説明

リソグラフィ用基板被覆方法、及び該方法に用いられる感活性光線または感放射線性樹脂組成物

【課題】 超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、現像前のレジスト表面が親水性と疎水性の凸凹構造を持つことによる撥水化を抑制し、ムラなく均一に現像が進行するようにすることで、抜け性の向上による高解像性とアウトガス低減を同時に実現するパターン形成を可能とするリソグラフィ用基板被覆方法、及びその方法に用い得るポジ型レジスト組成物を提供すること。
【解決手段】 リソグラフィプロセスにおいて基板上に膜を被覆する工程と、該膜上にトップコート層を設ける工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、前記膜が、活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(A)を有する樹脂(P)を含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする、リソグラフィ用基板被覆方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるリソグラフィ用基板被覆方法、及びその方法に用い得る感活性光線または感放射線性樹脂組成物に関し、更に詳しくは電子線、X線又はEUVリソグラフィ用基板被覆方法、及びその方法に用い得るポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。さらには、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィも開発が進んでいる。
【0004】
化学増幅型のレジストにおいて微細パターンを形成するためには、露光によって発生した酸の拡散距離を制御する必要がある。特に超微細領域の電子線、X線、EUVリソグラフィにおいては酸拡散距離を十分に短くする必要がある。酸拡散距離を制御する方法としては、アミン等の酸クエンチャーを用いる方法や発生酸のサイズによる制御、プロセス温度の制御などの方法が知られている。しかしながら、これらの方法はいわば従来技術の延長線上の技術であり、レジストの基本性能の抜本的向上には至っていない。
【0005】
一方、集積回路のリソグラフィにおいて、パターン形成は露光部と未露光部のアルカリ溶解速度の差を利用して行うことが一般的である。ポジ型化学増幅レジストの場合、露光部は膜収縮しつつ親水化・アルカリ可溶化する。したがって、現像前のレジスト表面は親水面と疎水面で凸凹の構造を有する。パターンが微細化するにつれ現像前のレジスト表面の親疎水凸凹バターンも微細化されていくことになる。微細なパターンをムラなく均一に現像するためには、現像液がレジスト表面にムラなく均一に広がることが必要である。一方で、微細な凸凹面は撥水的な性質をしめすことが一般的に知られており、パターンの微細化に伴いアルカリ現像液の濡れにムラが生じやすい状態になってきていた。アルカリ現像液の濡れムラは、例えば、ラインウィズラフネス(LWR)、露光部の抜け性や線幅均一性の悪化をもたらす。特に露光部の抜け性は、パターンが密集パターン(デンスパターン)やトレンチパターンである場合に重要である。
【0006】
レジスト表面の親疎水性を制御する方法として、液浸ArFパターニングではレジスト層の上面に疎水的なトップコート層を設ける方法が知られている (例えば、特許文献1を参照)。該トップコートはレジストから液浸水へのレジスト内容物の溶出を防ぐ機能を持ち、また表面を疎水化することによって液浸水の追随性を向上させる効果を持つが、現像液の濡れムラを改良する効果はなかった。
【0007】
また、EUVリソグラフィ用トップコートとしては、硼素を具備するグループを含有するポリマーからなるトップコート層を形成する方法が開示されている(特許文献2)。EUVリソグラフィにおいて、露光時に発生するアウトガスを低減することが重要な課題となっており、レジストの上面に感光層以外の層を設けることでレジストからのアウトガスの低減する効果を狙っている。
【特許文献1】特開2006−58404号公報
【特許文献2】特許第4036849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、現像前のレジスト表面が親水性と疎水性の凸凹構造を持つことによる撥水化を抑制し、ムラなく均一に現像が進行するようにすることで、抜け性の向上による高解像性とアウトガス低減を同時に実現するパターン形成を可能とするリソグラフィ用基板被覆方法、及びその方法に用い得るポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記に示す本発明に到達したものである。
(1) リソグラフィプロセスにおいて基板上に膜を被覆する工程と、該膜上にトップコート層を設ける工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、前記膜が、活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(A)を有する樹脂(P)を含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする、リソグラフィ用基板被覆方法。
【0010】
(2) トップコート層が、水溶性樹脂を含有する水溶液を用いて形成されることを特徴とする、(1)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0011】
(3) トップコート層を形成するために用いられる前記水溶液のpHが1〜10の範囲であることを特徴とする、(2)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0012】
(4) 前記膜の膜厚が10〜100nmであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0013】
(5) 前記樹脂(P)が、更に、酸の作用により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する構造を有する繰り返し単位(B)を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0014】
(6) 前記繰り返し単位(B)が、フェノール性水酸基の水素原子が酸の作用により脱離する基で置換された基を少なくとも1つ有することを特徴とする、(5)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0015】
(7) 前記繰り返し単位(B)が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、(5)又は(6)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化1】

【0016】
ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、置換又は無置換のアルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していてもよい。
Ar1は、芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【0017】
(8) 前記一般式(I)中のYが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする、(7)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化2】

【0018】
ここで、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基、置換又は無置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のアンモニウム基、置換又は無置換のメルカプト基、シアノ基又は置換又は無置換のアルデヒド基を表す。
Q、M、L1のいずれか2つが結合して5員若しくは6員環を形成してもよい。
【0019】
(9) 前記樹脂(P)が、繰り返し単位(A)として下記一般式(III)〜(V)で表わされる繰り返し単位の少なくとも1種類を有することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化3】

【0020】
ここで、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、置換又は無置換のカルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
1 〜X3 は、各々独立に、単結合、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO2 −、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを生じる構造部位を表す。
【0021】
(10) 前記一般式(III)〜(V)中のAが、スルホニウム塩又はヨードニウム塩を含む構造部位であることを特徴とする、(9)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0022】
(11) 前記繰り返し単位(A)が、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0023】
(12) 前記樹脂(P)が、更に、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位(C)を有することを特徴とする、(1)〜(11)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化4】

【0024】
ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、置換又は無置換のアルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していてもよい。
Ar1は、芳香環基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【0025】
(13) (1)〜(12)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法において、前記膜の形成に用いられることを特徴とする、(1)〜(12)のいずれかに記載の感活性光線または感放射線性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、特にアンダー露光マージンを拡大することにより高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスを達成し、かつアウトガス低減を同時に満足するパターン形成技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0028】
<ポジ型レジスト組成物>
本発明のリソグラフィ用基板被覆方法において、フォトレジスト層の形成に用いられるポジ型レジスト組成物について説明する。
【0029】
〔樹脂(P)〕
本発明のポジ型レジスト組成物が含有する樹脂(P)は、活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(A)を有する。
【0030】
(1)繰り返し単位(A)
繰り返し単位(A)としては、活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位であれば、いずれでも用いることができる。
【0031】
前記繰り返し単位(A)としては、例えば、下記一般式(III)〜(V)のいずれかで表わされる繰り返し単位が好ましい。
【化5】

