィーおよび/または分別結晶)を用いて個々のジアステレオマーに分離することができる。鏡像異性体(エナンチオマー)は、鏡像異性体混合物を適切な光学活性な化合物(例えばキラル補助剤、例えばキラルアルコールまたはモーシャーの酸塩化物)と反応させてジアステレオマー混合物に変換し、このジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば加水分解する)か、またはラセミ形を再結晶化技術によってラセミ分割するか、光学活性な出発物質から合成するか、不斉合成するか、またはキラル固定相を用いてクロマトグラフ分離することによって分離することができる。さらにまた、本発明の化合物のいくつかはアトロプ異性体(例えば置換ビアリール)であり、本発明の一部をなすと考えられる。鏡像異性体はまた、キラルHPLCカラムの使用によって分離することができる。
【0063】
さらにまた、いくつかの化合物は多形を示す。本発明は任意のおよび全てのラセミ形、光学活性形、多形および立体異性形またはそれらの混合物(これらの各フォームおよび混合物は本明細書で考察される病状の治療に有用な特性を保有する)を包含するものと理解されるべきである。
【0064】
本発明の化合物は、非溶媒和物としても、医薬的に許容できる溶媒(例えば水、エタノールなど)との溶媒和物としても存在することができ、本発明は溶媒和物および非溶媒和物形の両方を包含する。
【0065】
本発明の化合物は種々の互変異性形で存在することができ、そのようなフォームの全てが本発明の範囲内に包含される。例えば、イミダゾール部分の互変異性体の全てが本発明に含まれる。さらにまた、例えば本発明の化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン形が本発明に含まれる。
【0066】
本発明はまた、1または2個以上の原子が通常自然界で見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数をもつ原子によって置換されていること以外は本明細書に列記した化合物と同一である同位体標識化合物をも包含する。本発明の化合物に取り込むことができる同位元素の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素の同位元素、例えばそれぞれ対応の2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125Iおよび36Clが含まれる。
【0067】
本発明のある種の同位体標識化合物(例えば3Hおよび14Cで標識されたもの)は組織分布アッセイの化合物および/または基質として有用である。トリチウム(すなわち3H)および炭素−14(すなわち14C)同位元素は、それらの調製の容易さおよび検出能のために特に好ましい。さらに、質量数のより大きい同位元素、例えばデューテリウム(すなわち2H)との置換は、より大きな代謝安定性(例えばin vivoにおける半減期の延長または要求用量の軽減)から生じるある種の治療上の利点が得られ、したがってある環境では好ましいであろう。ポジトロン放射同位元素、例えば15O、13N、11Cおよび18Fは、基質受容体の占有率を検査するポジトロン放射断層撮影法(PET)の研究において有用である。本発明の同位体標識化合物は、一般的には、同位体標識試薬で同位体非標識試薬を置換してスキームおよび/または下記の実施例で開示した方法と類似の方法を行うことによって調製することができる。
【0068】
本発明の化合物は、おそらくはMTP阻害によってアポB分泌を阻害または低下させるが、ただし他のメカニズムも関与している可能性がある。本発明の化合物は、アポB、血清コレステロールおよび/またはトリグリセリドレベルが上昇する疾患の状態または病状のいずれの治療にも有用である。したがって、本発明の化合物(その組成物を含む)は、アテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症および糖尿病を含む病状の治療に有用である。結果として、本発明の化合物(その組成物およびその際に用いられるプロセスを含む)を本明細書に記載した治療用途のための医薬の製造で用いることができる。したがって、本発明は、治療的に有効な量の本発明の化合物を医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体と組合せてなる、医薬組成物を提供する。
【0069】
本発明はまた、その必要がある動物におけるアポB分泌を阻害または減少させる方法に関する。この方法は、アポB分泌を阻害または低下させる量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明はさらに、アテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満(食欲抑制、体重低下および食物摂取の減少を含む)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症および糖尿病からなる群から選択される病状を治療する方法を提供する。前記方法は、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与することを含む。上記に記載した病状の好ましいサブグループは、アテローム性動脈硬化症、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂血症および糖尿病である。
【0070】
本発明の一つの特徴では、動物の肥満を治療する方法(食欲抑制、体重低下および食物摂取量の減少を含む)が提供される。この方法は、そのような治療の必要がある動物に治療的に有効な量の本発明の化合物を投与することを含み、この場合、前記化合物は腸管MTP選択的化合物である。腸管脂肪吸収阻害のための化合物のED25は、好ましくは血清トリグリセリド低下のための化合物のED25よりも少なくとも5倍低い。別の実施態様では、前記化合物は、血清トリグリセリド低下のための化合物のED25よりも少なくとも50倍低い腸管脂肪吸収阻害のED25を示す。
【0071】
本発明では、“選択性”という用語は、第二のアッセイでの同じ化合物の作用と比較して第一のアッセイでの化合物の作用が強いことを指す。本発明の上記の実施態様では、第一のアッセイは腸管の脂肪吸収を阻害する化合物の能力についてのアッセイであり、第二のアッセイは血清トリグリセリドを低下させる化合物の能力についてのアッセイである。
【0072】
好ましい実施態様では、腸管の脂肪吸収を阻害する化合物の能力は腸管の脂肪吸収アッセイでの化合物のED25によって測定される(前記アッセイでは化合物のより強い作用はED25に対するより低い絶対的な(数字で表される)値によって観察される)。別の好ましい実施態様では、血清トリグリセリドを低下させる化合物の能力は、血清トリグリセリドアッセイにおける化合物のED25によって測定される。繰り返せば、血清トリグリセリド低下アッセイにおける化合物のより強い作用は、前記ED25のより低い絶対的(数字で表される)値の観察をもたらす。各アッセイの実例は下記で提供されるが、腸管脂肪吸収阻害における化合物の有効性を測定することができる、または血清トリグリセリド低下における化合物の有効性を測定することができるいずれのアッセイも本発明に包含されるものと理解されるべきである。
【0073】
本発明の別の特徴は、糖尿病(耐糖能障害、インスリン抵抗性、インスリン依存型糖尿病(I型)およびインスリン非依存型糖尿病(NIDDMまたはII型)を含む)の治療に関する。さらにまた糖尿病の治療に含まれるものは、糖尿病の合併症、例えば神経障害、腎障害、網膜症、白内障である。糖尿病は、糖尿病(I型またはII型)、インスリン抵抗性、耐糖能障害、または糖尿病合併症のいずれか(例えば神経障害、腎障害、網膜症または白内障)を有する動物に治療的有効量の本発明の化合物を投与することによって治療することができる。さらに、糖尿病の治療に用いることができる他の薬剤とともに本発明の化合物を投与することにより糖尿病を治療することもまた意図される。好ましくは、前記糖尿
病はII型糖尿病である。
【0074】
本発明はまた、(1)MTP阻害により食餌性脂肪の吸収を軽減させることによって、(2)MTP阻害によりトリグリセリドを低下させることによって、または(3)MTP阻害により遊離脂肪酸の吸収を減少させることによって、治療を必要とする動物のアテローム性動脈硬化症;高トリグリセリド血症に続く膵炎;高血糖を治療する方法を提供する。該方法は、治療的有効量の本発明の化合物を前記動物に投与することを含む。
【0075】
上記で考察されたように、本発明の化合物は、MTP阻害剤によって調節される疾患、病状および/または異常の治療に有用であり、したがって本発明の別の実施態様は、治療的に有効な量の本発明の化合物および医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を含む医薬組成物である。また別には、本発明の化合物は、少なくとも1つの追加の医薬(好ましくは医薬組成物の形態で投与される)と組み合わせて投与することができる(本明細書では“併用”と称される)。本発明の化合物または併用薬は、任意の一般的な経口、直腸、経皮、非経口(例えば静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(例えば粉末、軟膏または液滴)または舌下、または点鼻の投薬形態として投与することができる。本発明の併用薬の場合、本発明の化合物および少なくとも1つの他の医薬を別々にまたは両方を含む医薬組成物として投与することができる。そのような投与は経口的であることが一般的には好ましい。しかしながら、治療対象者が嚥下することができないか、または、それ以外に経口投与することに障害があるかもしくは望ましくない場合は、非経口的または経皮的投与もまた適当であろう。
【0076】
併用薬を投与する場合は、そのような投与は時間的に連続しているか、または一般的に好ましい同時の方法を用いて同時に実施することができる。連続投与の場合、併用薬は任意の順序で投与することができる。そのような投与は経口的であることが一般的には好ましい。そのような投与は経口的でさらに同時であることが特に好ましい。併用薬が連続的に投与される場合は、本発明の化合物および追加の医薬の投与は同じ方法または別個の方法によって実施することができる。
【0077】
併用薬では、医薬組成物は典型的には、(a)治療的に有効な量の本発明の化合物;(b)治療的に有効な量の追加の医薬;および(c)医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を含む。適切な追加の医薬には、脂質低下剤、コレステロール吸収阻害剤、PPAR阻害剤、CETP阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現の阻害剤、ナイアシン、抗酸化剤、ACAT阻害剤、スクアレンシンセターゼ阻害剤、および抗肥満剤が含まれる。好ましい追加の医薬は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン(本明細書で用いられるように、“アトルバスタチン”という用語はアトルバスタチンのカルシウム塩を含む)、ロスバスタチンまたはリバスタチンから選択される。より好ましい追加の薬剤はアトルバスタチンである。
【0078】
追加の抗肥満薬を併用薬で用いるときは、前記抗肥満薬は好ましくは以下から成る群から選択される:カンナビノイド拮抗薬(例えばリモナバント)、MCR−4作動薬、コレシストキニン−A(CCK−A)作動薬、モノアミン再取り込み阻害剤(例えばシブトラミン)、交感神経様作用薬、β3アドレナリン受容体作動薬、ドーパミン作動薬、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c作動薬、メラニン凝集ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤(例えばテトラヒドロリプスタチン、すなわちオルリスタット)、食欲減退剤(例えばボンベシン作動薬)、ニューロペプチド−Y拮抗薬、甲状腺ホルモン様作用薬、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体作動薬または拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、繊毛様神経栄養因子(例えばAxokine(登録商標)、Regeneron Pharmaceuticals, Inc. (Tarrytown, NY)およびProcter &Gamble Company(Cincinnati, OH)から入手できる)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害剤、グレリン(ghrelin)受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬またはインバースアゴニスト、およびニューロメディンU受容体作動薬など。他の抗肥満薬(下記に示す好ましい薬剤を含む)も周知であるか、または本発明の開示を参照すれば当業者には直ちに理解されるであろう。
【0079】
本発明の併用薬、医薬組成物および方法で使用される代表的な抗肥満薬は、当業者に公知の方法を用いて製造できる、例えばシブトラミンは米国特許4,929,629号の記載にしたがって製造できる;ブロモクリプチンは米国特許3,752,814号および3,752,888号の記載にしたがって製造できる;フェンテミンは米国特許2,408,345号の記載にしたがって製造できる;フェンフルラミンおよびデキスフェンフルラミンは米国特許3,198,834号の記載にしたがって製造できる;さらにオルリスタットは米国特許5,274,143号、5,420,305号、5,540,917号および5,643,874号の記載にしたがって製造できる。上記に挙げた米国特許はいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
特に好ましいものは、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチンおよびプソイドエフェドリンから成る群から選択される抗肥満薬である。好ましくは、本発明の化合物および併用薬は運動と理にかなった食事と組み合わせて投与される。
【0081】
追加の抗肥満薬にはまた別のMTP/アポB阻害剤が含まれる。好ましいMTP/アポB阻害剤には以下が含まれる:(i)BMS−197636、また9−[4−[4−(2,3−ジヒドロ−1−オキソ−1H−イソインドール−2−イル)−1−ピペリジニル]ブチル]−N−プロピル−9H−フルオレン−9−カルボキシアミドとしても知られている;(ii)BMS−200150、また2−[1−(3,3−ジフェニルプロピル)−4−ピペリジニル]−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−オンとしても知られている;および(iii)BMS−201038、また9−[4−(4−[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ベンゾイルアミノ]ピペリジン−1−イル)ブチル]−N−2,2,2−トリフルオロエチル)−9H−フルオレン−9−カルボキシアミドとしても知られている;並びに医薬的に許容できる(i)、(ii)および(iii)の塩。別の実施態様では、抗肥満薬は、欧州特許出願0584446A2および0643057A1に開示された薬剤から選択される。後者の文献は下記式(Ob1)のある種の化合物を開示する。
【化10】

