説明

割断装置及び割断方法

【課題】基板を高速かつ容易に被加工基板を割断することができる割断装置と、割断方法を提供すること。
【解決手段】本発明の割断装置10は、被加工基板60を保持する基板ホルダ51と、基板ホルダ51に保持された被加工基板60に対して移動するとともに、被加工基板60の上基板61の割断予定線71にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部30と、基板ホルダ51に保持された被加工基板60に対して移動するとともに、加熱部30によって局部的に加熱された上基板61の割断予定線71を、局部的に冷却する冷却部40と、被加工基板の貼合部材に沿って下基板62側に配置されたシースヒータ(加熱機構)2aとを備えている。割断装置10は、被加工基板60のうち割断予定線71近傍において、上基板61に対して下基板62を高温とし、上基板61のうち割断予定線71近傍に、上基板61と下基板62との間の温度差による応力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱応力によって被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置及び割断方法に係わり、とりわけ上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させる割断装置及び割断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルや有機ELパネルなどのディスプレイパネルは、二枚のガラス基板(上基板と下基板)をシール材や接着剤等により貼り合わせ、上基板と下基板との間のシール材に囲まれた領域に、液晶や有機EL材を配置することによって構成されている。
【0003】
このような上基板と下基板とを貼り合わせた貼合基板を割断するには、一般的に、上基板を完全に割断した後で、貼合基板を反転させて、下基板を上方に持ってきて完全に割断する方法がとられている。このような割断方法としては、割断対象である基板の厚さ方向に80%以上の深さで亀裂を入れることのできる特殊なダイヤモンドホイールを用いて割断する方法が一般的に用いられている。また、貼合基板を割断する方法としては、基板の両側から割断する方法が知られている(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2002−255581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一の基板を割断する際には、局部的にレーザ光で加熱した後、冷却することによって、その際に生じる熱応力により亀裂を生じさせて割断する方法が用いられている。このようなレーザ光を用いた単一の基板に対する割断方法は貼合基板において以下のような理由により、実用化されていない。すなわち貼合基板の上基板を割断しようとすると、シール材を介して、割断方向とは逆側の方向に下基板から割断を抑制する力が上基板に作用するので、単一の基板を割断する場合と比べ、遙かに大きな割断力が必要となるためである。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることによって、高速かつ容易に被加工基板を割断することができる割断装置と、このような割断装置を用いた割断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、被加工基板の貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構とを備え、
被加工基板のうち割断予定線近傍において、下基板を前記加熱機構により加熱することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置である。
【0007】
本発明は、少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、被加工基板の貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構とを備え、被加工基板のうち割断予定線近傍において、上基板を前記冷却機構により冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置である。
【0008】
本発明は、少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、被加工基板の貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構と、被加工基板の貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構とを備え、被加工基板のうち割断予定線近傍において、下基板を前記加熱機構により加熱し、かつ上基板を前記冷却機構により冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置である。
【0009】
本発明は、基板ホルダは、熱伝導率が低く、かつ錆びにくい材料からなることを特徴とする割断装置である。
【0010】
本発明は、基板ホルダは、被加工基板の下基板が載置される側に、被加工基板を載置するための突起部を有することを特徴とする割断装置である。
