説明

ルート推奨装置及びプログラム

【課題】走行の後に運転者が走行した経路の感想を送信するという形で、運転者の傾向を把握することができ、運転者が経路計算時に経路計算条件を設定する必要のないルート推奨装置及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】車載装置1から旅行の目的地を含む情報を取得して、1又は複数のルートを算出する経路計算手段35と、前記経路計算手段35によって算出された1又は複数を車載装置に提供するルート提供手段35,31と、前記車載装置1が搭載された車両の運転者に対して、当該車両が走行したルートに関する質問を提供する質問提供手段36,37と、前記運転者から質問の回答を回収する質問回収手段37,36とを有し、前記回収された質問の回答に基づいて当該運転者のドライブの傾向を分析して、次回以後、前記車載装置1からの要求により経路計算を行うときにルートの計算条件に反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者からの目的地設定情報を基にして、複数のルート探索を実施し、探索結果を運転者に提示して選択させるルート推奨装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置などの車載装置から得られる目的地設定情報を基にして、サーバ装置において複数のルート探索を実施し、探索結果を車載装置に配信する、ルート推奨システムが知られている。
このルート推奨システムは、道路地図データを備えるとともに、リアルタイムに収集されるリンク渋滞度などの交通情報をサーバ装置において一元的に収集し、各車載装置の要求に応じて最適経路計算を行っている。経路計算の結果は、要求元の車載装置に返送され、車両が目的地を目指して走行するのに役立つルートとして車載装置に表示される。なお通常は、複数の経路計算条件で計算した複数のルートのデータが車載装置に送られ、車両の運転者がその中から1つのルートを選択する。
【0003】
前記経路計算条件には、次のようなものがある。
まず共通の条件は、最短時間で目的地に到着できるルートを探索することである。しかし、個々の運転者のドライブの傾向によって、多少時間はかかっても渋滞道路を極力避けたい場合がある。また、多少時間はかかっても広い道路を走りたいという場合もある。その他、多少時間はかかっても有料道路を極力使わずに走りたいという場合もある。
【特許文献1】特開2004-085485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように経路計算条件は、運転者の傾向に応じてさまざまである。
サーバ装置にルート探索を依頼するときにこれらの経路計算条件を最初から設定するのも1つの方法であるが、運転者自身も判断に迷うことがあり運転者の負担となる。
そこで本発明は、走行の後に運転者が走行した経路の感想を送信するという形で運転者の傾向を把握することができ、運転者が経路計算条件を設定する必要のないルート推奨装置及びそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のルート推奨装置は、旅行の目的地を含む情報を取得して、1又は複数のルートを算出する経路計算手段と、前記経路計算手段によって算出された1又は複数を提供するルート提供手段と、前記運転者に対して、車両が走行したルートに関する質問を提供する質問提供手段と、前記運転者から質問の回答を回収する質問回収手段とを有し、前記経路計算手段は、回収された質問の回答に基づいて当該運転者のドライブの傾向を分析して、次回以後、前記運転者からの要求により経路計算を行うときにルートの計算条件に反映させることを特徴とする。
【0006】
このルート推奨装置は、運転者に複数のルートを提供しその特徴とともに表示させ、運転者に選択させる。運転者が1つのルートを選択しそのルートに沿って走行し、走行が終わると、運転者は走行したルートを評価する。この評価は、ルート推奨装置から提供された質問に、運転者が回答するという形で行う。これによってルート推奨装置は、運転者の嗜好と特性を解析し、統計的なデータとしてその個人のデータベースに保持して、次回以後のルート探索に利用することができる。したがって、次からその運転者の満足できるルートを提供することができる。
