説明

ラインセンサ、ラインセンサユニット及び放射線非破壊検査システム

【課題】 高感度で小型化が容易であり、しかも放射線損傷が少ない一次元イメージセンサを提供する。
【解決手段】 基本構成として、被検体(不図示)を透過した放射線1(電磁波あるいは放射線)の入射する方向に延在するシンチレータ2を備えている。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向であって上記シンチレータ2の下部に配置された光学素子3と、該光学素子3の更に下部に配置された二次元受光素子4とを有する。これ等は、好ましくはスリット状の開口部5を有する遮蔽体6に覆われている。上記開口部5の所定の箇所にはシンチレータ2で発生するシンチレーション光の遮光膜7が取り付けられる。そして、二次元受光素子4の光電変換で生成した電気信号の出力を外部に伝送するケーブル8、電気回路9が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波、放射線のエネルギー線源を用いた被検体の非破壊測定技術に係り、詳しくは被検体を透過したエネルギー線を検出するラインセンサ、ラインセンサユニット及びそれを用いた放射線非破壊検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線、γ線あるいは中性子線のような放射線が被検体を透過する際には、その構成物質の種類や形状によって吸収や散乱が異なってくる。これを映像として写真やビデオ、デジタルファイル等として記録すれば、被検体の破損状態、変化、充填状況等を把握することができる。これは、一般にレントゲン写真で人体の内部の状態を診察するのと同じ原理である。検査したい物体あるいは試料を破壊せずに内部の状態を放射線で測定するこのような方法はラジオグラフィまたは非破壊放射線撮影法と呼ばれている。
【0003】
通常、ラジオグラフィでは、一次元イメージセンサであるライン型センサ(ラインセンサという)あるいは二次元イメージセンサであるエリア型センサ(エリアセンサという)から成る放射線イメージセンサが使用される。ラインセンサは高分解能を有しており医療診断や工業用非破壊検査などに利用される。このラインセンサは、放射線に感応する線状あるいは帯状(以下、ライン状という)に配置されたシンチレータを備え、放射線源との間を通過する被検体の内部の欠陥や異物を測定する。このため、このようなイメージセンサは、常時に検査物質が流れる工場におけるインライン検査装置に組み込まれて使用される場合が多い。
【0004】
これに対しエリアセンサは、一般にラインセンサのように高分解能にはならないがラインセンサに比べて感度が高くなる。特に、X線イメージインテンシファイア(X線I.I.という)は、極めて高感度になる。このために、このようなエリアセンサは、被爆低減が必須になる非破壊検査において好適になる。
【0005】
上述したように、ラインセンサは高分解能であるがエリアセンサのように高感度にするのが難しい。ラインセンサの分解能は、ライン状に配置されたシンチレータから発光する閃光(シンチレーション光)を受光する光センサをライン状に高密度に配置することにより容易に向上させることが可能である。しかし、その一方において、シンチレータが上記ライン状になることから、X線あるいはγ線が照射する領域がエリアセンサの場合に比べて狭くなり、その感度が必然的に低くなる。そして、X線あるいはγ線の光子エネルギーが高くなってくる場合、光子エネルギーの増大と共にシンチレータとの反応効率が低下し、上記感度の低下がより顕著になってくる。
【0006】
また、複数種の放射線を用い色弁別して非破壊検査する手法(例えば、特許文献1参照)は、上述したように感度が低くなるために、色弁別の手法をラインセンサにおいて利用することが難しい。
【0007】
上記感度を向上させるためには、放射線がシンチレータと反応する領域を広くすることが考えられる。しかし、反応領域を広くすると測定の位置分解能は反応領域が大きくなった分だけ悪くなる。この場合、感度と分解能は、両方を良くするのが難しく、どちらかが犠牲にならざるを得ない。
【0008】
そこで、分解能を犠牲にしないで感度を向上させる第1の方法として、シンチレータの反応領域すなわち発光領域を広くしないで、光センサなど電気信号に変換した後に電子増幅する方法が従来より考案され使用されている。上記X線I.I.はまさしく電子増幅機能をイメージセンサに組み込んだものである。
【0009】
そして、その第2の方法として、シンチレータで発光する微量の光子を検知できる光センサとして、例えば電荷結合素子から成るCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、TFT(Thin Film Transistor)型センサのような半導体受光素子を使用するものがある。
【0010】
また、上記感度を向上させる第3の方法として、放射線の照射時間を長くした積分機能により測定する方法がある(例えば、特許文献2参照)。この方法は、フィルムや輝尽性蛍光シートなどを用い、被検体を透過する放射線の光子量を累積して計測できるようにしたものである。上記輝尽性蛍光シートを利用したものに、X線、γ線および中性子線の感度を向上させるイメージングプレートがある。
【特許文献1】特開平11−271453号公報
【特許文献2】特開平4−290985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記感度を向上させる第1の方法では、ラインセンサあるいは放射線検出装置の大型・重量化が避けられない。このために、この方法は、それを備えた放射線非破壊検査システムの小型化が難しくなるという大きな問題があった。
【0012】
そして、第2の方法は、上記受光素子を構成する半導体素子の放射線耐性が極めて低いために、ラインセンサあるいはそれを備えた放射線非破壊検査システムの信頼性に問題があった。
【0013】
