レーザダイオードモジュール及びレーザ光源
【課題】レーザダイオードとの光結合に優れた矩形ファイバを用いて、気密封止したレーザダイオードモジュールにおいて、矩形ファイバからの出射光のパワー密度の低下を抑制する。
【解決手段】端面発光型のレーザダイオード4と、レーザダイオード4と光学的に接続された先端部6を有する光ファイバ1と、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を内部に収容して気密に封止するパッケージ9とを備えるレーザダイオードモジュールにおいて、光ファイバ1は、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコア2と、コア2の周囲に形成されたクラッド3とを有し、短辺の寸法Aが長辺の寸法Bの1/2以下であり、コア2の短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、短辺の寸法Aが30μm以下であり、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが、コア2の短辺の寸法Aの3倍以上である。
【解決手段】端面発光型のレーザダイオード4と、レーザダイオード4と光学的に接続された先端部6を有する光ファイバ1と、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を内部に収容して気密に封止するパッケージ9とを備えるレーザダイオードモジュールにおいて、光ファイバ1は、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコア2と、コア2の周囲に形成されたクラッド3とを有し、短辺の寸法Aが長辺の寸法Bの1/2以下であり、コア2の短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、短辺の寸法Aが30μm以下であり、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが、コア2の短辺の寸法Aの3倍以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザダイオードモジュール及びレーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザとしては、基板上に積層した半導体多層膜の側方端面から光が出射される端面発光型レーザダイオードや、基板の面に対して垂直に光が出射される面発光型レーザダイオードなどが知られている。端面発光型レーザダイオードは、一般に長方形の端面を出射面(エミッタ)としている。
【0003】
半導体レーザは、光ファイバ通信の光源として、あるいは、固体レーザ等のレーザ光源において増幅媒質を励起(光ポンピング)するための励起光源として、広く用いられている。固体レーザの増幅媒質には、例えばYAG結晶や石英系光ファイバ等の媒質に希土類元素(Nd,Yb,Erなど)をドープしたものがある。この種の固体レーザは、加工用、医療用、センシング用(計測用)、軍事用等の各種機器に用いられている。特に加工機器の場合、切断、穴あけ、溶接、溶着等の用途において能率を向上するため、パワー及びパワー密度(単位断面積あたりのパワー)が高いレーザ光源が求められている。
半導体レーザを光ファイバ通信用光源とする場合は勿論、レーザ光源の励起光源として用いる場合においても、半導体レーザから出射された光を増幅媒質に入射させるための光伝送路として、光ファイバが用いられる。光ファイバ通信の長距離伝送や、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を実現するためには、半導体レーザから光ファイバへ、レーザ光を高いパワー密度で入射することが必要である。
【0004】
特許文献1には、従来の円柱レンズ等のレンズ系を用いなくても、方形の活性層端面を有する半導体レーザの出力光を光ファイバに効率良く結合できるよう、光ファイバの端部を先細り形状にし、その先細り先端部を、活性層厚さ方向の曲率半径が活性層幅方向の曲率半径より小さく形成して、活性層端面と対向させた接続構造が記載されている。
特許文献2には、酸化による半導体レーザの特性劣化を抑制するため、外気を遮断するパッケージ内に半導体レーザを収容し、半導体レーザからのレーザ光を外部に導く光ファイバをパッケージの壁部に設けた穴にハンダ付けして貫通部の気密保持を図る構造としたレーザモジュールが記載されている。
特許文献3には、ハイパワーレーザの発光部に有機不純物(フラックスやエポキシ等)が堆積すると、堆積物に出射光のパワーが吸収されて発熱し、レーザの故障の原因となるため、レーザを包囲する気密容器内に、有機不純物を吸収する化学成分を使用することが記載されている。
【0005】
また、端面発光型レーザダイオードからのレーザ光を入射させる光ファイバとして、コアの断面形状が矩形である矩形ファイバ(rectangular fiber)が知られている。
特許文献4には、複数の発光部が幅方向に並んだレーザダイオード・バーと、各発光部と結合される複数の矩形ファイバとの間に、1本の光ファイバからなるマイクロレンズが配置された構造が記載されている。
特許文献5には、特許文献4と同様にして複数の発光部が整列された光源と複数の矩形ファイバの入力端とが結合され、さらに各矩形ファイバの出力端が断面方向に沿って積層集合された構造が記載されている。
特許文献6には、アレイ状に配列された複数の発光点を有するレーザ・バーと、前記発光点と対向するようにアレイ状に配列された光ファイバとを備え、光ファイバの入射部がシリンドリカルレンズ状に形成されている構造が記載されている。
【0006】
また、複数のレーザダイオードからの入力を1つの出力に集合させる構成として、次のような発明が知られている。
特許文献7には、レーザダイオードの2以上またはアレイを有するレーザダイオードサブシステムと、コアの断面形状がレーザダイオードから出射するビームの断面形状に一致し入力ポートとして機能する光導波路を複数備える光結合サブシステムと、光結合サブシステムの出力を伝送する手段を備え、光結合サブシステムは、複数の光導波路に入力されたレーザ光を1つの出力に集合し、かつその出力の断面形状は入力導波路の重ね合わせからなり、最初の入力パワー密度を出力でも保持できるレーザシステムが記載されている。
特許文献8には、複数の発光部を有する光源と、1つの光ファイバ導波路と、光ファイバ導波路の出射端から固体レーザの活性媒体に光を結合させる光学的手段を備える固体レーザ用の光励起システムにおいて、光ファイバの入射端は、細長い断面のコアと、発光部に対応する縦及び横方向の開口数と、光源の複数の発光部から出射される光を最大限導波できる縦及び横方向の拡がりを有する構造が記載されている。
特許文献9には、所定の長さのクラッド増幅ファイバと、複数の励起光源と、各光源をクラッド増幅ファイバのクラッドに結合する複数のマルチモードファイバと、クラッド増幅ファイバのコアに結合する1つのシングルモードファイバからなり、複数のマルチモードファイバ及び1つのシングルモードファイバが集束され、かつクラッド増幅ファイバに向けて断面積をテーパ状に縮小しているデバイスにおいて、過剰な損失を避けるためには、出力であるクラッド増幅ファイバの開口数NAoutputと入力であるマルチモードファイバの開口数NAinputとの比が、複数のマルチモードファイバの断面積の合計ΣAiとテーパ部の最小断面積A′との比に対して、(NAoutput/NAinput)2≧ΣAi/A′となるように、NAoutputを大きくすべきことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−163806号公報
【特許文献2】特許第2970635号公報
【特許文献3】特許第3452214号公報
【特許文献4】米国特許第5127068号明細書
【特許文献5】米国特許第5268978号明細書
【特許文献6】特開2008−203598号公報
【特許文献7】米国特許第5668903号明細書
【特許文献8】米国特許第4818062号明細書
【特許文献9】米国特許第5864644号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4〜6の矩形ファイバは、レーザダイオード(LD)からの光のパワー密度を低下することなく、複数のLDからの光を集光する技術として有効である。しかし、LDの劣化を防ぐため、特許文献2〜3に示されるように気密封止することは、述べられていない。例えば、特許文献6の段落0027〜0028には、ガラス等の材料を使用した保持部材の上面に、光ファイバの寸法よりも僅かに大きい寸法とされた収納溝を機械加工により形成し、その収納溝内に光ファイバを挿入して、固定することが記載されている。
ところが、本発明者の検討によれば、従来の矩形ファイバをレーザダイオードモジュールに用いて、気密封止すると、矩形ファイバからの出射光のパワー密度が低下することが分かった。
また、従来の矩形ファイバは、LDの発光部の形状に合わせて、コアの断面形状の長辺方向を発光部の長辺方向に合わせるのが通常である。このとき、コアの断面形状の短辺寸法が発光部の短辺寸法に比べて大きすぎると、光のパワー密度が低下することがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザダイオードとの光結合に優れた矩形ファイバを用いて、矩形ファイバからの出射光のパワー密度の低下を抑制することが可能な気密封止したレーザダイオードモジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、端面発光型のレーザダイオードと、前記レーザダイオードと光学的に接続された先端部を有する光ファイバと、前記レーザダイオード及び前記光ファイバの前記先端部を内部に収容して気密に封止するパッケージとを備えるレーザダイオードモジュールであって、前記光ファイバは、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコアと、前記コアの周囲に形成されたクラッドとを有し、前記コアは、前記短辺の寸法が、前記長辺の寸法の1/2以下であり、前記コアの前記短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、かつ前記短辺の寸法が30μm以下であり、前記コアの前記短辺に沿った方向における前記クラッドの最大寸法が、前記コアの前記短辺の寸法の3倍以上であるレーザダイオードモジュールを提供する。
