説明

制御装置

【課題】 画像形成部の設置環境に応じた適切なデータ変換用情報を利用した画像形成を実現するための技術を提供する。
【解決手段】 通信システム2は、複数台のプリンタ10a〜10dとサーバ100とを備える。プリンタ10a〜10dとサーバ100とはインターネット8に接続されており、インターネット8を介して相互に通信可能である。通信システム2では、プリンタ10a〜10dがサーバ100に環境情報402a〜402dと、数値情報403a〜403dと、を供給する。サーバ100は、供給された環境情報402a〜402dと、数値情報403a〜403dと、に応じて、新規キャリブレーションデータ404a〜404cを生成し、又は、平均キャリブレーションデータ406を準備する。サーバ100は、生成した新規キャリブレーションデータ404a〜404c又は準備した平均キャリブレーションデータ406をプリンタ10a〜10dに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、画像形成部を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のプリンタは、複数個の色変換プロファイルを格納するデータベースと、温度及び湿度を測定するセンサと、を備える。プリンタは、センサによって測定される温度及び湿度に応じて、データベースに格納されている複数個の色変換プロファイルの中から1個の色変換プロファイルを選択する。プリンタは、印刷対象の画像データに対して選択済みの色変換プロファイルを利用して色変換を実行して変換済み画像データを生成し、変換済み画像データによって表わされる画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−51902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、特許文献1の手法とは異なる手法を採用して、画像形成部の設置環境に応じた適切なデータ変換用情報を利用した画像形成を実現するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、画像形成部を制御するための制御装置を開示する。制御装置は、少なくとも環境条件に基づいて区分される複数個のグループのそれぞれについて、当該グループに対応する環境条件に適合するデータ変換用情報を準備するための準備情報を記憶するサーバと、ネットワークを介して接続されている。制御装置は、デバイス側供給部と、デバイス側取得部と、画像形成制御部と、を備える。デバイス側供給部は、画像形成部の設置環境を示す環境情報を、サーバに供給する。デバイス側取得部は、環境情報によって示される設置環境を含む特定の環境条件に対応する特定のグループの準備情報を用いて、特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報がサーバによって準備される場合に、サーバから第1のデータ変換用情報を取得し、第1のデータ変換用情報がサーバによって準備されない場合に、第1のデータ変換用情報とは異なる第2のデータ変換用情報を取得する。画像形成制御部は、第1のデータ変換用情報が取得される場合に、特定の画像データに対して第1のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第1の変換済み画像データによって表わされる第1の画像を、画像形成部に形成させ、第2のデータ変換用情報が取得される場合に、特定の画像データに対して第2のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第2の変換済み画像データによって表わされる第2の画像を、画像形成部に形成させる。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、サーバによって第1のデータ変換用情報が準備される場合に、特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報を取得する。従って、制御装置は、画像形成部の設置環境に応じた適切な第1のデータ変換用情報を利用した画像形成を、画像形成部に実行させることができる。一方、制御装置は、サーバによって第1のデータ変換用情報が準備されない場合でも、第1のデータ変換用情報とは異なる第2のデータ変換用情報を取得することができる。従って、制御装置は、画像形成部の設置環境に応じた適切な第2のデータ変換用情報を取得し得る。このために、制御装置は、画像形成部の設置環境に応じた適切な第2のデータ変換用情報を利用した画像形成を、画像形成部に実行させ得る。
【0007】
本明細書では、画像形成部を制御するための制御装置とネットワークを介して接続されるサーバを開示する。サーバは、格納部と、サーバ側取得部と、判断部と、サーバ側供給部と、を備える。格納部は、少なくとも環境条件に基づいて区分される複数個のグループのそれぞれについて、当該グループに対応する環境条件に適合するデータ変換用情報を準備するための準備情報を格納する。サーバ側取得部は、制御装置から、画像形成部の設置環境を示す環境情報を取得する。判断部は、環境情報によって示される設置環境を含む特定の環境条件に対応する特定のグループの準備情報を用いて、特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報を準備可能であるのか否かを判断する。サーバ側供給部は、第1のデータ変換用情報を準備不可能であると判断される場合に、第1のデータ変換用情報を、制御装置に供給せずに、第1のデータ変換用情報を準備可能であると判断される場合に、第1のデータ変換用情報を、制御装置に供給する。
【0008】
上記の構成によると、サーバは、第1のデータ変換用情報を準備可能であると判断される場合に、第1のデータ変換用情報を制御装置に供給し、第1のデータ変換用情報を準備不可能であると判断される場合に、第1のデータ変換用情報を制御装置に供給しない。従って、サーバは、画像形成部の設置環境に応じた適切な第1のデータ変換用情報を制御装置に供給し得る。
【0009】
なお、上記の制御装置及びサーバを実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】通信システムの概要を示す。
【図2】通信システムの構成の一例を示す。
【図3】濃度補正処理の内容を説明するためのグラフを示す。
【図4】プリンタ処理のフローチャートを示す。
【図5】図4のS26の内容を説明するための図を示す。
【図6】サーバ処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
(システムの概要)
図1に示すように、本実施例の通信システム2は、複数台のプリンタ10a〜10dと、サーバ100と、を備える。プリンタ10a〜10dとサーバ100とは、インターネット8に接続されており、インターネット8を介して相互に通信可能である。
【0012】
