説明

位置検出センサ

【課題】リニアスケールのパターンを自発光の発光部(光電アレー)を用いて形成することによって、安定した高出力の検出信号を得ることができる共に、移動量、移動速度、絶対位置のうちの所望の検出を容易に可能として、且つ、狭い隙間においても使用することができる位置検出センサを提供する。
【解決手段】リニアスケール10に高輝度部14と低輝度部16とからなるパターンが形成され、高輝度部14は、自発光する光電アレーにより形成されている。リニアスケール10に対して相対的に移動するセンサ部12は、その高輝度部14で発光した光を受光することによって、移動量、移動速度、絶対位置などを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検出センサに係り、特に測定対象物の移動量、移動速度、絶対位置等を検出するためのリニアスケールを有する位置検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアスケールを使用した光電式の位置検出センサは、周知のようにリニアスケールに設けられたパターンをリニアスケールに対して相対的に移動する光学手段により光学的に読み取ることによって、光学手段とリニアスケールの相対的な移動量や、リニアスケールに対する光学手段の位置等を検出できる構成となっている。
【0003】
図13及び図14は、リニアスケールを使用した従来の位置検出センサの構成を例示した図であり、図13は、反射型の位置検出センサを示し、図14は、透過型の位置検出センサを示している。
【0004】
図13(A)に示すように反射型の位置検出センサでは、リニアスケール200に高反射率部(白色等の高輝度部)202と低反射率部(黒色等の低輝度部)204とが交互に設けられる。そして、このような反射型のリニアスケール200に対向して、反射型のフォトインタラプタ210が配置され、そのフォトインタラプタ210がリニアスケール200に対して相対的に移動する。例えば、リニアスケール200が静止部分に取り付けられ、フォトインタラプタ210が移動する測定対象物に連動するように取り付けられる。
【0005】
反射型のフォトインタラプタ210には、同図(B)に示すようにリニアスケール200に光を投光する投光部(発光素子121)と、投光部から投光されてリニアスケール200で反射した光を受光する受光部(受光素子214)とが同一面側に設けられている。フォトインタラプタ210が、リニアスケール200の高反射率部202とこれに隣接する低反射率部204からなる1ピッチ分の距離を移動するごとに、同図(C)に示すように高(high)レベルと低(low)レベルの電圧からなるパルス信号が検出信号としてフォトインタラプタ210(受光素子214)から出力される。
【0006】
図14(A)に示すように透過型の位置検出センサでは、リニアスケール220に光を透過させるためのスリット(透光部)222と遮光部224とが交互に設けられる。そして、このような透過型のリニアスケール220に対して、透過型のフォトインタラプタ230がその投光部232と受光部234とで挟むようにして配置され、そのフォトインタラプタ230がリニアスケール220に対して相対的に移動する。例えば、リニアスケール220が静止部分に取り付けられ、フォトインタラプタ230が移動する測定対象物に連動するように取り付けられる。
【0007】
投光型のフォトインタラプタ230には、同図(B)に示すようにリニアスケール220に光を投光する投光部232(発光素子236)と、投光部232から投光されてリニアスケール220を透過した光を受光する受光部234(受光素子238)とが対向して設けられている。フォトインタラプタ230が、リニアスケール220のスリット222と遮光部224からなる1ピッチ分の距離を移動するごとに、同図(C)に示すように高(high)レベルと低(low)レベルの電圧からなるパルス信号が検出信号としてフォトインタラプタ230(受光素子234)から出力される。
【0008】
特許文献1、2では、このようなリニアスケールとして液晶パネル(液晶スケール)を使用し、液晶の制御によってリニアスケールのパターンを液晶パネルで実現することが提案されている。
【特許文献1】特開2002−48599号公報
【特許文献2】特開2005−24276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記反射型の位置検出センサは、光学手段の投光部から投光してリニアスケールで反射した反射光を検出するため、一般に検出信号の出力レベルが低く、また、製品ごとにS/N比が異なる。そのため、安定した検出信号が得られず、また、検出信号が高レベルか低レベルかを判定するためのスライスレベルの設定が難しいという問題がある。
【0010】
