説明

光学式自己位置検知装置及び方法

【課題】検知位置精度が高く、自己の姿勢も検知可能な技術であって、簡易に実現可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】移動フィールド20を移動する移動体10には、エリアセンサカメラ12が搭載されている。この移動フィールド20内の適当な位置に、少なくとも2つ以上の色彩変化発光体30が固定装備されており、かつその位置関係は既知である。
色彩変化発光体30は、各発光体毎に個別の色彩変化パターンで発光している。この色彩変化パターンで、各色彩変化発光体30a、30b、が識別される。エリアセンサカメラ12が2以上の色彩変化発光体30をキャプチャすることによって、それらの画像中の位置を知ることができる。それらの位置関係から、移動体の位置・向きを算出することができる。色彩変化パターンで各色彩変化発光体30a、30bを識別するので、形状に歪みが生じたり等しても、その識別を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己位置検知方式に関する。特に、時間の経過に伴い変化する色彩発光様式を定め、これをキャプチャすることで発光体の位置と、発光様式に基づくデータを解読する技術を用いた自己位置検知方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自己の位置や姿勢を知る技術が広く必要とされてきた。例えば、自動車のナビゲーションシステム(カーナビゲーションと呼ばれる)においては、自車の位置を地図上で検知できる必要がある。また、航空機においては、現在の飛行位置・向き等を逐次知ることができなければ安全な航行はできない。その他、種々の場合において、自己の位置や姿勢を知る技術が広く利用されてきた、
従来から使用されてきた代表的な例を列挙すると、以下の通りである。
【0003】
・GPS
・光学的手段(三角測量等)
・電波
・床面等の(磁気、模様等の)パターンによる検知
などが挙げられよう。
【0004】
(a)GPS
例えば、上記GPSは、近年、コスト的・技術的ハードルが下がり、きわめて容易に導入できる手段である。しかしながら、位置精度はたかだか50cm程度なので、作業内容・利用目的によっては位置精度が不足する。また、屋内などの電波状況の悪い環境では使用することが出来ないという問題点がある。更に、自己の姿勢(向いている方向等)について直接知ることはできず、他の手段と組み合わせる必要がある。
【0005】
(b)光学的手段
光学的に自己位置を検出する方法はさまざまな方式が考案されている。たとえばアクティブ測距方式と組み合わせて位置を知る方法や、複数のターゲットの位置を測量して三角測量の原理で自己の位置を割り出す方法、などが知られている。これらは、位置の他に自己の姿勢も検知することが出来るが、各ターゲットを確実に認識する必要があり、そのために複雑な画像処理が求められる。
【0006】
その結果、このような使用方法ではターゲットとの距離、角度が、自己の位置・向きによって大きく変わることが想定される上、背景や光源状況によってはターゲットを画像的に認識することが困難となる場合もあり、又は、本来のターゲットではない他の物体をターゲットと誤認識することも考えられる。特に移動体等が自動走行する場合のように誤りが許されない状況においては、これらのご認識等を防止するためには使用環境を含めた大がかりな工夫が必要であると考えられている。
【0007】
(c)電波を用いる方法
電波による方法は、複数のアンテナ(発信源)による方式や、その他種々の方法が知られている。しかし、一般的に高い位置精度は望めない場合が多い。一般に、用いる電波の波長は光に比べてかなり長く、分解能が低いからである。
【0008】
(d)固定パターンを予め設ける方法
固定パターンを床等に貼り付ける方式は、自動走行向けに工場内等で多く用いられている方式である。基本的には走行路の制御が主目的であって、自己位置検出をするには領域全面に細かなメッシュで磁気パターン等を設置する必要があり、コスト面では現実的でない。
【0009】
以上述べたような自己位置検知技術は、例えばGPSなどを用いて自動車が自己の位置を知る等の手段(カーナビゲーションシステム)に活用されている。また、その他の工場や危険区域などで、車両を自動走行させる場合に用いる等の各種の応用も数多く知られている。すなわち、確実性、環境対応性、装置のコスト、また特に、走行路の変更や、手動操縦との切り替え性といった柔軟性が必要であると考えられている。
【0010】
先行特許文献の例
例えば、下記特許文献1には、光を受光したCCD上の位置から、自己の位置を求める技術が開示されている。
【0011】
また、下記特許文献2には、光を反射部材に向けて発し、反射してきた光を受光することによって、自己位置を検出する自律作業車が開示されている。
【0012】
また、下記特許文献3には、座標情報と方向情報とを表示する表示部材を用いて、自己の位置・姿勢を検出する技術が開示されている。この特許文献3の記載によれば、カメラを用いて前記表示部材を撮影し、画像を得る。そして、この画像中の表示部材の大きさ・傾きから、自己の向きと距離とが判明するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−0147764号公報
【特許文献2】特開2003−302469号公報
【特許文献3】特開2001−118187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、検知位置精度が高く、自己の姿勢も検知可能な技術であって、簡易に実現可能な技術を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明の他の目的は、安価で、また自動走行等の応用においても柔軟性の高い自己位置検知技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ところで、本願出願人は、すでに色彩変化によるID検知と発光点の位置を検知する手段を発明し、特願2008−212973を出願している。該出願によれば、CCD等のエリアセンサを用いた光学系に結像する色彩変化パターンを、上記CCDで得られる画像を解析することによって、その色彩変化パターンの位置と、色彩変化パターンの担持するデータを読み取ることが出来る。
【0017】
また、上記「色彩変化パターン」が移動しても、認識データを保持したままこれを追尾することができる。そこで先に述べた自己位置検知において、この色彩変化パターンを用いた技術を応用することで、簡易な構成で、精度の高い自己位置検出方式を実現することができると本願発明者は考えたのである。
【0018】
特に、この技術は、従来にはなかった高い柔軟性を備え、応用分野が非常に広くなる可能性を秘めていると本願発明者は考えている。
【0019】
このような考えの下、本願発明者らがなした発明の構成は具体的には以下の通りである。
【0020】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、所定の移動フィールド内を移動する移動体の位置及び/又は向きを検知するシステムにおいて、前記移動フィールド内に配置され、それぞれ相異なるデータを表す色彩変化パターンで発光する複数の色彩変化発光体と、前記移動体に設置され、前記色彩変化発光体をキャプチャする単数もしくは複数のキャプチャカメラと、前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の像の画像上の位置を検出する検出手段と、前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の色彩変化パターンをデコードし、それが表す前記データを得るデコード手段と、前記検出手段が検出した前記位置と、前記でコード手段が得た前記データと、に基づき、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを算出するキャプチャカメラ位置情報算出手段と、を含み、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを、前記移動体の位置及び/又は向きと見なして前記移動体の位置及び/又は向きを出力する移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0021】