プリンタ10a〜10dは、温度及び湿度によって分類される様々な環境条件下に設置されている。例えば、プリンタ10a〜10cは、高温高湿の地域に設置されており、プリンタ10dは、低温高湿の地域に設置されている。また、プリンタ10a〜10dでは、トナーカートリッジがセットされてから現在までに印刷を実行した用紙の枚数(以下では「印刷枚数」と呼ぶ)が異なる。なお、印刷枚数は、新たなトナーカートリッジがプリンタ10にセットされるとリセットされる(即ち印刷枚数=ゼロになる)。例えば、プリンタ10a〜10cの印刷枚数は、それぞれ100枚未満であり、プリンタ10dの印刷枚数は、700枚である。
【0013】
サーバ100は、複数個のグループのそれぞれについて、キャリブレーションデータ400a〜400eを格納している。複数個のグループは、温度及び湿度によって分類される環境条件と、印刷枚数の数値範囲と、に基づいて区分されている。ここで、「キャリブレーションデータ」とは、プリンタが印刷対象のCMYK画像データによって表わされる画像を形成する際に、当該CMYK画像データを構成する各画素のCMYK座標値を補正(即ち濃度補正)するためのデータである。キャリブレーションデータの詳しい内容は後で説明する。
【0014】
本実施例の通信システム2における各プリンタ10a〜10d及びサーバ100の動作を簡単に説明する。高温高湿の地域に設置されており、印刷枚数が100枚未満であるプリンタ10a〜10cは、それぞれ、当該プリンタの設置環境を示す環境情報402a〜402cと、当該プリンタの印刷枚数を示す数値情報403a〜403cとを、インターネット8を介してサーバ100に供給する。図1の場合、サーバ100では、環境情報402a〜402cを含む環境条件と、数値情報403a〜403cを含む数値範囲と、に対応するグループ(「印刷枚数0〜99:高温:高湿」)のキャリブレーションデータ400aの数(2個)が少ない。この場合、サーバ100は、平均キャリブレーションデータを準備しない。各プリンタ10a〜10cは、各プリンタ10a〜10cのための新規キャリブレーションデータ404a〜404cをそれぞれ生成するとともに、新規キャリブレーションデータ404a〜404cをサーバ100に供給する。この場合、サーバ100は、環境情報402a〜402cを含む環境条件と、数値情報403a〜403cを含む数値範囲と、に対応するグループ(即ち「印刷枚数0〜99:高温:高湿」)のキャリブレーションデータとして、新たに新規キャリブレーションデータ404a〜404cを格納する。
【0015】
また、低温高湿の地域に設置されており、印刷枚数が700枚であるプリンタ10dは、環境情報402dと数値情報403dとをサーバ100に供給する。図1の場合、サーバ100では、環境情報402dを含む環境条件と、数値情報403dを含む数値範囲と、に対応するグループ(「印刷枚数500〜999:低温:高湿」のキャリブレーションデータ400eの数(10個以上)が多い。この場合、サーバ100は、キャリブレーションデータ400eに基づいて平均キャリブレーションデータ406を準備して、プリンタ10dに供給する。なお、サーバ100は、平均キャリブレーションデータ406を格納しない。
【0016】
プリンタの設置場所の温度又は湿度が変わったり、プリンタの印刷枚数が変わったりすると、例えば、レーザープリンタではトナーの転写効率が変わる。そのため、プリンタ10a〜10dの設置場所の温湿度、及び、プリンタ10a〜10dの印刷枚数、に応じた適切な濃度補正を実行して、適切な画像を印刷するための技術が必要である。
【0017】
本システム2では、プリンタ10a〜10dは、設置環境(温度、湿度)及び印刷枚数に応じた適切なキャリブレーションデータ404a〜404c、406をそれぞれ取得することができる。従って、各プリンタ10a〜10dは、自身の設置環境及び印刷枚数に応じた適切なキャリブレーションデータを利用して濃度補正を実行することができ、その結果、適切な画像を印刷することができる。
【0018】
(プリンタ10の構成)
図2では、図1の複数台のプリンタ10a〜10dを代表する1台のプリンタ10を示している。プリンタ10は、表示部12と、操作部14と、温湿度計16と、ネットワークインターフェイス18と、画像形成部22と、濃度センサ24と、制御部26と、を備える。上記の各部12〜26は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0019】
表示部12は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーによって構成されている。ユーザは、操作部14を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に入力することができる。温湿度計16は、温度及び湿度を測定する。温湿度計16は、プリンタ10の内部の温度及び湿度を測定してもよいし、プリンタ10の外部の温度及び湿度を測定してもよい。ネットワークインターフェイス18は、LAN6に接続されている。LAN6は、インターネット8に接続されている。画像形成部22は、レーザ方式の画像形成機構を備え、制御部26からの指示に従って、トナーを用いて画像を形成する。画像形成部22にはトナーカートリッジ(図示省略)がセットされている。濃度センサ24は、画像形成部22によって形成される測色チャート202(図5参照)の濃度を測定するための光学センサである。
【0020】
制御部26は、CPU30とメモリ32とを備える。メモリ32は、プログラム33を格納する。CPU30は、メモリ32に格納されているプログラム33に従って様々な処理を実行する。CPU30がプログラム33に従って処理を実行することによって、各部50〜58の機能が実現される。
【0021】
メモリ32は、さらに、キャリブレーションデータ36を格納する。上記の通り、キャリブレーションデータ36は、印刷対象のCMYK画像データを構成する各画素のCMYK座標値を補正するためのデータである。キャリブレーションデータ36は、後述するプリンタ処理(図4参照)の結果として得られるデータである。
【0022】
メモリ32は、さらに、トナー情報38を格納する。トナー情報38は、プリンタ10のベンダによって提供されるトナーカートリッジの識別情報(例えば、トナーカートリッジの製品番号等)を含む。トナー情報38は、少なくとも1個の識別情報を含む。
【0023】
メモリ32は、さらに、目標の濃度データ40を格納する。目標の濃度データ40は、CMYKの4色に対応する4個のデータ40c、40m、40y、40kを含む。データ40cは、図3の左側に示されるデータである。即ち、C(シアン)に対応するデータ40cは、256階調のC値と、当該C値を有する画素に従って形成される画像の目標のC濃度(即ち理想のC濃度)と、の関係を表わす。例えば、C値が、256階調の中間値の「128」であれば、50%のC濃度が目標である。目標のC濃度は、C値の変化に応じて、線形に変化する。データ40cと同様に、M(マゼンタ)に対応するデータ40m、Y(イエロー)に対応するデータ40y、K(ブラック)に対応するデータ40kは、それぞれ、256階調の値と目標の濃度との関係を表わす。
【0024】
(サーバ100の構成)