【0011】
本発明は、突起部は、被加工基板を表面に真空吸着させるための真空吸着孔を有することを特徴とする割断装置である。
【0012】
本発明は、加熱機構は、突起部内に配置されていることを特徴とする割断装置である。
【0013】
本発明は、被加工基板の貼合部材は、内シールと外シールとからなり、被加工基板は複数の単位基板を含むとともに、上基板と下基板は単位基板の外周に延びる内シールと、内シールの外方に位置する外シールとにより貼り合わされ、突起部は、内シールと外シールとの間に対向して設けられていることを特徴とする割断装置である。
【0014】
本発明は、基板ホルダは、被加工基板が載置される側に凹部を有し、当該凹部内には、加熱機構が配置されていることを特徴とする割断装置である。
【0015】
本発明は、被加工基板の貼合部材は、内シールと外シールとからなり、被加工基板は複数の単位基板を含むとともに、上基板と下基板は単位基板の外周に延びる内シールと、内シールの外方に位置する外シールとにより貼り合わされ、割断予定線は、内シール上、外シール上又は内シールと外シールとの間に位置することを特徴とする割断装置である。
【0016】
本発明は、前記加熱部と前記冷却部を有する加熱冷却ユニットを複数備え、被加工基板は複数の割断予定線を含み、各加熱冷却ユニットは、被加工基板の複数の割断予定線のうち対応する割断予定線を加熱及び冷却することによって、当該割断予定線で被加工基板を同時に割断することを特徴とする割断装置である。
【0017】
本発明は、少なくとも上基板と下基板とを、複数の貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合基板近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断方法において、基板ホルダにより被加工基板の下基板を保持する保持工程と、基板ホルダに保持された被加工基板に対して加熱部を移動させて、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱するレーザ加熱工程と、基板ホルダに保持された被加工基板に対して冷却部を移動させて、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を局部的に冷却する冷却工程とを備え、被加工基板のうち割断予定線近傍において、貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構により下基板を加熱するか、及び/又は貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構により上基板を冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に引張応力を発生させることを特徴とする割断方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被加工基板において、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることができる。このことにより、高速かつ容易に被加工基板の上基板を割断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の実施の形態
以下、本発明に割断装置10の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図6は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0020】
図1に示すように、割断装置10は、ガラス材からなる上基板61と、ガラス材からなる下基板62とを貼り合わせてなる被加工基板60を、割断予定線71に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板60に亀裂を生じさせて割断するものである。
【0021】
このうち被加工基板60は、液晶パネル又は有機ELパネルなどのディスプレイパネルを製造するために用いられる。また上基板61と、下基板62とは内シール67及び外シール68を介して貼り合わされている。この場合、内シール67と外シール68とにより貼合部材が構成される。
【0022】
次に図3及び図4を用いて、被加工基板60について更に説明する。
【0023】
図3に示すように、割断装置10によって割断される被加工基板60は、複数の単位基板65(図3においては4枚の単位基板65)を含んでいる。また図4に示すように、被加工基板60の上基板61と下基板62は、単位基板65の周縁に延びる内シール67と、内シール67の外方に位置する外シール68とにより貼り合わされている。このように内シール67だけでなく、外シール68を用いることによって、上基板61と下基板62とを真空中で貼り合わせた場合であっても、上基板61と下基板62とを精度良く密着させることができる。なお内シール67と外シール68との間に形成される間隙64は数mm〜十数mm程度になっている。
【0024】