(2)また、本発明は、上記(1)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムを利用した移動体制御システムにおいて、前記キャプチャカメラは前記移動体に設置され、上記算出されたキャプチャカメラの位置情報により前記移動体の動作を制御する制御手段、を含むことを特徴とする移動体制御システム。
【0022】
(3)また、本発明は、上記(2)記載の移動体制御システムにおいて、前記キャプチャカメラは、前記移動体に対して位置関係が可変に装着されており、前記移動体と前記キャプチャカメラとの相対位置関係を検知するキャプチャカメラアライメント検知手段と、前記キャプチャカメラアライメント検知手段が検知した前記相対位置関係に基づき、前記キャプチャカメラの位置情報を、前記移動体の位置に換算する移動体位置算出手段と、を含む移動体位置・姿勢検出装置。ここで、前記位置は平面及び/又は高さ方向の位置を表し、前記姿勢は3次元空間中の各軸(縦軸、横軸、奥行き軸)を中心とした回転方向の位置を表すことを特徴とする移動体制御システムである。
【0023】
(4)また、本発明は、上記(1)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記キャプチャカメラは、複数の光学的仕様状態を取り得るズーム手段と、キャプチャ時の前記光学的仕様を検知するレンズ仕様フィードバック手段と、を含み、 前記キャプチャカメラ位置情報算出手段は、前記検知した前記光学的仕様に基づき前記キャプチャカメラの位置情報を算出することを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0024】
(5)また、本発明は、上記(2)又は(3)に記載の移動体制御システムにおいて、前記キャプチャカメラは、複数の光学的仕様状態を取り得るズーム手段と、キャプチャ時の前記光学的仕様を検知するレンズ仕様フィードバック手段と、を含み、 前記キャプチャカメラ位置情報算出手段は、前記検知した前記光学的仕様に基づき前記キャプチャカメラの位置情報を算出することを特徴とする移動体制御システムである。
【0025】
(6)また、本発明は、上記(1)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記色彩変化発光体は、複数の発光体と、該複数発光体を制御する色彩変化制御手段と、を有し、前記複数の発光体は、それぞれ発光する色彩が異なることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0026】
(7)また、本発明は、上記(2)又は(3)記載の移動体制御システムにおいて、前記色彩変化発光体は、複数の発光体と、該複数発光体を制御する色彩変化制御手段と、を有し、前記複数の発光体は、それぞれ発光する色彩が異なることを特徴とする移動体制御システムである。
【0027】
(8)また、本発明は、上記(6)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記色彩変化発光体の近傍に備えられた、周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度を検知する手段、を含むことを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0028】
(9)また、本発明は、上記(7)記載の移動体制御システムにおいて、前記色彩変化発光体の近傍に備えられた、周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度を検知する手段、を含むことを特徴とする移動体制御システムである。
【0029】
(10)また、本発明は、上記(8)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記色彩変化制御手段は、前記検知した周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度によって、発光輝度もしくは各色彩毎の発光輝度を変化させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0030】
(11)また、本発明は、上記(9)記載の移動体制御システムにおいて、前記色彩変化制御手段は、前記検知した周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度によって、発光輝度もしくは各色彩毎の発光輝度を変化させることを特徴とする移動体制御システムである。
【0031】
(12)また、本発明は、上記(6)、(8)、又は(10)のいずれか1項に記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記色彩変化発光体の近傍に設けられた環境の情報を検知する手段、を備え、前記色彩変化発光手段の前記色彩変化制御手段は、前記検知した環境の情報を表す色彩変化パターンを、前記複数の発光体に発光させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0032】
(13)また、本発明は、上記(7)、(9)、又は(11)のいずれか1項に記載の移動体制御システムにおいて、前記色彩変化発光体の近傍に設けられた環境の情報を検知する手段、を備え、前記色彩変化発光手段の前記色彩変化制御手段は、前記検知した環境の情報を表す色彩変化パターンを、前記複数の発光体に発光させることを特徴とする移動体制御システムである。
【0033】
(14)また、本発明は、上記(12)記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記環境検知手段は、温度センサー、湿度センサー、気圧センサー、照度センサー、傾斜センサー、放射能センサー、振動センサー、人感センサー、障害物センサー、土壌温度センサー、土壌湿度センサー、土壌PHセンサーのいずれか1種以上のセンサーを含むことを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0034】
(15)また、本発明は、上記(13)記載の移動体制御システムにおいて、前記環境検知手段は、温度センサー、湿度センサー、気圧センサー、照度センサー、傾斜センサー、放射能センサー、振動センサー、人感センサー、障害物センサー、土壌温度センサー、土壌湿度センサー、土壌PHセンサーのいずれか1種以上のセンサーを含むことを特徴とする移動体制御システムである。
【0035】
(16)また、本発明は、上記(6)、(8)、(10)、(12)、(14)のいずれか1項に記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、前記色彩変化発光体は、前記色彩変化発光体が前記キャプチャカメラの有効域内であるか否かを検知するキャプチャカメラ有効域検知手段、を含み、前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内であると判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体に発光を行わせ、前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内ではないと判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体の発光を停止させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システムである。
【0036】
(17)また、本発明は、上記(7)、(9)、(11)、(13)、(15)のいずれか1項に記載の移動体制御システムにおいて、前記色彩変化発光体は、前記色彩変化発光体が前記キャプチャカメラの有効域内であるか否かを検知するキャプチャカメラ有効域検知手段、を含み、前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内であると判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体に発光を行わせ、前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内ではないと判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体の発光を停止させることを特徴とする移動体制御システムである。
