説明

二酸化ケイ素被覆を有するUV保護ナノ粒子

本発明は、酸化金属ナノ粒子を熱水処理し、次いで二酸化ケイ素被覆を適用することによって得られるUV保護ナノ粒子、ならびにその調製および使用に関する。本発明はさらに、特に皮膚および/または毛髪を紫外線から遮光することを意図する、特に局所施用のための新規な組成物、ならびに上記の化粧品用途でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV保護ナノ粒子、その調製および使用に関する。本発明はさらに、特に皮膚および/または毛髪を紫外線から遮光することを意図する、特に局所用の新規な組成物(以下で簡単に日焼け止め組成物と呼ぶ組成物)、ならびに上記の化粧品用途でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの表皮は280から400nmの範囲の波長を有する光放射で日焼けする可能性があり、用語UV−Bで知られている280から320nmの範囲の波長を有する放射は紅斑および皮膚のほてりを引き起こし、これは自然な日焼けの形成に有害なことがあることが知られている。したがって、UV−B放射は遮るべきである。
【0003】
さらに、皮膚を日焼けさせる320から400nmの範囲の波長を有するUV−A放射は、皮膚に、特に敏感肌または太陽光に継続的に曝露されている皮膚について、変化を引き起こす可能性があることが知られている。UV−A放射は特に、皮膚の弾力性の喪失および皺を引き起こし、早期老化につながる。これは、紅斑形成の誘発を助長し、または一部の人々のこの反応を増大させ、光によって引き起こされる毒性もしくはアレルギー反応の原因になることさえある。したがって、UV−A放射も遮ることが望ましい。
【0004】
化粧品では、有害なUV−A放射をほぼ選択的に吸収することができる多数の有機日焼け止めフィルターがこれまでに示されている。
【0005】
この点において特に興味深いUV−Aフィルターの群は現在のところ、強い固有の吸収能を有するジベンゾイルメタン誘導体、特に4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンからなる。UV−A領域で有効なフィルターとしてそれ自体現在よく知られている物質であるこれらのジベンゾイルメタン誘導体は、特にフランス特許出願FR−A−2326405号およびFR−A−2440933号および欧州特許出願EP−A−0114607号に記載されている。4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンはさらに、メルクから商品名ユーソレックス(登録商標)9020で現在市販されている。
【0006】
これらのジベンゾイルメタン誘導体は、UV領域の太陽光スペクトル全体にわたる完全な保護を得るために、UV−Bフィルターと組み合わせることができる。
【0007】
さらに、無機顔料、特に二酸化チタン(TiO2)顔料を加えることにより、UVフィルターを含む日焼け止め組成物の遮光性を向上できることが知られている。
【0008】
したがって、ジベンゾイルメタン誘導体と金属酸化物である酸化金属ナノ粒子との組合せは、日焼け止め組成物の分野では高く評価されている。
【0009】
しかし、ジベンゾイルメタン誘導体と無機の酸化金属ナノ粒子との組合せ、特に4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンと酸化金属との組合せは、それらを含有する製品のタイプ、したがって性質だけではなく、消費者にとってのそれらの魅力にも影響する多くの不都合を有することが分かっている。一方では、二酸化チタン粒子がこのタイプの組合せを含む組成物に存在すると、配合物中のジベンゾイルメタン誘導体の劣化の増大がしばしば観察される。他方では、ジベンゾイルメタン誘導体の錯体が晶出するため、この組合せを含む化粧品配合物では問題が繰り返し生じる。さらに、配合物のやや強い黄色または赤色変化で認められる変色がしばしば観察される。この現象がジベンゾイルメタン誘導体、特に4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンの遮光能を減少させる事実とは別に、この着色は当然のことながら、化粧品の観点から望ましくない。
【0010】
さらに、これらの現象はTiO2ナノ顔料の場合に特に顕著であることが観察されている。
【0011】
これらの問題の一部を解決する種々の試みが従来技術で既に示されている:日本国特許出願JP61−215314号は、黄色着色の現象を減少させるために、エデト酸、メタリン酸、ポリリン酸および/またはこれらの酸の塩から選択されるマスキング剤の使用を推奨した。しかし、この溶液は十分満足のいくものではない。
【0012】
欧州特許出願EP−A−0748624号では、シリコーン(シラン誘導体またはシロキサン誘導体)で処理した二酸化チタンの酸化金属ナノ粒子を使用することにより、従来の組合せであるジベンゾイルメタン誘導体/TiO2顔料タイプを含む日焼け止め組成物で通常観察される黄色着色をかなり減少させることが観察されている。
【0013】
さらに、明細書WO−A−94/04131号は、明確に定められた割合でのベンジリデンカンファー誘導体と組み合わせたジベンゾイルメタン誘導体を含む光安定性フィルター組成物を開示している。この明細書によれば、ジベンゾイルメタン誘導体は、定められた割合のベンジリデンカンファーによって光に対して安定化することができ、即ち、UV放射、特にUV−A放射の作用下でのその分解を制限できる。その明細書では、これらの光安定性の組成物は、UV放射をブロックする有機顔料、特に化合物、特にシリコーン含有化合物で被覆されていてもよい二酸化チタン顔料をさらに含んでもよいことが記載されている。
【0014】
ジベンゾイルメタン誘導体と酸化金属粒子とを組み合わせる、上記の問題を解決するこれらの試みにも拘らず、上記の問題全てを満足のいくように同時に解決する酸化金属が依然として求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
意外にも、二酸化ケイ素被覆を有するある種のUV保護ナノ粒子を、ジベンゾイルメタン誘導体を含む化粧品配合物に用いることができ、同時に上記の問題を満足のいくように解決できることが今回見出された。
【0016】
本発明は第1に、酸化金属ナノ粒子を熱水処理し、次いで二酸化ケイ素被覆を適用することによって得られる、二酸化ケイ素被覆を有するUV保護ナノ粒子に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
熱水処理は、水性の溶液または懸濁液または分散液を密封容器中、場合により加圧下で加熱することを意味するものとする(ウルマンの工業化学大辞典、第4版、1978、第15巻、117頁 ff:K.Recker、単結晶の成長も参照)。
【0018】
本発明の目的では、UV保護ナノ粒子は好ましくは、二酸化ケイ素被覆を有する酸化金属ナノ粒子を意味するものとする。UV保護ナノ粒子中の酸化金属ナノ粒子の結晶子径は、シェラー(Scherrer)法で判定して、通常5nmから100nmの範囲、好ましくは8から50nmの範囲、特に好ましくは25nm未満である。透過電子顕微鏡で判定できる酸化金属ナノ粒子の寸法は、通常長さ5から150nm、幅5から60nmである。長さは好ましくは20から60nmの範囲、幅は8から30nmの範囲である。
【0019】
本発明での使用のためにここで用いた酸化金属ナノ粒子は、特に二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛または酸化セリウムであり、ここで二酸化チタンが本発明では酸化金属として特に好ましく、それは二酸化チタンは本発明の目的を特別に達成するからである。二酸化チタンはルチルもしくはアナターゼ型または非晶質型であることができるが、ここでは好ましくはルチルおよび/またはアナターゼ型である。好ましい一次粒径は5から50nmの範囲である。ここで特にアナターゼの場合の一次粒子は好ましくは円形であり、一方、ルチルの一次粒子は針状または紡錘状から楕円(「卵型」)でしばしば生じる。しかし、円形のルチル一次粒子も本発明に従って用いることができる。
【0020】
二酸化ケイ素被覆はできる限り完全に酸化金属ナノ粒子を被覆すべきであり、しかし、それはUVフィルターとしては不活性なので、過剰量で存在すべきではない。二酸化ケイ素含量は、UV保護ナノ粒子全体に対して、5から50重量%、好ましくは8から30重量%、特に好ましくは12から20重量%であることが有利である。
【0021】
得られるUV保護ナノ粒子は通常、シェラー法で判定して、5nmから100nmの範囲、好ましくは8から50nmの範囲、特に好ましくは25nm未満の粒径を示す。透過電子顕微鏡で判定できるUV保護ナノ粒子の寸法は通常、長さ5から160nm、幅10から70nmである。長さは好ましくは30から70nmの範囲、幅は18から40nmの範囲である。
【0022】
本発明によるUV保護ナノ粒子は、ここで従来技術と比較して、以下に関して有利な性質を示す:
− UV吸収、特に広帯域またはUV−B吸収、
− 可視光(VIS)での透明性、
− 良好な、特に増大した光安定性、
− 減少したまたは抑制された光活性、
− 親水性表面、水相での良好な添加性および凝固安定性、
− 公知の技術を使用して、所望により容易に疎水性に変えることができるシリカ表面、
− 水相および油相での容易な分散性、
− ジベンゾイルメタン誘導体と組み合わせて、特に
・配合物の減少した変色および/または
・保存中の配合物の低減した変色および/または
・ジベンゾイルメタン誘導体の錯体の結晶化がないこともしくは減少していることおよび/または
・ジベンゾイルメタン誘導体の増大した保存安定性および/または
・特に保存後の向上した遮光作用、
− セルフタンニング剤、特にジヒドロアセトンと組み合わせて、従来技術と比較して、セルフタンニング剤の減少した不安定化、もしくは不安定化が全くないことが観察されること、
− ベンゾフェノン誘導体、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンと組み合わせて、ベンゾフェノン誘導体の安定化が観察されること。
【0023】
ここで特に、酸化金属ナノ粒子がセリウムまたは鉄、好ましくは鉄でドープされている場合、上記の利点を同時に実現するのに有利であることが見出された。
【0024】
しかし、別の同様に好ましい本発明の態様では、酸化金属ナノ粒子はドーパントを含まない。
【0025】
ジベンゾイルメタン誘導体と組み合わせた保存中の配合物の変色が低減することは、化粧品配合物の全ての通常の保存温度、特に4℃、室温および50℃で明らかである。この好ましい効果は配合物の調製の直後に始まる。これまでに分かっている限り、化粧品配合物の通常の寿命中に変色が再び増大することはない。
【0026】
既に上記した通り、本発明による性質を有するUV保護ナノ粒子は、例えばある種の調製方法に従った場合に得られる。
【0027】
したがって、本発明はさらに、
a)酸化金属ナノ粒子を熱水処理し、
b)次いで二酸化ケイ素被覆を適用する
ことを特徴とする、遮光性を有する酸化金属ナノ粒子の調製方法に関する。
【0028】
既に上記した通り、この方法ではステップa)で用いる酸化金属ナノ粒子は、鉄で好ましくはドープされていてもよい二酸化チタンナノ粒子であることが好ましいことがある。
【0029】
熱水処理はここでは、40から360℃の範囲、好ましくは80から220℃の範囲、特に好ましくは140から200℃の範囲の温度で好ましくは実施される。
【0030】
熱水処理は均一なサイズおよび形状の安定なナノ微結晶の形成につながる。低温では、「針形状」の微結晶が生じる。温度を上げるにつれ、微結晶は円形になっていく。楕円形状が形成し、これは非常に高温では円形の粒子になる。さらに、均一な結晶成長が生じ、これは反応性および光活性の減少につながる。
【0031】
従来の熱処理(乾燥粉末の熱処理)と比較した熱水処理の利点は:
− 粒径分布が狭い均一な結晶子径の形成
− 焼結作用(望ましくない凝集体の形成)の防止
である。
【0032】
ステップb)の二酸化ケイ素被覆は、特に好ましくは水ガラス溶液を酸化金属の懸濁液に加えるゾルゲル法として好ましくは実施する。
【0033】
本発明の有利な態様では、ゾルゲル法はpHを一定に維持して実施する。一定に維持したpHはpH2からpH11の範囲であることができ、pHは、好ましくはpH=5からpH=8の範囲、特に好ましくはpH=6からpH=7の範囲である。
【0034】
本発明のさらに有利な態様は、pH=7からpH=11でpHを一定に維持することなく、後処理に必要な水ガラス全てを加えることである。その後pHをpH=5からpH=8、好ましくはpH=6からpH=7に下げる。
【0035】
ステップb)は高温、好ましくは50℃から110℃の範囲の温度で実施することがさらに好ましい。
【0036】
本発明による方法の前記の態様の全てにおいて、被覆後の熟成時間は完了までとすることが有利である。熟成時間は1時間から8時間、好ましくは2時間から4時間であるべきであり、50℃から110℃の温度で実施すべきである。
【0037】
生成物の後の加工中に望まれる凝集体のサイズに関しては、その後、粉砕することがさらに有利である。ナノ粒子材料に使用できる従来の粉砕技術をここで用いることができる。
【0038】
上記の利点のため、本発明はさらに、少なくとも1種の本発明によるUV保護ナノ粒子を含む遮光性を有する組成物に関する。
【0039】
本発明の態様では、組成物は好ましくは、局所的に施用できる組成物、例えば化粧品配合物または皮膚科学的配合物である。この場合の組成物は、化粧品としてまたは皮膚科学的に適切な担体、および所望の性質のプロファイルに応じて場合によりさらに適切な成分を含む。
【0040】
本発明に従って好ましい布帛組成物は、繊維、布帛、その被覆を含むそれら、塗料、被覆系、フィルム、および食品、植物または工業製品を保護するためのパッケージからなる群から選択される。
【0041】
したがって、本発明はさらに、塗料、被覆系、フィルム、パッケージ、繊維、織物、およびタイヤもしくは絶縁体などのゴムまたはシリコーンゴム成形品に導入するための本発明によるUV保護ナノ粒子または本発明の方法で調製したUV保護ナノ粒子の使用に関する。
【0042】
上記で既に言及した利点の他に、本発明によるUV保護ナノ粒子をエマルジョンである組成物に使用することも、特に、エマルジョンの安定化に寄与する。一般的に、これは乳化剤の使用を減少させることができ、またはある特定(ピッカリングエマルジョン)の場合、乳化剤を全く使用しないことさえできる。したがって、本発明によれば、本発明によるUV保護ナノ粒子を含む、乳化剤を含まないエマルジョンも好ましい。
【0043】
遮光性を有する好ましい組成物は、少なくとも1種のジベンゾイルメタン誘導体を含む。本発明の目的に使用したジベンゾイルメタン誘導体は、既に示した通り、それ自体既によく知られており、特に上記の明細書FR−A−2326405号、FR−A−2440933号およびEP−A−0114607号に記載の生成物である。
【0044】
本発明に従って使用できるジベンゾイルメタン誘導体は、特に、次式のジベンゾイルメタン誘導体から選択することができる:
【0045】
【化1】