また図4に示すように、割断予定線71は内シール67と外シール68との間に位置している。この割断予定線71は、図4に示すように内シール67のすぐ外側に位置する場合(割断予定線71N)と、外シール68のすぐ内側に位置する場合(割断予定線71T)とがあるが、これは割断される上基板61及び下基板62の性質や状態に従う。割断予定線71は被加工基板60の上基板61及び下基板62の各々に設けられているが、この割断予定線71は上基板61及び下基板62に実際に設けられてもよく、仮想線として設けられてもよい。
【0025】
なお図3及び図4に示すように、下基板62と、上基板61と、内シール67に囲まれた領域には液晶75が封入されている。また滴下プロセスにおいては、上基板61と下基板62との貼り合わせを真空中で行うため、内シール67と外シール68との間に形成される間隙64は真空状態になっている場合が多い。
【0026】
次にこのような構成からなる被加工基板60を滴下プロセスによって製造する工程について、図2(a)を用いて簡単に説明する。
【0027】
図2(a)に示すように、まず下基板62上に内シール67及び外シール68を接着する(シール剤塗布工程)。次に、内シール67で囲まれた領域に液晶を滴下する(液晶滴下工程)。次に、下基板62に上基板61を貼り合わせる(上下基板貼合工程)。次に、被加工基板60を大気に開放してギャップ出しを行う(ギャップ出し工程)。次に、内シール67及び外シール68に紫外線を照射して硬化させる(UV硬化工程)。次に、被加工基板60を加熱することによって、内シール67及び外シール68を硬化させる(加熱工程)とともに、液晶をアニールする(液晶アニール工程)。最後に、単位基板あたりの大きさに被加工基板60を切断する(セルカット工程)。
【0028】
なお、被加工基板60を、図2(b)に示す注入プロセスによって製造してもよい。この注入プロセスについて、以下簡単に説明する。
【0029】
図2(b)に示すように、まず下基板62上に内シール67及び外シール68を接着する(シール剤塗布工程)。次に、内シール67及び外シール68を加熱して仮硬化させる(仮硬化工程)。次に、下基板62に上基板61を貼り合わせる(上下基板貼合工程)。次に、被加工基板60をプレスしてギャップ出しを行う(ギャップ出しプレス工程)。次に、内シール67及び外シール68を加熱して硬化させる(硬化工程)。次に、単位基板あたりの大きさに被加工基板60を切断する(セルカット工程)。次に、内シール67で囲まれた領域に液晶を注入する(液晶注入工程)。次に、単位基板を封止する(封止工程)。最後に、単位基板を加熱して液晶をアニールする(液晶アニール工程)。
【0030】
次に上記のような構成の被加工基板60に対して割断加工を施す本発明の割断装置10について図1を用いて説明する。
【0031】
図1に示すように、割断装置10は、被加工基板60の下基板62を保持する基板ホルダ51と、基板ホルダ51に保持された被加工基板60に対して移動するとともに、被加工基板60の上基板61の割断予定線71にレーザ光LB2を照射して局部的に加熱する加熱部30と、基板ホルダ51に保持された被加工基板60に対して移動するとともに、加熱部30によって局部的に加熱された上基板61の割断予定線71を、局部的に冷却する冷却部40とを備えている。このうち、加熱部30と冷却部40とは加熱冷却ユニット15に収納されている。また基板ホルダ51は、移動ステージ53により、加熱冷却ユニット15に対して図中に矢印で示すXY平面内で相対的に移動するようになっており、基板ホルダ51と移動ステージ53とにより移動ユニット50が構成されている。
【0032】
上述した加熱冷却ユニット15は、加熱部30と冷却部40に加えて予熱部20も有しており、予熱部20、加熱部30及び冷却部40が各々、被加工基板60上で割断予定線71に沿って相対的に移動するように構成されている。なお、加熱冷却ユニット15は、被加工基板60上での移動方向に関して先頭側から後尾側へ向かってこの順番で一直線状に配置されている。
【0033】
以下、加熱冷却ユニット15に含まれる予熱部20、加熱部30及び冷却部40の詳細について説明する。
【0034】
加熱冷却ユニット15の予熱部20は、被加工基板60上にレーザビームLB1を照射して被加工基板60を局部的に予熱するためのものであり、数百W程度のCOレーザを出射するレーザ発振器21と、レーザ発振器21により出射されたレーザを反射する反射ミラー22と、反射ミラー22により反射されたレーザを被加工基板60上で走査するポリゴンミラー23とを有している。これにより、レーザ発振器21により出射されたレーザが反射ミラー22を経てポリゴンミラー23で反射され、被加工基板60上で割断予定線71に沿って所定の長さL1に亘って繰り返し走査されることにより、線状のレーザビームLB1が生成される。
【0035】
なお、線状のレーザビームLB1は、割断予定線71に沿う方向に延びる線状の照射パターンを有するものであり、その幅W1(割断予定線71に直交する方向の長さ)を数mm〜数十mm程度とし、その長さL1(割断予定線71に沿う方向の長さ)を数十mmから被加工基板60の全長に達する長さ程度とすることが好ましい。
【0036】
加熱冷却ユニット15の加熱部30は、被加工基板60上にレーザビームLB2を照射して被加工基板60を局部的に加熱することにより、被加工基板60に亀裂を生じさせるためのものであり、数十W〜百数十W程度のCOレーザを出射するレーザ発振器31と、レーザ発振器31により出射されたレーザを反射する反射ミラー32と、反射ミラー32により反射されたレーザを被加工基板60上で走査するポリゴンミラー33とを有している。
