光電気変換装置
【課題】温度変化による装置の変形を抑えることが可能な光電気変換装置を提供する。
【解決手段】電気信号を光信号に変換する発光素子4Aと、この発光素子4Aに電気信号を送信するためのIC回路50Aと、発光素子4Aが実装されるマウント基板3と、外部コネクタ7と着脱可能な電気コネクタ6と、発光素子4Aと光学的に結合する導波路9とを備え、電気コネクタ6は、マウント基板3の発光素子4AおよびIC回路50Aが実装される一方面3aに設けられた光電気変換装置1Bであって、マウント基板3と電気コネクタ6との間には、電極パターンを変更するインターポーザ基板8が設けられ、このインターポーザ基板8が、マウント基板3と同一のシリコン樹脂により形成されている。
【解決手段】電気信号を光信号に変換する発光素子4Aと、この発光素子4Aに電気信号を送信するためのIC回路50Aと、発光素子4Aが実装されるマウント基板3と、外部コネクタ7と着脱可能な電気コネクタ6と、発光素子4Aと光学的に結合する導波路9とを備え、電気コネクタ6は、マウント基板3の発光素子4AおよびIC回路50Aが実装される一方面3aに設けられた光電気変換装置1Bであって、マウント基板3と電気コネクタ6との間には、電極パターンを変更するインターポーザ基板8が設けられ、このインターポーザ基板8が、マウント基板3と同一のシリコン樹脂により形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子を備えた光電気変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光電気変換装置としては、例えば特許文献1の図9に記載されているように、電気信号を光信号に変換して発光する発光素子と、この発光素子に電気信号を送信するためのIC回路が形成され、発光素子が発光する側と反対側から一方面に実装される基板と、発光素子から基板の一方面と直交する方向に延びるように配設されて、発光素子が発光する光を伝送する導波路とを備えたものが知られている。なお、前記発光素子に代えて、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子を用いることも可能である。
【0003】
また、特許文献1の図9に記載された光電気変換装置では、基板の他方面に、配線基板に設けられた雌型の電気コネクタと着脱可能な雄型の電気コネクタが設けられており、これらの電気コネクタ同士が接続されることによって、基板と配線基板とが電気的に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−42170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記のような構成では、導波路が発光素子から基板の一方面と直交する方向に延びるように配設されているため、装置全体の高さはかなり高くなる。
【0005】
ここで、特許文献1の図3に記載されているように、基板の端面に電気コネクタを設けて、発光素子の発光する方向を配線基板と平行な方向にすることも考えられるが、このようにしても少なくとも発光素子の大きさ分や制御IC素子の大きさ分の装置高さが必要になるため、装置高さをあまり抑えることはできない。
【0006】
そこで、本出願の出願人は、装置の低背化を図ることができるようにするために、光素子を発光する側または受光する側からマウント基板の一方面に実装し、このマウント基板に光素子用のIC回路を設けるとともにマウント基板の一方面またはその反対側の他方面に外部コネクタと着脱可能な電気コネクタを設け、さらに光素子と光学的に結合する導波路をマウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けた光電気変換装置を提案した。
【0007】
この光電気変換装置であれば、マウント基板の板厚方向における装置全体の高さを抑えることができ、装置の低背化を図ることができる。
【0008】
このような光電気変換装置においては、マウント基板と電気コネクタとの間にインターポーザ基板(中間基板)を配し、該インターポーザ基板により電極パターンを変換してマウント基板と電気コネクタとを電気的に接続することが考えられるが、このようにすると構成部材数が増加することによって温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなるため、装置の変形を抑えることが望まれる。
【0009】
本発明は、このような要望に鑑み、温度変化による装置の変形を抑えることが可能な光電気変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、電気信号を光信号にまたは光信号を電気信号に変換する光素子と、この光素子に電気信号を送信するまたは光素子から電気信号を受信するためのIC回路と、前記光素子が実装されるマウント基板と、外部コネクタと着脱可能な電気コネクタと、前記光素子と光学的に結合する導波路とを備え、前記電気コネクタは、前記マウント基板の前記光素子および前記IC回路が実装される一方面またはその反対側の他方面に設けられ、前記導波路は、前記マウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けられた光電気変換装置であって、前記マウント基板と前記電気コネクタとの間には、電極パターンを変更する中間基板が設けられ、前記中間基板が、前記マウント基板と略等しい線膨張率の材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光電気変換装置において、前記中間基板が、前記マウント基板の一方面に面接触して設けられ、前記中間基板の前記マウント基板との対向面には、前記マウント基板上の前記光素子および前記IC回路を内部に収容可能な凹部が設けられており、前記中間基板の凹部の周辺には、前記マウント基板に接触して該マウント基板に電気的に接続される貫通配線が配されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光電気変換装置において、前記マウント基板は、シリコンにより形成されており、前記中間基板は、シリコン、ガラスおよびセラミックスからなるグループより選択される材料により形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、中間基板の線膨張率がマウント基板の線膨張率に略等しいことから、中間基板を設けることで当該装置の構成部材数が増加したとしても温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなることがない。これにより、中間基板を設けた場合にも装置の変形を抑制することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、光素子およびIC回路を収容する凹部を中間基板に設け、該凹部の周辺に配した貫通配線により中間基板をマウント基板に直接電気的に接続することで、両基板を電気的に接続する役割を担う半田ボールが不要となるので、部材の削減および装置の低背化を図ることができる。また、この場合、半田ボール等を用いずにマウント基板と中間基板とを直接接続することによって両基板の接合信頼性を向上させることができる。
【0015】