また、上記透過型の位置検出センサは、リニアスケールのスリットを透過する光を直接検出するため、検出信号の出力レベルが高いが、スリットの形状が検出精度に影響する。また、光学手段(フォトインタラプタ等)の発光部と受光部がリニアスケールを挟んで対向配置されるため、センサの形状幅が大きくなるという問題もある。
【0011】
更に、図13及び図14に示したリニアスケールは、絶対位置を検出するものではなく、相対位置(移動量)や移動速度を検出するもので、検出信号により直接的に絶対位置を検出することができない。また、絶対位置を検出するための手段として、抵抗値方式のリニアスケールを用いる方法もあるが、抵抗値を検出するブラシ部の移動方向によって誤差が生じ精度上の問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、安定した高出力の検出信号を得ると共に、移動量、移動速度、絶対位置のうちの所望の検出を容易に可能とし、且つ、狭い隙間においても使用できる位置検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、請求項1に係る位置検出センサは、所定のパターンが形成されるスケールと、前記スケールに対向して設けられると共に、前記スケールに対して相対的に移動可能に設けられた相対可動部とを備えた位置検出センサにおいて、前記スケールに設けられ、前記パターンを形成するための自発光する発光部と、前記相対可動部に設けられる受光部であって、前記スケールの前記パターンが形成された部位のうち、測定対象物の現在位置とする位置で発光した光を検出する受光部と、を備え、前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、自発光の光を検出するため、安定した高出力の検出信号を得ることができる。
【0015】
請求項2に係る位置検出センサは、請求項1に記載の発明において、前記スケールの前記パターンが形成される部位に自発光するペーパーディスプレイが設けられ、該ペーパーディスプレイに対する画像表示により前記パターンが形成されることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、有機ELディスプレイ等のペーパーディスプレイの解像度表示本数に見合う分解能を得ることができる。また、従来の印刷型反射スケールと同様に曲面での使用が可能となる。
【0017】
請求項3に係る位置検出センサは、請求項1、又は、2に記載の発明において、前記スケールの前記パターンが形成される部位の表面に垂直導光板が設けられたことを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、光の散乱が抑制され、更に安定した高出力の検出信号が得られる。
【0019】
請求項4に係る位置検出センサは、請求項1、2、又は、3に記載の発明において、前記スケールの前記パターンは、高輝度部と低輝度部とを交互に配列したパターンであり、前記相対可動部の前記受光部により受光した光の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴としている。
【0020】
本発明は、スケールのパターンについての一実施の形態を示したものである。
【0021】
請求項5に係る位置検出センサは、請求項1、2、3、又は、4に記載の発明において、前記高輝度部の各々の輝度を位置に応じた異なる輝度とし、前記相対可動部の前記受光部により検出した輝度の大きさに基づいて、前記測定対象物の絶対位置を検出することを特徴としている。
【0022】
本発明によれば、受光部により検出した輝度の大きさにより、絶対位置の検出が可能となる。
【0023】
請求項6に係る位置検出センサは、請求項1、2、3、又は、4に記載の発明において、前記高輝度部の各々の発光を位置に応じた異なる周波数で点滅させ、前記相対可動部の前記受光部により検出した輝度の信号周波数に基づいて、前記測定対象物の絶対位置を検出することを特徴としている。
【0024】
本発明は、スケールのパターンについての一実施の形態を示したものである。
【0025】
請求項7に係る位置検出センサは、請求項1、2、又は、3に記載の発明において、前記スケールの前記パターンは、高色温度部と低色温度部とを交互に配列したパターンであり、前記相対可動部の前記受光部により受光した光の色温度を検出し、該検出した色温度に基づいて前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴としている。
【0026】
本発明は、スケールのパターンについての一実施の形態を示したものであり、色温度によっても移動量、移動速度、又は、絶対位置の検出を行えるようにした態様である。
【0027】