【0037】
これにより、レーザ発振器31により出射されたレーザが反射ミラー32を経てポリゴンミラー33で反射され、被加工基板60上で割断予定線71に沿って所定の長さL2に亘って繰り返し走査されることにより、線状のレーザビームLB2が生成される。なお、線状のレーザビームLB2は、割断予定線71に沿う方向に延びる線状の照射パターンを有するものであり、その幅W2(割断予定線71に直交する方向の長さ)を十分の数mm〜十数mm程度とし、その長さL2(割断予定線71に沿う方向の長さ)を数mm〜百mm程度とすることが好ましい。
【0038】
加熱冷却ユニット15の冷却部40は、被加工基板60に冷却剤Cを吹き付けて被加工基板60上で局部的に加熱が行われた領域を局部的に冷却するためのものであり、水や霧(水と気体との混合物)、窒素、ヘリウムなどの気体、二酸化炭素粒子(ドライアイス)などの微粒子固体、アルコールなどの液体、霧状のアルコール、雪状のドライアイスなどの冷却剤Cを被加工基板60の表面に噴射する冷却ノズル41を有している。なお、冷却ノズル41は、その直径(内径)が数mm以下であることが好ましく、図中矢印で示すZ方向に移動させて噴射する冷却剤の噴射面積を調整できる構造となっている。
【0039】
また上述のように、移動ユニット50は、加熱冷却ユニット15(予熱部20、加熱部30及び冷却部40)に対して被加工基板60を相対的に移動させるためのものであり、被加工基板60を支持する基板ホルダ51と、基板ホルダ51を加熱冷却ユニット15に対してXY平面内で相対的に移動させる移動ステージ53とを有している。
【0040】
図5に示すように、基板ホルダ51は、被加工基板60の下基板62が載置される側に、被加工基板60の下基板62を載置するための突起部3(高さ数mmから数十mm)を有している。この突起部3は、内シール67と外シール68との間に形成される間隙64に対向する位置に設けられている。また突起部3は、ガラスからなる被加工基板60と接触しても問題のない材料、例えばテフロン(登録商標)、ポリイミドなどの樹脂、SUS、アルミ等からなっており、突起部3の表面は、被加工基板60と密着できるよう研磨されている。なお基板ホルダ51は、セラミックや、SUSなどの熱伝導率が低く、かつ錆びにくい材料からなっている。
【0041】
また図5に示すように、基板ホルダ51の突起部3内には、シースヒータ(加熱機構)2aが絶縁管内に通されて内蔵されている。このようにシースヒータ2aが突起部3内に内蔵されることによって、載置された被加工基板60の下基板62を加熱することができる。この加熱機構としては、シースヒータ2a以外に、ニクロム線などを用いたヒータや、温風ヒータなどを用いることもできる。また図5に示すように、突起部3内には、真空ポンプ(図示せず)に連結された真空吸着孔4が設けられており、当該真空吸着孔4に載置された被加工基板60を真空吸着させることができる。
【0042】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0043】
図1に示す割断装置10において、割断対象となる上基板61と下基板62とからなる被加工基板60を移動ユニット50の移動ステージ53上に搭載された基板ホルダ51上に位置決めする。具体的には、被加工基板60の上基板61に設けられたアライメントマーク(図示せず)をCCD力メラ(図示せず)により撮像し、画像処理装置(図示せず)による撮像結果に基づいて上基板61のアライメントマークが基板ホルダ51上の所定の場所にくるように両者の相対的な位置関係を変化させる。これにより、被加工基板60の上基板61が基板ホルダ51上の所定の場所に位置決めされる。
【0044】
そして、移動ユニット50の移動ステージ53により基板ホルダ51を移動させ、基板ホルダ51上に位置決めされた被加工基板60の上基板61にある割断予定線71上に加熱冷却ユニット15を位置決め配置する。なお、加熱冷却ユニット15に含まれる予熱部20、加熱部30及び冷却部40は、被加工基板60の上基板61にある割断予定線71上に位置付けられたときに当該割断予定線71に沿って適切な間隔で一直線状に配置されるように予めアライメント調整が行われている。
【0045】
この状態で、移動ユニット50の移動ステージ53により、基板ホルダ51上に位置決めされた被加工基板60の上基板61を加熱冷却ユニット15に対して相対的に移動させ、加熱冷却ユニット15に含まれる予熱部20、加熱部30及び冷却部40を、上基板61上で割断予定線71に沿ってこの順番で相対的に移動させる。
【0046】
これにより、図1に示すように、まず、上基板61上で割断予定線71に沿って加熱冷却ユニット15の予熱部20が相対的に移動し、上基板61上に線状のレーザビームLB1を照射することにより、上基板61を所定の温度(30℃〜200℃程度)で局部的に予熱する。なおこのとき、予熱部20においては、レーザ発振器21により出射されたレーザが反射ミラー22を経てポリゴンミラー23で反射され、上基板61上で割断予定線71に沿って所定の長さL1に亘って繰り返し走査されることにより、照射パターンを有する線状のレーザビームLB1が生成される。
