説明

偽装トランジスタをカムフラージュするためのシリコンブロックプロセスステップの使用

【課題】アーチファクト縁部を利用してリバースエンジニアを混乱させる半導体デバイスおよび半導体デバイスを製造する方法を提供する。
【解決手段】輪郭を管理した導電性材料の層を配置して、デバイスが実際には動作不能であるときに、動作可能なデバイスのような導電性材料のアーチファクト縁部を形成する。実際に形成されるデバイスの特徴を示さないアーチファクト縁部を提供することにより、集積回路構造をカムフラージュするたの技術および構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、集積回路(IC)および半導体デバイス、ならびにリバースエンジニアが半導体デバイスがどのように機能しているかを理解することを困難にするカムフラージュ技術を利用した集積回路および半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、参照によりその内容を本明細書に組み込む、2002年11月22日出願の米国仮特許出願第60/428634号の特典を請求するものである。
【0003】
本願は、「Circuit Protection Implemented Using a Double Polysilicon Layer CMOS Process」と題する、J.P.Baukus、Lap Wai ChowおよびW.C.Clarkによる2001年1月11日出願の同時係属の米国特許出願第09/758792号に関する。
【0004】
本発明は、本願の発明者うちの数名による、以下の米国特許に関する。
【0005】
(1)米国特許第5866933号、第5783375号、第6294816号は、トランジスタ間に埋め込んだ(したがって隠れており埋設されている)配線によって複数のトランジスタをCMOS回路内で接続することを教示している。この埋込み配線は、p+およびn+のソース/ドレインマスクを修正することによって形成される。これらの埋込み相互接続を使用して、3入力ANDまたOR回路を、リバースエンジニアにほぼ同じであるように見せる。また、相互接続を埋設することにより、リバースエンジニアがトランジスタ間の接続性を解明し、それによりそれらの機能を解明するのに、ICをさらに内部まで検査せざるを得なくなる。
【0006】
(2)米国特許第5783846号、第5930663号、第6064110号は、ソースドレイン埋込みマスクを修正して、トランジスタ間の埋込み接続配線中にギャップを形成することを教示している。ギャップの長さは、おおよそ使用しているCMOS技術の最小フィーチャサイズである。このギャップをある種類のインプラントで「充填」すると、配線は導通するが、別の種類のインプラントで「充填」すると、配線は導通しない。この意図的なギャップは、「チャネルブロック」と呼ばれる。リバースエンジニアは、使用しているCMOSプロセスの最小フィーチャサイズでインプラントタイプを解析することによって接続性を判定せざるを得なくなる。
【0007】
(3)米国特許第6117762号は、リバースエンジニアリングから半導体集積回路を保護する方法および装置を教示している。複数の半導体活性領域が基板上に形成され、これら半導体活性領域のうちの少なくとも1つの活性領域の上、および選択した基板領域の上に、シリサイド層が形成される。シリサイド層は、この少なくとも1つの活性領域を別の活性領域と接続する。
【0008】
複雑な集積回路および半導体デバイスの作製は、熟練した技術者がデバイスの設計に長時間かかわることになるので、費用のかかる作業になる可能性がある。さらに、集積回路は、ソフトウェアをファームウェアの形で符号化して記憶する読取り専用メモリおよび/またはEEPROMを含む可能性がある。さらに、集積回路は、情報の暗号化などの用途に使用されることが多い。暗号化情報を機密に保つためには、リバースエンジニアリングからデバイスを保護しなければならない。このように、集積回路およびその他の半導体デバイスをリバースエンジニアリングから保護する様々な理由が考えられる。
【0009】
リバースエンジニアを寄せ付けないために、集積回路のリバースエンジニアリングをさらに困難にするための様々な技術が当技術分野で既知である。1つの技術は、トランジスタ間の接続の特定を困難にして、リバースエンジニアが各トランジスタ(特にCMOSデバイスの各CMOSトランジスタ対)の綿密な分析を行わざるを得なくなるようにし、かつ集積回路のリバースエンジニアリングを行うのに自動回路/パターン認識技術を用いることができないようにするものである。集積回路は数十万から数百万個ものトランジスタを有することがあるので、リバースエンジニアが1つのデバイスの各トランジスタを綿密に分析せざるを得ないようにすると、そのデバイスのリバースエンジニアリングを行うことを効果的に断念させることができる。
【0010】
半導体デバイスの製造中には、シリサイドなどの導電層が使用されることが多い。現在のCMOS加工では、特に0.5μm未満の最小フィーチャサイズでは、シリサイド層を利用して、ゲート接点、ソース接点およびドレイン接点の導電性を向上させる。通常の設計基準によれば、ソース/ドレイン領域を生じる任意の活性領域はシリサイド化される。
