説明

作業処理装置またはACF貼付状態検査方法あるいは表示基板モジュール組立ラインまたは表示基板モジュール組立方法

【課題】ACF貼付け処理作業とACF貼付け状態の検査作業のトータル作業時間を短縮できるまたはACF貼付けに必要な処理作業装置長さを短くできる処理作業装置あるいはACF貼付状態検査方法を、あるいは、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる、またはライン長の短い表示基板モジュール組立ライン及び表示基板モジュール組立方法を提供する。
【解決手段】搬送手段によって搬送される表示基板Pの辺の所定位置に貼付けたACF3を撮像しACF貼付け状態を検査する際に、前記ACF3を貼付け後に前記表示基板Pを搬送中に撮像し、搬送中の撮像によって得られたACF画像の揺らぎを補正し、撮像手段は所定位置に貼付けたACF3を含む撮像領域SHを撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶やプラズマなどのFPD(=Flat Panel Display)の表示基板の周辺に駆動ICの搭載やCOF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuits)などのいわゆるTAB(=Tape Automated Bonding)接続および周辺基板(PCB=printed circuit board)を実装する処理作業装置及びそれ等から構成される表示基板モジュール組立ラインに関するものである。より具体的には、異方性導電フィルム(ACF=Anisotropic Conductive Film)の貼付け状態を検査する検査ユニット及び検査方法並びに検査ユニットまたは検査結果に基づいて構成される表示基板モジュール組立ラインまたは表示基板モジュール組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示基板モジュール組立ラインは、液晶、プラズマなどのFPDの表示基板(以下、基本的には単に基板と略し、その他の基板、例えばPCBの場合はPCB基板と明記する)に、複数の処理作業工程を順次行なうことで、該基板の周辺に、駆動IC、COFおよびPCB基板などを実装する装置である。
【0003】
例えば、処理工程の一例としては、(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程、(2)清掃後の基板端部にACFを貼付けるACF工程、(3)貼付けたACFの貼付け状態を検査するACF検査工程、(4)ACFを貼付けた位置の基板配線にTABやICを位置決めして搭載する搭載工程、(5)搭載したTABを加熱圧着することで、ACFフィルムにより固定する圧着工程、(6)圧着したTABやICの位置や接続状態を検査する搭載検査工程、(7)TABの基板側とは反対側にPCB基板をACFなどで貼付け搭載するPCB工程(複数の工程)などからなる。さらには、処理する基板の辺の数や処理するTABやICの数などで各処理装置の数や基板を回転する処理ユニットなどが必要となる。このような工程を得ることによって、基板側の電極とTAB/IC等の側の電極との間に設けたACFを熱圧着することによって両電極を電気的に接続するものである。
【0004】
前記処理する作業処理箇所は基板の一つの処理辺に複数あり、従来のACF検査工程では、ACFが適正に貼付けされているか否を、貼付ける都度、CCDカメラで貼付け部分を撮像し、検査していた。前記検査工程では、CCDカメラで貼付け部を撮像する際に貼付ヘッドが障害物となるために、前記ヘッドが少なくともひとつ先の貼付け位置へ移動し貼付け処理作業中に、基板が停止した状態で、CCDカメラで貼付け部分を撮像し検査していた。上記のような従来技術としては下記の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−142900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、このことは、最終処理作業箇所手前の数箇所の処理作業箇所では、貼付け作業を行なわず、ただ単に検査のみ行なう時間を必要としていた。また、ACF貼付装置のヘッドは、前記数作業箇所分だけオバーランする必要がり、その分だけ装置長さが長くなっていた。
【0007】