【0082】
これら化合物はMTPの阻害剤として有用であり、ここで式(Ob1)に挙げられている置換基はEP0643057A1に定義されている。別の実施態様では、抗肥満薬は欧州特許出願1099439A2に開示された薬剤から選択される。この特許出願は下記式(Ob2)のある種の化合物を開示する:
【0083】
【化11】

式(Ob2)のLはEP1099439A2に開示されたとおりである。
【0084】
EP1099439A2で開示された化合物のうちで好ましいものは、4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸−(2−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)−アミドおよび4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸−(2−(2−アセチルアミノエチル) −1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル)−アミドから成る群から選択される化合物である。
【0085】
本発明の化合物はまた、血漿コレステロールを低下させるように作用する、天然に存在する化合物と併用して投与することができる。そのような天然に存在する化合物は一般にヌートラシューティカル(栄養補助食品)と称され、例えばニンニク抽出物、フーディア(Hoodia)植物抽出物およびナイアシンが含まれる。
【0086】
糖尿病を治療するために用いることができる代表的な作用物質には以下が含まれる:インスリンおよびインスリン類似体(例えばLysProインスリン);GLP−1(7−37)(インスリノトロピン)およびGLP−1(7−36)−NH2;スルホニルウレア類および類似体:クロルプロパミド、グリベンクラミド、トルブタミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリピジド(Glypizide(登録商標))、グリメピリド、レパグリニド、メグリティニド;ビグアニド類;メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン;α2−拮抗薬およびイミダゾリン類:ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン;他のインスリン分泌促進薬:リノグリリド、A−4166;グリタゾン類:シグリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、トログリタゾン、ダルグリタゾン、BRL49653;脂肪酸酸化阻害剤:クロモキシル、エトモキシル;α−グルコシダーゼ阻害剤:アカルボース、ミグリトール、エミグリテート、ボグリボース、MDL−25,637、カミグリボース、MDL−73,945;β−作動薬:BRL35135、BRL37344、Ro16−8741、ICI D7114、CL316,243;ホスホジエステラーゼ阻害剤:L−386,398;脂質低下剤:ベンフルオレックス;抗肥満薬:フェンフルラミンおよびオルリスタット;バナデートおよびバナジウム複合体類(例えばNaglivan(登録商標))およびペルオキソバナジウム複合体類;アミリン拮抗薬;グルカゴン拮抗薬;糖新生阻害剤;ソマトスタチン類似体;抗脂肪分解剤:ニコチン酸、アシピモックス、WAG994;並びにグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、例えばWO96/39385およびWO96/39384に開示されたもの。さらにまた本発明の化合物との併用で意図されるものは、プラムリンチドアセテート(Symlin(登録商標))およびナテグリニドである。いずれの薬剤併用物も上記に記載したように投与することができる。
【0087】
具体的なコレステロール吸収阻害剤およびコレステロール生合成阻害剤が下記で詳細に記載されている。追加のコレステロール吸収阻害剤は当業者には公知で、例えばPCT WO94/00480に記載されている。
【0088】
いずれのHMG−COAレダクターゼ阻害剤も、本発明の併用療法での追加の薬剤として用いることができる。“HMG−COAレダクターゼ阻害剤”という用語は、酵素HMG−COAレダクターゼによって触媒されるヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aのメバロン酸への生体内変換を阻害する化合物を指す。そのような阻害は、標準的なアッセイ(例えばMethods of Enzymology, 71:455-509 (1981)およびその中に記載されている参考文献)にしたがって当業者には容易に決定できる。種々のこれらの化合物が下記に記載され、引用されている。米国特許4,231,938号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、アスペルギルス属の微生物の培養後に単離されたある種の化合物(例えばロバスタチン)を開示している。また、米国特許4,444,784号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、前述の化合物の合成誘導体(例えばシンバスタチン)を開示している。さらにまた、米国特許4,739,073号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ある種の置換インドール(例えばフルバスタチン)を開示している。さらにまた、米国特許4,346,227号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ML−236B誘導体、例えばプラバスタチンを開示している。さらにまた、EP491,226号はある種のピリジルジヒドロキシヘプテン酸、例えばリバスタチンを教示している。さらにまた、米国特許4,647,576号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ある種の6−[2−(置換ピロール−1−イル)アルキル]−ピラン−2−オン、例えばアトルバスタチンを開示している。他のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤も当業者には公知である。
【0089】
いずれのHMG−COAシンターゼ阻害剤も本発明の併用療法の第二の化合物として用いることができる。HMG−COAシンターゼ阻害剤という用語は、酵素HMG−COAシンターゼによって触媒される、アセチル−コエンザイムAおよびアセトアセチル−コエンザイムAからヒドロキシメチルグルタリル−コエンザイムAの生合成を阻害する化合物を指す。そのような阻害は、標準的なアッセイ(例えばMethods of Enzymology, 35:155-160 (1975) Methods of Enzymology 110:19-26 (1985) およびその中に記載されている参考文献)にしたがって当業者には容易に決定できる。種々のこれらの化合物が下記に記載され、引用されている。米国特許5,120,729号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ある種のベータ−ラクタム誘導体を開示している。米国特許5,064,856号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、微生物MF5253の培養によって製造されるある種のスピロ−ラクトン誘導体を開示している。米国特許4,847,271号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ある種のオキセタン化合物(例えば11−(3−ヒドロキシメチル−4−オキソ−2−オキセタニル)−3,5,7−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸誘導体)を開示している。他のHMG−CoAシンターゼ阻害剤も当業者には公知である。
【0090】
HMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現を低下させるいずれの化合物も、本発明の併用療法の第二の化合物として用いることができる。これらの薬剤は、DNAの転写をブロックするHMG−CoAレダクターゼ転写阻害剤またはHMG−CoAレダクターゼをコードするmRNAのタンパク質への翻訳を妨げる翻訳阻害剤である。
【0091】
そのような阻害剤は、転写または翻訳に直接影響を及ぼすか、または、コレステロール生合成カスケードにおいて1または2個以上の酵素によって前述の阻害特性を有する化合物に生体内変換されるか、もしくは前述の阻害活性を有するイソプレン代謝物の蓄積をもたらす。そのような調節は、標準的なアッセイ(Methods of Enzymology, 110:9-19 (1985))にしたがって当業者には容易に決定できる。いくつかの前記化合物が下記に記載され、引用されているが、他のHMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現阻害剤も当業者には公知である。米国特許5,041,432号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)は、ある種の15−置換ラノステロール誘導体を開示している。HMG−CoAレダクターゼの生合成を抑制する他の酸素添加ステロールもE.I. Mercer(Prog. Up. Res. 32:357-416 (1993))によって考察されている。
【0092】
CETP阻害剤としての活性を有するいずれの化合物も本発明の併用療法での追加の薬剤として機能することができる。CETP阻害剤という用語は、種々のコレステリルエステルおよびトリグリセルドの高密度リポタンパク質(HDL)から低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)へのコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の仲介転送を阻害する化合物を指す。種々のこれらの化合物が下記に記載され、引用されているが、他のCETP阻害剤も当業者には公知である。米国特許5,512,548号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)にはCETP阻害剤としての活性を有するある種のポリペプチド誘導体が開示されており、一方、ある種のCETP阻害性ロセノノラクトン誘導体およびリン酸含有コレステリルエステル類似体がそれぞれ以下の文献に開示されている:J. Antibiot. 49(8):815-816 (1996)およびBioorg. Med. Chem. Lett. 6:1951-1954 (1996)。
【0093】
いずれのACAT阻害剤も本発明の併用療法での追加の薬剤として機能することができる。ACAT阻害剤という用語は、酵素アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼによる食餌性コレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物を指す。そのような阻害は、標準的なアッセイ、例えばHeider et al.の方法(J. Lipid Res. 24:1127 (1983))にしたがって当業者には容易に決定できる。種々のこれらの化合物が下記に記載され、引用されているが、他のACAT阻害剤も当業者には公知である。
【0094】
米国特許5,510,379号(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)にはある種のカルボキシスルホネートが開示されているが、一方、WO96/26948およびWO96/10559はともにACAT阻害性活性を有する尿素誘導体が開示されている。
【0095】
スクアレンシンセターゼ阻害剤としての活性を有するいずれの化合物も本発明の併用療法での追加の薬剤として機能することができる。スクアレンシンセターゼ阻害剤という用語は、スクアレンを形成するためのファルネシルピロホスフェートの2つの分子の縮合(酵素スクアレンシンセターゼによって触媒される反応)を阻害する化合物を指す。そのような阻害は、標準的な方法にしたがって当業者には容易に決定できる(Methods of Enzymology, 15:393-454 (1969)およびMethods of Enzymology, 110:359-373 (1985)並びにそれらの中で引用された参考文献)。スクアレンシンセターゼ阻害剤の要旨は以下に編集されている(Curr. Op. Ther. Patents, 861-4 (1993))。欧州特許出願0567026A1は、スクアレンシンセターゼ阻害剤としてある種の4,1−ベンズオキサゼピン誘導体を開示し、さらに高コレステロール血症の治療でのそれらの使用および殺カビ剤としての使用を開示している。欧州特許出願0645378A1は、スクアレンシンセターゼ阻害剤としてある種の7員または8員の複素環を開示し、さらに高コレステロール血症並びに真菌感染症の治療および予防でのそれらの使用を開示している。欧州特許出願0645377A1は、高コレステロール血症または冠状動脈硬化症の治療に有用なスクアレンシンセターゼ阻害剤としてのある種のベンズオキサゼピンを開示している。欧州特許出願0611749A1は、動脈硬化の治療に有用なある種の置換アミノ酸誘導体を開示している。欧州特許出願0705607A2は、抗−高トリグリセリド血症薬剤として有用なある種の縮合7員または8員複素環式化合物を開示している。PCT公開公報WO96/09827は、ベンゾオキサゼピン誘導体およびベンゾチアゼピン誘導体を含むコレステロール吸収阻害剤とコレステロール生合成阻害剤のある種の併用薬を開示している。欧州特許出願0071725A1は、血漿コレステロールおよびトリグリセリド低下活性を有するある種の光学活性化合物(ベンズオキサゼピン誘導体を含む)の製造方法を開示している。
【0096】
追加の医薬の用量は多数の因子(治療される対象者の健康状態、所望される治療の程度、(もし実施されるとしたら)同時に為される治療の種類並びに治療の頻度および所望される作用の性質を含む)に左右される。一般的には、抗肥満薬の用量範囲は、各個体の体重1kg当たり、約0.001mgから約500mg/日、好ましくは各個体の体重1kg当たり、約0.01mgから約300mg/日、より好ましくは各個体の体重1kg当たり、約0.1mgから約100mg/日である。しかしながら、一般的な用量範囲には、治療対象者の年齢および体重、意図される投与経路、投与される個々の抗肥満薬などに応じてある程度の変動もまた要求される。個々の患者に対する用量範囲および最適用量の決定はまた、本発明の開示の利益を有する当業者の対応できる範囲内にある。
【0097】
典型的な製剤は、本発明の化合物および担体、希釈剤または賦形剤との混合によって調製することができる。適切な担体、希釈剤および賦形剤は当業者には周知であり、炭水化物、ロウ、水溶性および/または水に膨潤性のポリマー、親水性または疎水性物質、ゼラチン、油、溶媒、水などの物質が含まれる。使用される具体的な担体、希釈剤または賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段および目的に左右されるであろう。溶媒は一般的には、哺乳動物に投与するのが当業者に安全であると認識された溶媒(GRAS)を基準に選択される。一般的には、安全な溶媒は無毒な水性溶媒、例えば水および水に溶解性または混和性の他の無毒な溶媒である。適切な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG300)など、およびそれらの混合物が含まれる。製剤はまた1または2以上の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、香料、香味剤並びに薬剤(すなわち本発明の化合物またはその医薬組成物)にエレガントな外観を提供するためのまたは医薬品(すなわち薬剤)製造における補助のための他の公知の添加物を含むことができる。
【0098】
製剤は、通常の溶解および混合工程を用いて製造できる。例えば、原料の医薬物質(すなわち本発明の化合物または該化合物の安定化フォーム(例えばシクロデキストリン誘導体または他の複合体形成物質との複合体))を上記に記載した1または2以上の賦形剤の存在下で適切な溶媒に溶解させる。
