説明

レリーフ像印刷要素の動的紫外線露光及び熱現像

【課題】本発明の目的は、同一システムで複数の工程を実施可能なレリーフ像印刷要素を作製する改良されたシステムを提供することである。
【解決手段】刷版及び印刷スリーブを含むレリーフ像印刷要素の動的画像形成、紫外線露光、及び熱現像方法及びシステムに関する。画像形成工程は、インクジェット印刷を使用して光硬化材料層にその場でマスク層を作製し、次に、マスクを介して化学線で光硬化材料層を露光することで行われる。その後、印刷要素が熱現像システムで現像されて、表面に所望のレリーフ像を作成する。必要であれば、改良されたシステムは、また、印刷要素を後露光/粘着低下する手段も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刷版及び印刷スリーブを含むレリーフ像印刷要素の動的画像形成、紫外線露光及び熱現像方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量生産に使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙素材、段ボール、フィルム、フォイル、及び合板等の多様な被印刷物に対する印刷に用いられる。新聞、及び食料雑貨入れの袋(grocery bag)が主な例である。平滑性の悪い面及び伸縮性フィルムは、フレキソ印刷を用いてのみ経済的に印刷可能である。フレキソ刷版は、画像要素を開口領域の上方とした凸版である。このような版は、主にその耐性及び作製容易性により、多くの長所をプリンターに提供する。
【0003】
感光性ポリマー印刷要素は、一般的に「平らな」シート形状で使用されるが、使用目的によっては、印刷要素をcontinuous In‐The‐Round(CITR)感光性ポリマースリーブとして連続円柱形状で使用するという特別な適用及び利点がある。CITR感光性ポリマースリーブは、フレキソ印刷プロセスにデジタル画像化、正確な位置決め、速い取り付け、版のリフトが無い等の利点を付加する。CITRスリーブは、壁紙、装飾用紙、ギフト用ラッピング包装紙、及びテーブルクロス等のその他の連続デザイン等、連続デザインのフレキソ印刷に利用される。CITRスリーブは、印刷の質に関してグラビア及びオフセットに対するフレキソ印刷の競争力をより高めることができる。
【0004】
製造業者が供給する標準的なフレキソ刷版は、バック層すなわち支持層、1つ以上の未露光の光硬化層、保護層すなわちスリップフィルム、及びカバーシートの順からなる多層体である。標準的なCITR感光性ポリマースリーブは、一般的に、スリーブキャリヤ(支持層)及び該支持層の上に少なくとも1つの未露光の光硬化層を有する。
【0005】
感光性ポリマー層は、所望の画像を形成でき、印刷面を提供する。使用する感光性ポリマーは、概して、バインダー、モノマー、光開始剤、及びその他の性能添加剤を含む。感光性ポリマーの組成物は、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられ、その内容を参照することにより全体を本願に援用する。バインダーとして、ポリスチレン−イソプレン−スチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン、ポリウレタン及び/又はチオール−エン(thiolenes)に基づく感光性ポリマー等の様々な感光性ポリマーが有効である。好適なバインダーは、ポリスチレン−イソプレン−スチレン、及びポリスチレン−ブタジエン−スチレンが挙げられ、特に好ましくは、前記のブロック共重合体である。
【0006】
フレキソレリーフ像印刷要素を製造する第1工程は、概して、版の背面(透明支持層)を通して化学線を印刷要素に背面露光することにより、版の背面を固めて、印刷要素にレリーフの深度を設定するフロア層を生じさせる。
【0007】
次に、所望の画像が印刷要素の光重合性層に作製される。所望の画像は、アナログ、すなわち、感光性ポリマー層の上にフォトマスクを配置して、感光性ポリマー層のマスクに覆われていない領域だけを選択的に架橋硬化できる「従来」の方法で作製されてもよい。また、所望の画像は、「デジタル」で作製できるため、従って、赤外線アブレーション層、インクジェット層、又は感熱複写層を使用して感光性ポリマー層上にマスクが作製される。その後、印刷要素がマスクを介して化学線で選択的に露光され、画像を架橋硬化する。
【0008】
印刷要素の感光性ポリマー層が選択的に化学線で露光されると、水洗洗浄、溶媒洗浄で現像されるか、又は熱を使用して熱現像されてもよい。現像後に、刷版要素が更に化学線で後露光されて使用できる状態になる。
【0009】
フレキソプリプレス印刷工業では、刷版から印刷へより迅速に進めるために、レリーフ像現像において印刷要素の化学処理の必要性を無くすことも非常に望まれている。熱現像する間、感光性ポリマー刷版を熱で調製し、硬化感光性ポリマーと未硬化感光性ポリマーの溶融温度の差を利用して潜像を現像する。未硬化感光性ポリマー(即ち、化学線に接触しない感光性ポリマー部分)は、溶融又は実質的に軟化するが、硬化感光性ポリマーは、選択された温度で固体のまま変わらない。よって、溶融温度の相違により、未硬化感光性ポリマーの選択的な除去が可能になり、結果的に画像が形成される。
【0010】
このプロセスの基本パラメータは、特許文献2〜9に開示されるように公知であり、これらの各内容を、参照することにより全体を本願に援用する。これらのプロセスにより、現像溶媒を除くこと、及び該溶媒を除去するために必要な版の長い乾燥時間を省くことが可能となる。このプロセスの速度及び効率性により、プロセスは迅速な納期及び高い生産性が重要である新聞及び他の出版物印刷用のフレキソ刷版の製造に使用できる。
【0011】
印刷要素が加熱されて未硬化感光性ポリマーが軟化すると、未硬化感光性ポリマーは除去される。場合によっては、加熱された印刷要素が、軟化又は溶融した未硬化感光性ポリマーを吸収あるいは除去する材料と接触する。この除去プロセスは、一般的に「拭取り(blotting)」と称され、一般的にスクリーンメッシュ又は吸収性布を使用して行われる。たいていの場合、拭取りは、材料と加熱された印刷要素とを接触させるローラーを使用して行われる。または、超大気圧(superatmospheric pressure)下で、熱風又は液体流を使用して加熱された印刷要素を処理することで(特許文献10)、又は未硬化感光性ポリマーを除去するドクターブレードを使用することで、材料を除去してもよい。
【0012】
従って、任意で、印刷要素に対して1つ以上の後処理工程を行ってもよい。例えば、印刷要素は、化学線で均一に後露光されてもよい。また、粘着低下(detackification)工程も表面に行うことができ、当該技術分野で公知であるようにブロマイド溶液によって、又は紫外線C波で露光により行われる。
【0013】