【0011】
前記光ファイバの前記先端部が、前記レンズ形状とされていることが好ましい。
前記光ファイバの前記先端部と、前記レーザダイオードの発光部との間に、シリンドリカルレンズが配置されていることが好ましい。
また、本発明は、上記のレーザダイオードモジュールを複数と、これら複数のレーザダイオードモジュールの有する複数の前記レーザダイオードの出力を、各レーザダイオードモジュールの前記光ファイバを介して受け取り、1本の導光用光ファイバに入射させる光結合系とを備えるレーザ光源を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、断面が矩形状のコアを用いたレーザダイオードモジュールにおいて、コアの短辺方向の寸法が大きすぎることなく、光のパワー密度を保つことが可能になる。
また、レーザダイオードとの光結合に優れた矩形状のコアを有する光ファイバを用いて、気密封止したレーザダイオードモジュールにおいて、気密封止に用いる封止材の寸法変化があっても、光ファイバのコアに対する側圧の影響による光ファイバからの出射光のパワー密度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のレーザダイオードモジュールの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、レーザダイオードと光ファイバの先端部との光結合構造の一例を示す光ファイバの長手方向に沿う断面図であり、(b)は、光ファイバの長手方向に垂直な断面の一例を示す断面図である。
【図3】レーザダイオードの出射角とファーフィールドパターン(FFP)との関係の一例を模式的に示すグラフである。
【図4】(a)は、断面形状が円形である光ファイバの断面の一例を示す断面図であり、(b)は、断面形状が楕円形である光ファイバの断面の一例を示す断面図であり、(c)は、断面形状が矩形である光ファイバの断面の一例を示す断面図である。
【図5】本発明のレーザダイオードモジュールの第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のレーザダイオードモジュールを複数用いたレーザ光源の一例を示す斜視図である。
【図7】複数のレンズからなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す光結合系の断面図である。
【図9】複数のコアを有する光導波路基板からなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す光結合系の断面図である。
【図11】複数の光ファイバからなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図12】図11に示す光結合系の断面図である。
【図13】コアの短辺寸法(A)と結合効率及び光パワー密度との関係の一例を示すグラフである。
【図14】コアの短辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法(C)とコアの短辺寸法(A)との比(C/A)による出射光開口数(NA)の変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明のレーザダイオードモジュールの第1実施形態を示す。レーザダイオードモジュール10は、レーザダイオード4と、このレーザダイオード4と光学的に接続された先端部6を有する光ファイバ1と、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を内部に収容するパッケージ9を備える。
【0015】
レーザダイオード4は、端面発光型のレーザダイオードが用いられる。図2(a)に示すように活性層が例えば劈開によってレーザダイオード4の端面に露出され、レーザ光を出射する発光部4aが形成される。発光部4aの寸法は、特に限定されるものではないが、例えば、発光部4aの高さ方向(活性層の厚さ方向、図2(a)では上下方向)として1μm前後、幅方向(図2(a)では紙面に垂直な方向)として50〜100μmが挙げられる。発光部4aは、幅方向に伝搬可能なモードを複数有し、幅方向でマルチモードになっている。
【0016】
図2に示すように、光ファイバ1は、その中心軸に沿って延在するコア2と、コア2の周囲に形成されたクラッド3を有する。コア2の屈折率は、クラッド3の屈折率より高い。コア2及びクラッド3の材質は、特に限定されるものではなく、従来光ファイバに用いられている石英系ガラス、多成分ガラス、プラスチック等の光透過性材料のうちから適宜選択することができる。
【0017】
光ファイバ1の先端部6は、コア2の端面がレーザダイオード4の発光部4aに対向するように位置決めされている。光ファイバ1の先端部6を保持する構成は特に限定されるものではないので、図2(a)では図示を省略したが、例えば、図1に示すように、パッケージ9内では、光ファイバ1をファイバマウント15に固定する半田8等を用いて、光ファイバ1の先端部6を支持することができる。
また、レーザダイオード4は、例えばマウント5に保持させることができる。このマウント5には、レーザダイオード4の過熱を防ぐため、ヒートシンクや冷却素子(図示せず)を設けることが好ましい。レーザダイオード4は、パッケージ9の外部からリード線14を介して供給される駆動電流により発光し、リード線14とレーザダイオード4との間は、マウント5上の導体パターン13やワイヤ12によって電気的に接続されている。
【0018】
パッケージ9は、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を気密に封止するための容器であり、例えばケースとキャップとの組み合わせにより構成することができる。なお、図面ではパッケージ9の内部を示すため、上面と手前面を開放した状態で図示しているが、気密封止のためには全面を覆う必要がある。さらに、光ファイバ1は、パッケージ9の側壁に開口した孔に挿入されている。また、図2(a)に示すように、光ファイバ1の外周面とパッケージ9の孔との間には、接着剤や半田等の封止材11が充填され、光ファイバ1がパッケージ9に固定されている。
【0019】
本実施形態の場合、光ファイバ1の先端部6が、発光部4aに向かって先細り状となり、コア2の端面がシリンドリカルレンズ状に加工されることが好ましい。あるいは、図5に示す第2実施形態のように、レーザダイオード4の発光部と光ファイバ1の先端部との間に、シリンドリカルレンズ7を配置することもできる。シリンドリカルレンズ7を有する場合、光ファイバ1の先端部はレンズ状に加工をする必要はなく、光ファイバ1の長手方向に垂直な端面を有する形状であってもよい。
【0020】
本実施形態のレーザダイオードモジュール10の場合、図2(b)の断面図に示すように、光ファイバ1の長手方向に垂直な断面において、光ファイバ1のコア2の形状が矩形である。コア2の断面形状は、コア2の端面がレーザダイオード4の発光部4aに対向した状態で、発光部4aの幅方向に対応する寸法Bが、発光部4aの高さ方向に対応する寸法Aよりも長い形状であることが、高さより大きな幅を有する発光部4aと効率よく光結合するために好ましい。本実施形態の場合、コア2の断面形状は、短辺及び長辺を有する矩形である。寸法Aの短辺が発光部4aの高さ発光部4aの幅方向に、寸法Bの長辺が発光部4aの幅方向に、それぞれ対応する。なお、本明細書では、「コア2の断面形状である矩形の短辺及び長辺」を、単に「コア2の短辺及び長辺」ということがある。
【0021】
発光部4aから出射するレーザ光は、幅方向及び高さ方向にそれぞれ一定の広がり角をもって広がりながら出射する。なお、出射光の開口数NAは、出射先の媒質の屈折率をn(図2では媒質は空気等のガスであり、その場合、媒質の屈折率nは略1.0で近似できる。)、広がり角を2θ(中心軸の片側に当たる出射角はθ)とすると、NA=n×sinθで表される。端面発光型のレーザダイオード4の開口数は、一般に0.1〜0.4程度であり、発光部4aの幅方向に比べて高さ方向のほうが、開口数が大きい傾向にある。
また、光ファイバの開口数NAは、コア2の屈折率をn1、クラッド3の屈折率をn2とすると、最大理論NAとして、(n12−n22)1/2で表される。一般に、光ファイバ内の光は、光ファイバのNAの範囲内で伝搬する。
レーザダイオードからの出射NAは水平方向が0.1程度、垂直方向が0.4程度である。このため、光ファイバ1の先端部6を水平方向にシリンドリカルレンズ状に加工したり、先端部6にシリンドリカルレンズ7を配置したりして、垂直方向のNAを0.1程度まで浅くすることにより、光を高い結合効率で光ファイバ1へ入射させることができる。
【0022】
上述したように、発光部4aの高さは通常極めて小さく、発光部4aの端面からコア2の端面まで到達する間にビームが広がる大きさを考慮しても、発光部4aの高さ方向に広がるレーザ光のビームを十分に高い結合効率で光ファイバ1に入射させるのに必要なコア2の短辺寸法Aは小さい。光ファイバ1を伝搬する光のパワー密度の低下を抑制するためには、コア2の断面積が小さいことが好ましく、コア2の短辺寸法Aがコア2の長辺寸法Bの1/2以下であることが好ましい。さらには、コア2の短辺寸法Aが30μm以下であることが好ましい。コア2の長辺寸法Bは、発光部4aの幅より若干広ければ十分であり、例えば60〜200μm程度が挙げられる。
【0023】
図3に、レーザダイオード4の出射角と、光ファイバ1のファーフィールドパターン(FFP)との関係の一例を模式的に示す。図3に示すように、基本モードに比べて高次モードのほうが結合可能な出射角の分布が広い。つまり、レーザダイオード4から、より大きな出射角で光ファイバ1の高次モードに結合した光は、光ファイバ1から出射するときも出射角が大きく(つまり、出射光のNAも大きく)なり、光ファイバ1からの出射光のパワー密度が低下しやすい。