【0046】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一でも異なってもよく、水素、直鎖状もしくは分枝状のC18アルキル基または直鎖状もしくは分枝状のC18アルコキシ基を表す]。本発明によれば、当然のことながら、1種のジベンゾイルメタン誘導体または複数のジベンゾイルメタン誘導体を使用することが可能である。本発明が特に関連するジベンゾイルメタン誘導体としては、特に:
− 2−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−イソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
および
− 2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
を挙げることができるが、このリストに限定するものではない。
【0047】
上記のジベンゾイルメタン誘導体のうち、本発明により特に好ましいのは、4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、特に4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンであり、これは商品名ユーソレックス(登録商標)9020でメルクから市販されており、このフィルターは以下の構造式と一致する。
【0048】
【化2】

【0049】
本発明により好ましい他のジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピルジベンゾイルメタンである。
【0050】
遮光性を有するさらに好ましい組成物は、少なくとも1種のベンゾフェノンまたはベンゾフェノン誘導体、例えば特に好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えば、ユーソレックス(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えば、ウビヌル(登録商標)MS−40)を含む。
【0051】
ジベンゾイルメタン誘導体またはベンゾフェノン誘導体は、本発明による組成物に、組成物の総重量に対して、一般的には0.1から10重量%の範囲の割合で、好ましくは0.3から5重量%の割合で存在することができる。
【0052】
上記の利点のため、本発明はさらに、UVフィルターを安定化するために本発明による遮光性を有する酸化金属ナノ粒子、特にジベンゾイルメタンおよびジベンゾイルメタン誘導体またはベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体の使用にも関する。
【0053】
本発明では、組成物が他の無機UVフィルターを含むことがさらに好ましい場合がある。ここで好ましいのは、例えば被覆された二酸化チタン(例えば、ユーソレックス(登録商標)T−2000、ユーソレックス(登録商標)T−AQUA)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えば、サクトテック(登録商標))、酸化鉄、ならびに酸化セリウムからなる群からのものである。これらの無機UVフィルターは、化粧品組成物に、0.5から20重量%、好ましくは2〜10%の量で一般に導入される。特にここで、本発明によるUV保護ナノ粒子がエマルジョンのある相に存在し、他の無機UVフィルターはその他の相に存在することが好ましい場合がある。
【0054】
本発明の他の同様に好ましい実施形態では、本発明による組成物は少なくとも1種のセルフタンニング剤を含む。
【0055】
用いることができる有利なセルフタンニング剤は、とりわけ以下のものである:
【0056】
【化3】

【0057】
生のクルミの殻から抽出した5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ジュグロン)
【0058】
【化4】

【0059】
5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ジュグロン)
およびヘナの葉にある2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン)も挙げるべきである。
【0060】
【化5】

【0061】
2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン)
非常に特に好ましいのは、1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、ヒトの体内にある三官能性の糖、およびその誘導体である。
【0062】
【化6】

【0063】
1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)
さらに本発明は、セルフタンニング剤、特にジヒドロキシアセトンまたはジヒドロキシアセトン誘導体を安定化するための本発明によるUV保護ナノ粒子の使用に関する。
【0064】
さらに本発明による組成物はまた、染料および色付き顔料を含んでもよい。染料および色付き顔料は、ドイツ化粧品規制の対応するポジティブリストまたは化粧品色素のECリストから選択することができる。殆どの場合、それらは食品に許可された染料と同一である。有利な色付き顔料は、例えば二酸化チタン、マイカ、酸化鉄(例えば、Fe23、Fe34、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカルミン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、ウルトラマリンブルーおよび/またはマンガンバイオレットである。以下のリストから染料および/または色付き顔料を選択することが特に有利である。カラーインデックス番号(CIN)は、ロウカラーインデックス、第3版、ソサイエティーオブだいアーアカラリスツ、ブラッドフォード、英国、1971から採用する。
【0065】
【表1−1】

【0066】
【表1−2】

【0067】
【表1−3】

【0068】
【表1−4】

【0069】
【表1−5】

【0070】
【表1−6】

【0071】
さらに、染料として、以下の群からの1種以上の物質を選択することが好ましい場合がある:
2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2’−クロロ−4’−ニトロ−1’−フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2’−アゾナフタレン−1’−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スルホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウム塩およびバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウム塩およびジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウム塩およびジルコニウム塩、3’,4’,5’,6’−テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインおよびそのアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色および黒色の酸化鉄(CIN:77491(赤色)および77499(黒色))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二リン酸マンガンアンモニウムならびに二酸化チタン。
【0072】
例えばパプリカ抽出物、β−カロチンまたはコチニールなどの油溶性天然染料も有利である。
【0073】
本発明の目的には、真珠光沢顔料を含むゲルクリームも有利である。特に好ましいのは、以下に挙げた真珠光沢顔料のタイプである。
1.天然真珠光沢顔料、例えば
・「真珠エッセンス」(グアニン/ヒポキサンチンを混合した魚の鱗からの結晶)および
・「真珠母」(粉砕したマッセルシェル)
2.例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)などの単結晶真珠光沢顔料
3.層状基質顔料:例えば、マイカ/酸化金属
真珠光沢顔料の基礎は、例えばオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンの粉体顔料またはヒマシ油分散液、ならびにマイカ上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンで形成される。例えばCIN77163で挙げられた光沢顔料は特に有利である。
【0074】
例えば、マイカ/酸化金属をベースとする以下の真珠光沢顔料のタイプも有利である。
【0075】
【表2】

【0076】
特に好ましいのは、例えばメルクから商品名ティミロン、コロロナまたはディクロナで入手可能な真珠光沢顔料である。
【0077】
当然のことながら、前記の真珠光沢顔料のリストは限定することを意図していない。本発明の目的に有利な真珠光沢顔料は、それ自体知られた多くの経路で得ることができる。例えば、マイカ以外のその他の基質も、例えばシリカなどの他の酸化金属で被覆されていることができる。例えば、メルクから市販され、小皺の視覚的減少に特に適したTiO2およびFe23で被覆したSiO2粒子(「ロナスフェレ」等級)が有利である。
【0078】
マイカなどの基質を完全に除くことがさらに有利である。SiO2を使用して調製した真珠光沢顔料が特に好ましい。ゴニオクロマチック効果も有する顔料は、例えばBASFから商品名サイコパールファンティスコで市販されている。
【0079】
二酸化チタンで被覆したホウケイ酸カルシウムナトリウムをベースとするエンゲルハード/マール顔料を用いることも有利であろう。これらはリフレックスの名称で入手可能である。それらの粒径は40〜80μmなので、色に加えて光輝効果を有する。
【0080】
フローラテックの商品名メタサムズ標準/光輝で種々の色(黄色、赤色、緑色、青色)で市販している効果顔料も特に有利である。ここで光輝粒子は、種々の助剤および染料(例えば、カラーインデックス(CI)番号19140、77007、77289、77491を有する染料)との混合物の形態である。
【0081】
染料および顔料は個々の形態、または混合物および互いに被覆し合った形態であることができ、異なる被覆厚さによって一般に生じる異なる色の効果を有する。染料および着色顔料の総量は、それぞれの場合組成物の総量に対して、例えば0.1重量%から30重量%、好ましくは0.5から15重量%、特に1.0から10重量%の範囲から有利に選択される。
【0082】
本発明によれば、UV保護ナノ粒子はまた、親水性または疎水性を強化する表面処理が施されていてもよい。疎水性の改変に適切なのは、例えばシリコーンまたはシラン被覆である。
【0083】
シリコーンは知られている通り、種々の分子量をもつ直鎖状または環状、分枝状または架橋構造を有する有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーであり、これは適切に官能化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、反復する主要単位から本質的に形成され、この単位ではケイ素原子が酸素原子を介して互いに連結し(シロキサン結合)、そこでは置換されていてもよい炭化水素基がケイ素原子に炭素原子を介して直接結合している。最も普通の炭化水素基は、アルキル基、特にメチル、フルオロアルキル基、アリール基、特にフェニルおよびアルケニル基、特にビニルである。シロキサン鎖に直接または炭化水素基を介して結合できる他の種類の基は、特に水素、ハロゲン、特に塩素、臭素またはフッ素、チオール、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基(またはポリエーテル)、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基、置換されていてもよいアミノ基、アミド基、アシルオキシ基またはアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノ基またはアミノアルキル基、4級アンモニウム基、両性基またはベタイン基、アニオン基、例えばカルボキシレート、チオグリコレート、スルホスクシネート、チオサルフェート、ホスフェートおよびスルフェートであり、このリストは当然のことながら決して制限するものではない(いわゆる「有機変性」シリコーン)。
【0084】
本発明の目的では、用語「シリコーン」はまた、シラン、特にその調製に必要なアルキルシランを包含し、対象とすることを意図する。
【0085】
UV保護ナノ粒子を覆うのに使用できる本発明に適切なシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサンおよびポリアルキルヒドロゲノシロキサンから好ましくは選択される。シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルヒドロゲノシロキサンからより好ましくは選択される。
【0086】
UV保護ナノ粒子は本発明による組成物に、組成物の総重量に対して、一般的に0.1から50重量%の範囲の割合で、好ましくは0.5から20重量%の範囲の割合で存在することができる。
【0087】
本発明による日焼け止め組成物は、当然のことながらUV−A領域および/またはUV−B領域および/またはIRおよび/またはVIS領域で有効な1種以上の追加の親水性または親油性日焼け止めフィルター(吸収剤)を含んでもよい。これらの追加のフィルターは、特にケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、アクリル酸β,β−ジフェニル誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体およびポリマーフィルターおよびシリコーンフィルターから選択することができ、これらは出願WO93/04665号に記載されている。有機フィルターの他の例は特許出願EP−A−0487404号に示されている。
【0088】
概ね、UVフィルターは全て、本発明によるUV保護ナノ粒子との組合せに適している。生理的受容性が既に示されているUVフィルターが特に好ましい。UVAおよびUVBフィルターの両方について、専門文献から知られた多くの実証済みの物質、例えば
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファーなどのベンジリデンカンファー誘導体(例えば、ユーソレックス(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えば、メクソリル(登録商標)SD)、N−{(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル}アクリルアミドのポリマー(例えば、メクソリル(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート(例えば、メクソリル(登録商標)SK)または(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えば、メクソリル(登録商標)SL)、
メトキシケイ皮酸オクチルなどのメトキシケイ皮酸エステル(例えば、ユーソレックス(登録商標)2292)、例えば異性体の混合物としての4−メトキシケイ皮酸イソペンチル(例えば、ネオへリオパン(登録商標)E1000)、
サリチル酸2−エチルヘキシルなどのサリチル酸誘導体(例えば、ユーソレックス(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えば、メガソール(登録商標))またはサリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えば、ユーソレックス(登録商標)HMS)、
4−アミノ安息香酸などの4−アミノ安息香酸および誘導体、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えば、ユーソレックス(登録商標)6007)、エトキシル化4−アミノ安息香酸エチル(例えば、ウビヌル(登録商標)P25)、
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ならびにそのカリウム塩、ナトリウム塩およびトリエタノールアミン塩などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(例えば、ユーソレックス(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えば、ネオへリオパン(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸;
ならびに他の物質、例えば
− 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えば、ユーソレックス(登録商標)OCR)、
− 3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えば、メクソリル(登録商標)SX)および
− 2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えば、ウビヌル(登録商標)T150)
− 2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えば、ウビヌル(登録商標)UVAプラス、BASF)
がある。
【0089】
リストで挙げた化合物は例にすぎないとみなすべきである。当然のことながら、その他のUVフィルターを使用することも可能である。特に、例えば特許出願WO99/66896号に記載のUVフィルター有機粒子も本発明によるUV保護ナノ粒子と有利に組み合わせることができる。
【0090】
これらの有機UVフィルターは、化粧品配合物に0.5から20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で一般に添加する。
【0091】
他の適切な有機UVフィルターは、例えば、
− 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えば、シラトリゾール(登録商標))、
− 4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えば、ユーバソーブ(登録商標)HEB)、
− α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ)プロペニル)および0.1から0.4%の(メチル水素]シリレン]](n≒60)(CAS No.207574−74−1)
− 2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(CAS No.103597−45−1)
− 2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)(CAS No.180898−37−7)、
− 2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103597−45−、187393−00−6)、および
− 4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えば、ユーバソーブ(登録商標)HEB)である。
【0092】
有機UVフィルターは、化粧品配合物に総量0.5から20重量%、好ましくは1〜15%で一般に添加される。
【0093】
UVフィルター性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチルベンジリデン)−ジ−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)−安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのカリウム塩、ナトリウム塩およびトリエタノールアミン塩である。
【0094】
好ましい組成物はまた、式Iの化合物を含んでもよい
【0095】
【化7】

