説明

動作制限機能を有する電子機器

【課題】複数のロック解除コードを有し、一方のロック解除コードから他方のロック解除コードが類推されるといったこと等を、極力防止することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】所定の動作を行う電子機器において、該動作の少なくとも一部に制限を加える制限部と、それぞれ所定桁数の記号からなる、第1ロック解除コード、および第2ロック解除コードを記憶する記憶部と、1桁以上の記号からなる入力コードの入力を受付ける入力受付部と、入力コードと、第1ロック解除コードまたは第2ロック解除コードと、を比較し、一致している場合には、前記制限の全部または一部を解除させる制限解除部と、を備え、第1ロック解除コードは、m桁であって、各桁は所定カテゴリの記号のみによって構成され、第2ロック解除コードは、m桁以外であるもの、または、少なくとも一つの桁が該所定カテゴリに含まれない記号により構成されたものである電子機器とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止等を目的とした動作制限機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送受信機などの電子機器の販売店においては、展示などの目的で、電子機器が店頭に置かれることが多い。しかしこのようにすると、電子機器(製品)の盗難が起こりやすくなるために、これを防止するための方策が考えられている。
【0003】
このような方策の一つとして、電子機器内部に予めロック解除コードを登録させておき、このロック解除コードが入力されるまで、当該電子機器が正常に動作しないようにする(動作を制限する)ことが考えられている。例えばテレビ放送受信機の場合では、映像表示や音声出力を制限するといった具合である。
【0004】
このようにすれば、例え電子機器本体が盗難に遭っても、正規のロック解除コードが入力されない限り、電子機器の適切な使用は不可能となる。その結果、盗難の動機(自分で盗品を使用する場合等)を失わせることができ、ひいては、盗難防止効果が得られることになる。なお、正規の購入者には、例えば精算時に正規のロック解除コードを伝えることで、適切に対応することが可能である。
【特許文献1】特開2007−81669号公報
【特許文献2】特開2001−347894号公報
【特許文献3】米国特許4987594号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ロック解除コードは、その内容を秘密にして盗難防止効果を上げるために、電子機器ごとに固有となっている。これにより、ある電子機器に係るロック解除コードが知られても(当該電子機器の正規購入者は、当然知ることになる)、これが利用されて、他の電子機器の動作制限まで解除されることを防ぐことができる。
【0006】
ところで電子機器の製造工程においては、品質管理などの観点から、電子機器の動作確認が適宜実行される。この時、一時的に動作制限を解除させる必要があるが、電子機器ごとにロック解除コードが異なっていると、そのままでは動作制限を解除させる工程が煩雑になり、ひいては製造効率が著しく低下するおそれがある。
【0007】
このような問題を解決する手段としては、共通の製造工程で製造される電子機器については、電子機器ごとに固有のロック解除コード(「固有コード」とする)とは別に、共通のロック解除コード(「共通コード」とする)を設定することが考えられる。共通コードが入力されることによっても、動作制限が解除可能となっていれば、動作制限を解除させる工程を簡略化することができる。
【0008】
ただし共通コードが外部に漏れてしまうと、電子機器を正規購入していない者が、共通コードを使って動作制限を解除させることが想定される。このような事態が起きると、ロック解除コードを設けたことによる盗難防止の効果が、著しく薄れるおそれがある。そのため共通コードは、極力外部に漏れないように管理される必要がある。
【0009】
なお、共通コードの桁数や各桁の記号のカテゴリ(どの範囲までの記号が用いられるか)が、固有コードのものと同じであれば、共通コードが外部に漏れやすくなると危惧される。例えば、双方のコードが何れも「5748534」のように、桁数が「7桁」で、各桁の記号のカテゴリが「0〜9の数字」であるとすれば、ある電子機器の固有コードを知る者にとっては、総当たり探索などの手法によって、共通コードを比較的容易に見つけ出すことができる。
【0010】
