説明

光導波路構造体、光導波路型光モジュール、及び光ファイバーアレイ

【課題】周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる光導波路構造体等を提供する。
【解決手段】本発明による光導波路構造体(106)は、上流側光ファイバー(102)を支持するための支持部分(114a)を有する基板(114)と、基板(114)の支持部分(114a)に隣接して基板(114)と一体に形成された光導波路(116)を有している。支持部分(114a)は、横幅を有する上面を含み、この上面には、その横幅に対する中心線(WC)の上又はその一方の側に、光導波路(116)のコア(116a)と長手方向に整列し且つ光ファイバー(102)を支持するための整列溝(126)が設けられる。また、少なくとも中心線(WC)の上又は他方の側に、光導波路(116)のコア(116a)とずらされて配置され且つ整列溝(126)と同じ断面形状を有する非整列溝(132b)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体、光導波路型光モジュール、及び光導波路と結合することにより光モジュールを構成する光ファイバーアレイに関し、詳細には、光ファイバーを位置決めするための溝が設けられた基板の上に、光ファイバーと結合される光導波路が積層された光導波路構造体及びそれを含む光導波路型光モジュール、及び、光ファイバーを支持する溝が設けられた、上記光導波路構造体、光導波路型光モジュール、及び光ファイバーアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光ファイバーを位置決めするための溝が設けられた基板の上に、光ファイバーと結合される光導波路が積層された光導波路構造体及び、それを含む光導波路型光モジュールが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
また、従来から、光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体、光導波路型光モジュール、及び光導波路と結合することにより光モジュールを構成する光ファイバーアレイが知られており、特に、光ファイバーを支持する溝が設けられた、上記光導波路構造体、光導波路型光モジュール、及び光ファイバーアレイが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
従来の光導波路構造体の第1の例を、図17〜図19を参照して説明する。図17は、従来の光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの平面図である。また、図18は、図17の線XVIII−XVIIIにおける部分拡大断面図であり、図19は、図17の線XIX−XIXにおける部分拡大断面図である。
図17〜図19に示すように、光導波路型光モジュール200は、長手方向に延びる1本の上流側光ファイバー202と、上流側光ファイバー202と長手方向に間隔を隔て且つ互いに横方向に配列された8本の下流側光ファイバー204と、上流側光ファイバー202を伝搬してきた光を下流側光ファイバー204に伝達するための光導波路構造体206とを有している。上流側光ファイバー202及び下流側光ファイバー204はそれぞれ、それらの長手方向に延びるコア202a、204aを有している。
光導波路構造体206は、長手方向に延びる上流側溝208及び下流側溝210a〜210hが互いに長手方向に間隔を隔てて設けられた基板212と、上流側溝208と下流側溝210a〜210hとの間の基板212の上に積層された光導波路214と、を有している。上流側溝208には、上流側光ファイバー202が位置決めされ、下流側溝210a〜210hには、下流側光ファイバー204が位置決めされている。
光導波路214は、基板212の上に積層された下部クラッド214aと、下部クラッド214aの上に形成されたコア214bと、下部クラッド214a及びコア214bの上に積層された上部クラッド214cとを含んでいる。光導波路214のコア214bは、光ファイバー202、204を上流側溝208及び下流側溝210a〜210hの上に支持して位置決めしたときに光ファイバー202、204のコア202a、204aと上下方向に同じレベルで整列するように形成されている。
また、光導波路214のコア214bは、上流側溝208に位置決めされた上流側光ファイバー202と下流側溝210a〜210hに位置決めされた下流側光ファイバー204との間の光の伝達のために、上流側溝208と整列する1つの上流側ポート220と、下流側溝と整列する8つの下流側ポート222とを有している。図示の光導波路構造体206では、光導波路214のコア214bは、1つの上流側ポート220から下流側に向かうにつれて分岐して、8つの下流側ポート222で終端している。また、光導波路214は、上流側ポート220近傍の上流部分224a、上流側ポート220と下流側ポート222の中間の中間部分224b、及び、下流側ポート222近傍の下流部分224cを有している。
【0005】
1本の上流側光ファイバー202を通って伝搬してきた光は、上流側ポート220から光導波路214に伝達され、下流側に進行につれて分岐され、8つの下流側ポート222から8本の下流側光ファイバー204に伝達される。従って、光導波路型光モジュール200は、光スプリッタとして機能する。なお、光を下流側光ファイバー204から上流側光ファイバー202に逆方向に進行させたとき、光導波路型光モジュール200は、光結合器として機能する。
【0006】
次に、光導波路型光モジュールの構成要素である従来の光導波路構造体の第2の例を、図20〜図22を参照して説明する。図20は、従来の光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの平面図である。また、図21は、図20の線XXI−XXIにおける部分的な拡大断面図であり、図22は、図20の線XXII−XXIIにおける断面図である。
図20〜図22に示すように、光導波路型光モジュール300は、長手方向に延びる1本の上流側光ファイバー302と、上流側光ファイバー302と長手方向に間隔を隔て且つ互いに横方向に配列された8本の下流側光ファイバー304と、上流側光ファイバー302及び下流側光ファイバー304を支持すると共に1本の上流側光ファイバー302を伝搬してきた光を8本の下流側光ファイバー304に伝達するための光導波路構造体306とを有している。光導波路型光モジュール300は、更に、上流側光ファイバー302及び下流側光ファイバー304をそれぞれ、光導波路構造体306に向かって押える押えリッド308a、308bと、光ファイバー302,304、光導波路構造体306及び押えリッド308a、308bを互いに固定するためにそれらの間に充填された接着剤310と、を有している。
上流側光ファイバー302及び下流側光ファイバー304はそれぞれ、それらの長手方向に延びるコア302a、304aを有している。光導波路構造体306は、基板312と、基板312の上に積層された光導波路314とを有している。基板312は、横幅Wを有する上面316を有し、その上面316には、上流側光ファイバー302及び下流側光ファイバー304を支持するための溝318が設けられている。光導波路314はコア314aを有し、このコア314aは、光ファイバー302、304を溝318の上に支持して位置決めしたときに光ファイバー302、304のコア302a、304aと整列するように形成されている。押えリッド308a、308bは、基板312と同じ横幅を有し、光ファイバー302、304と接触する接触溝322を有している。
【0007】
1本の上流側光ファイバー302を通って伝搬してきた光は、光導波路314に伝達され、下流側に進行につれて分岐され、8本の下流側光ファイバー304に伝達される。従って、光導波路型光モジュール300は、光スプリッタとして機能する。なお、光を下流側光ファイバー304から上流側光ファイバー302に逆方向に進行させたとき、光導波路型光モジュール300は、光結合器として機能する。
また、上流側光ファイバー302から光導波路314に光が伝達されるとき、及び、光導波路314から下流側光ファイバー304に光が伝達されるとき、伝達される光パワーに、挿入損失と呼ばれる損失が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−125731
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した第1の例の光導波路型光モジュール200において、上流側光ファイバー202から光導波路214に光が伝達されるとき、及び、光導波路214から下流側光ファイバー204に光が伝達されるとき、伝達される光パワーに、挿入損失と呼ばれる損失が生じる。挿入損失は、上流側の光パワー(Pi)に対する下流側の光パワー(Po)の比をデシベル単位で表したもの(10log10(Po/Pi))である。光導波路型光モジュール200の挿入損失は、小さければ小さいほど好ましい。なお、本願の光モジュールのように増幅機能のような利得を含まないケースでは、Po<Piなので、挿入損失を上式に基づいてデシベル単位で表すと負の数値となる。また、挿入損失がない場合、上式に基づく挿入損失は、0の数値となる。従って、本明細書において挿入損失が小さいとは、慣例と同様、上式の負の数値が大きいこと、すなわち、上式の数値の絶対値が小さく0により近いことを意味する。このことは、挿入損失利得を含むケースにも適用できる。この場合には、利得部分を分離して考察することにより、挿入損失が明らかになる。かくして、光導波路型光モジュールの挿入損失を従来よりも軽減することができる光導波路構造体を提供することが望まれる。
【0010】
また、図17〜図19に示した光導波路型光モジュール200の挿入損失、即ち、上流側光ファイバー202と光導波路214との間の挿入損失、又は、光導波路214と下流側光ファイバー204との間の挿入損失は、周囲温度の変化に応じて変動する。特に、光導波路型光モジュールの一例である光スプリッタ及び光結合器等は、屋外に配置される光インターネット回線網の一部として使用され、その周囲温度は、例えば、−40℃〜+85℃にわたって変化することがある。かかる光導波路型光モジュールは、周囲温度の変化によって挿入損失が変動すると、本来の性能を発揮できなくことがある。従って、周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュールの挿入損失の変動は、小さければ小さいほど好ましい。かくして、光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を従来よりも軽減することができる光導波路構造体を提供することが望まれる。
【0011】
また、上述した第2の例の光導波路型光モジュール300において、上流側の押えリッド308aが基板312に対して横方向に傾いて固定される傾向がある(図22参照)。この場合、上流側光ファイバー302の両側において、押えリッド308aと基板312の上面316との間の距離が異なっていると共に、接着剤310の厚さが異なっている。
上述したように、光導波路型光モジュール300の一例である光スプリッタ及び光結合器等は、屋外に配置される光インターネット回線網の一部として使用され、その周囲温度は、例えば、−40℃〜+85℃にわたって変化することがある。周囲温度が変化すると、基板312、押えリッド308a、接着剤310は、それぞれの異なる熱膨張係数に従って膨張したり収縮したりする。従って、接着剤310の厚さが上流側光ファイバー302の両側において異なっていると、周囲温度が変化したとき、上流側光ファイバー302に不均等な応力が働き、挿入損失の低下を引き起こす。周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュール300の挿入損失の変動は、小さければ小さいほど好ましい。
