説明

中空構造を有する成形体の製造法

【課題】感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィーにより、工程が簡便で、工程歩留まりが高く、高精度な中空構造を有する成形体を安価に作成する方法を確立すること。
【解決手段】基板上に、波長が400nm以上の光に感光しない第1の感光性樹脂層を形成し、第1のマスクを介して波長が400nm未満の光を照射する工程、現像処理を施すこと無く、前記工程により感光処理された第1の感光性樹脂層の上に、波長が400nm以上の光に感光する固形分90重量%以上の固形又は半固形の第2の感光性樹脂層を形成し、第2のマスクを介して波長が400nm以上の光を照射する工程、前記第1及び第2の感光性樹脂層に一括で加熱処理を施す工程、及び前記第1及び第2の感光性樹脂層の未感光部を一括で現像する工程を有する、中空構造を有する成形体の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物を用いる成形体の製造法に関する。特に、フォトリソグラフィーを利用した、高い工程歩留まりを有し、簡便な製造工程からなる、安価で高精度な中空構造を有する成形体の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体技術を応用したMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステムズ)といわれる分野が盛んに研究され、センサー等の様々な分野でMEMS技術は実用化段階に移行しつつある。MEMS分野においても各構造体(成形体)の設計、作製技術は多様化しており、要求される構造体の寸法は、当初は数マイクロ〜サブミリ程度であったが、最近ではナノレベルから数ミリまで広範囲にわたる。MEMS技術では、通常シリコン基板上に機能化された膜又は構造体を積層してデバイスを作製する。このような製造方法においては、幅と高さの比(アスペクト比)が高い構造体は、アスペクト比が低い構造体に比較して通常作製が困難とされている。高アスペクト比の構造体を作る方法としては種々提案され、又その一部は工業的にも実施されている。例えば、ネガ型厚膜フォトレジスト(例えば、商品名SU−8、マイクロケム社製)を用いたフォトリソグラフィーによる手法がよく用いられる。フォトリソグラフィーでは、基板上でパターニング露光し、ついで、現像液で現像することで露光領域又は非露光領域を選択的に除去することにより、微小な構造体が作成される。MEMS分野では、流路やマイクロ部品など中空構造を有する微小な構造体の作成が希望されるが、通常のフォトリソグラフィーによる手法をそのまま適用すると、種々の困難が伴う。即ち、通常のフォトリソグラフィーを中空構造を有する構造体の作製に適用しようとすると、工程が複雑で長くなり、歩留まりが悪いため、高精度な構造体が安価に作成出来ないという難点がある。
【0003】
フォトリソグラフィーを用いた中空構造を有する成形体の作成方法としては、様々な方法、例えば、犠牲層を用いる手法やドライフィルムレジストを用いる手法等が知られている。例えば、非特許文献1には遮光性の金属製薄膜を犠牲層として用い、マイクロ流路といった中空構造を有する成形体の形成方法が記載されている。しかしながらこのような金属製薄膜を用いる方法は、第1の感光層を露光した後で金属製の薄膜を高い位置精度で設ける必要があり、工程が煩雑であり、工程全体の歩留まりも低くなる虞がある。
【0004】
又、非特許文献2には中空構造を有する成形体の例であるマイクロ流路をレジストでパターン形成した構造体の上にドライフィルムレジストをラミネートし、このドライフィルムレジストをフォトリソグラフィーによりパターン形成することにより作成することが記載されている。マイクロ流路のような簡便な構造はドライフィルムレジストによって作成することはできるが、上層部分の熱ダレや内部に密閉された空気の膨張等による上層部の膨らみといった変形がおこるという問題がある。このような変形はマイクロ流路のような単に封止を目的とした場合はあまり問題にならないが、センサーやインクジェットヘッドなどの構造物に高い寸法精度が必要なアプリケーションにおいては難点となる。
【0005】
更に、特許文献1には先ず基板上に第1の感光性樹脂層を形成及び露光し、引き続き第2の感光性樹脂層をラミネート及び露光した後に、第1、第2の感光性樹脂層を一括して現像するインクジェットヘッドの製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献1のような同じ感光波長域を有するフィルムを積層し露光するだけでは、中空構造体を形成したい上層の感光性樹脂層と同時に下層の感光性樹脂層まで感光してしまうため、段差上のパターンしか形成できず、中空構造を有するような成形体を形成することは出来ない。実際、特許文献1には本発明で目的とする中空構造を有す成形体の製造についての具体的記載はない。
【0006】
又、特許文献2には第1のノズル構成樹脂層を塗布し、露光、ベークにて流路パターンを形成する工程と、第1のノズル構成樹脂層とは異なる感光波長域を有する、第2のノズル構成樹脂層を塗布し、露光、ベークにてインク吐出口パターンを形成する工程と、前記第1及び第2のノズル構成樹脂層の各層における未露光部を一括して現像する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法について記載されている。この特許文献2の手法により中空構造を有する成形体を製造することはできるが、この手法ではポジ型フォトレジストを用いており、特許文献2には、ポジ型フォトレジストとの界面付近に微小突起物が二段構成インク流路の層間に発生する旨の記載がある。又、同文献では第1及び第2のノズルを形成するための樹脂組成物には異なった光カチオン重合開始剤を用いることを特徴としている。更に、第2層を形成する際に液体を塗布しているが、第1層と第2層は同様の主成分を含有しているため、第2層中の感光成分が拡散により第1層の未露光部にインターミキシングし、第2層露光時に第1層も同時に露光され、精度の高い中空構造を有する成形体が得られない虞がある。
【0007】
【非特許文献1】8th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences,September26−30 2004,Sweden,638−640頁
【非特許文献2】Sensors and Actuators,B48(1998)356項
【特許文献1】特開平10−71722号公報
【特許文献2】特開2006−159763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィーにより、工程が簡便で、工程歩留まりが高く、高精度な中空構造を有する成形体を安価に作成する方法を確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、検討を重ねた結果、フォトリソグラフィーにおいて、特定の波長にしか実質的に感光しない2種の感光性樹脂層を設けることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち本発明は、
(1)基板上に、波長が400nm以上の光に感光しない第1の感光性樹脂層を形成し、第1のマスクを介して波長が400nm未満の光を照射する工程、現像処理を施すこと無く、前記工程により感光処理された第1の感光性樹脂層の上に、波長が400nm以上の光に感光する固形分90重量%以上の固形又は半固形の第2の感光性樹脂層を形成し、第2のマスクを介して波長が400nm以上の光を照射する工程、前記第1及び第2の感光性樹脂層に一括で加熱処理を施す工程、及び前記第1及び第2の感光性樹脂層の未感光部を一括で現像する工程を有する、中空構造を有する成形体の製造法、