また、光素子およびIC回路を凹部に収容したので、光素子およびIC回路をマウント基板と中間基板とで密封して湿気や埃等から保護することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、中間基板をシリコンにより形成した場合、中間基板の線膨張率をマウント基板の線膨張率と等しくすることができるので、装置の変形をより確実に抑制することができる。また、中間基板の電気コネクタとの対向面に、電気コネクタの電極に対応する配線パターンを容易に形成することができる。また、凹部が異方性エッチング等の手法を用いて低コストで且つ高精度に形成することができる。また、当該装置の製造工程におけるシリコンプロセスで、マウント基板と中間基板とを一貫してウェハレベルで作製することができるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0017】
また、中間基板をガラスにより形成した場合、光素子やIC回路で発生する熱に対する放熱性を向上させることができる。
【0018】
また、中間基板をセラミックスにより形成した場合、高周波特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
まず、図1〜図7を参照して、本出願人が以前に提案した光電気変換装置1Aを参考例として説明する。この光電気変換装置1Aは、一の配線基板2に電気コネクタ6,7同士の嵌合によって装着される発光側光電気変換部(E/Oモジュールともいう)1A1と、他の配線基板2に同じく電気コネクタ6,7同士の嵌合によって装着される受光側光電気変換部(O/Eモジュールともいう)1A2と、これらの変換部1A1,1A2を光学的に連結する外部導波路9とを備えている。
【0021】
なお、本明細書では、図1の上下方向を上下方向、図1の紙面と直交する方向を左右方向というとともに、発光側光電気変換部1A1に対しては図1の右側を前方、左側を後方といい、受光側光電気変換部1A2に対しては図1の左側を前方、右側を後方という。
【0022】
発光側光電気変換部1A1は、平面視で前後方向に延びる長方形状をなすマウント基板3を備えている。このマウント基板3の下面となる一方面3aには、図2に示すように、電気信号を光信号に変換して発光する発光素子4Aと、この発光素子4Aに電気信号を送信するためのIC回路50Aが形成されたIC基板5Aとが実装されているとともに、これら4A,5Aを下方から覆うようにヘッダ型電気コネクタ(以下、単に「ヘッダ」という)6が設けられている。また、マウント基板3の一方面3aには、発光素子4Aの駆動用電源ラインや信号ラインが配線パターン36で形成されている(図4参照)。さらに、マウント基板3には、発光素子4Aの真上となる位置に発光素子4Aが発光する光の光路を略90°変換するミラー部33が設けられているとともに、発光素子4Aと光学的に結合する内部導波路31がミラー部33からマウント基板3の前端面3bまで延びるように設けられている。
【0023】
発光素子4Aは、上下方向に扁平な正方形板状の形状を有し、上面から上方に発光するものであり、発光する側からマウント基板3の一方面3aに実装されている。この発光素子4Aとしては、半導体レーザーであるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が採用されている。IC基板5Aは、VCSELを駆動させるドライバICであり、上下方向に扁平な正方形板状の形状を有し、発光素子4Aの近傍に配置されている。そして、発光素子4AおよびIC基板5Aは、金または半田からなるバンプ11(図3参照)でマウント基板3の配線パターン36に接続されている。なお、発光素子4Aとしては、LED等も採用可能であるが、LED等はVCSEL等のレーザーダイオードに比べて高速発振が難しく、数百MHz以下の伝送帯域での使用が条件となり、その場合には低価格という点で有利である。
【0024】
マウント基板3は、実装時の熱の影響や使用環境による応力の影響を避けるために、剛性が必要である。また、光伝送の場合は、発光素子から受光素子までの光伝送効率が必要になるので、光素子を高精度に実装することや使用中の熱影響による位置変動を極力抑制する必要がある。このため、マウント基板3としては、シリコン基板が採用されている。また、マウント基板3は、発光素子4Aと線膨張係数の近い材料で構成されていることが好ましく、シリコン以外には、VCSEL材料と同系統のGaAs等の化合物半導体や窒化アルミ等のセラミックで構成されていてもよい。
【0025】
ミラー部33は、マウント基板3がエッチングされることにより形成された45°傾斜面に金、銀、銅やアルミニウムを蒸着やスパッタ等の製法で成膜することにより形成することができる。なお、45°傾斜面は、シリコン結晶のエッチング速度の違いを利用した異方性エッチングにより形成することができる。異方性エッチングには、例えば水酸化カリウム水溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液等の強アルカリが用いられる。
【0026】
内部導波路31は、マウント基板3の一方面3aに沿って設けられており、発光素子4Aが発光する光をマウント基板3の一方面3aと平行な方向に伝送するものである。この内部導波路31は、屈折率の異なる2種類の樹脂から構成されている。具体的には、内部導波路31は、図3に示すように、屈折率の高い樹脂からなるコア31aと、コア31aを周囲から覆う屈折率の低い樹脂からなるクラッド31bとで構成されており、マウント基板3に形成された導波路形成用溝32内に配設されている。コア31aおよびクラッド31bのサイズは、発光素子4Aの発散角度と後述する受光素子4Bの受光径等による光損失計算から決定される。なお、内部導波路31は、樹脂以外にも石英等の光透過性のある材料であれば無機材料で構成されていてもよい。
【0027】
導波路形成用溝32は、前記45°傾斜面を形成するのと同様に、異方性エッチングにより形成することができる。なお、異方性エッチング以外にも、導波路形成用溝32の形成には、反応性イオンエッチング等のドライエッチングの形成方法がある。
【0028】
図4および図5(a)(b)に示すように、断面略矩形状の導波路形成用溝32と45°傾斜面とを異方性エッチングにより形成するときには、それらのエッチング条件は異なる。すなわち、エッチング溶液の組成が異なる。従って、エッチングを2回に分けて行う必要がある。ただし、どちらを先に行ってもよい。
【0029】
あるいは、導波路形成用溝32を45°傾斜面と同時に形成するときには、図5(c)および(d)に示すように、導波路形成用溝32の断面形状が略台形状になって導波路形成用溝32の溝幅が大きくなる。導波路形成用溝32は、発光素子4A用のボンディングパッドにかからなければ問題ないため、このようにすることも可能である。
【0030】
マウント基板3の前端面3bには、外部導波路9が光学用接着剤によって接合されるようになっており、この接合により、内部導波路31は外部導波路9と光学的に結合されるようになる。なお、ミラー部33から外部導波路9までの距離が短ければ、単に空気中に光を伝搬させるようにしても損失が少ない場合があるため、この場合には、内部導波路31を省略して、ミラー部33から外部導波路9に直接光を入射させるようにしてもよい。
【0031】
外部導波路9は、樹脂光導波路を薄型化したフレキシブルなフィルム状のものを用いた方が取り扱い上便利である。つまり、フィルム状の外部導波路9であれば、屈曲性に優れており、例えば携帯電話等の折り曲げ部に使用しても問題ない。折り曲げの曲率によっては光の損失が発生することもあるが、これはコアとクラッドの屈折率差を大きくすることによって低減させることが可能である。なお、外部導波路9としては、フィルム状のもの以外でも、石英系ファイバやプラスチックファイバであってもよい。
【0032】