かくして、光導波路型光モジュールの構成要素であって、周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる光導波路構造体を提供することが望まれる。同様に、周囲温度が変化したときの挿入損失の変動を軽減することができる光導波路型光モジュール自体を提供することが望まれる。
また、同様に、光導波路と結合することにより光モジュールを構成する光ファイバーアレイであって、周囲温度が変化したときの光モジュールの損失の変動を軽減することができる光ファイバーアレイを提供することが望まれる。
【0012】
そこで、本発明は、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を従来よりも軽減することができる光導波路構造体及びそれを含む光導波路型光モジュールを提供することを第1の目的としている。
また、本発明は、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる光導波路構造体及びそれを含む光導波路型光モジュールを提供することを第2の目的としている。
【0013】
また、本発明は、光導波路と結合することにより光モジュールを構成し、周囲温度が変化したときの光モジュールの損失の変動を軽減することができる光ファイバーアレイを提供することを第3の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の発明者は、上述した従来の光導波路構造体206について詳細に検討した。その結果、光導波路214の上流部分224aにおける下部クラッド214aの厚さと、下流部分224cにおける下部クラッド214aの厚さとが厳密には異なり、それが挿入損失の増大に影響を及ぼしているという知見を得た。本願発明は、光ファイバーが配置された溝と整列した光導波路のポートの部分において、基板に積層された下部クラッドの厚さを互いに近づけるために鋭意努力した結果なし得た発明である。
【0015】
上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明の第1の側面による光導波路構造体は、長手方向に延び且つ横方向に配列された溝からなる第1の溝列及び第2の溝列が互いに長手方向に間隔を隔てて設けられた基板と、第1の溝列と第2の溝列との間の基板の上に積層された光導波路と、を有する光導波路構造体であって、光導波路は、基板の上に積層されたクラッドと、このクラッドの上に積層されたコアと、を含み、光導波路のコアは、光ファイバーを第1の溝列及び第2の溝列の溝の上に支持して位置決めしたときに光ファイバーのコアと上下方向に同じレベルで整列するように形成されると共に、第1の溝列及び第2の溝列に位置決めされる光ファイバー間の光の伝達のために、第1の溝列の溝と整列する少なくとも1つの第1のポートと、第2の溝列の溝と整列する、第1のポートと同数の又はそれよりも多い第2のポートと、を有し、第1の溝列の溝数に対する第2の溝列の溝数の比が、第1のポートの数に対する第2のポートの数に対する比よりも小さいことを特徴としている。
【0016】
このように構成された本発明による光導波路構造体によれば、基板に第1の溝列及び第2の溝列が設けられた後、第1の溝列と第2の溝列との間の基板の上に光導波路のクラッドが積層され、更に、クラッドの上にコアが積層される。この光導波路のコアは、光ファイバーを第1の溝列及び第2の溝列の溝の上に支持して位置決めしたときに光ファイバーのコアと上下方向に同じレベルで整列するように形成される。それにより、第1の溝列の溝に位置決めされた光ファイバーを伝搬してきた光は、光導波路の第1のポートに入り、例えば、第2のポートから出て、第2の溝列の溝に位置決めされた光ファイバーに伝達される。
第1の溝列の溝に位置決めされた光ファイバーと光導波路との間の挿入損失、及び、光導波路と第2の溝列の溝に位置決めされた光ファイバーとの間の挿入損失は、光ファイバーのコアの上下方向レベルと第1のポート及び第2のポートにおける光導波路のコアの上下方向レベルとが同じであるほど少なくなる。言い換えれば、第1のポートにおけるクラッドの厚さが、光ファイバーのコアと光導波路のコアとを整列させるのに適正な厚さであっても、第2のポートにおけるクラッドの厚さが第1のポートにおけるクラッドの厚さと異なっていれば、第2のポートにおけるクラッドの厚さは、光ファイバーのコアと光導波路のコアとを適正に整列させる厚さでない。それにより、光導波路型光モジュールの挿入損失が生じている。本発明者は、光導波路の第1のポートにおけるクラッドの厚さは、第1の溝列の溝数及び/又は溝の間隔の影響を受け、光導波路の第2のポートにおけるクラッドの厚さは、第2の溝列の溝数及び/又は溝の間隔の影響を受けることの知見を得た。
【0017】
例えば、上流側ポート(第1のポート)の数よりも下流側ポート(第2のポート)の数が多い従来の光導波路構造体(光スプリッタ)では、上流側ポート(第1のポート)の数(例えば、1つ)に対してそれと同数の溝(例えば、1つの第1の溝列の溝)が設けられ、下流側ポート(第2のポート)の数(例えば、8つ)に対してそれと同数の溝(例えば、8つの第2の溝列の溝)が設けられていた。第1の溝列の溝は、1つであり且つ隣接した溝を有しておらず、第2の溝列の溝は、第1の溝列の溝よりも数が多く、等間隔に配置されている。第1の溝列と第2の溝列との間の溝数及び溝の間隔が異なるので、第1のポートにおけるクラッドの厚さと第2のポートにおけるクラッドの厚さが異なっている。従って、挿入損失を軽減する余地がある。この場合、第1の溝列の溝数に対する第2の溝列の溝数の比は、第1のポート数に対する第2のポート数の比と同じ(例えば、8)である。
これに対し、本発明では、第1の溝列の溝数及び/又は溝の間隔を第2の溝列の溝数に近づけることにより、具体的には、第1の溝列の溝数を増やすことにより、光導波路の第1のポートにおけるクラッドの厚さを光導波路の第2のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができる。例えば、1つの上流側ポート(第1のポート)に対して2つの溝(第1の溝列の溝)を設け、8つの下流側ポート(第2のポート)に対してそれと同数の8つの溝(第2の溝列の溝)を設ける。この場合、第1の溝列の溝数に対する第2の溝列の溝数の比は4であり、第1のポート数に対する第2のポート数の比は8であるので、前者は後者よりも小さくなる。
その結果、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を従来よりも軽減することができる。また、それに伴い、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
【0018】
また、例えば、上流側ポート(第1のポート)の数と下流側ポート(第2のポート)の数とが同じである従来の光導波路構造体(ピッチコンバータ)では、上流側ポート(第1のポート)の数(例えば、4つ)に対してそれと同数の溝(例えば、4つの第1の溝列の溝)が設けられ、下流側ポート(第2のポート)の数(例えば、4つ)に対してそれと同数の溝(例えば、4つの第2の溝列の溝)が設けられていた。更に、上流側から下流側に向かってピッチを狭める場合、第1の溝列の溝及び第2の溝列の溝は等間隔に設けられ、第1の溝列の溝のピッチ、即ち、間隔は、第2の溝の間隔よりも大きく配置されていた。
第1の溝列と第2の溝列との間の溝の間隔が異なるので、第1のポートにおけるクラッドの厚さと第2のポートにおけるクラッドの厚さが異なっている。従って、挿入損失を軽減する余地がある。この場合、第1の溝列の溝数に対する第2の溝列の溝数の比は、第1のポート数に対する第2のポート数の比と同じ(例えば、1)である。
これに対し、本発明では、第1の溝列の溝の間隔を第2の溝列の間隔に近づけることにより、具体的には、第1の溝列の溝数を増やすことにより、光導波路の第1のポートにおけるクラッドの厚さを光導波路の第2のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができる。例えば、4つの上流側ポート(第1のポート)の間の各々に溝を追加し、合計7つの溝(第1の溝列の溝)を設け、4つの下流側ポート(第2のポート)に対してそれと同数の4つの溝(第2の溝列の溝)を設ける。この場合、第1の溝列の溝数に対する第2の溝列の溝数の比は4/7であり、第1のポート数に対する第2のポート数の比は1であるので、前者は後者よりも小さくなる。
その結果、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を従来よりも軽減することができる。また、それに伴い、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
【0019】
本発明の実施形態において、好ましくは、第2の溝列の溝は、等間隔に設けられ、第1の溝列は、第1のポートの1つと整列した整列溝と、この整列溝の両側に隣接し且つそれから横方向に等間隔に配置された2つの横側溝とを含み、この横側溝のうちの少なくとも一方は、第1のポートのどれからもずらされて配置される。
このように構成された光導波路構造体では、第1の溝列の1つの整列溝は、その両側に隣接した横側溝の影響を最も受ける。第2の溝列の溝が等間隔に設けられているので、第2の溝列の各溝は、その両側に隣接し且つそれから等間隔に配置された溝の影響を均等に受ける。その結果、光導波路の第2のポートにおけるクラッドの厚さが均一化され、光導波路型光モジュール全体として、挿入損失を軽減することができる。
また、従来の光導波路構造体では、第1のポートと整列した溝の両側に溝が存在しないのに対し、本発明では、第1の溝列の整列溝の両側に且つそれから等間隔に2つの横側溝が設けられている。即ち、第1の溝列の溝数及び溝の間隔が第2の溝列の溝数及び溝の間隔に近づけられている。それにより、整列溝は、その両側に隣接した横側溝の影響を均等に受け、光導波路の第1のポートにおけるクラッドの厚さを、第2のポートにおけるクラッドの厚さに近づける。その結果、光導波路型光モジュールの挿入損失を軽減することができる。
なお、第1のポートが3つ以上設けられ、横側溝が両方とも第1のポートと整列しているときは、従来の光導波路構造体と同様の構造となる。
【0020】
本発明の実施形態において、好ましくは、第1の溝列の整列溝と横側溝との間の間隔は、第2の溝列の溝の間隔と同じである。
このように構成された光導波路構造体では、整列溝と横側溝との間隔を第2の溝列の溝の間隔と同じにすることにより、光導波路の第1のポートにおけるクラッドの厚さを、第2のポートにおけるクラッドの厚さに更に近づけることができる。その結果、光導波路型光モジュールの挿入損失を更に軽減することができる。
【0021】
本発明の実施形態において、好ましくは、第1の溝列及び第2の溝列は、光導波路構造体の横幅全体にわたって等間隔に設けられ、第1の溝列の溝の間隔と第2の溝列の溝の間隔とは同じである。
このように構成された光導波路構造体では、その横幅全体にわたって第1の溝列及び第2の溝列の溝が等間隔に設けられているので、光導波路の任意の第1のポートにおけるクラッドの厚さと、任意の第2のポートにおけるクラッドの厚さを近づけることができる。