【0024】
光ファイバ1は、コア2の短辺寸法A及び長辺寸法Bが大きいほど、伝搬可能なモードが増える傾向がある。例えば、短辺寸法Aが30μm程度であれば、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードが10個程度存在する。
レーザダイオード4から小さなNAで放射されるレーザ光の大部分は、小さなNAで光ファイバ1に入射して、基本モードに結合するが、ミスアライメントにより基本モードに結合できないレーザ光の一部は、より大きなNAで光ファイバ1に入射して、高次モードに結合する。
【0025】
逆に、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードが1個しか存在しない場合(すなわち単一モードの場合)には、高次モードに結合することが不可能とはなるが、基本モードに結合できる光の割合も減少し、結合効率が低下してしまう。すなわち、光ファイバ1に結合した光の大部分が基本モードに結合する状態であれば、高パワー密度による伝搬を実現することができる。このため、コア2の短辺寸法Aの下限は、コア2の短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上となるように規定することが好ましい。
【0026】
しかしながら、光が小さなNAで光ファイバ1の基本モードに結合した場合であっても、光ファイバ1に対して側圧や曲率半径rの小さな曲げ等、光ファイバ1への摂動があると、一部のパワーが基本モードから高次モードにモード変換されることがある。高次モードへのモード変換が起こると、伝搬光のNAが拡大するので、光ファイバ1から出射するときのNAも大きくなり、出射光のパワー密度が低下する。つまり、上述した本発明者の検討で明らかになったように、従来の矩形ファイバを気密封止モジュールに用いたときに出射光のパワー密度が低下した原因は、ファイバ固定部に挟み込まれたコアに非常に大きな応力が生じたためと考えられる。
したがって、高次モードへのモード変換を抑制するためには、光ファイバ1をパッケージ9の側壁に固定する際に生じる応力が、コア2に掛かりにくい構造とする必要がある。
【0027】
光ファイバ固定時の応力は、主に、光ファイバ1をパッケージ9に固定するため用いる封止材11が固化する際、寸法変化するために生じる。例えば、封止材11が半田である場合、溶融加熱した状態で光ファイバ1とパッケージ9との間に供給され、冷却に伴って収縮することにより、光ファイバ1に応力が生じる。封止材11が接着剤である場合でも、硬化にともなって寸法変化(収縮または膨脹)を起こすことにより、光ファイバ1に応力が生じる。
【0028】
一般に応力は歪に比例する。その比例定数(弾性率やヤング率など)は、通常の光ファイバ1の場合では、コア2とクラッド3とで大差がないと仮定することができるので、封止材11の寸法変化によってコア2とクラッド3はほぼ均等に収縮(または膨脹)する。この場合、コア2の寸法変化とクラッド3の寸法変化との比は、コア2の寸法とクラッド3の寸法の比にほぼ等しくなる。つまり、コア2の寸法に比べてクラッド3の寸法が大きいほど、封止材11の寸法変化によってコア2に加わる歪は小さくなり、クラッド3に加わる歪が大きくなる。
【0029】
また、上述したように、コア2の短辺寸法Aが小さい光ファイバ1の場合、応力による伝搬モードへの影響は、コア2の短辺方向において、より重要になる。このため、光ファイバ1は、図4に示すように、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが、コア2の短辺寸法Aの3倍以上であることが好ましい。クラッド3の寸法Cとコア2の短辺寸法Aとの比(C/A)が3倍以上であれば、コア2に加わる歪が封止材11の寸法変化の1/3以下になるので、基本モードから高次モードへのモード変換を効果的に抑制することができる。
クラッド3の外周形状は、図4(a)に示すように円形でも良く、図4(b)に示すように楕円形でも良く、図4(c)に示すように矩形でも良い。
なお、上述した特許文献4〜6に記載の矩形ファイバは、いずれもクラッドが薄いため、本発明の要件を満たしていない。このため、固定時にはコアへの応力の影響が大きいと推定される。
【0030】
なお、周囲からの側圧に対してコア2への応力を抑制する方法としては、樹脂被覆や発泡体のように柔軟な緩衝作用を有する緩衝層をクラッド3の周囲に設けて、光ファイバ1の周囲で生じた寸法変化を緩衝層に吸収させることも考えられる。しかしながら、樹脂被覆や発泡体はガスを透過するため、レーザダイオード4を気密封止する場合には、封止材11と光ファイバ1との間に緩衝層を設けることはできない。つまり、気密封止には、光ファイバ1のクラッド3が露出された部分をパッケージ9に固定する必要があるので、緩衝層なしでコア2に加わる応力を抑制するためには、クラッド3の寸法Cとコア2の短辺寸法Aとの比(C/A)を大きくする方法が有効である。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のレーザダイオードモジュール10は、気密封止により異物の侵入を防ぎ、レーザダイオードの故障を抑制できるとともに、レーザダイオード4から光ファイバ1への結合効率が高く、しかもパワー密度の低下を抑制することができる。このため、レーザ光源として、特に固体レーザの励起光源として、好適に利用することができる。
【0032】
高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を構成するためには、図6に示すように、複数のレーザダイオード4から出射した光を1本の導光用光ファイバ21に結合して、出力できるようにすることが好ましい。導光用光ファイバ21は、コア22とその周囲に形成されたクラッド23とを有する。コア22の断面形状は特に限定されず、円形、矩形、その他所望の形状とすることができる。
【0033】
図6に示すレーザ光源は、複数のレーザダイオードモジュール10と、これら複数のレーザダイオードモジュール10の有する複数のレーザダイオード4の出力を、各レーザダイオードモジュール10の光ファイバ1を介して受け取り、1本の導光用光ファイバ21に入射させる光結合系20とを備える。光結合系20は、パッケージ19に気密に封止することもできる。光ファイバ1をパッケージ19に固定する方法は、レーザダイオードモジュール10のパッケージ9に光ファイバ1を固定する方法と同様とすることができる。
【0034】
図6では、光結合系20の存在を模式的に示したが、具体的には、例えば図7〜8に示すように、複数のレンズ31,32,33を組み合わせた光結合系30、図9〜10に示すように、クラッド42内に複数のコア41を有する光導波路基板43を用いた光結合系40、図11〜12に示すように、複数の光ファイバ51を集束した光結合系50などが挙げられる。
【0035】
図7〜8に示す光結合系30において、レンズ31,32,33は、円筒状のレンズ面を有するシリンドリカルレンズである。複数の光ファイバ1は、コア2の短辺方向に沿って一列に並べられている。すなわち、光ファイバ1の長手方向をX方向、複数の光ファイバ1が並列した方向をY方向とするとき、コア2の短辺方向は、Y方向に向けられ、コア2の長辺方向は、X方向及びY方向のいずれにも垂直な方向、すなわちZ方向に向けられている。図8(a)では、左右がX方向、上下がZ方向である。また、図8(b)では、左右がX方向、上下がY方向である。
【0036】
レンズ31は、並列された複数の光ファイバ1の出射端ごとに1つずつ設けられた円柱状レンズであり、図8(b)に示すように、Y方向に広がって光ファイバ1の出射端から出力された光を平行化(コリメート)する機能を有する。
レンズ32は、各レンズ31によって平行化された光を、導光用光ファイバ21のコア22に向けて、Y方向に集光する機能を有する。
レンズ33は、Z方向に集光する機能を有する。
図8(b)に示すように、Y方向に沿ったレンズ32及びレンズ33の寸法は、複数の光ファイバ1からの出力全体を各1つのレンズ32及びレンズ33で受け取ることができるように大きく広がっている。
図7に示すように、各光ファイバ1のコア2の形状が光結合系30を介して導光用光ファイバ21の入射側の端面に投影される領域24は、円形のコア22の範囲に含まれることが好ましい。この場合、図8(a)において、Z方向に沿った領域24の範囲Sは、コア22の直径φよりも小さい。
【0037】
図9〜10に示す光結合系40は、クラッド42内に複数のコア41が形成された光導波路基板43から構成される。それぞれのコア41は、光ファイバ1の出射端と導光用光ファイバ21の入射側の端面との間を光学的に結合している。
光導波路基板43を作製する方法として、例えば、基板側から順に、クラッド42のうちコア41より下方の部分、コア41及びクラッド42のうちコア41と同じ高さの部分、クラッド42のうちコア41より上方の部分を積層する方法が挙げられる。基板の平面に沿ったコア41の形状は、例えばフォトリソグラフィーなどによってパターニング形成することができる。
【0038】
図11〜12に示す光結合系50は、コア52及びクラッド53が矩形状の断面を有する複数の光ファイバ51から構成される。それぞれの光ファイバ51は、光ファイバ1の出射端と導光用光ファイバ21の入射側の端面との間を光学的に結合している。
光ファイバ51は、コア52の短辺方向に屈曲性が優れるので、導光用光ファイバ21の入射側の端面に対向する位置で複数積層するように容易に配線することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0040】
(コアの短辺寸法Aに関する試験結果)