【0096】
[式中、R1およびR2は、
− H
− およびOR11から選択され、ここでOR11は互いに独立して、
− OH
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC3からC20アルケニルオキシ基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシル基は鎖の1級または2級の炭素原子に結合していてもよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されていてもよい)、ならびに/または
− C3からC10シクロアルコキシ基および/もしくはC3からC12シクロアルケニルオキシ基(環はそれぞれ−(CH2n−基で架橋されていてもよい(n=1から3))、ならびに/または
− モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基
を表し、但し、R1およびR2の少なくとも1個の基はOR11を表し、
3は、基OR11を表し、
4からR7およびR10は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、
− H
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルキル基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC3からC20アルケニル基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基は鎖の1級または2級の炭素原子に結合していてもよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されていてもよい)、ならびに/または
− C3からC10シクロアルキル基および/もしくはC3からC12シクロアルケニル基(環はそれぞれ−(CH2n−基で架橋されていてもよい(n=1から3))
を表し、
8およびR9は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立して、
− H
− OR11
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルキル基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC3からC20アルケニル基、
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシル基は鎖の1級または2級の炭素原子に結合していてもよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されていてもよい)、ならびに/または
− C3からC10シクロアルキル基および/もしくはC3からC12シクロアルケニル基(環はそれぞれ−(CH2n−基で架橋されていてもよい(n=1から3))
を表す]。
【0097】
本発明による組成物の利点は特に、UV光のフィルター作用および皮膚が良好に耐容することである。さらに、ここで記載した式Iの化合物は無色またはわずかに着色されているだけであり、多くの公知の天然のフラボノイドと比較して組成物の変色につながらない。
【0098】
本発明に従って用いられる式Iのフラボノイドでは、広帯域UVフィルター[脱文]その他の同様に好ましい式Iの化合物は、UV−BとUV−A放射の間の境界領域で吸収極大を示す。したがって、UV−A−IIフィルターとして、市販のUV−BおよびUV−A−Iフィルターの吸収スペクトルを有利に補う。遮光性を有する本発明による好ましい組成物は、少なくとも1種の式Iの化合物を含み、ここで、R3は、
− OHあるいは
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシ、あるいは
− モノ−および/またはオリゴグリコシル基、好ましくはグルコシル基
を表し、
1および/またはR2は好ましくは、
− OHあるいは
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシ、あるいは
− モノ−および/またはオリゴグリコシル基、好ましくはグルコシル基
を表す。これらの好ましい化合物は、特に強いUV吸収で識別することができる。
【0099】
さらに、このタイプの好ましい化合物は、組成物への導入において有利であり:
− モノ−および/またはオリゴグリコシル基は本発明に従って用いる化合物の水溶性を向上させ、
− 直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、特に長鎖アルコキシ基、例えばエチルヘキシルオキシ基は化合物の油溶性を増大させ、
即ち、式Iの化合物の親水性または親油性は置換基の適切な選択によって調節できる。ここで好ましい単糖類および/またはオリゴ糖基は、ヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基である。しかし、その他のヘキソシル基、例えばアロシル、アルトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシルもまた、所望により有利に使用することができる。ペントシル基を使用することも有利であり得る。グリコシル基は親構造に対してαまたはβグリコシル結合することができる。好ましい二糖類は、例えば6−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシドである。
【0100】
3が、直鎖状または分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表し、R8およびR9が、同一であり、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表す場合、UV吸収の強度が特に高いことが分かった。
【0101】
したがって、本発明によれば、遮光性を有し、R3が、直鎖状または分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表し、R8およびR9が、同一であり、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1からC20アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表すことを特徴とする式Iの化合物を少なくとも1種含む組成物が特に好ましい。ここで、R8およびR9がHを表す場合が特に好ましい。
【0102】
式Iの化合物は、本発明に従って0.01から20重量%の量、好ましくは0.5重量%から10重量%の量、特に好ましくは1から8重量%の量で通常用いられる。当業者が組成物の意図した遮光因子に応じて量を相応に選択することに、全く困難はない。
【0103】
1種以上のUV保護ナノ粒子を他のUVフィルターと組み合わせると、UV放射の悪影響に対する保護作用を最適化することができる。最適化された組成物は、例えば4’−メトキシ−6−ヒドロキシフラボンと、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファーとの有機UVフィルターの組合せを含んでもよい。
【0104】
式Iの化合物を含む前記のUVフィルター全てはまた、カプセル化形態で用いることができる。特に、有機UVフィルターをカプセル化形態で用いることが有利である。詳細には、以下の利点が生じる:
− カプセル壁の親水性は、UVフィルターの溶解性とは独立して設定することができる。したがって、例えば、疎水性のUVフィルターを純粋に水性の組成物に導入することが可能である。さらに、しばしば不快に感じられる、疎水性UVフィルターを含む組成物を施用したときの油性の感触を抑制する。
− ある種のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧品組成物中で減少した光安定性を示すだけである。例えばケイ皮酸誘導体などのフィルターの光安定性を損なうこれらのフィルターまたは化合物をカプセル化することにより、組成物全体の光安定性を高めることができる。
− 有機UVフィルターの皮膚透過性、およびヒトの皮膚へ直接施用したときのそれに関連する刺激の可能性は、文献で繰り返し議論されている。ここで提案している対応する物質のカプセル化はこの作用を抑制する。
− 一般に、個々のUVフィルターまたはその他の成分をカプセル化することにより、相互作用が抑制されるので、組成物の個々の成分同士の相互作用、例えば結晶化プロセス、沈殿および集塊によって引き起こされる調製の問題を回避することができる。
【0105】
したがって、本発明によれば、式Iの1種もしくは複数の化合物または上記のUVフィルターは、カプセル化形態であることが好ましい場合がある。ここでカプセルは肉眼で観察できない程小さいことが有利である。上記の効果を達成するために、カプセルは十分に安定であり、カプセル化された活性成分(UVフィルター)は環境にわずかのみ放出されるか全く放出されないことがさらに必要である。
【0106】
適切なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁を有することができる。例えば、US6242099B1は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁をもつ適切なカプセルの製造を記載している。本発明に従って特に好ましく用いられるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084で記載のゾルゲル法で得ることができる壁を有する。ここで言い換えると、壁がシリカゲル(シリカ;不明確な酸化ケイ素水酸化物)で構成されたカプセルが好ましい。対応するカプセルの製造は、例えば、その内容がまた本願の主題に明らかに属する引用の特許出願から当業者に公知である。
【0107】
カプセルは本発明による組成物に、カプセル化UVフィルターが組成物中に上記の量で存在することを確実にする量で好ましくは存在する。
【0108】
本発明による組成物が遊離のヒドロキシル基を含有する式Iの化合物を含む場合、それらはさらに、上記の性質の他に、酸化防止剤および/またはフリーラジカル捕捉剤としての作用を示す。したがって、遮光性を有し、基R1からR3の少なくとも1個がOHを表し、好ましくは基R1またはR2の少なくとも1個がOHを表すことを特徴とする式Iの少なくとも1種の化合物を含む組成物も好ましい。
【0109】
式Iの化合物が皮膚に対して特に良好にフリーラジカル捕捉剤としてのその好ましい作用を発揮することを可能にするために、式Iの化合物はより深い皮膚層に浸透させることが好ましいことがある。この目的のために、いくつかの可能性がある。第1に、式Iの化合物は、外側の皮膚層を介して表皮層に浸透することができるように適切な親油性を有することができる。他の可能性として、式Iの化合物を外側の皮膚相を介して輸送することができる、対応する輸送剤、例えばリポソームを組成物に与えてもよい。最後に、式Iの化合物の全身的な輸送も考えられる。したがって、この組成物は、例えば経口投与に適するように設計される。
【0110】
一般に、式Iの物質はフリーラジカル捕捉剤として作用する。このタイプのフリーラジカルは太陽光のみでは生成されず、種々の条件下で形成される。例としては、シトクロームオキシダーゼの上流での電子の流れをブロックし、スーパーオキシドフリーラジカルアニオンの形成を引き起こす無酸素症;とりわけ白血球の膜NADPHオキシダーゼによるスーパーオキシドアニオンの形成に関連するが、食細胞活動の現象に通常関与するヒドロキシルフリーラジカルおよびその他の反応種の(鉄(II)イオンの存在下における不均化を介する)形成にも関連する炎症;ヒドロキシルフリーラジカルによって一般に開始され、脂質アルコキシフリーラジカルおよびヒドロペルオキシドを生成する脂質自動酸化がある。
【0111】
式Iの好ましい化合物は酵素阻害剤としても作用すると思われる。それらはヒスチジンデカルボキシラーゼ、プロテインキナーゼ、エラスターゼ、アルドースレダクターゼおよびヒアルロニダーゼを阻害し、したがって血管鞘の基本物質を無損傷に維持すると考えられる。さらに、それらはカテコールO−メチルトランスフェラーゼを非特異的に阻害して、得られるカテコールアミン、よって血管鞘の量を増大させると考えられる。さらに、それらはAMPホスホジエステラーゼを阻害して、その物質に血小板凝集を阻害する可能性を与える。
【0112】
これらの性質のため、本発明による組成物は一般に、免疫保護ならびにDNAおよびRNAの保護に適している。特に、この組成物は、酸化攻撃から、フリーラジカルから、放射、特にUV放射のダメージからDNAおよびRNAを保護するのに適している。本発明による組成物の他の利点は、上記の影響によるダメージからの細胞保護、特にランゲルハンス細胞の保護である。本発明は明らかに、これらの使用の全て、および同様に用いることができる組成物を調製するための式Iの化合物の使用にも関する。
【0113】
特に、本発明による好ましい組成物はまた、分化および細胞増殖に影響する角質化の異常に関連する皮膚病の治療、特に尋常性座瘡、面皰性座瘡、多形性座瘡、酒さ性座瘡、小結節性座瘡、集簇性座瘡、加齢誘導性座瘡、副作用として発生する座瘡、例えば日光性座瘡、薬物性座瘡または職業性座瘡の治療、角質化のその他の異常、特に魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエー病、掌蹠角化症、白斑症、白斑状態、皮膚および粘膜(口内)のヘルペス(苔癬)の治療、角質化の異常に関連し、炎症性および/または免疫アレルギー性成分を有するその他の皮膚病、特に皮膚、粘膜および指および趾爪に影響する乾癬の全ての形態、ならびに乾癬性リウマチおよび皮膚アトピー、例えば湿疹もしくは呼吸アトピー、または歯肉肥厚の治療、(さらにこの化合物は角質化の異常に関連しない一部の炎症にも使用することが可能である)、尋常性疣贅、扁平疣贅、肬贅状表皮異形成、口部乳頭腫症、フロリダ乳頭腫症などのウイルス由来のこともある真皮または表皮の良性または悪性の病的増殖物全て、およびUV放射によって引き起こされ得る病的増殖物、特にバソ細胞上皮腫および有棘細胞上皮腫の治療、その他の皮膚病、例えば水疱性皮膚炎およびコラーゲンに影響する疾患の治療、ある種の眼疾患、特に角膜疾患の治療、老化に関連する光誘導型の皮膚の老化の克服またはそれとの戦い、色素沈着および日光性角化症の減少、通常の老化または光誘導型の老化に関連する疾患全ての治療、局所的または全身的に施用したコルチコステロイドによって引き起こされた表皮および/または真皮の萎縮ならびにその他全てのタイプの皮膚萎縮の創傷/瘢痕の予防または癒合、創傷の癒合の異常の予防または治療、妊娠によって引き起こされた皮膚線条の予防または除去、あるいは創傷の癒合の促進、皮脂産生の異常、例えば座瘡における脂漏または単純な脂漏との戦い、癌様状態または前癌状態、特に前骨髄球白血病との戦いまたはその予防、炎症性疾患、例えば関節炎の治療、皮膚または体のその他の領域のウイルス誘導型疾患全ての治療、脱毛症の予防または治療、皮膚病または免疫成分を有する体のその他の領域の疾患の治療、心臓血管疾患、例えば動脈硬化症または高血圧およびインスリン非依存性糖尿病の治療、ならびにUV放射によって引き起こされる皮膚の問題の治療にも適している。
【0114】
酸化ストレスに対するまたはフリーラジカルの影響に対する保護作用は、組成物が1種以上の酸化防止剤を含む場合にさらに改良することができる。
【0115】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、組成物は、1種以上の酸化防止剤を好ましくは含むことを特徴とする、体細胞を酸化ストレスから保護するため、特に皮膚の老化を減少させるための組成物である。
【0116】
酸化防止剤として使用することができる多くの実証済みの物質が専門文献から公知であり、例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロチン(例えばα−カロチン、β−カロチン、リコピン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)ならびにその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに非常に低許容量(例えばpmolからμmol/kg)のスルホキシイミン化合物(例えばブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシイミン)、ならびにまた(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えばパルミチン酸ビタミンA)、ならびにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、クエルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)がある。
【0117】
酸化防止剤の混合物も本発明による化粧品組成物での使用に適している。公知で市販されている混合物は、例えば、活性成分として、レシチン、パルミチン酸L−(+)−アスコルビルおよびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)AP)、天然トコフェロール、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)K 液体)、自然源からのトコフェロール抽出物、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)L 液体)、DL−α−トコフェロール、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、クエン酸およびレシチン(例えばオキシネックス(登録商標)LM)、またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸L−(+)−アスコルビルおよびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)2004)を含む混合物である。
【0118】
本発明による組成物は、他の成分としてビタミンを含んでもよい。本発明による化粧品組成物は、ビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、コハク酸水素トコフェロール、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくはパルミチン酸ビタミンA、ビタミンC、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンから選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を好ましくは含む。
【0119】
本発明による組成物はさらに、他の従来の皮膚保護またはスキンケア活性成分を含んでもよい。原則として、これらは当業者に知られた任意の活性成分であることができる。
【0120】
特に好ましい活性成分は、ピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムである。
【0121】
ピリミジンカルボン酸は好塩性微生物に生じ、これらの生物の浸透調節において役割を果たす(E.A.Galinskiら、Eur.J.Biochem.、149(1985)、135〜139頁)。ピリミジンカルボン酸のうち、ここで特に挙げておくべきなのは、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびその誘導体である。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中で酵素およびその他の生体分子を安定化する。さらに、それらは特に、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジンおよびその他の化合物などの変性状態に対して酵素を安定化する。
【0122】
エクトインおよびエクトイン誘導体、例えばヒドロキシエクトインは薬品に有利に使用できる。特に、ヒドロキシエクトインは、皮膚病の治療用の薬品の調製に用いることができる。ヒドロキシエクトインおよびその他のエクトイン誘導体の用途のその他の分野は通常、例えばトレハロースが添加剤として使用される分野である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、乾燥酵母および細菌細胞中の保護剤として使用できる。医薬品、例えば糖化されていない、薬剤として活性なペプチドおよびタンパク質、例えばt−PAもエクトインまたはその誘導体で保護することができる。
【0123】
化粧品用途では、老化した、乾燥したまたは炎症を起こした皮膚をケアするためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用を特に挙げるべきである。よって、欧州特許出願EP−A−0671161は、特に、エクトインおよびヒドロキシエクトンは化粧品組成物、例えばパウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、口紅、ルージュ、メイクアップ、ケアクリームおよび日焼け止め製品で用いられると記載している。
【0124】
ここで、以下の式IIのピリミジンカルボン酸の使用が好ましい
【0125】
【化8】