また、第3の方法では、例えば輝尽性蛍光シートのように放射線の電離で生じたフィルムあるいはシートに例えばカラーセンターとして記録したものの現像や読み取りなどの間接的な操作が必要となる。このために、この方法は、リアルタイム性に大きな問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたもので、高感度で小型化が容易であり、被検体を透過した電磁波、放射線による損傷が極めて少ないラインセンサ、ラインセンサユニット、及び放射線非破壊検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るラインセンサは、被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元イメージセンサであって、前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送された前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、を有する構成になっている。
【0016】
そして、本発明に係るラインセンサユニットは、被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元放射線検出器であって、前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送された前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、を有し、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する領域に開口部を有する遮蔽体が前記光学素子および前記二次元受光素子を覆って設けられる構成になっている。
【0017】
そして、本発明に係る放射線非破壊検査システムは、被検体に電磁波あるいは放射線を照射する放射線源と、前記被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元放射線検出器を備え、前記一次元放射線検出器は、前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送された前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、を有し、前記放射線源と前記一次元放射線検出器との間を前記被検体が相対的に一次元移動する構成になっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高感度で小型化が容易であり、被検体を透過する電磁波、放射線による損傷が極めて少ないラインセンサ、ラインセンサユニット、及び高分解能の放射線非破壊検査システムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の好適な実施形態のいくつかについて図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施形態に係るラインセンサについて初めに図1を参照して説明する。図1はラインセンサおよびラインセンサユニットの一例の略構成図である。ここで、図1(a)はそれ等の側断面図であり、図1(b)は正面図である。
【0020】
図1(a)および図1(b)において、ラインセンサは、基本構成として、被検体(不図示)を透過した放射線1(電磁波あるいは放射線)の入射する方向に延在するシンチレータ2を備える。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向であって上記シンチレータ2の下部に配置された光学素子3と、該光学素子3の更に下部に配置された二次元受光素子4とを有する。
【0021】
上記(透過)放射線1は、紫外線のような電磁波、X線、γ線あるいは中性子線から成る放射線である。シンチレータ2は、上記放射線を検出しシンチレーション光を発光し、詳細は後述するが、針状、柱状の構造のシンチレータあるいは薄板状のシンチレータを束(バンドル)にしたものが好適である。光学素子3は、上記シンチレーション光のうち二次元受光素子4側に出射するシンチレーション光をコリメートするものであり、多数本の光ファイバが束ねられた構造体であって例えばファイバオプティクスプレート(Fiber Optics Plate)が好適である。そして、二次元受光素子4は、上記光学素子3を通過したシンチレーション光を受光する二次元配列の画素を有する受光素子であり、二次元CCDセンサあるいは二次元CMOSセンサのような半導体受光素子が好適である。
【0022】
また、上記構造のラインセンサは、放射線1がシンチレータ2に入射するスリット状の開口部5を有する遮蔽体6により覆われる。ここで、遮蔽体6は、例えばブロック状の鉛材により構成され、上記光学素子3および二次元受光素子4を放射線1曝露から保護する。また、上記開口部5は、放射線1をコリメートする構造になっており、放射線1の散乱線がシンチレータ2に入射するのを防止するようになっている。
【0023】
そして、この開口部5の所定の箇所に、放射線1の入射によりシンチレータ2で発生するシンチレーション光が外部に出射するのを防止するための例えばマイラーフィルムから成る遮光膜7が取り付けられている。また、後述するが、二次元受光素子4方向に出射しないシンチレーション光は、上記遮蔽体6により吸収され反射/散乱しないようになっている。更に、二次元受光素子4により光電変換された電気信号の出力を外部に伝送するケーブル8、そして好ましくは電気回路9が取り付けられている。このようにして、図1(a)に示したような一次元放射線検出器であるラインセンサユニット10が構成される。
【0024】
上記ラインセンサあるいはラインセンサユニットの動作機構を含む詳細について図2ないし図6を参照して説明する。図2はラインセンサの動作機構を示すための斜視図である。図3は好適なシンチレータの斜視図である。図4は光電素子3の動作機構を示す斜視図である。図5および図6は二次元受光素子4の動作機構を説明するための平面図である。