本発明は上述した問題点に鑑み、複数のロック解除コード(例えば上述した、固有コードと共通コード)を有するとともに、一方のロック解除コードの桁数や各桁の記号のカテゴリが知られたとしても、他方のロック解除コードまで知られてしまう事態を、極力防止することが可能な電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、所定の動作を行う電子機器において、該動作の少なくとも一部に制限を加える制限部と、それぞれ1桁以上の記号からなる、第1ロック解除コード、および第2ロック解除コードを記憶する記憶部と、1桁以上の記号からなる入力コードの入力を受付ける入力受付部と、前記入力コードと、前記第1ロック解除コードまたは第2ロック解除コードと、を比較し、一致している場合には、前記制限を解除させる制限解除部と、を備え、前記第1ロック解除コードは、m(mは自然数)桁であるとともに、各桁は所定カテゴリに含まれる記号のみによって構成されており、前記第2ロック解除コードは、前記m桁以外の桁数の記号からなるもの、または、少なくとも一つの桁が該所定カテゴリに含まれない記号によって構成されたもの、である構成とする。
【0012】
本構成によれば、第2ロック解除コードは、m桁以外の桁数の記号からなるもの、または、少なくとも一つの桁が所定カテゴリ(第1ロック解除コードの各桁の構成に用いられる記号のカテゴリ)に含まれない記号によって構成されたもの、となる。そのため、一方のロック解除コード(第1ロック解除コード)の桁数や各桁を構成する記号のカテゴリが知られたとしても、他方のロック解除コード(第2ロック解除コード)まで知られてしまう事態を、極力防止することが可能となる。
【0013】
また上記構成において、前記入力コードと前記第1ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合と、前記入力コードと前記第2ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合とでは、該制限が解除される範囲または期間が、互いに異なる構成としてもよい。
【0014】
本構成によれば、第1ロック解除コードが入力されるべき状況と、第2ロック解除コードが入力されるべき状況との違いに応じて、動作制限の解除を適切に行わせることが容易となる。例えば、第2ロック解除コードを、単に動作確認工程において入力されるべき共通コードとする場合は、第2ロック解除コードが入力されたときには、範囲や期間を限定して、動作制限を解除するといったことが可能である。
【0015】
また上記構成において、前記入力コードと前記第2ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合には、該制限が解除される期間を制約する制約条件が設けられる一方、前記入力コードと前記第1ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合には、該制約条件は設けられない構成としてもよい。
【0016】
本構成によれば、例えば、第2ロック解除コードを、動作確認工程において入力されるべき共通コードとする場合は、仮に当該コードが外部に漏れても、これが利用されて動作制限が無期限に解除されるという事態を防ぐことが可能となる。また第1ロック解除コードを、正規購入者によって入力されるべき固有コードとする場合、正規購入者が何度もコード入力を求められるといった不都合を回避することが可能となる。
【0017】
また上記構成として、より具体的には、共通の動作確認工程が実行される複数の電子機器のうちの一つであって、前記第1ロック解除コードは、該複数の電子機器の各々に固有のものとして設定されている一方、前記第2ロック解除コードは、該複数の電子機器の各々に共通のものとして設定されている構成としてもよい。
【0018】
また上記構成において、前記第1ロック解除コードはm桁の記号からなる一方、前記第2ロック解除コードはm桁以外の桁数の記号からなり、前記入力受付部は、前記入力を受付ける際に、m桁の記号入力を促す構成としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第2ロック解除コードの桁数が外部に漏れることを、より確実に防ぐことが可能となる。そのため、例えば、総当たり的な探索によって第2ロック解除コードが見つけ出されることや、第2ロック解除コードが類推されること等を、より一層難しくすることができる。
【0020】
また上記構成において、電気的に書換え不可能なメモリを備え、該メモリは、前記第2ロック解除コードを記憶している構成としてもよい。
【0021】
上記構成によれば、第2ロック解除コードが電気的に書換え可能なメモリのみに記憶されている場合に比べ、例えば電気的なトラブルによって、第2ロック解除コードが消失する事態を極力防ぐことが可能となる。
【0022】
また上記構成の電子機器の具体例としては、テレビ放送の放送信号を受信するテレビ放送受信機などが挙げられる。
【発明の効果】
【0023】
上述の通り、本発明に係る電子機器によれば、第2ロック解除コードは、m桁以外の桁数の記号からなるもの、または、少なくとも一つの桁が所定カテゴリ(第1ロック解除コードの各桁の構成に用いられる記号のカテゴリ)に含まれない記号によって構成されたもの、となる。そのため、一方のロック解除コード(第1ロック解除コード)の桁数や各桁を構成する記号のカテゴリが知られたとしても、他方のロック解除コード(第2ロック解除コード)まで知られてしまう事態を、極力防止することが可能となる。