従来、画像形成、露光、現像、及び後露光/粘着低下工程は、個別の装置で行われてきた。これは、個別の装置間で印刷要素を移動する時間が更に必要であり、印刷要素の取扱により完成版の品質に影響を及ぼす可能性がある。よって、最終製品の品質及び精度を向上するために同じ装置で画像形成、露光、現像、及び後露光/粘着低下工程を遂行するのが望ましい。
【0014】
特許文献11は、印刷要素を被覆装置から取り外さずに、印刷要素をパターン被覆してマスクを形成し、次に印刷要素を化学線に露光する方法を開示し、参照することにより主題を本願に援用する。特許文献11は、また、インクジェット印刷の使用により達成してもよい画像形成工程を開示する。しかしながら、特許文献11には、現像工程が同じシステムで実施できるとは示されていない。
【0015】
よって、印刷要素の取り扱いを減らし、1つの装置で複数の装置の役割を果たし、印刷要素の一定で一貫した画像形成、露光、現像、及び後露光/粘着低下を提供するために、同じシステムで印刷要素の画像形成、印刷要素の露光、印刷要素の現像、及び印刷要素の後露光/粘着低下工程を遂行できる改良されたシステムが技術的に必要とされている。
【0016】
また、インライン処理装置に連結可能で、印刷要素が連鎖機構、又はローラー機構に沿って移動する際に、引き続きインライン処理装置に搬送されるシステムを有することが望ましい。
【0017】
【特許文献1】米国特許出願第10/353,446号明細書(2003年1月29日出願)
【特許文献2】米国特許第6,773,859号明細書
【特許文献3】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献4】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献5】米国特許第3,264,103号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0211423号明細書
【特許文献7】国際公開第01/88615号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/18604号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第1239329号明細書
【特許文献10】国際公開第01/90818号パンフレット
【特許文献11】米国特許第6,180,325号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、同一システムで複数の工程を実施可能なレリーフ像印刷要素を作製する改良されたシステムを提供することである。
本発明の他の目的は、画像形成、露光、及び現像工程を実施可能な改良されたシステムを提供することである。
本発明の更に他の目的は、インライン処理装置に連結可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明は、レリーフ像印刷要素を作製するシステムに関し、システムは下記手段を含む。
印刷要素の少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する手段、
少なくとも1つの光重合性層を選択的に架橋硬化するために、デジタル画像形成マスク層を介して化学線で少なくとも1つの光重合性層を露光する手段、並びに
未架橋感光性ポリマーを軟化除去して、表面にレリーフ像が現れるように印刷要素を熱現像する手段。
【0020】
ローラーは、好ましくは、レリーフ像印刷要素の画像面と接触するローラーの少なくとも一部の周りに配置される拭取材料を有する。また、他の実施形態において、レリーフ像印刷要素の画像面から未架橋感光性ポリマーの除去後に、ローラーから未架橋感光性ポリマーを除去するために、ローラーにドクターブレードを隣接配置可能である。
【0021】
本発明は、また、印刷要素にレリーフ像を作成するために、印刷要素を画像形成、露光、及び現像する方法を含み、方法は下記工程を含む。
a) 少なくとも1つの光重合性層を支持層上に含む印刷要素を支持する工程、
b) 少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する工程、
c) 少なくとも1つの光重合性層の選択された部分を架橋硬化するために、デジタル画像形成マスク層を介して化学線で少なくとも1つの光重合性層を露光する工程、
d) 像様露光面の未架橋感光性ポリマーの溶融及び軟化のいずれかを行う工程、並びに
e) レリーフ像印刷要素の像様露光面から未架橋感光性ポリマーを除去するために像様露光面と少なくとも1つのローラーとを接触させる工程。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、レリーフ像印刷要素を製造するために、レリーフ像印刷要素を画像形成、露光、及び現像する改良されたシステム、並びに本発明のシステムを使用する方法に関する。
【0023】
レリーフ像印刷要素を画像形成、露光、及び現像する複合システムであって、レリーフ像印刷要素は、支持体上に少なくとも1つの光重合性層を含み、システムは、概して、下記手段を含む。
印刷要素の少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する手段、
少なくとも1つの光重合性層を選択的に架橋硬化するために、デジタル画像形成マスク層を介して化学線で少なくとも1つの光重合性層を露光する手段、並びに、
未架橋感光性ポリマーを軟化除去して、表面にレリーフ像が現れるように印刷要素を熱現像する手段。
【0024】
本発明の複合システムで印刷要素を処理する前に、光重合性層にフロアを生じさせて、レリーフの深度を設定するために、支持層を通して印刷要素を背面露光してもよい。その後、印刷要素は本発明の複合システムで処理される。
【0025】
本発明の印刷要素は、また、印刷要素を損傷から保護する除去可能なカバーシートを有してもよい。よって、システムは、更に、印刷ブランクを画像形成する前に、除去可能なカバーシートを除去する手段を含んでもよい。
【0026】
本発明の画像形成、露光、及び現像を複合したシステムは、ある程度、ほぼ平らな印刷要素、又は円柱状印刷要素の処理に好ましいかどうかによって様々な手段で構成されてもよい。しかしながら、重要な点は、様々な工程の合間で印刷要素に触れることなく同一システムで画像形成、露光、現像、任意で後露光/粘着低下工程を経て印刷要素を処理する能力である。よって、本発明の改良されたシステムは、従来技術の個別のシステムに比べて、印刷要素をより正確で効率的に処理可能である。
【0027】
本発明の画像形成、露光、及び現像を複合したシステムの様々な設定を下記に説明する。しかしながら、本発明は下記の設定に限定されず、本発明の改良されたシステムは、フレキソレリーフ像印刷要素を製造する複合システムで画像形成、露光、及び現像工程を組み合わせ可能ないかなる設定も受け入れられる。
【0028】