【0047】
そして、このようにして予熱部20により局部的に予熱された上基板61上で割断予定線71に沿って加熱部30が相対的に移動し、予熱部20により上基板61上で局部的に予熱が行われた領域よりも幅の狭い線状の領域に線状のレーザビームLB2を照射することにより、被加工基板60の上基板61を所定の温度(100℃〜400℃程度)で局部的に加熱する。なおこのとき、加熱部30においては、レーザ発振器31により出射されたレーザが反射ミラー32を経てポリゴンミラー33で反射され、被加工基板60の上基板61上で割断予定線71に沿って所定の長さL2に亘って繰り返し走査されることにより、照射パターンを有する線状のレーザビームLB2が生成される。
【0048】
その後、このようにして加熱部30により局部的に加熱された上基板61上で割断予定線71に沿って冷却部40が相対的に移動し、加熱部30により上基板61上で局部的に加熱が行われた領域よりも幅の広い円形状の領域に冷却剤Cを吹き付けることにより、上基板61を局部的に冷却する。なおこのとき、冷却部40においては、冷却ノズル41から噴射された冷却剤Cが上基板61の表面に所定の吹付パターンで吹き付けられる。
【0049】
以上のようにして、被加工基板60の上基板61上で割断予定線71に沿って予熱部20による予熱、加熱部30による加熱及び冷却部40による冷却が順次行われると、主として上基板61の加熱により発生した熱応力(引張応力)と上基板61の冷却により発生した引張応力とによって亀裂が形成され、かつ、加熱冷却ユニット15(予熱部20、加熱部30及び冷却部40)が上基板61上で割断予定線71に沿って相対的に移動することに伴って上基板61の割断予定線71に沿って亀裂が進展する。
【0050】
本発明においては、この間、被加工基板60の下基板62が突起部3内に内蔵されたシースヒータ2aにより加熱される。このことにより、被加工基板60の下基板62を割断予定線71によって、より確実に割断することができる。
【0051】
以下、シースヒータ2aにより、下基板62が加熱された場合に、被加工基板60を割断する方法について、詳述する。
【0052】
割断される被加工基板60は、図5に示すように、予めハンドラー(図示せず)によって移動ステージ53上に搬送され、基板ホルダ51上に載置されている(図1参照)。
【0053】
ここで、基板ホルダ51の突起部3の真空吸着孔4に連結された真空ポンプを駆動させ、基板ホルダ51上に載置された被加工基板60を真空吸着させる。このことによって、被加工基板60の下基板62を突起部3に密着させることができる。
【0054】
次に、あらかじめ突起部3内に埋め込まれたシースヒータ2aに電流を流しておき、シースヒータ2aを一定の温度としておく。下基板62は突起部3に密着しているため、これと同時に下基板62も加熱される(図5参照)。ここで突起部3との接触による加熱時間は数秒から数十秒であり、突起部3の温度は数十度から百数十度程度になっている。なお、被加工基板60内には液晶75が封入されているため、被加工基板60の温度は約60度から約100度程度になっていることが好ましい。
【0055】
ここで、突起部3に対向して配置される間隙64は真空状態になっているため、突起部3内のシースヒータ2aによって発生する熱は、下基板62のみに伝わり、上基板61には伝わらない。このため、下基板62はシースヒータ2aによって加熱され高温となるのに対して、上基板61の温度は室温のまま維持されるので、下基板62と上基板61との間で数十度以上の温度差が生じさせることができる。
【0056】
このため、下基板62に水平方向に伸びようとする伸張力が加わり、この下基板62に発生する伸張力が、内シール67及び外シール68を介して上基板61に伝わることによって、上基板61の割断予定線71近傍に、集中的に、水平方向への引張応力を発生させることができる。
【0057】
このように上基板61の割断予定線71近傍に、集中的に引張応力を発生させた状態で、上述のように加熱冷却ユニット15の予熱部20、加熱部30及び冷却部40により上基板61の割断予定線71を加熱及び冷却する。このことによって、上基板61の割断予定線71に強力な熱応力を発生させることができ、被加工基板60の上基板61により確実に亀裂を発生させることができ、高速かつ容易に被加工基板60の上基板61を割断することができる。なお、被加工基板60の上基板61を割断する際に発生する熱応力は、加熱冷却ユニット15の予熱部20、加熱部30及び冷却部40による加熱及び冷却によって発生する熱応力と、下基板62を突起部3のシースヒータ2aで加熱したことによって上基板61に発生する引張応力とを加えた値になっている。
【0058】
上述のような割断方法を用いて、被加工基板60から単位基板65を切り出すことができる。
【0059】
すなわち図3及び図4に示すように、まず被加工基板60の上基板61を表側の第一割断予定線H1−H4に沿って割断する。次に被加工基板60を反転させる。このとき下基板62が上方を向き、上基板61が下方を向く。次に上方を向く、下基板62を裏面側の第二割断予定線H1’−H4’に沿って割断し短冊状にする(図3及び図4参照)。
【0060】