【0025】
図2に示すように、シンチレータ2に対して、そのX軸方向にライン状に入射する放射線1は、その入射方向であるY軸方向にシンチレータ2内を伝播しシンチレーション光11aあるいは11bを発光させる。ここで、シンチレーション光11aは、光学素子3によりコリメートされ二次元受光素子4に達する出射光である。上述したシンチレーション光11bは二次元受光素子4面方向に出射しないシンチレーション光である。
上記放射線1はシンチレータ2内を伝播しながらその強度Iがほぼ(1)式に従って減衰する。
【0026】
I=Iexp(−μρt) (1)
【0027】
ここで、Iはシンチレータ2に入射する前の放射線強度、μ(cm/g)は放射線のエネルギーに依存した質量エネルギー吸収係数、ρ(g/cm)は透過したシンチレータの比重、t(cm)は放射線1が透過したY軸方向のシンチレータの厚さを示している。放射線1がγ線の場合にはエネルギー特性が単色で表されることが多いために、質量エネルギー吸収係数μは全減衰係数として簡単な計算により与えられることができる。しかし、X線の場合には用いるX線管のエネルギー特性が単色ではなく、かなりブロードなスペクトル(低いエネルギーから高いエネルギーまで広がったスペクトル)を持つために簡単な計算では与えられず、実効的なエネルギーとして実験などにより与えられる。
【0028】
上記(1)式に基づき、シンチレータ2の材質、放射線の吸収特性および被検体に照射する放射線1のエネルギーを考慮して、Y軸方向に延在するシンチレータ2の寸法が決められる。ここで、放射線1の減衰が大きければシンチレータ2の寸法を短くし、その減衰が小さければ上記寸法を長くする。
【0029】
このようにすることにより、シンチレーション光を発光するシンチレータ2の二次元面を最適になるように拡げることができる。そして、それに伴って上記光学素子3を通過して二次元受光素子4表面に達するシンチレーション光11aの光量が増加する。そして、ラインセンサの放射線に対する感度が向上するようになる。
【0030】
ここで、後述するように二次元受光素子4の表面で検知するシンチレーション光11aは光電変換され、その電気信号(電荷)が図2に示すY軸方向に沿って積算される。この積算処理は、図1で示した電気回路9で行うと好適である。あるいは、上記積算処理の回路である積算回路が、二次元CCDセンサ、二次元CMOSセンサのような半導体受光素子に混載されていてもよい。このようにして、シンチレータ2の二次元面から発光し二次元受光素子4で受光するシンチレーション光11aは、一次元画像を生成する電気信号に加工される。
【0031】
また、上述した二次元受光素子4面方向に出射しないシンチレーション光11bは、ラインセンサにおける散乱を通して二次元受光素子4に入射するのを防止する。例えば、上記遮蔽体6により吸収され反射/散乱しないようになっている。このようにすることにより、ラインセンサの高分解能な画像が得られるようになる。
【0032】
上記シンチレータ2は、図3に示すように、針状、柱状の構造のシンチレータあるいは薄板状のシンチレータを束(バンドル)にしたものが好適である。図3(a)は、柱状構造のシンチレータを模式的に示している。このようなシンチレータとしては、例えば針状に成長したCsI結晶が極めて好適である。
【0033】
X軸方向に延びたライン状に入射する放射線1により、柱状のシンチレータ2からシンチレーション光が発光する。ここで、シンチレータ2の構造が上記柱状あるいは針状であると、それらの間隙を通り抜けることが可能になり、シンチレーション光のシンチレータ2中の透過性が非常に高くなる。このために、光学素子3に入射するシンチレーション光11収率が向上する。また、シンチレータ2としてシンチレーション光の透過率のよくない材料を使用できる。
【0034】
また、図3(b)は、薄板状構造のシンチレータを模式的に示している。このようなシンチレータとしては、例えば比較的に透明度の高いプラスチックシンチレータ、セラミックスシンチレータが好適である。ここで、薄板状のシンチレータはX軸方向に積層構造に束ねられている。このために、X軸方向にライン状に入射する放射線1は、上記シンチレータ2において積層構造の隙間を通りY軸方向に伝播し易くなる。そして、図2で説明したところの放射線の吸収係数の大きなシンチレータであっても、Y軸方向におけるその寸法を長くすることができる。
【0035】
このようにして、シンチレーション光を発光するシンチレータ2の二次元面を拡張することができ、光学素子3を通過して二次元受光素子4表面に達するシンチレーション光11の光量を増加させることができる。また、二次元CCDセンサやCMOSセンサの1画素において、光電変換で生成する電荷量の蓄積飽和量を超える場合に生じる輝度の白色化を防止することが可能になる。
【0036】
光学素子3は、図4に示すように繊維光学系から成る。そして、この光学素子は、例えば多数本の光ファイバが束ねられた構造体であり、上述したようにファイバオプティクスプレートが好適である。図4は、繊維光学系の光学素子を模式的に示している。
【0037】
図4に示すように、放射線1の照射によりシンチレータ2で発光するシンチレーション光11は、上記繊維光学系の光学素子3によりコリメートされシンチレーション光11aになる。上記シンチレータ2においては、上述したように二次元受光素子4の表面方向に出射しないシンチレーション光11bも存在する。そして、二次元受光素子4の表面方向に出射するシンチレーション光11にあっても、種々の放射角度で出射する。ここで、光学素子3は、上記シンチレーション光11をコリメートし、特にシンチレータ2のX軸方向における発光位置を弁別する機能を有する。このようにして、X軸方向に一次元配列して入射する放射線1に基づいて生成される上記一次元画像は、X軸方向において精確で高分解能になり、その解像度が大きく向上するようになる。
【0038】