【0011】
あるリバースエンジニアリング技術では、化学機械研磨(CMP)またはそのほかのエッチング処理によって完成品のICのディレイヤリングを行う。条件によっては、エッチング処理により、各領域が、シリサイドが基板上に形成された箇所であるのか、あるいはシリサイドが基板上に形成されていない箇所、すなわちシリサイドブロックマスクステップで規定された領域、およびポリシリコンゲートなどの構造によってシリサイド層の基板上への堆積が妨げられた領域であるのかが、識別される。いくつかの種類のエッチングでは、シリサイドと純粋なシリコンの間のエッチングレートの差によって幾何学的形状に観測可能な差が生じるので、これらの領域を区別することができる。シリサイド領域と非シリサイド領域に注目することにより、リバースエンジニアは、デバイスの機能を適当に想定することができる。その後、この情報をデータベースに格納しておけば、その他の同様のデバイスを自動的に分類することができる。
【0012】
リバースエンジニアリングに対するいくつかの保護方法は、化学機械研磨(CMP)やその他のエッチング技術など、いくつかのリバースエンジニアリング技術から発見されることもある。例えば、図1aは、エッチング後の、米国特許出願第09/758792号に従って作成された偽装トランジスタの考えられる上面図である。この偽装トランジスタの製造では、通常の設計基準に従って、図1bに示すように、シリサイドブロックマスクによって、活性領域12、16を完全に覆い、かつ必要に応じてゲート層14も覆うようにシリサイド層15を配置することができる。ゲート層14は、ポリシリコン層にすることができる。CMPプロセス中に、ゲート層14は除去されることになり、これにより図1aに示すような上面図が得られることになる。図示のように、シリサイド層縁部18は、ゲート縁部11、13と整列しているため、リバースエンジニアには、ゲート縁部11、13に沿って線が1本しか見えない。
【0013】
以下で述べるように、この偽装トランジスタの上面図は、真のトランジスタの上面図とは異なるので、この違いにより、このトランジスタが真のトランジスタではないことが分かる。
【0014】
図2aおよび図2bに示すように、機能トランジスタまたは真のトランジスタでは、ゲート層14に隣接して形成される側壁スペーサ19が存在するので、シリサイド層縁部18’はポリシリコンゲート層14からオフセットされている。通常は、ゲート層14を形成した後、側壁スペーサを形成する前に、低不純物密度(LDD)インプラント10を形成する。側壁スペーサ19を形成した後で、通常は活性領域12および16を基板内に形成する。形成した活性領域12および16によってLDDインプラントの大部分が満たされるので、実際には、LDDインプラント10の側壁スペーサ19の下に位置する部分だけが残ることになる。通常は、シリサイドなどの導電層は、活性領域12、16およびゲート層14の上に配置される。ゲート層14および側壁スペーサ19は、それらの領域でシリサイドが基板上に堆積することを妨げる。したがって、真のトランジスタでは、アーチファクト縁部18’は、ゲート層14の縁部11、13から離隔して、それらとほぼ平行に位置している。したがって、上面図を調べることにより、ポリシリコンゲート14の縁部11、13から離隔してそれとほぼ平行に位置するアーチファクト縁部18’が存在しないことから、この領域に最初に配置されていた構造が、実際にはリバースエンジニアを混乱させるための偽装トランジスタであったとリバースエンジニアが判断することができる可能性がある。この場合、リバースエンジニアは、ゲート層14の縁部11、13から離隔してそれとほぼ平行に位置するシリサイド層のアーチファクト縁部18’が存在しないことを偽装トランジスタであることを示す証拠として認識するように、コンピュータソフトウェアをプログラムすることもできる。当業者なら、図1bはゲート領域14に隣接した活性領域12、16を示し、図2bはゲート領域14に隣接したLDDインプラント10が示しているが、LDDインプラント10と活性領域12、16のドーピングレベルが異なっているとリバースエンジニアが判定することは、不可能ではないにしても、きわめて困難であることを理解するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5866933号明細書
【特許文献2】米国特許第5783375号明細書
【特許文献3】米国特許第6294816号明細書
【特許文献4】米国特許第5783846号明細書
【特許文献5】米国特許第5930663号明細書
【特許文献6】米国特許第6064110号明細書
