説明

ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置

【課題】 画像の位置ずれ補正を簡単に行う、ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置の提供。
【解決手段】 ラインヘッド10には主走査方向(Y方向)の1ラインに、多数の発光素子Eaを配列した発光素子ライン5aが形成されている。このような発光素子ラインが副走査方向(X方向)に5a〜5dの複数列設けられている。発光素子ライン5aによる画像形成を行う際に、画像の副走査方向の位置ずれ情報に基づいて、他の発光素子ライン5b〜5dのいずれかを選択する。このように、発光素子ライン5aから他の発光素子ライン5b〜5dのいずれかに切り替えて画像形成を行うことにより、画像の副走査方向の位置ずれ補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の位置ずれ補正を簡単に、しかも精細に行うことができる、ラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式のトナー像形成手段は、外周面に感光層を有する像担持体としての感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段を有している。さらに、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して、可視像(トナー像)とする現像手段を有している。
【0003】
カラー画像を形成するタンデム方式の画像形成装置としては、上記のようなトナー像形成手段を、中間転写ベルトに対して、複数個(例えば4個)配置する。これら単色トナー像形成手段による感光体上のトナー像を順次中間転写ベルトに転写して、中間転写ベルト上で複数色(例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒))のトナー像を重ね合わせて、中間転写ベルト上でカラー画像を得る中間転写ベルト形式のものがある。
【0004】
また、静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、ロータリ現像ユニットと、ラインヘッドとを備えたカラー画像形成装置が知られている。この画像形成装置においては、ロータリ現像ユニットは、複数のトナーカートリッジに収納されたトナーをその表面に担持し、所定の回転方向に回転することにより異なる色のトナーを順次前記像担持体との対向位置に搬送する。そして、前記像担持体と前記ロータリ現像ユニットとの間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記ロータリ現像ユニットから前記像担持体に移動させる。このような処理により、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成するものである。
【0005】
前記のようなタンデム方式、またはロータリ方式の画像形成装置においては、各色の印字位置が相対的にずれる、色ズレが発生することがある。このように印字位置がずれるのは、像担持体の位置決め誤差や感光ドラムの直径誤差などに起因して、各色の同期検知位置から画像書き出し位置までの距離(レジスト)がずれることによるものである。
【0006】
前記のような色ズレが発生するとカラー画像の品質が劣化するので、色ズレの防止策が講じられている。前記防止策の一例として、例えば特許文献1においては、露光手段として走査光学装置を備え、転写ベルトに位置合わせマークを画像形成装置により形成し、このマークを検出センサで読み取って色ズレ誤差を補正している。
【0007】
この際の色ズレ誤差補正、すなわち、レジスト調整は、位置ずれ量に応じてレーザビームの書き込みタイミングの調整と照射手段の光路の調整、またはレーザビームの書き込みタイミングの調整のみのいずれかを行っている。
【0008】
また、特許文献2においては、光書き込み手段としてLEDアレイヘッドを使用している。そして、調整チャートパターンを作成し、この調整チャートパターンにスリット状の画像形成空白領域を形成する。前記空白領域に各色のライン状のパターンを印字し、各印字から位置ずれを確認する。この位置ずれ相当分のドット数を、垂直同期信号と水平同期信号とにおいて正規の場合よりも早くするか遅くするかにより調整してレジスト調整を行っている。
【0009】
【特許文献1】特許第3413179号
【特許文献2】特開平9−304994号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1に記載の技術は、露光手段として走査光学装置を用いているので、装置が大型になりコストも高くなるという問題があった。また、特許文献1においては、副走査方向の位置ずれをレーザビームの書き込みタイミングの調整を行うことで補正している。このため、当初設定された書き込みタイミングに対して、常にタイミング補正量を加減する必要があるので、レジスト調整の制御が複雑になるという問題があった。更に、特許文献2に記載の技術は、光書き込み手段としてLEDアレイヘッドを使用しているが、調整チャートパターンを必要としているので、レジスト調整の処理が煩雑になるという問題があった。
【0011】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レジスト調整による画像の位置ずれ補正を簡単に行うラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明のラインヘッドは、1ラインに複数の発光素子を配列した発光素子ラインを副走査方向に複数列設けたラインヘッドであって、前記発光素子ラインを選択する制御手段と、前記発光素子ラインを切り替える切り替え手段と、画像の位置ずれ情報を記憶する記憶手段とを有し、画像の位置ずれ情報に基づいて点灯させる発光素子ラインを切り替えて、レジスト調整することを特徴とする。このように、点灯させる発光素子ラインを切り替えてレジスト調整することにより、画像の位置ずれ補正を簡単に行なうことができる。