【0007】
本発明のルート推奨装置は、運転者の携帯電話機と通信可能なサーバ装置において構築されたものであってもよい。この場合、経路計算、ルート提供、質問提供、質問回収の各手段は、サーバ装置内で実行されることになり、1つのサーバ装置で、多くの車両に対応した処理を行うことが可能になり、車両の負荷が軽減する。
前記質問提供手段・質問回収手段は、運転者の携帯電話機に対して質問を送信し、前記携帯電話機から回答の返信を受けるものであってもよい。この場合、質問の送信・回収はすべて携帯電話機で行うので、車両には質問送信・回収のためのモジュールを設定する必要がなく、車両の構成を簡単にすることができる。
【0008】
なお前記質問提供手段・質問回収手段は、前記運転者の車載装置に対して直接、質問を送信し、前記車載装置から回答の返信を受けるものであってもよい。この構成では、運転者は車載装置、携帯電話機を使い分けする必要がなく、ナビゲーション装置としての機能も質問提供手段・質問回収手段としての機能もすべて車載装置一台で行える。
前記運転者のドライブの傾向は、たとえば旅行時間の許容値、ルートの道路幅の許容値、渋滞の許容値、料金の許容値、又は信号待ち回数の許容値といった項目になる。
【0009】
また本発明の走行データ収集プログラムは、コンピュータに格納されて実行され、運転者の評価を反映することのできるルート推奨プログラムであって、実質的に前記ルート推奨装置のルート推奨機能を実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、運転者の質問への回答を分析し、学習することにより、運転者の傾向を反映して、経路計算条件を設定することができる。運転者としては、目的地を設定するだけで、自分の好みに合った最適ルート情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
この明細書で「車両」とは自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。「車載装置」とは車両に搭載され目的地まで案内する、いわゆるナビゲーション装置をいう。
図1は、本発明のルート推奨装置を含むシステムの一実施形態を示す概略図である。
【0012】
本システムは、図1に示されるように、車載装置1と、運転者の携帯電話機1aと、電気通信事業者の基地局2aと、サーバ装置3とを備えている。車載装置1は、携帯電話機1a又は路上装置(図示せず)を使って無線回線網経由で、サーバ装置3と通信することができる。このサーバ装置3が本発明の「ルート推奨装置」に相当する。
なお車載装置1のみでルート推奨装置を構築することもできるので、その場合の実施例は後に説明する。
【0013】
車載装置1は、各運転者の車両に搭載され、携帯電話機1a又は路上装置(図示せず)を経由してサーバ装置3に当該運転者の識別のためのコード、車両の現在地、目的地などの情報を送信する。また、車載装置1は、携帯電話機1a又は路上装置を経由してサンプリング時間T(例えば1秒)ごとに時刻、当該車両の位置、速度、方位等のデータ(プローブデータ)を車載装置1に記憶することもできる。またこの携帯電話機1aは、サーバ装置3から運転者へのアンケートの受信と、運転者からサーバ装置3へのアンケートの送信のためにも用いる。車載装置1の収集したプローブデータは、定期的にあるいは非定期的にサーバ装置3に送信される。定期的な送信の例として、所定時間ごと(例えば1分ごと)に送信することがあげられる。非定期的な送信の例として、目的地設定時(図5(1))、ルート選択時(図5(3))があげられる。
【0014】
サーバ装置3は、車載装置1に対して、車両の現在地、目的地の情報などに基づいて計算された候補ルート情報の配信を行い、運転者に対して、携帯電話機1aを経由したアンケートの配信と回収を行う。
図2は、サーバ装置3の内部ブロック図を示す。サーバ装置3は、車載装置1から得られる現在地/目的地データやルート選択結果を受信するとともに、当該車載装置1に候補ルートと各候補ルートのルート旅行時間の情報を配信するための第一の送受信部31と、各車両の軌跡情報を記憶する軌跡データベース32と、道路地図データを記憶する地図データベース33と、当該運転者のドライブの傾向を記憶する個人データベース34と、道路地図データと、時刻ごとに得られるリアルタイム交通情報と、個人データベース34に記憶された当該運転者のドライブの傾向とに基づいて、最適経路を算出する経路計算/提供部35と、運転者の携帯電話機1aにアンケートを配信し回収するための第二の送受信部37と、運転者から回収された回答に基づき当該運転者のドライブの傾向を分析するアンケート分析部36とを備えている。
