説明

位置測定装置

【課題】 波長に依存する測定誤差を最小にすることができる位置測定装置を提供すること。
【解決手段】 被検物15に照明光を照射する照明光学系1と、前記被検物の像を撮像装置25に結像する結像光学系2と、前記撮像装置からの信号を処理する画像処理装置3を有する位置測定装置において、複数の狭波長帯域の光それぞれを前記被検物にテレセントリックに照明する前記狭波長帯域の光毎の専用照明光学系1R、1G、1Bと、前記被検物からの前記複数の狭波長帯域の光それぞれをテレセントリックに結像する前記狭波長帯域の光毎の専用結像光学系2R、2G、2Bを有し、前記専用照明光学系を選択する照明光学系選択手段27と前記専用結像光学系を選択する結像光学系選択手段26を有する位置測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被検物に設けられた、アライメントマーク等の位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程のフォトリソグラフィ工程において形成されたレジストパターンと下地パターンとのアライメントマークのずれ量を測定する必要がある。このようなずれ量を測定する、位置測定装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の開示例では、アライメントマークに対して照明光を照射し、アライメントマークからの反射光を結像光学系により結像して、CCDカメラ等の撮像装置で撮像して、画像処理を経てアライメントマークのずれ量を測定している。この際、照明光の波長帯域は、多種多様なアライメントマークの構造に対して安定した反射強度を得るために、可視光から近赤外光までの広い領域が用いられている。
【0004】
ところで、このように光学的にアライメントマークのずれ測定を行う場合、測定光学系(すなわち、アライメントマークに照明光を照射する照明光学系およびアライメントマークからの反射光を集光結像させる結像光学系)に光学的な収差が発生することが避けられず、このような収差が測定視野領域内に存在すると、アライメントマークの位置の検出に誤差が生じ、その結果、アライメントマークのずれ測定値に測定誤差が生ずる。
【0005】
このため、位置測定装置を用いてアライメントマークのずれ測定を行う前に、この装置の測定光学系に用いられている照明開口絞り、結像開口絞り、対物レンズなどの位置調整を行って、測定誤差を小さくすることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−77295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術においては、使用している照明光が可視光から近赤外光までを含む白色光のため、位置測定装置の光学部品を配置する際の製造誤差の影響により、照明光学系における対物レンズ仮想瞳位置での照明開口絞りの結像位置が照明光に含まれる波長により異なってしまう。これは照明光束の主光線の傾斜(以後、照明テレセントリシティーと記す)が波長によって異なり、アライメントマークの反射分光特性によっては測定誤差の発生の原因となる。また、結像光学系においても光学部品を配置する際の製造誤差等の影響により、結像光学系における結像開口絞り位置での仮想瞳の結像位置が反射光の波長(狭波長帯域の光のことを言い、本明細書中では色光とも記す)により異なってしまう。これは反射光の波長領域によってはアライメントマークからの回折光が非対称にけられる(以後、結像テレセントリシティーと記す)ことを意味しており、アライメントマークの反射分光特性によっては測定誤差の発生原因となるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて行われたものであり、波長に依存する測定誤差を最小にすることができる位置測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の狭波長帯域の光それぞれを前記被検物にテレセントリックに照明する前記狭波長帯域の光毎の専用照明光学系と、前記被検物からの前記複数の狭波長帯域の光それぞれをテレセントリックに結像する前記狭波長帯域の光毎の専用結像光学系を有し、前記位置測定装置は、前記専用照明光学系と前記専用結像光学系の少なくとも一方を具備し、前記専用照明光学系を選択する照明光学系選択手段と前記専用結像光学系を選択する結像光学系選択手段の少なくとも一方を有することを特徴とする位置測定装置を提供する。
【0009】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記専用照明光学系と前記専用結像光学系は、光学調整可能であることが好ましい。
【0010】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記専用照明光学系および前記専用結像光学系それぞれのテレセントリック調整は、前記専用照明光学系と前記専用結像光学系に配設された開口絞りでそれぞれ行われることが好ましい。