【0013】
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子ラインを、副走査方向の画像の位置ずれ情報に基づいて切り替えて、レジスト調整することを特徴とする。このような構成とすることにより、副走査方向の画像の位置ずれ補正を簡単に行なうことができる。
【0014】
また、本発明のラインヘッドは、前記切り替えられる発光素子ラインの主走査方向の書き出し位置が、基準となる発光素子ラインの書き出し位置とは異なる位置に設定されていることを特徴とする。このような構成とすることにより、副走査方向の画像の位置ずれ補正と共に、主走査方向の画像の位置ずれ補正を簡単に行なうことができる。
【0015】
また、本発明のラインヘッドは、前記切り替え手段として、スイッチングトランジスタを用いることを特徴とする。この構成によれば、レジスト調整するために用いるスイッチを小型化できると共にスイッチ操作が迅速に行える。また、スイッチの接点の損耗がないので寿命を長くすることができる。
【0016】
また、本発明のラインヘッドは、前記発光素子ラインに配列された発光素子を、個別に選択して発光させる手段を有することを特徴とする。このため、レジスト調整を行うラインヘッドにおいて、1ラインの発光素子ラインに配列された個別の発光素子の点灯、非点灯の制御を簡単に行うことができる。
【0017】
また、本発明のラインヘッドは、前記ラインヘッドの発光素子を有機EL、またはLEDで構成したことを特徴とする。有機ELは静的な制御が可能であるので、レジスト調整を行うラインヘッドにおいて、制御系を簡略化できる。また、LEDで構成した場合には、レジスト調整を行うラインヘッドにおいて、発光素子の製造が簡単になる。
【0018】
また、本発明のラインヘッドは、前記有機EL素子からなる発光素子により中間調を表現することを特徴とする。このため、有機EL素子からなる発光素子で中間調を表現する際に、画像の位置ずれの補正を簡単に行うことができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、像担持体の周囲に帯電手段、前記ラインヘッド、現像手段、転写手段の各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする。このため、タンデム方式の画像形成装置において、レジスト調整による画像の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、ロータリ現像ユニットと、前記ラインヘッドとを備え、前記ロータリ現像ユニットは、複数のトナーカートリッジに収納されたトナーをその表面に担持するとともに、所定の回転方向に回転することによって異なる色のトナーを順次前記像担持体との対向位置に搬送し、前記像担持体と前記ロータリ現像ユニットとの間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記ロータリ現像ユニットから前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成することを特徴とする。このため、ロータリ現像ユニットを備えた画像形成装置において、レジスト調整による画像の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、中間転写部材を備えたことを特徴とする。このため、中間転写部材を備えた画像形成装置において、レジスト調整による画像の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のラインヘッドは、1ラインに複数の発光素子を配列した発光素子ラインを副走査方向に複数列設け、位置ずれ情報に基づいて点灯させる発光素子ラインを切り替えてレジスト調整している。このため、画像の位置ずれ補正を簡単に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の実施形態を示す説明図である。図1において、ラインヘッド10には主走査方向(Y方向)の1ラインに、多数の発光素子Eaを配列した発光素子ライン5aが形成されている。このような発光素子ラインが副走査方向(X方向)に5a〜5dの複数列設けられている。この実施形態においては、発光素子ライン5aによる画像形成を行う際に、画像の副走査方向の位置ずれ情報に基づいて、他の発光素子ライン5b〜5dのいずれかを選択する。
【0024】
このように、発光素子ライン5aから他の発光素子ライン5b〜5dのいずれかに切り替えて画像形成を行うことにより、画像の副走査方向のレジスト調整で位置ずれ補正を行う。発光素子ライン5b〜5dのいずれを選択するかは、副走査方向の位置ずれの大きさに基づいて決定される。
【0025】
図2は、本発明の他の実施形態を示す説明図である。図2の例は、ラインヘッド10に像担持体の副走査方向に発光素子を千鳥状に配列するものである。ラインヘッドに発光素子を配列する際に、隣接する発光素子を隙間なく設置することは構造上できず、隣接する発光素子間には間隙が生ずる。このように間隙部分があるために、解像度が低下したり、記録媒体に画像データを記録した際にいわゆる白抜けが発生したりして品質が低下する。このような事態に対処するために、副走査方向に発光素子を千鳥状に配列することが行われている。図2は、発光素子を千鳥状に配列した場合において、像担持体上で形成される発光素子のスポット位置33Zの例を示している。図2において、斜線を付したUの部分は駆動される発光素子の部分を示し、2点鎖線のVの部分は駆動されない発光素子の部分を示している。