ヘッダ6は、配線基板2に設けられた外部コネクタであるソケット型電気コネクタ(以下、単に「ソケット」という)7と着脱可能なものである。なお、ヘッダ6とソケット7は相互に入れ替え可能であり、マウント基板3にソケット7が設けられ、配線基板2にヘッダ6が設けられていて、ヘッダ6が外部コネクタとなっていてもよい。
【0033】
ソケット7は、図6(a)に示すように、平面視で前後方向に延びる略長方形状をなしている。このソケット7は、ソケット本体72と、このソケット本体72に保持される端子71とを有しており、ソケット本体72には、平面視で長方形枠状の嵌合凹部72aが設けられていて、この嵌合凹部72a内に端子71が露出している。また、端子71の端部は、ソケット本体72から左右方向に張り出しており、この端部が図略の半田等によって配線基板2の上面に形成された図略の配線パターンに接続されている。ソケット7は、通常はリフローによって配線基板2に実装される。
【0034】
一方、ヘッダ6は、図6(b)に示すように、下面視でソケット7よりも一回り小さな前後方向に延びる略長方形状をなしている。このヘッダ6は、ヘッダ本体62と、このヘッダ本体62に保持される端子61とを有しており、ヘッダ本体62には、ソケット7の嵌合凹部72aに嵌合可能な下面視で長方形枠状の嵌合凸部62aが設けられていて、この嵌合凸部62aの表面に端子61が露出している。また、端子61の端部は、ヘッダ本体62から左右方向に張り出しており、この端部が半田ボール10によってマウント基板3の配線パターン36に接続されている。また、ヘッダ6のマウント基板3への実装には、半田ボール以外にも端子用ポストやピン等を用いることが可能である。なお、マウント基板3と半田ボール10を含めた高さは、1mm程度である。
【0035】
そして、ヘッダ6の嵌合凸部62aがソケット7の嵌合凹部72aに差し込まれてそれらが嵌合すると、端子61,71同士が接触して配線基板2の配線パターンとマウント基板3の配線パターン36とが電気的に接続されるようになる。このときのソケット7の下面からヘッダ6の上面までの高さは1mm程度である。このため、発光側光電気変換部1A1を配線基板2に装着したときの配線基板2の上面からマウント基板3の上面となる他方面3cまでの高さは2mm程度となる。
【0036】
受光側光電気変換部1A2の基本的な構成は、発光側光電気変換部1A1と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、発光側光電気変換部1A1と異なる点としては、図7に示すように、マウント基板3の一方面3aに、受光して光信号を電気信号に変換する受光素子4Bと、この受光素子4Bから電気信号を受信するためのIC回路50Bが形成されたIC基板5Bとが実装されている点である。受光素子4Bとしては、PDが採用されており、IC基板5Bは、電流・電圧の変換を行うTIA(Trans-impedance Amplifier)素子である。また、マウント基板3には、アンプ素子が実装されることもある。
【0037】
以上説明したような参考例の光電気変換装置1Aでは、発光素子4Aまたは受光素子4Bが実装されるマウント基板3の一方面3aにヘッダ6を設けるとともに、内部導波路31をマウント基板3の一方面3aと平行な方向に延びるように設けたから、マウント基板3の板厚方向における装置全体の高さを抑えることができ、装置の低背化を図ることができる。
【0038】
次に、図8および図9を参照して、本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置1Bを説明する。この光電気変換装置1Bは、参考例の光電気変換装置1Aを改良したものであるため、参考例と同一構成部分には同一符号を付して、その説明は省略する。また、この光電気変換装置1Bにおいても、受光側光電気変換部は発光側光電気変換部と同様であるため、発光側光電気変換部1B1のみを図示して説明する。
【0039】
第1実施形態の発光側光電気変換部1B1では、図8に示すように、シリコン樹脂製のマウント基板3とヘッダ6との間に、上記マウント基板3と同一のシリコン樹脂からなるインターポーザ基板(中間基板)8が設けられている。すなわち、マウント基板3の線膨張率とインターポーザ基板8の線膨張率とが略等しくなっている。そして、マウント基板3の一方面3aに半田ボール15でインターポーザ基板8の上面が接続され、インターポーザ基板8の下面に半田110でヘッダ6が接続されている。これにより、マウント基板3とヘッダ6とが、インターポーザ基板8、半田110および半田ボール15により電気的に接続されるようになっている。
【0040】
以下、詳細に説明する。
【0041】
マウント基板3の一方面3aには、図9(a)に示すように、外部電気接続用端子部36aと、配線部36bと、発光素子4A用およびIC基板5A用の端子部36cとにより構成される配線パターン36が形成されている。
【0042】
インターポーザ基板8には、図8に示すように、当該インターポーザ基板8を上下に貫通する貫通配線80が設けられている。この貫通配線80は、マウント基板3上の外部電気接続用端子部36aに対応する位置に設けられており、半田ボール15を介して外部電気接続用端子部36aに電気的に接続されるようになっている。
【0043】
また、インターポーザ基板8のヘッダ6側の面(下面)には、図9(b)に示すように、上記貫通配線80に電気的に接続された配線パターン81が形成されている。この配線パターン81は、ヘッダ6の端子61に対応する電極81aを有している。これにより、インターポーザ基板8で電極ピッチを変換して電極パターンを変更しつつ、該インターポーザ基板8を介してマウント基板3とヘッダ6とが電気的に接続されるようになっている。
【0044】
このように、インターポーザ基板8を用いることによって、マウント基板3の配線パターンの自由度を向上させることができる。すなわち、マウント基板3には、発光素子4AおよびIC基板5Aが実装されているために、マウント基板3の配線パターン36の外部電気接続用端子部36aをヘッダ6の端子61に一致させることが困難な場合があるので、このような場合には、インターポーザ基板8が特に有効である。
【0045】
この第1実施形態であれば、インターポーザ基板8の線膨張率がマウント基板3の線膨張率に略等しいことから、インターポーザ基板8を設けることで当該装置の構成部材数が増加したとしても温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなることがない。これにより、インターポーザ基板8を設けた場合にも装置の変形を抑制することができる。
【0046】
また、インターポーザ基板8をシリコン樹脂により形成することによって、インターポーザ基板8のヘッダ6との対向面に、ヘッダ6の端子61に対応する配線パターン81を容易に形成することができる。また、当該装置の製造工程におけるシリコンプロセスで、マウント基板3とインターポーザ基板8とを一貫してウェハレベルで作製することができるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0047】
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置1Cを説明する。この光電気変換装置1Cも、参考例の光電気変換装置1Aを改良したものであるため、参考例と同一構成部分には同一符号を付して、その説明は省略する。また、この光電気変換装置1Cにおいても、受光側光電気変換部は発光側光電気変換部と同様であるため、発光側光電気変換部1C1のみを図示して説明する。
【0048】