次に、短冊状になった被加工基板60を90°回転させて、上基板61を第一割断予定線H1−H4に直交する第三割断予定線V1−V4に沿って割断する。次に被加工基板60を反転させて、下基板62を上方に向け、上基板61を下方に向けて、上方を向く下基板62を第二割断予定線H1−H4に直交する第四割断予定線V1’−V4’に沿って割断する(図3及び図4参照)。このようにして、上基板61と下基板62とからなる被加工基板60から、単位基板65を容易かつ確実に切り出すことができる。
【0061】
なお上記実施の形態において、被加工基板60のうち内シール67と外シール68との間に形成される間隙64内が真空状態となっている例を示したが、これに限らず、間隙64内に少量の大気、ガス、液体等が混入していてもよい。
【0062】
また上記実施の形態において、上基板61と下基板62とを内シール67及び外シール68を用いて貼り合わせた被加工基板60を示したが、これに限らず、上基板61と下基板62とを粘性材料を用いて貼り合わせた被加工基板60を用いてもよい。
【0063】
また、上基板61と下基板62の二枚の基板からなる被加工基板60を用いる態様を示したが、これに限らず、被加工基板60を三枚以上の基板から構成してもよい。
【0064】
内シール67と外シール68との二重のシール線によって貼り合わされた上基板61と下基板62からなる被加工基板60を示したが、これに限らず、被加工基板60を三重以上のシール線を用いて貼り合わされた上基板61と下基板62とから構成してもよい。
【0065】
また上記では、基板ホルダ51の突起部3内に内蔵されたシースヒータ2aを用いて下基板62を加熱する例を示したが、これに限らず、基板ホルダ51の突起部3内に温水を流して下基板62を加熱してもよい。
【0066】
また、本実施の形態では割断は割断予定線71に対して1回ずつ実施しているが、複数の加熱冷却ユニット15を設けることで、平行する複数の割断予定線71で被加工基板を同時に割断しても良い。このようにすることで効率よく割断することができる。
【0067】
変形例
次に図6により第1の実施の形態の変形例について説明する。図6に示す変形例は、シースヒータ2aが内蔵された突起部3を有する基板ホルダ51を用いる代わりに、図6に示すように、赤外線加熱ヒータ2bの設けられた凹部5を有する基板ホルダ51を用いたものであり、他は図1乃至5に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0068】
図6に示す変形例において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図6に示すように、割断装置10は、被加工基板60の内シール67及び外シール68に沿って下基板62側に設けられた凹部5を有し、この凹部5内には赤外線加熱ヒータ2bが配置されている。このため、被加工基板60の下基板62の間隙64に対向する部分を赤外線加熱ヒータ2bによって加熱して高温にすることができるので、上述した、シースヒータ2aの内蔵された突起部3を用いて当該間隙64に対向する部分を加熱して高温にする場合と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また図6に示すように、本変形例の基板ホルダ51によると、被加工基板60の下基板62を、凹部5以外の広い領域6で支持することができるため、バランスよく被加工基板を支持することができる。
【0071】
なお赤外線加熱ヒータ2bとしては、石英ランプや赤外線ランプなどを用いることができる。また赤外線加熱ヒータ2bに限らず、可視ランプ、LED、レーザ光などを用いても良い。
【0072】
第2の実施の形態
次に図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示す第2の実施の形態は、被加工基板60の内シール67及び外シール68に沿って下基板62側にシースヒータ(加熱機構)2aを設ける代わりに、被加工基板60の内シール67及び外シール68近傍の上基板61側に冷却機構9を設けたものであり、他は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0073】
図7に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0074】
図7に示すように、本実施の形態の割断装置10によると、被加工基板60の上基板61の間隙64に対向する部分に、冷却機構9によって冷気を吹き付けることができる。
【0075】
ここで、上述したように、内シール67及び外シール68の間に形成された間隙64は真空状態になっているため、上基板61の間隙64に対向する部分に、冷却機構9によって冷気を吹き付けても、上基板61の温度が下がるだけで、下基板62の温度は下がらない。このため、上基板61は冷却されて温度が下がるのに対して、下基板62の温度は室温のまま維持され、上基板61と下基板62との間で数十度以上の温度差を生じさせることができる。
【0076】
このため、上基板61には水平方向に縮もうとする伸縮力が加わるのに対して、下基板62には上基板61の伸縮力を阻止しようと抑制力が加わる。この下基板62に発生する抑制力が、内シール67及び外シール68を介して上基板61に伝わることによって、上基板61の割断予定線71近傍に、集中的に、水平方向への引張応力を発生させることができる。