【0011】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記専用照明光学系は、前記複数の狭波長帯域の光を一つの光軸に合成する合成手段を有することが好ましい。
【0012】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記専用結像光学系は、前記被検物からの光を前記複数の狭波長帯域の光に分離する分離手段を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記合成手段と前記分離手段は、クロスダイクロイックプリズムからなることが好ましい。
【0014】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記合成手段と前記分離手段は、ダイクロイックミラーからなることが好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記分離手段は、ハーフミラーと色フィルタからなることが好ましい。
【0016】
また、本発明にかかる位置測定装置では、前記合成手段は、ハーフミラーからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、波長に依存する測定誤差を最小にすることができる位置測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に関し図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施の形態にかかる位置測定装置の概略構成図である。図1において、位置測定装置は、照明光学系1、結像光学系2、および画像処理系3から構成されている。
【0020】
照明光学系1は、光源に、赤色LED4R、緑色LED4G、および青色LED4Bをそれぞれ使用した、専用の赤色光照明光学系1R、緑色光照明光学系1G、および青色光照明光学系1Bからそれぞれ構成されている。
【0021】
赤色LED4Rからの光は、レモンスキン5Rで面内の光量分布を均一にされ、2枚のリレーレンズ6R,7Rを通過し、照明開口絞り8Rに達する。照明開口絞り8Rは光軸に垂直な面内で移動可能な構成となっている。このようにして赤色光照明光学系1Rが構成されている。
【0022】
緑色LED4Gからの光は、レモンスキン5Gで面内の光量分布を均一にされ、2枚のリレーレンズ6G,7Gを通過し、照明開口絞り8Gに達する。照明開口絞り8Gは光軸に垂直な面内で移動可能な構成となっている。このようにして緑色光照明光学系1Gが構成されている。
【0023】
青色LED4Bからの光は、レモンスキン5Bで面内の光量分布を均一にされ、2枚のリレーレンズ6B,7Bを通過し、照明開口絞り8Bに達する。照明開口絞り8Bは光軸に垂直な面内で移動可能な構成となっている。このようにして青色光照明光学系1Bが構成されている。
【0024】
赤色光照明光学系1R、緑色光照明光学系1G、および青色光照明光学系1Bからの各色光は、クロスダイクロイックプリズム9にそれぞれ入射して共通の光軸Iの光束となり、照明リレーレンズ10、視野絞り11、照明リレーレンズ12を介して落射プリズム13に入射して反射され、第一対物レンズ14でウエハ15に集光される。ウエハ15は、ウエハホルダ16にて保持されており、そのウエハホルダ16はXYステージ17に載置されている。
【0025】
本第1実施の形態の照明光学系1は、図1に記載の構成のほかに図2(a)〜(c)に記載の照明光学系1a、1b、1cを用いることができる。
【0026】
図2(a)は、照明光学系1の第一変形例であり、図1のクロスダイクロイックプリズム9をクロスプリズム9Aで置き換えている。クロスプリズム9Aは、2枚のハーフミラーを略直交して配置したもので、赤色光照明光学系1Rからの光と青色光照明光学系1Bからの光をそれぞれ反射し、緑色光照明光学系1Gからの光を透過するように形成されている。その他の光学部材の構成および作用は図1の各色光の照明光学系1R、1G、1Bとそれぞれ同様であり同じ符号を付し説明を省略する。
【0027】
図2(b)は、照明光学系1の第2変形例であり、図1の各色光LED4R、4G,4Bにそれぞれ白色光源104を用い、所定の波長の赤色光を透過する赤色フィルタ104R、所定の波長の緑色光を透過する緑色フィルタ104G、および所定の波長の青色光を透過する青色フィルタ104Bをそれぞれ配置して、各色光を出射する構成となっている。各フィルタを透過した各色光は、各色光照明光学系1R,1G,1Bを構成する図1と同様の光学部材を介してクロスプリズム9Aにそれぞれ入射し、照明リレーレンズ10に向けて赤色光と青色光は反射され、緑色光は透過される。また、それぞれの照明開口絞り8R,8G、8Bとクロスプリズム9Aとの間にはシャッタ30R、30G,30Bがそれぞれ配置され、図1のLEDコントロール27に替わる光源制御部31で開閉が制御される。シャッタ30R、30G、30Bは、それぞれの色光をウエハ15に選択的に照射する際に用いられ、シャッタ30R、30G、30Bを用いることによって白色光源104をON/OFFする場合に比べ安定した照明光をウエハ15に照射することが可能になる。なお、シャッタ30R、30G、30Bの替わりに白色光源104の電源のON/OFFによる切替も可能である。また画像の取得を後述するCCDの選択で実行するようにすれば、シャッタ30R、30G,30Bと光源制御部31を不要にすることができる。その他の光学部材の構成および作用は図1の各色光照明光学系1R、1G、1Bとそれぞれ同様であり同じ符号を付し説明を省略する。