第2実施形態の発光側光電気変換部1C1では、マウント基板3とヘッダ6との間に、上記第1実施形態のインターポーザ基板8とは異なる構成のシリコン樹脂製のインターポーザ基板108が設けられている。
【0049】
このインターポーザ基板108は、図10に示すように、マウント基板3の一方面3aに面接触するように配されている。すなわち、第2実施形態のインターポーザ基板108は、当該インターポーザ基板108のマウント基板3との対向面にマウント基板3上の発光素子4AおよびIC基板5Aを内部に収容可能な凹部108aを有しており、その凹部108aの周囲がマウント基板3と接触する接触部108bとなっている。
【0050】
また、インターポーザ基板108には、当該インターポーザ基板108の接触部108bを上下に貫通する貫通配線180が設けられている。この貫通配線180は、マウント基板3上の外部電気接続用端子部36a(図11(a)参照)に対応する位置に設けられており、該外部電気接続用端子部36aに直接電気的に接続されるようになっている。
【0051】
また、インターポーザ基板108のヘッダ6側の面には、図11(b)に示すように、上記貫通配線180に電気的に接続された配線パターン181が形成されている。この配線パターン181は、ヘッダ6の端子61に対応する電極181aを有している。これにより、インターポーザ基板108で電極ピッチを変換して電極パターンを変更しつつ、該インターポーザ基板108を介してマウント基板3とヘッダ6とが電気的に接続されるようになっている。従って、第2実施形態では、マウント基板3とインターポーザ基板8との電気的な接続手段として半田ボールを使用していない。
【0052】
この第2実施形態のインターポーザ基板108では、第1実施形態のインターポーザ基板8と異なり、凹部108a内に発光素子4AおよびIC基板5Aを収容することで、当該インターポーザ基板108をマウント基板3により近接配置することができるようになっており、これによってインターポーザ基板108をマウント基板3に直接接続可能になるとともに、装置の低背化も図っている。
【0053】
また、第2実施形態では、インターポーザ基板108がマウント基板3とともに略密封な空間Hを形成しており、当該空間H内に発光素子4AおよびIC基板5Aを封止するようになっている。なお、空間Hに封止樹脂やガス等を充填してもよい。
【0054】
前記第2実施形態であれば、発光素子4AおよびIC基板5Aを収容する凹部108aをインターポーザ基板108に設け、該凹部108aの周辺の接触部108bに設けた貫通配線180によりインターポーザ基板108をマウント基板3に直接電気的に接続することで、両基板3,108を電気的に接続する役割を担う半田ボールが不要となるので、部材の削減および装置の低背化を図ることができる。また、この場合、半田ボール等を用いずにマウント基板3とインターポーザ基板108とを直接接続によって両基板3,108の接合信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、発光素子4AおよびIC基板5Aを凹部108aに収容したので、発光素子4AおよびIC基板5Aをマウント基板3とインターポーザ基板108とで密封して湿気や埃等から保護することができる。
【0056】
また、インターポーザ基板108をシリコン樹脂により形成することによって、凹部108aが異方性エッチング等の手法を用いて低コストで且つ高精度に形成することができる。
【0057】
本実施形態では、光電気変換装置1Bとして、発光側光電気変換部1B1から受光側光電気変換部に光信号が送られる一方向通信型のものを示したが、光電気変換装置1Bは、発光側光電気変換部1B1に受光素子4Bを実装するとともに受光側光電気変換部に発光素子4Aを実装し、かつ、マウント基板3に複数の導波路31を形成した双方向通信型のものであってもよい。また、光電気変換装置1Bは、少なくとも発光側光電気変換部1B1または受光側光電気変換部の一方を備えていればよい。また、一方向通信型、双方向通信型の両方において、1チャンネルの通信について説明しているが、アレイ形状の受発光素子を実装して、多チャンネル通信であってもよく、外部導波路9も複数の導波路が形成されたものを使用すればよい。
【0058】
なお、上記実施形態では、インターポーザ基板8,108をシリコン樹脂により形成する例について示したが、これに限らず、上記インターポーザ基板8,108をガラスやセラミックスにより形成してもよい。そして、インターポーザ基板8,108をガラスにより形成した場合には、発光素子4AやIC基板5Aで発生する熱に対する放熱性を向上させることができる。また、インターポーザ基板8,108をセラミックスにより形成した場合には、高周波特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】参考例の光電気変換装置およびこの光電気変換装置が接続される配線基板の概略構成図である。
【図2】参考例の光電気変換装置の発光側光電気変換部を分解した図である。
【図3】(a)は光素子が実装されたマウント基板の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】導波路が設けられる前の状態のマウント基板を下方から見た斜視図である。
【図5】(a)はマウント基板の下面図、(b)は(a)の断面図であり、(c)は変形例のマウント基板の下面図、(d)は(c)の断面図である。
【図6】(a)はソケット型電気コネクタの斜視図、(b)はヘッダ型電気コネクタの斜視図である。
【図7】参考例の光電気変換装置の受光側光電気変換部を分解した図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置であり、(a)はマウント基板の下面図、(b)はインターポーザ基板の下面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置であり、(a)はマウント基板の下面図、(b)はインターポーザ基板の下面図である。
【符号の説明】
【0060】
1B,1C 光電気変換装置
2 配線基板
3 マウント基板
3a 一方面
3c 他方面
31 内部導波路
4A 発光素子
4B 受光素子
5A,5B IC基板
50A,50B IC回路
6 ヘッダ型電気コネクタ
7 ソケット型電気コネクタ
8,108 インターポーザ基板
80,180 貫通配線
9 外部導波路
108a 凹部
108b 接触部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子を備えた光電気変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光電気変換装置としては、例えば特許文献1の図9に記載されているように、電気信号を光信号に変換して発光する発光素子と、この発光素子に電気信号を送信するためのIC回路が形成され、発光素子が発光する側と反対側から一方面に実装される基板と、発光素子から基板の一方面と直交する方向に延びるように配設されて、発光素子が発光する光を伝送する導波路とを備えたものが知られている。なお、前記発光素子に代えて、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子を用いることも可能である。
【0003】
また、特許文献1の図9に記載された光電気変換装置では、基板の他方面に、配線基板に設けられた雌型の電気コネクタと着脱可能な雄型の電気コネクタが設けられており、これらの電気コネクタ同士が接続されることによって、基板と配線基板とが電気的に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−42170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記のような構成では、導波路が発光素子から基板の一方面と直交する方向に延びるように配設されているため、装置全体の高さはかなり高くなる。