【0077】
このように上基板61の割断予定線71近傍に、引張応力を発生させた状態で、上述のように加熱冷却ユニット15の予熱部20、加熱部30及び冷却部40により上基板61の割断予定線71を加熱及び冷却する。このことによって、上基板61の割断予定線71に強力な熱応力を発生させることができ、被加工基板60の上基板61により確実に亀裂を発生させることができ、高速かつ容易に被加工基板60の上基板61を割断することができる。
【0078】
なお環境温度(室温)をθr、基板ホルダ51の温度をθh、冷却機構9から吹き付けられる冷気の温度をθc、とすると、環境温度θr、基板ホルダ51温度θh及び冷気温度θcとの関係は、θrhcという式で示される。
【0079】
また本実施の形態のように、冷却することによって、上基板61に対して下基板62を高温とし、上基板62のうち割断予定線71近傍に引張応力を発生させる態様によると、熱に弱い液晶75に熱が加わることがないため、液晶75にダメージを与えることなく被加工板を割断することができる。
【0080】
なお、冷却機構9としては、例えば、冷媒によるコンプレッサと熱交換機によるクーラー等を用いることができる。
【0081】
第3の実施の形態
次に図8により本発明の第3の実施の形態について説明する。図8に示す第3の実施の形態は、図6に示す第1の実施の形態の変形例において、被加工基板60の内シール67及び外シール68近傍の上基板61側に冷却機構9を更に設けたものであり、他は図6に示す第1の実施の形態の変形例と略同一である。
【0082】
図8に示す第3の実施の形態において、図6に示す変形例と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
図8に示すように、被加工基板60の内シール67及び外シール68に沿って下基板62側に配置された赤外線加熱ヒータ2bによって、被加工基板60の下基板62の間隙64に対向する部分を加熱して高温にすることができる。また、被加工基板60の内シール67及び外シール68近傍の上基板61側に配置された冷却機構9によって、被加工基板60の上基板61の間隙64に対向する部分を冷却することができる。
【0084】
このため、上基板61の間隙64に対向する部分と、下基板62の間隙64に対向する部分との間の温度差を、かなり大きくすることができる。このため、被加工基板60の上基板61の割断予定線71にかなり大きな引張応力を発生させることができ、さらに高速かつ容易に被加工基板60を割断することができる。なお環境温度θr、基板ホルダ51温度θh及び冷気温度θcとの関係は、θhrcいう式で示される。
【0085】
なお、すべての実施の形態でレーザ光LBの照射は上側からで説明したが、反転させて下側からレーザ照射しても同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明による割断装置の第1の実施の形態を示す概略構成図。
【図2】滴下プロセス及び注入プロセスにおける工程のフローを示したブロック図。
【図3】本発明による割断装置の第1の実施の形態に用いられる被加工基板を示す概略平面図。
【図4】本発明による割断装置の第1の実施の形態を用いられる被加工基板を示す概略断面図。
【図5】本発明による割断装置の第1の実施の形態における実施態様を説明する概略断面図。
【図6】本発明による割断装置の第1の実施の形態の変形例を示す概略断面図。
【図7】本発明による割断装置の第2の実施の形態を示す概略断面図。
【図8】本発明による割断装置の第3の実施の形態を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0087】
2a シースヒータ
2b 赤外線加熱ヒータ
3 突起部
4 真空吸着孔
5 凹部
9 冷却機構
10 割断装置
15 加熱冷却ユニット
30 加熱部
40 冷却部
51 基板ホルダ
60 被加工基板
61 上基板
62 下基板
65 単位基板
67 内シール
68 外シール
71 割断予定線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、
被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、
被加工基板の貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構とを備え、
被加工基板のうち割断予定線近傍において、下基板を前記加熱機構により加熱することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置。
【請求項2】
少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、
被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、
被加工基板の貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構とを備え、
被加工基板のうち割断予定線近傍において、上基板を前記冷却機構により冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置。
【請求項3】