請求項8に係る位置検出センサは、請求項1−7のうちのいずれか1に記載の発明において、前記スケールの前記パターンにおいて、前記高輝度部と前記低輝度部の幅の比率、又は、前記高色温度部と前記低色温度部の幅の比率を変更可能にしたことを特徴としている。
【0028】
本発明によれば、高分解能化、省電力化が可能となる。
【0029】
請求項9に係る位置検出センサは、請求項1−8のうちのいずれか1に記載の発明において、前記スケールの前記パターンを記憶するメモリを備えたことを特徴としている。
【0030】
本発明によれば、メモリのデータによってスケールのパターンを任意の設定することができる。
【0031】
請求項10に係る位置検出センサは、請求項9に記載の発明において、前記メモリに記憶するパターンを書換え可能としたことを特徴としている。
【0032】
メモリのデータを書き換えることによってスケールのパターンを任意の変更、調整することができる。
【0033】
請求項11に係る位置検出センサは、所定のパターンが形成されるスケールと、前記スケールに対向して設けられると共に、前記スケールに対して相対的に移動可能に設けられた相対可動部とを備えた位置検出センサにおいて、前記スケールにおいて自発光する発光部と光を受光する受光部とを交互に配置することによって前記パターンを形成すると共に、前記パターンを形成する発光部のうち、測定対象物の現在位置とする位置の発光部で発光した光を反射させて該発光部に隣接する受光部に入射させる反射面を前記相対可動部に設け、前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴としている。
【0034】
発発明によれば、スケールにおいて、自発光した光を自ら検出するため、安定した発光及び発光制御が可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、安定した高出力の検出信号を得ることができる共に、移動量、移動速度、絶対位置のうちの所望の検出が容易に可能となり、且つ、狭い隙間においても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る位置検出センサを実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0037】
本発明に係る位置検出センサの第1の実施の形態について説明する。
【0038】
図1は、本発明に係る位置検出センサの第1の実施の形態の構成を示した斜視図である。同図に示すように本実施の形態の位置検出センサは、自発光型のリニアスケール10と、リニアスケール10に対して相対的に移動可能に配置されるセンサ部(相対可動部)12を備えている。例えば、リニアスケール10が静止部分に取り付けられ、センサ部12が移動する測定対象物に連動するように取り付けられる。又は、この逆の場合もある。
【0039】
リニアスケール10は、フレーム部17とパターン部18とを備え、パターン部18には、白色の高輝度部14と黒色の低輝度部16とを交互に配列したパターンが形成されている。白色の高輝度部14、14、…は各々、微細加工された光源アレーにより形成されており、自ら白色に発光するようになっている。
【0040】
また、図2の断面図に示すように、リニアスケール10の上面には高輝度部14、14、…から出射した光の散乱を抑制し、パターン部18の上面に対して垂直方向にその光を導くための垂直導光板20が設けられている。
【0041】
一方、センサ部12は、図2に示すように、従来のような投光部はなく、受光部のみを備え、その受光部に受光素子(フォトトランジスタ)22を有している。
【0042】
センサ部12の受光部がリニアスケール10の高輝度部14に対向する位置に移動すると、図3に示すような検出回路によって、センサ部12の受光部(フォトトランジスタ22)に入射した光の光量に応じた電圧の検出信号が出力されるようになっている。図3において、フォトトランジスタ22に光が入射していない場合には、フォトトランジスタ22に電流が流れずにトランジスタ24がオフの状態となる。このとき、出力電圧Voは電源からの印加電圧Vccとなる。
【0043】
一方、フォトトランジスタ22に光が入射した場合、入射した光の光量に応じた大きさの電流がフォトトランジスタ22に流れるようになる。その電流の大きさに応じた電流がトランジスタ24に流れる。これによって出力電圧Voは、フォトトランジスタ22に入射した光量に応じた電圧分だけVccから減算した電圧となる。
【0044】
尚、以下において、センサ部12から出力される検出信号は、上記のように検出回路から出力される出力電圧Voに対して、Vccを基準電圧(0V)とし、負の電圧を正の電圧に変換したものとする。この場合、フォトトランジスタ22に光が入射していない状態では、0V(低レベルの電圧)の検出信号が出力される。一方、フォトトランジスタ22に光が入射すると、その光の光量が大きいほど大きな電圧(高レベルの電圧)の検出信号が出力されるものとなる。
