説明

ワイヤレスセンサ及びこれを用いたワイヤレス監視システム

【課題】従来よりも消費電力を大幅に削減することができ、保守に要する費用や時間の低減、装置の長寿命化を図ることができると共に、小型化が容易で、様々な設備や機器に設置することが可能なワイヤレスセンサ及びこれを用いたワイヤレス監視システムを提供する。
【解決手段】ワイヤレスセンサ12は、電力を供給可能な電源部12Aと、無電力で作動するセンサを備え、このセンサがON状態の時に電源部12Aの電力を供給可能とし、センサがOFF状態の時に電源部12Aの電力を供給不能とするセンサスイッチ部12Cと、このセンサスイッチ部12Cから電源部12Aの電力を供給されて、所定の情報を無線で外部に発信可能な発信部12Eと、を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度、振動、圧力などの変化を感知して、異常感知の有無などを無線で外部に発信することが可能なワイヤレスセンサ及びこれを用いたワイヤレス監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度、振動、圧力などの変化を感知して、異常感知の有無などを無線で外部に発信することが可能なワイヤレスセンサが広く知られている。このようなワイヤレスセンサは、有線式のセンサに比べ、線材の引き回しや保守が不要であるといった利点がある一方で、無線通信を長時間に亘って行う必要があるため、消費電力が大きい上に、一般に大型の電源を備えている必要があり、装置の小型化が困難であるといった問題点があった。
【0003】
このような問題点を解決する一手段として、特許文献1には、無線通信を行う必要が無い場合には制御部(マイクロコンピュータ)を待機状態に設定し、電力の消費を抑えるように構成したワイヤレスセンサが開示されている。
【特許文献1】特開2003−16566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されたワイヤレスセンサでは、無線通信を行っていない場合でも制御部によって電力が消費されるため、消費電力の削減には限界があった。そのため、電源交換などの保守作業を短い間隔で行う必要があり、保守に要する費用や時間が増大してしまうといった問題点があった。
又、保守作業の頻度を少なくために電源を大容量化することも考えられるが、装置の大型化を回避することが困難となり、取り付け可能な設備や機器が制限されてしまうといった問題点もあった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、従来よりも消費電力を大幅に削減することができ、保守に要する費用や時間の低減、装置の長寿命化を図ることができると共に、小型化が容易で、様々な設備や機器に設置することが可能なワイヤレスセンサ及びこれを用いたワイヤレス監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るワイヤレスセンサは、電力を供給可能な電源部と、無電力で作動するセンサを備え、該センサがON状態の時に前記電源部の電力を供給可能とし、前記センサがOFF状態の時に前記電源部の電力を供給不能とするセンサスイッチ部と、該センサスイッチ部から前記電源部の電力を供給されて、所定の情報を無線で外部に発信可能な発信部と、を有して構成されていることによって、上記課題を解決したものである。
なお、本発明に係る「センサスイッチ部」としては、例えば、磁性体からなるセンサを備えた感温磁性体センサスイッチや、形状記憶合金からなるセンサを備えた形状記憶合金センサスイッチなどの温度センサスイッチや、圧電素子やピエゾフィルム素子などからなるセンサを備えた外力起電型の振動センサスイッチや圧力センサスイッチなどが挙げられる。
又、「センサがON状態の時」とは、センサが予め定められた閾値に基づいて検出対象である温度、振動、圧力などの異常を感知した状態をいい、「センサがOFF状態の時」とは、センサが検出対象である温度、振動、圧力などの異常を感知していない状態をいう。
本発明によれば、センサがOFF状態の時にはワイヤレスセンサ全体の消費電力を0にすることができる。そのため、従来よりも消費電力を大幅に削減することができ、保守に要する費用や時間の低減、装置の長寿命化を図ることができる。又、従来のワイヤレスセンサのように大容量の電源を搭載する必要が無いため、装置の小型化が容易で、様々な設備や機器に設置することができる。しかも、無線を利用するため、配線の引き回しが不要で取付が容易である。
【0006】
