冷却装置および電子機器
【課題】冷媒が循環する流路を有し、かつ、複数の発熱体の各々に対応して設けられる受熱部どうしの間での熱の移動が抑制される冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置10は、冷媒300が循環する流路110を内部に有しプレート状に形成された基体100と、流路110に沿って冷媒300を流すポンプ(流動機構)200とを備える。基体100は、第1の受熱部101と第2の受熱部102と放熱部104とが設けられている。第1の受熱部101は、第1の発熱体71に熱的に接続されて第1の受熱区間111を有し、第2の受熱部102は、第2の発熱体72に熱的に接続されて第2の受熱区間112を有する。放熱部104は、第1の放熱区間114と第2の放熱区間114を有する。第1の放熱区間は、第1の受熱区間111から第2の受熱区間112の間に位置し、第2の放熱区間は、第2の受熱区間112の下流に位置する。
【解決手段】冷却装置10は、冷媒300が循環する流路110を内部に有しプレート状に形成された基体100と、流路110に沿って冷媒300を流すポンプ(流動機構)200とを備える。基体100は、第1の受熱部101と第2の受熱部102と放熱部104とが設けられている。第1の受熱部101は、第1の発熱体71に熱的に接続されて第1の受熱区間111を有し、第2の受熱部102は、第2の発熱体72に熱的に接続されて第2の受熱区間112を有する。放熱部104は、第1の放熱区間114と第2の放熱区間114を有する。第1の放熱区間は、第1の受熱区間111から第2の受熱区間112の間に位置し、第2の放熱区間は、第2の受熱区間112の下流に位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が流れる一つの循環経路によって複数の発熱体の熱を除去する冷却装置、およびこの冷却装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、筐体に内蔵される回路基板にたくさんの電子部品が実装されている。電子部品のうち動作中に熱を発生する電子部品には冷却装置が取り付けられ、熱が積極的に除去される。特許文献1の図1および図2に示された電子機器は、半導体素子が各々実装された複数の回路基板を筐体の内部に積層して配置している。個々の半導体素子には、冷媒を流すことのできる流路が内部に形成された受熱側ヘッダが熱的に接続されている。
【0003】
熱交換放熱体を構成する放熱側ヘッダは、内部に冷媒が流される複数の放熱管と、これらの放熱管の外周面に取り付けられたフィンとを備える。放熱管は、各受熱側ヘッダとフレキシブルチューブで接続されることによって、複数設けられた受熱側ヘッダを直列に連結する。また、熱交換放熱体は、受熱側ヘッダと放熱側ヘッダとの間で冷媒を移送する液体移送機構を有している。直列に構成された流路の両端に、液体移送機構となるベローズが、取り付けられている。一方のベローズに連結された駆動モータによって、ベローズが伸長と収縮を繰り返される。この結果、冷媒は、受熱側ヘッダとフレキシブルチューブと放熱管とで直列に構成された流路の中を、往復移動する。
【0004】
さらに、特許文献1の図4、図5、図9−11には、ノート型のポータブルコンピュータの本体に冷却装置を内蔵する実施例が記載されている。ポータブルコンピュータは、筐体に内蔵される回路基板に1つの半導体素子を実装している。図2に示された受熱側ヘッダと同じ形状の受熱側ヘッダが、半導体素子に装着されている。そして、冷媒は、小型のポンプによって循環することが開示されている。
【特許文献1】米国特許第5,646,824号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中央演算処理装置などの集積回路の配線密度が高まるにしたがって、中央演算処理装置が発生する熱量も増えている。また、これに伴い中央演算処理装置と連携して処理が行われる電子部品における発熱量も増加している。そのため、これら周辺の電子部品も中央演算処理装置と同様に積極的に冷却する必要がある。
【0006】
同じ回路基板上に点在する発熱体を順番に経由するように流路を構成すると、下流側ほど冷媒の温度が高くなるため、下流側の発熱体の冷却効率が悪くなる。また、同じ回路基板上に発熱体となる複数の電子部品が実装される場合、各々の発熱体に対応させて取り付けられる受熱部から放熱部までの距離は、それぞれ異なる。
【0007】
特許文献1の図2や図6、図7に示された冷却装置は、決められた一定の区間を冷媒が往復するように構成されている。したがって、この冷却装置を適用するには、最も路程の長い受熱部までの往復流量に合わせて吐出流量の大きい液体移送機構を用意しなければならない。また、各々の受熱部を直列に連結していると、受熱部から放熱部までの距離が短い箇所では、受熱部から回収した冷媒が放熱部を通り過ぎてしまう。そのため、すべての流路長を最も長い部分に合わせて構成する必要がある。さらに、複数の発熱体のそれぞれの発熱量が互いに異なる場合、発熱量が最も多い発熱体に装着された受熱部から回収されてくる冷媒の熱を確実に逃す放熱能力が、放熱部に要求される。
【0008】
ノート型のポータブルコンピュータにおいて、筐体の内部空間は、既に様々な部品によってひしめき合っている。したがって、特定の発熱体の条件に合わせて液体移送機構を大容量のものにすることや、全ての流路長を最も長くなるものに合わせて構成することや、発熱量の多い電子部品に対応させて放熱能力の高い放熱部を設けるなど、必要以上に冷却装置が大きくなることは、好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、冷媒が循環する流路を有し、かつ、複数の発熱体の各々に対応して設けられる受熱部どうしの間での熱の移動が抑制される冷却装置、およびこの冷却装置を備える電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一形態の冷却装置は、冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、流路に沿って冷媒を流す流動機構とを備える。そして、第1の受熱部と第2の受熱部と放熱部とを基体に設ける。第1の受熱部は、第1の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第1の受熱区間を有している。第2の受熱部は、第2の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第2の受熱区間を有している。放熱部は、第1の放熱区間と第2の放熱区間とを有している。第1の放熱区間は、流路の一区間であって、第1の受熱区間から第2の受熱区間までの間に位置する。第2の放熱区間は、流路の一区間であって、第2の受熱区間の下流に位置する。第1の放熱区間は、蛇行させて形成する。第1の受熱区間を第1の発熱体の外周に対応する位置に配置するか、または、第2の受熱区間を第2の発熱体の外周に対応する位置に配置する。
【0011】
また、本発明に係る一形態の電子機器は、筐体と、この筐体に内蔵される回路基板と、この回路基板に実装されて動作中に発熱する第1の発熱体および第2の発熱体と、冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、流路に沿って冷媒を流す流動機構とを有した冷却装置とを具備する。基体は、第1の受熱部と、第2の受熱部と、放熱部とが設けられている。第1の受熱部は、第1の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第1の受熱区間を有している。第2の受熱部は、第2の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第2の受熱区間を有している。放熱部は、第1の放熱区間と第2の放熱区間とを有している。第1の放熱区間は、流路の一区間であって、第1の受熱区間から第2の受熱区間までの間に位置する。第2の放熱区間は、流路の一区間であって、第2の受熱区間の下流に位置する。第1の放熱区間は、蛇行させて形成する。第1の受熱区間は、第1の発熱体の外周に対応する位置に配置するか、または、第2の受熱区間は、第2の発熱体の外周に対応する位置に配置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る一形態の冷却装置は、冷媒が循環する流路を一続きに形成しても、複数の発熱体の各々に対応する受熱部どうしの間での熱の移動が抑制することができる。そして、本発明に係る一形態の電子機器は、1つの回路基板上に実装される複数の発熱体を一つの冷却装置で互いに影響されること無く個別に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る第1の実施形態の冷却装置10を内蔵する電子機器1について、図1から図3を参照して説明する。図1に示す電子機器1は、本体2と表示部3とを有し、これらがヒンジ4で連結されたノートブック型のポータブルコンピュータである。本体2を構成する筐体20の上面には、入力手段であるキーボード5が装着されている。表示部3は、表示ユニットの一例である液晶ディスプレイ6を有している。表示ユニットとして液晶ディスプレイ6のほかに、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の薄型の表示ユニットを適用することが可能である。
