説明

化合物、光電変換装置、発光装置および光通信用装置

【課題】太陽電池などの光電変換装置および発光装置に有用な新規な化合物、その化合物を用いた光電変換装置および発光装置、並びにその発光装置を用いた光通信用装置を提供する。
【解決手段】III族元素とV族元素との化合物であって、GaAsまたはGeにほぼ格子整合し、V族元素はBiおよびPを含む化合物である。ここで、化合物の300Kの温度における格子定数は0.56nm以上0.57nm以下であることが好ましい。また、化合物のエネルギギャップは1.4eV以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、光電変換装置、発光装置および光通信用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギが注目されており、再生可能エネルギの1つとして太陽電池が注目されている。太陽電池は光電変換装置の1種であり、以下、特に太陽電池について説明するが、同様の議論が光電変換装置にも成立する。
【0003】
太陽電池の中には、結晶シリコン基板を用いたもの、シリコン薄膜を用いたもの、化合物半導体を用いたもの、および有機色素を用いたものなどの様々な種類のものが存在する。太陽電池に用いられる材料の中でも、III族元素とV族元素とからなるIII−V族化合物半導体は、III−V族化合物半導体を用いて単一のpn接合を構成することで高い変換効率が得られるだけでなく、互いに異なる波長領域の光を吸収する半導体を用いて複数のpn接合を構成する多接合太陽電池にも利用されており、非常に変換効率の高い太陽電池用材料として重要である。そのため、III−V族化合物半導体を用いた太陽電池は、宇宙用電源および地上用電源として、今後の可能性が注目されている。
【0004】
これまでに最高の変換効率が報告された太陽電池は、光入射側からそれぞれpn接合を有するInGaP/Ga(In)As/Geの3種の太陽電池セル(トップセル、ミドルセルおよびボトムセル)が直列に接合された3接合太陽電池であり、それぞれの太陽電池セルのエネルギギャップは、1.9eV(トップセル)、1.4eV(ミドルセル)および0.7eV(ボトムセル)である。したがって、太陽電池に入射した太陽光のうち、1.9eV以上のエネルギを有する部分についてはInGaPからなるトップセルで、1.4eV〜1.9eVのエネルギを有する部分についてはGa(In)Asからなるミドルセルで、0.7eV〜1.4eVのエネルギを有する部分についてはGeからなるボトムセルでそれぞれ吸収されて、それぞれの太陽電池セルで電子−正孔の対を生成する。ここで、トップセルとミドルセル、ミドルセルとボトムセルはそれぞれほぼ格子整合しており、各太陽電池セルを形成する際、太陽電池特性に悪影響を与える結晶欠陥が各太陽電池セルにできる限り導入されないように設計されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
上述した3接合太陽電池においては、互いに異なる波長領域の光を吸収する半導体がそれぞれpn接合を有してそれぞれ太陽電池セルを構成しており、これらの太陽電池セルが直列に接合されている。したがって、それぞれの太陽電池セルで吸収され、取り出される電流量が同一でない場合、最小の電流量までしか取り出すことができず、太陽光のエネルギを有効に利用することができなくなる。このような無駄をなくし、太陽電池の変換効率を上げるためには、太陽光によって発生する各太陽電池セルの電流量がそれぞれの太陽電池セルで同一となるように、各太陽電池セルに用いられる材料のエネルギギャップを決めることが重要となる。
【0006】
上述した3接合太陽電池においては、ボトムセルの電流量が最も多く、ミドルセルの電流量が最も少ないことは公知であり、この太陽電池の変換効率を向上させるためには、現状のミドルセルの代わりに、Geとほぼ格子整合し、かつ、現状のミドルセルよりもエネルギギャップが小さいエネルギギャップを有する材料を採用する必要がある。
【0007】
しかしながら、これまで一般的に研究されてきた、III族元素であるAl、GaまたはInと、V族元素であるP、AsまたはSbと、のIII−V族化合物半導体で、Geにほぼ格子整合し、現状のミドルセルよりもエネルギギャップが小さい材料が存在しないことも公知の事実である。そのため、これまであまり研究されてこなかった、GaInNAs、BInGaAs、GaAsBiN、または(In)GaTlPなどが検討されてきている(たとえば、非特許文献2〜5参照)。
【0008】
また、一方で、Geとは格子不整合であるけれども、1.1eV〜1.25eV程度のエネルギギャップを有するIII−V族化合物半導体としてはInGaAsなどが存在するため、このようなIII−V族化合物半導体を用いて太陽電池の変換効率を向上させる試みも行なわれている(たとえば、非特許文献6参照)。
【0009】
その他、青色発光装置用材料として注目されているInGaNを用いて多接合太陽電池を作製しようとする試みも行なわれている(たとえば、非特許文献7参照)。
【0010】
上記においては太陽電池に関する背景技術を述べてきたが、本発明の化合物は発光装置用の材料としても重要である。そこで、以下においては、特に、光ファイバを用いた光通信用の発光装置の背景技術についても述べる。
【0011】
光ファイバを用いて光通信を行なう際には、光ファイバによる光の減衰が問題となる。光の減衰の影響を最小限に抑えるためには、減衰が小さい波長の光を用いることが考えられる。ここで、最も減衰の小さい波長は1.55μm(光子エネルギ:0.8eV)であり、長距離を増幅することなく光通信をするためにはこの波長が最も好都合である。また、近距離の光通信に関しては、波長1.3μm(光子エネルギ:0.95eV)の光を利用することも可能と考えられている。
【0012】
これまで、光通信用の発光装置としては、GaAs基板上に、AlGaInP、AlGaAsまたはZnSeなどの半導体を形成して作製されたものが多かった。発光装置の活性層は、その厚みを太陽電池と比較して薄くすることが可能で、臨界厚み以下では格子不整合でも欠陥を導入せずに形成することが可能であるため、格子整合に関する要請は太陽電池ほど重要ではない。しかし、これまで一般的に研究されてきた、III族元素であるAl、GaまたはInと、V族元素であるP、AsまたはSbと、のIII−V族化合物半導体で、Geにほぼ格子整合し、GaAs基板上で波長1.55μmまたは1.3μmの光を発光する材料は存在しない。そこで、太陽電池の場合と同様に、これまであまり研究されてこなかった、GaInNAs(Sb)、GaAsBiN、または(In)GaTlPなどが検討されてきている(たとえば、非特許文献2および非特許文献8〜9参照)。