【特許文献7】米国特許第6117762号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、アーチファクト縁部を利用してリバースエンジニアを混乱させる半導体デバイスおよび半導体デバイスを製造する方法を提供することが必要とされている。実際に形成されるデバイスの特徴を示さないアーチファクト縁部を提供することにより、リバースエンジニアはさらに混乱し、デバイスの実際の構成と、ひいてはその機能について間違った結論を得ることになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、リバースエンジニアリングをより困難にすることであり、特に、その下の処理および回路の特徴を示さないアーチファクトを形成することにより、リバースエンジニアリングプロセス中に現れるアーチファクトを調査するリバースエンジニアを混乱させることである。
【0018】
本発明の別の態様は、リバースエンジニアリングから保護する回路の機能を修正したり追加したりすることに頼るものではなく、また、いかなる処理ステップまたは機器を追加することも必要としないものである。むしろ、基本回路の処理時間を長くすることも、また基本回路を複雑にすることもない合理的な方法で、極めて効果的にリバースエンジニアリングを防止する。
【0019】
本明細書に挙げられている発明者等は、この技術分野、すなわち集積回路デバイスのリバースエンジニアリングをより困難にするための集積回路デバイスのカムフラージュに関する技術分野において、以前に既に特許出願を行い、特許を受けている。本発明を、上記の以前の米国特許に開示の技術と併せて使用することにより、リバースエンジニアをさらに混乱させることができる。
【0020】
本発明は、当該のチップ上でごく稀にしか用いられない。したがって、リバースエンジニアは、非常に注意深く各トランジスタまたは各接続を調べなければならなくなる。リバースエンジニアは、「干し草の山の針を探す」という諺を実行しなければならないことになる。
【0021】
本発明の別の態様は、半導体デバイスを製造する方法であって、導電層ブロックマスクを修正して、リバースエンジニアの判断を誤らせる当該デバイスの真の構造を示さないリバースエンジニアリングアーチファクトを生じる方法である。
【0022】
本発明の一態様は、第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、第1のゲート層縁部に隣接して配置される第1の活性領域と、第2のゲート層縁部に隣接して配置される第2の活性領域と、第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有する、部分的に第1の活性領域および前記第2の活性領域の上に形成される導電層とを含む、カムフラージュを施された回路構造であって、導電層の第1のアーチファクト縁部が第1のゲート層縁部からオフセットされており、導電層の第2のアーチファクト縁部が第2のゲート層縁部からオフセットされている、カムフラージュを施された回路構造を提供することである。
【0023】
本発明の別の態様は、リバースエンジニアを混乱させる方法であって、少なくとも1つの活性領域を有する、側壁スペーサを備えない偽装半導体デバイスを提供するステップと、側壁スペーサを備えない偽装半導体デバイスの導電層のアーチファクト縁部が、側壁スペーサを備えた真の半導体デバイスの導電層のアーチファクト縁部を擬態するように前記少なくとも1つの活性領域を部分的に覆う導電層を形成するステップとを含む方法である。
【0024】
本発明の別の態様は、集積回路構造をカムフラージュする方法であって、複数の活性領域を有する集積回路構造を形成するステップと、導電層ブロックマスクを形成することにより、側壁スペーサを備えない動作不能回路構造および側壁スペーサを備えた動作可能回路構造で同じ相対位置に位置する導電層のアーチファクト縁部を形成するステップとを含む方法である。
【0025】
本発明の別の態様は、集積回路の設計を保護する方法であって、偽装トランジスタの製造中に使用されるシリサイドブロックマスクを、該偽装トランジスタのシリサイド層の縁部が真のトランジスタのシリサイド層の縁部とほぼ同じ相対位置に配置されるように修正するステップと、該集積回路を製造するステップとを含む方法である。
【0026】
本発明の別の態様は、第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、単一の加工ステップで第1のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する第1の活性領域と、単一の加工ステップで第2のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する第2の活性領域と、第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有し、かつ第1の活性領域および第2の活性領域の上に形成された導電層であり、第1の活性領域の上に形成された導電層の幅が第1の活性領域の幅より小さく、第2の活性領域の上に形成された導電層の幅が第2の活性領域の幅より小さい導電層とを含む、回路構造である。
【0027】
本発明の別の態様は、デバイスの少なくとも1つの活性領域を1加工ステップで形成するステップであり、少なくとも1つの活性領域が幅を有するステップと、該少なくとも1つの活性領域を部分的に覆うように導電層を形成するステップとを含む、回路機能を隠す方法であって、導電層の幅が該少なくとも1つの活性領域の幅より小さい方法である。
