説明

ワークの表裏判別装置、ナットの表裏判別装置、ワークの表裏判別方法及びナットの表裏判別方法

【課題】表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワークについて、確実な表裏の判別が可能なワークの表裏判別装置及びワークの表裏判別方法を提供する。
【解決手段】ワークの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、ワークの照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、撮像手段により撮影された画像におけるワークの輪郭形状を検出する判別手段とを備え、判別手段は、撮像手段により撮影された画像におけるワークの輪郭形状と、予め記憶された輪郭形状とを比較することにより、ワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナット、板状部品等のワークの表裏いずれの面で上面となっているかを判別するワークの表裏判別装置、ナットの表裏判別装置、ワークの表裏判別方法及びナットの表裏判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの表裏判別装置としては、特許文献1の従来の技術の欄に記載されているように、判別治具を用いたものがある。この判別治具は、ワーク載置面に凹部を有し、ワーク載置面上に置かれたワークの高さにより、表裏面のいずれが上面となっているかを判別するものである。具体的には、ワークの表面が凹凸面であり、ワークの裏面がフラット面である場合に、ワークの上面が表面であれば、ワークの裏面がワーク載置面の凹部に入り込むことがないため、ワークの高さが高い。これに対し、ワークの上面が裏面であれば、ワークの表面の凸部がワーク載置面の凹部に入り込むため、ワークの高さが低くなる。以上より、ワーク載置面に置かれたワークの高さによって表裏面のいずれが上面となっているかを判別する。
【0003】
また、従来、表裏形状の差異が微小な薄物のワークを振動式パーツフィーダで供給する場合には、機械的な整列機構で部品の表裏整列をさせることが困難であるため、光学的な判別手段を用いて部品の表裏を判断し、一定の向きに揃った状態での供給を行うことが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、ワークの片面のみに設けられた埋め込み電極や印刷文字などの有無を、光電センサやカメラによって検出することにより、表裏を判別する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−206260号公報
【特許文献2】特開2002−137820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来のワークの表裏判別装置においては、表裏両面の同じ位置に凹部、または、凸部があり、かつ、その凹部、または、凸部の形態のみが異なるワークについて、表裏を判別することができない虞がある。
【0007】
なお、表裏両面の同じ位置に凹部、または、凸部があり、かつ、凹部、または、凸部の形態が同じであれば、そのワークは表裏のないワークであり、表裏判別の必要がなく、表裏判別の必要があるものは、常に凹部、または、凸部の形態に相違がある。
【0008】
表裏の材質が一定で文字等の印刷の無いワークでは、特許文献2に記載された技術によっては、表裏の判定ができない。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワークについて、確実な表裏の判別が可能なワークの表裏判別装置及びワークの表裏判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別するワークの表裏判別装置であって、前記ワークの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、前記ワークの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状を検出する判別手段とを備え、前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状と、予め記憶された輪郭形状とを比較することにより、前記ワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別装置であって、前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状を検出する判別手段とを備え、前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め記憶されたリング状の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別装置であって、前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状を検出する判別手段とを備え、前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め記憶された多角形の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