【0005】
ここで、特許文献1の図3に記載されているように、基板の端面に電気コネクタを設けて、発光素子の発光する方向を配線基板と平行な方向にすることも考えられるが、このようにしても少なくとも発光素子の大きさ分や制御IC素子の大きさ分の装置高さが必要になるため、装置高さをあまり抑えることはできない。
【0006】
そこで、本出願の出願人は、装置の低背化を図ることができるようにするために、光素子を発光する側または受光する側からマウント基板の一方面に実装し、このマウント基板に光素子用のIC回路を設けるとともにマウント基板の一方面またはその反対側の他方面に外部コネクタと着脱可能な電気コネクタを設け、さらに光素子と光学的に結合する導波路をマウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けた光電気変換装置を提案した。
【0007】
この光電気変換装置であれば、マウント基板の板厚方向における装置全体の高さを抑えることができ、装置の低背化を図ることができる。
【0008】
このような光電気変換装置においては、マウント基板と電気コネクタとの間にインターポーザ基板(中間基板)を配し、該インターポーザ基板により電極パターンを変換してマウント基板と電気コネクタとを電気的に接続することが考えられるが、このようにすると構成部材数が増加することによって温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなるため、装置の変形を抑えることが望まれる。
【0009】
本発明は、このような要望に鑑み、温度変化による装置の変形を抑えることが可能な光電気変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、電気信号を光信号にまたは光信号を電気信号に変換する光素子と、この光素子に電気信号を送信するまたは光素子から電気信号を受信するためのIC回路と、前記光素子が実装されるマウント基板と、外部コネクタと着脱可能な電気コネクタと、前記光素子と光学的に結合する導波路とを備え、前記電気コネクタは、前記マウント基板の前記光素子および前記IC回路が実装される一方面またはその反対側の他方面に設けられ、前記導波路は、前記マウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けられた光電気変換装置であって、前記マウント基板と前記電気コネクタとの間には、電極パターンを変更する中間基板が設けられ、前記中間基板が、前記マウント基板と略等しい線膨張率の材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光電気変換装置において、前記中間基板が、前記マウント基板の一方面に面接触して設けられ、前記中間基板の前記マウント基板との対向面には、前記マウント基板上の前記光素子および前記IC回路を内部に収容可能な凹部が設けられており、前記中間基板の凹部の周辺には、前記マウント基板に接触して該マウント基板に電気的に接続される貫通配線が配されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光電気変換装置において、前記マウント基板は、シリコンにより形成されており、前記中間基板は、シリコン、ガラスおよびセラミックスからなるグループより選択される材料により形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、中間基板の線膨張率がマウント基板の線膨張率に略等しいことから、中間基板を設けることで当該装置の構成部材数が増加したとしても温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなることがない。これにより、中間基板を設けた場合にも装置の変形を抑制することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、光素子およびIC回路を収容する凹部を中間基板に設け、該凹部の周辺に配した貫通配線により中間基板をマウント基板に直接電気的に接続することで、両基板を電気的に接続する役割を担う半田ボールが不要となるので、部材の削減および装置の低背化を図ることができる。また、この場合、半田ボール等を用いずにマウント基板と中間基板とを直接接続することによって両基板の接合信頼性を向上させることができる。
【0015】
また、光素子およびIC回路を凹部に収容したので、光素子およびIC回路をマウント基板と中間基板とで密封して湿気や埃等から保護することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、中間基板をシリコンにより形成した場合、中間基板の線膨張率をマウント基板の線膨張率と等しくすることができるので、装置の変形をより確実に抑制することができる。また、中間基板の電気コネクタとの対向面に、電気コネクタの電極に対応する配線パターンを容易に形成することができる。また、凹部が異方性エッチング等の手法を用いて低コストで且つ高精度に形成することができる。また、当該装置の製造工程におけるシリコンプロセスで、マウント基板と中間基板とを一貫してウェハレベルで作製することができるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0017】
また、中間基板をガラスにより形成した場合、光素子やIC回路で発生する熱に対する放熱性を向上させることができる。
【0018】
また、中間基板をセラミックスにより形成した場合、高周波特性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
まず、図1〜図7を参照して、本出願人が以前に提案した光電気変換装置1Aを参考例として説明する。この光電気変換装置1Aは、一の配線基板2に電気コネクタ6,7同士の嵌合によって装着される発光側光電気変換部(E/Oモジュールともいう)1A1と、他の配線基板2に同じく電気コネクタ6,7同士の嵌合によって装着される受光側光電気変換部(O/Eモジュールともいう)1A2と、これらの変換部1A1,1A2を光学的に連結する外部導波路9とを備えている。
【0021】
なお、本明細書では、図1の上下方向を上下方向、図1の紙面と直交する方向を左右方向というとともに、発光側光電気変換部1A1に対しては図1の右側を前方、左側を後方といい、受光側光電気変換部1A2に対しては図1の左側を前方、右側を後方という。
【0022】
発光側光電気変換部1A1は、平面視で前後方向に延びる長方形状をなすマウント基板3を備えている。このマウント基板3の下面となる一方面3aには、図2に示すように、電気信号を光信号に変換して発光する発光素子4Aと、この発光素子4Aに電気信号を送信するためのIC回路50Aが形成されたIC基板5Aとが実装されているとともに、これら4A,5Aを下方から覆うようにヘッダ型電気コネクタ(以下、単に「ヘッダ」という)6が設けられている。また、マウント基板3の一方面3aには、発光素子4Aの駆動用電源ラインや信号ラインが配線パターン36で形成されている(図4参照)。さらに、マウント基板3には、発光素子4Aの真上となる位置に発光素子4Aが発光する光の光路を略90°変換するミラー部33が設けられているとともに、発光素子4Aと光学的に結合する内部導波路31がミラー部33からマウント基板3の前端面3bまで延びるように設けられている。