なお、前記センサスイッチ部と前記発信部との間に、前記電源部の電力を充電可能な充電部を更に配設すれば、センサが閾値近傍でON/OFF状態を繰り返し、センサスイッチ部からの電力供給が不安定になった場合でも、充電部に充電された電力を発信部に供給することができ、発信部に安定的な電力を供給することができる。
【0007】
又、前記電源部の電力を前記発信部に定期的に供給可能なタイマ起動部を更に備え、前記発信部は、前記タイマ起動部から前記電源部の電力を供給されて、前記所定の情報を定期的に外部に発信可能に構成されていれば、センサがON状態の時のみならず、センサがOFF状態の時であっても所定の情報を定期的に外部に発信することができ、例えば、ワイヤレスセンサが正常に稼動していることを定期的に外部に発信することができ、ワイヤレスセンサの健全性を確認することができる(ワイヤレスセンサのバッテリー切れや故障などを把握することができる)。
更に、前記電源部が、前記電力を自身で発電可能に構成されていれば、電池交換などの作業が不要となり、メンテナンス性を高めることができる上に、更なる省電力化を図ることができる。
【0008】
更に又、前記センサスイッチ部を複数備えていれば、複数種類の異常の有無を検出することが可能となる。特に、前記複数のセンサスイッチ部の各々が、検出対象の相異なるセンサを備えていれば、異なる検出対象(例えば、温度、圧力、振動)の異常の有無を検出することが可能となる。
なお、上述のワイヤレスセンサと、該ワイヤレスセンサから発信される前記所定の情報を受信して、該所定の情報に基づいて、少なくとも前記ワイヤレスセンサの設置場所及び異常感知の有無を監視することが可能な監視装置と、を有して構成されたワイヤレス監視システムとすれば、ワイヤレスセンサを工場やビルなどの要所に配設することによって、工場やビル内の異常の有無を監視することができる上に、異常の見つかった場所を容易に特定することができる。
又、前記監視装置は、前記ワイヤレスセンサの設置場所及び異常感知の有無の情報を少なくとも含むワイヤレスセンサ情報を外部に配信可能に構成されていれば、例えば、電話回線やインターネットを介してワイヤレスセンサ情報を取得することができ、監視装置から離れた場所においても工場やビル内の異常の有無を監視することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るワイヤレスセンサによれば、従来よりも消費電力を大幅に削減することができ、保守に要する費用や時間の低減、装置の長寿命化を図ることができると共に、小型化が容易で、様々な設備や機器に設置することが可能であるという優れた効果を有する。
【0010】
又、本発明に係るワイヤレス監視システムによれば、ワイヤレスセンサを工場やビルなどの要所に配設することによって、工場やビル内の異常の有無を監視することができる上に、異常の見つかった場所を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の実施例1に係るワイヤレス監視システム10について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例1に係るワイヤレス監視システム10の概略構成を示したシステム構成図である。
【0013】
このワイヤレス監視システム10は、複数(図1には一例として5個のみ図示)のワイヤレスセンサ12と、これらの各ワイヤレスセンサ12から送信される電波を受信・増幅して送信する中継機14と、この中継機14から発信される各ワイヤレスセンサ12に関する情報を受信して、この情報に基づいて、ワイヤレスセンサ12の設置場所や異常感知の有無を監視する監視装置16と、を有して構成されている。
なお、本実施例1では、ワイヤレスセンサ12と監視装置16の間に中継機14を介在させ、中継機14において電波を増幅する構成を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各ワイヤレスセンサ12からの電波が十分に届く範囲(例えば、図1中のA1で示される半径が約50mの範囲)に監視装置16を配設した場合などには、ワイヤレスセンサ12からの電波を監視装置16で直接受信するように構成してもよい。
<ワイヤレスセンサ>
【0014】
図2は、ワイヤレスセンサ12の主要部のみを示したブロック図である。
【0015】
このワイヤレスセンサ12は、リチウム電池からなる電源部12Aと、この電源部12Aに並列接続されたタイマ起動部12B及びセンサスイッチ部12Cと、これらタイマ起動部12B及びセンサスイッチ部12Cを介して供給される電源部12Aの電力を充電可能な充電部12Dと、この充電部12Dから電源部12Aの電力を供給されて、所定の情報を無線で外部に発信可能な発信部12Eと、を有して構成されている。