サーバ100は、ネットワークインターフェイス102と制御部104とを備える。ネットワークインターフェイス102と制御部104は、バス線(符号省略)に接続されている。ネットワークインターフェイス102は、LAN7に接続されている。LAN7は、インターネット8に接続されている。制御部104は、CPU110とメモリ112とを備える。メモリ112は、プログラム113を格納する。CPU110は、メモリ112に格納されているプログラム113に従って様々な処理を実行する。CPU110が当該プログラム113に従って処理を実行することによって、各部120〜124の機能が実現される。
【0025】
メモリ112は、さらに、複数個のグループG1〜G3等(「印刷枚数0〜99:高温:高湿」等(図1参照))のそれぞれについて、1個以上のキャリブレーションデータ114を格納する。キャリブレーションデータ114は、後述するサーバ処理(図6参照)の結果として格納される。各グループG1〜G3等は、上記の通り、環境条件と印刷枚数の数値範囲とによって区分されている。
【0026】
(濃度補正の説明:図3)
図3を参照して、プリンタ10が濃度補正を実行する理由を説明する。上記の通り、図3の左側のグラフ(即ち目標の濃度データ40c)は、C値と目標のC濃度との関係を表わす。右側のグラフは、実際の濃度データ206cを表わす。実際の濃度データ206cは、C値と、プリンタ10が当該C値を有する画素に従って実際に形成する画像のC濃度と、の関係を表わす。例えば、目標の濃度データ40cでは、C値が「128」である場合に、C濃度が50%である。しかしながら、実際の濃度データ206cに示されるように、プリンタ10が、C値が「128」である画素に従って実際に画像を形成すると、当該画像のC濃度は70%である。このように、実際のC濃度と目標のC濃度とが異なるのは、例えば、プリンタ10の設置環境(温度及び湿度)及び印刷枚数に応じてトナーの転写効率が変わるからである。
【0027】
実際の濃度データ206cを利用すれば、50%のC濃度を実現可能なC値が「99」であることがわかる。従って、プリンタ10は、印刷対象のCMYK画像データ内の画素のC値「128」を、50%のC濃度を実現可能なC値「99」に補正する。同様に、プリンタ10は、CMYK画像データ内の画素の他のC値(128以外の値)を、適切なC濃度を実現可能なC値に補正する。このような補正が、濃度補正であり、このような補正のためのデータが、キャリブレーションデータである。なお、ここでは、Cを例として説明したが、濃度補正は、M、Y、Kについても同様に実行される。
【0028】
(プリンタ処理:図4)
続いて、図4を参照して、プリンタ10の制御部26が実行する処理について説明する。プリンタ10の電源がON状態である場合に、制御部26は、ユーザによって新しいトナーカートリッジが画像形成部22にセットされること、又は、トナーカートリッジが画像形成部22にセットされてから所定の期間が経過したことを監視する(S10、S12)。ユーザが新しいトナーカートリッジを画像形成部22にセットした場合(S10でYES)、又は、トナーカートリッジが画像形成部22にセットされてから所定の期間が経過した場合(S12でYES)、S13に進む。この構成によると、プリンタ10は、適切なタイミングで、平均キャリブレーションデータ(後述のS22参照)又は新規キャリブレーションデータ(後述のS26参照)を取得し得る。次いで、S13では、制御部26は、サーバ100にアクセスする。
【0029】
次いで、S14では、デバイス側供給部50(図2参照)は、画像形成部22にセットされているトナーカートリッジ内のトナー(以下では「画像形成部22が利用するトナー」と呼ぶ)が、所定のトナーであるか否かを判断する。具体的には、S14では、デバイス側供給部50は、まず、画像形成部22にセットされているトナーカートリッジに付されたICタグを、プリンタ10内の読取部(図示省略)に読み取らせることによって、トナーカートリッジの識別情報(以下では「対象識別情報」と呼ぶ)を取得する。次いで、デバイス側供給部50は、対象識別情報が、トナー情報38(図2参照)に含まれる少なくとも1個の識別情報のうちのいずれかと一致するか否かを判断する。デバイス側供給部50は、対象識別情報が上記の少なくとも1個の識別情報のいずれかと一致する場合に、S14でYESと判断して、S16に進む。一方において、デバイス側供給部50は、対象識別情報が上記の少なくとも1個の識別情報のいずれにも一致しない場合に、S14でNOと判断して、S26に進む。なお、トナーカートリッジにICタグが付されていない場合には、デバイス側供給部50は、S14でNOと判断する。
【0030】
なお、変形例では、ユーザは、対象識別情報をプリンタ10に予め入力してもよい。その場合、S14では、デバイス側供給部50は、ユーザによって入力された対象識別情報が、上記の少なくとも1個の識別情報のうちのいずれかと一致するのか否かを判断する。本変形例では、プリンタ10は、読取部を備えずに済む。また、他の変形例では、ユーザは、画像形成部22に現在セットされているトナーカートリッジが、プリンタ10のベンダによって提供されるトナーカートリッジであるのか、ベンダ以外の会社によって提供されるトナーカートリッジであるのか、をプリンタ10に予め入力してもよい。その場合、S14では、デバイス側供給部50は、ユーザの入力が「ベンダ」を示す場合にYESと判断し、ユーザの入力が「ベンダ以外の会社」を示す場合にNOと判断する。この場合、プリンタ10は、読取部を備えずに済むし、トナー情報38を格納せずに済む。
【0031】
S16では、デバイス側供給部50は、プリンタ10の設置環境(温度、湿度)を示す環境情報(以下では「特定の環境情報」と呼ぶ)、及び、画像形成部22にトナーカートリッジがセットされてからの印刷枚数を示す数値情報(以下では「特定の数値情報」と呼ぶ)、をサーバ100に供給する。具体的には、デバイス側供給部50は、S16の時点で温湿度計16(図2参照)によって測定されている温度及び湿度を特定の環境情報としてサーバ100に供給する。また、デバイス側供給部50は、S16の時点における印刷枚数を示すカウンタ(図示省略)の値を、特定の数値情報としてサーバ100に供給する。また、変形例では、デバイス側供給部50は、一定期間(例えば1週間)の温度及び湿度の平均値を算出し、その平均値を温度及び湿度としてサーバ10に供給してもよい。
【0032】
次いで、S18では、デバイス側取得部52(図2参照)は、サーバ100からOK信号が取得されたか否かを判断する。OK信号が取得された場合(S18でYES)、S20において、デバイス側供給部50は、サーバ100に要求信号を供給して、S22に進む。一方、サーバ100からNG信号が取得された場合(S18でNO)、S26に進む。なお、OK信号は、サーバ100が平均キャリブレーションデータを準備可能である場合に、サーバ100から送信される信号である。また、NG信号は、サーバ100が平均キャリブレーションデータを準備不可能である場合に、サーバ100から送信される信号である。
【0033】