【0023】
発光素子4Aは、上下方向に扁平な正方形板状の形状を有し、上面から上方に発光するものであり、発光する側からマウント基板3の一方面3aに実装されている。この発光素子4Aとしては、半導体レーザーであるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が採用されている。IC基板5Aは、VCSELを駆動させるドライバICであり、上下方向に扁平な正方形板状の形状を有し、発光素子4Aの近傍に配置されている。そして、発光素子4AおよびIC基板5Aは、金または半田からなるバンプ11(図3参照)でマウント基板3の配線パターン36に接続されている。なお、発光素子4Aとしては、LED等も採用可能であるが、LED等はVCSEL等のレーザーダイオードに比べて高速発振が難しく、数百MHz以下の伝送帯域での使用が条件となり、その場合には低価格という点で有利である。
【0024】
マウント基板3は、実装時の熱の影響や使用環境による応力の影響を避けるために、剛性が必要である。また、光伝送の場合は、発光素子から受光素子までの光伝送効率が必要になるので、光素子を高精度に実装することや使用中の熱影響による位置変動を極力抑制する必要がある。このため、マウント基板3としては、シリコン基板が採用されている。また、マウント基板3は、発光素子4Aと線膨張係数の近い材料で構成されていることが好ましく、シリコン以外には、VCSEL材料と同系統のGaAs等の化合物半導体や窒化アルミ等のセラミックで構成されていてもよい。
【0025】
ミラー部33は、マウント基板3がエッチングされることにより形成された45°傾斜面に金、銀、銅やアルミニウムを蒸着やスパッタ等の製法で成膜することにより形成することができる。なお、45°傾斜面は、シリコン結晶のエッチング速度の違いを利用した異方性エッチングにより形成することができる。異方性エッチングには、例えば水酸化カリウム水溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液等の強アルカリが用いられる。
【0026】
内部導波路31は、マウント基板3の一方面3aに沿って設けられており、発光素子4Aが発光する光をマウント基板3の一方面3aと平行な方向に伝送するものである。この内部導波路31は、屈折率の異なる2種類の樹脂から構成されている。具体的には、内部導波路31は、図3に示すように、屈折率の高い樹脂からなるコア31aと、コア31aを周囲から覆う屈折率の低い樹脂からなるクラッド31bとで構成されており、マウント基板3に形成された導波路形成用溝32内に配設されている。コア31aおよびクラッド31bのサイズは、発光素子4Aの発散角度と後述する受光素子4Bの受光径等による光損失計算から決定される。なお、内部導波路31は、樹脂以外にも石英等の光透過性のある材料であれば無機材料で構成されていてもよい。
【0027】
導波路形成用溝32は、前記45°傾斜面を形成するのと同様に、異方性エッチングにより形成することができる。なお、異方性エッチング以外にも、導波路形成用溝32の形成には、反応性イオンエッチング等のドライエッチングの形成方法がある。
【0028】
図4および図5(a)(b)に示すように、断面略矩形状の導波路形成用溝32と45°傾斜面とを異方性エッチングにより形成するときには、それらのエッチング条件は異なる。すなわち、エッチング溶液の組成が異なる。従って、エッチングを2回に分けて行う必要がある。ただし、どちらを先に行ってもよい。
【0029】
あるいは、導波路形成用溝32を45°傾斜面と同時に形成するときには、図5(c)および(d)に示すように、導波路形成用溝32の断面形状が略台形状になって導波路形成用溝32の溝幅が大きくなる。導波路形成用溝32は、発光素子4A用のボンディングパッドにかからなければ問題ないため、このようにすることも可能である。
【0030】
マウント基板3の前端面3bには、外部導波路9が光学用接着剤によって接合されるようになっており、この接合により、内部導波路31は外部導波路9と光学的に結合されるようになる。なお、ミラー部33から外部導波路9までの距離が短ければ、単に空気中に光を伝搬させるようにしても損失が少ない場合があるため、この場合には、内部導波路31を省略して、ミラー部33から外部導波路9に直接光を入射させるようにしてもよい。
【0031】
外部導波路9は、樹脂光導波路を薄型化したフレキシブルなフィルム状のものを用いた方が取り扱い上便利である。つまり、フィルム状の外部導波路9であれば、屈曲性に優れており、例えば携帯電話等の折り曲げ部に使用しても問題ない。折り曲げの曲率によっては光の損失が発生することもあるが、これはコアとクラッドの屈折率差を大きくすることによって低減させることが可能である。なお、外部導波路9としては、フィルム状のもの以外でも、石英系ファイバやプラスチックファイバであってもよい。
【0032】
ヘッダ6は、配線基板2に設けられた外部コネクタであるソケット型電気コネクタ(以下、単に「ソケット」という)7と着脱可能なものである。なお、ヘッダ6とソケット7は相互に入れ替え可能であり、マウント基板3にソケット7が設けられ、配線基板2にヘッダ6が設けられていて、ヘッダ6が外部コネクタとなっていてもよい。
【0033】
ソケット7は、図6(a)に示すように、平面視で前後方向に延びる略長方形状をなしている。このソケット7は、ソケット本体72と、このソケット本体72に保持される端子71とを有しており、ソケット本体72には、平面視で長方形枠状の嵌合凹部72aが設けられていて、この嵌合凹部72a内に端子71が露出している。また、端子71の端部は、ソケット本体72から左右方向に張り出しており、この端部が図略の半田等によって配線基板2の上面に形成された図略の配線パターンに接続されている。ソケット7は、通常はリフローによって配線基板2に実装される。
【0034】
一方、ヘッダ6は、図6(b)に示すように、下面視でソケット7よりも一回り小さな前後方向に延びる略長方形状をなしている。このヘッダ6は、ヘッダ本体62と、このヘッダ本体62に保持される端子61とを有しており、ヘッダ本体62には、ソケット7の嵌合凹部72aに嵌合可能な下面視で長方形枠状の嵌合凸部62aが設けられていて、この嵌合凸部62aの表面に端子61が露出している。また、端子61の端部は、ヘッダ本体62から左右方向に張り出しており、この端部が半田ボール10によってマウント基板3の配線パターン36に接続されている。また、ヘッダ6のマウント基板3への実装には、半田ボール以外にも端子用ポストやピン等を用いることが可能である。なお、マウント基板3と半田ボール10を含めた高さは、1mm程度である。
【0035】
そして、ヘッダ6の嵌合凸部62aがソケット7の嵌合凹部72aに差し込まれてそれらが嵌合すると、端子61,71同士が接触して配線基板2の配線パターンとマウント基板3の配線パターン36とが電気的に接続されるようになる。このときのソケット7の下面からヘッダ6の上面までの高さは1mm程度である。このため、発光側光電気変換部1A1を配線基板2に装着したときの配線基板2の上面からマウント基板3の上面となる他方面3cまでの高さは2mm程度となる。
【0036】
受光側光電気変換部1A2の基本的な構成は、発光側光電気変換部1A1と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、発光側光電気変換部1A1と異なる点としては、図7に示すように、マウント基板3の一方面3aに、受光して光信号を電気信号に変換する受光素子4Bと、この受光素子4Bから電気信号を受信するためのIC回路50Bが形成されたIC基板5Bとが実装されている点である。受光素子4Bとしては、PDが採用されており、IC基板5Bは、電流・電圧の変換を行うTIA(Trans-impedance Amplifier)素子である。また、マウント基板3には、アンプ素子が実装されることもある。