【0024】
つまり、第1ロック解除コードの桁数や用いられる記号のカテゴリを知る者によって、例えば、総当たり的な探索によって第2ロック解除コードが見つけ出されることや、第2ロック解除コードが類推されること等を、極力防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施形態について、テレビ放送受信機(電子機器の一種)を例に挙げて説明する。なお当該テレビ放送受信機は、商取引等の対象と見ることもできるため、以下、「製品」と称することがある。当該テレビ放送受信機の構成図(ブロック図)を、図1に示す。本図に示すように、テレビ放送受信機1は、受信部11、接続切替部12、信号処理部13、ディスプレイ14、スピーカ15、制御部16、第1メモリ17、第2メモリ18、および操作部19などを備えている。
【0026】
受信部11は、アンテナやケーブル等を介して、テレビ放送局からの放送信号を受信する。また受信部11はチューナ機能を備えており、予め選定されているチャンネルの放送信号を抽出し、後段の信号処理部13に向けて出力する。
【0027】
接続切替部12は、制御部16の指示に応じて、受信部11と信号処理部13との接続/非接続を切替える。これにより、接続切替部12が接続状態のときは、受信部11から信号処理部13への放送信号の伝送が可能である一方、非接続状態のときは、当該伝送が不可となる。
【0028】
信号処理部13は、受信部11から伝送されてきた放送信号に所定の処理を施し、映像信号と音声信号を生成させる。なおテレビ放送信号から映像信号や音声信号を生成する手法は公知であるため、その詳細な説明は省略する。生成された映像信号および音声信号は、ディスプレイ14およびスピーカ15に、それぞれ伝送される。
【0029】
ディスプレイ14は、伝送されてきた映像信号に基づいて映像を表示させる。またスピーカ15は、伝送されてきた音声信号に基づいて音声を出力する。なおディスプレイ14は、後述する、コード入力受付画面を表示させることも可能となっている。
【0030】
制御部16は、例えばCPUによって構成されており、テレビ放送受信機1において実行される各種処理を制御する。なお各種処理の中には、動作制限の実行や解除に関する一連の処理も含まれており、当該処理の内容については改めて詳細に説明する。
【0031】
第1メモリ17は、電気的に書換え可能な不揮発性のメモリとして構成されており、制御部16によって情報の読み書きが可能となっている。また第1メモリ17は、例えば図2に示すように、テレビ放送受信機1における各種処理に必要な情報を記憶する。ここで図2に示されている各項目について説明する。
【0032】
第1ロック解除コード(固有コード)と第2ロック解除コード(共通コード)は、後述する動作制限の解除処理に用いられる情報であり、1桁以上の記号からなっている。なお第1ロック解除コードは、正規購入者(管理者や販売店員等から、当該コードを知らされた者)によって入力されることが想定されており、第2ロック解除コードは、基本的には、製造工程における動作確認工程で入力されることが想定されている。これらのロック解除コードが入力された場合には、後に詳述するように、動作制限が解除されることになる。
【0033】
第1ロック解除コードは、例えばある製品では「5748534」、他の製品では「3009412」、更に他の製品では「7870522」といった具合に、製品ごとに固有のもの(つまり、製品ごとに異なるもの)として設定されている。また第1ロック解除コードは、7桁の数字(記号の一種)からなっている。このように第1ロック解除コードにおける各桁は、「0〜9の数字」というカテゴリに含まれる記号のみによって構成されている。
【0034】
一方、第2ロック解除コードは、同じ製造工程(共通の動作確認工程)を経て製造される同系列の各製品に、共通のものとして設定されている。また第2ロック解除コードは、例えば「3AC6B9D1」のように8桁の記号からなっており、各桁に用いられている記号の種類としては、数字の他に英字も存在している。
【0035】
このように、第1ロック解除コードと第2ロック解除コードの桁数は、互いに異なっている。また、第1ロック解除コードの各桁は、「0〜9の数字」というカテゴリに含まれる記号のみによって構成されている一方、第2ロック解除コードにおける一部の桁は、このカテゴリに含まれない「A」や「B」といった英字(記号の一種)によって構成されている。
【0036】
また第1ロック解除フラグは、入力コードとして、第1ロック解除コードが入力済みであるか否かを表す情報である。また第2ロック解除フラグは、入力コードとして、第2ロック解除コードが入力済みであるか否かを表す情報である。何れのロック解除フラグにおいても、「ON」の場合は入力済みであり、「OFF」の場合は未入力であることを表す。
【0037】