【0013】
また、GaAs基板以外の基板を用いて発光装置を作製する方法も考えられており、現在ではInP基板上にInGaAsP、あるいはGaInTlAsなどの材料を形成した発光装置も作製されている(たとえば、非特許文献10参照)。
【非特許文献1】G.Strobl et al., “DEVELOPMENT AND QUALIFICATION STATUS OF EUROPEAN TRIPLE JUNCTION SOLAR CELLS FOR SPACE APPLICATIONS”, Proceedings of the 19th European Photovoltaic Solar Energy Conference., 2004年6月, p.3614
【非特許文献2】S.Kurtz et al., “Capacitance-spectroscopy identification of a key defect in N-degrated GaInNAs solar cells”, Appl. Phys. Lett. vol.86, 2005年, p.113506
【非特許文献3】J.F.Geisz et al., “BGaInAs SOLAR CELLS LATTICE-MATCHED TO GaAS”, Proceedings of the 28th IEEE Photovoltaic Specialists Conference, 2000年, p.990
【非特許文献4】S.Tixier et al., “Band gaps of the dilute quaternary alloys GaNxAs1-x-yBiyand Ga1-yInyNxAs1-x”, Appl. Phys. Lett. vol.86, 2005年, p.112113
【非特許文献5】D.J.Friedman et al., “Exploration of GaInTlP and Related Tl-containing III-V Alloys for Photovoltaics”, Presented at the National Center for Photovoltaics Program Review Meeting Denver, Colorado, September 8-11, 1998 (NREL/CP-520-25737)
【非特許文献6】M.Yamaguchi et al., “CONSIDERATION OF LATTICE-MISMATCHED InGaP/InGaAs/Ge 3-JUNCTION SOLAR CELLS”, Proceedings of the 19th European Photovoltaic Solar Energy Conference., 2004年6月, p.3610
【非特許文献7】O.Jani et al., “CHARACTERIZATION AND ANALYSIS OF InGaN PHOTOVOLTAIC DEVICES”, Proceedings of the 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference 2005年1月
【非特許文献8】L.H.Li et al., “Investigations on GaInNAsSb quinary alloy for 1.5 μm laser emission on GaAs”, Appl. Phys. Lett. vol.83, 2003年8月, p.1298
【非特許文献9】W.Huang et al., “GaNyAs1-x-yBixAlloy Lattice Matched to GaAs with 1.3μm Photoluminescence Emission”, Jpn. J. Appl. Phys. vol.43, 2004年, p.L1350
【非特許文献10】H.J.Lee et al., “Gas source MBE growth of TlInGaAs/InP laser diodes and their room temperature operation”, J. Crystal Growth 251, p.800
【非特許文献11】M.W.Wanlass et al., SPW 4/18-21/05 プレゼンテーション資料
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の3接合太陽電池のミドルセル用材料として検討されてきた、GaInNAs、BInGaAs、GaAsBiN、および(In)GaTlPについては以下のような問題があった。
【0015】
すなわち、まず、GaInNAsおよびGaAsBiN中に含まれるNは、以前より間接遷移GaP中の発光再結合中心として導入されてきたことからもわかるように、太陽電池で重要視される少数キャリア拡散長に影響を及ぼす。また、BInGaAsにおいては、Bが膜中に取り込まれるかどうかに関わらず、B導入に用いられるジボランガスを導入するだけで原因不明の膜の品質低下が起こるという問題があった(非特許文献3参照)。また、(In)GaTlPにおいては、Tlが膜中に取り込まれずに表面に金属のドロップレットができるなどの均質な膜が作製できないという問題があった(非特許文献5参照)。
【0016】
また、Geと格子不整合であるInGaAsを上述の3接合太陽電池のミドルセルに用いた場合には、ミドルセルを構成するInGaAsに欠陥の導入は避けられず、さらに、ミドルセル上のトップセルの品質まで低下させてしまうという問題がある。また、基板上にトップセル、ミドルセルの順に通常とは逆の方向に積層することでトップセルの品質低下を抑え、最後に基板を剥離する方法(非特許文献11参照)においては比較的良好な結果が得られている。しかしながら、この方法においては、厚いグレーディッド層が必要でコストがかかるだけでなく、通常はボトムセルとして用いられているGeのエネルギギャップに対応する程度の低い太陽光のエネルギまで有効に利用できるボトムセルをミドルセル上に形成することが難しいという問題があった。
【0017】
また、青色発光装置用材料であるInGaNを太陽電池に用いた場合には、発光装置の特性向上に貢献しているInの不均一性が、太陽電池においては開放電圧の低下などの不利な方向に作用するという問題がある。仮に、将来、均一にInが含まれているInGaNができたとしても、これを用いて多接合太陽電池を作製する場合に格子不整合は不可避である。