【0032】
ここで、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、カルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
1 〜X3 は、各々独立に、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO2 −、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表す。
【0033】
前記一般式(III)〜(V)における、R04 〜R05 、R07 〜R09 のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
【0034】
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
【0035】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R04 〜R05 、R07 〜R09におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0036】
25〜R27、R33のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
【0037】
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは置換基を有していても良いビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基の様な炭素数2〜6個のものが挙げられる。
【0038】
アリール基としては、置換基を有していても良い炭素数6〜14個の単環、多環の芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またアリール基同士が結合して、複環を形成していてもよい。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等の置換基を有していても良い炭素数7〜15個のものが挙げられる。
26とR27が結合して窒素原子とともに形成する環としては、5〜8員環を形成するものが好ましいが、具体的にはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
【0039】
1 〜X3 のアリーレン基は、置換基を有していても良い炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0040】
アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
【0041】
シクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良いシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
【0042】
前記一般式(III)〜(V)における各基の好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、R04 〜R09、R25〜R27、R33で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基が挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0043】
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を生じる構造部位を表し、具体的には光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物が有する構造部位が挙げられる。
【0044】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているイオン性構造部位を挙げることができる。
S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩。
D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056 号等に記載のホスホニウム塩。
J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150,848号、特開平2-296,514号等に記載のヨードニウム塩。
【0045】
J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et.al. J.Org.Chem., 43,3055(1978)、W.R.Watt etal, J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed., 22,1789(1984)、J.V.Crivello et al, Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al, Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al, J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同3,902,114 号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩。
【0046】
J.V.Crivello etal, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J.V.Crivello etal,J. PolymerSci., Polymer Chem.Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩。
C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩。
【0047】
Aとしては、スルホニウム塩あるいはヨードニウム塩を含むイオン性構造部位がより好ましい。より具体的には、Aとして、下記一般式(ZI)又は(ZII)で表される基が好ましい。
【化6】

【0048】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0049】
-は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これにより樹脂の経時安定性が向上し、レジストの経時安定性も向上する。
【0050】
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)で表される基における対応する基を挙げることができる。
更に好ましい(ZI)で表される基として、以下に説明する(ZI−1)基、(ZI−2)基、及び(ZI−3)基を挙げることができる。
(ZI−1)基は、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムをカチオンとする基である。
【0051】
201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
例えば、トリアリールスルホニウム、ジアリールアルキルスルホニウム、アリールジアルキルスルホニウム、ジアリールシクロアルキルスルホニウム、アリールジシクロアルキルスルホニウムに相当する基を挙げることができる。
【0052】
アリールスルホニウムにおけるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の構造を挙げることができる。アリールスルホニウムが2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
アリールスルホニウムが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0054】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0055】
次に、(ZI−2)基について説明する。
(ZI−2)基は、一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す基である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
【0056】
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
【0057】
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
【0058】
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0059】
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0060】
(ZI−3)基とは、以下の一般式(ZI−3)で表される基であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する基である。
【化7】

【0061】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0062】
一般式(ZI−3)のカチオン部の具体的構造としては、特開2004−233661号公報の段落0047,0048や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている酸発生剤のカチオン部の構造を参照されたい。
【0063】
前記一般式(ZII)中、R204〜R205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基の具体例や好適な態様などは、前述の化合物(ZI−1)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
【0064】
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI−1)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
【0065】
-は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する酸アニオンを示し、非求核性アニオンが好ましく、一般式(ZI)に於けるZ-と同様のものを挙げることができる。
【0066】
Aとしては、下記一般式(ZCI)又は(ZCII)で表される基も好ましい例として挙げられる。
【化8】

【0067】
上記一般式(ZCI)において、
301、R302は、各々独立に、有機基を表す。
301、R302としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
【0068】
また、R301〜R302が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
301、R302の有機基として具体的には、例えば前記一般式(ZI)におけるR201〜R203の例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0069】
Mはプロトンが付与して酸を形成する原子団を表す。より具体的には、後述する一般式AN1〜AN4で表される構造であり、この中でもAN1で表されるものが好ましい。
【0070】
303は有機基を表す。R303としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。R303の有機基として具体的には、例えば前記一般式(ZII)におけるR204、R205の具体例として挙げたアリール基、アルキル基、シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0071】
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する構造部位としては、例えば、下記光酸発生剤が有しているスルホン酸前駆体となる構造部位を挙げることができる。
【0072】
例えば、
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachietal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号の各明細書、特開昭64-18143 号、特開平2-245756号、特開平4-365048号等の各公報に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物。
【0073】
特開昭61−166544号公報等に記載のジスルホン化合物。
さらに、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物。
【0074】
繰り返し単位(A)は、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることがより好ましい。このような構造を選択すると、発生した酸アニオンの拡散が抑制され、解像度向上、ラインエッジラフネス良化などの観点で有効である。
Aの好ましい具体例を以下に挙げるが、特にこれらに限定されない。
【化9】

【0075】
【化10】

【0076】
本発明に有効に用いられる一般式(III)〜(V)のいずれかで表される繰り返し単位としては、より好ましくは、各々下記一般式(III−1)〜(III−6)、一般式(IV−1)〜(IV−4)、一般式(V−1)〜(V−2) のいずれかで表されるものを挙げることができる。
【化11】

【0077】
上記一般式中、Ar1aは、前記一般式(III)〜(V)中のX1 〜X3で示したアリーレン基と同様の、置換基を有していても良いアリーレン基を表す。
Ar2 a 〜Ar4 aは、前記の一般式(ZI)及び(ZII)におけるR201〜R203、R204〜R205で示したアリール基と同様の、置換基を有していても良いアリール基を表す。
01は、水素原子、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、又はシアノ基を表す。
【0078】
02、R021は、X1 〜X3で示したものと同様の、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−SO2 −、CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
【0079】
03、R019は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基としては、後記一般式(I)におけるR01〜R03としてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。アリール基、アラルキル基としては、後記一般式(II)におけるL1〜L2としてのアリール基、アラルキル基と同様のものを挙げることができる。
一般式(III)〜(V)のいずれかで表される繰り返し単位の好ましいものとして、更に、下記一般式(I−7)〜(I−34)で表されるものを挙げることができる。
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
【化14】

