説明

光学センサ装置

【課題】 丸棒体の径を簡易に、しかも精度良く検出することのできる簡易な構成の光学センサ装置を提供する。
【解決手段】 点光源と、この点光源に対向して配置されるリニアイメージセンサとの対により構成される光学系を2組準備し、これらの2組の各光学系をその光軸が互いに直交するように交差させて配置する。そして上記光学系内におかれた丸棒体の各リニアイメージセンサにて検出される影の中心位置から上記丸棒体の位置座標を求め、この位置座標に従って前記光学系での計測倍率を求め、この計測倍率に従って前記リニアイメージセンサの出力から検出される丸棒体の影幅2aから丸棒体の径を高精度に求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点光源から射出される所定の拡がり角を有する放射光をそのまま用いて、例えばドリル刃のような丸棒体の径を簡易に、しかも精度良く検出することのできる光学センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、プリント回路基板の高密度実装化に伴い、その多層化が図られており、またプリント回路基板にスルーホールを形成して複数の層間を電気的に接続することも行われている。このようなスルーホールは、専ら、例えば直径が50〜100μm程度の微小なドリル刃を用い、このドリル刃を高速回転させてプリント回路基板を所定深さの孔を穿いて形成される。この際、所定径のドリル刃を選択して用いることは勿論のこと、このドリル刃を芯ぶれのない状態でドリルのチャックに装着し、更にはドリル刃の先端位置を正確に把握して所望とする深さまで孔を穿つことが重要である。しかしながらこの種の微小径のドリル刃の径(ドリル径)を機械的に計測したり、チャックへの装着状態等を機械的に確認することは一般的には非常に困難であることから、通常、光学的な計測手段が用いられている(例えば特許文献1,2,3を参照)。
【0003】
しかしながら特許文献1,2,3に示されるようなドリル刃の光学的な計測手法は、ドリル刃による光の遮光を利用してその遮光幅をラインセンサ(リニアイメージセンサ)等により計測しているだけなので、直径が200μm以下の微小径のドリル刃の径等を正確に計測することが困難であった。即ち、この種の計測には、専ら、その光源としてレーザ光等の単色平行光が用いられる。しかしドリル刃により遮光されるエッジ部において光の回折が生じるので、この回折の影響によりドリル刃の径等を正確に計測することが困難であると言う問題がある。
【0004】
そこで本発明者は先にフレネル回折を生じた光の回折パターン(強度分布)をハイパボリックセカンド関数sech(x)を用いて近似した近似式を用いて、そのエッジ位置を簡易にしかも高精度に求める手法を提唱した(例えば特許文献4を参照)。
【特許文献1】特開2003−170335号公報
【特許文献2】特開平7−306020号公報
【特許文献3】特開平7−260425号公報
【特許文献4】特開2004−177335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上述した従来の光学的な計測手法においては、専ら、その光源としてレーザ光等の単色平行光を用いている。具体的にはレーザダイオード(LD)から発せられたレーザ光を、光学レンズ(コリメータレンズ)を介して平行光線束に変換し、この平行光線束(単色平行光)をラインセンサの受光面に向けて投射している。そしてその光路中に位置付けられた検出対象物(遮蔽物)の影や、該検出対象物のエッジ部分にて生じたフレネル回折の光パターンを前記ラインセンサにて検出するようにしている。
【0006】
しかしながら単色平行光を投射する光源は、上述した光学レンズ(コリメータレンズ)等の光学素子を必要とするので、その構成が大掛かりとなる上、装置コスト上昇の要因ともなっている。しかも単色平行光の光線束幅を拡げようとした場合、例えば大口径の投光レンズが必要となり、また一般的にはLDと投光レンズとの光学距離を長く設定することが必要となるので、光源が大型化する等の不具合がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、光源の構成の複雑化を招来することなしに、具体的には点光源から射出される所定の拡がり角を有する放射光をそのまま用いて、例えばドリル刃のような丸棒体の径やその位置座標を簡易に、しかも精度良く求めることのできる光学センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するべく本発明においては、レーザダイオード(LD)等の点光源から射出される所定の拡がり角を有する放射光をそのまま計測に用いることで光学レンズを不要とする等、その光学系の大幅な簡素化を図ると共に、上述した所定の拡がり角を有する放射光を用いた場合に生じる検出対象(丸棒体)の位置ずれに起因する誤差を、その光学系の幾何学的な関係や誤差分布等に基づいて補正することで、ドリル刃のような丸棒体の径やその位置座標を精度良く求めるようにしている。
【0009】
即ち、本発明に係る光学センサ装置は、基本的には請求項1に記載するように
(a) 複数の受光セルを直線状に配列した受光面をそれぞれ備え、上記受光セルの配列方向を異ならせて前記各受光面の視野領域を互いに交差させて配置した第1および第2のリニアイメージセンサと、
(b) 上記各リニアイメージセンサに対向配置されて各リニアイメージセンサの受光面の全体に到達する拡がり角の単色光をそれぞれ射出する第1および第2の点光源と、
(c) 前記点光源とリニアイメージセンサとの間に位置付けられた丸棒体により前記各リニアイメージセンサの受光面に生じた影の中心位置とその影幅とを前記各リニアイメージセンサの出力を解析してそれぞれ求める影解析手段と、
(d) 前記各リニアイメージセンサにて求められた前記影の中心位置に応じて前記各リニアイメージセンサと前記丸棒体との離間距離を求め、この離間距離と前記各リニアイメージセンサにて求められた前記影幅とから前記丸棒体の径を求める径算出手段と
を具備したことを特徴としている。
【0010】
具体的には点光源と、この点光源に対向して配置されるリニアイメージセンサとの対により構成される光学系を2組準備し、これらの2組の各光学系をその光軸が互いに直交するように交差させて配置する。そして上記光学系の光路内に検出対象(丸棒体)を位置付けたとき、前記各リニアイメージセンサにて検出される前記検出対象(丸棒体)により生じた影の中心位置から前記光路内における上記検出対象(丸棒体)の位置座標を求め、この位置座標に従って前記各リニアイメージセンサと前記検出対象(丸棒体)との離間距離WDをそれぞれ求める。そして前記点光源とリニアイメージセンサとの対向距離SD、上記離間距離WD、および各リニアイメージセンサの出力から検出される丸棒体の影幅2aとの間の幾何学的関係に従って上記丸棒体の径2rを、例えば
2r=2a(SD−WD)/{(2a)2+SD21/2
として高精度に求めることを特徴としている。
【0011】
ちなみに前記影解析手段は、請求項2に記載するようにフレネル回折の近似式を用いて前記各リニアイメージセンサの出力を解析して前記各リニアイメージセンサによる受光パターンのエッジ位置XR,XLを求め、これらのエッジ位置から前記影の中心位置(XR+XL)/2とその影幅2a(=XR−XL)とをそれぞれ求めるように構成される。また前記径算出手段においては、好ましくは請求項3に記載するように前記各リニアイメージセンサにおいてそれぞれ検出される影の中心位置に応じて該リニアイメージセンサにて検出された影幅を補正する影幅補正手段を備えることが望ましい。