【0026】
Paは主走査方向の画素ピッチ、Pbは副走査方向の画素ピッチ、Saは主走査方向のスポット位置のピッチ、Sbは副走査方向のスポット位置のピッチである。図2の例では、主走査方向の画素ピッチPaと、副走査方向の画素ピッチPbは、共にスポット位置のピッチの1/2に設定されている。すなわち、発光素子が像担持体上に形成するスポット位置の副走査方向の間隔を、副走査方向の画素密度の2倍としている。
【0027】
発光素子ラインは、第1グループ33f、33h、33i、33l、33nと、第2グループ33p、33r、33t、33vの2グループに区分される。第1グループと第2グループは、主走査方向でみて、発光素子の位置、すなわち露光される画素と露光されない画素とが交互に配置されている。
【0028】
図2の実施形態において、発光素子ライン33fの先頭の発光素子から書き出しを行うものとする。この際に、副走査方向の位置ずれ量に応じて、発光素子ライン33h、33i・・・のように、発光素子ラインを切り替えて、その先頭の発光素子から書き出しを行う。なお、発光素子ライン33fの先頭の発光素子から書き出しを行う際に、副走査方向の位置ずれと共に主走査方向の位置ずれがあるものとする。この場合には、例えば発光素子ライン33pの2番目の発光素子から書き出しを行う。このように、図2の例では、副走査方向の位置ずれと共に主走査方向の位置ずれがある場合にもレジスト調整を行うことができる。
【0029】
図3は本発明にかかる他のラインヘッドの構成を示す説明図である。図3において、ラインヘッド10には、発光素子Eaが主走査方向に多数配列された発光素子ライン1a〜1dが、副走査方向に複数列形成されている。同一ラインにおける各発光素子の中心間の間隔dxは1ドットに相当する。
【0030】
発光素子ライン1aと、発光素子ライン1bにおける発光素子の中心間の間隔は、主走査方向に1/4ドットピッチずらして配置する。発光素子ライン1bと1c、発光素子ライン1cと1dについても、各発光素子の中心間の間隔は、主走査方向に1/4ドットピッチずらして配置する。各ラインの発光素子の個数は、印字に必要な発光素子の個数よりも多く配列している。
【0031】
図3の例において、発光素子ライン1aの先頭の発光素子から書き出しを行う際に、副走査方向および主走査方向に画像の位置ずれがあるものとする。この場合には、例えば発光素子ライン1bに切り替えると、発光素子ライン1bの先頭の発光素子は、主走査方向に1/4ドットピッチずれて書き出しを行う。すなわち、位置ずれ補正の最小調整単位を1/4ドットピッチとすることができる。したがって、図3の構成では発光素子ラインの切り替えによるレジスト調整で、精細な位置ずれ補正が可能になる。
【0032】
図1〜図3の例において、発光素子は、有機EL素子を用いることができる。有機EL素子は、レジスト調整を行うラインヘッドにおいて、静的な制御が可能となる。また、前記有機EL素子以外に、例えばLED(Light Emitting Diod)を用いることもできる。LEDを用いる場合には、レジスト調整を行うラインヘッドの製作が簡単になる。
【0033】
本発明においては、図1〜図3に示したような、副走査方向に複数列形成された発光素子ラインを切り替える切り替え手段を設けている。図4は、本発明における発光素子ライン切り替えの基本的構成の実施形態を示す回路図である。図4においては、簡単のため発光素子ラインは2ライン設けた例を示している。ラインヘッド10には、発光素子ライン1、2が設けられている。発光素子ライン1には、例えば有機EL素子を用いた発光素子D00〜D23が配列されている。また、発光素子ライン2にも、有機EL素子を用いた発光素子D50〜D73が配列されている。4は正の電源線、5、6は負の電源線である。
【0034】
正の電源線4は、発光素子ライン1、2における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線5は発光素子ライン1における各発光素子のカソードに接続され、負の電源線6は発光素子ライン2における各発光素子のカソードに接続されている。すなわち、発光素子ライン1は電源線4、5間に接続されて直流電圧が印加される。また、発光素子ライン2は電源線4、6間に接続されて直流電圧が印加される構成としている。
【0035】
3は切り替えスイッチで、接触子3cが接点3a側に投入されている場合には電源線4、5間に直流電圧が印加されて発光素子ライン1の各発光素子D00〜D23が点灯動作する。切り替えスイッチ3の接触子3cが接点3b側に投入されている場合には、電源線4、6間に直流電圧が印加されて発光素子ライン2の各発光素子D50〜D73が点灯動作する。なお、簡略化するために図4では図示を省略しているが、実際には、正の電源線4と各発光素子ライン1、2の発光素子のアノード間には、個別に正の電源線4とのオンオフスイッチが設けられている。このオンオフスイッチは、例えば電子スイッチで構成される。
【0036】
このように、図4の例では各発光素子ラインの発光素子のカソード側が共通に接続される電源線5、6を切り替えスイッチ3で切り替えることにより、発光素子ラインを切り替えている。この際に、正の電源線4は各発光素子ラインの発光素子のアノードに共通して接続されている。すなわち、発光素子の一方極性に接続されている電源線のみを切り替えるので、両極性の電源線を切り替える場合よりも切り替え回路の構成が簡略化される。切り替えスイッチ3は、図4に示されているような機械的なスイッチの外に、トランジスタなどの電子的スイッチを用いる構成とすることができる。
