説明

内燃機関のEGR制御装置

【課題】異物の付着強度または付着量に応じてEGRバルブ9の作動を制御すること。
【解決手段】ECU5は、前回の異物除去モードが実施されてから今回の異物除去モードが実施されるまでの間にモニタリングされるEGRガスの総流量から異物累積指標値を算出し、その異物累積指標値を基に、EGRバルブ9を駆動するアクチュエータ10の駆動力およびEGRバルブ9の作動回数を設定する。例えば、EGRガスの総流量が多くなると、その分、EGRガスに含まれる異物の量も多くなると判断できるため、異物累積指標値が大きくなる程、EGRバルブ9の作動強度が大きく、且つEGRバルブ9の作動回数も多く設定される。その結果、異物の付着強度または付着量に応じて効率良く異物の除去を実施できるので、無駄なエネルギ消費を無くすことができ、且つ異物を確実に除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のEGR制御装置に係わり、特に、EGR通路の内壁面に付着した異物を除去するためにEGRバルブを駆動するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼル機関では、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減する目的等から、排気ガスの一部を吸気に戻すEGRが実施されている。ところが、ディーゼル機関の排気ガスには、NOx等のガス状物質だけでなく、未燃焼の燃料やエンジンオイル、あるいは黒煙(スス)等が含まれている。これらの成分がEGR通路の内壁面に付着して固化すると、EGRバルブの円滑な開閉動作を妨げることになる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、ディーゼル機関の運転を停止する際に、EGRバルブを作動させて、EGR通路の内壁面に付着した異物を除去する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−314377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1に記載された公知技術では、異物の付着程度(付着量あるいは付着強度)に関係なく、一定の回数および強度でEGRバルブを作動させているため、効率良く異物を除去することが困難である。例えば、異物の付着量が少ない時あるいは付着強度が小さい時には、EGRバルブの作動回数および強度が必要以上に与えられるため、無駄なエネルギ消費が多くなる。逆に、異物の付着量が多い時あるいは付着強度が大きい時には、EGRバルブの作動回数および強度が不足して、十分に異物を除去することができず、異物が残ることがある。
【0005】
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、異物の付着強度または付着量に応じて、EGRバルブの作動を制御することにより、異物の除去を効率良く行うことができる内燃機関のEGR制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1の発明)
本発明は、内燃機関の吸気通路と排気通路とを連通するEGR通路に設けられ、このEGR通路を流れる排気ガス(EGRガスと呼ぶ)流量を調節するEGRバルブと、EGR通路の内壁面に付着した異物を除去するためにEGRバルブを駆動する異物除去モードが設定され、内燃機関の運転を停止するイグニッションスイッチのオフ操作後、あるいは内燃機関が所定の運転状態の時に、異物除去モードを実施する異物除去手段とを備える内燃機関のEGR制御装置であって、異物除去手段は、EGR通路の内壁面に付着した異物の付着強度または付着量を検出する異物付着検出手段を有し、この異物付着検出手段の検出結果に応じてEGRバルブの動作を制御することを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、異物付着検出手段の検出結果に応じてEGRバルブの動作を制御するので、異物の付着強度または付着量に応じて、効率良く異物の除去を実施できる。例えば、異物の付着強度が大きい時または付着量が多い時には、EGRバルブの作動回数を多く、且つ作動強度を大きくすることで、異物を確実に除去することが可能である。また、異物の付着強度が小さい時または付着量が少ない時には、EGRバルブの作動回数を少なく、且つ作動強度を小さくすることで、無駄なエネルギ消費を無くすことができると共に、EGRバルブの作動に伴う騒音の発生を低減できる効果もある。
【0008】
(請求項2の発明)
請求項1に記載した内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、前回の異物除去モードが実施された後、EGRガス流量またはEGRガス中の異物成分濃度の少なくとも1つを推定して、その推定値から異物累積指標値を求め、その異物累積指標値を基に、異物の付着強度または付着量を検出することを特徴とする。