【0012】
また本発明に係る光学センサ装置は、請求項4に記載するように
(e) 径の既知なる丸棒体(基準ピン)を、前記点光源とリニアイメージセンサとの間の予め定められた位置に設けたときに計測される上記丸棒体(基準ピン)の影の幅から、前記リニアイメージセンサの計測スパンを補正するパラメータを決定して該パラメータを記憶するパラメータ記憶手段と、
(f) その後、丸棒体(計測対象)の径および/または位置の計測時には、前記リニアイメージセンサの出力からそれぞれ求められる影幅を前記パラメータ記憶手段に記憶したパラメータを用いて補正する計測スパン補正手段と
を更に備えることを特徴としている。
【0013】
尚、前記点光源とリニアイメージセンサとの間の予め定められた位置は、例えば請求項5に記載するように前記第1の点光源と前記第1のリニアイメージセンサとの対向距離SD1、および前記第2の点光源と前記第2のリニアイメージセンサとの対向距離SD2をそれぞれ2分する中間点として定め、前記リニアイメージセンサの計測スパンを補正するパラメータについては、そのときに求められる前記影幅2aが前記丸棒体(基準ピン)の径2rの2倍となるように前記リニアイメージセンサにおける受光セルの配列ピッチwを補正する係数として求めるようにすれば良い。
【0014】
また点光源から射出される所定の拡がり角を有する放射光を用いた場合、リニアイメージセンサにおける受光セルの配列ピッチwに依存する計測誤差が生じることが否めず、しかもこの計測誤差は影幅およびリニアイメージセンサと丸棒体との離間距離WDに依存するので、例えば請求項6に記載するように
(g) 一方のリニアイメージセンサにて求められた前記影の中心位置に基づいて求められる他方のリニアイメージセンサと前記丸棒体との離間距離と、上記他方のリニアイメージセンサにて求められる前記丸棒体の影幅とに従って前記他方のリニアイメージセンサにおける複数の受光セルの配列ピッチに依存する前記影のエッジ位置の誤差パターンを求め、この誤差パターンに従って前記リニアイメージセンサの出力を解析して求められる受光パターンのエッジ位置を補正して前記影のエッジ位置を求めるエッジ位置補正手段を
備えることが望ましい。
【0015】
尚、好ましくは請求項7に記載するように前述した光学センサ装置において、
前記第1および第2のリニアイメージセンサの出力からそれぞれ求められた前記丸棒体の径を互いに比較して、前記各リニアイメージセンサの出力に対する補正の適否を検証する検証手段を備えることも有用である。
更には請求項8に記載するように前述した光学センサ装置において、前記点光源とリニアイメージセンサとの間に位置付けられた丸棒体が回転していないときに求められる影幅と、上記丸棒体が回転しているときに求められる影幅とに従って前記丸棒体の回転時における芯ぶれ量を検出する芯ぶれ検出手段を備えると共に、前記第1および第2のリニアイメージセンサの各出力からそれぞれ求められる芯ぶれ量を相互に比較して芯ぶれ検出の適否を判定するようにしても良い。
【0016】
また請求項9に記載するように前記第1および第2のリニアイメージセンサの各出力をそれぞれ解析して求められる前記丸棒体の中心位置を出力する座標出力手段を備えることも有用である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光学センサ装置によれば、点光源から射出される所定の拡がり角を有する単色光をそのまま用いるだけであり、光学レンズを用いて平行光線束を形成する必要がないのでその光学系の大幅な簡素化を図り得る。しかもその光軸を略直交させて配置した2系統の光学ユニットにて、丸棒体により遮光されて生じた影のリニアイメージセンサ上での位置をそれぞれ検出するので、これらの検出位置からその光学系における上記丸棒体の検出位置(座標)を幾何学的に特定することができる。その上でこの丸棒体の検出位置(座標)と前記点光源およびリニアイメージセンサとの光学的な位置関係に従って前記リニアイメージセンサにて検出される前記影の幅から幾何学的に前記丸棒体の径を求めるので、上記光学系における丸棒体の検出位置(位置ずれ)に拘わることなくその径を高精度に求めることが可能となる。
【0018】
即ち、放射光を用いて丸棒体の径を測定する場合、その検出位置がずれると計測誤差が生じる。しかし丸棒体の検出位置がずれたことが分かれば、幾何学的な計算や誤差分布等に基づいて計測値を補正できるので、丸棒体の軸芯の位置(座標)が正確に測定できれば良い。そこで本発明においてはレーザ(点光源)とリニアイメージセンサのペアを2つ直角に配置して丸棒体の軸芯位置を監視してその位置ずれ(座標)を2次元で測定し、この位置情報に基づいて幾何学的な計算や誤差分布に従い、その計測値を補正するようにしている。
【0019】
ちなみに丸棒体の軸芯位置は、影における両側のエッジ位置を見つけてその真ん中の位置を求めるだけで良いので放射光の影響は受けず、丸棒体の位置がどこにあっても比較的精度良く測ることができる。そして位置ずれに起因する誤差を正確に補正したならば、上述した2系統の光学ユニットにてそれぞれ測った丸棒体の径や芯ぶれ量等は互いに一致する筈なので、この比較による補正の検証によりその計測(補正)が正確である有るか否かが判定できる。またこのような計測によれば、丸棒体の径や芯ぶれ測定だけでなく、その検出位置座標も正確に検出できるので、XY平面上の原点を検出することも可能となる。更には丸棒体をその軸方向に進退させ、そのときリニアイメージセンサの出力の変化から丸棒体の先端位置の検出を行えば、XYZの3次元の座標を検出すことも可能となる。
【0020】
また前述した2系統の光学系(放射光の光軸)を正確に直角に配置しなくても、その設置時に計測系のスパン調整を行っておけば、上記光学系の設置誤差等を簡易に補正することができる。従って点光源から射出される放射光をそのまま用いるといえども精度の高い光学計測を行うことが可能となり、その構成が簡単で、しかも安価に製作し得ることと相俟ってその実用的利点が多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る光学センサ装置について説明する。
この光学センサ装置は、図1にその概略構成を示すように第1および第2の点光源1x,1yと、これらの各点光源1x,1yにそれぞれ所定の距離SDを隔てて対向配置された第1および第2のリニアイメージセンサ2x,2yとを備える。第1および第2の点光源1x,1yは、所定の拡がり角を有する単色光(レーザ光)を射出するレーザダイオード(LD)からなる。また第1および第2のリニアイメージセンサ2x,2yは、図2に示すように複数の受光セル3を所定のピッチW(例えば85μm)で直線状に配列して所定幅の受光面を形成したCCD等の、いわゆるラインセンサからなる。
【0022】
そして第1の点光源1xおよび第1のリニアイメージセンサ2xは、第1の点光源1xから第1のリニアイメージセンサ2xに向けて照射される単色光(レーザ光)の光路内に位置付けられた検出対象物(丸棒体)4を検出する第1の光学系を構成し、また第2の点光源1yおよび第2のリニアイメージセンサ2yは、第2の点光源1yから第2のリニアイメージセンサ2yに向けて照射される単色光(レーザ光)の光路内に位置付けられた丸棒体4を検出する第2の光学系を構成している。
【0023】