【0099】
非経口注射に適した組成物は、医薬的に許容できる滅菌水溶液または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳液、および滅菌注射用溶液または分散液に再調製するための滅菌粉末を含む。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはベヒクルの例には水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、これらの適切な混合物、植物油(例えばオリーブ油)および注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が含まれる。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0100】
これらの組成物はまた、アジュバント(例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤)を含むことができる。組成物の微生物汚染の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などで達成することができる。さらにまた等張化剤、例えば砂糖、塩化ナトリウムなどを含めることが望まれうる。注射用医薬組成物のより長時間の吸収は、吸収を遅らせることができる薬剤(例えばモノ一ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって得ることができる。
【0101】
経口投与用の固形の剤形にはカプセル、錠剤、散剤および顆粒が含まれる。前記のような固形の剤形では、本発明の化合物または併用薬は少なくとも1つの不活性な一般的な医薬賦形剤(または担体)、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムまたは(a)充填剤または増量剤(例えばデンプン、ラクトース、シュクロース、マンニトール、ケイ酸など);(b)結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、シュクロース、アラビアゴムなど);(c)保湿剤(例えばグリセロールなど);(d)崩壊剤(例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウムなど);(e)溶解遅延剤(例えばパラフィンなど);(f)吸収促進剤(例えば第四級アンモニウム化合物など);(g)湿潤剤(例えばセチルアルコール、グリセロール一ステアリン酸);(h)吸着剤(例えばカオリン、ベントナイトなど);および/または(i)滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど)と混合される。カプセルおよび錠剤の場合には、剤形はまた緩衝剤を含むことができる。
【0102】
類似のタイプの固体組成物はまた、高分子量ポリエチレングリコールなどと同様に、ラクトースまたはミルクシュガーのような賦形剤を用いる軟質または硬質ゼラチンカプセルで充填剤としても用いることができる。
【0103】
錠剤、糖衣錠、カプセルおよび顆粒のような固体の剤形は、エンテリックコーティングやその他の周知技術などでコーティング、あるいは外皮を用いて製造できる。これらの剤形にはまた不透明化剤を含むことができ、さらにまた遅延される態様で本発明の化合物および/または追加の医薬を放出するような組成物であってもよい。押込型組成物に使用することができるものの例は、ポリマー物質およびロウである。薬剤はまた必要によっては上記に記載した賦形剤の1または2以上を有するマイクロカプセルの型態であってもよい。
【0104】
経口投与用の液体の剤形には医薬的に許容される乳液、溶液、分散液、シロップおよびエリキシルが含まれる。本発明の化合物または併用薬の他に、液体の剤形は、当技術分野で一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば水または他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ひまし油、ごま油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物など)を含むことができる。
【0105】
そのような不活性希釈剤の他に、前記組成物はまたアジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味剤、香味剤および香料を含むことができる。
【0106】
懸濁液は、本発明の化合物または併用薬の他に、さらに懸濁剤(例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびアラビアゴム、またはこれらの混合物などを含むことができる。
【0107】
直腸または膣投与用組成物は好ましくは坐薬を構成する。組成物は、適切な非刺激性の賦形剤または担体(例えばカカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ロウ(これらは通常の室温では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔では溶融し、それによって活性成分を放出する))と、本発明の化合物または併用薬を混合することによって製造できる。
【0108】
本発明の化合物および本発明の化合物と追加の医薬を含む併用薬の局所投与のための剤形は、軟膏剤、粉(末)剤、スプレー剤および吸入剤を構成することができる。該医薬は無菌状態下で、必要とされる医薬的に許容できる担体および任意の保存料、緩衝液または推進剤と混合される。眼科用製剤、眼軟膏、粉末および溶液もまた本発明の範囲内に包含される。
【0109】
本発明の化合物または併用薬は典型的には、薬物を容易に制御することができる投薬形態を提供するため、さらに、エレガントで、取り扱いが容易な製品を患者に提供するための医薬剤形に製剤化される。続いて、適用のために医薬組成物(または製剤)は、医薬の投与に用いられる方法に従って多様な態様で包装することができる。一般的には、分配用の物品は、適切な形態で医薬製剤をその中に収納した容器を含む。適切な容器は当業者には周知であり、例えばビン(プラスチックおよびガラス)、サシェ(小袋)、アンプル、プラスチックバッグ、金属型シリンダなどのようなものが含まれる。容器はまた誤使用防止の組立てを含み、包装物の内容に不注意で近づくことを防止することができる。さらにまた、容器上にはその内容物を説明するラベルが付されている。前記ラベルにはまた適切な警告を含めることができる。
【0110】
以下の節では、ヒト以外の動物に有用な代表的な製剤、用量などが記載されている。本発明の化合物または併用薬(すなわち少なくとも1つの追加の医薬を含む本発明の化合物)の投与は、経口的または非経口的に(例えば注射により)実施することができる。
【0111】
本発明の化合物(または併用薬)は有効な用量が受け入れられるように投与される。一般的には、経口的に動物に投与される1日の用量は、約0.01から約1000mg/kg体重、好ましくは約0.01から約300mg/kg体重である。
【0112】
通常は、本発明の化合物(または併用薬)は、毎日の水補給により治療的用量の化合物が摂取されるように飲用水に含ませることができる。化合物は好ましくは液体または水溶性濃縮物の形態(例えば水溶性塩の水溶液)で直接飲用水に計り入れることができる。
【0113】
便利には、本発明の化合物(または併用薬)はまた、飼料としてまたは動物用の飼料サプリメント(供給飼料)(プレミックスまたは濃厚飼料とも称される)として飼料に直接添加することができる。担体に包含される前記化合物のプレミックスまたは濃厚飼料は、より一般的には飼料に前記医薬を含ませるために用いられる。適切な担体は所望に応じて液体または固体で、例えば水、種々のミール類、例えばアルファルファミール、ダイズミール、綿実油ミール、亜麻仁油ミール、トウモロコシ穂軸およびトウモロコシのミール、糖蜜、尿素、骨粉および鉱物ミックス(例えば家禽の飼料で一般的に用いられるもの)である。特に有効な担体は対応する動物の飼料そのもの、すなわち、そのような飼料の小部分である。これらの担体は、このプレミックスは混和された最終的な飼料に本発明の化合物が均一に分布するのを促進する。好ましくは、本発明化合物はこのプレミックス中に、続いて飼料に十分に混和される。これに関しては、化合物を適切な油状ビヒクル(例えばダイズ油、トウモロコシ油、綿実油など)または揮発性有機溶媒に分散または溶解し、続いて担体と混和することができる。所望レベルの化合物を得るために適切な割合のプレミックスと飼料を混和することによって最終飼料中の化合物量を調節することができるので、濃縮物中の化合物の割合は広く変動させることができることは理解されよう。
【0114】
飼料製造業者は、上記に記載したようにタンパク質性担体(例えばダイズ油ミールおよび他のミール)を用いて高力価の濃厚飼料を混和し、濃厚サプリメント(供給飼料)を製造することができる。これらは動物に飼料として直接与えるために適している。そういった場合には、動物に通常の食餌を摂取させることができる。また別には、そのような濃厚サプリメントは飼料に直接添加して、栄養的にバランスのとれた、治療的に有効量の本発明の化合物を含む完成飼料を製造することができる。前記混合物は、標準的な方法(例えばツィンシェルブレンダー)を用いて十分に混和され均質性が担保される。
【0115】
サプリメントが飼料のトップドレッシングとして用いられる場合、前記の標準的な方法はまたトップドレッシング適用飼料の上部全体における化合物の均質な分布の担保に同様に役立つであろう。
【0116】
脂肪分の少ない肉の蓄積を増し、さらに低脂肪肉の脂肪の割合を改善するために有効な飲用水および飼料は、一般的に、飼料または水中に本発明の化合物を約10-3から約500ppmで供給するために十分な量で前記化合物を混合することによって製造される。
【0117】
好ましいブタ、ウシ、ヒツジおよびヤギの薬用飼料は、一般的には、飼料1トン当たり約1から約400グラムの本発明の化合物を含み、これら動物に最適な量は通常約50から約300g/トン飼料であろう。
【0118】
好ましい家禽および家庭用愛玩動物飼料は、飼料1トン当たり通常約1から約400g、好ましくは約10から約400gの本発明の化合物(または併用薬)を含む。
【0119】
動物の非経口投与のためには、本発明の化合物(または併用薬)は、ペーストまたはペレットの形態で製造され、通常は、脂肪の少ない肉の蓄積増加および低脂肪肉の脂肪の割合の改善が望まれる動物の頭または耳の皮下に、埋込剤として投与することができる。
【0120】
一般的には、非経口投与は、1日当たり約0.01から約20mg/kg体重の薬物を動物に供給するために十分な量の本発明の化合物(または併用薬)の注射を含む。家禽、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギおよび家庭用愛玩動物に好ましい用量は、薬物が1日当たり約0.05から約10mg/kg体重の範囲である。
【0121】
ペースト製剤は、医薬的に許容できる油(例えばピーナツ油、ゴマ油、トウモロコシ油などに薬物を分散することによって製造できる。
【0122】
有効量の本発明の化合物、医薬組成物または併用薬を含むペレット(埋込錠)は、希釈剤(例えばカーボワックス、カルナバロウなど)と本発明の化合物または併用薬を混合することによって製造でき、さらに滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム)を添加してペレット製造工程を改善することができる。
【0123】
もちろんのこと、2つ以上のペレットを動物に投与して、所望される脂肪の少ない肉の蓄積増加および低脂肪肉の脂肪の割合の改善を与える所望の用量レベルを達成することができることは理解されよう。さらにまた、埋込剤は動物の処置期間中に定期的に埋め込みを実施して、動物の体内で適切な医薬レベルを維持することができる。
【0124】
本発明はいくつかの有利な獣医学的な特徴を有する。ペット動物を痩せさせることおよび/または脂肪を落とすことを所望するペットの所有者または獣医師にとって、本発明はそれを達成する手段を提供する。養鶏業者および養豚業者は、本発明の方法を利用することによって食肉産業のより高い販売価格で売れる脂肪分のより少ない動物が得られる。
【0125】
〔実施例〕
本発明の実施態様は以下の実施例によって説明される。しかしながら、他の変型もまた本発明の開示から当業者には明白であるので、本発明の実施態様はこれら特定の実施例に限定されないことは理解されよう。
【0126】
特段の指摘がなければ、出発物質は一般的には市場の供給元(例えばAldrich Chemicals Co., Milwaukee, WI.; Lancaster Synthesis, Inc., Windham, NH; Acros Organics, Fairlawn, NJ; Maybridge Chemical Company, Ltd., Cornwall, England; Tyger Scientific, Princeton, NJ; AstraZeneca Pharmaceuticals, London, England)から入手できる。
【0127】
一般的な実験方法
NMRスペクトルは、ヴァリアンユニティ(Varian Unity(登録商標))400または500(Varian Inc.,(Palo Alto, CA)から入手可能)により室温で、それぞれ400および500MHz 1Hで記録された。ケミカルシフトは内部参照としての残留溶媒に対する百万分率(δ)で表される。ピークの形状は以下のように示される:S、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;br s、広い一重項;v br s、非常に広い一重項;br m、広い多重項;2s、2つの一重項。いくつかの事例では、ただ1つの代表的な1H NMRピークが示される。
【0128】
質量スペクトルは、陽圧および陰圧化学イオン化(APcI)走査モードを用いてダイレクトフロー分析によって記録された。Gilson215液体操作系を搭載したWaters APcI/MSモデルZMD質量分析計を用いて実験を実施した。質量分析はまた、クロマトグラフ分離用のRP−HPLCグラディエント法によっても得られた。分子量決定は陽性および陰性エレクトロスプレーイオン化(ESI)走査モードで記録した。Gilson215液体操作系およびHP1100DADを搭載したWaters/Micromass ES/MSモデルZMDまたはLCZ質量分析計を用いて実験を実施した。
【0129】
塩素および臭素含有イオンの強度が示される場合は、予想強度比が観察され(おおよそ35Cl/37Cl含有イオンについては3:1および79Br/81Br含有イオンについては1:1)、より小さい質量イオンのみが示される。MSピークは全ての実験について報告される。
【0130】
旋光度はパーキンエルマー(PerkinElmer(登録商標))241ポラリメーター(PerkinElmer Inc.(Wellesley, MA)から入手可能)によりナトリウムD線(λ=589nm)を指示の温度で用いて決定し、以下の[α]Dtemp、濃度(c=g/100mL)、および溶媒で示される。
【0131】
カラムクロマトグラフィーは、ガラスカラムまたはBiotage(登録商標)カラム(ISC, Inc., Shelton, CT)中でベーカー(Baker(登録商標))シリカゲル(40μm;J.T. Baker,
Phillipsburg, NJ)またはシリカゲル50(EM Sciences(登録商標)(Gibbstown, NJ))を用い、低圧窒素下で実施した。ラジアル・クロマトグラフィーはクロマトロロン(Chromatotron(登録商標))(Harrison Research)を用いて実施した。
【0132】
実施例1は、qが1であり、−(Z)r−が結合である(すなわちr=0)本発明の化合物の製造を示す。
【実施例1】
【0133】
(S)−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸4−[(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバモイル]−ベンジルアミド(1A−1)の製造:
【化12】