光重合性印刷ブランク面を画像形成する手段は、インクジェットプリントヘッド、赤外線レーザー、及びサーマルプリントヘッドからなる群より選択されるデジタル画像形成層を作製する手段を含み、デジタル画像形成層は、インクジェット層、赤外線アブレーション層、及び感熱複写層からなる群より選択される。
【0029】
版材は、キャップシート、及びアンキャップシート状である感光性ポリマー、並びに耐水性ポリマー(waterwash polymers)からなる群より選択されてもよい。
【0030】
赤外線アブレーション層、すなわちマスクは、化学線波長を通さず、通常、膜形成熱分解性バインダー及び少なくとも1つの赤外線吸収材、例えば、カーボンブラックを含む。また、カーボンブラックは、層の不透過性を確実にする。適切なバインダーは、有機媒体に溶解するポリアミド、又はニトロセルロース等のバインダー、及び水性媒体に溶解するポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフト共重合体等のバインダーが挙げられる。赤外線アブレーション層において、赤外線レーザーによりマスクに書き込むことができ、すなわち、層はレーザービームが入射する領域で分解除去される。化学線での像様露光は、得られたマスクを介して達成できる。赤外線アブレーションマスクを使用するフレキソ印刷要素の画像形成は、例えば、米国特許第5,925,500号明細書(Yangら)及び米国特許第6,238,837号明細書(Fan)に開示され、これらの各主題を、参照することにより全体を本願に援用する。
【0031】
インクジェット液は、いくつかある方法の1つで、少なくとも1つの光重合性層の表面に用いられてもよい。一実施形態において、例えば、米国特許第6,358,668号明細書(Leendersら)に開示されるように、材料のプレコート層(インクジェット受容層)がインク吸収層の提供に使用され、主題を参照することにより全体を本願に援用する。他の実施形態において、特に、にじみの問題が観察されなければ、インクが印刷要素面に直接使用できる。
【0032】
感熱複写層は、熱の影響で黒くなる物質を含む透明な層である。そのような層は、例えば、バインダー及び無機又は有機銀塩を含み、サーマルプリントヘッドを有するプリンターにより画像に提供できる。これは、米国特許第6,383,692号明細書(Leendersら)に開示され、主題を参照することにより全体を本願に援用する。
【0033】
図示するように、本発明の好適な実施形態において、表面を画像形成する手段は、少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16であり、噴出液(インクジェットインク)を印刷要素面に噴出することでその場(in situ)でネガを形成する追加的なプロセスによりレリーフ像が形成される。噴出液の液滴が、インクジェット記録ヘッドから噴出して、印刷要素面に向かい印刷要素面上に画像が形成される。制御シグナルに応じてインク液滴を噴出する少なくとも1つのノズルを含んでいれば、事実上、当該技術分野の全ての公知のプリントヘッドを用いることができる。噴出液は、光重合性層上に残って、真下の材料が放射線に曝されるのを防ぐため、よって、噴出液が被覆する領域は重合しない。噴出液が被覆しない領域は化学線で露光されて重合するため、よって、架橋硬化する。
【0034】
本発明のインクは、液体成分又は固体成分であり、上記の光重合性要素を効果的に硬化する少なくとも1つの波長領域で化学線に実質的に不透過であり、該波長領域の化学線での露光による重合に実質的に耐性を示す。ほぼ不透過なインクは、入射する化学線を少なくとも約85%、より好ましくは約95%、更により好ましくは99.9%吸収可能である。噴出液(インク)は、水系、相変化、又は溶剤系インクであり得る。
【0035】
相変化インク(固形インク又は熱溶融インクとしても知られている)は、室温で固形であるが、インクジェット印刷装置の高い動作温度で液相となる。液体インクの液滴が光重合性印刷要素面と接触し、そしてすぐに固化して、固化したインク液滴の所定のパターンを形成する。この再固化プロセス(相変化)は、実質的に瞬時的であり、ユーザーは乾燥した画像をすぐに得られる。相変化インク組成は、例えば、米国特許第6,444,018号明細書(Kingら)に開示され、主題を参照することにより全体を本願に援用する。水系インクは、一般的に、染料又は顔料、水、グリコールなどの加湿剤、界面活性剤、増粘剤、高分子バインダー、及び防腐剤を含む。これは、米国特許第6,358,668号明細書(Leendersら)に開示され、主題を参照することにより全体を本願に援用する。
【0036】
少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド(又は、他の画像形成手段)16に続いて直ぐ後は、露光手段18であり、露光手段18は、画像形成工程で作製されたその場(in situ)のネガを通して印刷ブランク14を選択的に架橋硬化可能な少なくとも1つの化学線源を含む。少なくとも1つの化学線源18は、通常、レリーフ像印刷要素14の画像形成面12を選択的に露光及び硬化可能な1つ以上の紫外線源を含む。しかしながら、全ての従来の化学線源がこの露光工程に使用できる。例えば、適切な可視光線又は紫外線源は、カーボンアーク、水銀アーク、蛍光灯、電子フラッシュ装置、電子ビーム装置、及び写真用フラッドランプ等が挙げられる。
【0037】
必要であれば、化学線源はコリメートされてもよい。また、必要であれば、光源は、印刷要素の過度の加熱を防ぐためにフィルターを含み、1つよりも多い光源が使用できる。光重合性印刷要素の主要な露光の間に、光源がフィルタリングされて紫外線が所望の波長領域(例えば、365nm〜400nm)を有し、フィルターは調整されて領域外の光を取り除く。現像後に粘着低下工程が行われる場合は、再度、所望の波長領域(例えば、267nm未満)を有するように光源をフィルタリングして同じ光源を使用してもよい。このように、フィルターによって、プロセスの複数の工程に光源が使用できる。他の実施形態において、光源はコリメートされてもよい。
【0038】
インクジェットプリントヘッドが画像形成工程に使用される場合は、液滴は表面に堆積した後に広がる傾向があるため、噴出と硬化との間の時間が重大である。噴出した液滴をすぐに固定するためには、液滴が噴出される際に直ぐに固定されるように、インクジェット記録ヘッドの近くに化学線源を取り付けることが好ましい。
【0039】
その後、印刷要素14の少なくとも1つの光重合性層12は、光重合性層の硬化部分に支障をきたさずに熱現像されて、感光性ポリマーの未硬化(すなわち、未架橋)部分を除去し、レリーフ層が形成される。
【0040】