【0126】
[式中、R1は、基HまたはC18アルキルであり、R2は、基HまたはC14アルキルであり、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、H、OH、NH2およびC14アルキルからなる群からの基である]。好ましいのは、R2がメチルまたはエチル基であり、R1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸の使用である。特に好ましいのは、ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の使用である。この場合、本発明による組成物は、このタイプのピリミジンカルボン酸を最大15重量%の量で好ましくは含む。
【0127】
アリールオキシムで好ましいのは、HMLO、LPOまたはF5としても知られる2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムの使用である。化粧品組成物中での使用についてのその適合性は、例えばDE−A−4116123で開示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物は、炎症を伴う皮膚病の治療に適している。このタイプの組成物は、例えば乾癬、種々の形態の湿疹、刺激性および毒性皮膚炎、UV皮膚炎、ならびに皮膚および外皮付属物の他のアレルギー性および/または炎症性疾患の治療に使用できることが知られている。アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む本発明による組成物は、驚くべき抗炎症適合性を示す。ここで組成物は、0.01から10重量%のアリールオキシムを好ましくは含み、特に好ましくは組成物は0.05から5重量%のアリールオキシムを含む。
【0128】
組成物に使用できる、ここで記載した化合物または成分は全て、公知であるか市販されており、あるいは公知の方法で合成できる。
【0129】
ここで記載した化合物の他に、本発明による組成物はまた、好ましくは式III
【0130】
【化9】