【0014】
この電子機器1は、筐体20の内部に回路基板7と冷却装置10とを有している。本実施形態において、回路基板7は、第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73の3つが実装されている。第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73は、いずれも動作中に発熱する半導体素子やコンデンサ等に代表される電子部品である。
【0015】
冷却装置10は、基体100とポンプ200とを備える。基体100は、回路基板7に沿うプレート状に形成されており、内部に冷媒300が循環する流路110を有している。流路110は、図2に示すように基体100の内部で交差することなく一続きに一巡する、いわゆる「閉じたループ」である。基体100は、さらに第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103と放熱部104とが設けられている。
【0016】
第1の受熱部101は、第1の発熱体71を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第1の発熱体71と熱的に接続されている。第1の受熱部101には、流路110の一区間である第1の受熱区間111が配置されている。第1の受熱区間111は、第1の発熱体71の外周に対応する位置に配置される。第1の受熱区間111がこのように設けられていることによって、第1の発熱体71の発熱量が多い場合にも、隣り合う他の受熱部に対して、基体100を介して熱が伝わってしまうことを防止することができる。
【0017】
第2の受熱部102は、第2の発熱体72を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第2の発熱体72と熱的に接続されている。第2の受熱部102には、流路110の一区間である第2の受熱区間112が配置されている。第2の受熱区間112は、第2の発熱体72と第2の受熱部102とが熱的に接続されている領域を往復している。
【0018】
第3の受熱部103は、第3の発熱体73を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第3の発熱体73と熱的に接続されている。第3の受熱部103には、流路110の一区間である第3の受熱区間113が配置されている。第3の受熱区間113は、第3の発熱体73と第3の受熱部103とが熱的に接続されている領域を往復している。
【0019】
放熱部104は、第1の受熱区間111、第2の受熱区間112および第3の受熱区間113の下流側となる位置に設けられ、流路110の一区間である放熱区間114を有している。各々の受熱部の下流に位置する放熱部104の放熱区間114は、さらに下流の受熱部に冷媒300を送り出すまでの間に、上流の受熱部で受け取る熱量よりも多い熱量を放出する能力を有している。
【0020】
本実施形態では、放熱区間114は、第1の受熱区間111と第2の受熱区間112との間、第2の受熱区間112と第3の受熱区間113との間、第3の受熱区間113と第1の受熱区間111との間にそれぞれ設けられている。また、放熱区間114は、一箇所にまとめて配置されている。各放熱区間114は、上流に配置される受熱区間で受け取られた熱量を放出できる十分な長さを有している。上流に配置される受熱区間で受け取られる熱量が多い場合は、その下流の放熱区間114の流路110を蛇行させることで、その路程を確保する。
【0021】
また、ポンプ200は、放熱区間114から第1の受熱区間111までの間で、基体100に開口された流入口105および吐出口106に接続されている。このポンプ200は、冷媒300を流路110に沿って流す流動機構の一形態で有るので、第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103、および放熱部104以外の領域であれば、どこに設けても良い。ポンプ200の形式は、この範囲以内に収まるものであれば、軸流ポンプでも、ダイヤフラム式のポンプでも良い。
【0022】
また、基体100は、図3に示すように、入熱側プレート120および放熱側プレート130の2枚が板厚方向に貼り合わされて構成されている。入熱側プレート120および放熱側プレート130は、銅や銅合金等の熱伝導性に優れた材料によって形成される。
【0023】
回路基板7に面して配置される入熱側プレート120は、図3に示すように放熱側プレート130と貼り合わされる面に溝121を有している。この溝121は、エッチングによって形成されている。溝121は、エッチングによって成形される代わりに、プレスによる型押し、エンドミルによる切削等の加工方法で設けられていても良い。
【0024】
放熱側プレート130は、板厚が均一であり、溝121を覆うように入熱側プレート120に貼り合わされる。入熱側プレート120と放熱側プレート130は、蝋付けによって接合することもできるが、拡散接合や表面活性化常温接合等の接合方法によって貼り合わされていても良い。このように、溝121が放熱側プレート130によって覆われることで、基体100の内部に流路110が形成されている。
【0025】
流路110は、冷媒300となる純水によって充填されている。冷媒300は、純水のほかに、不凍液、油、不活性ガスなど、流路110を循環する間に劣化し難い流体で、かつ、入熱側プレート120および放熱側プレート130を腐食または劣化させないことが好ましい。冷媒300が充填されることによって、溝121に対応する領域の放熱側プレート130は、入熱側プレート120から離れる方向へ図3に示すように膨出する。なお、冷媒300を充填する圧力で放熱側プレート130を膨らませる代わりに、予めプレス成形などによって、溝121に対応する位置を予め膨らませておいても良い。
【0026】
以上のように構成された冷却装置10は、ポンプ200によって流路110内に冷媒300を循環させる。このとき、第1の受熱区間111を通過した冷媒300、第2の受熱区間112を通過した冷媒300、第3の受熱区間113を通過した冷媒300は、いずれもその下流側で、次の受熱区間に行く前に、放熱区間114を必ず経由する。
【0027】
したがって、第1の受熱部101で回収される第1の発熱体71で発生した熱は、放熱部104で放射され、下流側に位置する第2の受熱部102へ持ち越されることがない。同様に、第2の受熱部102で回収された熱が第3の受熱部103へ持ち越されることも無いし、第3の受熱部103で回収された熱も第1の受熱部101へ持ち越されることが無い。
【0028】
なお、ポンプ200が冷媒300を循環させる向きが変わっても、流路110は、第1の受熱区間111と第2の受熱区間112の間、第2の受熱区間112と第3の受熱区間113の間、第3の受熱区間113と第1の受熱区間111の間、のそれぞれに放熱区間114を有しているので、上流側の受熱部で回収された熱が下流側の受熱部に持ち越されることは無い。
【0029】
このように、第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73の複数の発熱体を冷却する冷却装置10は、個々の発熱体に対応させて設けられた受熱部である第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103どうしの間に放熱部104が設置されている。したがって、冷却装置10は、流路110が一続きに形成されていながら、各受熱部どうしの間で熱が移動することを抑制するので、複数設けられた発熱体を個別に冷やすことができる。
【0030】
また、冷却装置10は、冷媒300を循環させるため、個々の受熱部から放熱部までの距離を一定に揃える必要が無い。さらに、流路110は、一続きであるので、各受熱部に流れる冷媒300の流量を調整するための機構、および各受熱部に向けて並列に冷媒を供給するための容量の大きいポンプなどが不要である。
【0031】
以下に、第2から第10の実施形態の冷却装置を説明する。第2から第10の実施形態の冷却装置は、第1の実施形態と異なる部分について図示して説明するものとし、同様の箇所は、ここでの記載を割愛する。また、参照する各図面において、第1の実施形態の冷却装置と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
本発明に係る第2の実施形態の冷却装置10Aについて、図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態の図3中に示されたA−A線に相当する位置で、第2の実施形態の冷却装置10Aの基体100を断面にした図である。
【0033】