【0037】
(18)また、本発明は、上記課題を解決するために、所定のフィールド内に配置された観測体の位置及び/又は向きを検知するシステムにおいて、前記フィールド内に配置され、それぞれ相異なるデータを表す色彩変化パターンで発光する複数の色彩変化発光体と、前記観測体に設置され、前記色彩変化発光体をキャプチャする単数もしくは複数のキャプチャカメラと、前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の像の画像上の位置を検出する検出手段と、前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の色彩変化パターンをデコードし、それが表す前記データを得るデコード手段と、前記検出手段が検出した前記位置と、前記でコード手段が得た前記データと、に基づき、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを算出するキャプチャカメラ位置情報算出手段と、を含み、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを、前記観測体の位置及び/又は向きと見なして前記観測体の位置及び/又は向きを出力する観測体位置及び/又は向き検知システムである。
【発明の効果】
【0038】
以上述べたように、本発明によれば、移動体の位置、及び/又は、向きを従来より簡易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】自己位置検出システムの使用態様を表す説明図である。
【図2】図1のシステムを上方から見た平面図であり、中央に移動体10が位置する。
【図3】エリアセンサカメラ12の画面の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。
【0041】
1.位置・向きの検出
まず、図1には、本実施の形態にかかる自己位置検出システムを用いて自動走行を行わせた場合の概念図が示されている。
【0042】
この図1において、移動体10には、エリアセンサカメラ12が搭載され、かつ移動体10とエリアセンサカメラ12の位置関係(相対位置、角度等)は固定されて、かつ既知であるものとする。
【0043】
なお、このエリアセンサカメラ12はビデオカメラであり、動画を撮影することができる。もちろん、この動画は、静止画の集合である。つまり、エリアセンサカメラ12は、静止画をもキャプチャすることができるカメラである。したがって、請求の範囲における「画像」とは、静止画だけでなく、動画も含む概念である。
【0044】
このエリアセンサカメラ12は、請求の範囲のキャプチャカメラの好適な一例に相当する。
【0045】
一方、移動体10が移動可能な場を移動フィールド20と呼ぶ。この移動フィールド20内の適当な位置に、少なくとも2つ以上の色彩変化発光体30が固定装備されており、かつその位置関係は既知であるものものとする。図1においては、7個の色彩変化発光体30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gが備えられている例が示されている。
【0046】
そして、この色彩変化発光体30は、各発光体毎に個別の色彩変化パターンで発光している。この個別の色彩変化発光パターンが表すデータを色彩変化発光データと呼ぶ。
【0047】
例えば、色彩変化発光体30aの色彩変化パターンは、0.1秒毎にR→G→B→R→G→Bと色彩が変化しながら発光するパターンである。そして、例えばこのR→G→B→Rというパターンが「000」というデータを表す。
【0048】
同様に、色彩変化発光体30bの色彩変化パターンは、0.1秒毎にR→B→G→R→B→Gと色彩が変化しながら発光するパターンである。そして、例えばこのR→B→G→Rというパターンが「111」というデータを表すのである。
【0049】
以下、同様にして、各色彩変化発光体30が独自の発光パターンで発光している。
【0050】
なお、ここでは、R→G G→B B→R という変化でデータの「0」を表し、R→B B→G G→R という変化でデータの「1」を表している。これに限られず、色彩の変化でデータを表す方式は種々のものが利用可能である。
【0051】
さて、このとき、移動体10のエリアセンサカメラ12が撮影する画像には、常に、複数の色彩変化発光体30がキャプチャされるように設定されている。このような設定自体は、その移動フィールド20内に十分「密」に色彩変化発光体30を配置することによって容易に実現できる。また、移動体10の移動ルートが決まっている場合は、そのルートから常に複数の色彩変化発光体30が撮影できるように移動ルートに沿わせて色彩変化発光体30を配置することによって容易に、常に複数の色彩変化発光体30がキャプチャされるように設定することができる。
【0052】
さて、本実施の形態では、同時に撮影しているこれら色彩変化発光体30が発する色彩変化発光データが当該光像位置とリンクして認識されている。この様子が図2及び図3に示されている。まず、図2は、図1の概念図を上方から見た図であり、中央に移動体10が配置されている図である。
【0053】
すでに述べたように複数の色彩変化発光体30はその位置関係が既知であるものとする。また移動体10とエリアセンサカメラ12の関係も(移動体と光軸方向等)既知であるものとする。このときエリアセンサカメラ12を中心として、エリアセンサカメラ12の視野に入っている色彩変化発光体30aと30bとのなす角度θは、
θ=θa+θb
である。ここで、θaは、エリアセンサカメラ12の光軸と、色彩変化発光体30aのなす角度であり、θbは、エリアセンサカメラ12の光軸と、色彩変化発光体30bのなす角度である(図2参照)。
【0054】
一方、θa、及びθbは、エリアセンサカメラ12の画面上から求めることが可能である。その様子が図3に示されている。図3は、エリアセンサカメラ12の画面の様子を示す概念図であり、当然のことながら、中心がエリアセンサカメラ12の光軸の位置であり、中心から外れるに従って、中央から外部方向への位置に対応する。図3に示す例では、色彩変化発光体30aが中心からxaだけずれて観測されている。また、色彩変化発光体30bが中心からxbだけすれて観測されている。容易に理解できるように、この距離xaはθaとほぼ比例する一定の関係にあり、xaからθaを知ることが可能である。同様に、この距離xbはθbとほぼ比例する一定の関係にあり、xbからθbを知ることが同様に可能である。
【0055】
これらの観測・測定は、従来からいわゆる画像処理技術を用いて行われてきたので、本実施の形態でも従来と同様にして画像上の位置を求めればよい。このような動作を行う手段としては、画像データを取り扱うプログラムと、このプログラムを実行するコンピュータと、から構成することが好ましい。また、画像データを保持する記憶手段として、ハードディスクや半導体記憶装置を用いることが好ましい。これらの手段は従来から広く知られており、当業者であれば容易に実施可能である。
【0056】
例えば、色彩変化発光体30は、色彩が変化している領域として認識され、一般には1画素ではなく複数個の画素の「領域」として認識されることが多い。そして、この領域の重心(の画素の座標)と、画像の中心(の座標)との距離を求めればxa、xb等を算出することができる。これらの動作を行うプログラムは広く知られている。もちろん、その「領域」が1画素の場合は、その画素の座標と、画像の中心座標との距離を求めればよい。
【0057】
このように、エリアセンサカメラ12が備えられた移動体10には、エリアセンサカメラ12の画像を処理し、画像上の位置を検出する手段が設けられている。例えば、マイコン等のコンピュータによりこの手段は実現されることが好ましい。
【0058】
さらに、この移動体10には、画像上の上記色彩変化発光体30の領域の色彩変化パターンをデコードし、それが表すデータを得る手段が備えられている。このようなパターンをデコードする手段も、上述したコンピュータとそれが実行するプログラムから構成されることが好ましい。色彩の変化パターン(R→G→B等)から、原データを復元することは、復元の規則が予め決められているのでコンピュータ等で行うことが可能である。