図2(b)に示す断面形状を有する光ファイバ1の例として、コア2及びクラッド3の材料を石英系ガラスとし、コア2とクラッド3間に適宜の屈折率差を設けるとともに、コア2の短辺寸法Aが6μm、12μm、18μm、24μm、30μm又は50μmであり、コア2の長辺寸法Bがいずれも75μmであり、クラッド3がいずれも径125μmの円形である矩形コア円形クラッドファイバを作製し、それぞれのファイバ先端部を楔形にレンズ加工し、その先端部にエミッタ幅が70μmのLDチップを光結合可能に配置したサンプルA〜Fを作製した。各サンプルについて、LDチップから出力8Wで発光させた光を矩形コア円形クラッドファイバに結合させ、ファイバ入射パワー(W)を測定した。さらに、ファイバ入射パワーとLDチップ出力との比から結合効率(%)を、ファイバ入射パワーとコア面積との比から光パワー密度(mW/μm2)を算出した。その結果を表1に示す。また、図13にコア2の短辺寸法Aに対する結合密度及び光パワー密度の関係を示す。コア2の短辺寸法Aが短いほど光パワー密度は高くなったが、結合効率(%)は、短辺寸法Aが6μmの場合に著しく低くなった。
【0041】
【表1】
【0042】
各サンプルについて、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードの数をモード解析により計測したところ、短辺寸法Aが12〜50μmの場合はいずれも短辺方向に伝搬可能なモードの数が2以上(多モード)であったのに対し、短辺寸法Aが6μmの場合は短辺方向に伝搬可能なモードの数が1(単一モード)であった。
この試験結果によれば、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、かつ短辺寸法Aが30μm以下であれば、結合効率及び光パワー密度が高くなり、好ましいことが分かる。
【0043】
(クラッド/コアの寸法比C/Aに関する試験結果)
図4に示すように、クラッド形状が円形(図4(a)参照)、楕円形(図4(b)参照)又は矩形(図4(c)参照)である光ファイバのサンプル1〜5を作製した。
サンプル1は、クラッド形状が矩形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが45μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が1.8である。
サンプル2は、クラッド形状が矩形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが62.5μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が2.5である。
【0044】
サンプル3は、クラッド形状が楕円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが50μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が2である。
サンプル4は、クラッド形状が楕円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが75μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が3である。
サンプル5は、クラッド形状が円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、クラッド外径(寸法C及び寸法D)が125μm、比C/Aの値が5である。
表2にサンプル1〜5の構造パラメータをまとめて示す。各光ファイバは、コア2の短辺方向の開口数(NA)がいずれも約0.23となるように、コア2及びクラッド3の屈折率等を調整した。
【0045】
【表2】
【0046】
サンプル1〜5について、レーザダイオードモジュールを作製した。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであり、エミッタの高さ方向の開口数(NA)が約0.4であるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。光ファイバは、LDチップと対向する先端部を図2(a)に示すようにレンズ状に加工し、結合させた。
【0047】
封止材11は、封止材なし(固定なし)、接着剤、半田の3通りとした。
光ファイバを接着剤又は半田でパッケージに固定した場合は、レーザダイオードを気密に封止することができたが、光ファイバをパッケージに固定しない場合は、隙間ができてレーザダイオードを気密に封止することができなかった。
【0048】
また、上記の各レーザダイオードモジュールについて、光ファイバ1のコア2を伝搬して出射した光のコア短辺方向の開口数NA(出射光NA)を測定した。その結果を寸法比C/Aと出射光NAとの関係としてまとめたグラフを図14に示す。図14中、各光ファイバのNA(ファイバNA)を点線で示す。
図14に示すように、固定なしの場合、寸法比C/Aの値にかかわらず出射光NAが約0.1と一定値を示した。これは、レーザダイオードから光ファイバに入射するときに、大部分の光が小さなNAで光ファイバの基本モードに結合でき、かつ、小さなNAのまま光ファイバ内を伝搬して出射したためと考えられる。しかし、気密封止ができていないため、パッケージ内に侵入する異物によって故障するおそれがある。
接着剤又は半田で光ファイバを固定した場合、パッケージを気密に封止することはできるが、寸法比C/Aが3より小さいと、出射光NAが増加した。これは、封止材11の寸法変化により光ファイバ1に側圧が掛かり、コア2に応力が加わったため、光ファイバ内で基本モードから高次モードへのモード変換が起こり、伝搬光のNAが光ファイバのNAの範囲内(最大で約0.23)で拡大したためと考えられる。
【0049】
この試験結果によれば、寸法比C/Aが3以上であれば、気密封止により異物の侵入を防ぐことができ、気密封止に用いる封止材の寸法変化があっても、光ファイバのコアに対する側圧の影響を抑制し、小さいNAを維持して光ファイバ1を伝搬させることが可能なレーザダイオードモジュールを実現することができる。
【0050】
(レーザ光源の作製例1)
図7〜8に示すように、シリンドリカルレンズ31〜33からなる光結合系30を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが125μm、開口数が0.15であり、入射側の端面を無反射コートしたものを用いた。
レンズ31〜33は、いずれも表面を無反射コートしたものを用いた。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【0051】
(レーザ光源の作製例2)
図9〜10に示すように、クラッド42内に複数のコア41を有する光導波路基板43からなる光結合系40を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
光導波路基板43は、コア41の断面形状が、短辺25μm×長辺75μmの矩形であり、開口数NAが0.15であり、3つのコア41のピッチは、光ファイバ1のクラッド径と同程度である125μmとした。また、光導波路基板43のコア41及びクラッド42は、入力側及び出力側の端面を無反射コートしたものを用いた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが125μm、開口数が0.15であり、入射側の端面を無反射コートしたものを用いた。
光ファイバ1の出射側の端面とコア41の入力側の端面との間は、突合せ結合により、光結合した。同様に、コア41の出射側の端面と導光用光ファイバ21の入力側の端面との間も、突合せ結合により、光結合した。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【0052】
(レーザ光源の作製例3)
図11〜12に示すように、複数の矩形ファイバ51から光結合系50を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
光ファイバ51は、クラッド53が、短辺50μm×長辺寸法110μmの矩形状であり、開口数NAが0.15であり、入力側及び出力側の端面を無反射コートしたものを用いた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが200μm、開口数が0.15であるものを用いた。
光ファイバ1の出射側の端面と矩形ファイバ51の入力側の端面との間は、突合せ結合により、光結合した。同様に、矩形ファイバ51の出射側の端面と導光用光ファイバ21の入力側の端面との間も、突合せ結合により、光結合した。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【符号の説明】
【0053】
A…コアの短辺寸法、B…コアの長辺寸法、C…コアの短辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法、D…コアの長辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法、1…光ファイバ、2…コア、3…クラッド、4…レーザダイオード、6…光ファイバの先端部、7…シリンドリカルレンズ、9…パッケージ、10…レーザダイオードモジュール、11…封止材、20,30,40,50…光結合系、21…導光用光ファイバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザダイオードモジュール及びレーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザとしては、基板上に積層した半導体多層膜の側方端面から光が出射される端面発光型レーザダイオードや、基板の面に対して垂直に光が出射される面発光型レーザダイオードなどが知られている。端面発光型レーザダイオードは、一般に長方形の端面を出射面(エミッタ)としている。
【0003】
半導体レーザは、光ファイバ通信の光源として、あるいは、固体レーザ等のレーザ光源において増幅媒質を励起(光ポンピング)するための励起光源として、広く用いられている。固体レーザの増幅媒質には、例えばYAG結晶や石英系光ファイバ等の媒質に希土類元素(Nd,Yb,Erなど)をドープしたものがある。この種の固体レーザは、加工用、医療用、センシング用(計測用)、軍事用等の各種機器に用いられている。特に加工機器の場合、切断、穴あけ、溶接、溶着等の用途において能率を向上するため、パワー及びパワー密度(単位断面積あたりのパワー)が高いレーザ光源が求められている。