少なくとも上基板と下基板とを、貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合部材近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断装置において、
被加工基板の下基板を保持する基板ホルダと、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱する加熱部と、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して移動するとともに、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を、局部的に冷却する冷却部と、
被加工基板の貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構と、
被加工基板の貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構とを備え、
被加工基板のうち割断予定線近傍において、下基板を前記加熱機構により加熱し、かつ上基板を前記冷却機構により冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に、上基板と下基板との間の温度差による応力を発生させることを特徴とする割断装置。
【請求項4】
基板ホルダは、熱伝導率が低く、かつ錆びにくい材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の割断装置。
【請求項5】
基板ホルダは、被加工基板の下基板が載置される側に、被加工基板を載置するための突起部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の割断装置。
【請求項6】
突起部は、被加工基板を表面に真空吸着させるための真空吸着孔を有することを特徴とする請求項5に記載の割断装置。
【請求項7】
加熱機構は、突起部内に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の割断装置。
【請求項8】
被加工基板の貼合部材は、内シールと外シールとからなり、
被加工基板は複数の単位基板を含むとともに、上基板と下基板は単位基板の外周に延びる内シールと、内シールの外方に位置する外シールとにより貼り合わされ、
突起部は、内シールと外シールとの間に対向して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の割断装置。
【請求項9】
基板ホルダは、被加工基板が載置される側に凹部を有し、
当該凹部内には、加熱機構が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の割断装置。
【請求項10】
被加工基板の貼合部材は、内シールと外シールとからなり、
被加工基板は複数の単位基板を含むとともに、上基板と下基板は単位基板の外周に延びる内シールと、内シールの外方に位置する外シールとにより貼り合わされ、
割断予定線は、内シール上、外シール上又は内シールと外シールとの間に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の割断装置。
【請求項11】
前記加熱部と前記冷却部を有する加熱冷却ユニットを複数備え、
被加工基板は複数の割断予定線を含み、
各加熱冷却ユニットは、被加工基板の複数の割断予定線のうち対応する割断予定線を加熱及び冷却することによって、当該割断予定線で被加工基板を同時に割断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の割断装置。
【請求項12】
少なくとも上基板と下基板とを、複数の貼合部材を用いて貼り合わせてなる被加工基板を、貼合基板近傍に延びる割断予定線に沿って局部的に加熱及び冷却し、その際に生じる熱応力によって当該被加工基板に亀裂を生じさせて割断する割断方法において、
基板ホルダにより被加工基板の下基板を保持する保持工程と、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して加熱部を移動させて、被加工基板の上基板の割断予定線にレーザ光を照射して局部的に加熱するレーザ加熱工程と、
基板ホルダに保持された被加工基板に対して冷却部を移動させて、加熱部によって局部的に加熱された上基板の割断予定線を局部的に冷却する冷却工程とを備え、
被加工基板のうち割断予定線近傍において、貼合部材に沿って下基板側に配置された加熱機構により下基板を加熱するか、及び/又は貼合部材近傍の上基板側に配置された冷却機構により上基板を冷却することによって、上基板に対して下基板を高温とし、上基板のうち割断予定線近傍に引張応力を発生させることを特徴とする割断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−217213(P2007−217213A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37936(P2006−37936)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】