【0028】
図2(c)は、照明光学系1の第3変形例であり、各色光の光源に図2(b)と同様の白色光源104を用いている。クロスダイクロイックプリズム9は所定の波長の赤色光、および所定の波長の青色光を反射し、所定の波長の緑色光を透過するため、白色光源104から所定の波長の各色光を選択する図2(b)に示す色フィルタ104R,104G、104Bが不要となる。図2(b)と同様にシャッタ30R、30G,30Bがそれぞれの照明開口絞り8R,8G、8Bとクロスダイクロイックプリズム9の間に設けられ、光源制御部31で開閉が制御され、ウエハ15に照射する色光が選択される。なお、シャッタ30R、30G、30Bの替わりに白色光源104の電源のON/OFFによる切替も可能である。また画像の取得を後述するCCDの選択で実行するようにすれば、シャッタ30R、30G,30Bと光源制御部31を不要にすることができる。その他の光学部材の構成および作用は図1および図2(b)と同様であり同じ符号を付し説明を省略する。
【0029】
ウエハ15で反射された光は、第一対物レンズ14で集光され、落射プリズム13を透過して第二対物レンズ18にて結像視野絞り19の位置に一次像が形成される。その後、一次像からの光は第一リレーレンズ20を通過してクロスダイクロイックプリズム21に入射して、赤色光、緑色光、および青色光にそれぞれ分離される。
【0030】
本第1実施の形態の結像光学系3に用いられるクロスダイクロイックプリズム21は、図3に示すクロスプリズム21Aと各色光用の色フィルタ105R、105G,および105Bで置き換えることができる。クロスプリズム21Aは、2枚のハーフミラーを略直交して配置したもので、ウエハ15からの反射光中の赤色光と青色光をそれぞれ反射し、緑色光を透過するように形成されている。
【0031】
クロスダイクロイックプリズム21またはクロスプリズム21Aと各色フィルタで色分離された各色光は、赤色光結像光学系2R、緑色光結像光学系2G、および青色光結像光学系2Bにそれぞれ入射する。
【0032】
クロスダイクロイックプリズム21またはクロスプリズム21Aと赤色フィルタ105Rから出射した赤色光は、結像開口絞り22R、第二リレーレンズ23Rを介してCCD24Rに結像される。
【0033】
クロスダイクロイックプリズム21またはクロスプリズム21Aと緑色フィルタ105Gから出射した緑色光は、結像開口絞り22G、第二リレーレンズ23Gを介してCCD24Gに結像される。
【0034】
クロスダイクロイックプリズム21またはまたはクロスプリズム21Aと青色フィルタ105Bから出射した青色光は、結像開口絞り22B、第二リレーレンズ23Bを介してCCD24Bに結像される。
【0035】
CCD24R、CCD24G,およびCCD24Bからの各画像信号は、CCDアンプ25R、25G、および25Bをそれぞれ介してカメラコントロール26に送られ、赤色光、緑色光、青色光の少なくとも1色の画像が選択され出力される。
【0036】
赤色LED4R、緑色LED4G、および青色LED4BはLEDコントロール27でON/OFF、および発光強度などが制御される。図2(b)、(c)の変形例では、LEDコントロール27の替わりに光源制御部31でシャッタ30の開閉制御が行われる。
【0037】
カメラコントロール26とLEDコントロール27または光源制御部31は、カラーコントロール28に接続され、例えば赤色LED4Rまたはシャッタ30RがONされた時にはCCD24RがONされ、赤色LED4Rまたはシャッタ30RとCCD24Rが同期して動作するように制御される。カラーコントロール28からの画像信号は画像処理装置29に入力され、位置測定処理が行われる。その他の色光が選択された場合も同様であり説明を省略する。
【0038】
このようにして、本第1実施の形態にかかる位置測定装置が構成されている。
【0039】
本第1実施の形態にかかる位置測定装置では、照明光学系の照明テレセントリシティーと結像光学系の結像テレセントリシティーが赤色光、緑色光、および青色光の各色光に対してそれぞれ調整されている。以下、LED光源を用いた場合を代表として説明するが、白色光源を用いた場合も同様である。
【0040】