半導体レーザを光ファイバ通信用光源とする場合は勿論、レーザ光源の励起光源として用いる場合においても、半導体レーザから出射された光を増幅媒質に入射させるための光伝送路として、光ファイバが用いられる。光ファイバ通信の長距離伝送や、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を実現するためには、半導体レーザから光ファイバへ、レーザ光を高いパワー密度で入射することが必要である。
【0004】
特許文献1には、従来の円柱レンズ等のレンズ系を用いなくても、方形の活性層端面を有する半導体レーザの出力光を光ファイバに効率良く結合できるよう、光ファイバの端部を先細り形状にし、その先細り先端部を、活性層厚さ方向の曲率半径が活性層幅方向の曲率半径より小さく形成して、活性層端面と対向させた接続構造が記載されている。
特許文献2には、酸化による半導体レーザの特性劣化を抑制するため、外気を遮断するパッケージ内に半導体レーザを収容し、半導体レーザからのレーザ光を外部に導く光ファイバをパッケージの壁部に設けた穴にハンダ付けして貫通部の気密保持を図る構造としたレーザモジュールが記載されている。
特許文献3には、ハイパワーレーザの発光部に有機不純物(フラックスやエポキシ等)が堆積すると、堆積物に出射光のパワーが吸収されて発熱し、レーザの故障の原因となるため、レーザを包囲する気密容器内に、有機不純物を吸収する化学成分を使用することが記載されている。
【0005】
また、端面発光型レーザダイオードからのレーザ光を入射させる光ファイバとして、コアの断面形状が矩形である矩形ファイバ(rectangular fiber)が知られている。
特許文献4には、複数の発光部が幅方向に並んだレーザダイオード・バーと、各発光部と結合される複数の矩形ファイバとの間に、1本の光ファイバからなるマイクロレンズが配置された構造が記載されている。
特許文献5には、特許文献4と同様にして複数の発光部が整列された光源と複数の矩形ファイバの入力端とが結合され、さらに各矩形ファイバの出力端が断面方向に沿って積層集合された構造が記載されている。
特許文献6には、アレイ状に配列された複数の発光点を有するレーザ・バーと、前記発光点と対向するようにアレイ状に配列された光ファイバとを備え、光ファイバの入射部がシリンドリカルレンズ状に形成されている構造が記載されている。
【0006】
また、複数のレーザダイオードからの入力を1つの出力に集合させる構成として、次のような発明が知られている。
特許文献7には、レーザダイオードの2以上またはアレイを有するレーザダイオードサブシステムと、コアの断面形状がレーザダイオードから出射するビームの断面形状に一致し入力ポートとして機能する光導波路を複数備える光結合サブシステムと、光結合サブシステムの出力を伝送する手段を備え、光結合サブシステムは、複数の光導波路に入力されたレーザ光を1つの出力に集合し、かつその出力の断面形状は入力導波路の重ね合わせからなり、最初の入力パワー密度を出力でも保持できるレーザシステムが記載されている。
特許文献8には、複数の発光部を有する光源と、1つの光ファイバ導波路と、光ファイバ導波路の出射端から固体レーザの活性媒体に光を結合させる光学的手段を備える固体レーザ用の光励起システムにおいて、光ファイバの入射端は、細長い断面のコアと、発光部に対応する縦及び横方向の開口数と、光源の複数の発光部から出射される光を最大限導波できる縦及び横方向の拡がりを有する構造が記載されている。
特許文献9には、所定の長さのクラッド増幅ファイバと、複数の励起光源と、各光源をクラッド増幅ファイバのクラッドに結合する複数のマルチモードファイバと、クラッド増幅ファイバのコアに結合する1つのシングルモードファイバからなり、複数のマルチモードファイバ及び1つのシングルモードファイバが集束され、かつクラッド増幅ファイバに向けて断面積をテーパ状に縮小しているデバイスにおいて、過剰な損失を避けるためには、出力であるクラッド増幅ファイバの開口数NAoutputと入力であるマルチモードファイバの開口数NAinputとの比が、複数のマルチモードファイバの断面積の合計ΣAiとテーパ部の最小断面積A′との比に対して、(NAoutput/NAinput)2≧ΣAi/A′となるように、NAoutputを大きくすべきことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−163806号公報
【特許文献2】特許第2970635号公報
【特許文献3】特許第3452214号公報
【特許文献4】米国特許第5127068号明細書
【特許文献5】米国特許第5268978号明細書
【特許文献6】特開2008−203598号公報
【特許文献7】米国特許第5668903号明細書
【特許文献8】米国特許第4818062号明細書
【特許文献9】米国特許第5864644号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4〜6の矩形ファイバは、レーザダイオード(LD)からの光のパワー密度を低下することなく、複数のLDからの光を集光する技術として有効である。しかし、LDの劣化を防ぐため、特許文献2〜3に示されるように気密封止することは、述べられていない。例えば、特許文献6の段落0027〜0028には、ガラス等の材料を使用した保持部材の上面に、光ファイバの寸法よりも僅かに大きい寸法とされた収納溝を機械加工により形成し、その収納溝内に光ファイバを挿入して、固定することが記載されている。
ところが、本発明者の検討によれば、従来の矩形ファイバをレーザダイオードモジュールに用いて、気密封止すると、矩形ファイバからの出射光のパワー密度が低下することが分かった。
また、従来の矩形ファイバは、LDの発光部の形状に合わせて、コアの断面形状の長辺方向を発光部の長辺方向に合わせるのが通常である。このとき、コアの断面形状の短辺寸法が発光部の短辺寸法に比べて大きすぎると、光のパワー密度が低下することがあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザダイオードとの光結合に優れた矩形ファイバを用いて、矩形ファイバからの出射光のパワー密度の低下を抑制することが可能な気密封止したレーザダイオードモジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、端面発光型のレーザダイオードと、前記レーザダイオードと光学的に接続された先端部を有する光ファイバと、前記レーザダイオード及び前記光ファイバの前記先端部を内部に収容して気密に封止するパッケージとを備えるレーザダイオードモジュールであって、前記光ファイバは、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコアと、前記コアの周囲に形成されたクラッドとを有し、前記コアは、前記短辺の寸法が、前記長辺の寸法の1/2以下であり、前記コアの前記短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、かつ前記短辺の寸法が30μm以下であり、前記コアの前記短辺に沿った方向における前記クラッドの最大寸法が、前記コアの前記短辺の寸法の3倍以上であるレーザダイオードモジュールを提供する。
【0011】
前記光ファイバの前記先端部が、前記レンズ形状とされていることが好ましい。
前記光ファイバの前記先端部と、前記レーザダイオードの発光部との間に、シリンドリカルレンズが配置されていることが好ましい。
また、本発明は、上記のレーザダイオードモジュールを複数と、これら複数のレーザダイオードモジュールの有する複数の前記レーザダイオードの出力を、各レーザダイオードモジュールの前記光ファイバを介して受け取り、1本の導光用光ファイバに入射させる光結合系とを備えるレーザ光源を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、断面が矩形状のコアを用いたレーザダイオードモジュールにおいて、コアの短辺方向の寸法が大きすぎることなく、光のパワー密度を保つことが可能になる。
また、レーザダイオードとの光結合に優れた矩形状のコアを有する光ファイバを用いて、気密封止したレーザダイオードモジュールにおいて、気密封止に用いる封止材の寸法変化があっても、光ファイバのコアに対する側圧の影響による光ファイバからの出射光のパワー密度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のレーザダイオードモジュールの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、レーザダイオードと光ファイバの先端部との光結合構造の一例を示す光ファイバの長手方向に沿う断面図であり、(b)は、光ファイバの長手方向に垂直な断面の一例を示す断面図である。
【図3】レーザダイオードの出射角とファーフィールドパターン(FFP)との関係の一例を模式的に示すグラフである。
【図4】(a)は、断面形状が円形である光ファイバの断面の一例を示す断面図であり、(b)は、断面形状が楕円形である光ファイバの断面の一例を示す断面図であり、(c)は、断面形状が矩形である光ファイバの断面の一例を示す断面図である。
【図5】本発明のレーザダイオードモジュールの第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のレーザダイオードモジュールを複数用いたレーザ光源の一例を示す斜視図である。
【図7】複数のレンズからなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す光結合系の断面図である。
【図9】複数のコアを有する光導波路基板からなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す光結合系の断面図である。
【図11】複数の光ファイバからなる光結合系の一例を示す斜視図である。