本発明の第1の特徴は以下の通りである:
集積回路のカムフラージュを施された回路構造であって、
第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、
前記第1のゲート層縁部に隣接して配置される第1の活性領域と、
前記第2のゲート層縁部に隣接して配置される第2の活性領域と、
第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有する導電層であって、前記第1の活性領域および前記第2の活性領域を部分的に覆うように形成されるところの導電層とを含み、
前記導電層の前記第1のアーチファクト縁部と前記第1のゲート層縁部とが、第1のオフセットを形成しており、前記導電層の前記第2のアーチファクト縁部と前記第2のゲート層縁部とが、第2のオフセットを形成しており、前記第1のオフセットおよび前記第2のオフセットは、側壁スペーサによって形成されていないことを特徴とする回路構造。
本発明の第2の特徴は以下の通りである:
前記第1の活性領域がソース領域であり、前記第2の活性領域がドレイン領域である、第1の特徴に記載のカムフラージュを施された回路構造。
本発明の第3の特徴は以下の通りである:
前記第1のオフセットおよび前記第2のオフセットがそれぞれ幅を有し、前記幅は、集積回路の通常の側壁スペーサの幅とほぼ等しい、第1の特徴に記載のカムフラージュを施された回路構造。
本発明の第4の特徴は以下の通りである:
前記導電層がシリサイド層であり、前記ゲート層がポリシリコン層である、第1の特徴に記載のカムフラージュを施された回路構造。
本発明の第5の特徴は以下の通りである:
前記回路構造が、偽装トランジスタである、第1から第4の特徴のいずれか1つに記載のカムフラージュを施された回路構造。
本発明の第6の特徴は以下の通りである:
リバースエンジニアを混乱させる方法であって、
少なくとも1つの活性領域を有する、側壁スペーサを備えない偽装半導体デバイスを提供するステップと、
側壁スペーサを備えない前記偽装半導体デバイスの前記導電層のアーチファクト縁部が、側壁スペーサを備えた半導体デバイスの導電層のアーチファクト縁部を擬態するように、前記少なくとも1つの活性領域を部分的に覆う導電層を形成するステップと
を含む方法。
本発明の第7の特徴は以下の通りである:
導電層がシリサイド層である、第6の特徴に記載の方法。
本発明の第8の特徴は以下の通りである:
前記偽装半導体デバイスが、ポリシリコンゲートを有する偽装トランジスタであり、導電層を形成するステップが、前記導電層のアーチファクト縁部が前記ポリシリコンゲートの縁部からオフセットされるように導電層ブロックマスクを修正するステップを含む、第6または第7の特徴に記載の方法。
本発明の第9の特徴は以下の通りである:
前記導電層のアーチファクト縁部と前記ポリシリコンゲートの前記縁部との間のオフセットが、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、第8の特徴に記載の方法。
本発明の第10の特徴は以下の通りである:
動作不能回路構造をカムフラージュする方法であって、
複数の活性領域を有する動作不能回路構造を形成するステップと、
導電層ブロックマスクを形成して、側壁スペーサを備えない前記動作不能回路構造のための同一の相対位置に、側壁スペーサを備えた動作可能回路として配置される導電層のアーチファクト縁部を形成するステップと
を含む方法。
本発明の第11の特徴は以下の通りである:
導電層がシリサイド層である、第10の特徴に記載の方法。
本発明の第12の特徴は以下の通りである:
集積回路の設計を保護する方法であって、
偽装トランジスタの製造中に使用されるシリサイドブロックマスクを修正して、前記偽装トランジスタのシリサイド層の縁部を、真のトランジスタのシリサイド層の縁部とほぼ同じ相対位置に配置するステップと、
前記集積回路を製造するステップと
を含む方法。
本発明の第13の特徴は以下の通りである:
第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、
前記第1のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する単一の領域である第1の活性領域と、
前記第2のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する単一の領域である第2の活性領域と、
第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有し、そして、前記第1の活性領域および前記第2の活性領域の上に形成された導電層であって、前記第1の活性領域の上に形成された前記導電層の幅が前記第1の活性領域の前記幅より小さく、前記第2の活性領域の上に形成された前記導電層の幅が前記第2の活性領域の前記幅より小さく、それにより第1および第2のゲート層縁部に隣接しているが、これから離隔したアーチファクト縁部を形成するところの導電層と