赤色光の調整をする場合、カラーコントロール28からLEDコントロール27とカメラコントロール26に制御信号を伝達して、赤色LED4Rと、赤色光結像光学系3RのCCD24RのみをON状態にする。そして、照明光学系1Rのレンズ6R,7Rの一部を光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、照明開口絞り8Rが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように照明開口絞り8Rを調整して固定する。続いて、結像光学系2Rのレンズ23Rを光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、結像開口絞り22Rが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように結像開口絞り22Rを調整して固定する。このような調整により、赤色光に対する照明テレセントリシティーと結像テレセントリシティーの両方の調整が完了する。この調整により、赤色の照明光は、ウエハ15にテレセントリックに照射され、ウエハ15からの反射光は結像開口絞り22Rで非対称にけられることが無くなる。この結果、赤色光を用いた位置測定においては、ウエハ15に形成されている、例えばアライメントマークの位置測定誤差を最小にすることができる。
【0041】
緑色光の調整をする場合、カラーコントロール28からLEDコントロール27とカメラコントロール26に制御信号を伝達して、緑色LED4Gと、緑色光結像光学系3GのCCD24GのみをON状態にする。そして、照明光学系1Gのレンズ6G,7Gの一部を光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、照明開口絞り8Gが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように照明開口絞り8Gを調整して固定する。続いて、結像光学系2Gのレンズ23Gを光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、結像開口絞り22Gが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように結像開口絞り22Gを調整して固定する。このような調整により、緑色光に対する照明テレセントリシティーと結像テレセントリシティーの両方の調整が完了する。この調整により、緑色の照明光は、ウエハ15にテレセントリックに照射され、ウエハ15からの反射光は結像開口絞り22Gで非対称にけられることが無くなる。この結果、緑色光を用いた位置測定においては、ウエハ15に形成されている、例えばアライメントマークの位置測定誤差を最小にすることができる。
【0042】
青色光の調整をする場合、カラーコントロール28からLEDコントロール27とカメラコントロール26に制御信号を伝達して、青色LED4Bと、青色光結像光学系3BのCCD24BのみをON状態にする。そして、照明光学系1Bのレンズ6B,7Bの一部を光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、照明開口絞り8Bが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように照明開口絞り8Bを調整して固定する。続いて、結像光学系2Bのレンズ23Bを光軸と垂直な方向へ移動し、収差(コマ収差等)を調整した後に固定し、結像開口絞り22Bが第一対物レンズ14の瞳位置に対して共役となるように結像開口絞り22Bを調整して固定する。このような調整により、青色光に対する照明テレセントリシティーと結像テレセントリシティーの両方の調整が完了する。この調整により、青色の照明光は、ウエハ15にテレセントリックに照射され、ウエハ15からの反射光は結像開口絞り22Bで非対称にけられることが無くなる。この結果、青色光を用いた位置測定においては、ウエハ15に形成されている、例えばアライメントマークの位置測定誤差を最小にすることができる。
【0043】
以上の調整によって、赤色光、緑色光、および青色光の3色光全ての照明テレセントリシティーと結像テレセントリシティーがそれぞれ調整され、位置測定装置の光学系の調整が完了する。この結果、位置測定装置において、赤色LED4RとCCD24R、緑色LED4GとCD24G、または青色LEDとCCD24Bを用いて位置測定を行ったときの測定誤差をそれぞれ最小にすることが可能になる。
【0044】
また、赤色光、緑色光、青色光のいずれか一色光ではウエハ15からの反射光量が不十分な場合、いずれかの2色光、または3色光全てをウエハ15に照射して位置測定を行う。この場合、各色光の照明テレセントリシティーと結像テレセントリシティーはそれぞれの光学系で確保されているので、色光による測定誤差はそれぞれ最小に抑えることができる。但し、1色光による位置測定の測定誤差に比べると各色光の画像を合成する画像合成処理による誤差が含まれる分精度が劣ることになる。
【0045】
例えば、赤緑青の3色の光を用いた位置測定の場合、CCD24R、CCD24G、およびCCD24Bの3枚の画像は画像処理装置29で合成されて位置測定が行われる。CCD24R、CCD24G,CCD24Bの相対的な位置関係は予め測定されているので、この結果を画像合成時に補正データとして用いることによって、画像合成時の誤差を最小限に抑えることができる。この結果、2色光または3色光を用いた位置測定においても、測定誤差を従来の白色光を用いた位置測定に比べて高精度に行うことが可能になる。
【0046】