【0016】
電源部12Aは、ワイヤレスセンサ12の小型化や低コスト化などを目的として、本実施例1ではリチウム電池を採用したが、本発明に係る「電源部」はリチウム電池に限定されるものではなく、電力を供給可能なものであればよい。従って、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換可能な太陽電池や、機械エネルギーを電気エネルギーに変換可能な圧電式の発電装置などのように、電源部12Aが電力を自身で発電可能に構成されていれば、電池交換などの作業が不要となり、メンテナンス性を高めることができる上に、更なる省電力化を図ることができる。又、電源部12Aとして、発電機能の無いもの(例えば、リチウム電池)と、発電機能を有するもの(例えば、太陽電池)を併用することも考えられる。
【0017】
タイマ起動部12Bには、電源部12Aによって電力が常時供給されている。このタイマ起動部12Bは、約2秒毎に発信部12Eに対してトリガ信号S1を出力すると共に、定期的に(例えば、24時間に1回)充電部12Dに電源部12Aからの電力を供給し、充電部12Dの充電を行う。なお、タイマ起動部12Bから出力される「トリガ信号S1」は、発信部12Eの電波発信に使用されるタイミング信号である。
センサスイッチ部12Cは、図3に拡大して示されるように、無電力で作動するセンサ12C1を備え、このセンサ12C1がON状態の時に電源部12Aの電力を供給可能とし、センサ12C1がOFF状態の時に電源部12Aの電力を供給不能とするように構成されている。このセンサスイッチ部12Cには、例えば、磁性体からなるセンサを備えた感温磁性体センサスイッチや、形状記憶合金からなるセンサを備えた形状記憶合金センサスイッチなどの温度センサスイッチや、圧電素子やピエゾフィルム素子などからなるセンサを備えた外力起電型の振動センサスイッチや圧力センサスイッチなどを適用することができる。
なお、「センサ12C1がON状態の時」とは、センサ12C1が予め定められた閾値に基づいて検出対象である温度、振動、圧力などの異常を感知した状態をいい、「センサ12C1がOFF状態の時」とは、センサ12C1が検出対象である温度、振動、圧力などの異常を感知していない状態をいう。
図2に戻って、センサスイッチ部12Cは、センサ12C1が異常を感知した場合に、発信部12Eに対して監視状態信号S2を出力する。この監視状態信号S2は、異常感知の有無を発信部12Eに報知するための信号であり、例えば、センサ12C1が異常を感知した場合には監視状態信号S2としてハイレベルの信号を出力し、センサ12C1が異常を感知していない場合には監視状態信号S2としてローレベルの信号を出力する。なお、監視状態信号S2は発信部12Eにおいてセンサスイッチ部12Cの異常の有無が判別できるものであればよく、例えば、センサスイッチ部12Cにおける異常の有無を通信で発信部12Eに報知するように構成してもよい。
【0018】
充電部12Dは、本実施例1ではコンデンサによって構成され、上述したように、タイマ起動部12Bを介して供給される電源部12Aの電力や、センサスイッチ部12Cを介して供給される電源部12Aの電力を充電可能な構造となっている。
【0019】
発信部12Eは、タイマ起動部12Bを介して充電部12Dに充電された電力が所定の電力量に達した場合に起動する。そして、タイマ起動部12Bからのトリガ信号S1に同期して定期的に(例えば、24時間に1回や1時間に1回)所定の情報を無線で送信する(この場合、後述する監視状態フラグを0にセットしてワイヤレスセンサ12が異常を感知していない旨を送信する)。より具体的には、発信部12Eは、所定の情報を送信専用の単向モードを用いて特定小電力無線(1mW局)で外部に送信する。又、本実施例1では、所定の情報として、各ワイヤレスセンサ12を特定するためのIDコード(10進数で0〜65535の数値)を示す16ビットのデータと、各ワイヤレスセンサ12における異常感知の有無を示す1ビットのデータ(監視状態フラグ)を送信する。このように、発信部12Eでは、送信する情報を必要最低限の情報量(本実施例1では計17ビットの情報量)に制限し、送信データ量を減らすと共に、送信出力が小さい特定小電力無線方式(1mW局)の単向モードでデータを送信することにより、省電力化が図られている。なお、本発明に係る「所定の情報」は、IDコードや監視状態フラグに限定されるものではなく、他の情報を付加してもよい。又、その情報量は17ビットに制限されるものでもない。