上述したように、シンチレーション光11aの光電変換で生成する電気信号は、Y軸方向で積算される。このため、光学素子3は、Y軸方向においてシンチレーション光11のコリメート能力が低くなるような繊維光学系構造体であっても、充分に使用することができる。しかし、上記光学素子3は、X軸方向におけるコリメートが精確になるような構造体が好ましい。
【0039】
二次元受光素子4は、図5に示す二次元CCDセンサ、二次元CMOSセンサのような二次元配列の画素を有する受光素子により構成されるとよい。図5は、二次元受光素子の表面で検知したシンチレーション光を光電変換し、その電気信号をY軸方向で積算する様子を模式的に示す平面図である。
【0040】
図4で説明した光学素子3によりコリメートされたシンチレーション光11aは、二次元受光素子4の平面上で受光される。ここで、例えば二次元CCDセンサから成る二次元受光素子4では、垂直電荷転送部V、V、V…VがY軸方向に沿うように配置される。そして、水平電荷転送部HがX軸方向に沿うようになる。
【0041】
上記二次元受光素子4で生成した電荷は、二次元CCDセンサと同様な操作により所定の速度で転送され、垂直電荷転送部V、V、V…Vから水平電荷転送部Hを通り増幅回路で信号増幅される。そして、上記垂直電荷転送部V、V、V…Vからの信号電荷(増幅後のもの)は、積算回路により所定時間内に積算処理される。このようにして、X軸方向の一次元信号に加工処理される。そして、この一次元に積算された信号から、被検体の一次元画像が生成される。このような操作および処理は、二次元CCDセンサに限らず二次元CMOSセンサあるいはTFT型センサ等でも全く同様にして行うことができる。
【0042】
具体的には、二次元受光素子4に1024×512チャンネルの2次元CMOSセンサを用いる場合、放射線1の入射方向すなわちY軸方向が512チャンネルとすると、このチャンネル分の信号が積算される。この積算により、従来の技術のような1チャンネル1画素受光に比べて500倍に近いシンチレーション光量を得ることができる。実際においては、シンチレータ2内で放射線1の反応効率が入射側から略(1)式に従って減衰していくために、上記積算するチャンネル数分の感度向上にはならない。しかし、放射線1のエネルギーが高くなると共に、シンチレータ2中の伝播距離が長くなり、上記感度向上の効果は顕著になってくる。
【0043】
上述したように、二次元受光素子4は、シンチレータ2から発光したシンチレーション光を二次元面で受光することを特徴とする。このことにより、従来の技術の場合よりも多くのシンチレーション光量を検知することができるようになる。また、シンチレータ2を放射線1の入射方向に延在させることにより、シンチレーション光の出射する領域が広がる。このことにより、1画素において光電変換で生成する信号電荷量が蓄積飽和量を超える場合に生じる輝度の白色化が防止できるようになる。そして、ラインセンサの感度が大きく向上すると共にその高分解能化が容易になる。
【0044】
二次元受光素子4における電気信号のY軸方向での積算の仕方には、図6に示すようにその他に種々の変形例がある。図6は、図5と同様であって、二次元受光素子の表面で検知したシンチレーション光を光電変換し、その電気信号をY軸方向で積算する様子を模式的に示す平面図である。
図6では、例えば二次元CCDセンサから成る二次元受光素子4では、上記垂直電荷転送部V、V、V…Vに対して、垂直電荷転送部の信号電荷を積算するための水平電荷転送部が、水平電荷転送部H、H、Hと3種類に設けられている。
【0045】
ここで、放射線1のエネルギーが高い場合には、垂直電荷転送部V、V、V…Vからの信号電荷(増幅後のもの)は、水平電荷転送部Hまでのものが積算される。そして、放射線1のエネルギーが小さくなるに従い、水平電荷転送部Hまで、あるいは水平電荷転送部Hまでの垂直電荷転送部V、V、V…Vの信号電荷(増幅後のもの)がそれぞれ積算できるようにする。ここで、上記積算する二次元配列の画素の範囲を決める水平電荷転送部H、H、Hの選択は、図1において説明した電気回路9において制御するとよい。あるいは、この制御は、上記積算回路と共に二次元受光素子4に混載/集積された制御回路により行えるようにしてもよい。
【0046】
このようにすることにより、ラインセンサの感度のレンジ切り換えが被検体により自在にできるようになる。例えば、放射線源により照射される被検体の透過する放射線1のエネルギーが高くなる場合には、積算する範囲を上記水平電荷転送部Hまでにする。逆に、被検体を透過する放射線1のエネルギーが低くなる場合には、積算する範囲を上記水平電荷転送部Hまでにする。これは、通常、放射線1の光子エネルギーが高くなるに伴いシンチレータ2の伝播距離が長くなるからである。
ここで、積算する範囲は上記3種類に限定されるものでなく、2種類あるいは4種類以上になる構成にしてもよい。
【0047】
上述したように、上記第1の実施形態では、ラインセンサあるいはラインセンサユニット10は、被検体を透過した放射線1を検出する一次元イメージセンサであって、放射線1を受けて発光するシンチレータ2を有している。そして、放射線1がシンチレータ2に入射するY軸方向からほぼ直交する方向に、光学素子3と二次元受光素子4を有する。
【0048】
このような構成であると、シンチレータ2から発光したシンチレーション光を二次元面で受光することができ、従来の技術の場合よりも多くのシンチレーション光量を検知することが可能になる。また、二次元CCDセンサやCMOSセンサの1画素において、光電変換で生成する電荷量の蓄積飽和量を超える場合に生じる輝度の白色化を防止することができる。そして、ラインセンサの感度が大きく向上すると共にその高分解能化が容易になる。
【0049】
更に、光学素子3および二次元受光素子4は、放射線1の入射方向から離間するようになり、例えば遮蔽体6を通して放射線1の照射から容易に保護できるようになる。この放射線曝露からの保護により、光学素子3のカラーセンタ生成による劣化、高感度の半導体受光素子から成る二次元受光素子4内の放射線電離に伴う劣化が防止できる。そして、信頼性の極めて高いラインセンサあるいはラインセンサユニット10が実現される。