S22では、デバイス側取得部52は、サーバ100から平均キャリブレーションデータを取得する。次いで、S24では、制御部26は、S22で取得された平均キャリブレーションデータを、プリンタ10が利用すべきキャリブレーションデータ36(図2参照)として、メモリ32に格納する。なお、キャリブレーションデータ36が既に格納されている場合には、S24では、デバイス側取得部52は、当該キャリブレーションデータを削除して、平均キャリブレーションデータをメモリ32に格納する。S24を終えると、プリンタ処理が終了する。平均キャリブレーションデータはサーバ100にて生成される。平均キャリブレーションデータの生成方法は後で説明する。
【0034】
一方、S26では、情報生成部56(図2参照)は、新規キャリブレーションデータを生成する。新規キャリブレーションデータの生成方法は後で説明する。次いで、S28では、制御部26は、画像形成部22が利用するトナーが、上記の所定のトナーであるか否かを判断する。S14でYESと判断された場合、制御部26は、S28でYESと判断して、S30に進む。S30では、デバイス側供給部50は、S26で生成された新規キャリブレーションデータをサーバ100に供給する。次いで、S24では、デバイス側取得部52は、S26で生成された新規キャリブレーションデータを、プリンタ10が利用すべきキャリブレーションデータ36として、メモリ32に格納する。S24を終えると、プリンタ処理が終了する。
【0035】
一方、S14でNOと判断された場合、制御部26は、S28でNOと判断して、S30の処理をスキップして、S24に進む。S24を終えると、プリンタ処理が終了する。
【0036】
(キャリブレーションデータ生成処理:図5)
図5を参照して、プリンタ10によって実行されるキャリブレーションデータ生成処理(図4のS26)について説明する。S26では、画像形成制御部54は、まず、サンプルCMYK画像データ200に従って、画像形成部22を制御する。これにより、画像形成部22は、サンプルCMYK画像データ200に従って、感光体に静電潜像を形成する。この結果、感光体の静電潜像に対応する部分にトナーが付着し、感光体上のトナーが中間転写体に転写される。中間転写体上のトナーによって表わされる画像が、測色チャート202である。
【0037】
サンプルCMYK画像データ200は、複数個の画素グループを含む。複数個の画素グループのそれぞれは、複数個の画素を含む。各画素グループは、異なる目標の濃度に対応する。図5の例では、目標のC濃度=10%に対応する画素グループが存在するし、目標のC濃度=15%に対応する画素グループが存在する。1個の画素グループを構成する複数個の画素のそれぞれは、目標の濃度に対応する値(例えばC値)を有する。例えば、目標のC濃度=10%に対応する画素グループでは、複数個の画素のそれぞれは、C値として「25」(≒256×10/100)を有する。同様に、目標のC濃度=15%に対応する画素グループでは、複数個の画素のそれぞれは、C値として「38」(≒256×15/100)を有する。なお、サンプルCMYK画像データ200は、Cに対応する画素グループと同様に、MYKのそれぞれに対応する画素グループを含む。
【0038】
測色チャート202は、複数個の部分画像を含む。1個の部分画像は、1個の画素グループによって表わされる画像である。例えば、画像形成部22は、目標のC濃度=10%に対応する画素グループを構成する複数個の画素(C値=25)に従って、1個の部分画像を形成する。同様に、画像形成部22は、Cに対応する他の画素グループに従って、Cに対応する他の部分画像を形成し、MYKに対応する各画素グループに従って、MYKに対応する各部分画像を形成する。
【0039】
次いで、濃度データ生成部58(図2参照)は、濃度センサ24を制御して、中間転写体上の測色チャート202に含まれる各部分画像の濃度を測定する。例えば、目標のC濃度=10%に対応する画素グループに従って形成される部分画像の濃度は、目標の濃度である10%になるはずである。しかしながら、実際の濃度は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に依存して変化する。このために、当該部分画像の実際の濃度は、10%ではなく、12%である。
【0040】
次いで、濃度データ生成部58は、サンプルCMYK画像データ200に含まれる複数個の画素グループのそれぞれについて、当該画素グループに対応するC値(例えば「CL=25」)と、当該画素グループに従って形成される部分画像の実際の濃度(例えば「C=12%」)と、が対応付けられている実際の濃度データ206を生成する。なお、実際の濃度データ206は、CMYKに対応する4個のデータ206c、206m、206y、206kを含む。データ206cは、図3の右側のグラフに示されるデータである。
【0041】
続いて、情報生成部56(図2参照)は、目標の濃度データ40c(図3の左側のデータ)を利用して、複数個のC濃度(TC)に対応する複数個のC値(CL)(以下では「C入力レベル」と呼ぶ)を特定する。情報生成部56は、例えば、tc1=10%に対応するC入力レベルcl1として「25」を特定し、tc2=15%に対応するC入力レベルcl2として「38」を特定する。ここで特定された複数個のC入力レベル(cl1=25、cl2=38等)によって第1の入力レベルデータ210cが構成される。
【0042】
さらに、情報生成部56は、実際の濃度データ206c(図3の右側のデータ)を利用して、複数個のC濃度(TC)に対応するC入力レベル(CL’)を特定する。情報生成部56は、例えば、tc1=10%に対応するC入力レベルcl1’として「20」を特定し、tc2=15%に対応するC入力レベルcl2’として「33」を特定する。ここで特定された複数個のC入力レベル(cl1’=20、cl2’=33等)によって第2の入力レベルデータ212cが構成される。
【0043】
次いで、情報生成部56は、第1の入力レベルデータ210cを構成する複数個のC入力レベルのそれぞれについて、当該C入力レベルの値(例えばcl1=25)を、補正テーブル214cの入力レベルとして書き込む。さらに、情報生成部56は、第2の入力レベルデータ212cの値(例えばcl1’=20)と、第1の入力レベルデータ210cの値(例えばcl1=25)と、の差分を計算して、当該差分(例えば−5)を、補正テーブル214cの補正値として書き込む。これにより、補正テーブル214cが完成する。例えば、cl1=25に補正値である「−5」を加算すれば、出力値として「20」が得られる。即ち、補正テーブル214cは、第1の入力レベルデータ210cを構成する複数個のC入力レベル(例えばcl1)を、第2の入力レベルデータ212cを構成する複数個のC入力レベル(例えばcl1’)に変換するためのデータである。
【0044】
情報生成部56は、M,Y,Kについても同様の処理を実行し、補正テーブル214m、214y、214kを生成する。これにより、CMYKに対応する4個の補正テーブル214c、214m、214y、214kを含む新規キャリブレーションデータ220が完成する。
【0045】