を含む回路構造。
本発明の第14の特徴は以下の通りである:
前記導電層の幅と前記第1の活性領域の幅との差が、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、第13の特徴に記載の回路構造。
本発明の第15の特徴は以下の通りである:
前記回路が動作不能である、第13または第14の特徴に記載の回路構造。
本発明の第16の特徴は以下の通りである:
回路の回路機能を隠す方法であって、
デバイスの少なくとも1つの活性領域を単一の加工ステップで形成するステップであって、前記少なくとも1つの活性領域が幅を有しているところのステップと、
前記少なくとも1つの活性領域を部分的に覆うように導電層を形成するステップとを含み、
前記導電層の幅を前記少なくとも1つの活性領域の幅より小さくして、リバースエンジニアリング技術が施されたときに、前記導電層が、前記回路の動作方式が従来通りであれば、従来通りに予測される位置にアーチファクト縁部を生じ、前記回路が、前記少なくとも1つの活性領域の幅によって、予測不能な形で機能するところの方法。
本発明の第17の特徴は以下の通りである:
前記デバイスが動作不能である、第16の特徴に記載の方法。
本発明の第18の特徴は以下の通りである:
前記少なくとも1つの活性領域の幅と前記導電層の幅との間の差が、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、第16または第17の特徴に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1a】全ての金属層および酸化物層を偽装トランジスタから除去した後にリバースエンジニアが見ることができるシリサイド層のアーチファクト縁部を示す図である。
【図1b】偽装トランジスタの断面図である。
【図2a】従来技術による、全ての金属層および酸化物層を真のトランジスタから除去した後にリバースエンジニアが見ることができるシリサイド層のアーチファクト縁部を示す図である。
【図2b】従来技術による真のトランジスタの断面図である。
【図3a】本発明の一実施形態による、全ての金属層および酸化物層を偽装トランジスタから除去した後にリバースエンジニアが見ることができるシリサイド層のアーチファクト縁部を示す図である。
【図3b】本発明の一実施形態による、偽装トランジスタの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態で使用されるシリサイド層ブロックマスクの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しながら、より詳細に本発明を説明する。本発明は、これとは異なる数多くの形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されないものとして解釈されたい。
【0030】
当技術分野では、数多くの半導体デバイスの製造方法が周知である。以下の説明は、リバースエンジニアを混乱させるために半導体デバイスの製造中に使用される導電層ブロックマスクを修正することに注目して行う。この説明は、当技術分野で周知の半導体製造の全てを詳細に説明するものではない。
【0031】
リバースエンジニアを混乱させるために、その他のリバースエンジニアリング検出防止技術を用いて製造されたデバイスをリバースエンジニアが検査したときに見えるシリサイド層のアーチファクト縁部の配置を変更する。いくつかのリバースエンジニアリング検出防止技術においては、偽装トランジスタすなわち動作不能なトランジスタを、真のトランジスタすなわち動作可能なトランジスタとともに使用する。いくつかの偽装トランジスタは、図1bに示すように側壁スペーサ19を備えずに製造されるが、それらに対応する真のトランジスタは、図2bに示すように、側壁スペーサ19を備えることが多い。上から見ると、大抵のリバースエンジニアリング技術によれば、これらの偽装トランジスタは、動作可能なトランジスタと同じように見える。しかし、化学機械研磨(CMP)やその他のエッチング処理など、いくつかのリバースエンジニアリング技術により、シリサイド層のアーチファクト縁部から、リバースエンジニアリング検出防止技術が分かってしまうこともある。図1aに示すように、いくつかの動作不能なトランジスタでは、シリサイド層15のアーチファクト縁部18がゲート層14の縁部11、13と一致している。しかし、図2aに示す動作可能なトランジスタでは、シリサイド層15のアーチファクト縁部18’は、側壁スペーサ19の幅の分だけゲート層14の縁部11、13からオフセットされている。
【0032】