面(R面)となっているワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別するワークの表裏判別方法であって、前記ワークの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、前記ワークの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状と、予め用意した輪郭形状とを比較することにより、前記ワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別方法であって、前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め用意したリング状の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別方法であって、前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め用意した多角形の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面(R面)となっているワークの表裏の判別を、撮像手段により撮影された画像におけるワークの輪郭形状と、予め用意されている輪郭形状との比較によって行うので、計測時の揺らぎに対してロバストに表裏の判別を行うことができ、誤検出によって誤った向きでワークが供給されることを防ぐことができる。
【0017】
特に、判別対象となるワークがナットである場合には、周縁部が曲面(R面)となっている側の面を撮影したこときには、輪郭形状がリング状の外形を有するものとなり、周縁部が曲面(R面)となっていない側の面を撮影したこときには、輪郭形状が多角形(六角形)の外形をゆするものとなるので、形状の差異が明確に現れるため、誤検出が生じない。
【0018】
すなわち、本発明は、表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワーク、または、表面の周縁部が曲面となっているナットについて、確実な表裏の判別が可能なワークの表裏判別装置、ワークの表裏判別方法、ナットの表裏判別装置及びナットの表裏判別方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るワークの表裏判別装置を適用した部品供給装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係るワークの表裏判別装置の構成を示す側面図である。
【図3】部品供給装置の概略回路ブロック図である。
【図4】(a)は、表向き(上面が表面)のナットの斜視図であり、(b)は、裏向き(上面が裏面)のナットの斜視図である。
【図5】(a)は、表向きのナットに光を照射した場合の光の反射状態を示す図であり、(b)は、裏向きのナットに光を照射した場合の光の反射状態を示す図である。
【図6】(a)は、表向きのナットを撮影した場合の撮影画像を示す図であり、(b)は、裏向きのナットを撮影した場合の撮影画像を示す図である。
【図7】記憶された輪郭形状(表向き)を示す平面図である。
【図8】部品供給装置の動作フローチャートである。
【図9】実施の形態に係る表裏判別動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るワークの表裏判別装置を適用した部品供給装置の構成を示す概略斜視図である。
【0022】
この部品供給装置1は、図1に示すように、ワークである多数のナット10を一列に整列させ、一列整列させたナット10を連続的に送り出す部品フィーダ2と、この部品フィーダ2によって送り出されたナット10の上面が表面であるか裏面であるか否かを判別する表裏判別装置3と、上面が表面であると判別されたナット10をナット取り出し位置に移動するナット取出機構4と、上面が裏面であると判別されたナット10を排出するナット排出機構5とを備えている。
【0023】
部品フィーダ2は、多数のナット10がその表裏面の向きを問わず不整列で投入される円錐部2aと、この円錐部2aの最下方に円周状に配置され、かつ、この円周状の搬送出口側が直線状に延びるナット搬送通路2bとを有し、振動によってナット10を一列にナット搬送通路2b上に並べ、かつ、一列に整列されたナット10の列を搬送出口側へと送り出す。
【0024】
ナットフィーダ2のナット搬送通路2bの搬送出口端には、部品供給シリンダ11によって駆動される送り出し規制プレート12が設けられている。この送り出し規制プレート12を部品供給シリンダ11によって選択的に駆動することによって、ナット搬送通路2b上に一列に整列されたナット10で、かつ、その先頭のナット10を一個ずつ表裏判別装置3の撮影位置に供給する。
【0025】
ナット取出機構4は、ナット搬送レール部13と、このナット搬送レール部13上を移動するナット送りハンド部14と、このナット送りハンド部14を駆動するシリンダ手段15とを有する。そして、シリンダ手段15の駆動によってナット送りハンド部14を撮影位置(図1の実線位置)からナット取り出し位置(図1の仮想線位置)に移動することによってナット10を撮影位置からナット取り出し位置に移動する。