【0037】
図5は、本発明の実施形態の例を示す回路図である。図5に示したラインヘッド10aの図4と同じところには同じ符号を付している。図5において、Tr2は各発光素子のアノード側に接続されるドライブトランジスタ、Tr1はドライブトランジスタTr2のゲートにソースが接続される制御トランジスタである。ドライブトランジスタTr2、制御トランジスタTr1は、例えばFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)により形成される。7は制御トランジスタTr1に制御信号を付与する制御回路である。
【0038】
図5の例において、切り替えスイッチ3の接触子3cが接点3a側に投入されている状態で、電源線4、5間に電圧が印加されているものとする。制御回路7からの信号で制御トランジスタTr1が動作すると、ドライブトランジスタTr2が導通し、発光素子ライン1の各発光素子D00〜D23が発光する。ここで、切り替えスイッチ3の接触子3cを接点3b側に投入すると、点灯動作は発光素子ライン2側の各発光素子に切り替わる。図5の例も図4と同様に、発光素子のアノード側の制御で発光素子ラインを切り替えるものである。
【0039】
図5の例では、各発光素子に接続されるドライブトランジスタTr2に制御トランジスタTr1を直列に接続しているので、各発光素子ライン1、2の個別の発光素子を選択して発光させることができる。このように、任意の位置の発光素子を選択点灯させる制御手段を設けているので、種々の画像形成の要請に対応することができる。
【0040】
図6は、本発明に係る他の実施形態であるラインヘッド10bの例を示す回路図である。図6において、Tr3、Tr4は発光素子ライン1、2に共通のドライブトランジスタTr2に直列に接続される、発光素子ラインの切り替え用トランジスタである。8、9は、発光素子ラインのセレクト信号Sel1、Sel2が供給される信号線である。INVはセレクト信号Sel1を反転したSel2を出力するインバータであり、信号線109に供給する。ここで、セレクト信号Sel1を反転したSel2を外部から供給することも可能であり、この場合インバータは不要となる。
【0041】
図6の例では、正の電源線4は発光素子ライン1、2における各発光素子のアノードに共通して接続されている。また、負の電源線5は発光素子ライン1における各発光素子のカソードに接続され、負の電源線6は発光素子ライン2における各発光素子のカソードに接続されている。負の電源線5、6は共通の電位で接続された状態を保持する。
【0042】
制御回路7からの信号で制御トランジスタTr1が動作すると、ドライブトランジスタTr2が導通する。この状態で、信号線8から発光素子ラインの切り替え用トランジスタTr3のゲートにセレクト信号Sel1が供給されると、発光素子ライン1の各発光素子が点灯する。この際に、信号線9からはセレクト信号Sel2が供給されないので、発光素子ライン2の発光素子は点灯しない。
【0043】
信号線8のセレクト信号Sel1を停止し、信号線9からセレクト信号Sel2が供給されると、切り替え用トランジスタTr3が遮断されTr4が導通する。このため、発光素子ライン1の発光素子は消灯し、発光素子ライン2の発光素子が点灯する。このように、図6の例は、信号線8、9からのセレクト信号Sel1、Sel2によりトランジスタTr3、Tr4が動作して各発光素子ライン1、2のカソード側で切り替え制御を行うものである。すなわち、セレクト信号Sel1、Sel2が供給されるトランジスタTr3、Tr4は発光素子ラインを切り替える第1の制御手段として作用する。
【0044】
上記のように図6の例では、発光素子ラインを切り替える第1の制御手段をトランジスタTr3、Tr4で構成している。このため、切り替え動作を迅速に、また、機械的スイッチと比較して信頼度の高い発光素子ラインの切り替えを実現できる。また、図4の例のように電源線の極性を切り替えることなく信号線の信号で発光素子ラインを切り替えるので、切り替えに伴う瞬時電圧の発生を抑制し、発光素子の損傷を防止することができる。
【0045】
発光素子を有機EL素子で、切り替え用のトランジスタTr3、Tr4をTFT(Thin Film Transistor)で形成する場合には、ラインヘッドに切り替え用のトランジスタと発光素子とを同じ製造技術を用いて作製できるので、製造コストを低減することができる。図6の例でも、制御回路7の信号で制御トランジスタTr1の動作タイミングを制御することにより、各発光素子ラインの個別の発光素子を点灯制御することが可能である。
【0046】
図4〜図6の例では、発光素子ラインが2ラインのラインヘッドについて説明した。本発明のラインヘッドは、発光素子ラインを図1〜図3に示したように3ライン以上の複数ラインを設けることができる。この場合の発光素子ラインの切り替えを、図4〜図6で説明したような回路を適用して、スイッチングトランジスタにより行うことができる。
【0047】
図7は、本発明の実施形態を示すブロック図である。本体コントローラ21は例えばコンピュータで構成され画像データを形成する。また、画像形成装置に設けられている制御装置20には、CPUなどで構成される制御部22、メモリ23、切り替え回路24、複数ラインの発光素子ラインが形成されているラインヘッド25が配置されている。メモリ23には、画像の位置ずれ情報、すなわちレジスト情報が記憶されている。
【0048】
制御部22は、メモリ23に記憶されている前記レジスト情報に基づいて、レジスト調整による位置ずれを補正するための最適な副走査方向の発光素子列を選択する。すなわち、制御部22は発光素子列を選択する制御手段として機能する。また、制御部22は、主走査方向の位置ずれがある場合には、主走査方向の印字開始位置の発光素子を判定する。次に、制御部22は切り替え回路24に信号を出力する。切り替え回路24は、ラインヘッド25に配列されている発光素子ラインの中で、制御部22により選定された発光素子ラインを点灯させるように発光素子ラインを切り替え制御する。