好適な実施形態において、熱現像装置は、少なくとも1つの加熱可能なローラー20の少なくとも一部に巻かれる拭取材料22を含む。よって、少なくとも1つの加熱可能なローラー20が加熱されてレリーフ像印刷要素14の画像面12と接触する際に、レリーフ像印刷要素14の画像面12上の未架橋感光性ポリマーは、加熱されたローラー20により溶融又は軟化され、拭取材料22により除去される。また、外部加熱源40が未架橋ポリマーを溶融又は軟化し、少なくとも1つのローラー20の少なくとも一部に配置する拭取材料22が溶融又は軟化したポリマーを除去する。
【0041】
外部加熱源40は、赤外線加熱器又は熱風加熱器であってもよいが、他の加熱源もまた本発明の実施に使用可能であり、当業者に公知である。好適な実施形態において、加熱源は、赤外線加熱器である。
【0042】
拭取材料は、好ましくは、紙、織布又は不織布を含む。使用可能な拭取材料は、スクリーンメッシュ、及び吸収性布を含み、ポリマー製、及び非ポリマー製の布が挙げられる。本発明の更なる改良点は、印刷プロセスに更に安全を提供し、刷版の不要な複写の防止(例えば、手形や紙幣等の印刷)が望ましい状況において、個人が、印刷要素の望ましくない複写を行うために使用済み拭取材料を使用することを防止するために、着色拭取材料が使用されてもよい。着色拭取材料は、印刷要素とほぼ同じ色であり、拭取材料の表面で除去された材料が事実上見えない、又は暗く着色されてもよい。
【0043】
本発明の第一の実施形態において、図1に示すように、印刷要素14は円筒状印刷マンドレル8に支持される。印刷要素14は、連続(シームレス)スリーブの形態であるか、又は印刷マンドレル8に直接取り付ける、若しくはキャリアスリーブ(不図示)に取り付けてから印刷マンドレル8に取り付ける平らな板であり得る。印刷要素14は、真空、接着剤及び/又は機械的クランプ等の適切な手段で印刷マンドレル8に取り付けてもよい。
【0044】
システムは、印刷要素14の少なくとも1つの光重合性層の表面12にデジタル画像形成層を作製する手段16を含み、好ましくは、少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16(又は、上記の他の画像形成手段)である。少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16に、少なくとも1つの化学線源18が隣接して取り付けられる。少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16と少なくとも1つの化学線源がキャリッジ25に取り付けられ、レリーフ像印刷要素14の長さ方向を横移動する。
【0045】
作動中に、キャリッジ25は、少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16及び少なくとも1つの化学線源18が、レリーフ像印刷要素14の画像形成面12の長さ方向を横移動して、レリーフ像印刷要素14を像様露光する。キャリッジ25がレリーフ像印刷要素14の画像形成面12の長さ方向を横移動する間、レリーフ像印刷要素14が第1方向に継続的に回転し、レリーフ像印刷要素14の画像形成面12全体が像様露光される。その後、レリーフ像印刷要素14の像様露光面12が熱現像され、未架橋感光性ポリマーを軟化し、除去する。
【0046】
熱現像装置は、概して、下記手段を含む。
a)レリーフ像印刷要素14の像様露光面12上の未架橋感光性ポリマーの軟化及び溶融のいずれかを行う手段、
b)レリーフ像印刷要素14の像様露光面12上の軟化及び溶融のいずれかが行われた未架橋感光性ポリマーを除去するために、レリーフ像印刷要素14の像様露光面12と接触可能であり、且つレリーフ像印刷要素14の像様露光面12の少なくとも一部上を移動可能である少なくとも1つのローラー20、並びに
c)少なくとも1つのローラー20とレリーフ像印刷要素14の像様露光面12との接触を維持する手段34。
【0047】
熱現像装置は、少なくとも1つのローラー20をレリーフ像印刷要素14の像様露光面12の少なくとも一部上で回転させて、レリーフ像印刷要素14の像様露光面12から未架橋感光性ポリマーを除去する。好ましくは、少なくとも1つのローラー20は、第1方向に回転し、円柱状レリーフ像印刷要素14は、少なくとも1つのローラー20とは反対方向に回転する。
【0048】
画像形成、露光、及び現像工程の間に、レリーフ像印刷要素14が第1方向に継続的に回転するため、レリーフ像印刷要素14の画像面12全体が画像形成、露光、及び現像される。キャリッジ25がレリーフ像印刷要素14の長さ方向を横移動するにつれて印刷要素14が回転するこのプロセスの螺旋性が、全ての大きさの印刷要素14の全域で均一な画像形成、露光及び現像を確実にする。
【0049】
少なくとも1つのローラー20は、インクジェットプリントヘッド及び少なくとも1つの化学線源18として同じキャリッジ25に取り付けてもよく、又は個別のキャリッジに取り付けてもよい(不図示)。この設計上の特徴の利点は、印刷要素の表面を横切るローラーの移動により、本発明のシステムが様々な長さ及び直径の印刷要素を収容可能となることである。この場合、少なくとも1つのローラーは、印刷要素を長さ方向すなわち外周に沿って回転し、また、印刷要素の幅方向に沿って回転軸に平行な方向にも移動する。
【0050】
一実施形態において、少なくとも1つのローラー20が加熱され、レリーフ像印刷要素14の像様露光面12の少なくとも一部上で移動する。よって、レリーフ像印刷要素14の画像面12上の未架橋感光性ポリマーが軟化又は溶融され、少なくとも1つの加熱可能なローラー20によって除去される。
【0051】
また、加熱源40がローラー20の前に配置され、レリーフ像印刷要素の像様露光面の未架橋ポリマーが軟化又は溶融され、そして、ローラー20により除去される。加熱源40もまた、加熱されたローラー20と共に使用され、レリーフ像印刷要素の画像面の未架橋ポリマーの少なくとも一部を軟化又は溶融する。ローラー20は、少なくとも1つのローラー20とレリーフ像印刷要素14の像様露光面12との接触を維持するためにレリーフ像印刷要素面に押し付けられる。
【0052】
拭取材料22は、好ましくは、レリーフ像印刷要素14の画像面12と接触する少なくとも1つのローラー20の少なくとも一部の下部、及び周りに張架される。拭取材料22は、拭取材料22の離れた材料源(図4に不図示)から少なくとも1つのローラー20に継続的に供給される。熱現像システムは、また、除去した未架橋感光性ポリマーを含んだ拭取材料22を取り除く巻取装置(図4に不図示)を含む。
【0053】
また、図3に示すように、熱現像装置は、互いに近接及び離間して対向配置可能であり且つレリーフ像印刷要素14の画像面12との接触をそれぞれ維持可能である2つのローラー20及び30を含む。2つのローラー20及び30が、レリーフ像印刷要素14の画像面12と接触する場合、2つのローラー20及び30は、レリーフ像印刷要素14の画像面12に対してセルフセンタリングする。
【0054】