【0018】
また、発光装置に関しても、GaInNAs(Sb)、GaAsBiNおよび(In)GaTlPをGaAs基板上に形成して作製された発光装置については良好な結果が得られていない。GaInNAs(Sb)およびGaAsBiNについて、NはAsやSbと比較して共有結合半径が小さいため取り込まれにくく、仮に取り込まれたとしても材料の高品質化が問題となる。また、(In)GaTlPについては、上述したように、均質な膜ができないという問題がある。
【0019】
また、InP基板上に、InGaAsPあるいはGaInTlAsなどの材料を形成した発光装置においては、InP基板はGaAs基板よりも高価であるため、コストが高くなるという問題があった。また、InP基板を用いた発光装置においてはキャリアの閉じ込め効率が良くないために温度特性が良くないという問題だけでなく、GaAs基板上のAlAs/GaAs多層膜のように反射率の高いミラーを形成することができないため、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)の作製が困難であるという問題もあった。
【0020】
そこで、本発明の目的は、太陽電池などの光電変換装置および発光装置に有用な新規な化合物、その化合物を用いた光電変換装置および発光装置、並びにその発光装置を用いた光通信用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、III族元素とV族元素との化合物であって、GaAs(ガリウムヒ素)またはGe(ゲルマニウム)にほぼ格子整合し、V族元素はBi(ビスマス)およびP(リン)を含む、化合物である。ここで、本発明の化合物には、BiおよびP以外のV族元素、たとえばAs(ヒ素)および/またはSb(アンチモン)などが含まれていてもよいことは言うまでもない。また、本発明の化合物には、たとえばpn接合の形成などを目的としてp型不純物またはn型不純物が含まれていてもよく、不可避的に含まれる不純物が含まれていてもよい。
【0022】
また、本発明の化合物の300K(ケルビン)の温度における格子定数は、0.56nm以上0.57nm以下であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の化合物のエネルギギャップは、1.4eV以下であることが好ましい。
また、本発明の化合物のエネルギギャップは、0.75eV以上1.3eV以下であることがさらに好ましい。
【0024】
また、本発明の化合物は、GaPSbBiの化学式で表わされ得る。
また、本発明の化合物は、GaAsBiPの化学式で表わされ得る。
【0025】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の化合物を含む、光電変換装置である。
また、本発明の光電変換装置は、複数のpn接合を有し得る。
【0026】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の化合物を含む、発光装置である。
また、本発明の発光装置は、光通信用であり得る。
【0027】
さらに、本発明は、上記の発光装置を用いた光通信用装置である。
なお、本明細書において、GaPSbBiの化学式で表わされる化合物は、GaP1-x-ySbxBiy(ただし、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)の組成式で表わされる化合物を意味する。また、本明細書において、GaAsBiPの化学式で表わされる化合物は、GaAs1-x-yBixy(ただし、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)の組成式で表わされる化合物を意味する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、太陽電池などの光電変換装置および発光装置に有用な新規な化合物、その化合物を用いた光電変換装置および発光装置、並びにその発光装置を用いた光通信用装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、III族元素とV族元素との化合物であって、GaAsまたはGeにほぼ格子整合し、V族元素はBiおよびPを含む化合物であることを特徴としている。これは、本発明者が鋭意検討した結果、このような化合物であれば、太陽電池などの光電変換装置および発光装置に有用となり得ることを見い出したことによるものである。
【0030】
ここで、本発明において「GaAsまたはGeにほぼ格子整合」とは、本発明の化合物の300Kの温度における格子定数とGaAsの300Kの温度における格子定数5.653nmとの差の絶対値および本発明の化合物の300Kの温度における格子定数とGeの300Kの温度における格子定数5.646nmとの差の絶対値がそれぞれ0nm以上0.1nm以下であることを意味している。特に、本発明の化合物の300Kの温度における格子定数は0.56nm以上0.57nm以下であることが、GaAsまたはGeとの良好な格子整合の観点から好ましい。
【0031】
また、本発明の化合物を、変換効率の高い太陽電池などの光電変換装置用の材料および光通信用の波長1.55μmまたは波長1.3μm程度の光を発光する発光装置の活性層用の材料の双方に適用できるようにする観点からは、本発明の化合物のエネルギギャップは1.4eV以下であることが好ましく、0.75eV以上1.3eV以下であることがより好ましい。
【0032】
たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが1.25eV程度である場合には、本発明の化合物を上述した3接合太陽電池のミドルセル用材料として用いることにより、さらなる変換効率の向上が期待できる。すなわち、この3接合太陽電池は、たとえば、pn接合を有するGeからなるボトムセル上に、pn接合を有する本発明の化合物からなるミドルセルが形成され、このミドルセル上にpn接合を有するInGaP(インジウムガリウムリン)からなるトップセルが形成された構成とすることができる。なお、この3接合太陽電池においては、ボトムセルとミドルセルとの間およびミドルセルとトップセルとの間には通常、トンネル接合が形成される。また、上記の各セルには光吸収の役割を受け持つ層よりエネルギギャップが広い窓層や、キャリア収集効率向上のため電界効果を狙った層(たとえば、BSF(Back Surface Field)層)などが形成されてもよい。
【0033】