【0037】
以上説明したような参考例の光電気変換装置1Aでは、発光素子4Aまたは受光素子4Bが実装されるマウント基板3の一方面3aにヘッダ6を設けるとともに、内部導波路31をマウント基板3の一方面3aと平行な方向に延びるように設けたから、マウント基板3の板厚方向における装置全体の高さを抑えることができ、装置の低背化を図ることができる。
【0038】
次に、図8および図9を参照して、本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置1Bを説明する。この光電気変換装置1Bは、参考例の光電気変換装置1Aを改良したものであるため、参考例と同一構成部分には同一符号を付して、その説明は省略する。また、この光電気変換装置1Bにおいても、受光側光電気変換部は発光側光電気変換部と同様であるため、発光側光電気変換部1B1のみを図示して説明する。
【0039】
第1実施形態の発光側光電気変換部1B1では、図8に示すように、シリコン樹脂製のマウント基板3とヘッダ6との間に、上記マウント基板3と同一のシリコン樹脂からなるインターポーザ基板(中間基板)8が設けられている。すなわち、マウント基板3の線膨張率とインターポーザ基板8の線膨張率とが略等しくなっている。そして、マウント基板3の一方面3aに半田ボール15でインターポーザ基板8の上面が接続され、インターポーザ基板8の下面に半田110でヘッダ6が接続されている。これにより、マウント基板3とヘッダ6とが、インターポーザ基板8、半田110および半田ボール15により電気的に接続されるようになっている。
【0040】
以下、詳細に説明する。
【0041】
マウント基板3の一方面3aには、図9(a)に示すように、外部電気接続用端子部36aと、配線部36bと、発光素子4A用およびIC基板5A用の端子部36cとにより構成される配線パターン36が形成されている。
【0042】
インターポーザ基板8には、図8に示すように、当該インターポーザ基板8を上下に貫通する貫通配線80が設けられている。この貫通配線80は、マウント基板3上の外部電気接続用端子部36aに対応する位置に設けられており、半田ボール15を介して外部電気接続用端子部36aに電気的に接続されるようになっている。
【0043】
また、インターポーザ基板8のヘッダ6側の面(下面)には、図9(b)に示すように、上記貫通配線80に電気的に接続された配線パターン81が形成されている。この配線パターン81は、ヘッダ6の端子61に対応する電極81aを有している。これにより、インターポーザ基板8で電極ピッチを変換して電極パターンを変更しつつ、該インターポーザ基板8を介してマウント基板3とヘッダ6とが電気的に接続されるようになっている。
【0044】
このように、インターポーザ基板8を用いることによって、マウント基板3の配線パターンの自由度を向上させることができる。すなわち、マウント基板3には、発光素子4AおよびIC基板5Aが実装されているために、マウント基板3の配線パターン36の外部電気接続用端子部36aをヘッダ6の端子61に一致させることが困難な場合があるので、このような場合には、インターポーザ基板8が特に有効である。
【0045】
この第1実施形態であれば、インターポーザ基板8の線膨張率がマウント基板3の線膨張率に略等しいことから、インターポーザ基板8を設けることで当該装置の構成部材数が増加したとしても温度変化に伴う装置の変形が発生しやすくなることがない。これにより、インターポーザ基板8を設けた場合にも装置の変形を抑制することができる。
【0046】
また、インターポーザ基板8をシリコン樹脂により形成することによって、インターポーザ基板8のヘッダ6との対向面に、ヘッダ6の端子61に対応する配線パターン81を容易に形成することができる。また、当該装置の製造工程におけるシリコンプロセスで、マウント基板3とインターポーザ基板8とを一貫してウェハレベルで作製することができるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0047】
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置1Cを説明する。この光電気変換装置1Cも、参考例の光電気変換装置1Aを改良したものであるため、参考例と同一構成部分には同一符号を付して、その説明は省略する。また、この光電気変換装置1Cにおいても、受光側光電気変換部は発光側光電気変換部と同様であるため、発光側光電気変換部1C1のみを図示して説明する。
【0048】
第2実施形態の発光側光電気変換部1C1では、マウント基板3とヘッダ6との間に、上記第1実施形態のインターポーザ基板8とは異なる構成のシリコン樹脂製のインターポーザ基板108が設けられている。
【0049】
このインターポーザ基板108は、図10に示すように、マウント基板3の一方面3aに面接触するように配されている。すなわち、第2実施形態のインターポーザ基板108は、当該インターポーザ基板108のマウント基板3との対向面にマウント基板3上の発光素子4AおよびIC基板5Aを内部に収容可能な凹部108aを有しており、その凹部108aの周囲がマウント基板3と接触する接触部108bとなっている。
【0050】
また、インターポーザ基板108には、当該インターポーザ基板108の接触部108bを上下に貫通する貫通配線180が設けられている。この貫通配線180は、マウント基板3上の外部電気接続用端子部36a(図11(a)参照)に対応する位置に設けられており、該外部電気接続用端子部36aに直接電気的に接続されるようになっている。
【0051】
また、インターポーザ基板108のヘッダ6側の面には、図11(b)に示すように、上記貫通配線180に電気的に接続された配線パターン181が形成されている。この配線パターン181は、ヘッダ6の端子61に対応する電極181aを有している。これにより、インターポーザ基板108で電極ピッチを変換して電極パターンを変更しつつ、該インターポーザ基板108を介してマウント基板3とヘッダ6とが電気的に接続されるようになっている。従って、第2実施形態では、マウント基板3とインターポーザ基板8との電気的な接続手段として半田ボールを使用していない。
【0052】
この第2実施形態のインターポーザ基板108では、第1実施形態のインターポーザ基板8と異なり、凹部108a内に発光素子4AおよびIC基板5Aを収容することで、当該インターポーザ基板108をマウント基板3により近接配置することができるようになっており、これによってインターポーザ基板108をマウント基板3に直接接続可能になるとともに、装置の低背化も図っている。
【0053】
また、第2実施形態では、インターポーザ基板108がマウント基板3とともに略密封な空間Hを形成しており、当該空間H内に発光素子4AおよびIC基板5Aを封止するようになっている。なお、空間Hに封止樹脂やガス等を充填してもよい。
【0054】