本第1実施の形態によれば、ウエハ15からの反射光が強く生じる色の照明光をウエハ15に照射し、照射した照明光の色に対応する結像光学系で画像を取得し、画像処理することによって測定誤差を最小に抑えることができ、高精度の位置測定が可能となる。また、複数の色光による照明光で位置測定を行う場合でも、それぞれの色光に対応した照明光学系と結像光学系によって画像を取得して画像を合成することによって、従来の白色光による位置測定比べ高精度な測定を可能にすることができる。
【0047】
(第2実施の形態)
図4は、本発明の第2実施の形態にかかる位置測定装置示す。第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。
【0048】
図4において、位置測定装置は、照明光学系1、結像光学系2、および画像処理系3から構成されている。
【0049】
照明光学系1は、光源に、赤色LED4R、緑色LED4G、および青色LED4Bをそれぞれ使用した、専用の照明光学系1R、1G、および1Bから構成されている。なお、赤色光照明光学系1R、緑色光照明光学系1G、および青色光照明光学系1Bの構成および作用は第1実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0050】
赤色光照明光学系1R、緑色光照明光学系1G、および青色光照明光学系1Bのからの各色光は、共通の光軸Iに対して略45度傾けて配設されているダイクロイックミラー109R、109G、および109Bにそれぞれ入射して一つの光束となり、照明リレーレンズ10、視野絞り11、照明リレーレンズ12を介して落射プリズム13に入射して反射され、第一対物レンズ14でウエハ15に集光される。ウエハ15は、ウエハホルダ16にて保持されており、そのウエハホルダ16はXYステージ17に載置されている。
【0051】
なお、各LED4R、4G,4Bを図2に示す白色光源104に置き換え、ダイクロイックミラー109R,109G,および109Bと照明開口絞り8R、8G、および8Bの間にそれぞれシャッタ30R、30G、および30Bを設けても同様の効果を奏する。また、照明光学系1は、ダイクロイックミラー109R、109G,109Bをハーフミラーに置き換え、光源に各LED4R、4G,4Bをそれぞれ配置、または図2(b)に示すように白色光源104の前に所定の波長を透過する色フィルタ104R、104G,104Bをそれぞれ配置し、各ハーフミラーと照明開口絞り8R、8G、および8Bの間にそれぞれシャッタ30R、30G、および30Bを設けても同様の効果を奏する。
【0052】
ウエハ15で反射された光は、第一対物レンズ14で集光され、落射プリズム13を透過して第二対物レンズ18にて結像視野絞り19の位置に一次像が結像される。その後、一次像からの光は第一リレーレンズ20を通過して、光軸Jに対して略45度に傾けて配設されているダイクロイックミラー121Rで赤色光が、ダイクロイックミラー121Gで緑色光が、ダイクロイックミラー121Bで青色光がそれぞれ反射分離される。なお、ダイクロイックミラー121R、121G,121Bはハーフミラーでそれぞれ構成し各ハーフミラーと各結像開口絞り22R、22G、22Bとの間にそれぞれの色光に対応する色フィルタを配置しても同様の効果を奏する。
【0053】
ダイクロイックミラー121R、121G、121Bでそれぞれ反射分離された各色光は、赤色光結像光学系2R、緑色光結像光学系2G、および青色光結像光学系2Bにそれぞれ入射する。なお、ダイクロイックミラー121R,121G,121B以降の各色光の結像光学系の構成および作用は第1実施の形態と同様であり説明を省略する。また、カメラコントロール26、LEDコントロール27、カラーコントロール28、および画像処理系29の構成および作用は、第1実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0054】
このようにして、本第2実施の形態にかかる位置測定装置が構成されている。
【0055】
なお、第2実施の形態にかかる位置測定装置の調整、作用、および効果は第1実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0056】
本第2実施の形態によれば、ウエハ15からの反射光が強く生じる色の照明光をウエハ15に照射し、照射した照明光の色に対応する結像光学系で画像を取得し、画像処理することによって測定誤差を最小に抑えることができ、高精度の位置測定が可能となる。また、複数の色光による照明光で位置測定を行う場合でも、それぞれの色光に対応した照明光学系と結像光学系によって画像を取得して画像を合成することによって、従来の白色光による位置測定比べ高精度な測定を可能にすることができる。
【0057】
また、所望の色光に対応する照明光学系と結像光学系の一組を、それぞれの光軸に追加し、照明テレセントリシティーおよび結像テレセントリシティーを調整することによって所望の色光に対する測定誤差を最小にすることが可能になる。このように、必要な色光の照明光学系と結像光学系を追加したり、不必要な色光の照明光学系と結像光学系を取り外したりすることができ、種々の色光の組み合わせに対応することが可能になる。
【0058】
なお、上述の全実施の形態において、色光は赤緑青の3色に限られず、ウエハ15から反射される色光に対応する色光照明光学系と色光結像光学系を配設することができる。また、第1実施の形態と同様に白色光源と色フィルタを用いることも可能である。