また、たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが1.1eV程度である場合には、2接合太陽電池の材料として適用することで、上述の3接合太陽電池と同様の変換効率が期待できる。この2接合太陽電池は、たとえば、Geなどからなる基板上にpn接合を有する本発明の化合物からなるボトムセルおよびエネルギギャップが1.7eV程度の材料からなるトップセルを順次形成した後に、Geなどからなる基板を剥離することによって形成することができ、薄膜で変換効率が高い2接合太陽電池を得ることができる。なお、エネルギギャップが1.7eV程度の材料としては、たとえばAlGaAs(アルミニウムガリウムヒ素)、InGaAsPまたは副格子がランダム配列のInGaPなどを用いることができる。なお、この2接合太陽電池においては、ボトムセルとトップセルとの間には通常、トンネル接合が形成される。また、上記の各セルには光吸収の役割を受け持つ層よりエネルギギャップが広い窓層や、キャリア収集効率向上のため電界効果を狙った層(たとえば、BSF層)などが形成されてもよい。
【0034】
また、たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが1.0eV程度である場合には、4接合太陽電池の材料として適用することで、上述の3接合太陽電池の変換効率を超える変換効率を有する太陽電池が期待できる。この4接合太陽電池は、たとえば、pn接合を有するGeからなるボトムセル上にpn接合を有する本発明の化合物からなる第1ミドルセル、pn接合を有するInGaAsまたはGaAsからなる第2ミドルセルおよびpn接合を有するInGaPからなるトップセルが順次形成された構成とすることができる。なお、この4接合太陽電池においては、ボトムセルと第1ミドルセルとの間、第1ミドルセルと第2ミドルセルとの間および第2ミドルセルとトップセルとの間には通常、トンネル接合が形成される。また、上記の各セルには光吸収の役割を受け持つ層よりエネルギギャップが広い窓層や、キャリア収集効率向上のため電界効果を狙った層(たとえば、BSF層)などが形成されてもよい。また、4接合太陽電池のボトムセルを剥離した層構造にすることで薄膜状の3接合太陽電池とすることもできる。
【0035】
なお、本発明の光電変換装置の一例である太陽電池としては、上述した構成以外の構成を有するものも含まれ、たとえば多接合太陽電池においては、本発明の化合物からなる太陽電池セルを含んでいれば、それぞれの太陽電池セルで発生する電流量を一致させるように他の半導体層のエネルギギャップを適宜選択して太陽電池セルを構成することにより高い変換効率を有する太陽電池を得ることができる。また、本発明の光電変換装置の一例である太陽電池としては、本発明の化合物にpn接合を形成した単接合の太陽電池の構成とすることもできるが、本発明の化合物は、現在世界中で開発が行なわれている複数のpn接合を有する太陽電池として利用することが望ましい。
【0036】
また、たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが0.95eV程度である場合には、本発明の化合物は、波長1.3μmの光を発光する発光装置の活性層用の材料として好適である。この場合には、たとえばGaAs基板を用い、GaAs基板上に高反射率のAlAs/GaAs多層膜等を形成することでVCSELとすることも可能となる。
【0037】
また、たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが0.8eV程度である場合には、本発明の化合物は、波長1.55μmの光を発光する発光装置の活性層用の材料として好適である。この場合には、たとえばGaAs基板を用いた場合には従来のInP基板を用いた場合よりも低コスト化が可能になり、GaAs基板上に高反射率のAlAs/GaAs多層膜等を形成することでVCSELとすることも可能となる。
【0038】
このように本発明の化合物を活性層に適用した発光装置は、波長1.3μmまたは波長1.55μmの光を発光し得るため、背景技術の欄で説明したように光通信用の発光装置として有用である。したがって、本発明の化合物を活性層に適用した発光装置を含む本発明の光通信装置も有用となる。なお、本発明の光通信装置は、本発明の化合物を活性層に適用した発光装置以外にも光ファイバなどの光伝達系を備え得る。
【0039】
また、たとえば、本発明の化合物のエネルギギャップが0.7eV程度である場合には、本発明の化合物は、上記の多接合太陽電池のGeからなるセルの代わりに用いることが可能である。この場合には、GeまたはGaAsからなる基板上に本発明の化合物を用いた太陽電池をボトムセルとして採用し、そのボトムセル上にそのボトムセルよりも大きなエネルギギャップを有する半導体層を積層した構造の多接合太陽電池を得ることができる。なお、上記のGeまたはGaAsからなる基板は取り去ることも可能であるし、取り去った基板を再利用すれば低コスト化も同時に可能とする。
【0040】
また、0.7eVよりも小さいエネルギギャップを有する本発明の化合物は、さらに長波長の光まで光電変換可能な多接合太陽電池としても利用できるし、エネルギギャップの調節により、赤外線領域の波長の光に対応可能な光電変換素子あるいは赤外線領域の発光素子として利用することが可能である。
【0041】
なお、本発明の化合物を構成する元素の同定は、元素分析で一般に広く用いられている方法、たとえば、走査型電子顕微鏡から電子線を照射して放射される特性X線を検出する方法などにより行なうことができる。なお、本発明の化合物が層状構造中の一層を形成しており、本発明の化合物により構成される層がその層状構造の表面から遠い位置に存在する場合には、走査型電子顕微鏡を用いて断面方向から上記と同様に同定するか、または、透過型電子顕微鏡を用いて上記と同様に同定する方法などがある。
【0042】
また、本発明の化合物の300Kの温度における格子定数は、本発明の化合物の温度が300Kの状態において、Cu−Kα線を用いて、格子定数の評価に広く用いられているX線回折法により特定することができる。なお、本発明の化合物が層状構造中の一層を形成しており、その他の層が多数存在する場合には、透過型電子顕微鏡により得られた原子像から特定することもできる。なお、透過型電子顕微鏡により得られた原子像から格子定数を特定する場合には、たとえば、300Kの温度における格子定数が既知の層の格子定数で規格化することにより格子定数を特定することが可能である。
【0043】