第2の実施形態の冷却装置10Aは、第1の実施形態の冷却装置10と比較した場合、基体100を構成する入熱側プレート120と放熱側プレート130の形状が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同じである。本実施形態の入熱側プレート120は、回路基板7に沿う平坦な形状である。放熱側プレート130は、プレス成形によって、流路110に対応する位置に入熱側プレート120から離れる方向へ膨出する溝131を有している。
【0034】
入熱側プレート120と放熱側プレート130とは、常温接合や界面接合などによって、貼り合わされる。この結果、基体100の内部に流路110が形成される。第1の実施形態の冷却装置10の基体100と同様に、入熱側プレート120の外面が平坦である。したがって、第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103において、個別に対応する第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73との熱的な接続性が良い。
【0035】
本発明に係る第3の実施形態の冷却装置10Bについて、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態の図3中に示されたA−A線に相当する位置で、第3の実施形態の冷却装置10Bの基体100を断面にした図である。
【0036】
第3の実施形態の冷却装置10Bは、図1の実施形態の冷却装置10と比較した場合、基体100を構成する入熱側プレート120と放熱側プレート130の形状が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同じである。本実施形態の入熱側プレート120および放熱側プレート130は、流路110に相当する部分が互いに離れる方向へ膨出した形状に溝121,131が形成されている。
【0037】
これらの溝121,131は、予めプレス成形されるのではなく、冷媒300が充填された結果、膨出しているものでも良い。つまり、入熱側プレート120と放熱側プレート130とを貼り合わせる際に、流路110を囲う外周を接合し、流路110に冷媒300を注入する。
【0038】
以上のように構成された冷却装置10Bは、入熱側プレート120と放熱側プレート130とが張り合わせ面を境とする鏡像に形成されているため、熱応力によって基体100に反りなどが出にくい。
【0039】
本発明に係る第4の実施形態の冷却装置10Cについて、図6および図7を参照して説明する。図6に示す第4の実施形態の冷却装置10Cは、第1の受熱部101と第2の受熱部102と放熱部104とポンプ200とを備える。回路基板7には、1つの第1の発熱体71と3つの第2の発熱体72とが実装されている。したがって、第1の受熱部101は、1つの第1の発熱体71と熱的に接合され、第2の受熱部102は、3つの第2の発熱体72を覆う位置に配置されて熱的に接合されている。
【0040】
また、図6に示すように、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間には、スリット107が設けられている。これにより、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間の直線的な熱伝導を抑制している。第2の受熱部102に配置された流路110である第2の受熱区間112は、3つある第2の発熱体72のそれぞれの近傍を通過するように配置されている。第2の受熱区間112の下流に位置する放熱区間114は、3つの第2の発熱体72が発生する熱量を放出する十分な能力を有している。
【0041】
この基体100は、図7に示すように、入熱側プレート120と放熱側プレート130との間に中間部材140が挟まれている。中間部材140は、流路110となる部分が刳り貫かれている。入熱側プレート120と中間部材140と放熱側プレート130とを三枚重ねに貼り合わせることにより、閉じられた流路110が形成される。
【0042】
冷却装置10Cにおいて、入熱側プレート120と放熱側プレート130と中間部材140とは、いずれも凹凸の無い平坦な形状で有るため、プレス加工による打ち抜きで簡単に作ることができる。また、中間部材140の板厚寸法を変化させることで、循環される冷媒300の量を任意に設定することができる。
【0043】
つまり、冷却装置10Cは、求められる冷却能力に応じて、冷媒300の流量、流路110の幅寸法、流路110の配置、等の仕様を臨機応変に変更して製造することができる。また、入熱側プレート120の外面が平坦であるため、第1の発熱体71に対する第1の受熱部101、および第2の発熱体72に対する第2の受熱部102の密着性が良い。
【0044】
本発明に係る第5の実施形態の冷却装置10Dについて、図8を参照して説明する。図8に示す冷却装置10Dは、放熱部104に放熱部材150を備える。放熱部材150は、多数のフィン151がベースプレート152から起立する、いわゆるヒートシンクである。放熱部材150は、放熱区間114が配置される範囲を覆う大きさに設けられ、放熱側プレート130に対して蝋付けあるいは界面接合などによって熱的に接続される。放熱部材150を備えることで、積極的に熱を流路110から放出することができるので、熱量の大きい発熱体にも対応することが可能である。
【0045】
なお、熱伝導ペーストを間に塗布して接着させても良い。また、放熱部材150は、フィン151の代わりに多数のピンが設けられたものでも良い。この他の構成は、第4の実施形態の冷却装置10Cと同じである。
【0046】
本発明に係る第6の実施形態の冷却装置10Eについて、図9を参照して説明する。図9に示す冷却装置10Eは、第5の実施形態の冷却装置10Dに対して、さらにファン160を備えている。ファン160は、放熱部材150に設けられたフィン151が平行に延びる方向に沿って空気を吹き付ける。これにより放熱部材150の周囲の空気を強制的に換気されるので、空気に対する放熱部材150の熱伝達効率が向上する。また、放熱部材150は、フィン151の先端をベースプレート152と平行に塞ぐカバー153が取り付けられている。これにより、空気がフィン151の全長に行き渡るので、放熱率も向上する。この他の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0047】
本発明に係る第7の実施形態の冷却装置10Fについて、図10を参照して説明する。図10に示す冷却装置10Fは、第5の実施形態の冷却装置10Dと比較して、さらに第1の受熱部101と第2の受熱部102とに放熱部材154,155a,155bがそれぞれ取り付けられている。放熱部材154は、第1の発熱体71に熱的に接続される面と反対側の第1の受熱部101外面に取り付けられている。放熱部材155aは、3つ設けられた第2の発熱体72の内の1つが第2の受熱部102と熱的に接続された部分と反対側の外面に配置され、放熱部材155bは、残りの2つの第2の発熱体72が第2の受熱部102と熱的に接続された部分と反対側の外面に配置されている。これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0048】
このように発熱体に対応して受熱部の外面に放熱部材154,155a,155bを備えることで、放熱部104に設ける放熱部材150を小さいものにすることができるとともに、流路110に循環させる冷媒300の流量を減らしポンプ200を吐出量の少ない小型のものにすることができる。
【0049】
本発明に係る第8の実施形態の冷却装置10Gについて、図11を参照して説明する。図11に示す冷却装置10Gは、基体100の放熱側プレート130に放熱部材となる放熱フィン132が一体に成形されている。放熱フィン132が基体100に直接設けられていることで、放熱部104の方熱効率が向上する。ポンプ200の配置が第5の実施形態の冷却装置10Dと異なるが、流路110の途中に設けられている点では、他の実施形態の冷却装置と同じである。また、これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0050】
本発明に係る第9の実施形態の冷却装置10Hについて、図12を参照して説明する。図12に示す冷却装置10Hは、第5の実施形態の冷却装置10Dと比較した場合、冷媒300を流路110に沿って流す流動機構であるポンプ200を備えない。その代わりに、流路110の内壁に突起201を流動機構として備えている。突起201は、図12に示すように、冷媒300を流したい方向に向かって斜めに設ける。図12において、突起201は、部分的にしか図示されていないが、流路110の全周にわたって設けられている。これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0051】
突起201は、基体100に対して外部から振動が加わると、冷媒300との間に自励振動を誘発し、冷媒300を流路110に沿って循環させる。したがって、突起201の詳細な形状および下流側に傾斜する角度については、流路110を流れる冷媒300の粘性、密度、温度、圧力、および流路110の形状、外部から加わる振動の周波数帯域によって、適宜決定される。