上記のとおり、新規キャリブレーションデータ220は、サーバ100のメモリ112に格納されているキャリブレーションデータ114を用いずに生成される。即ち、新規キャリブレーションデータ220は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数の下で実際に形成された測色チャート202に基づいて生成された実際の濃度データ206を用いて生成される。このために、プリンタ10は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じた適切なキャリブレーションデータを取得し得る。
【0046】
(画像形成処理)
図4のプリンタ処理の終了後に、プリンタ10が実行する画像形成処理について説明する。例えば、図4のプリンタ処理の終了後に、ユーザは、図示省略のPCにおいて、印刷対象のデータ(以下では「特定のRGB画像データ」と呼ぶ)を選択することができる。この場合、PCからプリンタ10に特定のRGB画像データが供給される。この場合、画像形成制御部54(図2参照)は、特定のRGB画像データに対して、メモリ32に格納されている色変換プロファイル(図示省略)を利用した色変換を実行して、特定のCMYK画像データを生成する。
【0047】
次いで、画像形成制御部54は、キャリブレーションデータ36を利用して、特定のCMYK画像データを構成する各画素のCMYK座標値を濃度補正する。具体的には、画像形成制御部54は、以下の処理を実行する。まず、画像形成制御部54は、特定のCMYK画像データを構成する複数個の画素のうちの第1の画素を特定する。次いで、画像形成制御部54は、第1の画素のC値に、キャリブレーションデータ36中の当該C値(即ちC入力レベル)に対応する補正値を加算して、補正後のC値を算出する。同様に、画像形成制御部54は、第1の画素のM値、Y値、及び、K値について同様の処理を実行する。同様に、画像形成制御部54は、第2の画素、第3の画素等についても、補正する。これにより、補正済みCMYK画像データが完成する。
【0048】
例えば、図4のS22で取得された平均キャリブレーションデータが、メモリ32内のキャリブレーションデータ36として格納されている場合には、画像形成制御部54は、特定のCMYK画像データに対して、平均キャリブレーションデータを利用した濃度補正を実行して、補正済みCMYK画像データを生成する。また、例えば、図4のS26で生成された新規キャリブレーションデータが、メモリ32内のキャリブレーションデータ36として格納されている場合には、画像形成制御部54は、特定のCMYK画像データに対して、新規キャリブレーションデータを利用した濃度補正を実行して、補正済みCMYK画像データを生成する。
【0049】
画像形成制御部54は、補正済みCMYK画像データに従って、画像形成部22を制御する。これにより、画像形成部22は、感光体に静電潜像を形成する。この結果、感光体の静電潜像に対応する部分にトナー(即ちCMYKの4色のトナー)が付着し、感光体上のトナーが中間転写体に転写され、次いで、中間転写体上のトナーが印刷用紙に転写される。即ち、特定のCMYK画像データによって表わされる画像が、印刷用紙上に形成される。
【0050】
上述したように、画像形成制御部54は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じたキャリブレーションデータを利用して、特定のCMYK画像データを補正することによって、補正済みCMYK画像データを生成する。そして、画像形成制御部54は、補正済みCMYK画像データに従って、画像形成部22に画像を形成させる。従って、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じた適切な画像(即ち、特定のCMYK画像データを構成する各画素の値に応じた目標の濃度を有する画像)が形成される。
【0051】
(サーバ処理:図6)
続いて、図6を参照して、サーバ100の制御部104が実行する処理について説明する。制御部104は、プリンタ10からアクセスされることを監視する(S40)。プリンタ10からアクセスされると(S40でYES)、S42において、サーバ側取得部120(図2参照)は、プリンタ10から特定の環境情報及び特定の数値情報が取得されたか否かを判断する。プリンタ10から特定の環境情報及び特定の数値情報が取得された場合(S42でYES)、S44に進む。一方、プリンタ10からアクセスされてから、所定時間の間にプリンタ10から特定の環境情報及び特定の数値情報を取得できなかった場合(S42でNO)、S44〜S58のいずれの処理も実行されずに、サーバ処理が終了する。なお、S42でNOの場合は、プリンタ10の画像形成部22が利用するトナーが、上記の所定のトナーでない場合(図4のS14でNO)である。
【0052】
S44では、判断部122(図2参照)は、まず、S42で取得された特定の環境情報によって示されるプリンタ10の設置環境を含む環境条件(以下では「特定の環境条件」と呼ぶ)、及び、S42で取得された特定の数値情報によって示されるプリンタ10の印刷枚数を含む数値範囲(以下では「特定の数値範囲」と呼ぶ)と、に対応するグループ(以下では「特定のグループ」と呼ぶ)を特定する。判断部122は、特定のグループ(例えば、印刷枚数0〜99:高温:高湿)のキャリブレーションデータ数が、所定数(例えば10個)以上であるか否かを判断する。キャリブレーションデータ数が所定数以上である場合(S44でYES)、S44において、サーバ側供給部124(図2参照)は、プリンタ10にOK信号を供給する。一方、プロファイル数が所定数未満である場合(S44でNO)、S54において、サーバ側供給部124は、プリンタ10にNG信号を供給する。S54を終えると、S56に進む。
【0053】
S48では、サーバ側供給部124は、プリンタ10から要求信号を取得することを監視する。プリンタ10から要求信号が取得されると(S48でYES)、S50において、サーバ側供給部124は、特定のグループの複数個のキャリブレーションデータを用いて、平均キャリブレーションデータを準備する。上記の複数個のキャリブレーションデータのそれぞれは、C、M、Y、Kの各色について、入力レベルと補正値とが対応付けられているデータである。S50では、サーバ側供給部124は、まず、上記の複数個のキャリブレーションデータのそれぞれから、第1のC入力レベルに対応付けられている第1の補正値を特定する。例えば、キャリブレーションデータ数がN(Nは10以上の整数)であれば、サーバ側供給部124は、N個の第1の補正値を特定する。そして、サーバ側供給部124は、N個の第1の補正値の平均値(以下では「平均補正値」と呼ぶ)を算出する。サーバ側供給部124は、第1のC入力レベルと、平均補正値と、を対応付ける。同様に、サーバ側供給部124は、第2のC入力レベル、第3のC入力レベル等についても、平均補正値を算出する。これにより、複数個のC入力レベルのそれぞれに平均補正値が対応付けられている平均キャリブレーションデータが完成する。同様に、サーバ側供給部124は、MYKについても、平均キャリブレーションデータを生成する。
【0054】