それにより、光導波路型光モジュールの挿入損失を更に軽減することができる。
また、複数の光導波路構造体を同時に形成するために第1の溝列及び第2の溝列だけを設けた基板において、光導波路の第1のポート及び第2のポートを設ける箇所にかかわらず、第1のポートにおけるクラッドの厚さと第2のポートにおけるクラッドの厚さとを従来よりも近づけることができる。
【0022】
本発明の実施形態において、好ましくは、第1の溝列の溝と第2の溝列の溝とは、互いに横方向にずらされて互い違いに配置される。
このように構成された光導波路構造体では、第1の溝列の溝に位置決めされた光ファイバーと第2の溝列の溝に位置決めされたファイバーとの間の漏れ光を低減することができる。詳細には、第1の溝列の溝の上に位置決めされた光ファイバーから第1のポートへ入力されるべき光のうち、モードフィールドの不整合や軸ずれ、チルト、ギャップなどに起因して第1のポート、即ち、光導波路のコアに入力されなかった成分が、光導波路のクラッド部分や基板内部等を伝搬して、第1の溝列の溝と対向する第2の溝列の溝の上に位置決めされた光ファイバーに入力されることがある。この現象は、第1の溝列の溝と第2の溝列の溝とが対向し、これらの溝の上に位置決めされた光ファイバーが同軸上に配置される場合に顕著となる。従って、光ファイバーが同軸上に配置されないように、第1の溝列の溝と第2の溝列の溝とを互いに横方向にずらして互い違いに配置することにより、漏れ光を低減することが可能である。
【0023】
本発明の実施形態において、好ましくは、光導波路のクラッド及びコアは、ポリマーで形成される。
【0024】
また、上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明の第1の側面による光導波路型光モジュールは、上述した光導波路構造体と、第1のポートと整列するように第1の溝列の溝に位置決めされた第1の光ファイバーと、第2のポートに整列するように第2の溝列の溝に位置決めされた第2の光ファイバーと、を有することを特徴としている。
【0025】
また、上記第1及び第2の目的を達成するため、本発明の第2の側面による光導波路構造体は、長手方向に延びる溝を有する基板と、溝と長手方向に隣接して基板の上に積層された光導波路と、を有する光導波路構造体であって、光導波路は、基板の上に積層されたクラッドと、このクラッドの上に積層されたコアと、を含み、光導波路のコアは、溝に位置決めされる光ファイバーのコアと光導波路のコアとの間で光が伝達されるように設けられた少なくとも第1のポート及び第2のポートを有し、溝は、第1のポートと整列した第1の整列溝と、第1の整列溝と横方向に隣接して配置された隣接溝と、第2のポートと整列した第2の整列溝と、第2のポートにおけるクラッドの厚さを第1のポートにおけるクラッドの厚さに近づけるように、第2の整列溝と横方向に隣接し且つポートのどれからもずらされて設けられた非整列溝と、を含むことを特徴としている。
【0026】
このように構成された本発明による光導波路構造体によれば、基板に溝が設けられた後、基板の上に、溝と長手方向に隣接した光導波路のクラッドが積層され、更に、クラッドの上にコアが積層される。この光導波路のコアは、溝に位置決めされる光ファイバーのコアと光導波路のコアとの間で光が伝達されるように設けられた第1のポート及び第2のポートを有している。それにより、例えば、溝に位置決めされた光ファイバーを伝搬してきた光は、光導波路の第1のポートに入り、光が光導波路に伝達され、第2のポートから別の光ファイバーに伝達される。
溝に位置決めされた光ファイバーと光導波路との間の挿入損失は、光ファイバーのコアの上下方向レベルとポートにおける光導波路のコアの上下方向レベルとが同じであるほど少なくなる。本発明者は、光導波路のポートにおけるクラッドの厚さは、ポートと整列した溝とこの溝と横方向に隣接して配置された他の溝との間の距離即ちピッチ、及び、両者の溝の形状及び幅、長さ、深さ等の寸法の影響を受けることの知見を得た。
第1のポートと整列した第1の整列溝は、隣接溝と横方向に隣接しているので、第1のポートのクラッドの厚さは、隣接溝の影響を受けている。第2のポートと整列した第2の整列溝と横方向に隣接し且つポートのどれからもずらされた非整列溝を設けることにより、非整列溝が設けられていない場合と比べて、第2のポートにおけるクラッドの厚さを第1のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができる。なお、隣接溝は、ポートと整列していても良いし、整列していなくても良い。また、非整列溝は、それを形成する段階で溝となっていればよく、光導波路構造体において、半部だけが残っていてもよい。
【0027】
例えば、光スプリッタのための光導波路構造体の1つの例は、入力側の1つのポート(第2のポート)と、出力側の複数のポート(第1のポート)を有している。従来、入力側の1つのポートに対して1つの溝(第2の整列溝)が設けられ、出力側の複数のポートに対してそれと同数の溝(第1の整列溝及び隣接溝等)が設けられていた。この場合、入力側の溝(第2の整列溝)は、それに隣接した溝がないので、他の溝の影響を受けていない。これに対して、出力側の複数の溝(第1の整列溝等)は、互いに影響を受けている。それにより、入力側のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さと出力側のポート(第1のポート)におけるクラッドの厚さが異なり、挿入損失を軽減させる余地があった。
本発明では、入力側の溝(第2の整列溝)に隣接し且つポートとずらされて配置された非整列溝を設けることにより、入力側のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さを出力側のポート(第1のポート)におけるクラッドの厚さに近づけることことができる。
その結果、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を軽減することができると共に、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
非整列溝は、入力側のポートにおけるクラッドの厚さを出力側のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができれば、入力側の溝(第2の整列溝)の片側にあっても良いし、両側にあっても良い。また、非整列溝が横方向に配列された非整列溝列を構成していても良い。また、非整列溝の形状及び寸法は任意である。
【0028】
また、ピッチコンバータのための光導波路構造体の1つの例は、出力側のポート(第2のポート等)のピッチが出力側のポート(第1のポート等)のピッチよりも広くなっている。従来、出力側のポート(第2のポート)に対してそれと同数の溝(第2の整列溝等)が設けられ、入力側のポート(第1のポート)に対してそれと同数の溝(第1の整列溝及び隣接溝等)が設けられていた。この場合、出力側と入力側とで溝のピッチが異なるので、出力側と入力側において、隣接した溝から受ける影響は異なっている。それにより、出力側のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さと入力側のポート(第1のポート)におけるクラッドの厚さが異なり、挿入損失を軽減させる余地があった。本発明では、ピッチの広い出力側の溝(第1の整列溝)に隣接し且つポートとずらされて配置された非整列溝を設けることにより、出力側の溝のピッチを狭め、出力側のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さを入力側のポート(第1のポート)の厚さに近づけることことができる。また、入力側のポート(第1のポート)と出力側のポート(第2のポート)の総ポート数に対して、それと同数より多い溝(第1の整列溝及び隣接溝等と第2の整列溝等)を設けることによっても、入力側の一番端のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さを入力側のその他のポート(第1のポート)の厚さに近づけることことができる。その結果、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を軽減することができると共に、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
非整列溝は、出力側のポートにおけるクラッドの厚さを入力側のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができれば、横方向に配列された非整列溝列を構成していても良い。また、非整列溝の形状及び寸法は任意である。
【0029】
また、上述したピッチコンバータにおいて、従来、入力側の一番端にある溝(第2の整列溝)は、その一方の側にしか隣接した溝がないので、隣接した溝の影響を一方の側からしか受けていない。これに対して、入力側のその他の溝(第1の整列溝)は、両側に溝(隣接溝)があるので、隣接した溝の影響を両側から受けている。それにより、入力側の一番端のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さと入力側のその他のポート(第1のポート)におけるクラッドの厚さが異なり、挿入損失を軽減させる余地があった。本発明では、入力側の一番端の溝(第1の整列溝)の隣接した溝がない方の側に隣接し且つポートとずらされて配置された非整列溝を設けることにより、入力側の一番端のポート(第2のポート)におけるクラッドの厚さを入力側のその他のポート(第1のポート)の厚さに近づけることことができる。その結果、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失を軽減することができると共に、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
非整列溝は、入力側の一番端のポートにおけるクラッドの厚さを入力側のその他のポートにおけるクラッドの厚さに近づけることができれば、横方向に配列された非整列溝列を構成していても良い。また、非整列溝の形状及び寸法は任意である。
【0030】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の第3の側面による光導波路構造体は、光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体であって、長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、基板の支持部分に隣接して基板と一体に形成され、支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、を有し、支持部分は、横幅を有する上面を含み、この上面には、その横幅に対する中心線の上又はその横方向の一方の側に、光導波路のコアと長手方向に整列し且つ光ファイバーを支持するための整列溝が設けられ、少なくとも前記中心線の上又は他方の側に、光導波路のコアとずらされて配置され且つ整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝が設けられることを特徴としている。
【0031】