【図12】図11に示す光結合系の断面図である。
【図13】コアの短辺寸法(A)と結合効率及び光パワー密度との関係の一例を示すグラフである。
【図14】コアの短辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法(C)とコアの短辺寸法(A)との比(C/A)による出射光開口数(NA)の変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明のレーザダイオードモジュールの第1実施形態を示す。レーザダイオードモジュール10は、レーザダイオード4と、このレーザダイオード4と光学的に接続された先端部6を有する光ファイバ1と、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を内部に収容するパッケージ9を備える。
【0015】
レーザダイオード4は、端面発光型のレーザダイオードが用いられる。図2(a)に示すように活性層が例えば劈開によってレーザダイオード4の端面に露出され、レーザ光を出射する発光部4aが形成される。発光部4aの寸法は、特に限定されるものではないが、例えば、発光部4aの高さ方向(活性層の厚さ方向、図2(a)では上下方向)として1μm前後、幅方向(図2(a)では紙面に垂直な方向)として50〜100μmが挙げられる。発光部4aは、幅方向に伝搬可能なモードを複数有し、幅方向でマルチモードになっている。
【0016】
図2に示すように、光ファイバ1は、その中心軸に沿って延在するコア2と、コア2の周囲に形成されたクラッド3を有する。コア2の屈折率は、クラッド3の屈折率より高い。コア2及びクラッド3の材質は、特に限定されるものではなく、従来光ファイバに用いられている石英系ガラス、多成分ガラス、プラスチック等の光透過性材料のうちから適宜選択することができる。
【0017】
光ファイバ1の先端部6は、コア2の端面がレーザダイオード4の発光部4aに対向するように位置決めされている。光ファイバ1の先端部6を保持する構成は特に限定されるものではないので、図2(a)では図示を省略したが、例えば、図1に示すように、パッケージ9内では、光ファイバ1をファイバマウント15に固定する半田8等を用いて、光ファイバ1の先端部6を支持することができる。
また、レーザダイオード4は、例えばマウント5に保持させることができる。このマウント5には、レーザダイオード4の過熱を防ぐため、ヒートシンクや冷却素子(図示せず)を設けることが好ましい。レーザダイオード4は、パッケージ9の外部からリード線14を介して供給される駆動電流により発光し、リード線14とレーザダイオード4との間は、マウント5上の導体パターン13やワイヤ12によって電気的に接続されている。
【0018】
パッケージ9は、レーザダイオード4及び光ファイバ1の先端部6を気密に封止するための容器であり、例えばケースとキャップとの組み合わせにより構成することができる。なお、図面ではパッケージ9の内部を示すため、上面と手前面を開放した状態で図示しているが、気密封止のためには全面を覆う必要がある。さらに、光ファイバ1は、パッケージ9の側壁に開口した孔に挿入されている。また、図2(a)に示すように、光ファイバ1の外周面とパッケージ9の孔との間には、接着剤や半田等の封止材11が充填され、光ファイバ1がパッケージ9に固定されている。
【0019】
本実施形態の場合、光ファイバ1の先端部6が、発光部4aに向かって先細り状となり、コア2の端面がシリンドリカルレンズ状に加工されることが好ましい。あるいは、図5に示す第2実施形態のように、レーザダイオード4の発光部と光ファイバ1の先端部との間に、シリンドリカルレンズ7を配置することもできる。シリンドリカルレンズ7を有する場合、光ファイバ1の先端部はレンズ状に加工をする必要はなく、光ファイバ1の長手方向に垂直な端面を有する形状であってもよい。
【0020】
本実施形態のレーザダイオードモジュール10の場合、図2(b)の断面図に示すように、光ファイバ1の長手方向に垂直な断面において、光ファイバ1のコア2の形状が矩形である。コア2の断面形状は、コア2の端面がレーザダイオード4の発光部4aに対向した状態で、発光部4aの幅方向に対応する寸法Bが、発光部4aの高さ方向に対応する寸法Aよりも長い形状であることが、高さより大きな幅を有する発光部4aと効率よく光結合するために好ましい。本実施形態の場合、コア2の断面形状は、短辺及び長辺を有する矩形である。寸法Aの短辺が発光部4aの高さ発光部4aの幅方向に、寸法Bの長辺が発光部4aの幅方向に、それぞれ対応する。なお、本明細書では、「コア2の断面形状である矩形の短辺及び長辺」を、単に「コア2の短辺及び長辺」ということがある。
【0021】
発光部4aから出射するレーザ光は、幅方向及び高さ方向にそれぞれ一定の広がり角をもって広がりながら出射する。なお、出射光の開口数NAは、出射先の媒質の屈折率をn(図2では媒質は空気等のガスであり、その場合、媒質の屈折率nは略1.0で近似できる。)、広がり角を2θ(中心軸の片側に当たる出射角はθ)とすると、NA=n×sinθで表される。端面発光型のレーザダイオード4の開口数は、一般に0.1〜0.4程度であり、発光部4aの幅方向に比べて高さ方向のほうが、開口数が大きい傾向にある。
また、光ファイバの開口数NAは、コア2の屈折率をn1、クラッド3の屈折率をn2とすると、最大理論NAとして、(n12−n22)1/2で表される。一般に、光ファイバ内の光は、光ファイバのNAの範囲内で伝搬する。
レーザダイオードからの出射NAは水平方向が0.1程度、垂直方向が0.4程度である。このため、光ファイバ1の先端部6を水平方向にシリンドリカルレンズ状に加工したり、先端部6にシリンドリカルレンズ7を配置したりして、垂直方向のNAを0.1程度まで浅くすることにより、光を高い結合効率で光ファイバ1へ入射させることができる。
【0022】
上述したように、発光部4aの高さは通常極めて小さく、発光部4aの端面からコア2の端面まで到達する間にビームが広がる大きさを考慮しても、発光部4aの高さ方向に広がるレーザ光のビームを十分に高い結合効率で光ファイバ1に入射させるのに必要なコア2の短辺寸法Aは小さい。光ファイバ1を伝搬する光のパワー密度の低下を抑制するためには、コア2の断面積が小さいことが好ましく、コア2の短辺寸法Aがコア2の長辺寸法Bの1/2以下であることが好ましい。さらには、コア2の短辺寸法Aが30μm以下であることが好ましい。コア2の長辺寸法Bは、発光部4aの幅より若干広ければ十分であり、例えば60〜200μm程度が挙げられる。
【0023】
図3に、レーザダイオード4の出射角と、光ファイバ1のファーフィールドパターン(FFP)との関係の一例を模式的に示す。図3に示すように、基本モードに比べて高次モードのほうが結合可能な出射角の分布が広い。つまり、レーザダイオード4から、より大きな出射角で光ファイバ1の高次モードに結合した光は、光ファイバ1から出射するときも出射角が大きく(つまり、出射光のNAも大きく)なり、光ファイバ1からの出射光のパワー密度が低下しやすい。
【0024】
光ファイバ1は、コア2の短辺寸法A及び長辺寸法Bが大きいほど、伝搬可能なモードが増える傾向がある。例えば、短辺寸法Aが30μm程度であれば、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードが10個程度存在する。
レーザダイオード4から小さなNAで放射されるレーザ光の大部分は、小さなNAで光ファイバ1に入射して、基本モードに結合するが、ミスアライメントにより基本モードに結合できないレーザ光の一部は、より大きなNAで光ファイバ1に入射して、高次モードに結合する。
【0025】
逆に、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードが1個しか存在しない場合(すなわち単一モードの場合)には、高次モードに結合することが不可能とはなるが、基本モードに結合できる光の割合も減少し、結合効率が低下してしまう。すなわち、光ファイバ1に結合した光の大部分が基本モードに結合する状態であれば、高パワー密度による伝搬を実現することができる。このため、コア2の短辺寸法Aの下限は、コア2の短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上となるように規定することが好ましい。
【0026】
しかしながら、光が小さなNAで光ファイバ1の基本モードに結合した場合であっても、光ファイバ1に対して側圧や曲率半径rの小さな曲げ等、光ファイバ1への摂動があると、一部のパワーが基本モードから高次モードにモード変換されることがある。高次モードへのモード変換が起こると、伝搬光のNAが拡大するので、光ファイバ1から出射するときのNAも大きくなり、出射光のパワー密度が低下する。つまり、上述した本発明者の検討で明らかになったように、従来の矩形ファイバを気密封止モジュールに用いたときに出射光のパワー密度が低下した原因は、ファイバ固定部に挟み込まれたコアに非常に大きな応力が生じたためと考えられる。
したがって、高次モードへのモード変換を抑制するためには、光ファイバ1をパッケージ9の側壁に固定する際に生じる応力が、コア2に掛かりにくい構造とする必要がある。
【0027】
光ファイバ固定時の応力は、主に、光ファイバ1をパッケージ9に固定するため用いる封止材11が固化する際、寸法変化するために生じる。例えば、封止材11が半田である場合、溶融加熱した状態で光ファイバ1とパッケージ9との間に供給され、冷却に伴って収縮することにより、光ファイバ1に応力が生じる。封止材11が接着剤である場合でも、硬化にともなって寸法変化(収縮または膨脹)を起こすことにより、光ファイバ1に応力が生じる。
【0028】
一般に応力は歪に比例する。その比例定数(弾性率やヤング率など)は、通常の光ファイバ1の場合では、コア2とクラッド3とで大差がないと仮定することができるので、封止材11の寸法変化によってコア2とクラッド3はほぼ均等に収縮(または膨脹)する。この場合、コア2の寸法変化とクラッド3の寸法変化との比は、コア2の寸法とクラッド3の寸法の比にほぼ等しくなる。つまり、コア2の寸法に比べてクラッド3の寸法が大きいほど、封止材11の寸法変化によってコア2に加わる歪は小さくなり、クラッド3に加わる歪が大きくなる。
