伝導体およびその製造方法
本発明は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体およびその製造方法を提供する。また、本発明は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体およびその製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝導体およびその製造方法に関する。本出願は2009年7月16日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0065103号、第10−2009−0065106号、および2010年7月16日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2010−0069157号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスプレイ装置とはTVやコンピュータ用モニターなどを通称する言葉であって、画像を形成するディスプレイ素子およびディスプレイ素子を支持するケースを含む。
【0003】
前記ディスプレイ素子の例としては、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic display)および陰極線管(Cathode−Ray Tube、CRT)が挙げられる。ディスプレイ素子には、画像実現のためのRGB画素パターンおよび追加的な光学フィルタが備えられることができる。
【0004】
前記光学フィルタは、外部から入射した外光が再び外部に反射することを防止する反射防止フィルム、リモコンのような電子機器の誤作動を防止するためにディスプレイ素子から発生した近赤外線を遮蔽する近赤外線遮蔽フィルム、色調節染料を含み、色調を調節することによって色純度を高める色補正フィルム、およびディスプレイ装置の駆動時にディスプレイ素子から発生する電磁波の遮蔽のための電磁波遮蔽フィルムのうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、電磁波遮蔽フィルムは透明基材および基材上に備えられた金属メッシュパターンを含む。
【0005】
一方、ディスプレイ装置と関連し、IPTVの普及が加速化することにより、リモコンなどの別途の入力装置なしに、人の手が直接入力装置となるタッチ機能に対する必要性が益々大きくなっている。また、特定のポイント認識だけでなく、筆記が可能な多重認識(multi−touch)機能も要求されている。
【0006】
前記のような機能を行うタッチパネルは信号の検出方式によって次のように分類することができる。
【0007】
すなわち、直流電圧を印加した状態で圧力によって押された位置を電流または電圧値の変化によって検知する抵抗膜方式(resistive type)と、交流電圧を印加した状態でキャパシタンスカップリング(capacitance coupling)を利用した静電容量方式(capacitive type)と、磁界を印加した状態で選択された位置を電圧の変化として検知する電子誘導方式(electromagnetic type)などがある。
【0008】
この中、最も普遍化した抵抗膜および静電容量方式のタッチパネルは、ITOフィルムのような透明導電膜を利用して、電気的な接触や静電容量の変化によってタッチ有無を認識する。しかし、前記透明導電膜は、100ohm/square以上の高抵抗であるために大型化時に感度が落ち、スクリーンの大きさが大きくなるほどITOフィルムの価格が急増するという問題があるので商用化が容易ではない。これを克服するために、伝導度の高い金属パターンを用いた方式によって大型化を実現しようとする試みがなされている。
【0009】
上記のように、ディスプレイ装置において、金属パターンを含む電磁波遮蔽フィルムやタッチパネルを含む場合、これらはディスプレイのピクセルパターン、電極パターンまたは他の光学フィルムのパターン構造と共に干渉を引き起こしてモアレ現象をもたらすという問題がある。ここで、モアレ(moire)とは、規則的な2以上のパターンが重なる時に発生する干渉縞を称する言葉である。
【0010】
一例として、プラズマディスプレイパネル(PDP)においては、プラズマディスプレイパネル(PDP)の画素パターンと光学フィルタの電磁波遮蔽用金属メッシュパターンが共存するのでモアレ現象が発生し得る。ここで、一般的にプラズマディスプレイパネル(PDP)の仕様が決定されれば、光学フィルタの金属メッシュのパターン設計を通じてモアレ現象を解消しようとする試みをするようになる。
【0011】
このように、モアレをなくすために、電磁波遮蔽用金属メッシュパターンの線幅、ピッチ(Pitch)および角度を調節するが、ディスプレイの大きさおよびピクセルの実現方式に応じて他のパターンで対応しなければならないという煩わしさがある。
【0012】
特に、最近開発されたプラズマディスプレイパネルは、高解像度を実現するために画素パターンをより細かくしており、これによってモアレの発生可能性がより大きくなった。そこで、既存のパターンの線幅、ピッチ、角度の調節だけではモアレの改善に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明は、視野を遮られず、伝導性に優れるだけでなく、モアレ(moire)現象を防止できるパターンを含む伝導体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施状態は、
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体を提供する。前記電気伝導性パターンと交差する直線は電気伝導性パターンとの交差点の最隣接距離偏差が小さい線であることが好ましい。あるいは、電気伝導性パターンの任意の1点の接線に対して垂直した方向の線であってもよい。
【0015】
本発明のまた他の一実施状態は、透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法を提供する。前記電気伝導性パターンは、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成することができる。
【0016】
本発明のまた他の一実施状態は、
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体を提供する。
【0017】
本発明のまた他の一実施状態は、透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法を提供する。前記電気伝導性パターンは、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成することができる。
【0018】
本発明のまた他の一実施状態は、前記伝導体を含む電磁波遮蔽フィルム、タッチパネル、ディスプレイ、および有機発光素子(OLED)照明を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る伝導体は、視野を遮られず、伝導性に優れるだけでなく、モアレ(moire)現象を防止することができる。また、本発明に係る伝導体は、目的とするパターンを予め定めた後、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法などの多様な方法によって形成することができるので、工程が容易で安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンに任意の直線を描いた状態を示すものである。
【図2】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンに任意の直線を描いた状態を示すものである。
【図3】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図4】オフセット印刷工程を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施状態により、ボロノイダイアグラムジェネレータを用いたパターン形成を例示したものである。
【図6】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図7】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図8】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図9】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図10】本発明の一実施状態により、ドローネパターンジェネレータを用いたパターン形成を例示したものである。
【図11】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図12】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図13】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図14】本発明の一実施状態により、ドローネパターンジェネレータの配置を例示したものである。
【図15】従来技術による伝導体の電気伝導性パターンを示すものである。
【図16】従来技術による伝導体の電気伝導性パターンを示すものである。
【図17】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを用いた伝導体の位置別面抵抗値を測定した結果を例示したものである。
【図18】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを用いた伝導体の位置別面抵抗値を測定した結果を例示したものである。
【図19】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体と従来のPDPフィルタを、各々、42インチのPDP上に5cmの距離を置いておいて重ねた後のモアレの発生有無を角度別に比較した例である。
【図20】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体と従来のPDPフィルタを、各々、42インチのPDP上に5cmの距離を置いておいて重ねた後のモアレの発生有無を角度別に比較した例である。
【図21】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体をPDPの電磁波遮蔽(EMI)フィルタとして用いた時の電磁波遮蔽(EMI)機能を30〜1000MHzの周波数領域で測定した結果を例示したものである。
【図22】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含むタッチスクリーンの構造を例示したものである。
【図23】図22の構造を有する40インチのタッチスクリーンを製作して、タッチスクリーン(Touch screen)の正確性を示す線形性評価を行った結果を従来の透明伝導性基板(ITO)を有するタッチスクリーンの結果と比較して例示したものである。
【図24】実施例で製造された伝導体の黒化処理前後の写真を示すものである。
【図25】本発明の一実施状態による有機発光素子照明用の補助電極の構造を例示したものである。
【図26】本発明の一実施状態による有機発光素子照明用の補助電極の構造を例示したものである。
【図27】線幅およびピッチに応じたモアレ現象を例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0022】
本発明に係る伝導体は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする。
【0023】
または、本発明に係る伝導体は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする。
【0024】
従来技術のように透明前面伝導層を形成する場合には抵抗が高すぎるという問題がある。また、グリッド(grid)方式または線形(linear)方式のように1種類形状の規則的なパターンに形成された電気伝導性パターンを規則的な内部構造、例えば、ピクセル構造を有するディスプレイや、規則的なパターン構造を有する光学フィルムまたは電極構造を含むディスプレイに含ませる場合、これらのパターン構造に隣接した光源によってパターン間の相対的な干渉が起こってモアレ現象が発生するという問題がある。このようなモアレ現象が発生すれば、視覚的な認知性(視認性)が落ちる。したがって、これを解決するために、本発明においては、パターンの規則性がこのようなモアレをもたらすということに着眼して、パターンを不規則にしてモアレが発生することを防止する。
【0025】
本発明においては、上記のように、透明基材の全体面積の30%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することにより、モアレ現象を防止すると同時に優れた電気伝導度と光学的特性を満足させられる伝導体を提供することができる。
【0026】
本発明において、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの隣接する交点間の距離の標準偏差が最も小さい線であることが好ましい。あるいは、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンのある1点の接線に対して垂直した方向に延びた直線であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る伝導体において、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの交点が80個以上であることが好ましい。
【0028】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンは、透明基材の全体面積に対して30%以上であることが好ましい。前記のような電気伝導性パターンが備えられた透明基材の表面の少なくとも一部には他の形態の電気伝導性パターンが備えられることもできる。
【0030】
本発明に係る伝導体において、前記閉鎖図形は少なくとも100個存在することが好ましい。
【0031】
前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
【0032】
面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である閉鎖図形からなるパターンは、透明基材の全体面積に対して30%以上であることが好ましい。前記のような電気伝導性パターンが備えられた透明基材の表面の少なくとも一部には、他の形態の電気伝導性パターンが備えられることもできる。
【0033】
本発明に係る伝導体を画素パターンまたはカラーフィルタパターンのような規則的なパターンを有する装置、例えばディスプレイから5cm以下の距離をおいて配置した後、透明基材に対して垂直な線と0度〜80度の間の角度で前記装置を観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0034】
また、本発明に係る伝導体を電磁波遮蔽(EMI)フィルムとして用いて42インチのPDPを製造した後、電磁波遮蔽(EMI)能力レベルを測定するために、3mの離隔距離において30MHz〜1000MHzの間の周波数領域帯を測定した結果、Class Bレベル以上の電磁波遮蔽(EMI)能力を示すことを確認した。この時、透明基材に対して垂直な線と0度〜80度の間の角度でPDPを観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0035】
また、本発明に係る伝導体を用いて40インチのプロジェクションされたキャパシタンスタイプ(projected capacitance type)のタッチスクリーン(touch screen)を製作した後、タッチスクリーンの正確性を評価するための線形性評価を行った結果、既存のITO基盤のタッチスクリーンに比べてより高い精密性を有するタッチスクリーンを実現することができた。この時、タッチスクリーンに対して垂直な線と0度〜80度の間の角度でタッチスクリーンを観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0036】