【0020】
又、発信部12Eは、センサスイッチ部12Cを介して充電部12Dに充電された電力が所定の電力量に達した場合(センサスイッチ部12Cが異常を感知した場合)にも起動される。この場合、発信部12Eは、センサスイッチ部12Cからの監視状態信号S2に従って監視状態フラグを1にセットした後、タイマ起動部12Bからのトリガ信号S1に同期して、例えば、約2秒に1回の周期でIDコードと監視状態フラグの情報を送信する(この場合、ワイヤレスセンサ12が異常を感知した旨を送信する)。
<中継機>
【0021】
図1に戻って、中継機14は、1mW局の受信機14Aと、この受信機14AにRS232CケーブルC1を介して接続された10mW局の送信機14Bによって構成されている。この中継機14は、ワイヤレスセンサ12からの送信データを受信機14Aで受信すると共に、送信機14Bから電波を増幅して出力する。
<監視装置>
【0022】
監視装置16は、中継機14からの送信データを受信するための10mW局の受信機16Aと、この受信機16AにRS232CケーブルC2を介して接続されたパーソナルコンピュータ16Bによって構成されている。
パーソナルコンピュータ16Bは、RS232C通信によって受信機16Aが受信した受信データを取得し、ワイヤレスセンサ12の状態表示や各種設定を行う。
図4は、ワイヤレスセンサ12の「IDコード」や「設置場所等の説明」をパーソナルコンピュータ16Bに登録するためのID設定画面の一例を示したものである。
【0023】
まず、ワイヤレス監視システム10では、このID設定画面を用いて、監視を行うワイヤレスセンサ12の「IDコード」と「設置場所等の説明」を登録する。なお、本実施例1では、合計で10個(ID番号:ID0〜ID9)のワイヤレスセンサ12の登録が可能となっている。
【0024】
図5は、各ID番号に対応するワイヤレスセンサ12の状態と、工場やビルなどの地図を表示する通信画面の一例を示したものである。
【0025】
この通信画面のウィンドウW1には、各ワイヤレスセンサ12の状態が示されるようになっており、本実施例1では、ワイヤレスセンサ12が異常を感知していない場合であって、且つ、無線通信が良好の場合には緑色点灯、無線通信が不良の場合(例えば、電波障害等に起因する信号欠落や、リチウム電池切れ等に起因する通信エラー時)には黄色点灯、ワイヤレスセンサ12が異常を感知した場合には赤色点灯が行われる。
又、通信画面のウィンドウW2には、ワイヤレスセンサ12が配置される工場やビルなどの地図が表示されており、ウィンドウW1に表示されたワイヤレスセンサ12のアイコンをウィンドウW2上にドラッグ&ドロップすることで、各ワイヤレスセンサ12のアイコンをウィンドウW2の地図上に表示することが可能となっている。そのため、各ワイヤレスセンサ12の配設場所を地図によって容易に確認することができ、異常が発生した場所を迅速且つ的確に特定することができる。
図6は、各ワイヤレスセンサ12の通信履歴を表示する通信履歴画面の一例を示したものである。
【0026】
この通信履歴画面では、各ワイヤレスセンサ12のIDコード、通信日時、通信間隔などを表示することができ、各ワイヤレスセンサ12の状態を容易に確認することができる。なお、ワイヤレス監視システム10は、図7に示されるように、通信ポート、ボーレート、ストップビット長などの通信パラメータを設定するための通信パラメータ設定画面を更に備えている。
【0027】
以上説明したように、本実施例1に係るワイヤレス監視システム10は、ワイヤレスセンサ12と、このワイヤレスセンサ12から発信される所定の情報(本実施例1では、IDコードと監視状態フラグの情報)を受信して、この所定の情報に基づいて、少なくともワイヤレスセンサの設置場所及び異常感知の有無を監視することが可能な監視装置16と、を有して構成されているため、ワイヤレスセンサ12を工場やビルなどの要所に配設することによって、工場やビル内の異常の有無を監視することができる上に、異常の見つかった場所を容易に特定することができる。
【0028】
又、複数のワイヤレスセンサ12を備えているため、ワイヤレスセンサ12を平面的に複数配置すれば(例えば、ビルの同じ階に複数配置すれば)平面的な異常を監視することができ、又、ワイヤレスセンサ12を立体的に複数配置すれば(例えば、ビルの1階と2階に分けて配置すれば)立体的な異常を監視することができる。
【0029】
