説明

リフロー半田付け装置

【課題】搬送手段による熱損失を低減できるリフロー半田付け装置を提供する。
【解決手段】電子部品を搭載した基板6を搬送手段で炉1内を搬送しながら半田付けを行うリフロー半田付け装置において、搬送手段がベルト14とプーリ13,15を備えたベルトコンベヤ5からなる。ベルトコンベヤ5は左右に間隔を置いて並列配置され、基板6の左右端部を支持しながら基板を搬送する。ベルトコンベヤ5が基板ガイド手段(基板ガイドピン17)を有するのが好ましい。また、ベルト14の上下方向位置をガイドするための上下方向ベルトガイド手段(下ガイドレール21と上ガイドレール24)を有するのが好ましい。また、ベルト14の幅方向位置をガイドするための幅方向ベルトガイド手段(下ガイドレール21や上ガイドレール24に設けられているガイド溝22,23,26とそれに挿入される噛合ピン18,20やベルトガイドピン19)を有するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を搭載した基板を搬送手段で炉内を搬送しながら半田付けを行うリフロー半田付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リフロー半田付け装置は、一般に、炉内に予熱室、リフロー室、及び冷却室をコンベヤの搬送ラインに沿って順に有しており、各室内には半田付け部の酸化を防ぐために窒素ガス等の不活性ガスが充満されている。電子部品を搭載した基板は、半田付け箇所にペースト状のクリーム半田が塗られており、コンベヤで炉内を搬送されながら、予熱室で所定の高温度に加熱され、リフロー室で高温の半田付け温度まで加熱されて、基板上のクリーム半田が溶融される。そして、リフロー室に続く冷却室を通る間に溶融半田が冷却固化され、半田付けが完了する。
【0003】
上記基板を搬送するコンベヤは、一般にチェーンコンベヤが使用されている。チェーンコンベヤは左右に間隔を置いて並列配置され、リンクプレートから内側に突出している連結ピンで、電子部品を搭載した基板の下面の左右端部を支持しながら基板を搬送する。このチェーンコンベヤは、往路は、炉の入口側から炉内の上下方向の略中央部を通り、炉の出口を貫通して水平に配置されており、復路は炉の下方位置の炉外に配置され、一連続をなして循環している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−55743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、往路で、基板を支持したチェーンコンベヤが炉内を通過すると、チェーンコンベヤに炉内の熱が伝熱され、復路でチェーンコンベヤは炉外を通るため、チェーンコンベヤに伝熱された熱が復路で炉外に放出される。このように、チェーンコンベヤは炉内の熱を炉外に運び、熱損失を形成している。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、コンベヤの熱容量をチェーンコンベヤよりも小さいものとすることにより、コンベヤによる熱損失を低減するものである。
【0006】
したがって、本発明の目的は、搬送手段による熱損失を低減できるリフロー半田付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は次の解決手段を採る。すなわち、
本発明は、電子部品を搭載した基板を搬送手段で炉内を搬送しながら半田付けを行うリフロー半田付け装置において、前記搬送手段がベルトとプーリを備えたベルトコンベヤからなることを特徴とする。
【0008】
ベルトコンベヤは左右に間隔を置いて並列配置され、基板の左右端部を支持しながら基板を搬送することが好ましい。
【0009】
プーリは歯付きプーリであり、ベルトは歯付きプーリに噛合う凸部を裏面に有していることが好ましい。
【0010】
ベルトコンベヤは、基板をガイドするための基板ガイド手段を有していることが好ましい。
【0011】
上記基板ガイド手段がベルトに設けられていることが好ましい。例えば、基板ガイド手段が、ベルト上面に搬送方向に沿って延びる凸条、あるいは搬送方向に間隔を置いて設けられた複数の凸部からなることが好ましい。
【0012】
ベルトコンベヤはベルトの上下方向位置をガイドするための上下方向ベルトガイド手段を有していることが好ましい。
【0013】
上記上下方向ベルトガイド手段が、ベルト下面のガイドを行うための下ガイドレールと、ベルト上面のガイドを行うための上ガイドレールとを有していることが好ましい。
【0014】
ベルトコンベヤはベルトの幅方向位置をガイドするための幅方向ベルトガイド手段を有していることが好ましい。
【0015】