次いで、S52において、サーバ側供給部124は、S50で準備された平均キャリブレーションデータをプリンタ10に供給する。S52を終えると、サーバ処理が終了する。
【0055】
S56では、サーバ側取得部120は、プリンタ10から新規キャリブレーションデータを取得する。次いで、S58では、サーバ側取得部120は、S42で取得された特定の環境情報及び特定の数値情報によって示されるプリンタ10の設置環境及び印刷枚数を含む特定のグループ(例えば「印刷枚数0〜99:高温:高湿」)のキャリブレーションデータとして、S56で取得された新規キャリブレーションデータをメモリ112に格納する。S58を終えると、サーバ処理が終了する。
【0056】
(本実施例の効果)
プリンタ10は、サーバ100によって平均キャリブレーションデータが準備される場合(図4のS18でYES、図6のS44でYES)に、平均キャリブレーションデータを取得する。従って、プリンタ10は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じた適切なキャリブレーションデータを利用して、濃度補正を実行することができる。このために、プリンタ10は、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じた適切な平均キャリブレーションデータを利用した画像形成を実行することができる。一方、プリンタ10は、サーバ100によって平均キャリブレーションデータが準備されない場合(図4のS18でNO、図6のS44でNO)でも、平均キャリブレーションデータとは異なる新規キャリブレーションデータ220を取得することができる(図4のS30)。従って、プリンタ10は、プリンタ10の設置環境に応じた適切な新規キャリブレーションデータを利用した画像形成を実行することができる。
【0057】
また、新規キャリブレーションデータ220は、サーバ100のメモリ112に格納される(図6のS58)。即ち、新規キャリブレーションデータ220が生成される毎に、サーバ100にキャリブレーションデータが蓄積される。その結果、特定のグループのキャリブレーションデータ数が、所定数以上になり得る。サーバ100は、キャリブレーションデータ数が所定数以上である場合(図6のS44でYES)に、特定のグループの全てのキャリブレーションデータを用いて、平均キャリブレーションデータを準備する。各キャリブレーションデータは、特定の環境条件及び特定の数値範囲の下で実際に行われた画像形成によって形成される測色チャート202に基づいて生成される。即ち、平均キャリブレーションデータは、特定の環境条件及び特定の数値範囲に応じた適切な濃度補正を実現するものである。従って、プリンタ10は、サーバ100から、プリンタ10の設置環境及び印刷枚数に応じた適切な平均キャリブレーションデータを取得して、適切な濃度補正を実行することができる。
【0058】
また、平均キャリブレーションデータが準備される際には、実際にトナーを用いて測色チャート202を形成する必要がない(図6のS50)。そのため、プリンタ10は、測色チャート202を形成せずに済むために、トナーをセーブすることができる。
【0059】
また、本実施例では、プリンタ10は、画像形成部22が使用するトナーが上記の所定のトナーである場合(図4のS14でYES)に、特定の環境情報と特定の数値情報とをサーバ100に供給して(図4のS16)、サーバ100から平均キャリブレーションデータを取得する。ただし、プリンタ10は、画像形成部22が使用するトナーが上記の所定のトナーでない場合(S14でNO)に、特定の環境情報と特定の数値情報とをサーバ100に供給しない。この場合、サーバ100において、特定のグループのキャリブレーションデータとして、新規キャリブレーションデータが格納されないからである。このように、画像形成部22が使用するトナーが上記の所定のトナーでない場合に、サーバ100に新規キャリブレーションデータが格納されない理由は、画像形成部22が上記の所定のトナーを利用して画像形成を実行することが想定されているからである。
【0060】
(対応関係)
プリンタ10の制御部26が「制御装置」の一例である。キャリブレーションデータ114が「準備情報」の一例である。図4のS22で取得される平均キャリブレーションデータ、図4のS26で取得される新規キャリブレーションデータが、それぞれ、「第1のデータ変換用情報」、「第2のデータ変換用情報」の一例である。プリンタ10が実行する濃度補正処理が「データ変換処理」の一例である。特定のグループの複数個のキャリブレーションデータが、「複数個の色関係データ」の一例である。実際の濃度データ206、目標の濃度データ40が、「特定の情報」の一例である。図5の測色チャート202が「特定の画像」の一例である。上記の所定のトナーが「所定の色材」の一例である。画像形成部22にセットされているトナーカートリッジが「特定のトナーカートリッジ」の一例である。
【0061】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0062】
(変形例1)サーバ100は、複数個のグループのそれぞれについて、キャリブレーションデータを格納する代わりに、プロファイルを格納してもよい。ここで、「プロファイル」は、プリンタ10が印刷対象のRGB画像データを、CMYK画像データに色変換する際に利用される色変換プロファイル(ICCプロファイル)である。プリンタ10は、サーバ100によって平均プロファイル(即ち、特定のグループの複数個のプロファイルの平均のプロファイル)が準備される場合に、平均プロファイルを取得し、サーバ100によって平均プロファイルが準備されない場合に、平均プロファイルとは異なる新規プロファイルを生成してもよい。プリンタ10は、新規プロファイルをサーバ100に供給してもよい。サーバ100は、特定のグループのプロファイルとして、プリンタ10から供給される新規プロファイルを格納してもよい。本変形例では、平均プロファイル、新規プロファイルが、それぞれ、「第1のデータ変換用情報」、「第2のデータ変換用情報」の一例である。プリンタ10が実行する色変換処理が「データ変換処理」の一例である。サーバ100に格納されているプロファイルが、「準備情報」の一例である。一般的に言うと、準備情報は、データ変換用情報を準備するための情報であればよく、データ変換用情報は、データ変換処理に利用される情報であればよい。
【0063】
(変形例2)プリンタ10が情報生成部56を備えることに代えて、サーバ100が情報生成部56を備えてもよい。その場合、プリンタ10は、濃度データ206をサーバ100に供給する。サーバ100は、濃度データ206を用いて新規キャリブレーションデータ220を生成して、プリンタ10に供給する。一般的に言うと、デバイス側取得部52は、上記の実施例のように、制御装置内の情報生成部56によって生成される第2のデータ変換用情報を取得してもよいし、本変形例のように、サーバから第2のデータ変換用情報を取得してもよい。
【0064】