【0052】
このように構成された、冷却装置10Hにおいて、入熱側プレート120と中間部材140と放熱側プレート130とが貼り合わされた基体100に設けられる流路110が外部に対して完全に閉じられた状態となり、ポンプなどとの接合部が無いので、冷媒が漏れる心配が無い。つまり、経年的な耐久性に優れている。
【0053】
本発明に係る第10の実施形態の冷却装置10Iについて、図13を参照して説明する。図13に示す冷却装置10Iにおいて、基体100は、第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103とを備える。回路基板7は、1つの第1の発熱体71と2つの第2の発熱体72と1つの第3の発熱体73とが実装されている。第1の受熱部101は、第1の発熱体71に熱的に接続され、第2の受熱部102は、2つの第2の発熱体72に熱的に接続され、第3の受熱部103は、1つの第3の発熱体73に熱的に接続されている。
【0054】
第1の受熱部101と第2の受熱部102は、ファン160等を取り囲むように延びた端部に設けられている。これにより、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間の直接的な熱伝導は、遮断されている。第2の受熱部102と第3の受熱部103との間には、この間の熱伝導を遮断するスリット107が設けられている。第3の受熱部103は、第1の発熱体71よりも発熱量が多い第3の発熱体73に熱的に接続されている。第3の受熱部103に配置される第3の受熱区間113は、第3の発熱体73と第3の受熱部103とが熱的に接続されている部分に相当する領域において、蛇行している。受熱区間を蛇行させることで対応する発熱体からより多くの熱を受け取ることができ、冷却能力が向上する。
【0055】
また、この基体100は、放熱部が2か所に分かれて設けられている。第1の放熱部104Aには、第1の受熱部101の第1の受熱区間111の下流に設けられる放熱区間114と、第2の受熱部102の第2の受熱区間112の下流に設けられる放熱区間114とが配置されている。第2の放熱部104Bには、第3の受熱部103の第3の受熱区間113の下流に設けられる放熱区間114が配置されている。第1の放熱部104Aおよび第2の放熱部104Bのそれぞれには、放熱部材150が取り付けられる。
【0056】
以上のように構成された冷却装置10Iは、第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103とが互いに離れており、また、第1の受熱区間111の下流と第2の受熱区間112の下流と第3の受熱区間113の下流にそれぞれ放熱区間114を有しているので、第1の発熱体71と第2の発熱体72と第3の発熱体73とをお互いに他の発熱部が発生する熱に影響されること無く、効率よく冷却することができている。また、放熱部を第1の放熱部104Aと第2の放熱部104Bとに分けて配置することによって、基体100における各部のレイアウトに関して多様性を有することができる。
【0057】
上記第1から第10の実施形態の冷却装置10,10A,10B,10C,10E,10F,10G,10H,10Iにおいて、互いに異なる詳細部は、適宜他の実施形態の部分と同様にすることも、置き換えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の電子機器を一部切り欠いて示す斜視図。
【図2】図1に示した冷却装置とこれに対応する箇所の回路基板を示す分解斜視図。
【図3】図1中のA−A線に沿って示す冷却装置の断面図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の冷却装置を図1中のA−A線に相当する線に沿って示す断面図。
【図5】本発明に係る第3の実施形態の冷却装置を図1中のA−A線に相当する線に沿って示す断面図。
【図6】本発明に係る第4の実施形態のいて示す斜視図。
【図7】図6に示した冷却装置の分解斜視図。
【図8】本発明に係る第5の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図9】本発明に係る第6の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図10】本発明に係る第7の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図11】本発明に係る第8の実施形態の冷却装置とこれに対応する箇所の回路基板とを示す分解斜視図。
【図12】本発明に係る第9の実施形態の冷却装置を一部切り欠いて示す平面図。
【図13】本発明に係る第10の実施形態の冷却装置およびこれに対応する回路基板とを示す平面図。
【符号の説明】
【0059】
1…電子機器、7…回路基板、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I…冷却装置、20…筐体、71…第1の発熱部、72…第2の発熱部、100…基体、101…第1の受熱部、102…第2の受熱部、103…第3の受熱部、104…放熱部、104A…第1の放熱部(放熱部)、104B…第2の放熱部(放熱部)、107…スリット(熱伝導遮断部)、110…流路、111…第1の受熱区間、112…第2の受熱区間、113…第3の受熱区間、114…放熱区間、120…入熱側プレート(プレート)、130…放熱側プレート(プレート)、132…放熱フィン(放熱部材)、140…中間部材、150…放熱部材、154,155a,155b…放熱部材、160…ファン、200…ポンプ(流動機構)、201…突起(流動機構)、300…冷媒。
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が流れる一つの循環経路によって複数の発熱体の熱を除去する冷却装置、およびこの冷却装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、筐体に内蔵される回路基板にたくさんの電子部品が実装されている。電子部品のうち動作中に熱を発生する電子部品には冷却装置が取り付けられ、熱が積極的に除去される。特許文献1の図1および図2に示された電子機器は、半導体素子が各々実装された複数の回路基板を筐体の内部に積層して配置している。個々の半導体素子には、冷媒を流すことのできる流路が内部に形成された受熱側ヘッダが熱的に接続されている。
【0003】
熱交換放熱体を構成する放熱側ヘッダは、内部に冷媒が流される複数の放熱管と、これらの放熱管の外周面に取り付けられたフィンとを備える。放熱管は、各受熱側ヘッダとフレキシブルチューブで接続されることによって、複数設けられた受熱側ヘッダを直列に連結する。また、熱交換放熱体は、受熱側ヘッダと放熱側ヘッダとの間で冷媒を移送する液体移送機構を有している。直列に構成された流路の両端に、液体移送機構となるベローズが、取り付けられている。一方のベローズに連結された駆動モータによって、ベローズが伸長と収縮を繰り返される。この結果、冷媒は、受熱側ヘッダとフレキシブルチューブと放熱管とで直列に構成された流路の中を、往復移動する。
【0004】
さらに、特許文献1の図4、図5、図9−11には、ノート型のポータブルコンピュータの本体に冷却装置を内蔵する実施例が記載されている。ポータブルコンピュータは、筐体に内蔵される回路基板に1つの半導体素子を実装している。図2に示された受熱側ヘッダと同じ形状の受熱側ヘッダが、半導体素子に装着されている。そして、冷媒は、小型のポンプによって循環することが開示されている。
【特許文献1】米国特許第5,646,824号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中央演算処理装置などの集積回路の配線密度が高まるにしたがって、中央演算処理装置が発生する熱量も増えている。また、これに伴い中央演算処理装置と連携して処理が行われる電子部品における発熱量も増加している。そのため、これら周辺の電子部品も中央演算処理装置と同様に積極的に冷却する必要がある。
【0006】
同じ回路基板上に点在する発熱体を順番に経由するように流路を構成すると、下流側ほど冷媒の温度が高くなるため、下流側の発熱体の冷却効率が悪くなる。また、同じ回路基板上に発熱体となる複数の電子部品が実装される場合、各々の発熱体に対応させて取り付けられる受熱部から放熱部までの距離は、それぞれ異なる。
【0007】
特許文献1の図2や図6、図7に示された冷却装置は、決められた一定の区間を冷媒が往復するように構成されている。したがって、この冷却装置を適用するには、最も路程の長い受熱部までの往復流量に合わせて吐出流量の大きい液体移送機構を用意しなければならない。また、各々の受熱部を直列に連結していると、受熱部から放熱部までの距離が短い箇所では、受熱部から回収した冷媒が放熱部を通り過ぎてしまう。そのため、すべての流路長を最も長い部分に合わせて構成する必要がある。さらに、複数の発熱体のそれぞれの発熱量が互いに異なる場合、発熱量が最も多い発熱体に装着された受熱部から回収されてくる冷媒の熱を確実に逃す放熱能力が、放熱部に要求される。