特に第1および第2の光学系における前記各リニアイメージセンサ2x,2yは、その受光面を構成する複数の受光セル3の配列方向を互いに直交させ、且つ各受光面が視野する向きを交差させて設けられている。そしてこれらの第1および第2の光学系は、前記各単色光(レーザ光)が交差する領域に位置付けられた検出対象物(丸棒体)4をX軸方向およびY軸方向からそれぞれ検出するものとなっている。
【0024】
ちなみに検出対象物(丸棒体)4の検出は、点光源1x,1yから射出された単色光がその光路内に位置付けられた丸棒体4により部分的に遮られ、これに伴ってリニアイメージセンサ2x,2yの受光面に、例えば図2に示すように上記丸棒体4の影Aが生じることから、この影Aを検出することによって行われる。特に影Aの検出は、後述するように計測部5x,5yにおいて前記各リニアイメージセンサ2x,2yの出力をそれぞれ解析することによって行われる。具体的には各リニアイメージセンサ2x,2yの出力から上記影Aのエッジ位置EL,ERを検出し(エッジ検出処理6)、これらのエッジ位置EL,ERから上記影Aの幅を[EL−ER]として求めると共に(影幅検出処理7)、上記各エッジ位置EL,ERから上記影Aの中心位置を[(EL+ER)/2]として求める(中心位置検出処理8)ことによって行われる。
【0025】
そして演算部9においては、前記計測部5x,5yにてそれぞれ検出された前記リニアイメージセンサ2x,2y上での前記影Aの位置から前記光路内における検出対象物(丸棒体)4の存在位置、つまりX軸方向およびY軸方向の位置座標(X,Y)を検出している。更には演算部9では、上記検出位置座標から求められる前記検出対象物(丸棒体)4,点光源1x,1y,およびリニアイメージセンサ2x,2y間の光学的位置関係(幾何学的位置関係)に応じて特定される前記光学系での計測倍率と、前記リニアイメージセンサ2x,2yにて検出された前記影Aの幅とから、後述するようにして上記検出対象物(丸棒体)4の径を求めるものとなっている。
【0026】
尚、上記光学系において前記第1および第2の点光源1x,1yを同時に発光駆動した場合、丸棒体4での反射光により第1および第2のリニアイメージセンサ2x,2yに到達する光が干渉する虞がある。このような干渉を防ぐには、例えば上記点光源1x,1yの発光タイミングまたはリニアイメージセンサ2x,2yの受光タイミングをずらすようにすれば良い。具体的には各点光源1x,1yをそれぞれ4μ秒ずつパルス的に発光駆動して計測を行う場合には、これらの点光源1x,1yの発光体タイミングをミグを4μ秒ずらして、交互に発光駆動するようにすれば良い。
【0027】
ここで前述したリニアイメージセンサ2x,2yの出力に基づく丸棒体4による影Aの検出処理について説明すると、上述した影Aのエッジ位置の検出処理は、光源から発せられた光の一部が遮蔽物にて遮られたとき、その端部(エッジ)においてフレネル回折が生じることに着目して、リニアイメージセンサの受光面上での光強度分布に従って前記遮蔽物の端部(エッジ)の位置を高精度に検出することによって行われる。
【0028】
即ち、遮蔽物がリニアイメージセンサにおける受光セルの配列方向の一端側から単色平行光の光路を遮る板状のものである場合、該遮蔽物のエッジにおけるフレネル回折による光強度分布は、図3に示すようにエッジ位置近傍で急峻に立ち上がり、エッジ位置から離れるに従って振動しながら収束する。このような光強度分布の特性は、単色平行光の波長をλ[nm]、遮蔽物のエッジから受光面までの距離をz[mm]、受光面上でのエッジ位置x[μm]を[0]としたとき、∫を[x=0]から[(2/λz)1/2・x]までの積分を示す演算記号として
光強度=(1/2){[1/2+S(x)]2+[1/2+C(x)]2
S(x)=∫sin(π/2)・U2dU
C(x)=∫cos(π/2)・U2dU
として表される。但し、Uは仮の変数である。
【0029】
また上式中の関数S(x),C(x)については、専ら数学公式集に示されるようにフレネル関数を用いて、xが大きいところでは
S(x)’≒(1/2)−(1/πx)cos(πx2/2)
C(x)’≒(1/2)+(1/πx)sin(πx2/2)
としてそれぞれ近似することができる。従って基本的には上記近似式S(x)’,C(x)’を用いることにより、前記リニアイメージセンサの各受光セルによる受光強度から前述したエッジ位置を計算することができる。
【0030】
しかしながら実際に計算してみると、図4に示すように関数S(x),C(x)とその近似式S(x)’,C(x)’とは、その立ち上がり以降の収束部分(2山目以降)において非常に良好に近似するものの、最初の立ち上がり部分(1山目)において大きなずれがあることが否めない。特にこの最初の立ち上がり部分の特性はエッジ検出において重要な役割を担うものであり、その特性のずれはエッジ位置の検出精度の低下の要因となる。
【0031】
そこで本発明者は先に特許文献4にて単色平行光のフレネル回折による受光面上での光強度分布の最初の立ち上がり部分、特にその1山目の分布特性が、a,b,cをそれぞれ係数として
y=a・sech(bx+c)
なるハイパボリックセカンド関数sech(x)に極めて良好に近似することを見出した。そしてこのハイパボリックセカンド関数sech(x)を用いて前記リニアイメージセンサの出力(光強度)を解析し、前述したフレネル回折による受光面上での光強度分布において光強度(相対値)が[0.25]となる位置xoを前記遮蔽物の前記受光セルの配列方向におけるエッジ位置として検出することを提唱した。
【0032】
具体的には上述したハイパボリックセカンド関数を前述したフレネル回折による光強度分布の式に当て嵌めて該光強度分の最初の立ち上がり部分(1山目)までを近似すると、そのハイパボリックセカンド関数sech(x)は
光強度=1.37sech{1.98(2/λz)1/2x−2.39}
として示される。この近似式は3桁程度の精度で光強度分布の理論式に一致する。但し、上式においてλは光の波長[nm]、zはエッジから受光面までの距離[mm]、xは受光面上でのエッジ位置を[0]とする座標[μm]であり、これらの実用的な単位の下で上記各係数を設定している。
【0033】
このようなハイパボリックセカンド関数sech(x)を用いたエッジ位置の検出処理のアルゴリズムについて説明する。ハイパボリックセカンド関数sech(x)を用いて近似される光強度の逆関数を計算すると、
Y=(y/1.37)
X=1.98(2/λz)1/2
とおいて、
X=2.39−ln{[1+(1−Y2)1/2]/Y}
として表すことができる。
【0034】
そこで前述したエッジ検出処理においては、基本的には、例えば図5に示す手順に従って先ずリニアイメージセンサにおける複数(m個)の受光セルから求められる正規化された各受光強度y1,y2,〜ymから、互いに隣接して前述した基準光強度[0.25]よりも大きい受光強度を得た受光セルCnと、上記基準光強度[0.25]よりも小さい受光強度を得た受光セルCn-1とをそれぞれ求めている(ステップS1)。つまり複数の受光セル1a(C1,C2,〜Cm)間のそれぞれにおいて受光強度が[0.25]となる、互いに隣接する2つの受光セルCn,Cn-1を求める。そしてこれらの各受光セルCn,Cn-1の受光強度yn,yn-1を上述した係数[1.37]で除算してX-Y座標上での光強度Yn,Yn-1に変換する(ステップS2)。
【0035】
しかる後、これらの各受光セルCn,Cn-1の受光強度Yn,Yn-1が得られる該受光セルCn,Cn-1の受光面上での位置Xn,Xn-1を、前述した近似式に従って
Xn=2.39−ln{[1+(1−Yn2)1/2]/Yn}
Xn-1=2.39−ln{[1+(1−Yn-12)1/2]/Yn-1}