【0049】
本発明において、メモリ23に記憶されるレジスト情報は、製品完成時の検査で取得し、位置ずれ補正を出荷時に行い、以後は補正しない形態とすることができる。また、ユーザが製品を使用中に発生した位置ずれ情報をメモリ23に記憶させ、制御部22により主走査方向の印字開始位置の発光素子、および印字に使用する発光素子ラインを選定するような制御信号を形成する形態とすることもできる。
【0050】
図7では、メモリ23、切り替え回路24の制御をCPUなどの制御部22で行っている。本発明は、このような形態には限定されない。他の実施形態においては、本体コントローラ21により直接メモリ23と切り替え回路24を制御することも可能である。この場合には、画像形成装置の制御系の構成が簡略化される。
【0051】
図8は、発光素子をアクティブマトリクスで動作させるための回路図である。図8において、発光素子Eaとして有機EL素子を使用しており、Kはそのカソード端子、Aはそのアノード端子である。カソード端子Kは、図示を省略している接地電源に接続されている。37aは走査線でスイッチング用TFT(Tr1)のゲートGaに接続される。また、38aは信号線でスイッチング用TFTのドレインDaに接続される。39は電源線、Caはストレージキャパシタである。有機EL素子のドライビング用TFT(Tr2)のドレインDbは電源線39に接続され、ソースSbは有機ELのアノード端子Aに接続される。さらに、ドライビング用TFTのゲートGbは、スイッチング用のTFTのソースSaに接続されている。
【0052】
次に、図8の回路図の動作について説明する。スイッチング用TFTのソースに電源線39の電圧が印加されている状態で走査線37a、信号線38aに通電すると、スイッチング用TFTがオンになる。このため、ドライビング用TFTのゲート電圧が下がり、電源線39の電圧がドライビング用TFTのドレインから供給されてドライビング用TFTが導通する。この結果、有機EL素子が動作して所定の光量で発光する。また、ストレージキャパシタCaは電源線39の電圧で充電される。
【0053】
スイッチング用TFTをオフにした場合にも、ストレージキャパシタCaに充電された電荷に基づいてドライビング用TFTは導通状態となっており、有機EL素子は発光状態を維持する。したがって、アクテブマトリックスを前記発光素子の駆動回路に適用した場合には、スイッチング用TFTをオフにしたときでも、有機EL素子の動作が継続して発光を維持し、高輝度で画素の露光を行うことができる。
【0054】
図9〜図11は、本発明により発光素子を階調データで制御して、中間調を表現する例を説明する図である。図9は、階調データメモリに格納されるビットデータと階調データとの例を示す説明図である。この例では、8ビットの階調データメモリにより階調データを構成している。図9の例では、ビットデータNo1で階調データ0(非発光)、ビットデータNo8で最も濃度が濃いデータ、ビットデータNo2〜7でその中間階調の濃度データとしている。
【0055】
図10は、本発明の構成を示すブロック図である。図10は、階調データの大きさに対応した電圧、または電流の電気量でスイッチングTFTを制御するものである。図10に示された電気量制御部80は、D/Aコンバータ81a、81b・・・をそれぞれ階調データメモリ71a、71b・・・に接続している。D/Aコンバータ81a、81b・・・は、階調データメモリ71a、71b・・・に格納された階調データに対応した大きさで、アナログの電圧値、または電流値を形成し、スイッチングTFTに出力する。
【0056】
発光素子およびスイッチングTFTからなる発光部Za、Zb・・・には、走査線37aからのセレクト信号と、発光制御データ線38a、38b・・・からの制御信号が供給される。図10の例では、階調データに応じてスイッチングTFTのバイアスを変えて、発光素子の発光光量を変化させている。このため、高速で発光素子をオン、オフ制御する必要がなくなり、発光素子の応答速度が遅い場合でも像担持体への露光量を高速で変化させることができる。
【0057】
図11は、図10のブロック図で示された制御の具体例を示す特性図である。図11(a)は、カウンター72の出力値Eaを示すものであり、前記のように、0→最大値(255)→0→最大値→0・・・を繰り返す。図11(b)は、階調データがビットデータNo7(128階調)の場合に、コンパレータから出力される信号の波形Eb、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜127の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が128〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
【0058】
図11(c)は、階調データがビットデータNo6(64階調)の場合に、コンパレータから出力される信号の波形Ec、すなわちスイッチングTFTの動作特性を示すものである。この場合には、カウンターの出力が0〜63の範囲でスイッチングTFTがオンとなり、カウンターの出力が64〜255の範囲でスイッチングTFTがオフとなる。
【0059】