【0059】
既に述べたように、図3において、中心からxaだけずれて観測されているのは色彩変化発光体30aである、と判別できたのは、その色彩変化発光体30aの発光パターンによる。その発光パターンがデータ「000」を表しているので、その画面上の発光体が色彩変化発光体30aであると判断できたものである。これが、上述した「光像位置」と色彩変化発光データとがリンクしているという意味である。色彩変化発光体30bについても同様である。
【0060】
つまり、
中心からxaだけ左にずれた位置 : 色彩変化発光データ「000」
→色彩変化発光体30aである。
【0061】
中心からxbだけ右にずれた位置 : 色彩変化発光データ「111」
→色彩変化発光体30bである。
【0062】
のように対応付けられているのである。
【0063】
このような対応付けもコンピュータとその実行するプログラムと、対応付けされた上記結果のデータを格納するメモリ手段とから構成することが好ましい。メモリ手段は、ハードディスクや半導体記憶装置など、従来から知られている種々の記憶手段を用いることが可能である。
【0064】
なお、上記「光像」の位置は、「中心からxaだけ左にずれた位置」という表現の代わりに、画面のxy座標等、他の座標系で表現することも好適である。これら位置の情報も、コンピュータが上記メモリ手段に格納する。
【0065】
本実施の形態ではこのようにして、画面上の発光体の位置(中心から左にxa,中心から右にxb)からθa,θbが分かるのでこれらを加算してθを求めることができる。なお、エリアセンサカメラ12の光学倍率等の仕様は既知で変わらないものとしている。一方、色彩変化発光体30a、30bの位置は既知なので、エリアセンサカメラ12の位置及び光軸の方向を計算で求めることが出来る。
【0066】
このような計算を行い、位置・向きを求める手段も、上述したように、移動体10に備えられたコンピュータとそれが実行するプログラムとから構成することが好ましい。
【0067】
なお、本実施の形態では、コンピュータを移動体10が内蔵する例を主として説明するが、複数の移動体10を集中して管理する等の用途においては、通信手段を用いて画像データを外部に送信し、計算処理は移動体10の外部のコンピュータで集中して行うことも好適である。
【0068】
さて、このようにして、本実施の形態では、色彩変化発光体30a、30bの間の角度がθであるような平面上の位置は、明らかに計算で求めることができ、θa,θbから、平面上の向きも算出できることは明らかである。例えばθaが0であれば、明らかに色彩変化発光体30aの方向を向いていることになり、、θa=θbであれば、明らかに色彩変化発光体30aと色彩変化発光体30bとのちょうど中間の方向を向いていることは明らかである。
【0069】
このようにして、エリアセンサカメラ12の移動フィールド20上の位置・向きを求めることができる。言い換えれば、これは平面上の位置・向きである。一方、高さ方向の位置も原理的には求めることができるが、これについては次節で説明する。
【0070】
さて、上記複数の色彩変化発光体30が、その配置位置によってそれぞれ異なるデータで発光しているものとする。すると、上記キャプチャ画像中の複数の光像は、異なるデータをあらわすことになる。例えば、「000」、「001」、「010」、「011」・・・等である。
【0071】
以上述べたように、複数の色彩変化発光体30の配置位置とあらわすデータ(発光パターン)が既知であれば、エリアセンサカメラ12の撮影画像から、該エリアセンサカメラ12の位置と姿勢(向き)を算出することが出来る。
【0072】
このようなエリアセンサカメラ12の位置の姿勢(向き)を算出することは、一般的なマイコン等のコンピュータで容易に実現することができる。そして、そのようなコンピュータは、請求の範囲のキャプチャカメラ位置情報算出手段の好適な一例に相当する。
【0073】
ところで、上で述べた既知の値は、上述したコンピュータに備えられているメモリ手段(ハードディスク、フラッシュメモリ等)内に予め格納しておくことが好ましい。このように予めメモリ手段内に格納しておくことによって、コンピュータはこれら既知の値を利用して上述した計算を行うことができる。
【0074】
ここで、エリアセンサカメラ12と移動体10の位置・向きをと実質的に同じと定めておけば、結局は移動体10の位置と向きとを算出することが可能である。なお、エリアセンサカメラ12と移動体10の位置や向きがずれている場合は、その分ずらして位置や向きを算出すれば移動体10の位置を向きを計算可能である。
【0075】
本実施の形態1で述べたようなシステムにおいては、エリアセンサカメラ12の視野が性能や使い勝手に大きな影響を及ぼすと考えられる。視野が広ければ、容易に複数の色彩変化発光体30を撮影できる可能性が高くなるが、視野が狭ければ、複数の色彩変化発光体30を撮影できるように、色彩変化発光体30をより密に配置する必要が生じ、必要な色彩変化発光体30の個数が増えてしまう可能性がある。
【0076】
また、障害物も性能に大きな影響を与える。障害物の陰に隠れて色彩変化発光体30の撮影ができなくなる事態も想定されるからである。この場合は、陰になる場合をなるべく減らすように、多数の色彩変化発光体30を適当な位置に数多く配置することで、死角なく位置を検知することが可能となると考えられる。
【0077】
また、エリアセンサカメラ12の視野を大きくすればするほど、撮影対象物の画面上での大きさが小さくなり、色彩変化発光体30が非常に遠方にある場合、その検出が困難になる可能性が増す。ただし、後述するように、本実施の形態では、色彩変化発光体30をその発光パターンで識別しており、形状で識別しているわけではない。したがって、少々遠方にあり、点画像となっても色彩変化パターンが検出される限りその色彩変化発光体30を認識することが可能である。したがって、従来の形状認識による位置・向きの検出技術に比べて劣悪な環境下でも自己の位置や向きを検出可能であるという特徴を有する。
【0078】
ただし、あまりに遠方であると、画像の背景中に埋もれてしまいノイズレベルとなってしまうことも想定されるので、色彩変化発光体30を比較的密に配置することによって、常にある程度近距離に色彩変化発光体30が位置するように配置することが可能になると考えられる。
【0079】
さて、以上述べたようにして得られた移動体の位置・向きに基づき、「移動体の動作」を制御することが好ましい。移動体の動作の一例としては、移動動作が挙げられよう。このような制御の結果、自律走行が可能な移動体10を構成することができ、監視や検査等を自動で行わせるような用途に有用である。このような制御を実現するためには、得られた位置・向きから、次に移動体10がどちらに向かえばよいかを判断する手段が必要であるが、そのような手段は従来の自律走行車両等で広く用いられているので、それをそのまま用いればよい。例えば、そのような手段は、上述したようなコンピュータで構成され、上述したメモリ手段内に移動フィールド20の地図が格納されていることが好ましい。そして、自己の地図上の位置・向きから、進行方向等を決めるのである。当業者であれば、そのようなプログラム及びコンピュータを従来から知られているので、構成することは容易である。
【0080】
なお、位置や向きを操作者が見て、操作者が手動で遠隔操作で移動体10を移動させることも好適である。
【0081】
さらに、上記「移動体の動作」の他の例としては、カメラの制御や、移動体の行う作業の制御、等を想定することが可能である。位置・向きに応じて、カメラの向きやズームや露出等を制御することが好ましい。また、移動体は本来のなすべき業務が当然あるので、位置・向き等に応じてその業務を制御することが妥当である。
【0082】
2.高さ方向の情報の検出
また、画面の上では色彩変化発光体30の像の高さ方向の位置も知ることが出来る。
【0083】
まず、図1に示すように、エリアセンサカメラ12の光軸の高さをhで表し、色彩変化発光体30の実際の高さをそれぞれha、hbと表す。これらの値は既知であるとする。高さとは、その場所の床からの高さであり、一般的には地上高と考えて良い。
【0084】
これら既知の値も上述したように、予め移動体10内のコンピュータに備えられているメモリ手段に格納しておくことが好ましい。