本発明の第1の目的は、ACF貼付け処理作業とACF貼付け状態の検査作業のトータル作業時間を短縮できる、またはACF貼付けに必要な処理作業装置長さを短くできる処理作業装置あるいはACF貼付状態検査方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる、またはライン長の短い表示基板モジュール組立ライン及び表示基板モジュール組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の目的を達成するために、搬送手段によって搬送される表示基板の辺の所定位置に貼付けたACFを撮像しACF貼付け状態を検査する際に、前記ACFを貼付け後に前記表示基板を搬送中に前記撮像し、前記搬送中の前記撮像で得られたACF画像の揺らぎを補正し、前記撮像は前記所定位置に貼付けたACFを含む撮像領域を撮像することを第1の特徴とする。
【0010】
また、上記第1の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記揺らぎ補正は前記画像から得られる基準線の揺らぎに基づいて前記補正をすることを第2の特徴とする。
さらに、上記第1の目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記基準線は前記表示基板を構成するカラーフィルタ基板の画像から得られる前記カラーフィルタ基板の端辺であることを第3の特徴とする。
【0011】
また、上記第1の目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板の画像から得られる前記TFT基板の端辺であることを第4の特徴とする。
さらに、上記第1の目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板に設けられた接続リードの画像から得られることを第5の特徴とする。
【0012】
また、上記第1の目的を達成するために、第1乃至第5のいずれかの特徴に加え、前記基準線は前記画像から得られた画像処理部分と前記画像処理部分間を補完または補間して得られる補完または補間部分から構成されることを第6の特徴とする。
さらに、上記の第1の目的を達成するために、第1乃至第6のいずれかの特徴に加え、前記撮像はラインセンサカメラで行なわれることを第7の特徴とする。
【0013】
最後に、上記の第2の目的を達成するために、表示基板を搬送し、表示基板の辺の所定位置にACFを貼付け、ACF貼付け状態を検査し、前記2つの作業処理以外の他の作業処理を順次行なう際に、前記ACFを貼付け後に前記表示基板を搬送中に前記所定位置に貼付けたACFを含む撮像領域を撮像し、前記搬送中の前記撮像で得られたACF画像の揺らぎを補正し、前記補正された撮像データに基づいて前記ACF貼付け状態を検査し、前記ACF貼付け状態検査ユニットの検査結果に基づいて前記他の作業処理を行なう装置を制御することを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ACF貼付け処理作業とACF貼付け状態の検査作業のトータル作業時間を短縮できる、またはACF貼付けに必要な処理作業装置長さを短くできる処理作業装置及びACF貼付状態検査方法を提供することができる。
また、本発明によれば、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮できる、またはライン長の短い表示基板モジュール組立ライン及び表示基板モジュール組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態である表示基板モジュール組立ラインを示した図である。
【図2】本発明の実施形態である表示基板の搬送装置の基本構成と動作説明図である
【図3】図1に示す表示基板モジュール組立ラインのうちACF貼付処理作業装置、ACF貼付状態検査ユニット及びTAB/IC搭載処理作業装置等を示した図である。
【図4】図3に示す構成のうちACF貼付状態の検査に必要な主要部分及び検査対象である表示基板Pを示した図である
【図5】図5(a)は、搬送装置による振動がなく揺らぎがないと仮定した時の撮像結果を示した図である。図5(b)は搬送装置による振動により基板が揺らいだ時の撮像結果を示した図である。
【図6】基板端部の側面図を示す図である。
【図7】本発明の実施形態であるACFの揺らぎの補正方法の処理フローを示した図である。
【図8】揺らぎ補正の基準線の他の実施例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態であるACF貼付検査処理フローを示した図である。