(2)第2の感光性樹脂層がドライフィルムレジストをラミネートすることにより得られる、(1)に記載の成形体の製造法、
(3)ラミネート温度が20〜100℃である、(2)に記載の成形体の製造法、
(4)第1及び第2の感光性樹脂層の厚さが10〜100μmである、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の成形体の製造法、
(5)第2の感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物が、多官能エポキシ樹脂、カチオン重合開始剤及び増感剤を含有する、(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の成形体の製造法、
(6)増感剤の含有量がカチオン重合開始剤の含有量に対して、10〜100重量%である、(5)に記載の成形体の製造法、
(7)多官能エポキシ樹脂が下記式(1)で示されるビスフェノールA型多官能エポキシ樹脂である、(5)又は(6)に記載の成形体の製造法、
【0011】
【化1】

【0012】
(式(1)中、複数個のRはそれぞれ独立にグリシジル基又は水素原子を、nは1〜30の整数をそれぞれ示す。)
(8)増感剤が9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体である(5)乃至(7)のいずれか一項に記載の成形体の製造法、
に関する。
【発明の効果】
【0013】
工程が簡便で、工程歩留まりが高く、高精度な中空構造を有する成形体を安価に作成する方法が確立された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の成形体の製造法は、所定の基板上に、波長が400nm以上の光に感光しない第1の感光性樹脂層を形成し、第1のマスクを介して波長が400nm未満の光を照射する工程、現像処理を施すこと無く、前記工程により感光処理された第1の感光性樹脂層の上に、波長が400nm以上の光に感光する固形分90重量%以上の固形又は半固形の第2の感光性樹脂層を形成し、第2のマスクを介して波長が400nm以上の光を照射する工程、前記第1及び第2の感光性樹脂層に一括で加熱処理を施す工程、及び前記第1及び第2の感光性樹脂層の未感光部を一括で現像する工程を含む。
尚、本発明でいうところの「光に感光しない」とは、光による感光量が、光を照射されても重合反応が起こらない、又は重合反応が現像残りを引き起こさない程度の極微量であることを表す。
【0015】
先ず、本発明において第1の感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物(以下「第1の感光性樹脂組成物」という)について説明する。
第1の感光性樹脂組成物は波長が400nm未満の光で感光し、400nm以上の光で感光しないことが特徴である。第1の感光性樹脂組成物は種々の感光性樹脂を用いて調製可能だが、その硬化物が強度、耐薬品性及び耐熱性等の物性に優れることから多官能エポキシ樹脂及びカチオン重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物として調製するのが好ましい。
【0016】
使用し得る多官能エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジ(メトキシメチルフェニル)とフェノールとを反応させて得られる樹脂のフェノール性水酸基と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるビフェニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これら多官能エポキシ樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0017】
使用し得る多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は150〜400が好ましい。エポキシ当量がこの範囲よりも小さいと硬化収縮が大きくなり硬化物の反りやクラックが発生し易く、この範囲よりも大きいと架橋密度が小さくなり硬化膜の強度や耐薬品性、耐熱性、耐クラック性等が低下する。
また、使用し得る多官能エポキシ樹脂の軟化点は50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。軟化点がこの範囲より低い場合には、パターニングする際のマスクスティッキングが発生し易くなり、さらにドライフィルムレジストとして使用する際にも常温で軟化するのでハンドリングが困難である。一方、軟化点がこの範囲より高い場合には、ドライフィルムレジストを基板へラミネートする際に軟化し難く、基板への貼合性が悪くなる。
これら多官能エポキシ樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0018】
このような性能を有する多官能エポキシ樹脂は市場から容易に入手が可能で、例えば、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としてのEPON SU−8(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)、エピコート157S70、エピコート157S65(ジャパンエポキシレジン社製)、YD−128(東都化成社製)、エピクロンN−885、エピクロンN−885、エピクロンN−2055(大日本インキ化学工業社製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂としてのNER−7604(日本化薬(株)製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂としてのNER−1302(日本化薬(株)製)、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてのEOCN4400(日本化薬(株)製)、ジ(メトキシメチルフェニル)とフェノールとを反応させて得られる樹脂のフェノール性水酸基とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビフェニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂としてのNC−3000H(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
これらのうち、厚膜の構造体を形成した場合においても高アスペクト比で精度良く微細構造体が得られることから、前記式(1)で示される多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(例、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製 EPON SU−8)が特に好ましい。
【0019】