また、本発明の化合物のエネルギギャップは、本発明の化合物の温度が300Kの状態におけるPL(フォトルミネッセンス)スペクトルのピーク位置から求めることができる。ここで励起光としては波長524.5nmのArレーザ光などを用いることができ、励起強度は約105W/cm2などとすることができる。なお、本発明の化合物が層状構造中の一層を形成しており、その他の層が多数存在する場合には、本発明の化合物により構成される層のエネルギギャップを特定することは困難であるため、たとえば、その断面方向から励起光を入射してPLスペクトルを測定することができる。また、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により電子線を照射してCL(カソードルミネッセンス)を測定し、そのピークの位置からもエネルギギャップを特定することもできる。PLスペクトルおよびCLスペクトルのいずれの場合にも、複数の層からの発光ピークが重なるような場合には、それぞれの複数のピークの位置を仮定し、カーブフィッティングによりそのピーク位置を特定することができる。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
従来から公知のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置内に、キャリアガスとしてH2を1.5(L/min)の流量で導入するとともに、原料ガスとして、TMGa(トリメチルガリウム)を18.0(μmol/min)の流量で、PH3(ホスフィン)を21.0(μmol/min)の流量で、TMSb(トリメチルアンチモン)を54.7(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を1.9(μmol/min)の流量で導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度が530℃の条件で、MOCVD法により、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0045】
これらの成長した膜を同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。なお、これらの膜を構成する元素はそれぞれ、走査型電子顕微鏡から電子線を照射して放射される特性X線を検出する方法により同定された。
【0046】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を測定したところ、それぞれ0.565nmであることが判明した。なお、これらの膜の300Kの温度における格子定数はそれぞれ、Cu−Kα線を用いたX線回折法により測定された。
【0047】
また、これらの膜のエネルギギャップを測定したところ、それぞれ1.23eVであることが判明した。なお、これらの膜のエネルギギャップはそれぞれ温度が300Kの状態におけるPLスペクトルのピーク位置から求められた。ここで、励起光としては波長524.5nmのArレーザ光が用いられ、励起強度は約105W/cm2であった。
【0048】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.565nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0049】
(実施例2)
PH3を22.2(μmol/min)の流量で、TMSbを53.0(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を2.1(μmol/min)の流量でMOCVD装置内に導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度を520℃としたこと以外は実施例1と同様にして、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0050】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0051】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.563nmであることが判明した。
【0052】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ1.09eVであることが判明した。
【0053】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.563nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0054】
(実施例3)
PH3を23.5(μmol/min)の流量で、TMSbを53.0(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を2.4(μmol/min)の流量でMOCVD装置内に導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度を510℃としたこと以外は実施例1と同様にして、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0055】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0056】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.564nmであることが判明した。
【0057】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ1.02eVであることが判明した。
【0058】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.564nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0059】
(実施例4)
PH3を23.9(μmol/min)の流量で、TMSbを53.0(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を2.5(μmol/min)の流量でMOCVD装置内に導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度を495℃としたこと以外は実施例1と同様にして、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0060】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0061】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.565nmであることが判明した。