【0008】
ノート型のポータブルコンピュータにおいて、筐体の内部空間は、既に様々な部品によってひしめき合っている。したがって、特定の発熱体の条件に合わせて液体移送機構を大容量のものにすることや、全ての流路長を最も長くなるものに合わせて構成することや、発熱量の多い電子部品に対応させて放熱能力の高い放熱部を設けるなど、必要以上に冷却装置が大きくなることは、好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、冷媒が循環する流路を有し、かつ、複数の発熱体の各々に対応して設けられる受熱部どうしの間での熱の移動が抑制される冷却装置、およびこの冷却装置を備える電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一形態の冷却装置は、冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、流路に沿って冷媒を流す流動機構とを備える。そして、第1の受熱部と第2の受熱部と放熱部とを基体に設ける。第1の受熱部は、第1の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第1の受熱区間を有している。第2の受熱部は、第2の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第2の受熱区間を有している。放熱部は、第1の放熱区間と第2の放熱区間とを有している。第1の放熱区間は、流路の一区間であって、第1の受熱区間から第2の受熱区間までの間に位置する。第2の放熱区間は、流路の一区間であって、第2の受熱区間の下流に位置する。第1の放熱区間は、蛇行させて形成する。第1の受熱区間を第1の発熱体の外周に対応する位置に配置するか、または、第2の受熱区間を第2の発熱体の外周に対応する位置に配置する。
【0011】
また、本発明に係る一形態の電子機器は、筐体と、この筐体に内蔵される回路基板と、この回路基板に実装されて動作中に発熱する第1の発熱体および第2の発熱体と、冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、流路に沿って冷媒を流す流動機構とを有した冷却装置とを具備する。基体は、第1の受熱部と、第2の受熱部と、放熱部とが設けられている。第1の受熱部は、第1の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第1の受熱区間を有している。第2の受熱部は、第2の発熱体に熱的に接続されて流路の一区間である第2の受熱区間を有している。放熱部は、第1の放熱区間と第2の放熱区間とを有している。第1の放熱区間は、流路の一区間であって、第1の受熱区間から第2の受熱区間までの間に位置する。第2の放熱区間は、流路の一区間であって、第2の受熱区間の下流に位置する。第1の放熱区間は、蛇行させて形成する。第1の受熱区間は、第1の発熱体の外周に対応する位置に配置するか、または、第2の受熱区間は、第2の発熱体の外周に対応する位置に配置する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る一形態の冷却装置は、冷媒が循環する流路を一続きに形成しても、複数の発熱体の各々に対応する受熱部どうしの間での熱の移動が抑制することができる。そして、本発明に係る一形態の電子機器は、1つの回路基板上に実装される複数の発熱体を一つの冷却装置で互いに影響されること無く個別に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る第1の実施形態の冷却装置10を内蔵する電子機器1について、図1から図3を参照して説明する。図1に示す電子機器1は、本体2と表示部3とを有し、これらがヒンジ4で連結されたノートブック型のポータブルコンピュータである。本体2を構成する筐体20の上面には、入力手段であるキーボード5が装着されている。表示部3は、表示ユニットの一例である液晶ディスプレイ6を有している。表示ユニットとして液晶ディスプレイ6のほかに、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の薄型の表示ユニットを適用することが可能である。
【0014】
この電子機器1は、筐体20の内部に回路基板7と冷却装置10とを有している。本実施形態において、回路基板7は、第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73の3つが実装されている。第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73は、いずれも動作中に発熱する半導体素子やコンデンサ等に代表される電子部品である。
【0015】
冷却装置10は、基体100とポンプ200とを備える。基体100は、回路基板7に沿うプレート状に形成されており、内部に冷媒300が循環する流路110を有している。流路110は、図2に示すように基体100の内部で交差することなく一続きに一巡する、いわゆる「閉じたループ」である。基体100は、さらに第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103と放熱部104とが設けられている。
【0016】
第1の受熱部101は、第1の発熱体71を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第1の発熱体71と熱的に接続されている。第1の受熱部101には、流路110の一区間である第1の受熱区間111が配置されている。第1の受熱区間111は、第1の発熱体71の外周に対応する位置に配置される。第1の受熱区間111がこのように設けられていることによって、第1の発熱体71の発熱量が多い場合にも、隣り合う他の受熱部に対して、基体100を介して熱が伝わってしまうことを防止することができる。
【0017】
第2の受熱部102は、第2の発熱体72を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第2の発熱体72と熱的に接続されている。第2の受熱部102には、流路110の一区間である第2の受熱区間112が配置されている。第2の受熱区間112は、第2の発熱体72と第2の受熱部102とが熱的に接続されている領域を往復している。
【0018】
第3の受熱部103は、第3の発熱体73を覆う位置に設けられ、熱伝導ペースト8によって第3の発熱体73と熱的に接続されている。第3の受熱部103には、流路110の一区間である第3の受熱区間113が配置されている。第3の受熱区間113は、第3の発熱体73と第3の受熱部103とが熱的に接続されている領域を往復している。
【0019】
放熱部104は、第1の受熱区間111、第2の受熱区間112および第3の受熱区間113の下流側となる位置に設けられ、流路110の一区間である放熱区間114を有している。各々の受熱部の下流に位置する放熱部104の放熱区間114は、さらに下流の受熱部に冷媒300を送り出すまでの間に、上流の受熱部で受け取る熱量よりも多い熱量を放出する能力を有している。
【0020】
本実施形態では、放熱区間114は、第1の受熱区間111と第2の受熱区間112との間、第2の受熱区間112と第3の受熱区間113との間、第3の受熱区間113と第1の受熱区間111との間にそれぞれ設けられている。また、放熱区間114は、一箇所にまとめて配置されている。各放熱区間114は、上流に配置される受熱区間で受け取られた熱量を放出できる十分な長さを有している。上流に配置される受熱区間で受け取られる熱量が多い場合は、その下流の放熱区間114の流路110を蛇行させることで、その路程を確保する。
【0021】
また、ポンプ200は、放熱区間114から第1の受熱区間111までの間で、基体100に開口された流入口105および吐出口106に接続されている。このポンプ200は、冷媒300を流路110に沿って流す流動機構の一形態で有るので、第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103、および放熱部104以外の領域であれば、どこに設けても良い。ポンプ200の形式は、この範囲以内に収まるものであれば、軸流ポンプでも、ダイヤフラム式のポンプでも良い。
【0022】
また、基体100は、図3に示すように、入熱側プレート120および放熱側プレート130の2枚が板厚方向に貼り合わされて構成されている。入熱側プレート120および放熱側プレート130は、銅や銅合金等の熱伝導性に優れた材料によって形成される。
【0023】
回路基板7に面して配置される入熱側プレート120は、図3に示すように放熱側プレート130と貼り合わされる面に溝121を有している。この溝121は、エッチングによって形成されている。溝121は、エッチングによって成形される代わりに、プレスによる型押し、エンドミルによる切削等の加工方法で設けられていても良い。