なお、監視装置16は、ワイヤレスセンサ12の設置場所及び異常感知の有無の情報を少なくとも含むワイヤレスセンサ情報を外部に配信可能に構成されていれば、例えば、電話回線やインターネットを介してワイヤレスセンサ情報を取得することができ、監視装置16から離れた場所においても工場やビル内の異常の有無を監視することができる。
又、本実施例1に係るワイヤレスセンサ12は、センサスイッチ部12Cと発信部12Eとの間に、電源部12Aの電力を充電可能な充電部12Dを更に配設したため、センサ12C1が閾値近傍でON/OFF状態を繰り返し、センサスイッチ部12Cからの電力供給が不安定になった場合でも、充電部12Dに充電された電力を発信部12Eに供給することができ、発信部12Eに安定的な電力を供給することができる。しかも、本実施例1のように、電源部12Aとして低電力のリチウム電池を適用した場合であっても、リチウム電池の電力を安定的に発信部12Eに供給することができる。しかも、無線を利用するため、配線の引き回しが不要で取付が容易である。
【0030】
更に、電源部12Aの電力を発信部12Eに定期的に供給可能なタイマ起動部12Bを更に備え、発信部12Eは、タイマ起動部12Bから電力を供給されて、所定の情報を定期的に外部に発信可能に構成されているため、センサ12C1がON状態の時のみならず、センサ12C1がOFF状態の時であっても所定の情報を定期的に外部に発信することができ、例えば、ワイヤレスセンサ12が正常に稼動していることを定期的に外部に発信することができ、ワイヤレスセンサ12の健全性を確認することができる(ワイヤレスセンサ12のバッテリー切れや故障を把握することができる)。
【実施例2】
【0031】
次に、図8を用いて、本発明の実施例2に係るワイヤレスセンサ30について詳細に説明する。
【0032】
このワイヤレスセンサ30は、上記実施例1に係るワイヤレスセンサ12のセンサスイッチ部12Cに代えて、複数(本実施例では3つ)のセンサスイッチ部32C1、32C2、32C3を備えたものである。なお、センサスイッチ部32C1〜32C3以外の他の構成については上記実施例1に係るワイヤレスセンサ12と同一又は類似するため、同一又は類似する部分については図中において同一の符号を付すと共に、その説明は省略する。
【0033】
本実施例に係るセンサスイッチ部32C1〜32C3は、例えば、温度が40度以上の場合に異常を感知する温度センサスイッチと、温度が45度以上の場合に異常を感知する温度センサスイッチと、温度が50度以上の場合に異常を感知する温度センサスイッチと、によって構成することができる。このように、複数のセンサスイッチ部32C1〜32C3を備えたワイヤレスセンサ30とすれば、複数種類の異常の有無を検出することが可能となる。なお、各センサスイッチ部32C1〜32C3における異常感知の有無を外部に発信するためには、上述の監視状態フラグをセンサスイッチ部32C1〜32C3に相当する数(本実施例2では、3ビット)だけ用意すれば足りる。
又、センサスイッチ部32C1〜32C3を、例えば、温度センサスイッチ、圧力センサスイッチ、振動センサスイッチとすることもできる。このように、複数のセンサスイッチ部32C1〜32C3の各々が、検出対象の相異なるセンサを備えていれば、異なる検出対象(この例では、温度、圧力、振動)の異常の有無を検出することが可能となる。
【0034】
なお、本発明に係るワイヤレスセンサの構成は、上記実施例1及び2に係るワイヤレスセンサ12、30の構成に限定されるものではなく、例えば、図9に示されるワイヤレスセンサ40のように、ワイヤレスセンサ12からタイマ起動部12Bを除いた構成とし、スイッチセンサ部12Cが異常を感知した場合にのみ、発信部12Eが所定の情報を無線で外部に送信するように構成してもよい。この場合、スイッチセンサ部12CのセンサがOFF状態の時にはワイヤレスセンサ40全体の消費電力を0にすることができる。そのため、従来よりも消費電力を大幅に削減することができ、保守に要する費用や時間の低減、装置の長寿命化を図ることができる。又、従来のワイヤレスセンサのように大容量の電源を搭載する必要が無いため、装置の小型化が容易で、様々な設備や機器に設置することができる。
又、センサスイッチ部12Cが発信部12Eに対して電源部12Aの電力を安定的に供給できる場合などには、上記図9に示されるワイヤレスセンサ40から更に充電部12Dを除いた構成を採用することもできる。
【0035】