【0015】
図3は、地図データベース33に記憶されている道路地図データの記憶フォーマットの一例を示す図である。この道路地図データは、推奨経路の計算に用いるものであって、リンク(道路上の点と点を結ぶ方向付きの線分)ごとに、当該リンクの両端位置、中間位置を特定するための座標情報と、当該リンクから他のリンクへの接続を示す接続情報とが記憶されている。それとともに、リンクの旅行時間、道路幅(例えば5.5m、13m、2車線、3車線の4種類がある)、リンクに存在する信号数、有料道路か無料道路かの別などを記憶している。リンクの旅行時間の単位は例えば分、道路幅の単位は例えばm、有料道路は1、無料道路は0としている。このほか、道路種別(幹線道路、細街路など)を記憶していても良い。また、プローブデータに基づいて得られる停止回数を地図データベース33に記憶してもよい。
【0016】
有料料金についても地図データベース33に記憶しているが、リンクごとに定義するのではなく、入口リンクのリンク番号と出口リンクのリンク番号のペアに対して定義している。図4は、リンク番号のペアごとに有料料金を記憶しているフォーマット例を示す図である。
図5は、このシステムにおける情報の流れを示す図である。システムは、運転者の搭乗する車両に搭載された車載装置1、運転者の持つ携帯電話機1a、サーバ装置3の三者間の通信により構成される。
【0017】
このサーバ装置3の機能の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、サーバ装置3のコンピュータが実行することにより実現される。
まず車載装置1は、車両の現在地、運転者の設定した目的地などの情報をサーバ装置3に送信する(1)。この送信は携帯電話機1a、路上装置のいずれを経由するものであってもよいが、図5は路上装置を経由することを想定して描いている。
【0018】
サーバ装置3の経路計算/提供部35は、車両の現在地、目的地に基づいて最適経路計算を行って、いくつかの候補ルートを決定する。その候補ルートとルート旅行時間とルートの料金の情報を軌跡データベース32に格納するとともに、当該車両に配信する(2)。この配信も、携帯電話機1a、路上装置のいずれを経由するものであってもよいが、図5は路上装置を経由することを想定して描いている。
【0019】
車載装置1は複数の候補ルートを表示し、当該運転者に候補ルートの中から1つのルートを選択させる。ルートが選択されると、その選択結果がサーバ装置3に送信される(3)。この送信も携帯電話機1a、路上装置のいずれを経由するものであってもよいが、図5は携帯電話機1aを経由することを想定して描いている。
車両は、ルート選択後、実際にそのルートに沿って目的地まで走行する。この車両の走行中に、車載装置1は、運転者が選択したルート上の車両の位置、方位、走行時間、停止状況、走行速度、走行距離等の走行データを計測し、計測結果をサーバ装置3にアップロードしてもよい。
【0020】
目的地に到着すると予想される時刻、あるいはそれよりも後の時刻(例えば次の日でもよい)になれば、サーバ装置3は、当該運転者の携帯電話機1aに向けてアンケートを含むメールを配信する(4)。
運転者は、携帯電話機1aにアンケートメールの着信があると、アンケートに回答し、その結果を返信する(5)。サーバ装置3のアンケート分析部36は、アンケートの回答を分析して、当該運転者のドライブの傾向を把握して、個人データベース34に格納する。次回以後、当該運転者からルート配信の要求があった場合に、最適経路計算の条件を当該運転者向けに最適化して計算する。
【0021】
図6、図7はアンケートの具体文面を示す図である。
アンケートは、当該運転者を確認するための欄、運転者が選択したルートを確認するための欄を有する、それとともに、運転者への質問形式で、走行したルートに対する当該運転者の運転傾向を把握する。
質問項目は次のとおりである。
【0022】