【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

【0084】
上記一般式中、Ar1 、Ar5は、上記のX1 〜X3と同様の、置換基を有していても良いアリーレン基を表す。Ar2 〜Ar3 、Ar6 〜Ar7 は、上記のR25〜R27、R33で示したアリール基と同様の、置換基を有していても良いアリール基を表す。R01は水素原子、メチル基、クロロメチル基又はシアノ基を表す。
【0085】
02は、X1 〜X3と同様の、アリーレン基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。R03、R05〜R010 、R013 、R015は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R04は、置換基を有していても良いアリーレン基、アルキレン基、更には置換基を有していても良い炭素数2〜6個のアルケニレン基を表す。このアルケニル基としては、置換基を有していてもよい、エチレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のアルケニレン基が好ましい。
【0086】
011 、R014 は水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、上記で好ましい更なる置換基として示したアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基を表す。R012 はニトロ基、シアノ基、又はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の過フルオロアルキル基を表す。X- はアリールスルホン酸、ヘテロアリールスルホン酸、アルキルスルホン酸、シクロアルキルスルホン酸、又は過フルオロアルキルスルホン酸のアニオンを表す。
【0087】
本発明の樹脂(P)中における繰り返し単位(A)の含有量は、全繰り返し単位に対して、0.5〜80モル%の範囲で含有することが好ましく、1〜60モル%の範囲で含有することがより好ましく、3〜40モル%の範囲で含有することが特に好ましい。
【0088】
繰り返し単位(A)に相当するモノマーの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、前記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸アニオンと既知のオニウム塩のハライドを交換して合成する方法が挙げられる。
【0089】
より具体的には、前記繰り返し単位に対応する重合性不飽和結合を有する酸の金属イオン塩(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)あるいはアンモニウム塩(アンモニウム、トリエチルアンモニウム塩等)と、ハロゲンイオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)を有するオニウム塩を、水あるいはメタノールの存在下で攪拌し、アニオン交換反応を行い、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロキシフラン等の有機溶媒と水で分液・洗浄操作をすることにより、目的とする繰り返し単位(A)に相当するモノマーを合成することができる。
【0090】
また、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロキシフラン等の水との分離が可能な有機溶媒と水の存在下で攪拌してアニオン交換反応を行った後に、水で分液・洗浄操作をすることによって合成することもできる。
【0091】
以下に一般式(III)〜一般式(V) のいずれかで表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
【化17】

【0092】
【化18】

【0093】
【化19】

【0094】
【化20】

【0095】
【化21】

【0096】
【化22】

【0097】
【化23】

【0098】
【化24】

【0099】
【化25】

【0100】
【化26】

【0101】
【化27】

【0102】
【化28】

【0103】
【化29】

【0104】
【化30】

【0105】
【化31】

【0106】
【化32】

【0107】
(2)繰り返し単位(B)
樹脂(P)は、更に、酸の作用により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する構造を有する繰り返し単位(B)を有することが好ましい。
【0108】
酸の作用により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する構造としては、例えば、−COOA0、−O−B0基で表される基が挙げられる。更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。R01、R02、R03、R04及びR05は、同一または異なり、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していてもよい2価の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を示す。
【0109】
繰り返し単位(B)として好ましくは、フェノール性水酸基の水素原子が、酸の作用により脱離する基で置換された基を少なくとも一つ有する繰り返し単位である。
【0110】
前記繰り返し単位(B)としては、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し構造単位が好ましい。
【化33】

【0111】
ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。
Ar1は、芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【0112】
一般式におけるR01 〜R03のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01 〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0113】
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよいシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
03がアルキレン基を表す場合、アルキレン基としては、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
【0114】
Ar1 の芳香環基は、置換基を有していても良い炭素数6〜14個のものが好ましく、具体的にはベンゼン環、トルエン環、ナフタレン環等が挙げられる。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、n個中の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
【0115】
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R21)(R22)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−CH(R36)(Ar)等を挙げることができる。
【0116】
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
21〜R22は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
【0117】
36〜R39、R21及びR22のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
【0118】
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。尚、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0119】
36〜R39、R21、R22及びArのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R21及びR22のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
【0120】
36とR37とが、互いに結合して形成する環は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等を挙げることができる。尚、シクロアルカン構造中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0121】
36〜R39、R01、R02、R03、21、R22、Ar及びAr1としての上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数8以下が好ましい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(II)で表される構造がより好ましい。
【化34】

【0122】
ここで、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
Q、M、L1のいずれか2つが結合して5員若しくは6員環を形成しても良い。
【0123】
1及びL2としてアルキル基は、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
1及びL2としてシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15個のシクロアルキル基であって、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基を好ましく挙げることができる。
1及びL2としてアリール基は、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
1及びL2としてアラルキル基は、例えば、炭素数6〜20であって、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
【0124】
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基など)、アルケニレン基(例えば、エチレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、およびこれらの複数を組み合わせた2価の連結基である。R0は、水素原子またはアルキル基(例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基など)である。
【0125】
Qとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、上述のL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしてのヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基及びヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基に於ける脂環基及び芳香環基としては、上述のL1及びL2としてのシクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜15である。
ヘテロ原子を含む脂環基及びヘテロ原子を含む芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、ピロリドン等のヘテロ環構造を有する基が挙げられるが、一般にヘテロ環と呼ばれる構造(炭素とヘテロ原子で形成される環、あるいはヘテロ原子にて形成される環)であれば、これらに限定されない。
【0126】
Q、M、L1のいずれか2つが結合して形成してもよい5員または6員環としては、Q、M、L1のいずれか2つが結合して、例えば、プロピレン基、ブチレン基を形成して、酸素原子を含有する5員または6員環を形成する場合が挙げられる。
一般式(II)におけるL1、L2、M、Qで表される各基についても、置換基を有していてもよく、例えば、前述のR36〜R39、R01、R02、R03、Ar及びAr1が有してもよい置換基として挙げたものが挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0127】
−M−Qで表される基として、炭素数1〜30個で構成される基が好ましく、炭素数5〜20個で構成される基がより好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化35】

【0128】
【化36】

【0129】
【化37】

【0130】
【化38】

【0131】
【化39】

【0132】
本発明の樹脂(P)中における繰り返し単位(B)の含有量は、全繰り返し単位に対して、3〜90モル%の範囲で含有することが好ましく、5〜80モル%の範囲で含有することがより好ましく、7〜70モル%の範囲で含有することが特に好ましい。
樹脂(P)中の繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)との比率(Aのモル数/ Bのモル数)は、0.04〜1.0が好ましく、0.05〜0.9がより好ましく、0.06〜0.8が特に好ましい。
【0133】
(3)繰り返し単位(C)
本発明における樹脂(P)には、更に、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位(C)を有することが好ましい。
【化40】

【0134】
ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、アルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していても良い。
Ar1は、芳香環基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【0135】
一般式(VI)に於ける、R01、R02、R03、及びAr1の具体例としては、一般式(I)に於ける、R01、R02、R03、及びAr1と同様のものである。
一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化41】