一方、パターンが完全に不規則な場合、線の分布において、疎な所と密な所の差が生じ得る。このような線の分布においては、線幅がいくら小さくても目に触れる視覚的な認知性の問題が生じ得るし、伝導体そのものが目的とする用途に必要な要件を満足させられない場合もある。例えば、電磁波遮蔽の用途として用いる場合、パターンが完全に不規則であって、一部パターンの間隔が広すぎると、間隔が広くなったパターンを通じて電磁波の通過が可能であるので不良が発生し得る。また、タッチパネルの用途として用いる場合、パターンの疎密が発生する場合、抵抗または静電容量が不規則に形成され、タッチされる位置が誤って認識される余地がある。このような問題を解決するために、本発明においては、電気伝導性パターンを形成する時、規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、電気伝導性パターンが目に触れたり局部伝導性が発生したりしないように基本単位を定め、その基本単位内で電気伝導性パターンを不規則に形成することができる。このような方法を利用すれば、電気伝導性パターンの分布がある一地点に偏らないようにすることができるので視覚性を補完すると同時に製品の用途に合わせたスペックを満足させることができる。
【0037】
前述したように、伝導体の均一な電気伝導性および視覚性のためにパターンの開口率が単位面積において一定であることが好ましい。前記伝導体は、直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることが好ましい。この場合、前記伝導体は局部的な伝導性を防止することができる。
【0038】
本発明において、前記電気伝導性パターンは直線からなってもよいが、曲線、波線、ジグザグ線などの多様な変形が可能である。また、前記形態の線のうちの少なくとも2種類が混在した形態であってもよい。
【0039】
図1および図2は、本発明の一実施状態による電気伝導性パターンに任意の線を描いた時を示すものである。しかし、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。図1は電気伝導性パターンが互いに交差しない1次元の形態であり、図2は電気伝導性パターンが互いに交差して少なくとも一部領域に閉鎖図形の形態が形成された2次元の形態である。また1つの前記電気伝導性パターンの例を図6に示したが、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0040】
図3は、本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを例示したものである。このようなパターンの面積分布比率は20%以上、例えば20%〜35%である。
【0041】
本発明の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラム(Voronoi diagram)をなす図形の境界線形態であってもよい。
【0042】
本発明において、前記電気伝導性パターンを、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態に形成することによってモアレ現象を防止することができる。ボロノイダイアグラム(Voronoi diagram)とは、満たそうとする領域にボロノイダイアグラムジェネレータ(Voronoi diagram generator)という点を配置すれば、各点が他の点からの距離に比べて該当点との距離が最も近い領域を満たす方式でなされるパターンである。例えば、全国の大型割引店を点で表示し、消費者らは最も近い大型割引店に行くとする時、各割引店の商圏を表示するパターンを例に挙げることができる。すなわち、正六角形で空間を満たし、正六角形の各点をボロノイジェネレータに選定すれば、蜂の巣(honeycomb)構造が前記電気伝導性パターンになり得る。本発明において、ボロノイダイアグラムジェネレータを利用して電気伝導性パターンを形成する場合、他の規則的なパターンとの干渉によって発生するモアレ現象を防止できる複雑なパターン形態を容易に決定できるという長所がある。図3に、ボロノイダイアグラムジェネレータを用いたパターンの形成が示されている。前記導電性パターンの一例を図7〜図9に示すが、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0043】
本発明においては、ボロノイダイアグラムジェネレータの位置を規則または不規則に位置させることによって前記ジェネレータから派生したパターンを利用することができる。
【0044】
電気伝導性パターンを、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態に形成する場合にも、前述したような視覚的な認知性の問題を解決するために、ボロノイダイアグラムジェネレータを生成する時に規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、パターンが入る面積に一定大きさの面積を基本単位(unit)に指定した後、基本単位の中における点の分布が不規則性を有するように点を生成した後にボロノイパターンを製作することもできる。このような方法を利用すれば、線の分布がある一地点に偏らないようにするので視覚性を補完することができる。
【0045】
前述したように、伝導体の均一な伝導性および視覚性のために、パターンの開口率を単位面積において一定にする場合、ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数を調節することができる。この時、ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数を均一に調節する時、前記単位面積は5cm2以下であることが好ましく、1cm2以下であることがより好ましい。前記ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数は25〜2,500個/cm2が好ましく、100〜2,000個/cm2がより好ましい。
【0046】
前記単位面積内のパターンを構成する図形のうちの少なくとも1つは残りの図形とは相異なる形態を有することが好ましい。
【0047】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態であってもよい。具体的には、前記電気伝導性パターンの形態は、ドローネパターンを構成する三角形の境界線形態であるか、ドローネパターンを構成する少なくとも2個の三角形からなる図形の境界線形態であるか、これらの組み合わせ形態である。
【0048】
前記電気伝導性パターンを、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態に形成することにより、光の回折および干渉による副作用を最小化することができる。ドローネパターン(Delaunay pattern)とは、パターンを満たそうとする領域にドローネパターンジェネレータ(generator)という点を配置し、周辺に位置した3個の点を互いに連結して三角形を描くが、三角形の全ての頂点を含む円(circumcircle)を描いた時、前記円内には他の点が存在しないように三角形を描くことによって形成されたパターンである。このようなパターンを形成するために、ドローネパターンジェネレータに基づいてドローネ三角形分割(Delaunay triangulation)と円描き(circulation)を繰り返すことができる。前記ドローネ三角形分割は、三角形の全ての角の最小角度を最大化して細い体形の三角形を避ける方式でなされる。前記ドローネパターンの概念はBoris Delaunayによって1934年に提案された。前記ドローネパターンの形成例を図7に示す。また、ドローネパターンの例を図11〜図13に示す。しかし、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0049】
前記ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態のパターンは、ドローネパターンジェネレータの位置を規則または不規則に位置させることにより、前記ジェネレータから派生したパターンを利用することができる。本発明において、ドローネパターンジェネレータを利用して電気伝導性パターンを形成する場合、モアレ現象を防止できる複雑なパターン形態を容易に決定できるという長所がある。
【0050】
電気伝導性パターンを、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態に形成する場合にも、前述したような視覚的な認知性の問題および局部伝導性の問題を解決するために、ドローネパターンジェネレータを生成する時に規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、先ず、パターンが入る面積に不規則でありつつ均質な基準点を生成する。この時、不規則であるとは各点間の距離が一定ではないことを意味し、均質であるとは単位面積当たりに含まれる点の個数が同一であることを意味する。
【0051】
上記のように不規則でありつつ均質な基準点を生成する方法を例に挙げれば次の通りである。図14の1に示すように、全面積に任意の点を生成する。その次、生成された点間の間隔を測定し、点間の間隔が既に設定された値より小さい場合には点を除去する。また、点に基づいてドローネ三角形パターンを形成し、その三角形の面積が既に設定された値より大きい場合には三角形の内部に点を追加する。前記過程を繰り返し行えば、図14の2に示すように不規則でありつつも均質な基準点が生成されるようになる。次に、生成された基準点を1つずつ含むドローネ三角形を生成する。このステップは、ドローネパターンを利用してなされる。このような方法を利用すれば、線の分布がある一地点に偏らないので視覚性を補完することができる。
【0052】
前述したように、伝導体の均一な伝導性および視覚性のためにパターンの開口率を単位面積において一定にする場合、ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数を調節することが好ましい。この時、ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数を均一に調節する時、前記単位面積は5cm2以下であることが好ましく、1cm2以下であることがより好ましい。前記ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数は25〜2,500個/cm2が好ましく、100〜2,000個/cm2がより好ましい。
【0053】
前記単位面積内のパターンを構成する図形のうちの少なくとも1つは残りの図形とは相異なる形態を有することが好ましい。
【0054】
本発明において、前述した電気伝導性パターンは、後述する方法によって透明基材上に形成する場合に線幅および線高さを均一にすることができる。本発明の一実施状態によれば、人為的に前記電気伝導性パターンの少なくとも一部を残りのパターンとは異なるように形成することができる。このような構成により、所望の電気伝導性パターンを得ることができる。例えば、目的により、一部領域が残りの面積に比べて電気伝導性がより高く要求されたり、タッチパネル電極の場合、一部領域においてタッチの認知がよりセンシティブに要求されたりする場合に、該当領域と残りの領域の電気伝導性パターンを異にすることができる。電気伝導性パターンの少なくとも一部を残りの印刷パターンとは異にするために印刷パターンの線幅や線間隔を異にすることができる。一例として、静電容量式タッチスクリーンの場合、側面のパッド(pad)と連結される部分は高伝導性の有無が大きいイッシューとなっている。
【0055】
本発明の一実施状態によれば、前記伝導体は電気伝導性パターンが形成されない領域を含むことができる。
【0056】
前記モアレ現象の防止効果を極大化するために、前記電気伝導性パターンを非対称構造の図形からなるパターン面積が全体パターン面積に対して10%以上になるように形成することができる。また、ボロノイダイアグラムをなす、ある1つの図形の中心点を前記図形と境界をなす隣接図形の中心点と連結した線のうちの少なくとも1つが残りの線とは長さが相異なる図形の面積が全体電気伝導性パターン面積に対して10%以上になるように形成することができる。
【0057】
前記電気伝導性パターンの製作時、制限された面積にパターンをデザインした後、前記制限された面積を繰り返し連結する方式を利用することによって大面積パターンを製作することもできる。前記パターンを繰り返し連結するためには、各4辺の点の位置を固定することによって反復的なパターンが互いに連結されるようにすることができる。この時、制限された面積は、規則性によるモアレ現象を防止するために1cm2以上の面積を有することが好ましく、10cm2以上の面積を有することがより好ましい。
【0058】
前記のようなパターンによってモアレ現象を回避することができるが、前記導電性パターンの線幅およびピッチを調節することによってモアレ現象の回避を極大化することができる。具体的には、前記導電性パターンは、100マイクロメータ以下、好ましくは0.1〜30マイクロメータ、より好ましくは0.5〜10マイクロメータ、さらに好ましくは1〜5マイクロメータの微細な線幅を有することによって細かいモアレ現象まで防止することができる。また、前記導電性パターンのピッチをディスプレイのピクセルの大きさ単位と一致させないことによって、例えば長軸方向に250マイクロメータのサブピクセル(Sub Pixel)を有するディスプレイの場合、導電性パターンのピッチ間隔として250ピッチを避けることによって、ピクセル干渉によるディスプレイの色の歪曲現象まで防止することができる。線幅およびピッチに応じたモアレ現象を図27に示す。10マイクロメータ以下の線幅およびピッチ変化に応じたモアレを評価した結果、1、3マイクロメータの場合、細かいモアレの発生がなくなることを確認することができる。また、250ピッチの場合には虹色の光が観察された。これにより、LCDのようなディスプレイのピクセル(pixel)長軸長さとの関連性を確認することができる。
【0059】
本発明においては、先ず、目的とするパターン形態を決定した後、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法などを利用することによって、透明基材上に線幅が小さくて精密な電気伝導性パターンを形成することができる。前記パターン形態の決定時、ボロノイダイアグラムジェネレータを利用することができ、これによって複雑なパターン形態を容易に決定することができる。ここで、前記ボロノイダイアグラムジェネレータとは、各々、前述したように、ボロノイダイアグラムを形成できるように配置された点を意味する。しかし、本発明の範囲がそれに限定されるものではなく、目的とするパターン形態の決定時にそれ以外の方法を用いることもできる。
【0060】
前記印刷法は、電気伝導性パターン材料を含むペーストを目的とするパターン形態で透明基材上に転写した後に焼成する方式で行われる。前記転写方法は特に限定されないが、凹版またはスクリーンなどのパターン転写媒体に前記パターン形態を形成し、これを利用して所望のパターンを透明基材に転写することができる。前記パターン転写媒体にパターン形態を形成する方法としては当技術分野で知られている方法を利用することができる。
【0061】
前記印刷法は特に限定されず、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの印刷法を利用することができ、これらのうちの1種以上の複合方法を利用することもできる。前記印刷法は、ロールツーロール(roll to roll)方法、ロールツープレート(roll to plate)、プレートツーロール(plate to roll)またはプレートツープレート(plate to plate)方法を利用することができる。
【0062】
オフセット印刷は、パターンが彫られた凹版にペーストを満たした後、ブランケット(blanket)と呼ばれるシリコンゴムに1次転写をさせた後、ブランケットと透明基材を密着させて2次転写をさせる方式で行うことができる。スクリーン印刷は、パターンがあるスクリーン上にペーストを位置させた後、スクイージを押しながら空間が空いているスクリーンを通じて直接的に基材にペーストを位置させる方式で行うことができる。グラビア印刷は、ロール上にパターンが彫られたブランケットを巻き、ペーストをパターンの中に満たした後、透明基材に転写させる方式で行うことができる。本発明においては、前記方式だけでなく、前記方式を複合的に利用することもできる。また、その他の当業者らに知られた印刷方式を利用することもできる。
【0063】
オフセット印刷法の場合、ブランケットが有する離型特性によってペーストがガラスのような透明基材にほぼ大部分転写されるため、別途のブランケットの洗浄工程が必要ではない。前記凹版は、目的とする電気伝導性パターンが彫られたガラスを精密エッチングして製造することができ、耐久性のためにガラスの表面に金属またはDLC(Diamond−like Carbon)コーティングを施すこともできる。前記凹版は、金属板をエッチングして製造することもできる。