【0085】
一方、画面上では、色彩変化発光体30a、30bの画面上の高さya,ybが得られる(図3参照)。そして、このya,ybからエリアセンサカメラ12の光軸の高さ、前後の傾き(上下の傾き)、左右の傾きを計算で求めることが出来る。
【0086】
その原理を簡単に述べれば以下の通りである。
【0087】
(1)まず、光軸の高さは、色彩変化発光体30aの実際の高さhaとの差を求めることによって算出できる。その差は、画面上ではyaである。このyaが実際にどの程度の長さであるかは、色彩変化発光体30aまでの距離がわかれば求めることができる。
【0088】
ところで、上述した第1節において、エリアセンサカメラ12の位置・向きを求めており、かつ、各色彩変化発光体30の位置が既知なので、エリアセンサカメラ12と色彩変化発光体30aとの距離を求めることができる。したがって、この距離から、画面上のyaが実際にはどの程度の長さであるかを知ることができ、その長さを色彩変化発光体30aの高さhaに加算すれば、エリアセンサカメラ12の光軸の高さを求めることができる。
【0089】
これらの計算も、これまで述べてきたのと同様に、移動体10が備えるコンピュータが実行することが好ましい。
【0090】
(2)次に、光軸の前後の傾き(上下方向の傾き)は、色彩変化発光体30aと、色彩変化発光体30bとの画面上の高さya、ybから求められる。光軸の傾きが0であれば、yaとybから求められた高さは同一となるはずである。しかし、エリアセンサカメラ12が上に向いていれば、図3のyaとybはその分大きな値となる。したがって、yaとybとからある一定値を引いて、それらから求めた高さが一致すれば、その一定値はエリアセンサカメラ12が傾いていたことによるものである。したがって、その一定値から、エリアセンサカメラ12の上下方向の傾きを求めることができる。
【0091】
これらの計算も、これまで述べてきたのと同様に、移動体10が備えるコンピュータが実行することが好ましい。
【0092】
(3)光軸の左右の傾きも、前後の傾きと同様に色彩変化発光体30aと、色彩変化発光体30bとの画面上の高さya、ybから求められる。光軸の左右の傾きが0であれば、yaとybから求められた高さは同一となるはずである。しかし、エリアセンサカメラ12が右に傾いていれば、図3のyaはその分大きな値となり、一方、ybはその分小さな値となることは明らかである。したがって、yaからはある一定値を引いて、ybからはその一定値を加算し、それらの値を用いて求めた高さが一致すれば、その一定値はエリアセンサカメラ12が右(又は左)に傾いていたことによるものである。したがって、その一定値から、エリアセンサカメラ12の左右の傾きを求めることができる。これらの計算も、これまで述べてきたのと同様に、移動体10が備えるコンピュータが実行することが好ましい。
【0093】
3.エリアセンサカメラと移動体との位置関係
以上述べた算出手法は、エリアセンサカメラ12と色彩変化発光体30の位置関係が判明すれば適用することが出来る。ここでは、エリアセンサカメラ12の光軸の傾き等を求めたが、移動体10とエリアセンサカメラ12との「位置関係」が予め判明していれば、上記傾き等を、移動体10の傾き等に換算することは容易である。
【0094】
この換算動作は、簡単な計算であり、マイコン等のコンピュータで容易に実現することができる。この場合、位置関係は予めコンピュータに備えられているメモリ手段に格納しておくことが好ましい。予め格納しておくことによって、コンピュータはその値を用いて上記換算を容易に行うことが可能である。このようなコンピュータは、請求の範囲の移動体位置算出手段の好適な一例に相当する。
【0095】
簡単な用途では、移動体10とエリアセンサカメラ12との位置関係は固定しておくことが好ましい。そうすれば、上述した「位置関係」は常に一定である。
【0096】
一方、多少複雑な用途では、エリアセンサカメラ12が上下左右に角度を変えたり、上下左右に移動することが可能に構成した方が好ましい場合もある。この場合は、移動体10との位置関係を逐一検知する手段を設ける必要がある。この手段によって、エリアセンサカメラ12と移動体10の位置関係が判明していれば、上述したように、移動体10の傾き等を検出することができ、また、移動体10の位置や向きも同様に求めることが可能である。
【0097】
なお、このような位置関係を検出する手段は、エリアセンサカメラ12の角度を変化させる手段に付随したセンサを用いることが好ましい。一般にはエリアセンサカメラの向き等は、サーボモータ等で調節するが、このサーボモータにロータリエンコーダ等のセンサを取り付け、どの程度角度が変化したかを検知することが好ましい。なお、サーボモータによってはそのようなセンサが内蔵されている場合もある。また、使用するサーボモータへの制御信号から、どの程度回転したかを推測して知るような仕組みを採用することも好適である。例えば、ステッピングモータ等を利用する場合は、そのステッピングモータに供給したパルス数等から回転量を知ることも好適である。
【0098】
このような位置関係を検出する手段は、請求の範囲のキャプチャカメラアライメント検出手段の好適な一例に相当する。
【0099】
また、エリアセンサカメラ12の移動についても同様のサーボモータを利用する場合が多く、同様にロータリエンコーダを用いたり、またリニアエンコーダを用いることも好適である。移動量や回転量を知る手段は従来から数多く知られているから、知られている手段の中から適宜好ましい手段を採用することが妥当である。これらエンコーダ等は上述したように、請求の範囲のキャプチャカメラアライメント検出手段の好適な一例に相当する。
【0100】
このような種々の手段を用いれば、エリアセンサカメラ12をある程度自由に回転させたり、また移動させることも可能である。
【0101】
このことは、エリアセンサカメラ12の視野角が狭い場合や、配置されている色彩変化発光体30の個数が少ない場合、であっても、移動体10の位置・向きや傾き等を知ることができる可能性があることを意味している。
【0102】
すなわち、視野角が狭い等の理由で、十分な数の色彩変化発光体30が同時に視野に入らない場合でも、エリアセンサカメラ12のパンニング等の動作によって色彩変化発光体30を探し出させることも可能である。この結果、色彩変化発光体30の個数が少ない場合でも、複数の色彩変化発光体30を撮影することができ、これによって複数個の色彩変化発光体30に対する角度関係を計測することができ、移動体10の位置・向きを算出することが出来るのである。
【0103】
4.エリアセンサカメラのズーム機能
これまで、エリアセンサカメラ12の光学系は固定焦点距離を前提として説明してきたが、エリアセンサカメラ12の光学系にいわゆるズーム機能を持たせることも好適である。ただし、ズーム倍率は、上述した位置・向き等の算出の前提条件となるので、何らかの手段でズーム倍率(焦点距離)を検知する必要がある。一般には、ズーム機能を駆動するサーボモータに上述したエンコーダを設けて、どのような倍率になったのかを検知することが好適であるが、その他従来から知られている種々の手段を用いることが可能である。
【0104】
このようなサーボモータ等は、請求の範囲のズーム手段の好適な一例に相当する。その他、光学系を駆動する手段としては、超音波モータ等のリング状モータも知られており、ズーム手段の好適な一例に相当する。
【0105】
また、ズーム倍率を検知する上記エンコーダ等は、請求の範囲のレンズ仕様フィードバック手の好適な一例に相当する。
【0106】
さて、このようにズーム機能を採用する場合、光学系をより広角にすると、視野が広くなるので、設置されている色彩変化発光体30が少数であっても、複数の色彩変化発光体30を同時に視野に入れ易くなるというメリットが生じる。この結果、より少ない色彩変化発光体30を用いつつ、常時、位置検出をすることが可能となる。これは、機器の設置作業の量が減るので、検知作業がより簡易になるものと考えられる。但し、色彩変化発光体30との角度に対する画像上の位置の動きは小さくなるので、位置検知精度は劣化する。
【0107】
一方、光学系をより望遠にした場合は、上記広角とは逆に、色彩変化発光体30を視野に入れる作業の繁雑性は増してしまう。しかし、広角の場合とは逆に、色彩変化発光体30の位置の差に対する画面上の変化量が大きくなるので、位置検知精度は向上する。
【0108】