(変形例3)上記の実施例では、サーバ100は、温度、湿度、及び、印刷枚数を基準として、複数個のグループを区分している。これに代えて、サーバ100は、温度及び湿度のみを基準として、複数個のグループを区分してもよい。この場合、プリンタ10は、特定の環境情報のみをサーバ100に供給すればよい。また、サーバ100は、温度のみ又は湿度のみを基準として、複数個のグループを区分してもよい。一般的に言うと、複数個のグループは、少なくとも環境条件に基づいて区分されればよい。
【0065】
(変形例4)上記の実施例では、プリンタ10は、特定の数値情報として、印刷枚数を供給している。これに代えて、プリンタ10は、特定の数値情報として、画像形成部22にトナーカートリッジがセットされてから現在までに印刷を実行した印刷回数(即ち印刷ジョブの受信回数)や、感光体や中間転写体の回転回数をサーバ100に供給してもよい。一般的に言うと、数値情報は、画像形成部が特定のカートリッジ内の色材を利用して実際に画像が形成された回数である実画像形成回数に関係する情報であればよい。
【0066】
(変形例5)上記の実施例では、特定のグループの複数個のキャリブレーションデータの全てが、平均を算出するための対象である。これに代えて、サーバ側供給部124は、上記の複数個のキャリブレーションデータの一部のみを用いて、部分平均キャリブレーションデータを準備してもよい。例えば、サーバ側供給部124は、他のキャリブレーションデータと比べて値が大きく異なるキャリブレーションデータを、平均を算出するための対象から除外してもよい。また、サーバ側供給部124は、上記の複数個のキャリブレーションデータのうちの1個のキャリブレーションデータを準備して、プリンタ10に供給してもよい。本変形例では、上記の部分平均キャリブレーションデータ又は1個のキャリブレーションデータが「第1のデータ変換用情報」の一例である。
【0067】
(変形例6)上記の各実施例では、画像形成制御部54が画像形成部22を制御して測色チャート202(図5参照)を形成する場合、測色チャート202を中間転写体上に形成しているが、測色チャート202は、プリンタ10内の搬送ベルト上に形成されてもよい。また、測色チャート202は、用紙上に印刷されてもよい。本変形例では、搬送ベルト上又は用紙上に形成される測色チャートが「特定の画像」の一例である。
【0068】
(変形例7)PCのCPUが、PCのメモリ内のプリンタドライバに従って処理を実行することによって、上記各実施例のプリンタ10の各部50〜58の機能が実現されてもよい。その場合、PCのデバイス側供給部50は、プリンタ10から特定の環境情報及び特定の数値情報を取得し、特定の環境情報及び特定の数値情報をサーバ100に供給する。その結果、サーバ100によって平均キャリブレーションデータが準備される場合に、PC内のデバイス側取得部52は、平均キャリブレーションデータを取得する。一方、サーバ100によって平均キャリブレーションデータが準備されない場合には、PC内の情報生成部56が新規キャリブレーションデータを生成する。これにより、PC内のデバイス側取得部52は、新規キャリブレーションデータを取得する。PC内の画像形成制御部56は、特定のCMYK画像データに対して、取得されたキャリブレーションデータを利用した濃度補正を実行して、補正済みCMYK画像データを生成する。PC内の画像形成制御部54は、補正済みCMYK画像データをプリンタ10に供給する。これにより、プリンタ10は、補正済みCMYK画像データによって表わされる画像を、印刷用紙上に形成する。本変形例では、プリンタ10、PCが、それぞれ、「画像形成部」、「制御装置」の一例である。
【0069】
(変形例8)上記の実施例では、プリンタ10にはトナーカートリッジがセットされているが、プリンタ10にはインクカートリッジがセットされていてもよい。温度及び湿度が変化すると、インクの吐出量が変化する。従って、プリンタ10は、設置環境に応じたキャリブレーションデータを利用して、特定のCMYK画像データに対して濃度補正を実行する。なお、プリンタ10の印刷枚数が変化しても、通常、インクの吐出量は変化しない。そのため、サーバ100内の複数個のグループは、温度及び湿度のみに基づいて区分されてもよい。また、その場合、プリンタ10は、インクジェットプリンタである。従って、画像形成部22は、インクジェット方式の画像形成機構を備えてもよい。さらに、この場合、メモリ32は、トナー情報の代わりにインクカートリッジの識別情報を含むインク情報を格納してもよい。
【0070】
(変形例9)上記の実施例では、プリンタ処理(図4)において、ユーザが新しいトナーカートリッジを画像形成部22にセットした場合(S10でYES)、又は、トナーカートリッジが画像形成部22にセットされてから所定の期間が経過した場合(S12でYES)に、S14に進む。これに代えて、プリンタ処理では、S12を省略し、ユーザが新しいトナーカートリッジを画像形成部22にセットした場合にのみ、S14に進むようにしてもよい。また、S10を省略し、トナーカートリッジが画像形成部22にセットされてから所定の期間が経過した場合にのみ、S14に進むようにしてもよい。一般的に言うと、デバイス側供給部50は、画像形成部22で特定のカートリッジの利用が開始されるタイミングと、特定のカートリッジの利用が開始されてから所定の期間が経過するタイミングと、のうちの少なくとも一方のタイミングで、特定の環境情報をサーバに供給すればよい。
【0071】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0072】
2:通信システム、10a〜10d:プリンタ、100:サーバ、400a〜400e:キャリブレーションデータ、402a〜402d:環境情報、403a〜403d:数値情報、404a〜404c:新規キャリブレーションデータ、406:平均キャリブレーションデータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部を制御するための制御装置であって、
前記制御装置は、少なくとも環境条件に基づいて区分される複数個のグループのそれぞれについて、当該グループに対応する環境条件に適合するデータ変換用情報を準備するための準備情報を記憶するサーバと、ネットワークを介して接続されており、
前記制御装置は、
前記画像形成部の設置環境を示す環境情報を、前記サーバに供給するデバイス側供給部と、
前記環境情報によって示される前記設置環境を含む特定の環境条件に対応する特定のグループの準備情報を用いて、前記特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報が前記サーバによって準備される場合に、前記サーバから前記第1のデータ変換用情報を取得し、前記第1のデータ変換用情報が前記サーバによって準備されない場合に、前記第1のデータ変換用情報とは異なる第2のデータ変換用情報を取得するデバイス側取得部と、