【0064】
本発明においては、より精密な電気伝導性パターンを実現するためにオフセット印刷法が好ましい。図4は、オフセット印刷方法を例示したものである。図2によれば、第1ステップとして、ドクターブレード(Doctor Blade)を利用して凹版のパターンにペーストを満たした後、ブランケットを回転させて1次転写し、第2ステップとして、ブランケットを回転させて透明基材の表面に2次転写をする。
【0065】
本発明においては、前述した印刷法に限定されず、フォトリソグラフィ工程を利用することもできる。例えば、フォトリソグラフィ工程は、透明基材の全面に電気伝導性パターン材料層を形成し、その上にフォトレジスト層を形成し、選択的露光および現像工程によってフォトレジスト層をパターン化した後、パターン化されたフォトレジスト層をマスクとして利用して電気伝導性パターンをパターン化し、フォトレジスト層を除去する方式で行うことができる。
【0066】
また、本発明は、フォトグラフィ方法を利用することもできる。例えば、透明基材上にハロゲン化銀を含む写真感光材料を塗布した後、前記感光材料を選択的露光および現像工程によってパターンを形成することもできる。より詳細な例を挙げれば下記の通りである。先ず、パターンを形成しようとする基材上にネガティブ用感光材料を塗布する。この時、基材としてはPET、アセチルセルロイドなどの高分子フィルムを用いることができる。感光材料が塗布された高分子フィルム材をここではフィルムと称することにする。前記ネガティブ用感光材料は、一般的に光に対して非常にセンシティブであり、規則的な反応をするAgBrに若干のAgIを混合したハロゲン化銀(Silver Halide)から構成することができる。一般的なネガティブ用感光材料を撮影して現像処理された画像は被写体と明暗が反対である陰画であるため、形成しようとするパターン形状、好ましくは、不規則なパターン形状を有するマスク(mask)を利用して撮影を進行することができる。
【0067】
フォトリソグラフィとフォトグラフィ工程を利用して形成した前記電気伝導性パターンの伝導度を上げるためにメッキ処理をさらに行うこともできる。前記メッキは無電解メッキ方法を利用することができ、メッキ材料としては銅またはニッケルを用いることができ、銅メッキを施した後、その上にニッケルメッキを施すことができるが、本発明の範囲がこれらの例だけに限定されるものではない。
【0068】
また、本発明は、マスクを用いた方法を利用することもできる。例えば、目的とする導電性パターンの形状を有するマスクを基材の近くに位置させた後、電気伝導性パターン材料を基材に蒸着する方式を利用してパターン化することもできる。この時、蒸着をする方式は熱または電子ビームによる熱蒸着法およびスパッタ(sputter)のようなPVD(physical vapor deposition)方式を利用することもでき、有機金属(organometal)材料を用いたCVD(chemical vapor deposition)方式を利用することもできる。
【0069】
本発明において、前記透明基材は特に限定されないが、光透過率が50%以上、好ましくは75%以上であることが好ましい。具体的には、前記透明基材としてはガラスを用いることもでき、プラスチック基板またはプラスチックフィルムを用いることができる。前記プラスチック基板またはフィルムとしては当技術分野で知られている材料を用いることができ、例えば、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系およびセルロース系のうちから選択された1種以上の樹脂で形成されたものを用いることができる。より具体的には、PET(Polyethylene terephthalate)、PVB(polyvinylbutyral)、PEN(polyethylene naphthalate)、PES(polyethersulfon)、PC(polycarbonate)、アセチルセルロイドのような可視光透過率が80%以上であるフィルムが好ましい。前記プラスチックフィルムの厚さは12.5〜500マイクロメータであることが好ましく、50〜450マイクロメータであることがより好ましく、50〜250マイクロメータであることがさらに好ましい。前記プラスチック基板は、プラスチックフィルムの一面または両面に水分、ガス遮断のためのガスバリア層、強度補強のためのハードコート層のような多様な機能性層が積層された構造の基板であってもよい。前記プラスチック基板に含まれ得る機能性層は前述したものに限定されず、多様な機能性層が備えられることができる。
【0070】
前記電気伝導性パターンは、ディスプレイのように本発明の伝導体が適用される素子または装置に含まれる部品、例えば基板上に直接形成することもできる。
【0071】
本発明において、前記電気伝導性パターンの材料としては、電気伝導度に優れた金属を用いることが好ましい。また、前記電気伝導性パターン材料の比抵抗値は1microOhm cm以上、200microOhm cm以下の値を有することが好ましい。電気伝導性パターン材料の具体的な例としては銅、銀(silver)、金、鉄、ニッケル、アルミニウム、炭素ナノチューブ(CNT)などを用いることができ、銀が最も好ましい。前記電気伝導性パターン材料は粒子形態で用いることができる。本発明において、電気伝導性パターン材料として、銀でコーティングされた銅粒子も用いることができる。
【0072】
本発明において、前記電気伝導性パターン材料を含むペーストを用いる場合、前記ペーストは、印刷工程が容易になるように前述した電気伝導性パターン材料の以外に有機バインダーをさらに含むこともできる。前記有機バインダーは、焼成工程において揮発する性質を有することが好ましい。前記有機バインダーとしてはポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂および変性エポキシなどが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0073】
ガラスのような透明基材に対するペーストの付着力を向上させるために、前記ペーストはガラスフリット(Glass Frit)をさらに含むことができる。前記ガラスフリットは市販品から選択することができるが、環境に優しい鉛成分のないガラスフリットを用いることが好ましい。この時、用いるガラスフリットの大きさは、平均口径が2マイクロメータ以下であり、最大口径が50マイクロメータ以下のものが好ましい。
【0074】
必要により、前記ペーストには溶媒をさらに追加することができる。前記溶媒としてはブチルカルビトールアセテート(Butyl Carbitol Acetate)、カルビトールアセテート(Carbitol acetate)、シクロヘキサノン(Cyclohexanon)、セロソルブアセテート(Cellosolve Acetate)およびテルピネオール(Terpineol)などが挙げられるが、これらの例に本発明の範囲が限定されるものではない。
【0075】
本発明において、電気伝導性パターン材料、有機バインダー、ガラスフリットおよび溶媒を含むペーストを用いる場合、各成分の重量比は、電気伝導性パターン材料50〜90%、有機バインダー1〜20%、ガラスフリット0.1〜10%および溶媒1〜20%にすることが好ましい。
【0076】
本発明の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは黒化することができる。高温において金属材料を含むペーストを焼成すれば、金属光沢が発現され、光の反射などによって視認性が悪くなり得る。このような問題は、前記電気伝導性パターンを黒化させることによって防止することができる。前記電気伝導性パターンを黒化させるために、電気伝導性パターン形成のためのペーストに黒化物質を添加するか、前記ペーストを印刷および焼成した後に黒化処理を行うことによって電気伝導性パターンを黒化させることができる。
【0077】
前記ペーストに添加され得る黒化物質としては、金属酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒色顔料、着色されたガラスフリットなどがある。この時、前記ペーストの組成は、電気伝導性パターン材料は50〜90重量%、有機バインダーは1〜20重量%、黒化物質は1〜10重量%、ガラスフリットは0.1〜10重量%、溶媒は1〜20重量%にすることが好ましい。
【0078】
前記焼成後黒化処理をする時、ペーストの組成は、電気伝導性パターン材料は50〜90重量%、有機バインダーは1〜20重量%、ガラスフリットは0.1〜10重量%、溶媒は1〜20重量%にすることが好ましい。焼成後黒化処理は、酸化溶液、例えば、FeまたはCuイオン含有溶液に浸漬、塩素イオンなどのハロゲンイオン含有溶液に浸漬、過酸化水素、硝酸などへの浸漬、ハロゲンガスの処理などがある。
【0079】
本発明の一実施状態によれば、電気伝導性パターン材料、有機バインダーおよびガラスフリットを溶媒に分散させて製造することができる。具体的には、有機バインダーを溶媒に溶解させて有機バインダー樹脂液を製造し、ここにガラスフリットを添加し、最後に伝導性材料として前述した金属の粉末を添加した後にこね、3段ロールミルを利用して、かたまっていた金属粉末とガラスフリットが均一に分散するように製造することができる。しかし、本発明が前記方法に限定されるものではない。
【0080】
前述した電気伝導性パターンの線幅が100マイクロメータ以下、好ましくは30マイクロメータ以下、より好ましくは25マイクロメータ以下になるように形成することができる。
【0081】
本発明において、前述したペーストを用いる場合、ペーストを前述したパターンの通りに印刷した後に焼成過程を経れば、電気伝導性を有するパターンが形成される。この時、焼成温度は特に限定されないが、400〜800℃、好ましくは600〜700℃にすることができる。前記電気伝導性パターンを形成する透明基材がガラスである場合、必要な場合、前記焼成ステップにおいて、前記ガラスを目的用途に合わせて成形をすることができる。また、前記電気伝導性パターンを形成する透明基材としてプラスチック基板またはフィルムを用いる場合には、比較的に低温で焼成を行うことが好ましい。例えば、50〜350℃で行うことができる。
【0082】
前記伝導体の電気伝導性パターンの線幅は100マイクロメータ以下、好ましくは30マイクロメータ以下、より好ましくは25マイクロメータ以下であり、5マイクロメータ以上であることが好ましい。前記電気伝導性パターンの線間間隔は30mm以下であることが好ましく、10マイクロメータ〜10mmであることがより好ましく、50マイクロメータ〜1000マイクロメータであることがより好ましく、200マイクロメータ〜650マイクロメータであることがさらに好ましい。前記電気伝導性パターンの高さは1〜100マイクロメータ、より好ましくは3マイクロメータである。前述した方法によって電気伝導性パターンの線幅および線高さを均一にすることができる。本発明においては、電気伝導性パターンの均一度は、線幅の場合には±3マイクロメータ範囲内にすることができ、線高さの場合には±1マイクロメータ範囲内にすることができる。
【0083】
本発明に係る伝導体は電源に連結され、この時、開口率を考慮した単位面積当たり抵抗値は、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/square、好ましくは0.05ohm/square〜500ohm/squareである。
【0084】
本発明に係る伝導体は、伝導体そのものの構成以外の外部要因によって電流を伝導させる用途に限定されてもよい。この時、流れる電流の量は1分を基準に平均電流は1A以下である。一例として、本発明に係る伝導体が電磁波遮蔽(EMI)フィルムとして用いられる場合、PDPのようなディスプレイにおける電磁波発生によって前記伝導体に電流流れが生じ、生成された電流は接地部を通じて消滅される。また他の一例として、本発明に係る伝導体がタッチパネル(Touch panel)の1つの電極層として用いられる場合、本発明に係る伝導体と対向する伝導性基材との電位差および接触によって電流が発生する。また他の一例として、本発明に係る伝導体が有機発光素子(OLED)照明用の補助電極として用いられる場合、前記伝導体上に形成された対応電極の電位に応じて電流が流れるようになる。
【0085】
本発明に係る伝導体において、電気伝導性パターンの開口率、すなわちパターンによって覆われない透明基材の面積比率は70%以上であることが好ましい。
【0086】
本発明に係る伝導体は、電気伝導性が要求される用途に使われ得る。例えば、電磁波遮蔽フィルムまたはタッチパネル、発光素子の補助電極などに使われ得る。前記発光素子用の補助電極は、具体的には、有機発光素子(OLED)照明用の補助電極であってもよい。
【0087】
本発明の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含む電磁波遮蔽フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供する。前記電磁波遮蔽フィルムは、前述した電気伝導性パターンと連結された接地部をさらに含むことができる。例えば、前記接地部は、前記透明基材の電気伝導性パターンが形成された面の周縁部に形成されることができる。また、前記電磁波遮蔽フィルムの少なくとも一面には、反射防止フィルム、近赤外線遮蔽フィルム、色補正フィルムのうちの少なくとも1つが備えられてもよい。設計仕様により、前述した機能性フィルムの以外に他種類の機能性フィルムをさらに含むこともできる。前記のような電磁波遮蔽フィルムは、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、および陰極線管(Cathode〜Ray Tube、CRT)のようなディスプレイ装置に適用することができる。
【0088】
例えば、前記プラズマディスプレイパネルは、2枚のパネル;および前記2枚のパネルの間に備えられた画素パターンを含むことができる。前記電磁波遮蔽フィルタは、前記プラズマディスプレイパネルの一面に付着されることができる。あるいは、前記電磁波遮蔽フィルムの電気伝導性パターンが前記プラズマディスプレイパネルの一面に直接印刷された形態で備えられてもよい。このような場合、前記電磁波遮蔽フィルムの基材がプラズマディスプレイパネルに該当するようになる。
【0089】
本発明に係る電磁波遮蔽フィルムの基材を支持基板または装置に付着する場合、接合フィルムを利用して付着することができる。ここで、前記接合フィルムの材料としては、接着力があり、接合後に透明であるものであれば、いかなる物質も使用することができる。例えば、PVBフィルム、EVAフィルム、PUフィルムなどを使用することができるが、これらの例だけに限定されるものではない。前記接合フィルムは特に限定されないが、その厚さが100マイクロメータ〜800マイクロメータであることが好ましい。
【0090】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含むタッチパネルを提供する。本発明に係るタッチパネルは、下部基材;上部基材;および前記下部基材の上部基材に接する面および前記上部基材の下部基材に接する面のうちのいずれか一面または両面に備えられた電極層を含むことができる。前記電極層は、各々、X軸位置検出およびY軸位置検出の機能を行うことができる。
【0091】
この時、前記下部基材および前記下部基材の上部基材に接する面に備えられた電極層;および前記上部基材および前記上部基材の下部基材に接する面に備えられた電極層のうちの1つまたは2つともが前述した本発明に係る伝導体であってもよい。前記電極層のうちのいずれか1つだけが本発明に係る伝導体である場合、残りの他の1つは当技術分野で知られているパターンを有してもよい。
【0092】
前記上部基材と前記下部基材の両方の一面に電極層が備えられ、2層の電極層が形成される場合、前記電極層の間隔を一定に維持し、接続が起こらないように、前記下部基材と上部基材との間に絶縁層またはスペーサが備えられてもよい。前記絶縁層は、粘着剤またはホットメルト樹脂であることが好ましい。前記電極は外部回路に連結されてもよい。
【0093】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含む有機発光素子(OLED)照明用の補助電極およびそれを含む有機発光素子照明を提供する。一例として、本発明に係る有機発光素子照明は、第1電極、第1電極上に配置された補助電極、前記補助電極上に配置された絶縁層、少なくとも1層の有機物層および第2電極を含み、前記補助電極は本発明に係る伝導体であることを特徴とする。前記補助電極は第1電極上に直接形成されてもよく、第1電極上に透明基材および電気伝導性パターンを含む伝導体が位置してもよい。本発明に係る有機発光素子照明の補助電極を図25および図26に例示する。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明を例示する。但し、以下の実施例は本発明を例示するためのものであって、これらによって本発明の範囲が限定されるのではない。