【0009】
EGRガス流量が多くなる程、そのEGRガスに含まれる異物の量も多くなると考えられるため、EGRガス流量の推定値から異物累積指標値を求め、その異物累積指標値を基に、異物の付着強度または付着量を検出することができる。
【0010】
同様に、EGRガス中の異物成分濃度が高くなると、EGRガス流量が多くなるに従って、異物の量も多くなるため、EGRガス中の異物成分濃度の推定値から異物累積指標値を求め、その異物累積指標値を基に、異物の付着強度または付着量を検出することができる。
【0011】
(請求項3の発明)
請求項2に記載した内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、EGRバルブの開弁位置信号を基に、EGRガス流量を推定することを特徴とする。
【0012】
EGR通路を流れるEGRガスは、EGRバルブの開度に応じて調節されるため、EGRバルブの開弁位置信号を基に、EGRガス流量を推定することができる。
【0013】
(請求項4の発明)
請求項2に記載した内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、空燃比を検出するA/Fセンサ、あるいは排気ガス中の酸素濃度を検出するO2 センサの出力信号を基に、EGRガス中の異物成分濃度を推定することを特徴とする。
【0014】
空燃比が燃料リッチになる程、排気ガスに含まれる異物の量が多くなると推定できるため、空燃比を検出するA/Fセンサの出力信号を基に、EGRガス中の異物成分濃度を推定することができる。また、排気ガス中の酸素濃度は、空燃比に相関する。つまり、空燃比が小さくなる(燃料リッチ)と、排気ガス中の酸素濃度が低くなり、空燃比が大きくなる(燃料リーン)と、排気ガス中の酸素濃度が高くなるため、O2 センサの出力信号を基に、EGRガス中の異物成分濃度を推定することができる。
【0015】
(請求項5の発明)
請求項2〜4に記載した何れかの内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、EGRガスの温度に応じて、異物累積指標値を補正することを特徴とする。
【0016】
EGRガスに含まれる異物は、EGRガスが凝縮する際にEGR通路の内壁面に付着すると考えられるため、EGRガスの温度に応じて異物累積指標値を補正することで、より精度良く異物の付着強度または付着量を検出できる。
【0017】
(請求項6の発明)
請求項5に記載した内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、内燃機関より排出される排気ガスの温度を検出する排気温度センサの出力信号を基に、EGRガスの温度を推定することを特徴とする。
【0018】
EGRガスは、内燃機関より排出された排気ガスの一部が排気通路からEGR通路を通って吸気通路へ還流するため、排気ガスの温度を検出することで、EGRガスの温度を推定できる。
【0019】
(請求項7の発明)
請求項5または6に記載した内燃機関のEGR制御装置において、異物付着検出手段は、EGRガスの凝縮温度を第1閾値、この第1閾値より所定温度高い第2閾値を設定して、EGRガスの温度が、少なくとも第2閾値まで上昇した後、第1閾値以下まで低下した回数に応じて、異物累積指標値を補正することを特徴とする。
【0020】
EGRガスが凝縮する回数が多くなる程、EGR通路の内壁面に付着する異物量も多くなると考えられるため、EGRガスの凝縮回数、即ち、EGRガスの温度が、少なくとも第2閾値まで上昇した後、第1閾値以下まで低下した回数に応じて、異物累積指標値を補正することで、より精度良く異物の付着強度または付着量を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1はディーゼル機関1の制御システムを示す全体図である。
【0023】
本実施例のディーゼル機関1は、以下に説明する蓄圧式燃料噴射システム、EGR装置、およびターボ過給機等を搭載する。
【0024】
蓄圧式燃料噴射システムは、噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール2と、図示しない燃料タンクより汲み上げた燃料を加圧してコモンレール2に圧送する燃料供給ポンプ3と、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料をディーゼル機関1の気筒内に噴射するインジェクタ4等を有し、燃料供給ポンプ3及びインジェクタ4の動作が電子制御装置(以下ECU5と呼ぶ)により制御される。
【0025】
EGR装置は、ディーゼル機関1より排出される排気ガスの一部(EGRガスと呼ぶ)を吸気側へ還流させるシステムであり、ディーゼル機関1の吸気通路6と排気通路7とを連通するEGR通路8と、このEGR通路8に設けられるEGRバルブ9と、このEGRバルブ9を駆動するアクチュエータ10等より構成され、ディーゼル機関1の運転状態に応じて設定される所定のEGR率が得られるように、上記のECU5によりアクチュエータ10を介してEGRバルブ9の開度が電子制御される。なお、EGRバルブ9には、例えば、ピストンバルブやバタフライバルブ等を採用できる。