【0136】
本発明の樹脂中における繰り返し単位(C)の含有量は、全繰り返し単位に対して、3〜90モル%の範囲で含有することが好ましく、5〜80モル%の範囲で含有することがより好ましく、7〜70モル%の範囲で含有することが特に好ましい。
【0137】
(4)本発明の樹脂(P)の形態、重合方法、分子量など
樹脂(P)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。
上述の繰り返し単位(A)を含有する本発明に係わる樹脂(P)、あるいは繰り返し単位(A)、(B)を含有する本発明に係わる樹脂(P)、あるいは繰り返し単位(A)、(B)、(C)を含有する本発明に係わる樹脂(P)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
【0138】
本発明に係る樹脂(P)は、繰り返し単位(A)を0.5〜80モル%、繰り返し単位(B)を3〜90モル%、繰り返し単位(C)を3〜90モル%有することが好ましい。
【0139】
本発明に係わる樹脂(P)の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が1000〜100000の範囲であることが好ましく、1500〜70000の範囲であることがより好ましく、2000〜50000の範囲であることが特に好ましい。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:THFあるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
また分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜5.00、より好ましくは1.03〜3.50であり、更に好ましくは、1.05〜2.50である。
【0140】
また本発明に係わる樹脂の性能を向上させる目的で、耐ドライエッチング性を著しく損なわない範囲で、更に他の重合性モノマー由来の繰り返し単位を有していてもよい。
その他の重合性モノマー由来の繰り返し単位の樹脂中の含有量としては、全繰り返し単位に対して、一般的に50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。使用することができるその他の重合性モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0141】
具体的には、(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−t−オクチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
【0142】
(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基などがある。)、N−アリール(メタ)アクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基などがある。)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある。)、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基などがある。)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0143】
アリル化合物としては、例えば、アリルエステル類(例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
【0144】
ビニルエーテル類としては、例えば、アルキルビニルエーテル(例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど)、ビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなど)が挙げられる。
【0145】
ビニルエステル類としては、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サルチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニルなどが挙げられる。
【0146】
スチレン類としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、アルキルカルボニルオキシスチレン(例えば、4−アセトキシスチレン、4−シクロヘキシルカルボニルオキシスチレン)、アリールカルボニルオキシスチレン(例えば、4−フェニルカルボニルオキシスチレン)、ハロゲンスチレン(例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、シアノスチレン、カルボキシスチレンなどが挙げられる。
【0147】
クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸アルキル(例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネートなど)が挙げられる。
【0148】
イタコン酸ジアルキル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類としては、例えば、ジメチルマレレート、ジブチルフマレートなどが挙げられる。
その他にも、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等をあげることができる。また一般に前記本発明にかかわる繰り返し単位と共重合可能である付加重合性不飽和化合物であれば、特に制限されず用いることができる。
【0149】
本発明の樹脂(P)は、1種類単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂(P)の含有率は、本発明のポジ型レジスト組成物中の全固形分を基準にして、30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%が特に好ましい。
【0150】
樹脂(P)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
樹脂(P)の具体例としては、例えば、前記一般式(III)〜(IV)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位/前記一般式(I)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位を有する樹脂、前記一般式(III)〜(IV)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位/前記一般式(I)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位/前記一般式(VI)の具体例から選択される1種以上の繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
より好ましい具体例としては、例えば、下記構造の樹脂を挙げることが出来る。
【化42】

【0151】
【化43】

【0152】
【化44】

【0153】
【化45】

【0154】
【化46】

【0155】
【化47】

【0156】
【化48】

【0157】
【化49】

【0158】
【化50】

【0159】
【化51】

【0160】
本発明のポジ型レジスト組成物には、必要に応じて更に、塩基性化合物、酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂、従来型の光酸発生剤、有機溶剤、界面活性剤、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解促進性化合物、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物等を含有させることができる。
【0161】
<塩基性化合物>
本発明のポジ型レジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減あるいは、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御するために、塩基性化合物を含有してもよい。
【0162】
好ましい塩基性化合物として、下記一般式(A)〜(E)で示される構造を有する塩基性化合物を挙げることができる。
【化52】

【0163】
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。
【0164】
これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を示す。
【0165】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0166】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0167】
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。これら化合物の具体例としては、US2007/0224539Aの[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられる。
【0168】
また、塩基性化合物として、感光性の塩基化合物を用いても良い。感光性の塩基化合物としては特に限定されないが、例えば、特表2003−524799号広報、J.Photopolym.Sci&Tech. Vol.8, P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
【0169】
塩基性化合物の分子量は、250〜2000であることが好ましく、更に好ましくは400〜1000である。
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。
塩基性化合物の含有量は、ポジ型レジスト組成物の全固形分に対して、0〜8.0質量%であることが好ましく、更に好ましくは0〜5.0質量%、特に好ましくは0〜4.0質量%である。
【0170】
<酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂>
本発明のポジ型レジスト組成物は、樹脂(P)以外に、酸の作用により分解してアルカリ水溶性に対する溶解速度が増大する樹脂を含有していてもよい。
【0171】
酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう)は、樹脂の主鎖又は側鎖、或いは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)を有する樹脂である。この内、酸分解性基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0172】
酸分解性樹脂は、欧州特許第254853号明細書、特開平2−25850号公報、同3−223860号公報、同4−251259号公報等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0173】
酸分解性基としては、例えば、−COOH基、−OH基などのアルカリ可溶性基を有する樹脂において、左記のアルカリ可溶性基の水素原子を酸の作用により脱離する基で置換した基が好ましい。
【0174】
酸分解性基として具体的には、前述した本発明の樹脂で説明した酸分解性基(例えば、樹脂(P)における繰り返し単位(B)として説明した酸分解性基)と同様の基を好ましい例として挙げることができる。
【0175】
前記アルカリ可溶性基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、下記構造で表される置換基を有するポリ(ヒドロキシスチレン)類、およびフェノール性水酸基を有する樹脂、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂、(メタ)アクリル酸、ノルボルネンカルボン酸などのカルボキシル基を有する繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【化53】

【0176】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して17nm/秒以上が好ましい。特に好ましくは33nm/秒以上である。
【0177】
前記アルカリ可溶性樹脂モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アルキルカルボニルオキシスチレン(例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、1−アルコキシエトキシスチレン、t−ブトキシスチレン)、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル(例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートなど)等を挙げることができる。
【0178】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基を有する繰り返し単位の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0179】
酸分解性樹脂としては、特に限定されないが、芳香族基を有する繰り返し単位を有することが好ましく、ヒドロキシスチレンを繰り返し単位として有する酸分解性樹脂(例えば、ポリ(ヒドロキシスチレン/酸分解基で保護されたヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン/酸分解基で保護された(メタ)アクリル酸)など)がより好ましい。
酸分解性樹脂としては、特に下記一般式(VI)で表される繰り返し単位及び一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂が好ましい。
【化54】