【0026】
ナット排出機構5は、上面が表裏判別装置3の撮影位置とされる撮影台16と、この撮影台16を駆動するシリンダ手段17と、撮影位置の下方に配置された回収ボックス18とを有する。そして、シリンダ手段17の駆動で撮影台16を撮影位置(図1の実線位置)からナット落下位置(図1の仮想線位置)まで移動することによって撮影位置上のナット10を下方のナット回収ボックス18に排出する。
【0027】
図2は、本発明に係るワークの表裏判別装置の構成を示す側面図である。
【0028】
本発明に係るワークの表裏判別装置3は、図2に示すように、部品供給装置により供給されたナット10にほぼ真上から照明光を照射する照明手段となる照明器40と、この照明光の反射光を撮像する撮像手段となるカメラ20とを有して構成されている。すなわち、カメラ20は、ナット10の照明器40により照明される側の面を撮影する。
【0029】
照明器40としては、リング形照明を用いることが望ましい。また、このリング形照明は、例えば、直径が50mm程度、ナット10からの距離を100mm程度として設置することが好ましい。照明光のナット10に対する入射方向と、カメラ20がナット10を撮像する方向(カメラ20の光軸方向)との間は、極力狭い角度となっていることが好ましい。
【0030】
カメラ20は、表裏判定を行う判別手段21に接続されている。判別手段21は、比較の基準となる輪郭形状を記憶する記憶部と、輪郭形状の比較を行う演算部によって構成されている。
【0031】
この表裏判別装置3によって、本発明に係るワークの表裏判別方法が実行される。すなわち、この表裏判別装置3においては、ナット10に照明光を照射し、その反射光をカメラ20によって撮像する。判別手段21は、撮像された画像から輪郭となる形状を取り出して、記憶装置に記憶された輪郭形状との比較を行う。この比較には、一般的なパターンマッチング等の手法を使用することができる。すなわち、パターンマッチングの手法としては、2つの画像を重ね合わせて一致する部分と一致しない部分の面積の比率をとる手法や、輪郭線を重ね合わせて2つの輪郭線間の距離を計算する手法などが考えられる。
【0032】
比較の結果、一致度が所定の値を超えているか否かによって、ナット10の表裏を判別する。
【0033】
なお、比較の基準として記憶しておく輪郭形状は、表向きの形状でも裏向きの形状でもよい。表向きと裏向きの輪郭形状を両方とも記憶させておき、一致度を比較し、より高いほうの向きを取ることにより、表裏判定を行うようにしてもよい。
【0034】
図3は、部品供給装置の概略回路ブロック図である。
【0035】
ナット10の表裏判別装置3は、図3に示すように、撮影位置の真上に配置された撮像手段であるカメラ20と、このカメラ20が撮影した画像データよりナット10の上面が表裏面のいずれであるかを判別する判別手段21とから構成されている。
【0036】
判別手段21は、カメラ20が撮影した画像データ中の画像として表示されるワーク形状(ワーク表示画像)に基づいてナット10の表裏を判別し、その判別結果を部品供給装置の制御部22に出力する。この表裏判別内容については、下記に詳しく説明する。
【0037】
制御部22は、部品供給装置1の全体制御を担当し、カメラ20及び判別手段21と共に、部品フィーダ2、部品供給シリンダ11、ナット取出機構4、ナット排出機構5をそれぞれ制御する。この制御内容については、下記の作用の箇所で説明する。
【0038】
図4中の(a)は、表向き(上面が表面)のナットの斜視図であり、(b)は、裏向き(上面が裏面)のナットの斜視図である。
【0039】
次に、ナット10の表裏判別内容について説明する。判別対象であるナット10は、図4(a)、(b)に示すように、表裏面10a,10bの中央にねじ孔30が貫通する扁平六角形状を有し、表面10a及び裏面10bのほぼ同じ位置である周縁側に凹部31,32がそれぞれ形成されている。表面10aの周縁側の凹部31は、表面10aより連続するアール状(曲面)の傾斜面(R面)31aによって形成されている。裏面10bの周縁側の凹部32は、六角形の角部の位置で裏面10bに対し垂直に窪む垂直面32aとこの垂直面32aの底より裏面10bに平行に配置された水平面32bとから形成されている。
【0040】
図5中の(a)は、表向きのナットに光を照射した場合の光の反射状態を示す図であり、(b)は、裏向きのナットに光を照射した場合の光の反射状態を示す図である。
【0041】
図6中の(a)は、表向きのナットを撮影した場合の撮影画像を示す図であり、(b)は、裏向きのナットを撮影した場合の撮影画像を示す図である。
【0042】
上面が表面10aである表向きのナット10をカメラ20で撮影すると、図5(a)に示すように、凹部31に照射された光は、傾斜面31aで反射されるために、入射方向とは異なる方向に反射される。そのため、カメラ20で撮影したナット表示画像B1は、図6(a)に示すように、中心の貫通孔30が映らず、かつ、凹部31が映らない単純なリング状の画像(図6(a)の白抜き箇所)となる。
【0043】
上面が裏面10bである裏向きのナット10をカメラ20で撮影すると、図5(b)に示すように、凹部32に照射された光は、水平面32bで反射するために、入射方向と同じ方向に反射する。そのため、カメラ20で撮影したナット表示画像B2は、図6(b)に示すように、中心の貫通孔30が映らないが、凹部32が映る六角形の画像(図6(b)の白抜き箇所)となる。つまり、投影図形と同じとなる。