第1の感光性樹脂組成物に含有される光カチオン重合開始剤としては、第1の感光性樹脂組成物に波長が400nm未満の光で感光し400nm以上の光で感光しない機能を付与するものであり、しかも上記多官能エポキシ樹脂を硬化させるに十分な性能を持つものならばどのようなものでもよいが、そのような光カチオン重合開始剤の例として芳香族ヨードニウム塩と芳香族スルホニウム塩を挙げることができる。このうち、芳香族ヨードニウム塩の具体例としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0020】
また、芳香族スルホニウム塩の具体例としては、特に、4−チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ(株)製、CPI−101A)、4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(旭電化工業(株)製、SP−172)、及び4−チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートを含有する芳香族スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートの混合物(ダウケミカル製、UVI−6974)等が挙げられるが、これら芳香族スルホニウム塩は芳香族ヨードニウム塩と比べて熱的に安定であるため、より好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は単独又は2種以上を併用しても差し支えない。
【0021】
光カチオン重合開始剤成分は光を吸収する作用を持っている為、厚膜(具体的には50μm以上)の場合に光カチオン重合開始剤成分を多量使用した場合(具体的には15重量%を超える量)には硬化させる際の光を深部へ充分に透過させることが出来なくなる一方で、少量使用の場合(具体的には、3重量%未満)では充分な硬化速度を得ることが難しくなる。薄膜の場合には、少量(具体的には1重量%以上)の添加で充分な性能を発揮する。逆に、光カチオン重合開始剤成分を多量に使用した場合には、深部への光の透過に関しては問題ないが、高価な開始剤を不必要に使用することになる為、経済的ではない。これらの点から、光カチオン重合開始剤成分の含有割合は、多官能エポキシ樹脂成分と光カチオン重合開始剤成分の合計を感光性樹脂の固形分として、その固形分中、1重量%〜15重量%が好ましく、特に好ましくは3重量%〜10重量%である。
【0022】
前記多官能エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて第1の感光性樹脂層を形成するに当たっては、下記するような有機溶剤を用いて塗工液とし、基板に塗工するのが好都合である。このような溶剤としては、一般に使われる有機溶剤で各成分の溶解が可能であるものはすべて用いることができるが、使用しうる有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、メタノール、エタノール、セレソルブ、メチルセレソルブなどのアルコール類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等の有機溶剤類等を挙げることができる。
【0023】
これら溶剤は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。ここで用いる有機溶剤は、基材へ塗布する際の膜厚や塗布性を調整する目的で加えるものであり、前記多官能エポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤の溶解性、各成分の揮発性、塗工液の液粘度を適正に保持すべく、塗工液中の含有量は、5重量%〜95重量%が好ましく、特に好ましくは10重量%〜90重量%である。
【0024】
第1の感光性樹脂組成物には、感光性樹脂層の反応性や硬化膜の物性、パターン性能等を改善する目的で混和性のある反応性エポキシモノマーが含有されていてもよい。反応性エポキシモノマーとしては、グリシジルエーテル化合物が使用でき、例えばジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(旭電化工業(株)製、ED506)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(旭電化工業(株)製、ED505)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。反応性エポキシモノマー成分は液状のものが多く、該成分が液状である場合に20重量%よりも多く配合すると溶剤除去後の皮膜にベタツキが生じることでマスクスティッキングが起き易い等の不都合が起こる可能性がある。この点から、これらのモノマー成分を配合する場合には、その配合割合は、多官能エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤、反応性エポキシモノマーの合計を感光性樹脂層の固形分として、その固形分に対して、1〜10重量%が好ましく、特に2〜7重量%が好適である。
【0025】
第1の感光性樹脂組成物には、さらに基板に対する感光性樹脂層の密着性を向上させる目的で、混和性のある密着性付与剤を使用してもよい。密着性付与剤としてはシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができ、好ましくはシランカップリング剤が挙げられる。
【0026】
上記シランカップリング剤としては3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これら密着性付与剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。密着性付与剤は多量に使用すると硬化前の感光性樹脂層の軟化点が低下し、マスクスティッキングを起こす。基材によっては、少量でも効果を発揮する点から、悪影響を及ぼさない範囲内での使用が適当であり、その使用割合は、前記固形分に対して15重量%以下が好ましく、特に好ましくは5重量%以下である。
【0027】
第1の感光性樹脂組成物には、光カチオン重合開始剤由来のイオンによる感光性樹脂層への悪影響を低減する必要がある場合には、イオンキャッチャーを添加しても良い。用い得るイオンキャッチャーとしてはトリスメトキシアルミニウム、トリスエトキシアルミニウム、トリスイソプロポキシアルミニウム、イソプロポキシジエトキシアルミニウム、トリスブトキシアルミニウム等のアルコキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウム、トリスパラメチルフェノキシアルミニウム等のフェノキシアルミニウム、トリスアセトキシアルミニウム、トリスステアラトアルミニウム、トリスブチラトアルミニウム、トリスプロピオナトアルミニウム、トリスアセチルアセトナトアルミニウム、トリストリフルオロアセチルアセナトアルミニウム、トリスエチルアセトアセタトアルミニウム、ジアセチルアセトナトジピバロイルメタナトアルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム等の有機アルミニウム化合物等が挙げられる。これら成分は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。またその配合量は、前記固形分に対して10重量%以下である。
【0028】