【0050】
上記実施形態において、光学素子3および二次元受光素子4は、放射線1の入射する方向から直行する方向でなくても、所定の角度で曲折する方向に配置されるようにしてもよい。このような配置構成であっても、光学素子3および二次元受光素子4は、放射線1の入射方向から離間する配置になり、放射線1暴露から容易に保護されるようになる。また、シンチレータ2からのシンチレーション光を二次元面で受光し、多量のシンチレーション光を検知することが可能である。
【0051】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。この実施形態の特徴は、多数本の光ファイバが束ねられた構造体の光学素子において、シンチレータからの出射光の入口側の断面積がその出口側の断面積よりも大きくなるところにある。このようなラインセンサの構造は、シンチレータの面積が二次元受光素子の面積よりも大きくなる場合に効果的に適用される。ここで、図7は、このような光学素子を有するラインセンサの側面図である。
【0052】
図7に示すように、ラインセンサは、放射線1の入射する方向に積み重ねられ延在するシンチレータ2を備える。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向であってシンチレータ2下部に配置されたテーパー形状の光学素子3a、該光学素子3aの更に下部に配置された二次元受光素子4を有する。
【0053】
ここで、光学素子3aは、第1の実施形態で説明したように、繊維光学系から成り、例えば多数本の光ファイバが束ねられた構造体である。そして、シンチレータ2に当接する面は、シンチレータ2の二次元面と同じ大きさになるように構成されている。また、二次元受光素子4に当接する面は、二次元受光素子4の二次元面と同じ大きさになるように構成される。このようにして、テーパー形状の光学素子3aが設けられる。ここで、その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0054】
このようなテーパー形状の光学素子3aが、シンチレータ2と二次元受光素子4間に介在することにより、放射線1によりシンチレータ2中で発光するシンチレーション光が二次元受光素子4表面に効率的に集光される。このシンチレーション光の集光においても、図4で説明したように、シンチレータ2のX軸方向における発光位置を精確に弁別できる構造にすることが重要になる。
【0055】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について図8を参照して説明する。この実施形態の特徴は、カラーフィルタを用いてシンチレーション光を色弁別し、ラインセンサの放射線測定におけるダイナミックレンジを拡大させるところにある。このようなラインセンサの構造であると、発光色により異なる強度のシンチレーション光を制御して二次元受光素子4で検知できるようになる。ここで、図8は、このようなカラーフィルタを有するラインセンサの側面図である。
【0056】
図8に示すように、ラインセンサは、放射線1の入射する方向に延在するシンチレータ2を備える。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向であってシンチレータ2下部に配置された光学素子3、該光学素子3の更に下部に配置された二次元受光素子4を備える。更に、赤色フィルタ12、緑色フィルタ13および青色フィルタ14を有している。
【0057】
ここで、図8(a)では、二次元受光素子4の上面部に上記赤色フィルタ12、緑色フィルタ13および青色フィルタ14が配置されている。そして、図8(b)では、光学素子3の上面部に上記赤色フィルタ12、緑色フィルタ13および青色フィルタ14が配置されている。ここで、これ等のカラーフィルタは、上述したX軸方向に延在し短冊状に配設される。但し、二次元受光素子4がカラー受光素子であって元々カラーフィルタが備えられている場合には、上記フィルタの取り付けは不要になる。なお、その他のシンチレータ2、光学素子3および光二次元受光素子4は、第1の実施形態で説明したものと同様にすればよい。
【0058】
例えば、可視光を発光するシンチレータ2において、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色で発光割合が100:10:1で発光する場合を想定する。ここで、発光強度が高い赤色成分では、赤色成分として受光する二次元CCDセンサや二次元CMOSセンサの1画素における電荷量飽和が生じてしまい、輝度が白色化し濃淡の画像情報にならない。しかし、この場合であっても、緑色成分では、発光量が赤色成分の1/10のため赤色成分で飽和していても緑色成分で飽和していなければ濃淡の画像情報が得られる。更に青色成分では発光量が赤色成分の1/100となり、この青色成分を測定することにより、ラインセンサの測定のダイナミックレンジを広げることができるようになる。
【0059】
ここで、シンチレータ2には、赤色発光蛍光材、緑色発光蛍光材あるいは青色発光蛍光材の所定量が添加されると好適である。このような発光蛍光材の添加により、上記3原色の発光割合が自在に制御できるようになる。
【0060】
図8においては、上記カラーフィルタが3箇所に取り付けられている例について説明しているが、更に多数箇所に取り付ける構成であってもよい。また、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のうちから選択した2色あるいは1色のカラーフィルタを取り付けるようにしてもよい。