図11(b)の場合には、波形Ebのパルス幅はWaであり、図11(c)の場合には、波形Ecのパルス幅はWbである。すなわち、階調データの大きさに応じてスイッチングTFTがオンとなる時間の長さが変わり、発光素子の発光光量を変化させることができる。このように、スイッチングTFTのオン、オフ制御により発光素子をオン、オフして像担持体への露光量を変えることができるので、回路構成を簡単にすることができる。図9〜図11の構成を用いると、中間調を表現する際に、主走査方向の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【0060】
本発明においては、モノクロプリンタの他に、4サイクルカラープリンタや、タンデム方式のカラープリンタにも当該ラインヘッドは当然適用されるものである。これらのカラープリンタにおいては、本発明の構成とすることにより、ラインヘッドに形成される複数ラインの発光素子ラインをレジスト調整を行うために使用することができる。
【0061】
図12は、発光素子として有機EL素子を用いた画像形成装置の一例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タンデム方式の画像形成装置として構成されている。
【0062】
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51と従動ローラ52とテンションローラ53が設けられており、テンションローラ53によりテンションを加えて張架されて、図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト50を備えている。この中間転写ベルト50に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感光層を有する感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
【0063】
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様である。感光体41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。
【0064】
各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体41(K、C、M、Y)の回転に同期して、順次ライン走査する本発明の上記のような有機EL素子を用いたラインヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
【0065】
また、このラインヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト50に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。
【0066】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0067】
なお、図12中、63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0068】
このように、図12の画像形成装置は、書き込み手段として有機EL素子を設けたラインヘッドを用いているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。また、タンデム式の画像形成装置において、主走査方向の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【0069】
図13は、図12とは異なる構成のタンデム型画像形成装置を示す概略の縦断側面図である。図13の画像形成装置は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)用の各感光体ドラム(像担持体)211, 212,213, 214を有する画像形成ユニット201, 202, 203, 204と、これら感光体ドラム211〜214に接触する一次帯電用の帯電ロール(接触型帯電装置)221, 222, 223, 224と、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色の光を照射する前記ラインヘッド(露光装置)と、現像装置241, 242, 243, 244が設けられている。
【0070】
また、上記4つの感光体ドラム211〜214のうちの2つの感光体ドラム211, 212に接触する第1の一次中間転写ドラム(中間転写体)251及び他の2つの感光体ドラム213,214に接触する第2の一次中間転写ドラム(中間転写体)252と、上記第1、第2の一次中間転写ドラム251,252に接触する二次中間転写ドラム(中間転写体)253と、この二次中間転写ドラム253に接触する最終転写ロール(転写部材)260とが設けられている。
【0071】
上記感光体ドラム211〜214の表面は、帯電ロール212〜214に、所定のDC電圧を印加することによって、例えば適宜の電圧に帯電される。その後、感光体ドラム211〜214の表面には、露光装置としての前記ラインヘッドによって、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した照射光231, 232, 233, 234が照射され、各色毎の入力画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム211〜214は、ラインヘッドの照射光で静電潜像が書き込まれた際に、その画像露光部の表面電位は所定電圧に除電される。
【0072】
また、上記感光体ドラム211〜214の表面に形成されたシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した静電潜像は、対応する色の現像装置241〜244によって現像され、感光体ドラム211〜214上にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。現像装置241〜244には、それぞれ色の異なったシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)色のトナーと、キャリアからなる現像剤が充填されている。