このように構成された本発明による光導波路構造体によれば、基板の支持部分の上面に設けられた整列溝に光ファイバーを支持すれば、光ファイバーと光導波路のコアを整列させ、それらの間で光を伝達することができる。また、光ファイバーを基板の支持部分に固定するために、光ファイバーを支持部分に向って押える押え部材を用い且つ支持部分、光ファイバー及び支持部分の間の空間に接着剤を充填する場合、支持部分の上面に設けられ且つ整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝と押え部材との間に、光ファイバーと同じ断面形状を有する挟持部材を挟持させることによって、押え部材を基板の上面に対してほぼ平行に固定することができる。詳細には、押え部材は、一般的には、基板の支持部分の上面と同じ横幅を有している。その場合、押え部材の重心は、支持部分の横幅に対する中心線上にある。支持部分の上面において、整列溝が中心線の上又は一方の側にあるとき、押え部材の重心が中心線上にあるので、押え部材は、他方の側に傾く可能性がある。しかしながら、他方の側に設けられた非整列溝と押え部材との間に挟持部材を挟持させることにより、押え部材が他方の側に傾いた状態で固定されることを防止することができる。それにより、光ファイバーの両側の接着剤の厚さが均等になり、周囲温度が変化したときに光ファイバーに働く応力が均等になる。その結果、光導波路型光モジュールの構成要素である、本発明による光導波路構造体は、周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
なお、整列溝と非整列溝の両方が中心線上に存在することはできないので、一方が中心線上にあるときは、他方は中心線上には存在しない。また、押え部材は、支持部分と同じ横幅を有している必要はない。また、押え部材の重心が中心線上にない場合であっても、押え部材の重心が上述した整列溝又は非整列溝の上、又は、それらの間にあれば、本発明の範囲内である。
【0032】
本発明の実施形態において、好ましくは、整列溝は、中心線上に1つ設けられ、非整列溝は、整列溝の横方向両側に設けられる。
【0033】
このように構成された光導波路構造体によれば、整列溝が中心線上に1つだけ設けられるとき、押え部材の重心が一般的には中心線上にあるので、押え部材は、中心線の両方の側に傾く可能性がある。しかしながら、中心線の両側に設けられた非整列溝と押え部材との間に挟持部材を挟持させることにより、押え部材が傾いた状態で固定されることを防止することができる。従って、上述の通り、周囲温度が変化したときの光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。
【0034】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の第3の側面による光導波路型光モジュールは、長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、基板の支持部分に隣接して基板と一体に形成され、支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、支持部分に支持された光ファイバーと、光ファイバーを基板の支持部分に向って押える押え部材と、光ファイバーを支持部分に固定するために、支持部分、光ファイバー及び押え部材の間の空間に充填された接着剤と、を有し、支持部分は、上面を含み、この上面には、押え部材の重心を通り且つ長手方向に延びる中心線の上又はその横方向の一方の側に、光導波路のコアと長手方向に整列し且つ光ファイバーを支持する支持溝が設けられ、少なくとも中心線の上又は他方の側に、光導波路のコアとずらされて配置され且つ支持溝と同じ断面形状を有する非支持溝が設けられ、更に、非支持溝と押え部材との間に挟持され且つ光ファイバーと同じ断面形状を有する挟持部材を有することを特徴としている。
【0035】
このように構成された光導波路型光モジュールによれば、上述した光導波路構造体における整列溝及び非整列溝をそれぞれ支持溝及び非支持溝と置き換えれば、上述した光導波路構造体と同様の効果を奏することができる。その結果、本発明による光導波路型光モジュールは、周囲温度が変化したときの挿入損失の変動を軽減することができる。
【0036】
また、上記第3の目的を達成するために、本発明の第3の側面による光ファイバーアレイは、光導波路と結合することにより光モジュールを構成する光ファイバーアレイであって、長手方向に延びる光ファイバーを支持する支持基板と、支持基板に支持された光ファイバーと、光ファイバーを支持基板に向って押える押え部材と、光ファイバーを支持基板に固定するために、支持基板、光ファイバー及び押え部材の間の空間に充填された接着剤と、を有し、支持基板は、上面を含み、この上面には、押え部材の重心を通り且つ長手方向に延びる中心線の上又は一方の側に、光ファイバーを支持する支持溝が設けられ、少なくとも前記中心線の上又は他方の側に、支持溝と同じ断面形状を有する非支持溝が設けられ、更に、光ファイバーと同じ断面形状を有し、基板の非支持溝と押え部材との間に挟持される挟持部材を有することを特徴としている。
【0037】
このように構成された光ファイバーアレイによれば、上述した光導波路構造体における基板の支持部材、整列溝及び非整列溝をそれぞれ、支持基板、支持溝及び非支持溝と置き換えることにより、上述した光導波路構造体と同様の効果を奏することができる。その結果、光導波路と結合することにより光モジュールを構成する、本発明による光ファイバーアレイは、周囲温度が変化したときの光モジュールの損失の変動を軽減することができる。
【0038】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の第3の側面による光導波路構造体は、光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体であって、長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、基板の支持部分に隣接して前記基板と一体に形成され、支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、を有し、支持部分は、横幅を有する上面を含み、この上面は、光導波路のコアと長手方向に整列し且つ光ファイバーを支持するための整列溝が複数設けられた、上面の横幅に対する中心線を含む領域と、その両側の領域とを有し、両側の領域には、光導波路のコアとずらされて配置され且つ整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝が設けられることを特徴としている。
【0039】
このように構成された光導波路構造体では、光ファイバーを基板の支持部分に固定するために、光ファイバーを支持部分に向って押える押え部材を用い且つ支持部分、光ファイバー及び支持部分の間の空間に接着剤を充填する場合、押え部材は基板の上面に対してほぼ平行に固定される。また、両側の領域があることにより、押え部材が基板の上面に対して僅かに傾くおそれがあるが、両側の領域において、支持部分の上面に設けられ且つ整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝と押え部材との間に、光ファイバーと同じ断面形状を有する挟持部材を挟持させることによって、押え部材は基板の上面に対して略平行に維持することができる。
【発明の効果】
【0040】
上述したように、本発明の光導波路構造体により、それを含む光導波路型光モジュールの挿入損失を従来よりも軽減することができる。また、本発明による光導波路型光モジュールにより、その挿入損失を従来よりも軽減することができる。
また、本発明の光導波路構造体により、周囲温度が変化したときの、光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの挿入損失の変動を軽減することができる。また、本発明による光導波路型光モジュールにより、周囲温度が変化したときの挿入損失の変動を軽減することができる。
また、本発明においては、製造リードタイムを短縮することも可能である。すなわち、光導波路構造体の基板におけるV溝の配置は、光導波路パターンとそのレイアウトに依存して変更する必要があるので、従来、新規に光導波路構造体を製造する際には、光導波路の設計終了後、V溝の配置を設計し、V溝用のフォトマスクを作製し、V溝を基板を新たに製造する工程が必須で、製造のリードタイムが長期化する傾向があったが、本発明においては、予め製造した共通のV溝基板を用いて、任意の箇所に光導波路を形成することができるので、光導波路の設計変更時に光導波路パターン用のマスクを変更すればよく、光導波路パターン毎のV溝基板の専用設計が不要で、設計変更時の光導波路基板の製造リードタイムを短縮することができ、納期短縮が可能である。
【0041】
また、光導波路と結合することにより光モジュールを構成する本発明の光ファイバーアレイにより、周囲温度が変化したときの光モジュールの損失の変動を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの平面図である。
【図2】図1の線II−IIにおける部分拡大断面図である。
【図3】図1の線III−IIIにおける部分拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態である光導波路構造体の製造工程を示す図である。
【図5】光導波路が形成される前における、本発明による光導波路構造体の基板の第1の例を示す平面図である。
【図6】光導波路が形成される前における、本発明による光導波路構造体の基板の第2の例を示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールにおける、周囲温度が変化したときの挿入損失の変動を示す図である。
【図8】従来の光導波路型光モジュールにおける、周囲温度が変化したときの挿入損失の変動を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュール(スプリッタ)の平面図である。
【図10】図9の線X−Xにおける部分的な拡大断面図である。
【図11】図9の線XI−XIにおける断面図である。
【図12】図9の線XII−XIIにおける断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュール(ピッチコンバータ)の平面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態である光ファイバーアレイを含む光モジュールの平面図である。
【図15】図14の線XV−XVにおける部分的な拡大断面図である。
【図16】図14の線XVI−XVIにおける拡大断面図である。
【図17】従来の光導波路型光モジュールの平面図である。
【図18】図17の線XVIII−XVIIIにおける部分拡大断面図である。
【図19】図17の線XIX−XIXにおける部分拡大断面図である。
【図20】従来の光導波路型光モジュールの平面図である。
【図21】図20の線XXI−XXIにおける部分的な拡大断面図である。
【図22】図20の線XXII−XXIIにおける拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図1〜図3を参照して、本発明による光導波路構造体の第1の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールの平面図である。また、図2は、図1の線II−IIにおける部分拡大断面図であり、図3は、図1の線III−IIIにおける部分拡大断面図である。
【0044】