【0061】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について図9を参照して説明する。この実施形態の特徴は、シンチレータが放射線1の入射方向にテーパー形状になるところにある。このようなラインセンサの構造であると、シンチレータにおいて放射線1の入射側よりもその奥側で反応効率が低くなり、電気信号をY軸方向で積算する場合の感度領域を調整できる。ここで、図9は、このようなシンチレータ2aを有するラインセンサの側面図である。
【0062】
図9(a)および図9(b)に示すように、ラインセンサは、放射線1の入射する方向にテーパー状に形成されたシンチレータ2aを有している。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向であってシンチレータ2aの下部に配置された光学素子3、該光学素子3の更に下部に配置された二次元受光素子4を有している。
【0063】
ここで、図9(b)では、光学素子3の上面部に上記赤色フィルタ12、緑色フィルタ13および青色フィルタ14が配置されている。ここで、これ等のフィルタは、上述したX軸方向に延在し短冊状に配設される。但し、二次元受光素子4がカラー受光素子であってカラーフィルタが備えられている場合には、上記フィルタの取り付けは不要になる。なお、その他の光学素子3および光二次元受光素子4は、第1の実施形態で説明したものと同様にすればよい。
【0064】
このようにテーパー型シンチレータを使用することにより、シンチレータ2aと放射線1との反応効率が調整される。すなわち、シンチレータ2aにおいて、放射線1の入射側から奥側に向かって反応効率を低くすることが可能になり、電気信号を積算する場合の感度領域が自在に調整できるようになる。
【0065】
(実施の形態5)
次に、本発明の第5の実施形態について図10を参照して説明する。この実施形態の特徴は、被検体を透過する複数種の放射線を同時に検出し放射線イメージングの感度および解像度を向上させるようにするところにある。図10は、このようなライセンサの側面図である。
【0066】
図10に示すように、ライセンサは、放射線1の入射する方向に順に配置された第1のシンチレータ15と第2のシンチレータ16を有している。そして、放射線1の入射する方向に対しほぼ直交する方向に配置された光学素子3、該光学素子3の更に下部に配置された二次元受光素子4を有している。
【0067】
ここで、複数の放射線として中性子線とX線あるいはγ線を用いる場合を例にして説明する。第1のシンチレータ15には、中性子線と反応する物質として硼素(B−10)やリチウム(Li−6)あるいはガドリニウム(Gd)を含むシンチレータを用いる。ここで、第1のシンチレータ15は、テルビウム(Tb)、ユウロビウム(Eu)あるいはプラセオジム(Pr)を賦活物質としGdS材を母剤としている。そして、この第1のシンチレータ15の奥行き方向の厚さは、上記中性子線を止める厚さにする。ガドリニウムを含むシンチレータではシンチレータの密度に依存するがガドリニウムが熱中性子との反応断面積が大きく、おおよそ数ミリメータで止まる。
【0068】
第2のシンチレータ16には、上記中性子線に感じないでX線あるいはγ線に反応するシンチレータを使用する。X線あるいはγ線との反応は、中性子線の場合と比較すると飛程が長くなるため、第2のシンチレータ16を長くして効率を上げるようにする。この第2のシンチレータ16には、例えば、第1の実施形態と同様にCsI材を用いる。なお、その他の光学素子3および二次元受光素子4は、第1の実施形態で説明したものと同様にすればよい。
【0069】
このようにすることにより、例えば物質をよく透過し、しかも軽い物ほど透過し易いX線あるいはγ線では、被検体の水素のような軽元素を検査するのが困難であったが、中性子線を同時に用いることにより、このような軽元素の検出が可能になる。また、X線あるいはγ線では、硼素(B)と炭素(C)のように原子番号が隣接する元素の場合に、微量の差を識別することは困難であった。しかし、中性子線を併用することにより、これ等の元素の識別ができるようになる。そして、異なる物質元素の混在する被検体の放射線イメージングにおいて、高分解能化および感度の向上が可能になる。
【0070】
この第5の実施形態では、構成するシンチレータは第1のシンチレータ15および第2のシンチレータ16に限定されるものでない。その他にも、β線とX線あるいはγ線を用いて測定したり、β線と中性子線を用いて測定したり、複数種の放射線の組合せに応じたシンチレータの構成を選択することができる。そして、β線、中性子線、X線、γ線などの中から3種類以上の放射線を用いる場合についても、それに合わせシンチレータの種類を増やして対応することができる。
【0071】
また、上記実施形態において、第3あるいは第4の実施形態で説明したような色弁別の方法を適用し、図8で説明したように所要の箇所にカラーフィルタを取り付けるようにしてもよい。例えば、第1のシンチレータ15に対応する位置の光学素子3の表面部あるいは二次次元受光素子4の表面部に緑色あるいは青色フィルタを取り付ける。そして、第2のシンチレータ16に対応する位置の光学素子3の表面部あるいは二次次元受光素子4の表面部に赤色フィルタを取り付けるとよい。
【0072】
上記色弁別の手法を用いる場合には、第1のシンチレータ15に青色発光蛍光材が添加される。この青色発光蛍光材として、例えば蛍光体に銀で活性化した硫化亜鉛ZnS:Agを用いる。このようにすると、中性子線はリチウム、硼素等と(n,α)反応を起こし、これにより生じたアルファ(α)線によって青色発光蛍光材が青色に発色される。また、第2のシンチレータ16には赤色発光蛍光材が添加され、赤色に発色したシンチレーション光が出射するようになる。
【0073】
(実施の形態6)
次に、本発明の第6の実施形態について図11を参照して説明する。この実施形態では、上述したラインセンサあるいはラインセンサユニットを使用して構成される放射線非破壊検査システムが示される。ここで、図11は、上記放射線非破壊検査システムの略構成図である。
【0074】