ここで、一旦第1ロック解除コードが入力された後は、第1ロック解除フラグは、半永久的に(特段の処理がなされない限り)「ON」の状態を維持する。しかし第2ロック解除コードが入力された後については、第2ロック解除フラグは、一定期間(例えば5分間)「ON」となるが、その経過後には再び「OFF」に戻る(つまり、第2ロック解除コードが未入力とみなされる)ようになっている。
【0038】
第2メモリ18は、電気的に書換え不可能であるメモリ(ROM)として構成されており、制御部16によって情報の読み出しが可能となっている。第2メモリ18は、テレビ放送受信機1における各種処理に必要な情報のうち、特に第2ロック解除コードや制御用のプログラムコードなど、内容が固定されている情報を記憶する。
【0039】
なお第1メモリ17に記憶されている第2ロック解除コードが、例えば電気的なトラブルによって消失した場合であっても、第2メモリ18に記憶されている第2ロック解除コードを用いて、復旧可能となっている。これにより、第1メモリ17に記憶されていた第1および第2ロック解除コードが消失した場合でも、緊急的に第2ロック解除コード復旧させて、動作制限の解除が全く不可となる事態を回避することが可能である。
【0040】
またこのような復旧のなされた場合に、第2ロック解除コードを、製品の正規購入者に知らせるようにしても良い。このようにすれば、正規購入者は、第2ロック解除コードを入力することにより、動作制限を一時的ながら解除させることが可能となる。ただし第2ロック解除コードは、他の製品にも共通であるため、その内容が必要以上に広まらないように配慮されることが望ましい。
【0041】
操作部19は、ユーザによって操作されるスイッチ等を有した、ユーザインターフェースとして構成されている。ここでの操作内容(ユーザの意図を表す情報)は制御部16に伝送され、各種処理に反映されることになる。なお操作部19の具体的構成は特に限定されないが、本実施形態では、図3に示すようなリモコン(リモートコントロール装置)2が用いられた構成となっている。
【0042】
つまり、テレビ放送受信機1の本体側はリモコン受信装置を備え、リモコン2の送信部22から無線送信される、リモコン信号を受信するようになっている。一方、リモコン2には、電源のON/OFFを切替えるための「電源」ボタン、入力内容の確定を伝えるための「確定」ボタン、放送チャンネルや数字を選ぶための「1」〜「12」ボタン、放送チャンネルを上下させる「Ch」の「上」・「下」ボタン、音量を上下させる「Vol」の「上」・「下」ボタンなどの、押しボタンスイッチ21が設けられている。ユーザが押しボタンスイッチ21を押下すると、これに応じたリモコン信号が生成される。
【0043】
以上に説明した構成により、テレビ放送受信機1は、通常の動作時において、テレビ放送の放送信号を受信し、放送番組の映像表示や音声出力を実行する。またテレビ放送受信機1では、盗難防止などを目的とした動作制限を実行させることが可能となっており、更に所定条件の下、この動作制限を解除させることも可能となっている。次に、この動作制限の実行や解除に関する処理について、図5のフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0044】
電源OFFの状態から電源ONの状態に切替えられると、第1メモリ17に記憶されている第1ロック解除フラグまたは第2ロック解除フラグが、ONとなっているか否かが判別される(ステップS1)。その結果、何れのロック解除フラグもOFFである場合には(ステップS1のN)、接続切替部12が非接続状態とされる。これにより、受信部11の後段側には放送信号が伝送されず、ひいては、ディスプレイ14における映像表示やスピーカ15における音声出力等が、実行されないようになる(ステップS2)。つまり、テレビ放送受信機1において通常は実行されるべき、放送信号の各種処理、映像表示、および音声出力といった動作が、制限されることになる。
【0045】
その後、制御部16は、ユーザ等によるコード入力の受付を開始する(ステップS3)。具体的には先ず、図4に示すようなコード入力受付表示31を、ディスプレイ14に表示させる。このコード入力受付表示31は、ユーザにコード(入力コード)の入力を促すものとなっており、また7桁分の入力スペース31aが設けられていることから、コードとして7桁の記号入力を促すようになっている。
【0046】
そして1個の記号が入力される度に、最初の桁から順にコードが入力されたものと判断する。このとき入力スペース31aには、入力された記号、もしくは「※」などの特殊記号が、各桁の入力に対応して表示される。これにより、各桁の入力が受付けられたことを、ユーザが視認できるようになっている。
【0047】
なお各桁の入力については、リモコン2における「1」〜「10」のボタンが押下される度に、そのボタンに対応した数字(「10」のボタンには数字「0」が対応)が入力される。また「Ch」の「上」・「下」ボタンおよび「Vol」の「上」・「下」ボタンの何れかが押下される度に、それぞれ「A」、「B」、「C」、「D」が入力される。
【0048】