【0045】
従って、センサ部12が移動すると、リニアスケール10の高輝度部14と低輝度部16からなる1ピッチ分を移動するごとに、高(high)レベルと低(low)レベルの電圧からなるパルス信号が検出信号として出力される。このパルス信号のパルス数をカウントすることにより、センサ部12の移動量を検出することができ、また、単位時間当たりのパルス数をカウントすることにより、センサ部12の移動速度を検出することができる。
【0046】
また、リニアスケール10の高輝度部14、14、…は、一定の発光輝度ではなく、図4(A)に示すように縦軸に示すリニアスケール10の絶対位置に対して、横軸に示す各位置に配置される各高輝度部14の白発光輝度が原点からの距離に応じて徐々に高くなるように調整されている。
【0047】
従って、図4(B)に示すようにセンサ部12が移動すると、センサ部12により高(high)レベルと低(low)レベルの電圧からなるパルス信号が検出信号として出力されると共に、検出信号が高レベルの際の電圧値が、センサ部12の絶対位置に応じた電圧値となる。この検出信号が高レベルの際の電圧値を検出することにより、センサ部12の絶対位置を検出することができる。
【0048】
尚、図4では、各高輝度部14の白発光輝度が原点からの距離が大きくなるほど高くなるように調整されている例を示したが、各高輝度部14の位置に応じて発光輝度が相違していればよく、原点からの距離が大きくなるほど、高輝度部14の発光輝度が小さくなるようにしてもよい。また、絶対位置の検出が不要な場合には、高輝度部14の全ての発光輝度を一定にしても良い。
【0049】
以上のように、自発光型のリニアスケール10を用いることにより、反射光を検出するのではなく、リニアスケール10で自発光した光を直接検出するため、安定した高出力の信号を得ることができるようになる。
【0050】
また、リニアスケール10の表面に垂直導光板20を設置することにより、光の散乱を抑制し、更に安定した高出力の検出信号を得ることができる。
【0051】
また、リニアスケール10のフレーム部は、パターン部18の高輝度部14又は低輝度部16と一体の構成部材でもよい。
【0052】
また、リニアスケール10のパターン部18は、有機ELディスプレイ等のペーパーディスプレイを用いることが可能であり、ペーパーディスプレイでの画像表示を制御することにより、例えば、高輝度部14を白(又は色)、低輝度部16を黒で表示させてパターン部18のパターンを生成するようにしてもよい。フレーム部17もパターン部18と一体とし、リニアスケール10の全体をペーパーディスプレイとしてもよい。このようにペーパーディスプレイを使用することにより、従来の印刷型反射スケールに対し、ペーパーディスプレイの解像度表示本数に見合う分解能を得ることができる。
【0053】
次に、本発明に係る位置検出センサの第2の実施の形態について説明する。
【0054】
第2の実施の形態の位置検出センサの構成は、図1乃至図3に示した第1の実施の形態の位置検出センサと同様に構成される。一方、リニアスケール10の高輝度部14は、一定の発光輝度で発光すると共に所定周波数で点滅する。そして、図5(A)に示すように縦軸に示すリニアスケール10の絶対位置に対して、横軸に示す各可位置に配置される高輝度部14の点滅周波数が原点からの距離に応じて徐々に高くなるように点滅している。
【0055】
従って、図5(B)に示すようにセンサ部12が移動すると、センサ部12により所定周波数のパルス信号と、比較的長い間継続する低レベルの信号とからなる検出信号が出力されると共に、所定周波数のパルス信号が出力されている際の周波数が絶対に応じた周波数となる。この検出信号のパルス信号出力時の周波数を検出することにより、センサ部12の絶対位置を検出することができる。
【0056】
尚、図5では、各高輝度部14の点滅周波数は原点からの距離が大きくなるほど高くなるように調整されている例を示したが、各高輝度部14の位置に応じて点滅周波数が相違していればよく、原点からの距離が大きくなるほど、高輝度部14の点滅周波数が低くなるようにしてもよい。また、絶対位置の検出が不要な場合には、高輝度部14の全ての点滅周波数を一定にしてもよい。
【0057】
次に、本発明に係る位置検出センサの第3の実施の形態について説明する。
【0058】