【図10】本発明の実施形態におけるCADデータから得られるACF貼付け状態検査情報データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施形態を図1から図7を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である表示基板モジュール組立ライン1を、図2は、その基板の搬送装置2の基本構成を示した図である。
【0017】
図1の装置は、基板Pを保持する基板保持手段12とその基板を隣接する処理作業装置の位置まで搬送するための基板搬送手段11からなる搬送装置によって、図中左から右に向かって基板を順次搬送しながら、基板の周辺部に各種処理作業を行って、ICやTABなど電子部品の実装組立作業を行なう装置である。図1の装置は、まず、左側の基板長辺側の処理作業装置群13Lで基板長辺側の処理を行ない、基板長辺側の処理を行った後、基板を基板回転手段19で回転させ、同様な構成を有する基板短辺側の処理作業装置群13Sで基板短辺側の処理を行なう。基板長辺側13L及び基板短辺側13Sにおいて、以下同一装置、同一機能については同一符号を記す。
【0018】
図1で示す基板長辺側処理として、左から(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程,(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム(ACF)を貼付けるACF工程、(3)貼付けたACFの貼付け状態を検査するACF検査工程、(4)ACFを貼付けた位置の基板配線にTABやICを位置決めして搭載する搭載工程、(5)搭載したTABやICを加熱圧着し、ACFフィルムにより固定する圧着工程を順次行ない、さらに基板辺の最後、または全ての処理辺が終了した後に周辺基板であるPCB基板を実装する処理作業を行うように構成されている。
【0019】
図中の14〜20は、長辺側、短辺側とも同一符号で示し、それぞれ、端子クリーニング処理作業装置14、ACF貼付処理作業装置15、TAB/IC搭載処理作業装置16,本圧着処理作業装置17、基板回転手段19及びをACF貼付処理作業装置15とTAB/IC搭載処理作業装置16の間の搬送路上に設けられたACF貼付状態検査ユニット20示している。なお、PCB基板実装作業処理装置は割愛している。なお、基板長辺側及び基板短辺側ともにACF貼付処理作業装置15が複数のACF貼付処理作業ユニットを有しているのは、同作業の処理時間が長いために、各ユニットで作業を分担し、表示基板モジュール組立ラインの各装置の処理時間を均一化し、表示基板モジュール組立ラインとしてスループットの向上を図るためである。
【0020】
図2は基板Pの搬送方向であるX方向から見たA−A断面図である。同図に示すように、搬送装置2は、基板搬送手段11と基板保持手段12とを有し、後述する図3に示すように各処理作業装置に搬送される各基板の位置を検出するリニアエンコーダ2aが設けてある。基板保持手段12は基板搬送方向に細長い基板保持部材12Aを複数(図2では4本)有する。一方、基板搬送手段は前記基板保持部材12Aの間に複数(図2では3本)並置し、やはり、基板搬送方向に細長い基板搬送部材11Aと、図2(a)(b)に示すように基板Pを前記基板保持部材12Aに載置又は離間するために前記基板搬送部材11Aを昇降させる基板搬送部材昇降手段11Bと、基板搬送手段11をガイドレール11C上で搬送方向に移動させるスライダ11Dを有する。
【0021】
このような構造における搬送方法を、図1に示す基板PをACF貼付処理作業装置15からTAB/IC搭載処理作業装置16に搬送する場合を例に説明する。基板搬送手段11は、ACF貼付処理作業装置15の場所で、図2(b)に示すように基板Pを基板搬送部材11Aにより保持し、基板搬送部材昇降手段11Bにより上昇させ、基板Pを基板保持部材12Aから離間させる。その後、基板Pを上昇保持したままで、スライダ11Dにより基板PをTAB/IC搭載処理作業装置16の位置まで搬送する。このとき、基板搬送部材11Aは、基板保持部材12Aの部材の間を移動する。TAB/IC搭載処理作業装置16では、基板Pを下降させ基板保持部材12Aに載置(図2(a))し、基板搬送部材11Aを基板Pから離間させる。そして、基板PはTAB/IC搭載処理作業装置16で搭載作業が行なわれる。この搭載作業中に、基板搬送手段11は、基板を保持していない姿勢を保持し、次の基板を搬送するためにACF貼付処理作業装置15まで戻る。上記一連動作は、組立ライン1で作業中のすべての基板Pに対して同期して行なわれるので、全ての基板が同期して搬送され、処理が行なわれることになる。