図1〜図3に示すように、光導波路型光モジュール1は、長手方向に延びる1本の上流側光ファイバー2と、長手方向に延び、上流側光ファイバー2と長手方向に間隔を隔て且つ互いに横方向に配列された8本の下流側光ファイバー4と、上流側光ファイバー2を伝搬してきた光を下流側光ファイバー4に伝達するための、本発明の第1の実施形態である光導波路構造体6とを有している。上流側光ファイバー2及び下流側光ファイバー4はそれぞれ、長手方向に延びるコア2a、4aを有している。光ファイバーの直径は、例えば、125μmである。
光導波路構造体6は、長手方向に延びる溝8a〜8gが横方向に配列された上流側溝列8及び長手方向に延びる溝10a〜10hが横方向に配列された下流側溝列10が互いに長手方向に間隔を隔てて設けられた基板12と、上流側溝列8と下流側溝列10との間の基板12の上に積層された光導波路14と、を有している。後述するように、上流側溝列8の1つの溝8dに上流側光ファイバー2が位置決めされ、下流側溝列10の各溝10a〜10hに8本の下流側光ファイバー4が位置決めされる。
【0045】
光導波路14は、上流側溝列8と隣接し且つそれから間隔をおいている上流端部16と、下流側溝列10と隣接し且つそれから間隔をおいている下流端部18とを含んでいる。
また、光導波路14は、基板12の上に積層された下部クラッド14aと、下部クラッドの上に積層された後、光ファイバー2、4間の任意の経路をするように成形されたコア14bと、下部クラッド14a及びコア14bの上に積層された上部クラッド14cとを含んでいる。光導波路14のコア14bは、光ファイバー2、4を上流側溝列8の溝8a〜8g及び下流側溝列10の溝10a〜10hの上に支持して位置決めしたときに光ファイバー2、4のコア2a、4aと上下方向に同じレベルで整列するように形成されている。
下部クラッド14a、コア14b及び上部クラッド14cは、例えば、フッ素化ポリイミドで形成されている。
また、光導波路14のコア14bは、上流側溝列8の溝8d及び下流側溝列10の溝10a〜10hに位置決めされた光ファイバー2、4間の光の伝達のために、上流側溝の1つ8dと整列する1つの上流側ポート20と、下流側溝10a〜10hの各々と整列する、上流側ポート20よりも多い8つの下流側ポート22とを有している。図示の光導波路構造体6では、光導波路14のコア14bは、1つの上流側ポート20から下流側に向かうにつれて分岐して、8つの下流側ポート22まで延びている。また、光導波路14は、上流側ポート20近傍の上流部分24a、上流側ポート20と下流側ポート22の中間の中間部分24b、及び、下流側ポート22近傍の下流部分24cを有している。
【0046】
基板12は、上流側光ファイバー2を支持するための上流部12aと、光導波路6が積層される中央部12bと、下流側光ファイバー4を支持するための下流部12cとを有している。上流部12aと中央部12bとの間には、上方向及び横方向に開口した上流側凹部12dが設けられ、中央部12bと下流部12cとの間には、上方向及び横方向に開口した下流側凹部12eが設けられている。基板12は、例えば、シリコンで形成される。
基板12の上流部12aは、上面26を有し、この上面26に、上流側溝列8が設けられている。同様に、基板12の下流部12cは、上面28を有し、この上面28に、下流側溝列10が設けられている。互いに隣接する上流側溝8a〜8g及び下流側溝10a〜10hはそれぞれ、基板12の上流部12aの上面26及び下流部12cの上面28を長手方向全長にわたって延びている。上流側溝8a〜8g及び下流側溝10a〜10hは、光ファイバーを支持して位置決めすることができる断面形状を有し、本実施形態では、V字形断面である。V字形断面の溝をシリコンの結晶方位によるエッチングの異方性を利用したシリコン異方性エッチングによって作製した場合には、高精度なV溝加工ができるため、V字形断面の溝の深さと光導波路コアの高さとの相対位置ずれを低減することができる本発明の効果を特に有効に享受することができる。
上流側光ファイバー2は、上流側凹部12dの上に突出し且つ光導波路14の上流端部16に近接するように、上流側溝の1つ8dの上に支持されて位置決めされている。同様に、8本の下流側光ファイバー4は、下流側凹部12eの上に突出し且つ光導波路14の下流端部18に近接するように、各下流側溝10a〜10hの上に支持されて位置決めされている。上流側光ファイバー2及び下流側光ファイバー4は、基板12及び光導波路14に接着剤30によって固定されている。接着剤30は、例えば、紫外線硬化型樹脂である。
【0047】
下流側溝列10の溝10a〜10hは、光導波路構造体4の横幅全体にわたって等間隔に設けられている。
上流側溝列8は、基板12の上流部12aの横方向中央に配置され且つ上流側ポート20と整列している溝8dと、その両側、即ち、横方向外側に隣接して配置された2つの溝8c、8eとを有している。溝8cの外側には、更に、溝8b、8aが配置され、溝eの外側には、溝8f、8gが配置されている。溝8d以外の溝8a〜8c及び8e〜8gは、上流側ポート20と横方向にずらして配置され、それとは整列していない。かくして、上流側溝列8の溝8a〜8gは、光導波路構造体4の横幅全体にわたって等間隔に配置されている。上流側溝列8の溝8a〜8gの間隔は、下流側溝列10の溝10a〜10hの間隔と同じである。また、上流側溝列8の溝8a〜8gは、下流側溝列10の溝10a〜10hに対して横方向にずらされ、両者は、横方向に互い違いに配置されている。
上流側溝列8の最も横方向外側の溝8a、8gの更に外側には、それから上流側溝列8の溝8a〜8gの間隔と同じ間隔で配列された溝の半部34a、34bが設けられている。
本実施形態では、上流側溝列8及び下流側溝列10の溝数はそれぞれ、7つ及び8つであり、上流側ポート20及び下流側ポート22の数はそれぞれ、1つ及び8つである。かくして、上流側溝列8の溝数に対する下流側溝列10の溝数の比は、8/7になり、上流側ポート20の数に対する下流側ポート22の数に対する比は、8になり、前者は後者よりも小さくなる。
【0048】
次に、光導波路型光モジュール1の動作を説明する。
1本の上流側光ファイバー2を通って伝搬してきた光は、上流側ポート8から光導波路4に伝達され、下流側に進行につれて分岐され、8つの下流側ポート10a〜10hから8本の下流側光ファイバー4に伝達される。従って、光導波路型光モジュール1は、光スプリッタとして機能する。なお、光を下流側光ファイバー4から上流側光ファイバー2に逆方向に進行させることもでき、その場合、光導波路型光モジュール1は、光結合器として機能する。
【0049】
次に、図4を参照して、本発明の第1の実施形態である光導波路構造体の製造方法の一例を説明する。図4では、説明のため、1つの光導波路構造体1のうちの一部分、具体的には、上流側溝8d及び2つの下流側溝10d、10eを含む部分だけを示しているが、実際には、複数の光導波路構造体1が共通の基板の上に同時に形成し、最後に1つ1つの光導波路構造体1を切り離す。なお、図4では省略されているが、実際には、上流側溝8dの両側には、溝8cと8eとが半分ずつ存在し、コア14bは、溝10a、10b、10c、10f、10g、10hに分岐している。
先ず、図4(a)に示すように、Si基板12を準備し、その上面12fにSiO2の膜を形成する。次いで、V字形断面の溝8d、10d、10eを、フォトリソグラフィにより作成したレジストパターンに従った異方性エッチングを施すことによって形成する。
V字型断面の溝8d、10d、10eは、上面12fに対してサブミクロンの精度で形成される。
次に、図4(b)に示すように、クラッド用ポリマーをスピン塗布すること等により下部クラッド14aの層を形成する。下部クラッド14aを塗布した際、溝8d、10d、10eに入り込んだ下部クラッド14は、僅かに凹み、溝8d、10d、10eの周囲の下部クラッド14は、溝8d、10d、10eに向かって引張られる。上流側溝8dの両側には、上流側溝8a〜8c及び8e〜8gがあり、下流側溝10d、10eの両側には、下流側溝10a〜10c及び10f〜10hがあるので、上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの引張られ方がほぼ同じになる。従って、上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さがほぼ等しくなる。これに対し、上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さと、中間部分24bにおける下部クラッド14aの厚さとは、異なっている。
引続いて、下部クラッド14aの上に、コア用ポリマー等をスピン塗布すること等によりコア14bの層を形成する。
【0050】
次いで、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィ、反応性イオンエッチング(RIE)などのプロセス加工等により、コア14bの層のうち、任意の上流側ポート20及び下流側ポート22間の経路を形成するための矩形断面のコア14bを残し、その他の部分を除去する。上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さがほぼ同じになるので、V字形断面の溝8d、10d、10eに対するコア14bの入口ポート20及び出口ポート22の上下方向位置は、サブミクロンの精度で同じになる。
次いで、図4(d)に示すように、クラッド用ポリマーをスピン塗布すること等により、コア14bを覆うように上部クラッド14cの層を形成する。
次いで、図5(e)に示すように、ダイシング加工等により、上流側凹部12d及び下流側12eを形成する。
その後、光導波路構造体1を1つ1つ切り離す。切り離した光導波路構造体1の上流側溝列8及び下流側溝列10の溝の上に、光ファイバー2、4を支持して位置決めし、光ファイバー2、4を接着剤30によって基板12に固定する(図示せず)。
【0051】
次に、図5及び図6を参照して、光導波路を形成する前の基板を、2つの例を挙げて説明する。図5及び図6においてそれぞれ、図1〜図3の構成要素と対応する構成要素には、記号「’」及び「''」を追加した符号を用いる。
図5は、光導波路が形成される前(図4aの状態)における、本発明による光導波路構造体の基板の第1の例を示す平面図である。
基板12’は、複数の光導波路構造体6’を同時に形成することができるように、4つの上流側溝列8’と、4つの下流側溝列10’と、それらの間に配置された、光導波路を形成する部分12b’とを有している。上流側溝列8’と下流側溝列10’とは、長手方向に交互に設けられている。上流側溝列8’の溝及び下流側溝列10’の溝は、等間隔に配列されている。上流側溝列8’同士の溝及び下流側溝列10’同士の溝はそれぞれ、長手方向に整列している。しかしながら、上流側溝列8’の溝と下流側溝列10’の溝とは、長手方向に対する横方向にずらされて配置されている。具体的には、上流側溝列8’の溝と下流側溝列10’の溝とは、横方向に互い違いに配置されている。光導波路を形成する部分12b’の上に光導波路のコア14b’を積層させることによって、任意の種類の光導波路、例えば、光スプリッタ及び光結合器50、光合分波器52、ピッチコンバータ54等のための光導波路を任意の箇所に形成することが可能である。
【0052】
また、図6は、光導波路が形成される前(図4aの状態)における、本発明による光導波路構造体の基板の第2の例を示す平面図である。