【0026】
EGR通路8には、例えば、機関冷却水との熱交換によってEGRガスを冷却する水冷式のEGRクーラ11が設けられている。
【0027】
ターボ過給機は、排気通路7に設けられる排気タービン12と、吸気通路6に設けられるコンプレッサ13とで構成され、ディーゼル機関1の排気エネルギを受けて排気タービン12が回転することにより、その排気タービン12と同軸に連結されたコンプレッサ13が回転して、吸入空気を加圧する。また、排気タービン12の周囲には、多数のノズルベーン(図示せず)が配置され、そのノズルベーンの開度に応じてタービン効率を可変し、その結果、コンプレッサ13による過給状態が変化する。
【0028】
吸気通路6の上流端には、吸入空気を濾過するエアクリーナ14が設けられ、このエアクリーナ14の下流側に吸入空気量を計測するエアフロメータ15が設けられている。また、コンプレッサ13の下流には、コンプレッサ13によって加圧された空気を冷却するためのインタークーラ16が設けられ、さらに、インタークーラ16の下流には、吸入空気量を調整するための吸気絞り弁17が配設されている。この吸気絞り弁17は、ECU5により制御されるアクチュエータ18を介して弁開度が調整される。
【0029】
ECU5は、図1に示す各種センサ(NEセンサ19、アクセル開度センサ20、水温センサ21、吸気圧センサ22、圧力センサ23等)で検出されるセンサ情報を入力し、これらのセンサ情報を基に、燃料供給ポンプ3より吐出される燃料圧送量、インジェクタ4の噴射時期と噴射量、EGR率、および過給圧等を制御する。
【0030】
NEセンサ19は、ディーゼル機関1のクランク軸1aが1回転する間に複数のパルス信号を出力する。ECU5では、NEセンサ19より出力されたパルス信号の時間間隔を計測することで、機関回転速度を検出する。
【0031】
アクセル開度センサ20は、アクセルペダル24の踏込み量よりアクセル開度を検出して、検出結果をECU5に出力する。
【0032】
水温センサ21は、例えばサーミスタにより構成され、ディーゼル機関1のウォータジャケット1bを流れる冷却水の温度を検出して、検出結果をECU5に出力する。
【0033】
吸気圧センサ22は、吸気絞り弁17より下流側の吸気通路6に取り付けられ、吸気圧(過給圧)を検出して、検出結果をECU5に出力する。
【0034】
圧力センサ23は、コモンレール2に取り付けられ、コモンレール2に蓄圧された燃料圧力を検出して、検出結果をECU5に出力する。
【0035】
また、ECU5には、EGR通路8の内壁面に付着した異物を除去するクリーニング動作を実施するための異物除去モードがプログラムされている。この異物除去モードは、例えば、ディーゼル機関1の運転を停止するイグニッションスイッチ(IGスイッチ)のオフ操作後に実施される。なお、ECU5は、異物除去モードを実施するための異物除去手段、およびEGR通路8の内壁面に付着した異物の付着強度または付着量を検出する異物付着検出手段の機能を備えている。
【0036】
次に、異物除去モードを実行するECU5の処理手順を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
ステップ10…IGスイッチがオフ操作されたか否かを判定する。この判定結果がNOの場合、つまりIGスイッチがオフ操作されていない時は、本処理を終了し、判定結果がYESの場合は、次のステップ20へ進む。なお、ECU5は、IGスイッチがオフ操作された後、ECU5の電源ラインに設けられるメインリレー(図示せず)をオフ制御するタイミングを遅延させることができる。
【0038】
ステップ20…EGRガス流量をモニタする。EGR通路8を流れるEGRガスは、EGRバルブ9の開度に応じて調節されるため、EGRバルブ9の開弁位置信号を基に、EGRガス流量を推定することができる。
【0039】
ステップ30…ステップ20でモニタされたEGRガス流量(推定値)を基に異物累積指標値を算出する。この異物累積指標値は、EGR通路8の内壁面に付着する異物の付着強度あるいは付着量を判断するための指標値であり、前回の異物除去モードが実施されてから今回の異物除去モードが実施されるまでの間にモニタリングされるEGRガスの総流量から決定される。なお、ECU5に内蔵されるメモリには、EGRガスの総流量から異物累積指標値を決定するための特性図(図3参照)が格納されている。
【0040】
ステップ40…ステップ30で算出された異物累積指標値を基に、クリーニング動作の強度および回数を設定する。このクリーニング動作は、EGRバルブ9を駆動して行うものであり、クリーニング動作の強度および回数は、EGRバルブ9を駆動するアクチュエータ10の駆動力およびEGRバルブ9の作動回数として設定される。例えば、EGRガスの総流量が多くなると、その分、EGRガスに含まれる異物の量も多くなると判断できるため、図4に示す様に、異物累積指標値が大きくなる程、EGRバルブ9の作動強度が大きく、且つEGRバルブ9の作動回数も多く設定される。