そこで、運用の方法として、たとえば通常は、光学系を広角側に設定して移動体10の位置を検知して自動走行を行い、実際にその場で細かい作業を行う場合であって正確な位置を検知しなければならない場合に、必要に応じて光学系を望遠にズームして、正確な位置の調整を行う、のような運用方法が考えられる。
【0109】
5.複数のエリアセンサカメラ
上記4節では、エリアセンサカメラ12がズーム機能を備えている場合について説明したが、もちろん、移動体10に複数のエリアセンサカメラ12を設置することも好適である。そしてその複数のエリアセンサカメラ12は、向きを変えたり、光学系の視野角を変更させておく等が自由に行うことができる。
【0110】
互いに様々な向きを設定し、より広い場所を見ることができるようにすることも好適である。また、一方のエリアセンサカメラ12で広い範囲を見て、他方のエリアセンサカメラ12で狭い範囲を拡大してみることも好適である。
【0111】
6.柔軟性
本実施の形態で説明してきたように、本方式は上記関係が計算できる範囲においては(これを本実施の形態では移動フィールド20と呼ぶ)どこであっても自己位置を検知することが出来る。
【0112】
また、色彩変化発光検出の特徴から、背景(カメラ視野)内の他のパターンやノイズの影響を受けにくいという特徴を有する。単純な色彩であれば、同じような色彩は背景に現れる可能性があるが、本実施の形態では所定の順番で色彩が変化している色彩変化パターンを利用しており、このような色彩が一定のパターンで変化するという形態は一般にはほとんど存在していないからである。
【0113】
さらに、本実施の形態によるエリアセンサカメラ12の認識は、「形状」の認識ではなく、発光体の発光パターンの認識である。したがって、視野における発光体像の大きさは直接には読み取りには影響がない。つまり、発光体像が小さくなっても読取りが可能である。
【0114】
一方、発光体像が大きい場合には、その像の重心位置を見ること等によって、様々な条件下でも認識・読み取りが可能であるという特徴を有している。この条件とは、発光体と自己との距離や、あるいは像ボケ、距離といった条件である。
【0115】
本実施の形態において提案する方式によれば、これら距離や像ボケ等に強く、これらの条件に対して柔軟であるといえる。
【0116】
また、色彩変化パターン(が表すデータ)で、それぞれの色彩変化発光体30を識別しているので、色彩変化発光体30が増えても、柔軟に対応することができる。つまり、パターンを増やせば、100個でも200個でも色彩変化発光体30を増やすことが容易である。これに対して、形状認識では、100種類や200種類の形状認識を行うことは一般には困難であり、また所定のバーコードや文字で識別することも考えられるが、遠距離の場合は、識別が困難になりがちである。遠距離を考慮して巨大なマークにすれば、かさばって移動体10の走行の邪魔になりがちである。
【0117】
このように、本実施の形態によれば、従来の技術に比べて、使用できる範囲が広いシステムを構築することができ、狭い移動フィールド20でも広い移動フィールド20でも柔軟に対応することができ、また、色彩変化発光体30を容易に増やすことが可能である。言い換えれば、スケーラビリティに富んでいると言える。
【0118】
全方位カメラ
また、360°全方位から発光体を認識するようにすることも可能である。そのようないわゆる全方位カメラを用いても良いし、複数のカメラを配置して全周を撮影するように構成しても良い。
【0119】
ところで、形状認識によって、対象物が何であるのかを認識する技術においては、形状の歪みが大敵である。そのため、浅い角度による形状の歪みがしばしば問題となる。浅い角度とは、カメラの視野の周辺部位における対象物の歪み等が生じるような角度のことを言う。これに対して、本実施の形態では、形状ではなく、色彩の発光パターンで認識を行っているので、方位に対しても柔軟であり、形状が歪んでしまうような角度・方位でも対象物の認識を行うことが可能である。その結果、形状認識の技術を用いる場合に比べて、自己の位置・向きを認識できる可能性を増すことができる。
【0120】
従って、たとえば工場内の自動走行といった応用において、走行経路を変更する、あるいは途中で手動操作等で走行経路からはずれた場合においても、容易に修正可能である。つまり、色彩変化発光体30を撮影できる限り、どのような場所でも自己の位置・向きを検出できるからである。
【0121】
また、新たに自動走行システムを設定・構築する場合、レイアウトの変更等で色彩変化発光体30の位置を変更する必要があった場合においても、設置する「位置」が正確に判明している限り、どこに設置してもその位置は自由である。したがって、容易に自動走行システムを構築できる。
【0122】
7.情報通信
ところで「色彩変化発光体30」はデータを送る手段でもある。上述した用途では、それぞれのID(発光体30a,30b等を表すデータ)をデータとして送り出しているといえるが、これらIDと同時に「移動体」の制御に有用な別データを送ることももちろん可能である。
【0123】
特に、その色彩変化発光体30に特有の要素・パラメータであれば、発光データに載せて送ることで他の通信手段の簡略化等をはかることが出来る。
【0124】
たとえば、
・色彩変化発光体30部分の温度、湿度、気圧を送ることによって、自動農業作業において、作業手順や作業範囲を修正させることができると考えられる。
【0125】
・色彩変化発光体30部分の傾斜変化を送ることによって、地盤の危険察知を行うことが可能となる。また、土壌温度センサー、土壌湿度センサー、土壌PHセンサーの情報を送っても、同様に、危険察知を行うことが可能である。また、農業に役立てることも可能である。
【0126】
・色彩変化発光体30部分の照度を送ることによって、自動農業作業等への応用が考えられる。
【0127】
・色彩変化発光体30付近の障害物センサー情報を送ることによって、作業危険の察知を行うことが考えられる。
【0128】
・色彩変化発光体30部分の人感センサー情報、振動センサー情報、放射能センサー情報等を送ることによって、危険の察知を行うことができる。
【0129】
さらには、
・色彩変化発光体30の位置情報もしくは位置修正情報を送ることによって、発光体IDの省略等を行うことができる。
【0130】
これらのような用途に本システムを応用することができ、その効果・効用として上記のような事項が想定される。
【0131】
なお、ここで述べた、温度、湿度等を計測するセンサー類は、請求の範囲の、環境の情報を検知する手段の好適な一例に相当する。
【0132】
8.発光光量の最適化
以上述べたように、本実施の形態においては色彩変化発光体30が重要な構成の一つである。この色彩変化発光体30としては、LED等の発光体を組合せて実現することが現実的に好適である。そして、マイコン等の制御手段を用いて、所定の色彩変化パターンでLEDを発光させるのである。
【0133】
この場合、LED等は、請求の範囲の発光体の好適な一例に相当する。また、制御手段は、請求の範囲の色彩変化制御手段の好適な一例に相当する。
【0134】
なお、色彩変化パターンは所定のメモリ手段に格納しておき、適宜書き換えられるように構成することも好適である。マイコン等の制御手段は、そのパターンをメモリ手段から読み出して、それに基づき、LED等の点灯・消灯を制御するのである。
【0135】
LEDとしては、色彩が変化できるようにいわゆるフルカラーのLEDを用いることが好適である。また、RGB各色のLEDを組み合わせて発光体を構成することも好ましい。このようにして、RGBそれぞれの光を発するLEDを近接して配置し、各LEDの発光を制御することで見かけ上、色彩が変化して発光しているよう見せることができる。RGB3色のLEDを用いていわゆるフルカラーのLEDを構成することが知られている。いわばこれと同様の原理である。
【0136】
ところで、色彩変化発光体30の設置される環境は先に述べたように屋外、屋内問わず多岐にわたり、周囲の環境光も日光下から夜間まで考えられる。ここで、エリアセンサカメラ12が撮影したキャプチャ画像中から、この色彩変化発光体30の発光パターンを見つけ出すためには、以下のことが言えよう。
【0137】
・昼間の場合(特に明るい屋外の場合)は、周囲でも確認できるほどの大光量で発光し、カメラ露光をこれに合わせておけば理論上デコード出来る。しかし、その一方、夜間では大光量発光は目立ちすぎることや電力を大量に消費してしまうことにもなりかねない。