第1の感光性樹脂組成物には、必要に応じて熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、消泡剤、レべリング剤等の各種添加剤を用いることが出来る。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート等があげられ、着色剤としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジン・グリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等があげられ、増粘剤としては、例えオルベン、ベントン、モンモリロナイト等があげられ、消泡剤としては、例えばシリコーン系、フッ素系及び高分子系等の消泡剤があげられる。これらの添加剤等を使用する場合、その含有量は本発明の感光性樹脂層中、例えば、それぞれ0.1〜30重量%程度が好ましいが、この量は、使用目的に応じて適宜増減し得る。
【0029】
又、第1の感光性樹脂組成物には、例えば硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を用いることができる。その含有量は、感光性樹脂層中0〜60重量%である。
【0030】
次に、第2の感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物(以下「第2の感光性樹脂組成物」という)について説明する。
第2の感光性樹脂組成物は、波長が400nm以上の光で感光することを特徴とする。第2の感光性樹脂組成物は種々の感光性樹脂を用いて調製可能であるが、硬化物が強度、耐薬品性及び耐熱性等の物性に優れることから多官能エポキシ樹脂、カチオン重合開始剤及び増感剤を含有する感光性樹脂組成物として調製するのが好ましい。
【0031】
使用し得る多官能エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジ(メトキシメチルフェニル)とフェノールとを反応させて得られる樹脂のフェノール性水酸基と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるビフェニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これら多官能エポキシ樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0032】
使用し得る多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は150〜400が好ましい。エポキシ当量がこの範囲よりも小さいと硬化収縮が大きくなり硬化物の反りやクラックが発生し易く、この範囲よりも大きいと架橋密度が小さくなり硬化膜の強度や耐薬品性、耐熱性、耐クラック性等が低下する。
また、使用し得る多官能エポキシ樹脂の軟化点は50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。軟化点がこの範囲より低い場合には、パターニングする際のマスクスティッキングが発生し易くなり、さらにドライフィルムレジストとして使用する際にも常温で軟化するのでハンドリングが困難である。一方、軟化点がこの範囲より高い場合には、ドライフィルムレジストを基板へラミネートする際に軟化し難く、基板への貼合性が悪くなる。
これら多官能エポキシ樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0033】
このような性能を有する多官能エポキシ樹脂は市場から容易に入手が可能で、例えば、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としてのEPON SU−8(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)、エピコート157S70、エピコート157S65(ジャパンエポキシレジン社製)、YD−128(東都化成社製)、エピクロンN−885、エピクロンN−885、エピクロンN−2055(大日本インキ化学工業社製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂としてのNER−7604(日本化薬(株)製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂としてのNER−1302(日本化薬(株)製)、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてのEOCN4400(日本化薬(株)製)、ジ(メトキシメチルフェニル)とフェノールとを反応させて得られる樹脂のフェノール性水酸基とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビフェニルフェノールノボラック型エポキシ樹脂としてのNC−3000H(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
これらのうち、厚膜の構造体を形成した場合においても高アスペクト比で精度良く微細構造体が得られることから、前記式(1)で示される多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(例、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製 EPON SU−8)が特に好ましい。
【0034】
第2の感光性樹脂組成物に含有される光カチオン重合開始剤としては、上記多官能エポキシ樹脂を硬化させるに十分な性能を持つものであればどのようなものでもよいが、芳香族ヨードニウム塩と芳香族スルホニウム塩を挙げることができる。芳香族ヨードニウム塩の具体例としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0035】
また、芳香族スルホニウム塩の具体例としては、特に、4−チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ(株)製、CPI−101A)、4−{4−(2−クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(旭電化工業(株)製、SP−172)、及び4−チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートを含有する芳香族スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートの混合物(ダウケミカル製、UVI−6974)等が挙げられるが、これら芳香族スルホニウム塩は芳香族ヨードニウム塩と比べて熱的に安定であるため、より好ましく用いられる。
【0036】
これらの光カチオン重合開始剤は単独又は2種以上を併用しても差し支えない。光カチオン重合開始剤成分が少なすぎる場合は、充分な硬化速度を得ることが難しくなる。又、光カチオン重合開始剤成分を多く使用した場合は、経済的ではない。これらの点から、光カチオン重合開始剤成分の使用割合は、多官能エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤の合計を感光性樹脂の固形分として、その固形分に対して1重量%〜15重量%が好ましく、特に好ましくは3重量%〜10重量%である。
【0037】