【0024】
放熱側プレート130は、板厚が均一であり、溝121を覆うように入熱側プレート120に貼り合わされる。入熱側プレート120と放熱側プレート130は、蝋付けによって接合することもできるが、拡散接合や表面活性化常温接合等の接合方法によって貼り合わされていても良い。このように、溝121が放熱側プレート130によって覆われることで、基体100の内部に流路110が形成されている。
【0025】
流路110は、冷媒300となる純水によって充填されている。冷媒300は、純水のほかに、不凍液、油、不活性ガスなど、流路110を循環する間に劣化し難い流体で、かつ、入熱側プレート120および放熱側プレート130を腐食または劣化させないことが好ましい。冷媒300が充填されることによって、溝121に対応する領域の放熱側プレート130は、入熱側プレート120から離れる方向へ図3に示すように膨出する。なお、冷媒300を充填する圧力で放熱側プレート130を膨らませる代わりに、予めプレス成形などによって、溝121に対応する位置を予め膨らませておいても良い。
【0026】
以上のように構成された冷却装置10は、ポンプ200によって流路110内に冷媒300を循環させる。このとき、第1の受熱区間111を通過した冷媒300、第2の受熱区間112を通過した冷媒300、第3の受熱区間113を通過した冷媒300は、いずれもその下流側で、次の受熱区間に行く前に、放熱区間114を必ず経由する。
【0027】
したがって、第1の受熱部101で回収される第1の発熱体71で発生した熱は、放熱部104で放射され、下流側に位置する第2の受熱部102へ持ち越されることがない。同様に、第2の受熱部102で回収された熱が第3の受熱部103へ持ち越されることも無いし、第3の受熱部103で回収された熱も第1の受熱部101へ持ち越されることが無い。
【0028】
なお、ポンプ200が冷媒300を循環させる向きが変わっても、流路110は、第1の受熱区間111と第2の受熱区間112の間、第2の受熱区間112と第3の受熱区間113の間、第3の受熱区間113と第1の受熱区間111の間、のそれぞれに放熱区間114を有しているので、上流側の受熱部で回収された熱が下流側の受熱部に持ち越されることは無い。
【0029】
このように、第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73の複数の発熱体を冷却する冷却装置10は、個々の発熱体に対応させて設けられた受熱部である第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103どうしの間に放熱部104が設置されている。したがって、冷却装置10は、流路110が一続きに形成されていながら、各受熱部どうしの間で熱が移動することを抑制するので、複数設けられた発熱体を個別に冷やすことができる。
【0030】
また、冷却装置10は、冷媒300を循環させるため、個々の受熱部から放熱部までの距離を一定に揃える必要が無い。さらに、流路110は、一続きであるので、各受熱部に流れる冷媒300の流量を調整するための機構、および各受熱部に向けて並列に冷媒を供給するための容量の大きいポンプなどが不要である。
【0031】
以下に、第2から第10の実施形態の冷却装置を説明する。第2から第10の実施形態の冷却装置は、第1の実施形態と異なる部分について図示して説明するものとし、同様の箇所は、ここでの記載を割愛する。また、参照する各図面において、第1の実施形態の冷却装置と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
本発明に係る第2の実施形態の冷却装置10Aについて、図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態の図3中に示されたA−A線に相当する位置で、第2の実施形態の冷却装置10Aの基体100を断面にした図である。
【0033】
第2の実施形態の冷却装置10Aは、第1の実施形態の冷却装置10と比較した場合、基体100を構成する入熱側プレート120と放熱側プレート130の形状が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同じである。本実施形態の入熱側プレート120は、回路基板7に沿う平坦な形状である。放熱側プレート130は、プレス成形によって、流路110に対応する位置に入熱側プレート120から離れる方向へ膨出する溝131を有している。
【0034】
入熱側プレート120と放熱側プレート130とは、常温接合や界面接合などによって、貼り合わされる。この結果、基体100の内部に流路110が形成される。第1の実施形態の冷却装置10の基体100と同様に、入熱側プレート120の外面が平坦である。したがって、第1の受熱部101、第2の受熱部102、第3の受熱部103において、個別に対応する第1の発熱体71、第2の発熱体72、第3の発熱体73との熱的な接続性が良い。
【0035】
本発明に係る第3の実施形態の冷却装置10Bについて、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態の図3中に示されたA−A線に相当する位置で、第3の実施形態の冷却装置10Bの基体100を断面にした図である。
【0036】
第3の実施形態の冷却装置10Bは、図1の実施形態の冷却装置10と比較した場合、基体100を構成する入熱側プレート120と放熱側プレート130の形状が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同じである。本実施形態の入熱側プレート120および放熱側プレート130は、流路110に相当する部分が互いに離れる方向へ膨出した形状に溝121,131が形成されている。
【0037】
これらの溝121,131は、予めプレス成形されるのではなく、冷媒300が充填された結果、膨出しているものでも良い。つまり、入熱側プレート120と放熱側プレート130とを貼り合わせる際に、流路110を囲う外周を接合し、流路110に冷媒300を注入する。
【0038】
以上のように構成された冷却装置10Bは、入熱側プレート120と放熱側プレート130とが張り合わせ面を境とする鏡像に形成されているため、熱応力によって基体100に反りなどが出にくい。
【0039】
本発明に係る第4の実施形態の冷却装置10Cについて、図6および図7を参照して説明する。図6に示す第4の実施形態の冷却装置10Cは、第1の受熱部101と第2の受熱部102と放熱部104とポンプ200とを備える。回路基板7には、1つの第1の発熱体71と3つの第2の発熱体72とが実装されている。したがって、第1の受熱部101は、1つの第1の発熱体71と熱的に接合され、第2の受熱部102は、3つの第2の発熱体72を覆う位置に配置されて熱的に接合されている。
【0040】
また、図6に示すように、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間には、スリット107が設けられている。これにより、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間の直線的な熱伝導を抑制している。第2の受熱部102に配置された流路110である第2の受熱区間112は、3つある第2の発熱体72のそれぞれの近傍を通過するように配置されている。第2の受熱区間112の下流に位置する放熱区間114は、3つの第2の発熱体72が発生する熱量を放出する十分な能力を有している。
【0041】
この基体100は、図7に示すように、入熱側プレート120と放熱側プレート130との間に中間部材140が挟まれている。中間部材140は、流路110となる部分が刳り貫かれている。入熱側プレート120と中間部材140と放熱側プレート130とを三枚重ねに貼り合わせることにより、閉じられた流路110が形成される。
【0042】
冷却装置10Cにおいて、入熱側プレート120と放熱側プレート130と中間部材140とは、いずれも凹凸の無い平坦な形状で有るため、プレス加工による打ち抜きで簡単に作ることができる。また、中間部材140の板厚寸法を変化させることで、循環される冷媒300の量を任意に設定することができる。
【0043】
つまり、冷却装置10Cは、求められる冷却能力に応じて、冷媒300の流量、流路110の幅寸法、流路110の配置、等の仕様を臨機応変に変更して製造することができる。また、入熱側プレート120の外面が平坦であるため、第1の発熱体71に対する第1の受熱部101、および第2の発熱体72に対する第2の受熱部102の密着性が良い。
【0044】
本発明に係る第5の実施形態の冷却装置10Dについて、図8を参照して説明する。図8に示す冷却装置10Dは、放熱部104に放熱部材150を備える。放熱部材150は、多数のフィン151がベースプレート152から起立する、いわゆるヒートシンクである。放熱部材150は、放熱区間114が配置される範囲を覆う大きさに設けられ、放熱側プレート130に対して蝋付けあるいは界面接合などによって熱的に接続される。放熱部材150を備えることで、積極的に熱を流路110から放出することができるので、熱量の大きい発熱体にも対応することが可能である。