本実施形態において、拭取材料22はレリーフ像印刷要素14の画像形成面12と接触可能な第1ローラー20の少なくとも一部の下部及び周りに拭取材料22を張架し、2つのローラー20及び30の間に配置される1つ以上の軌道ローラー32の周りに拭取材料22を張架し、そして、レリーフ像印刷要素14の画像形成面12と接触可能な第2のローラー30の少なくとも一部の下部及び周りに拭取材料22を張架することで、2つのローラー20及び30に継続的に供給される。
【0055】
他の実施形態において、熱現像装置は、図3に示すように、少なくとも1つのローラー20又は30に隣接配置可能であるドクターブレード36を含み、第2のローラー30に隣接配置される。ドクターブレードは、拭取材料22の代わりに使用されてもよい。少なくとも1つのローラー20がレリーフ像印刷要素14の画像面12から未架橋感光性ポリマーを除去する際に、ドクターブレード36が、少なくとも1つのローラー30の表面から未架橋感光性ポリマーを拭取る。
【0056】
少なくとも1つのローラー20とレリーフ像印刷要素14の画像面12との接触を維持するための手段34は、通常、レリーフ像印刷要素14の画像面12に対して少なくとも1つのローラー20を押し付けるように作動する空気シリンダ又は油圧シリンダを含む。少なくとも1つのローラー20とレリーフ像印刷要素14との接触を維持する他の手段もまた当業者に公知である。
【0057】
更に、米国特許出願第10/891,351号明細書(Markhart)に詳細が記載されるように、熱現像装置は、更に、画像形成速度と樹脂の除去率を向上させるために、円柱状レリーフ像印刷要素の対向側に対向位置で配置可能な1つ以上の追加的なローラーを更に含んでもよく、この内容を参照することにより全体を本願に援用する。
【0058】
他の実施形態において、図2に図示するように、本発明の熱現像システムは、レリーフ像印刷要素14が1つ以上の紫外線18で露光され、且つ少なくとも1つのローラー20で熱現像されるとすぐに、レリーフ像印刷要素14を粘着低下、及び後硬化する装置28を更に含む。本発明のシステム内で粘着低下、及び後硬化する装置28を使用すると、印刷要素の取り扱い、すなわち、印刷要素を次のシステムに移動する必要性がなくなり、より正確で精密な印刷要素を提供する。
【0059】
図4に示すように、本発明の他の好適な実施形態において、印刷要素は、コンベヤー50の無端ループ52等のほぼ平らな支持体に支持されるほぼ平面の印刷要素であってもよい。
【0060】
駆動モーター(不図示)に取り付けられたコンベヤー50は、本発明の画像形成、露光、及び現像を複合したシステムを通して感光性印刷要素14の搬送に使用される。コンベヤー50は、固定位置に取り付けられ、少なくとも第1ローラー54及び第2ローラー56によって支持される無端ループ52を含む。任意で、1つ以上の追加ローラー(不図示)を使用して、コンベヤー50を補助的に支持し、無端ループ52が感光性印刷要素14の重量で撓むのを防止してもよい。好適な実施形態において、無端ループ52は、金網を含む。
【0061】
感光性印刷要素14の前縁は、クランプ及び/又は真空等での適切な固定手段58でコンベヤー50の無端ループ52に対して所定の位置に保持してもよい。必要であれば、コンベヤー50の無端ループ52の所定の位置に感光性印刷要素14を保持するために、コンベヤー50の第1ローラー54及び第2ローラー56の少なくとも1つに真空が提供されて、単独で、又は固定手段58と共に使用されてもよい。
【0062】
少なくとも1つのインクジェットプリントヘッド16(又は、他の画像形成手段)及び露光手段18が、コンベヤー50上部のキャリッジ19に取り付けられ、コンベヤー50が本発明のシステムを通して感光性印刷要素14を移動させる際に、感光性印刷要素上をインクジェットプリントヘッド16及び露光手段18が前後に移動する。また、画像形成手段16及び露光手段18は静止位置に取り付けられ、コンベヤー50の無端ループ52上の感光性印刷要素が、画像形成手段16及び露光手段18を通過する。
【0063】
感光性印刷要素が像様露光されると、コンベヤー50の無端ループ52が第2ローラー56の上部及び周りを回転する際に、コンベヤー50が感光性印刷要素14を伴って、少なくとも1つの加熱可能なローラー20に向かって移動し、感光性印刷要素14がコンベヤー50と少なくとも1つの加熱可能なローラー20との間の間隙70を通過する。少なくとも1つの加熱可能なローラー20がコンベヤー50と反対方向に回転する。コンベヤーが第1方向に移動し、少なくとも1つの加熱可能なローラー20が反対方向に移動する際に、少なくとも1つの加熱可能なローラー20を、コンベヤー50に位置する感光性印刷要素14に向けて押し付けることができる。好ましくは、少なくとも1つの加熱可能なローラー20は、ピボット(不図示)上に固定可能に取り付けられ、コンベヤー50に対して押し付けることができる。
【0064】
好適な実施形態において、少なくとも1つの加熱可能なローラー20を、1つ以上の空気シリンダ68等の適切な手段を使用してコンベヤー50上の感光性印刷要素14に向けて押し付ける。空気シリンダ68は、少なくとも1つの加熱可能なローラー20をコンベヤー50の第2ローラー56の外面から所定の距離に配置して間隙70を形成し、感光性印刷要素14が第2ローラー56に張架されたコンベヤー50の無端ループ52で搬送される際に間隙70を通過する。
【0065】
ウエブ状吸収材料22は、少なくとも1つの加熱可能なローラー20の外面の少なくとも一部上に導入される。少なくとも1つの加熱可能なローラー20が回転して加熱され、ウエブ状吸収材料22が感光性印刷要素14の少なくとも一部と接触する場合に、ウエブ状吸収材料22は、感光性印刷要素14から液化又は軟化した材料を吸収(除去)可能である。少なくとも1つの加熱可能なローラー20は、コンベヤー50の方向とは反対方向に回転するので、感光性印刷要素14及びウエブ状吸収材料22が互いに接触し、そして離れる。
【0066】
空気シリンダ68を制御して、感光性印刷要素14の厚さに応じて間隙70が調整される。液化又は軟化した感光性ポリマーの少なくとも一部をウエブ状吸収材料22が吸収するように、コンベヤー50が第1方向に回転し、少なくとも1つの加熱可能なローラー20が反対方向に回転するため、シリンダ68は、少なくとも1つの感光性材料層14とウエブ状吸収材料22とを、コンベヤー50と少なくとも1つの加熱可能なローラー20との間の間隙70で接触させる。
【0067】
少なくとも1つの加熱可能なローラー20は、少なくとも1つの加熱可能なローラー20の表面温度を維持することができるコアヒーターにより加熱される、感光性材料の少なくとも一部を軟化又は液化する。少なくとも1つの加熱可能なローラー20を加熱する温度は、感光性材料の組成に基づいて選択され、感光性材料に含まれるモノマー及びポリマーの溶融温度に基づく。少なくとも1つの加熱可能なローラー20は、所望の表面温度を提供するために電気コアヒーターを含むことが好ましいが、スチーム、油、熱風、及び様々な他の熱源を使用して所望の表面温度としてもよい。