【0095】
実施例
実施例1
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さ、線間間隔は平均的に600マイクロメータを有しつつ、図1のようなパターンがあるガラスを使った。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約30%であった。
【0096】
ガラス基板上に、図4に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で3分間焼成して、図1のようなパターンを形成した。
【0097】
前記ガラス基板の面抵抗は0.6ohm/squareであった。前記ガラス基板上の9個の位置において面抵抗を各10回ずつ測定した結果、図17のような分布曲線を示すことを確認し、この時の面抵抗値および分布曲線は図17に示す通りである。この時の標準偏差は0.018であった。
【0098】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0099】
図19は、図15のような従来のパターン(線幅30マイクロメータ、線間間隔300マイクロメータ)と実施例1で製造した不規則パターンを有する伝導体を各々用いた場合、角度別のモアレ(Moire)現象の観察有無(O:観察される、X:観察されず)に対する結果を示す。
【0100】
実施例2
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さを有しつつ、図6のようなパターンがあるガラスを使った。
【0101】
ガラス基板(100mm×100mm)上に、図3に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で約3分間焼成して、図6のようなパターンを形成した。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約50%であった。
【0102】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。面抵抗およびモアレの観察有無は図17および図19に示す通りである。
【0103】
比較例1
0.09mm2の正方形を基本とするグリッド方式のパターンを製作し、パターンの図は図15の通りである。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約0%であった。
【0104】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果を図19に示す(中間列、O:観察される、X:観察されず)。
【0105】
比較例2
図16のようなパターン(ピッチ0.3mm)を製作した。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約0%であった。
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に45度、90度および225度を除いては、モアレパターン(Moire pattern)が観測された。
【0106】
実施例3
パターンを形成しようとするPETフィルム基材上にネガティブ用感光材料を塗布した。ネガティブ用感光材料は、一般的に光に対して非常にセンシティブであり、規則的な反応をするAgBrに若干のAgIを混合したハロゲン化銀(Silver Halide)から構成した。前記PETフィルム基材上に形成された不規則なパターンは実施例1のようなパターンを使った。設計されたパターン領域を光が透過し、パターン以外の領域を光が透過しない構成で、ネガティブマスク(negative mask)を利用して、設定された露光時間と光の強さに応じてフィルムに光を照射した。このような過程により、感光乳剤層にある感光銀が感光され、潜像(Latent image)を形成した。形成された潜像は、現像過程を経つつ、感光銀が黒化銀に変化することによって、マスク(mask)パターンの逆像パターンが可視像に形成された。前記したフォトグラフィ工程を通じ、PETフィルム基材上に形成された黒化銀材質のパターンの特性を下記表1に示す。
【0107】
【表1】
前記フィルムを、粘着フィルムを利用してガラスにラミネーションした。
【0108】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0109】
実施例4
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さを有しつつ、ボロノイパターンがあるガラスを使った。前記ボロノイパターンは、0.09mm2の正方形を基本単位(unit)に指定した後、基本単位内における点の分布を、不規則性を与えて生成した後、図3のようなボロノイパターンを製作した。このパターン中の閉鎖図形の面積分布比率は23%であった。
【0110】
ガラス基板上に、図4に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で3分間焼成して、図3のようなシルバー線を形成した。
【0111】
前記ガラス基板の面抵抗は0.6ohm/squareであった。前記ガラス基板上の9個の位置において、面抵抗を各10回ずつ測定した結果、図18のような分布曲線を示すことを確認し、この時の面抵抗値および分布曲線は図18に示す通りである。この時の標準偏差は0.018であった。
【0112】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0113】
図20は、図15のような従来のパターン(線幅30マイクロメータ、線間間隔300マイクロメータ)と実施例4で製造した不規則パターンを有する伝導体を各々用いた場合、角度別のモアレ(Moire)現象の観察有無(O:観察される、X:観察されず)に対する結果を示す。
【0114】
実施例5
実施例4と同じ方式で製造された導電性パターンに接地をした後、これを40インチPDPの電磁波遮蔽フィルタとして使った時、3mを離れた距離から出るEMIレベルを測定した結果を図21に示す。
【0115】
実施例6
実施例4と同じ方法で製造されたパターンを利用して、図22のようなタッチスクリーン(Touch screen)を製作した後、これを利用して線形性評価を行った。その結果は図23の通りである。この時、既存のITO基盤のタッチスクリーンの線形性誤差が2ピクセル(pixel)である反面、実施例4の方法で製造された印刷基板の伝導体を用いたタッチスクリーンの場合には1ピクセル以下の線形性誤差を有することを確認した。
【0116】
実施例7
実施例4と同じ方法で製造されたパターンを利用して黒化処理した。具体的に、黒化処理は、製造された導電性パターン基板をFeCl3(Kanto Chemical社、16019〜02)1%水溶液に常温で1分間浸漬することによって行った。
黒化処理によってAgの反射度を視認性に問題がないレベルに大幅に向上させることができるということを確認した。黒化前後の反射度を示す写真を図24に示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は伝導体およびその製造方法に関する。本出願は2009年7月16日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0065103号、第10−2009−0065106号、および2010年7月16日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2010−0069157号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスプレイ装置とはTVやコンピュータ用モニターなどを通称する言葉であって、画像を形成するディスプレイ素子およびディスプレイ素子を支持するケースを含む。
【0003】
前記ディスプレイ素子の例としては、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic display)および陰極線管(Cathode−Ray Tube、CRT)が挙げられる。ディスプレイ素子には、画像実現のためのRGB画素パターンおよび追加的な光学フィルタが備えられることができる。
【0004】
前記光学フィルタは、外部から入射した外光が再び外部に反射することを防止する反射防止フィルム、リモコンのような電子機器の誤作動を防止するためにディスプレイ素子から発生した近赤外線を遮蔽する近赤外線遮蔽フィルム、色調節染料を含み、色調を調節することによって色純度を高める色補正フィルム、およびディスプレイ装置の駆動時にディスプレイ素子から発生する電磁波の遮蔽のための電磁波遮蔽フィルムのうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、電磁波遮蔽フィルムは透明基材および基材上に備えられた金属メッシュパターンを含む。
【0005】
一方、ディスプレイ装置と関連し、IPTVの普及が加速化することにより、リモコンなどの別途の入力装置なしに、人の手が直接入力装置となるタッチ機能に対する必要性が益々大きくなっている。また、特定のポイント認識だけでなく、筆記が可能な多重認識(multi−touch)機能も要求されている。
【0006】
前記のような機能を行うタッチパネルは信号の検出方式によって次のように分類することができる。
【0007】
すなわち、直流電圧を印加した状態で圧力によって押された位置を電流または電圧値の変化によって検知する抵抗膜方式(resistive type)と、交流電圧を印加した状態でキャパシタンスカップリング(capacitance coupling)を利用した静電容量方式(capacitive type)と、磁界を印加した状態で選択された位置を電圧の変化として検知する電子誘導方式(electromagnetic type)などがある。
【0008】
この中、最も普遍化した抵抗膜および静電容量方式のタッチパネルは、ITOフィルムのような透明導電膜を利用して、電気的な接触や静電容量の変化によってタッチ有無を認識する。しかし、前記透明導電膜は、100ohm/square以上の高抵抗であるために大型化時に感度が落ち、スクリーンの大きさが大きくなるほどITOフィルムの価格が急増するという問題があるので商用化が容易ではない。これを克服するために、伝導度の高い金属パターンを用いた方式によって大型化を実現しようとする試みがなされている。
【0009】
上記のように、ディスプレイ装置において、金属パターンを含む電磁波遮蔽フィルムやタッチパネルを含む場合、これらはディスプレイのピクセルパターン、電極パターンまたは他の光学フィルムのパターン構造と共に干渉を引き起こしてモアレ現象をもたらすという問題がある。ここで、モアレ(moire)とは、規則的な2以上のパターンが重なる時に発生する干渉縞を称する言葉である。
【0010】
一例として、プラズマディスプレイパネル(PDP)においては、プラズマディスプレイパネル(PDP)の画素パターンと光学フィルタの電磁波遮蔽用金属メッシュパターンが共存するのでモアレ現象が発生し得る。ここで、一般的にプラズマディスプレイパネル(PDP)の仕様が決定されれば、光学フィルタの金属メッシュのパターン設計を通じてモアレ現象を解消しようとする試みをするようになる。
【0011】
このように、モアレをなくすために、電磁波遮蔽用金属メッシュパターンの線幅、ピッチ(Pitch)および角度を調節するが、ディスプレイの大きさおよびピクセルの実現方式に応じて他のパターンで対応しなければならないという煩わしさがある。
【0012】
特に、最近開発されたプラズマディスプレイパネルは、高解像度を実現するために画素パターンをより細かくしており、これによってモアレの発生可能性がより大きくなった。そこで、既存のパターンの線幅、ピッチ、角度の調節だけではモアレの改善に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明は、視野を遮られず、伝導性に優れるだけでなく、モアレ(moire)現象を防止できるパターンを含む伝導体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施状態は、
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体を提供する。前記電気伝導性パターンと交差する直線は電気伝導性パターンとの交差点の最隣接距離偏差が小さい線であることが好ましい。あるいは、電気伝導性パターンの任意の1点の接線に対して垂直した方向の線であってもよい。
【0015】
本発明のまた他の一実施状態は、透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法を提供する。前記電気伝導性パターンは、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成することができる。
【0016】
本発明のまた他の一実施状態は、
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体を提供する。
【0017】
本発明のまた他の一実施状態は、透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法を提供する。前記電気伝導性パターンは、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成することができる。
【0018】
本発明のまた他の一実施状態は、前記伝導体を含む電磁波遮蔽フィルム、タッチパネル、ディスプレイ、および有機発光素子(OLED)照明を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る伝導体は、視野を遮られず、伝導性に優れるだけでなく、モアレ(moire)現象を防止することができる。また、本発明に係る伝導体は、目的とするパターンを予め定めた後、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法などの多様な方法によって形成することができるので、工程が容易で安価である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンに任意の直線を描いた状態を示すものである。
【図2】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンに任意の直線を描いた状態を示すものである。
【図3】本発明の一実施状態による伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図4】オフセット印刷工程を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施状態により、ボロノイダイアグラムジェネレータを用いたパターン形成を例示したものである。
【図6】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図7】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図8】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図9】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図10】本発明の一実施状態により、ドローネパターンジェネレータを用いたパターン形成を例示したものである。
【図11】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図12】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図13】本発明に係る伝導体の電気伝導性パターンを例示したものである。
【図14】本発明の一実施状態により、ドローネパターンジェネレータの配置を例示したものである。
【図15】従来技術による伝導体の電気伝導性パターンを示すものである。
【図16】従来技術による伝導体の電気伝導性パターンを示すものである。
【図17】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを用いた伝導体の位置別面抵抗値を測定した結果を例示したものである。