【0045】
なお、熱伝導ペーストを間に塗布して接着させても良い。また、放熱部材150は、フィン151の代わりに多数のピンが設けられたものでも良い。この他の構成は、第4の実施形態の冷却装置10Cと同じである。
【0046】
本発明に係る第6の実施形態の冷却装置10Eについて、図9を参照して説明する。図9に示す冷却装置10Eは、第5の実施形態の冷却装置10Dに対して、さらにファン160を備えている。ファン160は、放熱部材150に設けられたフィン151が平行に延びる方向に沿って空気を吹き付ける。これにより放熱部材150の周囲の空気を強制的に換気されるので、空気に対する放熱部材150の熱伝達効率が向上する。また、放熱部材150は、フィン151の先端をベースプレート152と平行に塞ぐカバー153が取り付けられている。これにより、空気がフィン151の全長に行き渡るので、放熱率も向上する。この他の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0047】
本発明に係る第7の実施形態の冷却装置10Fについて、図10を参照して説明する。図10に示す冷却装置10Fは、第5の実施形態の冷却装置10Dと比較して、さらに第1の受熱部101と第2の受熱部102とに放熱部材154,155a,155bがそれぞれ取り付けられている。放熱部材154は、第1の発熱体71に熱的に接続される面と反対側の第1の受熱部101外面に取り付けられている。放熱部材155aは、3つ設けられた第2の発熱体72の内の1つが第2の受熱部102と熱的に接続された部分と反対側の外面に配置され、放熱部材155bは、残りの2つの第2の発熱体72が第2の受熱部102と熱的に接続された部分と反対側の外面に配置されている。これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0048】
このように発熱体に対応して受熱部の外面に放熱部材154,155a,155bを備えることで、放熱部104に設ける放熱部材150を小さいものにすることができるとともに、流路110に循環させる冷媒300の流量を減らしポンプ200を吐出量の少ない小型のものにすることができる。
【0049】
本発明に係る第8の実施形態の冷却装置10Gについて、図11を参照して説明する。図11に示す冷却装置10Gは、基体100の放熱側プレート130に放熱部材となる放熱フィン132が一体に成形されている。放熱フィン132が基体100に直接設けられていることで、放熱部104の方熱効率が向上する。ポンプ200の配置が第5の実施形態の冷却装置10Dと異なるが、流路110の途中に設けられている点では、他の実施形態の冷却装置と同じである。また、これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0050】
本発明に係る第9の実施形態の冷却装置10Hについて、図12を参照して説明する。図12に示す冷却装置10Hは、第5の実施形態の冷却装置10Dと比較した場合、冷媒300を流路110に沿って流す流動機構であるポンプ200を備えない。その代わりに、流路110の内壁に突起201を流動機構として備えている。突起201は、図12に示すように、冷媒300を流したい方向に向かって斜めに設ける。図12において、突起201は、部分的にしか図示されていないが、流路110の全周にわたって設けられている。これ以外の構成は、第5の実施形態の冷却装置10Dと同じである。
【0051】
突起201は、基体100に対して外部から振動が加わると、冷媒300との間に自励振動を誘発し、冷媒300を流路110に沿って循環させる。したがって、突起201の詳細な形状および下流側に傾斜する角度については、流路110を流れる冷媒300の粘性、密度、温度、圧力、および流路110の形状、外部から加わる振動の周波数帯域によって、適宜決定される。
【0052】
このように構成された、冷却装置10Hにおいて、入熱側プレート120と中間部材140と放熱側プレート130とが貼り合わされた基体100に設けられる流路110が外部に対して完全に閉じられた状態となり、ポンプなどとの接合部が無いので、冷媒が漏れる心配が無い。つまり、経年的な耐久性に優れている。
【0053】
本発明に係る第10の実施形態の冷却装置10Iについて、図13を参照して説明する。図13に示す冷却装置10Iにおいて、基体100は、第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103とを備える。回路基板7は、1つの第1の発熱体71と2つの第2の発熱体72と1つの第3の発熱体73とが実装されている。第1の受熱部101は、第1の発熱体71に熱的に接続され、第2の受熱部102は、2つの第2の発熱体72に熱的に接続され、第3の受熱部103は、1つの第3の発熱体73に熱的に接続されている。
【0054】
第1の受熱部101と第2の受熱部102は、ファン160等を取り囲むように延びた端部に設けられている。これにより、第1の受熱部101と第2の受熱部102との間の直接的な熱伝導は、遮断されている。第2の受熱部102と第3の受熱部103との間には、この間の熱伝導を遮断するスリット107が設けられている。第3の受熱部103は、第1の発熱体71よりも発熱量が多い第3の発熱体73に熱的に接続されている。第3の受熱部103に配置される第3の受熱区間113は、第3の発熱体73と第3の受熱部103とが熱的に接続されている部分に相当する領域において、蛇行している。受熱区間を蛇行させることで対応する発熱体からより多くの熱を受け取ることができ、冷却能力が向上する。
【0055】
また、この基体100は、放熱部が2か所に分かれて設けられている。第1の放熱部104Aには、第1の受熱部101の第1の受熱区間111の下流に設けられる放熱区間114と、第2の受熱部102の第2の受熱区間112の下流に設けられる放熱区間114とが配置されている。第2の放熱部104Bには、第3の受熱部103の第3の受熱区間113の下流に設けられる放熱区間114が配置されている。第1の放熱部104Aおよび第2の放熱部104Bのそれぞれには、放熱部材150が取り付けられる。
【0056】
以上のように構成された冷却装置10Iは、第1の受熱部101と第2の受熱部102と第3の受熱部103とが互いに離れており、また、第1の受熱区間111の下流と第2の受熱区間112の下流と第3の受熱区間113の下流にそれぞれ放熱区間114を有しているので、第1の発熱体71と第2の発熱体72と第3の発熱体73とをお互いに他の発熱部が発生する熱に影響されること無く、効率よく冷却することができている。また、放熱部を第1の放熱部104Aと第2の放熱部104Bとに分けて配置することによって、基体100における各部のレイアウトに関して多様性を有することができる。
【0057】
上記第1から第10の実施形態の冷却装置10,10A,10B,10C,10E,10F,10G,10H,10Iにおいて、互いに異なる詳細部は、適宜他の実施形態の部分と同様にすることも、置き換えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の電子機器を一部切り欠いて示す斜視図。
【図2】図1に示した冷却装置とこれに対応する箇所の回路基板を示す分解斜視図。
【図3】図1中のA−A線に沿って示す冷却装置の断面図。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の冷却装置を図1中のA−A線に相当する線に沿って示す断面図。
【図5】本発明に係る第3の実施形態の冷却装置を図1中のA−A線に相当する線に沿って示す断面図。
【図6】本発明に係る第4の実施形態のいて示す斜視図。
【図7】図6に示した冷却装置の分解斜視図。
【図8】本発明に係る第5の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図9】本発明に係る第6の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図10】本発明に係る第7の実施形態の冷却装置を回路基板上に配置した状態を示す斜視図。
【図11】本発明に係る第8の実施形態の冷却装置とこれに対応する箇所の回路基板とを示す分解斜視図。
【図12】本発明に係る第9の実施形態の冷却装置を一部切り欠いて示す平面図。
【図13】本発明に係る第10の実施形態の冷却装置およびこれに対応する回路基板とを示す平面図。
【符号の説明】
【0059】