【0022】
図1、図2に示す表示基板モジュール組立ライン及び搬送装置は一実施形態であって、特に、どのような処理作業装置を連ねる必要があるかは、組立作業を行なう表示基板モジュール構成に依存することは言うまでもない。
【0023】
以下、本発明の最も特徴とするACF貼付状態検査ユニット20について説明する。本発明の基本的な考え方は以下の通りである。従来、撮像手段をACF貼付処理作業装置の貼付けヘッドの側部に設け、貼付け作業位置でACFを貼付ける毎に画像を取込み検査していた。一方、本実施形態では、撮像手段をACFを貼付けた貼付けヘッドの下流に設け、次の処理作業装置である、例えばTAB/IC搭載処理作業装置16に基板Pを搬送中に、前記貼付けた作業位置を撮像し、画像を取り込んで検査する。
【0024】
このようにして取り込んだ画像は基本的には、次の基板を処理する前に検査結果を得ることができる。たとえ、その後、検査時間を要したとしても、次の基板のACF貼付け処理作業時間内に検査を完了することができるので、画像取込みと検査にのみ時間を設ける必要はない。
【0025】
しかしながら、搬送装置2が高速で搬送中に画像を撮像するため搬送装置の振動により画像が揺らぎ真の映像を捉えることができない。そこで、本実施形態ではその画像の揺らぎを基板Pの有する基準物または基準線の揺らぎを捉えて、その揺らぎによってACF画像を補正し真の画像または真の画像に近い画像にしてACF貼付け状態を検査する。この揺らぎ補正によって、より正確にACF貼付け状態を検査することができる。なお、搬送速度を低下すればその揺らぎは低下するが、そうすればタクトも下がり生産性は低下する。
【0026】
従って、本実施形態によれば、表示基板モジュール組立のタクト時間を短縮でき、あるいは、正確にACF貼付け状態を検査できるACF貼付状態検査ユニット及び表示基板モジュール組立ラインを提供することができる。
【0027】
図3はそれを実現する第1の実施形態を示す図で、図1に示す表示基板モジュール組立ラインのうちACF貼付処理作業装置15、ACF貼付状態検査ユニット20、TAB/IC搭載処理作業装置16、搬送装置2、表示基板モジュール組立ライン全体を制御する統括制御部60及びラインの状態等を表示するモニタ62を示した図である。図4は、図3に示す構成のうち検査に必要な主要部分及び検査対象である表示基板Pを示した図である。搬送装置2は統括制御部60に制御され、図2に示した搬送手段11を駆動する駆動ユニット2dや表示基板Pの位置認識するためのパルスエコーダ2aを有する。
【0028】
以下、図3、図4を用いてACF貼付状態検査ユニット20の構成及びその動作を説明する。
図1に示すように、長辺側では、ACF貼付処理作業装置15は4台のACF貼付処理作業ユニット15a〜dを有している。第1の実施形態のACF貼付状態検査ユニット20は、4台のうち下流のユニット装置15dとTAB/IC搭載処理作業装置16間の搬送上に設けられ、前段の4台のACF貼付処理作業ユニットで貼付けたACFを一度に検査する。このACF貼付状態検査ユニット20は、基板長辺側及び基板短辺側の処理作業装置群13L、13S毎に楕円示した位置に1台づつ設けられている。
【0029】
ACF貼付状態検査ユニット20は、ACF貼付部を撮像するために照明手段21と撮像手段22、及び装置制御手段である装置制御部30からの指示を受けて、撮像タイミング等の制御、撮像した画像信号を処理する検査制御手段である画像処理部23とを有する。図4に示すように、照明手段21はLED21a、集光レンズ21b及びLED電源21cからなり、撮像手段22は、ラインセンサカメラ22a、レンズ22b及び偏光フィルタ22cからなる。また、ラインセンサカメラ22aは、ACF貼付け状態検査に際し、300μmの基板端子マーク25を検出できる画素分解能と最大搬送速度に対して画像ブレが発生しないシャッタ開放速度を有している。
【0030】
本実施形態では、画像処理部23はACF貼付処理作業装置15の制御部を兼ねる装置制御部30に内蔵されている。また、ACF貼付状態検査ユニット20が組立ライン1のライン長に影響与える構成要素は、照明手段21と撮像手段22である。本実施例では撮像手段22としてラインセンサカメラ22aを用いているために、撮像範囲である照明範囲も狭く、照明手段も小型化できる。その結果、特別に設置幅を設けず従来の搬送手段2に十分設置可能である。上記実施例では、画像処理部23を装置制御部30内に設けたが、別に設けてもよい。