第2の感光性樹脂組成物に含有される増感剤は、波長が400nm以上の光に吸収があり、併用されている光カチオン開始剤に増感作用があるものならいずれでも用いることができるが、樹脂成分への溶解性に優れることから9位と10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体)が好ましい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1〜C4のアルコキシ基が挙げられる。9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のC1〜C4のアルキル基やスルホン酸アルキルエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が挙げられる。スルホン酸アルキルエステル基やカルボン酸アルキルエステルにおけるアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1〜C4のアルキルが挙げられる。これらの置換基の置換位置は2位が好ましい。
【0038】
9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体としては、例えば9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等の9,10−ジアルコキシアントラセンの他、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−クロロアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステル等を挙げることができる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。上記増感剤のうち、樹脂成分への溶解性に優れることから9,10−ジアルコキシアントラセンが好ましく、9,10−ジブトキシアントラセンが特に好ましい例として挙げられる。
【0039】
増感剤の最適な使用量は、感光性樹脂層の感光に用いる光の波長によって適宜変更するのが好ましい。増感剤の使用量が少なすぎると光カチオン重合開始剤に対する増感が十分でなく、十分な硬化、解像性が得られない虞がある。又、増感剤の使用量が多すぎると感光性樹脂層の上部での光吸収が強く、感光性樹脂層の上層部に比べ下層部の露光量が低下し同じく十分な硬化、解像性が得られない虞がある。そのため増感剤の使用量は光カチオン重合開始剤に対して、1〜200重量%、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは30〜100重量%である。尚、増感剤が十分な光吸収を得ることの出来る波長域(例えば、405nmというような400nm以上で400nmに比較的近い波長)において露光する場合は上記範囲に囚われることなく調整することも可能である。
【0040】
第2の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、第1の感光性樹脂組成物におけるのと同様に、溶剤、反応性モノマー、密着性付与剤、イオンキャッチャー、熱可塑性樹脂、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等の各種添加剤及び無機充填剤を含有させることができる。これらの含有量は第1の感光性樹脂組成物の場合と同様に適宜決定される。
【0041】
更に、成形体の製造法の工程について説明する。
前記第1及び/又は第2の感光性樹脂組成物はドライフィルムレジストに加工した上で使用することができる。即ち、第1及び/又は第2の感光性樹脂組成物を、必要に応じて溶剤で希釈し、サポートフィルム上にロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、アプリケーター等を用いて塗布した後、45〜100℃に設定した乾燥炉で乾燥し、所定量の溶剤を除去することにより、また必要に応じてカバーフィルム等を積層することによりドライフィルムレジストとすることができる。この際、サポートフィルム上のレジストの厚さは、通常1〜1,000μm、好ましくは2〜100μmに調整される。サポートフィルム及びカバーフィルムとしては、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルローストリアセテート、ポリイミド等のフィルムが使用される。これらフィルムは必要に応じてシリコン系離型処理剤や非シリコン系離型処理剤等により離型処理されたフィルムを用いてもよい。
【0042】
本発明において、基板としては第1の感光性樹脂層を均一に形成でき、かつ第1の感光性樹脂層形成時及びその後の工程において溶解や変形などを起こさない基板であれば特に限定されない。このような基板材料としてはシリコン、石英、ガラス、サファイア、金属、セラミックなどの無機材料、ポリイミド、アクリルなどの有機材料が挙げられ、又基板形状としては角型、円型など利用可能だが、シリコンウエハが最も好ましい。又、基板の厚さについては通常100μm〜5mm、好ましくは200μm〜1mmの間であるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本発明における第1の感光性樹脂層は、前記基板上に、必要により、溶剤で希釈した第1の感光性樹脂層を形成するための前記感光性樹脂組成物をスピンコート、バーコート、ロールコートなどの方法で塗布したのち、ホットプレートやオーブンなどで適宜溶剤を乾燥して形成することができる。マスクスティッキングを起こさない程度まで乾燥する必要があり、乾燥温度は好ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜120℃であり、乾燥時間は膜厚によって異なるが、通常1分〜24時間が好ましい。
【0044】
また、第1の感光性樹脂層は前記したようなドライフィルムレジストをラミネートすることで形成してもよい。ドライフィルムレジストの膜厚は通常1〜1000μm、好ましくは10〜100μmであり、何層かを積層して第1感光性樹脂層を形成してもよい。ドライフィルムレジストのラミネート圧は0.05〜10MPa、好ましくは0.1〜3MPaである。ラミネートの温度はドライフィルムレジストの軟化点にもよるが20〜150℃が好ましく、さらに好ましくは40〜100℃である。ラミネート温度が低すぎるとレジストの軟化が不充分でラミネート時に気泡が入りやすくなり、高すぎると生産効率が低下する。
【0045】
このように形成される第1の感光性樹脂層の厚さは通常1〜1,000μm、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。感光性樹脂層が薄すぎると中空構造内部の未硬化の感光性樹脂層を現像除去する際に時間が掛かるだけでなく、現像液によってパターンに膨潤、剥離、クラックも生じやすくなり、また感光性樹脂層が厚過ぎても樹脂層の形成に時間が掛かる。
【0046】
次に、このように形成された第1の感光性樹脂層に所定のマスクを介して波長400nm未満の光を照射する。波長400nm未満の光を照射し、感光させる場合に使用する露光装置としては、波長が400nm未満の光を選択的に照射できるアライナー、ステッパー、プロキシミティ露光装置などが挙げられ、必要に応じて光学フィルタを併用してもよい。この際に必要なエネルギー量は感光性樹脂層の組成にもよるが、通常10〜1,0000mJ/cm2、好ましくは50〜7,000mJ/cm2である。
第1の感光性樹脂層を感光する際に使用されるマスクは目的とする中空構造を形成するのに適合するように適宜選択して用いる。
【0047】