1.提供したルートの感想?:全体の印象を聞きだすためであり、例えば「よかった」、「普通」、「問題あり」の3項目とする。
2.旅行時間は予定どおりか?:運転者のルート旅行時間に対する許容値を聞き出すためである。例えば「思ったより時間がかかった」、「予定どおり」の2項目とする。
3.ルートの道路幅?:運転者が道路幅の広い道路を好むか、道路幅の狭い道路でも苦にしないかを聞き出すためである。例えば「狭くて運転しにくかった」、「広い道で運転しやすかった」の2項目とする。
【0023】
4.ルートの渋滞?:運転者の渋滞に対する許容値を聞き出すため。例えば「渋滞がひどかった」、「気にしない」の2項目とする。
5.料金は高かったか?:有料道路の料金の高さをどの程度気にするかを聞き出すため。例えば「高いと思う」、「問題ない」の2項目とする。
6.信号待ちの多さ:信号待ちに対する許容値を聞き出すため。例えば「信号待ちが多く待たされた」、「スムーズに走行できた」の2項目とする。
【0024】
運転者は以上のアンケートに回答して、回答した内容をメール返信の形でサーバ装置3に送信する。サーバ装置3はアンケートの内容を分析して個人データベース34に格納する。
図8は、個人データベース34に格納された当該運転者のドライブの傾向を示すデータの記憶フォーマット図である。
【0025】
「旅行時間の許容値」については、「思ったより時間がかかった」の回答があれば、その運転者は渋滞などで当初計画していた旅行時間が増加することを好まない傾向があることを意味している。そこでサーバ装置3のアンケート分析部36は、ルート配信されたルートの旅行時間に対する当該予定旅行時間と計測した旅行時間の差の割合を運転者の許容値として設定する。「予定どおり」の回答があれば旅行時間の許容値を設定しない。
【0026】
「ルートの道路幅の許容値」については、「狭くて運転しにくかった」の回答があれば、その運転者は道路幅に関して狭い道路を走行することを好まないことが分かる。そこでサーバ装置3のアンケート分析部36は、ルートを構成するリンクのうち最も道路幅の狭いものをこの運転者の許容値とする(道路幅は例えば5.5m、13m、2車線、3車線の4種類がある)。「広い道で運転しやすかった」の回答があれば道路幅の許容値を設定しない。
【0027】
「ルートの渋滞の許容値」については「渋滞がひどかった」の回答があれば、これは、その運転者は渋滞に巻き込まれることを好まないことを意味している。そこでサーバ装置3のアンケート分析部36は、ルートの計測した走行距離に対する実際の停止回数を運転者の許容値とする。「気にしない」があれば渋滞の許容値を設定しない。
「料金の許容値」については、「高いと思う」の回答があれば、その運転者は料金の高い道路を走行することを好まないことを意味している。そこでサーバ装置3のアンケート分析部36は、ルートの計測した旅行時間(又は計測した走行距離)に対するルートの料金を運転者の許容値とする、あるいは、ルートのうち高速道を走行した時間と一般道を走行した時間の差に対するルートの料金を運転者の許容値とする。「問題ない」の回答があれば料金の許容値を設定しない。
【0028】
「信号待ちの多さの許容値」については「信号待ちが多く待たされた」の回答があれば、その運転者は信号の多い道路を走行することを好まないことを意味している。そこでサーバ装置3のアンケート分析部36は、道路種別(例えば国道、都道府県道、市道その他)ごとの単位距離あたりの信号数を運転者の許容値とする。道路種別ごとの単位距離あたりの信号数は、ルートを構成するリンクを道路種別ごとに分類した上で、リンクに含まれる信号数の合計をリンクの長さの合計で割ることによって算出する。「スムーズに走行できた」の回答があれば信号待ち回数の許容値を設定しない。
【0029】
このように当該運転者のドライブごとに当該運転者のドライブの傾向を示す数値データを個人データベース34に蓄積していく。
サーバ装置3の経路計算/提供部35は、次回以後、当該運転者からルート配信の要求があった場合に、最適経路計算の条件を当該運転者向けに最適化する。すなわち、図3の地図データベースに格納されているリンクを用いて最適経路計算するときに、個人データベース34に蓄積された当該運転者のドライブ傾向を加味して行う。
【0030】