【0073】
これらの現像装置241〜244は、図示を省略しているトナー補給装置からトナーが補給されると、この補給されたトナーは、オーガー404で充分にキャリアと攪拌されて摩擦帯電される。現像ロール401 の内部には、複数の磁極を所定の角度に配置したマグネットロール(不図示)が固定した状態で配置されている。この現像ロール401に現像剤を搬送するパドル403 によって、当該現像ロール401の表面近傍に搬送された現像剤は、現像剤量規制部材402によって現像部に搬送される量が規制される。
【0074】
次に、上記各感光体ドラム211〜214上に形成されたシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム251及び第2の一次中間転写ドラム252上に、静電的に二次転写される。感光体ドラム211,212上に形成されたシアン(C)およびマゼンタ(M)色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム251上に、感光体ドラム213,214上に形成されたイエロー(Y)、ブラック(K)色のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム252上に、それぞれ転写される。
【0075】
従って、第1の一次中間転写ドラム251上には、感光体ドラム211または212のどちらから転写された単色像と、感光体ドラム211及び212の両方から転写された2色のトナー像が重ね合わされた二重色像が形成されることになる。また、第2の一次中間転写ドラム252上にも、感光体ドラム213,214から同様な単色像と二重色像が形成される。
【0076】
このように第1、第2の一次中間転写ドラム251,252上に形成された単色又は二重色のトナー像は、二次中間転写ドラム253上に静電的に3次転写される。従って、二次中間転写ドラム253上には、単色像からシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)色の四重色像までの最終的なトナー像が形成されることになる。
【0077】
次に、上記二次中間転写ドラム253上に形成された単色像から四重色像までの最終的なトナー像は、最終転写ロール260によって、用紙搬送路Pを通る用紙に3次転写される。この用紙は、図示を省略した紙送り工程を経て用紙搬送ロール290を通過し、二次中間転写ドラム253と最終転写ロール260のニップ部に送り込まれる。この最終転写工程の後、用紙上に形成された最終的なトナー像は、定着器270によって定着され、一連の画像形成プロセスが完了する。上記光学濃度センサ200は、最終転写ロール260の軸方向の中央部に、当該最終転写ロール260の外周において、半径方向の延長線上に位置するように配置されている。
【0078】
次に、本発明に係る画像形成装置に係る他の実施の形態について説明する。図14は、画像形成装置の縦断側面図である。図14において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、有機EL素子が設けられているラインヘッド167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0079】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢視A方向に回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢視B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢視C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0080】
165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器、167は像書込手段で有機EL素子を用いたラインヘッドで構成されている。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向の矢視D方向に駆動される。
【0081】
中間転写ベルト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ170aが前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆方向の矢視E方向に回動される。
【0082】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接されて用紙に画像が転写される。
【0083】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢視F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢視G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0084】
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ62aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢視A方向に90度回転する。