【0180】
一般式(VI)は、前記一般式(VI)と同様のものであり、一般式(I)は、前記一般式(I)と同様のものである。
また、酸分解性樹脂は、他の重合性モノマー由来の繰り返し単位を有していてもよい。
【0181】
その他の重合性モノマー由来の繰り返し単位の樹脂中の含有量としては、全繰り返し単位に対して一般的に50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。使用することができるその他の共重合モノマー由来の繰り返し単位としては、前記のその他の重合性モノマー由来の繰り返し単位と同様の繰り返し単位を挙げることができる。
【0182】
水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基などアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、酸分解性樹脂を構成する全繰り返し単位中、好ましくは1〜99モル%、より好ましくは3〜95モル%、特に好ましくは5〜90モル%である。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、酸分解性樹脂を構成する全繰り返し単位中、好ましくは3〜95モル%、より好ましくは5〜90モル%、特に好ましくは10〜85モル%である。
【0183】
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、50,000以下が好ましく、より好ましくは1,000〜20000、特に好ましくは、1,000〜10,000である。
酸分解性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、より好ましくは1.05〜2.0であり、更に好ましくは1.1〜1.7である。
また、酸分解性樹脂は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
酸分解性樹脂の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化55】

【0184】
【化56】

【0185】
本発明のポジ型レジスト組成物において、樹脂(P)を除く酸分解性樹脂の組成物中の配合量は、組成物の全固形分中0〜70質量%が好ましく、より好ましくは0〜50質量%、更により好ましくは0〜30質量%である。
【0186】
<酸発生剤>
本発明のポジ型レジスト組成物では、光酸発生構造を有する樹脂(P)を含有しているが、該樹脂(P)以外に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する低分子の化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有してもよい。
【0187】
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0188】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0189】
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI´)、(ZII´)及び(ZIII´)で表される化合物を挙げることができる。
【化57】

【0190】
一般式(ZI´)及び(ZII´)において、
201〜R205は、前記一般式(ZI)及び(ZII)におけるR201〜R205と同義である。
【0191】
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオ
ン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF、PF、SbFなどが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。
【0192】
より好ましい有機アニオンとしては、下記一般式(AN1)〜(AN4)に示す有機アニオンが挙げられる。
【化58】

【0193】
一般式(AN1)及び(AN2)に於いて、Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rdは水素原子、アルキル基を表し、結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
【0194】
Rcの有機基としてより好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は全ての水素原子がフッ素原子で置換されているのではなく、水素原子の一部が残されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
Rcの最も好ましい様態としては、下記一般式で表される基である。
【化59】

【0195】
上記一般式に於いて、
Rcは、炭素数4以下、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3のパーフロロアルキレン基、又は1〜4個のフッ素原子及び/又は1〜3個のフロロアルキル基で置換されたフェニレン基を表す。
Axは連結基(好ましくは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−)を表す。Rdは水素原子、アルキル基を表し、Rcと結合して環構造を形成してもよい。
Rcは、水素原子、フッソ原子、置換していてもよい、直鎖若しくは分岐状アルキル基、単環または多環のシクロアルキル基又はアリール基を表す。置換していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は置換基としてフッソ原子を含有しないことが好ましい。
【0196】
前記一般式(AN3)及び(AN4)に於いて、
Rc、Rc及びRcは、有機基を表す。
一般式(AN3)及び(AN4)に於ける、Rc、Rc、Rcの有機基として、好ましくはRcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができる。
【0197】
RcとRcが結合して環を形成していてもよい。
RcとRcが結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。RcとRcが結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上し、好ましい。
【0198】
尚、一般式(Z1´)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI´)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI´)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0199】
前記一般式(ZIII´)中、
206〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
206〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
206〜R207としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
【0200】
206〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
206〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
【0201】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV´)、(ZV´)、(ZVI´)で表される化合物を挙げることができる。
【化60】

【0202】
一般式(ZIV´)〜(ZVI´)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
209及びR210は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。R209として好ましくは、アリール基である。R210として好ましくは、電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
これらの基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、R204〜R207が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0203】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で、より好ましくは、一般式(ZI´)、(ZIII´)、(ZVI´)で表される化合物であり、更に好ましくは、一般式(ZI−1´)、(ZIII´)、(ZVI´)で表される化合物である。
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【化61】