具体的に各項目別に説明すると、「旅行時間の許容値」が設定されている場合、リンクの旅行時間の平均値、最悪値それぞれの累積値を計算し、(最悪値の累積値−平均値の累積値)/(平均値の累積値)が許容値を超えた場合には、(最悪値−平均値)/(平均値)が許容値以下となるリンクを用いて経路計算を行う。なお「リンクの旅行時間の最悪値」とは、過去のリンクの旅行時間の統計データ等から求めた、各リンクにおいて最も渋滞が激しいときの旅行時間のことである。
【0031】
ただし、最初の所定距離はこれらを考慮せずに経路計算を行う。これにより次回から、渋滞の多い道路が多く含まれる候補ルートが提供される機会が減る。この結果、当該運転者の満足度は上がる。
また「ルートの道路幅の許容値」が設定されている場合、道路幅が許容値以上となるリンクのみを用いて経路計算を行う。これにより次回から、道路幅が許容値未満の道路が含まれる候補ルートが提供される機会はなくなり、当該運転者の満足度は上がる。
【0032】
また「料金の許容値」が設定されている場合、許容値を満たすまで経路計算を繰り返す。これにより、高額な有料道路が多く含まれる候補ルートが提供される機会がなくなるので、当該運転者の満足度は上がる。
また「ルートの渋滞の許容値」が設定されている場合、単位距離当たりの停止回数が許容値以下となるリンクのみを用いて経路計算を行う。これにより、停止回数の多い候補ルートが提供される機会がなくなるので、当該運転者の満足度は上がる。
【0033】
また「信号待ち回数の許容値」が設定されている場合、単位距離あたりの信号数が道路種別ごとに設定された許容値以下となるリンクのみを用いて経路計算を行う。これにより、信号が多く含まれる候補ルートが提供される機会がなくなるので、当該運転者の満足度は上がる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、アンケート項目は前記1.〜6.の項目以外にも設定することができる。
【0034】
また、いままでの説明では、サーバ装置3から運転者へのアンケートの配信と、運転者からサーバ装置3へのアンケートの回収のために、携帯電話機1aを使っていたが、携帯電話機1aを使わないで、車載装置1にアンケート受信・アンケート表示機能を持たせて、運転者が車載装置1を介してアンケートに回答するようにしてもよい。
また、いままでの説明では、本発明のルート推奨装置は図1に示されるように携帯電話機1aと通信し、路上装置(図示せず)を経由して車載装置1と通信するサーバ装置3によって実現されていた。しかし、通信機能を使用しないで、車載装置1のみでルート推奨装置を構築することもできる。
【0035】
図9は、車載装置1単独でルート推奨装置を構築した例を示すブロック図である。車載装置1は、車両の位置・方位を検出するためのGPS受信機と、ルートに沿って案内画面を表示する表示装置15と、各種の操作を行うタッチキー16と、タッチキー16により設定された目的地に向かう最適経路計算を行い、表示装置15に各候補ルートの情報を表示させるための経路計算/提供部12と、道路地図データを記憶する地図データベース13と、当該運転者のドライブの傾向を記憶する個人データベース14とを備えている。
【0036】
この車載装置1において、運転者がタッチキー16を使って目的地を入力すれば、経路計算/提供部12は、車両の現在地、目的地に基づいて最適経路計算を行って、いくつかの候補ルートを決定し、その候補ルートとルート旅行時間を表示装置15に表示させる。運転者が候補ルートの中から1つのルートを選択すると案内が開始され、車両は、実際にそのルートに沿って目的地まで走行する。車両が目的地に到着すると、経路計算/提供部12は、表示装置15にアンケート用紙を表示する。運転者は、タッチキー16を使ってアンケートに回答し、その回答内容は、経路計算/提供部12の中で分析される。経路計算/提供部12は、この分析により、当該運転者のドライブの傾向を把握して、個人データベース14に格納する。次回以後、当該運転者から最適経路計算の要求があった場合に、経路計算の条件を当該運転者向けに最適化して計算を行う。アンケート項目、アンケート分析の手法は、図6〜図8を用いて説明したのと同じである。
【0037】
このようにして、車載装置1単独でもルート推奨装置を構築することができる。この場合、経路計算、ルート提供、質問提供、質問回収の各手段は、車載装置内で実行されることになり、車載装置単独で運転者に最適なルートを提供することができる。