【0044】
図7は、記憶された輪郭形状(表向き)を示す平面図である。
【0045】
比較の基準として記憶しておく輪郭形状は、表向きのナット10については、図7に示すように、単純なリング状の画像である。この形状を、カメラ20で撮影したナット表示画像B1と比較することにより、ナット10が表面を上面としていることが判別される。
【0046】
図8は、部品供給装置の動作フローチャートである。
【0047】
図9は、ナットの表裏判別動作のフローチャートである。
【0048】
次に、上記部品供給装置1の動作を図8及び図7のフローに基づいて説明する。図8に示すように、部品フィーダ2が駆動されると(ステップS1)、ナット搬送通路2b上に多数のナット10が一列に整列する。ここで、ナット10は偏平部品であるため、表裏面10a,10bのいずれかを上面として一列に整列する。
【0049】
部品供給シリンダ11の駆動で送り出し規制プレート12を移動し、一列に整列したナット10の内の先頭のナット10を撮影位置にセットする(ステップS2)。ナット10が撮影位置にセットされると、カメラ20がナット10の上面を撮影する(ステップS3)。判別手段21は、カメラ20で撮影した画像データより以下のようにして表裏を判別する(ステップS4)。
【0050】
つまり、図9に示すように、判別手段21は、カメラが撮影した画像データ中の画像として表示されるナット(ナット表示画像)の形状に基づいてナットの表裏を判別する。具体的には、図9に示すように、画像データを取得すると(ステップS20)、この取得したナット表示画像と予め記憶された表面の基準ナット表示画像とのパターンマッチングを行う(ステップS21)。形状パターンが一致すれば、ナットが表向きであると判別する(ステップS22)。形状パターンが一致しなければ、ナットが裏向きであると判別する(ステップS23)。
【0051】
図8に戻り、判別手段21は、ナット10の表裏判別結果を制御部22に出力する(ステップS5)。制御部22は、ナット10が表向きであると判別された場合には(ステップS5)、ナット取出機構4を駆動してナット10を撮影位置(図1の実線位置)からナット取り出し位置(図1の仮想線位置)に移動する(ステップS6)。ナット10が裏向きであると判別された場合には、ナット排出機構5を駆動して撮影台16を撮影位置(図1の実線位置)からナット落下位置(図1の仮想線位置)に移動する。これによって、ナット10が排出位置である回収ボックス18内に落下する(ステップS7)。
【0052】
ナット10を取り出し位置、または、排出位置に送ると、部品供給シリンダ11を駆動して送り出し規制プレート12によって次のナットを撮影位置にセットする。そして、上記した表裏判別動作を繰り返す。
【0053】
以上、この実施の形態では、ナット10の上面を撮影するカメラ20と、カメラ20が撮影した画像データ中のナット表示画像の形状に基づいてナット10の表裏を判別する判別手段21とを備えたので、表裏面10a,10bの同じ位置に凹部31,32があり、かつ、その凹部31,32の形態のみが異なるナット10について表裏判別が可能である。
【0054】
なお、この実施の形態では、ワークがナット10の場合について説明したが、ナット10以外のものでも同様に表裏判別できる。つまり、この実施の形態では、表向きのワークのワーク表示画像と裏向きのワークのワーク表示画像の双方の形状が異なるものであれば、表裏判別が可能である。
【0055】
この実施の形態では、裏向きのナット10を排出したが、ナット10の表裏を反転することによって表向きに変更するようにしても良い。このようにすれば、部品供給の作業性が向上する。
【0056】
この実施の形態では、表面の基準ナット表示画像とのパターンマッチングのみを行うが、表面の基準ナット表示画像とのパターンマッチングと、裏面の基準ナット表示画像とのパターンマッチングの両方を行うようにすれば、より精度の高い表裏判別が可能である。
【0057】
この実施の形態では、ナット表示画像のナット形状のパターンマッチングによって表裏面を判別するが、ナット表示画像のナット形状の特徴的な箇所、例えば外側の輪郭線の形状(表向きの場合には円形、裏向きの場合には六角形)のみに着目し、その箇所のパターンマッチングによって表裏を判別しても良い。又、ナット表示画像の最大幅寸法(、または、最小幅寸法)によって表裏判別をしても良く、ワーク表示画像の形状に基づく表裏判別方法の内容については、種々のものが考えられる。
【0058】
この実施の形態では、ワークがナットの場合について説明したが、ナット以外のものでも表裏判別できる。つまり、表面のワーク表示画像と裏面のワーク表示画像の形状パターンさえ異なるものであれば、表裏双方のワークの投影形状が同じであっても表裏判別ができる。
【0059】
なお、ナット10は、表裏同じ箇所で、かつ、異なる形態の凹部31,32を有するものであるが、表裏同じ箇所で、かつ、異なる形態の凸部を有するものであっても本発明を適用できることはもちろんである。
【0060】