前記上ガイドレールは搬送方向に沿って設けられたガイド溝を有し、ベルト上面に設けられたガイド部が前記ガイド溝に挿入されることが好ましい。
【0016】
ベルトコンベヤがベルト下面のガイドを行うための下ガイドレールを備え、前記下ガイドレールは搬送方向に沿って設けられた溝を有し、ベルト裏面の凸部が前記溝に挿入されることが好ましい。
【0017】
ベルトコンベヤがベルト上面のガイドを行うための上ガイドレールを備え、前記基板ガイド手段が上ガイドレールに形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送手段がベルトとプーリを備えたベルトコンベヤからなるので、熱容量を小さくでき、熱損失を低減できる。また、ベルトコンベヤが基板ガイド手段を有していれば、基板がガイドされ、基板の半田付けが安定して行われる。また、ベルトの上下方向位置をガイドするための上下方向ベルトガイド手段や、ベルトの幅方向位置をガイドするための幅方向ベルトガイド手段を有していれば、ベルトコンベヤは安定的に走行できるのでコンベヤ上の基板の半田付けが安定して行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
リフロー半田付け装置は、図1に示されているように、炉1内に、3個の予熱室2と、1個のリフロー室3と、1個の冷却室4とをベルトコンベヤ5の搬送ラインに沿って順に有している。各室2,3,4内には、半田の酸化を防止するために不活性ガス、本実施形態では窒素ガスが供給されており、電子部品を搭載したプリント基板6がベルトコンベヤ5によって炉1内を搬送される。電子部品を搭載したプリント基板6は、半田付け箇所にペースト状のクリーム半田が塗られている。
【0021】
7は送風機、8は送風機7を駆動するモータ、9はヒータ、10は導風装置である。これらで熱風循環装置11が構成され、予熱室2とリフロー室3には熱風循環装置11がベルトコンベヤ5を挟んで上下に設けられている。冷却室4には、ベルトコンベヤ5を挟んで上下に冷却風循環装置12が設けられている。冷却風循環装置12は、上記熱風循環装置11とはヒータを備えていない点でのみ相違し、他の構成は同じである。
【0022】
したがって、予熱室2とリフロー室3では、ヒータ9によって加熱された炉1内の雰囲気ガスは、送風機7の回転軸方向に臨む吸入口から送風機7内に吸入され、送風機7の半径方向に設けられている吐出口から導風装置10に吐出され、導風装置10に案内されて複数のガス噴出口からベルトコンベヤ5上のプリント基板6に吹き付けられる。その後、上記のように、雰囲気ガスは送風機7の吸入口から吸入されて、吐出口から吐出される。このようにして、雰囲気ガスが熱風循環装置11によって各室2,3内を循環し、プリント基板6が加熱される。また、冷却室4では、冷却風としての雰囲気ガスが冷却室4内を循環し、ベルトコンベヤ5上のプリント基板6を冷却する。
【0023】
したがって、電子部品を搭載したプリント基板6はベルトコンベヤ5で搬送されながら、予熱室2で所定の高温度に加熱された後、リフロー室3で高温の半田付け温度まで加熱されてクリーム半田が加熱溶融され、冷却室4で溶融半田が冷却固化されて、電子部品が基板上に半田付けされる。
【0024】
以下、ベルトコンベヤ5について説明する。
【0025】
ベルトコンベヤ5は左右に間隔を置いて並列配置され、左右のベルトコンベヤ5が電子部品を搭載したプリント基板6の下面の左右端部を支持しながら基板を搬送する。ベルトコンベヤ5は、往路は、炉1の入口側から炉1内の上下方向の略中央部を通り、炉1の出口を貫通して水平に配置されており、復路は炉1の下方位置の炉1外に配置され、一連続をなして循環している。
【0026】
13は、ベルトコンベヤ5のベルト14が掛けられている駆動プーリで、炉1の出口側に配置されている。15は、ベルトコンベヤ5のベルト14が掛けられている従動プーリで、炉1の入口側に配置されている。駆動プーリ13と従動プーリ15の間にはテンションプーリ16が適宜配置されている。プーリ13,15,16はいずれも歯付きプーリである。ベルト14は例えば金属製のベルトで、スチール等から形成されており、後述するようにプーリ13,15,16に噛合う凸部をベルト14の裏面に有している。
【0027】
ベルトコンベヤ5におけるベルト14の上面の幅方向内側寄り位置には、基板ガイドピン17が上方に突出して設けられている。基板ガイドピン17はベルト14の長手方向に等間隔を置いてベルト14全長にわたって多数設けられている。また、ベルト14の下面には、プーリ13,15,16に噛合う噛合ピン18が基板ガイドピン17の真下位置に下方に突出して設けられている。
【0028】