基板12''は、複数の光導波路構造体6''を同時に形成することができるように、3つの上流側溝列8''と、2つの下流側溝列10''と、それらの間に配置された、光導波路を形成する部分12b''とを有している。上流側溝列8''と下流側溝列10''とは、上流側溝列8''を両端にして長手方向に交互に設けられている。下流側溝列10''及びその間に配置された上流側溝列8''の溝の長手方向長さは、両端に配置された上流側溝列8''の溝の長手方向長さの2倍である。上流側溝列8''の溝及び下流側溝列10''の溝は、等間隔に配列されている。上流側溝列8''同士の溝及び下流側溝列10''同士の溝はそれぞれ、長手方向に整列している。しかしながら、上流側溝列8''の溝と下流側溝列10''の溝とは、長手方向に対する横方向にずらされて配置されている。具体的には、上流側溝列8''の溝と下流側溝列10''の溝とは、横方向に互い違いに配置されている。光導波路を形成する部分12b''の上に光導波路のコア14b''を積層させることによって、任意の種類の光導波路、例えば、光スプリッタ及び光結合器50、光合分波器52、ピッチコンバータ54等のための光導波路を任意の箇所に形成することが可能である。
【0053】
次に、本発明の第1の実施形態である光導波路構造体6における下部クラッド14aの厚さと、従来の光導波路構造体106の下部クラッド114aの厚さの測定結果を説明する。
本発明による光導波路構造体6においても従来の光導波路構造体106においても、V字型断面の溝8、108のピッチは、250μmとし。クラッド層に用いたポリマーを、フッ素化ポリイミドとした。下部クラッド14a、114aの厚さは、測定位置近傍の下部クラッドを一部除去し基板面を露出させた部分を基準として、接触型膜厚計(蝕針式表面形状測定装置を用いて測定した。
本発明による光導波路構造体1では、上流部分24a、中間部分24b、下流部分24c(図1参照)において、下部クラッド14aの厚さを測定した。中間部分24aの下部クラッド14aの厚さに対する上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さの差はそれぞれ、平均−0.07μm及び−0.10μmであり、その標準偏差はそれぞれ、0.13及び0.08であった。従って、上流部分24aにおける下部クラッド14aの厚さと下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さの差は、0.03μmであった。
従来の光導波路構造体306では、上流部分324a、中間部分324b、下流部分324c(図1参照)において、下部クラッド314aの厚さを測定した。中間部分324bの下部クラッド314aの厚さに対する上流部分324a及び下流部分324cにおける下部クラッド314aの厚さの差はそれぞれ、平均+0.07μm及び−0.06μmであり、その標準偏差はそれぞれ、0.20及び0.27であった。従って、上流部分324aにおける下部クラッド314aの厚さと下流部分324cにおける下部クラッド314aの厚さの差は、0.13μmであった。
両者を比較することにより、本発明による光導波路構造体6は、従来の光導波路構造体306よりも、上流部分24a及び下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さ自体の標準偏差が小さく、しかも、上流部分24aにおける下部クラッド14aの厚さと下流部分24cにおける下部クラッド14aの厚さの差が小さいことが確認された。
【0054】
次に、本発明の第1の実施形態である光導波路構造体6を含む光導波路型光モジュール1における周囲温度の変化による挿入損失の変動と、従来の光導波路構造体306を含む光導波路型光モジュール300における周囲温度の変化による挿入損失の変動の測定結果を説明する。
図7は、周囲温度を+25℃から+85℃まで上げた後、−40℃まで下げ、その後、+25℃まで戻したときの、本発明による光導波路構造体6を含む光導波路型光モジュール1の挿入損失変動を示す図である。図8は、図7と同様に周囲温度を変化させたときの、従来の光導波路構造体306を含む光導波路型光モジュール300の挿入損失変動を示す図である。
図7及び図8から分かるように、波長が1550nmの光であっても1310nmの光であっても、本発明による光導波路構造体6を含む光導波路型光モジュール1は、従来の光導波路構造体306を含む光導波路型光モジュール300よりも、−40℃〜+85℃の範囲の周囲温度の変化に対する挿入損失変動が少なかった。
【0055】
次に、図9〜図12を参照して、本発明による光導波路構造体の第2の実施形態を詳細に説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュールスプリッタの平面図である。また、図10は、図9の線X−Xにおける部分的な拡大断面図であり、図11は、図9の線XI−XIにおける拡大断面図である。図12は、図9の線XII−XIIにおける拡大断面図である。
【0056】
図9〜図12に示すように、光導波路型光モジュール100は、長手方向に延びる1本の上流側光ファイバー102と、長手方向に延び、上流側光ファイバー102と長手方向に間隔を隔て且つ互いに横方向に配列された8本の下流側光ファイバー104と、上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104を支持すると共に1本の上流側光ファイバー102を伝搬してきた光を8本の下流側光ファイバー104に伝達するための光導波路構造体106とを有している。光導波路型光モジュール100は、更に、上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104をそれぞれ光導波路構造体106に向かって押える上流側押えリッド108a及び下流側押えリッド108bと、上流側押えリッド108aと光導波路構造体106との間に挟持された挟持部材110と、光ファイバー102,104、光導波路構造体106、押えリッド108a、108b及び挟持部材110を互いに固定するためにそれらの間に充填された接着剤112と、を有している。
上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104はそれぞれ、それらの長手方向に延びるコア102a、104aを有している。光ファイバーの直径は、例えば、125μmである。
【0057】
光導波路構造体106は、基板114と、基板114の上に一体に形成された光導波路116とを有している。
光導波路116は、光ファイバー102、104間の任意の経路をするように成形されたコア116aと、その周りに配置されたクラッド116bを含んでいる。本実施形態では、光ファイバー102、104間の光の伝達のために、上流側光ファイバー102と整列する1つの上流側ポート120と、下流側光ファイバー104と整列する8つの下流側ポート122とを有している。光導波路116のコア116aは、1つの上流側ポート120から下流側に向かうにつれて分岐して、8つの下流側ポート122まで延びている。コア116a及びクラッド116bは、例えば、フッ素化ポリイミドで形成されている。
【0058】
基板114は、上流側光ファイバー102を支持するための上流部114aと、上流部114aと隣接し且つ光導波路116が一体に形成された中央部114bと、下流側光ファイバー104を支持するための下流部114cとを有している。上流部114aと中央部114bとの間には、上方向及び横方向に開口した上流側凹部114dが設けられ、中央部114bと下流部114cとの間には、上方向及び横方向に開口した下流側凹部114eが設けられている。基板114は、例えば、シリコンで形成される。
基板114の上流部114aは、横幅Wを有する上面124を有し、この上面124に、光導波路116のコア116aの上流側ポート120と長手方向に整列し且つ上流側光ファイバー102を支持して位置決めするための1つの支持溝126が設けられている。同様に、基板114の下流部114cは、横幅Wを有する上面128を有し、この上面128に、光導波路116のコア116aの下流側ポート122と長手方向に整列し且つ下流側光ファイバー104を支持して位置決めするための8つの支持溝130が設けられている。支持溝126、130は、その上に光ファイバー102、104を支持して位置決めしたときに光ファイバー102、104のコア102a、104aと光導波路116のコア116aとが整列するように形成された断面形状を有し、本実施形態では、V字形断面を有している。また、上流側の支持溝126は、上面124の横幅に対する中心線WC上に、配置されている(図9参照)。
また、上流部114aの上面124には、中心線WCの横方向の一方の側及び他方の側にそれぞれ、光導波路116のコア116aの上流側ポート120とずらされて配置された非支持溝132a、132bが設けられている。非支持溝132a、132bは、支持溝126と同じ断面形状を有している。
【0059】
上流側押えリッド108aは、基板114と同じ横幅Wを有している。図10に示すように、押えリッド108aは、下面134を有し、この下面134には、長手方向に上流側光ファイバー102と接触して上流側光ファイバー102を基板114に向かって押えるための接触溝136が設けられている。かくして、接触溝136は、支持溝126と対向している。本実施形態では、接触溝136は、V字形断面を有している。また、下面134には、非支持溝132a、132bと対向する対向溝138が設けられている。対向溝138は、接触溝136と同じ断面形状を有している。更に、下面134には、接触溝136と同じ断面形状を有する溝140が設けられている。これらの溝136、138、140は、等間隔に設けられている。また、上流側押えリッド108aは、その重心を通り且つ長手方向に延びる中心線108cを有している。
下流側押えリッド108bは、対向溝138及び溝140がなく、接触溝136が基板114の下流部114cの上面128の支持溝130に対向して8つ設けられていること以外、上流側押えリッド108aと同様の構成を有している。このため、同様の構成要素に上流側押えリッド108aと同じ参照符号を付し、下流側押えリッド108bの説明を省略する。
【0060】
挟持部材110は、光ファイバー102、104と同じ断面形状を有し、基板114の上流部114aの非支持溝132a、132bと押え部材108aの対向溝138との間に挟持されている。挟持部材110は、光ファイバーと同等の熱膨張係数を有する材料であることが好ましい。また、挟持部材110は、光ファイバーと同等の弾性率を有する材料であることが好ましい。そうすることで、周囲温度が変動したときの軸ずれ・チルト・ギャップ変動など、光導波路型光モジュール100の挿入損失変動の要因となる現象を抑えることができ、その結果、かかる挿入損失変動を低減できる。かくして、挟持部材110は、光ファイバーであることが好ましい。
【0061】
上流光ファイバー102は、上流側凹部114dの上に突出し且つ光導波路116の上流側ポート120に近接するように、上流部114aの支持溝126に支持されて位置決めされている。
同様に、下流側光ファイバー104は、下流側凹部114eの上に突出し且つ光導波路116の下流側ポート122に近接するように、下流部114cの支持溝130に支持されて位置決めされている。上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104は、基板114、光導波路116及び押えリッド108a、108bに接着剤112によって固定されている。接着剤112は、例えば、紫外線硬化型樹脂である。
図11では、リッドにV字形の溝が形成された場合を示しているが、溝の形状はU字形であってもよいし、溝がないフラットなリッドであってもよい。また、リッドが取り除かれていてもよい。すなわち、光導波路コアに光を伝搬できるように配置された光ファイバー以外に、光を伝達でき、対象となる光導波路コアが配置されていない光ファイバーが固定されるように接着された後、光ファイバー群を整列、押し付け、固定する目的で用いられたジグ等が取り除かれる方法によって、光ファイバー群が整列溝に実装されてもよい。