としてそれぞれ逆変換してX軸上の相対位置を計算する(ステップS3)。そして図6にその概念を示すようにこれらの位置Xn,Xn-1から受光セルCnの位置と、受光強度が[0.25]となるエッジ位置との差Δxを
Δx=W・[Xn/(Xn−Xn-1)]
なる補間演算により計算する(ステップS4)。
【0036】
尚、上記差Δxは、受光強度が[0.25]となるエッジ位置xoから受光セルCnの位置までの距離であるので、リニアイメージセンサの受光面全体において1番目の受光セルC1から測ったときのエッジの絶対位置xは、nを光量Y2を得た受光セルのセル番号、受光セルの配列ピッチをWとしたとき
x=n・W−Δx
として求めることが可能となる。また上記逆変換において求められる相対位置Xn,Xn-1は、
X=1.98(2/λz)1/2
として示されるように[1.98(2/λz)1/2]倍された値であるが、上記補間演算で比を求めることにより実質的にこの項は削除される。
【0037】
この補間演算については前述した近似式を用いて実行しても良いが、上述した2つの受光セルCn,Cn-1間での光強度の変化が直線的であると見なし得る場合には、単純な直線補間であっても良い。またここでは隣接する受光セル間で光強度が[0.25]となる位置を見出し、その位置をセル境界とする2つの受光セルCn,Cn-1を特定したが、単に上記位置を挟む2つ以上の受光セルを特定しても良い。但し、この場合には必ず前述した近似式を用いて補間演算を行うことで、その演算精度の低下を防止するようにすれば良い。また上述した逆変換については、例えば予めその計算値を記憶したテーブルを用いることで、その演算処理負担を大幅に軽減して瞬時に実行することが可能である。
【0038】
ところで遮蔽物が前述したように微小径の棒状体、例えばドリル刃である場合、ドリル刃(丸棒体)の両側部においてそれぞれ単色平行光のフレネル回折が生じる。これ故、リニアイメージセンサ2x(2y)の受光面におけるフレネル回折パターンは、例えば図7(a)に示すようにドリル刃(丸棒体)の中心位置の両側においてそれぞれ振動しながら収束するような対称性を有するパターンとなる。またリニアイメージセンサ2x,2yの各受光セルでの受光強度は図7(b)に示すようになる。しかも丸棒体(ドリル刃)4の径が200μm以下である場合には、その受光強度が[0.25]まで低下しないことがある。従ってこの場合には、前述したようにフレネル回折の近似式を用いて光量が[0.25]となる位置を正確に求めることができない虞が生じる。
【0039】
しかしながら図7(a)に示す回折パターンは、近似的には図7(c)に示すように遮蔽物(丸棒体)の両側においてそれぞれ生じたフレネル回折が合成したものであると看做し得る。従って、例えば半径rの丸棒体(遮蔽物)4の周囲を通過した光の強度A(x)は、その左側の回折パターンの光強度A(x)Lと、右側の回折パターンの光強度A(x)Rとを合成した
A(x)=A(x)L+A(x)R
=1.37sech{−1.98(2/λz)1/2(x+r)−2.39}
+1.37sech{1.98(2/λz)1/2(x−r)−2.39}
として捉えることができる。しかし丸棒体(ドリル刃)の径が細くなると、左側および右側の回折パターンの光強度A(x)L,A(x)Rにおける[0.25]付近での重なりが大きく影響し、リニアイメージセンサの受光面上での光強度が[0.25]を大きく上回るようになるので、前述したように光量が[0.25]となる位置をそのエッジ位置として直接検出することはできなくなる。
【0040】
そこで径計測処理においては、上述した左側および右側の回折パターンの光強度A(x)L,A(x)Rにおいて、その最初の立ち上がり部分における他方の回折パターンの影響を殆ど受けることのない部位、具体的には光強度(光量)が[0.5〜0.9]となる部位に着目し、例えば図8にその処理手順を示すように光強度(光量)が、例えば[0.75]となる概略的なエッジ位置XR,XLをそれぞれ求めている(ステップS11,12)。そしてこれらの左右の概略的なエッジ位置XR,XLから回折パターンA(x)においてその光量が[0.75]となる影幅2aを求め(ステップS13)、この影幅2aに従って前述した丸棒体の半径rを逆算することでその径(直径)2rを求めている(ステップS14)。
【0041】
具体的には右側の回折パターンA(x)Rから、光量が[0.75]となるエッジ位置XRを次のようにして求める。即ち、光強度y
y=1.37sech{1.98(2/λz)1/2X−1.21}
において、
Y=y/1.37
と置くと、
sech-1(Y)=±ln[{1+(1−Y2)1/2}/Y]
=X’−1.21
但し、0<y≦1.37,0<Y≦1.0,X’=1.98(2/λz)1/2
となる。
【0042】
そこで今、102セルからなるリニアイメージセンサ2x(2y)の各受光セルでの計測値(正規化したデータy0,y1,y2,…y101)で、[n−1]番目のセルとn番目のセルとの間に光強度が[0.75]となる位置が存在し、上記[n−1]番目およぴn番目のセルでの光強度がyn-1,ynであったとすると、
Yn-1=yn-1/1.37 ,Yn=yn/1.37
として、前述した図6に示した場合と同様に光強度が[0.75]となる位置は
X’n-1=1.21−ln[{1+(1−Yn-12)1/2}/Yn-1]
X’n=1.21−ln[{1+(1−Yn2)1/2}/Yn]
としてそれぞれ写像することができる。この結果、これらの写像位置からそのエッジ位置XR
R[μm]=w{n−X’n/(X’n−X’n-1)}
として補間処理により簡単に、しかも正確に求めることができる。但し、wはセルの幅である。尚、前述したようにX’n,X’n-1は、本来のセルの位置ではなく、1.98(2/λz)1/2倍された値であるが、上述したように比を求めることで実質的にはこの項が消去されるので、距離zが不明であっても正確に補間処理を行い得る。
【0043】
また同様にして左側の回折パターンA(x)Lから、光量が[0.75]となるエッジ位置XLを求める。そしてこれらの各回折パターンA(x)R,A(x)Lからそれぞれ求めたエッジ位置XR,XLに従って、光量[0.75]となる位置での遮光幅(影幅)2aを
2a=XR−XL
として求める。
【0044】
次いで前述した右側および左側の回折パターンの光強度A(x)R,A(x)Lを合成した回折パターンを表す式に上記光量[0.75]と影幅2aの半分の値aとを代入し、丸棒体4の半径rを逆算して求める。このrの逆算については、例えばニュートン法を利用して数値計算するようにすれば良い。具体的には
f(r)=1.37sech{−1.98(2/λz)1/2(a+r)−2.39}
+1.37sech{1.98(2/λz)1/2(a−r)−2.39}
−0.75
とすれば、その微分は
f'(r)=−2.71(2/λz)1/2
×sech{−1.98(2/λz)1/2(a+r)−2.39}
×tanh{−1.98(2/λz)1/2(a+r)−2.39}
−2.71(2/λz)1/2
×sech{1.98(2/λz)1/2(a−r)−2.39}
×tanh{1.98(2/λz)1/2(a−r)−2.39}
となる。
【0045】
そこでrの初期値r0を
r0={2a−0.845(λz)1/2}/2
とし、
n=rn-1−f(rn-1)/f'(rn-1)
n=1,2,3,…
として[rn−rn-1]の絶対値が、例えば0.01以下となるまで繰り返し計算すれば、その収束したrを丸棒体4の半径として求めることが可能となる。従って丸棒体4の径については、上記半径rの2倍として、具体的には2rとして求めることが可能となる。