ベルトコンベヤ5におけるベルト14の上面の幅方向外側寄り位置には、ベルトガイドピン19が上方に突出して設けられている。ベルトガイドピン19はベルト14の長手方向に等間隔を置いてベルト14全長にわたって多数設けられている。前記基板ガイドピン17とベルトガイドピン19はベルト14の長手方向に千鳥状に配列されている。また、ベルト14の下面に、プーリ13,15,16に噛合う噛合ピン20が上側のベルトガイドピン19の真下位置に下方に突出して設けられている。
【0029】
21は、ベルトコンベヤ5のベルト14下面のガイドを行うための下ガイドレールで、ベルト14の下面を案内支持する水平な上面を有している。下ガイドレール21は炉1の入口側から炉1内を通って炉1の出口を貫通して水平に配置されており、ベルト14を炉1内で上下方向の略中央部を水平に移動するように案内する。
【0030】
下ガイドレール21の上面には、ベルト14の下面に設けられている噛合ピン18,20がそれぞれ挿入されるガイド溝22,23が長手方向に下ガイドレール21の全長にわたって設けられている。
【0031】
24は、ベルトコンベヤ5のベルト14上面のガイドを行うための上ガイドレールで、ベルト14の上面を案内する水平な下面を有している。上ガイドレール24は炉1の入口側から炉1内を通って炉1の出口を貫通して水平に配置されている。上ガイドレール24は、下ガイドレール21上に配置されるベルト14に設けられている基板ガイドピン17よりも外側に配置されて、下ガイドレール21に対向配置しており、両ガイドレール21,24の幅方向外側端部がボルト手段25で互いに固定されている。上ガイドレール24の水平な下面は、下ガイドレール21上に配置されているベルト14の上面との間に僅かな隙間を形成するように構成されている。
【0032】
上ガイドレール24の下面には、ベルト14の上面に設けられているベルトガイドピン19が挿入されるガイド溝26が長手方向に上ガイドレール24の全長にわたって設けられている。
【0033】
以下、上記リフロー半田付け装置の動作を説明する。
【0034】
電子部品を搭載したプリント基板6は、下面の左右端部を左右のベルトコンベヤ5のベルト14上に支持されて炉1内を搬送されながら、プリント基板6上のクリーム半田が、予熱室2内を循環する加熱された雰囲気ガス(熱風)によって所定の高温度に加熱され、更に、リフロー室3内を循環する加熱された雰囲気ガス(熱風)によって加熱溶融され、冷却室4で冷却室4内を循環する雰囲気ガス(冷却風)によって溶融半田が冷却固化され、電子部品が基板上に半田付けされる。
【0035】
上記において、予熱室2やリフロー室3で高温の雰囲気ガスの熱がベルトコンベヤ5に伝熱され、ベルトコンベヤ5のベルト14が炉1外を通るときベルト14の熱が炉1外へ放出される。しかしながら、本発明においてはコンベヤがベルトコンベヤ5であり、チェーンコンベヤに比べて熱容量が小さいため、ベルトコンベヤ5から炉1外へ放出される熱量を少なくでき、コンベヤによる熱損失を低減することができる。
【0036】
上記において、ベルトコンベヤ5のベルト14は、走行中、下ガイドレール21の水平な上面に支持されて水平に移動し、また、上ガイドレール24の水平な下面によっても案内されるので、炉1内で上下方向の略中央部を水平に安定走行し、プリント基板6を水平に安定して支持して走行することができる。また、ベルトコンベヤ5のベルト14は、下ガイドレール21に形成されているガイド溝22,23に挿入される噛合ピン18,20や、上ガイドレール24に形成されているガイド溝26に挿入されるベルトガイドピン19によって、ベルト幅方向においてもガイドされて安定的に走行できる。
【0037】
また、ベルトコンベヤ5の走行中、プリント基板6は、その左右端部を左右のベルトコンベヤ5のベルト14上面に設けられている基板ガイドピン17によってガイドされるため、ベルト14上に安定的に支持される。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、基板ガイド手段をベルト14の上面に設けた基板ガイドピン17で構成したが、ベルトの上面に搬送方向に沿って延びる凸条で構成することもできる。更には、基板ガイド手段はベルト14に設けず、例えば上ガイドレール24の側面で構成することも可能である。
【0040】
また、ベルト14の幅方向位置をガイドするための幅方向ベルトガイド手段は、下ガイドレール21や上ガイドレール24に設けられているガイド溝22,23,26と、それに挿入される噛合ピン18,20やベルトガイドピン19で構成したが、これに限定されるものではない。例えば、搬送方向に多数設けたベルトガイドピン19ではなく、ベルトの上面に搬送方向に沿って延びる凸条で構成することもできる。
【0041】