【0068】
ウエブ状吸収材料22は、ウエブ状吸収材料22の供給ローラー64から、少なくとも1つの加熱可能なローラー20の外面の少なくとも一部に供給される。
【0069】
システム全体を通して、ウエブ状吸収材料に均一の張力を維持する適切な手段を使用してもよく、例えば、1つ以上の遊動ローラー(不図示)等が挙げられる。
【0070】
好適な実施形態において、巻取りローラー66は、版処理装置全体を通って処理後に、ウエブ状吸収材料22を巻き取るために提供される。巻取りローラー66がある場合には、巻取りローラー66は、モーター67で独立して駆動されるベルトであり、好ましくは、可変速度モーターである。ウエブ状吸収材料22が感光性印刷要素14と液化又は軟化した感光性材料の除去部分とに接触した後、巻取りローラー66がウエブ状吸収材料22を回収する。
【0071】
本発明は、また、印刷要素にレリーフ像を作成する印刷要素の画像形成、露光、及び現像方法に関し、方法は下記工程を含む。
a) 少なくとも1つの光重合性層を支持層上に含む印刷要素を支持する工程、
b) 少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する工程、
c) 少なくとも1つの光重合性層の選択された部分を架橋硬化するために、デジタル画像形成マスク層を介して、化学線で少なくとも1つの光重合性層を露光する工程
d)像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの溶融及び軟化のいずれかを行う工程、並びに
e)像様露光面と少なくとも1つのローラーとを接触させて、レリーフ像印刷要素の像様露光面から未架橋感光性ポリマーを除去する工程。
【0072】
上記のように、一実施形態において、レリーフ像印刷要素の像様露光面に接触する少なくとも1つのローラーを加熱することで、レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーが溶融又は軟化する。
【0073】
他の実施形態において、未架橋感光性ポリマーを軟化又は溶融するために加熱器をレリーフ像印刷要素の像様露光面に隣接配置することで、レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーが溶融又は軟化され、そして、少なくとも1つのローラーにより除去される。加熱されたローラー及び赤外線加熱器は、また、一緒に使用して未架橋感光性ポリマーの除去を更に促進する。使用する場合は、少なくとも1つの加熱されたローラーは、通常、未硬化感光性ポリマーの下限溶融温度と硬化感光性ポリマーの上限溶融温度との間の温度に維持される。これにより、感光性ポリマーの選択的な除去が可能となり、画像が形成される。好ましくは、少なくとも1つの加熱されたローラーは、約華氏350度から約華氏450度の温度に維持される。光重合性材料の少なくとも一部を軟化又は液化する加熱可能なローラー20の表面温度を維持可能なコアヒーターにより、加熱可能なローラー20が加熱される。加熱可能なローラー20を加熱する温度は、少なくとも1つの光重合性層の組成に基づいて選択され、光重合性材料内に含まれるモノマー及びポリマーの溶融温度に基づく。
【0074】
上記のとおり、方法は、また、露光及び熱現像した印刷要素を粘着低下、及び後露光する工程も含む。
本発明は、特に、好適な実施形態に関して図示し、記載するが、本発明の範囲及び精神から逸脱しない範囲で形体及び詳細を変更することは当業者には明らかである。
よって、本発明は、同一システムで複数の工程を実施することで、先行技術よりも有意な改善を提供することが分かる。
また、特許請求の範囲は本明細書に記載される本発明の包括的な及び特定の特徴の全てに及ぶことを意図し、言語として本発明の範囲の全記述はそれらに該当することも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図中の同一符号は同様の特徴を示すが、図面毎の全ての特徴に符号を付してはいない。
【図1】図1は、画像形成、露光、及び熱現像工程を含む本発明の改良されたシステムの一実施形態を示す。
【図2】図2は、システムが後露光/粘着低下装置も含む本発明の別の実施形態を示す。
【図3】図3は、本発明の熱現像装置の図である。
【図4】図4は、ほぼ平らな印刷要素がほぼ平らな支持体上で支持される本発明の改良されたシステムの他の実施形態を示す。
【符号の説明】
【0076】
8 円筒状印刷マンドレル
12 光重合性層
14 印刷要素
16 デジタル画像形成層マスクを作製する手段
18 化学線源
20 ローラー
22 拭取材料
25 キャリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフ像印刷要素を画像形成、露光、及び現像する複合システムであって、
レリーフ像印刷要素は、支持体上に少なくとも1つの光重合性層を含み、
前記印刷要素の少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する手段、
前記少なくとも1つの光重合性層を選択的に架橋硬化するために、前記デジタル画像形成マスク層を介して化学線で前記少なくとも1つの光重合性層を露光する手段、並びに
未架橋感光性ポリマーを軟化除去して、表面にレリーフ像が現れるように前記印刷要素を熱現像する手段を含むことを特徴とするレリーフ像印刷要素を画像形成、露光及び現像する複合システム。
【請求項2】
少なくとも1つの光重合性層にデジタル画像形成マスク層を作製する手段が、インクジェットプリントヘッド、赤外線レーザー、及びサーマルプリントヘッドからなる群より選択される請求項1に記載の複合システム。
【請求項3】
デジタル画像形成マスク層を作製する手段が、少なくとも1つの光重合性材料層にパターンで噴出液滴を堆積できる少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドを含む請求項2に記載の複合システム。
【請求項4】
噴出液が、水系インク、溶剤系インク、及び相変化インクからなる群より選択される請求項3に記載の複合システム。
【請求項5】
印刷要素が、少なくとも1つの光重合性材料層上にレーザーアブレーション層を含み、且つデジタル画像形成マスク層を作製する手段が、所望の画像を作製するために前記レーザーアブレーション層をアブレーション可能な赤外線レーザーを含む請求項2に記載の複合システム。
【請求項6】
印刷要素が、少なくとも1つの光重合性材料層上に熱作用で不透過になる透過層を含み、且つデジタル画像形成マスク層を作製する手段が、所望の画像を作製するために前記透明層を選択的に加熱できるサーマルプリントヘッドを含む請求項2に記載の複合システム。
【請求項7】
化学線で印刷要素画像面を露光する手段が、少なくとも1つの紫外線源を含む請求項1に記載の複合システム。
【請求項8】