本発明における第2の感光性樹脂層を積層する手法は、第1の感光性樹脂層と混合すること無く積層する手法ならどのような手法でもよいが、別の基材に固形分90重量%以上の固形又は半固形の感光性樹脂層を形成し、それを第1の感光性樹脂層上に移す手法がよい。第2の感光性樹脂層を積層する方法としては、第2の感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物を前記のようにドライフィルムレジストに加工して第1の感光性樹脂層上にラミネートする手法が好ましい。ドライフィルムレジストのラミネート圧は0.05〜10MPa、好ましくは0.1〜3MPaである。ラミネートの温度はドライフィルムレジストの軟化点にもよるが、20〜100℃が好ましく、さらに好ましくは35〜85℃である。ラミネート温度が低すぎるとレジストの軟化が不充分でラミネート時に気泡が入りやすくなり、高すぎると第1の感光性樹脂層とインターミックスすることで成形体の形状が悪くなるとともに生産効率も低下する。
このように形成される第2の感光性樹脂層の厚さは、ドライフィルムレジストの取り扱いの利便性及び1回のラミネートで効率良く必要な厚さの感光性樹脂層を形成するために通常1〜1,000μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。
【0048】
次に、このように形成された第2の感光性樹脂層に所定のマスクを介して波長400nm以上の光を照射する。波長400nm以上の光を照射し、感光させる場合に使用する露光装置としては、波長が400nm以上の光を選択的に照射できるアライナー、ステッパー、プロジェクション等が挙げられ、必要に応じて光学フィルタを併用してもよい。この際に必要なエネルギー量は感光性樹脂層の組成にもよるが、おおよそ50〜10,000mJ/cm2である。
第2の感光性樹脂層を感光する際に使用されるマスクは目的とする中空構造を形成するに適合するように適宜選択して用いる。
【0049】
次に、加熱処理により、第1及び第2の感光性樹脂層の感光した部分のみを一括で硬化させる工程を施す。加熱処理は、ホットプレート、オーブンなどを用い、60〜150℃、好ましくは75〜120℃で1〜30分加熱する。
【0050】
次に、現像処理を施す。
本発明においては、未照射の第1及び第2の感光性樹脂層を一括して現像することを特徴とする。未照射の第1及び第2の感光性樹脂層を一括して現像する工程は、第1及び第2の感光性樹脂層を設けた基板ごと現像液に浸漬する方法又は現像液をスプレーなどで吹き付ける方法等より行われる。現像にはパドル型、スプレー型、シャワー型等の現像装置を用いてもよく、必要に応じて超音波照射を行ってもよい。現像液としては、未硬化の第1の感光性樹脂層及び第2の感光性樹脂層を同時に溶解させることができる溶剤であればいずれでもよいが、例えばγ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤を用いることができる。
浸漬する方法では、通常15〜60℃、1分〜2時間の処理が行われる。又、現像液をスプレーなどで吹き付ける方法では、通常15〜60℃、好ましくは20〜40℃で行われる。
【0051】
本発明においては、必要に応じて、成形体の強度を増す目的で現像処理後に更に熱処理を施すことが出来る。この熱処理はホットプレートやオーブンで行い、例えば、温度100〜200℃で15分〜3時間加熱することにより行われる。
【0052】
本発明における中空構造とは基板と直接接触せずに他構造体を介して基板により支持されている部分を有する構造であり、中空構造の具体例としては、図2の(1)に示されるような梁構造、図2の(2)に示される凸型中空構造、図2の(3)に示されるような片梁構造、図2の(4)に示されるようなひさし構造を挙げることが出来る。これらの中空構造を有する成型体の具体例としては、インクジェットヘッドやミクロセンサー等のMEMS用部品等が挙げられる。
【0053】
本発明の中空構造を有する成形体の製造法は、従来法に対し製造工程を大幅に削減し、工程歩留まりを上げて、安価で高精度な中空構造を有する成形体を与えることが出来る。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。尚、実施例、比較例において、特に断りのない限り、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
【0055】
実施例1
(第1の感光性樹脂層の形成及び感光)
下記表1に記載の組成(単位は部)に従って、多官能エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤、及びその他の成分を混合し、第1の感光性樹脂組成物を得た。
【0056】
表1 第1の感光性樹脂組成物の組成
多官能エポキシ樹脂 (商品名:EPON SU−8
(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)) 80
多官能エポキシ樹脂 (商品名:NC−3000H、日本化薬社製) 20
光カチオン重合開始剤 (商品名:UVI−6974、
ダウケミカル社製50%炭酸プロピレン溶液) 9
溶剤(シクロペンタノン) 40
反応性モノマー (商品名:ED506、旭電化工業社製) 4
密着性付与剤 (商品名:S−510、チッソ社製) 2
レべリング剤 (商品名:F−470、大日本インキ社製) 0.06
【0057】
上記で得られた第1の感光性樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコートした後、ホットプレートを用いて65℃で5分間及び95℃で15分間加熱することで溶剤を除去し、30μmの膜厚を有する第1の感光性樹脂層を形成した(図1(a))。次に、この第1の感光性樹脂層を、露光装置(ウシオ電機社製)で波長が365nmの光を用い、L/S=100μm/245μmの第1のマスクを介し露光した。露光の際のエネルギー量は250mJ/cm2であった(図1(b))。
(第2の感光性樹脂層の形成及び感光)
下記表2に記載の組成(単位は部)に従って、多官能エポキシ樹脂、光カチオン重合開始剤、増感剤及びその他の成分を混合し、第2の感光性樹脂組成物を得た。
【0058】
表2 第2の感光性樹脂組成物の組成
多官能エポキシ樹脂 (商品名:EPON SU−8
(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)) 80
多官能エポキシ樹脂 (商品名:NC−3000H、日本化薬社製) 20
光カチオン重合開始剤 (商品名:UVI−6974、
ダウケミカル社製、50%炭酸プロピレン溶液) 9
増感剤 (9,10−ジブトキシアントラセン) 0.45
溶剤(エチルメチルケトン) 40
反応性モノマー (商品名:ED506、旭電化工業社製) 4
密着性付与剤 (商品名:S−510、チッソ社製) 2
レべリング剤 (商品名:F−470、大日本インキ社製) 0.06
【0059】
上記で得られた第2の感光性樹脂組成物を厚さ60μmのポリプロプレンフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、オーブンを用いて65℃で5分間及び80℃で30分間加熱することで溶剤を除去し、膜厚が30μmのドライフィルムレジストを作製した。このドライフィルムレジストを、ラミネーターを用いて上記の感光した第1の感光性樹脂層上に45℃、0.2MPaの条件でラミネートした。ラミネート後室温でポリプロピレンフィルムを剥離し、第2の感光性樹脂層を形成した(図1(c))。次いで、第2の感光性樹脂層に、前記露光装置で波長が436nmの光を用い、ラインの方向が第1のマスクと直角に交わるL/S=100μm/245μmの第2のマスクを介して露光した(図1(d))。露光の際のエネルギー量は6600mJ/cm2であった。