図11に示すように、放射線非破壊検査システムは、基本構成として、被検体17を挟んで対向して配置される放射線源18および上記ラインセンサユニット10を備えている。そして、該ラインセンサユニット10をZ軸方向に走査する一次元移動機構19を有している。更に、ラインセンサユニット10からの電気信号を処理すると共に二次元画像の情報を生成する信号/演算処理部と、被検体の二次元画像表示あるいは画像情報を出力する出力部21とを有している。
【0075】
放射線源18は、好ましくはその出射口にコリメータ22を備え、放射線の出射領域を限定して、X線、γ線あるいは中性子線などの入射放射線23を被検体17に照射する。そして、この放射線源18は、ラインセンサユニット10のZ軸方向の走査移動に同期して移動できる構造になっている。
【0076】
一次元移動機構19は、ステージ24に取り付けられたボールネジ25、ナット26、モータ27、該モータ27を駆動する駆動ユニット28を備えている。ラインセンサユニット10は、ボールネジ25によりZ軸方向あるいはその逆方向に一定の移動速度で一次元運動する。
【0077】
信号/演算処理部20は、ケーブル8によりラインセンサユニット10に接続されており、ラインセンサユニット10により上記積算された一次元信号を処理し二次元画像情報を生成する。あるいは、この信号/演算処理部20が、上記二次元受光素子4の光電変換に基づいて生成される信号をY軸方向に積算するような構成にしてもよい。
【0078】
出力部21は、信号/演算処理部20から伝達された二次元画像情報をラジオグラフィ画像としてモニター表示する。あるいは、出力部21は、二次元画像情報に基づいて、被検体17の組成等、その構成物質の特性に係る数値表示をするようになっている。
【0079】
上記放射線非破壊検査システムにおいて、その構成要素であるラインセンサは、シンチレータと放射線の反応において放射線の飛程の長い場合や放射線の種類が異なる場合の信号を分離して効率よく測定する。また、同じ放射線でもエネルギーの違いを分けて同時に測定できる。
【0080】
そして、放射線非破壊検査システムの測定感度は、上述したようにCCDあるいはCMOS素子の二次元配列の画素からの信号を放射線の入射方向に積算することで大幅に向上できる。従って、この放射線非破壊検査システムは、イメージインテンシファイアのような電子増幅機構が不要であり、その小型・軽量化が容易になる。そして、例えばX線によるCTや食品検査、手荷物検査など幅広い分野での非破壊検査システムとして利用できるようになる。
【0081】
また、被検体を透過した電磁波、放射線によるラインセンサ等の損傷が大幅に低減すると共に、放射線の照射により生じてくるノイズが低減する。このために、信頼性の高い放射線非破壊検査システムが実現できる。
【0082】
上記実施形態では、被検体17が固定され、ラインセンサユニット10と放射線源18が同期して一次元移動する場合について説明している。上記放射線非破壊検査システムにおいては、逆にラインセンサユニット10と放射線源18が固定され、被検体17が一次元移動する構成であってもよい。
【0083】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採ることができる。例えば、上記実施の形態1ないし5に説明した特徴を任意に組み合わせたところのラインセンサあるいはラインセンサユニットの構成であってもよい。上記の実施形態では、X線、γ線あるいは中性子線のような放射線によるイメージセンサの場合について主に説明している。しかし、本発明は、紫外線あるいは低周波の電磁波による一次元イメージセンサであっても同様に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1に係るライセンサおよびラインセンサユニットの略構成図であって、(a)は側断面図、(b)は正面図。
【図2】本発明のラインセンサの動作機構を示す斜視図。
【図3】本発明のラインセンサ、ラインセンサユニットに使用するシンチレータおよびその動作機構を示す斜視図であって、(a)と(b)はそれぞれ異なる例を示す図。
【図4】本発明のラインセンサ、ラインセンサユニットに使用する光学素子およびその動作機構を示す斜視図。
【図5】本発明のラインセンサ、ラインセンサユニットに使用する二次元受光素子の動作機構を示す平面図。
【図6】本発明のラインセンサ、ラインセンサユニットに使用する二次元受光素子の動作機構を示す別の平面図。
【図7】本発明の実施の形態2に係るライセンサの側断面図。
【図8】本発明の実施の形態3に係るライセンサの側断面図であって、(a)と(b)はそれぞれ異なる例を示す図。
【図9】本発明の実施の形態4に係るライセンサの側断面図であって、(a)と(b)はそれぞれ異なる例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態5に係るライセンサの断側面図。
【図11】本発明の実施の形態6に係る放射線非破壊検査システムの略構成図。
【符号の説明】
【0085】
1…(透過)放射線,2,2a…シンチレータ,3,3a…光学素子,4…二次元受光素子,5…開口部,6…遮蔽体,7…遮光膜,8…ケーブル,9…電気回路,10…ラインセンサユニット,11,11a,11b…シンチレーション光,12…赤色フィルタ,13…緑色フィルタ,14…青色フィルタ,15…第1のシンチレータ,16…第2のシンチレータ,17…被検体,18…放射線源,19…一次元移動機構,20…信号/演算処理部,21…出力部,22…コリメータ,23…入射放射線,24…ステージ,25…ボールネジ,26…ナット,27…モータ,28…駆動ユニット,V、V、V…V…垂直電荷転送部,H、H、H…水平電荷転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元イメージセンサであって、
前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、