【0131】
[式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42から選択され、
Xは、OまたはNHであり、
2は、直鎖状または分枝状のC130アルキル基を表し、
3は、直鎖状または分枝状のC120アルキル基を表し、
4は全て互いに独立して、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC18アルキル基を表し、
5は、H、直鎖状もしくは分枝状のC18アルキル基または直鎖状もしくは分枝状の−O−C18アルキル基を表し、
6は、C18アルキル基を表す]
と一致する少なくとも1種の光安定剤を含んでもよく、この光安定剤は特に好ましくは2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸ビス(2−エチルヘキシル)である。対応する光安定剤およびその調製および使用は、国際特許出願WO03/007906号に記載されており、その開示の内容も明らかに本願の主題に属する。
【0132】
本発明による組成物は、当業者がよく知っている方法、特に水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンを調製するための方法で調製できる。
【0133】
さらに、本発明は、少なくとも1種のUV保護ナノ粒子が化粧品としてまたは皮膚科学的に適切な担体と混合されていることを特徴とする組成物の調製方法、および遮光性を有する組成物を調製するためのUV保護ナノ粒子の使用に関する。
【0134】
これらの組成物は、特に、単純または複雑なエマルジョン(O/W型、W/O型、O/W/O型またはW/O/W型)、例えばクリーム、ミルク、ゲルまたはゲルクリーム、パウダーおよび固形スティックの形態であることができ、所望により、エアロゾルとして配合し、フォームまたはスプレーの形態であってもよい。これらの組成物は好ましくはO/W型エマルジョンの形態である。
【0135】
本発明による化粧品組成物は、日焼け止め組成物またはメイクアップ製品として、UV放射からヒトの表皮または毛髪を保護するための組成物として使用することができる。
【0136】
水中油型エマルジョンタイプの担体を有する日焼け止め用の本発明による配合物では、水相(特に親水性フィルターを含む)は、配合物全体に対して一般に50から95重量%、好ましくは70から90重量%を構成し、油相(特に親油性フィルターを含む)は、配合物全体に対して5から50重量%、好ましくは10から30重量%を構成し、(共)乳化剤(複数可)は、配合物全体に対して0.5から20重量%、好ましくは2から10重量%を構成する。
【0137】
適切な組成物は、例えばクリーム、ローションもしくはゲルの形態、または皮膚にスプレーできる溶液としての外用のものである。内用に適切なのは、カプセル剤、コート錠、散剤、錠剤溶液または溶液などの投与形態である。
【0138】
挙げることができる本発明による組成物の応用形態の例は、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、パスタ剤、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、オイル、エアロゾルおよびスプレーである。その他の応用形態の例は、スティック、シャンプーおよびシャワー製品である。任意の所望の通常の担体、助剤、所望により他の活性成分を組成物に加えてもよい。
【0139】
好ましい助剤は、保存料、酸化防止剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤および香気改良剤からなる群からのものである。
【0140】
軟膏、パスタ剤、クリームおよびゲルは、通常の担体、例えば動物および植物脂肪、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、ならびにこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0141】
パウダーおよびスプレーは、通常の担体、例えばラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミドパウダー、ならびにこれらの物質の混合物を含んでもよい。スプレーは、通常の噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルをさらに含んでもよい。
【0142】
溶液およびエマルジョンは、通常の担体、例えば溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、特に綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0143】
懸濁液は、液体希釈剤などの通常の担体、例えば水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、あるいはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0144】
石鹸は、通常の担体、例えば脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0145】
界面活性剤含有クレンジング製品は、通常の担体、例えば脂肪アルコールサルフェートの塩、脂肪アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0146】
フェイスオイルおよびボディオイルは、通常の担体、例えば合成油、例えば脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油、天然油、例えば植物油および油状の植物抽出物、パラフィン油、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0147】
他の典型的な化粧品応用形態はまた、口紅、唇ケア用スティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、パウダーメイクアップ、エマルジョンメイクアップおよびワックスメイクアップ、ならびに日焼け止め、日焼け前および日焼け後用の製品である。
【0148】
本発明による好ましい組成物形態には、特にエマルジョンがある。
【0149】
本発明によるエマルジョンは有利であり、このタイプの組成物に通常使用される、例えば前記の脂肪、油、ワックスおよびその他の脂肪物質、ならびに水および乳化剤を含む。
【0150】
脂質相は有利には、以下の物質の群から選択してもよい:
− 鉱油、ミネラルワックス
− カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに例えばヒマシ油などの天然油;
− 脂肪、ワックスならびにその他の天然および合成脂肪物質、好ましくは脂肪酸と、低炭素数のアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールとのエステル、または脂肪アルコールと、低炭素数のアルカン酸もしくは脂肪酸とのエステル;
− シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびその混合形態。
【0151】
本発明の目的では、エマルジョン、オレオゲルまたは水分散液または脂質分散液の油相は有利には、飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のC原子3から30個の鎖長を有するアルカンカルボン酸と、飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のC原子3から30個の鎖長を有するアルコールとのエステルからなる群から、あるいは芳香族カルボン酸と、飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のC原子3から30個の鎖長を有するアルコールとのエステルからなる群から選択される。したがって、このタイプのエステル油は有利には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ならびにこのタイプのエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバ油からなる群から選択される。
【0152】
さらに、油相は有利には、分枝状および非分枝状の炭化水素およびワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルからなる群、あるいは飽和または不飽和、分枝状または非分枝状のアルコール、および脂肪酸トリグリセリド、特に飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のC原子8から24個、特にC原子12〜18個の鎖長を有するアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルからなる群から選択されてもよい。脂肪酸トリグリセリドは有利には、例えば、合成、半合成および天然の油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココナツ油、ヤシ核油などからなる群から選択されてもよい。
【0153】
このタイプの油とワックス成分との任意の所望の混合物はまた、本発明の目的に有利に用いることができる。ワックス、例えばパルミチン酸セチルを油相の唯一の脂質成分として用いることも有利である。
【0154】
油相は、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ヤシ油脂肪酸2−エチルヘキシル、安息香酸C1215アルキル、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよびジカプリルエーテルからなる群から有利に選択される。
【0155】
安息香酸C1215アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとの混合物、安息香酸C1215アルキルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物、ならびに安息香酸C1215アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物が特に有利である。
【0156】
炭化水素では、パラフィン油、スクアランおよびスクアレンが本発明の目的に有利に使用できる。
【0157】
さらに、油相はまた、ある含量の環状または直鎖状のシリコーン油を有利に有していてもよく、あるいはこのタイプの油から完全になってもよいが、シリコーン油(複数可)以外に、その他の油相成分の追加の含量を使用することが好ましい。
【0158】
本発明に従って使用するシリコーン油は、有利にはシクロメチコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかし、本発明の目的では、その他のシリコーン油、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することも有利である。
【0159】
また、シクロメチコーンとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物およびシクロメチコーンとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとの混合物が特に有利である。
【0160】
本発明による組成物の水相は場合によって有利に、低炭素数を有するアルコール、ジオールまたはポリオールおよびそのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルもしくはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルもしくはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルおよび類似の生成物、さらに低炭素数を有するアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、特に、有利には二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から、特に有利にはポリアクリレート、好ましくはいわゆるカルボポール、例えばそれぞれの場合単独または組合せで、カルボポール等級980、981、1382、2984、5984からなる群からのポリアクリレートからなる群から選択されてもよい1種以上の増粘剤を含む。
【0161】
特に、上記の溶媒の混合物を使用する。アルコール溶媒の場合、水が他の構成物質であってもよい。
【0162】
本発明によるエマルジョンは有利であり、例えば、このタイプの配合物に通常使用される前記の脂肪、油、ワックスおよびその他の脂肪物質、ならびに水および乳化剤を含む。
【0163】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は親水性界面活性剤を含む。
【0164】
親水性界面活性剤は、アルキルグルコシド、ラクチル酸アシル、ベタインおよびカカオ脂アンホ酢酸からなる群から好ましくは選択される。
【0165】
アルキルグルコシドはそれ自体、構造式
【0166】
【化10】

【0167】
[式中、Rは、炭素原子4から24個を有する分枝状または非分枝状のアルキル基を表し、値DPは、最大2のグルコシル化の平均度合を示す]
で識別されるアルキルグルコシドからなる群から有利に選択される。
【0168】
値DPは、本発明に従って使用したアルキルグルコシドのグルコシル化度を表し、
【0169】
【数1】

【0170】
[式中、p1、p2、p3…piは、1、2、3…i倍のグルコシル化生成物の割合を重量パーセントで表す]として定義する。1〜2、特に有利には1.1〜1.5、非常に特に有利には1.2〜1.4、特に1.3のグルコシル化度を有する生成物が本発明によって有利に選択される。
【0171】
値DPは、アルキルグルコシドが一般に、それらの調製の結果として、モノグルコシドとオリゴグルコシドとの混合物の形態である事実を考慮する。典型的には40〜70重量%程度の比較的高含量のモノグルコシドが本発明によって有利である。
【0172】
本発明に従って特に有利に使用されるアルキルグルコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドからなる群から選択される。
【0173】
同様に、天然もしくは合成の原料および助剤、または本発明に従って使用された活性成分、例えばプランタレン(登録商標)1200(ヘンケルKGaA)、オラミックス(登録商標)NS10(Seppic)の有効含量で識別される混合物を用いることも有利である。
【0174】
アシルラクチレートはそれ自体、構造式
【0175】
【化11】

【0176】
[式中、R1は、炭素原子1から30個を有する分枝状または非分枝状のアルキル基を表し、M+は、アルキル金属イオンからなる群、ならびに1個もしくは複数のアルキルおよび/または1個もしくは複数のヒドロキシアルキル基で置換された、あるいは半当量のアルカリ土類金属イオンに対応するアンモニウムイオンからなる群から選択される]
で識別される物質からなる群から有利に選択される。
【0177】
例えば、ラクチル酸イソステアリルナトリウム、例えばアメリカンイングレディエンツ社製の製品パチオニック(登録商標)ISLが有利である。
【0178】
ベタインは、構造式
【0179】
【化12】