即ち、本発明に係るワイヤレスセンサは、電力を供給可能な電源部と、無電力で作動するセンサを備え、該センサがON状態の時に前記電源部の電力を供給可能とし、前記センサがOFF状態の時に前記電源部の電力を供給不能とするセンサスイッチ部と、該センサスイッチ部から前記電源部の電力を供給されて、所定の情報を無線で外部に発信可能な発信部と、を有して構成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るワイヤレスセンサ及びワイヤレス監視システムは、例えば、工場の機器/盤内の熱感知、ケーブル/ラックの温度感知、配管の温度及び圧力感知、機器の振動感知、落石及び土壌崩壊(地すべり)感知、河川や地下水などの水位感知、地盤の土圧感知などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施例1に係るワイヤレス監視システムの概略構成を示したシステム構成図
【図2】同ワイヤレス監視システムにおけるワイヤレスセンサの主要部のみを示したブロック図
【図3】同ワイヤレスセンサにおけるセンサスイッチ部の概略構成を示したシステム構成図
【図4】同ワイヤレス監視システムのID設定画面の一例を示した図
【図5】同ワイヤレス監視システムの通信画面の一例を示した図
【図6】同ワイヤレス監視システムの通信履歴画面の一例を示した図
【図7】同ワイヤレス監視システムの通信パラメータ設定画面の一例を示した図
【図8】本実施例2に係るワイヤレスセンサの主要部のみを示したブロック図
【図9】他の例に係るワイヤレスセンサの主要部のみを示したブロック図
【符号の説明】
【0038】
10、30、40・・・ワイヤレス監視システム
12・・・ワイヤレスセンサ
12A・・・電源部
12B・・・タイマ起動部
12C、32C1、32C2、32C3・・・センサスイッチ部
12C1・・・センサ
12D・・・充電部
12E・・・発信部
14・・・中継機
16・・・監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給可能な電源部と、
無電力で作動するセンサを備え、該センサがON状態の時に前記電源部の電力を供給可能とし、前記センサがOFF状態の時に前記電源部の電力を供給不能とするセンサスイッチ部と、
該センサスイッチ部から前記電源部の電力を供給されて、所定の情報を無線で外部に発信可能な発信部と、
を有して構成されていることを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサスイッチ部と前記発信部との間に、前記電源部の電力を充電可能な充電部を更に配設したことを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記電源部の電力を前記発信部に定期的に供給可能なタイマ起動部を更に備え、
前記発信部は、前記タイマ起動部から前記電源部の電力を供給されて、前記所定の情報を定期的に外部に発信可能に構成されていることを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記電源部が、前記電力を自身で発電可能に構成されていることを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記センサスイッチ部を複数備えていることを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項6】
請求項5において、
前記複数のセンサスイッチ部の各々が、検出対象が相異なるセンサを備えていることを特徴とするワイヤレスセンサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のワイヤレスセンサと、
該ワイヤレスセンサから発信される前記所定の情報を受信して、該所定の情報に基づいて、少なくとも前記ワイヤレスセンサの設置場所及び異常感知の有無を監視することが可能な監視装置と、
を有して構成されていることを特徴とするワイヤレス監視システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記監視装置は、前記ワイヤレスセンサの設置場所及び異常感知の有無の情報を少なくとも含むワイヤレスセンサ情報を外部に配信可能に構成されていることを特徴とするワイヤレス監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−108884(P2007−108884A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297006(P2005−297006)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(598155966)株式会社アクトメント (8)
【Fターム(参考)】