【0062】
次に、光導波路型光モジュール100の動作を説明する。
1本の上流側光ファイバー102を通って伝搬してきた光は、上流側ポート120から光導波路116に伝達され、下流側に進行につれて分岐され、8つの下流側ポート122から8本の下流側光ファイバー104に伝達される。従って、光導波路型光モジュール100は、光スプリッタとして機能する。なお、光を下流側光ファイバー104から上流側光ファイバー102に逆方向に進行させることもでき、その場合、光導波路型光モジュール100は、光結合器として機能する。
【0063】
〔製造方法〕
次に、本発明の第2の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路構造体の製造方法の一例を説明する。
シリコン、高分子材料等で作られた基板114を準備し、V字形断面の支持溝126、130及び非支持溝132a、132bを、フォトリソグラフィにより作成したレジストパターンに従って異方性エッチングを施すことによって形成する。V字型断面の支持溝126、130及び非支持溝132a、132bは、基板114に対してサブミクロンの精度で形成される。このように、非支持溝132a、132bと支持溝126、130とは、いずれも同じ断面形状を有し、同一基板上に同一工程にて形成されることが好ましい。こうすることで、非支持溝132a、132bと支持溝126、130との間の製造のばらつきによる寸法ずれを低減することが可能である。その結果、支持溝126、130を形成する工程と別の工程で非支持溝132a、132bを形成したり、支持溝126、130の寸法と別の寸法の非支持溝132a、132bを使用したりする場合に比べて、挿入損失変動の低減効果が大きくなる。
次いで、支持溝126、130及び非支持溝132a、132bを形成した基板114に光導波路116を形成する。詳細に説明すると、光導波路106を高分子材料で形成する場合には、スピン塗布や鋳型などによりクラッド層116b及びその上のコア116a層を形成した後、フォトリソグラフィ、反応性イオンエッチングなどのプロセス加工や、型押し等の機械加工を施してコア層から矩形断面の光導波路コア116aを形成し、更に、上記と同様の方法により光導波路コア116aを覆うようにクラッド層116bを形成して、光導波路116を形成する。また、光導波路116を石英で形成する場合には、火炎堆積法やCVD法などにより基板114の上に石英層を形成し、ドライエッチングなどのプロセス加工により矩形の石英コア116aにした後、コア116aを覆うようにクラッド層116bを形成して、光導波路116を形成する。支持溝126及び非支持溝132a、132bの形成工程及び光導波路106の形成工程は、光ファイバー102、104を支持溝126に載せたときに光ファイバー102、104と光導波路116のコア116aとがサブミクロンの精度で位置合わせされる位置関係が得られるように行われる。次いで、ダイシング加工等により、上流側凹部114d及び下流側凹部114eを形成する。
次いで、基板114の支持溝126、130、非支持溝132a、132b及び上面124、128に適量の接着剤112を塗布する。光ファイバー102、104がそれぞれ上流側凹部118及び下流側凹部120に突出するように、光ファイバー102、104を支持溝126、130に配置する。また、挟持部材110を非支持溝132a、132bに配置する。押えリッド108a、108bを光ファイバー102、104の上から所定の圧力で所定時間押すことにより、光ファイバー102、104を支持溝126、130に固定する。このとき、押えリッド108a、108bと基板114との間に気泡が入らないように注意する。
【0064】
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施形態である光導波路構造体を説明する。図13は、本発明の第3の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュール(ピッチコンバータ)の平面図である。
ピッチコンバータ140は、図9〜図12に示した本発明の第2の実施形態である光導波路構造体を含む光導波路型光モジュール100と共通する構成要素を有しているので、共通する構成要素を同じ参照符号で参照し、その説明を省略する。上述した光導波路型光モジュール100に対するピッチコンバータ140の相違点は、上流側光ファイバー102が4本であり、各上流側光ファイバー102の間に挟持部材110が配置され、4本の下流側光ファイバー104が等間隔に配置され、その両側に挟持部材110が2本ずつ下流側光ファイバー104と等間隔に配置され、光導波路116のクラッド116bが、各上流側光ファイバ−102から1対1で下流側光ファイバ−104に延びており、上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104に対応する基板114及び押えリッド108a、108bの位置に、支持溝126、130(図13に示さず)及び接触溝136(図13に示さず)が構成され、挟持部材110に対応する基板114及び押えリッド108a、108bの位置に、非支持溝132a、132b(図13に示さず)及び対向溝138(図13に示さず)が構成されていることである。
このように構成されたピッチコンバータ140の下流側押えリッド108bにおいて、4つの挟持部材110がない場合、下流側光ファイバー104が配置されている領域に支持されている下流側押えリッド108bと基板112とは略平行であるが、4本の下流側光ファイバー104の両側に比較的大きい領域、例えば、下流側光ファイバー104のピッチよりも大きい領域が存在するとき、下流側押えリッド108bが基板112に対して僅かに横方向に傾くことがある。本実施形態では、挟持部材110を両側の領域に設けることにより、下流側押えリッド108の基板に対する傾きを抑制することができる。
【0065】
次に、図14〜図16を参照して、本発明の第4の実施形態である光ファイバーアレイを詳細に説明する。
図14は、本発明の第4の実施形態である光ファイバーアレイと光導波路とを結合した光モジュールの平面図である。また、図15は、図14の線XV−XVにおける部分的な拡大断面図であり、図16は、図14の線XVI−XVIにおける拡大断面図である。
【0066】
図14〜図16に示すように、光モジュール150は、長手方向に延びる1本の上流側光ファイバー152を含む、本発明による光ファイバーアレイ154と、上流側光ファイバー152と接続される光導波路構造体156と、光導波路構造体156と接続され且つ互いに横方向に配列された8本の下流側光ファイバー158を含む光ファイバーアレイ160と、光ファイバーアレイ154、160と光導波路構造体とを固定するための接着剤162とを有している。
上流側光ファイバー152及び下流側光ファイバー158はそれぞれ、上述した第2の実施形態の上流側光ファイバー102及び下流側光ファイバー104と同様の構造を有しているので、同様の構成要素には、同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
光導波路構造体156は、基板164と、その上に一体に形成された光導波路166とを有している。基板164及び光導波路166はそれぞれ、第2の実施形態の基板114の中間部114b及び光導波路116と同様の構成要素を有しているので、同様の構成要素には同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
光ファイバーアレイ154は、上流側光ファイバー152を支持する基板168と、上流側光ファイバー152を基板168に向かって押える上流側押えリッド170と、基板168と上流側押えリッド170との間に挟持された挟持部材172とを有している。基板168、上流側光ファイバー152及び上流側押えリッド170はそれらの間の空間に充填された接着剤174によって互いに固定されている。基板168、上流側押えリッド170、挟持部材172及び接着剤174はそれぞれ、第2の実施形態の基板114の上流部114a、上流側押えリッド108a、挟持部材110及び接着剤112と同様の構成を有しているので、同様の構成には同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
また、光ファイバーアレイ160は、下流側光ファイバー158を支持する基板176と、下流側光ファイバー158を基板176に向かって押える下流側押えリッド178と、を有している。基板176、下流側光ファイバー158及び下流側押えリッド178は、それらの間の空間に充填された接着剤180によって互いに固定されている。基板176、下流側押えリッド178及び接着剤180はそれぞれ、第2の実施形態の下流側押えリッド108b、基板114の下流部114c及び接着剤112と同様の構成を有しているので、同様の構成には同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
次に、本発明の第4の実施形態である光ファイバーアレイの製造方法の一例を説明する。
光ファイバーアレイ154の製造方法は、第2の実施形態の光導波路構造体の製造方法のうちの光導波路を形成する工程を省略すること以外、かかる製造方法と同様である。従って、その説明を省略する。通例の光ファイバーアレイの製造方法に従って、端面を切り出した後、研磨加工してもよい。
【0069】
以上、本発明による実施形態である光ファイバー構造体を説明したけれども、本発明は、この実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内での種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されることは言うまでもない。
上述した実施形態では、光導波路型光モジュールを光スプリッタとして説明したが、任意の光導波路を採用することができ、光結合器、光合分波器、ピッチコンバータ等であっても良い。この場合、用語「上流側」及び「下流側」は必ずしも光の流れ方向を表すことにならず、逆方向になることがある。
また、第1の実施形態では、上流側溝列8及び下流側溝列10の各溝の断面をV字形断面としたが、光ファイバーを支持して位置決めすることができる形状の断面であれば、U字形、矩形等、その他の断面であっても良い。また、光ファイバーが配置されない溝の形状及び幅、長さ、深さ等の寸法は、任意のポートにおける下部クラッド層の厚さを他のポートの下部クラッド層の厚さに近づけることができれば任意である。
また、第1の実施形態では、上流側光ファイバーの数よりも下流側光ファイバーの数が多い場合を説明したが、従来よりも挿入損失を小さくすることができれば、上流側光ファイバーの数と下流側光ファイバーの数とが同数であっても良い。
また、第1の実施形態では、光導波路構造体6に配置される上流側光ファイバーが1本である場合を説明し、その場合に、挿入損失を小さくする効果が大きいと考えられるが、従来よりも挿入損失を小さくすることができれば、上流側光ファイバーの本数は2本以上であっても良い。
また、第1の実施形態では、上流側溝列8及び下流側溝列10の溝を、光導波路構造体6の横幅全体にわたって設けたが、その一部分に設けられていても良い。例えば、上流側溝列8において、溝8c、8dだけ又は溝8c、8d、8eだけを設けて、他の溝8a、8b、(8e)、8f、8gを省略しても良い。