【0029】
また、上述したように、コア2の短辺寸法Aが小さい光ファイバ1の場合、応力による伝搬モードへの影響は、コア2の短辺方向において、より重要になる。このため、光ファイバ1は、図4に示すように、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが、コア2の短辺寸法Aの3倍以上であることが好ましい。クラッド3の寸法Cとコア2の短辺寸法Aとの比(C/A)が3倍以上であれば、コア2に加わる歪が封止材11の寸法変化の1/3以下になるので、基本モードから高次モードへのモード変換を効果的に抑制することができる。
クラッド3の外周形状は、図4(a)に示すように円形でも良く、図4(b)に示すように楕円形でも良く、図4(c)に示すように矩形でも良い。
なお、上述した特許文献4〜6に記載の矩形ファイバは、いずれもクラッドが薄いため、本発明の要件を満たしていない。このため、固定時にはコアへの応力の影響が大きいと推定される。
【0030】
なお、周囲からの側圧に対してコア2への応力を抑制する方法としては、樹脂被覆や発泡体のように柔軟な緩衝作用を有する緩衝層をクラッド3の周囲に設けて、光ファイバ1の周囲で生じた寸法変化を緩衝層に吸収させることも考えられる。しかしながら、樹脂被覆や発泡体はガスを透過するため、レーザダイオード4を気密封止する場合には、封止材11と光ファイバ1との間に緩衝層を設けることはできない。つまり、気密封止には、光ファイバ1のクラッド3が露出された部分をパッケージ9に固定する必要があるので、緩衝層なしでコア2に加わる応力を抑制するためには、クラッド3の寸法Cとコア2の短辺寸法Aとの比(C/A)を大きくする方法が有効である。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のレーザダイオードモジュール10は、気密封止により異物の侵入を防ぎ、レーザダイオードの故障を抑制できるとともに、レーザダイオード4から光ファイバ1への結合効率が高く、しかもパワー密度の低下を抑制することができる。このため、レーザ光源として、特に固体レーザの励起光源として、好適に利用することができる。
【0032】
高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を構成するためには、図6に示すように、複数のレーザダイオード4から出射した光を1本の導光用光ファイバ21に結合して、出力できるようにすることが好ましい。導光用光ファイバ21は、コア22とその周囲に形成されたクラッド23とを有する。コア22の断面形状は特に限定されず、円形、矩形、その他所望の形状とすることができる。
【0033】
図6に示すレーザ光源は、複数のレーザダイオードモジュール10と、これら複数のレーザダイオードモジュール10の有する複数のレーザダイオード4の出力を、各レーザダイオードモジュール10の光ファイバ1を介して受け取り、1本の導光用光ファイバ21に入射させる光結合系20とを備える。光結合系20は、パッケージ19に気密に封止することもできる。光ファイバ1をパッケージ19に固定する方法は、レーザダイオードモジュール10のパッケージ9に光ファイバ1を固定する方法と同様とすることができる。
【0034】
図6では、光結合系20の存在を模式的に示したが、具体的には、例えば図7〜8に示すように、複数のレンズ31,32,33を組み合わせた光結合系30、図9〜10に示すように、クラッド42内に複数のコア41を有する光導波路基板43を用いた光結合系40、図11〜12に示すように、複数の光ファイバ51を集束した光結合系50などが挙げられる。
【0035】
図7〜8に示す光結合系30において、レンズ31,32,33は、円筒状のレンズ面を有するシリンドリカルレンズである。複数の光ファイバ1は、コア2の短辺方向に沿って一列に並べられている。すなわち、光ファイバ1の長手方向をX方向、複数の光ファイバ1が並列した方向をY方向とするとき、コア2の短辺方向は、Y方向に向けられ、コア2の長辺方向は、X方向及びY方向のいずれにも垂直な方向、すなわちZ方向に向けられている。図8(a)では、左右がX方向、上下がZ方向である。また、図8(b)では、左右がX方向、上下がY方向である。
【0036】
レンズ31は、並列された複数の光ファイバ1の出射端ごとに1つずつ設けられた円柱状レンズであり、図8(b)に示すように、Y方向に広がって光ファイバ1の出射端から出力された光を平行化(コリメート)する機能を有する。
レンズ32は、各レンズ31によって平行化された光を、導光用光ファイバ21のコア22に向けて、Y方向に集光する機能を有する。
レンズ33は、Z方向に集光する機能を有する。
図8(b)に示すように、Y方向に沿ったレンズ32及びレンズ33の寸法は、複数の光ファイバ1からの出力全体を各1つのレンズ32及びレンズ33で受け取ることができるように大きく広がっている。
図7に示すように、各光ファイバ1のコア2の形状が光結合系30を介して導光用光ファイバ21の入射側の端面に投影される領域24は、円形のコア22の範囲に含まれることが好ましい。この場合、図8(a)において、Z方向に沿った領域24の範囲Sは、コア22の直径φよりも小さい。
【0037】
図9〜10に示す光結合系40は、クラッド42内に複数のコア41が形成された光導波路基板43から構成される。それぞれのコア41は、光ファイバ1の出射端と導光用光ファイバ21の入射側の端面との間を光学的に結合している。
光導波路基板43を作製する方法として、例えば、基板側から順に、クラッド42のうちコア41より下方の部分、コア41及びクラッド42のうちコア41と同じ高さの部分、クラッド42のうちコア41より上方の部分を積層する方法が挙げられる。基板の平面に沿ったコア41の形状は、例えばフォトリソグラフィーなどによってパターニング形成することができる。
【0038】
図11〜12に示す光結合系50は、コア52及びクラッド53が矩形状の断面を有する複数の光ファイバ51から構成される。それぞれの光ファイバ51は、光ファイバ1の出射端と導光用光ファイバ21の入射側の端面との間を光学的に結合している。
光ファイバ51は、コア52の短辺方向に屈曲性が優れるので、導光用光ファイバ21の入射側の端面に対向する位置で複数積層するように容易に配線することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0040】
(コアの短辺寸法Aに関する試験結果)
図2(b)に示す断面形状を有する光ファイバ1の例として、コア2及びクラッド3の材料を石英系ガラスとし、コア2とクラッド3間に適宜の屈折率差を設けるとともに、コア2の短辺寸法Aが6μm、12μm、18μm、24μm、30μm又は50μmであり、コア2の長辺寸法Bがいずれも75μmであり、クラッド3がいずれも径125μmの円形である矩形コア円形クラッドファイバを作製し、それぞれのファイバ先端部を楔形にレンズ加工し、その先端部にエミッタ幅が70μmのLDチップを光結合可能に配置したサンプルA〜Fを作製した。各サンプルについて、LDチップから出力8Wで発光させた光を矩形コア円形クラッドファイバに結合させ、ファイバ入射パワー(W)を測定した。さらに、ファイバ入射パワーとLDチップ出力との比から結合効率(%)を、ファイバ入射パワーとコア面積との比から光パワー密度(mW/μm2)を算出した。その結果を表1に示す。また、図13にコア2の短辺寸法Aに対する結合密度及び光パワー密度の関係を示す。コア2の短辺寸法Aが短いほど光パワー密度は高くなったが、結合効率(%)は、短辺寸法Aが6μmの場合に著しく低くなった。
【0041】
【表1】
【0042】
各サンプルについて、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードの数をモード解析により計測したところ、短辺寸法Aが12〜50μmの場合はいずれも短辺方向に伝搬可能なモードの数が2以上(多モード)であったのに対し、短辺寸法Aが6μmの場合は短辺方向に伝搬可能なモードの数が1(単一モード)であった。
この試験結果によれば、コア2の短辺方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、かつ短辺寸法Aが30μm以下であれば、結合効率及び光パワー密度が高くなり、好ましいことが分かる。
【0043】
(クラッド/コアの寸法比C/Aに関する試験結果)
図4に示すように、クラッド形状が円形(図4(a)参照)、楕円形(図4(b)参照)又は矩形(図4(c)参照)である光ファイバのサンプル1〜5を作製した。
サンプル1は、クラッド形状が矩形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが45μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が1.8である。
サンプル2は、クラッド形状が矩形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが62.5μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が2.5である。
【0044】
サンプル3は、クラッド形状が楕円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが50μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が2である。
サンプル4は、クラッド形状が楕円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、コア2の短辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Cが75μm、コア2の長辺に沿った方向におけるクラッド3の最大寸法Dが125μm、比C/Aの値が3である。