【0060】
(感光部分の硬化及び現像)
次に、第1及び第2の感光性樹脂層の設けられた基板全体をホットプレートを用いて95℃で6分間加熱処理し、感光した部分を硬化させた。基板を室温(23℃)に徐冷したのち現像液に浸漬し、未感光部分のみを溶解除去し、現像を行った(図1(e))。現像はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを現像液として用い室温で現像液をゆっくり撹拌しながら行った。現像後の成形体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びイソプロピルアルコールで順に洗浄し、乾燥窒素を噴きつけて乾燥することにより目的とする中空構造を有する井桁状の成形体を得た(図1(f))。
【0061】
実施例2
後述の方法により、下記表3に記載の組成(単位は部)を有する感光性樹脂組成物から得られたドライフィルムレジストをラミネートすることにより第1の感光性樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして目的とする中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0062】
表3 ドライフィルムレジスト用感光性樹脂組成物の組成
多官能エポキシ樹脂 (商品名:EPON SU−8
(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ製)) 80
多官能エポキシ樹脂 (商品名:NC−3000H、日本化薬社製) 20
光カチオン重合開始剤 (商品名:UVI−6974、
ダウケミカル社製50%炭酸プロピレン溶液) 9
溶剤(エチルメチルケトン) 40
反応性モノマー (商品名:ED506、旭電化工業社製) 5
密着性付与剤 (商品名:S−510、チッソ社製) 2
レべリング剤 (商品名:F−470、大日本インキ社製) 0.2
【0063】
(ドライフィルムレジスト及び第1の感光性樹脂層の形成)
表3で示される組成の第1の感光性樹脂組成物を、厚さ60μmのポリプロプレンフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、オーブンを用いて65℃で5分間及び80℃で30分間加熱することで溶剤を除去し、膜厚が30μmのドライフィルムレジストを作製した。このドライフィルムレジストを、ラミネーターを用いてシリコンウエハ上に80℃、0.2MPaの条件でラミネートした。
【0064】
実施例3
実施例1において増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン)の量を0.045部に、露光波長を405nmに、露光量を600mJ/cm2にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0065】
実施例4
実施例1において増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン)の量を1.08部に、露光量を2200mJ/cm2にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0066】
実施例5
実施例1において増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン)の量を1.575部に、露光量を1100mJ/cm2にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0067】
実施例6
実施例1において増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン)の量を3.15部に、露光量を770mJ/cm2にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0068】
実施例7
実施例1において増感剤(9,10−ジブトキシアントラセン)の量を4.5部に、露光量を440mJ/cm2にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして中空構造を有する井桁状の成形体を得た。
【0069】
比較例
非特許文献1を参考にし、パターン形成後の構造物上にドライフィルムレジストをラミネートする手法を用いて中空構造を有する比較用の成形体を形成した。
ドライフィルムレジストは実施例2で第1の感光性樹脂層を形成するために作製したドライフィルムレジストを用いた。まず、ドライフィルムレジストを、前記ラミネーターを用いて基板(シリコンウエハ)上に80℃、0.2MPaの条件でラミネートして第1の感光性樹脂層を得た。次に、この第1の感光性樹脂層を、前記露光装置で波長365nmの光を用い、L/S=100μm/245μmの第1のマスクを介して露光した。露光の際のエネルギー量は250mJ/cm2であった。続いて、ホットプレートを用いて95℃で6分加熱処理し、感光した部分のみを硬化させた。基板を室温に徐冷した後、現像液に浸潤させ未感光部分のみを溶解除去して現像を行った。現像はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを現像液として用いて、室温で現像液をゆっくり撹拌しながら行った。現像後の成型物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びイソプロピルアルコールで順次洗浄した後、乾燥窒素を噴きつけて乾燥した。現像後の構造物上に、前記ラミネーターを用いてドライフィルムレジストを45℃、0.2MPaの条件でラミネートして第2の感光性樹脂層を得た。次に、第2の感光性樹脂層を第1の感光性樹脂層と同様の条件で、ラインの方向が第1のマスクとは直角に交わるL/S=100μm/245μmの第2のマスクを介し露光した。この際のエネルギー量は250mJ/cm2であった。露光後ホットプレートを用いて95℃で6分間加熱処理し、第2感光性樹脂層の感光した部分を硬化させた。基板を室温に徐冷した後、第1の感光性樹脂層と同様に現像及び乾燥を行い、中空構造を有する井桁状の比較用の成型体を得た。
【0070】
(成形体の評価)
実施例1乃至7及び比較例で得られた各井桁状成形体について、以下の4項目(中空構造、梁部分の形状、熱ダレ、片梁部分の形成)に分けて性能を評価した。各項目の評価方法を成形体の模式図(図3)を使って以下に具体的に説明する。
【0071】
評価項目及び判定基準
(1) 中空構造:図3において11で示される硬化した第2感光性樹脂層からなる天井部を有する空間部分13の形状のことである。この形状は、光学顕微鏡を用いて視感により判定した。そして、中空構造を有する成形体が得られている場合には“○”、中空構造を有する成形体が得られていない場合には“×”と評価した。
(2) 梁部分の形状:図3において11で示される硬化した第2感光性樹脂層のうち、両側に硬化した第1感光性樹脂層からなる橋脚部を有する部分14の形状のことである。そして、この形状は、梁部分(硬化した第2感光性樹脂層)の上面を触針式膜厚計によりプロファイルを測定し、最上点と最下点の差が3μm未満の場合には“○”、最上点と最下点の差が3μm以上の場合には“×”と評価した。