【0180】
[式中、R2は、炭素原子1から30個を有する分枝状または非分枝状のアルキル基を表す]
で識別される物質からなる群から有利に選択される。
【0181】
2は特に有利には、炭素原子6から12個を有する分枝状または非分枝状のアルキル基を表す。
【0182】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばゴールドシュミットAG製の製品テゴ(登録商標)ベタイン810が有利である。
【0183】
本発明に従って有利に選択されるカカオ脂アンホ酢酸は、例えば名称ミラノール(登録商標)ウルトラC32でミラノールケミカル社から入手可能なカカオ脂アンホ酢酸ナトリウムである。
【0184】
本発明による組成物は有利には、親水性界面活性剤が、それぞれの場合組成物の総重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とする。
【0185】
使用については、本発明による化粧品組成物および皮膚科学的組成物は、皮膚および/または毛髪に適切な量を化粧品の通常の方法で施用する。
【0186】
本発明による化粧品組成物および皮膚科学的組成物は、種々の形態で存在してよい。したがって、例えば溶液、水を含まない組成物、油中水(W/O)型または水中油(O/W)型のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)型のマルチプルエマルジョン、ゲル、固形スティック、軟膏またはエアロゾルであってよい。カプセル化形態、例えばコラーゲンマトリックスおよびその他の従来のカプセル化材料中、例えばセルロースカプセルとして、ゼラチン、ワックスマトリックス中の、またはリポソームカプセル化されたエクトインを加えることも有利である。特に、DE−A4308282に記載のワックスマトリックスが好ましいことが証明されている。好ましいのはエマルジョンである。O/W型エマルジョンは特に好ましい。エマルジョン、W/O型エマルジョンおよびO/W型エマルジョンは従来の方法で得られる。
【0187】
使用できる乳化剤は、例えば公知のW/O型およびO/W型乳化剤である。他の従来の共乳化剤を、本発明による好ましいO/W型エマルジョンで使用することが有利である。
【0188】
本発明によりO/W型エマルジョンに特に好ましいことが証明されている乳化剤は、サゾール製の商品セラルーションCである。
【0189】
本発明に従って有利に選択される共乳化剤は、例えば、主にO/W型乳化剤が飽和基RおよびR’を有する限りにおいて、11〜16のHLB値を有する、非常に特に有利には14.5〜15.5のHLB値を有する物質からなる群からのO/W型乳化剤である。O/W型乳化剤が不飽和基Rおよび/またはR’を有する場合、あるいはイソアルキル誘導体が存在する場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値は、より低くても、より高くてもよい。
【0190】
脂肪アルコールエトキシレートは、エトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)からなる群から選択することが有利である。特に好ましいのは以下のものである:ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)。
【0191】
脂肪酸エトキシレートは以下の群から選択することがさらに有利である:
ステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(12)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(13)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(15)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(16)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(17)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(18)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(19)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、オレイン酸ポリエチレングリコール(12)、オレイン酸ポリエチレングリコール(13)、オレイン酸ポリエチレングリコール(14)、オレイン酸ポリエチレングリコール(15)、オレイン酸ポリエチレングリコール(16)、オレイン酸ポリエチレングリコール(17)、オレイン酸ポリエチレングリコール(18)、オレイン酸ポリエチレングリコール(19)、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)。
【0192】
有利に使用できるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムである。有利に使用できる硫酸アルキルエーテルは、ラウレス−14硫酸ナトリウムである。有利に使用できるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロールも好結果であることが証明されている。有利に使用できるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)月見草グリセリドである。
【0193】
ラウリン酸グリセリルポリエチレングリコール(20)、ラウリン酸グリセリルポリエチレングリコール(21)、ラウリン酸グリセリルポリエチレングリコール(22)、ラウリン酸グリセリルポリエチレングリコール(23)、カプリン酸/カプリル酸グリセリルポリエチレングリコール(6)、オレイン酸グリセリルポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸グリセリルポリエチレングリコール(20)、オレイン酸グリセリル/ヤシ脂肪酸グリセリルポリエチレングリコール(18)からなる群からのポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することがさらに有利である。
【0194】
同様に、ポリエチレングリコール(20)モノラウリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール(20)モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール(20)モノイソステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール(20)モノパルミチン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール(20)モノオレイン酸ソルビタンからなる群からソルビタンエステルを選択することも好ましい。
【0195】
以下のものは任意選択のW/O型乳化剤として用いることができるが、やはり本発明に従って有利であり得るものである:
炭素原子8から30個を有する脂肪アルコール、C原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、C原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、C原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルコールのモノグリセロールエーテル、C原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルコールのジグリセロールエーテル、C原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、ならびにC原子8から24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状のアルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0196】
特に有利なW/O型乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、チミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルである。
【0197】
本発明に従って好ましい組成物は、ヒトの皮膚をUV誘導型の老化プロセスから、および酸化ストレス、即ち、例えば日光、熱またはその他の影響によって生じるフリーラジカルによって引き起こされるダメージから保護するのに特に適している。この関係で、それらはこの用途に通常使用される種々の応用形態である。例えば、それらは特に、ローションまたはエマルジョンの形態、例えばクリームまたはミルク(O/W型、W/O型、O/W/O型、W/O/W型)の形態、油性アルコール、油性−水性または水性−アルコール性ゲルまたは溶液の形態、固形スティックの形態であってよく、あるいはエアロゾルとして配合してもよい。
【0198】
この組成物は、このタイプの組成物に通常使用される化粧品アジュバント、例えば増粘剤、軟化剤、保湿剤、表面活性剤、乳化剤、保存料、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体または皮膚を着色する染料および/または顔料、ならびに化粧品に通常使用されるその他の成分を含んでもよい。
【0199】
使用する分散剤または可溶化剤は、油、ワックスもしくはその他の脂肪物質、低級モノアルコールもしくは低級ポリオール、またはその混合物であることができる。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールには、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールがある。
【0200】
本発明の好ましい実施形態は、保護クリームまたはミルクの形態のエマルジョンであり、これは式Iの化合物の他に、例えば脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成油またはワックス、ならびに水の存在下で乳化剤を含む。
【0201】
さらに好ましい実施形態は、天然もしくは合成油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドをベースとする油性ローション、あるいは低級アルコール、例えばエタノール、またはグリコール、例えばプロピレングリコール、および/またはポリオール、例えばグリセロール、および油、ワックスおよび脂肪酸エステル、例えば脂肪酸のトリグリセリドをベースとする油性−アルコール性ローションである。
【0202】
本発明による組成物はまた、1種以上の低級アルコールまたはポリオール、例えばエタノール、プロピレングリコールまたはグリセロール、および増粘剤、例えばケイ藻土を含むアルコール性ゲルの形態であってもよい。油性アルコール性ゲルはまた、天然または合成の油またはワックスを含む。
【0203】
固形スティックは、天然または合成のワックスおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン、ならびにその他の脂肪物質からなる。
【0204】
組成物をエアロゾルとして配合する場合、通常の噴射剤、例えばアルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンが一般に使用される。
【0205】
化粧品組成物はまた、毛髪を光化学ダメージから保護して、変色、脱色または機械的性質のダメージを防ぐように使用できる。この場合、適切な配合物は、洗い流すタイプのシャンプー、ローション、ゲルまたはエマルジョンの形態であり、本願の組成物は、シャンプーの前または後、カラーリングまたはブリーチングの前または後、あるいはパーマの前または後に施用する。毛髪のスタイリングおよびトリートメントのためのローションまたはゲルの形態、ブラッシングまたはウォーターウェーブをかけるためのローションまたはゲルの形態、毛髪用のヘアラッカー、パーマ用組成物、着色剤またはブリーチ剤の形態の組成物を選択することも可能である。遮光性を有する組成物は、このタイプの組成物に使用される種々のアジュバント、例えば表面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存料、フォーム安定化剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、油、ワックス、抗グリース剤、組成物自体または毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいはヘアケアに通常使用されるその他の成分を含んでもよい。
【0206】
実施例を参照しながら、本発明をより詳細に以下で説明する。
【実施例】
【0207】
実施例1a ナノTiO2の調製
メタチタン酸と水酸化ナトリウム溶液との反応で得たチタン酸ナトリウム710ml(含量:1l当たり140gのTiO2)を水100mlで希釈し、塩酸をpH2.2〜2.6で加えることによって分解し、二酸化チタン(ルチル)を形成する。分解によって得たこの二酸化チタンナノ粒子を、30%の塩酸115mlを加えて解膠し、水をさらに加えて最終体積を1000mlにする。解膠は密封ガラスフラスコ中105℃で2時間にわたって実施する。生成物は針形状の微結晶である(図1)。
【0208】
実施例1b ナノTiO2の調製
解膠が完了した後、実験1aから得た実験生成物を圧力容器中、温度180℃で2時間、さらなる熱水処理にかける。得られる生成物は楕円形の微結晶である(図2)。
【0209】
実施例2a:ナノTiO2のSiO2による被覆
実施例1bからのTiO2の水性塩酸懸濁液1lを、NaOHを使用してpH6.5にし、80℃に加熱する。続いて、水ガラス溶液52ml(1l当たり384gのSiO2に相当)をこの懸濁液に一定のpH(pH=6.5±0.5;H2SO4を加えて調節)で加える。添加が完了したら、混合物をpH=6.8、80℃で2時間撹拌する。続いて、生成物を洗浄して導電率を100μS/cm未満にし、乾燥する。
【0210】
実施例2b:ナノTiO2のSiO2による被覆
実施例1bからのTiO2の水性塩酸懸濁液1lを、NaOHを使用してpH9.0にし、80℃に加熱する。続いて、水ガラス溶液52ml(1l当たり384gのSiO2に相当)をこの懸濁液に一定のpH(pH=9.0±0.5;H2SO4を加えて調節)で加える。添加が完了したら、混合物をpH=6.8、80℃で2時間撹拌する。続いて、生成物を洗浄して導電率を100μS/cm未満にし、乾燥する。
【0211】
実施例2c:ナノTiO2のSiO2による被覆
実施例1bからのTiO2の水性塩酸懸濁液1lを、NaOHを使用してpH2.0にし、80℃に加熱する。続いて、水ガラス溶液52ml(1l当たり384gのSiO2に相当)をこの懸濁液に一定のpH(pH=2.0±0.5;H2SO4を加えて調節)で加える。添加が完了したら、混合物をpH=6.8、80℃で2時間撹拌する。続いて、生成物を洗浄して導電率を100μS/cm未満にし、乾燥する。
【0212】
実施例2d:ナノTiO2のSiO2による被覆
実施例1bからのTiO2の水性塩酸懸濁液1lを、NaOHを使用してpH9.0にし、80℃に加熱する。続いて、水ガラス溶液52ml(1l当たり384gのSiO2に相当)をこの懸濁液に加える。この添加の間、pHは約10.6に上昇する。添加が終了したら、硫酸を加えてpHを6.5に下げ、次いで混合物をpH=6.8、80℃で2時間撹拌する。続いて、生成物を洗浄して導電率を100μS/cm未満にし、乾燥する。
【0213】
実施例3:TiO2および4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンを含む遮光組成物の調製
配合例6(さらに以下を参照)に相当する配合物を、以下の二酸化チタンの等級を使用して調製する
実施例3a:本発明の実施例2aによる二酸化チタン
実施例3b:アルミニウム含有被覆を有する二酸化チタン(商品MT100Z;Tayca)
配合物中の4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンの含量をHPLCにより、種々の条件下で配合物を保存した後のこの化合物の保存安定性の尺度として判定する。
試料の調製:
均質化した配合物約0.1gを分析精度で100mlの容量フラスコに量り入れ、水約10mlで分散させ、続いてメタノールで測定指標にする。
ファクター試料の重量:
4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン約30mgを量り、分析精度で100mlの容量フラスコに量り入れ、メタノールで測定指標にする。この溶液10.0mlを100mlの容量フラスコ中、メタノールで測定指標にする。ファクター溶液に相当する。
クロマトグラフィー条件:
カラム:Superspher 100 RP18e;125−4、Cat.1.16855
カラム温度:25℃
溶離液:メタノール/混合物A(20:80v/v) 1.5ml/分
混合物A:酢酸アンモニウム溶液1l=0.005mol/lと2mlの酢酸100%の混合物
勾配:定組成
検出:波長可変UV検出器;320nm
計量:10μlの計量ループ
機器:例えばHewlett−Packard System 1100液体クロマトグラフ
評価:外部標準法による領域評価
測定は以下の時間に実施した:
A:配合物調製直後
B:4週間室温において暗所で保存後
C:4週間5℃において暗所で保存後
D:4週間40℃において暗所で保存後
E:12週間室温において暗所で保存後
F:12週間5℃において暗所で保存後
G:12週間40℃において暗所で保存後
結果を図3で示す。比較例3bの4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンの含量は4週間高温における暗所での保存後既に低下しているが、本発明による実施例では低下は現れていないことが分かる。12週間保存後でさえ、4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンの含量の変化は本発明の実施例ではわずかのみであり、一方、比較例(40℃の暗所)ではかなりの低下が観察されている。
【0214】
同じ結果が、実施例2b、2cおよび2dの生成物から得られる。
【0215】
実施例4:UV照射による化粧品配合物の変色試験
配合例6で記載の通りに配合物を調製する。各場合、配合物は本発明による実施例2a〜dの二酸化チタンを含み、一方、比較試料にはトリメトキシオクチルシラン被覆を有する市販の二酸化チタン(ウビヌル(商標)TiO2;BASF)を用いる。
【0216】
各配合物3gをPMMAペトリ皿に置き、58分間日光試験(キセノンランプによるSuntest CPS;ソーラー標準フィルター+試料保護用カバーシート(放射を≧290nmに制限);UVセンサー付Radialux)において、最大照射強度87W/m2(UV領域)=2MEDスキンタイプII(500J/m2に相当)で照射する。
【0217】
照射の前後に試料を視覚的に評価する:
2MED前 後
実施例2aによる二酸化チタンで 白色 白色
実施例2bによる二酸化チタンで 白色 白色
実施例2cによる二酸化チタンで 白色 白色
実施例2dによる二酸化チタンで 白色 白色
比較物質で 白色 帯黄色
【0218】
実施例5:化粧品組成物における結晶形成
表に挙げた二酸化チタンを下記の製法に従って記載した配合物に入れ、調製直後および12週間室温で保存後に顕微鏡で調べる。配合物は3カ月、RT/5℃/40℃での保存および−5℃/40℃でのロッキング試験で安定である。
【0219】
【表3】

【0220】
実施例2aと同じ結果が、実施例2b、2cおよび2dの生成物で得られる。
配合物:
原料(INCI) %

二酸化チタン(実施例2a) 4.00
メトキシケイ皮酸オクチル 6.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.00
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30 2.00
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30 4.00
C12〜15安息香酸アルキル 6.00
イソヘキサデカン 6.00
シクロメチコーン 2.00
微結晶ワックス 2.00
PVP/エイコセンコポリマー 1.00
酢酸トコフェリル 1.00

グリセリン 3.00
塩化ナトリウム 0.40
プロピレングリコール(および)ジアゾリジニル尿素および)
メチルパラベン(および)プロピルパラベン 0.50
水 67.10
調製:
二酸化チタンを除いて相Aを合わせ、80℃に加熱する。その熱い油相に二酸化チタンを撹拌しながらゆっくりと加え、4に設定したハンドミキサーで30秒間均質化する。相Bを80℃に加熱し、撹拌しながら相Aにゆっくりと加え、1分間約60℃で4に設定したハンドミキサーで均質化し、冷却し、撹拌によって脱気する。
【0221】
実施例6:化粧品配合物の保存中の変色
配合例6に相当する配合物を、以下の等級の二酸化チタンで調製する
実施例6a:本発明の実施例2aによる二酸化チタン
実施例6b:アルミニウム含有被覆を有する二酸化チタン(商品MT100Z;Tayca)
実施例6c:市販の二酸化チタン(商品T−805;Degussa)
配合物を3カ月50℃において暗所で保存する。続いて、試料を石英カバーを有するプラスチックの試料ホルダー中CE7000比色計(Gretag−Macbeth)で、硫酸バリウムで内側を覆ったウルブリヒト球を使用して測定する(測定光学:拡散;8°;光源C、標準観測者、光沢なし)。測定値をL***システム(CIELab、DIN6174)に従って評価する。測定値を以下の表および図4で示す。
【0222】
【表4】