そのため、入力コードとして第2ロック解除コードが入力される場合には、第1ロック解除コードの入力時には押下されない、「Ch」の「上」・「下」ボタンや、「Vol」の「上」・「下」ボタンが押下されると言える。またコード入力受付表示31では、7桁のコード入力を促しているが、実際には7桁目の記号入力後にさらに記号を入力することによって、8桁のコード入力も可能となっている。なおこのように、7桁のコード入力が促されるようになっていることで、第2ロック解除コードを知らない者にとっては、第2ロック解除コードが8桁(7桁以外)であると気付くことは困難となっている。
【0049】
以上のようにして各桁のコードが入力された後、リモコン2における「確定」のボタンが押下されたときは、制御部16は、コード入力が完了したものと判断し(ステップS4のY)、これまでの入力内容を入力コードとみなす。その後、制御部16は、入力コードが、第1ロック解除コードに一致しているか否かを判断する(ステップS5)。
【0050】
そして一致していた場合は(ステップS5のY)、接続切替部12が接続状態に切替えられる。これにより、受信部11の後段側に放送信号が伝送され、放送信号の各種処理、映像表示、および音声出力といった動作が、通常通りに実行されることになる。つまりステップS2の処理によって施されていた動作制限(映像のブロックや音声のミュート等)が、解除されることになる(ステップS7)。またこのとき、第1メモリ17に記憶されている第1ロック解除フラグが、「ON」に更新される(ステップS7)。
【0051】
一方、入力コードが第1ロック解除コードに一致していなかった場合は(ステップS5のN)、制御部16は、入力コードが、第2ロック解除コードに一致しているか否かを、更に判断する(ステップS6)。そして一致していた場合は(ステップS6のY)、接続切替部12が接続状態に切替えられる。
【0052】
これにより、受信部11の後段側に放送信号が伝送され、放送信号の各種処理、映像表示、および音声出力といった動作が、通常通りに実行されることになる。つまりステップS2の処理によって施されていた動作制限(映像のブロックや音声のミュート等)が、解除されることになる(ステップS8)。またこのとき、第1メモリ17に記憶されている第2ロック解除フラグが、「ON」に更新される(ステップS8)。
【0053】
なお、ステップS7またはS8の処理がなされた後は、ステップS1の処理が再度実行される。また、入力コードが第2ロック解除コードにも一致していなかった場合には(ステップS6のN)、ステップS3の処理が再度実行される。つまり、第1ロック解除コードまたは第2ロック解除コードが正しく入力されるまで、先述した動作制限は解除されないようになっている。
【0054】
またステップS1における判別の結果、第1ロック解除フラグ、または第2ロック解除フラグがONであった場合には(ステップS1のY)、接続切替部12は、接続状態とされる。つまり、先述した動作制限は実行されずに、テレビ放送受信機1としての通常動作が実行される(ステップS9)。この通常動作は、ロック解除フラグの何れかがONであり(ステップS1のY)、かつ、主電源がOFFとされない(ステップS10のN)限り、継続される。
【0055】
ただし、ロック解除フラグが何れもOFFとなった場合には(ステップS1のY)、ステップS2の処理が実行される。また例えばリモコン2の操作を通じて、主電源がOFFとされた場合には(ステップS10のY)、通常動作は停止される。
【0056】
以上に説明した一連の処理が実行されることにより、テレビ放送受信機1は、製造工程における動作確認工程の負担を極力抑えることが可能であるとともに、高い盗難防止効果を有するものとなっている。
【0057】
すなわち、動作確認工程においては、先ずテレビ放送受信機1の主電源をONとした後、第2ロック解除コードが入力されるようにすれば良い。これにより、動作制限は解除されるから(ステップS8を参照)、動作確認の実行が可能となる。ここで第2ロック解除コードは、同じ製造工程によって製造される各テレビ放送受信機1に、共通のものとして設定されている。そのため、テレビ放送受信機1の個体ごとに、正しい第2ロック解除コードを探すといった手間を省くことができ、ひいては、動作確認工程の負担を極力抑えることが可能となっている。
【0058】
なお、テレビ放送受信機1では、一旦第2ロック解除コードが入力されても、一定期間が経過すると第2ロック解除フラグは自動的にOFFに戻り、再度動作制限が実行される(ステップS1、S2を参照)。すなわち、入力コードが第2ロック解除フラグに一致したことによって動作制限が解除される場合には、動作制限が解除される期間を制約する制約条件が設けられる。そのため、動作確認工程を終えた後に、第2ロック解除フラグをOFFに戻すという工程を省くことができ、この点からも、動作確認工程の負担を極力抑えることが可能となっている。
【0059】