【0204】
【化62】

【0205】
【化63】

【0206】
【化64】

【0207】
【化65】

【0208】
【化66】

【0209】
また酸発生剤の好ましい例として、下記一般式(A1)で表される化合物を挙げることもできる。
【化67】

【0210】
一般式(A1)中、
1a〜R13aは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、R1a〜R13aのうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を含む置換基である。
Zaは、単結合または2価の連結基である。
-は、対アニオンを表す。
本発明におけるアルコール性水酸基とはアルキル基の炭素原子に結合した水酸基を表す。
【0211】
1a〜R13aがアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1a〜R13aは、−W−Yで表される。ただし、Yは、水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは、単結合または2価の連結基である。
【0212】
Yのアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができ、好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基であり、更に好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基である。Yは、特に好ましくは-CH2CH2OH構造を含有する。
【0213】
Wで表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などの一価の基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基を挙げることができる。
【0214】
Wとして好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基であり、更に好ましくは単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基である。
【0215】
1a〜R13aがアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は好ましくは2〜10個であり、更に好ましくは2〜6個であり、特に好ましくは2〜4個である。
【0216】
1a〜R13aとしてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有しても良い。R1a〜R13aとしてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数としては1個から6個であり、好ましくは1個から3個が好ましく、更に好ましくは1個であることが好ましい。
【0217】
一般式(A1)で表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1a〜R13aすべてあわせて1個から10個であり、好ましくは1個から6個であり、更に好ましくは1個から3個である。
【0218】
1a〜R13aがアルコール性水酸基を含有しない場合、R1a〜R13aは、各々独立に水素原子または置換基であり、置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0219】
また、R1a〜R13aのうちの隣接する2つが、共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0220】
1a〜R13aがアルコール性水酸基を含有しない場合、R1a〜R13aは、好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基、ウレイド基である。
【0221】
1a〜R13aがアルコール性水酸基を含有しない場合、R1a〜R13aは、更に好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基である。
【0222】
更に、R1a〜R13aがアルコール性水酸基を含有しない場合、R1a〜R13aは、特に好ましくは水素原子又はアルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
【0223】
一般式(A1)中、R1a〜R13aのうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を含み、好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含む。
Zaは、単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、−C≡C−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基、等であり、置換基を有しても良い。これらの置換基としては上のR1a〜R13aに示した置換基と同様である。Zaとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、−C≡C−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基など電子求引性を持たない置換基であり、更に好ましくは単結合、エーテル基、チオエーテル基であり、特に好ましくは単結合である。
【0224】
一般式(A1)におけるX-としての対アニオンは、前述の酸発生剤、一般式(ZI’)または(ZI”)で表される酸発生剤におけるX-としての非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
一般式(A1)で表される化合物の分子量は、200〜2000が好ましく、特に好ましくは400〜1000である。
以下に、一般式(A1)で表される化合物の具体例としては、US2007/0184384Aの[0095]に例示されている(A1)〜(A36)を好適な例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0225】
一般式(A1)で表される酸発生剤は、例えば、US2007/0184384Aの[0090]に記載の方法に従って合成することができる。
【0226】
本発明のポジ型レジスト組成物において、光酸発生構造を有する樹脂(P)以外に、酸発生剤を用いる場合には、酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤の組成物中の含量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、0〜20質量%が好ましく、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜7質量%である。
【0227】
<有機溶剤>
前記各成分を溶解させてポジ型レジスト組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含有しても良いモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
【0228】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく挙げられる。
【0229】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルを好ましく挙げられる。
【0230】
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルを好ましく挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルを好ましく挙げられる。
【0231】
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが好ましく挙げられる。
【0232】
環を含有しても良いモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン、3−メチルシクロヘプタノンが好ましく挙げられる。
【0233】
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートが好ましく挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが好ましく挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピルが好ましく挙げられる。
【0234】
好ましく使用できる溶剤としては、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、プロピレンカーボネートが挙げられる。特に好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
本発明に於いては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0235】
<界面活性剤>
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に界面活性剤を含有することが好ましく、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
【0236】
本発明のポジ型レジスト組成物が上記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0237】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431、4430(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)、GF−300、GF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製)、エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、352、EF801、EF802、EF601((株)ジェムコ製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520(OMNOVA社製)、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D、222D((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0238】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0239】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C37基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体などを挙げることができる。
【0240】
また、本発明では、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0241】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0242】
<酸分解性溶解阻止化合物>
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)を含有することができる。
【0243】
溶解阻止化合物としては、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、前記酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
【0244】
本発明のポジ型レジスト組成物を、電子線で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、さらに好ましくは2〜6個含有するものである。
【0245】
本発明における溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
溶解阻止化合物の添加量は、ポジ型レジスト組成物の全固形分に対し、好ましくは0〜50質量%であり、より好ましくは0〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化68】