【0223】
本発明による二酸化チタンを含む試料6aの変色は、3カ月の保存後、市販の二酸化チタンの等級を含む2種の試料の変色よりもかなり少ない。
【0224】
配合例1:柔らかい日焼け止めクリーム(O/W型)
SPF6(日焼け防止指数、被験者5人によるコリパ法)
原料(INCI) 重量%

実施例2aの生成物 3.00
ステアレス−10、ステアレス−7、ステアリルアルコール 2.00
ステアリン酸グリセリル、セテス−20 2.00
ステアリン酸グリセリル 3.00
マイクロワックス 1.00
オレイン酸オレイル 6.00
オクタン酸セテアリル 14.00
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 4.00
プロピルパラベン 0.05

プロピレングリコール 4.00
アラントイン 0.20
水 60.60
メチルパラベン 0.15
【0225】
調製:
相Aおよび相Bを80℃に加熱する。相Bを相Aに、撹拌しながらゆっくりと加え、均質化し、撹拌しながら冷却する。
配合例2:日焼け止めスプレーローション(O/W型)
SPF18(日焼け防止指数、AMA Laboratories、Inc.、米国、被験者5人による)
原料(INCI) %

メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、BHT 5.00
実施例2bの生成物 4.00
ステアリン酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリン酸PEG−75、
セテス−20、ステアレス−20 3.30
PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル 0.50
ジイソステアロイルトリメチロールプロパン 1.50
シロキシシリケート
1215安息香酸アルキル 3.00
アジピン酸ジオクチル 4.00
ジメチコーン 2.00

リン酸ジメチコーンコポリオール 2.50
ブチレングリコール 2.50
水 70.50

PPG−1トリデセス−6、ポリクオタニウム−37、
ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール 0.47

プロピレングリコール、DMMDMヒダントイン、メチルパラベン、
プロピルパラベン 0.73
【0226】
調製:
二酸化チタンを除いて相Aを合わせ、60℃に加熱する。その溶融した油相に二酸化チタンをゆっくりと加える。相Bを60℃に加熱し、次いで相Cを撹拌しながらそこに分散させる。高エネルギーを投入しながら相Aを相B/Cに撹拌しながら入れる。撹拌しながら冷却し、相Dを40℃で加える。均質化し、撹拌しながら25℃に冷却する。
配合例3:柔らかい日焼け止めクリーム(O/W型)
SPF23(日焼け防止指数、被験者5人によるコリパ法)
原料(INCI) %

実施例2cの生成物 10.00
ステアレス−10、ステアレス−7、ステアリルアルコール 3.00
ステアリン酸グリセリル、セテス−20 3.00
ステアリン酸グリセリル 3.00
マイクロワックス 1.00
オレイン酸オレイル 4.00
オクタン酸セテアリル 10.50
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 4.00
プロピルパラベン 0.05

プロピレングリコール 4.00
アラントイン 0.20
水 57.10
メチルパラベン 0.15
【0227】
調製:
相AおよびBを80℃に加熱する。相Bを相Aに撹拌しながらゆっくりと加え、均質化し、撹拌しながら冷却する。
配合例4:日焼け止めローション(O/W型)
原料(INCI) %

メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、BHT 6.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.00
ジステアリン酸ポリグリセリル−3メチルグルコース 4.00
ステアリン酸エチルヘキシル 8.00
イソノナン酸セテアリル 2.00
PVP/エイコセンコポリマー 1.00
酢酸トコフェリル 1.00

キサンタンガム 0.30
セテアリル硫酸ナトリウム 1.00
グリセリン 5.00
水 65.70

実施例2aの生成物 4.00

フェノキシエタノール、ブチルパラベン、エチルパラベン、
プロピルパラベン、メチルパラベン 1.00
【0228】
調製:
相Aを80℃に加熱する。相Bのケルトールを水中で予め膨潤させ、次いで残りの原料を加え、80℃に加熱する。相Aを相Bに加え、2分間均質化する(ロッドミキサー);撹拌しながら冷却し、相Cを35℃で加える。再び1分間均質化する(ロッドミキサー)。室温に冷却し、相D中で撹拌する。
配合例5:日焼け止めローション(O/W型)
生体内SPF17±3(被験者10人によるコリパ法)
原料(INCI) %

実施例2dの生成物 5.00
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、BHT 5.00
ステアリン酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリン酸PEG−75、
セテス−20、ステアレス−20 3.30
PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル 0.50
ジイソステアロイルトリメチロールプロパンシロキシシリケート
1.50
C12〜15安息香酸アルキル 3.00
アジピン酸ジオクチル 4.00
ジメチコーン 2.00

エクトイン 0.10
アラントイン 0.20
リン酸ジメチコーンコポリオール 2.50
ブチレングリコール 2.50
水 68.90

PPG−1トリデセス−6、ポリクオタニウム−37、
ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール 0.47

プロピレングリコール、DMMDMヒダントイン、
エチルパラベン 0.73
香料 0.30
【0229】
調製:
二酸化チタンを除いて相Aを合わせ、60℃に加熱する。その溶融した油相に二酸化チタンをゆっくりと加える。相Bを60℃に加熱し、次いで相Cを撹拌しながらそこに分散させる。激しく撹拌しながら相Aを相B/Cに入れる。撹拌しながら冷却し、相Dを40℃で加える。均質化し、撹拌しながら25℃に冷却する。
配合例6:日焼け止めローション(O/W型)
原料(INCI) %

実施例3aまたは3bの生成物 5.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 3.00
ステアレス−10、ステアレス−7、ステアリルアルコール 3.00
ステアリン酸グリセリル、セテス−20 3.00
ステアリン酸グリセリル 3.00
マイクロワックス 1.00
オレイン酸オレイル 4.43
オクタン酸セテアリル 11.64
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 4.43
プロピルパラベン 0.05

プロピレングリコール 4.00
アラントイン 0.20
水 57.10
メチルパラベン 0.15
【0230】
調製:
相AおよびBを80℃に加熱する。相Bを相Aに撹拌しながらゆっくりと加え、均質化し、撹拌しながら冷却する。
配合例7:日焼け止めローション(O/W型)
SPF10(日焼け防止指数、被験者10人によるコリパ法)

ステアレス−10、ステアレス−7、ステアリルアルコール 3.00
ステアリン酸グリセリル、セテス−20 3.00
オクタン酸セテアリル 15.50
ステアリン酸グリセリル 3.00
オレイン酸オレイル 7.00
マイクロワックス 1.00
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 6.00
プロピルパラベン 0.05

実施例2aの生成物の33%の水性分散液 16.70
プロピレングリコール 4.00
アラントイン 0.20
水 40.40
メチルパラベン 0.15
【0231】
調製:
相Aを75℃に加熱し、相Bを80℃に加熱する。相Bを相Aに撹拌しながらゆっくりと加え、均質化し、撹拌しながら冷却する。
配合例8:日焼け止めスプレーローション(O/W型)
SPF31(日焼け防止指数、AMAラボラトリーズにおける被験者5人によるFDA法)

実施例2dの生成物 5.00
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、BHT 7.50
ベンゾフェノン−3 2.50
ステアリン酸PEG−100、ステアリン酸グリセリル 2.80
PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル 0.40
ジカプリルエーテル 4.50
ステアレス−10 0.50
ステアリルアルコール 0.60
ジメチコーン 2.00

リン酸ジメチコーンコポリオール 2.50
グリコール酸キトサン 2.00
グリセリン 2.50
水 66.10

PPG−1トリデセス−6、ポリクオタニウム−37、
ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール 0.40

プロピレングリコール、DMMDMヒダントイン、
メチルパラベン、プロピルパラベン 0.70
【0232】
調製:
二酸化チタンを除いて相Aを合わせ、60℃に加熱する。その溶融した油相に二酸化チタンをゆっくりと加える。相B−1を60℃に加熱し、次いで相B−2を撹拌しながらそこに分散させる。高エネルギーを投入しながら相Aを相Bに撹拌しながら入れる。撹拌しながら冷却し、相Cを40℃で加える。均質化し、撹拌しながら25℃に冷却する。
配合例9:日焼け止めクリーム、高SPF、ユーソレックス(登録商標)UV−パールス(商標)OMCにより耐水性(O/W型)、生体外SPF(ディフェイ法)64±12、UVA−PF17

水 38.30
グリセリン 3.00
ペンチレングリコール 3.00
PVP/ヘキサデデセンコポリマー 1.00
セテアリル硫酸ナトリウム 1.00
キサンタンガム 0.20

ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、
ステアロイルラクチル酸ナトリウム、トコフェロール 5.00
トリ−C12〜13クエン酸アルキル 3.50
イソプロピルフタルイミド、ブチルフタリド 5.00
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 2.50
C12〜15安息香酸アルキル 2.00
シクロメチコーン 0.80
酢酸トコフェリル 1.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.00
ベンゾフェノン−3 2.00
実施例2aの生成物 4.00

水、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、シリカ、PVP、
クロルフェネシン、BHT(ユーソレックスUVパールOMC)
20.00

カルボマー 0.15
水 4.85

水酸化ナトリウム 0.90

フェノキシエタノール、ブチルパラベン、エチルパラベン、
プロピルパラベン、メチルパラベン 0.50
香料 0.30
【0233】
調製:
相AおよびBを互いに別個に80℃に加熱する。Thurraxを使用して顔料がよく湿潤するまで相Bを均質化する。相Bを相Aに加え、2分間均質化する。35℃に冷却し、相Cを加え、30秒間均質化する。相Dを加え、30秒間均質化する。相Eを入れて撹拌し、相Fを使用して中和し、顔料が十分に分散するまで均質化する(顕微鏡で確認!)。室温に冷却し、脱気し、相Gを入れて撹拌する。
配合例10:日焼け防止ローション(PEGなし)
生体外SPF(ディフェイ)12±2
原料(INCI) %

C12〜15安息香酸アルキル 3.00
ヤシ脂肪酸デシル 4.00
パルミチン酸エチルヘキシル 3.00
ステアリン酸グリセリル 0.50
ステアリン酸 0.50
酢酸トコフェリル 0.50

セテアリルグルコシド 1.50
プロピレングリコール 2.00
グリセリン 1.00
水 76.80

実施例2aの生成物 5.00

カルボマー 0.20
鉱物油(鉱油) 0.80

水酸化ナトリウム 0.50

プロピレングリコール、ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、
プロピルパラベン 0.50
香料 0.20
【0234】
調製:
相AおよびBを別個に80℃に加熱する。相Aを相Bに撹拌しながら加える。相Cをそのエマルジョンに40℃で撹拌しながら入れ、顔料の分散が最適になるまで均質化する。相Dを35℃で加え、再び簡単に均質化する。相Eを加え、pHを確認し、再び簡単に均質化する。相Fを加え、冷却するまで撹拌する。
配合例11:W/O型日焼け止めローション
無機フィルターあり、生体外SPF(ディフェイ法)8.7±1.6、UVA−PF4.4±0.5
原料(INCI) %

セチルPEG/PPG−10/1ジメチコーン 2.50
ステアロキシジメチコーン 0.25
ステアリン酸エチルヘキシル 12.75
パルミチン酸エチルヘキシル 8.00
イソヘキサデカン 7.00
水素添加ヒマシ油 0.50
セレシン(微結晶ワックス) 1.00

実施例2bの生成物 5.00

水 62.00
塩化ナトリウム 0.50
プロピレングリコール、ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、
プロピルパラベン 0.50
【0235】
調製:
相Aを80℃に加熱する。二酸化チタン(相B)をその熱い油相に注意深く入れる。相Cを相A/Bに撹拌しながら(500rpm、(Mig撹拌機)ゆっくりと加える。2分間1600rpmで均質化する。約40℃に撹拌しながら(約300rpm)冷却し、2分間1600rpmで再び均質化する。
配合例12
実施例2a、2b、2cまたは2dの二酸化チタン(表中、各場合、二酸化チタンと呼ぶ)を用いて同様に得られる化粧品組成物の実例配合を以下に示す。さらに、市販の化合物のINCI名を示す。
【0236】
UV−パール、OMCはINCI名:
水、エチルへキシルメトキシシンナメート、シリカ、PVP、クロロフェネシン、BHTを含む組成物を表す;この組成物は、名称ユーソレックス(登録商標)UVパール(商標)OMCでメルクKGaA、ダルムシュタットから市販されている。
【0237】
表で示したその他のUV−パールはそれぞれ、示したUVフィルターでOMCを置き換えた類似の組成物を有する。
【0238】
【表5−1】