【0134】
中間体4'−{[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−安息香酸メチルエステル(I−1a)の製造:
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニルクロリド(0.5g、1.76mmol)および4−アミノメチル−安息香酸メチルエステル(0.29g、1.76mmol)をTHF(30mL)に溶解した。ピリジン(0.21g、2.64mmol)を上記混合物に加え、反応混合物を60℃で48時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、残留物をEtOAc(100mL)に溶解した。有機物をNaHCO3(飽和、100mL)で洗浄した。水相をEtOAc(30mL×3)で抽出した。有機層を合一し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をイソプロピルエーテル/MeOHから再結晶化させ、表記の化合物を得た(0.4184g、57%)。
【0135】
中間体4'−{[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−安息香酸(I−1b)の製造:
4'−{[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−安息香酸メチルエステル(I−1a)(8.1g、19.6mmol)をMeOH/水(220mL、10/1)に加えた。水酸化リチウム一水和物(2.47g、58.8mmol)を上記の混合物に加えた。前記混合物を加熱し、一晩還流させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水(500mL)に溶解した。溶液を1NのHClでpH2に酸性化した。固体をろ過によって採集し、真空下で乾燥させた(7.94g)。
【0136】
中間体(S)(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(I−1c)の製造:
(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニル−酢酸(I−2b)(1.00g、4mmol)をジクロロメタン(DCM)(15mL)に溶解した。ベンジルアミン(0.428g、4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.65g、5mmol)を上記混合物に加えた。混合物を室温で数分間攪拌した。ブロモ−トリスピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBroP)(2.10g、4.5mmol)を上記の溶液に一度に加え、反応混合物を一晩攪拌した。前記反応混合物をジクロロメタン(150mL)で希釈し、NaHCO3(飽和、50mL×2)で洗浄した。有機層を集め乾燥させた(Na2SO4)。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物を提供した(0.85g、62%)。
【0137】
(S)2−アミノ−N−ベンジル−2−フェニル−アセトアミド塩酸塩(I−1d)の製造:
(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバミン酸−tert−ブチルエステル(I−1c)(0.85g、2.50mmol)をHCl/ジオキサン(10mL、4.0M)に溶解した。混合物を室温で一晩攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、所望の生成物が定量的収量で得られた。
【0138】
(S)−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸4−[(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバモイル]−ベンジルアミド(1A−1)の製造:
4'−{[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−メチル}−安息香酸(I−1b)(0.125g、0.31mmol)およびPyBroP(0.146g、0.31mmol)をDCM(3mL)で一緒にした。2−アミノ−2−フェニル−1−ピペリジン−1−イル−エタノン塩酸塩(0.087g、0.31mmol)およびDIEA(1IL)を上記の混合物に加えた。混合物を一晩攪拌した。沈殿をろ過し、DCMで洗浄し、所望の生成物を得た(121mg)。MS(MH)+:622.3。
【0139】
下記の表1の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物1A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で、製造した。ほとんどの場合、最終生成物は分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製した。
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
実施例2は、qが0であり、−(Z)r−が結合である(すなわちr=0)本発明の化合物の製造を示す。
【実施例2】
【0143】
(S)N−(フェニル−プロピルカルバモイル−メチル)−6−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ニコチンアミド(2A−1)の製造:
【化13】