【0041】
ステップ50…EGRバルブ9を駆動してクリーニングを実施する。具体的には、ステップ40で設定した作動強度および作動回数を基に、アクチュエータ10に制御信号を出力してEGRバルブ9を駆動する。
【0042】
(実施例1の効果)
上記の異物除去モードでは、異物累積指標値を基にEGRバルブ9の作動強度および作動回数を設定するので、異物の付着強度または付着量に応じて、効率良く異物の除去を実施できる。例えば、異物累積指標値が大きい時、つまり異物の付着強度が大きい時または付着量が多い時には、EGRバルブ9の作動強度を大きく、且つ作動回数を多くすることで、異物の除去を確実に実施できる。
【0043】
また、異物累積指標値が小さい時、つまり異物の付着強度が小さい時または付着量が少ない時には、EGRバルブ9の作動強度を小さく、且つ作動回数を少なくすることで、無駄なエネルギ消費を無くすことができると共に、EGRバルブ9の作動に伴う騒音の発生を低減できる効果もある。
【実施例2】
【0044】
図5はEGRガス中の異物成分濃度と異物の付着強度との関係を示す特性図、図6はEGRガス中の異物成分濃度と空燃比との関係を示す特性図である。
【0045】
実施例1では、EGRガス流量(推定値)を基に異物累積指標値を算出する例を説明したが、この実施例2では、EGRガス流量の代わりに、EGRガス中の異物成分濃度を使用する。つまり、EGRガス中の異物成分濃度が高くなると、EGRガス流量が多くなるに従って、異物の量も多くなるため、図5に示す様に、EGR通路8の内壁面に付着する異物の付着強度が大きく、または付着量が多くなると判断できる。そこで、EGRガス中の異物成分濃度を基に異物累積指標値を求め、その異物累積指標値を基に、異物の付着強度または付着量を検出することができる。
【0046】
EGRガス中の異物成分濃度は、空燃比を検出するA/Fセンサ(図示せず)の出力信号を基に推定できる。つまり、図6に示す様に、空燃比が燃料リッチになる程、排気ガスに含まれる異物の量が多くなる(EGRガス中の異物成分濃度が高くなる)と判断できるため、A/Fセンサの出力信号を基に、EGRガス中の異物成分濃度を推定できる。また、排気ガス中の酸素濃度を検出するO2 センサ(図示せず)を使用することも可能である。つまり、空燃比が小さくなる(燃料リッチ)と、排気ガス中の酸素濃度が低くなり、空燃比が大きくなる(燃料リーン)と、排気ガス中の酸素濃度が高くなり、空燃比と排気ガス中の酸素濃度とが相関するため、O2 センサの出力信号を用いてEGRガス中の異物成分濃度を推定することもできる。
【0047】
なお、実施例1に記載した方法、つまりEGRガス流量(推定値)を基に異物累積指標値を算出する場合に、EGRガス中の異物成分濃度によって異物累積指標値を補正することもできる。この場合、EGRガス流量だけでなく、EGRガス中の異物成分濃度を考慮して異物累積指標値を算出できるので、より精度良く異物の付着強度または付着量を検出できる。
【実施例3】
【0048】
図7はEGRガス温度の変化を示すグラフである。
【0049】
この実施例3では、実施例1または実施例2に記載した方法で算出される異物累積指標値をEGRガスの温度によって補正する一例である。
【0050】
EGRガスに含まれる異物は、EGRガスが凝縮する際にEGR通路8の内壁面に付着するので、EGRガスの温度(EGRガス温度と呼ぶ)に応じて異物累積指標値を補正することで、より精度良く異物の付着強度または付着量を検出できる。
【0051】
なお、EGRガス温度は、ディーゼル機関1より排出される排気ガスの温度を検出する排気温度センサ(図示せず)の出力信号を基に推定できる。つまり、EGRガスは、ディーゼル機関1より排出された排気ガスの一部が排気通路7からEGR通路8を通って吸気通路6へ還流するため、排気ガスの温度を検出することで、EGRガス温度を推定できる。
【0052】
本実施例の具体的な一例を以下に説明する。
【0053】
ECU5は、図7に示す様に、EGRガスの凝縮温度を第1閾値T1、この第1閾値T1より所定温度高い第2閾値T2を設定して、EGRガス温度が、少なくとも第2閾値T2まで上昇した後、第1閾値T1以下まで低下した回数をカウントし、そのカウント値に応じて異物累積指標値を補正する。
【0054】
EGRガスが凝縮する回数が多くなる程、EGR通路8の内壁面に付着する異物量も多くなると判断できるため、EGRガスの凝縮回数、即ち、EGRガス温度が、少なくとも第2閾値T2まで上昇した後、第1閾値T1以下まで低下した回数に応じて、異物累積指標値を補正することで、より精度良く異物の付着強度または付着量を検出できる。
【0055】
(その他の実施例)