【0138】
また、エリアセンサカメラ12が撮影したキャプチャ画像を色彩変化発光体30のデコード以外にも使用したいというケースも数多く存在すると考えられる。このような多用途向けのカメラを流用する場合は、ある程度カメラ露光を周囲光に合わせる(すなわち自動的に適正露出をおこなう)使い方も好ましいものとして考えられる。
【0139】
そのような使い方の場合、色彩変化パターンの露光が合わず、白飛び等で検出困難になる可能性が考えられる。
【0140】
つまり、
・上述したように昼間に合わせて色彩変化発光体30を大光量で発光を行わせる。
【0141】
・エリアセンサカメラ12が自動露出機能を備えており、夜間においてカメラが周囲の明るさに合わせて適切な露光をしようとする。
【0142】
という条件の下では、上記大光量によってキャプチャ画面上で色彩変化発光体30の像が白飛びしてしまう可能性が大である。
【0143】
そこで、色彩変化発光体30の周辺(又は色彩変化発光体30そのもの)に輝度センサーを設置し、周囲光に合わせて発光輝度を制御する方式が好ましい。さらには、色彩別の輝度を検知することで各色彩発光輝度を調整することも考えられるし、また好ましいことである。例えば、夕焼け時や、特殊照明環境(高速道路等のナトリウム灯など)の場合にこれは好適である。
【0144】
この場合、輝度センサーは、請求の範囲の、周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度を検知する手段の好適な一例に相当する。
【0145】
そして、この輝度センサーで得られた周囲光の状況に応じて、上述したマイコン等の制御手段が、LED等の発光体を適宜制御する。周囲が明るければより明るく制御し、周囲が暗ければ、より暗く制御する。また、上で述べたように、このような制御をこれを色彩毎に行うことが好適である。
【0146】
輝度の制御の具体例
特に、ここでいう輝度の制御は、例えば白飛びや、黒つぶれ等に効果を奏する。また例えば、色彩でデータを表現する光学式のコードにおいては、それを検出するカメラで同時に画像記録をとりたい場合等において、特に、次のような事情がある。
【0147】
つまり、周囲光に応じて自動露出が効いている場合は(一般的には自動露出が効いている)、発光が白飛びしたり黒つぶれ等を起こしてしまう可能性がある。
【0148】
一方、反射式露出計の原理で、被写体部分の入社光量を計るのが最も適正な露出値を得ることができると考えられる。そこで、色彩でデータを表すコードにその付近の照度情報を載せることによって、かかる照度情報に基づいた露出制御を行うことが考えられる。その結果、上述したような画像記録がさらに正確な露出の画像とすることが可能である。
【0149】
また、色彩変化発光体30は、常時発光させておくのではなく、エリアセンサカメラ30が近づいた場合にのみ発光させることも好適である。このためには、電波、赤外線、超音波等を利用することによって、キャプチャカメラの接近を検知するセンサーを色彩変化発光体30が備えていることが好ましい。このセンサーがエリアセンサカメラ30の接近を検知した場合にのみ、上述したRGBのLEDに所定の色彩発光パターンで発光を行わせることが好適である。例えば、エリアセンサカメラ30から所定の電波(例えばマイクロ波)を送信させ、この電波が検知するセンサーを色彩変化発光体30に備えさせて、このセンサーが上記電波を検知した場合にのみ、色彩変化パターンを発光させるように構成することも好適である。
【0150】
このように、エリアセンサカメラ30からの所定の範囲内であることを、「有効域内である」と言う。すなわち、上記エリアセンサカメラ30の接近を検知するセンサーは、請求の範囲のキャプチャカメラ有効域検知手段の好適な一例に相当する。
【0151】
このような制御によって、必要な場合にのみ発光させることができ、電力の無駄を省くことができる。
【0152】
また、一定時間で自動的に、発光をON/OFFを制御することも実用的には好適であり、電力の節約を図ることができる。
【0153】
9.変形例
(1)これまで、移動体10の位置及び向きを検知する方法、仕組みについて説明してきた。ところで、用途によっては、位置のみの検知で十分な場合もあり、また、向きのみで十分な場合もある。それらの場合は、位置のみ、又は、向きのみ、の検知動作となる。
【0154】
(2)これまで、移動体10は、自走できるものであることを中心に説明したが、自分が走行手段を備えていないものも、この移動体10に含まれる。
【0155】
例えば、携帯電話や、カーナビゲーション装置などは、自分から移動する手段は備えていない。しかし、携帯電話は人間に付随して移動を行うし、またカーナビゲーション装置は、自動車に付随して移動を行う。このようなものも、本発明で言う「移動体」に含まれるものである。
【0156】
(3)さらに、これまでは移動体10は、移動することを前提としていたが、必ずしも移動を前提としないものでもかまわないので、ここでは「移動体」の代わりに、「観測体」と呼ぶ。たとえば、測量や、AR(Augmented Reality:強化現実、拡張現実、拡張仮想現実等と訳される)における仮想と現実の画像合成等の場合は、必ずしも設置したカメラが頻繁に移動する必要はない。
【0157】
このような用途に本システムを使用することも好適であり、いわば、最初に設置した位置・向きを正確に計測するような目的にも本システムは好適である。
【0158】
このような場合は、移動フィールドではなく、単なるフィールド上に設けられる観測体についてのシステムとなる。
【0159】
また、観測体のフィールド内における設置場所が周期的(例えば、数ヶ月おき、数年おき)に変更されるような場合も、最初に設置された瞬間の位置・向きを正確に知ることができれば十分という用途にも本発明は有用である。
【符号の説明】
【0160】
10 移動体
20 移動フィールド
30 色彩変化発光体
30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g 色彩変化発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動フィールド内を移動する移動体の位置及び/又は向きを検知するシステムにおいて、
前記移動フィールド内に配置され、それぞれ相異なるデータを表す色彩変化パターンで発光する複数の色彩変化発光体と、
前記移動体に設置され、前記色彩変化発光体をキャプチャする単数もしくは複数のキャプチャカメラと、
前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の像の画像上の位置を検出する検出手段と、
前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の色彩変化パターンをデコードし、それが表す前記データを得るデコード手段と、
前記検出手段が検出した前記位置と、前記でコード手段が得た前記データと、に基づき、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを算出するキャプチャカメラ位置情報算出手段と、
を含み、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを、前記移動体の位置及び/又は向きと見なして前記移動体の位置及び/又は向きを出力する移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項2】
請求項1記載の移動体位置及び/又は向き検知システムを利用した移動体制御システムにおいて、
上記算出されたキャプチャカメラの位置情報に基づき前記移動体の動作を制御する制御手段、
を含むことを特徴とする移動体制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の移動体制御システムにおいて、
前記キャプチャカメラは、前記移動体に対して位置関係が可変に装着されており、
前記移動体と前記キャプチャカメラとの相対位置関係を検知するキャプチャカメラアライメント検知手段と、
前記キャプチャカメラアライメント検知手段が検知した前記相対位置関係に基づき、前記キャプチャカメラの位置情報を、前記移動体の位置に換算する移動体位置算出手段と、