少なくとも1つの紫外線源がフィルタリングされる請求項7に記載の複合システム。
【請求項9】
少なくとも1つの紫外線源がコリメートされる請求項7に記載の複合システム。
【請求項10】
デジタル画像形成マスク層を作製する手段が、往復キャリッジに取り付けられ、前記往復キャリッジは、印刷ブランクの長さ方向を横移動する請求項1に記載の複合システム。
【請求項11】
化学線で印刷要素画像面を露光する手段が、デジタル画像形成マスク層を作製する手段に隣接して取り付けられることで、前記デジタル画像形成マスク層が作製される際に、前記印刷要素を露光する手段が、実質的に画像が形成されるように画像を硬化する請求項1に記載の複合システム。
【請求項12】
レリーフ像印刷要素の粘着低下、及び後硬化手段を更に含む請求項1に記載の複合システム。
【請求項13】
印刷要素の像様露光面を熱現像する手段が、
a)印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの軟化及び溶融のいずれかを行う手段、
b)前記印刷要素の像様露光面上の軟化及び溶融のいずれかが行われた未架橋感光性ポリマーを除去するために、前記印刷要素の像様露光面と接触可能であり、且つ前記印刷要素の像様露光面の少なくとも一部上を移動可能である少なくとも1つのローラー、並びに
c)前記少なくとも1つのローラーと前記印刷要素の像様露光面との接触を維持する手

を含む請求項1に記載の複合システム。
【請求項14】
拭取材料が、印刷要素の画像面と接触する少なくとも1つのローラーの少なくとも一部の下部及び周りに張架され、前記拭取材料が前記レリーフ像印刷要素の画像面と接触する場合、前記レリーフ像印刷要素の画像面上の未架橋ポリマーが前記拭取材料により除去される請求項13に記載の複合システム。
【請求項15】
拭取材料が、離れた拭取材料源から少なくとも1つのローラーに継続的に供給される請求項14に記載の複合システム。
【請求項16】
除去した未架橋ポリマーを含む拭取材料を取り除く巻取装置を更に含む請求項14に記載の複合システム。
【請求項17】
拭取材料が、スクリーンメッシュ、織布、不織布、及び紙からなる群より選択される請求項14に記載の複合システム。
【請求項18】
少なくとも1つのローラーに隣接配置可能であるドクターブレードを更に含み、前記少なくとも1つのローラーがレリーフ像印刷要素の画像面から未架橋感光性ポリマーを除去する場合、前記ドクターブレードが前記少なくとも1つのローラー面から前記未架橋感光性ポリマーを拭取る請求項13に記載の複合システム。
【請求項19】
少なくとも1つの加熱可能なローラーとレリーフ像印刷要素の画像面との接触を維持する手段が、前記少なくとも1つの加熱可能なローラーを前記レリーフ像印刷要素の画像面に対して押し付ける空気シリンダ及び油圧シリンダのいずれかを含む請求項13に記載の複合システム。
【請求項20】
少なくとも1つのローラーが、レリーフ像印刷要素の像様露光面の少なくとも一部上を回転する請求項13に記載の複合システム。
【請求項21】
レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの軟化及び溶融のいずれかを行う手段が、前記レリーフ像印刷要素の画像面と接触可能な少なくとも1つのローラーを加熱する請求項13に記載の複合システム。
【請求項22】
レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの軟化及び溶融のいずれかを行う手段が、前記レリーフ像印刷要素の像様露光面に加熱器を隣接配置することを含む請求項13に記載の複合システム。
【請求項23】
加熱器が、赤外線加熱器及び熱風加熱器のいずれかである請求項22に記載の複合システム。
【請求項24】
レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの軟化及び溶融のいずれかを更に行うために、前記印刷要素の像様露光面に隣接配置される加熱器を更に含む請求項21に記載の複合システム。
【請求項25】
印刷要素が、ほぼ平らな印刷要素、又はシームレス印刷スリーブであって、円柱状マンドレルに取り付けられる請求項13に記載の複合システム。
【請求項26】
少なくとも1つのローラーが、第1方向に回転し、印刷要素を取り付けた円柱状マンドレルが、前記少なくとも1つのローラーとは反対方向に回転する請求項25に記載の複合システム。
【請求項27】
少なくとも1つのローラーが、印刷スリーブの長さ方向に沿って横移動可能にする手段を更に含む請求項25に記載の複合システム。
【請求項28】
少なくとも1つのローラーが、互いに近接及び離間して対向配置可能であり、且つレリーフ像印刷要素の画像面との接触をそれぞれ維持可能である2つのローラーを含み、前記2つのローラーが前記レリーフ像印刷要素の画像面と接触する場合、前記2つのローラーは、前記レリーフ像印刷要素の画像面に対してセルフセンタリングする請求項25に記載の複合システム。
【請求項29】
拭取材料をレリーフ像印刷要素の画像面と接触可能な第1ローラーの少なくとも一部の下部、及び周りに張架し、2つのローラーの間に配置される1つ以上の軌道ローラーの周りに張架し、且つ前記レリーフ像印刷要素の画像面と接触可能な第2のローラーの少なくとも一部の下部及び周りに張架することで、前記拭取材料が2つのローラーに継続的に供給される請求項28に記載の複合システム。
【請求項30】
印刷要素が、コンベヤーの無端ループに取り付けられるほぼ平らな印刷要素である請求項1に記載の複合システム。
【請求項31】
印刷要素が、除去可能なカバーシートを更に含み、且つシステムが、印刷ブランクを画像形成する前に、前記除去可能なカバーシートを除去する手段を含む請求項30に記載の複合システム。
【請求項32】
印刷要素が、コンベヤーの無端ループに真空及び機械的クランプの少なくともいずれかで保持される請求項30に記載の複合システム。
【請求項33】
印刷要素を画像形成、露光、及び現像する方法であって、
a) 少なくとも1つの光重合性層を支持層上に含む印刷要素を支持する工程、
b) 前記少なくとも1つの光重合性層上にデジタル画像形成マスク層を作製する工程、
c) 前記少なくとも1つの光重合性層の選択された部分を架橋硬化するために、前記デジタル画像形成マスク層を介して化学線で前記少なくとも1つの光重合性層を露光する工程、
d) 像様露光面上の未架橋感光性ポリマーの溶融及び軟化のいずれかを行う工程、並びに
e) 前記レリーフ像印刷要素の像様露光面から前記未架橋感光性ポリマーを除去するために前記像様露光面と前記少なくとも1つのローラーとを接触させる工程
を含むことを特徴とする印刷要素上にレリーフ像を作製するために印刷要素を画像形成、露光、及び現像する方法。
【請求項34】
印刷要素が、画像形成工程の前に背面露光される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