図3aは、本発明による偽装トランジスタの上面図であり、図3bは、この偽装トランジスタの断面図である。図3aは、ゲート層14の縁部11、13と一致していない導電層15のアーチファクト縁部18”を示している。図4に示す導電層ブロックマスク21は、シリサイド層15が活性領域12、16を完全に覆うことを防止するように修正されることが好ましい。導電層15は、部分的に第1の活性領域12および第2の活性領域16を覆うように形成される。その結果として、導電層15は、活性領域12、16の断面幅121、161より小さい断面幅151を有する。したがって、CMPやその他のエッチング処理などのリバースエンジニアリングプロセスが用いられたときに、導電層15のアーチファクト縁部18”は、このトランジスタが偽装トランジスタであることを示さない。そのかわりに、図3aに示すように、アーチファクト縁部18”は、まるで側壁スペーサが存在しているかのように、ゲート層14から距離17だけオフセットされている。この距離17は、通常の側壁スペーサ1つ分の幅にほぼ等しいことが好ましい。したがって、リバースエンジニアは、導電層15のアーチファクト縁部18の位置に基づいて、トランジスタが真のトランジスタであるのか偽装トランジスタであるのかを判定することができなくなる。
【0033】
導電層ブロックマスク21が、デバイスのフィーチャサイズによって様々な修正を必要とすることは、当業者なら理解するであろう。導電層15のアーチファクト縁部18”とゲート層14の縁部11、13の間のオフセットの距離17は、デバイスのフィーチャサイズによって異なる側壁スペーサの幅とほぼ等しいことが好ましい。側壁スペーサ19の幅とオフセット17の幅の差は、用いるプロセスの製造許容差の範囲内でなければならず、したがって、オフセット17と側壁スペーサ19の幅とは、ほぼ等しくなる。例えば、0.35μm技術では、側壁スペーサの幅は焼く0.09μmである。通常のCMOSプロセスでは、導電層15はシリサイドとなるが、ゲート層14はポリシリコンとなる。デバイスのフィーチャサイズに関わらず、これらのマスクを配置する者は、偽装トランジスタの導電層15のアーチファクト縁部18”を、真のトランジスタの導電層15のアーチファクト縁部18’とほぼ同じ相対位置で配置しなければならないことは、当業者なら理解するであろう。したがって、リバースエンジニアは、導電層15のアーチファクト縁部18を利用して、当該トランジスタが真のトランジスタであるのか偽装トランジスタであるのかを判定することができなくなる。
【0034】
さらに、本発明により製造される偽装トランジスタは、複数トランジスタ回路を完全に使用不能にするためではなく、当該回路を予測できない形で、または直感的に認識できない形で機能させるために使用されることが好ましい。例えば、リバースエンジニアにはORゲートであるように見えるものが、実際にはANDゲートとして機能することができる、といったことである。あるいは、反転入力であるように見えるものが、実際には非反転入力である、ということもある。考えられる可能性は無数にあり、ほぼ確実にリバースエンジニアは混乱し、この技術を利用した集積回路デバイスをリバースエンジニアリングする方法を見つけることを断念することになる。
【0035】
特定の好ましい実施形態に関連して本発明について説明したが、当業者ならその修正形態も思いつくであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって特に必要とされる場合を除き、開示の実施形態に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路のカムフラージュを施された回路構造であって、
第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、
前記第1のゲート層縁部に隣接して配置される第1の活性領域と、
前記第2のゲート層縁部に隣接して配置される第2の活性領域と、
第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有する導電層であって、前記第1の活性領域および前記第2の活性領域を部分的に覆うように形成されるところの導電層とを含み、
前記導電層の前記第1のアーチファクト縁部と前記第1のゲート層縁部とが、第1のオフセットを形成しており、前記導電層の前記第2のアーチファクト縁部と前記第2のゲート層縁部とが、第2のオフセットを形成しており、前記第1のオフセットおよび前記第2のオフセットは、側壁スペーサによって形成されていないことを特徴とする回路構造。
【請求項2】
前記第1の活性領域がソース領域であり、前記第2の活性領域がドレイン領域である、請求項1に記載のカムフラージュを施された回路構造。
【請求項3】
前記第1のオフセットおよび前記第2のオフセットがそれぞれ幅を有し、前記幅は、集積回路の通常の側壁スペーサの幅とほぼ等しい、請求項1に記載のカムフラージュを施された回路構造。
【請求項4】
前記導電層がシリサイド層であり、前記ゲート層がポリシリコン層である、請求項1に記載のカムフラージュを施された回路構造。
【請求項5】
前記回路構造が、偽装トランジスタである、請求項1から4のいずれか1つに記載のカムフラージュを施された回路構造。
【請求項6】
リバースエンジニアを混乱させる方法であって、
少なくとも1つの活性領域を有する、側壁スペーサを備えない偽装半導体デバイスを提供するステップと、