なお、複数の運転者が車載装置1を利用する場合、運転者別にアンケート分析を行って、その結果を個人データベース14に、運転者別に格納することにより、経路計算の条件をそれぞれの運転者向けに最適化して、計算を行うこととすれば、このルート推奨装置の汎用性が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のルート推奨装置を含む全体システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】サーバ装置3の内部ブロック図である。
【図3】地図データベース33に記憶されている道路地図データの記憶フォーマットの一例を示す図である。
【図4】リンク番号のペアごとに有料料金を記憶しているフォーマット例を示す図である。
【図5】ルート推奨装置における情報の流れを示す図である。
【図6】アンケートの具体文面を示す図である。
【図7】アンケートの具体文面を示す図である(続き)。
【図8】個人データベース34に格納された当該運転者のドライブの傾向を示すデータの記憶フォーマット図である。
【図9】車載装置単独で構成したルート推奨装置の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 車載装置
1a 携帯電話機
3 サーバ装置
11 GPS受信機
12 経路計算/提供部
13,33 地図データベース
14 個人データベース
15 表示装置
16 タッチキー
31 第一の送受信部
32 軌跡データベース
34 個人データベース
35 経路計算/提供部
36 アンケート分析部
37 第二の送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の評価を反映することのできるルート推奨装置であって、
旅行の目的地を含む情報を取得して、1又は複数のルートを算出する経路計算手段と、
前記経路計算手段によって算出された1又は複数を提供するルート提供手段と、
前記運転者に対して、当該運転者の運転した車両が走行したルートに関する質問を提供する質問提供手段と、
前記運転者から質問の回答を回収する質問回収手段とを有し、
前記経路計算手段は、回収された質問の回答に基づいて当該運転者のドライブの傾向を分析して、次回以後、前記運転者からの要求により経路計算を行うときにルートの計算条件に反映させることを特徴とするルート推奨装置。
【請求項2】
前記ルート推奨装置は、運転者の携帯電話機と通信可能なサーバ装置において構築されている、請求項1記載のルート推奨装置。
【請求項3】
前記質問提供手段は、前記運転者の携帯電話機に対して質問を送信し、前記携帯電話機から回答の返信を受けるものである請求項2記載のルート推奨装置。
【請求項4】
前記運転者のドライブの傾向は、旅行時間の許容値、ルートの道路幅の許容値、渋滞の許容値、料金の許容値、又は信号待ち回数の許容値である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のルート推奨装置。
【請求項5】
コンピュータに格納されて実行され、運転者の評価を反映することのできるルート推奨プログラムであって、
旅行の目的地を含む情報を取得して、1又は複数のルートを算出する経路計算ステップと、
前記経路計算手段によって算出された1又は複数を提供するルート提供ステップと、
前記運転者に対して、当該運転者の運転した車両が走行したルートに関する質問を提供する質問提供ステップと、
前記運転者から質問の回答を回収する質問回収ステップと、
前記回収された質問の回答に基づいて当該運転者のドライブの傾向を分析して、次回以後、前記運転者からの要求により経路計算を行うときにルートの計算条件に反映させる経路計算補正ステップとを含むことを特徴とするルート推奨プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−36675(P2009−36675A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202143(P2007−202143)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】