【図18】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを用いた伝導体の位置別面抵抗値を測定した結果を例示したものである。
【図19】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体と従来のPDPフィルタを、各々、42インチのPDP上に5cmの距離を置いておいて重ねた後のモアレの発生有無を角度別に比較した例である。
【図20】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体と従来のPDPフィルタを、各々、42インチのPDP上に5cmの距離を置いておいて重ねた後のモアレの発生有無を角度別に比較した例である。
【図21】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含む伝導体をPDPの電磁波遮蔽(EMI)フィルタとして用いた時の電磁波遮蔽(EMI)機能を30〜1000MHzの周波数領域で測定した結果を例示したものである。
【図22】本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを含むタッチスクリーンの構造を例示したものである。
【図23】図22の構造を有する40インチのタッチスクリーンを製作して、タッチスクリーン(Touch screen)の正確性を示す線形性評価を行った結果を従来の透明伝導性基板(ITO)を有するタッチスクリーンの結果と比較して例示したものである。
【図24】実施例で製造された伝導体の黒化処理前後の写真を示すものである。
【図25】本発明の一実施状態による有機発光素子照明用の補助電極の構造を例示したものである。
【図26】本発明の一実施状態による有機発光素子照明用の補助電極の構造を例示したものである。
【図27】線幅およびピッチに応じたモアレ現象を例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0022】
本発明に係る伝導体は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする。
【0023】
または、本発明に係る伝導体は、透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする。
【0024】
従来技術のように透明前面伝導層を形成する場合には抵抗が高すぎるという問題がある。また、グリッド(grid)方式または線形(linear)方式のように1種類形状の規則的なパターンに形成された電気伝導性パターンを規則的な内部構造、例えば、ピクセル構造を有するディスプレイや、規則的なパターン構造を有する光学フィルムまたは電極構造を含むディスプレイに含ませる場合、これらのパターン構造に隣接した光源によってパターン間の相対的な干渉が起こってモアレ現象が発生するという問題がある。このようなモアレ現象が発生すれば、視覚的な認知性(視認性)が落ちる。したがって、これを解決するために、本発明においては、パターンの規則性がこのようなモアレをもたらすということに着眼して、パターンを不規則にしてモアレが発生することを防止する。
【0025】
本発明においては、上記のように、透明基材の全体面積の30%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することにより、モアレ現象を防止すると同時に優れた電気伝導度と光学的特性を満足させられる伝導体を提供することができる。
【0026】
本発明において、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの隣接する交点間の距離の標準偏差が最も小さい線であることが好ましい。あるいは、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンのある1点の接線に対して垂直した方向に延びた直線であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る伝導体において、前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの交点が80個以上であることが好ましい。
【0028】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンは、透明基材の全体面積に対して30%以上であることが好ましい。前記のような電気伝導性パターンが備えられた透明基材の表面の少なくとも一部には他の形態の電気伝導性パターンが備えられることもできる。
【0030】
本発明に係る伝導体において、前記閉鎖図形は少なくとも100個存在することが好ましい。
【0031】
前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
【0032】
面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である閉鎖図形からなるパターンは、透明基材の全体面積に対して30%以上であることが好ましい。前記のような電気伝導性パターンが備えられた透明基材の表面の少なくとも一部には、他の形態の電気伝導性パターンが備えられることもできる。
【0033】
本発明に係る伝導体を画素パターンまたはカラーフィルタパターンのような規則的なパターンを有する装置、例えばディスプレイから5cm以下の距離をおいて配置した後、透明基材に対して垂直な線と0度〜80度の間の角度で前記装置を観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0034】
また、本発明に係る伝導体を電磁波遮蔽(EMI)フィルムとして用いて42インチのPDPを製造した後、電磁波遮蔽(EMI)能力レベルを測定するために、3mの離隔距離において30MHz〜1000MHzの間の周波数領域帯を測定した結果、Class Bレベル以上の電磁波遮蔽(EMI)能力を示すことを確認した。この時、透明基材に対して垂直な線と0度〜80度の間の角度でPDPを観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0035】
また、本発明に係る伝導体を用いて40インチのプロジェクションされたキャパシタンスタイプ(projected capacitance type)のタッチスクリーン(touch screen)を製作した後、タッチスクリーンの正確性を評価するための線形性評価を行った結果、既存のITO基盤のタッチスクリーンに比べてより高い精密性を有するタッチスクリーンを実現することができた。この時、タッチスクリーンに対して垂直な線と0度〜80度の間の角度でタッチスクリーンを観測した時、モアレ(moire)現象による干渉パターンが観測されない。
【0036】
一方、パターンが完全に不規則な場合、線の分布において、疎な所と密な所の差が生じ得る。このような線の分布においては、線幅がいくら小さくても目に触れる視覚的な認知性の問題が生じ得るし、伝導体そのものが目的とする用途に必要な要件を満足させられない場合もある。例えば、電磁波遮蔽の用途として用いる場合、パターンが完全に不規則であって、一部パターンの間隔が広すぎると、間隔が広くなったパターンを通じて電磁波の通過が可能であるので不良が発生し得る。また、タッチパネルの用途として用いる場合、パターンの疎密が発生する場合、抵抗または静電容量が不規則に形成され、タッチされる位置が誤って認識される余地がある。このような問題を解決するために、本発明においては、電気伝導性パターンを形成する時、規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、電気伝導性パターンが目に触れたり局部伝導性が発生したりしないように基本単位を定め、その基本単位内で電気伝導性パターンを不規則に形成することができる。このような方法を利用すれば、電気伝導性パターンの分布がある一地点に偏らないようにすることができるので視覚性を補完すると同時に製品の用途に合わせたスペックを満足させることができる。
【0037】
前述したように、伝導体の均一な電気伝導性および視覚性のためにパターンの開口率が単位面積において一定であることが好ましい。前記伝導体は、直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることが好ましい。この場合、前記伝導体は局部的な伝導性を防止することができる。
【0038】
本発明において、前記電気伝導性パターンは直線からなってもよいが、曲線、波線、ジグザグ線などの多様な変形が可能である。また、前記形態の線のうちの少なくとも2種類が混在した形態であってもよい。
【0039】
図1および図2は、本発明の一実施状態による電気伝導性パターンに任意の線を描いた時を示すものである。しかし、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。図1は電気伝導性パターンが互いに交差しない1次元の形態であり、図2は電気伝導性パターンが互いに交差して少なくとも一部領域に閉鎖図形の形態が形成された2次元の形態である。また1つの前記電気伝導性パターンの例を図6に示したが、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0040】
図3は、本発明の一実施状態による電気伝導性パターンを例示したものである。このようなパターンの面積分布比率は20%以上、例えば20%〜35%である。
【0041】
本発明の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラム(Voronoi diagram)をなす図形の境界線形態であってもよい。
【0042】
本発明において、前記電気伝導性パターンを、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態に形成することによってモアレ現象を防止することができる。ボロノイダイアグラム(Voronoi diagram)とは、満たそうとする領域にボロノイダイアグラムジェネレータ(Voronoi diagram generator)という点を配置すれば、各点が他の点からの距離に比べて該当点との距離が最も近い領域を満たす方式でなされるパターンである。例えば、全国の大型割引店を点で表示し、消費者らは最も近い大型割引店に行くとする時、各割引店の商圏を表示するパターンを例に挙げることができる。すなわち、正六角形で空間を満たし、正六角形の各点をボロノイジェネレータに選定すれば、蜂の巣(honeycomb)構造が前記電気伝導性パターンになり得る。本発明において、ボロノイダイアグラムジェネレータを利用して電気伝導性パターンを形成する場合、他の規則的なパターンとの干渉によって発生するモアレ現象を防止できる複雑なパターン形態を容易に決定できるという長所がある。図3に、ボロノイダイアグラムジェネレータを用いたパターンの形成が示されている。前記導電性パターンの一例を図7〜図9に示すが、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0043】
本発明においては、ボロノイダイアグラムジェネレータの位置を規則または不規則に位置させることによって前記ジェネレータから派生したパターンを利用することができる。
【0044】
電気伝導性パターンを、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態に形成する場合にも、前述したような視覚的な認知性の問題を解決するために、ボロノイダイアグラムジェネレータを生成する時に規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、パターンが入る面積に一定大きさの面積を基本単位(unit)に指定した後、基本単位の中における点の分布が不規則性を有するように点を生成した後にボロノイパターンを製作することもできる。このような方法を利用すれば、線の分布がある一地点に偏らないようにするので視覚性を補完することができる。
【0045】
前述したように、伝導体の均一な伝導性および視覚性のために、パターンの開口率を単位面積において一定にする場合、ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数を調節することができる。この時、ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数を均一に調節する時、前記単位面積は5cm2以下であることが好ましく、1cm2以下であることがより好ましい。前記ボロノイダイアグラムジェネレータの単位面積当たりの個数は25〜2,500個/cm2が好ましく、100〜2,000個/cm2がより好ましい。
【0046】
前記単位面積内のパターンを構成する図形のうちの少なくとも1つは残りの図形とは相異なる形態を有することが好ましい。
【0047】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態であってもよい。具体的には、前記電気伝導性パターンの形態は、ドローネパターンを構成する三角形の境界線形態であるか、ドローネパターンを構成する少なくとも2個の三角形からなる図形の境界線形態であるか、これらの組み合わせ形態である。
【0048】
前記電気伝導性パターンを、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態に形成することにより、光の回折および干渉による副作用を最小化することができる。ドローネパターン(Delaunay pattern)とは、パターンを満たそうとする領域にドローネパターンジェネレータ(generator)という点を配置し、周辺に位置した3個の点を互いに連結して三角形を描くが、三角形の全ての頂点を含む円(circumcircle)を描いた時、前記円内には他の点が存在しないように三角形を描くことによって形成されたパターンである。このようなパターンを形成するために、ドローネパターンジェネレータに基づいてドローネ三角形分割(Delaunay triangulation)と円描き(circulation)を繰り返すことができる。前記ドローネ三角形分割は、三角形の全ての角の最小角度を最大化して細い体形の三角形を避ける方式でなされる。前記ドローネパターンの概念はBoris Delaunayによって1934年に提案された。前記ドローネパターンの形成例を図7に示す。また、ドローネパターンの例を図11〜図13に示す。しかし、本発明の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0049】
前記ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態のパターンは、ドローネパターンジェネレータの位置を規則または不規則に位置させることにより、前記ジェネレータから派生したパターンを利用することができる。本発明において、ドローネパターンジェネレータを利用して電気伝導性パターンを形成する場合、モアレ現象を防止できる複雑なパターン形態を容易に決定できるという長所がある。
【0050】
電気伝導性パターンを、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態に形成する場合にも、前述したような視覚的な認知性の問題および局部伝導性の問題を解決するために、ドローネパターンジェネレータを生成する時に規則性と不規則性を適切に調和させることができる。例えば、先ず、パターンが入る面積に不規則でありつつ均質な基準点を生成する。この時、不規則であるとは各点間の距離が一定ではないことを意味し、均質であるとは単位面積当たりに含まれる点の個数が同一であることを意味する。
【0051】
上記のように不規則でありつつ均質な基準点を生成する方法を例に挙げれば次の通りである。図14の1に示すように、全面積に任意の点を生成する。その次、生成された点間の間隔を測定し、点間の間隔が既に設定された値より小さい場合には点を除去する。また、点に基づいてドローネ三角形パターンを形成し、その三角形の面積が既に設定された値より大きい場合には三角形の内部に点を追加する。前記過程を繰り返し行えば、図14の2に示すように不規則でありつつも均質な基準点が生成されるようになる。次に、生成された基準点を1つずつ含むドローネ三角形を生成する。このステップは、ドローネパターンを利用してなされる。このような方法を利用すれば、線の分布がある一地点に偏らないので視覚性を補完することができる。
【0052】