【0031】
従って、本実施形態によれば、ACF貼付状態検査ユニット20の設置によりライン長が長くなることはなく、ACF貼付処理作業装置15の幅が短くなった分だけライン長を短くできる。
【0032】
上記実施形態では、撮像手段等をACF貼付状態検査ユニット20として、ACF貼付処理作業装置15の後段に設けたが、撮像手段等をACF貼付処理作業装置15の内部であって、最下流のACF貼付処理作業ユニット15dのACF貼付ヘッド15dhの下流に設けてもよい。また、1枚の基板に対してACF貼付け処理作業位置の箇所が多く、取得した画像の処理時間が所望の時間内、例えば、搬送中に処理できなければ、さらに、撮像手段等をACF貼付ヘッド15bhの下流に設け、基板PがACF貼付ヘッド15ah〜bhからACF貼付ヘッド15ch〜dhの処理作業位置に移動中に撮像し、ACF貼付ヘッド15ah〜bhで貼付けられたACFの検査をしてもよい。極端なこと言えば、各ACF貼付ヘッド15ah〜dhの下流に設け、それぞれが貼付けたACFを搬送中に撮像し、検査してもよい。
【0033】
しかしながら、前述したように表示基板を搬送する基板搬送部材11Aの振動等により図5(b)に示すように取得画像が揺らぐ可能性がある。そこで、本実施形態では、基準物として図6に示すカラーフィルタ(CF)基板PCを選び、その端辺PCtを基準線として基板Pの揺らぎを検出する。そして、その揺らぎ成分を検出し、同じ揺らぎ成分を有するACF3の位置を補正し正確なACF画像を捉える。なお、基板Pは、CF基板の他、ACF3が貼り付けられるTFT基板PTを有する。CF基板のTFT基板への貼付け精度は±数μm程度であり、ACFの貼付状態検出精度の±数百μmに比べて非常に小さく、かつCF基板の端辺はACF貼付位置に対して平行であるので、揺らぎ成分を検出するには極めて好適である。
【0034】
図5は図6に示すCF基板の端辺PCtとACF3を有する図4に示す撮像領域SHの撮像結果を示した図である。図5(a)は、搬送装置による振動がなく揺らぎないと仮定した時の撮像結果を示し、図5(b)は搬送装置による振動により基板Pが左右(Y)方向に揺らいだ時の撮像結果を示したものである。図5(b)は、図3に示すリニアエンコーダ2aに同期してあるいはリニアエンコーダ2aに基づいて一定距離ごとに得られるラインセンサカメラ22aから画像を取込み連続画像としたものである。連続画像は揺らぎのために全体的に波打って見える。
【0035】
以下、具体的にACFの揺らぎの補正方法を説明する。図7は補正方法の処理フローを示したものである。以下処理フローを各図を参照しながら説明する。
図5において、基板Pは紙面上から下(X方向)に搬送されており、紙面左右(Y)方向の基板即ちACFの揺らぎ成分をΔYとする。
まず、図3に示すACF貼付処理作業装置15でACF貼付処理作業が終了したことを検知し、基板Pを次のTAB/IC搭載処理作業装置16に搬送しその搬送中に図4に示す撮像領域SHを撮像する。
【0036】
その後、取り込んだ画像に対して画像処理をし、図7に示す補正処理を行なう。まず、エッジ処理によってCF基板の端辺PCtを検出する。エッジ処理時間短縮のために、ACFの長さ分だけ実施してもよい。さらに、ACFの長さにおいてもラインセンサによる撮像画像の複数置き毎のデータにより処理してもよい。エッジ処理を実施しなかった部分は例えば補完(補間)処理をする(Step1)。
次に、検出された端辺PCtのうち画像上のX方向基準位置PCt(0)を選ぶ、そのときのY方向の位置をY(0)とする。基準位置としては、どこでも良いが、撮像されるのは最後である端辺PCtの上部角部が解り易いと考える(Step2)。次に、各x位置における揺らぎ成分ΔY(x)を式(1)により求める(Step3)。
ΔY(x)=Y(x)−Y(0) (1)
次に、画像上の各位置(x,y)に対して式(2)に基づき撮像データS(x,y)を揺らぎ成分ΔY(x)での補正し、補正後の撮像データSH(x,y)を求める(Step4)。
SH(x,y)=S(x,y)−ΔY(x) (2)
データ処理時間を短縮するために(Step1)と同様に、ACFを含む領域のみの揺らぎ補正処理を行ない、他の部分は例えば直線補完(補間)処理を行なってもよい。