【0046】
尚、丸棒体の径が或る程度太く、右側および左側の回折パターンの光強度A(x)R,A(x)L間の干渉が無視できる場合には、片方の回折パターンの光強度A(x)R,A(x)Lを用いるだけで、例えば
0.75=1.37sech{1.98(2/λz)1/2(a-r)−2.39}
を解くだけで、
2r=2a−0.845(λz)1/2
としてその半径rを求めることができる。即ち光量[0.75]での影幅2aからその光学系の規定値である[0.845(λz)1/2]を引くだけで簡単に丸棒体の直径(ドリル径)2rを求めることができる。
【0047】
ところで本発明に係る光学センサ装置は前述したように点光源1x,1yからそれぞれ発せられた単色光をそのままリニアイメージセンサ2x,2yに向けて投光するように構成されている。この場合、点光源1x,1yからラインセンサ2x,2yに向けて投光される光は所定の拡がり角を有しており、前述した単色平行光ではないので厳密な意味では遮蔽物(丸棒体)の端部(エッジ)においてフレネル回折は生じない。しかし点光源1x,1yとしてのLDから発せられるレーザ光の拡がり角は、一般的には高々17°程度と比較的狭いので、これを平行光と看做して、つまりフレネル回折が生じていると看做して前述したようにエッジ検出を行っても殆ど計測誤差が生じない。従って点光源1x,1yとして上述した拡がり角が17°程度の単色光を発するレーザダイオード(LD)を用いた場合には、前述したエッジ検出の手法をそのまま用いることで、丸棒体4による影Aの幅2aを高精度に検出することが可能となる。
【0048】
またこの光学センサ装置においては点光源1x,1yから所定の拡がり角を有する光をそのまま放射しているので、その光学系は、例えば図9に模式的に示すように点光源1x(1y)から発せられた単色光(レーザ光)の影が拡大されてリニアイメージセンサ2x(2y)の受光面に投影される拡大光学系となる。そして丸棒体4による影Aは、点光源1x(1y)とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離SDと、上記丸棒体4とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離WDとの比により定まる拡大率にてリニアイメージセンサ2x(2y)上に投影されることになる。
【0049】
そして計測光として単色平行光を用いた場合、丸棒体4の影Aは該丸棒体4の径に相当して、例えば図10(a)に示すようにそのままリニアイメージセンサ2x(2y)に投影されるが、点光源1x(1y)からの所定の拡がり角を持つ単色光を用いた場合には、図10(b)に示すように丸棒体4の影Aが拡大されてリニアイメージセンサ2x(2y)に投影されることになる。従ってこの拡大された丸棒体の影Aの幅2aを前述した如く求めれば、前述した拡大光学系の拡大率が明らかであることを条件として上記計測値(影幅)2aから上記丸棒体4の径を求めることが可能となる。
【0050】
即ち、丸棒体4の直径が2rである場合、上記拡大光学系によれば該丸棒体4の影幅2aは
2a=2r・SD/(SD−WD)
と拡大して検出される。従って丸棒体4の影幅2aを前述した如く計測すれば、丸棒体4の径2rは、その拡大率から逆算して
2r=2a(SD−WD)/SD
として求めることが可能となる。また同時にその計測誤差も[(SD−WD)/SD]だけ小さくすることができるので、その計測精度を高めることが可能となる。
【0051】
尚、厳密には遮蔽物が丸棒体なので、図9に示すように単色光に対するエッジ位置は点光源1x(1y)を通る接線上の位置になる。これ故、リニアイメージセンサ2x(2y)上で求められる影Aの幅2aは、実際の丸棒体4の径よりも若干狭くなる。しかし点光源1x(1y)とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離SD、および丸棒体4とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離WDがそれぞれ明らかであれば、その幾何学的関係から
2r=2a(SD−WD)/{(2a)2+SD21/2
として容易に丸棒体4の真の径2rを計算することができる。
【0052】
ちなみに丸棒体4がドリルに装着(チャッキング)されるドリル刃であるような場合、通常、その装着位置が予め規定されているので、例えば前述した光学系における丸棒体(ドリル刃)4の位置を点光源1x,1yとリニアイメージセンサ2x,2yとの対向距離SDの中間点(1/2の点)として定めておけば、上述した幾何学的関係からその拡大率を2倍(略2倍)として容易に丸棒体(ドリル刃)4の径を求めることが可能となる。しかしながら丸棒体(ドリル刃)4が、必ずしも上記光学系の中間点に正確に位置付けられるとは限らない。そして丸棒体(ドリル刃)4が予め定められた位置(例えば中間点)からずれていると、当然のことながらが丸棒体4とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離WDが変化するのでその拡大率が異なってくる。
【0053】
具体的には、例えば図11に示すように丸棒体4が光軸方向にずれた場合、上記距離WDに応じて拡大率が変化するので、その拡大率に応じてリニアイメージセンサ2x(2y)の受光面上に形成される影Aの幅2aも変化する。即ち、丸棒体4とリニアイメージセンサ2x(2y)との距離WDが短くなるに従ってその拡大率が小さくなり、これに伴って影Aの幅2aが小さくなる。
【0054】
また図12に示すように丸棒体4が光軸と直角な方向にずれた場合には、リニアイメージセンサ2x(2y)の受光面上に形成される影Aの位置のみならず、その幅2aも変化する。例えば丸棒体4がその光軸から角度φだけずれたとすると、リニアイメージセンサ2x(2y)の受光面上における影Aの中心位置は[SD・tanφ]だけ変位し、影Aの大きさ2aは
2a=SD・[tan(θ/2+φ)+tan(θ/2−φ)]
となる。但し、θは丸棒体4の中心を通る光軸と、点光源1x(1y)を通る丸棒体4の接線とのなす角度である。
【0055】
ちなみに丸棒体4が光軸上に存在するとすれば(φ=0)、その影Aの幅2aは最小で[2・SDtan(θ/2)]となる。この光軸と直角方向へのずれに起因する誤差は、丸棒体4の径が小さいもの程大きく、また前述した距離WDが大きい程大きくなる。しかし上述した光軸方向のずれに比べると理論的にはその誤差は小さく、実際上は殆ど無視することができる。従って前述したように点光源1x,1yからそれぞれ所定の距離SDを隔てて対向配置され、互いに直交する向きに配列された第1および第2の光学系のリニアイメージセンサ2x,2yにて、その光路内に位置付けられた丸棒体4により生じた影Aの幅2aとその中心位置とをそれぞれ求めれば、点光源1x,1yと上記影Aの中心位置との幾何学的な位置関係から丸棒体4の2次元的な位置座標(x,y)を求めることが可能となる。
【0056】
そして上記丸棒体4の位置座標(x,y)から、該丸棒体4とリニアイメージセンサ2x,2yとの距離WDをそれぞれ求めることが可能となる。換言すればリニアイメージセンサ2yの出力から求められる影Aの中心位置から丸棒体4とリニアイメージセンサ2xとの距離WDを監視し、該リニアイメージセンサ2xにて検出される影Aの拡大率を求めることができる。逆にリニアイメージセンサ2xの出力から求められる影Aの中心位置から丸棒体4とリニアイメージセンサ2yとの距離WDを監視し、該リニアイメージセンサ2yにて検出される影Aの拡大率を求めることができる。