1…電子機器、7…回路基板、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I…冷却装置、20…筐体、71…第1の発熱部、72…第2の発熱部、100…基体、101…第1の受熱部、102…第2の受熱部、103…第3の受熱部、104…放熱部、104A…第1の放熱部(放熱部)、104B…第2の放熱部(放熱部)、107…スリット(熱伝導遮断部)、110…流路、111…第1の受熱区間、112…第2の受熱区間、113…第3の受熱区間、114…放熱区間、120…入熱側プレート(プレート)、130…放熱側プレート(プレート)、132…放熱フィン(放熱部材)、140…中間部材、150…放熱部材、154,155a,155b…放熱部材、160…ファン、200…ポンプ(流動機構)、201…突起(流動機構)、300…冷媒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、前記流路に沿って前記冷媒を流す流動機構とを備え、
前記基体は、
第1の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第1の受熱区間を有した第1の受熱部と、
第2の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第2の受熱区間を有した第2の受熱部と、
前記第1の受熱区間から前記第2の受熱区間までの間に位置し前記流路の一区間である第1の放熱区間および前記第2の受熱区間の下流に位置し前記流路の一区間である第2の放熱区間を有した放熱部と
が設けられ、
前記第1の放熱区間は、蛇行させて形成され、
前記第1の受熱区間は、前記第1の発熱体の外周に対応する位置に配置された、または、前記第2の受熱区間は、前記第2の発熱体の外周に対応する位置に配置された
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記基体は、2枚のプレートを板厚方向に貼り合わせたことによって前記流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記基体は、前記流路が形成された中間部材と、この中間部材を間に挟む2つのプレートと、を板厚方向に貼り合わせたことによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記放熱部は、放熱部材を有したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記放熱部に一体に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記放熱部と別体に形成されており、前記放熱部に熱的に接続されたことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記放熱部は、前記放熱部材の周囲の空気を強制的に換気するファンを備えていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記流動機構は、前記流路の内面に設けられ、前記基体に加わる振動によって前記冷媒を流動させる突起であることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記第1の発熱体に熱的に接続される面と反対側の前記第1の受熱部の外面、または、前記第2の発熱体に熱的に接続される面と反対側の前記第2の受熱部の外面に、放熱部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体に内蔵される回路基板と、
前記回路基板に実装されて動作中に発熱する第1の発熱体および第2の発熱体と、
冷媒が循環する流路を有しプレート状に形成された基体と、前記流路に沿って前記冷媒を流す流動機構とを有した冷却装置と
を具備する電子機器であって、
前記基体は、
前記第1の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第1の受熱区間を有した第1の受熱部と、
前記第2の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第2の受熱区間を有した第2の受熱部と、
前記第1の受熱区間から前記第2の受熱区間までの間に位置し前記流路の一区間である第1の放熱区間および前記第2の受熱区間の下流に位置し前記流路の一区間である第2の放熱区間を有した放熱部と
が設けられ、
前記第1の放熱区間は、蛇行させて形成され、
前記第1の受熱区間は、前記第1の発熱体の外周に対応する位置に配置された、または、前記第2の受熱区間は、前記第2の発熱体の外周に対応する位置に配置された
ことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
冷媒が循環する流路を内部に有しプレート状に形成された基体と、前記流路に沿って前記冷媒を流す流動機構とを備え、
前記基体は、
第1の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第1の受熱区間を有した第1の受熱部と、
第2の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第2の受熱区間を有した第2の受熱部と、
前記第1の受熱区間から前記第2の受熱区間までの間に位置し前記流路の一区間である第1の放熱区間および前記第2の受熱区間の下流に位置し前記流路の一区間である第2の放熱区間を有した放熱部と
が設けられ、
前記第1の放熱区間は、蛇行させて形成され、
前記第1の受熱区間は、前記第1の発熱体の外周に対応する位置に配置された、または、前記第2の受熱区間は、前記第2の発熱体の外周に対応する位置に配置された
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記基体は、2枚のプレートを板厚方向に貼り合わせたことによって前記流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記基体は、前記流路が形成された中間部材と、この中間部材を間に挟む2つのプレートと、を板厚方向に貼り合わせたことによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記放熱部は、放熱部材を有したことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記放熱部に一体に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記放熱部と別体に形成されており、前記放熱部に熱的に接続されたことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記放熱部は、前記放熱部材の周囲の空気を強制的に換気するファンを備えていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記流動機構は、前記流路の内面に設けられ、前記基体に加わる振動によって前記冷媒を流動させる突起であることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記第1の発熱体に熱的に接続される面と反対側の前記第1の受熱部の外面、または、前記第2の発熱体に熱的に接続される面と反対側の前記第2の受熱部の外面に、放熱部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体に内蔵される回路基板と、
前記回路基板に実装されて動作中に発熱する第1の発熱体および第2の発熱体と、
冷媒が循環する流路を有しプレート状に形成された基体と、前記流路に沿って前記冷媒を流す流動機構とを有した冷却装置と
を具備する電子機器であって、
前記基体は、
前記第1の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第1の受熱区間を有した第1の受熱部と、
前記第2の発熱体に熱的に接続されて前記流路の一区間である第2の受熱区間を有した第2の受熱部と、
前記第1の受熱区間から前記第2の受熱区間までの間に位置し前記流路の一区間である第1の放熱区間および前記第2の受熱区間の下流に位置し前記流路の一区間である第2の放熱区間を有した放熱部と
が設けられ、
前記第1の放熱区間は、蛇行させて形成され、
前記第1の受熱区間は、前記第1の発熱体の外周に対応する位置に配置された、または、前記第2の受熱区間は、前記第2の発熱体の外周に対応する位置に配置された
ことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−99995(P2009−99995A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275377(P2008−275377)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【分割の表示】特願2006−52217(P2006−52217)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【分割の表示】特願2006−52217(P2006−52217)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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