そして、揺らぎ補正処理後のデータを用いてACF貼付状態を検査する。
【0037】
以上説明した揺らぎ補正の実施形態によれば、搬送装置による基板の揺らぎによる画像データを補正し図5(a)のような補正画像を得ることができ、正確にACF貼付状態を検査できる。
【0038】
以上の実施形態では、基準物として図6に示すカラーフィルタ(CF)基板PCを選んだが、基準物として図6に示すTFT基板PTを選び、その端辺PTtを用いてもよい。端辺PTtもACF貼付位置に対して平行であり、ACFはTFT基板に設けられた基板端部を示す端子マーク25(図4参照)を基準に貼付けられるので、基準線として適している。
【0039】
要はACF貼付位置に平行で一定の長さを有する直線を基準線とし、その直線を有するものを基準物とする。平行でなくてもよいが、ACF貼付位置に平行ならば傾斜分を考慮する必要がなく補正処理が簡単にできる。従って、上記の条件を満足する基準線あるいは基準物を設けてもよい。
【0040】
さらに、複数の点から上記の基準線を作成してもよい。例えば、図8(a)に示すように、TFT基板PTのACF貼付位置に設けられた接続リードPRの端部とそれらを内挿、外挿した直線PRtを基準線とし、図8(b)に示すその画像を図5と同様にある点例えば、接続リードPR1の角部PR1cを基準位置とし揺らぎを検出し補正する。この場合の基準線は各ACF貼付位置に設定する。
【0041】
図9は、画像処理部23におけるACF貼付検査処理フローの実施形態を示したものである。図10はCADデータから得られるACF貼付け状態検査情報データ(以下、単に検査情報データという)例を示したものである。
【0042】
画像処理部23は、先ず、装置制御部30から基板PのACF貼付け作業の完了信号を受ける(Step1)。次に、搬送開始を搬送手段2に設けたリニアエンコーダ2aのパルス信号2s(図3参照)で検知し、前記パルス信号2sをカウントし、基板Pの先端端部の通過タイミングを見て画像取込を開始し、その後は一定のサンプリング距離毎に画像を取込み、基板Pの後端端部で終了する。必要ならば、前記通過タイミングをACF貼付処理作業装置15でのアライメント実施で得られた基板端子マーク25の搬送手段2に対する基板の位置ずれ情報(以下、搬送誤差データという)に基づき補正する(Step2)。
【0043】
次に、前述した図7に示す揺らぎ補正処理を実行する(Step3)。その後、画像処理にて取込画像から基板端子マーク25を検出する。この検出処理においても、前記搬送誤差データの位置ずれが大きい場合は、基板端子マーク25の検出範囲を広くとる(Step4)。切出したACF貼付け領域に仮想上の検出ラインを複数本設け、検出ライン上の濃淡でACFの有無を判定する(Step5)。次に、ACF貼付領域画像データを2値化等の画像処理を行ないACFの貼付け位置のずれ、ねじれ或いは破れ等の検出判定を行なう(Step6)。最後に、判定結果及び異常が発生したときは異常が発生したACF貼付け位置及びその基礎となる画像データとを装置制御部30経由で統括制御部60に送信する(Step7)。
【0044】
次に、図9のStep7による判定結果を受信した装置制御部30と、ライン全体を制御する統括制御部60の処理を説明する。
装置制御部30は、画像処理部23から得た図9のStep7で示した情報と異常が発生した基板ID情報とを、統括制御部60に送信する。統括制御部60は、前記ACF貼付状態検査ユニットから下流の各装置に対して、例えば、TAB/IC搭載処理作業装置16の装置制御部31等に前記基板ID情報を流し、各装置は当該基板に対して処理を行なわず、ただ単に流す、スルー処理をすることを指示する。
【0045】
また、装置制御部30は、同一種類の貼付け異常が規定回数以上連続するか、又は異常頻度が指定割合を超えたときには、ACF貼付処理作業装置15に異常ありと判断し、統括制御部60にその旨を送信する。また、図1に示す装置では、ACF貼付処理作業装置15に対して複数(長辺側4つ又は短辺側2つ)のACF貼付処理作業ユニットを設けている。この場合、同じ貼付け箇所で異常が発生しているときは、装置制御部30は、残りの貼付けユニットで作業を継続させるかを判断し、その旨を統括制御部60に伝える。統括制御部60は、継続する場合は、必要に応じて、各処理終了毎に行われる各処理作業装置間の搬送サイクルを長く、可能ならば、その間に対象のACF貼付ユニットを交換、或いは修理を行なわせ、ラインの維持を行なう。
【0046】