【0057】
この結果、前記リニアイメージセンサ2x(2y)の出力から求められた前記影Aの幅2aと、当該リニアイメージセンサ2x(2y)と丸棒体4との離間距離WDとから、前述したように
2r=2a(SD−WD)/{(2a)2+SD21/2
として丸棒体4の径2rを幾何学的に精度良く算出することができる。また第1および第2のリニアイメージセンサ2x,2yの出力から上述したようにしてそれぞれ求められる丸棒体4の径2rを相互に比較すれば、これによって第1および第2の光学系による丸棒体4の径計測が正しく行われたか否かを容易に検証することが可能となる。
【0058】
ところで複数の受光セル3を85μmのピッチで配列したリニアイメージセンサ2x(2y)における各受光セル3は、そのセルでの受光量をセル幅に亘って積分した信号をそれぞれ出力する。これ故、影Aのエッジに掛かる受光セル3においては、前述したように影Aのエッジがセル幅のどの位置に存在するかによって前述したようにその出力が異なってくる。しかも影Aのエッジ部分において受光セル3に部分的に入射する光は前述したように厳密な意味でフレネル回折を生じたものではないので、エッジ位置を求める際の誤差要因となる。
【0059】
更には前述したように回折により生じた左右の各エッジの光量分布が、互いに他方のエッジにおける光量変化に影響を与えるので、左右のエッジ位置の幅に相当する丸棒体4の径によっても上述した誤差の大きさが変化する。また丸棒体1がドリル刃であって、その径が100μm以下である場合、図13に模式的に示すようにドリル刃の螺旋ピッチが受光セル3の並び方向のピッチ(85μm)よりも小さくなり、受光セル3に対して中途半端な影を作る。このため、前述した補間演算において誤差が生じることが否めない。
【0060】
そこで実際に径の既知なる複数の丸棒体(ドリル刃)4を用い、これらの丸棒体4をリニアイメージセンサ2x(2y)における受光セル3の配列方向に沿って、つまり点光源1x(1y)から射出された光の光軸に直角な方向に一定速度で移動させ、左右のエッジ位置(リニアイメージセンサの左端および右端からの距離)の変化を記録し、その移動距離(直線)からのずれ(誤差成分)について調べてみた。そしてこの誤差分布からセル幅周期の成分をディジタルフィルタを用いて抽出してみたところ、例えば図14および図15にそれぞれ示すようにセル幅周期で変化する誤差分布を有していた。尚、図14は光学系の拡大率を2倍としたときの誤差成分であり、正弦波のような変化を示していた。また図15は光学系の拡大率を1.2倍としたときの誤差成分であり、周期的に歪んだ形状となっている。
【0061】
またこのようなセル幅周期の誤差分布(形状、振幅および左右エッジの位相)は丸棒体4の径によって変化するだけでなく、リニアイメージセンサ2x(2y)との距離(拡大倍率)によっても変化する。そこで径の異なる各種の丸棒体4を用い、拡大光学系での計測倍率を種々変えて同様にして左右エッジ位置の誤差分布を求めてみたところ、次のことが明らかとなった。
(a) 光源として放射光を用いているので、丸棒体4の位置によって計測倍率が変わると影Aの幅が変化し、これに伴って誤差分布の振幅および形、更にはエッジ間の位相が変化する。
(b) また影幅に対する誤差振幅の大きさは概ね放物線のような関係にあり、概して影幅が小さい場合、および影幅が大きい場合には誤差分布の振幅が大きくなる。
(c) 更には丸棒体4の径に応じて計測倍率を変えて影幅を一定にした場合、左右のエッジ間の位相は変わらないが、誤差分布の振幅や形が変化する。
【0062】
これらの原因は、丸棒体4の径が0.1mm程度と小さい場合にはその両側エッジでの回折の影響で誤差が大きくなり、径が2mm程度と大きい場合には放射光による回折パターンの誤差が増えるためと思われる。
以上の事実からセル幅周期に依存する誤差については、丸棒体4とリニアイメージセンサ2x(2y)との離間距離WDがわからないと正確に補正することはできないことが明らかとなった。換言すれば、丸棒体4による遮光幅と距離WDとが明らかであれば、セル幅周期で発生する誤差分布のパターン(形状)がわかるので、例えば予め丸棒体4に対する計測倍率(距離WD)を定めておけば、例えばその誤差分布の形状をサイン関数等で近似し、遮光幅に応じて上記誤差分布の振幅を定めることでセル幅周期に依存する誤差を補正するための関数を求めることができる。またドリル刃独特の螺旋ピッチによる上述した誤差についても、その遮光幅と距離WDとが明らかであれば、おおよその径がわかる。故に、例えばドリル径に対する螺旋ピッチを考慮した特別な誤差補正関数を作れば、この補正関数を用いて上記螺旋ピッチに起因する誤差を補正することができる。
【0063】
従ってリニアイメージセンサ2x(2y)の出力から左右のエッジ位置を求める際、上記誤差分布のパターン(補正関数f)に従って前述した如く求められるX軸上でのエッジ位置ΔXを
ΔX’=ΔX−f(Δx,WD,2a)
として補正すれば、これによってその検出精度を高めることが可能となる。
【0064】
ちなみに上記補正関数fについては、例えば光路長SDが48mmの光学系においてリニアイメージセンサ2x(2y)と丸棒体4との距離WDを24mmとしてその計測倍率を2倍とした場合、そのときの遮光幅に応じて、例えば表1に示すようなセル幅85μmを1周期とするサイン関数(sin関数)として与えるようにすれば良く、また上記光学系において距離WDを8mm(計測倍率を1.2倍)とした場合には表2に示すようなセル幅85μmを1周期とするコサイン関数(cos関数)として与えるようにすれば良い。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
尚、距離WDに±1mm程度のずれが生じる虞がある場合には、予めそのずれ量に応じた補正関数fを、例えば0.1mmのずれピッチ毎に求めてテーブル化しておき、これらの補正関数fを選択的に用いるようにすれば良い。また上記補正関数fに代えて予め前記光学系での実測値をテーブル化しておき、これを用いてエッジ位置を補正するようにしても良い。このようにしてリニアイメージセンサ2x(2y)のセル幅周期に依存するエッジ位置の計測誤差を補正するようにすれば、効果的にその計測精度を更に高めることが可能となる。
【0068】
ところで前述した丸棒体4がドリル刃である場合、上述した如くして丸棒体4の径およびその位置座標を求めることのみならず、上記ドリル刃が芯ぶれなく回転しているか否かを確認することも重要である。しかしドリル刃には、その周面に螺旋状に刃が刻まれているのでリニアイメージセンサ2x(2y)の受光面に投影される上述した光像(像パターン)はドリル刃(丸棒体)4の回転に伴って左右にぶれを生じることになる。
【0069】
ちなみにドリル刃4がその軸心を中心として低速回転している場合には、そのぶれ自体が回転角に応じて周期的に生じるので、例えば前述したドリル径の計測時に求められる受光量が[0.75]となる位置での影幅2a(=XR−XL)を求める際、同時のその中心位置cを
c=(XR+XL)/2
として求めておけば、この中心位置cの変化幅を監視することでドリル刃4の芯ぶれを監視することができる。そして中心位置cの変化幅が所定の閾値を越えるような場合、芯ぶれ有りと判断することができる。
【0070】
しかしながらドリル刃4が高速回転している場合には、その周面に螺旋状に刻まれた刃による凹凸パターンが高速度に互いに重なり合うので、リニアイメージセンサ2x(2y)の受光面に投影される影Aが全体的にぼけた状態(いわゆるピンぼけ状態)となることが否めない。従って前述した受光量が[0.75]となる位置での影幅2a(=XR−XL)を求めること自体が困難となる。
