説明

加熱炉

【課題】半導体等の加熱炉において、別途加熱装置を設けることなく供給ガスや排ガスを加熱できる経済的な加熱炉を提供する。
【解決手段】加熱炉において、不活性ガスやキャリアガスなどの流体を流す金属チューブ6を断熱炉壁1の外壁面と外被3の内面側との間の長手方向に延びるように設け、チューブにキャリアガスなどの流体を流し、断熱炉壁の蓄熱により加熱し、この加熱した流体で供給ガスを加熱し、及び/または密閉容器5内のワーク4の反応処理を終えた排ガスに混入させ加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱炉、特に半導体基板等の加熱炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の加熱炉を示し、1は断熱材からなる筒状の断熱炉壁、2は上記断熱炉壁1の内周面に沿って螺旋状に巻回配置した抵抗発熱体、3は上記断熱炉壁1の外周面に設けた外被、4は上記加熱炉内に挿入された半導体ウエハやセラミックス電子部品などのワーク(被加熱物)、5は上記ワーク4の密閉容器である。
【0003】
上記加熱炉は半導体製造やセラミックス電子部品などの製造工程における熱源として利用され、上記断熱炉壁1は断熱性を高め伝熱を抑止するため、繊維状のシリカとアルミナの混合物などの断熱性に優れた素材よりなる。
【0004】
半導体製造においては、上記加熱炉内で半導体ウエハの表面に窒化膜を成長させて膜付けする工程で、副生された塩化アンモニアは排ガス系に流され、この塩化アンモニアは排気系配管内壁に付着する問題を生ずる。また、上記加熱炉内でセラミック原料を形成したセラミック素体などを焼成する工程で、上記セラミック中に含まれるバインダーなどの有機系分解ガスやそれが不完全燃焼した燃焼ガスを含む排ガスが発生し、この排ガスに含まれる有害物質が排気系配管内壁に付着する問題を生ずる。また、これら排気系配管内壁に付着し堆積した付着物により排気系配管が目詰まりしたり、腐食してしまうという問題があった。
【0005】
このため特許文献1記載のものでは、高温の不活性ガスを排気系配管内に導入して、付着物を除去しており、特許文献2記載のものでは、大流量ガス制御装置により不活性ガスを排気系配管内に多量に供給していた。
【0006】
【特許文献1】特開2003−209101号公報
【特許文献2】特開平5−234986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然しながら、上記特許文献1に記載のものは加熱炉とは別に、加熱装置を設けて不活性ガスを加熱していたので、加熱炉以外の別の熱源が必要となり不経済であった。また、上記特許文献2に記載のものは排ガス中に含まれる有害物質を除去することはできるが、排気系配管内壁に付着した有害物質を除去することはできないという欠点があった。
【0008】
また、例えば、密閉容器5内のワーク4を加工する工程では、上記密閉容器5内に導入する、例えばベーパライザーにより気化した気体が再び液化しないように上記気体を一定以上の温度を保つ必要があり、従来は、加熱炉とは別に、加熱装置を設けて上記気体を加熱していたので、加熱炉以外の別の熱源が必要となり不経済であった。
【0009】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の加熱炉は、断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁の外面に設けた、チューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の加熱炉は、断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁内に設けた、チューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の加熱炉は、断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁の外被の外面に設けたチューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱炉においては、供給ガスや排ガスを加熱炉により加熱した流体を用いて加熱するので、経済性よく効率的に排気系配管内の有害物質や配管内壁に付着した有害物質を除去することができる大きな利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の加熱炉においては、図1に示すように、不活性ガス、キャリアガスなどの流体を流す細長い金属チューブ6を例えば上記断熱炉壁1の外側面と上記外被3の内側面との間に長手方向に延びるように設け、上記チューブ6に、キャリアガスなどの流体を流し、上記断熱炉壁1の蓄熱により加熱し、この加熱された流体で、加熱炉に対する供給ガスを加熱し、及び/または例えば、密閉容器5内のワーク4の反応処理を終えた排ガスに希釈ガスとして混入させ排ガスを加熱する。
【0016】
本発明の加熱炉によれば、外部加熱装置を設けることなく上記流体を加熱することができ、この加熱された流体により上記供給ガスを加熱し、及び/または排ガスを加熱し、排気系配管内に付着物が付着するのを防止し、また付着物を分解することができるので、排気系配管の目詰まりや腐食を大幅に低減できる。
【0017】
なお、上記チューブ6を上記断熱炉壁1の外側面と上記外被3の内側面との間に長手方向に延びるように配置する代わりに、図2に示すように、上記断熱炉壁1の上面と上記外被3の天板部分7との間にリング状、螺旋状又は渦巻き状に配置したり、図3に示すように、上記断熱炉壁1の内部に長手方向に延びるように配置したり、また、上記チューブ6を上記外被3の外側面に配置してもよく、また、これらを組み合わせてチューブ6を配置せしめてもよい。
【0018】
この場合上記チューブ6を抵抗発熱体2に近く設置すればするほど、上記チューブ6内を流れる流体の温度を更に高くすることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の加熱炉の一部の縦断正面図である。
【図2】本発明の加熱炉の他の実施例の一部の縦断正面図である。
【図3】本発明の加熱炉の更に他の実施例の一部の横断平面図である。
【図4】従来の加熱炉の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 断熱炉壁
2 抵抗発熱体
3 外被
4 ワーク
5 密閉容器
6 チューブ
7 天板部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁の外面に設けたチューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする加熱炉。
【請求項2】
断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁内に設けたチューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする加熱炉。
【請求項3】
断熱炉壁と、この断熱炉壁に設けた発熱体と、上記断熱炉壁の外被の外面に設けたチューブとよりなり、このチューブを通して加熱した流体を供給ガス及び/または排ガスに加えるようにしたことを特徴とする加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−194558(P2006−194558A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8875(P2005−8875)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(591023734)坂口電熱株式会社 (14)
【Fターム(参考)】