前述したように、伝導体の均一な伝導性および視覚性のためにパターンの開口率を単位面積において一定にする場合、ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数を調節することが好ましい。この時、ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数を均一に調節する時、前記単位面積は5cm2以下であることが好ましく、1cm2以下であることがより好ましい。前記ドローネパターンジェネレータの単位面積当たりの個数は25〜2,500個/cm2が好ましく、100〜2,000個/cm2がより好ましい。
【0053】
前記単位面積内のパターンを構成する図形のうちの少なくとも1つは残りの図形とは相異なる形態を有することが好ましい。
【0054】
本発明において、前述した電気伝導性パターンは、後述する方法によって透明基材上に形成する場合に線幅および線高さを均一にすることができる。本発明の一実施状態によれば、人為的に前記電気伝導性パターンの少なくとも一部を残りのパターンとは異なるように形成することができる。このような構成により、所望の電気伝導性パターンを得ることができる。例えば、目的により、一部領域が残りの面積に比べて電気伝導性がより高く要求されたり、タッチパネル電極の場合、一部領域においてタッチの認知がよりセンシティブに要求されたりする場合に、該当領域と残りの領域の電気伝導性パターンを異にすることができる。電気伝導性パターンの少なくとも一部を残りの印刷パターンとは異にするために印刷パターンの線幅や線間隔を異にすることができる。一例として、静電容量式タッチスクリーンの場合、側面のパッド(pad)と連結される部分は高伝導性の有無が大きいイッシューとなっている。
【0055】
本発明の一実施状態によれば、前記伝導体は電気伝導性パターンが形成されない領域を含むことができる。
【0056】
前記モアレ現象の防止効果を極大化するために、前記電気伝導性パターンを非対称構造の図形からなるパターン面積が全体パターン面積に対して10%以上になるように形成することができる。また、ボロノイダイアグラムをなす、ある1つの図形の中心点を前記図形と境界をなす隣接図形の中心点と連結した線のうちの少なくとも1つが残りの線とは長さが相異なる図形の面積が全体電気伝導性パターン面積に対して10%以上になるように形成することができる。
【0057】
前記電気伝導性パターンの製作時、制限された面積にパターンをデザインした後、前記制限された面積を繰り返し連結する方式を利用することによって大面積パターンを製作することもできる。前記パターンを繰り返し連結するためには、各4辺の点の位置を固定することによって反復的なパターンが互いに連結されるようにすることができる。この時、制限された面積は、規則性によるモアレ現象を防止するために1cm2以上の面積を有することが好ましく、10cm2以上の面積を有することがより好ましい。
【0058】
前記のようなパターンによってモアレ現象を回避することができるが、前記導電性パターンの線幅およびピッチを調節することによってモアレ現象の回避を極大化することができる。具体的には、前記導電性パターンは、100マイクロメータ以下、好ましくは0.1〜30マイクロメータ、より好ましくは0.5〜10マイクロメータ、さらに好ましくは1〜5マイクロメータの微細な線幅を有することによって細かいモアレ現象まで防止することができる。また、前記導電性パターンのピッチをディスプレイのピクセルの大きさ単位と一致させないことによって、例えば長軸方向に250マイクロメータのサブピクセル(Sub Pixel)を有するディスプレイの場合、導電性パターンのピッチ間隔として250ピッチを避けることによって、ピクセル干渉によるディスプレイの色の歪曲現象まで防止することができる。線幅およびピッチに応じたモアレ現象を図27に示す。10マイクロメータ以下の線幅およびピッチ変化に応じたモアレを評価した結果、1、3マイクロメータの場合、細かいモアレの発生がなくなることを確認することができる。また、250ピッチの場合には虹色の光が観察された。これにより、LCDのようなディスプレイのピクセル(pixel)長軸長さとの関連性を確認することができる。
【0059】
本発明においては、先ず、目的とするパターン形態を決定した後、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法などを利用することによって、透明基材上に線幅が小さくて精密な電気伝導性パターンを形成することができる。前記パターン形態の決定時、ボロノイダイアグラムジェネレータを利用することができ、これによって複雑なパターン形態を容易に決定することができる。ここで、前記ボロノイダイアグラムジェネレータとは、各々、前述したように、ボロノイダイアグラムを形成できるように配置された点を意味する。しかし、本発明の範囲がそれに限定されるものではなく、目的とするパターン形態の決定時にそれ以外の方法を用いることもできる。
【0060】
前記印刷法は、電気伝導性パターン材料を含むペーストを目的とするパターン形態で透明基材上に転写した後に焼成する方式で行われる。前記転写方法は特に限定されないが、凹版またはスクリーンなどのパターン転写媒体に前記パターン形態を形成し、これを利用して所望のパターンを透明基材に転写することができる。前記パターン転写媒体にパターン形態を形成する方法としては当技術分野で知られている方法を利用することができる。
【0061】
前記印刷法は特に限定されず、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの印刷法を利用することができ、これらのうちの1種以上の複合方法を利用することもできる。前記印刷法は、ロールツーロール(roll to roll)方法、ロールツープレート(roll to plate)、プレートツーロール(plate to roll)またはプレートツープレート(plate to plate)方法を利用することができる。
【0062】
オフセット印刷は、パターンが彫られた凹版にペーストを満たした後、ブランケット(blanket)と呼ばれるシリコンゴムに1次転写をさせた後、ブランケットと透明基材を密着させて2次転写をさせる方式で行うことができる。スクリーン印刷は、パターンがあるスクリーン上にペーストを位置させた後、スクイージを押しながら空間が空いているスクリーンを通じて直接的に基材にペーストを位置させる方式で行うことができる。グラビア印刷は、ロール上にパターンが彫られたブランケットを巻き、ペーストをパターンの中に満たした後、透明基材に転写させる方式で行うことができる。本発明においては、前記方式だけでなく、前記方式を複合的に利用することもできる。また、その他の当業者らに知られた印刷方式を利用することもできる。
【0063】
オフセット印刷法の場合、ブランケットが有する離型特性によってペーストがガラスのような透明基材にほぼ大部分転写されるため、別途のブランケットの洗浄工程が必要ではない。前記凹版は、目的とする電気伝導性パターンが彫られたガラスを精密エッチングして製造することができ、耐久性のためにガラスの表面に金属またはDLC(Diamond−like Carbon)コーティングを施すこともできる。前記凹版は、金属板をエッチングして製造することもできる。
【0064】
本発明においては、より精密な電気伝導性パターンを実現するためにオフセット印刷法が好ましい。図4は、オフセット印刷方法を例示したものである。図2によれば、第1ステップとして、ドクターブレード(Doctor Blade)を利用して凹版のパターンにペーストを満たした後、ブランケットを回転させて1次転写し、第2ステップとして、ブランケットを回転させて透明基材の表面に2次転写をする。
【0065】
本発明においては、前述した印刷法に限定されず、フォトリソグラフィ工程を利用することもできる。例えば、フォトリソグラフィ工程は、透明基材の全面に電気伝導性パターン材料層を形成し、その上にフォトレジスト層を形成し、選択的露光および現像工程によってフォトレジスト層をパターン化した後、パターン化されたフォトレジスト層をマスクとして利用して電気伝導性パターンをパターン化し、フォトレジスト層を除去する方式で行うことができる。
【0066】
また、本発明は、フォトグラフィ方法を利用することもできる。例えば、透明基材上にハロゲン化銀を含む写真感光材料を塗布した後、前記感光材料を選択的露光および現像工程によってパターンを形成することもできる。より詳細な例を挙げれば下記の通りである。先ず、パターンを形成しようとする基材上にネガティブ用感光材料を塗布する。この時、基材としてはPET、アセチルセルロイドなどの高分子フィルムを用いることができる。感光材料が塗布された高分子フィルム材をここではフィルムと称することにする。前記ネガティブ用感光材料は、一般的に光に対して非常にセンシティブであり、規則的な反応をするAgBrに若干のAgIを混合したハロゲン化銀(Silver Halide)から構成することができる。一般的なネガティブ用感光材料を撮影して現像処理された画像は被写体と明暗が反対である陰画であるため、形成しようとするパターン形状、好ましくは、不規則なパターン形状を有するマスク(mask)を利用して撮影を進行することができる。
【0067】
フォトリソグラフィとフォトグラフィ工程を利用して形成した前記電気伝導性パターンの伝導度を上げるためにメッキ処理をさらに行うこともできる。前記メッキは無電解メッキ方法を利用することができ、メッキ材料としては銅またはニッケルを用いることができ、銅メッキを施した後、その上にニッケルメッキを施すことができるが、本発明の範囲がこれらの例だけに限定されるものではない。
【0068】
また、本発明は、マスクを用いた方法を利用することもできる。例えば、目的とする導電性パターンの形状を有するマスクを基材の近くに位置させた後、電気伝導性パターン材料を基材に蒸着する方式を利用してパターン化することもできる。この時、蒸着をする方式は熱または電子ビームによる熱蒸着法およびスパッタ(sputter)のようなPVD(physical vapor deposition)方式を利用することもでき、有機金属(organometal)材料を用いたCVD(chemical vapor deposition)方式を利用することもできる。
【0069】
本発明において、前記透明基材は特に限定されないが、光透過率が50%以上、好ましくは75%以上であることが好ましい。具体的には、前記透明基材としてはガラスを用いることもでき、プラスチック基板またはプラスチックフィルムを用いることができる。前記プラスチック基板またはフィルムとしては当技術分野で知られている材料を用いることができ、例えば、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系およびセルロース系のうちから選択された1種以上の樹脂で形成されたものを用いることができる。より具体的には、PET(Polyethylene terephthalate)、PVB(polyvinylbutyral)、PEN(polyethylene naphthalate)、PES(polyethersulfon)、PC(polycarbonate)、アセチルセルロイドのような可視光透過率が80%以上であるフィルムが好ましい。前記プラスチックフィルムの厚さは12.5〜500マイクロメータであることが好ましく、50〜450マイクロメータであることがより好ましく、50〜250マイクロメータであることがさらに好ましい。前記プラスチック基板は、プラスチックフィルムの一面または両面に水分、ガス遮断のためのガスバリア層、強度補強のためのハードコート層のような多様な機能性層が積層された構造の基板であってもよい。前記プラスチック基板に含まれ得る機能性層は前述したものに限定されず、多様な機能性層が備えられることができる。
【0070】
前記電気伝導性パターンは、ディスプレイのように本発明の伝導体が適用される素子または装置に含まれる部品、例えば基板上に直接形成することもできる。
【0071】
本発明において、前記電気伝導性パターンの材料としては、電気伝導度に優れた金属を用いることが好ましい。また、前記電気伝導性パターン材料の比抵抗値は1microOhm cm以上、200microOhm cm以下の値を有することが好ましい。電気伝導性パターン材料の具体的な例としては銅、銀(silver)、金、鉄、ニッケル、アルミニウム、炭素ナノチューブ(CNT)などを用いることができ、銀が最も好ましい。前記電気伝導性パターン材料は粒子形態で用いることができる。本発明において、電気伝導性パターン材料として、銀でコーティングされた銅粒子も用いることができる。
【0072】
本発明において、前記電気伝導性パターン材料を含むペーストを用いる場合、前記ペーストは、印刷工程が容易になるように前述した電気伝導性パターン材料の以外に有機バインダーをさらに含むこともできる。前記有機バインダーは、焼成工程において揮発する性質を有することが好ましい。前記有機バインダーとしてはポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂および変性エポキシなどが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0073】
ガラスのような透明基材に対するペーストの付着力を向上させるために、前記ペーストはガラスフリット(Glass Frit)をさらに含むことができる。前記ガラスフリットは市販品から選択することができるが、環境に優しい鉛成分のないガラスフリットを用いることが好ましい。この時、用いるガラスフリットの大きさは、平均口径が2マイクロメータ以下であり、最大口径が50マイクロメータ以下のものが好ましい。
【0074】
必要により、前記ペーストには溶媒をさらに追加することができる。前記溶媒としてはブチルカルビトールアセテート(Butyl Carbitol Acetate)、カルビトールアセテート(Carbitol acetate)、シクロヘキサノン(Cyclohexanon)、セロソルブアセテート(Cellosolve Acetate)およびテルピネオール(Terpineol)などが挙げられるが、これらの例に本発明の範囲が限定されるものではない。
【0075】
本発明において、電気伝導性パターン材料、有機バインダー、ガラスフリットおよび溶媒を含むペーストを用いる場合、各成分の重量比は、電気伝導性パターン材料50〜90%、有機バインダー1〜20%、ガラスフリット0.1〜10%および溶媒1〜20%にすることが好ましい。
【0076】
本発明の一実施状態によれば、前記電気伝導性パターンは黒化することができる。高温において金属材料を含むペーストを焼成すれば、金属光沢が発現され、光の反射などによって視認性が悪くなり得る。このような問題は、前記電気伝導性パターンを黒化させることによって防止することができる。前記電気伝導性パターンを黒化させるために、電気伝導性パターン形成のためのペーストに黒化物質を添加するか、前記ペーストを印刷および焼成した後に黒化処理を行うことによって電気伝導性パターンを黒化させることができる。
【0077】
前記ペーストに添加され得る黒化物質としては、金属酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒色顔料、着色されたガラスフリットなどがある。この時、前記ペーストの組成は、電気伝導性パターン材料は50〜90重量%、有機バインダーは1〜20重量%、黒化物質は1〜10重量%、ガラスフリットは0.1〜10重量%、溶媒は1〜20重量%にすることが好ましい。
【0078】
前記焼成後黒化処理をする時、ペーストの組成は、電気伝導性パターン材料は50〜90重量%、有機バインダーは1〜20重量%、ガラスフリットは0.1〜10重量%、溶媒は1〜20重量%にすることが好ましい。焼成後黒化処理は、酸化溶液、例えば、FeまたはCuイオン含有溶液に浸漬、塩素イオンなどのハロゲンイオン含有溶液に浸漬、過酸化水素、硝酸などへの浸漬、ハロゲンガスの処理などがある。
【0079】
本発明の一実施状態によれば、電気伝導性パターン材料、有機バインダーおよびガラスフリットを溶媒に分散させて製造することができる。具体的には、有機バインダーを溶媒に溶解させて有機バインダー樹脂液を製造し、ここにガラスフリットを添加し、最後に伝導性材料として前述した金属の粉末を添加した後にこね、3段ロールミルを利用して、かたまっていた金属粉末とガラスフリットが均一に分散するように製造することができる。しかし、本発明が前記方法に限定されるものではない。
【0080】
前述した電気伝導性パターンの線幅が100マイクロメータ以下、好ましくは30マイクロメータ以下、より好ましくは25マイクロメータ以下になるように形成することができる。
【0081】
本発明において、前述したペーストを用いる場合、ペーストを前述したパターンの通りに印刷した後に焼成過程を経れば、電気伝導性を有するパターンが形成される。この時、焼成温度は特に限定されないが、400〜800℃、好ましくは600〜700℃にすることができる。前記電気伝導性パターンを形成する透明基材がガラスである場合、必要な場合、前記焼成ステップにおいて、前記ガラスを目的用途に合わせて成形をすることができる。また、前記電気伝導性パターンを形成する透明基材としてプラスチック基板またはフィルムを用いる場合には、比較的に低温で焼成を行うことが好ましい。例えば、50〜350℃で行うことができる。