【0071】
そこで高速回転されるドリル刃4の芯ぶれを検出するには、例えばドリル刃4が装着されるスピンドル(ドリルのチャック)に上記ドリル刃に代えて丸棒体(ダミー)4を装着し、この丸棒体4の芯ぶれを検出するようにすれば良い。即ち、ドリル刃と略同径の丸棒体(ダミー)を用いれば、前述したようにその両側部でそれぞれ回折した左右の回折パターンが合成された光像(像パターン)が得られる。しかし丸棒体(遮蔽物)4が芯ぶれを生じながら高速に回転していると、丸棒体(遮蔽物)4の位置がリニアイメージセンサ2x(2y)の受光セルの配列方向にぶれるので、概略的には左側にずれたときの回折パターンと右側にずれたときの回折パターンとが合成された、いわゆるピンぼけ状態の光像(像パターン)となる。換言すれば芯ぶれが生じるとそのエッジ自体がぼけた状態となり、本来、丸棒体4によって光が遮られて影となる部分の光量が増え、またその周辺部での光量が減少する。従ってこの状態において前述したようにして丸棒体4の径を測定すると、本来のエッジ境界部分での光量が増えた分だけ、丸棒体4の径が小さく求められる。
【0072】
一方、丸棒体(ドリル刃)4がその軸心を中心として高速に回転している場合(芯ぶれがない状態)、或いは丸棒体4の回転を停止させた状態においては、その光像(像パターン)に上述した芯ぶれの影響が生じないので、前述した手法により丸棒体4の径を精度良く計測することができる。また平行光の光路に丸棒体4を位置付けたときと、丸棒体4を外したときの前記リニアイメージセンサ2x(2y)による全受光量を比較すれば、丸棒体4によって光が遮られた分だけリニアイメージセンサ2x(2y)での受光量が低下するので、高い計測精度は望めないまでも、その受光量比から比較的簡単にドリル径を求めることができる。しかもこの受光量比は、単位時間・単位面積当たりに照射される光量が一定であるので丸棒体4に芯ぶれが生じているか否かに拘わらず一定である。従ってこのようにして求められる受光量比から、或いは芯ぶれのない初期状態において求められる丸棒体4の径と、前述した如く丸棒体7を高速に回転させている状態において求められる丸棒体4の径とを比較すれば、これによって丸棒体4が芯ぶれを生じているか否かを検出することが可能となる。
【0073】
そこで本発明においては、例えば図16および図17に示す処理手順に従って高速回転または低速回転される丸棒体4の芯ぶれの有無を判定している。即ち、先ず初期調整作業として、単色光4の光路中に丸棒体4を入れない状態でリニアイメージセンサ2x(2y)による全受光パターンAiを求め(ステップS21)、各受光セルでの受光量の合計値S0(=ΣAi)を求める(ステップS22)。そして各受光セルでの受光量がそれぞれ[1]となるように、その正規化パラメータNi(=1/Ai)を求める(ステップS23)。
【0074】
しかる後、リニアイメージセンサ2x(2y)から予め定められた距離WD、例えば拡大率が2倍となる位置(WD=SD/2)に丸棒体4を位置付け、そのときの受光パターンYiを求める(ステップS24)。そしてこの受光パターンYiを上述した正規化パラメータNiを用いて[yi=Yi×Ni]としてそれぞれ正規化し(ステップS25)、丸棒体4を入れたときの受光量の合計値S1(=Σyi)を求める(ステップS26)。その後、光路に丸棒体4を入れたときの光量S1と、丸棒体4を入れないときの光量S0との比から上記丸棒体4の半径ROPT
OPT=8670(S1/4・S0
として計算する(ステップS27)。但し、上記係数[8670]は、ピッチ幅wが85μmの受光セルを102個配列したリニアイメージセンサ2x(2y)の全体の長さを示している。
【0075】
次いで上記リニアイメージセンサ2x(2y)での受光パターンの前述した右側エッジでの回折パターンに着目し、受光量が[0.75]となる位置を挟む2つの点yn-1,ynを探し(ステップS28)、前述したように逆フレネル関数を用いて上記yn-1,ynをX軸に逆写像して位置Xn-1,Xnを求める(ステップS29)。そして逆写像した上記位置Xn-1,Xnから補間処理により、その右側エッジ位置XR
R=85[n−Xn/(Xn−Xn-1)]
として算出する(ステップS30)。
【0076】
次に同様にして前記受光パターンの左側エッジでの回折パターンに着目し、左側エッジ位置XLを求める(ステップS31)。そして上記右側エッジ位置XRと左側エッジ位置XLとの差2aを受光量が[0.75]となる位置での遮光幅として求め(ステップS32)、更に上記右側エッジ位置XRと左側エッジ位置XLとから
c=(XR+XL)/2
として軸心の位置cを求める(ステップS33)。
【0077】
次いで前述した逆算により上記影幅2aから丸棒体4の径(半径)RCCDを求める(ステップS33)。そして前述した如く光量方式で求めた丸棒体4の径ROPTとリニアイメージセンサ2x(2y)の出力を解析して求めた上記丸棒体4の径(直径)2RCCDとの差を求め、その差が所定の閾値RMAXよりも小さいか否かを判定して芯ぶれの有無を判定する(ステップS34)。更には上述した如く求めた軸心の位置cの変位が規定値を上回るか否かを判定して芯ぶれの有無を判定する(ステップS35)。具体的には上記差(ROPT−2RCCD)が所定の閾値RMAXを越える場合には芯ぶれ有りと判定する。また上記差(ROPT−2RCCD)が所定の閾値RMAXよりも小さい場合には、更に軸心の位置cの変位が規定値を上回るか否かを判定し、軸心の位置の変位cが規定値いないであることを確認して、これを芯ぶれなしと判定する。しかし軸心の位置cの変位が規定値を上回る場合には、芯ぶれ有りと判定する。これらの2つの芯ぶれ判定の手法を併用することによって丸棒体4が低速回転しているか、或いは高速回転しているかに拘わらず、その一方の判定結果から芯ぶれの有無を容易に検出することが可能となる。
【0078】
このようにして丸棒体4の芯ぶれの有無を判定する手法によれば、丸棒体4をドリルのチャックに装着して高速に回転させている状態において、その芯ぶれの有無を効果的に、且つ確実に検出することができる。しかも従来の一般的な手法に見られるように丸棒体4の軸心位置の変化を監視することなく、その芯ぶれの有無を検出することができる。換言すれば丸棒体4が高速に回転しているが故に、その軸心位置の変化を捉えることができないような状況下においても、その芯ぶれの有無を効果的に検出することができるので、その実用的利点が絶大である。特に第1および第2のリニアイメージセンサ2x(2y)の出力からそれぞれ検出される芯ぶれ量を相互に比較すれば、その芯ぶれ量の検出が正しく行われたか否かを容易に評価することが可能となる。
【0079】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば丸棒体4の径を計測するに際して、この例では光量が[0.75]となる位置での遮光幅2aを求めたが、他方の回折パターンの影響がない部位においてその遮光幅(影幅)2aを求めるようにすれば良い。実用的には、例えば光量が[0.5〜0.9]となる範囲の任意の位置にて、その遮光幅2aを求めるようにすれば十分である。
【0080】