前記第1のデータ変換用情報が取得される場合に、特定の画像データに対して前記第1のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第1の変換済み画像データによって表わされる第1の画像を、前記画像形成部に形成させ、前記第2のデータ変換用情報が取得される場合に、前記特定の画像データに対して前記第2のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第2の変換済み画像データによって表わされる第2の画像を、前記画像形成部に形成させる画像形成制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記特定のグループの前記準備情報は、前記特定の環境条件下での複数回の画像形成によって形成される複数個の画像の色に関係する複数個の色関係データを含み、
前記デバイス側取得部は、前記特定のグループの前記準備情報に含まれる前記複数個の色関係データを用いて、前記サーバによって準備された前記第1のデータ変換用情報を取得する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2のデータ変換用情報は、情報生成部が、前記サーバに格納されている前記複数個のグループのいずれの準備情報も用いずに、特定の情報を用いて生成するデータ変換用情報である、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記情報生成部と、
前記画像形成部が色材を利用して実際に形成した特定の画像の濃度を測定することによって、濃度データを生成する濃度データ生成部と、
をさらに備え、
前記特定の情報は、前記濃度データを含み、
前記情報生成部は、前記サーバによって前記第1のデータ変換用情報が準備されない場合に、前記濃度データを含む前記特定の情報を用いて、前記第2のデータ変換用情報を生成し、
前記デバイス側供給部は、さらに、前記特定のグループの前記準備情報として前記第2のデータ変換用情報が前記サーバに格納されるように、前記第2のデータ変換用情報を前記サーバに供給する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記デバイス側供給部は、前記画像形成部が使用する色材が所定の色材である場合に、前記環境情報を前記サーバに供給し、
前記画像形成部が使用する色材が前記所定の色材でない場合に、
前記デバイス側供給部は、前記環境情報を前記サーバに供給せず、
前記デバイス側取得部は、前記第2のデータ変換用情報を取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数個のグループは、前記環境条件と、特定のカートリッジ内の色材を利用して画像が形成される回数である画像形成回数に関係する数値範囲と、に基づいて区分されるものであり、
前記デバイス側供給部は、さらに、前記画像形成部によって前記特定のカートリッジの利用が開始されてから、前記画像形成部が前記特定のカートリッジ内の色材を利用することによって実際に画像が形成された回数である実画像形成回数に関係する数値情報を、前記サーバに供給し、
前記特定のグループは、前記特定の環境条件と、前記数値情報から得られる前記実画像形成回数を含む特定の数値範囲と、に対応するグループである、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記デバイス側供給部は、前記画像形成部で特定のカートリッジの利用が開始されるタイミングと、前記特定のカートリッジの利用が開始されてから所定の期間が経過するタイミングと、のうちの少なくとも一方のタイミングで、前記環境情報を前記サーバに供給する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
画像形成部を制御するための制御装置とネットワークを介して接続されるサーバであって、
少なくとも環境条件に基づいて区分される複数個のグループのそれぞれについて、当該グループに対応する環境条件に適合するデータ変換用情報を準備するための準備情報を格納する格納部と、
前記制御装置から、前記画像形成部の設置環境を示す環境情報を取得するサーバ側取得部と、
前記環境情報によって示される前記設置環境を含む特定の環境条件に対応する特定のグループの準備情報を用いて、前記特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報を準備可能であるのか否かを判断する判断部と、
前記第1のデータ変換用情報を準備不可能であると判断される場合に、前記第1のデータ変換用情報を、前記制御装置に供給せずに、前記第1のデータ変換用情報を準備可能であると判断される場合に、前記第1のデータ変換用情報を、前記制御装置に供給するサーバ側供給部と、
を備えるサーバ。
【請求項9】
前記特定のグループの前記準備情報は、前記特定の環境条件下での複数回の画像形成によって形成される複数個の画像の色に関係する複数個の色関係データを含み、
前記サーバ側供給部は、前記特定のグループの前記準備情報に含まれる前記複数個の色関係データを用いて準備された前記第1のデータ変換用情報を供給する、請求項8に記載のサーバ。
【請求項10】
画像形成部を制御するための制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記制御装置は、少なくとも環境条件に基づいて区分される複数個のグループのそれぞれについて、当該グループに対応する環境条件に適合するデータ変換用情報を準備するための準備情報を記憶するサーバと、ネットワークを介して接続されており、
前記コンピュータプログラムは、前記制御装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記画像形成部の設置環境を示す環境情報を、前記サーバに供給するデバイス側供給処理と、
前記環境情報によって示される前記設置環境を含む特定の環境条件に対応する特定のグループの準備情報を用いて、前記特定の環境条件に適合する第1のデータ変換用情報が前記サーバによって準備される場合に、前記サーバから前記第1のデータ変換用情報を取得し、前記第1のデータ変換用情報が前記サーバによって準備されない場合に、前記第1のデータ変換用情報とは異なる第2のデータ変換用情報を取得するデバイス側取得処理と、
前記第1のデータ変換用情報が取得される場合に、特定の画像データに対して前記第1のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第1の変換済み画像データによって表わされる第1の画像を、前記画像形成部に形成させ、前記第2のデータ変換用情報が取得される場合に、前記特定の画像データに対して前記第2のデータ変換用情報を利用したデータ変換処理を実行することによって得られる第2の変換済み画像データによって表わされる第2の画像を、前記画像形成部に形成させる画像形成制御処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−201091(P2012−201091A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70517(P2011−70517)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】