【0062】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.95eVであることが判明した。
【0063】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.565nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0064】
(実施例5)
PH3を25.2(μmol/min)の流量で、TMSbを53.0(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を2.9(μmol/min)の流量でMOCVD装置内に導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度を480℃としたこと以外は実施例1と同様にして、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0065】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0066】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.566nmであることが判明した。
【0067】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.8eVであることが判明した。
【0068】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.566nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0069】
(実施例6)
PH3を26.6(μmol/min)の流量で、TMSbを53.0(μmol/min)の流量で、TMBi(トリメチルビスマス)を3.1(μmol/min)の流量でMOCVD装置内に導入し、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度を480℃としたこと以外は実施例1と同様にして、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0070】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaPSbBiの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0071】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.564nmであることが判明した。
【0072】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.7eVであることが判明した。
【0073】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.564nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0074】
なお、上記の実施例1〜実施例6における膜の成長条件および成長した膜の物性(300Kの温度における格子定数およびエネルギギャップ)を以下の表1にまとめる。
【0075】
【表1】

【0076】
なお、上記の実施例1〜実施例6においては、MOCVD法により膜を成長する方法について説明したが、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などの他の結晶成長方法でも作製は可能である。
【0077】
(実施例7)
従来から公知のガスソースMBE装置を用いて、Gaビーム圧力4.0×10-7Torr、Asビーム圧力8.0×10-6Torr、Biビーム圧力2.6×10-8Torr、およびPビーム圧力1.2×10-7Torrの条件並びにGaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面温度が380℃の条件で、ガスソースMBE法により、これらの基板の表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0078】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0079】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.563nmであることが判明した。
【0080】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ1.22eVであることが判明した。
【0081】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.563nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0082】
(実施例8)
Biビーム圧力3.3×10-8TorrおよびPビーム圧力1.5×10-7Torrの条件としたこと以外は実施例7と同様にして、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0083】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0084】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.563nmであることが判明した。
【0085】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ1.11eVであることが判明した。
【0086】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.563nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0087】
(実施例9)