【0144】
中間体6−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ニコチン酸メチルエステル(I−2a)の製造:
6−アミノ−ニコチン酸メチルエステル(9.13g、60mmol)をDCM(200mL)に分散させた。4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニルクロリド(17.6g、62mmol)を10分かけて滴下して加えた。続いて混合物を室温で一晩攪拌した。NaHCO3の飽和溶液(200mL)を反応混合物に加え、混合物を室温で20分攪拌した。水層を分離し、DCM(150mL)で抽出した。有機層を合一し、乾燥した(Na2SO4)。粗生成物をEtOHで再結晶化して所望の生成物12gを得た。
【0145】
中間体6−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ニコチン酸(I−2b)の製造:
中間体(I−2b)は、上記実施例1の中間体I−1bの製造に用いられた方法と類似の方法によって製造した。
【0146】
中間体2−アミノ−2−フェニル−N−プロピルアセトアミド塩酸塩(I−2c)の製造:
中間体(I−2c)は、上記実施例1の中間体I−1cおよびI−1dの製造に用いられた方法と類似の方法によって製造した。
【0147】
(S)N−(フェニル−プロピルカルバモイル−メチル)−6−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ニコチンアミド(2A−1)の製造:
化合物(2A−1)は、上記実施例1の化合物1A−1の製造に用いられた方法と類似の方法を用いて製造した。MS(MH)+:561.3
【0148】
下記の表2の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物2A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で、製造した。ほとんどの場合、最終生成物は分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製した。
【0149】
【表3】

【0150】
【表4】

【0151】
実施例3は、Zが−SCH2−であり、rが1である本発明の化合物の製造を示す。
【実施例3】
【0152】
(S)4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(4−{[(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバモイル]−メチルスルファニル}−フェニル)−アミド(3A−1)の製造:
【化14】

【0153】
中間体{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェニルスルファニル}−酢酸メチルエステル(I−3a)の製造:
中間体(I−3a)は、上記実施例1の中間体I−1aの製造に用いられた方法と類似の方法によって製造した。
【0154】
中間体{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェニルスルファニル}−酢酸(I−3b)の製造:
中間体(I−3b)は、上記実施例1の中間体I−1bの製造に用いられた方法と類似の方法によって製造した。
【0155】
(S)4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(4−{[(ベンジルカルバモイル−フェニル−メチル)−カルバモイル]−メチルスルファニル}−フェニル)−アミド(3A−1)の製造:
化合物(3A−1)は、上記実施例1の化合物1A−1の製造に用いられた方法と類似の方法を用いて製造した。MS(MH)+:654.4
【0156】
下記の表3の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物3A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。ほとんどの場合、最終生成物は分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製した。
【0157】
【表5】

【0158】
実施例4は、Zが−OCH2−であり、rが1である本発明の化合物の製造を示す。
【実施例4】
【0159】
(S)4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[4−({[(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−カルバモイル}−メトキシ)−フェニル)−アミド(
4A−1)の製造:
【化15】

【0160】
中間体(4−ニトロ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(I−4a)の製造:
(4−ニトロ−フェノキシ)−酢酸(39.43g、200mmol)をHClガス(200mL)で飽和させたMeOHに溶解し、反応溶液を室温で1時間攪拌し、生成物を沈殿させた。ろ過によって固体を集めた。生成物をヘキサンで洗浄し、真空下で一晩乾燥させて34gの表記化合物を得た。
【0161】
中間体(4−アミノ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(I−4b)の製造:
(4−ニトロ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(I−4a)(33g、156.3mmol)をTHF(500mL)に溶解し、続いて10%Pd/C(5g)を添加した。混合物を50psiで3時間水素添加した。反応混合物をセライトでろ過し、溶媒を真空下で除去して29gの表記化合物を得た。
【0162】
中間体{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェノキシ}−酢酸メチルエステル(I−4c)の製造:
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(26.6g、100mmol)をCH2CH2(500mL)に溶解し、続いてオキザリルクロリド(10.9mL、75mmol)を攪拌状態下で添加した。続いてジメチルホルムアミド(DMF)(0.5mL)を添加し、攪拌を1時間継続した。溶媒を真空下で除去し、残留物を高真空下で乾燥させた。続いて残留物および(4−アミノ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル(I−4b)(19.9g、110mmol)をCH2Cl2(500mL)に溶解し、続いてピリジン(16.2mL)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物をEtOAc(1000mL)に溶解した。続いてこれを、飽和NaHCO3(2×100mL)、水(100mL)、1NのHCl(3×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。MgSO4で乾燥させた後、溶媒を真空下で除去し粗生成物を得た。これをEtOHから再結晶化させることにより22gの表記化合物を得た。
【0163】
中間体{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェノキシ}−酢酸(I−4d)の製造:
{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェノキシ}−酢酸メチルエステル(I−4c)(21.5g、50mmol)をMeOH(350mL)に溶解した。攪拌状態下で、LiOH(3.59g)と水(35mL)の溶液を添加し、攪拌を室温で30分継続し、白色固体が沈殿した。固体をろ過により集め、生成物を真空下で乾燥させて18gの表記化合物を得た。
【0164】
(S)(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[4−({(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−カルバモイル}−メトキシ)−フェニル]−アミド(4A−1)の製造:
{4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−フェノキシ}−酢酸(I−4d)(114mg、0.275mmol)、(S)−2−アミノ−N−ベンジル−N−メチル−2−フェニル−アセトアミド(1.1当量)およびPyBrop(1当量)をメチレンクロリド(3mL)に溶解し、得られた反応混合物を室温で攪拌した。続いてジイソプロピルエチルアミン(2.3当量)を加え、攪拌を2時間継続した。生成物を分取用TLCプレートで3:2のEtOAc/ヘキサンで溶出させて精製し、表記の化合物132mgを得た:MS(MH)+ 652.2;およびHPLC保持時間=16.753。
【0165】
下記の表4の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物4A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。質量分析データの他に、表4に挙げた各化合物についてHPLC保持時間もまた記録した。
【0166】
【表6】