レリーフ像印刷要素の粘着低下、及び後硬化工程を更に含む請求項33に記載の方法。
【請求項36】
印刷要素が、円柱状印刷マンドレルに巻付けることで支持されるほぼ平らな印刷要素であるか、又は前記円柱状印刷マンドレルに支持される連続円柱状印刷スリーブである請求項33に記載の方法。
【請求項37】
印刷要素が、コンベヤーの無端ループに支持されるほぼ平らな印刷要素である請求項33に記載の方法。
【請求項38】
インクジェット印刷、レーザー画像形成、及び感熱印刷からなる群より選択される方法により、デジタル画像形成マスク層が少なくとも1つの光重合性層上に作製される請求項33に記載の方法。
【請求項39】
デジタル画像形成マスク層が、光重合性層上に噴出液を堆積できる少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドを移動して前記少なくとも1つの光重合性層上にパターンで前記噴出液を堆積して作製される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
噴出液が、光硬化材料層上のインク受容層上に堆積される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
噴出液が、水系インク、溶剤系インク、及び相変化インクからなる群より選択される請求項39に記載の方法。
【請求項42】
印刷要素が、光重合性層上にレーザーアブレーション層を含み、デジタル画像形成マスク層が、赤外線レーザーを使用して前記レーザーアブレーション層を選択的にアブレーションすることで作製される請求項38に記載の方法。
【請求項43】
印刷要素が、光重合性層上に熱作用で不透過になる透過層を含み、所望の画像を作製するためにサーマルプリントヘッドで透明層を選択的に加熱することでデジタル画像形成マスク層が作製される請求項38に記載の方法。
【請求項44】
画像形成手段が、往復キャリッジに取り付けられ、前記往復キャリッジは、印刷ブランクの長さ方向を横移動する請求項38に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの化学線源が1つ以上の紫外線を含む請求項33に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1つの化学線源が画像形成手段に隣接して取り付けられることで、光重合性層に画像が形成される際に、前記少なくとも1つの化学線源が、実質的に画像が形成されるように画像を硬化する請求項44に記載の方法。
【請求項47】
空気シリンダ及び油圧シリンダのいずれかが、少なくとも1つのローラーとレリーフ像印刷要素の画像面との間で接触を維持するために使用される請求項33に記載の方法。
【請求項48】
レリーフ像印刷要素の画像面と接触する少なくとも1つのローラーの少なくとも一部が拭取材料で被覆され、前記拭取材料が前記レリーフ像印刷要素の画像面から未架橋ポリマーを除去する請求項33に記載の方法。
【請求項49】
拭取材料が、レリーフ像印刷要素の画像面と接触する少なくとも1つのロールの少なくとも一部の下部、及び周りに張架される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
拭取材料が、スクリーンメッシュ、織布、不織布、及び紙からなる群より選択される請求項48に記載の方法。
【請求項51】
拭取材料が、暗い色、又は除去される光重合性材料層とほぼ同じ色である請求項50に記載の方法。
【請求項52】
レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーが、前記レリーフ像印刷要素の像様露光面と接触する少なくとも1つのローラーを加熱することで溶融及び軟化のいずれかが行われる請求項33に記載の方法。
【請求項53】
レリーフ像印刷要素の像様露光面上の未架橋感光性ポリマーが、前記レリーフ像印刷要素の像様露光面に加熱器を隣接配置することで溶融及び軟化のいずれかが行われる請求項33に記載の方法。
【請求項54】
未架橋感光性ポリマーの溶融及び軟化のいずれかを更に行うために、レリーフ像印刷要素の像様露光面に隣接配置される加熱器を更に含む請求項52に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つのローラーが、レリーフ像印刷要素の長さ方向を横移動する請求項36に記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1つのローラーが、レリーフ像印刷要素の長さ方向を螺旋状及び段階的のいずれかで複数回横移動する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1つのローラーが、第1方向に回転し、円柱状レリーフ像印刷要素が、前記少なくとも1つのローラーとは反対方向に回転する請求項55に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つのローラーの表面から未架橋感光性ポリマーを拭取るために、前記少なくとも1つのローラーにドクターブレードを隣接配置することで、レリーフ像印刷要素の画像面から除去した後に前記少なくとも1つのローラーに残留する前記未架橋感光性ポリマーが、前記少なくとも1つのローラーから除去される請求項52に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つローラーは、互いに近接及び離間して配置可能であり、且つレリーフ像印刷要素の画像面との接触をそれぞれ維持可能である2つのローラーを含み、前記2つのローラーが、前記レリーフ像印刷要素の像様露光面に対してセルフセンタリングする請求項36に記載の方法。
【請求項60】
拭取材料をレリーフ像印刷要素の画像面と接触する第1ローラーの少なくとも一部の周りに巻き、2つのローラーの間に配置される1つ以上の軌道ローラーの周りに張架し、且つ前記レリーフ像印刷要素の画像面と接触する第2のローラーの少なくとも一部の周りに巻くことで、前記拭取材料が2つのローラーに継続的に供給される請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−511985(P2009−511985A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535527(P2008−535527)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/033097
【国際公開番号】WO2007/046949
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506314391)マクダーミッド プリンティング ソリューションズ, エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】