実施例1では、IGスイッチがオフ操作された後に異物除去モードを実施しているが、例えば、減速フューエルカット時の様に、ディーゼル機関1の運転状態に対してEGRバルブ9の開度変動の影響が極めて小さい運転領域、あるいは走行状態に影響を生じないアイドリング時等に実施することも可能である。
【0056】
また、実施例1では、本発明をディーゼル機関1に適用した一例を記載したが、EGR装置を搭載するガソリン機関にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ディーゼル機関の制御システムを示す全体図である。
【図2】異物除去モードの処理手順を示すフローチャートである(実施例1)。
【図3】EGRガスの総流量と異物累積指標値との関係を示す特性図である(実施例1)。
【図4】異物累積指標値とEGRバルブの作動強度および回数との関係を示す特性図である(実施例1)。
【図5】EGRガス中の異物成分濃度と異物の付着強度との関係を示す特性図である(実施例2)。
【図6】EGRガス中の異物成分濃度と空燃比との関係を示す特性図である(実施例2)。
【図7】EGRガス温度の変化を示すグラフである(実施例3)。
【符号の説明】
【0058】
1 ディーゼル機関(内燃機関)
5 ECU(EGR制御装置、異物除去手段、異物付着検出手段)
6 吸気通路
7 排気通路
8 EGR通路
9 EGRバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路と排気通路とを連通するEGR通路に設けられ、このEGR通路を流れる排気ガス(EGRガスと呼ぶ)流量を調節するEGRバルブと、
前記EGR通路の内壁面に付着した異物を除去するために前記EGRバルブを駆動する異物除去モードが設定され、前記内燃機関の運転を停止するイグニッションスイッチのオフ操作後、あるいは前記内燃機関が所定の運転状態の時に、前記異物除去モードを実施する異物除去手段とを備える内燃機関のEGR制御装置であって、
前記異物除去手段は、
前記EGR通路の内壁面に付着した異物の付着強度または付着量を検出する異物付着検出手段を有し、この異物付着検出手段の検出結果に応じて前記EGRバルブの動作を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、前回の異物除去モードが実施された後、EGRガス流量またはEGRガス中の異物成分濃度の少なくとも1つを推定して、その推定値から異物累積指標値を求め、その異物累積指標値を基に、前記異物の付着強度または付着量を検出することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載した内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、前記EGRバルブの開弁位置信号を基に、前記EGRガス流量を推定することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載した内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、空燃比を検出するA/Fセンサ、あるいは排気ガス中の酸素濃度を検出するO2 センサの出力信号を基に、前記EGRガス中の異物成分濃度を推定することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項5】
請求項2〜4に記載した何れかの内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、前記EGRガスの温度に応じて、前記異物累積指標値を補正することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載した内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、前記内燃機関より排出される排気ガスの温度を検出する排気温度センサの出力信号を基に、前記EGRガスの温度を推定することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載した内燃機関のEGR制御装置において、
前記異物付着検出手段は、前記EGRガスの凝縮温度を第1閾値、この第1閾値より所定温度高い第2閾値を設定して、前記EGRガスの温度が、少なくとも前記第2閾値まで上昇した後、前記第1閾値以下まで低下した回数に応じて、前記異物累積指標値を補正することを特徴とする内燃機関のEGR制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−336557(P2006−336557A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162860(P2005−162860)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】