(3) 熱ダレ:図3において11で示される硬化した第2感光性樹脂層のうち、橋脚である硬化した第1感光性樹脂層に沿って垂れ下がった部分15の形状のことである。この形状は、成形体を基板ごと破断して光学顕微鏡を用いて計測した。そして、梁部分(硬化した第2感光性樹脂層)と硬化した第1感光性樹脂層の接点における熱ダレが硬化した感光性樹脂層上面より下に0.5μm未満の場合には“○”、梁部分(硬化した第2感光性樹脂層)と硬化した第1感光性樹脂層の接点における熱ダレが硬化した感光性樹脂層上面より下に0.5μm以上の場合には“×”と評価した。
(4) 片梁部分の形成:図3において11で示される硬化した第2感光性樹脂層のうち、片側のみに硬化した第1感光性樹脂層からなる橋脚部を有する部分16の形状のことである。この形状は、硬化した第1感光性樹脂層末端部より5mm片梁側に離れた箇所が基板に接触せず中空に浮いているかどうかで判断した。そして、硬化した第1感光性樹脂層末端部より5mm片梁側に離れた箇所が基板に接触せず中空に浮いている場合には“○”、第1層支持部より5mm片梁側に離れた箇所が基板と接触し中空に浮いていない場合には“×”と評価した。
表4には、上記評価方法に基づいて、本発明の実施例1〜7で得られた井桁状成形体(図4(a))と比較例で得られた比較用の成形体(図4(b))の性能を評価した結果を示した。
【0072】
表4 性能試験結果
実施例 比較例
1 2 3 4 5 6 7
中空構造 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
梁部分の形状 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×
熱ダレ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×
片梁部分の形成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×
【0073】
実施例1乃至7で得られた成形体の性能は試験したいずれの評価項目についても良好な結果であった。
より具体的には、実施例1〜7においては梁部分及び片梁部分の変形や橋脚部分における熱ダレは起きておらず、高精度に中空構造が形成されていることが確認された。しかしながら、比較例においては梁部分に数10μmの垂れが発生(図3における14)しており、片梁部分に至っては橋脚部から数100μm離れた部分で基板と接触するほどの変形を引き起こしていた。同時に橋脚部の熱ダレも発生しており、中空構造は精度が劣るものであった。
【0074】
以上の結果より、基板上に波長が400nm以上の光で感光しない第1の感光性樹脂層を形成し、これに所定のマスクを介して波長が400nm未満の光を照射し、次いで現像処理を施すことなしに、この第1の感光性樹脂層の上に波長が400nm以上の光で感光する固形分90重量%以上の固形又は半固形の第2の感光性樹脂層を積層し、前述のマスクとは異なるマスクを介して波長が400nm以上の光で第2の感光性樹脂層のみを感光した後、前記第1及び第2の感光性樹脂層を一括で加熱し感光した部分のみを硬化させ、前記第1と第2の感光性樹脂層の未感光部を一括して現像することにより得られる、中空構造を有する成形体の製造法によって、製造工程数、工程歩留まり、寸法精度が大幅に改善されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による成形体(断面図)の作成法の一例を模式的に示した工程の概略図であり、(a)は第1感光性樹脂層の形成工程、(b)は第1感光性樹脂層のパターニング工程、(c)は第2感光性樹脂層の形成工程、(d)は第2感光性樹脂層のパターニング工程、(e)は現像工程、そして(f)は成形体を示す。
【図2】中空構造を有する成形体(断面図)の例であり、(1)梁構造を有する成形体、(2)は凸型中空構造を有する成形体、(3)は片梁構造を有する成形体、そして(4)はひさし構造を有する成形体を示す。
【図3】性能評価を説明するための中空構造を有する井桁状の成形体(断面図)の模式図を示す。
【図4】井桁状の成形体(断面図)の例であり、(a)は実施例1〜7で得られた井桁状成形体、(b)は比較例で得られた比較用の井桁状成形体を示す。
【符号の説明】
【0076】
1 基板
2 第1感光性樹脂層
3−1 第1マスク
3−2 第2マスク
4 第2感光性樹脂層
5 現像液
6 中空構造
7 成形体
10 基板
11 硬化した第2感光性樹脂層
12 硬化した第1感光性樹脂層
13 中空構造
14 梁部分
15 熱ダレ部分

16 片梁部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、波長が400nm以上の光に感光しない第1の感光性樹脂層を形成し、第1のマスクを介して波長が400nm未満の光を照射する工程、現像処理を施すこと無く、前記工程により感光処理された第1の感光性樹脂層の上に、波長が400nm以上の光に感光する固形分90重量%以上の固形又は半固形の第2の感光性樹脂層を形成し、第2のマスクを介して波長が400nm以上の光を照射する工程、前記第1及び第2の感光性樹脂層に一括で加熱処理を施す工程、及び前記第1及び第2の感光性樹脂層の未感光部を一括で現像する工程を有する、中空構造を有する成形体の製造法。
【請求項2】
第2の感光性樹脂層がドライフィルムレジストをラミネートすることにより得られる、請求項1に記載の成形体の製造法。
【請求項3】
ラミネート温度が20〜100℃である、請求項2に記載の成形体の製造法。
【請求項4】
第1及び第2の感光性樹脂層の厚さが10〜100μmである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形体の製造法。
【請求項5】
第2の感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物が、多官能エポキシ樹脂、カチオン重合開始剤及び増感剤を含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形体の製造法。
【請求項6】
増感剤の含有量がカチオン重合開始剤の含有量に対して、10〜100重量%である、請求項5に記載の成形体の製造法。
【請求項7】
多官能エポキシ樹脂が下記式(1)で示されるビスフェノールA型多官能エポキシ樹脂である、請求項5又は6に記載の成形体の製造法。
【化1】


(式(1)中、複数個のRはそれぞれ独立にグリシジル基又は水素原子を、nは1〜30の整数をそれぞれ示す。)
【請求項8】
増感剤が9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体である、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の成形体の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−299165(P2008−299165A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146560(P2007−146560)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(506230068)マイクロケム コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】