以上の本実施形態によれば、ACF貼付け状態に異常が発生したとき、その結果をACF貼付処理作業装置にフィードバックすることで、稼働率の高いACF貼付処理作業装置あるいは表示基板モジュール組立ラインを提供できる。
また、以上の本実施形態によれば、ACF貼付け状態に異常が発生したとき、その結果を表示基板モジュール組立ラインにフィードフォワードし、不要な作業を行なわず、効率のよい、信頼性の高い表示基板モジュール組立ラインを提供できる。
【0047】
さらに、以上の実施形態では、撮像手段22としてラインセンサカメラ22aを用いたが、例えば、貼付け作業処理位置毎にハイスピードエリアカメラで撮像し、エリア映像のうち貼付け作業処理位置の部分を切り出し、または、上記実施形態と同様にさらに圧縮して、画像処理を行ない検査してもよい。この場合は、一つの貼付け作業処理位置全体を一度に撮像するので、多少ACF貼付状態検査ユニットとして幅が必要な為、ライン長は短くなる効果は多少劣るが、しかし、タクト時間の短縮の効果は得ることができる。
【0048】
あるいは、通常のCCDエリアカメラを用い、照明手段として強い光量を短時間で照射できる構造とすることで、ハイスピードエリアカメラの場合と同様に処理することで同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1:表示基板モジュール組立ライン 2:搬送装置
2a:リニアエンコーダ 2s:パルス信号
2d:駆動ユニット 3:ACF
11:基板搬送手段 12:基板保持手段
13L:基板長辺側の処理作業装置群
13S:基板短辺側の処理作業装置群
15:ACF貼付処理作業装置 15a〜d:ACF貼付処理作業ユニット
15ah〜dh:ACF貼付ヘッド 16:TAB/IC搭載処理作業装置
20:ACF貼付状態検査ユニット 21:照明手段
22:撮像手段 22a:ラインセンサカメラ
23:画像処理部 25:基板端部を示す端子マーク
30:装置制御部 60:統括制御部
P:基板(表示基板) PC:カラーフィルタ基板
PCt:カラーフィルタ基板の端辺 PR:TFT基板上の接続リード
PT:TFT基板 PTt:TFT基板の端辺
SH:撮像領域 S(x,y):撮像データ
SH(x,y):揺らぎ補正後の撮像データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺の所定位置に貼付けたACFの貼付け状態を検査するACF貼付状態検査ユニットを有する作業処理装置において、
前記ACF貼付け状態検査ユニットは、前記所定位置を照明する照明手段と、前記所定位置を撮像する撮像手段と、前記表記基板を搬送中に少なくとも前記撮像をし、検査する検査制御手段と、前記搬送中の前記撮像によって得られた画像中のACF画像の揺らぎを補正する揺らぎ補正手段を有することを特徴とする作業処理装置。
【請求項2】
前記揺らぎ補正手段は前記画像から得られる基準線の揺らぎに基づいて前記補正をすることを特徴とする請求項1に記載の作業処理装置。
【請求項3】
前記基準線は前記表示基板を構成するカラーフィルタ基板の画像から得られる前記カラーフィルタ基板の端辺であることを特徴とする請求項2に記載の作業処理装置。
【請求項4】
前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板の画像から得られる前記TFT基板の端辺であることを特徴とする請求項2に記載の作業処理装置。
【請求項5】
前記基準線は前記所定位置に並行に設けられた並行線であることを特徴とする請求項2に記載の作業処理装置。
【請求項6】
前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板に設けられた接続リードの画像から得られることを特徴とする請求項2に記載の作業処理装置。
【請求項7】
前記並行線は前記表示基板に設けられた基準線用の平行線であることを特徴とする請求項5に記載の作業処理装置。
【請求項8】
前記基準線は前記画像から得られた画像処理部分と前記画像処理部分間を補完またはして得られる補完または補間部分から構成されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の作業処理装置。
【請求項9】
前記撮像手段はラインセンサカメラであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の作業処理装置。
【請求項10】
前記検査制御手段は、前記搬送手段から得られる前記表示基板の搬送位置情報に基づき前記撮像をすることを特徴とする請求項1に記載の作業処理装置。