【0239】
【表5−2】

【0240】
【表5−3】

【0241】
【表6−1】

【0242】
【表6−2】

【0243】
【表6−3】

【0244】
【表7−1】

【0245】
【表7−2】

【0246】
【表7−3】

【0247】
配合例13:日焼け止めスプレー
A)セラルーション(登録商標)C;サソール 15.0%
B)実施例2aによる生成物 5.0%
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 4.8%
サリチル酸エチルヘキシル 4.8%
酢酸トコフェリル 0.6%
シクロメチコーン 1.0%
C12〜15安息香酸アルキル 2.5%
サリチル酸トリデシル 2.5%
C)水(アクア)、脱イオン 38.3%
4%のAvicel CL611(微結晶セルロース(および)セルロースガム)を含む水(アクア)、脱イオン 25.0%
D)フェノキシエタノール(および)メチルパラベン(および)エチルパラベン(および)ブチルパラベン(および)プロピルパラベン(および)イソブチルパラベン)
0.5%
E)香料 適量
【0248】
調製:相Bを相Aに室温で撹拌しながらゆっくり加える。次いで相Cを加える。続いて、相DおよびEを加える。
【0249】
INCIセラルーション(登録商標)C:
アクア(および)カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド(および)グリセリン(および)セテアレス−25(および)ジココイルエチレンジアミンPEG−15硫酸ナトリウム(および)ラウロイルラクチル酸ナトリウム(および)ベヘニルアルコール(および)ステアリン酸グリセリル(および)クエン酸ステアリン酸グリセリル(および)アラビアガム(および)キサンタンガム(および)フェノキシエタノール(および)メチルパラベン(および)エチルパラベン(および)ブチルパラベン(および)イソブチルパラベン
【0250】
配合例14:日焼け止めローション(O/W型);SPF7.6(日焼け防止指数、ディフェイ法)
A %
ステアリルアルコール(および)ステアレス−7
(および)ステアレス−10 3.00
ステアリン酸グリセリル(および)セテス−20 3.00
オクタン酸セテアリル 15.50
ステアリン酸グリセリル 3.00
オレイン酸オレイル 7.00
マイクロワックス 1.00
カプリル/カプリン酸トリグリセリド 6.00

実施例2cの生成物 5.00
プロピレングリコール 4.00
保存料 適量
脱塩水 100.00まで
【0251】
調製:
二酸化チタンを相Bに撹拌しながら入れ、80℃に加熱する。相Aを75℃に加熱する。相Bを相Aに撹拌しながらゆっくりと加え、均質化し、撹拌しながら冷却する。
【0252】
配合例15:有機フィルターなしのサンクリーム(W/O型);生体外 SPF(ディフェイ)32+/−5
原料 INCI[%]

脱塩水 53.40
ポリエチレングリコール400 PEG−8 4.00
ぺムレンTR−1 アクリレート/C10−30アルキルアクリレート
クロスポリマー 0.20
水酸化ナトリウム溶液、10% 0.90
ステファン−マイルドRM−1 ナトリウムステアリルフタラメート
1.00
B1
セラフィル368 エチルへキシルパルミテート 10.00
酸化亜鉛 ZINC OXIDE 3.00
イムウィッター900 グリセリルステアレート 0.50
ホホバ油 バクシウスチャイナンシス 1.00
B2
ゲルマベンII ポリエチレングリコール、ジアゾリジニル、尿素、
メチルパラベン、プロピルパラベン 1.00
テゴソフトTN C12−15アルキルベンゾエート 15.00
アンタロンV−216 PVP/ヘキサデセンコポリマー 2.00
実施例2dの生成物 8.00
【0253】
調製:
1.水を加熱手段および撹拌機を備えた容器(例えば、ユーロスターデジタルミキサー、IKA)に入れる。
2.PEG−400を加え、ペムレンTR−1を水相に撹拌しながら均一に行きわたるまで入れる。
3.ペムレンTR−1を活性化させるために水酸化ナトリウム溶液を加え、透明なゲルが形成するまで撹拌する。
4.水相を72〜75℃に加熱する。
5.ステファンマイルドRM1を70℃、低撹拌機速度で入れ、70〜72℃に加熱する。この温度で少なくとも15分間、ステファンマイルドRM1がよく行きわたるまで撹拌する。
6.油相を別の容器で調製し、75℃に加熱する。イムビター900およびホホバ油を60℃で加える。加熱を続け、油相Bを水相に75℃、高撹拌機速度で加え、撹拌を10分間続ける。
7.油相B2を他の容器で調製する。テゴソフトTNおよびアンタロンV−216を85℃に加熱する。二酸化チタンを75℃で加え、良好に顔料が行きわたるまで20分間分散させ、必要ならば均質化する。油相B2をエマルジョンに点6から加え、乳化を72〜75℃で20〜25分間続ける。
9.穏やかな撹拌機力をかけながら冷却を開始する。
10.ゲルマベンIIを<40℃で撹拌しながら加える。
11.U−Turax中、5分間5000rpm、t<35℃で均質化する。
13.室温に冷却し、脱気する
14.終夜静置し、翌日パッケージする
【図面の簡単な説明】
【0254】
【図1】実施例1aで製造した二酸化チタン微結晶の透過電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例2aで製造した二酸化チタン微結晶の透過電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3で記載の通りの保存状態の関数としての二酸化チタンを含む配合物中の4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン(BMDBM)の含量を示すグラフである。BMDBMの初期濃度3%;(実施例3aは本発明による実施例;実施例3bは比較例)測定点:A:配合物調製直後B:4週間室温において暗所で保存C:4週間5℃において暗所で保存D:4週間40℃において暗所で保存E:12週間室温において暗所で保存F:12週間5℃において暗所で保存G:12週間40℃において暗所で保存
【図4】実施例6で記載の通り、3カ月間50℃において暗所で保存した後の化粧品配合物のb*値(L***システム;CIELab、DIN6174)を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化金属ナノ粒子を熱水処理し、次いで二酸化ケイ素被覆を適用することによって得られることを特徴とする、二酸化ケイ素被覆を有するUV保護ナノ粒子。
【請求項2】
酸化金属が本質的に、鉄でドープされていてもよい二酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載のUV保護ナノ粒子。
【請求項3】
シェラー法で判定したUV保護ナノ粒子中の酸化金属ナノ粒子の結晶子径が、5nmから100nmの範囲、好ましくは8から50nmの範囲、特に好ましくは25nm未満であり、透過電子顕微鏡で判定した酸化金属ナノ粒子の寸法が、長さ5から150nm、幅5から60nm、好ましくは長さ20から60nmの範囲、幅8から30nmの範囲であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子。
【請求項4】
二酸化ケイ素被覆が、UV保護ナノ粒子に対して5から50重量%、好ましくは8から30重量%、特に好ましくは12から20重量%であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子。
【請求項5】
シェラー法で判定したUV保護ナノ粒子の粒径が、5nmから100nmの範囲、好ましくは8から50nmの範囲、特に好ましくは25nm未満であり、透過電子顕微鏡で判定したUV保護ナノ粒子の寸法が、長さ5から160nm、幅10から70nm、好ましくは長さ30から70nmの範囲、幅18から40nmの範囲であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子。
【請求項6】
a)酸化金属ナノ粒子を熱水処理し、
b)次いで二酸化ケイ素被覆を適用する
ことを特徴とするUV保護ナノ粒子の調製方法。
【請求項7】
二酸化チタンナノ粒子をステップa)の熱水処理することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
密封容器中、40から360℃の範囲、好ましくは80から220℃の範囲、特に好ましくは140から200℃の範囲の温度でステップa)を実施することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
水ガラス溶液を酸化金属の懸濁液に好ましくは加えるゾルゲル法としてステップb)を実施することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項10】
pH2からpH11の範囲、好ましくはpH=5からpH=8の範囲、特に好ましくはpH=6からpH=7の範囲で一定に維持したpHでステップb)を実施することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項11】
酸化金属の懸濁液をpH=7からpH=11の値に、次いでpHをpH=5からpH=8に、好ましくはpH=6からpH=7の値に下げる事前のpH調整後に、pHを調整することなくステップb)を実施することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項12】
高温、好ましくは50℃から100℃の範囲の温度でステップb)を実施することを特徴とする請求項6から9の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から5の少なくとも一項に記載の少なくとも1種のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に対応する方法で調製した酸化金属ナノ粒子を含む遮光性を有する組成物。
【請求項14】
局所的に施用できる組成物、好ましくは化粧品配合物または皮膚科学的配合物であることを特徴とする請求項13に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項15】
食品、植物または工業製品を保護するための、繊維、織布、それらの被覆、塗料、被覆システム、フィルム、およびパッケージからなる群より選択された組成物であることを特徴とする請求項13に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の有機UVフィルター、好ましくはジベンゾイルメタン誘導体、特にメトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンおよび/または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体を含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項17】
少なくとも1種のセルフタンニング剤、好ましくはジヒドロキシアセトンまたはジヒドロキシアセトン誘導体を含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項18】
好ましくは式III
【化1】

[式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42から選択され、
Xは、OまたはNHであり、
2は、直鎖状または分枝状のC130アルキル基を表し、
3は、直鎖状または分枝状のC120アルキル基を表し、
4は全て互いに独立して、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC18アルキル基を表し、
5は、H、直鎖状もしくは分枝状のC18アルキル基または直鎖状もしくは分枝状の−O−C18アルキル基を表し、
6は、C18アルキル基を表す]
と一致する少なくとも1種の光安定剤を含み、この光安定剤は特に好ましくは2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸ビス(2−エチルへキシル)であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項19】
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−アミノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ならびにそのカリウム塩、ナトリウム塩およびトリエタノールアミン塩からなる群より好ましくは選択される1種以上の他のUVフィルターを含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項20】
1種以上の酸化防止剤を好ましくは含むことを特徴とする、酸化ストレスから体細胞を保護するのに適する、特に皮膚の老化を減少させるのに適する前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項21】
乳化剤を含まないエマルジョン、好ましくはビッカリングエマルジョンであることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の遮光性を有する組成物。
【請求項22】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子を化粧品としてまたは皮膚科学的に適切な担体および場合により他の成分と混合することを特徴とする組成物の調整方法。
【請求項23】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子の、遮光性を有する組成物を調製するための使用。
【請求項24】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子の、UVフィルターとしての使用。
【請求項25】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子の、UVフィルター、特にジベンゾイルメタンおよびジベンゾイルメタン誘導体またはベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体を安定化するための使用。
【請求項26】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子の、セルフタンニング剤、特にジヒドロキシアセトンまたはジヒドロキシアセトン誘導体を安定化するための使用。
【請求項27】
請求項1から5の少なくとも一項に記載のUV保護ナノ粒子または請求項6から12の少なくとも一項に従って調製したUV保護ナノ粒子の、塗料、被覆システム、フィルム、パッケージ、繊維、織布、およびゴムまたはタイヤもしくは絶縁体などのシリコーンゴム成形品に導入するための使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528706(P2006−528706A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520709(P2006−520709)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007311
【国際公開番号】WO2005/019348
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【出願人】(506024814)ザハトレーベン ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (2)
【氏名又は名称原語表記】SACHTLEBEN CHEMIE GMBH
【Fターム(参考)】