【0167】
【表7】

【0168】
実施例5は、R2およびR3が一緒になって部分的に飽和された複素環式環を形成する本発明の化合物の製造を示す。
【実施例5】
【0169】
(S)1−(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸[(エチル−プロピル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−アミド(5A−1)の製造:
【化15】

【0170】
中間体2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸メチルエステル(I−5a)の製造:
中間体(I−5a)は、欧州特許出願EP476935A1に記載された製法にしたがって製造した。
【0171】
中間体1−(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸メチルエステル(I−5b)の製造:
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(4.51g、16.9mmol)および2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸メチルエステル(I−5a)(3.0g、16.9mmol)をDCM(50mL)に溶解した。PyBroP(8.4g、18mmol)およびHunigの塩基(2.58g、20mmol)を上記混合物に加え、反応混合物を一晩攪拌した。PyBroP(4g)を前記反応混合物に添加し、さらに一晩攪拌した。反応混合物をDCM(200mL)で希釈し、飽和NaHCO3(3×100mL)、HCl(1N、2×150mL)の溶液で洗浄した。有機層を集め、乾燥させた(Na2SO4)。溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の生成物3.5gを得た。
【0172】
中間体1−(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸(I−5c)の製造:
中間体(I−5c)は、上記実施例1の中間体(I−1b)の製造に使用された方法と類似の方法にしたがって製造した。
【0173】
(S) 1−(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−カルボン酸[(エチル−プロピル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−アミド(5A−1)の製造:
化合物(5A−1)は、上記実施例1の化合物(1A−1)の製造に用いられた方法と類似の方法を用いて製造した。
【0174】
下記の表5の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物5A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。ほとんどの場合、最終生成物は分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製した。
【0175】
【表8】

【0176】
【表9】

【0177】
実施例6は、Zが−CH2−であり、rが1である本発明の化合物の製造を示す。
【実施例6】
【0178】
下記の表6の化合物は、市場で入手するか(例えばp−ニトロフェニル酢酸)、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物1A−1から5A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。ほとんどの場合、最終生成物は分取用薄層クロマトグラフィー(PTLC)で精製した。
【0179】
【表10】

【0180】
実施例7は、Wが窒素である式(III)の化合物の製造を示す。
【実施例7】
【0181】
(S)4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[6−({[(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−カルバモイル}−メトキシ)−ピリジン−3−イル]−アミド(7A−1)の製造:
【化17】

【0182】
中間体(5−ニトロ−ピリジン−2−イルオキシ)−酢酸メチルエステル(I−7a)の製造:
DME(100mL)中のNaHの懸濁液(鉱物油に60%、6.3g、158mmol)にエチルグリコレート(14.9mL)を0℃で10分かけて加え、反応混合物を室温で30分攪拌した。2−クロロ−5−ニトロ−ピリジン(10g、63.1mmol)をゆっくりと添加し、生じた赤色の懸濁液を室温で3時間攪拌した。続いて、反応混合物を真空下で濃縮し、酸塩化物を水(150mL)とクロロホルム(150mL)で分配した。酢酸(3.2mL)を添加してpHを約5に調整し、有機層を分離した。水層をクロロホルム(2×150mL)で再抽出し、有機層を合一し、飽和NaCl溶液(200mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ真空下で濃縮した。粗生成物をイソプロピルエーテルおよびイソオクタンから再結晶化して精製し、6.07gの表記の化合物を得た。
【0183】
中間体(5−アミノ−ピリジン−2−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(I−7b)の製造:
中間体(I−7a)(1.42g、6.28mmol)をEtOH(150mL)に溶解し、続いてPd/C(10%、0.2g)を添加し、反応混合物を室温でfpr1.5時間30psiで水素添加した。セライトによりろ過して触媒を取り除き、続いて溶媒を真空中で除去して1.1gの表記の化合物を得た。
【0184】
中間体{5−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ピリジン−2−イルオキシ}−酢酸エチルエステル(I−7c)の製造:
実施例4の中間体(I−4c)を製造するための上記に記載した方法と類似の方法を用いて酸塩化物を製造した。続いて、酸塩化物(3.2g、11.3mmol)および(5−アミノ−ピリジン−2−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(2.2g、11.2mmol)(I−7b)をCH2Cl2(100mL)に溶解し、その後ピリジン(1.8mL、22.3mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をクロロホルム(200mL)で希釈し、有機層を飽和NaH2PO4(pH4、3×100mL)およびブライン(150mL)で洗浄した。MgSO4で乾燥させた後、溶媒を真空下で除去し、粗生成物を得て、これをイソプロピルエーテルとともにこねた。固体をろ過して集め、3.82gの表記の化合物を得た。
【0185】
中間体{5−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ピリジン−2−イルオキシ}−酢酸(I−7d)の製造:
実施例4の中間体(I−4d)を製造するための上記に記載した方法と類似の方法を用いて中間体(I−7d)を製造したが、ただし{5−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ピリジン−2−イルオキシ}−酢酸エチルエステル(3.38g、7.61mmol)を用いた。表記の化合物が定量的な収量で得られた。
【0186】
(S)4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[6−({[(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−カルバモイル}−メトキシ)−ピリジン−3−イル]−アミド(7A−1)の製造:
{5−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−ピリジン−2−イルオキシ}−酢酸(I−7d)(45.6mg、0.110mmol)、(S)2−アミノ−N−ベンジル−N−メチル−2−フェニル−アセトアミド塩酸塩(35.8mg、0.123mmol)およびPyBroP(73.3mg、0.153mmol)をメチレンクロリド(1mL)に溶解し、生じた反応混合物を室温で攪拌した。続いてジイソプロピルアミン(0.063ml、0.362mmol)を加え、3時間攪拌を維持する。生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより4:1のEtOAc/ヘキサンで溶出させて精製し、65.2mgの表記の化合物を得た。MW(計算値)=652.679;MS(MH)+=653.2:HPLC保持時間=15.773。
【0187】
下記の表7の化合物は、市場で入手するか(例えばp−ニトロフェニル酢酸)、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物(7A−1)の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。質量分析データの他に、表7に挙げた各化合物についてHPLC保持時間もまた記録した。
【0188】
【表11】

【0189】
【表12】

【0190】
【表13】

【0191】
実施例8は、式(IV)の化合物の製造を示す。
【実施例8】
【0192】
(S)1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸[(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−アミド(8A−1)の製造:
【化18】

【0193】
中間体1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(I−8a)の製造:
4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸(13.3g、50mmol)をCH2Cl2(200mL)に溶解し、続いてオキザリルクロリド(6.54mL、75mmol)を攪拌状態下で添加した。続いてDMF(0.5mL)を添加し、攪拌を1時間継続した。溶媒を真空下で除去し、残留物を高真空下で乾燥させた。続いて酸塩化物および4−アミノ−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(9.53g、50mmol)をCH2Cl2(250mL)に溶解し、その後ピリジン(10.1mL)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をCH2Cl2(500mL)で希釈し、1NのHCl溶液(2×300mL)、0.5NのNaOH溶液(2×300mL)、ブライン(500mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去し、粗生成物を得た。これをEtOHから再結晶化させて13.8gの表記化合物を得た。
【0194】
中間体1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸(I−8b)の製造:
1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(I−8a)(13.3g、33mmol)をMeOH(300mL)に溶解し、LiOH(2.4g、99mmol)と水(20mL)との溶液を添加した。反応混合物を先ず初めに室温で2.5日間攪拌し、続いて6時間加熱還流した。MeOHを真空下で除去し、2NのNaOH溶液(250mL)およびEtOAc(500mL)を添加した。有機層を除去し、水層を5NのHCl溶液を用いてpH2から3に酸性化した。生成物をEtOAc(2×500mL)で抽出し、合一した有機層をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で溶媒を除去して粗生成物を得た。これをEtOAc/イソオクタンから再結晶化して精製し、10gの表記化合物を得た。
【0195】
1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸[(ベンジル−メチル−カルバモイル)−フェニル−メチル]−アミド(8A−1)の製造:
1−メチル−4−[(4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−ピロール−2−カルボン酸(I−8b)(116mg、0.300mmol)、2−アミノ−N−ベンジル−N−メチル−2−フェニル−アセトアミド塩酸塩(1.1当量)およびPyBrop(1当量)をメチレンクロリド(3mL)に溶解し、得られた反応混合物を室温で攪拌した。続いてジイソプロピルエチルアミン(2.3当量)を加え、攪拌を2時間継続した。生成物を分取用TLCプレートで2:1のEtOAc/ヘキサンで溶出させて精製し、91mgの表記の化合物を得た。MW(
計算値)=624.6689;MS(MH)+=652.2。
【0196】
下記の表8の化合物は、市場で入手するか、当業者に周知の調製物を用いて製造するか、または他の中間体について上記で述べた経路と類似の方法で製造した適切な出発物質を用いて、化合物8A−1の合成のための上記で述べた方法と類似の方法で製造した。質量分析データの他に、表8に挙げた各化合物についてHPLC保持時間もまた記録した。
【0197】
【表14】