第3の実施の形態の位置検出センサは、図6に示すようにリニアスケール50及びセンサ部52を有しており、第1及び第2の実施の形態と同様にリニアスケール50は、フレーム部57とパターン部58とを備えている。このパターン部58のパターンとして、第1及び第2の実施の形態のように輝度の差によってパターンが生成されるのではなく、色温度の差によってパターンが生成される。即ち、パターン部58には、高色温度の高色温度部54(C1〜Cn)と例えば黒色等の低色温度の低色温度部56とが交互に配置される。高色温度部54は、微細加工された赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光源アレーによりカラー表示可能に形成される。
【0059】
また、図7の断面図に示すように、リニアスケール50の上面には高輝度部14、14、…から出射した光の散乱を抑制し、パターン部58の上面に対して垂直方向にその光を導くための垂直導光板59が設けられている。
【0060】
一方、センサ部52には、図7に示すカラーセンサ60が具備されており、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各々の色の波長の光を受光するフォトダイオード60R、60G、60Bを備えている。これらのフォトダイオード60R、60G、60Bに入射した光に対して、図7に示すような検出回路により色温度が検出される。
【0061】
即ち、各フォトダイオード60R、60G、60Bで受光した光の光量に応じた出力は各々、対数圧縮回路62R、対数圧縮回路62G、対数圧縮回路62Bにより対数圧縮される。そして、対数圧縮回路62Gと対数圧縮回路62Rの出力が減算回路64により減算されると共に、対数圧縮回路62Bと対数圧縮回路62Gの出力が減算回路66により減算される。これにより、カラーセンサ60により受光された緑色と赤色の光量の比に応じた電圧(Vo(G/R))と、青色と緑色の光量の比に応じた電圧(Vo(B/G))が対数圧縮回路62Bと対数圧縮回路62Gから出力される。これらの電圧Vo(G/R)、Vo(B/G)によりカラーセンサ60に入射した光の色温度が検出される。
【0062】
また、リニアスケール50の高色温度部54は、一定の色温度ではなく、リニアスケール50の絶対位置に対して、各位置の高色温度部54の色温度が原点からの距離に応じて徐々に高くなるように発光している。
【0063】
従って、センサ部52が移動すると、検出回路により高レベルと低レベルの電圧からなるパルス信号が検出信号として減算回路64、66から出力され、この検出信号によりセンサ部52の移動量や移動速度が上記実施の形態と同様に検出される。
【0064】
また、検出回路の出力が高色温度を示した際に、検出回路の出力と絶対位置との関係を示すテーブルを参照することによりデータ色温度によりセンサ部12の絶対位置を検出することができる。
【0065】
次に、本発明に係る位置検出センサの第4の実施の形態について説明する。
【0066】
本実施の形態では、第1〜第3の実施の形態において、リニアスケール10(50)のパターン部18(58のパターンを任意に書き換えられるようにした態様を示す。図8、図9に示すようにリニアスケール10のパターン部18は有機ELディスプレイ等の自発光型のペーパーディスプレイ80とし、ペーパーディスプレイ80を制御する制御回路として、ペーパーディスプレイ80の表示をマトリックス駆動により行うためのドライバ82、84と、ドライバ82、84を介してペーパーディスプレイ80に所定のパターン(画像)を表示させるための信号を生成し、出力するCPU86と、ペーパーディスプレイ80に表示させるパターンを記憶した表示データ格納メモリ88とを備えている。CPU86は、表示データ格納メモリ88に格納された表示データを参照し、その表示データが示すパターンをペーパーディスプレイ80に表示させるための信号をドライバ82、84に出力する。
【0067】
これによれば、表示データ格納メモリ88を書換え可能なメモリとし、表示データ格納メモリ88に格納される表示データを所望のスケールパターンを示す表示データに書き換えることによって、任意のスケールパターンをペーパーディスプレイ80に表示させることができる。従って、パターン部18のパターンの1ピッチの幅を変更することや、発光輝度や色温度を調整することなどが可能となる。第1〜第3の実施の形態においては、高輝度部14と低輝度部16の幅の比率、高色温度部54と低色温度部56の幅の比率を変更することができる。但し、これらの幅の比率は、ペーパーディスプレイ80を使用せず、高輝度部14や高色温度部54のみを光源アレーで形成する場合であっても発光範囲を変更することにより、変更することが可能である。
【0068】
次に、本発明に係る位置検出センサの第5の実施の形態について説明する。
【0069】
第5の実施の形態の位置検出センサは、図10に示すようにリニアスケール100とリニアスケール100に対して相対的に移動する反射板102を有している。尚、反射板102は上記実施の形態におけるセンサ部12と同様に例えば移動する測定対象物に連動するように取り付けられ、リニアスケール100に対する反射板102の位置、速度が測定される。