【請求項11】
前記撮像手段は、前記表示基板の辺の所定位置にACF貼付け作業を行なうACF貼付作業処理装置が有するACF貼付けヘッドまたは前記ACF貼付作業処理装置の下流に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業処理装置。
【請求項12】
前記照明手段、前記撮像手段及び前記検査制御手段のうち少なくともひとつの手段は前記ACF貼付け作業処理装置あるいは下流側作業処理装置に設けたことを特徴とする請求項11に記載の作業処理装置。
【請求項13】
前記処理作業装置はACF貼付け状態検査ユニットのみで構成されていることを特徴とする請求項12に記載の作業処理装置
【請求項14】
搬送手段によって搬送される表示基板の辺の所定位置に貼付けたACFを撮像しACF貼付け状態を検査するACF貼付状態検査方法において、
前記ACFを貼付け後に前記表示基板を搬送中に前記撮像し、前記搬送中の前記撮像に得られたACF画像の揺らぎを補正し、前記撮像は前記所定位置に貼付けたACFを含む撮像領域を撮像することを特徴とするACF貼付状態検査方法。
【請求項15】
前記揺らぎ補正は前記画像から得られる基準線の揺らぎに基づいて前記補正をすることを特徴とする請求項14に記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項16】
前記基準線は前記表示基板を構成するカラーフィルタ基板の画像から得られる前記カラーフィルタ基板の端辺であることを特徴とする請求項15に記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項17】
前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板の画像から得られる前記TFT基板の端辺であることを特徴とする請求項15に記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項18】
前記基準線は前記表示基板を構成するTFT基板に設けられた接続リードの画像から得られることを特徴とする請求項15に記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項19】
前記基準線は前記画像から得られた画像処理部分と前記画像処理部分間を補完または補間して得られる補完または補間部分から構成されることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項20】
前記撮像はラインセンサカメラで行なわれることを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載のACF貼付状態検査方法。
【請求項21】
表示基板の辺の所定位置に貼付けたACFの貼付け状態を検査するACF貼付状態検査ユニットを有する作業処理装置と前記ACFに電子部品の実装などの作業処理を行なう他作業処理装置と、前記作業処理装置及び前記他作業処理装置間に順次前記表示基板を搬送する搬送手段と、それらを制御する統括制御部を有する表示基板モジュール組立ラインにおいて、
請求項1乃至13のいずれかに記載の前記作業処理装置を有し、前記統括制御部は前記ACF貼付け状態検査ユニットの検査結果に基づいて、前記他作業処理装置を制御することを特徴とする表示基板モジュール組立ライン。
【請求項22】
表示基板を搬送し、表示基板の辺の所定位置にACFを貼付け、ACF貼付け状態を検査し、前記2つの作業処理以外の他の作業処理を順次行なう表示基板モジュール組立方法において、
前記ACFを貼付け後に前記表示基板を搬送中に前記所定位置に貼付けたACFを含む撮像領域を撮像し、前記搬送中の前記撮像によって得られたACF画像の揺らぎを補正し、前記補正された撮像データに基づいて前記ACF貼付け状態を検査し、前記検査結果に基づいて前記他作業処理装置を制御することを特徴とする表示基板モジュール組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−124391(P2011−124391A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280944(P2009−280944)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】