【0198】
【表15】

【0199】
薬理試験
本発明の実施に際して本発明の化合物の有用性は下記に記載するプロトコルの少なくとも1つにおける活性によって証明することができる。
【0200】
脂肪吸収の阻害:
到着時に体重が18から20グラムであった健常な雌のCF1マウス(Charles River)を被験対象として用いる。マウスを標準的なケージに10匹のグループで収容し、試験前に1週間環境に馴らす。マウスは試験前に別々の処置室で一晩絶食させる。各処置群は典型的には5匹のマウスから成る。
【0201】
被験化合物は好ましくはガラスのバイアルに粉末として入れる。経口胃管によって投与される投薬溶液(0.10mL/25g体重)は、ミグリオール812(Miglyol 812)(20%)、クレマホア(Cremaphor)(5%)、水(75%)から成っている。適切な容量のミグリオールを先ず初めに被験化合物に加え、バイアルをボルテックスミキサーでほぼ1分攪拌する。次に、適切な容量のクレマホアを加え、バイアルを先のように再びボルテックスミキサーで攪拌する。続いて適切な容量の水を加え、ボルテックスミキサーによる攪拌および簡単な超音波処理によって乳濁液を作成する。
【0202】
ハムスター液体飼料(Bioserve F0739)(投薬容量0.5mL/25g体重)は、(必要な10mL毎に対して)2.5gの液体飼料粉末、10mLの水および5マイクロキューリーのグリセロール−3H−トリオレエート(Amersham TRA191)を実験室用ブレンダーに加えて調製する。続いて混合物を高速でほぼ1分間混和する。前記液体飼料は使用まで4℃で保存する。
【0203】
サンプル試験管の重さを量る(ファルコン(Falcon)15mLポリプロピレン円錐形)。各試験管に3mLの2.5NのKOHを加える。
【0204】
一晩の絶食の後で、各マウスに被験化合物を投薬し(上記容量参照)、直後に液体飼料を与えた。ポジティブコントロール群(既知の強力なMTP阻害剤)およびネガティブコントロール群(ビヒクル)を各アッセイに含めた。最初のボーラスの活性を決定するために各30匹のマウスにつき1本のシンチレーションバイアルを擬似投与する。
【0205】
投薬後2時間で、マウスを二酸化炭素吸入で安楽死させる。腹腔を開き、小腸を取り出し、KOH円錐形試験管に入れる。続いて各試験管の重さを量る。
【0206】
続いて小腸の入った試験管を75℃の水浴に1.5から2時間置く。鹸化後に、前記試験管をボルテックスミキサーで攪拌し、200μLの鹸化物を20mLの液体シンチレーションバイアルに入れる。30%(w/w)の過酸化水素200μlを添加してサンプルを脱色する(30分)。各サンプルを200μLのHCL(3N)を加えて中和する。10mLのレディーセーフ(Ready Safe(登録商標)、Beckman)液体シンチレーション液を加え、ベックマンコールターLS6500シンチレーションシステムで計測した。
【0207】
計測は以下のように実施する:
−鹸化物の重量=試験管の重量(KOH+小腸)−空の試験管の重量
−鹸化物分画=0.22/鹸化物重量(鹸化物密度=1.1g/mL;したがってアリコートの重量は0.22gに等しい)
−全小腸の総DPM=サンプルのDPM/鹸化物分画
−最初のボーラスDPMは擬似投薬シンチレーションバイアルのカウントを平均すること
によって算出する
−小腸から回収されたボーラスの分画(パーセント回収)=総DPM/ボーラスカウント
−各テスト群のパーセント回収=各マウスのパーセント回収の平均。
【0208】
結果の解説:
被験化合物の有効性を比較するために、小腸の脂肪吸収に対するED25を算出する。ビヒクルコントロール群の(平均)パーセントトリグリセリド回収(吸収されずに小腸に残留するパーセント)が0%に等しくなるように調整し、化合物コントロール群の(平均)パーセント回収が100%に等しくなるように調整する。同じ計算を被験化合物について得られたパーセント回収値に適用し、調整パーセント回収を得る((テストサンプルの%回収−ビヒクルコントロール群の%回収)/(陽性コントロール群の%回収−ビヒクルコントロール群の%回収))。続いてED25を化合物濃度対調整パーセント回収のグラフを作成することによって算出する。
【0209】
血清トリグリセリドの低下:
到着時に体重が18から20グラムであった健常な雌のCF1マウス(Charles River)を被験対象として用いる。マウスを標準的なケージに10匹のグループで収容し、試験前に1週間環境に馴らした。マウスは試験前に別々の処置室で一晩絶食させる。各処置群は典型的には10匹のマウスから成る。
【0210】
被験化合物は好ましくはガラスのバイアルに粉末として入れる。経口胃管によって投与される投薬溶液(0.10mL/25g体重)は、ミグリオール812(Miglyol 812)(40%)、クレマホア(Cremaphor)(10%)、水(50%)から成っている。適切な容量のミグリオールを先ず初めに被験化合物に加え、バイアルをボルテックスミキサーでほぼ1分攪拌する。次に、適切な容量のクレマホアを加え、バイアルを先のように再びボルテックスミキサーで攪拌する。続いて適切な容量の水を加え、ボルテックスミキサーによる攪拌および簡単な超音波処理によって乳濁液を作成する。
【0211】
一晩の絶食の後で、各マウスに被験化合物を投薬する(上記容量参照)。投薬後1時間して、マウスを二酸化炭素吸入で安楽死させ、トリグリセリドの定量のために採血する。
【0212】
血清トリグリセリド値は、ソフトマックスプロ(Softmax Pro)ソフトウェア搭載のスペクトラマックスプレートリーダー上で比色終点アッセイ(Wako Triglyceride Eキット#432−4021)を用いて定量する。全てのサンプルを二重に調べる。
【0213】
トリグリセリド値を比較するために、コントロールからのパーセント変化を算出する。被験化合物群の平均トリグリセリド値をビヒクル群の平均トリグリセリド値で割り、100を乗じ、続いて100%から差し引く。続いてED25値を化合物濃度対コントロールからのパーセント変化のグラフを作成することによって算出する。トリグリセリド低下のためのED25の相対値および小腸脂肪吸収阻害のためのED25が被験化合物の選択性を比較するための手段として用いられる。
【0214】
調製物および下記実施例でHPLCが言及されている場合、特段の指定がなければ使用された一般的な条件は以下のとおりである:使用カラムはフェノメネックスルナ(Phenomenex
Luna(登録商標))C−8カラム(3.0×250mm)で、カラムは45分間の90%A/10%Bから100%Bのグラディエントを用いて溶出させた。前記で溶媒Aは0.1%のギ酸水溶液であり、溶媒Bはアセトニトリルであった。カラムはアギレント(Agilent) 1100 MSDシステムで流した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物。
式中、
1は下記の構造を有する式(IA)の基であり;
【化2】

ここで、hは0から3であり、
XはNまたは−C(R1c)−であり、
1aはフェニル、ピリジル、フェニル−Z'−、またはピリジル−Z'−であり、ここでZ'は−S(O)j−、−O−、−(CR1a'1b')k−、または−(O)m−(CR1a'1b')k(O)m (CR1a'1b')k−であり、さらに該フェニルおよび該ピリジル部分は場合によって各々1から3個の置換基で置換され、さらに
1bおよびR1cは各々別個に水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アジド、アミノ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルコキシ、メトキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルキル、パーフルオロ(C2−C6)アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルコキシ、トリフルオロメチル(C1−C5)アルコキシ、(C1−C6)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル(CR1a'1b')k−、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)ジアルキルアミノ、アミノ(C1−C6)アルキル−、−(CR1a'1b'')kNR1a'1b''、−C(O)NR1b'1b''、−NR1b''C(O)R1b'''、−NR1b''OR1b'''、−CH=NOR1b'''、−NR1b''C(O)OR1b'''、−NR1b''S(O)j1b'''、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−C(O)OR1b'''、−OC(O)R1b'''、−SO2NR1b'1b''、−S(O)j1b'''、または−(CR1a'1b')kS(O)j1b'''であり、
ここで、R1a'およびR1b'は各々別個に水素または (C1−C6)アルキルであり、
1b''は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')n1b'''、または−SO21b'''であり、
各R1b'''はそれぞれ別個にH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキルであり、ここで前述のR1b'''基のアルキル部分は、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から各々別個に選択される1から3個の置換基で場合によって置換され、
jは0、1または2であり、
各kはそれぞれ別個に0から6の整数であり、
各mはそれぞれ別個に0または1であり、
nは1から6の整数であり、さらに
pは2から5の整数であり;
2はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b'''、または−SO21b'''であるか、
またはR2は、R3またはR3aのどちらかと一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
qは0または1であり;
3はH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1
6)アルキルであるか、またはR3はR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
Yは−C(R3a)−でWは−C(R3b)−であるか、YはNでWは−C(R3b)−であるか、Yは−C(R3a)−でWはNであるか、またはYは結合でWは−N(R3c)−であり、ここでR3aはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであるか、またはR3aはR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し、R3bはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであり、さらにR3cは(C1−C4)アルキルであり;
Zは−SCH2−、−CH2−、または−OCH2−であり;
rは0または1であり;
4はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b'''、または−SO21b'''であり;
5は (C1−C6)アルキル、場合によって置換されたフェニル、または場合によって置換されたヘテロアリールであり;
6は水素、(C1−C6)アルキル、−C(O)−O(C1−C6)アルキル、−NH−C(O)−R6a、または−C(O)− NR6a6bであり、
ここで、R6aは水素、(C1−C6)アルキルまたはハロ−置換(C1−C6)アルキルであり、
6bは(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b''、 −SO21b'''または−(CH2)s−R6a'(式中sは0から6の整数で、R6a'は(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C6)アルキルアミノであるか、または、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された炭素環式環、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された複素環式環、ヘテロアリールおよびフェニルから成る群から選択される化学構造部分であって、該化学構造部分は場合によって1から3個の置換基で置換されてあり、さらにここで、n、p、R1a'、 R1b'およびR1b'''、は上記で定義されたとおりである)であるか、
またはR6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、その環内に場合によってO、SまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を含む5員または6員の複素環式環を形成し;
さらに、ここでハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないメチル、メチレンもしくはメチン基をその中に含む上記の“アルキル”、“アルケニル”または“アルキニル”部分は該メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、および−NR1a'1b'から成る群から選択される置換基を場合によって有する。
【請求項2】
下記式(II)
【化3】