また、第1の実施形態では、上流側溝列8及び下流側溝列10の溝はすべて等間隔に配置されていたが、任意のポートにおける下部クラッド層の厚さを他のポートの下部クラッド層の厚さに近づけることができれば、溝の間隔は任意である。例えば、上流側溝列8において、溝8cと8dの間隔及び溝8dと8eの間隔を下流側溝列の溝列10の溝の間隔と同じにし、他の溝8aと8b等の間隔をそれよりも大きくしても良い。また、上流側溝列の溝の間隔を下流側溝列の溝の間隔と異なる間隔にしても良い。
また、第1の実施形態では、下流側溝列10の溝10a〜10hのすべてに下流側光ファイバー4が配置されていたけれども、下流側光ファイバーが配置されない溝があっても良い。
また、第1の実施形態では、上流側溝列8の溝と下流側溝列10の溝とは、横方向にずらされていたが、漏れ光が無視できる程度であれば、両者が対向するように配置されていても良い。
【0070】
また、第2〜第4の実施形態では、支持溝126、130及び非支持溝132a、132bの各溝の断面をV字形断面としたが、光ファイバーを支持して位置決めすることができる形状の断面であれば、U字形、矩形等、その他の断面であっても良い。
また、第2〜第4の実施形態では、上流側押えリッド108a、170の接触溝136は、V字形断面を有しているが、上流側光ファイバー102、152を押えることができれば、U字形、矩形等の任意の断面形状をとることができる。また、上流側光ファイバー102、152を押えることができれば、下面134に接触溝136がなくても良い。また、上流側押えリッド108a、170は、上述した実施形態のように、上流側光ファイバー102、152と直接接触していても良いし、上流側光ファイバー102、152と間隔をおきその間に接着剤112を介在していても良い。
また、第2及び第4の実施形態では、上流側光ファイバー102、152を支持する支持溝126は、上面124の横方向中心に設けられていたが、上流側押えリッド108a、170の中心線108cが、支持溝と非支持溝の間にあれば、支持溝126は、中心に設けられていなくても良いし、中心線108cの横方向の一方の側に複数設けられていても良い。
また、第2及び第4の実施形態では、挟持部材110、172を2つ設けたが、1つだけ設けても良いし、3つ以上設けても良い。その場合、非支持溝132a、132b及び対向溝138が挟持部材10,72の数に応じて設けられる。しかしながら、挟持部材10、72の数よりも多い非支持溝132a、132b及び対向溝138を設けても良い。
【符号の説明】
【0071】
2 上流側光ファイバー
2a コア
4 下流側光ファイバー
4a コア
6 光導波路構造体
8 上流側溝列
8a〜8g 溝
10 下流側溝列
10a〜10h 溝
12 基板
14 光導波路
14a 下部クラッド
14b コア
20 上流側ポート
22 下流側ポート
100 光導波路型光モジュール
102 上流側光ファイバー
102a コア
106 光導波路構造体
108a 上流側押えリッド
110 挟持部材
112 接着剤
114 基板
114a 基板の上流部
116 光導波路
116a コア
124 上面
126 支持溝
132a、132b 非支持溝
152 上流側光ファイバー
154 光ファイバーアレイ
168 基板
170 上流側押えリッド
172 挟持部材
174 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延び且つ横方向に配列された溝からなる第1の溝列及び第2の溝列が互いに長手方向に間隔を隔てて設けられた基板と、前記第1の溝列と前記第2の溝列との間の前記基板の上に積層された光導波路と、を有する光導波路構造体であって、
前記光導波路は、前記基板の上に積層されたクラッドと、このクラッドの上に積層されたコアと、を含み、前記光導波路のコアは、光ファイバーを前記第1の溝列及び前記第2の溝列の溝の上に支持して位置決めしたときに光ファイバーのコアと上下方向に同じレベルで整列するように形成されると共に、前記第1の溝列及び前記第2の溝列に位置決めされる光ファイバー間の光の伝達のために、前記第1の溝列の溝と整列する少なくとも1つの第1のポートと、前記第2の溝列の溝と整列する、前記第1のポートと同数の又はそれよりも多い第2のポートと、を有し、
前記第1の溝列の溝数に対する前記第2の溝列の溝数の比が、前記第1のポートの数に対する前記第2のポートの数に対する比よりも小さいことを特徴とする光導波路構造体。
【請求項2】
前記第2の溝列の溝は、等間隔に設けられ、前記第1の溝列は、前記第1のポートの1つと整列する整列溝と、この整列溝の両側に隣接し且つそれから横方向に等間隔に配置された2つの横側溝とを含み、この横側溝のうちの少なくとも一方は、前記第1のポートのどれからもずらされて配置されることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造体。
【請求項3】
前記整列溝と前記横側溝との間の間隔は、前記第2の溝列の溝の間隔と同じであることを特徴とする請求項2に記載の光導波路構造体。
【請求項4】
前記第1の溝列及び前記第2の溝列は、前記光導波路構造体の横幅全体にわたって等間隔に設けられ、前記第1の溝列の溝の間隔と前記第2の溝列の溝の間隔とは同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路構造体。
【請求項5】
前記第1の溝列の溝と前記第2の溝列の溝とは、互いに横方向にずらされて互い違いに配置されることを特徴とする請求項4に記載の光導波路構造体。
【請求項6】
前記光導波路のクラッド及びコアは、ポリマーで形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光導波路構造体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の光導波路構造体と、
前記第1のポートと整列するように前記第1の溝列の溝に位置決めされた第1の光ファイバーと、
前記第2のポートに整列するように前記第2の溝列の溝に位置決めされた第2の光ファイバーと、を有することを特徴とする光導波路型光モジュール。
【請求項8】
長手方向に延びる溝を有する基板と、前記溝と長手方向に隣接して前記基板の上に積層された光導波路と、を有する光導波路構造体であって、
前記光導波路は、前記基板の上に積層されたクラッドと、このクラッドの上に積層されたコアと、を含み、前記光導波路のコアは、前記溝に位置決めされる光ファイバーのコアと前記光導波路のコアとの間で光が伝達されるように設けられた少なくとも第1のポート及び第2のポートを有し、
前記溝は、前記第1のポートと整列した第1の整列溝と、前記第1の整列溝と横方向に隣接して配置された隣接溝と、前記第2のポートと整列した第2の整列溝と、前記第2のポートにおけるクラッドの厚さを前記第1のポートにおけるクラッドの厚さに近づけるように、前記第2の整列溝と横方向に隣接し且つ前記ポートのどれからもずらされて設けられた非整列溝と、を含むことを特徴とする光導波路構造体。
【請求項9】
光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体であって、
長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、
前記基板の支持部分に隣接して前記基板と一体に形成され、前記支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、を有し、
前記支持部分は、横幅を有する上面を含み、この上面には、その横幅に対する中心線の上又はその横方向の一方の側に、前記光導波路のコアと長手方向に整列し且つ光ファイバーを支持するための整列溝が設けられ、少なくとも前記中心線の上又は他方の側に、前記光導波路のコアとずらされて配置され且つ前記整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝が設けられることを特徴とする光導波路構造体。
【請求項10】
前記整列溝は、前記中心線上に1つ設けられ、前記非整列溝は、前記整列溝の横方向両側に設けられることを特徴とする請求項9に記載の光導波路構造体。
【請求項11】
長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、
前記基板の支持部分に隣接して前記基板と一体に形成され、前記支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、
前記支持部分に支持された光ファイバーと、
前記光ファイバーを前記基板の支持部分に向って押える押え部材と、
前記光ファイバーを前記支持部分に固定するために、前記支持部分、前記光ファイバー及び前記押え部材の間の空間に充填された接着剤と、を有し、
前記支持部分は、上面を含み、この上面には、前記押え部材の重心を通り且つ長手方向に延びる中心線の上又はその横方向の一方の側に、前記光導波路のコアと長手方向に整列し且つ前記光ファイバーを支持する支持溝が設けられ、少なくとも前記中心線の上又は他方の側に、前記光導波路のコアとずらされて配置され且つ前記支持溝と同じ断面形状を有する非支持溝が設けられ、
更に、前記非支持溝と前記押え部材との間に挟持され且つ前記光ファイバーと同じ断面形状を有する挟持部材を有することを特徴とする光導波路型光モジュール。
【請求項12】
光導波路と結合することにより光モジュールを構成する光ファイバーアレイであって、 長手方向に延びる光ファイバーを支持する支持基板と、
前記支持基板に支持された光ファイバーと、
前記光ファイバーを前記支持基板に向って押える押え部材と、
前記光ファイバーを前記支持基板に固定するために、前記支持基板、前記光ファイバー及び前記押え部材の間の空間に充填された接着剤と、を有し、
前記支持基板は、上面を含み、この上面には、前記押え部材の重心を通り且つ長手方向に延びる中心線の上又は一方の側に、前記光ファイバーを支持する支持溝が設けられ、少なくとも前記中心線の上又は他方の側に、前記支持溝と同じ断面形状を有する非支持溝が設けられ、
更に、前記光ファイバーと同じ断面形状を有し且つ前記基板の非支持溝と前記押え部材との間に挟持される挟持部材を有することを特徴とする光ファイバーアレイ。
【請求項13】
光導波路型光モジュールの構成要素である光導波路構造体であって、
長手方向に延びる光ファイバーを支持するための支持部分を有する基板と、
前記基板の支持部分に隣接して前記基板と一体に形成され、前記支持部分に支持される光ファイバーとの間で光を伝達するためのコアを含む光導波路と、を有し、
前記支持部分は、横幅を有する上面を含み、この上面は、前記光導波路のコアと長手方向に整列し且つ光ファイバーを支持するための整列溝が複数設けられた、前記上面の横幅に対する中心線を含む領域と、その両側の領域とを有し、前記両側の領域には、前記光導波路のコアとずらされて配置され且つ前記整列溝と同じ断面形状を有する非整列溝が設けられることを特徴とする光導波路構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−169448(P2009−169448A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113840(P2009−113840)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【分割の表示】特願2005−518116(P2005−518116)の分割
【原出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】