Biビーム圧力3.9×10-8TorrおよびPビーム圧力2.0×10-7Torrの条件としたこと以外は実施例7と同様にして、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0088】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0089】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.565nmであることが判明した。
【0090】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ1.00eVであることが判明した。
【0091】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.565nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0092】
(実施例10)
Biビーム圧力4.2×10-8TorrおよびPビーム圧力2.2×10-7Torrの条件としたこと以外は実施例7と同様にして、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0093】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0094】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.566nmであることが判明した。
【0095】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.93eVであることが判明した。
【0096】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.566nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0097】
(実施例11)
Biビーム圧力5.0×10-8TorrおよびPビーム圧力2.6×10-7Torrの条件としたこと以外は実施例7と同様にして、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0098】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0099】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.565nmであることが判明した。
【0100】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.78eVであることが判明した。
【0101】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.565nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0102】
(実施例12)
Biビーム圧力5.2×10-8TorrおよびPビーム圧力3.1×10-7Torrの条件としたこと以外は実施例7と同様にして、GaAsからなる基板およびGeからなる基板のそれぞれの表面上にそれぞれ膜を成長させた。
【0103】
その成長した膜を実施例1と同一の方法により同定したところ、これらの膜はそれぞれGaAsBiPの化学式で表わされる化合物であることが判明した。
【0104】
また、これらの膜の300Kの温度における格子定数を実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.564nmであることが判明した。
【0105】
また、これらの膜のエネルギギャップを実施例1と同一の方法により確認したところ、それぞれ0.68eVであることが判明した。
【0106】
上記の膜の300Kの温度における格子定数が0.564nmであることから、これらの膜はそれぞれGaAsまたはGeにほぼ格子整合することが判明した。
【0107】
なお、上記の実施例7〜実施例12における膜の成長条件および成長した膜の物性(300Kの温度における格子定数およびエネルギギャップ)を以下の表2にまとめる。
【0108】
【表2】

【0109】
なお、上記の実施例7〜実施例12においては、ガスソースMBE法により膜を成長する方法について説明したが、MOCVD法またはMBE法などの他の結晶成長方法でも作製は可能である。
【0110】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の化合物は、光電変換装置(特に、太陽電池)および赤外線領域の発光装置などに適用することが可能であり、高変換効率の光電変換装置および赤外線領域の安価な発光装置、光通信用装置などを提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族元素とV族元素との化合物であって、GaAsまたはGeにほぼ格子整合し、前記V族元素はBiおよびPを含む、化合物。
【請求項2】
300Kの温度における格子定数が0.56nm以上0.57nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
エネルギギャップが1.4eV以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
エネルギギャップが0.75eV以上1.3eV以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
GaPSbBiの化学式で表わされることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
GaAsBiPの化学式で表わされることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物を含む、光電変換装置。
【請求項8】
複数のpn接合を有することを特徴とする、請求項7に記載の光電変換装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物を含む、発光装置。
【請求項10】
光通信用であることを特徴とする、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の発光装置を用いることを特徴とする、光通信用装置。

【公開番号】特開2007−145643(P2007−145643A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342254(P2005−342254)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】