側壁スペーサを備えない前記偽装半導体デバイスの前記導電層のアーチファクト縁部が、側壁スペーサを備えた半導体デバイスの導電層のアーチファクト縁部を擬態するように、前記少なくとも1つの活性領域を部分的に覆う導電層を形成するステップと
を含む方法。
【請求項7】
導電層がシリサイド層である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記偽装半導体デバイスが、ポリシリコンゲートを有する偽装トランジスタであり、導電層を形成するステップが、前記導電層のアーチファクト縁部が前記ポリシリコンゲートの縁部からオフセットされるように導電層ブロックマスクを修正するステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記導電層のアーチファクト縁部と前記ポリシリコンゲートの前記縁部との間のオフセットが、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
動作不能回路構造をカムフラージュする方法であって、
複数の活性領域を有する動作不能回路構造を形成するステップと、
導電層ブロックマスクを形成して、側壁スペーサを備えない前記動作不能回路構造のための同一の相対位置に、側壁スペーサを備えた動作可能回路として配置される導電層のアーチファクト縁部を形成するステップと
を含む方法。
【請求項11】
導電層がシリサイド層である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
集積回路の設計を保護する方法であって、
偽装トランジスタの製造中に使用されるシリサイドブロックマスクを修正して、前記偽装トランジスタのシリサイド層の縁部を、真のトランジスタのシリサイド層の縁部とほぼ同じ相対位置に配置するステップと、
前記集積回路を製造するステップと
を含む方法。
【請求項13】
第1のゲート層縁部および第2のゲート層縁部を有するゲート層と、
前記第1のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する単一の領域である第1の活性領域と、
前記第2のゲート層縁部のすぐ隣に形成される、幅を有する単一の領域である第2の活性領域と、
第1のアーチファクト縁部および第2のアーチファクト縁部を有し、そして、前記第1の活性領域および前記第2の活性領域の上に形成された導電層であって、前記第1の活性領域の上に形成された前記導電層の幅が前記第1の活性領域の前記幅より小さく、前記第2の活性領域の上に形成された前記導電層の幅が前記第2の活性領域の前記幅より小さく、それにより第1および第2のゲート層縁部に隣接しているが、これから離隔したアーチファクト縁部を形成するところの導電層と
を含む回路構造。
【請求項14】
前記導電層の幅と前記第1の活性領域の幅との差が、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、請求項13に記載の回路構造。
【請求項15】
前記回路が動作不能である、請求項13または14に記載の回路構造。
【請求項16】
回路の回路機能を隠す方法であって、
デバイスの少なくとも1つの活性領域を単一の加工ステップで形成するステップであって、前記少なくとも1つの活性領域が幅を有しているところのステップと、
前記少なくとも1つの活性領域を部分的に覆うように導電層を形成するステップとを含み、
前記導電層の幅を前記少なくとも1つの活性領域の幅より小さくして、リバースエンジニアリング技術が施されたときに、前記導電層が、前記回路の動作方式が従来通りであれば、従来通りに予測される位置にアーチファクト縁部を生じ、前記回路が、前記少なくとも1つの活性領域の幅によって、予測不能な形で機能するところの方法。
【請求項17】
前記デバイスが動作不能である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの活性領域の幅と前記導電層の幅との間の差が、側壁スペーサの幅とほぼ等しい、請求項16または17に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−258957(P2011−258957A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132258(P2011−132258)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【分割の表示】特願2005−510323(P2005−510323)の分割
【原出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(501411651)エイチアールエル ラボラトリーズ,エルエルシー (19)
【氏名又は名称原語表記】HRL LABORATORIES, LLC
【住所又は居所原語表記】3011 Malibu Canyon Road, Malibu, CA 90265−4799, United States of America
【出願人】(505220240)レイソン カンパニー (2)
【Fターム(参考)】