また、ベルトコンベヤ5は歯付きプーリ13,15とそれに噛合うベルト14の組合せを使用したが、通常の平ベルトとプーリの組合せを用いることもできる。また、歯付きプーリ13,15に噛合うベルト14裏面の凸部は噛合ピン18,20で構成したが、これに限定されるものではなく、例えばベルト裏面を通常の凹凸面として構成することもできる。
【0042】
また、炉1内の雰囲気ガスとして窒素ガスを使用したものを示したが、雰囲気ガスは窒素ガスに限らない。例えば、空気を使用する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】リフロー半田付け装置の炉を示す正面図である。
【図2】炉の一部分を示す側面断面図である。
【図3】左右一対のベルトコンベヤを示す平面図である。
【図4】ベルトコンベヤを示す正面図である。
【図5】ベルトコンベヤの側面断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・炉、2・・予熱室、3・・リフロー室、4・・冷却室、5・・ベルトコンベヤ、6・・電子部品を搭載したプリント基板、7・・送風機、8・・モータ、9・・ヒータ、10・・導風装置、11・・熱風循環装置、12・・冷却風循環装置、13・・駆動プーリ、14・・ベルト、15・・従動プーリ、16・・テンションプーリ、17・・基板ガイドピン、18,20・・噛合ピン、19・・ベルトガイドピン、21・・下ガイドレール、22,23・・ガイド溝、24・・上ガイドレール、25・・ボルト手段、26・・ガイド溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載した基板を搬送手段で炉内を搬送しながら半田付けを行うリフロー半田付け装置において、前記搬送手段がベルトとプーリを備えたベルトコンベヤからなることを特徴とするリフロー半田付け装置。
【請求項2】
前記ベルトコンベヤが左右に間隔を置いて並列配置され、前記基板の左右端部を支持しながら基板を搬送することを特徴とする請求項1記載のリフロー半田付け装置。
【請求項3】
前記プーリは歯付きプーリであり、前記ベルトは歯付きプーリに噛合う凸部を裏面に有していることを特徴とする請求項1又は2記載のリフロー半田付け装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベヤは基板をガイドするための基板ガイド手段を有していることを特徴とする請求項1,2又は3記載のリフロー半田付け装置。
【請求項5】
前記基板ガイド手段がベルトに設けられていることを特徴とする請求項4記載のリフロー半田付け装置。
【請求項6】
前記基板ガイド手段が、ベルト上面に搬送方向に沿って延びる凸条、あるいは搬送方向に間隔を置いて設けられた複数の凸部からなることを特徴とする請求項4記載のリフロー半田付け装置。
【請求項7】
前記ベルトコンベヤはベルトの上下方向位置をガイドするための上下方向ベルトガイド手段を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリフロー半田付け装置。
【請求項8】
前記上下方向ベルトガイド手段が、ベルト下面のガイドを行うための下ガイドレールと、ベルト上面のガイドを行うための上ガイドレールとを有していることを特徴とする請求項7記載のリフロー半田付け装置。
【請求項9】
前記ベルトコンベヤはベルトの幅方向位置をガイドするための幅方向ベルトガイド手段を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のリフロー半田付け装置。
【請求項10】
前記上ガイドレールは搬送方向に沿って設けられたガイド溝を有し、ベルト上面に設けられたガイド部が前記ガイド溝に挿入されることを特徴とする請求項8記載のリフロー半田付け装置。
【請求項11】
前記ベルトコンベヤがベルト下面のガイドを行うための下ガイドレールを備え、前記下ガイドレールは搬送方向に沿って設けられた溝を有し、ベルト裏面の凸部が前記溝に挿入されることを特徴とする請求項3記載のリフロー半田付け装置。
【請求項12】
前記ベルトコンベヤがベルト上面のガイドを行うための上ガイドレールを備え、前記基板ガイド手段が上ガイドレールに形成されていることを特徴とする請求項4記載のリフロー半田付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−9972(P2009−9972A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167163(P2007−167163)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(500379509)有限会社ヨコタテクニカ (31)
【Fターム(参考)】