前記第2実施形態であれば、発光素子4AおよびIC基板5Aを収容する凹部108aをインターポーザ基板108に設け、該凹部108aの周辺の接触部108bに設けた貫通配線180によりインターポーザ基板108をマウント基板3に直接電気的に接続することで、両基板3,108を電気的に接続する役割を担う半田ボールが不要となるので、部材の削減および装置の低背化を図ることができる。また、この場合、半田ボール等を用いずにマウント基板3とインターポーザ基板108とを直接接続によって両基板3,108の接合信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、発光素子4AおよびIC基板5Aを凹部108aに収容したので、発光素子4AおよびIC基板5Aをマウント基板3とインターポーザ基板108とで密封して湿気や埃等から保護することができる。
【0056】
また、インターポーザ基板108をシリコン樹脂により形成することによって、凹部108aが異方性エッチング等の手法を用いて低コストで且つ高精度に形成することができる。
【0057】
本実施形態では、光電気変換装置1Bとして、発光側光電気変換部1B1から受光側光電気変換部に光信号が送られる一方向通信型のものを示したが、光電気変換装置1Bは、発光側光電気変換部1B1に受光素子4Bを実装するとともに受光側光電気変換部に発光素子4Aを実装し、かつ、マウント基板3に複数の導波路31を形成した双方向通信型のものであってもよい。また、光電気変換装置1Bは、少なくとも発光側光電気変換部1B1または受光側光電気変換部の一方を備えていればよい。また、一方向通信型、双方向通信型の両方において、1チャンネルの通信について説明しているが、アレイ形状の受発光素子を実装して、多チャンネル通信であってもよく、外部導波路9も複数の導波路が形成されたものを使用すればよい。
【0058】
なお、上記実施形態では、インターポーザ基板8,108をシリコン樹脂により形成する例について示したが、これに限らず、上記インターポーザ基板8,108をガラスやセラミックスにより形成してもよい。そして、インターポーザ基板8,108をガラスにより形成した場合には、発光素子4AやIC基板5Aで発生する熱に対する放熱性を向上させることができる。また、インターポーザ基板8,108をセラミックスにより形成した場合には、高周波特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】参考例の光電気変換装置およびこの光電気変換装置が接続される配線基板の概略構成図である。
【図2】参考例の光電気変換装置の発光側光電気変換部を分解した図である。
【図3】(a)は光素子が実装されたマウント基板の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】導波路が設けられる前の状態のマウント基板を下方から見た斜視図である。
【図5】(a)はマウント基板の下面図、(b)は(a)の断面図であり、(c)は変形例のマウント基板の下面図、(d)は(c)の断面図である。
【図6】(a)はソケット型電気コネクタの斜視図、(b)はヘッダ型電気コネクタの斜視図である。
【図7】参考例の光電気変換装置の受光側光電気変換部を分解した図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る光電気変換装置であり、(a)はマウント基板の下面図、(b)はインターポーザ基板の下面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置の概略断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る光電気変換装置であり、(a)はマウント基板の下面図、(b)はインターポーザ基板の下面図である。
【符号の説明】
【0060】
1B,1C 光電気変換装置
2 配線基板
3 マウント基板
3a 一方面
3c 他方面
31 内部導波路
4A 発光素子
4B 受光素子
5A,5B IC基板
50A,50B IC回路
6 ヘッダ型電気コネクタ
7 ソケット型電気コネクタ
8,108 インターポーザ基板
80,180 貫通配線
9 外部導波路
108a 凹部
108b 接触部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を光信号にまたは光信号を電気信号に変換する光素子と、この光素子に電気信号を送信するまたは光素子から電気信号を受信するためのIC回路と、前記光素子が実装されるマウント基板と、外部コネクタと着脱可能な電気コネクタと、前記光素子と光学的に結合する導波路とを備え、前記電気コネクタは、前記マウント基板の前記光素子および前記IC回路が実装される一方面またはその反対側の他方面に設けられ、前記導波路は、前記マウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けられた光電気変換装置であって、
前記マウント基板と前記電気コネクタとの間には、電極パターンを変更する中間基板が設けられ、
前記中間基板が、前記マウント基板と略等しい線膨張率の材料で形成されていることを特徴とする光電気変換装置。
【請求項2】
前記中間基板が、前記マウント基板の一方面に面接触して設けられ、
前記中間基板の前記マウント基板との対向面には、前記マウント基板上の前記光素子および前記IC回路を内部に収容可能な凹部が設けられており、
前記中間基板の凹部の周辺には、前記マウント基板に接触して該マウント基板に電気的に接続される貫通配線が配されていることを特徴とする請求項1に記載の光電気変換装置。
【請求項3】
前記マウント基板は、シリコンにより形成されており、
前記中間基板は、シリコン、ガラスおよびセラミックスからなるグループより選択される材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電気変換装置。
【請求項1】
電気信号を光信号にまたは光信号を電気信号に変換する光素子と、この光素子に電気信号を送信するまたは光素子から電気信号を受信するためのIC回路と、前記光素子が実装されるマウント基板と、外部コネクタと着脱可能な電気コネクタと、前記光素子と光学的に結合する導波路とを備え、前記電気コネクタは、前記マウント基板の前記光素子および前記IC回路が実装される一方面またはその反対側の他方面に設けられ、前記導波路は、前記マウント基板の一方面または他方面に沿うようにマウント基板に設けられた光電気変換装置であって、
前記マウント基板と前記電気コネクタとの間には、電極パターンを変更する中間基板が設けられ、
前記中間基板が、前記マウント基板と略等しい線膨張率の材料で形成されていることを特徴とする光電気変換装置。
【請求項2】
前記中間基板が、前記マウント基板の一方面に面接触して設けられ、
前記中間基板の前記マウント基板との対向面には、前記マウント基板上の前記光素子および前記IC回路を内部に収容可能な凹部が設けられており、
前記中間基板の凹部の周辺には、前記マウント基板に接触して該マウント基板に電気的に接続される貫通配線が配されていることを特徴とする請求項1に記載の光電気変換装置。
【請求項3】
前記マウント基板は、シリコンにより形成されており、
前記中間基板は、シリコン、ガラスおよびセラミックスからなるグループより選択される材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電気変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−91503(P2008−91503A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268978(P2006−268978)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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