なお、前述の実施の形態によれば、カメラ20によりナット10の上面を撮影したが、ナット10の下面を撮影しても良く、また、ナット10の上面と下面の両方を撮影するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ナット、板状部品等のワークの表裏いずれの面で上面となっているかを判別するワークの表裏判別装置、ナットの表裏判別装置、ワークの表裏判別方法及びナットの表裏判別方法に適用される。
【符号の説明】
【0062】
1 部品供給装置
3 表裏判別装置
10 ナット(ワーク)
10a 表面
10b 裏面
20 カメラ(撮像素子)
21 判別手段
31 凹部
31a 傾斜面
32 凹部
32a 垂直面
32b 水平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別するワークの表裏判別装置であって、
前記ワークの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、
前記ワークの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状を検出する判別手段と
を備え、
前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状と、予め記憶された輪郭形状とを比較することにより、前記ワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別する
ことを特徴とするワークの表裏判別装置。
【請求項2】
表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別装置であって、
前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、
前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状を検出する判別手段と
を備え、
前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め記憶されたリング状の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別する
ことを特徴とするナットの表裏判別装置。
【請求項3】
表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別装置であって、
前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明する照明手段と、
前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状を検出する判別手段と
を備え、
前記判別手段は、前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め記憶された多角形の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別する
ことを特徴とするナットの表裏判別装置。
【請求項4】
表裏のいずれか一方の面の周縁部が曲面となっているワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別するワークの表裏判別方法であって、
前記ワークの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、
前記ワークの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ワークの輪郭形状と、予め用意した輪郭形状とを比較することにより、前記ワークの表裏いずれの面が上面となっているかを判別する
ことを特徴とするワークの表裏判別方法。
【請求項5】
表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別方法であって、
前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、
前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め用意したリング状の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別する
ことを特徴とするナットの表裏判別方法。
【請求項6】
表面の周縁部が曲面となっているナットの表面が上面となっているか否かを判別するナットの表裏判別方法であって、
前記ナットの上面、または、下面の少なくとも一方の面を照明手段により照明し、
前記ナットの前記照明手段により照明される側の面を撮像手段により撮影し、
前記撮像手段により撮影された画像における前記ナットの輪郭形状と、予め用意した多角形の外形を有する輪郭形状とを比較することにより、前記ナットの表面が上面となっているか否かを判別する
ことを特徴とするナットの表裏判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−188326(P2010−188326A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38396(P2009−38396)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】