また上述した構成の光学センサ装置を組み立てた際、予め径の既知なる丸棒体(基準ピン)4を、例えば各光学系の中間位置に設置して、そのときに計測される影Aの幅が上記丸棒体(基準ピン)4の2倍となるように、そのスパンパラメータを調整し、これを記憶するようにしておけば良い。このようにしてスパンパラメータを記憶しておけば、実際に上記光学センサ装置を用いて影Aの幅を計測したとき、上記スパンパラメータを用いて補正することができるので、点光源1x,1yとリニアイメージセンサ2x,2yとの位置関係の狂いに拘わることなく、影幅を正確に求めることが可能となる。従って点光源1x,1yとリニアイメージセンサ2x,2yとの光学的な配置関係のずれの影響を受けることなく、高精度に丸棒体4の径および位置検出を行うことができる。
【0081】
また前述した如く求めた丸棒体4の検出位置座標を出力するようにすれば、これによって丸棒体4の位置制御を行うことも可能となり、例えば丸棒体4としてのドリル刃を用いた穴開け加工制御に有効に用いることが可能となる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学センサ装置の要部概略構成図。
【図2】リニアイメージセンサの受光面を示す図。
【図3】遮蔽物のエッジによりフレネル回折を生じた光の強度パターンを示す図。
【図4】フレネル回折による光強度分布の理論値と、関数を用いた近似特性とを対比して示す図。
【図5】フレネル回折パターンからのエッジ検出処理の手順の一例を示す図。
【図6】図5に示すエッジ検出の処理概念を示す図。
【図7】微小径のドリル刃により生じる回折パターンと本発明の計測原理を説明する為の図。
【図8】本発明の一実施形態に係る径測定方法の処理手順を示す図。
【図9】拡大光学系における丸棒体の径と受光面上での影幅との関係を示す図。
【図10】受光面上での影幅の変化を示す図。
【図11】拡大光学系における丸棒体の光軸方向へのずれに伴う受光面上での影の変化を示す図。
【図12】拡大光学系における丸棒体の光軸方向と直角方向へのずれに伴う受光面上での影の変化を示す図。
【図13】ドリル刃の螺旋ピッチに起因する誤差要因を模式的に示す図。
【図14】セル幅周期に依存するエッジ位置の誤差分布を示す図。
【図15】セル幅周期に依存するエッジ位置の誤差分布を示す図。
【図16】芯ぶれ検出の具体的な処理手順の例を示す図。
【図17】図16に示す処理手順に続く処理手順を示す図。
【符号の説明】
【0083】
1x,1y 点光源
2x,2y リニアイメージセンサ
4 丸棒体
5x,5y 計測部
6 エッジ検出処理
7 影幅検出処理
8 位置検出処理
9 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光セルを直線状に配列した受光面をそれぞれ備え、上記受光セルの配列方向を異ならせて前記各受光面の視野領域を互いに交差させて配置した第1および第2のリニアイメージセンサと、
上記各リニアイメージセンサに対向配置されて各リニアイメージセンサの受光面の全体に到達する拡がり角の単色光をそれぞれ射出する第1および第2の点光源と、
前記点光源とリニアイメージセンサとの間に位置付けられた丸棒体により前記各リニアイメージセンサの受光面に生じた影の中心位置とその影幅とを前記各リニアイメージセンサの出力を解析してそれぞれ求める影解析手段と、
前記各リニアイメージセンサにて求められた前記影の中心位置に応じて前記各リニアイメージセンサと前記丸棒体との離間距離をそれぞれ求め、この離間距離と前記各リニアイメージセンサにて求められた前記影幅とから前記丸棒体の径を求める径算出手段と
を具備したことを特徴とする光学センサ装置。
【請求項2】
前記影解析手段は、フレネル回折の近似式を用いて前記各リニアイメージセンサの出力を解析して前記各リニアイメージセンサによる受光パターンのエッジ位置を求め、これらのエッジ位置から前記影の中心位置とその影幅とをそれぞれ求めるものである請求項1に記載の光学センサ装置。
【請求項3】
前記径算出手段は、前記各リニアイメージセンサにおいてそれぞれ検出される影の中心位置に応じて該リニアイメージセンサにて検出された影幅を補正する影幅補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学センサ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学センサ装置において、
径の既知なる丸棒体を、前記点光源とリニアイメージセンサとの間の予め定められた位置に設けたときに計測される前記丸棒体の影の幅から、前記リニアイメージセンサの計測スパンを補正するパラメータを決定して該パラメータを記憶するパラメータ記憶手段と、
その後、丸棒体の径および/または位置の計測時には、前記リニアイメージセンサの出力からそれぞれ求められる影幅を前記パラメータ記憶手段に記憶したパラメータを用いて補正する計測スパン補正手段と
を備えることを特徴とする光学センサ装置。
【請求項5】
前記点光源とリニアイメージセンサとの間の予め定められた位置は、前記第1の点光源と前記第1のリニアイメージセンサとの対向距離、および前記第2の点光源と前記第2のリニアイメージセンサとの対向距離をそれぞれ2分する中間点であって、
前記リニアイメージセンサの計測スパンを補正するパラメータは、前記影の幅が前記丸棒体の径の2倍となるように前記リニアイメージセンサにおける受光セルの配列ピッチを補正する係数として求められる請求項4に記載の光学センサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光学センサ装置において、
一方のリニアイメージセンサにて求められた前記影の中心位置に基づいて求められる他方のリニアイメージセンサと前記丸棒体との離間距離と、上記他方のリニアイメージセンサにて求められる前記丸棒体の影幅とに従って前記他方のリニアイメージセンサにおける複数の受光セルの配列ピッチに依存する前記影のエッジ位置の誤差パターンを求め、この誤差パターンに従って前記リニアイメージセンサの出力を解析して求められる受光パターンのエッジ位置を補正して前記影のエッジ位置を求めるエッジ位置補正手段を備えることを特徴とする光学センサ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光学センサ装置において、
前記第1および第2のリニアイメージセンサの出力からそれぞれ求められた前記丸棒体の径を互いに比較して、前記各リニアイメージセンサの出力に対する補正の適否を検証する検証手段を備えることを特徴とする光学センサ装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の光学センサ装置において、
前記点光源とリニアイメージセンサとの間に位置付けられた丸棒体が回転していないときに求められる影幅と、上記丸棒体が回転しているときに求められる影幅とに従って前記丸棒体の回転時における芯ぶれ量を検出する芯ぶれ検出手段を備え、
前記第1および第2のリニアイメージセンサの各出力からそれぞれ求められる芯ぶれ量を相互に比較して芯ぶれ検出の適否を判定することを特徴とする光学センサ装置。
【請求項9】
前記第1および第2のリニアイメージセンサの各出力をそれぞれ解析して求められる前記丸棒体の中心位置を出力する座標出力手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−112964(P2006−112964A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301830(P2004−301830)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】