また第2ロック解除コードは、多数のテレビ放送受信機1に共通であるため、第2ロック解除コードが外部に知られてしまうと、テレビ放送受信機1の盗難防止効果が著しく薄れるおそれがある。しかしテレビ放送受信機1においては、第2ロック解除コードは、第1ロック解除コードとは桁数が異なるとともに、少なくとも一つの桁には数字以外の記号が用いられている。そのために、ある製品の第1ロック解除コードが外部に知られたとしても、第2ロック解除コードまで知られるという事態を、極力防ぐことが可能となっている。
【0060】
つまり本実施形態において、仮に、第2ロック解除コードも7桁の数字により構成されているとすれば、ある製品の第1ロック解除コードを知る者にとっては、例えば、7桁の数字を総当たり的に探索するといった手法によって、第2ロック解除コードを比較的容易に見つけ出すことが可能である。しかし実際には、第2ロック解除コードは、英字を含む8桁の記号により構成されているため、このような探索は不可能となっている。
【0061】
このように第2ロック解除コードが外部に知られにくくなっていることから、テレビ放送受信機1は、高い盗難防止効果を有しているといえる。なお本実施形態では、第2ロック解除コードは、桁数、および、少なくとも一つの桁に英字(第1ロック解除コードには用いられない記号)が用いられている点の双方において、第2ロック解除コードとは異なっているが、何れか一方のみが異なるだけであっても構わない。この場合であっても、第2ロック解除コードが7桁の数字からなっている場合に比べて、第2ロック解除コードが知られにくくなる。
【0062】
またテレビ放送受信機1では、先述したとおり、第2ロック解除コードが入力された場合には、動作制限が解除される期間についての制約条件が設けられる。そのため、第2ロック解除コードしか知らない者にとっては、テレビ放送受信機1に通常動作を継続させるためには、第2ロック解除コードを何度も入力する必要がある。つまり、仮に第2ロック解除コードが外部に知られたとしても、それだけではテレビ放送受信機1が実用的に使用されることはないため、ある程度の盗難防止効果が期待できる。
【0063】
なお第1ロック解除コードが入力されて動作制限が解除された場合には、このような制約条件は設けられない。そのため、正規購入者が何度もコード入力を求められるといった不都合は回避される。
【0064】
また本実施形態では、動作制限の実行は、接続切替部12の接続の状態が切替えられることにより実現されるようになっているが、他の手法が用いられていても構わない。例えば、信号処理部13等の動作が直接制御されることにより、実現されるようになっていても良い。
【0065】
また、入力コードが第1ロック解除コードに一致したことによって、動作制限を解除させる場合(ステップS7)と、入力コードが第2ロック解除コードに一致したことによって、動作制限を解除させる場合(ステップS8)とでは、動作制限が解除される範囲(どこまでの動作制限が解除されるか)が、互いに異なるようになっていても構わない。
【0066】
例えば、ステップS7の処理では、動作制限が完全に(全ての範囲で)解除される一方、ステップS8の処理では、動作確認工程において選局される特定の放送チャンネルに関してのみ、動作制限が解除されるようになっていても良い。このようになっていれば、製品を不正に入手した者が、第2ロック解除コードを用いたとしても、製品を自由に使用することはできない。
【0067】
またテレビ放送受信機1に用いられるリモコン2の形態としては、図3に示すようなものの他、図6に示すようなものであっても構わない。この形態のリモコン2では、放送チャンネルや数字を選ぶための押しボタンスイッチ21として、「0」〜「9」ボタン(図6の破線で囲まれている部分)が設けられている。なお当該形態のリモコン2が用いられる場合、先述した入力コードの各桁の入力(ステップS3〜S4)においては、「0」〜「9」ボタンが押下される度に、そのボタンに対応した数字が入力されるようにすれば良い。
【0068】
以上までに説明した通り、本実施形態に係るテレビ放送受信機1は、受信した放送信号に所定の処理を施し、放送内容に係る映像表示や音声出力を行うという動作を行う電子機器である。また、当該動作の少なくとも一部に制限を加える制限機能を有し、それぞれ1桁以上の記号からなる、第1ロック解除コード、および第2ロック解除コードを記憶する第1メモリ17や第2メモリ18(記憶部)を有している。
【0069】
またテレビ放送受信機1は、1桁以上の記号からなる入力コードの入力を受付ける入力受付機能を有している。また、入力コードと、第1ロック解除コードまたは第2ロック解除コードと、を比較し、一致している場合には、動作制限を解除させる制限解除機能を備えている。また第1ロック解除コードは、7桁であるとともに、各桁は0〜9の数字(所定カテゴリ)に含まれる記号のみによって構成されており、第2ロック解除コードは、8桁(7桁以外)の記号からなるとともに、少なくとも一つの桁は英字(0〜9の数字に含まれない記号)によって構成されている。
【0070】