サンプル5は、クラッド形状が円形であり、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが105μm、クラッド外径(寸法C及び寸法D)が125μm、比C/Aの値が5である。
表2にサンプル1〜5の構造パラメータをまとめて示す。各光ファイバは、コア2の短辺方向の開口数(NA)がいずれも約0.23となるように、コア2及びクラッド3の屈折率等を調整した。
【0045】
【表2】
【0046】
サンプル1〜5について、レーザダイオードモジュールを作製した。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであり、エミッタの高さ方向の開口数(NA)が約0.4であるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。光ファイバは、LDチップと対向する先端部を図2(a)に示すようにレンズ状に加工し、結合させた。
【0047】
封止材11は、封止材なし(固定なし)、接着剤、半田の3通りとした。
光ファイバを接着剤又は半田でパッケージに固定した場合は、レーザダイオードを気密に封止することができたが、光ファイバをパッケージに固定しない場合は、隙間ができてレーザダイオードを気密に封止することができなかった。
【0048】
また、上記の各レーザダイオードモジュールについて、光ファイバ1のコア2を伝搬して出射した光のコア短辺方向の開口数NA(出射光NA)を測定した。その結果を寸法比C/Aと出射光NAとの関係としてまとめたグラフを図14に示す。図14中、各光ファイバのNA(ファイバNA)を点線で示す。
図14に示すように、固定なしの場合、寸法比C/Aの値にかかわらず出射光NAが約0.1と一定値を示した。これは、レーザダイオードから光ファイバに入射するときに、大部分の光が小さなNAで光ファイバの基本モードに結合でき、かつ、小さなNAのまま光ファイバ内を伝搬して出射したためと考えられる。しかし、気密封止ができていないため、パッケージ内に侵入する異物によって故障するおそれがある。
接着剤又は半田で光ファイバを固定した場合、パッケージを気密に封止することはできるが、寸法比C/Aが3より小さいと、出射光NAが増加した。これは、封止材11の寸法変化により光ファイバ1に側圧が掛かり、コア2に応力が加わったため、光ファイバ内で基本モードから高次モードへのモード変換が起こり、伝搬光のNAが光ファイバのNAの範囲内(最大で約0.23)で拡大したためと考えられる。
【0049】
この試験結果によれば、寸法比C/Aが3以上であれば、気密封止により異物の侵入を防ぐことができ、気密封止に用いる封止材の寸法変化があっても、光ファイバのコアに対する側圧の影響を抑制し、小さいNAを維持して光ファイバ1を伝搬させることが可能なレーザダイオードモジュールを実現することができる。
【0050】
(レーザ光源の作製例1)
図7〜8に示すように、シリンドリカルレンズ31〜33からなる光結合系30を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが125μm、開口数が0.15であり、入射側の端面を無反射コートしたものを用いた。
レンズ31〜33は、いずれも表面を無反射コートしたものを用いた。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【0051】
(レーザ光源の作製例2)
図9〜10に示すように、クラッド42内に複数のコア41を有する光導波路基板43からなる光結合系40を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
光導波路基板43は、コア41の断面形状が、短辺25μm×長辺75μmの矩形であり、開口数NAが0.15であり、3つのコア41のピッチは、光ファイバ1のクラッド径と同程度である125μmとした。また、光導波路基板43のコア41及びクラッド42は、入力側及び出力側の端面を無反射コートしたものを用いた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが125μm、開口数が0.15であり、入射側の端面を無反射コートしたものを用いた。
光ファイバ1の出射側の端面とコア41の入力側の端面との間は、突合せ結合により、光結合した。同様に、コア41の出射側の端面と導光用光ファイバ21の入力側の端面との間も、突合せ結合により、光結合した。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【0052】
(レーザ光源の作製例3)
図11〜12に示すように、複数の矩形ファイバ51から光結合系50を備えたレーザ光源を作製した。
光ファイバ1としては、コア2の短辺寸法Aが25μm、コア2の長辺寸法Bが75μm、開口数が0.15であるものを用いた。レーザダイオードとしては、発光部(エミッタ)の幅が70μmであるLDチップを用い、出力8Wで発光させた。
光ファイバ51は、クラッド53が、短辺50μm×長辺寸法110μmの矩形状であり、開口数NAが0.15であり、入力側及び出力側の端面を無反射コートしたものを用いた。
導光用光ファイバ21としては、コア22の直径φが200μm、開口数が0.15であるものを用いた。
光ファイバ1の出射側の端面と矩形ファイバ51の入力側の端面との間は、突合せ結合により、光結合した。同様に、矩形ファイバ51の出射側の端面と導光用光ファイバ21の入力側の端面との間も、突合せ結合により、光結合した。
これにより、高パワーかつ高パワー密度のレーザ光源を作製することができた。
【符号の説明】
【0053】
A…コアの短辺寸法、B…コアの長辺寸法、C…コアの短辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法、D…コアの長辺に沿った方向におけるクラッドの最大寸法、1…光ファイバ、2…コア、3…クラッド、4…レーザダイオード、6…光ファイバの先端部、7…シリンドリカルレンズ、9…パッケージ、10…レーザダイオードモジュール、11…封止材、20,30,40,50…光結合系、21…導光用光ファイバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面発光型のレーザダイオードと、前記レーザダイオードと光学的に接続された先端部を有する光ファイバと、前記レーザダイオード及び前記光ファイバの前記先端部を内部に収容して気密に封止するパッケージとを備えるレーザダイオードモジュールであって、
前記光ファイバは、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコアと、前記コアの周囲に形成されたクラッドとを有し、前記コアは、前記短辺の寸法が、前記長辺の寸法の1/2以下であり、前記コアの前記短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、前記短辺の寸法が30μm以下であり、前記コアの前記短辺に沿った方向における前記クラッドの最大寸法が、前記コアの前記短辺の寸法の3倍以上であることを特徴とするレーザダイオードモジュール。
【請求項2】
前記光ファイバの前記先端部が、前記レンズ形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードモジュール。
【請求項3】
前記光ファイバの前記先端部と、前記レーザダイオードの発光部との間に、シリンドリカルレンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードモジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザダイオードモジュールを複数と、これら複数のレーザダイオードモジュールの有する複数の前記レーザダイオードの出力を、各レーザダイオードモジュールの前記光ファイバを介して受け取り、1本の導光用光ファイバに入射させる光結合系とを備えるレーザ光源。
【請求項1】
端面発光型のレーザダイオードと、前記レーザダイオードと光学的に接続された先端部を有する光ファイバと、前記レーザダイオード及び前記光ファイバの前記先端部を内部に収容して気密に封止するパッケージとを備えるレーザダイオードモジュールであって、
前記光ファイバは、断面形状が長辺及び短辺を有する矩形であるコアと、前記コアの周囲に形成されたクラッドとを有し、前記コアは、前記短辺の寸法が、前記長辺の寸法の1/2以下であり、前記コアの前記短辺の方向に伝搬可能なモードの数が2以上であり、前記短辺の寸法が30μm以下であり、前記コアの前記短辺に沿った方向における前記クラッドの最大寸法が、前記コアの前記短辺の寸法の3倍以上であることを特徴とするレーザダイオードモジュール。
【請求項2】
前記光ファイバの前記先端部が、前記レンズ形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードモジュール。
【請求項3】
前記光ファイバの前記先端部と、前記レーザダイオードの発光部との間に、シリンドリカルレンズが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザダイオードモジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザダイオードモジュールを複数と、これら複数のレーザダイオードモジュールの有する複数の前記レーザダイオードの出力を、各レーザダイオードモジュールの前記光ファイバを介して受け取り、1本の導光用光ファイバに入射させる光結合系とを備えるレーザ光源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−42819(P2012−42819A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185313(P2010−185313)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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