(式中、YはNまたは−C−(R3a)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3a、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物:
または、
下記式(III)
【化4】

(式中、WはNまたは−C−(R3b)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3b、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物:
または、
下記式(IV)
【化5】

(式中、R1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3c、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、または該化合物もしくは塩の溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
1aが場合によって置換されたフェニルであり、さらに該基は3位に結合されてあり、hは0であり、Xは−C(R1c)−であり;さらにR1cは水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1aがp−トリフルオロメチルフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
rが0である、請求項4の化合物。
【請求項6】
Zが−OCH2−または−SCH2−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Zが−CH2−である請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
5がフェニルであり、R5に結合した炭素が(S)立体配置を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
6が水素、(C1−C6)アルキル、−C(O)−O(C1−C6)アルキルまたは−NH−C(O)−R6aである請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
6が−C(O)−NR6a6bである請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
2およびR4がそれぞれ別個にHまたは(C1−C6)アルキルである、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
(1)請求項1〜11のいずれかに記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物;および(2)医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体;を含む医薬組成物。
【請求項13】
動物の肥満を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項14】
(1)MTP阻害により食餌性脂肪の吸収を低減させることによって、(2)MTP阻害によりトリグリセリドを低下させることによって、または(3)MTP阻害により遊離脂肪酸の吸収を減少させることによって、動物のアテローム性動脈硬化症;高トリグリセリド血症または高血糖に続発する膵炎を治療する方法、または動物の糖尿病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項15】
ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質および/またはアポリポタンパク質Bの分泌によって変調される動物の疾患、病状または障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物。
式中、
1は下記の構造を有する式(IA)の基であり;
【化2】

ここで、hは0から3であり、
XはNまたは−C(R1c)−であり、
1aはフェニル、ピリジル、フェニル−Z'−、またはピリジル−Z'−であり、ここでZ'は−S(O)j−、−O−、−(CR1a'1b')k−、または−(O)m−(CR1a'1b')k(O)m (CR1a'1b')k−であり、さらに該フェニルおよび該ピリジル部分は場合によって各々1から3個の置換基で置換され、さらに
1bおよびR1cは各々別個に水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アジド、アミノ、ヒドロキシ、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルコキシ、メトキシ、(C1−C6)アルコキシ(C1−C6)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルキル、パーフルオロ(C2−C6)アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキル、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C2−C6)アルコキシ、トリフルオロメチル(C1−C5)アルコキシ、(C1−C6)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル(CR1a'1b')k−、(C2−C6)アルケニル、(C2−C6)アルキニル、(C1−C6)アルキルアミノ、(C1−C6)ジアルキルアミノ、アミノ(C1−C6)アルキル−、−(CR1a'1b'')kNR1a'1b''、−C(O)NR1b'1b''、−NR1b''C(O)R1b'''、−NR1b''OR1b'''、−CH=NOR1b'''、−NR1b''C(O)OR1b'''、−NR1b''S(O)j1b'''、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−C(O)OR1b'''、−OC(O)R1b'''、−SO2NR1b'1b''、−S(O)j1b'''、または−(CR1a'1b')kS(O)j1b'''であり、
ここで、R1a'およびR1b'は各々別個に水素または (C1−C6)アルキルであり、
1b''は、H、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')n1b'''、または−SO21b'''であり、
各R1b'''はそれぞれ別個にH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメチル(C1−C5)アルキルであり、ここで前述のR1b'''基のアルキル部分は、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから成る群から各々別個に選択される1から3個の置換基で場合によって置換され、
jは0、1または2であり、
各kはそれぞれ別個に0から6の整数であり、
各mはそれぞれ別個に0または1であり、
nは1から6の整数であり、さらに
pは2から5の整数であり;
2はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b'''、または−SO21b'''であるか、
またはR2は、R3またはR3aのどちらかと一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
qは0または1であり;
3はH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであるか、またはR3はR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し;
Yは−C(R3a)−でWは−C(R3b)−であるか、YはNでWは−C(R3b)−であるか、Yは−C(R3a)−でWはNであるか、またはYは結合でWは−N(R3c)−であり、ここでR3aはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであるか、またはR3aはR2と一緒になってその環内に1つの窒素原子を含む5員または6員の部分的に飽和された複素環式環を形成し、R3bはH、ハロ、(C1−C6)アルキル、またはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロ(C1−C6)アルキルであり、さらにR3cは(C1−C4)アルキルであり;
Zは−SCH2−、−CH2−、または−OCH2−であり;
rは0または1であり;
4はH、(C1−C6)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(
S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b'''、または−SO21b'''であり;
5は (C1−C6)アルキル、場合によって置換されたフェニル、または場合によって置換されたヘテロアリールであり;
6は(C1−C6)アルキル、−C(O)−O(C1−C6)アルキル、−NH−C(O)−R6a、または−C(O)− NR6a6bであり、
ここで、R6aは水素、(C1−C6)アルキルまたはハロ−置換(C1−C6)アルキルであり、
6bは(C3−C8)シクロアルキル、−C(O)R1b'''、−C(S)R1b'''、−(CR1a'1b')nO(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')nS(C1−C6アルキル)、−(CR1a'1b')pC(O)R1b'''、−(CR1a'1b')p1b''、 −SO21b'''または−(CH2)s−R6a'(式中sは0から6の整数で、R6a'は(C1−C6)アルキルアミノ、ジ(C1−C6)アルキルアミノであるか、または、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された炭素環式環、3から6員の部分的もしくは完全に飽和された複素環式環、ヘテロアリールおよびフェニルから成る群から選択される化学構造部分であって、該化学構造部分は場合によって1から3個の置換基で置換されてあり、さらにここで、n、p、R1a'、 R1b'およびR1b'''、は上記で定義されたとおりである)であるか、
またはR6aおよびR6bは、それらが結合している窒素と一緒になって、その環内に場合によってO、SまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を含む5員または6員の複素環式環を形成し;
さらに、ここでハロゲン、SOもしくはSO2で置換されていないか、またはN、OもしくはS原子に結合していないメチル、メチレンもしくはメチン基をその中に含む上記の“アルキル”、“アルケニル”または“アルキニル”部分は該メチル、メチレンまたはメチン基上に、ハロ、−OR1a'、−SR1a'、および−NR1a'1b'から成る群から選択される置換基を場合によって有する。
【請求項2】
下記式(II)
【化3】

(式中、YはNまたは−C−(R3a)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3a、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物:
または、
下記式(III)
【化4】

(式中、WはNまたは−C−(R3b)−であり;さらにR1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3b、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物:
または、
下記式(IV)
【化5】

(式中、R1a、R1b、h、X、R2、q、R3、R3c、Z、r、R4、R5、およびR6は請求項1に定義されたとおりである)
を有する請求項1に記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、または該化合物もしくは塩の溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
1aが場合によって置換されたフェニルであり、さらに該基は3位に結合されてあり、hは0であり、Xは−C(R1c)−であり;さらにR1cは水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1aがp−トリフルオロメチルフェニルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
rが0である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Zが−OCH2−または−SCH2−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
Zが−CH2−である請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
5がフェニルであり、R5に結合した炭素が(S)立体配置を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
6が(C1−C6)アルキル、−C(O)−O(C1−C6)アルキルまたは−NH−C(O)−R6aである請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
6が−C(O)−NR6a6bである請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
2およびR4がそれぞれ別個にHまたは(C1−C6)アルキルである、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
(1)請求項1〜11のいずれかに記載の化合物、医薬的に許容できるその塩、該化合物もしくは塩のプロドラッグ、または該化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和物もしくは水和物;および(2)医薬的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体;を含む医薬組成物。
【請求項13】
動物の肥満を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項14】
(1)MTP阻害により食餌性脂肪の吸収を低減させることによって、(2)MTP阻害によりトリグリセリドを低下させることによって、または(3)MTP阻害により遊離脂肪酸の吸収を減少させることによって、動物のアテローム性動脈硬化症;高トリグリセリド血症または高血糖に続発する膵炎を治療する方法、または動物の糖尿病を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に治療的に有効な量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、該方法。
【請求項15】
ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質および/またはアポリポタンパク質Bの分泌によって変調される動物の疾患、病状または障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−514032(P2006−514032A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561815(P2004−561815)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005809
【国際公開番号】WO2004/056777
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】