【0059】
なお、上述の全実施の形態では、色毎に照明テレセントリシティーが調整された照明光学系と色毎に結像テレセントリシティーが調整された結像光学系の両方を配設した場合について説明しているが、被検物の反射分光特性によってはどちらか一方の光学系を有していれば充分な測定精度が得られる場合がある。この場合には、照明光学系または結像光学系のどちらか一方の光学系を色毎にテレセントリシティーが調整された光学系を配設し、他方の光学系は通常の光学系を配設するようにすれば同様の効果を奏することができる。
【0060】
また、上述の実施の形態は例に過ぎず、上述の構成や形状に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜修正、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施の形態にかかる位置測定装置の概略構成図である。
【図2】(a)、(b)、(c)は、第1実施の形態にかかる照明光学系の変形例をそれぞれ示す。
【図3】第1実施の形態にかかる結像光学系の変形例を示す。
【図4】本発明の第2実施の形態にかかる位置測定装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0062】
1 照明光学系
2 結像光学系
3 画像処理系
4 LED
5 レモンスキン
6 リレーレンズ
7 リレーレンズ
8 開口絞り
9 クロスダイクロイックプリズム
9A クロスプリズム
10 照明リレーレンズ
11 照明視野絞り
12 照明リレーレンズ
13 落射プリズム
14 第一対物レンズ
15 ウエハ
16 ウエハホルダ
17 XYステージ
18 第二対物レンズ
19 結像視野絞り
20 第一リレーレンズ
21 クロスダイクロイックプリズム
22 結像開口絞り
23 第二リレーレンズ
24 CCD
25 CCDコントロール
26 カメラコントロール
27 LEDコントロール
28 カラーコントロール
29 画像処理装置
30 シャッタ
31 光源制御部
104 白色光源
109 ダイクロイックミラー
121 ダイクロイックミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物に照明光を照射する照明光学系と、
前記被検物の像を撮像装置に結像する結像光学系と、
前記撮像装置からの信号を処理する画像処理装置を有する位置測定装置において、
複数の狭波長帯域の光それぞれを前記被検物にテレセントリックに照明する前記狭波長帯域の光毎の専用照明光学系と、
前記被検物からの前記複数の狭波長帯域の光それぞれをテレセントリックに結像する前記狭波長帯域の光毎の専用結像光学系を有し、
前記位置測定装置は、前記専用照明光学系と前記専用結像光学系の少なくとも一方を具備し、
前記専用照明光学系を選択する照明光学系選択手段と前記専用結像光学系を選択する結像光学系選択手段の少なくとも一方を有することを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
前記専用照明光学系と前記専用結像光学系は、光学調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記専用照明光学系および前記専用結像光学系それぞれのテレセントリック調整は、前記専用照明光学系と前記専用結像光学系に配設された開口絞りでそれぞれ行われることを特徴とする請求項1に記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記専用照明光学系は、前記複数の狭波長帯域の光を一つの光軸に合成する合成手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項5】
前記専用結像光学系は、前記被検物からの光を前記複数の狭波長帯域の光に分離する分離手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項6】
前記合成手段と前記分離手段は、クロスダイクロイックプリズムからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項7】
前記合成手段と前記分離手段は、ダイクロイックミラーからなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項8】
前記分離手段は、ハーフミラーと色フィルタからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項9】
前記合成手段は、ハーフミラーからなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−300545(P2006−300545A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118419(P2005−118419)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】