【0246】
<トップコート材料>
本発明のリソグラフィ用基板被覆方法において、トップコート層の形成に用いられる材料について説明する。
本発明のトップコート材料としては、樹脂を水または有機溶剤に溶解させて用いることが好ましい。最も好ましくは樹脂を水に溶解させて用いることである。
【0247】
有機溶剤に溶解させて用いる場合、当該有機溶剤としてはレジスト膜を溶解しない溶剤を用いることが好ましい。使用しうる溶剤としては、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤、炭化水素系溶剤を用いることが好ましく、非フッ素系のアルコール系溶剤を用いることが更に好ましい。アルコール系溶剤としては、塗布性の観点から1価のアルコールが好ましく、更に好ましくは炭素数4〜8の1価アルコールである。炭素数4〜8の1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状のアルコールを用いることができるが、直鎖状、分岐状のアルコールが好ましい。具体的には、例えば1-ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノールおよび3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。
【0248】
本発明のトップコート材料は水溶液であることがより好ましく、水溶性樹脂を含有することが好ましい。このような選択を行うことにより、現像液の濡れ性の均一性をより高めることができると考えられる。好ましい水溶性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリアクリルイミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、多糖類、等が挙げられる。特に好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールである。
【0249】
また、水溶性樹脂としては上記のようなホモポリマーのみに限定されず、共重合体であっても構わない。例えば、アクリル酸―メタクリル酸共重合体、アクリル酸−ヒドロキシスチレン共重合体なども本発明に用いることができる。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、特に制限はないが、2000から100万が好ましく、更に好ましくは5000から50万、特に好ましくは1万から10万である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:THFあるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
【0250】
トップコート材料のpHは、特に制限はないが、好ましくは1から10、更に好ましくは2から8、特に好ましくは3から7である。
トップコート材料の溶剤が有機溶媒である場合、トップコート材料は疎水性樹脂を含有することが好ましい。疎水性樹脂としては、例えば特開2008−209889号公報に記載の疎水性樹脂を用いることが好ましい。
トップコート材料中の樹脂の濃度は、好ましくは0.1から10質量%、さらに好ましくは0.2から5質量%、特に好ましくは0.3から3質量%である。
【0251】
トップコート材料には樹脂以外の成分を含んでもよいが、トップコート材料の固形分に占める樹脂の割合は、好ましくは80から100質量%であり、更に好ましくは90から100質量%、特に好ましくは95から100質量%である。トップコート材料に添加し得る樹脂以外の成分としては、界面活性剤、光酸発生剤、塩基性化合物などが挙げられる。光酸発生剤及び塩基性化合物の具体例としては、上述した酸発生剤及び塩基性化合物と同様の化合物が挙げられる。
【0252】
界面活性剤を使用する場合、界面活性剤の使用量は、トップコート組成物の全量に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
処理剤に界面活性剤を添加することによって、処理剤を塗布する場合の塗布性が向上する。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤が挙げられる。
【0253】
ノニオン性界面活性剤としては、BASF社製のPlufaracシリーズ、青木油脂工業社製のELEBASEシリーズ、ファインサーフシリーズ、ブラウノンシリーズ、旭電化工業社製のアデカプルロニック P-103、花王ケミカル社製のエマルゲンシリーズ、アミートシリーズ、アミノーン PK-02S、エマノーン CH-25、レオドールシリーズ、AGCセイミケミカル社製のサーフロン S-141、第一工業製薬社製のノイゲンシリーズ、竹本油脂社製のニューカルゲンシリーズ、日信化学工業社製のDYNOL604、エンバイロジェムAD01、オルフィンEXPシリーズ、サーフィノールシリーズ、菱江化学社製のフタージェント 300、等を用いることができる。
【0254】
アニオン性界面活性剤として、花王ケミカル社製のエマール20T、ポイズ 532A、TOHO社製のフォスファノール ML-200、クラリアントジャパン社製のEMULSOGENシリーズ、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-111N、サーフロンS-211、第一工業製薬社製のプライサーフシリーズ、竹本油脂社製のパイオニンシリーズ、日信化学工業社製のオルフィンPD-201、オルフィンPD-202、日本サーファクタント工業社製のAKYPO RLM45、ECT-3、ライオン社製のライポン、等を用いる事ができる。
【0255】
カチオン性界面活性剤として、花王ケミカル社製のアセタミン24、アセタミン86等を用いる事ができる。
両性界面活性剤として、サーフロンS-131(AGCセイミケミカル社製)、エナジコールC-40H、リポミン LA (以上 花王ケミカル社製)等を用いる事ができる。
またこれらの界面活性剤を混合して用いることもできる。
【0256】
<リソグラフィ用基板被覆方法、およびパターン形成方法>
本発明のリソグラフィ用基板被覆方法では、基板上に上記ポジ型レジスト組成物を用いてフォトレジスト層が形成され、該フォトレジスト層上に上記トップコート材料を用いてトップコート層が形成される。このレジスト層の膜厚は、好ましくは10〜100nm、更に好ましくは20〜80nm、特に好ましくは30〜60nmであり、トップコート層の膜厚は、好ましくは10〜200nm、更に好ましくは20〜100nm、特に好ましくは40〜80nmである。
【0257】
基板上にポジ型レジスト組成物を塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
【0258】
例えば、ポジ型レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。また、トップコート層の形成前にレジスト膜を乾燥することが好ましい。
【0259】
次いで、得られたレジスト層上に、上記レジスト層の形成方法と同様の手段によりトップコート材料を塗布、乾燥し、トップコート層を形成する。
トップコート層を上層に有するレジスト膜に、通常はマスクを通して、電子線(EB)、X線又はEUV光を照射し(EBの場合はいわゆる直描も行われる)、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。
【0260】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
【0261】
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0262】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
合成例1(モノマー(M-1)の合成)
酢酸エチル80質量部に、p−ヒドロキシスチレン10質量部、p−トルエンスルホン酸・ピリジン塩0.01質量部を室温で溶解させた。この液を攪拌させながら、エチルビニルエーテル6.1質量部と酢酸エチル20質量部の混合液を室温で滴下した。滴下後、更に室温で24時間反応させた。
【0263】
反応液にトリエチルアミンを加えて塩基性にし、イオン交換水で洗浄した後、有機層を濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルでカラムクロマトグラフィー精製することにより、下記モノマー(M-1)を10.5質量部得た。
【0264】
合成例2(モノマー(M-2)の合成)
合成例1において、エチルビニルエーテルの代わりにシクロヘキシルビニルエーテルを10.7質量部用いた以外は、合成例1と同様にして反応させ、下記モノマー(M-2)を12.3質量部得た。
【0265】
合成例3(モノマー(M-3)の合成)
合成例1において、エチルビニルエーテルの代わりに2−シクロヘキシルエチルビニルエーテルを13.1質量部用いた以外は、合成例1と同様にして反応させ、下記モノマー(M-3)を14.7質量部得た。
【0266】
合成例4(モノマー(M-4)の合成)
合成例1において、エチルビニルエーテルの代わりに2−(4−シクロヘキシルフェノキシ)エチルビニルエーテルを20.9質量部用いた以外は、合成例1と同様にして反応させ、下記モノマー(M-4)を19.3質量部得た。
【0267】
合成例5(モノマー(M-5)の合成)
トリフェニルスルホニウムBr塩50質量部をメタノール50質量部に溶解させた。この液に、4−スチレンスルホン酸Na塩30質量部とメタノール50質量部とイオン交換水130質量部の混合液を室温で攪拌下、滴下した。
【0268】
イオン交換水とクロロホルムを加えて抽出・洗浄を行った。有機層を濃縮後、析出した固体をヘキサン/酢酸エチル中でリスラリー、ろ過することで、下記モノマー(M-5)を48質量部得た。
【0269】
合成例6(モノマー(M-6)の合成)
合成例5において、トリフェニルスルホニウムBr塩50質量部を4,4−ビス(メトキシフェニル)ヨードニウムBr塩61.3質量部に変えた以外は、合成例5と同様にして下記モノマー(M-6)を65質量部得た。
【0270】
合成例7(モノマー(M-7)の合成)
トリフェニルスルホニウムBr塩34質量部をメタノール15質量部とイオン交換水15質量部の混合溶媒に溶解させた。この液に、メタクリル酸3−スルホプロピルカリウム24質量部とメタノール15質量部とイオン交換水15質量部の混合液を室温で攪拌下、滴下した。
【0271】
2時間反応させた後、イオン交換水とクロロホルムを加えて抽出・洗浄を行った。有機層を濃縮することで、下記モノマー(M-7)を28質量部得た。
【化69】

【0272】
合成例8(樹脂(P−1)の合成)
1−メトキシ−2−プロパノール4.66質量部を窒素気流下、80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、4−ヒドロキシスチレン(以下、「HOST」ともいう)2.98質量部、上記合成例1にて得られたモノマー(M−1)6.23質量部、上記合成例5にて得られたモノマー(M−5)0.79質量部、1−メトキシ−2−プロパノール18.6質量部、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V−601、和光純薬工業(株)製〕1.36質量部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で更に4時間攪拌した。反応液を放冷後、多量のヘキサン/酢酸エチルで再沈殿・真空乾燥を行うことで、本発明の樹脂(P−1)を5.9質量部得た。
【0273】
得られた樹脂の1H NMRを測定したところ、図1に示す通り、9.0ppm付近に4−ヒドロキシスチレンのOH基に由来すると考えられるピーク、5.3ppm付近にモノマー(M−1)の−O−CH(CH3)−O−基のCHに由来すると考えられるピーク、7.8ppm付近にモノマー(M−5)のトリアリールスルホニウムカチオンのアリール基に由来すると考えられるピークを観測し、樹脂(P−1)が、下記構造単位から成る樹脂であることを確認した。またこれらのピーク面積比から、樹脂の組成比(モル比)を算出した。また、GPC(キャリア:N−メチル−2−ピロリドン(NMP))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は、Mw=15100、Mw/Mn(以下、「MWD」ともいう)=1.72であった。
【化70】

【0274】
合成例9〜18(樹脂(P−2)〜(P−11)の合成)
以下、合成例8と同様にして、本発明に使用される樹脂(P−2)〜(P−13)を合成した。
【0275】
使用した構造単位、その仕込み(質量部)、重合濃度(反応液濃度:質量%)、重合開始剤仕込み(質量部)、および生成した樹脂の組成比(モル比)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散度(MWD)を表1に示す。
【表1】