【0082】
前記伝導体の電気伝導性パターンの線幅は100マイクロメータ以下、好ましくは30マイクロメータ以下、より好ましくは25マイクロメータ以下であり、5マイクロメータ以上であることが好ましい。前記電気伝導性パターンの線間間隔は30mm以下であることが好ましく、10マイクロメータ〜10mmであることがより好ましく、50マイクロメータ〜1000マイクロメータであることがより好ましく、200マイクロメータ〜650マイクロメータであることがさらに好ましい。前記電気伝導性パターンの高さは1〜100マイクロメータ、より好ましくは3マイクロメータである。前述した方法によって電気伝導性パターンの線幅および線高さを均一にすることができる。本発明においては、電気伝導性パターンの均一度は、線幅の場合には±3マイクロメータ範囲内にすることができ、線高さの場合には±1マイクロメータ範囲内にすることができる。
【0083】
本発明に係る伝導体は電源に連結され、この時、開口率を考慮した単位面積当たり抵抗値は、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/square、好ましくは0.05ohm/square〜500ohm/squareである。
【0084】
本発明に係る伝導体は、伝導体そのものの構成以外の外部要因によって電流を伝導させる用途に限定されてもよい。この時、流れる電流の量は1分を基準に平均電流は1A以下である。一例として、本発明に係る伝導体が電磁波遮蔽(EMI)フィルムとして用いられる場合、PDPのようなディスプレイにおける電磁波発生によって前記伝導体に電流流れが生じ、生成された電流は接地部を通じて消滅される。また他の一例として、本発明に係る伝導体がタッチパネル(Touch panel)の1つの電極層として用いられる場合、本発明に係る伝導体と対向する伝導性基材との電位差および接触によって電流が発生する。また他の一例として、本発明に係る伝導体が有機発光素子(OLED)照明用の補助電極として用いられる場合、前記伝導体上に形成された対応電極の電位に応じて電流が流れるようになる。
【0085】
本発明に係る伝導体において、電気伝導性パターンの開口率、すなわちパターンによって覆われない透明基材の面積比率は70%以上であることが好ましい。
【0086】
本発明に係る伝導体は、電気伝導性が要求される用途に使われ得る。例えば、電磁波遮蔽フィルムまたはタッチパネル、発光素子の補助電極などに使われ得る。前記発光素子用の補助電極は、具体的には、有機発光素子(OLED)照明用の補助電極であってもよい。
【0087】
本発明の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含む電磁波遮蔽フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供する。前記電磁波遮蔽フィルムは、前述した電気伝導性パターンと連結された接地部をさらに含むことができる。例えば、前記接地部は、前記透明基材の電気伝導性パターンが形成された面の周縁部に形成されることができる。また、前記電磁波遮蔽フィルムの少なくとも一面には、反射防止フィルム、近赤外線遮蔽フィルム、色補正フィルムのうちの少なくとも1つが備えられてもよい。設計仕様により、前述した機能性フィルムの以外に他種類の機能性フィルムをさらに含むこともできる。前記のような電磁波遮蔽フィルムは、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、および陰極線管(Cathode〜Ray Tube、CRT)のようなディスプレイ装置に適用することができる。
【0088】
例えば、前記プラズマディスプレイパネルは、2枚のパネル;および前記2枚のパネルの間に備えられた画素パターンを含むことができる。前記電磁波遮蔽フィルタは、前記プラズマディスプレイパネルの一面に付着されることができる。あるいは、前記電磁波遮蔽フィルムの電気伝導性パターンが前記プラズマディスプレイパネルの一面に直接印刷された形態で備えられてもよい。このような場合、前記電磁波遮蔽フィルムの基材がプラズマディスプレイパネルに該当するようになる。
【0089】
本発明に係る電磁波遮蔽フィルムの基材を支持基板または装置に付着する場合、接合フィルムを利用して付着することができる。ここで、前記接合フィルムの材料としては、接着力があり、接合後に透明であるものであれば、いかなる物質も使用することができる。例えば、PVBフィルム、EVAフィルム、PUフィルムなどを使用することができるが、これらの例だけに限定されるものではない。前記接合フィルムは特に限定されないが、その厚さが100マイクロメータ〜800マイクロメータであることが好ましい。
【0090】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含むタッチパネルを提供する。本発明に係るタッチパネルは、下部基材;上部基材;および前記下部基材の上部基材に接する面および前記上部基材の下部基材に接する面のうちのいずれか一面または両面に備えられた電極層を含むことができる。前記電極層は、各々、X軸位置検出およびY軸位置検出の機能を行うことができる。
【0091】
この時、前記下部基材および前記下部基材の上部基材に接する面に備えられた電極層;および前記上部基材および前記上部基材の下部基材に接する面に備えられた電極層のうちの1つまたは2つともが前述した本発明に係る伝導体であってもよい。前記電極層のうちのいずれか1つだけが本発明に係る伝導体である場合、残りの他の1つは当技術分野で知られているパターンを有してもよい。
【0092】
前記上部基材と前記下部基材の両方の一面に電極層が備えられ、2層の電極層が形成される場合、前記電極層の間隔を一定に維持し、接続が起こらないように、前記下部基材と上部基材との間に絶縁層またはスペーサが備えられてもよい。前記絶縁層は、粘着剤またはホットメルト樹脂であることが好ましい。前記電極は外部回路に連結されてもよい。
【0093】
本発明のまた他の一実施状態によれば、前述した本発明の伝導体を含む有機発光素子(OLED)照明用の補助電極およびそれを含む有機発光素子照明を提供する。一例として、本発明に係る有機発光素子照明は、第1電極、第1電極上に配置された補助電極、前記補助電極上に配置された絶縁層、少なくとも1層の有機物層および第2電極を含み、前記補助電極は本発明に係る伝導体であることを特徴とする。前記補助電極は第1電極上に直接形成されてもよく、第1電極上に透明基材および電気伝導性パターンを含む伝導体が位置してもよい。本発明に係る有機発光素子照明の補助電極を図25および図26に例示する。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明を例示する。但し、以下の実施例は本発明を例示するためのものであって、これらによって本発明の範囲が限定されるのではない。
【0095】
実施例
実施例1
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さ、線間間隔は平均的に600マイクロメータを有しつつ、図1のようなパターンがあるガラスを使った。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約30%であった。
【0096】
ガラス基板上に、図4に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で3分間焼成して、図1のようなパターンを形成した。
【0097】
前記ガラス基板の面抵抗は0.6ohm/squareであった。前記ガラス基板上の9個の位置において面抵抗を各10回ずつ測定した結果、図17のような分布曲線を示すことを確認し、この時の面抵抗値および分布曲線は図17に示す通りである。この時の標準偏差は0.018であった。
【0098】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0099】
図19は、図15のような従来のパターン(線幅30マイクロメータ、線間間隔300マイクロメータ)と実施例1で製造した不規則パターンを有する伝導体を各々用いた場合、角度別のモアレ(Moire)現象の観察有無(O:観察される、X:観察されず)に対する結果を示す。
【0100】
実施例2
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さを有しつつ、図6のようなパターンがあるガラスを使った。
【0101】
ガラス基板(100mm×100mm)上に、図3に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で約3分間焼成して、図6のようなパターンを形成した。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約50%であった。
【0102】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。面抵抗およびモアレの観察有無は図17および図19に示す通りである。
【0103】
比較例1
0.09mm2の正方形を基本とするグリッド方式のパターンを製作し、パターンの図は図15の通りである。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約0%であった。
【0104】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果を図19に示す(中間列、O:観察される、X:観察されず)。
【0105】
比較例2
図16のようなパターン(ピッチ0.3mm)を製作した。この時、形成されたパターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)は約0%であった。
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に45度、90度および225度を除いては、モアレパターン(Moire pattern)が観測された。
【0106】
実施例3
パターンを形成しようとするPETフィルム基材上にネガティブ用感光材料を塗布した。ネガティブ用感光材料は、一般的に光に対して非常にセンシティブであり、規則的な反応をするAgBrに若干のAgIを混合したハロゲン化銀(Silver Halide)から構成した。前記PETフィルム基材上に形成された不規則なパターンは実施例1のようなパターンを使った。設計されたパターン領域を光が透過し、パターン以外の領域を光が透過しない構成で、ネガティブマスク(negative mask)を利用して、設定された露光時間と光の強さに応じてフィルムに光を照射した。このような過程により、感光乳剤層にある感光銀が感光され、潜像(Latent image)を形成した。形成された潜像は、現像過程を経つつ、感光銀が黒化銀に変化することによって、マスク(mask)パターンの逆像パターンが可視像に形成された。前記したフォトグラフィ工程を通じ、PETフィルム基材上に形成された黒化銀材質のパターンの特性を下記表1に示す。
【0107】
【表1】
前記フィルムを、粘着フィルムを利用してガラスにラミネーションした。
【0108】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0109】
実施例4
銀ペーストは、粒径が2マイクロメータである銀粒子80重量%、ポリエステル樹脂5重量%、ガラスフリット(Grass frit)5重量%を10重量%のBCA(Butyl carbitol acetate)溶媒に溶かして作った。凹版は、20マイクロメータの幅、7.5マイクロメータの深さを有しつつ、ボロノイパターンがあるガラスを使った。前記ボロノイパターンは、0.09mm2の正方形を基本単位(unit)に指定した後、基本単位内における点の分布を、不規則性を与えて生成した後、図3のようなボロノイパターンを製作した。このパターン中の閉鎖図形の面積分布比率は23%であった。
【0110】
ガラス基板上に、図4に表示した方式を利用して、オフセットプリンタを利用してシルバーパターンを形成した後、600℃で3分間焼成して、図3のようなシルバー線を形成した。
【0111】
前記ガラス基板の面抵抗は0.6ohm/squareであった。前記ガラス基板上の9個の位置において、面抵抗を各10回ずつ測定した結果、図18のような分布曲線を示すことを確認し、この時の面抵抗値および分布曲線は図18に示す通りである。この時の標準偏差は0.018であった。
【0112】
前記ガラス基板を利用して、40インチのPDPを製作してモアレ(Moire)現象を観測した結果、PDPの面に対して垂直な線を基準に0度〜80度の間において、いかなるモアレパターン(Moire pattern)も観測されなかった。また、前記ガラス基板をPDPピクセルに対して0度〜45度回転させた時もモアレパターンは観測されなかった。
【0113】
図20は、図15のような従来のパターン(線幅30マイクロメータ、線間間隔300マイクロメータ)と実施例4で製造した不規則パターンを有する伝導体を各々用いた場合、角度別のモアレ(Moire)現象の観察有無(O:観察される、X:観察されず)に対する結果を示す。
【0114】
実施例5
実施例4と同じ方式で製造された導電性パターンに接地をした後、これを40インチPDPの電磁波遮蔽フィルタとして使った時、3mを離れた距離から出るEMIレベルを測定した結果を図21に示す。
【0115】
実施例6
実施例4と同じ方法で製造されたパターンを利用して、図22のようなタッチスクリーン(Touch screen)を製作した後、これを利用して線形性評価を行った。その結果は図23の通りである。この時、既存のITO基盤のタッチスクリーンの線形性誤差が2ピクセル(pixel)である反面、実施例4の方法で製造された印刷基板の伝導体を用いたタッチスクリーンの場合には1ピクセル以下の線形性誤差を有することを確認した。
【0116】
実施例7
実施例4と同じ方法で製造されたパターンを利用して黒化処理した。具体的に、黒化処理は、製造された導電性パターン基板をFeCl3(Kanto Chemical社、16019〜02)1%水溶液に常温で1分間浸漬することによって行った。
黒化処理によってAgの反射度を視認性に問題がないレベルに大幅に向上させることができるということを確認した。黒化前後の反射度を示す写真を図24に示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体。
【請求項2】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの隣接する交点間の距離の標準偏差が最も小さい線であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項3】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンのいずれか1点の接線に対して垂直した方向に延びた直線であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項4】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの交点が80個以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項5】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が20%以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項6】
前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態のパターンを有する、請求項1に記載の伝導体。
【請求項7】
前記電気伝導性パターンは、線幅が100マイクロメータ以下であり、線間間隔が30mm以下であり、透明基材の表面からの線の高さが1〜100マイクロメータである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項8】
直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項9】
前記透明基材は、ガラス、プラスチック基板またはプラスチックフィルムである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項10】
前記伝導体は、開口率が70%以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項11】