【0085】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0086】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレー178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。
【0087】
その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。この例では、ロータリ式の画像形成装置において、主走査方向の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。また、図10、図11に示されたように、中間転写部材を有する画像形成装置において、主走査方向の位置ずれ補正を簡単に行うことができる。
【0088】
以上、本発明のラインヘッドおよびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態を示す回路図である。
【図6】本発明の実施形態を示す回路図である。
【図7】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態を示す回路図である。
【図9】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明に係るタンデム方式の画像形成装置の概略構成を示す縦断側面図である。
【図13】本発明に係る他のタンデム方式の画像形成装置を示す縦断側面図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す画像形成装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0090】
1、2、5a〜5d・・・発光素子ライン、3・・・切り替えスイッチ、7・・・制御回路、10・・・ラインヘッド、21・・・本体コントローラ20・・・制御装置、22・・・制御部、23・・・メモリ23、24・・・切り替え回路、41(K、C、M、Y)・・・感光体ドラム(像担持体)、42(K、C、M、Y)・・・帯電手段(コロナ帯電器)、44(K、C、M、Y)・・・現像装置、45(K、C、M、Y)・・・一次転写ローラ、46(K、C、M、Y)・・・クリーニング装置、50・・・中間転写ベルト、66・・・二次転写ローラ、101K、101C、101M、101Y・・・ラインヘッド、161・・・現像装置、165・・・感光体ドラム、167・・・ラインヘッド、169・・・中間転写ベルト、171・・・二次転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ラインに複数の発光素子を配列した発光素子ラインを副走査方向に複数列設けたラインヘッドであって、前記発光素子ラインを選択する制御手段と、前記発光素子ラインを切り替える切り替え手段と、画像の位置ずれ情報を記憶する記憶手段とを有し、画像の位置ずれ情報に基づいて点灯させる発光素子ラインを切り替えて、レジスト調整することを特徴とする、ラインヘッド。
【請求項2】
前記発光素子ラインを、副走査方向の画像の位置ずれ情報に基づいて切り替えて、レジスト調整することを特徴とする、請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記切り替えられる発光素子ラインの主走査方向の書き出し位置が、基準となる発光素子ラインの書き出し位置とは異なる位置に設定されていることを特徴とする、請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
前記切り替え手段として、スイッチングトランジスタを用いることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項5】
前記発光素子ラインに配列された発光素子を、個別に選択して発光させる手段を有することを特徴とする、請求項4に記載のラインヘッド。
【請求項6】
前記発光素子を有機EL素子、またはLEDで構成したことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のラインヘッド。
【請求項7】
前記有機EL素子からなる発光素子により中間調を表現することを特徴とする、請求項6に記載のラインヘッド。
【請求項8】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が各ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、ロータリ現像ユニットと、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のラインヘッドとを備え、前記ロータリ現像ユニットは、複数のトナーカートリッジに収納されたトナーをその表面に担持するとともに、所定の回転方向に回転することによって異なる色のトナーを順次前記像担持体との対向位置に搬送し、前記像担持体と前記ロータリ現像ユニットとの間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記ロータリ現像ユニットから前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
中間転写部材を備えたことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−27076(P2006−27076A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209314(P2004−209314)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】