【0276】
以下、本発明の樹脂(P−1)〜(P−11)について、それぞれの構造、組成比、重量平均分子量、分散度を示す。
【化71】

【0277】
合成例19〜22(樹脂(P−21)、(P−22)、(P−31)、(P−32)の合成)
【化72】

【0278】
P−21は特開2005−084365号公報に記載の方法に準じて合成した。
P−22はJ. Mater. Chem.誌,第17巻,1699頁〜1706頁,2007年、および、US2007/0117043Aに記載の方法に準じて合成した。
P−31は特開2002−072483号公報に記載の方法に準じて合成した。
P−32は特開平10−111563号公報に記載の方法に準じて合成した。
【0279】
〔実施例1〜22及び比較例1〜3〕
<レジスト調製>
下記表2に示した成分を、表2に示した混合溶剤に溶解させ、これを0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して全固形分濃度1.8(質量%)のポジ型レジスト溶液を調製した。
表2に記載した各成分の濃度(質量%)は、全固形分を基準とする。界面活性剤の添加量は、ポジ型レジスト溶液の全固形分に対して0.05質量%であり、樹脂(P)の濃度(質量%)は、全固形分量(100質量%)から光酸発生剤、塩気性化合物及び界面活性剤の濃度(質量%)、並びに、該当する場合には併用樹脂の濃度(質量%)を差し引いた値である。
【0280】
<トップコート材料の調製>
下記表2に示した成分を、表2に示した混合溶剤に溶解させ、これを0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して全固形分濃度1質量%のトップコート材料を調製した。表2に記載した各成分の濃度(質量%)は、全固形分を基準とする。水溶液のトップコート組成物の場合は、1N硫酸水溶液および4%アンモニア水を用いて表2に示すpHに調整した。
【0281】
<レジスト評価(EB)>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、膜厚60nmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜上に表2に記載のトップコート材料をスピンコーターを用いて均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、レジスト層とトップコート層の合計膜厚が100nmの膜を形成した。
この膜を、電子線照射装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて電子線照射を行った。照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターンを形成し、得られたパターンを下記方法で評価した。
【0282】
〔アンダー露光最大ライン幅評価〕
150nmラインアンドスペースパターン(1:1)を形成する照射量を最適照射量とし、その最適照射量から照射量を少しずつ減少させてパターンを形成した際、ラインが繋がらずに解像した最大のライン幅をアンダー露光最大ライン幅とした。本ライン幅が大きいほどアンダー露光マージンが広い。
【0283】
〔アウトガス評価〕
電子線照射装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて全面露光を行い、現像にて完全溶解するのに必要な最小の照射エネルギーをEthとしたとき、Ethの1.5倍の照射エネルギーを与えた後の露光後の膜厚減少幅(シュリンク膜厚)からアウトガス量を簡易評価した。シュリンク膜厚は、露光によってレジスト膜から揮発した成分の量と相関があるため、シュリンク膜厚が小さいほどアウトガス特性に優れることがわかる。
【表2】

【0284】
実施例、比較例において調製されたレジストに用いた素材(その他の併用樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物)の構造を以下に示す。
【化73】

【0285】
【化74】

【0286】
実施例において調製されたトップコート材料に使用した樹脂を以下に示す。
T−1: ポリアクリル酸 ジュリマーAC−10L(日本純薬(株)製)
T−2: ポリ(N−ビニルピロリドン) Luviskol K90 (BASFジャパン(株)製)
T−3: (ビニルアルコール60/酢酸ビニル40)共重合体 SMR-8M (信越化学工業(株)製)
T−4: プルラン PI−20 ((株)林原製)
(以上、水溶性樹脂)
【化75】

【0287】
実施例、比較例で用いた界面活性剤、溶剤を以下に示す。
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系)
〔レジスト溶媒〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S1/S2=60/40
〔トップコート材料の溶剤〕
SL−1:1−ブタノール
SL−2:パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン
表2のように、本発明の基板被覆方法を用いることにより、アンダー露光での抜け性が良化し、かつアウトガスも低減できる。
EUV露光において上記と同様の評価を行なった結果、同様の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0288】
【図1】実施例で合成した本発明の樹脂(P−1)のHNMRチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスにおいて基板上に膜を被覆する工程と、該膜上にトップコート層を設ける工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、前記膜が、活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する繰り返し単位(A)を有する樹脂(P)を含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする、リソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項2】
トップコート層が、水溶性樹脂を含有する水溶液を用いて形成されることを特徴とする、請求項1に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項3】
トップコート層を形成するために用いられる前記水溶液のpHが1〜10の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項4】
前記膜の膜厚が10〜100nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項5】
前記樹脂(P)が、更に、酸の作用により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する構造を有する繰り返し単位(B)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項6】
前記繰り返し単位(B)が、フェノール性水酸基の水素原子が酸の作用により脱離する基で置換された基を少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項5に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項7】
前記繰り返し単位(B)が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化1】

ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、置換又は無置換のアルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していてもよい。
Ar1は、芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【請求項8】
前記一般式(I)中のYが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする、請求項7に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化2】

ここで、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環基、置換又は無置換の、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香環基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のアンモニウム基、置換又は無置換のメルカプト基、シアノ基又は置換又は無置換のアルデヒド基を表す。
Q、M、L1のいずれか2つが結合して5員若しくは6員環を形成してもよい。
【請求項9】
前記樹脂(P)が、繰り返し単位(A)として下記一般式(III)〜(V)で表わされる繰り返し単位の少なくとも1種類を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化3】

ここで、R04、R05及びR07〜R09は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
06は、シアノ基、置換又は無置換のカルボキシル基、−CO−OR25又は−CO−N(R26)(R27)を表す。R26とR27が結合して窒素原子とともに環を形成してもよい。
1 〜X3 は、各々独立に、単結合、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO2 −、−CO−、−N(R33)−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を表す。
25は、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
26、R27及びR33は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルケニル基、置換又は無置換のアリール基又は置換又は無置換のアラルキル基を表す。
Aは、活性光線又は放射線の照射により分解して酸アニオンを生じる構造部位を表す。
【請求項10】
前記一般式(III)〜(V)中のAが、スルホニウム塩又はヨードニウム塩を含む構造部位であることを特徴とする、請求項9に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項11】
前記繰り返し単位(A)が、活性光線又は放射線の照射により樹脂の側鎖に酸アニオンを生じる構造であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項12】
前記樹脂(P)が、更に、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位(C)を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化4】

ここで、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又は置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。またR03は、置換又は無置換のアルキレン基を表し、Arと結合して5員若しくは6員環を形成していてもよい。
Ar1は、芳香環基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法において、前記膜の形成に用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の感活性光線または感放射線性樹脂組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−160282(P2010−160282A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1953(P2009−1953)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】