前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、
前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送される前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、
を有することを特徴とするラインセンサ。
【請求項2】
前記曲折する方向は、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向に対してほぼ直交する方向であることを特徴とする請求項1に記載のラインセンサ。
【請求項3】
前記シンチレータは、針状もしくは柱状のシンチレータあるいは複数のシンチレータが束ねられた構造体であり、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向に延在して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のラインセンサ。
【請求項4】
前記針状もしくは柱状のシンチレータは、CsI結晶シンチレータにより構成され、前記複数のシンチレータは、プラスチックシンチレータあるいはセラミックスシンチレータを含んで構成されていることを特徴とする請求項3に記載のラインセンサ。
【請求項5】
前記光学素子は、多数本の光ファイバが束ねられた構造体により構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のラインセンサ。
【請求項6】
前記二次元受光素子は、二次元配列の画素を有する受光素子であり、前記受光した出射光により生成した電気信号を、前記電磁波あるいは放射線の前記シンチレータに入射する方向に積算した一次元信号として出力することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のラインセンサ。
【請求項7】
前記受光した出射光の電気信号を積算する前記二次元配列の画素の範囲が、前記電磁波または放射線のエネルギーに合わせて異なることを特徴とする請求項6に記載のラインセンサ。
【請求項8】
前記二次元受光素子は、前記シンチレータから前記光学系を通して伝送される出射光を色別に分け、前記色別した出射光により生成する電気信号を積算することを特徴とする請求項6又は7に記載のラインセンサ。
【請求項9】
カラーフィルタが、前記シンチレータと前記光学素子の間、あるいは、前記光学素子と前記二次元受光素子の間に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のラインセンサ。
【請求項10】
前記シンチレータは、前記電磁波または放射線が入射する方向にその厚さが薄くなるように取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のラインセンサ。
【請求項11】
前記電磁波または放射線に対して異なる反応をする複数種のシンチレータが、前記電磁波または放射線の入射する方向に並べて取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載のラインセンサ。
【請求項12】
被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元放射線検出器であって、
前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、
前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、
前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送された前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、を有し、
前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する領域に開口部を有する遮蔽体が前記光学素子および前記二次元受光素子を覆って設けられていることを特徴とするラインセンサユニット。
【請求項13】
前記二次元受光素子が二次元配列の画素を有する受光素子であり、前記受光した出射光により生成した電気信号を、前記電磁波あるいは放射線の前記シンチレータに入射する方向に積算し一次元信号とする積算回路が設けられていることを特徴とする請求項12に記載のラインセンサユニット。
【請求項14】
被検体に電磁波あるいは放射線を照射する放射線源と、前記被検体を透過した電磁波あるいは放射線を検出する一次元放射線検出器を備え、
前記一次元放射線検出器は、前記電磁波あるいは放射線を受けて発光するシンチレータと、前記電磁波あるいは放射線が前記シンチレータに入射する方向から曲折する方向に配置され、前記シンチレータからの出射光を伝送する光学素子と、前記曲折する方向に配置され、前記光学素子により伝送された前記出射光を受光し電気信号に変換する二次元受光素子と、を有し、
前記放射線源と前記一次元放射線検出器との間を前記被検体が相対的に一次元移動することを特徴とする放射線非破壊検査システム。
【請求項15】
前記二次元受光素子が二次元配列の画素を有する受光素子であり、前記受光した出射光により生成した電気信号を、前記電磁波あるいは放射線の前記シンチレータに入射する方向に積算し一次元信号とする積算回路が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の放射線非破壊検査システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−329905(P2006−329905A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156602(P2005−156602)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】