前記伝導体は、単位面積当たり抵抗値が、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/squareである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項12】
前記伝導体は、外部要因によって電流を伝導させるように構成される、請求項1に記載の伝導体。
【請求項13】
1分を基準に平均電流が1A以下である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項14】
前記電気伝導性パターンは黒化されたものである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項15】
透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法。
【請求項16】
前記電気伝導性パターンを、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成する、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項17】
前記透明基材上に電気伝導性パターンの形成前にボロノイダイアグラムジェネレータを利用して前記電気伝導性パターンを決定するステップをさらに含む、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項18】
前記電気伝導性パターンを、線幅100マイクロメータ以下、線間間隔30mm以下、透明基材の表面からの線の高さ1〜100マイクロメータになるように形成する、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項19】
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体。
【請求項20】
前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が20%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする、請求項19に記載の伝導体。
【請求項21】
前記閉鎖図形は、少なくとも100個である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項22】
前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態のパターンを有する、請求項19に記載の伝導体。
【請求項23】
前記電気伝導性パターンは、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態のパターンを有する、請求項19に記載の伝導体。
【請求項24】
前記電気伝導性パターンは、線幅が100マイクロメータ以下であり、線間間隔が30mm以下であり、透明基材の表面からの線の高さが1〜100マイクロメータである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項25】
直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項19に記載の伝導体。
【請求項26】
前記透明基材は、ガラス、プラスチック基板またはプラスチックフィルムである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項27】
前記伝導体は、開口率が70%以上である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項28】
前記伝導体は、単位面積当たり抵抗値が、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/squareである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項29】
前記伝導体は、外部要因によって電流を伝導させるように構成される、請求項19に記載の伝導体。
【請求項30】
1分を基準に平均電流が1A以下である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項31】
前記電気伝導性パターンは黒化されたものである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項32】
透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法。
【請求項33】
前記電気伝導性パターンを、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成する、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項34】
前記透明基材上に電気伝導性パターンの形成前にボロノイダイアグラムジェネレータまたはドローネパターンジェネレータを利用して前記電気伝導性パターンを決定するステップをさらに含む、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項35】
前記電気伝導性パターンを、線幅100マイクロメータ以下、線間間隔30mm以下、透明基材の表面からの線の高さ1〜100マイクロメータになるように形成する、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項36】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を含む電磁波遮蔽フィルム。
【請求項37】
前記透明基材の電気伝導性パターンが備えられた面の周縁部に備えられた接地部をさらに含む、請求項36に記載の電磁波遮蔽フィルム。
【請求項38】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を含むタッチパネル。
【請求項39】
下部基材;上部基材;および前記下部基材の上部基材に接する面および前記上部基材の下部基材に接する面のうちの少なくとも一面に備えられた電極層を含み、前記下部基材および前記下部基材の上部基材に接する面に備えられた電極層;および前記上部基材および前記上部基材の下部基材に接する面に備えられた電極層のうちの1つまたは2つともが前記伝導体である、請求項38に記載のタッチパネル。
【請求項40】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を補助電極として含む有機発光素子照明。
【請求項1】
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体。
【請求項2】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの隣接する交点間の距離の標準偏差が最も小さい線であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項3】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンのいずれか1点の接線に対して垂直した方向に延びた直線であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項4】
前記電気伝導性パターンと交差する直線は、前記電気伝導性パターンとの交点が80個以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項5】
前記電気伝導性パターンと交差する直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が20%以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項6】
前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態のパターンを有する、請求項1に記載の伝導体。
【請求項7】
前記電気伝導性パターンは、線幅が100マイクロメータ以下であり、線間間隔が30mm以下であり、透明基材の表面からの線の高さが1〜100マイクロメータである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項8】
直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導体。
【請求項9】
前記透明基材は、ガラス、プラスチック基板またはプラスチックフィルムである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項10】
前記伝導体は、開口率が70%以上である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項11】
前記伝導体は、単位面積当たり抵抗値が、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/squareである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項12】
前記伝導体は、外部要因によって電流を伝導させるように構成される、請求項1に記載の伝導体。
【請求項13】
1分を基準に平均電流が1A以下である、請求項1に記載の伝導体。
【請求項14】
前記電気伝導性パターンは黒化されたものである、請求項1に記載の伝導体。
【請求項15】
透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法。
【請求項16】
前記電気伝導性パターンを、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成する、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項17】
前記透明基材上に電気伝導性パターンの形成前にボロノイダイアグラムジェネレータを利用して前記電気伝導性パターンを決定するステップをさらに含む、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項18】
前記電気伝導性パターンを、線幅100マイクロメータ以下、線間間隔30mm以下、透明基材の表面からの線の高さ1〜100マイクロメータになるように形成する、請求項15に記載の伝導体の製造方法。
【請求項19】
透明基材、および前記透明基材の少なくとも一面に備えられた電気伝導性パターンを含む伝導体であって、前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が2%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする伝導体。
【請求項20】
前記透明基材の全体面積の30%以上が、分布が連続的な閉鎖図形からなり、前記閉鎖図形の面積の平均値に対する標準偏差の比率(面積分布比率)が20%以上である電気伝導性パターンを有することを特徴とする、請求項19に記載の伝導体。
【請求項21】
前記閉鎖図形は、少なくとも100個である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項22】
前記電気伝導性パターンは、ボロノイダイアグラムをなす図形の境界線形態のパターンを有する、請求項19に記載の伝導体。
【請求項23】
前記電気伝導性パターンは、ドローネパターンをなす少なくとも1つの三角形からなる図形の境界線形態のパターンを有する、請求項19に記載の伝導体。
【請求項24】
前記電気伝導性パターンは、線幅が100マイクロメータ以下であり、線間間隔が30mm以下であり、透明基材の表面からの線の高さが1〜100マイクロメータである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項25】
直径20cmの任意の円に対する透過率偏差が5%以下であることを特徴とする、請求項19に記載の伝導体。
【請求項26】
前記透明基材は、ガラス、プラスチック基板またはプラスチックフィルムである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項27】
前記伝導体は、開口率が70%以上である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項28】
前記伝導体は、単位面積当たり抵抗値が、常温において、0.01ohm/square〜1000ohm/squareである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項29】
前記伝導体は、外部要因によって電流を伝導させるように構成される、請求項19に記載の伝導体。
【請求項30】
1分を基準に平均電流が1A以下である、請求項19に記載の伝導体。
【請求項31】
前記電気伝導性パターンは黒化されたものである、請求項19に記載の伝導体。
【請求項32】
透明基材上に電気伝導性パターンを形成するステップを含む伝導体の製造方法であって、前記電気伝導性パターンを、前記透明基材の全体面積の30%以上に、前記電気伝導性パターンと交差する直線を描いた時、前記直線と前記電気伝導性パターンの隣接する交点間の距離の平均値に対する標準偏差の比率(距離分布比率)が2%以上であるパターンに形成することを特徴とする伝導体の製造方法。
【請求項33】
前記電気伝導性パターンを、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法、スパッタリング法、またはインクジェット法を利用して形成する、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項34】
前記透明基材上に電気伝導性パターンの形成前にボロノイダイアグラムジェネレータまたはドローネパターンジェネレータを利用して前記電気伝導性パターンを決定するステップをさらに含む、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項35】
前記電気伝導性パターンを、線幅100マイクロメータ以下、線間間隔30mm以下、透明基材の表面からの線の高さ1〜100マイクロメータになるように形成する、請求項32に記載の伝導体の製造方法。
【請求項36】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を含む電磁波遮蔽フィルム。
【請求項37】
前記透明基材の電気伝導性パターンが備えられた面の周縁部に備えられた接地部をさらに含む、請求項36に記載の電磁波遮蔽フィルム。
【請求項38】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を含むタッチパネル。
【請求項39】
下部基材;上部基材;および前記下部基材の上部基材に接する面および前記上部基材の下部基材に接する面のうちの少なくとも一面に備えられた電極層を含み、前記下部基材および前記下部基材の上部基材に接する面に備えられた電極層;および前記上部基材および前記上部基材の下部基材に接する面に備えられた電極層のうちの1つまたは2つともが前記伝導体である、請求項38に記載のタッチパネル。
【請求項40】
請求項1〜14および19〜31のうちのいずれか一項による伝導体を補助電極として含む有機発光素子照明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図27】
【図4】
【図14】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図27】
【図4】
【図14】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2012−533877(P2012−533877A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520547(P2012−520547)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004675
【国際公開番号】WO2011/008055
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004675
【国際公開番号】WO2011/008055
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】
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