【0070】
リニアスケール100は、第1〜第4の実施の形態と同様にパターン部104を有しており、パターン部104には、発光部106と受光部108が交互に配列されている。発光部106は、上記実施の形態と同様に微細加工された光源アレーにより形成され、受光部108は、受光素子により形成される。
【0071】
また、図11の断面図に示すように、パターン部104の上面には発光部106から出射された光の散乱を抑制するための導光板108が設けられる。
【0072】
一方、反射板102は、発光部106から出射された光を反射する反射面を有するのみで、上記実施の形態のセンサ部12のような受光部を備えていない。
【0073】
これによれば、リニアスケール100のパターン部104において反射板102に対向する位置にある発光部106から出射された光は、反射板102で反射し、光を出射した発光部106に隣接する受光部108に入射する。
【0074】
従って、複数の受光部108の各々の出力を個別に読み取ることができるようにすれば、反射板102の反射光が入射した受光部108の位置から反射板102の絶対位置を検出することができる。そして、これに基づき、反射板102の移動量や移動速度も検出することができる。
【0075】
また、複数の受光部108の各々の出力を個別に読み取るのではなく、全ての受光部108の出力の総和を読み取るようにした場合であっても、第1〜第3の実施の形態のいずれかと同様の方法で、反射板102の移動量、移動方向、絶対位置を検出することができる。
【0076】
即ち、発光部106の発光輝度又は点滅周波数を第1又は第2の実施の形態における高輝度部14と同様に、リニアスケール100の絶対位置に対して、原点からの距離に応じて徐々に高く(又は低く)し、受光部108で受光する光の光量や点滅周波数を反射板102の位置によって変化させるようにすればよい。
【0077】
また、発光部106を第3の実施の形態における高色温度部54と同様に微細加工された赤色、緑色、青色の光源アレーによりカラー表示可能に形成し、高色温度で発光させる。そして、リニアスケール100の絶対位置に対して、各位置の発光部106の色温度が原点からの距離に応じて徐々に高くなるように発光させるようにしてもよい。この場合、受光部108は、第3の実施の形態のセンサ部52と同様にカラーセンサとし、受光部108で受光する光の色温度を反射板102の位置によって変化させるようにすればよい。
【0078】
以上、説明した各実施の形態の位置検出センサのリニアスケール10、50、100は、曲面に設けることも可能である。第1の実施の形態の位置検出センサで例示すると、リニアスケール10を例えば図12に示すように回転する円筒状の回転部材120の曲面に設置すると共に、センサ部12を図示しない固定部分に設置する。これによって、回転部材120の回転量、回転速度、回転位置(絶対位置)、又は、回転部材120に連動して移動する移動体の移動量、移動速度、絶対位置を検出することができる。このような回転部材120の例としては、例えば、撮影レンズのフォーカスレンズ、ズームレンズ、アイリス等を移動体として、その移動体の駆動するための操作リングや回転筒等がある。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明に係る位置検出センサの第1の実施の形態の構成を示した斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る位置検出センサの第1の実施の形態の構成を示した断面図、及び、検出回路の図である。
【図3】図3は、検出回路の構成を例示した図である。
【図4】図4は、リニアスケールのパターンにおける高輝度部の発光輝度の説明に使用した説明図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態においてリニアスケールのパターンにおける高輝度部の点滅周波数の説明に使用した説明図である。
【図6】図6は、本発明に係る位置検出センサの第3の実施の形態の構成を示した斜視図である。
【図7】図7は、本発明に係る位置検出センサの第3の実施の形態の構成を示した断面図、及び、検出回路の図である。
【図8】図8は、本発明に係る位置検出センサの第4の実施の形態におけるリニアスケールの斜視図である、
【図9】図9は、図8のリニアスケールのパターン部にペーパーディスプレイを使用した場合の制御回路のブロック図である。
【図10】図10は、本発明に係る位置検出センサの第5の実施の形態の構成を示した斜視図である、
【図11】図11は、本発明に係る位置検出センサの第5の実施の形態の構成を示した断面図である、