そのためテレビ放送受信機1によれば、第1ロック解除コードの桁数や各桁の構成に用いられる記号のカテゴリが知られたとしても、第2ロック解除コードまで知られてしまう事態を、極力防止することが可能となっている。つまり、第1ロック解除コードの桁数や各桁の構成に用いられる記号のカテゴリを知る者によって、例えば、総当たり的な探索によって第2ロック解除コードが見つけ出されることや、第2ロック解除コードが類推されること等を、極力防ぐことが可能となっている。
【0071】
また本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、種々の形態によって実施可能である。なお本発明は、テレビ放送受信機に限らず、種々の電子機器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、動作制限機能を有する電子機器の分野において、利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビ放送受信機の構成図である。
【図2】第1メモリの記憶内容に関する説明図である。
【図3】リモートコントロール装置の構成に関する説明図である。
【図4】コード入力受付表示に関する説明図である。
【図5】動作制限の実行及び解除などに関する処理の流れ図である。
【図6】リモートコントロール装置の構成に関する説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1 テレビ放送受信機(電子機器)
2 リモートコントロール装置
11 受信部
12 接続切替部
13 信号処理部
14 ディスプレイ
15 スピーカ
16 制御部
17 第1メモリ(電気的に書換え可能)
18 第2メモリ(電気的に書換え不可能)
19 操作部
21 押しボタンスイッチ
22 リモコン信号送信部
31 コード入力受付表示
31a 入力スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動作を行う電子機器において、
該動作の少なくとも一部に制限を加える制限部と、
それぞれ1桁以上の記号からなる、第1ロック解除コード、および第2ロック解除コードを記憶する記憶部と、
1桁以上の記号からなる入力コードの入力を受付ける入力受付部と、
前記入力コードと、前記第1ロック解除コードまたは第2ロック解除コードと、を比較し、一致している場合には、前記制限を解除させる制限解除部と、
を備え、
前記第1ロック解除コードは、
m(mは自然数)桁であるとともに、各桁は所定カテゴリに含まれる記号のみによって構成されており、
前記第2ロック解除コードは、
前記m桁以外の桁数の記号からなるもの、または、少なくとも一つの桁が該所定カテゴリに含まれない記号によって構成されたもの、であることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記入力コードと前記第1ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合と、前記入力コードと前記第2ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合とでは、
該制限が解除される範囲または期間が、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力コードと前記第2ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合には、該制限が解除される期間を制約する制約条件が設けられる一方、
前記入力コードと前記第1ロック解除コードが一致したことにより、前記制限が解除される場合には、該制約条件は設けられないことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
共通の動作確認工程が実行される複数の電子機器のうちの一つであって、
前記第1ロック解除コードは、該複数の電子機器の各々に固有のものとして設定されている一方、
前記第2ロック解除コードは、該複数の電子機器の各々に共通のものとして設定されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2ロック解除コードは、前記m桁以外の桁数の記号からなっており、
前記入力受付部は、
前記入力を受付ける際に、前記m桁の記号入力を促すことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
電気的に書換え不可能なメモリを備え、
該メモリは、
前記第2ロック解除コードを記憶していることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
テレビ放送の放送信号を受信する、テレビ放送受信機であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−301452(P2009−301452A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157467(P2008−157467)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】