を含む移動体位置・姿勢検出装置。ここで、前記位置は平面及び/又は高さ方向の位置を表し、前記姿勢は3次元空間中の各軸(縦軸、横軸、奥行き軸)を中心とした回転方向の位置を表すことを特徴とする移動体制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記キャプチャカメラは、
複数の光学的仕様状態を取り得るズーム手段と、
キャプチャ時の前記光学的仕様を検知するレンズ仕様フィードバック手段と、
を含み、
前記キャプチャカメラ位置情報算出手段は、前記検知した前記光学的仕様に基づき前記キャプチャカメラの位置情報を算出することを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の移動体制御システムにおいて、
前記キャプチャカメラは、
複数の光学的仕様状態を取り得るズーム手段と、
キャプチャ時の前記光学的仕様を検知するレンズ仕様フィードバック手段と、
を含み、
前記キャプチャカメラ位置情報算出手段は、前記検知した前記光学的仕様に基づき前記キャプチャカメラの位置情報を算出することを特徴とする移動体制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記色彩変化発光体は、
複数の発光体と、
該複数発光体を制御する色彩変化制御手段と、
を有し、前記複数の発光体は、それぞれ発光する色彩が異なることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項7】
請求項2又は3記載の移動体制御システムにおいて、
前記色彩変化発光体は、
複数の発光体と、
該複数発光体を制御する色彩変化制御手段と、
を有し、前記複数の発光体は、それぞれ発光する色彩が異なることを特徴とする移動体制御システム。
【請求項8】
請求項6記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記色彩変化発光体の近傍に備えられた、周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度を検知する手段、
を含むことを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項9】
請求項7記載の移動体制御システムにおいて、
前記色彩変化発光体の近傍に備えられた、周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度を検知する手段、
を含むことを特徴とする移動体制御システム。
【請求項10】
請求項8記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記色彩変化制御手段は、前記検知した周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度によって、発光輝度もしくは各色彩毎の発光輝度を変化させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項11】
請求項9記載の移動体制御システムにおいて、
前記色彩変化制御手段は、前記検知した周囲光の照度、もしくは色彩毎の照度によって、発光輝度もしくは各色彩毎の発光輝度を変化させることを特徴とする移動体制御システム。
【請求項12】
請求項6、8、又は10のいずれか1項に記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記色彩変化発光体の近傍に設けられた環境の情報を検知する手段、
を備え、
前記色彩変化発光手段の前記色彩変化制御手段は、前記検知した環境の情報を表す色彩変化パターンを、前記複数の発光体に発光させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項13】
請求項7、9、又は11のいずれか1項に記載の移動体制御システムにおいて、
前記色彩変化発光体の近傍に設けられた環境の情報を検知する手段、
を備え、
前記色彩変化発光手段の前記色彩変化制御手段は、前記検知した環境の情報を表す色彩変化パターンを、前記複数の発光体に発光させることを特徴とする移動体制御システム。
【請求項14】
請求項12記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記環境検知手段は、温度センサー、湿度センサー、気圧センサー、照度センサー、傾斜センサー、放射能センサー、振動センサー、人感センサー、障害物センサー、土壌温度センサー、土壌湿度センサー、土壌PHセンサーのいずれか1種以上のセンサーを含むことを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項15】
請求項13記載の移動体制御システムにおいて、
前記環境検知手段は、温度センサー、湿度センサー、気圧センサー、照度センサー、傾斜センサー、放射能センサー、振動センサー、人感センサー、障害物センサー、土壌温度センサー、土壌湿度センサー、土壌PHセンサーのいずれか1種以上のセンサーを含むことを特徴とする移動体制御システム。
【請求項16】
請求項6、8、10、12、14のいずれか1項に記載の移動体位置及び/又は向き検知システムにおいて、
前記色彩変化発光体は、
前記色彩変化発光体が前記キャプチャカメラの有効域内であるか否かを検知するキャプチャカメラ有効域検知手段、
を含み、
前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内であると判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体に発光を行わせ、
前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内ではないと判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体の発光を停止させることを特徴とする移動体位置及び/又は向き検知システム。
【請求項17】
請求項7、9、11、13、15のいずれか1項に記載の移動体制御システムにおいて、
前記色彩変化発光体は、
前記色彩変化発光体が前記キャプチャカメラの有効域内であるか否かを検知するキャプチャカメラ有効域検知手段、
を含み、
前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内であると判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体に発光を行わせ、
前記色彩変化制御手段は、該キャプチャカメラ有効域検知手段が前記色彩変化発光体が前記有効域内ではないと判断した場合は、前記色彩変化発光体内の前記複数の発光体の発光を停止させることを特徴とする移動体制御システム。
【請求項18】
所定のフィールド内に配置された観測体の位置及び/又は向きを検知するシステムにおいて、
前記フィールド内に配置され、それぞれ相異なるデータを表す色彩変化パターンで発光する複数の色彩変化発光体と、
前記観測体に設置され、前記色彩変化発光体をキャプチャする単数もしくは複数のキャプチャカメラと、
前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の像の画像上の位置を検出する検出手段と、
前記キャプチャカメラが撮影する画像から前記色彩変化発光体の色彩変化パターンをデコードし、それが表す前記データを得るデコード手段と、
前記検出手段が検出した前記位置と、前記でコード手段が得た前記データと、に基づき、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを算出するキャプチャカメラ位置情報算出手段と、
を含み、前記キャプチャカメラの位置及び/又は向きを、前記観測体の位置及び/又は向きと見なして前記観測体の位置及び/又は向きを出力する観測体位置及び/又は向き検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−134058(P2011−134058A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292252(P2009−292252)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】