【図12】図12は、本発明に係る位置検出センサのリニアスケールを曲面に設置した態様を示した図である。
【図13】図13は、リニアスケールを使用した従来の反射型の位置検出センサの構成を示した図。
【図14】図14は、リニアスケールを使用した従来の透過型の位置検出センサの構成を示した図。
【符号の説明】
【0080】
10、50、100…リニアスケール、12、52…センサ部、14…高輝度部、16…低輝度部、17…フレーム部、18、58、104…パターン部、20、59…垂直導光板、22…受光素子(フォトトランジスタ)、54…高色温度部、56…低色温度部、60…カラーセンサ、60R、60G、60B…フォトダイオード、102…反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパターンが形成されるスケールと、前記スケールに対向して設けられると共に、前記スケールに対して相対的に移動可能に設けられた相対可動部とを備えた位置検出センサにおいて、
前記スケールに設けられ、前記パターンを形成するための自発光する発光部と、
前記相対可動部に設けられる受光部であって、前記スケールの前記パターンが形成された部位のうち、測定対象物の現在位置とする位置で発光した光を検出する受光部と、
を備え、前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴とする位置検出センサ。
【請求項2】
前記スケールの前記パターンが形成される部位に自発光するペーパーディスプレイが設けられ、該ペーパーディスプレイに対する画像表示により前記パターンが形成されることを特徴とする請求項1の位置検出センサ。
【請求項3】
前記スケールの前記パターンが形成される部位の表面に垂直導光板が設けられたことを特徴とする請求項1、又は、2の位置検出センサ。
【請求項4】
前記スケールの前記パターンは、高輝度部と低輝度部とを交互に配列したパターンであり、前記相対可動部の前記受光部により受光した光の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴とする請求項1、2、又は、3の位置検出センサ。
【請求項5】
前記高輝度部の各々の輝度を位置に応じた異なる輝度とし、前記相対可動部の前記受光部により検出した輝度の大きさに基づいて、前記測定対象物の絶対位置を検出することを特徴とする請求項1、2、3、又は、4の位置検出センサ。
【請求項6】
前記高輝度部の各々の発光を位置に応じた異なる周波数で点滅させ、前記相対可動部の前記受光部により検出した輝度の信号周波数に基づいて、前記測定対象物の絶対位置を検出することを特徴とする請求項1、2、3、又は、4の位置検出センサ。
【請求項7】
前記スケールの前記パターンは、高色温度部と低色温度部とを交互に配列したパターンであり、前記相対可動部の前記受光部により受光した光の色温度を検出し、該検出した色温度に基づいて前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴とする請求項1、2、又は、3の位置検出センサ。
【請求項8】
前記スケールの前記パターンにおいて、前記高輝度部と前記低輝度部の幅の比率、又は、前記高色温度部と前記低色温度部の幅の比率を変更可能にしたことを特徴とする請求項1−7のうちのいずれか1に記載の位置検出センサ。
【請求項9】
前記スケールの前記パターンを記憶するメモリを備えたことを特徴とする請求項1−8のうちのいずれか1に記載の位置検出センサ。
【請求項10】
前記メモリに記憶するパターンを書換え可能としたことを特徴とする請求項9の位置検出センサ。
【請求項11】
所定のパターンが形成されるスケールと、前記スケールに対向して設けられると共に、前記スケールに対して相対的に移動可能に設けられた相対可動部とを備えた位置検出センサにおいて、
前記スケールにおいて自発光する発光部と光を受光する受光部とを交互に配置することによって前記パターンを形成すると共に、前記パターンを形成する発光部のうち、測定対象物の現在位置とする位置の発光部で発光した光を反射させて該発光部に隣接する受光部に入射させる反射面を前記相対可動部に設け、
前記受光部から出力された検出信号に基づいて、前記測定対象物の移動量、移動速度、又は、絶対位置を検出することを特徴とする位置検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−276284(P2009−276284A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129751(P2008−129751)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】